JP2023035942A - p型半導体素子、その製造方法、それを用いた相補型半導体装置、無線通信装置および薄膜トランジスタアレイ - Google Patents

p型半導体素子、その製造方法、それを用いた相補型半導体装置、無線通信装置および薄膜トランジスタアレイ Download PDF

Info

Publication number
JP2023035942A
JP2023035942A JP2022134031A JP2022134031A JP2023035942A JP 2023035942 A JP2023035942 A JP 2023035942A JP 2022134031 A JP2022134031 A JP 2022134031A JP 2022134031 A JP2022134031 A JP 2022134031A JP 2023035942 A JP2023035942 A JP 2023035942A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
type semiconductor
insulating layer
group
electrode
semiconductor device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022134031A
Other languages
English (en)
Inventor
和生 磯貝
Kazuo Isogai
清一郎 村瀬
Seiichiro Murase
卓哉 西山
Takuya Nishiyama
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Publication of JP2023035942A publication Critical patent/JP2023035942A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Metal-Oxide And Bipolar Metal-Oxide Semiconductor Integrated Circuits (AREA)
  • Thin Film Transistor (AREA)

Abstract

【課題】高いオン電流と低いオフ電流の両立が可能なp型半導体素子を提供する。【解決手段】基材1と、ソース電極5およびドレイン電極6と、ソース電極およびドレイン電極の両方に接する半導体層4と、半導体層に接するゲート絶縁層3と、半導体層4に対してゲート絶縁層3とは反対側でゲート絶縁層3と接するゲート電極2と、半導体層4に対してゲート絶縁層3とは反対側で半導体層4と接する第2絶縁層8と、を備えるp型半導体素子10であって、半導体層4がカーボンナノチューブまたはグラフェン7を含有し、第2絶縁層8が、無機化合物または金属錯体(化合物a)と、ポリマーと、を含有するかまたは化合物(a)のうち、金属錯体の構造から一部の原子を除いた残りの基をその分子構造中に含むポリマーを含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、p型半導体素子、その製造方法、それを用いた相補型半導体装置、無線通信装置および薄膜トランジスタアレイに関する。
近年、低コスト、大面積、フレキシブル、ベンダブルな電子製品の実現を目指して、インクジェット技術やスクリーン印刷などの塗布技術が適用できる、カーボンナノチューブ(CNT)やグラフェン、有機半導体を用いた電界効果型トランジスタ(FET)が盛んに検討されている。電子製品としては、例えば、ディスプレイやセンサ、RFID(Radio Frequency IDentification)技術を用いた無線通信装置などが挙げられ、それらのトランジスタアレイやICチップ内の駆動回路などに上記トランジスタが使用される。
上記トランジスタは、その役割に応じてp型およびn型に作り分ける必要や、そのトランジスタ特性を調整する必要がある。例えば、ICチップ内の駆動回路は、その消費電力を抑制するなどのため、p型トランジスタとn型トランジスタからなる相補型回路で構成するのが一般的である。
CNTを用いたトランジスタ(以下、CNT-FET)については、ソース・ドレイン電極材料の仕事関数を変更することや、CNTからなる半導体層に適切なドーピング処理を施すことで、p型FETとn型FETを作り分けられる技術が開示されている(例えば、非特許文献1および特許文献1参照)。また、他には、CNTを含む半導体層の上に第2絶縁層を形成することでFET特性を調整する技術や保存安定性を高める技術が開示されている(例えば、特許文献2、3、4参照)。
特開2009-65057号公報 特開2009-283924号公報 国際公開第2017/130836号 特開2013-62391号公報
表面科学 Vol.28,No.1,pp.40-45,2007
しかしながら、非特許文献1に記載の技術では、ソース・ドレイン電極の仕事関数を細かく調整する必要があり、ソース・ドレイン電極材料の選定や半導体素子特性の調整が容易ではなかった。
特許文献1に記載の技術では、半導体層を相補型にドーピングする必要があるため、構成や工程が複雑であり、また、半導体素子特性の調整が容易ではないという課題があった。
特許文献2、3に記載の技術では、第2絶縁層中にアミン系化合物を含む場合、特許文献3に開示されているように、n型半導体素子としての特性が一部発現するため、高いオン電流と低いオフ電流を両立したp型半導体素子の実現が困難であった。
特許文献4については、デバイス特性の経時変動に関する開示はあるものの、オン電流やオフ電流の改善について、具体的な開示がない。
そこで本発明は、高いオン電流と低いオフ電流の両立が可能なp型半導体素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
[1]基材と、
第1電極および第2電極と、
前記第1電極および第2電極の両方に接する半導体層と、
前記半導体層に接する絶縁層と、
前記半導体層に対して前記絶縁層とは反対側で前記絶縁層と接する第3電極と、
前記半導体層に対して前記絶縁層とは反対側で前記半導体層と接する第2絶縁層と、を備えたp型半導体素子であって、
前記半導体層がカーボンナノチューブまたはグラフェンを含有し、
前記第2絶縁層が、
A.(a)無機化合物または金属錯体(以下、「化合物(a)」という)と、
(b)ポリマーと、を含有する、または、
B.化合物(a)のうち、金属錯体の構造から一部の原子を除いた残りの基をその分子構造中に含むポリマーを含有する、ことを特徴とする、p型半導体素子である。
[2]前記化合物(a)の電子親和力が1.3eV以上4.5eV以下である、[1]に記載のp型半導体素子。
[3]前記化合物(a)の電子親和力が2.1eV以上3.5eV以下である、請求項[1]または[2]に記載のp型半導体素子。
[4]前記化合物(a)が金属錯体であり、その中の金属イオンが三価マンガン、三価鉄、および三価コバルトから選ばれる、[1]~[3]のいずれかに記載のp型半導体素子。
[5]前記化合物(a)が金属錯体であり、その中の金属イオンが三価マンガンである、[1]~[4]のいずれかに記載のp型半導体素子。
[6]前記化合物(a)が金属錯体であり、その配位子が一般式(1)で表される構造を有する、[1]~[5]のいずれかに記載のp型半導体素子。
Figure 2023035942000002
(一般式(1)中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボニル基、シアノ基またはニトロ基から選ばれる構造を示す。また、R~Rのうち任意の2つにより環構造が形成されていてもよい。R~Rは、互いに同じでも異なっていてもよい。)
[7]前記(b)ポリマーが、エステル結合、カーボネート結合、エーテル結合、スルホニル基、クロロ基、ヒドロキシ基およびカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するポリマーである、[1]~[6]のいずれかに記載のp型半導体素子。
[8]前記(b)ポリマーが、エステル結合、カーボネート結合またはヒドロキシ基を有するポリマーである、[7]に記載のp型半導体素子。
[9]前記第2絶縁層が、前記化合物(a)と前記(b)ポリマーとを含有し、前記化合物(a)と前記(b)ポリマーとの重量比を(a):(b)で表すとき、(a):(b)=7:93~70:30である、[1]~[8]のいずれかに記載のp型半導体素子。
[10]前記半導体層がカーボンナノチューブを含有する、[1]~[9]のいずれかに記載のp型半導体素子。
[11][1]~[10]のいずれかに記載のp型半導体素子と、n型半導体素子とを備えた相補型半導体装置。
