JP2021134007A - フィルムロールの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】外観不良を生じ難いフィルムロールの製造方法、および当該製造方法に用いるフィルムロール製造装置を提供する。【解決手段】巻き芯、及び前記巻き芯の周囲に巻回された長尺フィルムを含むフィルムロールの製造方法であって、前記長尺フィルムは、前記長尺フィルムの幅方向の両端部に設けられ複数の凸部を有するナール部と、前記ナール部の間に設けられ前記凸部を有さない平坦部とを含み、前記製造方法は、前記長尺フィルムを、製造途中の前記フィルムロールとの間に間隙を空けて設けた第1タッチロールに巻き掛ける工程1と、前記第1タッチロールに巻き掛けられた前記長尺フィルムを、前記巻き芯に巻き取る工程2と、前記工程2で、前記巻き芯に巻き取られた前記長尺フィルムの前記ナール部を、第2タッチロールにより押圧する工程3と、を順に含む、フィルムロールの製造方法。【選択図】図1
Description
本発明は、フィルムロールの製造方法及び製造装置に関する。
光学フィルム等のフィルムの製造に際しては、高い生産性を実現する観点から、フィルムを長尺フィルムとして製造し、これを適切な巻き芯に巻き取ってフィルムロールとし、このフィルムロールの状態で保存及び運搬される。このようなフィルムロールの品質を長期間維持するための方法の一つとして、長尺フィルムの幅方向の両端部にナーリング加工を施すことが知られている。
幅方向の両端部にナーリング加工が施された部分(ナール部という)を有する長尺フィルムを巻き取った場合、製造されるフィルムロールに、「ブツ」と呼ばれる、径が10mm以下程度の欠陥が形成されることがある。この欠陥は、フィルムロールの座屈により発生する欠陥であり、フィルムロールの製造後、保存中に生じる。このような欠陥を生じにくくする方法としては、例えば特許文献1に記載の製造方法が知られている。
特許文献1には、幅方向の両端部にナール部を有する長尺のフィルムをタッチロールに巻き掛ける工程と、タッチロールに巻き掛けられた長尺フィルムを巻き芯に巻き取る工程と、を含む製造方法が記載されている。当該製造方法においては、フィルムを巻き掛けるタッチロールで、製造途中のフィルムロールを押圧し、フィルムロールの平坦部とタッチロールとの間に所定の幅の隙間が形成され得るようにすることで、上記の欠陥を生じにくくしうる。
上記特許文献1に記載の方法で用いるタッチロールは、長尺フィルムを巻き芯に搬送する機能と、製造途中のフィルムロールを押圧する機能とを有しているため、搬送中のフィルムの張力やナール部の高さの影響が及びやすい。タッチロールがこのような影響を受けると、長尺フィルムの幅方向の2つの端部において、タッチロールから受ける押圧力の差が生じうる。このような押圧力の差が生じると、フィルムロールの周方向に凹凸状の外観不良が生じうる。このような外観不良の生じた部分においては、座屈が生じていることがあるため、改善が求められている。
本発明は前記の課題に鑑みて創案されたもので、外観不良を生じ難いフィルムロールの製造方法、および当該製造方法に用いるフィルムロール製造装置を提供することを目的とする。
本発明者は前記の課題を解決するべく、両端部にナール部が設けられた長尺フィルムを第1タッチロールに巻き掛ける工程と、第1タッチロールに巻き掛けられた長尺フィルムを、巻き芯に巻き取る工程とを含むフィルムロールの製造方法について検討した。その結果、本発明者は、第1タッチロールを、製造途中のフィルムロールとの間に間隙を空けて設けること、および、巻き芯に巻き取られた長尺フィルムのナール部を、第2タッチロールにより押圧することにより、外観不良の発生を抑制したフィルムロールが得られることを見出した。本発明はこのような知見に基づくものである。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
〔1〕 巻き芯、及び前記巻き芯の周囲に巻回された長尺フィルムを含むフィルムロールの製造方法であって、
前記長尺フィルムは、前記長尺フィルムの幅方向の両端部に設けられ複数の凸部を有するナール部と、前記ナール部の間に設けられ前記凸部を有さない平坦部とを含み、
前記製造方法は、前記長尺フィルムを、製造途中の前記フィルムロールとの間に間隙を空けて設けた第1タッチロールに巻き掛ける工程1と、
前記第1タッチロールに巻き掛けられた前記長尺フィルムを、前記巻き芯に巻き取る工程2と、
前記工程2で、前記巻き芯に巻き取られた前記長尺フィルムの前記ナール部を、第2タッチロールにより押圧する工程3と、を順に含む、フィルムロールの製造方法。
〔2〕 前記第2タッチロールによる押圧を10N/m〜150N/mの荷重で行う、〔1〕に記載のフィルムロールの製造方法。
〔3〕 前記第1タッチロールと、製造途中の前記フィルムロールとの間の間隙を30mm以下にして前記工程1を行う、〔1〕または〔2〕に記載のフィルムロールの製造方法。
〔4〕 前記巻き芯の軸の位置を基準とした前記第1タッチロールの軸の位置の角度方向に対して、前記巻き芯の軸の位置を基準とした前記第2タッチロールによる押圧位置の角度方向がなす角θ1が、前記巻き芯の回転方向において120°以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のフィルムロールの製造方法。
〔5〕 前記長尺フィルムの巻取速度が、10m/分〜150m/分である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のフィルムロールの製造方法。
〔6〕 〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載のフィルムロールの製造方法で用いる製造装置であって、
前記製造方法は、巻き芯、及び前記巻き芯の周囲に巻回された長尺フィルムを含むフィルムロールの製造方法であり、
前記長尺フィルムは、前記長尺フィルムの幅方向の両端部に設けられ複数の凸部を有するナール部と、前記ナール部の間に設けられ前記凸部を有さない平坦部とを含み、
前記製造装置は、製造途中の前記フィルムロールとの間に間隙を空けて設けられ、前記長尺フィルムを巻き掛ける第1タッチロールと、
前記第1タッチロールに巻き掛けた前記長尺フィルムを巻き取る前記巻き芯と、
前記巻き芯に巻き取られた前記長尺フィルムの前記ナール部を押圧する第2タッチロールと、を含む、フィルムロールの製造装置。
〔7〕 前記第1タッチロールと、製造途中の前記フィルムロールとの間の間隙が、30mm以下である、〔6〕に記載のフィルムロールの製造装置。
〔8〕 前記第2タッチロールの配置位置は、前記巻き芯の軸の位置を基準とした前記第1タッチロールの軸の位置の角度方向に対して、前記巻き芯の軸の位置を基準とした前記第2タッチロールによる押圧位置の角度方向がなす角θ1が、前記巻き芯の回転方向において180°以下となる位置である、〔6〕または〔7〕に記載のフィルムロールの製造装置。
前記長尺フィルムは、前記長尺フィルムの幅方向の両端部に設けられ複数の凸部を有するナール部と、前記ナール部の間に設けられ前記凸部を有さない平坦部とを含み、
前記製造方法は、前記長尺フィルムを、製造途中の前記フィルムロールとの間に間隙を空けて設けた第1タッチロールに巻き掛ける工程1と、
前記第1タッチロールに巻き掛けられた前記長尺フィルムを、前記巻き芯に巻き取る工程2と、
前記工程2で、前記巻き芯に巻き取られた前記長尺フィルムの前記ナール部を、第2タッチロールにより押圧する工程3と、を順に含む、フィルムロールの製造方法。
〔2〕 前記第2タッチロールによる押圧を10N/m〜150N/mの荷重で行う、〔1〕に記載のフィルムロールの製造方法。
〔3〕 前記第1タッチロールと、製造途中の前記フィルムロールとの間の間隙を30mm以下にして前記工程1を行う、〔1〕または〔2〕に記載のフィルムロールの製造方法。
〔4〕 前記巻き芯の軸の位置を基準とした前記第1タッチロールの軸の位置の角度方向に対して、前記巻き芯の軸の位置を基準とした前記第2タッチロールによる押圧位置の角度方向がなす角θ1が、前記巻き芯の回転方向において120°以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のフィルムロールの製造方法。
〔5〕 前記長尺フィルムの巻取速度が、10m/分〜150m/分である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のフィルムロールの製造方法。
〔6〕 〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載のフィルムロールの製造方法で用いる製造装置であって、
前記製造方法は、巻き芯、及び前記巻き芯の周囲に巻回された長尺フィルムを含むフィルムロールの製造方法であり、
前記長尺フィルムは、前記長尺フィルムの幅方向の両端部に設けられ複数の凸部を有するナール部と、前記ナール部の間に設けられ前記凸部を有さない平坦部とを含み、
前記製造装置は、製造途中の前記フィルムロールとの間に間隙を空けて設けられ、前記長尺フィルムを巻き掛ける第1タッチロールと、
前記第1タッチロールに巻き掛けた前記長尺フィルムを巻き取る前記巻き芯と、
前記巻き芯に巻き取られた前記長尺フィルムの前記ナール部を押圧する第2タッチロールと、を含む、フィルムロールの製造装置。
〔7〕 前記第1タッチロールと、製造途中の前記フィルムロールとの間の間隙が、30mm以下である、〔6〕に記載のフィルムロールの製造装置。
〔8〕 前記第2タッチロールの配置位置は、前記巻き芯の軸の位置を基準とした前記第1タッチロールの軸の位置の角度方向に対して、前記巻き芯の軸の位置を基準とした前記第2タッチロールによる押圧位置の角度方向がなす角θ1が、前記巻き芯の回転方向において180°以下となる位置である、〔6〕または〔7〕に記載のフィルムロールの製造装置。
本発明によれば、外観不良を生じ難いフィルムロールの製造方法、および当該製造方法に用いるフィルムロール製造装置を提供できる。
以下、実施形態及び例示物を示して本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「長尺」のフィルムとは、幅に対して、5倍以上の長さを有するフィルムをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムをいう。長尺のフィルムの長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して10万倍以下としうる。
[本発明のフィルムロールの製造方法の概要]
本発明のフィルムロールの製造方法は、巻き芯、及び巻き芯の周囲に巻回された長尺フィルムを含むフィルムロールの製造方法である。長尺フィルムは、長尺フィルムの幅方向の両端部に設けられ複数の凸部を有するナール部と、ナール部の間に設けられ凸部を有さない平坦部とを含む。本発明の製造方法は、長尺フィルムを、製造途中のフィルムロールとの間に間隙を空けて設けた第1タッチロールに巻き掛ける工程1と、第1タッチロールに巻き掛けられた長尺フィルムを、巻き芯に巻き取る工程2と、工程2で、巻き芯に巻き取られた長尺フィルムのナール部を、第2タッチロールにより押圧する工程3と、を順に含む。以下の説明において「製造途中のフィルムロール」とは、長尺フィルムを巻き芯に巻き取る工程2を開始した後、巻き芯に巻き取られた長尺フィルムを第2タッチロールにより押圧する工程3が完了するまでのフィルムロールのことを言い、「中間巻回物」とも言う。「押圧」には「Aが、Bと接触して押すこと」が含まれる。
本発明のフィルムロールの製造方法は、巻き芯、及び巻き芯の周囲に巻回された長尺フィルムを含むフィルムロールの製造方法である。長尺フィルムは、長尺フィルムの幅方向の両端部に設けられ複数の凸部を有するナール部と、ナール部の間に設けられ凸部を有さない平坦部とを含む。本発明の製造方法は、長尺フィルムを、製造途中のフィルムロールとの間に間隙を空けて設けた第1タッチロールに巻き掛ける工程1と、第1タッチロールに巻き掛けられた長尺フィルムを、巻き芯に巻き取る工程2と、工程2で、巻き芯に巻き取られた長尺フィルムのナール部を、第2タッチロールにより押圧する工程3と、を順に含む。以下の説明において「製造途中のフィルムロール」とは、長尺フィルムを巻き芯に巻き取る工程2を開始した後、巻き芯に巻き取られた長尺フィルムを第2タッチロールにより押圧する工程3が完了するまでのフィルムロールのことを言い、「中間巻回物」とも言う。「押圧」には「Aが、Bと接触して押すこと」が含まれる。
