JP2021134180A - 非晶質固体分散体、その製造方法、ならびにそれを用いた飲食品および脳内アセチルコリン濃度上昇剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ナリンゲニンがより効率的に非晶質化された非晶質固体分散体、その製造方法、ならびにそれを用いた飲食品および脳内アセチルコリン濃度上昇剤を提供すること。【解決手段】 本発明の非晶質固体分散体は、ナリンゲニンとポリビニルピロリドンと非イオン性界面活性剤とを含有する混合物を由来とする。ここで、ポリビニルピロリドンのK値は15〜52であり、ポリビニルピロリドンの含有質量はナリンゲニンの含有質量に対して2.7倍以上であり、そしてこの非晶質固体分散体は、粉末X線回折分析にてハローパターンを示す。本発明の非晶質固体分散体は、様々な食品および医薬品に加工または製造でき、生体が摂取した後の体内への吸収効率を高めることができる。また、これを摂取した生体の脳内アセチルコリン濃度を高めることもできる。【選択図】 図1
Description
本発明は、非晶質固体分散体、その製造方法、ならびにそれを用いた飲食品および脳内アセチルコリン濃度上昇剤に関する。
近年、フラボノイド類、カロテノイド類などの化合物で構成される機能性素材について、様々な健康維持に関する効果が見出されている。このうち、フラボノイド類の1種であるナリンゲニンは、抗炎症、神経保護、抗酸化などの各種作用を奏する化合物であり、例えば、アルツハイマー型認知症などの治療に有効とされるアセチルコリンエステラーゼの抑制作用があることが報告されている(非特許文献1〜3)。
しかし、ナリンゲニンは、その構造中にヒドロキシ基、カルボニル基などの親水性官能基が少なく、水に対して難溶性(難水溶性)の性質を有する。そして、ナリンゲニンが難水溶性であることにより、製剤化の際の安定的な分散に高度な技術が求められかつ生体が摂取した後の胃液や腸液、胆汁といった消化液への溶出が悪いため体内への吸収が効率的に行われ難いと考えられている。
このようなナリンゲニンの難水溶性の性質を改善するために、当該ナリンゲニンを非晶質化する技術が提案されている。例えば、特許文献1は、ナリンゲニンなどの難水溶性の機能性素材、非セルロース系ポリマーおよび非イオン性界面活性剤を所定の温度で混練して非晶質化製剤を製造することを開示している。
ここで、機能性素材のうち特にナリンゲニンに着目した場合、ナリンゲニンをさらに効率的に非晶質化し得るさらなる技術開発が所望されている。
M-R. Khajevand-Khazaeiら、European Journal of Pharmacology, 2018, No. 826, pp.114-122
L. Liaquatら、Life Sciences, 2018, No. 194, pp.213-223
H. J. Heoら、Dement Geriatr Cogn Disord, 2004, No. 17, pp.151-157
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、ナリンゲニンがより効率的に非晶質化された非晶質固体分散体、その製造方法、ならびにそれを用いた飲食品および脳内アセチルコリン濃度上昇剤を提供することにある。
本発明は、ナリンゲニンとポリビニルピロリドンと非イオン性界面活性剤とを含有する混合物を由来とする非晶質固体分散体であって、
該ポリビニルピロリドンのK値が15〜52であり、
該混合物における該ポリビニルピロリドンの含有質量が、該ナリンゲニンの含有質量に対して2.7倍以上であり、そして
粉末X線回折分析にてハローパターンを示す、非晶質固体分散体である。
該ポリビニルピロリドンのK値が15〜52であり、
該混合物における該ポリビニルピロリドンの含有質量が、該ナリンゲニンの含有質量に対して2.7倍以上であり、そして
粉末X線回折分析にてハローパターンを示す、非晶質固体分散体である。
1つの実施形態では、上記粉末X線回折分析の入射角10°〜30°の範囲内に、上記ナリンゲニンに由来する回折ピークが存在しない。
1つの実施形態では、全体質量を基準として、
上記ナリンゲニンの含有量は1〜20質量%であり、そして
上記ポリビニルピロリドンの含有量は2.7〜98.5質量%である。
上記ナリンゲニンの含有量は1〜20質量%であり、そして
上記ポリビニルピロリドンの含有量は2.7〜98.5質量%である。
さらなる実施形態では、上記混合物は、上記ナリンゲニン、上記ポリビニルピロリドンおよび上記非イオン性界面活性剤からなる。
1つの実施形態では、上記非晶質固体分散体における日本薬局方記載の溶出試験第二液に対する上記ナリンゲニンの溶解度は7.5mg/mL以上である。
本発明はまた、非晶質固体分散体の製造方法であって、
ナリンゲニンとポリビニルピロリドンと非イオン性界面活性剤とを含有する混合物を加熱下で混練する工程、を含み、
該ポリビニルピロリドンのK値が15〜52であり、そして
該混合物における該ポリビニルピロリドンの含有質量が、該ナリンゲニンの含有質量に対して2.7倍以上である、方法である。
ナリンゲニンとポリビニルピロリドンと非イオン性界面活性剤とを含有する混合物を加熱下で混練する工程、を含み、
該ポリビニルピロリドンのK値が15〜52であり、そして
該混合物における該ポリビニルピロリドンの含有質量が、該ナリンゲニンの含有質量に対して2.7倍以上である、方法である。
1つの実施形態では、上記混合物を混練する工程は、該混合物が粉末X線回折分析にてハローパターンを示すまで行われる。
1つの実施形態では、上記混合物を混練する工程は二軸エクストルーダーを用いて行われる。
1つの実施形態では、上記混合物を混練する工程は、185〜240℃の加熱下で行われる。
本発明はまた、水に対するナリンゲニンの溶解度を向上させるための方法であって、上記非晶質固体分散体の製造方法を用いて非晶質固体分散体を得る工程を含む、方法である。
本発明はまた、上記非晶質固体分散体を含有する、飲食品である。
本発明はまた、上記非晶質固体分散体を含有する、脳内アセチルコリン濃度上昇剤である。
本発明はまた、上記非晶質固体分散体を含有する、医薬組成物である。
本発明によれば、水に対する溶解性と生体への吸収性が向上したナリンゲニン含有製剤を得ることができる。これにより、ナリンゲニンが本来有するアセチルコリンエステラーゼの抑制作用などの薬学的機能を、これを摂取した生体に対して広く提供することができる。さらに、本発明の非晶質固体分散体から様々な食品および医薬品に加工または製造することができる。
以下、本発明について詳述する。
(非晶質固体分散体)
本発明の非晶質固体分散体は、ナリンゲニンとポリビニルピロリドンと非イオン性界面活性剤を含有する混合物を由来とする。
本発明の非晶質固体分散体は、ナリンゲニンとポリビニルピロリドンと非イオン性界面活性剤を含有する混合物を由来とする。
ナリンゲニンは、以下の式:
で表されるフラバノンの1種(2,3−ジヒドロ−5,7−ジヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−4H−1ベンゾピラン−4−オン)である。ナリンゲニンは、その立体化学上、(2S)−ナリンゲニンおよび(2R)−ナリンゲニンの2種類のエナンチオマーを包含する。本発明の非晶質固体分散体において、ナリンゲニンは、これらエナンチオマーのいずれか単独から構成されていてもよく、あるいはこれらエナンチオマーの混合物(例えば、ラセミ体)であってもよい。
ナリンゲニンは、それ単独では、エタノール、エーテル、脂肪油(例えば、オリーブ油)および超臨界二酸化炭素に対して可溶性である。これに対し、ナリンゲニンは、それ単独では水に対して僅かに可溶性であり、難水溶性の化合物に分類される。
本発明の非晶質固体分散体において、ナリンゲニンは、例えば出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の培養や化学合成を通じて単離かつ精製された形態で含有されていてもよく;トマト、グレープフルーツ、オレンジなどの植物体から得られた植物抽出物(混合物)の形態;あるいはそれらの組み合わせ;で含有されていてもよい。
ナリンゲニンは、本発明の非晶質固体分散体を構成する混合物の全体質量を基準として、好ましくは1質量%〜20質量%、好ましくは5質量%〜15質量%、より好ましくは10質量%〜15質量%の割合で含有されている。本発明の非晶質固体分散体におけるナリンゲニンの含有量が1質量%を下回ると、得られた分散体に含まれるナリンゲニンの相対濃度が低すぎて、これを食品や医薬組成物の形態に加工したとしても、ナリンゲニンが有する機能性素材としての効果を十分に発揮できないことがある。本発明の非晶質固体分散体におけるナリンゲニンの含有量が20質量%を上回ると、ナリンゲニンと後述のポリビニルピロリドンとの間で凝集物が形成され易くなり、当該凝集物によってナリンゲニンが水に溶解し難くなるおそれがある。
なお、本明細書中に用いられる用語「機能性素材」とは、食品、医薬品または医薬部外品の原材料であって、科学的根拠に基づいた機能を発揮し得る原材料を指して言う。また、「科学的根拠に基づいた機能」には、例えば、生体(例えば、ヒト)の健康の維持増進に役立つ機能;生体への栄養成分の補給または補完のために発揮し得る機能;臨床試験、あるいは学術文献またはこれに類する技術文献等の刊行物、その他の技術情報媒体等によって、公知となった機能;が包含される。ここで、ナリンゲニンが有する機能性素材としての効果には、必ずしも限定されないが、例えば、脳内アセチルコリン濃度の上昇、抗酸化、抗炎症作用、抗腫瘍作用、抗ウイルス、血中コレステロール低下、糖・脂質代謝促進作用、抗肥満作用が挙げられる。
ポリビニルピロリドンは、非セルロース系の親水性ポリマーである。ポリビニルピロリドンは、熱安定性に優れ、汎用性に富み、かつ本発明の非晶質固体分散体を製造する際の材料の混練において焦げ付きの心配がないという点から、食品、医薬品等のより多くの製品について利用されている。
本発明において、ポリビニルピロリドンは所定のK値(粘性特性値)を有する。ここで、「ポリビニルピロリドンのK値」とは、毛細管粘度系により測定される相対粘性値(25℃)を以下のFikentscherの式(1)に適用して算出された値である。
本発明において、ポリビニルピロリドンのK値は15〜52あり、好ましくは15〜33、より好ましくは15〜27、さらにより好ましくは22.5〜27である。ポリビニルピロリドンのK値が15を下回ると、得られる製剤中のナリンゲニンが水に十分に溶解し得ない。ポリビニルピロリドンのK値が52を上回ると、ポリビニルピロリドン自体の粘性が高くなりすぎて、ナリンゲニンや非イオン性界面活性剤との混練の際に均一な混練物を作製することが困難となる。
