JP2021132208A - 半導体装置およびその製造方法、ならびに無線通信装置 - Google Patents

半導体装置およびその製造方法、ならびに無線通信装置 Download PDF

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Abstract

【課題】フレキシブルで低コスト、且つ信頼性の高い半導体装置およびその製造方法、ならびにこの半導体装置を備えた無線通信装置を提供する。【解決手段】荷重たわみ温度が300℃以下の可撓性を有する絶縁性基材と、ゲート電極と、ソース電極と、前記ソース電極と離隔して設けられたドレイン電極と、前記ソース電極および前記ドレイン電極の一部と接するように設けられた半導体層と、前記半導体層と前記ゲート電極とを絶縁するゲート絶縁層と、を有するトランジスタを備えた半導体装置であって、前記半導体装置は整流回路またはスイッチ回路を備え、前記整流回路またはスイッチ回路の回路入力部または回路出力部にて前記トランジスタの2つ以上が電気的に並列接続される。【選択図】図2

Description

本発明は、半導体装置およびその製造方法、ならびにこの半導体装置を備えた無線通信装置に関する。
近年、非接触型のタグとして、RFID(Radio Frequency IDentifier)技術を用いた無線通信システムの開発が進められている。RFIDシステムにおいては、リーダ/ライタと呼ばれる無線送受信機とRFIDタグとの間で、無線通信が行われる。
RFIDタグは、ICチップ、およびリーダ/ライタと無線通信を行うためのアンテナを有し、アンテナがリーダ/ライタから送信される搬送波を受信することによって、ICチップ内の駆動回路が動作し、電波を用いてリーダ/ライタとの間の通信を行なう。具体的には、リーダ/ライタから発せられる電波によりアンテナに生じる交流電圧(高周波信号)を整流回路で整流して内部電源電圧を生成する。この内部電源電圧が、ICチップ内の内部回路に供給され、タグが動作する。RFIDタグからリーダ/ライタ間への通信は、例えば、RFIDタグの入力インピーダンスを変化させることにより、リーダ/ライタへ反射する電波の電力量を変化させることで行われる。この際、RFIDタグ内に、短絡状態と開放状態を切り替えることができるスイッチ回路を設け、このスイッチ回路の動作状態を変動させることにより、RFIDタグのアンテナインピーダンスを変化させる技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
RFIDタグは、種々の商品での使用が期待されている。RFIDタグを、あらゆる商品に利用するためには、製造コストを低減する必要がある。製造コストを低減するために、真空や高温を使用する従来の製造プロセスを改善して、塗布技術や印刷技術を用いた、フレキシブルで安価、かつ小型化可能な方法が検討されている。具体的に、ICチップ内の駆動回路に、半導体層として成形性に優れた有機半導体を用いた、電界効果型トランジスタ(以下、FET)が提案されている。
FETとしては、基板上に、ソース電極およびドレイン電極と、半導体層とが設けられ、それぞれの上層にゲート絶縁層、およびゲート電極が順次積層されたトップゲート構造、ならびに基板上に、ゲート電極およびゲート絶縁層が順次積層され、それぞれの上層に、ソース電極およびドレイン電極と、半導体層とが設けられたボトムゲート構造が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2においては、基板上に半導体層を形成する際に、有機半導体材料を含む液体を基板上に塗布した後に、固化および硬化させる方法、いわゆる塗布法が用いられている。
この塗布法においては、有機半導体をインクとして利用することによって、インクジェット技術やスクリーニング技術などにより、可撓性を有する絶縁性基材上に回路パターンを直接形成することが可能になる。また、大気中での使用が可能であることから、半導体層の形成工程の簡易化、およびトランジスタの低コスト化を実現できる。そこで、従来の無機半導体に代わり、有機半導体や、塗布法を用いて製造する場合に好適なカーボンナノチューブ(CNT)を用いたFETが検討されている(例えば、特許文献3を参照)。
特開2015−159656号公報 特開2004−6782号公報 国際公開第2009/139339号
一方、無線通信システムにおいては、リーダ/ライタにより複数のRFIDタグを同時に読み取る場合、リーダ/ライタとそれぞれのRFIDタグとの間の距離(以下、通信距離と記す)は同一とならず、通信距離は時々刻々と変化する。一般に電力は、電力が放射される点から電力の測定点までの距離の二乗に比例して減衰する。つまり、通信距離によってリーダ/ライタからRFIDタグへ供給される電力は異なる。
そのため、特にリーダ/ライタとRFIDタグが接触しているときなど通信距離が極端に短い場合には、RFIDタグに大電力が供給されてしまう。大電力がRFIDタグに供給された場合には、発熱し、電気特性の変動さらには破壊される可能性がある。特に樹脂フィルム等の可撓性を有する絶縁性基材を用いた場合は、基材の融解、焼失など、より顕著となる。
本発明は、以上のような課題を鑑みてなされたものであり、フレキシブルで低コスト、且つ信頼性の高い半導体装置およびその製造方法、ならびにこの半導体装置を備えた無線通信装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る半導体装置は、荷重たわみ温度が300℃以下の可撓性を有する絶縁性基材と、ゲート電極と、ソース電極と、前記ソース電極と離隔して設けられたドレイン電極と、前記ソース電極および前記ドレイン電極の一部と接するように設けられた半導体層と、前記半導体層と前記ゲート電極とを絶縁するゲート絶縁層と、を有するトランジスタを備えた半導体装置であって、前記半導体装置は整流回路またはスイッチ回路を備え、前記整流回路またはスイッチ回路の回路入力部または回路出力部にて前記トランジスタの2つ以上が電気的に並列接続される。