本発明の製造方法においては、工程1で、中間巻回物との間に間隙を空けて設けた第1タッチロールに長尺フィルムを巻き掛けるので、搬送中のフィルムの張力やナール部の高さの影響を受けにくい。これにより、長尺フィルムの幅方向の2つの端部において、タッチロールから受ける押圧力の差が生じにくくなるので、前記押圧力の差に起因する外観不良の発生を抑制しうる。ナール部を含む長尺フィルムでは、長尺フィルムの幅方向の両端部に設けられたナール部の方が、これらのナール部の間に設けられた平坦部よりも、厚みが厚い。そのため、中間巻回物においては、ナール部に対応する端部の径が、平坦部に対応する中間部の径よりも大きくなりうる。しかしながら、本発明の製造方法においては、工程2で、巻き芯に巻き取られた長尺フィルムのナール部を、第2タッチロールにより押圧するので、これにより長尺フィルム同士の間、特にナール部に対応する部分に含まれる空気量が調整されるので、フィルムロール中のフィルムのズレに起因する傷や座屈の発生を防止しうる。その結果、本発明の製造方法によれば、外観不良を生じ難いフィルムロールの製造方法を提供できる。
[本発明のフィルムロールの製造装置の概要]
本発明のフィルムロールの製造装置は、本発明のフィルムロールの製造方法で用いる製造装置である。本発明のフィルムロールの製造装置は、製造途中のフィルムロールとの間に間隙を空けて設けられ、長尺フィルムを巻き掛ける第1タッチロールと、第1タッチロールに巻き掛けた長尺フィルムを巻き取る巻き芯と、巻き芯に巻き取られた長尺フィルムのナール部を押圧する第2タッチロールと、を含む。
本発明のフィルムロールの製造装置は、本発明のフィルムロールの製造方法で用いる製造装置である。本発明のフィルムロールの製造装置は、製造途中のフィルムロールとの間に間隙を空けて設けられ、長尺フィルムを巻き掛ける第1タッチロールと、第1タッチロールに巻き掛けた長尺フィルムを巻き取る巻き芯と、巻き芯に巻き取られた長尺フィルムのナール部を押圧する第2タッチロールと、を含む。
本発明の製造装置に含まれる第1タッチロールは、中間巻回物との間に間隙を空けて設けられているので、搬送中のフィルムの張力やナール部の高さの影響を受けにくい。これにより、長尺フィルムの幅方向の2つの端部において、タッチロールから受ける押圧力の差が生じにくくなるので、前記押圧力の差に起因する外観不良の発生を抑制しうる。ナール部を含む長尺フィルムでは、長尺フィルムの幅方向の両端部に設けられたナール部の方が、これらのナール部の間に設けられた平坦部よりも、厚みが厚い。そのため、中間巻回物においては、ナール部に対応する端部の径が、平坦部に対応する中間部の径よりも大きくなりうる。しかしながら、本発明の製造装置は、巻き芯に巻き取られた長尺フィルムのナール部を押圧する第2タッチロールを含むので、これにより長尺フィルム同士の間、特にナール部に対応する部分に含まれる空気量が調整され、フィルムロール中のフィルムのズレに起因する傷や座屈の発生を防止しうる。その結果、本発明の製造装置によれば、外観不良を生じ難いフィルムロールを製造できる。
[実施形態1]
[1.本実施形態のフィルムロールの製造方法]
本実施形態のフィルムロールの製造方法は、巻き芯、及び巻き芯の周囲に巻回された長尺フィルムを含むフィルムロールの製造方法である。実施形態のフィルムロールの製造方法を図1〜3を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態の製造方法で用いられる製造装置を模式的に示す斜視図である。図2は、本実施形態の製造方法で用いられる製造装置を模式的に示す側面図である。図3は、本実施形態に係る製造方法において巻き取られる長尺フィルムを、当該長尺フィルムの長手方向に垂直な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。
[1.本実施形態のフィルムロールの製造方法]
本実施形態のフィルムロールの製造方法は、巻き芯、及び巻き芯の周囲に巻回された長尺フィルムを含むフィルムロールの製造方法である。実施形態のフィルムロールの製造方法を図1〜3を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態の製造方法で用いられる製造装置を模式的に示す斜視図である。図2は、本実施形態の製造方法で用いられる製造装置を模式的に示す側面図である。図3は、本実施形態に係る製造方法において巻き取られる長尺フィルムを、当該長尺フィルムの長手方向に垂直な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。
[本実施形態の製造方法の概要]
本実施形態においては、長尺フィルム200を用意し、当該長尺フィルム200を、その長手方向に搬送して、第1タッチロール120に供給し、第1タッチロール120に巻き掛ける(工程1)。第1タッチロール120は回転可能に設けられているので、巻き掛けられた長尺フィルム200から与えられる摩擦力によって周方向に回転する。そして、このように回転する第1タッチロール120によって、長尺フィルム200は巻き芯110へと案内される。第1タッチロール120は、製造途中のフィルムロール300Aとの間に間隙を空けて設けられているので、搬送中のフィルムの張力やナール部の高さの影響を受けにくい。
本実施形態においては、長尺フィルム200を用意し、当該長尺フィルム200を、その長手方向に搬送して、第1タッチロール120に供給し、第1タッチロール120に巻き掛ける(工程1)。第1タッチロール120は回転可能に設けられているので、巻き掛けられた長尺フィルム200から与えられる摩擦力によって周方向に回転する。そして、このように回転する第1タッチロール120によって、長尺フィルム200は巻き芯110へと案内される。第1タッチロール120は、製造途中のフィルムロール300Aとの間に間隙を空けて設けられているので、搬送中のフィルムの張力やナール部の高さの影響を受けにくい。
巻き芯110は、巻き芯モーターから与えられる駆動力により、周方向に回転している。そのため、第1タッチロール120に巻き掛けられた状態で巻き芯110へ案内された長尺フィルム200は、巻き芯110に巻き取られる(工程2)。次に、巻き芯110に巻き取られた長尺フィルム200のナール部210,220を第2タッチロール130により押圧する(工程3)。巻き芯110に巻き取られた長尺フィルム200のナール部210,220を第2タッチロール130で押圧することで、長尺フィルム同士の間に含まれる空気量が調整された後、フィルムロール300が得られる。以下、本発明の製造方法に含まれる各工程について説明する。
[工程1]
工程1は、長尺フィルムを、製造途中のフィルムロール(中間巻回物)との間に間隙を空けて設けた第1タッチロールに巻き掛ける工程である。
工程1は、長尺フィルムを、製造途中のフィルムロール(中間巻回物)との間に間隙を空けて設けた第1タッチロールに巻き掛ける工程である。
工程1で用いる第1タッチロール120は、軸を中心として、当該第1タッチロール120の周方向に回転可能、且つ、巻き芯110の径方向に移動可能に設けられたロールである。第1タッチロール120は、軸が巻き芯110の軸と平行に且つ巻き芯110に対向して設けられている。また、第1タッチロール120は、巻き芯110に巻き取られて中間巻回物300Aの一部となった長尺フィルムのうち、最も外にある長尺フィルム(即ち、中間巻回物の周面、図示301)との間に間隔D1を空けて設けられている。本実施形態において、第1タッチロール120は、長尺フィルム200の幅以上の長さを有する単一の円柱状又は円筒状の部材であり、長尺フィルム200と接しうる範囲においては一定の径を有している。
第1タッチロール120は、アーム125によって支持されている。アーム125は、巻き芯110の径方向における第1タッチロール120の位置を調整しうるように、巻き芯110の径方向において移動可能に設けられている。この際、アーム125の位置は、長尺フィルム200の巻取量に応じて設定されうる。具体的には、アーム125は、長尺フィルム200の巻取量が大きくなるに従ってフィルムロール300の径が大きくなった場合に、第1タッチロール120を巻き芯110の径方向に移動させて、第1タッチロール120を巻き芯110から離しうるように設けられている。
第1タッチロール120は、中間巻回物300Aとの間に間隙D1を空けて設けられている。第1タッチロール120と、中間巻回物300Aとの間の間隙D1は、アーム125によって調整しうる。第1タッチロール120を、中間巻回物300Aとの間に間隙D1をあけて設けることにより搬送中のフィルムの張力やナール部の高さの影響を受けにくくし、長尺フィルムの幅方向の2つの端部におけるタッチロールによる押圧力の差を小さくできる。そして、前記押圧力の差に起因する欠陥の発生を抑制できる。前記間隙D1は、好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以下であり、好ましくは1mm以上、より好ましくは3mm以上である。第1タッチロール120と、中間巻回物300Aとの間の間隙D1を前記上限値以下とすることにより、空気の巻き込み量を適量に調整し、長期保存をした場合のフィルムロールの自重による芯ズレを抑制できる。前記間隙D1を前記下限値以上とすることにより、第1タッチロール120と中間巻回物300Aが接触する可能性を回避できる。
長尺フィルム200を、第1タッチロール120に供給する際の、長尺フィルム200の搬送速度は、通常、長尺フィルム200を巻き芯110で巻き取る際の巻取速度と等しい。したがって、長尺フィルム200の搬送速度は、所望の巻取速度が実現しうるように設定することが好ましい。長尺フィルム200の巻取速度の具体的な範囲は、好ましくは10m/分以上、より好ましくは15m/分以上、特に好ましくは20m/分以上であり、好ましくは150m/分以下、より好ましくは140m/分以下、特に好ましくは130m/分以下である。長尺フィルム200の巻取速度を前記の範囲に収めることにより、フィルムロール300における外観不良の発生を効果的に抑制できる。
第1タッチロール120には、当該第1タッチロール120を回転させるための駆動力が与えられていてもよい。例えば、第1タッチロール120と長尺フィルム200との摩擦力が小さい場合や、第1タッチロール120が重い場合に、メカニカルロスを低減しうる程度に、第1タッチロール120に回転駆動力を与えてもよい。
[工程2]
工程2は、第1タッチロールに巻き掛けられた長尺フィルムを、巻き芯に巻き取る工程である。
工程2は、第1タッチロールに巻き掛けられた長尺フィルムを、巻き芯に巻き取る工程である。
巻き芯110は、長尺フィルム200を巻き取りうるように、当該巻き芯110の周方向に回転可能に設けられた部材である。巻き芯110としては、通常、長尺フィルム200の幅W以上の長さを有する円柱状又は円筒状の部材を用いる。この巻き芯110には、巻き芯110を回転駆動しうる巻き芯モーター(図示省略)が、ギア機構等の動力伝達機構によって接続されている。また、巻き芯モーターには、巻き芯モーターの回転数を計測しうる回転数計としてのエンコーダ(図示省略)が設けられている。
巻き芯110は、巻き芯モーターから与えられる駆動力により、軸を中心として周方向に回転している。そのため、長尺フィルム200は、第1タッチロール120に巻き掛けられた状態で巻き芯110へ案内され、巻き芯110により巻き取られる。
巻き芯110で長尺フィルム200を巻き取る際、長尺フィルム200の巻取張力は、所定の範囲に収めることが好ましい。具体的な巻取張力の範囲は、好ましくは5N/m以上、より好ましくは10N/m以上、特に好ましくは15N/m以上であり、好ましくは200N/m以下、より好ましくは180N/m以下、特に好ましくは160N/m以下である。前記の巻取張力の単位「N/m」は、長尺フィルムの幅1m当たりに加えられる力の大きさを表す。長尺フィルム200の巻取張力を前記の範囲に収めることにより、フィルムロール300における外観不良の発生を効果的に抑制できる。
長尺フィルム200の巻取張力は、上記範囲において、中間巻回物300Aの巻径に応じて値を任意に変化させてもよい。この場合、例えば、前記の巻取張力を、次第に小さくなるように変化させてもよく、次第に大きくなるように変化させてもよく、これらを組み合わせてもよい。中でも、前記の巻取張力は、時間の経過に伴って次第に小さくなるように調整することが好ましい。このように巻取張力の大きさを次第に小さくすることを、巻取張力にテーパを設けるという。巻取張力にテーパを設けた場合、巻取開始時点の巻取張力に対して、巻き取り完了時点の巻取張力は、小さくなる。このとき、巻き取り開始時点の巻取張力に対する、巻き取り開始時点の巻取張力と巻き取り完了時点の巻取張力との差の比率を、張力テーパ比率という。張力テーパ比率は、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上、特に好ましくは7%以上であり、好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下、特に好ましくは40%以下である。このように巻取張力にテーパを設けることにより、品質を維持したままより長く長尺フィルム200を巻き取ることができる。また、張力テーパ比率が上記範囲を逸脱しない範囲において、巻取張力の変化の割合(単位時間当たりの巻取張力の変化量)は一定でなくてもよく、例えば、中間巻回物の巻径に応じて任意に変化させてもよい。