ポリビニルピロリドンは、本発明の非晶質固体分散体が食品、医薬品、医薬部外品等への利用が可能となるように、食品添加物グレード、医薬品添加剤グレードまたはこれに準ずる規格に相当するものであることが好ましい。
ポリビニルピロリドンは、本発明の非晶質固体分散体を構成する混合物の全体質量を基準として、好ましくは2.7質量%〜98.5質量%、好ましくは15質量%〜80質量%、より好ましくは30質量%〜60質量%の割合で含有されている。ポリビニルピロリドンの含有量が2.7質量%を下回ると、得られる製剤内のナリンゲニンがポリビニルピロリドンと凝集し、当該凝集物によってナリンゲニンが水に溶解し難くなるおそれがある。ポリビニルピロリドンの含有量が98.5質量%を上回ると、得られる製剤中で、ナリンゲニンが過分散して生体吸収性を低下させるおそれがある。
なお、本発明の非晶質固体分散体において、上記混合物におけるポリビニルピロリドンの含有質量は、ナリンゲニンの含有質量に対して2.7倍以上、好ましくは2.7倍以上25倍以下、より好ましくは2.8倍以上15倍以下、さらに好ましくは3.0倍以上10以下である。上記ポリビニルピロリドンの含有質量が、ナリンゲニンの含有質量に対して2.7倍を下回ると、得られる分散体自体の水への溶解性が著しく低下することがある。
本発明の非晶質固体分散体は、上記ポリビニルピロリドンに加えて他の非セルロース系の親水性ポリマーを含有していてもよい。他の非セルロース系の親水性ポリマーの例としては、ポリビニルカプロラクタム−ポリビニルアセテート−ポリエチレングリコールグラフトコポリマーが挙げられる。他の非セルロース系の親水性ポリマーもまた、得られる非晶質固体分散体が食品、医薬品、医薬部外品等への利用が可能となるように、食品添加物グレード、医薬品添加剤グレードまたはこれに準ずる規格に相当するものを使用することが好ましい。当該他の非セルロース系の親水性ポリマーの含有量は、本発明に用いられる上記ポリビニルピロリドンの作用効果を阻害しない範囲内で当業者によって適宜設定され得る。
さらに、本発明の非晶質固体分散体は、上記ポリビニルピロリドンを含有する限りは、さらに別の親水性ポリマーを含有していてもよい。このようなさらに別の親水性ポリマーの例としては、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。当該さらに別の親水性ポリマーの含有量は、本発明に用いられる上記ポリビニルピロリドンの作用効果を阻害しない範囲内で当業者によって適宜設定され得る。
非イオン性界面活性剤は、難水溶性のナリンゲニンの非晶質化にあたり、一連の操作を通じて上記ポリビニルピロリドンとともに、ナリンゲニンの単位格子内に入り込み、ナリンゲニンの結晶性を崩壊させて非晶性なものに不可逆的に変化させることができる。そして、特に得られた非晶質固体分散体を用いて水溶液を調製した際に、周囲に水分子が存在する状態において、非イオン性界面活性剤がナリンゲニンを構成する分子をポリビニルピロリドンとともに取り囲んでミセル等の分子集合体を形成し、ナリンゲニンを構成する分子の分子間結合の解消に一層寄与すると考えられる。
このような非イオン性界面活性剤の例としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ならびにレシチン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、必ずしも限定されないが、平均重合度が好ましくは2〜18、より好ましくは3〜15のポリグリセリンとC8〜C20の脂肪酸(好ましくはラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸)とのエステルを包含する。本発明において、ポリグリセリン脂肪酸エステルは必ずしも1種類のみの使用に限定されず、2つまたはそれ以上の種類を組み合わせて使用されてもよい。
ソルビタン脂肪酸エステルは、例えば、ソルビタンとC12〜C20の脂肪酸(好ましくはラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸)とのエステルを包含する。本発明において、ソルビタン脂肪酸エステルは必ずしも1種類のみの使用に限定されず、2つまたはそれ以上の種類を組み合わせて使用されてもよい。
ショ糖脂肪酸エステルは、例えば、ショ糖とC12〜C20の脂肪酸(好ましくはラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸)とのエステルを包含する。本発明において、ショ糖脂肪酸エステルは必ずしも1種類のみの使用に限定されず、2つまたはそれ以上の種類を組み合わせて使用されてもよい。
プロピレングリコール脂肪酸エステルは、例えば、プロピレングリコールとC12〜C20の脂肪酸(好ましくはラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸)とのエステルを包含する。本発明において、プロピレングリコール脂肪酸エステルは必ずしも1種類のみの使用に限定されず、2つまたはそれ以上の種類を組み合わせて使用されてもよい。
レシチンは、例えば、大豆レシチン(大豆リン脂質)、卵黄レシチン、およびヒマワリレシチン、ならびにそれらの組み合わせを包含する。
なお、本発明において、非イオン性界面活性剤は、得られる非晶質化製剤が食品、医薬品、医薬部外品等への利用が可能となるように、食品添加物グレード、医薬品添加剤グレードまたはこれに準ずる規格に相当するものを使用することが好ましい。
本発明において、非イオン性界面活性剤は所定のHLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance;親水親油バランス)値を有する。
本発明において、非イオン性界面活性剤のHLB値は例えば2〜19であり、好ましくは3〜19、より好ましくは9〜19である。非イオン性界面活性剤のHLB値がこのような範囲を満足することにより、本発明の非晶質固体分散体は、例えば、水溶液の形態に調製された場合のその後の当該水溶液の経時安定性をより高めることができる。
非イオン性界面活性剤は、本発明の非晶質固体分散体を構成する混合物の全体質量を基準として、好ましくは0.5質量%〜96質量%、好ましくは2.5質量%〜80質量%、より好ましくは5質量%〜60質量%の割合で含有されている。非イオン性界面活性剤の含有量が0.5質量%を下回ると、得られる製剤内で、ナリンゲニンが十分に非晶質化されず、得られる製剤を体内に取り入れた際に生体吸収性が著しく低下するおそれがある。非イオン性界面活性剤の含有量が96質量%を上回ると、得られる製剤中で、形成されたミセルが過分散し、結果としてナリンゲニンの生体吸収性を低下させるおそれがある。
1つの実施形態では、本発明の非晶質固体分散体を構成する混合物は、ナリンゲニン、ポリビニルピロリドンおよび非イオン性界面活性剤の3成分からなる。
あるいは、1つの実施形態では、本発明の非晶質固体分散体は、上記ナリンゲニン、ポリビニルピロリドン(および必要に応じて含有され得る他の非セルロース系の親水性ポリマーやさらに別の親水性ポリマー)、ならびに非イオン性界面活性剤以外にその他の成分を含有していてもよい。このような他の成分としては、例えば、賦形剤、結合剤、充填剤、滑沢剤、増量剤、調味剤、香料が挙げられる。当該他の成分の含有量は、特に限定されず、上記ナリンゲニン、ポリビニルピロリドンおよび非イオン性界面活性剤の組み合わせによって生じる作用効果を阻害しない範囲内で当業者によって適宜設定され得る。
このように本発明の非晶質固体分散体は、構成成分として上記ナリンゲニン、ポリビニルピロリドン、および非イオン性界面活性剤、ならびに必要に応じて含有され得る他の非セルロース系の親水性ポリマー、さらに別の親水性ポリマーおよび他の成分を含む混合物を由来とするものであり、ナリンゲニン単独の結晶性が失われ、全体として非晶性の性質を有する組成物である。ここで、本明細書に用いられる「混合物を由来とする」とは、当該構成成分を添加かつ混合したのみの単純混合物ではなく、当該単純混合物に対して後述するような混練等の人為的操作を経ることにより、例えば、ナリンゲニンを組成物中により均一に分散させた状態にすることを指して言う。
上記混合物を由来とすることにより、本発明の非晶質固体分散体は、粉体X線回折分析(XRD)において、ナリンゲニン単独の粉体X線回折分析で観察されるような鋭い複数のピークが失われており、回折像が幅広いハローパターンを示す。一般に、粉体X線回折分析において、このような鋭いピークのないハローパターンは、観察対象が非晶質状態にあることを示す1つの指標として用いられる。また、本発明の非晶質固体分散体は、粉体X線回折分析の入射角10°〜30°の範囲内に、ナリンゲニンに由来する回折ピークが存在しない。「ナリンゲニンに由来する回折ピークが存在しない」とは、ナリンゲニン単独の粉体X線回折分析では入射角10°〜30°の範囲内で観察されていたナリンゲニンの鋭い複数のピークが、本発明の非晶質固体分散体では略失われ、少なくとも当該範囲内でハローパターンを示していることを意味する。このことから、本発明の非晶質固体分散体は、ナリンゲニン単独の場合の結晶性が失われ、分散体全体として非晶質状態に保持されている。具体的には、ナリンゲニンの単位格子内に上記ポリビニルピロリドンおよび非イオン性界面活性剤が不可逆的に入り込み、当該ナリンゲニンの結晶性が崩壊し、ナリンゲニンが非晶質化していると考えられる。
本発明の非晶質固体分散体では、日本薬局方記載の溶出試験第二液に対して、ナリンゲニンを好ましくは7.5mg/mL以上、より好ましくは10mg/mL以上、さらに好ましくは15mg/mL以上、あるいは例えば10mg/mL〜20mg/mLの溶解度で溶解することができる。ナリンゲニンの溶解度が7.5mg/mL以上であることにより、本発明の非晶質固体分散体は、ナリンゲニンの生体吸収性を一層高めることができる。
本発明の非晶質固体分散体は、ナリンゲニン単独では困難であった水に溶解可能であり、その結果ナリンゲニンの生体吸収性を高めることができる。これにより、後述するような食品および飲料(以下、これらを合わせて「飲食品」と呼ぶことがある)や医薬品、医薬部外品などの医薬組成物として利用することができる。
なお、本発明の非晶質固体分散体は、含有される全てのナリンゲニンが非晶質化されていることに限定されるものではない。本発明の非晶質固体分散体は、例えば上記ハローパターンが保持されかつ本発明の効果を損なわない範囲において、非晶質化したナリンゲニン以外に、必要に応じて少量または微量の結晶体のナリンゲニンが別途含有されていてもよい。