本発明の一態様に係る半導体装置は、上記の発明において、前記ゲート電極、前記ソース電極、前記ドレイン電極のいずれかが、導電体と有機成分を含む導電性ペースト材から構成される。
本発明の一態様に係る半導体装置は、上記の発明において、2つ以上電気的に並列接続される前記トランジスタの前記半導体層は互いに独立である。
本発明の一態様に係る半導体装置は、上記の発明において、前記整流回路または前記スイッチ回路が、回路入力部または回路出力部にて周波数が1MHz以上の高周波信号を処理する。
本発明の一態様に係る半導体装置は、上記の発明において、前記トランジスタのチャネル長が1〜50μmであり、かつ2つ以上電気的に並列接続される前記トランジスタのチャネル幅の総計が100〜50000μmである。
本発明の一態様に係る半導体装置は、上記の発明において、2つ以上電気的に並列接続される前記トランジスタのチャネル幅が2000μm以下である。
本発明の一態様に係る半導体装置は、上記の発明において、3つ以上電気的に並列接続される前記トランジスタは直線上に配置される。
本発明の一態様に係る半導体装置は、上記の発明において、前記半導体層は、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン、および有機半導体からなる群より選ばれる1種以上を含有する。
本発明の一態様に係る半導体装置は、上記の発明において、前記半導体層は、表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したカーボンナノチューブからなる。
本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法は、上記の発明による半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、2つ以上電気的に並列接続される前記トランジスタを、可撓性を有する絶縁性基材上に塗布法で形成する。
本発明の一態様に係る無線通信装置は、上記の発明による半導体装置と、電波を送受信するアンテナと、を備える。
本発明によれば、フレキシブルで低コスト、且つ信頼性の高い半導体装置およびその製造方法、ならびにこの半導体装置を備えた無線通信装置を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る無線通信装置の構造を示す模式図である。 図2は、本発明の実施の形態1に係る無線通信装置が備える倍電圧整流回路を示す回路図である。 図3は、本発明の実施の形態に係る無線通信装置が備えるダイオード接続された電界効果型トランジスタが電気的に並列接続された構成を示す断面図である。 図4は、本発明の実施の形態1に係る無線通信装置が備える電界効果型トランジスタが電気的に並列接続された構成を示す断面図である。 図5は、トランジスタにおけるチャネル長とチャネル幅を模式的に示す平面図である。 図6は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の構造を示す模式図である。 図7は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置の構造を示す模式図である。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る半導体装置、半導体装置の製造方法、無線通信装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、図面は模式的なものである。また、本発明は以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。
(実施の形態1:無線通信装置)
本発明の実施の形態1を説明する。ここでは、本実施の形態1に係る半導体装置が適用される代表的な例として無線通信装置を挙げる。図1は、実施の形態1に係る無線通信装置の構造を示す模式図である。同図に示す無線通信装置1は、アンテナ2、整流回路3、内部回路4、および、スイッチ回路5から構成されている。アンテナ2は整流回路3の入力側に接続され、整流回路3の出力側は、内部回路4の入力側に接続され、内部回路4の出力側は、スイッチ回路5の入力側に接続され、スイッチ回路5の出力側はアンテナ2に接続されている。
アンテナ2は、リーダ/ライタとの間で電波を送受信するものである。アンテナ2は、ダイポールアンテナ、ループアンテナ、パッチアンテナなど、一般的に使用されうるものであればいかなるものでもよい。図1に示すアンテナ2はL字状をなしているが、これは一例であり、アンテナ2を構成する材料や、アンテナ2の形状は、特に限定はされない。
アンテナ2の形成方法としては、特に制限はなく、例えば、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、メッキ、CVD(Chemical Vapor Deposition)、イオンプレーティングコーティング、インクジェット、印刷などの公知技術を用いた方法が挙げられる。
また、アンテナを構成する材料からなる塗布液を利用する塗布法も挙げられる。塗布法の具体例としては、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法などの技術で、絶縁基板上に塗布液を塗布し、オーブン、ホットプレート、赤外線などを用いて乾燥を行い形成する方法などが挙げられる。塗布法は、製造コストや大面積への適合性の観点から、好ましい。
さらに、上記方法で作製した導電膜を公知のフォトリソグラフィー法などで所望の形状にパターン形成してもよいし、あるいは蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターン形成してもよい。
整流回路3は、アンテナ2が受信した電波を整流して電圧を生成する。この電圧は、内部回路電源電圧として内部回路4などに供給される。
整流回路3はいわゆる半波整流回路や全波整流回路など、公知の整流回路であればいかなる構成でも良い。例えば、図2に示す倍電圧整流回路10を用いても良い。倍電圧整流回路10は、ダイオード11〜14、およびキャパシタ15〜17から構成されている。倍電圧整流回路10の入力端子A、Bには、図示しないアンテナが接続されており、出力端子C、Dは、図示しない内部回路に接続されている。