長尺フィルム200は、時間の経過により収縮することがある。特に、長尺フィルム200として延伸処理を施された延伸フィルムを用いる場合、その収縮の程度は大きくなる傾向がある。このような収縮が生じると、長尺フィルムの長手方向の寸法が変化することがある。フィルムロール300の製造後から商業的に必要な保管期間(一般的には、3ヶ月〜6ヶ月程度)において、前記の長尺フィルム200の長手方向での寸法変化率は、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1.0%以下、特に好ましくは0.5%以下である。巻き取られるときの長尺フィルム200の長手方向での寸法変化率を前記範囲の上限値以下にすることによって、巻取後の収縮による巻締りを低減でき、長期保存性の向上ができる。ここで、「巻締り」とは、長尺フィルム200の収縮によってフィルムロール300の径方向に軸中心に向かってかかる荷重が大きくなる現象をいう。
[工程3]
工程3は、工程2で、巻き芯に巻き取られた長尺フィルムのナール部を、第2タッチロールにより押圧する工程である。
工程3は、工程2で、巻き芯に巻き取られた長尺フィルムのナール部を、第2タッチロールにより押圧する工程である。
本実施形態において、第2タッチロール130は、軸を中心として、当該第2タッチロール130の周方向に回転可能、且つ、巻き芯110の径方向に移動可能に設けられたロールである。第2タッチロール130は、軸が巻き芯110の軸と平行に且つ巻き芯110に対向して設けられている。
第2タッチロール130は、巻き芯110に巻き取られて中間巻回物300Aの一部となった長尺フィルムのうち、最も外にある長尺フィルム(即ち、中間巻回物の周面、図示301)のナール部に接触するように設けられている。本実施形態において、第2タッチロール130は、長尺フィルム200の幅以上の長さを有する単一の円柱状又は円筒状の部材であり、長尺フィルム200と接しうる範囲においては一定の径を有している。第2タッチロールはこのような態様に限定されず、長尺フィルムの幅寸法よりも短いロールを長尺フィルムの両端部のナール部に沿って、それぞれ、独立に設けてもよい。また、上記第2タッチロールとともに中間巻回物300を押圧する第3のタッチロールを設けてもよい。
第2タッチロール130は、既に巻き芯110に巻き取られて中間巻回物300Aの一部となった長尺フィルム200に接触するように、アーム135によって位置を調整されている。
第2タッチロール130は、アーム135によって支持されている。アーム135は、巻き芯110の径方向における第2タッチロール130の位置を調整しうるように、巻き芯110の径方向において移動可能に設けられている。この際、アーム135の位置は、長尺フィルム200の巻取量に応じて設定されうる。具体的には、アーム135は、長尺フィルム200の巻取量が大きくなるに従ってフィルムロール300の径が大きくなった場合に、第2タッチロール130を巻き芯110の径方向に移動させて、第2タッチロール130を巻き芯110から離しうるように設けられている。
第2タッチロール130の配置位置は、巻き芯110の軸の位置を基準とした第1タッチロール120の軸の位置の角度方向に対して、巻き芯110の軸の位置を基準とした第2タッチロールに130による押圧位置の角度方向がなす角θ1が、巻き芯の回転方向において180°以下となる位置であることが好ましい。角θ1は、巻き芯の回転方向において、より好ましくは120°以下である。角θ1が前記上限値以下であることにより、長尺フィルム同士の間に巻き込まれた空気を早いタイミングで排出することができるので、傷や座屈の発生防止効果に優れる。
角θ1について図2を参照しつつ説明する。本実施形態において、巻き芯110の軸、第1タッチロール120の軸および第2タッチロールの軸は平行である。よって、巻き芯110、第1タッチロール120及び第2タッチロール130を側面視した場合、図2に示すように、巻き芯110の中心110Pは巻き芯の軸に対応し、第1タッチロール120の中心120Pは第1タッチロールの軸に対応し、第2タッチロール130の中心130Pは第2タッチロールの軸に対応する。よって、巻き芯110の軸の位置を基準とした第1タッチロール120の軸の位置の角度方向は、巻き芯110の中心110Pと第1タッチロール120の中心120Pとを結ぶ線分L1で示す方向に対応する。また、巻き芯110の軸の位置を基準とした第2タッチロールに130による押圧位置の角度方向は、巻き芯110の中心110Pと第2タッチロールの中心130Pとを結ぶ線分L2で示す方向に対応する。したがって、角θ1は線分L1で示す方向と線分L2で示す方向とのなす角である。図2においては各θ1が90°の例を示しているが、本発明はこれに限定されない。
第2タッチロール130は、図示しないエアーシリンダーから与えられる付勢力により、巻き芯110に巻き取られた長尺フィルム200のナール部210,220を、巻き芯110の径方向に押圧している。これにより巻き取りの際に長尺フィルム同士の間に巻き込まれた空気が排出され、長尺フィルム200同士の間に含まれる空気量が調整されたフィルムロール300が得られる。
第2タッチロール130によるナール部への押圧は、10N/m以上の荷重で行うことが好ましく、20N/m以上の荷重で行うことがより好ましい。また、第2タッチロール130による押圧は、150N/m以下の荷重で行うことが好ましく、120N/m以下の荷重で行うことがより好ましい。ここで、前記荷重の大きさの単位「N/m」は、長尺フィルムの幅1m当たりに加えられる力の大きさを表す。前記荷重の大きさを前記の範囲に収めることにより、フィルムロール300における外観不良の発生を効果的に抑制できる。
前記荷重の大きさは、上記範囲において、中間巻回物300Aの巻径に応じて値を任意に変化させてもよい。この場合、例えば、前記荷重の大きさを、次第に小さくなるように変化させてもよく、次第に大きくなるように変化させてもよく、これらを組み合わせてもよい。中でも、前記荷重の大きさは、時間の経過に伴って次第に小さくなるように調整することが好ましい。このように荷重の大きさを次第に小さくすることを、荷重にテーパを設けるという。前記荷重にテーパを設けた場合、巻取開始時点の荷重に対して、巻き取り完了時点の荷重は、小さくなる。このとき、巻き取り開始時点の荷重に対する、巻き取り開始時点の荷重と巻き取り完了時点の荷重との差の比率を、荷重テーパ比率という。荷重テーパ比率は、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上、特に好ましくは7%以上であり、好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下、特に好ましくは40%以下である。このように荷重にテーパを設けることにより、品質を維持したままより長く長尺フィルム200を巻き取ることができる。また、荷重テーパ比率が上記範囲を逸脱しない範囲において、前記の荷重の変化の割合(単位時間当たりの荷重の変化量)は一定でなくてもよく、例えば、中間巻回物300Aの巻径に応じて任意に変化させてもよい。
[長尺フィルム]
本実施形態の製造方法において用いられる長尺フィルム200について説明する。
図3に示すように、長尺フィルム200は、長尺フィルム200の幅方向の両端部に設けられ複数の凸部211,221を有するナール部210及び220と、これらのナール部210及びナール部220の間に設けられ、凸部を有さない平坦部230とを含む。
本実施形態の製造方法において用いられる長尺フィルム200について説明する。
図3に示すように、長尺フィルム200は、長尺フィルム200の幅方向の両端部に設けられ複数の凸部211,221を有するナール部210及び220と、これらのナール部210及びナール部220の間に設けられ、凸部を有さない平坦部230とを含む。
ナール部210は、長尺フィルム200の幅方向の片方の端部に設けられた、複数の凸部211を有する部分である。また、ナール部220は、長尺フィルム200の幅方向のもう片方の端部に設けられた、複数の凸部221を有する部分である。前記の凸部211及び221は、例えばエンボス加工により形成されることがありえるので、これらの凸部211及び221の裏側には凹部212及び222が形成されていてもよい。ただし、ナール部210及び220においては、凹部212及び222は形成されていなくてもよい。
ナール部210及び220は、図1に示すように、通常、長尺フィルム200の長尺方向に平行に延在する帯状の部分となっている。また、これらのナール部210及び220に挟まれる平坦部230は、通常、長尺フィルム200の長尺方向に平行に延在する帯状の部分となっている。長尺フィルム200において、ナール部210及び220は、図3に示すように、凸部211及び221を有する分だけ、厚みが平坦部230よりも厚くなっている。
ナール部210及び220は、長尺フィルム200の端部において、長尺フィルム200の縁213及び223から所定の距離だけ離間した位置に形成してもよく、縁213及び223の直ぐ内側に形成するようにしてもよい。長尺フィルム200の縁213及び223から離間してナール部210及び220が設けられている場合、長尺フィルム200の縁213及び223からナール部210及び220までの距離は、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、特に好ましくは3mm以下である。
ナール部210及び220の幅は、それぞれ、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、特に好ましくは7mm以上であり、好ましくは20mm以下、より好ましくは18mm以下、特に好ましくは16mm以下である。
さらに、ナール部210及び220の幅は、それぞれ、長尺フィルム200の幅寸法に対して、好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.5%以上であり、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。
ナール部210及び220の幅を前記範囲の下限値以上にすることによってフィルムロール300がその自重を効果的に支えることができ、また、上限値以下にすることによって製品幅を広くし低コスト化を図ることができる。ここで、ナール部210の幅とナール部220の幅とは、同じでもよく、異なっていてもよい。
さらに、ナール部210及び220の幅は、それぞれ、長尺フィルム200の幅寸法に対して、好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.5%以上であり、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。
ナール部210及び220の幅を前記範囲の下限値以上にすることによってフィルムロール300がその自重を効果的に支えることができ、また、上限値以下にすることによって製品幅を広くし低コスト化を図ることができる。ここで、ナール部210の幅とナール部220の幅とは、同じでもよく、異なっていてもよい。
ナール部210及び220に形成されている凸部211及び221の形状は、任意であり、例えば、円柱状、角柱状、円錐状、角錐状、円錐台状、角錐台状、球の一部を切り欠いた形状、などが挙げられる。また、各凸部211及び221の形状は、同じでもよく、異なっていてもよい。
凸部211及び221の高さH1は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上、特に好ましくは5μm以上であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは18μm以下、特に好ましくは16μm以下である。凸部211及び221の高さH1を前記範囲の下限値以上にすることによって、フィルムロール300において長尺フィルム200間に適度な空気層を形成できる。また、上限値以下にすることによってフィルムロール300において長尺フィルム200間に適度な空気層を形成できる。さらに、上限値以下にすることで、ナール部210及び220と平坦部230との段差を小さくできるので、フィルムロール300のシワを抑制できる。凸部211及び221の高さH1は一定でなくてもよく、上記範囲において、中間巻回物300Aの巻径に応じて値を任意に変化させてもよい。
凸部211及び221の径W1は、好ましくは100μm以上、より好ましくは200μm以上、特に好ましくは300μm以上であり、好ましくは5000μm以下、より好ましくは4000μm以下、特に好ましくは3000μm以下である。凸部211及び221の径W1を前記範囲の下限値以上にすることによってフィルムロール300がその自重を効果的に支えることができ、また、上限値以下にすることによって凸部211及び221を多く設けられるので圧力の分散ができる。