[12]前記n型半導体素子が、基材と、第1電極および第2電極と、前記第1電極および第2電極の両方に接する半導体層と、前記半導体層に接する絶縁層と、前記半導体層に対して前記絶縁層とは反対側で前記絶縁層と接する第3電極と、を備えたn型半導体素子であって、前記半導体層がカーボンナノチューブまたはグラフェンを含有する、[11]に記載の相補型半導体装置。
[13][1]~[10]のいずれかに記載のp型半導体素子の製造方法であって、第2絶縁層を形成する工程が、(P)(p-1)化合物(a)、(b)ポリマーおよび溶剤を含有する組成物、または、(p-2)化合物(a)の構造から一部の原子を除いた残りの基をその分子構造中に含むポリマーおよび溶剤を含有する組成物、を塗布する工程と、(Q)該塗布された組成物を乾燥する工程とを含む、p型半導体素子の製造方法。
[14][1]~[10]のいずれかに記載のp型半導体素子の製造方法であって、半導体層を形成する工程が、(R)カーボンナノチューブまたはグラフェンと、溶剤とを含有する溶液を塗布する工程と、(S)該塗布された溶液を乾燥する工程とを含む、p型半導体素子の製造方法。
[15][1]~[10]のいずれかに記載のp型半導体素子と、アンテナと、を少なくとも有する無線通信装置。
[16][1]~[10]のいずれかに記載のp型半導体素子を有する、薄膜トランジスタアレイ。
本発明によれば、高いオン電流と低いオフ電流を両立したp型半導体素子を得ることができる。
本発明の実施の形態1に係るp型半導体素子を示した模式断面図 本発明の実施の形態2に係るp型半導体素子を示した模式断面図 本発明の実施の形態3に係るp型半導体素子を示した模式断面図 本発明の実施の形態に係る相補型半導体装置を示した模式断面図 本発明の実施形態の一つであるp型半導体素子を用いた無線通信装置の一例を示すブロック図 薄膜トランジスタアレイの構成例を示す模式図
以下、本発明に係るp型半導体素子、その製造方法、それを用いた相補型半導体装置、無線通信装置および薄膜トランジスタアレイの好適な実施の形態を詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
<p型半導体素子>
本発明の実施の形態に係るp型半導体素子は、基材と、第1電極および第2電極と、前記第1電極および第2電極の両方に接する半導体層と、前記半導体層に接する絶縁層と、前記半導体層に対して前記絶縁層とは反対側で前記絶縁層と接する第3電極と、前記半導体層に対して前記絶縁層とは反対側で前記半導体層と接する第2絶縁層と、を備えたp型半導体素子であって、前記半導体層がカーボンナノチューブまたはグラフェンを含有し、前記第2絶縁層が、A.(a)無機化合物または金属錯体(以下、「化合物(a)」という)と、(b)ポリマーと、を含有する、または、B.化合物(a)のうち、金属錯体の構造から一部の原子を除いた残りの基をその分子構造中に含むポリマーを含有する。
図1は、本発明の実施の形態1に係るp型半導体素子を示す模式断面図である。この実施の形態1に係るp型半導体素子10は、絶縁性の基材1の上に形成されるゲート電極2と、それを覆うゲート絶縁層3と、その上に設けられるソース電極5およびドレイン電極6と、それらの電極の間に設けられる半導体層4と、半導体層を覆う第2絶縁層8と、を有する。半導体層4は、カーボンナノチューブまたはグラフェン7を含む。
図1の構造において、p型半導体素子10を電界効果型トランジスタとして機能させることができる。すなわち、第1電極がソース電極5、第2電極がドレイン電極6、第3電極がゲート電極2にそれぞれ相当する。この構造は、ゲート電極が半導体層の下側に配置され、半導体層の下面にソース電極およびドレイン電極が配置される、いわゆるボトムゲート・ボトムコンタクト構造である。
図2は、本発明の実施の形態2に係るp型半導体素子を示す模式断面図である。この実施の形態2に係る半導体素子20は、絶縁性の基材11の上に形成される第2絶縁層18と、その上に形成されるソース電極15およびドレイン電極16と、それら電極の間に設けられる半導体層14と、それらを覆うゲート絶縁層13と、半導体層の上に設けられるゲート電極12と、を有する。半導体層14は、カーボンナノチューブまたはグラフェン17を含む。
図2の構造において、p型半導体素子20を電界効果型トランジスタとして機能させることができる。すなわち、第1電極がソース電極15、第2電極がドレイン電極16、第3電極がゲート電極12にそれぞれ相当する。この構造は、ゲート電極が半導体層の上側に配置され、半導体層の下面にソース電極およびドレイン電極が配置される、いわゆるトップゲート・ボトムコンタクト構造である。
p型半導体素子を電界効果型トランジスタとして機能させる場合、半導体素子の構造は、図1、図2に示すもの以外に、ボトムゲート・トップコンタクト構造、トップゲート・トップコンタクト構造などが挙げられる。
図3は、本発明の実施の形態3に係るp型半導体素子を示す模式断面図である。この実施の形態3に係るp型半導体素子30は、絶縁性の基材21の上に形成される第3電極22と、それを覆う絶縁層23と、その上に設けられるカソード25およびアノード26と、それらの電極の間に設けられる半導体層24と、半導体層を覆う第2絶縁層28と、第3電極22と第1電極25とを電気的に接続する第4電極29と、を有する。半導体層24は、カーボンナノチューブまたはグラフェン27を含む。
図3の構造において、p型半導体素子30をダイオードとして機能させることができる。すなわち、第1電極がカソード25、第2電極がアノード26にそれぞれ相当する。この構造は、トランジスタをダイオード接続した構造である。
本発明の実施の形態に係る半導体素子の構造はこれらに限定されるものではない。また、以下の説明は、特に断りのない限り、半導体素子の構造によらず共通する。
(基材)
基材は、少なくとも電極系が配置される面が絶縁性を備える基材であれば、いかなる材質のものでもよい。基材としては、例えば、シリコンウエハ、ガラス、サファイア、アルミナ焼結体等の無機材料からなる基材、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン等の有機材料からなる基材が好ましい。
また、基材としては、例えば、シリコンウエハ上にPVP膜を形成したものや、ポリエチレンテレフタレート上にポリシロキサン膜を形成したものなど、複数の材料が積層されたものであってもよい。
(電極)
第1電極、第2電極および第3電極に用いられる材料は、一般的に電極として使用されうる導電材料であれば、いかなるものでもよい。導電材料としては、例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)などの導電性金属酸化物;白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、パラジウム、モリブデン、アモルファスシリコン、ポリシリコンなどの金属やこれらの合金;ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質;ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン;ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との錯体など;ヨウ素などのドーピングにより導電率を向上させた導電性ポリマーなど;炭素材料など;および有機成分と導電体とを含有する材料など、が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
中でも、電極の柔軟性が増し、屈曲時にも基材および絶縁層との密着性が良く、配線および半導体層との電気的接続が良好となる点から、電極は、有機成分と導電体を含有することが好ましい。
有機成分としては、特に制限はないが、モノマー、オリゴマー、ポリマー、光重合開始剤、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、シランカップリング剤、消泡剤、顔料などが挙げられる。電極の折り曲げ耐性向上の観点からは、有機成分としては、オリゴマーもしくはポリマーが好ましい。
オリゴマーもしくはポリマーとしては、特に限定されず、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド前駆体、ポリイミドなどを用いることができる。これらの中でも、電極を屈曲した時の耐クラック性の観点から、アクリル樹脂が好ましい。これは、アクリル樹脂のガラス転移温度が100℃以下であり、導電膜の熱硬化時に軟化し、導電体粒子間の結着が高まるためと推定される。
アクリル樹脂とは、繰返し単位に少なくともアクリル系モノマーに由来する構造を含む樹脂である。アクリル系モノマーの具体例としては、炭素-炭素二重結合を有するすべての化合物が挙げられ、これらのアクリル系モノマーは、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