(非晶質固体分散体の製造方法)
本発明の非晶質固体分散体は、例えば以下のようにして製造される。
本発明の非晶質固体分散体は、例えば以下のようにして製造される。
本発明の製造方法では、まず、ナリンゲニンとポリビニルピロリドンと非イオン性界面活性剤とを含有する混合物が加熱下で混練される。
混合物を得るためのナリンゲニン、ポリビニルピロリドンおよび非イオン性界面活性剤の添加順序は特に限定されない。また、この混合物には、必要に応じて上記他の非セルロース系の親水性ポリマー、さらに別の親水性ポリマー、およびその他の成分が添加されてもよい。これらの添加順序もまた限定されず、当業者によって適切な添加手順が採用され得る。
混合物の混練の際に付与される熱には、混合物に含まれるナリンゲニン分子の単位格子に対して適切な熱エネルギーが付与され得る温度が採用される。本発明の製造方法において、混合物の混練に採用され得る加熱温度は、好ましくは185℃〜240℃、より好ましくは190℃〜210℃である。加熱温度が185℃を下回ると、混合物に含まれるナリンゲニンに適切な熱エネルギーを付与することができず、得られる組成物について十分な非晶質化が進まないおそれがある。加熱温度が240℃を超えると、得られる製剤の水に対する溶解性が低下する;ナリンゲニン分子および/またはポリビニルピロリドンが熱変性し、所望の機能が失われる;ポリビニルピロリドンを構成するモノマーに由来する有毒ガスが発生する;工業的製造における作業者の安全を考慮すると、大規模な設備が必要となる;等の懸念が生じるおそれがある。
本発明において、混練は、機械式または手動式のいずれで行われてもよく、上記混合物に対し上記加熱温度で適切な剪断力を付与する様式で行われることが好ましい。例えば、この混練のために単軸または多軸の混練押出機が使用されてもよい。工業的生産性を向上させるためには、例えば二軸エクストルーダーを使用することが好ましい。混練押出機が使用される場合、スクリューの大きさ、その他混練条件等は特に限定されず、当業者によって適宜選択され得る。さらに、混練押出機のバレル温度は、上流から下流までの全体にかけて、上記混練温度の範囲内に保持されていることが好ましい。
混合物の混練工程に要する時間は、混合物の量、混練押出機などの混練手段の規模、使用するポリビニルピロリドンや非イオン性界面活性剤の種類によって変動するため特に限定されず、当業者により適宜選択され得る。混練工程は、例えば混練した混合物のサンプリングを通じて、当該混合物が上記粉体X線回折分析にてハローパターンを示すまで行われることが好ましい。
上記混練を通じて、混合物内ではナリンゲニンの単位格子内に上記ポリビニルピロリドンおよび非イオン性界面活性剤が不可逆的に入り込み、当該ナリンゲニンの結晶性が崩壊し、最終的にナリンゲニンが非晶質化する。一方、このような混練が行われなければ、ナリンゲニンの非晶質化は充分に進行しないことが考えられる。また、本発明では、上記混練の後に結晶体のナリンゲニンが本発明の効果を損なわない範囲において後添加されてもよい。
このようにして、本発明の非晶質固体分散体を製造することができる。
本発明の製造方法により得られた非晶質固体分散体は、当該分散体に含有されているナリンゲニンの水に対する溶解度を向上させることができる。溶解度の向上したナリンゲニンは、ヒトなどの生体への吸収性を高め、上述したようなナリンゲニンが有する機能性素材としての様々な効果を当該生体に提供することができる。
(非晶質固体分散体)
本発明の非晶質固体分散体は、必要に応じて当業者に公知の手段を用いて、非晶質化製剤として所望の形態(例えば、粉末、錠剤、カプセル剤、点滴剤(水溶解剤)、散剤)に成形されてもよい。
本発明の非晶質固体分散体は、必要に応じて当業者に公知の手段を用いて、非晶質化製剤として所望の形態(例えば、粉末、錠剤、カプセル剤、点滴剤(水溶解剤)、散剤)に成形されてもよい。
非晶質化製剤を得るにあたり、上記非晶質固体分散体は、例えば、粉末状、液状、ペースト状等の任意の形態を有していてもよく、例えば、機能性食品等の飲食品(すなわち、食品および飲料)、ペットフード、化粧品、医薬組成物(例えば医薬品、医薬部外品)等の構成成分として、他の構成成分と組み合わせて使用される。
他の構成成分の例としては、必ずしも限定されないが、別の飲食品素材、別の活性成分、および/または他の添加剤が挙げられる。また、他の添加剤の例としては、食品添加物、香料、香油、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、賦型剤、着色剤、着香剤、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保湿剤、およびpH調整剤が挙げられる。他の成分より具体的な例としては、必ずしも限定されないが、ショ糖;果糖;デンプン類;セルロース;(シクロ)デキストリン;アラビアガム末;アラビアガムの物理的処理(例えば、熱、圧力等による処理、超臨界水および/または亜臨界水処理を包含する)または生化学的処理から得られた重合物末;アラビアガムの物理的処理(例えば、熱、圧力等による処理、超臨界水および/または亜臨界水処理を包含する)または生化学的処理から得られた低分子化物末;ガディガム末;ガディガムの物理的処理(例えば、熱、圧力等による処理、超臨界水および/または亜臨界水処理を包含する)または生化学的処理から得られた重合物末;ガディガムの物理的処理(例えば、熱、圧力等による処理、超臨界水および/または亜臨界水処理を包含する)または生化学的処理から得られた低分子化物末;メチルセルロース;結晶セルロース;エチルセルロース;ポリビニルピロリドン;ポリエチレングリコール;タルク;二酸化ケイ素(例えば、軽質無水ケイ酸または含水二酸化ケイ素);ステアリン酸マグネシウム;ステアリン酸;ステアリルアルコール;ヒドロキシプロピルスターチ;カルボキシメチルスターチナトリウム;寒天末;カルボキシメチルセルロース(カルシウム);低置換ヒドロキシプロピルセルロース;エステル油;ロウ;高級脂肪酸;高級アルコール;アニオン界面活性剤;カチオン界面活性剤;ノニオン界面活性剤;両性界面活性剤;多価アルコール;などが挙げられる。
非晶質化製剤における上記非晶質固体分散体および他の構成成分の含有量は特に限定されない。最終的な使用形態(例えば、食品、飲料、医薬品、医薬部外品、化粧品等)や、その使用形態において所望されるナリンゲニンの含有量等に応じて当業者が任意に設定することができる。
このような非晶質化製剤は、製剤内に含まれるナリンゲニンの結晶性がすでに失われているため、ヒトなどの生体が摂取することによって消化液への溶出が容易となり、結果として体内吸収の効率を高める、等の効果が期待される。
なお、上記非晶質化製剤を用いて得られた飲食品、ペットフード、化粧品、医薬組成物においては、含有される全てのナリンゲニンが非晶質化されていることに限定されるものではない。これらは、本発明の効果を損なわない範囲において非晶質化したナリンゲニン以外に、必要に応じて任意量の結晶体のナリンゲニンを別途含有していてもよい。
(脳内アセチルコリン濃度上昇剤)
アセチルコリンは、副交感神経や運動神経、交感神経の神経伝達物質として知られている。特に脳内のアセチルコリンは覚醒作用や賦活作用を発揮し、例えばアルツハイマー型認知症が進行した脳では、このアセチルコリンを生成する細胞が減少していることが知られている。一方、ナリンゲニンはアルツハイマー型認知症を改善する物質として知られているが、従来では、ナリンゲニンの結晶性の性質により、生体(ヒト)への吸収効率が十分とはいえず、実用的な製剤化が所望されていた。
アセチルコリンは、副交感神経や運動神経、交感神経の神経伝達物質として知られている。特に脳内のアセチルコリンは覚醒作用や賦活作用を発揮し、例えばアルツハイマー型認知症が進行した脳では、このアセチルコリンを生成する細胞が減少していることが知られている。一方、ナリンゲニンはアルツハイマー型認知症を改善する物質として知られているが、従来では、ナリンゲニンの結晶性の性質により、生体(ヒト)への吸収効率が十分とはいえず、実用的な製剤化が所望されていた。
本発明の脳内アセチルコリン濃度上昇剤は上記非晶質固体分散体を含有する。
上述したように、当該非晶質固体分散体は、構成成分のナリンゲニンが非晶質化されており、水に対する溶解度が高められている。それによりヒトなどの生体への吸収性を高め、脳内のアセチルコリン濃度の減少を抑制するだけでなく、当該濃度を上昇させることができる。これにより、アルツハイマー型認知症などの疾患に対する予防または治療薬としての利用を期待できる。
本発明によれば、難水溶性のナリンゲニンの結晶体を非晶質化することにより、生体吸収性を向上させることが可能となる。従来では、上記ナリンゲニンの結晶体では生体吸収性が低く、たとえ体内導入されたとしても、そのほとんどが生体吸収されず、糞便として対外排出される状態にあり非効率であった。これに対し、本発明によれば、ナリンゲニンの生体吸収性の向上を通じて従来と比較してナリンゲニンの使用量を減少させることも可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1−1:ナリンゲニンを含む固体分散体(E1−1)の作製)
ナリンゲニン(結晶体)10質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製Kollidon 25;K値22.5〜27.0)85質量部、およびポリグリセリン脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製リョートーポリグリエステルOD−50;HLB値7;非イオン性界面活性剤)5質量部を混合して、物理的混合物(ミックス品)(P1−1)を得た。
ナリンゲニン(結晶体)10質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製Kollidon 25;K値22.5〜27.0)85質量部、およびポリグリセリン脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製リョートーポリグリエステルOD−50;HLB値7;非イオン性界面活性剤)5質量部を混合して、物理的混合物(ミックス品)(P1−1)を得た。
この物理的混合物(P1−1)について、X線回折分析装置(株式会社リガク製SmartLab)を用い、粉体X線回折(XRD)法によるXRDパターンを表1に示す条件で測定した。測定にあたってはガラス製の試料板を使用し、サンプル充填溝(縦20×横20×深さ0.5mm)にスパチュラを用いて粉末試料を隙間なく充填し、測定に供した。