整流回路3を構成するダイオード素子は、回路入力部又は回路出力部にて2つ以上電気的に並列接続されていれば、公知のダイオード素子のいかなるものでも良く、さらに本発明の半導体装置を好適に利用することができる。例えば図3に示すように、2素子が電気的に並列接続され、かつそれぞれがダイオード接続された電界効果型トランジスタ20(a)、20(b)でも良い。ダイオード接続された電界効果型トランジスタ20は、ソース電極21、ゲート電極22、ドレイン電極23、絶縁性基材24、絶縁層25および半導体層26を有する。ゲート電極22は、絶縁層25によりソース電極21と電気的に絶縁されており、例えばドレイン電極23とは配線27により電気的に接続され、さらに2つの電界効果型トランジスタ20(a)、20(b)は配線28により電気的に接続されている。半導体層26は、ソース電極21およびドレイン電極23の間に形成されている。
図3に示すダイオード接続された電界効果型トランジスタ20は、いわゆるボトムコンタクトボトムゲート型構造であるが、ボトムコンタクトトップゲート型、トップコンタクトボトムゲート型、トップコンタクトトップゲート型など他の構造でも良い。各電極、基板、絶縁層の材料は、いかなるものでも良く、それぞれ膜厚、幅などは任意である。
絶縁性基材24には、荷重たわみ温度が300℃以下の樹脂を用いることが好ましい。荷重たわみ温度300℃以下の樹脂は、品質が安定した安価な樹脂であり、事業性の高い半導体装置を実現することができる。さらに、絶縁性基材24には、荷重たわみ温度が70℃以上の樹脂を用いることがより好ましく、90℃以上の樹脂を用いることがさらに好ましい。何故ならば、絶縁性基材24上に形成される各部材を塗布法で形成する場合において、絶縁性基材24の荷重たわみ温度が高いほど、塗布後の乾燥温度を高くすることができ、製造タクトを短縮することができるからである。荷重たわみ温度300℃以下の樹脂として例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)等を用いることができる。
ここで「荷重たわみ温度」とは、JIS K7191−1,2(ISO 75−1,2)に規定される荷重1.8MPaの試験法に準拠して測定し、温度の上昇に伴い、樹脂の試験片のたわみが規定のたわみに達したときの温度であり、可撓性を有する絶縁性基材を構成する樹脂が熱変形する温度(耐熱性)を意味している。より具体的には、試験はフラットワイズ方式で、測定装置(東洋精機社製、HOT TESTER 3M−2)を用い、1.8MPaで荷重し、0.34mm変動したときの温度を荷重たわみ温度とした。
ソース電極21、ゲート電極22、ドレイン電極23、および配線(図示せず)のいずれかが、導電体と有機成分を含む導電性ペースト材から構成されることが好ましい。導電体と有機成分を含む導電性ペースト材は粒径が数nmから数十μmの導電体粒子を有機樹脂に溶解または分散させた導電性のペースト材を選択的に印刷することによって設けることができ、工程の簡略化による低コスト化により、事業性の高い半導体装置を実現することができる。また導電体と感光性有機成分を含有した感光性ペースト材から構成されることがさらに好ましい。
導電体粒子としては、電極として使用されうる導電材料であればいかなるものでもよいが、具体的には、金、銀、銅、白金、鉛、錫、ニッケル、アルミニウム、タングステン、モリブデン、酸化ルテニウム、クロム、チタン、およびインジウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属粒子、およびカーボンが好ましい。これらを単独で用いても、混合して用いても、これらの複数の金属からなる合金を含む金属粒子を用いても良い。これらの中でも導電性の観点から、金、銀、銅または白金の粒子が好ましい。中でも、コストおよび安定性の観点から銀の粒子がより好ましい。また、塗布膜の低温キュア時の抵抗率低減の観点からは、金属粒子に加えてカーボンブラックを含むことがさらに好ましい。また感光性有機成分は、分子内に重合性不飽和基を有するモノマー、オリゴマーもしくはポリマーを含むものが好ましく、分子内に重合性不飽和基を有するモノマーとしては、活性な炭素−炭素不飽和二重結合を有する化合物を用いることができる。官能基として、ビニル基、アリル基、アクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基を有する単官能および多官能化合物が応用できる。
ソース電極21、ゲート電極22、ドレイン電極23、および配線が導電性ペーストから構成されない場合は、一般的に電極として使用される導電材料であれば、いかなるものを採用してもよい。例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)などの導電性金属酸化物;白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、パラジウム、モリブデン、アモルファスシリコンやポリシリコンなどの金属やこれらの合金;ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質;ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン;ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体など;ヨウ素などのドーピングなどで導電率を向上させた導電性ポリマーなど;炭素材料など;および有機成分と導電体を含有する材料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの電極材料は、単独で用いてもよいが、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。