導電体としては、一般的に電極として使用されうる導電材料であれば、いかなるものでもよいが、導電材料で全部または一部が構成され、粒子自体は導電性を有している導電性粒子であることが好ましい。導電体として導電性粒子を用いることにより、それを含む電極の表面に凹凸が形成される。その凹凸に絶縁層が入り込むことで、アンカー効果が生じ、電極と絶縁層との密着性がより向上する。電極と絶縁層との密着性が向上することで、電極の折り曲げ耐性が向上する効果や、半導体素子に電圧を繰り返し印加した時の電気特性の変動が抑制される効果がある。これらの効果により、半導体素子の信頼性がより改善する。
導電性粒子に適した導電材料としては、金、銀、銅、ニッケル、錫、ビスマス、鉛、亜鉛、パラジウム、白金、アルミニウム、タングステン、モリブデンまたは炭素などが挙げられる。より好ましい導電性粒子は、金、銀、銅、ニッケル、錫、ビスマス、鉛、亜鉛、パラジウム、白金、アルミニウムおよび炭素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含有する導電性粒子である。これらの導電性粒子は、単独で用いられてもよいし、合金として用いられてもよいし、混合粒子として用いられてもよい。
これらの中でも、導電性の観点から、金、銀、銅または白金の粒子が好ましい。中でも、コストおよび安定性の観点から、銀であることがより好ましい。
また、第1電極、第2電極および第3電極のそれぞれの幅および厚み、ならびに、第1電極と第2電極との間隔は、任意の値に設計することが可能である。例えば、電極幅は10μm~10mm、電極の厚みは0.01μm~100μm、第1電極と第2電極との間隔は1μm~1mmが、それぞれ好ましいが、これらに限らない。
これらの電極を作製するための材料は、単独で用いられてもよいが、複数の材料を積層して電極を形成し、または、複数の材料を混合して用いて電極を形成してもよい。
また、本発明の実施の形態3に係るp型半導体素子おいて、第4電極29に用いられる材料は、特に制限はないが、第1電極、第2電極および第3電極に用いられる材料と同様、一般的に使用される導電材料を用いることができる。第3電極22と第1電極25とを電気的に接続する方法は、電気的に導通を取ることができれば、いかなる方法でもよい。また、接続部の幅や厚みは、任意である。
(絶縁層)
絶縁層に用いられる材料は、半導体層と第3電極との間の絶縁が確保できれば特に限定されないが、酸化シリコン、アルミナ等の無機材料;ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール(PVP)等の有機高分子材料;あるいは無機材料粉末と有機材料の混合物を挙げることができる。
中でもケイ素と炭素の結合を含む有機化合物を含むものが好ましく、ポリシロキサンが特に好ましい。
絶縁層は、さらに、金属原子と酸素原子との結合を含む金属化合物を含有することが好ましい。そのような金属化合物は、特に制限はなく、例えば、金属酸化物、金属水酸化物等が例示される。金属化合物に含まれる金属原子は、金属キレートを形成するものであれば特に限定されない。金属原子としては、例えば、マグネシウム、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ルテニウム、パラジウム、インジウム、ハフニウム、白金などが挙げられる。中でも、入手容易性、コスト、金属キレートの安定性の点から、アルミニウムが好ましい。金属酸化物としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化スズ、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウムなどが挙げられる。また、上記金属化合物は粒子でもかまわない。
絶縁層の膜厚は0.05μm~5μmが好ましく、0.1μm~1μmがより好ましい。この範囲の膜厚にすることにより、均一な薄膜形成が容易になる。膜厚は、原子間力顕微鏡やエリプソメトリ法などにより測定できる。
絶縁層は、単層でも複数層でもよい。また、1つの層を複数の絶縁性材料から形成してもよいし、複数の絶縁性材料を積層して複数の絶縁層を形成しても構わない。
(半導体層)
半導体層は、カーボンナノチューブ(CNT)またはグラフェンを含有する。これらのうちでも、半導体層はCNTを含有することが好ましい。さらに、CNTは、その表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したCNT複合体であることが好ましい。半導体層は電気特性を阻害しない範囲であれば、さらに有機半導体や絶縁材料を含んでもよい。
半導体層の膜厚は、1nm以上100nm以下が好ましい。この範囲内にあることで、均一な薄膜形成が容易になる。半導体層の膜厚は、より好ましくは1nm以上50nm以下であり、さらに好ましくは1nm以上20nm以下である。膜厚は、原子間力顕微鏡やエリプソメトリ法などにより測定できる。
(CNT)
CNTとしては、1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNTのいずれを用いてもよい。高い半導体特性を得るためには、単層CNTを用いることが好ましい。CNTは、アーク放電法、CVD、レーザー・アブレーション法等により得ることができる。
また、CNTは、全CNT中、半導体型CNTを80重量%以上含むことがより好ましい。さらに好ましくは、半導体型CNTを90重量%以上含むことであり、特に好ましくは、半導体型CNTを95重量%以上含むことである。CNT中に半導体型CNTを80重量%以上含ませる方法としては、既知の方法を用いることができる。例えば、密度勾配剤の共存下で超遠心する方法、特定の化合物を選択的に半導体型もしくは金属型CNTの表面に付着させ、溶解性の差を利用して分離する方法、電気的性質の差を利用し電気泳動等により分離する方法などが挙げられる。CNT中の半導体型CNTの含有率を測定する方法としては、可視-近赤外吸収スペクトルの吸収面積比から算出する方法や、ラマンスペクトルの強度比から算出する方法等が挙げられる。
本発明において、CNTを半導体素子の半導体層に用いる場合、CNTの長さは、第1電極と第2電極との間の距離(以下、「電極間距離」)よりも短いことが好ましい。CNTの平均長さは、電極間距離にもよるが、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下である。CNTの長さを短く方法としては、酸処理、凍結粉砕処理などが挙げられる。
CNTの平均長さは、ランダムにピックアップした20本のCNTの長さの平均値として求められる。CNT平均長さの測定方法としては、原子間力顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡等で得た画像の中から、20本のCNTをランダムにピックアップし、それらの長さの平均値を得る方法が挙げられる。
一般に市販されているCNTは長さに分布があり、電極間距離よりも長いCNTが含まれることがある。そのため、CNTを電極間距離よりも短くする工程を加えることが好ましい。例えば、硝酸、硫酸などによる酸処理、超音波処理、または凍結粉砕法などにより、CNTを短繊維状にカットする方法が有効である。また、フィルターによる分離を併用することは、CNTの純度を向上させる点でさらに好ましい。
また、CNTの直径は特に限定されないが、1nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以下である。
本発明では、CNTを溶媒中に均一分散させ、分散液をフィルターによってろ過する工程を設けることが好ましい。フィルター孔径よりも小さいCNTを濾液から得ることで、電極間距離よりも短いCNTを効率よく得られる。この場合、フィルターとしてはメンブレンフィルターが好ましく用いられる。ろ過に用いるフィルターの孔径は、電極間距離よりも小さければよく、0.5μm~10μmが好ましい。
(グラフェン)
グラフェンとしては、単層グラフェン、ニ層グラフェン、多層グラフェン、グラフェンナノリボンのいずれを用いてもよい。高い半導体特性を得るためには、二層グラフェンまたはグラフェンナノリボンを用いることが好ましい。グラフェンは、CVDや酸化グラフェンの還元等により得ることができる。
(CNT複合体)
本発明に用いられるCNTにおいては、CNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体を付着せしめて用いること(以下、共役系重合体が付着したCNTを「CNT複合体」と称する)が好ましい。ここで、共役系重合体とは、繰り返し単位が共役構造をとり、重合度が2以上である化合物を指す。
CNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体を付着させることにより、CNTの保有する高い電気的特性を損なうことなく、CNTを溶液中に均一に分散することが可能になる。CNTが均一に分散した溶液を用いれば、塗布法により、均一に分散したCNTを含んだ膜を形成することが可能になる。これにより、高い半導体特性を実現できる。
CNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着した状態とは、CNTの表面の一部、あるいは全部を、共役系重合体が被覆した状態を意味する。共役系重合体がCNTを被覆できるのは、両者の共役系構造に由来するπ電子雲が重なることによって、相互作用が生じるためと推測される。
CNTが共役系重合体で被覆されているか否かは、その反射色から判断できる。被覆されたCNTの反射色は、被覆されていないCNTの反射色とは異なり、共役系重合体の反射色に近い。定量的には、X線光電子分光(XPS)などの元素分析によって、CNTへの付着物の存在を確認することや、CNTと付着物との重量比を測定することができる。
また、CNTへの付着のしやすさから、共役系重合体の重量平均分子量が1000以上であることが好ましい。
CNTに共役系重合体を付着させる方法としては、(I)溶融した共役系重合体中にCNTを添加して混合する方法、(II)共役系重合体を溶媒中に溶解させ、この中にCNTを添加して混合する方法、(III)CNTを溶媒中に超音波等で予備分散させておき、そこへ共役系重合体を添加し混合する方法、(IV)溶媒中に共役系重合体とCNTを入れ、この混合系へ超音波を照射して混合する方法、などが挙げられる。本発明では、いずれの方法を用いてもよく、複数の方法を組み合わせてもよい。
共役系重合体としては、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリ-p-フェニレン系重合体、ポリ-p-フェニレンビニレン系重合体などが挙げられるが、特に限定されない。上記重合体としては、単一のモノマーユニットが並んだものが好ましく用いられるが、異なるモノマーユニットをブロック共重合したもの、ランダム共重合したもの、およびグラフト重合したものも好ましく用いられる。
上記重合体の中でも、本発明においては、CNTへの付着が容易であり、CNT複合体を形成しやすい観点から、ポリチオフェン系重合体が好ましく使用される。ポリチオフェン系重合体の中でも、環中に含窒素二重結合を有する縮合へテロアリールユニットと、チオフェンユニットとを、繰り返し単位中に含むものがより好ましい。
環中に含窒素二重結合を有する縮合へテロアリールユニットとしては、チエノピロール、ピロロチアゾール、ピロロピリダジン、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、キノリン、キノキサリン、ベンゾトリアジン、チエノオキサゾール、チエノピリジン、チエノチアジン、チエノピラジンなどのユニットが挙げられる。これらの中でも特にベンゾチアジアゾールユニットまたはキノキサリンユニットが好ましい。これらのユニットを有することで、CNTと共役系重合体の密着性が増し、CNTを半導体層中により良好に分散することができる。
上記共役系重合体の具体例としては、国際公開第2009/139339号や特許第6683296号に記載の共役系重合体などが挙げられる。
(第2絶縁層)
第2絶縁層は、半導体層に対して絶縁層が形成された側の反対側に形成される。半導体層に対して絶縁層が形成された側の反対側とは、例えば、半導体層の下側に絶縁層を有する場合は、半導体層の上側を指す。第2絶縁層を形成することにより、トランジスタ特性を調整することができる。また、高いオン電流と低いオフ電流を両立したp型半導体素子を提供できる。
第2絶縁層の膜厚は、500nm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましく、3.0μm以上であることがさらに好ましく、10μm以上であることが特に好ましい。この範囲の膜厚にすることにより、p型半導体特性の調整を安定して行える。また、膜厚の上限としては、特に限定されるものではないが、500μm以下であることが好ましい。
第2絶縁層の膜厚は、第2絶縁層の断面を走査型電子顕微鏡により測定し、得られた像のうち、半導体層上に位置する第2絶縁層部分の中から無作為に選択した10箇所の膜厚を算出し、その算術平均の値とする。
本発明の1つの実施形態にかかるp型半導体素子おいて、第2絶縁層は、化合物(a)と、(b)ポリマーと、を含有する。
(化合物(a))
化合物(a)は、無機化合物または金属錯体である。無機化合物や金属錯体は有機化合物に比べ、化合物中の原子がイオン性を有することが多いため、半導体層中のCNTまたはグラフェンと電子的に相互作用しやすく、本発明の効果を得られると考えられる。
また、化合物(a)はその電子親和力が1.3eV以上4.5eV以下であることが好ましい。この範囲にあることで、化合物(a)が半導体層中のCNTまたはグラフェンに対し電子受容的に作用しやすい。その相互作用により、CNTまたはグラフェンの価電子帯では、キャリアであるホールが多くなったり、ホールが電極から注入されやすくなったりする。また、CNTまたはグラフェンの伝導帯では、キャリアである電子が少なくなったり、電子が電極から注入されにくくなったりする。これらの作用により、オン電流の向上やオフ電流の低減といった効果がより大きく表れると推測される。
特に、CNTまたはグラフェンはバンドギャップが狭く、その伝導帯にキャリアとなる電子が一部存在しており、そのことがオフ電流増加の一因となっているとされる。しかし、第2絶縁層にその電子親和力が1.3eV以上4.5eV以下である化合物(a)が含まれることで、上記作用により伝導帯に存在する電子が少なくなるため、オフ電流の低減効果がより大きい。
一方、化合物(a)の電子親和力が極端に大きい場合、オフ電流が増加する傾向にある。これは、化合物(a)の電子受容性が強いと、CNTまたはグラフェンの価電子帯でのホール量が多くなり、CNTまたはグラフェンが導電体に近づくためである。逆に、化合物(a)の電子親和力が極端に小さい場合、オン電流の向上やオフ電流の低減の効果が減少する傾向にある。これは、化合物(a)の電子受容性が弱いと、CNTまたはグラフェンの価電子帯や伝導帯への影響が小さくなるためである。
化合物(a)の電子親和力は、より好ましくは2.1eV以上3.5eV以下であり、特に好ましくは2.1eV以上3.0eV以下である。
なお、本発明における電子親和力は、アメリカ国立標準技術研究所のデータベース(NIST Chemistry WebBook)中の電子親和力のうち、最大値を採用するものである。また、同データベースに電子親和力の記載のないものは、Gaussian16にて、汎関数としてB3LYP、基底関数系として金属原子にはLANL2DZおよびそれ以外には6-311+G(d)(構造最適化計算)を用いて計算で求めた値を使用する。なお、金属原子を含む化合物では、種々のスピン多重度において計算を行い、最低エネルギーを示すものを解とする。
金属錯体中の金属イオンは、三価マンガン、三価鉄および三価コバルトのいずれかであることが好ましい。電子受容性が適度であるためと推定される。金属イオンは、より好ましくは三価マンガンである。
金属錯体の配位子は、一般式(1)で表される構造を有することが好ましい。上記配位子を有することで、樹脂中での分散性がよくなり、CNTやグラフェンとの相互作用が向上するためと考えられる。
Figure 2023035942000003
一般式(1)中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボニル基、シアノ基またはニトロ基から選ばれる構造を示す。また、R~Rのうち任意の2つにより環構造が形成されていてもよい。R~Rは、互いに同じでも異なっていてもよい。
アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示す。アルキル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキル基が置換基を有する場合、置換基には特に制限はなく、例えば、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、ニトロ基等を挙げることができる。置換基が、さらに置換基を有していてもよい。これら置換基に関する説明は、特にことわらない限り、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は、特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、1以上20以下が好ましく、より好ましくは1以上8以下である。
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの飽和脂環式炭化水素基を示す。シクロアルキル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。シクロアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、3以上20以下の範囲が好ましい。