図1の(a)に示すように、本実施例で作製した物理的混合物(P1−1)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(P1−1)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
次いで、この物理的混合物(P1−1)を、二軸エクストルーダー(株式会社テクノベル製KZW06TW−30MG−NH−300)に投入し、200℃で押出混練を行うことにより、固体分散体(E1−1)を得た。この固体分散体(E1−1)について、上記と同様にして粉体X線回折(XRD)法によるXRDパターンを測定した。
図1の(b)に示すように、本実施例で作製した固体分散体(E1−1)のXRDパターンについては、測定入射角、特に10°〜30°の入射角の範囲内に上記物理的混合物(P1−1)で観察されたようなナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークが見出されず、非晶質状態に特有のハローパターンを示した。
一方、上記で作製した物理的混合物(P1−1)および固体分散体(E1−1)について、以下の溶解度の測定を行った。
(溶解度の測定)
37℃に加温した日本薬局方記載の溶出試験第二液10mLに、上記で作製した物理的混合物(P1−1)または固体分散体(E1−1)2gを添加し、30分間インキュベートした。次いで、室温条件下にて10,000×gで10分間遠心分離した後、上清を0.2μmのPTFEフィルタでろ過した。その後、ろ液100μLにメタノールを900μL添加して10倍容量に希釈したものをさらにメタノールで10倍容量に希釈した溶液を、以下の表2に記載の測定条件による高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供することにより、物理的混合物(P1−1)または固体分散体(E1−1)におけるナリンゲニンの溶解度(mg/mL)を測定した。
37℃に加温した日本薬局方記載の溶出試験第二液10mLに、上記で作製した物理的混合物(P1−1)または固体分散体(E1−1)2gを添加し、30分間インキュベートした。次いで、室温条件下にて10,000×gで10分間遠心分離した後、上清を0.2μmのPTFEフィルタでろ過した。その後、ろ液100μLにメタノールを900μL添加して10倍容量に希釈したものをさらにメタノールで10倍容量に希釈した溶液を、以下の表2に記載の測定条件による高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供することにより、物理的混合物(P1−1)または固体分散体(E1−1)におけるナリンゲニンの溶解度(mg/mL)を測定した。
得られた結果を表3に示す。
(実施例1−2:ナリンゲニンを含む固体分散体(E1−2)の作製)
ポリビニルピロリドンを、BASF社製Kollidon 30(K値27.0〜32.4)85質量部に変更したこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(P1−2)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(P1−2)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(P1−2)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
ポリビニルピロリドンを、BASF社製Kollidon 30(K値27.0〜32.4)85質量部に変更したこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(P1−2)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(P1−2)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(P1−2)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
この物理的混合物(P1−2)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして固体分散体(E1−2)を得、XRDパターンを測定した。本実施例で作製した固体分散体(E1−2)のXRDパターンについては、測定入射角、特に10°〜30°の入射角の範囲内に上記物理的混合物(P1−2)で観察されたようなナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークが見出されず、非晶質状態に特有のハローパターンを示した。
上記で作製した物理的混合物(P1−2)および固体分散体(E1−2)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして物理的混合物(P1−2)および固体分散体(E1−2)におけるナリンゲニンの溶解度(mg/mL)を測定した。得られた結果を表3に示す。
(実施例1−3:ナリンゲニンを含む固体分散体(E1−3)の作製)
ポリビニルピロリドンを、BASF社製Kollidon 17PF(K値15.3〜18.0)85質量部に変更したこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(P1−3)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(P1−3)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(P1−3)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
ポリビニルピロリドンを、BASF社製Kollidon 17PF(K値15.3〜18.0)85質量部に変更したこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(P1−3)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(P1−3)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(P1−3)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
この物理的混合物(P1−3)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして固体分散体(E1−3)を得、XRDパターンを測定した。本実施例で作製した固体分散体(E1−3)のXRDパターンについては、測定入射角、特に10°〜30°の入射角の範囲内に上記物理的混合物(P1−3)で観察されたようなナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークが見出されず、非晶質状態に特有のハローパターンを示した。
上記で作製した物理的混合物(P1−3)および固体分散体(E1−3)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして物理的混合物(P1−3)および固体分散体(E1−3)におけるナリンゲニンの溶解度(mg/mL)を測定した。得られた結果を表3に示す。
(実施例1−4:ナリンゲニンを含む固体分散体(E1−4)の作製)
ナリンゲニン10質量部、ポリビニルピロリドン(第一工業製薬株式会社製ピッツコールK50)(K値48〜52)70質量部、およびポリグリセリン脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製リョートーポリグリエステルOD−50;HLB値7;非イオン性界面活性剤)20質量部を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(P1−4)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(P1−4)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(P1−4)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
ナリンゲニン10質量部、ポリビニルピロリドン(第一工業製薬株式会社製ピッツコールK50)(K値48〜52)70質量部、およびポリグリセリン脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製リョートーポリグリエステルOD−50;HLB値7;非イオン性界面活性剤)20質量部を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(P1−4)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(P1−4)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(P1−4)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
この物理的混合物(P1−4)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして固体分散体(E1−4)を得、XRDパターンを測定した。本実施例で作製した固体分散体(E1−4)のXRDパターンについては、測定入射角、特に10°〜30°の入射角の範囲内に上記物理的混合物(P1−4)で観察されたようなナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークが見出されず、非晶質状態に特有のハローパターンを示した。
上記で作製した物理的混合物(P1−4)および固体分散体(E1−4)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして、物理的混合物(P1−4)および固体分散体(E1−4)におけるナリンゲニンの溶解度(mg/mL)を測定した。得られた結果を表3に示す。
(比較例1−1:ナリンゲニンを含む固体分散体(C1−1)の作製)
ポリビニルピロリドンを、BASF社製Kollidon 12PF(K値10.2〜13.8)85質量部に変更したこと以外は実施例1−1と同様にして、物理的混合物(R1−1)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(R1−1)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(R1−1)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