また、ソース電極21、ゲート電極22、ドレイン電極23、および配線の形成方法としては、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、メッキ、CVD、イオンプレーティングコーティング、インクジェット、または印刷などの公知技術を用いた方法や、上述した有機成分および導電体を含むペーストを、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、または浸漬引き上げ法などの公知の技術で絶縁基板上に塗布し、オーブン、ホットプレート、または赤外線などを用いて乾燥を行って形成する方法などを挙げることができるが、導通可能な状態に形成できれば特に限定されるものではない。
また、電極および配線のパターンの形成方法としては、上述した方法により作製した電極薄膜を、公知のフォトリソグラフィー法などによって所望の形状にパターン形成してもよいし、または電極および配線物質を蒸着させたりスパッタリングによって形成したりする際に、所望の形状のマスクを介してパターン形成してもよい。また、インクジェット法や印刷法を用いて直接パターンを形成する方法を採用してもよい。
また、ゲート電極22、またはソース電極21とドレイン電極23のいずれかが、アンテナ2形成時に一括に形成され、アンテナ2と同一平面上にあってもよい。
絶縁層の形成方法としては、特に制限はないが、例えば、絶縁層を形成する材料を含む組成物を基板に塗布し、乾燥することで得られたコーティング膜を必要に応じ熱処理する方法が挙げられる。塗布方法としては、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などの公知の塗布方法が挙げられる。コーティング膜の熱処理の温度としては、70〜300℃の範囲にあることが好ましく、90〜300℃の範囲にあることがより好ましく、100〜300℃の範囲にあることがさらに好ましい。また、コーティング膜の熱処理の温度は、絶縁性基材の変形を避けるという観点から、絶縁性基材の荷重たわみ温度以下の範囲であることが好ましい。
半導体層の材料も特に限定されず、単体半導体、化合物半導体、有機半導体、ナノカーボン材料など、何であっても良いが、良好な電気特性や応答性の速さ、塗布形成による低コスト化が可能なことなどから、有機半導体やナノカーボン材料が好ましく、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン、および有機半導体からなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。また有機半導体やナノカーボン材料から校正される半導体層の移動度は、高周波信号に対応するため、50〜300cm2/V・sの範囲であることが好ましい。
よって整流回路3が半導体塗布層を有する整流素子を含むことが好ましく、さらには表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したカーボンナノチューブ(CNT)複合体を含む半導体層を有する整流素子を含むことが好ましい。CNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着した状態とは、CNTの表面の一部、あるいは全部を共役系重合体が被覆した状態を意味する。共役系重合体がCNTを被覆できるのは、両者の共役系構造に由来するπ電子雲が重なることによって相互作用が生じるためと推測される。CNTが共役系重合体で被覆されているか否かは、被覆されたCNTの反射色が被覆されていないCNTの色から共役系重合体の色に近づくことで判断できる。定量的にはX線光電子分光(XPS)などの元素分析によって、付着物の存在とCNTに対する付着物の重量比を同定することができる。
また、CNTへの付着のしやすさから、共役系重合体の重量平均分子量が1000以上であることが好ましい。ここで、共役系重合体とは、繰り返し単位が共役構造をとり、重合度が2以上の化合物を指す。
CNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体を付着させることにより、CNTの保有する高い電気的特性を損なうことなくCNTを溶液中に均一に分散することが可能になる。また、CNTが均一に分散した溶液から塗布法により、均一に分散したCNT膜を形成することが可能になる。これにより、高い半導体特性を実現できる。
CNTに共役系重合体を付着させる方法は、(I)溶融した共役系重合体中にCNTを添加して混合する方法、(II)共役系重合体を溶媒中に溶解させ、この中にCNTを添加して混合する方法、(III)CNTを溶媒中に超音波等で予備分散させておき、そこへ共役系重合体を添加し混合する方法、(IV)溶媒中に共役系重合体とCNTを入れ、この混合系へ超音波を照射して混合する方法などが挙げられる。本発明では、いずれの方法を用いてもよく、複数の方法を組み合わせてもよい。
共役系重合体としては、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体などが挙げられるが、特に限定されない。共役系重合体は単一のモノマーユニットが並んだものが好ましく用いられるが、異なるモノマーユニットをブロック共重合したもの、ランダム共重合したものも用いられる。また、グラフト重合したものも用いることができる。
半導体層の形成方法としては、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、CVDなど乾式の方法を用いることも可能であるが、製造コストや大面積への適合の観点から、塗布法を用いることが好ましい。具体的には、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などを好ましく用いることができ、塗膜厚み制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択できる。また、形成した塗膜に対して、大気下、減圧下または窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下でアニーリング処理を行ってもよい。