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、ブタジエニル基などの、二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示す。アルケニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基などの、二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示す。シクロアルケニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。シクロアルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、3以上20以下の範囲が好ましい。
アルキニル基とは、例えば、エチニル基などの、三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示す。アルキニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は、特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示す。アリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は、特に限定されないが、6以上40以下の範囲が好ましい。
ヘテロアリール基とは、例えば、フラニル基、チオフェニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、ピリジル基、キノリニル基など、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する芳香族基を示す。ヘテロアリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリール基の炭素数は特に限定されないが、2以上30以下の範囲が好ましい。化合物(a)は単独種で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
化合物(a)は、その電子親和力が1.3eV以上4.5eV以下、好ましくは2.1eV以上3.5eV以下である金属錯体であって、その中の金属イオンが三価マンガン、三価鉄および三価コバルトから選ばれ、好ましくは三価マンガンであるものがより好ましい。また、そのような金属錯体であって、かつ、その配位子が一般式(1)で表される構造を有するものであることが特に好ましい。
((b)ポリマー)
第2絶縁層は化合物(a)とともに(b)ポリマーを含有する。(b)ポリマーの存在により、化合物(a)とCNTまたはグラフェンとの相互作用を調整できると考えられる。これは、化合物(a)が(b)ポリマー中に分布することで、CNTまたはグラフェンと相互作用する化合物(a)の量や強さを調整できるためと推定される。なお、第2絶縁層が(b)ポリマーを含有しない場合、化合物(a)とCNTまたはグラフェンとの相互作用が強すぎるためか、p型半導体特性の調整が困難である。
(b)ポリマーとしては、例えば、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、シクロオレフィンポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、またはそれらの共重合体などが挙げられる。
(b)ポリマーとしては、中でも、エステル結合、カーボネート結合、エーテル結合、スルホニル基、クロロ基、ヒドロキシ基およびカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。その理由は以下のように推定される。化合物(a)とCNTまたはグラフェンとは電子的に相互作用し、互いに部分的に電荷を帯びる。そこで、化合物(a)とCNTまたはグラフェンとの周囲に極性を有するポリマー、つまり前述の官能基を含有するポリマーが存在することで、化合物(a)とCNTまたはグラフェンとの相互作用が安定化される。また、前述の官能基を含有するポリマーはある程度の極性を有しており、化合物(a)との相溶性がよい。そのため、化合物(a)が(b)ポリマー中に分布しやすく、CNTまたはグラフェンと相互作用する化合物(a)の量や強さを調整しやすい。上記のような(b)ポリマーの作用により、前述のp型半導体特性の調整、特にオフ電流の低減に効果が見られると考えられる。
特に、(b)ポリマーとしては、エステル結合、カーボネート結合またはヒドロキシ基を有するポリマーであることが好ましい。これらの構造は前述の作用が特に高いためと推定される。このようなポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレートやポリメチルアクリレートなどのエステル結合を有するアクリル樹脂、エチルセルロースなどのセルロース類などが挙げられる。
第2絶縁層中の化合物(a)と(b)ポリマーとの重量比を(a):(b)で表すとき、(a):(b)=7:93~70:30であることが好ましい。この範囲にあることで、オン電流の向上や、オフ電流の低減といった効果がより大きくなる。
第2絶縁層中の化合物(a)や(b)ポリマーの分析方法としては、p型半導体素子から第2絶縁層を構成する各成分を抽出するなどして得られたサンプルを核磁気共鳴(NMR)などで分析する方法や、第2絶縁層をXPSなどで分析する方法などが挙げられる。
第2絶縁層は化合物(a)や(b)ポリマー以外に他の化合物を含有していてもよい。他の化合物としては、例えば、第2絶縁層を塗布で形成する場合における、溶液の粘度やレオロジーを調節するための増粘剤やチクソ剤などが挙げられる。
化合物(a)について、無機化合物としては、金属間化合物、遷移金属化合物、金属酸化物、金属ハライドなどが挙げられ、金属錯体としては、単核錯体、多核錯体などが挙げられる。化合物(a)の具体例としては、例えば、塩化チタン(IV)、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化マンガン、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウム(III)、テトラキス(2,4-ペンタンジオナト)ジルコニウム(IV)、トリス(2,4-ペンタンジオナト)クロム(III)、ビス(2,4-ペンタンジオナト)銅(II)、トリス(2,4-ペンタンジオナト)鉄(III)、トリス(2,4-ペンタンジオナト)コバルト(III)、トリス(2,4-ペンタンジオナト)マンガン(III)、トリス(1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ペンタンジオナト)ガリウム(III)、トリス(1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ペンタンジオナト)スカンジウム(III)、トリス(1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ペンタンジオナト)クロム(III)、トリス(1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ペンタンジオナト)チタン(III)、トリス(1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ペンタンジオナト)バナジウム(III)などが挙げられる。
第2絶縁層は単層でも複数層でもよい。複数層である場合、少なくとも化合物(a)を含有する層が半導体層に接する。
(化合物(a)の構造から水素原子の一部を除いた残りの基をその分子構造中に含むポリマー)
本発明の1つの実施形態にかかるp型半導体素子おいて、第2絶縁層は、ポリマー中に化合物(a)と同じ作用を奏する官能基を導入したポリマーを含む。そのようなポリマーとしては、化合物(a)の構造から一部の原子を除いた残りの基をその分子構造中に含むポリマーを挙げることができる。化合物(a)の構造から一部の原子を除いた残りの基とは、ポリマー構造中に化合物(a)が置換されるために、化合物(a)の構造から少なくとも一つの原子が除かれた状態の基をいう。例えば、化合物(a)がトリス(2,4―ペンタンジオナト)マンガン(III)である場合を例に挙げると、その構造から一部の原子を除いた残りの基とは、その2,4―ペンタンジオナト構造から水素原子が除かれた残りの基などのことを指す。
なおここで、該ポリマーにあっても上記した化合物(a)における好ましい態様およびポリマー(b)における好ましい態様を必要に応じて適用することが可能である。
(保護層)