凸部211及び221のピッチP1は、好ましくは100μm以上、より好ましくは200μm以上、特に好ましくは300μm以上であり、好ましくは5000μm以下、より好ましくは4000μm以下、特に好ましくは3000μm以下である。凸部211及び221のピッチP1を前記範囲の下限値以上にすることによってフィルムロール300がその自重を効果的に支えることができ、また、上限値以下にすることによって凸部211及び221を多く設けられるので圧力の分散ができる。
平坦部230は、ナール部210とナール部220との間に設けられた、凸部211及び221を有さない部分である。一般に、長尺フィルム200の平坦部230が、長尺フィルム200から製造される製品において有効部分として用いられる。
長尺フィルム200の平坦部230の平均厚みT1は、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、特に好ましくは20μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは95μm以下、特に好ましくは90μm以下である。平坦部230の厚みT1を前記範囲の下限値以上にすることによって凸部211及び221の形成を容易に行うことができ、また、上限値以下にすることによって長尺フィルム200の薄膜化による低コスト化ができる。
長尺フィルム200の平坦部230の厚みのバラつきは、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、特に好ましくは3μm以下である。ここで、平坦部230の厚みのバラつきとは、平坦部230の厚みの最大値と最小値との差をいう。平坦部230の厚みのバラつきを前記範囲の上限値以下にすることによって均一な凸部の形成を容易に行うことができる。平坦部230の厚みのバラつきの下限は、特に好ましくは0μmであるが、工業生産性の観点から現実的には0.1μm以上である。
長尺フィルム200の平坦部230の表側と裏側との接触面における静摩擦係数は、所定範囲に収まることが好ましい。前記の静摩擦係数は、具体的には、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.7以下である。また、前記の静摩擦係数の下限値に特に制限は無いが、好ましくは0.1以上である。長尺フィルム200の前記の静摩擦係数が前記範囲に収まることにより、フィルムロール300において長尺フィルム200間に適度な空気層を形成できる。
長尺フィルム200の平坦部230の表側と裏側との接触面における静摩擦係数は、長尺フィルム200から切り取って得た試験片を用いて、JIS K 7125に準拠して測定しうる。この静摩擦係数を測定する際には、水平で平坦な支持面を有する支持台の前記支持面に、相手部材としての長尺フィルム200を置き、固定する。この際、長尺フィルム200の表側の面を、鉛直方向上向きにする。このように支持面に固定された長尺フィルム200上に、試験片を置く。この際、試験片は、その裏側の面を鉛直方向下向きにする。これにより、支持面に固定された長尺フィルム200の表側の面と、試験片の裏側の面とが接触する。そして、試験片上に所定の試験荷重の重りを置き、所定速度で試験片を引っ張ることで、前記のように接触した接触面における静摩擦係数を測定する。この際の測定条件は、試験速度を100mm/分、試験荷重を200g、試験方向を長尺フィルム200の長手方向、試験温度を23℃とする。同様の測定を5回行い、その算術平均値を、長尺フィルム200の平坦部230の表側と裏側との接触面における静摩擦係数の代表値とする。
長尺フィルム200の長手方向における長尺フィルム200の平坦部230の引張弾性率は、所定範囲に収まることが好ましい。前記の引張弾性率は、具体的には、好ましくは500MPa以上、より好ましくは1000MPa以上、特に好ましくは1500MPa以上であり、好ましくは5000MPa以下、より好ましくは4500MPa以下、特に好ましくは4000MPa以下である。前記の引張弾性率を前記範囲の下限値以上にすることによって長尺フィルム200のコシを強くでき、また、上限値以下にすることによって長尺フィルム200に適用できる樹脂の範囲を広げることができる。
ここで、平坦部230の引張弾性率は、JIS K 7127に準拠して測定しうる。測定条件は、温度は23℃、引張速度は5mm/min、ロードセルは100N、試料形状はタイプ1B、初期長は50mmにしうる。
ここで、平坦部230の引張弾性率は、JIS K 7127に準拠して測定しうる。測定条件は、温度は23℃、引張速度は5mm/min、ロードセルは100N、試料形状はタイプ1B、初期長は50mmにしうる。
長尺フィルム200の幅は、好ましくは300mm以上、より好ましくは500mm以上、特に好ましくは700mm以上であり、好ましくは3000mm以下、より好ましくは2800mm以下、特に好ましくは2600mm以下である。長尺フィルム200のフィルム幅Wを前記範囲の下限値以上にすることによって長尺フィルム200を広幅化できるので低コスト化を図ることができ、また、上限値以下にすることによって長期保管性の向上ができる。
[長尺フィルムの製造方法]
本実施形態のフィルムロールの製造方法に適用しうる長尺フィルムとしては、樹脂からなる基材フィルム層を備えるフィルムを用いうる。基材フィルム層を構成する樹脂としては、任意の重合体を含む樹脂を用いうる。中でも、基材フィルム層を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましく、脂環式構造含有重合体樹脂が特に好ましい。脂環式構造含有重合体樹脂は、脂環式構造含有重合体を含む樹脂であり、透明性、低吸湿性、寸法安定性および軽量性などの特性に優れる。
本実施形態のフィルムロールの製造方法に適用しうる長尺フィルムとしては、樹脂からなる基材フィルム層を備えるフィルムを用いうる。基材フィルム層を構成する樹脂としては、任意の重合体を含む樹脂を用いうる。中でも、基材フィルム層を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましく、脂環式構造含有重合体樹脂が特に好ましい。脂環式構造含有重合体樹脂は、脂環式構造含有重合体を含む樹脂であり、透明性、低吸湿性、寸法安定性および軽量性などの特性に優れる。
脂環式構造含有重合体は、重合体の構造単位中に脂環式構造を有する重合体であり、主鎖に脂環式構造を有する重合体、及び、側鎖に脂環式構造を有する重合体のいずれを用いてもよい。また、脂環式構造含有重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中でも、機械的強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有する重合体が好ましい。
脂環式構造としては、例えば、飽和脂環式炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環式炭化水素(シクロアルケン、シクロアルキン)構造などが挙げられる。中でも、機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が特に好ましい。
脂環式構造を構成する炭素原子数は、一つの脂環式構造あたり、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下の範囲である。これにより、基材フィルム層の機械強度、耐熱性、及び成形性が高度にバランスされ、好適である。
脂環式構造含有重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択してもよく、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式構造含有重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合がこの範囲にあると、基材フィルム層の透明性および耐熱性の観点から好ましい。
脂環式構造含有重合体としては、例えば、ノルボルネン重合体、単環の環状オレフィン重合体、環状共役ジエン重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及び、これらの水素添加物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン重合体は、透明性と成形性が良好なため、好適である。
ノルボルネン重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びその水素添加物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びその水素添加物が挙げられる。また、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の開環単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の開環共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との開環共重合体が挙げられる。さらに、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の付加単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の付加共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との付加共重合体が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適である。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一または相異なって、複数個が環に結合していてもよい。また、ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
極性基の種類としては、例えば、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン酸基などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合が可能な任意の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;などが挙げられる。ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合が可能な任意の単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体は、例えば、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合が可能な任意の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素原子数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。また、ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合が可能な任意の単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体は、例えば、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
上述した開環重合体及び付加重合体の水素添加物は、例えば、これらの開環重合体及び付加重合体の溶液において、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む水素添加触媒の存在下で、炭素−炭素不飽和結合を、好ましくは90%以上水素添加することによって製造しうる。
ノルボルネン重合体の中でも、構造単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの構造単位の量が、ノルボルネン重合体の構造単位全体に対して90重量%以上であり、かつ、Xの割合とYの割合との比が、X:Yの重量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このような重合体を用いることにより、基材フィルム層を、長期的に寸法変化がなく、特性の安定性に優れるものにできる。
基材フィルム層を構成する樹脂に含まれる重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下、特に好ましくは50,000以下である。ここで、前記の重量平均分子量は、溶媒としてシクロヘキサンを用いて(但し、試料がシクロヘキサンに溶解しない場合にはトルエンを用いてもよい)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、長尺フィルムの機械的強度および成型加工性が高度にバランスされ、好適である。