キャパシタ15〜17は、一般的に使用されるものであればよく、用いられる材料、形状は特に限定はされない。キャパシタの形成方法としては、特に制限はないが、例えば、前記電極および絶縁層の形成方法と同一のものが挙げられる。また、各キャパシタの容量値は適宜選択すれば良い。
整流回路3は、レギュレーターなどを含む電源電圧制御回路をさらに備えていても良い。電源電圧制御回路は、整流回路3で整流された電圧を安定化させ、内部電源電圧を安定化させるものであり、回路構成、材料、形状などは一般的に使用されるものであればいかなるものでも良く、さらにはその回路入力部または回路出力部にてトランジスタが2つ以上電気的に並列接続されていても良い。このトランジスタは公知のトランジスタのいかなるものでも良く、例えば電界効果型トランジスタ20でも良い。
内部回路4は、制御回路、記憶回路、復調回路などを含む。整流回路3から供給される電源電圧により駆動し、リーダ/ライタから送信されるコマンドに応じた動作を行う。例えば、リーダ/ライタから送信される各種コマンドなどを復調してデジタル信号に変換し、コマンド判定を行い、必要に応じて記憶回路からデータの読み出し/書き込みを行う。その応答データに応じてスイッチ回路5を動作させる。
制御回路、記憶回路、復調回路などの回路構成は、一般的に使用されるものであればよく、用いられる材料、形状は特に限定はされない。なお、記憶回路は、たとえば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリからなり、各種データなどが格納されている。
スイッチ回路5は、内部回路4の出力信号を受けてON/OFFの状態が切り替わり、それに伴いアンテナ2のインピーダンスが変動し、リーダ/ライタへ反射する電波の電力量が変化することで通信が行われる。図1に示すスイッチ回路5はアンテナ2と接しているが、これは一例であり、アンテナインピーダンスを変化させるのであればアンテナ2と接していなくてもよい。
スイッチ回路5を構成するスイッチ素子は、回路入力部又は回路出力部にて2つ以上電気的に並列接続されており、かつ内部回路4の動作に応じてON状態とOFF状態が切り替わるものであれば、公知のトランジスタのいかなるものでも良く、例えば図4に2素子が電気的に並列接続された電界効果型トランジスタ30(a)、30(b)を示す。電界効果型トランジスタ30は、ソース電極31、ゲート電極32、ドレイン電極33、絶縁性基材34、絶縁層35および半導体層36を有する。ゲート電極32は、絶縁層35によりソース電極31およびドレイン電極33と電気的に絶縁されている。半導体層36は、ソース電極31およびドレイン電極33の間に形成されている。ゲート電極32は、内部回路4の出力側と配線37により電気的に接続し、さらに2つの電界効果型トランジスタ30(a)、30(b)は配線38により電気的に接続されている。ドレイン電極33はアンテナ2と接続し、ソース電極31は基準電位に接続されている。しかしながらこれは一例であり、アンテナインピーダンスを変化させるのであればよく、例えばスイッチ回路5が、負荷Zとスイッチ素子とを備え、内部回路4の動作に応じて負荷Zを選択的に接続する(有効化する)ことによってアンテナインピーダンスを変化させるいわゆる負荷変調方式でもよい。負荷変調方式での負荷Zは、例えば、所定の抵抗値を有する抵抗で構成される。
図4に示す電界効果型トランジスタ30は、いわゆるボトムコンタクトボトムゲート型構造であるが、ボトムコンタクトトップゲート型、トップコンタクトボトムゲート型、トップコンタクトトップゲート型など他の構造でも良い。各電極、基板、絶縁層の材料は、いかなるものでも良く、それぞれ膜厚、幅などは任意である。
また、半導体層36の材料も特に限定されず、単体半導体、化合物半導体、有機半導体、ナノカーボン材料など、何であっても良いが、良好な電気特性や応答性の速さ、塗布形成による低コスト化が可能なことなどから、有機半導体やナノカーボン材料が好ましい。特に表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したカーボンナノチューブ複合体を含む材料から構成するのが好ましい。
その他、電界効果型トランジスタ30に用いられる材料や、電界効果型トランジスタ30を構成する各層の形成方法は、電界効果型トランジスタ20におけるものと共通する。
またFETなどのトランジスタにおいて、図5に示すように半導体層におけるキャリアが移動する領域となるソース電極41とドレイン電極43が対向するチャネル領域45での、キャリアの移動方向の長さ、すなわちソース電極41とドレイン電極43との間の距離をチャネル長L、ソース電極41とドレイン電極43との間においてチャネル長Lの方向と直交する方向に沿った長さをチャネル幅Wと言う。
従来技術では、整流回路3、スイッチ回路5ともに、シリコンなど移動度が十分に高い半導体材料により半導体層が構成され、かつ耐熱性のある基材上に形成されている。しかし、整流回路3、スイッチ回路5ともにシリコンに比べ移動度で劣る、すなわち抵抗値が高い有機半導体材料により半導体層が構成され、さらに可撓性基材上に形成されたとき、従来通りの回路構成にて大電力を入力すると、発熱による基材の融解、焼失が引き起こされた。
この点に関して、本発明者が鋭意検討を行った結果、トランジスタが回路入力部または回路出力部にて2つ以上電気的に並列接続される整流回路またはスイッチ回路を備える構成を案出した。これにより従来技術に比して、大電力がRFIDタグに供給された場合の発熱を抑制し、発熱による可撓性基材の融解、焼失を抑制することができ、通信距離が極端に短い場合でもRFIDタグが正常に動作した。したがって、フレキシブルで低コスト、且つ信頼性の高い半導体装置を実現することができた。
低コスト化による事業性の高い半導体装置を実現するにあたっては、絶縁性基材には荷重たわみ温度300℃以下の樹脂を用いることが好ましく、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、配線のいずれかが、導電体と有機成分を含む導電性ペースト材から構成されることが好ましい。さらには製造コストや大面積への適合性の観点から、荷重たわみ温度300℃以下の絶縁性基材上に塗布によりトランジスタが形成されることが好ましい。