本発明の実施の形態に係るp型半導体素子は、第2絶縁層上に、さらに保護層を有していてもよい。保護層の役割としては、擦れなどの物理ダメージや大気中の水分や酸素から半導体素子を保護することなどが挙げられる。
保護層の材料としては、例えば、シリコンウエハ、ガラス、サファイア、アルミナ焼結体等の無機材料、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン、ポリアクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー等の有機材料などが挙げられる。また、例えば、シリコンウエハ上にポリビニルフェノール膜を形成したものや、ポリエチレンテレフタレート上に酸化アルミニウム膜を形成したものなど、複数の材料が積層されたものであってもよい。
本発明の実施の形態に係るp型半導体素子では、電界効果型トランジスタとして機能させた場合、ソース電極とドレイン電極との間に流れる電流(ソース・ドレイン間電流)を、ゲート電圧を変化させることによって制御することができる。p型半導体素子は、オン状態、つまりゲート電極に負の電圧を印加した状態の電流値が大きく、オフ状態、つまりゲート電極に0Vの電圧を印加した状態の電流値が小さいものが、特性の良いp型半導体素子である。
<相補型半導体装置>
本発明の実施の形態に係る相補型半導体装置は、上述のp半導体素子と、n型半導体素子とを備えている。n型半導体素子は、基材と、第1電極および第2電極と、前記第1電極および第2電極の両方に接する半導体層と、前記半導体層に接する絶縁層と、前記半導体層に対して前記絶縁層とは反対側で前記絶縁層と接する第3電極と、を備え、上記半導体層が、CNTまたはグラフェンを含有することが好ましく、CNTを含有することが特に好ましい。これは、本発明の実施の形態に係るp型半導体素子との特性調整がしやすく、相補型半導体装置として良好な特性を得られるためである。
また、n型半導体素子の半導体層に用いられるCNTは、表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したCNT複合体として用いることがより好ましい。上記n型半導体素子としては、例えば、国際公開第2018/180146号、国際公開2019/097978号、国際公開第2020/195707号や国際公開第2020/195708号に記載のn型半導体素子などが挙げられる。
図4は、本発明の実施の形態に係る相補型半導体装置の例を示す模式断面図である。絶縁性の基材41の表面に、本発明のp型半導体素子40と、n型半導体素子50とが、形成されている。p型半導体素子40の構成は、本発明の実施の形態1に係るp型半導体素子10と同じである。
n型半導体素子50は、絶縁性の基材41の上に形成されるゲート電極52と、それを覆うゲート絶縁層53と、その上に設けられるソース電極55およびドレイン電極56と、それらの電極の間に設けられる半導体層54と、半導体層54を覆う第2絶縁層58とを有する。半導体層54はCNTまたはグラフェン57を含む。第2絶縁層57は、特に制限はないが、例えば国際公開第2020/195707号や国際公開第2020/195708号に記載されている構成のものが好ましい。
図4の構造において、n型半導体素子50を電界効果型トランジスタとして機能させことができる。すなわち、第1電極がソース電極55、第2電極がドレイン電極56、第3電極がゲート電極52に相当する。
本発明の実施の形態に係る相補型半導体装置の構造はこれに限定されるものではない。
<p型半導体素子の製造方法>
本発明の実施の形態に係るp型半導体素子の製造には、種々の方法を用いることができ、その製造方法に特に制限はないが、第2絶縁層を形成する工程が、(P)(p-1)化合物(a)、(b)ポリマーおよび溶剤を含有する組成物、または、(p-2)化合物(a)の構造から一部の原子を除いた残りの基をその分子構造中に含むポリマーおよび溶剤を含有する組成物、を塗布する工程と、(Q)該塗布された組成物を乾燥する工程と、を含むことが好ましい。また、半導体層を塗布法により形成するには、当該半導体層を形成する工程が、(R)カーボンナノチューブまたはグラフェンと、溶剤とを含有する溶液を塗布する工程と、(S)該塗布された溶液を乾燥する工程と、を含むことが好ましい。
半導体素子の製造方法としては、例えば、国際公開第2018/180146号に記載の半導体素子の製造方法などが挙げられる。
なお、塗布法を用いて第2絶縁層を形成するに際して、第2絶縁層が含有する化合物(a)や(b)ポリマーを溶解させる溶剤としては、特に制限されないが、有機溶媒が好ましい。溶媒の具体例としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、γ―ブチロラクトン等のケトン類;ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、デカヒドロナフタレン等の炭化水素類が挙げられる。
溶媒として、これらを2種以上用いてもよい。中でも、1気圧における沸点が110℃~250℃の溶媒を含有することが好ましい。溶媒の沸点が110℃以上であれば、溶液塗布時に溶剤の揮発が抑制されて、塗布性が良好となる。溶媒の沸点が250℃以下であれば、絶縁膜中に残存する溶剤が少なくなり、より良好な耐熱性や耐薬品性を有する第2絶縁層が得られる。
また、形成した塗膜に対して、大気下、減圧下または窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下でアニーリング処理や熱風乾燥を行ってもよい。具体的には例えば、アニーリングの条件としては、50℃~150℃、3分~30分、窒素雰囲気下が挙げられる。このような乾燥工程により、塗膜の乾燥が不十分である場合に、しっかり乾燥させることができる。
(半導体素子の適用可能性)
本発明の実施の形態に係るp型半導体素子は、各種電子機器のIC、RFIDタグなどの無線通信装置、無線給電装置、ディスプレイ用TFTアレイ、センサ、開封検知システム、などに適用可能である。
<無線通信装置>
次に、本発明のp型半導体素子を有する、本発明の実施の形態に係る無線通信装置について説明する。この無線通信装置は、例えば商品タグ、万引き防止タグ、各種チケットやスマートカードのような、無線電波を用いて情報の通信を行う装置である。
無線通信装置は、上述のp型半導体素子と、アンテナと、を少なくとも有するものである。本発明の実施の形態に係る無線通信装置の、より具体的な構成としては、例えば、図5に示すようなものが挙げられる。
これは、アンテナ70で受信した外部からの変調波信号の整流を行い各部に電源を供給する電源生成部と、上記変調波信号を復調して制御回路へ送る復調回路と、制御回路から送られたデータを変調してアンテナに送り出す変調回路と、復調回路で復調されたデータの記憶回路への書込み、および記憶回路からデータを読み出して変調回路への送信を行う制御回路と、を含み、各回路部が電気的に接続されている。上記電源生成部、復調回路、制御回路、変調回路、記憶回路の少なくともいずれか1つ以上は本発明の実施の形態にかかるp型半導体素子を含み、さらにコンデンサ、抵抗素子、ダイオードを含んでいても良い。なお、上記記憶回路は、さらに、製造時に情報が書き込まれる読み取り専用の記憶部や、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、FeRAM(Ferroelectric Randam Access Memory)等の、不揮発性の書換え可能な記憶部を有していてもよい。上記電源生成部は、コンデンサと、ダイオードとから構成される。
アンテナ、コンデンサ、抵抗素子、ダイオード、不揮発性の書き換え可能な記憶部は、一般的に使用されるものであればよく、用いられる材料、形状は特に限定はされない。また、上記の各構成要素を電気的に接続する材料も、一般的に使用されうる導電材料であればいかなるものでもよい。各構成要素の接続方法も、電気的に導通を取ることができれば、いかなる方法でもよい。各構成要素の接続部の幅や厚みは、任意である。
<商品タグ>
上記無線通信装置の用途は特に制限はないが、例えば商品タグへ適用することができる。商品タグとしては公知のものを用いることができ、例えば基体と、この基体によって被覆された上記無線通信装置とを有しているものが挙げられる。識別情報返信機能を備えた商品タグに適用すれば、商品の精算レジにおいて、非接触で多数の商品を同時に識別することが可能となる。それゆえ、バーコードでの識別と比較して、決済処理の容易化や迅速化を図ることができる。
また、例えば、商品の会計の際に、リーダ/ライタが、商品タグから読み取った商品情報をPOS(Point of sale system、販売時点情報管理)端末に送信することが可能である。この機能により、POS端末において、その商品情報によって特定される商品の販売登録をすることもできるため、在庫管理の容易化や迅速化を図ることができる。