ポリビニルピロリドンを、BASF社製Kollidon 12PF(K値10.2〜13.8)85質量部に変更したこと以外は実施例1−1と同様にして、物理的混合物(R1−1)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(R1−1)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(R1−1)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
この物理的混合物(R1−1)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして、固体分散体(C1−1)を得、XRDパターンを測定した。本比較例で作製した固体分散体(C1−1)のXRDパターンについては、測定入射角、特に10°〜30°の入射角の範囲内に上記物理的混合物(R1−1)で観察されたようなナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークが見出されていなかった。
上記で作製した物理的混合物(R1−1)および固体分散体(C1−1)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして物理的混合物(R1−1)および固体分散体(C1−1)におけるナリンゲニンの溶解度(mg/mL)を測定した。得られた結果を表3に示す。
(比較例1−2:ナリンゲニンを含む固体分散体(C1−2)の作製)
ポリビニルピロリドンを、BASF社製Kollidon 90F(K値81.0〜96.3)85質量部に変更したこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(R1−2)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(R1−2)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(R1−2)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
ポリビニルピロリドンを、BASF社製Kollidon 90F(K値81.0〜96.3)85質量部に変更したこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(R1−2)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(R1−2)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(R1−2)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
この物理的混合物(R1−2)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして固体分散体(C1−2)の作製を試みた。しかし、物理的混合物を混練するとエクストルーダー内で固化したため、固体分散体を作製することができなかった。得られた結果を表3に示す。
(比較例1−3:ナリンゲニンを含む固体分散体(C1−3)の作製)
ナリンゲニン10質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製Kollidon 90F;K値81.0〜96.3)70質量部、およびポリグリセリン脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製リョートーポリグリエステルOD−50;HLB値7;非イオン性界面活性剤)20質量部を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(R1−3)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(R1−3)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(R1−3)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
ナリンゲニン10質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製Kollidon 90F;K値81.0〜96.3)70質量部、およびポリグリセリン脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製リョートーポリグリエステルOD−50;HLB値7;非イオン性界面活性剤)20質量部を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(R1−3)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(R1−3)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(R1−3)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
この物理的混合物(R1−3)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして固体分散体(C1−3)を得、XRDパターンを測定した。本比較例で作製した固体分散体(C1−3)のXRDパターンについては、測定入射角、特に10°〜30°の入射角の範囲内に上記物理的混合物(R1−3)で観察されたようなナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークが見出されていなかった。
上記で作製した物理的混合物(R1−3)および固体分散体(C1−3)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして物理的混合物(R1−3)および固体分散体(C1−3)におけるナリンゲニンの溶解度(mg/mL)を測定した。得られた結果を表3に示す。
表3に示すように、概ね15〜52の範囲のK値を有するポリビニルピロリドンを含む実施例1−1〜1−4の固体分散体(E1−1)〜(E1−4)は、当該範囲に含まれないK値を有するポリビニルピロリドンを用いた場合(比較例1−1および1−3)と比較して、ナリンゲニンの溶解度が向上し、ナリンゲニンの非晶質化が実現できたことがわかる。
(実施例2−1:ナリンゲニンを含む固体分散体(E2−1)の作製)
ナリンゲニン5質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製Kollidon 25)(K値22.5〜27.0)76質量部、およびショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製リョートーシュガーエステルS−1670;HLB値16;非イオン性界面活性剤)19質量部を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして、物理的混合物(P2−1)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(P2−1)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(P2−1)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
ナリンゲニン5質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製Kollidon 25)(K値22.5〜27.0)76質量部、およびショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製リョートーシュガーエステルS−1670;HLB値16;非イオン性界面活性剤)19質量部を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして、物理的混合物(P2−1)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(P2−1)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(P2−1)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
この物理的混合物(P2−1)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして固体分散体(E2−1)を得、XRDパターンを測定した。本実施例で作製した固体分散体(E2−1)のXRDパターンについては、測定入射角、特に10°〜30°の入射角の範囲内に上記物理的混合物(P2−1)で観察されたようなナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークが見出されず、非晶質状態に特有のハローパターンを示した。
上記で作製した物理的混合物(P2−1)および固体分散体(E2−1)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(P2−1)および固体分散体(E2−1)におけるナリンゲニンの溶解度(mg/mL)を測定した。得られた結果を表4に示す。
(実施例2−2:ナリンゲニンを含む固体分散体(E2−2)の作製)
ナリンゲニン10質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製Kollidon 25)(K値22.5〜27.0)72質量部、およびショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製リョートーシュガーエステルS−1670;HLB値16;非イオン性界面活性剤)18質量部を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(P2−2)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(P2−2)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(P2−2)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