具体的には、インクジェットなどの低コスト化が可能な塗布法により、2つ以上電気的に並列接続されるトランジスタの半導体層を互いに独立に形成することで、発熱を分散でき、発熱による可撓性基材の融解、焼失を抑制しつつ、整流回路またはスイッチ回路が回路入力部または回路出力部にて周波数が1MHz以上の高周波信号を処理することができた。ここで「互いに独立」とは、半導体層同士が直接接触していないことを意味する。さらには製造工程の観点から、3つ以上電気的に並列接続されるトランジスタは直線上に配置されることが好ましい。
また、RFIDタグにおいて、整流回路3、スイッチ回路5ともに13.56MHzや920MHzの高周波信号(電波)を処理することが必要とされるが、シリコンに比べ移動度で劣る、すなわち抵抗値が高い有機半導体材料により半導体層が構成されとき、高周波信号を処理することが困難であった。
そこで、本発明者は鋭意検討を行い、トランジスタのチャネル長Lが1〜50μmであり、かつ2つ以上電気的に並列接続される前記トランジスタのチャネル幅Wの総計が100〜50000μmであることが好ましいことを見いだした。これにより、13.56MHzや920MHzの高周波信号(電波)を処理することができ、無線通信が可能な半導体装置を実現することができた。
チャネル長Lでオン電流とオンオフ比を、チャネル幅Wの総計でオン電流とチャネルの寄生容量をそれぞれ制御することで高周波動作に必要な特性を得ることができた。さらに具体的には、2つ以上電気的に並列接続されるトランジスタのチャネル幅Wを2000μm以下にすることで、トランジスタのオン電流を制御し、特定のトランジスタに過電流が生じることを回避し、発熱による電気特性の変動、さらには可撓性基材の融解、焼失を抑制することができた。
(実施の形態2:整流回路)
本発明の実施の形態2に係る半導体装置50は、図6に示すように、整流回路3a、内部回路4aから構成され、整流回路3aは交流信号源7aと接続される回路入力部にてトランジスタが2つ以上電気的に並列接続されている。整流回路3aは交流信号を整流して電圧を生成する。この電圧は、内部回路電源電圧として内部回路4aなどに供給され、内部回路4aを駆動させる。整流回路3aの構成は、実施の形態1で説明した整流回路3の構成と同様の構成である。
整流回路3aはいわゆる半波整流回路や全波整流回路など、公知の整流回路であればいかなる構成でも良い。例えば、図2に示す倍電圧整流回路10を用いても良い。また、整流回路3aは、ダイオード接続された電界効果型トランジスタ20を含んでいても良い。また整流回路3aを構成するダイオード素子は、回路入力部又は回路出力部にて2つ以上電気的に並列接続されていれば、公知のダイオード素子のいかなるものでも良い。
半導体装置50のように、回路入力部にてトランジスタが2つ以上電気的に並列接続される整流回路3aを備えることで、大電力が供給された場合の発熱を抑え、フレキシブルで低コスト、且つ信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
(実施の形態3:スイッチ回路)
本発明の実施の形態3に係る半導体装置60は、図7に示すように、内部回路4b、スイッチ回路5bから構成され、スイッチ回路5bは交流信号源7bと接続される回路出力部にてトランジスタが2つ以上電気的に並列接続されている。スイッチ回路5bは交流信号をスイッチングにより制御することで、外部回路8bの動作を制御する。スイッチ回路5bの構成は、実施の形態1で説明したスイッチ回路5の構成と同様である。
スイッチ回路5bを構成するスイッチ素子は、回路出力部にて2つ以上電気的に並列接続されており、かつ内部回路4bの動作に応じてON状態とOFF状態が切り替わるものであれば、公知のトランジスタのいかなるものでも良く、例えばダイオード接続された電界効果型トランジスタ30でも良い。
半導体装置60のように、回路出力部にてトランジスタが2つ以上電気的に並列接続されるスイッチ回路5bを備えることで、大電力を制御する場合の発熱を抑え、フレキシブルで低コスト、且つ信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
(半導体装置の適用可能性)
本発明の実施の形態に係る半導体装置は、各種電子機器のIC、RFIDタグなどの無線通信装置、無線給電装置、フレキシブルセンサ、ウェアラブルデバイス、開封検知システム、などに適用可能である。
<無線通信装置>
本発明の半導体装置を有する無線通信装置について説明する。この無線通信装置は、例えば商品タグ、万引き防止タグ、各種チケットやスマートカードのような、無線電波を用いて情報の通信を行う装置である。
本発明の実施の形態に係る無線通信装置は、上述の半導体装置と、アンテナと、を少なくとも有するものである。当該無線通信装置の、より具体的な構成としては、例えば、図1に示したようなものが挙げられる。
<商品タグ>
上記無線通信装置の用途は特に制限はないが、例えば商品タグへ適用することができる。商品タグとしては公知のものを用いることができ、例えば基体と、この基体によって被覆された上記無線通信装置とを有しているものが挙げられる。識別情報返信機能を備えた商品タグに適用すれば、商品の精算レジにおいて、非接触で多数の商品を同時に識別することが可能となる。それゆえ、バーコードでの識別と比較して、決済処理の容易化や迅速化を図ることができる。
また、例えば、商品の会計の際に、リーダ/ライタが、商品タグから読み取った商品情報をPOS(Point of sale system、販売時点情報管理)端末に送信することが可能である。この機能により、POS端末において、その商品情報によって特定される商品の販売登録をすることもできるため、在庫管理の容易化や迅速化を図ることができる。
<ウェアラブルデバイス>