<薄膜トランジスタアレイ>
本発明の実施の形態に係るp型半導体素子を用いて、薄膜トランジスタ(以下、TFT)アレイを得ることができる。図6は、TFTアレイの一例を示す模式図である。図6に示すように、TFTアレイ200は、二本のゲート線250、260と、二本のソース線270、280と、四つのTFT210、220、230、240とを含む。ゲート線250はTFT210、230のゲート電極と電気的に結合し、ゲート線260はTFT220、240のゲート電極と電気的に結合している。ソース線270はTFT210、220のソース電極と電気的に結合し、ソース線280はTFT230、240のソース電極と電気的に結合している。なお、図6には説明の簡略化のために四つのTFTを含むTFTアレイ200が例示されているが、ゲート線、ソース線およびTFTの数は任意に変更してもよい。
ゲート線、ソース線、TFTを電気的に接続する材料は、特に制限はないが、例えば、一般的に使用される導電材料を用いることができる。上記接続の方法も、電気的に導通を取ることができれば、いかなる方法でもよい。また、接続部の幅や厚みは、任意である。
本発明の実施の形態にかかるTFTアレイは、例えば、アクティブマトリクス駆動の液晶ディスプレイや電子ペーパーなどに用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定して解釈されるものではない。なお、実施例中における各評価方法を以下の(1)~(2)で説明する。
(1)電子親和力の算出
アメリカ国立標準技術研究所のデータベース(NIST Chemistry WebBook)にデータが記載されていない化合物(a)(実施例1、2、3)について、Gaussian09にて、汎関数にはB3LYP、基底関数系には6-311G(d)(構造最適化計算)、6-311++G(d,p)(エネルギー計算)を用いて計算した。
Gaussian16にて、汎関数としてB3LYP、基底関数系として金属原子にはLANL2DZおよびそれ以外には6-311+G(d)(構造最適化計算)を用いて計算した。なお、種々のスピン多重度において計算を行い、最低エネルギーを示すものを解とした。
(2)p型半導体素子特性の評価
作製したp型半導体素子について、ゲート電圧(Vg)を変えたときのソース・ドレイン間電流(Id)-ソース・ドレイン間電圧(Vsd)特性を測定した。測定には半導体特性評価システム4200-SCS型(ケースレーインスツルメンツ株式会社製)を用い、大気中で測定した。Vsd=-5Vとし、Vg=+5V~-10Vに変化させた。この時、Vg=-10VのIdをオン電流、Vg=0VのIdをオフ電流とした。これを下記のように判定し、オン電流についてはA、BおよびCを高オン電流、オフ電流についてはA、BおよびCを低オフ電流として、高オン電流かつ低オフ電流であるものを、良好なp型半導体素子特性を有するものとした。
(オン電流)
A:50μA以上
B:50μAより小さく、20μA以上
C:20μAより小さく、5μA以上
D:5μAより小さく、1μA以上
E:1μAより小さい
(オフ電流)
A:10nA以下
B:10nAより大きく、50nA以下
C:50nAより大きく、100nA以下
D:100nAより大きく、1000nA以下
E:1000nAより大きい。
(組成物の作製例)
組成物の作製例1;第2絶縁層溶液A
ポリメチルメタクリレート1.35gをシクロヘキサノン8.5gに溶解し、ポリマー溶液Aを調製した。次に、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウム(III)0.15gを上記ポリマー溶液Aに添加し、ハイブリッドミキサーで処理することで、第2絶縁層溶液Aを得た。
組成物の作製例2;第2絶縁層溶液B
トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウム(III)の代わりにテトラキス(2,4-ペンタンジオナト)ジルコニウム(IV)を用いたこと以外は組成物の作製例1と同様にして、第2絶縁層溶液Bを得た。
組成物の作製例3;第2絶縁層溶液C
トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウム(III)の代わりにビス(2,4-ペンタンジオナト)銅(II)を用いたこと以外は組成物の作製例1と同様にして、第2絶縁層溶液Cを得た。
組成物の作製例4;第2絶縁層溶液D
トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウム(III)の代わりにトリス(2,4-ペンタンジオナト)鉄(III)を用いたこと以外は組成物の作製例1と同様にして、第2絶縁層溶液Dを得た。
組成物の作製例5;第2絶縁層溶液E
トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウム(III)の代わりにトリス(2,4-ペンタンジオナト)マンガン(III)を用いたこと以外は組成物の作製例1と同様にして、第2絶縁層溶液Eを得た。
組成物の作製例6;第2絶縁層溶液F
トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウム(III)の代わりに酸化モリブデンを用いたこと以外は組成物の作製例1と同様にして、第2絶縁層溶液Fを得た。
組成物の作製例7;第2絶縁層溶液G
ポリメチルメタクリレートの代わりにポリスチレンを用いたこと以外は組成物の作製例4と同様にして、ポリマー溶液Gおよび第2絶縁層溶液Gを得た。
組成物の作製例8;第2絶縁層溶液H
ポリメチルメタクリレートの代わりにポリサルホン(BASFジャパン株式会社製、品番「S3010」)を用いたこと以外は組成物の作製例4と同様にして、ポリマー溶液Hおよび第2絶縁層溶液Hを得た。
組成物の作製例9;第2絶縁層溶液I
ポリメチルメタクリレートの代わりにポリ塩化ビニル(Solvay社製、品番「IXAN SGA-01」)を用いたこと以外は組成物の作製例4と同様にして、ポリマー溶液Iおよび第2絶縁層溶液Iを得た。
組成物の作製例10;第2絶縁層溶液J
ポリメチルメタクリレートの代わりにポリカーボネート(三菱ガス化学株式会社製、品番「ユピゼータ FPC-0330」)を用いたこと以外は組成物の作製例4と同様にして、ポリマー溶液Jおよび第2絶縁層溶液Jを得た。
組成物の作製例11;第2絶縁層溶液K
ポリメチルメタクリレートの代わりにヒドロキシ基を有するアクリル樹脂(共栄社化学株式会社製、品番「オリコックス KC-7000」)を用いたこと以外は組成物の作製例4と同様にして、ポリマー溶液Kおよび第2絶縁層溶液Kを得た。
組成物の作製例12;第2絶縁層溶液L
ポリメチルメタクリレートの代わりにエチルセルロース(ダウケミカル社製、品番「エトセル STD-100CPS」)を用いたこと以外は組成物の作製例4と同様にして、ポリマー溶液Lおよび第2絶縁層溶液Lを得た。
組成物の作製例13;第2絶縁層溶液M
ポリメチルメタクリレートの代わりに塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコールの共重合体(日信化学工業社製、品番「ソルバインA」)を用いたこと以外は組成物の作製例4と同様にして、ポリマー溶液Mおよび第2絶縁層溶液Mを得た。
組成物の作製例14;第2絶縁層溶液N
トリス(2,4-ペンタンジオナト)マンガン(III)0.2gをシクロヘキサノン9.8gに添加し、ハイブリッドミキサーで処理することで、第2絶縁層溶液Nを得た。
組成物の作製例15;第2絶縁層溶液O
トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウム(III)の代わりに酸化マンガン(IV)を用いたこと以外は組成物の作製例1と同様にして、第2絶縁層溶液Oを得た。
組成物の作製例16;第2絶縁層溶液P
ポリメチルメタクリレートの代わりに塩化ビニル、酢酸ビニル、ジカルボン酸誘導体の共重合体(日信化学工業社製、品番「ソルバインM5」)を用いたこと以外は組成物の作製例4と同様にして、ポリマー溶液Pおよび第2絶縁層溶液Pを得た。
実施例1
国際公開番号2019/065561号の実施例11と同様にして、図1に示す構成の半導体素子を作製し、第2絶縁層を形成する前の半導体素子を得た。次に、第2絶縁層溶液A 5μLを、半導体層4上に、半導体層4を覆うように滴下し、窒素気流下、110℃で30分熱処理して、第2絶縁層8を形成した。こうして、p型半導体素子を得た。得られたp型半導体素子を用い、上記評価方法(1)~(2)に従い、評価を行った。
実施例2~15、比較例1
第2絶縁層溶液Aの代わりに、表1に記載のように、第2絶縁層溶液B~Pをそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、p型半導体素子を作製し、評価した。
比較例2~4