基材フィルム層を構成する樹脂に含まれる重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、特に好ましくは1.8以上であり、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.7以下である。分子量分布を前記範囲の下限値以上にすることにより、重合体の生産性を高め、コストを抑制することができる。また、上限値以下にすることにより、低分子量成分を減らすことができるので、緩和時間を長くできる。そのため、高温曝露時の緩和を抑制でき、基材フィルム層の安定性を高めることができる。
基材フィルム層を構成する樹脂における重合体の割合は、好ましくは50重量%〜100重量%であり、より好ましくは70重量%〜100重量%である。特に、基材フィルム層を構成する樹脂として脂環式構造含有重合体樹脂を用いる場合、脂環式構造含有重合体樹脂に含まれる脂環式構造含有重合体の割合は、好ましくは80重量%〜100重量%、より好ましくは90重量%〜100重量%である。
基材フィルム層を構成する樹脂は、重合体以外に任意の成分を含んでいてもよい。その任意の成分の例を挙げると、顔料、染料等の着色剤;可塑剤;蛍光増白剤;分散剤;熱安定剤;光安定剤;紫外線吸収剤;耐電防止剤;酸化防止剤;滑剤;界面活性剤などの添加剤が挙げられる。これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
基材フィルム層を構成する樹脂の光弾性係数Cの絶対値は、10×10−12Pa−1以下であることが好ましく、7×10−12Pa−1以下であることがより好ましく、4×10−12Pa−1以下であることが特に好ましい。光弾性係数Cは、複屈折をΔn、応力をσとしたとき、「C=Δn/σ」で表される値である。樹脂の光弾性係数を前記範囲に納めることにより、基材フィルム層でのレターデーションのバラツキを小さくできる。
基材フィルム層を構成する樹脂の飽和吸水率は、好ましくは0.03重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下である。飽和吸水率が前記範囲であると、基材フィルム層のレターデーション等の特性の経時変化を小さくすることができる。
飽和吸水率は、試験片を一定温度の水中に一定時間浸漬して増加した質量を、浸漬前の試験片の質量に対する百分率で表した値である。通常は、23℃の水中に24時間、浸漬して測定される。樹脂の飽和吸水率は、例えば、当該樹脂に含まれる重合体中の極性基の量を減少させることにより、前記の範囲に調節することができる。したがって、飽和吸水率をより低くする観点から、基材フィルム層を構成する樹脂に含まれる重合体は、極性基を有さないことが好ましい。
基材フィルム層が含む揮発性成分の量は、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下である。揮発性成分の量を前記範囲にすることにより、寸法安定性が向上し、基材フィルム層の特性の経時変化を小さくすることができる。ここで、揮発性成分とは、分子量200以下の物質である。揮発性成分としては、例えば、残留単量体及び溶媒などが挙げられる。揮発性成分の量は、分子量200以下の物質の合計として、ガスクロマトグラフィーにより分析することにより定量することができる。
基材フィルム層は、樹脂を任意のフィルム成形法で成形することによって製造しうる。フィルム成形法としては、例えば、キャスト成形法、押出成形法、インフレーション成形法などが挙げられる。中でも、溶媒を使用しない溶融押出法は、揮発性成分の量を効率よく低減させることができ、地球環境の観点、作業環境の観点、及び、製造効率の観点から好ましい。溶融押出法としては、例えばダイスを用いるインフレーション法などが挙げられ、生産性及び厚み精度に優れる点で、Tダイを用いる方法が好ましい。
長尺フィルムは、1層のみ備える単層構造のフィルムであってもよく、2層を以上備える複層構造のフィルムであってもよい。長尺フィルムが複層構造を有する場合、長尺フィルムは、前記の基材フィルム層に組み合わせて、任意の層を備えていてもよい。
任意の層としては、例えば、傷付防止性、反射防止性、帯電防止性、防眩性、防汚性、易滑性、易接着性等の特性の付与しうる機能層が挙げられる。これらの機能層は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、反応型樹脂及びこれらの混合物等によって形成しうる。
中でも、任意の層としては、易接着層が好ましい。易接着層を備える長尺フィルムは、別の部材に貼り付ける際の接着性が良好である。また、このような易接着層を備える長尺フィルムを巻き取ったフィルムロールは欠陥を生じやすい傾向があるが、上述した製造方法によって製造されたフィルムロールにおいては欠陥を抑制できるので、本発明の効果を有効に活用できる。
易接着層は、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等によって形成でき、中でもポリウレタン樹脂が好ましい。ポリウレタン樹脂が含むポリウレタンとしては、例えば、(i)1分子中に平均2個以上の活性水素を含有する成分と(ii)多価イソシアネート成分とを反応させて得られるポリウレタン;または、上記(i)成分及び(ii)成分をイソシアネート基過剰の条件下で、反応に不活性で水との親和性の大きい有機溶媒中でウレタン化反応させてイソシアネート基含有プレポリマーとし、次いで、該プレポリマーを中和し、鎖延長剤を用いて鎖延長し、水を加えて分散体とすることによって製造されるポリウレタン;などが挙げられる。これらのポリウレタン中には酸構造(酸残基)を含有させてもよい。また、ポリウレタンの数平均分子量は、1,000以上が好ましく、より好ましくは20,000以上であり、1,000,000以下が好ましく、より好ましくは200,000以下である。
また、前記のポリウレタン樹脂は、ポリウレタンに組み合わせて、耐熱安定剤、耐候安定剤、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、粒子等の任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、任意の成分としては粒子が好ましく、二種類以上の粒子がより好ましい。易接着層に粒子を含ませることにより、易接着層の表面の表面粗さを調整できる。
易接着層の厚みは、0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.03μm以上が特に好ましく、また、5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましく、1μm以下が特に好ましい。前記範囲内にあると、十分な接着強度が得られ、かつ、長尺フィルムの反りを抑制できる。
任意の層の製造方法に、制限は無い。例えば、熱可塑性樹脂によって任意の層を形成する場合、共押出法及び共流延法等の樹脂成型方法によって、基材フィルム層及び任意の層を同時に製造してもよい。中でも、共押出法が好ましい。共押出法は、溶融状態にした複数の樹脂を押し出して成形することによりフィルムを得る方法である。共押出法は、製造効率の点、並びに、製造される長尺フィルムに溶媒などの揮発性成分を残留させないという点で、優れている。共押出方法としては、例えば、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等が挙げられる。これらの中でも、共押出Tダイ法が好ましい。共押出Tダイ法にはフィードブロック方式およびマルチマニホールド方式がある。その中でも層の厚みのばらつきを少なくできる点で、マルチマニホールド方式が特に好ましい。
また、任意の層は、例えば塗布法によって製造してもよい。塗布法では、任意の層に含まれうる成分、又は、任意の層に含まれうる成分を生成しうる成分(例えば、重合体を生成しうる単量体等)を含む塗布液を用意する。そして、この塗布液を基材フィルム層に塗布して塗布液の膜を形成し、必要に応じてこの膜を硬化させることにより、任意の層を製造しうる。
例えば、任意の層としてポリウレタン樹脂によって易接着層を形成する場合には、この易接着層は、ポリウレタンと、溶媒と、必要に応じて任意の成分とを含む塗布液を用いて製造しうる。前記のようにポリウレタンを含む塗布液としては、溶媒として水を含む塗布液を用いることが好ましい。このように溶媒として水を含む塗布液では、通常、ポリウレタンは水中に分散している。前記のポリウレタン及び水を含む塗布液は、「水系ウレタン樹脂」と呼ばれることがある。
水系ウレタン樹脂として、市販されている水系ウレタン樹脂を使用してもよい。水系ウレタン樹脂としては、例えば、旭電化工業社製の「アデカボンタイター」シリーズ、三井東圧化学社製の「オレスター」シリーズ、大日本インキ化学工業社製の「ボンディック」シリーズ、「ハイドラン」シリーズ、バイエル社製の「インプラニール」シリーズ、日本ソフラン社製の「ソフラネート」シリーズ、花王社製の「ポイズ」シリーズ、三洋化成工業社製の「サンプレン」シリーズ、保土谷化学工業社製の「アイゼラックス」シリーズ、第一工業製薬社製の「スーパーフレックス」シリーズ、ゼネカ社製の「ネオレッツ」シリーズなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
易接着層の機械強度を向上させる目的で、塗布液には、架橋剤を含ませてもよい。架橋剤としては、例えば、水系エポキシ化合物、水系アミノ化合物、水系イソシアネート化合物、水系カルボジイミド化合物、水系オキサゾリン化合物等を使用しうる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。架橋剤の量は、ポリウレタン100重量部に対して、固形分で、好ましくは1重量部以上、より好ましくは5重量部以上であり、好ましくは70重量部以下、より好ましくは65重量部以下である。
塗布液の塗布方法は、特に限定されず、例えば、グラビアコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、スプレーコーター等のコーターを用いて塗布しうる。
基材フィルム層に塗布液を塗布することにより、基材フィルム層の表面に塗布液の膜が形成される。この塗布液の膜は、必要に応じて乾燥及び架橋等の硬化処理を施してもよい。乾燥方法としては、例えば、オーブンを用いた加熱乾燥が挙げられる。また、架橋方法としては、例えば、加熱処理、紫外線等の活性エネルギー線の照射処理、などの方法が挙げられる。
また、塗布法によって任意の層を形成する場合、塗布液を塗布される基材フィルム層の面には、塗布液を塗布する前に表面処理を施してもよい。表面処理としては、例えば、エネルギー線照射処理及び薬品処理等が挙げられる。エネルギー線照射処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処理等が挙げられ、処理効率の点等から、コロナ放電処理、プラズマ処理が好ましく、コロナ放電処理が特に好ましい。また、薬品処理としては、例えば、ケン化処理、重クロム酸カリウム溶液、濃硫酸等の酸化剤水溶液中に浸漬し、その後、水で洗浄する方法が挙げられる。
長尺フィルムは、延伸処理を施されていない未延伸フィルムであってもよく、延伸処理を施された延伸フィルムであってもよい。延伸処理を行う時期は任意である。例えば、長尺フィルムが基材フィルム層に組み合わせて任意の層を備える場合、延伸処理は、基材フィルム層上に任意の層を形成する前に行ってもよく、基材フィルム層上に任意の層を形成した後で行ってもよい。
延伸方法は特に限定はされず、例えば、一軸延伸法及び二軸延伸法が挙げられる。一軸延伸法の例としては、フィルム搬送用のロールの周速の差を利用して長手方向に一軸延伸する方法;テンター延伸機を用いて幅方向に一軸延伸する方法;等が挙げられる。また、二軸延伸法の例としては、フィルムを把持するクリップの間隔を開いて長手方向の延伸を行うと同時に、クリップを案内するガイドレールの広がり角度により幅方向に延伸する同時二軸延伸法;フィルム搬送用のロール間の周速の差を利用して長手方向に延伸した後、その両端部をクリップで把持してテンター延伸機を用いて幅方向に延伸する逐次二軸延伸法;などが挙げられる。さらに、例えば、長手方向又は幅方向に左右異なる速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにしたテンター延伸機を用いて、フィルムの幅方向に対して任意の角度φ(0°<φ<90°)をなす斜め方向に連続的に延伸する斜め延伸法を用いてもよい。
延伸温度は、例えば、基材フィルム層に含まれる樹脂のガラス転移温度Tgを基準として、Tg〜Tg+20℃としうる。