本発明の半導体装置を有するウェアラブルデバイスについて説明する。このウェアラブルデバイスは、例えば心電信号や、筋電信号、脳波信号等を計測し処理する装置である。このウェアラブルデバイスは、上述の半導体装置と、インピーダンス、リアクタンス、電圧、または電流の変化などの情報をアナログ値で出力するセンサと、を少なくとも有するものである。本発明の実施の形態に係るウェアラブルデバイスは、例えば、ウェアラブル生体センサやスマートウォッチ、スマートグラス等などに用いることができる。
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。実施例における各評価法を以下の[1]〜[2]で説明する。
[1]重量平均分子量測定
ポリマーの重量平均分子量は、サンプル溶液を孔径0.45μmメンブレンフィルターで濾過後、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー、東ソー社製、HLC−8220GPC)(展開溶剤:テトラヒドロフラン、展開速度:0.4ml/分)を用いて測定し、ポリスチレン標準試料との比較により、ポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。
[2]半導体装置の発熱特性の評価
電波を送受信するアンテナを備えた整流回路(レクテナ:整流回路には整合用インダクタLと負荷抵抗Rを接続している)を1Wの電波(920MHz)を出力するリーダ/ライタの送信アンテナから距離5cmに置き、その際の発熱特性を測定した。測定には赤外線サーモグラフィーSC620(FLIR社製)を用い、常温大気下で測定した。
(実施例1)
(1)半導体溶液の作製
純度が95%のCNT1(CNI社製、単層CNT)を1.5mgと、ドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を1.5mgとを、30mlの水中に加え、氷冷しながら超音波ホモジナイザーを用いて、出力を250Wとして3時間超音波撹拌し、溶媒に対するCNT複合体濃度が0.05g/lのCNT複合体分散液を得た。得られたCNT複合体分散液を、遠心分離機(日立工機社製、CT15E)を用いて、21000Gで30分間遠心分離した後、上澄みの80体積%を取り出すことによって半導体溶液を得た。
(2)ゲート絶縁層材料の作製
メチルトリメトキシシラン(以下、MTMSiという)を61.29g(0.45mol)、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(以下、β−EpETMSiという)を12.31g(0.05mol)、およびフェニルトリメトキシシラン(以下、PhTMSiという)を99.15g(0.5mol)用いて、203.36gの容量の沸点が170℃のプロピレングリコールモノブチルエーテルに溶解させた。これに、水を54.90g、リン酸を0.864g、撹拌しながら加えた。得られた溶液を、バス温を105℃として2時間加熱し、内温を90℃まで上昇させて、主として副生するメタノールからなる成分を留出した。次に、バス温を130℃として2.0時間加熱し、内温を118℃まで上昇させて、主として水とプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる成分を留出せしめた後、室温まで冷却し、固形分濃度が26.0質量%のゲート絶縁層材料Aを得た。ゲート絶縁層材料Aを10gだけ量り取り、アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノ(2,4−ペンタンジオナート)(商品名「アルミキレートD」、川研ファインケミカル社製、以下、アルミキレートDという)13gと、沸点が146℃のプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(アルドリッチ社製、以下、PGMEAという)42gとを混合して、室温にて2時間撹拌し、固形分濃度が24重量%のゲート絶縁層材料Bを得た。本溶液中の上述したポリシロキサンの含有量は、アルミキレートDが100重量部に対して20重量部であった。上述したゲート絶縁層材料Bを、大気中かつ室温で保存したところ、1か月経過しても析出物は観察されず安定であることが確認された。
(3)トランジスタの作製
次に、トランジスタの製造方法の一例について説明する。チャネル長Lが10μm、チャネル幅Wの総計が6000μmとなるよう単体のトランジスタ、または2つ以上電気的に並列接続されたトランジスタを作製した。すなわち、例えば、厚さが0.05mmのPET製の絶縁性基材上に、例えば抵抗加熱法により、マスクを通してクロム(Cr)を5nmおよび金を50nmの膜厚に真空蒸着することにより、ゲート電極を形成する。次に、上述した方法によって作製したゲート絶縁層材料Bを、ゲート電極が形成されたPET基材上に、800rpmの回転数で20秒間、スピンコート塗布した後、120℃の温度で5分間熱処理を行う。次に、ゲート絶縁層材料Bを再度、800rpmの回転数で20秒間、スピンコート塗布した後、窒素(N2)気流下において、200℃の温度で30分間熱処理を行うことによって、膜厚が400nmのゲート絶縁層を形成した。
次に、ゲート絶縁層上に、抵抗加熱法により、金(Au)を50nmの膜厚になるように真空蒸着する。形成されたAu層上に、フォトレジスト(商品名「LC100−10cP」、ローム・アンド・ハース社製)を、1000rpmの回転数で20秒間、スピンコート塗布し、100℃の温度で10分間、加熱乾燥させた。形成したフォトレジスト膜を、パラレルライトマスクアライナー(キヤノン社製、PLA−501F)を用いて、マスクを介してパターン露光した後、自動現像装置(滝沢産業社製、AD−2000)において、濃度が2.38質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(商品名「ELM−D」、三菱ガス化学社製)を用いて、70秒間シャワー現像し、続いて30秒間、水による洗浄を行った。