第2絶縁層溶液Aの代わりに、表1に記載のように、ポリマー溶液A、KおよびL(これらは化合物(a)を含まない溶液である)をそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、p型半導体素子を作製し、評価した。
Figure 2023035942000004
1 基材
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁層
4 半導体層
5 ソース電極
6 ドレイン電極
7 カーボンナノチューブまたはグラフェン
8 第2絶縁層
10 p型半導体素子
11 基材
12 ゲート電極
13 ゲート絶縁層
14 半導体層
15 ソース電極
16 ドレイン電極
17 カーボンナノチューブまたはグラフェン
18 第2絶縁層
20 p型半導体素子
21 基材
22 第3電極
23 絶縁層
24 半導体層
25 カソード
26 アノード
27 カーボンナノチューブまたはグラフェン
28 第2絶縁層
29 第4電極
30 p型半導体素子
40 p型半導体素子
41 基材
42 ゲート電極
43 ゲート絶縁層
44 半導体層
45 ソース電極
46 ドレイン電極
47 カーボンナノチューブまたはグラフェン
48 第2絶縁層
50 n型半導体素子
52 ゲート電極
53 ゲート絶縁層
54 半導体層
55 ソース電極
56 ドレイン電極
57 カーボンナノチューブまたはグラフェン
58 第2絶縁層
70 アンテナ
200 TFTアレイ
210 TFT
220 TFT
230 TFT
240 TFT
250 ゲート線
260 ゲート線
270 ソース線
280 ソース線

Claims (16)

  1. 基材と、
    第1電極および第2電極と、
    前記第1電極および第2電極の両方に接する半導体層と、
    前記半導体層に接する絶縁層と、
    前記半導体層に対して前記絶縁層とは反対側で前記絶縁層と接する第3電極と、
    前記半導体層に対して前記絶縁層とは反対側で前記半導体層と接する第2絶縁層と、を備えたp型半導体素子であって、
    前記半導体層がカーボンナノチューブまたはグラフェンを含有し、
    前記第2絶縁層が、
    A.(a)無機化合物または金属錯体(以下、「化合物(a)」という)と、
    (b)ポリマーと、を含有する、または、
    B.化合物(a)のうち、金属錯体の構造から一部の原子を除いた残りの基をその分子構造中に含むポリマーを含有する、ことを特徴とする、p型半導体素子。
  2. 前記化合物(a)の電子親和力が1.3eV以上4.5eV以下である、請求項1に記載のp型半導体素子。
  3. 前記化合物(a)の電子親和力が2.1eV以上3.5eV以下である、請求項1に記載のp型半導体素子。
  4. 前記化合物(a)が金属錯体であり、その中の金属イオンが三価マンガン、三価鉄、および三価コバルトから選ばれる、請求項1に記載のp型半導体素子。
  5. 前記化合物(a)が金属錯体であり、その中の金属イオンが三価マンガンである、請求項1に記載のp型半導体素子。
  6. 前記化合物(a)が金属錯体であり、その配位子が一般式(1)で表される構造を有する、請求項1に記載のp型半導体素子。
    Figure 2023035942000005
    (一般式(1)中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボニル基、シアノ基またはニトロ基から選ばれる構造を示す。また、R~Rのうち任意の2つにより環構造が形成されていてもよい。R~Rは、互いに同じでも異なっていてもよい。)
  7. 前記(b)ポリマーが、エステル結合、カーボネート結合、エーテル結合、スルホニル基、クロロ基、ヒドロキシ基およびカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するポリマーである、請求項1に記載のp型半導体素子。
  8. 前記(b)ポリマーが、エステル結合、カーボネート結合またはヒドロキシ基を有するポリマーである、請求項7に記載のp型半導体素子。
  9. 前記第2絶縁層が、前記化合物(a)と前記(b)ポリマーとを含有し、前記化合物(a)と前記(b)ポリマーとの重量比を(a):(b)で表すとき、(a):(b)=7:93~70:30である、請求項1に記載のp型半導体素子。
  10. 前記半導体層がカーボンナノチューブを含有する、請求項1に記載のp型半導体素子。
  11. 請求項1~10のいずれかに記載のp型半導体素子と、n型半導体素子とを備えた相補型半導体装置。
  12. 前記n型半導体素子が、基材と、第1電極および第2電極と、前記第1電極および第2電極の両方に接する半導体層と、前記半導体層に接する絶縁層と、前記半導体層に対して前記絶縁層とは反対側で前記絶縁層と接する第3電極と、を備えたn型半導体素子であって、前記半導体層がカーボンナノチューブまたはグラフェンを含有する、請求項11に記載の相補型半導体装置。
  13. 請求項1~10のいずれかに記載のp型半導体素子の製造方法であって、第2絶縁層を形成する工程が、(P)(p-1)化合物(a)、(b)ポリマーおよび溶剤を含有する組成物、または、(p-2)化合物(a)の構造から一部の原子を除いた残りの基をその分子構造中に含むポリマーおよび溶剤を含有する組成物、を塗布する工程と、(Q)該塗布された組成物を乾燥する工程とを含む、p型半導体素子の製造方法。
  14. 請求項1~10のいずれかに記載のp型半導体素子の製造方法であって、半導体層を形成する工程が、(R)カーボンナノチューブまたはグラフェンと、溶剤とを含有する溶液を塗布する工程と、(S)該塗布された溶液を乾燥する工程とを含む、p型半導体素子の製造方法。
  15. 請求項1~10のいずれかに記載のp型半導体素子と、アンテナと、を少なくとも有する無線通信装置。
  16. 請求項1~10のいずれかに記載のp型半導体素子を有する、薄膜トランジスタアレイ。
JP2022134031A 2021-08-30 2022-08-25 p型半導体素子、その製造方法、それを用いた相補型半導体装置、無線通信装置および薄膜トランジスタアレイ Pending JP2023035942A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021139680 2021-08-30
JP2021139680 2021-08-30

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023035942A true JP2023035942A (ja) 2023-03-13

Family

ID=85505087

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022134031A Pending JP2023035942A (ja) 2021-08-30 2022-08-25 p型半導体素子、その製造方法、それを用いた相補型半導体装置、無線通信装置および薄膜トランジスタアレイ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023035942A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI713227B (zh) n型半導體元件和互補型半導體裝置、其製造方法以及使用上述的無線通訊裝置
US8134145B2 (en) Organic electronic device
TWI690982B (zh) 半導體元件、互補型半導體裝置、半導體元件的製造方法、無線通信裝置及商品標籤
JP2023035942A (ja) p型半導体素子、その製造方法、それを用いた相補型半導体装置、無線通信装置および薄膜トランジスタアレイ
JP6856174B1 (ja) カーボンナノチューブ分散液、それを用いた半導体素子の製造方法および無線通信装置の製造方法
JP2022108261A (ja) p型半導体素子、その製造方法、それを用いた相補型半導体装置、無線通信装置および薄膜トランジスタアレイ
JP7230509B2 (ja) 集積回路およびその製造方法ならびにそれを用いた無線通信装置
TWI801727B (zh) n型半導體元件、n型半導體元件的製造方法、無線通訊裝置及商品標籤
JP2023122551A (ja) p型半導体素子、その製造方法、それを用いた回路、無線通信装置、薄膜トランジスタアレイおよびセンサ
JP2023073980A (ja) 半導体装置、その製造方法、それを用いた相補型半導体装置、センサおよび無線通信装置
JP2023065320A (ja) 半導体装置およびそれを用いた無線通信装置
JP2021129107A (ja) 半導体装置およびその製造方法
JP6954310B2 (ja) n型半導体素子、n型半導体素子の製造方法、無線通信装置および商品タグ