JP2021136444A - 素子およびその製造方法 - Google Patents

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尚代 岡本
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尚代 岡本
潤史 脇田
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潤史 脇田
和生 磯貝
Kazuo Isogai
和生 磯貝
清一郎 村瀬
Seiichiro Murase
清一郎 村瀬
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Abstract

【課題】高誘電率で、かつリーク電流を低減した絶縁層を含むキャパシタ、電界効果型トランジスタ等素子およびその製造方法を提供する。【解決手段】電界効果型トランジスタ(FET)1は、絶縁基材100上に、少なくとも、パターニングされた下部電極(ゲート電極11)、絶縁層(ゲート絶縁層12)およびパターニングされた上部電極(ソース電極13およびドレイン電極15)が積層された素子であって、絶縁層が、無機粒子と結合したポリマーを含有し、下部電極上に形成された絶縁層の、上部電極に被覆されていない部分における膜厚の変動係数が10%以内である。【選択図】図1

Description

本発明は、素子およびその製造方法に関する。より詳細には、キャパシタ、電界効果型トランジスタ等の素子およびその製造方法に関する。
近年、電子ペーパー、フレキシブルセンサー、RFID(Radio Frequency IDentification)タグなどの電子デバイスを、塗布法を用いて製造する技術が検討されている。塗布法を用いると真空プロセスや高温プロセスを回避できるため、電子デバイスを低コストで製造することができる。
電子デバイスには電界効果型トランジスタ(FET)やキャパシタなどの素子が含まれている。これらの素子には上部電極と下部電極を絶縁する絶縁層が必要である。
FETにおける絶縁層は、半導体層、ソース電極、及びドレイン電極とゲート電極とを隔てるゲート絶縁層である。ゲート絶縁層の電気特性、表面平滑性、膜厚は、リーク電流値やFETのON/OFF電流値などのFET特性に大きな影響を与える。
キャパシタにおける絶縁層は、上部電極と下部電極とを隔て、かつ上部下部電極間に印加された電界によって生じる電荷を蓄積する誘電膜である。誘電膜の電気特性、表面平滑性、膜厚は、リーク電流値、蓄積電荷量などのキャパシタ特性に大きな影響を与える。
絶縁層用の材料として、有機ポリマーなど有機溶媒に可溶な有機材料が精力的に検討されている。これらは、スリットコートなどの塗布法による低コストの薄膜形成が可能であり、かつ低温プロセスでポリエチレンテレフタレートなどのフィルム基材上に薄膜形成ができる。特に、絶縁層の誘電率を高くするため、無機化合物を絶縁層中に添加する検討が盛んに為されている。
有機ポリマーに無機化合物を添加した絶縁層としては、無機粒子と化学的に結合したポリシロキサンを含有するゲート絶縁層(例えば、特許文献1参照)、ポリマーおよび無機酸化物粒子を含有するゲート絶縁層(例えば、特許文献2参照)、が知られている。
国際公開第2019/065561号 特開2013−115162号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、下部電極近傍での絶縁層の膜厚ムラが大きくなり、素子のリーク電流が大きくなる問題があることが明らかになった。また、特許文献1では、キャパシタについての言及はなく、上記問題は、下部電極面積が大きなキャパシタにおいて、特に顕著であることが見出された。
さらに、本発明者は特許文献2の技術を検討したところ、絶縁層の膜厚ムラは小さいが、一部の凝集した無機粒子による導電パスの形成により、キャパシタのリーク電流が大きくなる問題が明らかになった。
本発明は上記課題に着目し、高誘電率で、かつリーク電流を低減した絶縁層を有する電子デバイス用素子を提供することを目的とする。
本発明は、基材上に、少なくとも、(1)パターニングされた下部電極、(2)絶縁層、および(3)パターニングされた上部電極が積層された素子であって、前記絶縁層が、無機粒子と結合したポリマー(A)を含有し、前記下部電極上に形成された前記絶縁層の、前記上部電極に被覆されていない部分における膜厚の変動係数が10%以内であることを特徴とする素子である。