次に、エッチング液(商品名「AURUM−302」、関東化学社製)を用いて、5分間エッチング処理した後、30秒間、水による洗浄を行った。次に、レジスト剥離液(商品名「AZリムーバ100」、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)に5分間浸漬させることにより、レジストを剥離し、30秒間の水洗浄を行った後、120℃の温度で20分間加熱乾燥を行った。これによって、ソース電極およびドレイン電極が形成された。ソース電極およびドレイン電極が形成された絶縁性基材上に、上述した方法によって作製した半導体溶液を、インクジェット装置(クラスターテクノロジー社製)を用いて400plの量で滴下して半導体層を形成した。その後、ホットプレート上で窒素気流下において150℃の温度で30分間の熱処理を行った。これによりトランジスタを製造した。
電波を送受信するアンテナを備えた整流回路の入力部での、トランジスタの並列数(1トランジスタあたりのチャネル幅W)と発熱特性との関係の一例を表1に示す。
Figure 2021132208
表1のように、整流回路の入力部にてトランジスタが2つ以上電気的に並列接続される整流回路は、大電力が供給された場合の発熱を抑え、フレキシブルで低コスト、且つ信頼性の高い半導体装置を実現することができた。また、2つ以上電気的に並列接続されるトランジスタのチャネル幅Wを2000μm以下にすることで、トランジスタのオン電流を制御し、特定のトランジスタに過電流が生じることを回避し、発熱による基材の融解、焼失を抑制できた。
通信する電波の好ましい波長領域としては、HF帯、VHF帯及びUHF帯が好ましく、さらにはUHF帯がなお好ましい。例えば、通信する電波の周波数が920MHzの場合には、2つ以上電気的に並列接続されるトランジスタのチャネル幅Wの総計が500μm以下であればさらに好ましい。
以上、本発明の実施形態および実施例について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の実施形態および実施例において挙げた数値、材料、および構成はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値、材料、および構成を用いてもよい。また、上述の実施形態および実施例において挙げた材料や数値は、本発明の技術的思想の範囲内で適宜種々組み合わせることが可能である。
本発明に係る半導体装置およびその製造方法、ならびにこの半導体装置を備えた無線通信装置は、無線通信システムに用いられる非接触型のRFIDタグに好適に用いることができる。
1 無線通信装置
2 アンテナ
3、3a 整流回路
4、4a、4b 内部回路
5、5b スイッチ回路
7a、7b 交流信号源
8b 外部回路
10 倍電圧整流回路
11、12、13、14 ダイオード
15、16、17 キャパシタ
20、20(a)、20(b)、30、30(a)、30(b) 電界効果型トランジスタ
21、31、41 ソース電極
22、32 ゲート電極
23、33、43 ドレイン電極
24、34 絶縁性基材
25、35 絶縁層
26、36 半導体層
27、28、37、38 配線
50、60 半導体装置
A、B 倍電圧整流回路の入力端子
C、D 倍電圧整流回路の出力端子

Claims (11)

  1. 荷重たわみ温度が300℃以下の可撓性を有する絶縁性基材と、
    ゲート電極と、ソース電極と、前記ソース電極と離隔して設けられたドレイン電極と、
    前記ソース電極および前記ドレイン電極の一部と接するように設けられた半導体層と、
    前記半導体層と前記ゲート電極とを絶縁するゲート絶縁層と、
    を有するトランジスタを備えた半導体装置であって、
    前記半導体装置は整流回路またはスイッチ回路を備え、
    前記整流回路またはスイッチ回路の回路入力部または回路出力部にて前記トランジスタの2つ以上が電気的に並列接続される半導体装置。
  2. 前記ゲート電極、前記ソース電極、前記ドレイン電極のいずれかが、導電体と有機成分を含む導電性ペースト材から構成される請求項1に記載の半導体装置。
  3. 2つ以上電気的に並列接続される前記トランジスタの前記半導体層は互いに独立である請求項1または2に記載の半導体装置。
  4. 前記整流回路または前記スイッチ回路が、回路入力部または回路出力部にて周波数が1MHz以上の高周波信号を処理する請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
  5. 前記トランジスタのチャネル長が1〜50μmであり、かつ2つ以上電気的に並列接続される前記トランジスタのチャネル幅の総計が100〜50000μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
  6. 2つ以上電気的に並列接続される前記トランジスタのチャネル幅が2000μm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置。
  7. 3つ以上電気的に並列接続される前記トランジスタは直線上に配置される請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置。
  8. 前記半導体層は、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン、および有機半導体からなる群より選ばれる1種以上を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置。
  9. 前記半導体層は、表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したカーボンナノチューブからなる請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、
    2つ以上電気的に並列接続される前記トランジスタを、可撓性を有する絶縁性基材上に塗布法で形成する半導体装置の製造方法。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体装置と、
    電波を送受信するアンテナと、
    を備えた無線通信装置。
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