延伸倍率は、長手方向の延伸では1.1倍〜3.0倍の範囲に設定してもよく、また、幅方向の延伸では1.3倍〜3.0倍の範囲に設定してもよい。
延伸倍率は、長手方向の延伸では1.1倍〜3.0倍の範囲に設定してもよく、また、幅方向の延伸では1.3倍〜3.0倍の範囲に設定してもよい。
上述した長尺フィルムの両端部には、当該長尺フィルムの少なくとも一方の面に凸部を形成することにより、ナール部を設ける。
凸部の形成方法に制限は無い。凸部は、例えば、エンボス加工処理によって形成してもよい。エンボス加工処理によって凸部を形成する場合、例えば、ナール部の形状に対応した凹凸パターンを側面に有するロール状又はリング状の型(例えば、ローレット等)を用意し、必要に応じて長尺フィルム又は前記の型を加熱しながら、長尺フィルムを前記の型で押圧する。この際、単一の型により押圧を行ってもよく、対向する2個の型の間に長尺フィルムを挟みこんで押圧を行ってもよい。これにより、型の凹凸パターンが長尺フィルムに転写され、凸部が形成される。
凸部の形成方法に制限は無い。凸部は、例えば、エンボス加工処理によって形成してもよい。エンボス加工処理によって凸部を形成する場合、例えば、ナール部の形状に対応した凹凸パターンを側面に有するロール状又はリング状の型(例えば、ローレット等)を用意し、必要に応じて長尺フィルム又は前記の型を加熱しながら、長尺フィルムを前記の型で押圧する。この際、単一の型により押圧を行ってもよく、対向する2個の型の間に長尺フィルムを挟みこんで押圧を行ってもよい。これにより、型の凹凸パターンが長尺フィルムに転写され、凸部が形成される。
また、例えば、レーザー光の照射により凸部を形成してもよい。長尺フィルムにレーザー光を照射すると、レーザー光が照射された地点において長尺フィルムが局所的に熱溶融又はアブレーションを生じる。このとき、レーザー光の照射により熱溶融した長尺フィルムの材料の一部又は全部が流動化することにより、レーザー光を照射した地点の周囲には突出部が形成され、この突出部は凸部となる。このようにレーザー光により凸部を形成すれば、厚みの薄い長尺フィルムにおいても、凸部の形成時の長尺フィルムの破断を防止することができる。また、長尺フィルムを屈曲させても、凸部で破断が生じ難い。これは、例えばエンボス加工処理と比べ、レーザー光で凸部を形成する場合には、長尺フィルムに対し不要な押圧が加わらず、長尺フィルムに残留応力が残りにくいことに起因すると推察される。また、レーザー光の照射によって凸部を形成した場合、通常は、レーザー光が照射された地点では窪みが形成される。
長尺フィルムが任意の層として易接着層を備える場合、レーザー光の照射は、長尺フィルムの易接着層側の面へ行うことが好ましい。これにより、長尺フィルムをロール状に巻き取る際に、長尺フィルム同士の密着を抑制でき、長尺フィルムの取り扱い性を向上させることができる。
[2.本実施形態のフィルムロールの製造装置]
本実施形態のフィルムロール製造装置100は、図1及び図2に示すように中間巻回物300Aとの間に間隙D1を空けて設けられ、長尺フィルム200を巻き掛ける第1タッチロール120と、第1タッチロール120に巻き掛けた長尺フィルム200を巻き取る巻き芯110と、巻き芯110に巻き取られた長尺フィルム200のナール部220,230を押圧する第2タッチロール130と、を含む。本実施形態の製造装置は、第2タッチロールを1本備える態様であり、当該態様によればフィルムロールの製造装置の装置構成を簡素化することが可能である。
本実施形態のフィルムロール製造装置100は、図1及び図2に示すように中間巻回物300Aとの間に間隙D1を空けて設けられ、長尺フィルム200を巻き掛ける第1タッチロール120と、第1タッチロール120に巻き掛けた長尺フィルム200を巻き取る巻き芯110と、巻き芯110に巻き取られた長尺フィルム200のナール部220,230を押圧する第2タッチロール130と、を含む。本実施形態の製造装置は、第2タッチロールを1本備える態様であり、当該態様によればフィルムロールの製造装置の装置構成を簡素化することが可能である。
第1タッチロール120、第2タッチロール130、巻き芯110及び長尺フィルム200の構成と好ましい態様は、「1.本実施形態のフィルムロールの製造方法」において説明した通りである。
本実施形態の製造装置100は、長尺フィルム200の搬送速度を計測しうる図示しない巻取速度計を備えていてもよい。このような巻取速度計としては、例えば、第1タッチロール120よりも上流にテンションカットロールが設けられている場合、そのテンションカットロールに接続されたエンコーダを用いうるが、巻取速度計はこれに限定されない。さらに、本実施形態の製造装置100は、前記実施形態において説明した要素に組み合わせて更に任意の要素を備えていてもよい。
[3.本実施形態により製造したフィルムロール]
本実施形態の製造方法により得られるフィルムロール300について説明する。図1に示すように、フィルムロール300は、円筒状をなす。フィルムロール300の幅方向の端部310および320は、それぞれ、長尺フィルム200の幅方向の端部に設けられたナール部210および220に対応する。フィルムロール300の中間部330は、長尺フィルム200の平坦部230に対応する。
本実施形態の製造方法により得られるフィルムロール300について説明する。図1に示すように、フィルムロール300は、円筒状をなす。フィルムロール300の幅方向の端部310および320は、それぞれ、長尺フィルム200の幅方向の端部に設けられたナール部210および220に対応する。フィルムロール300の中間部330は、長尺フィルム200の平坦部230に対応する。
本実施形態の製造方法により得られるフィルムロール300の巻取り長さは、好ましくは2000m以上、より好ましくは2500m以上、特に好ましくは3000m以上であり、好ましくは6000m以下、より好ましくは5800m以下、特に好ましくは5600m以下である。従来の技術によれば、前記下限値以上の巻取り長のフィルムロールにおいて欠陥が生じ易かったが、本実施形態の製造方法で製造するフィルムロール300の巻取り長を前記範囲の下限値以上にすることにより、本発明の利点を特に有効に活用できる。また、フィルムロール300の巻取り長を前記範囲の上限値以下にすることにより、欠陥の発生をより安定して抑制できる。
フィルムロール300の巻回数に制限は無いが、好ましくは500回以上、より好ましくは1000回以上、特に好ましくは1500回以上であり、好ましくは8000回以下、より好ましくは7000回以下、特に好ましくは6000回以下である。
さらに、フィルムロール300の径に制限はないが、好ましくは200mm以上、より好ましくは250mm以上、特に好ましくは300mm以上であり、好ましくは1000mm以下、より好ましくは950mm以下、特に好ましくは900mm以下である。
上述した製造方法で製造されるフィルムロールは、例えば光学フィルム、防湿フィルム、包装用フィルム、導電フィルム、絶縁フィルム、帯電防止フィルム、バリアフィルム、配線基板用フィルム等の任意の用途のフィルムに適用しうる。中でも、欠陥を抑制できるという利点を有効に活用する観点から光学フィルムに用いることが好ましい。光学フィルムとしては、例えば、位相差フィルム、偏光板の保護フィルム、偏光フィルム、輝度向上フィルム、光拡散フィルム、集光フィルム、反射フィルム等が挙げられる。
[4.本実施形態の作用・効果]
本実施形態においては、工程1において、長尺フィルム200を巻き掛ける第1タッチロール120が、中間巻回物300Aとの間に間隙D1を空けて設けられているので、搬送中のフィルムの張力やナール部の高さの影響を受けにくい。これにより、長尺フィルム200の幅方向の2つの端部において、第1タッチロールから受ける押圧力との差が生じにくくなるので、前記押圧力の差に起因する外観不良の発生を抑制しうる。
本実施形態においては、工程1において、長尺フィルム200を巻き掛ける第1タッチロール120が、中間巻回物300Aとの間に間隙D1を空けて設けられているので、搬送中のフィルムの張力やナール部の高さの影響を受けにくい。これにより、長尺フィルム200の幅方向の2つの端部において、第1タッチロールから受ける押圧力との差が生じにくくなるので、前記押圧力の差に起因する外観不良の発生を抑制しうる。
本実施形態においては、第1タッチロールが、中間巻回物300Aとの間に間隔D1を空けて設けられているので、長尺フィルム200が巻き芯110に巻き取られる際に、長尺フィルム同士の間に空気が巻き込まれる。本実施形態のように、ナール部210,220を含む長尺フィルム200では、長尺フィルム200の幅方向の両端部に設けられたナール部210,220の方が、これらのナール部210,220の間に設けられた平坦部230よりも、厚みが厚い。そのため、中間巻回物300Aにおいては、ナール部210,220に対応する端部310,320の径が、平坦部230に対応する中間部330の径よりも大きくなりうる。しかしながら、本実施形態においては、工程3で、巻き芯110に巻き取られた長尺フィルム200のナール部210,220を、第2タッチロール130により押圧するので、これにより長尺フィルム同士の間、特にナール部に対応する部分に含まれる空気量が調整される。そして、これにより、長尺フィルム200の間に適切な空気層が形成され、フィルムロール中のフィルムのズレが発生しにくくなるので、前記フィルムロール中のフィルムのズレに起因する傷や座屈の発生を防止しうる。
以上より、本実施形態によれば、外観不良を生じ難いフィルムロールの製造方法及び製造装置を提供できる。
以上より、本実施形態によれば、外観不良を生じ難いフィルムロールの製造方法及び製造装置を提供できる。
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、長尺フィルムの幅以上の長さを有する一本の第2タッチロールを用いた例を示したが、本発明はこれに限定されない。長尺フィルムの両端部のナール部に対し、それぞれ、別々の第2タッチロールを用いてもよい。このような態様によれば、長尺フィルムの2つの端部における、第2タッチロールによる押圧力(押圧荷重)の調整を個別に行いうる。2本の第2タッチロールは、同形同大であってもよいし、形状及び大きさのいずれか一方又は両方が相違していてもよい。
(2)上記実施形態では、1本の第2タッチロールを角θ1が90°である位置に配置した例を示したが、本発明はこれに限定されない。2本以上の第2タッチロールを、角θ1が相違する位置(例えば30°の位置と120°の位置等)に配置してもよい。
(1)上記実施形態では、長尺フィルムの幅以上の長さを有する一本の第2タッチロールを用いた例を示したが、本発明はこれに限定されない。長尺フィルムの両端部のナール部に対し、それぞれ、別々の第2タッチロールを用いてもよい。このような態様によれば、長尺フィルムの2つの端部における、第2タッチロールによる押圧力(押圧荷重)の調整を個別に行いうる。2本の第2タッチロールは、同形同大であってもよいし、形状及び大きさのいずれか一方又は両方が相違していてもよい。
(2)上記実施形態では、1本の第2タッチロールを角θ1が90°である位置に配置した例を示したが、本発明はこれに限定されない。2本以上の第2タッチロールを、角θ1が相違する位置(例えば30°の位置と120°の位置等)に配置してもよい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下の操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中にて行った。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下の操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中にて行った。
[評価方法の説明]
[長尺フィルムの厚みの測定方法]
各例で搬送する長尺フィルムの幅方向に3m/分の速度で赤外線膜厚計〔クラボウ社製 RX−100〕を走査して、50mm間隔で長尺フィルムの平坦部の厚さを測定した。この測定を長尺フィルムの全長で行い、全測定結果を平均して、長尺フィルムの厚みとした。
[長尺フィルムの厚みの測定方法]
各例で搬送する長尺フィルムの幅方向に3m/分の速度で赤外線膜厚計〔クラボウ社製 RX−100〕を走査して、50mm間隔で長尺フィルムの平坦部の厚さを測定した。この測定を長尺フィルムの全長で行い、全測定結果を平均して、長尺フィルムの厚みとした。
[凹凸状の外観不良の評価方法]
各例で製造したフィルムロールの外観を目視で観察し、凹凸状の外観不良の有無を観察した。フィルムロールの状態で凹凸が認められた場合、フィルムロールからフィルムを巻きだして、凹凸が認められた位置に対応する部分を目視で観察した。外観不良の評価は、下記の基準に基づいて行った。
各例で製造したフィルムロールの外観を目視で観察し、凹凸状の外観不良の有無を観察した。フィルムロールの状態で凹凸が認められた場合、フィルムロールからフィルムを巻きだして、凹凸が認められた位置に対応する部分を目視で観察した。外観不良の評価は、下記の基準に基づいて行った。