ナリンゲニン10質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製Kollidon 25)(K値22.5〜27.0)72質量部、およびショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製リョートーシュガーエステルS−1670;HLB値16;非イオン性界面活性剤)18質量部を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(P2−2)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(P2−2)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(P2−2)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
この物理的混合物(P2−2)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして固体分散体(E2−2)を得、XRDパターンを測定した。本実施例で作製した固体分散体(E2−2)のXRDパターンについては、測定入射角、特に10°〜30°の入射角の範囲内に上記物理的混合物(P2−2)で観察されたようなナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークが見出されず、非晶質状態に特有のハローパターンを示した。
上記で作製した物理的混合物(P2−2)および固体分散体(E2−2)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(P2−2)および固体分散体(E2−2)におけるナリンゲニンの溶解度(mg/mL)を測定した。得られた結果を表4に示す。
(実施例2−3:ナリンゲニンを含む固体分散体(E2−3)の作製)
ナリンゲニン20質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製Kollidon 25)(K値22.5〜27.0)64質量部、およびショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製リョートーシュガーエステルS−1670;HLB値16;非イオン性界面活性剤)16質量部を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(P2−3)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(P2−3)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(P2−3)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
ナリンゲニン20質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製Kollidon 25)(K値22.5〜27.0)64質量部、およびショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製リョートーシュガーエステルS−1670;HLB値16;非イオン性界面活性剤)16質量部を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(P2−3)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(P2−3)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(P2−3)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
この物理的混合物(P2−3)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして固体分散体(E2−3)を得、XRDパターンを測定した。本実施例で作製した固体分散体(E2−3)のXRDパターンについては、測定入射角、特に10°〜30°の入射角の範囲内に上記物理的混合物(P2−3)で観察されたようなナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークが見出されず、非晶質状態に特有のハローパターンを示した。
上記で作製した物理的混合物(P2−3)および固体分散体(E2−3)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(P2−3)および固体分散体(E2−3)におけるナリンゲニンの溶解度(mg/mL)を測定した。得られた結果を表4に示す。
(比較例2−1:ナリンゲニンを含む固体分散体(C2−1)の作製)
ナリンゲニン25質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製Kollidon 25)(K値22.5〜27.0)60質量部、およびショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製リョートーシュガーエステルS−1670;HLB値16;非イオン性界面活性剤)15質量部を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(R2−1)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(R2−1)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(R2−1)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
ナリンゲニン25質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製Kollidon 25)(K値22.5〜27.0)60質量部、およびショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製リョートーシュガーエステルS−1670;HLB値16;非イオン性界面活性剤)15質量部を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(R2−1)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(R2−1)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(R2−1)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
この物理的混合物(R2−1)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして固体分散体(C2−1)を得、XRDパターンを測定した。本実施例で作製した固体分散体(C2−1)のXRDパターンについては、測定入射角、特に10°〜30°の入射角の範囲内に上記物理的混合物(R2−1)で観察されたようなナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークが見出されていなかった。
上記で作製した物理的混合物(R2−1)および固体分散体(C2−1)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(R2−1)および固体分散体(C2−1)におけるナリンゲニンの溶解度(mg/mL)を測定した。得られた結果を表4に示す。
(比較例2−2:ナリンゲニンを含む固体分散体(C2−2)の作製)
ナリンゲニン30質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製Kollidon 25)(K値22.5〜27.0)56質量部、およびショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製リョートーシュガーエステルS−1670;HLB値16;非イオン性界面活性剤)14質量部を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(R2−2)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(R2−2)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(R2−2)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
ナリンゲニン30質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製Kollidon 25)(K値22.5〜27.0)56質量部、およびショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製リョートーシュガーエステルS−1670;HLB値16;非イオン性界面活性剤)14質量部を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(R2−2)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(R2−2)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(R2−2)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
この物理的混合物(R2−2)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして固体分散体(C2−2)を得、XRDパターンを測定した。本実施例で作製した固体分散体(C2−2)のXRDパターンについては、測定入射角、特に10°〜30°の入射角の範囲内に上記物理的混合物(R2−2)で観察されたようなナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークが見出されていなかった。