本発明の素子によれば、電極近傍、および電極上での膜厚均一性の高い絶縁層を有することにより、絶縁層の高誘電率と低リーク電流を両立した素子を得ることが可能である。
本発明の実施の形態に係る電界効果型トランジスタの一例を示す模式断面図 本発明の実施の形態に係る電界効果型トランジスタの一例を示す模式断面図 本発明の実施の形態に係る電界効果型トランジスタの一例を示す模式断面図 本発明の実施の形態に係る電界効果型トランジスタの一例を示す模式断面図 本発明の実施の形態に係る電界効果型トランジスタの一例を示す模式断面図 本発明の実施の形態に係る電界効果型トランジスタの一例を示す模式断面図 本発明の実施の形態に係るキャパシタの一例を示す模式断面図 本発明の電子デバイス用素子を用いて得られる回路の一例を示す模式断面図 本発明の電子デバイス用素子を用いて得られる回路の一例を示す模式断面図 本発明の電子デバイス用素子を用いて得られる回路の一例を示す模式断面図 本発明の電界効果型トランジスタを用いた無線通信装置の一例を示すブロック図 本発明の実施の形態に係るキャパシタの一例を示す模式断面図 本発明の実施の形態に係る電界効果型トランジスタの一例を示す模式断面図 本発明の電子デバイス用素子を用いて得られる回路の一例を示す模式断面図
以下、本発明に係る素子の好適な実施の形態を詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
<素子>
本発明の実施の形態に係る素子は、基材上に、少なくとも、(1)パターニングされた下部電極、(2)絶縁層、および(3)パターニングされた上部電極が積層された素子であって、前記絶縁層が、無機粒子と結合したポリマー(A)を含有し、絶縁層の、下部電極上であって上部電極に被覆されていない部分における膜厚の変動係数が10%以内であることを特徴とする素子である。
素子としては、例えば、電界効果型トランジスタ(FET)やキャパシタが挙げられる。
FETとしては、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、ソース電極と、ドレイン電極と、ソース電極及びドレイン電極に接する半導体層とを有する素子が挙げられる。
キャパシタとしては、下部電極と、上部電極と、下部電極と上部電極の間の誘電膜とを有する素子が挙げられる。
本発明における絶縁層は、上記FETではゲート絶縁層として、キャパシタでは誘電膜として機能するものである。
本発明において、絶縁層の、下部電極上であって上部電極に被覆されていない部分における膜厚とは、絶縁層内の上記部分に該当する箇所のうち、無作為に抽出した15箇所における膜厚の算術平均(平均膜厚)をいう。また、このときの測定は、第一の測定手法としては、光干渉式分光膜厚測定機により測定されるものをいう。第二の測定手法としては、絶縁層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察し、その断面の高さを測長して算出されるものをいう。第一の測定手法により測定できない場合、第二測定手法により測定する。第一の測定手法および第二の測定手法のどちらでも測定可能な場合、第一の測定手法により測定された値を採用する。また、当該15箇所における膜厚の標準偏差を上記平均膜厚で除した値を、絶縁層の膜厚の変動係数とする。
[実施の形態1:FET]
図1は、本発明の実施の形態1に係る素子であるFETを示す模式断面図である。このFET1は、絶縁基材100と、ゲート電極11と、ゲート絶縁層12と、ソース電極13と、ドレイン電極15と、ソース電極及びドレイン電極に接する半導体層14とを有する。半導体層とゲート電極とは、ゲート絶縁層によって電気的に隔てられている。図1に示すFET1では、ゲート電極11とソース電極13・ドレイン電極15との重なりがなく、半導体層14の幅とゲート電極の幅が一致する。
本実施の形態1においては、ゲート電極11が「パターニングされた下部電極」であり、ゲート絶縁層12が「絶縁層」であり、ソース電極13およびドレイン電極15が「パターニングされた上部電極」である。
図2〜6は、上記実施の形態1に係るFETの変形例を示す模式断面図である。
図2に示す変形例1に係るFET2では、ゲート電極11とソース電極13・ドレイン電極15との重なりがある。
図3に示す変形例2に係るFET3では、ゲート電極11とソース電極13・ドレイン電極15との重なりがなく、半導体層14の幅がゲート電極の幅よりも大きい。
図4に示す変形例3に係るFET4では、ゲート電極11とソース電極13とが重なり、図5に示す変形例4に係るFET5では、ゲート電極11とドレイン電極15とが重なる。