(評価基準)
A:凹凸が認められた位置にムラが認められない、又はフィルムロールでの観察において凹凸が認められない
B:凹凸があった位置にムラがわずかに認められる。
C:凹凸があった位置にムラが明確に認められる。
A:凹凸が認められた位置にムラが認められない、又はフィルムロールでの観察において凹凸が認められない
B:凹凸があった位置にムラがわずかに認められる。
C:凹凸があった位置にムラが明確に認められる。
[擦り傷の発生の有無の評価]
(1.振動試験)
(1−1)ラック
振動試験の際に用いるラックについて簡単に説明する。図4は各例で製造したフィルムロールを積載した状態のラックの正面図であり、図5は当該ラックの側面図である。
(1.振動試験)
(1−1)ラック
振動試験の際に用いるラックについて簡単に説明する。図4は各例で製造したフィルムロールを積載した状態のラックの正面図であり、図5は当該ラックの側面図である。
ラック1は、スチール製であって、図4及び5に示すように、底部にあるパレット4と、パレット4から上方に向かって立設する一対の支持枠体3,3と、ラック1の側面上部において一対の支持枠体3,3を連結する連結ロッド5,5と、を備える。パレット4の上面と、一対の支持枠体3,3と、連結ロッド5,5とに囲まれる収容空間に、各例で製造したフィルムロール300が積載される。パレット4は、上記収容空間を含む中空の直方体をなしており、ラック1にかかる荷重をうける土台として機能する。図4及び図5における8はパレット4の底板である。
ラック1は図5に示すように、フィルムロール300の巻き芯110の端部を収容する円筒部材受け部2と、当該円筒部材受け部2を開閉する開閉部材7と、を備える。円筒部材受け部2に巻き芯110の端部を収容した後、開閉部材7を閉じて係止金具7Aを係止させることにより、巻き芯110の端部は、円筒部材受け部2において、押え部材9とゴム製部材9Aとにより保持され、移動が規制される。
ラック1は、当て板部6を有し、当て板部6はフィルムロール300の側面を支持する支持面を有する当て板6Aと、当て板6Aの支持面とは反対側の背面から垂直に立設するベースプレート6Bと、スレッドボルト(図示せず)のねじ山部と螺合するナット6Cとを備える。ベースプレート6Bに形成されているボルト穴にスレッドボルトを通した後、ナット6Cを螺合することで、当て板部80を開閉部材34に固定することができるようになっている。本評価試験においては、当て板6Aは、フィルムロール300の側面を挟持する部材として機能する。フィルムロール300を積載していないラック1単体の重量は100kgである。
(1−2)振動試験
(1−1)で説明したラックに、各例で製造したフィルムロールを積載し、市販のランダム試験機(IMV社製、商品名「EMK1252/H15」)を用いて、ランダム振動試験を行った。ランダム振動試験を行うに際し、当て板6Aをフィルムロール300の側面に当接するように配してベースプレート6Bを固定した。ランダム振動試験の条件としては、フィルムロールを積載したラックに加わる最大加速度Gaが3.0Gとなる条件を採用した。具体的には、ランダム振動試験では、X軸方向に1時間、Y軸方向に1時間、及びZ軸方向に1時間の合計3時間にわたって、パワースペクトル密度0.4G2/Hzで、加振した。ランダム振動試験の間に、フィルムロールの巻き芯に加わった最大加速度Gbを測定したところ、2.0Gであった。最大加速度Gbは、ラックに積載したフィルムロールの巻き芯11に装着した加速度センサ(スリック社製のグラビティ ショック レコーダ「G−MEN DR 20」を用いて測定した。
(1−1)で説明したラックに、各例で製造したフィルムロールを積載し、市販のランダム試験機(IMV社製、商品名「EMK1252/H15」)を用いて、ランダム振動試験を行った。ランダム振動試験を行うに際し、当て板6Aをフィルムロール300の側面に当接するように配してベースプレート6Bを固定した。ランダム振動試験の条件としては、フィルムロールを積載したラックに加わる最大加速度Gaが3.0Gとなる条件を採用した。具体的には、ランダム振動試験では、X軸方向に1時間、Y軸方向に1時間、及びZ軸方向に1時間の合計3時間にわたって、パワースペクトル密度0.4G2/Hzで、加振した。ランダム振動試験の間に、フィルムロールの巻き芯に加わった最大加速度Gbを測定したところ、2.0Gであった。最大加速度Gbは、ラックに積載したフィルムロールの巻き芯11に装着した加速度センサ(スリック社製のグラビティ ショック レコーダ「G−MEN DR 20」を用いて測定した。
(2.解体検査)
振動試験を行った後のフィルムロールから100mごとに樹脂フィルムを巻きだして10m長さの樹脂フィルムをサンプリングし、当該サンプリングしたフィルムを暗室で高輝度ライトにて反射検査にて全面にわたって検査し、擦り傷の有無を観察し、評価を行った。
振動試験を行った後のフィルムロールから100mごとに樹脂フィルムを巻きだして10m長さの樹脂フィルムをサンプリングし、当該サンプリングしたフィルムを暗室で高輝度ライトにて反射検査にて全面にわたって検査し、擦り傷の有無を観察し、評価を行った。
[保存後のフィルムロールの欠陥の評価方法]
製造されたフィルムロールを、温度20℃〜25℃、湿度50%〜70%RHの環境下で、30日間保存した。その後、フィルムロールから長尺フィルムを引き出し、巻芯部(長尺フィルムのフィルム長手方向における、巻き芯に最も近い端部)から1000mの位置において、面積50m2のサンプルを切り取った。得られたサンプルの外観検査を行って、外観検査においては、サンプルに高輝度ランプで光を照射し、サンプルの表面を観察した。観察の結果、周囲よりも局所的に暗く観察される部分が無ければ光学欠陥が無いと判定し、周囲よりも局所的に暗く観察される部分があれば光学欠陥があると判定した。面積1m2当たりの光学欠陥の個数を求めて、以下の評価基準に基づき評価を行った。
製造されたフィルムロールを、温度20℃〜25℃、湿度50%〜70%RHの環境下で、30日間保存した。その後、フィルムロールから長尺フィルムを引き出し、巻芯部(長尺フィルムのフィルム長手方向における、巻き芯に最も近い端部)から1000mの位置において、面積50m2のサンプルを切り取った。得られたサンプルの外観検査を行って、外観検査においては、サンプルに高輝度ランプで光を照射し、サンプルの表面を観察した。観察の結果、周囲よりも局所的に暗く観察される部分が無ければ光学欠陥が無いと判定し、周囲よりも局所的に暗く観察される部分があれば光学欠陥があると判定した。面積1m2当たりの光学欠陥の個数を求めて、以下の評価基準に基づき評価を行った。
(評価基準)
A:欠陥の発生個数0.01個/m2未満
B:欠陥の発生個数0.01個/m2以上、0.1個/m2未満
C:欠陥の発生個数が0.1個/m2以上
A:欠陥の発生個数0.01個/m2未満
B:欠陥の発生個数0.01個/m2以上、0.1個/m2未満
C:欠陥の発生個数が0.1個/m2以上
[保存後のフィルムロールの芯ズレの量の測定方法]
巻き取り完了後のフィルムロールを、温度20℃〜25℃、湿度50%RH〜70%RHの環境において、30日間保管した。その後、巻き芯の鉛直上方でのフィルムロールの半径と、巻き芯の鉛直下方でのフィルムロールの半径とを測定し、両者の差(上下径差)を計算して芯ズレの量とした。芯ズレの量が1mm以下であれば、重力によるフィルムロールの落下が小さく、フィルムロールの外観が良好であると判断できる。
巻き取り完了後のフィルムロールを、温度20℃〜25℃、湿度50%RH〜70%RHの環境において、30日間保管した。その後、巻き芯の鉛直上方でのフィルムロールの半径と、巻き芯の鉛直下方でのフィルムロールの半径とを測定し、両者の差(上下径差)を計算して芯ズレの量とした。芯ズレの量が1mm以下であれば、重力によるフィルムロールの落下が小さく、フィルムロールの外観が良好であると判断できる。
[実施例1]
(1−1)長尺フィルムの用意
(未延伸フィルムの製造)
脂環式構造含有重合体樹脂(日本ゼオン社製「ZEONOR1420」)のペレットを100℃で5時間乾燥した。このペレットを押出機に供給し、押出機内で溶融させ、ポリマーパイプ及びポリマーフィルターを経て、Tダイからキャスティングドラム上にフィルム状に押出し、冷却して、長尺の未延伸フィルム(厚み80μm、幅1600mm)を得た。
(1−1)長尺フィルムの用意
(未延伸フィルムの製造)
脂環式構造含有重合体樹脂(日本ゼオン社製「ZEONOR1420」)のペレットを100℃で5時間乾燥した。このペレットを押出機に供給し、押出機内で溶融させ、ポリマーパイプ及びポリマーフィルターを経て、Tダイからキャスティングドラム上にフィルム状に押出し、冷却して、長尺の未延伸フィルム(厚み80μm、幅1600mm)を得た。
(易接着層の形成)
ウレタンの水分散体として、スーパーフレックス870(第一工業製薬社製、エーテル系ポリウレタン、Tg78℃、固形分30%)を用い、当該水分散体をポリウレタンが100部となる量だけ取り分けた。この水分散体に、エポキシ化合物であるグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製「デナコールEX−313」;エポキシ当量141g/eq)15部と、平均粒子径80nmのシリカ微粒子(日産化学工業社製「スノーテックスZL」)10部と、シリカ粒子の水分散液(日産化学社製「スノーテックスMP2040」;平均粒子径200nm)をシリカ粒子の量で2.5部と、非イオン系界面活性剤として4,7−ジヒドロキシ−2,4,7,9−テトラメチル−5−デシンのエチレンオキサイド付加物(日信化学工業社製「サーフィノール465」)と、水とを配合して、未硬化状態のウレタン樹脂として固形分濃度5%の液状の水系樹脂を塗布液として得た。ここで、非イオン系界面活性剤の添加量は、得られる水系樹脂に対し100ppmとなる量とした。
ウレタンの水分散体として、スーパーフレックス870(第一工業製薬社製、エーテル系ポリウレタン、Tg78℃、固形分30%)を用い、当該水分散体をポリウレタンが100部となる量だけ取り分けた。この水分散体に、エポキシ化合物であるグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製「デナコールEX−313」;エポキシ当量141g/eq)15部と、平均粒子径80nmのシリカ微粒子(日産化学工業社製「スノーテックスZL」)10部と、シリカ粒子の水分散液(日産化学社製「スノーテックスMP2040」;平均粒子径200nm)をシリカ粒子の量で2.5部と、非イオン系界面活性剤として4,7−ジヒドロキシ−2,4,7,9−テトラメチル−5−デシンのエチレンオキサイド付加物(日信化学工業社製「サーフィノール465」)と、水とを配合して、未硬化状態のウレタン樹脂として固形分濃度5%の液状の水系樹脂を塗布液として得た。ここで、非イオン系界面活性剤の添加量は、得られる水系樹脂に対し100ppmとなる量とした。
コロナ処理装置を用いて、前記の未延伸フィルムの片面に、放電処理を施した。この放電処理を施した面に、前記の塗布液を、乾燥厚みが0.2μmになるように塗布した。その後、加熱により塗布液の層を乾燥して、未延伸フィルム上に易接着層を形成した。これにより、未延伸フィルム及び易接着層を備える複層フィルムを得た。
(複層フィルムの延伸)
前記の複層フィルムを、延伸温度135℃で、長手方向及び幅方向にこの順で遂次二軸延伸して、長尺の延伸フィルムを得た。この際、長手方向の延伸倍率は1.15倍、幅方向の延伸倍率は1.40倍であった。こうして得られた延伸フィルムの平坦部の平均厚みは50μm、幅は1490mmであった。
前記の複層フィルムを、延伸温度135℃で、長手方向及び幅方向にこの順で遂次二軸延伸して、長尺の延伸フィルムを得た。この際、長手方向の延伸倍率は1.15倍、幅方向の延伸倍率は1.40倍であった。こうして得られた延伸フィルムの平坦部の平均厚みは50μm、幅は1490mmであった。
(ナール部の形成)
前記の延伸フィルムの幅方向の両端部に、レーザーマーカーを用いてレーザー光を照射することにより高さ7μm、径500μm、ピッチ1000μmの複数の凸部を形成して、ナール部を設けた。延伸フィルムにおいてナール部は、延伸フィルムの幅方向の縁からの距離が1mm〜11mmの範囲に幅10mmで形成した。以上のようにして、幅方向の両端部に設けられたナール部と、ナール部の間に設けられた凸部を有さない平坦部とを含む長尺フィルムを用意した。
前記の延伸フィルムの幅方向の両端部に、レーザーマーカーを用いてレーザー光を照射することにより高さ7μm、径500μm、ピッチ1000μmの複数の凸部を形成して、ナール部を設けた。延伸フィルムにおいてナール部は、延伸フィルムの幅方向の縁からの距離が1mm〜11mmの範囲に幅10mmで形成した。以上のようにして、幅方向の両端部に設けられたナール部と、ナール部の間に設けられた凸部を有さない平坦部とを含む長尺フィルムを用意した。