上記で作製した物理的混合物(R2−2)および固体分散体(C2−2)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(R2−2)および固体分散体(C2−2)におけるナリンゲニンの溶解度(mg/mL)を測定した。得られた結果を表4に示す。
(比較例2−3:ナリンゲニンを含む固体分散体(C2−3)の作製)
ナリンゲニン40質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製Kollidon 25)(K値22.5〜27.0)48質量部、およびショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製リョートーシュガーエステルS−1670;HLB値16;非イオン性界面活性剤)12質量部を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(R2−3)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(R2−3)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(R2−3)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
ナリンゲニン40質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製Kollidon 25)(K値22.5〜27.0)48質量部、およびショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製リョートーシュガーエステルS−1670;HLB値16;非イオン性界面活性剤)12質量部を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(R2−3)を作製し、XRDパターンを測定した。この物理的混合物(R2−3)では、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物(R2−3)内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
この物理的混合物(R2−3)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして固体分散体(C2−3)を得、XRDパターンを測定した。本実施例で作製した固体分散体(C2−3)のXRDパターンについては、測定入射角、特に10°〜30°の入射角の範囲内に上記物理的混合物(C2−3)で観察されたようなナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークが見出されていなかった。
上記で作製した物理的混合物(R2−3)および固体分散体(C2−3)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(R2−3)および固体分散体(C2−3)におけるナリンゲニンの溶解度(mg/mL)を測定した。得られた結果を表4に示す。
表4に示すように、実施例2−1〜2−3で得られた固体分散体(E2−1)〜(E2−3)はいずれも、ナリンゲニンの含有質量に対するポリビニルピロリドンの含有質量の比(PVP/NRG質量比)が2.7以上であり、熱混練前の物理的混合物(P2−1)〜(P2−3)と比較して、本来難水溶性であったナリンゲニンをより多く水に溶解させることができたことがわかる。これに対し、比較例2−1〜比較例2−3で得られた固形分散体(C2−1)〜(C2−3)はいずれも、ナリンゲニンの含有質量に対するポリビニルピロリドンの含有質量の比(PVP/NRG質量比)が2.7を下回っており、熱混錬後であってもナリンゲニンの溶解性は向上しなかった。
(実施例3−1〜実施例3−4:ナリンゲニンを含む固体分散体(E3−1)〜(E3−4)の作製)
表5に示すように、押出混練する際の物理的混合物の温度を190℃、210℃、230℃または240℃に変更したこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(P3−1)〜(P3−4)をそれぞれ作製し、これらのXRDパターンを測定した。物理的混合物(P3−1)〜(P3−4)のいずれにおいても、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
表5に示すように、押出混練する際の物理的混合物の温度を190℃、210℃、230℃または240℃に変更したこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(P3−1)〜(P3−4)をそれぞれ作製し、これらのXRDパターンを測定した。物理的混合物(P3−1)〜(P3−4)のいずれにおいても、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
この物理的混合物(P3−1)〜(P3−4)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして固体分散体(E3−1)〜(E3−4)をそれぞれ作製し、これらのXRDパターンを測定した。本実施例で作製した固体分散体(E3−1)〜(E3−4)のXRDパターンのいずれについても、測定入射角、特に10°〜30°の入射角の範囲内に上記物理的混合物(P3−1)〜(P3−4)で観察されたようなナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークが見出されず、非晶質状態に特有のハローパターンを示した。
上記で作製した固体分散体(E3−1)〜(E3−4)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にしてこれらに含まれるナリンゲニンの溶解度(mg/mL)を測定した。得られた結果を、実施例1−1の結果とともに表5に示す。
表5に示すように、実施例1−1および実施例3−1〜3−4の固体分散体(E1−1)および(E3−1)〜(E3−4)はいずれも、ナリンゲニンの溶解度が良好であり、特に押出混練の温度を200℃近傍に設定することにより、ナリンゲニンの溶解度をより高めることができたことがわかる。
(実施例4−1〜実施例4−9:ナリンゲニンを含む固体分散体(E4−1)〜(E4−9)の作製)
表6に示すように、ナリンゲニン10質量部と、所定種類かつ量のポリビニルピロリドンおよび非イオン性界面活性剤とを用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(P4−1)〜(P4−9)をそれぞれ作製し、これらのXRDパターンを測定した。これらの物理的混合物のいずれにおいても、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
表6に示すように、ナリンゲニン10質量部と、所定種類かつ量のポリビニルピロリドンおよび非イオン性界面活性剤とを用いたこと以外は実施例1−1と同様にして物理的混合物(P4−1)〜(P4−9)をそれぞれ作製し、これらのXRDパターンを測定した。これらの物理的混合物のいずれにおいても、10°〜30°の入射角の範囲内に当該混合物内に含まれるナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークを多数観察した。
この物理的混合物(P4−1)〜(P4−9)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして固体分散体(E4−1)〜(E4−9)をそれぞれ作製し、これらのXRDパターンを測定した。本実施例で作製した固体分散体(E4−1)〜(E4−9)のXRDパターンのいずれについても、測定入射角、特に10°〜30°の入射角の範囲内に上記物理的混合物(P4−1)〜(P4−9)で観察されたようなナリンゲニンの結晶体に基づく鋭いピークが見出されず、非晶質状態に特有のハローパターンを示した。
上記で作製した固体分散体(E4−1)〜(E4−9)を用いたこと以外は実施例1−1と同様にしてこれらに含まれるナリンゲニンの溶解度(mg/mL)を測定した。得られた結果を、実施例1−2の結果とともに表5に示す。
表6に示すように、実施例1−2および実施例4−1〜4−9で得られた固体分散体(E1−2)および(E4−1)〜(E4−9)はいずれも、ナリンゲニンの溶解度が良好であった。
(実施例5:ラットでの吸収試験)
Wistarラット(雄、9週齢)を1群ごとに各3匹を集め、合計で5群を用意した。各群のラットを一晩(16時間)絶食させ、各群のラットに、実施例1−1で作製した固体分散体(E1−1)、実施例1−2で作製した固体分散体(E1−2)、実施例4−6で作製した固体分散体(E4−6)、実施例4−7で作製した固体分散体(E4−7)、または実施例4−8で作製した固体分散体(E4−8)、あるいは未処理のナリンゲニンの結晶体(結晶NRGという(比較例2))を、それぞれナリンゲニンの質量換算で100mg/kgとなるように経口投与した。投与後0.5時間、1時間、2時間、4時間および8時間に、それぞれ尾静脈から採血した血液を遠心分離(条件:12,000×g,10分間)にかけ、血漿を採取した。この血漿100μLに0.1Mの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)200μLを添加し、十分撹拌した後、内部標準物質として25μg/mLのヘスペレチンのメタノール溶液100μLを添加し、さらに十分に混合した。酢酸エチル800μLで2回抽出し、室温下で窒素ガスを吹き付けて乾燥した後、メタノール100μLを添加して再度溶解したものを、HPLCにより上記表2と同様の測定条件で、血漿中のナリンゲニン濃度(血漿NRG濃度)を測定した。各群における測定時間内の測定結果の平均値±標準偏差(SD)、測定時間内の結晶NRG濃度の最大値(Cmax)、投与後8時間までの血中濃度時間曲線下面積(AUC0−8h)を算出した。なお、当該AUC0−8hは台形法で算出した。得られた結果を表7に示す。
Wistarラット(雄、9週齢)を1群ごとに各3匹を集め、合計で5群を用意した。各群のラットを一晩(16時間)絶食させ、各群のラットに、実施例1−1で作製した固体分散体(E1−1)、実施例1−2で作製した固体分散体(E1−2)、実施例4−6で作製した固体分散体(E4−6)、実施例4−7で作製した固体分散体(E4−7)、または実施例4−8で作製した固体分散体(E4−8)、あるいは未処理のナリンゲニンの結晶体(結晶NRGという(比較例2))を、それぞれナリンゲニンの質量換算で100mg/kgとなるように経口投与した。投与後0.5時間、1時間、2時間、4時間および8時間に、それぞれ尾静脈から採血した血液を遠心分離(条件:12,000×g,10分間)にかけ、血漿を採取した。この血漿100μLに0.1Mの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)200μLを添加し、十分撹拌した後、内部標準物質として25μg/mLのヘスペレチンのメタノール溶液100μLを添加し、さらに十分に混合した。酢酸エチル800μLで2回抽出し、室温下で窒素ガスを吹き付けて乾燥した後、メタノール100μLを添加して再度溶解したものを、HPLCにより上記表2と同様の測定条件で、血漿中のナリンゲニン濃度(血漿NRG濃度)を測定した。各群における測定時間内の測定結果の平均値±標準偏差(SD)、測定時間内の結晶NRG濃度の最大値(Cmax)、投与後8時間までの血中濃度時間曲線下面積(AUC0−8h)を算出した。なお、当該AUC0−8hは台形法で算出した。得られた結果を表7に示す。
表7に示すように、実施例1−1、1−2、4−6、4−7および4−8で作製された固体分散体(E1−1)、(E1−2)、(E4−6)、(E4−7)および(E4−8)は、比較例2の未処理のナリンゲニンの結晶体(結晶NRG)と比較して、比較的短時間(経口投与後0.5時間)で血漿中の濃度が最高点に達し、即時吸収性を有していたこと。また、その際のナリンゲニンの最高血中濃度(Cmax)に着目すると、これら実施例の固体分散体(E1−1)、(E1−2)、(E4−6)、(E4−7)および(E4−8)は、比較例2の結晶NRGと比較して大きな値を示しており、ナリンゲニンを固体分散体の形態に加工したことで溶解性が高まり、ラット体内への吸収総量が増加し、さらに最高血中濃度が著しく高められたことがわかる。
(実施例6:マウスによる脳内アセチルコリン濃度の変化)
上記実施例で得られた固体分散体によるマウスの脳内アセチルコリンの遊離量を測定するために、ddY系8週齢の雄マウスを1群ごとに各5匹を集め、合計で3群を用意した。
上記実施例で得られた固体分散体によるマウスの脳内アセチルコリンの遊離量を測定するために、ddY系8週齢の雄マウスを1群ごとに各5匹を集め、合計で3群を用意した。
各群のマウスに対し、2群のマウスについては、実施例1−1で得られた固体分散体(E1−1)、または比較例2の未処理のナリンゲニンの結晶体(結晶NRG)をナリンゲニンの投与量が100mg/kgとなるように賦形剤(カルボキシルメチルセルロースナトリウム:ナカライテスク株式会社製(型番)07326−95を0.5%w/vになるように滅菌精製水で調製したもの)とともに、透析プローブを挿入してから3時間以上経過後、細胞外アセチルコリンの基礎遊離量が安定したことを確認した後に単回投与し、残りの1群については賦形剤のみ(比較例3)を単回経口投与した。
実験日の2日前に、これらのマウスに透析プローブを挿入するためのガイドカニューレの固定手術を行った。深麻酔下で、大脳皮質前頭前野(ブレグマより1.9mm前方,0.5mm右側方,頭蓋表面より深さ0.8mm)にガイドカニューレ(深さ4mm)(株式会社エイコム製)を挿入固定した。術後マウスには鎮痛剤としてブプレノルフィン(0.01mg/kg;Sigma−Aldrich社製)を処置し,個別のケージで飼育した。
脳内アセチルコリンの測定段階では、透析プローブ(膜長3mm)(株式会社エイコム製)をガイドカニューレに挿入し、日本薬局方リンゲル液(NaCl(147.2mM)KCl(4.0mM),CaCl2(2.2mM)を含有;扶桑薬品工業株式会社製)を流速1μL/分で灌流した。灌流により得られたサンプルを20分単位で回収し、内部標準物質(イソプロピルホモコリン,250fmol)とともに直ちに高速液体クロマトグラフィー/電気化学検出器(HPLC/ECD)システム(株式会社エイコム製HTEC−500)に連続自動インジェクションした。
脳内アセチルコリンの測定を以下の条件で行った:カラムにはEicompak AC−GEL(2.0mm;i.d.×150mm)(株式会社エイコム製)を使用し、プレカラムにはPC−05−03(3.0mm;i.d.×40mm)(株式会社エイコム製)を使用し、酵素カラムにはAC−Enzympak(3.0mm;i.d.)(株式会社エイコム製)を使用し、HPLCの移動相には400mg/Lのデカンスルホン酸ソーダ、134μMのEDTAを含む50mM炭酸水素カリウム緩衝液(pH8.3)を用い、流速150μL/分、カラム温度33℃、およびECDの加圧電圧+450mVとし、参照電極にAg/AgCl電極、作用電極には白金電極を使用して測定した。得られた結果を図2に示す。
図2に示すように実施例1−1で得られた固体分散体(E1−1)は、試験開始後から比較的短時間でマウスの脳内のアセチルコリン濃度を増大させ、その後も測定を終了した2時間にわたり、比較例2および3の場合と比較して、脳内のアセチルコリン濃度を上昇させていたことがわかる。なお、比較例2では、賦形剤のみの比較例3と比較してアセチルコリン濃度の上昇は認められなかった。
(実施例7:マウスによるY字迷路試験)
上記実施例で得られた固体分散体によるマウスのY字迷路試験を行うために、ddY系8週齢の雄マウスを1群ごとに各16匹を集め、合計で7群を用意した。
上記実施例で得られた固体分散体によるマウスのY字迷路試験を行うために、ddY系8週齢の雄マウスを1群ごとに各16匹を集め、合計で7群を用意した。
各群のマウスに対し、実施例1−1で得られた固体分散体(E1−1)、結晶NRG(比較例2)をナリンゲニンの投与量が30または100mg/kgとなるように、または賦形剤のみ(比較例3および4)を単回経口投与し、その後30分後にスコポラミン臭化水素酸塩(1mg/kg;シグマアルドリッチ社製S1875)、またはその溶媒((局)生理食塩液<大塚生食注>3311401A2026)を腹腔内投与した。最終投与30分後に、Y字迷路試験を行った。
次いで、この試験にあたり、3本の走路を選択点が1つで走路の間隔が120度のY字状になるように設置された迷路(株式会社ブレインサイエンス・イデア製)を使用した。すべての走路は、上部の幅が12cm、下部の幅が3cm、長さ40cm、高さ15cmの三角柱の形態を有し、灰色の走路(塩化ビニル製)上に配置されたマウスを上方以外が見えない状態に保持した。この迷路の3本の走路のいずれか一つをスタート地点とし、マウスをスタート地点に静置した後、8分間あたりにマウスが各走路に侵入した回数と、どの走路をどのような順番で選択したかを記録した。3回連続して異なる走路に入った数(交替行動数)が、総選択数中どれだけの割合であったかを以下の式にしたがって自発的交替率として算出し、短期作業記憶の指標とした。
自発的交替率(%)=交替行動数÷(総選択数−2)×100
自発的交替率(%)=交替行動数÷(総選択数−2)×100
得られた結果を図3の(a)および(b)に示す。
図3の(a)および(b)から明らかなように、生理食塩液と賦形剤のみを投与したコントロールマウスと比較して、ムスカリン性アセチルコリン受容体拮抗薬であるスコポラミンと賦形剤を投与した群では自発的交替率の低下がみられ、短期記憶の障害が認められた。この条件下において、実施例1−1で得られた固体分散体(E1−1)の前処置は、用量依存的にスコポラミンによる作業記憶の低下を抑制し、100mg/kgにおいて、有意な作用を示した。一方、結晶NRG(比較例2)の前処置では、スコポラミンによる短期作業記憶障害は抑制されなかったことがわかる。
本発明によれば、従来結晶性を有するナリンゲニンについて非晶質化を簡便に行うことができる。このため、本発明は、当該ナリンゲニンを用いた各種製品の製造を行う技術分野、例えば、食品分野および医薬品分野において有用である。
Claims (13)
- ナリンゲニンとポリビニルピロリドンと非イオン性界面活性剤とを含有する混合物を由来とする非晶質固体分散体であって、
該ポリビニルピロリドンのK値が15〜52であり、
該混合物における該ポリビニルピロリドンの含有質量が、該ナリンゲニンの含有質量に対して2.7倍以上であり、そして
粉末X線回折分析にてハローパターンを示す、非晶質固体分散体。 - 前記粉末X線回折分析の入射角10°〜30°の範囲内に、前記ナリンゲニンに由来する回折ピークが存在しない、請求項1に記載の非晶質固体分散体。
- 全体質量を基準として、
前記ナリンゲニンの含有量が1〜20質量%であり、そして
前記ポリビニルピロリドンの含有量が2.7〜98.5質量%である、請求項1または2に記載の非晶質固体分散体。 - 前記混合物が、前記ナリンゲニン、前記ポリビニルピロリドンおよび前記非イオン性界面活性剤からなる、請求項3に記載の非晶質固体分散体。
- 前記非晶質固体分散体における日本薬局方記載の溶出試験第二液に対する前記ナリンゲニンの溶解度が7.5mg/mL以上である、請求項1から4のいずれかに記載の非晶質固体分散体。
- 非晶質固体分散体の製造方法であって、
ナリンゲニンとポリビニルピロリドンと非イオン性界面活性剤とを含有する混合物を加熱下で混練する工程、を含み、
該ポリビニルピロリドンのK値が15〜52であり、そして
該混合物における該ポリビニルピロリドンの含有質量が、該ナリンゲニンの含有質量に対して2.7倍以上である、方法。 - 前記混合物を混練する工程が、該混合物が粉末X線回折分析にてハローパターンを示すまで行われる、請求項6に記載の方法。
- 前記混合物を混練する工程が二軸エクストルーダーを用いて行われる、請求項6または7に記載の方法。
- 前記混合物を混練する工程が、185〜240℃の加熱下で行われる、請求項6から8のいずれかに記載の方法。
- 水に対するナリンゲニンの溶解度を向上させるための方法であって、請求項6から9のいずれかに記載の方法を用いて非晶質固体分散体を得る工程を含む、方法。
- 請求項1から5のいずれかに記載の非晶質固体分散体を含有する、飲食品。
- 請求項1から5のいずれかに記載の非晶質固体分散体を含有する、脳内アセチルコリン濃度上昇剤。
- 請求項1から5のいずれかに記載の非晶質固体分散体を含有する、医薬組成物。
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CN114869853A (zh) * | 2022-05-25 | 2022-08-09 | 济宁医学院 | 一种柚皮素固体分散体及其制备方法 |
-
2020
- 2020-02-27 JP JP2020032394A patent/JP2021134180A/ja active Pending
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