(1−2)長尺フィルムの巻き取り
上述した実施形態1で説明した構造を有するフィルムロール製造装置100(図1及び図2参照)を用いて、フィルムロールを製造した。製造装置100において、第1タッチロール120と中間巻回物300Aとの間隙を10mmとなるように設定した。第2タッチロール130を、巻き芯110の軸の位置を基準とした第1タッチロール120の軸の位置の角度方向に対して、巻き芯110の軸の位置を基準とした第2タッチロールによる押圧位置の角度方向がなす角θ1が90°となるように配置した。
上述した実施形態1で説明した構造を有するフィルムロール製造装置100(図1及び図2参照)を用いて、フィルムロールを製造した。製造装置100において、第1タッチロール120と中間巻回物300Aとの間隙を10mmとなるように設定した。第2タッチロール130を、巻き芯110の軸の位置を基準とした第1タッチロール120の軸の位置の角度方向に対して、巻き芯110の軸の位置を基準とした第2タッチロールによる押圧位置の角度方向がなす角θ1が90°となるように配置した。
フィルムロール製造装置100に、長尺フィルム200を供給し、第1タッチロール120に長尺フィルム200を巻き掛ける工程1と、第1タッチロール120に巻き掛けられた長尺フィルム200を、巻き芯110に巻き取る工程2と、巻き芯110に巻き取られた長尺フィルム200のナール部を、第2タッチロール130により押圧する工程3とを行って、フィルムロール300を製造した。この際、巻取張力を100N/m、巻き取り速度を80m/分、第2タッチロールが中間巻回物300を押圧する荷重を50N/m、巻き取り長さを3900mに設定した。その後、製造したフィルムロールを、上述した方法で評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例2〜5]
実施例1の(1−2)において、巻き取り速度、第2タッチロールが中間巻回物を押圧する荷重を、表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同じ操作を行い、フィルムロールの製造及び評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1の(1−2)において、巻き取り速度、第2タッチロールが中間巻回物を押圧する荷重を、表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同じ操作を行い、フィルムロールの製造及び評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1の(1−2)で用いたフィルムロール製造装置100に代えて、図6に示すフィルムロール製造装置400を用いて、フィルムロール500を製造した。まずフィルムロール製造装置400について説明する。フィルムロール製造装置400は、位置調整装置としてのアーム425と、第1タッチロール420と、長尺のフィルム200を巻き取る巻き芯410と、を備える。第1タッチロール420と中間巻回物との間隙は、アーム425により0mmとなるように設定されている。つまり、第1タッチロールによりフィルムロールを押圧した。
実施例1の(1−2)で用いたフィルムロール製造装置100に代えて、図6に示すフィルムロール製造装置400を用いて、フィルムロール500を製造した。まずフィルムロール製造装置400について説明する。フィルムロール製造装置400は、位置調整装置としてのアーム425と、第1タッチロール420と、長尺のフィルム200を巻き取る巻き芯410と、を備える。第1タッチロール420と中間巻回物との間隙は、アーム425により0mmとなるように設定されている。つまり、第1タッチロールによりフィルムロールを押圧した。
フィルムロール製造装置400に、長尺フィルム200を供給し、第1タッチロール420に長尺フィルム200を巻き掛ける工程と、第1タッチロール420に巻き掛けられた長尺フィルム200を、巻き芯410に巻き取る工程とを行って、フィルムロール500を製造した。この際、巻取張力を100N/m、巻き取り速度を80m/分、第1タッチロールが中間巻回物を押圧する荷重を50N/m、巻き取り長さを3900mに設定した。その後、製造したフィルムロールを、実施例1と同じ方法で評価した。評価結果を表2に示す。
[比較例2〜3]
比較例1において、第2タッチロールが中間巻回物を押圧する荷重を、表2に示すように変更したこと以外は比較例1と同じ操作を行い、フィルムロールの製造及び評価を行った。評価結果を表2に示す。
比較例1において、第2タッチロールが中間巻回物を押圧する荷重を、表2に示すように変更したこと以外は比較例1と同じ操作を行い、フィルムロールの製造及び評価を行った。評価結果を表2に示す。
表において、第2タッチロールを「使用」とは、第2タッチロールにより巻き芯に巻き取られたフィルムロールの押圧を行ったことを示し、第2タッチロールを「未使用」とは、第2タッチロールにより巻き芯に巻き取られたフィルムロールの押圧を行わなかったことを示す。表1及び表2において、略称の意味は、以下の通りである。
巻取張力:巻き取り開始時点での巻取張力。
第2タッチロールによる押圧力:巻き取り開始時点で設定された、第2タッチロールが製造途中のフィルムロールを押す荷重。
第1タッチロールによる押圧力:巻き取り開始時点で設定された、第1タッチロールが製造途中のフィルムロールを押す荷重。
巻取り長さ:各実施例及び比較例で製造したフィルムロールを製造するために巻き取った長尺フィルムの長さ。
凹凸:凹凸状の外観不良。
擦り傷:擦り傷の発生の有無。
欠陥:保存後のフィルムロールの欠陥の発生。
芯ずれ:保存後のフィルムロールの芯ずれの量。
巻取張力:巻き取り開始時点での巻取張力。
第2タッチロールによる押圧力:巻き取り開始時点で設定された、第2タッチロールが製造途中のフィルムロールを押す荷重。
第1タッチロールによる押圧力:巻き取り開始時点で設定された、第1タッチロールが製造途中のフィルムロールを押す荷重。
巻取り長さ:各実施例及び比較例で製造したフィルムロールを製造するために巻き取った長尺フィルムの長さ。
凹凸:凹凸状の外観不良。
擦り傷:擦り傷の発生の有無。
欠陥:保存後のフィルムロールの欠陥の発生。
芯ずれ:保存後のフィルムロールの芯ずれの量。
表1〜2から、実施例の製造方法により得られたフィルムロールでは、凹凸状の外観不良及び擦り傷が生じにくく、長期間保存しても当該フィルムロールに含まれる長尺フィルムに光学欠陥等の欠陥が生じ難いことが分かる。この結果から、本発明の製造方法によれば、外観不良を生じ難いフィルムロールを製造できることが確認された。
100…フィルムロールの製造装置
110…巻き芯
110P…巻き芯の中心
120…第1タッチロール
120P…第1タッチロールの中心
125…アーム
130…第2タッチロール
130P…第2タッチロールの中心
135…アーム
200…長尺フィルム
210…ナール部
211…凸部
212…凹部
213…長尺フィルムの縁
220…ナール部
221…凸部
222…凹部
223…長尺フィルムの縁
230…平坦部
300…フィルムロール
300A…製造途中のフィルムロール(中間巻回物)
301…中間巻回物の周面
310,320…フィルムロールの端部
330…中間部
400…比較例のフィルムロールの製造装置
410…巻き芯
420…第1タッチロール
425…アーム
500…フィルムロール
110…巻き芯
110P…巻き芯の中心
120…第1タッチロール
120P…第1タッチロールの中心
125…アーム
130…第2タッチロール
130P…第2タッチロールの中心
135…アーム
200…長尺フィルム
210…ナール部
211…凸部
212…凹部
213…長尺フィルムの縁
220…ナール部
221…凸部
222…凹部
223…長尺フィルムの縁
230…平坦部
300…フィルムロール
300A…製造途中のフィルムロール(中間巻回物)
301…中間巻回物の周面
310,320…フィルムロールの端部
330…中間部
400…比較例のフィルムロールの製造装置
410…巻き芯
420…第1タッチロール
425…アーム
500…フィルムロール
Claims (8)
- 巻き芯、及び前記巻き芯の周囲に巻回された長尺フィルムを含むフィルムロールの製造方法であって、
前記長尺フィルムは、前記長尺フィルムの幅方向の両端部に設けられ複数の凸部を有するナール部と、前記ナール部の間に設けられ前記凸部を有さない平坦部とを含み、
前記製造方法は、前記長尺フィルムを、製造途中の前記フィルムロールとの間に間隙を空けて設けた第1タッチロールに巻き掛ける工程1と、
前記第1タッチロールに巻き掛けられた前記長尺フィルムを、前記巻き芯に巻き取る工程2と、
前記工程2で、前記巻き芯に巻き取られた前記長尺フィルムの前記ナール部を、第2タッチロールにより押圧する工程3と、を順に含む、フィルムロールの製造方法。 - 前記第2タッチロールによる押圧を10N/m〜150N/mの荷重で行う、請求項1に記載のフィルムロールの製造方法。
- 前記第1タッチロールと、製造途中の前記フィルムロールとの間の間隙を30mm以下にして前記工程1を行う、請求項1または2に記載のフィルムロールの製造方法。
- 前記巻き芯の軸の位置を基準とした前記第1タッチロールの軸の位置の角度方向に対して、前記巻き芯の軸の位置を基準とした前記第2タッチロールによる押圧位置の角度方向がなす角θ1が、前記巻き芯の回転方向において180°以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルムロールの製造方法。
- 前記長尺フィルムの巻取速度が、10m/分〜150m/分である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルムロールの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルムロールの製造方法で用いる製造装置であって、
前記製造方法は、巻き芯、及び前記巻き芯の周囲に巻回された長尺フィルムを含むフィルムロールの製造方法であり、
前記長尺フィルムは、前記長尺フィルムの幅方向の両端部に設けられ複数の凸部を有するナール部と、前記ナール部の間に設けられ前記凸部を有さない平坦部とを含み、
前記製造装置は、製造途中の前記フィルムロールとの間に間隙を空けて設けられ、前記長尺フィルムを巻き掛ける第1タッチロールと、
前記第1タッチロールに巻き掛けた前記長尺フィルムを巻き取る前記巻き芯と、
前記巻き芯に巻き取られた前記長尺フィルムの前記ナール部を押圧する第2タッチロールと、を含む、フィルムロールの製造装置。 - 前記第1タッチロールと、製造途中の前記フィルムロールとの間の間隙が、30mm以下である、請求項6に記載のフィルムロールの製造装置。
- 前記第2タッチロールの配置位置は、前記巻き芯の軸の位置を基準とした前記第1タッチロールの軸の位置の角度方向に対して、前記巻き芯の軸の位置を基準とした前記第2タッチロールによる押圧位置の角度方向がなす角θ1が、前記巻き芯の回転方向において180°以下となる位置である、請求項6または7に記載のフィルムロールの製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020028735A JP2021134007A (ja) | 2020-02-21 | 2020-02-21 | フィルムロールの製造方法及び製造装置 |
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ID=77660136
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JP (1) | JP2021134007A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN116135756A (zh) * | 2023-03-15 | 2023-05-19 | 南通英韦尔新材料科技有限公司 | 一种新型水溶性薄膜卷以及水溶性薄膜的快速解卷方法 |
-
2020
- 2020-02-21 JP JP2020028735A patent/JP2021134007A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN116135756A (zh) * | 2023-03-15 | 2023-05-19 | 南通英韦尔新材料科技有限公司 | 一种新型水溶性薄膜卷以及水溶性薄膜的快速解卷方法 |
CN116135756B (zh) * | 2023-03-15 | 2024-05-14 | 南通英韦尔新材料科技有限公司 | 一种水溶性薄膜卷以及水溶性薄膜的快速解卷方法 |
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