図1〜図5はボトムゲート構造の例であるが、図6に示す変形例5に係るFET6は、トップゲート構造であり、ゲート電極11とソース電極13、ドレイン電極15とが重ならない例である。この変形例5では、ソース電極13およびドレイン電極15が「パターニングされた下部電極」であり、ゲート電極11が「パターニングされた上部電極」である。
(ゲート絶縁層)
本発明の実施の形態に係るFETは、ゲート絶縁層に後述の無機粒子と結合したポリマー(A)を含む。このような場合、一般に、下部電極の周囲や下部電極上において、ゲート絶縁層の膜厚ムラが大きくなる。ゲート絶縁層の膜厚が薄い箇所では、リーク電流の発生により素子が動作しないことがある。一方、ゲート絶縁層の膜厚が厚い箇所ではオン電流が小さくなりやすい。このように、ゲート絶縁層の膜厚ムラが大きいときにはFET特性の低下が見られる。さらに、ゲート絶縁層の膜厚ムラにより、複数のFETを備えた基板において、基板内の各FET間でのFET特性のバラツキが大きくなる。
本発明の実施の形態に係るFETは、ゲート絶縁層の膜厚の変動係数が10%以下である。これは、ゲート絶縁層の膜厚ムラが小さいことを示す。これにより、リーク電流が低減し、素子形成の歩留まりが向上する。ゲート絶縁層の膜厚の変動係数は、8%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。
ゲート絶縁層の膜厚の変動係数を10%以下とする方法としては、ゲート絶縁層に特定の表面調整剤を含ませる方法や、特定のポリマー(B)を含ませる方法などが挙げられる。これらの詳細については後述する。
ゲート絶縁層の、下部電極上における厚さは、10nm以上が好ましく、25nm以上がより好ましく、50nm以上が特に好ましい。また、1000nm以下が好ましく、750nm以下がより好ましく、500nm以下が特に好ましい。
ゲート絶縁層は、単層、もしくは複数層から構成される。複数層の場合には、後述の好ましいゲート絶縁層を複数積層してもよいし、該好ましいゲート絶縁層と公知のゲート絶縁層とを積層してもよい。
ゲート絶縁層の比誘電率は、4以上であることが好ましく、7以上であることがより好ましく、8.5以上であることがさらに好ましく、10以上であることが特に好ましい。比誘電率が上記の範囲であることにより、FETのオン電流を大きくすることができる。また、比誘電率は20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、13.5以下であることがさらに好ましく、12以下であることが特に好ましい。比誘電率が上記の範囲であることにより、ゲート絶縁層による過剰な誘電損失を防ぐことができ、特に100MHz以上の高周波帯域の電波により駆動するFETでは、正確な動作を行うことができる。ゲート絶縁層の比誘電率εは、下記の(a)式を用いて算出することができる。
ε=C・D/(S・ε) (a)
ただしC(F)はゲート絶縁層の静電容量、D(m)はゲート絶縁層の厚さ、S(m)はゲート絶縁層を挟む電極の面積、εは真空の誘電率(8.85×10−12F/m)である。
(無機粒子)
本発明の実施の形態に係るFETに用いられる無機粒子としては、無機物質からなる粒子であれば特に制限はない。無機粒子は熱硬化時の収縮率が小さいため、収縮応力の発生を抑制することができる。そのため、本発明の電子デバイス用素子の耐クラック性が向上し、リーク電流を低減することができる。
無機粒子としては、金属化合物または半金属化合物からなる粒子が好ましく、ポリマーとの反応性の観点から、特に無機酸化物粒子が好ましい。
金属または半金属としては、例えば、ケイ素、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ランタン、セリウム、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、イットリウム、ニオブ、タンタルおよびアルミニウムからなる群より選ばれる元素が挙げられる。無機粒子は、上記群より選ばれる一種以上の元素を含む化合物の粒子であることが好ましい。金属化合物または半金属化合物としては、例えば、上記金属もしくは半金属のハロゲン化物、酸化物、窒化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩またはメタケイ酸塩が挙げられる。
本発明に用いられる無機酸化物粒子としては、国際公開第2019/065561号に記載されているもの等、公知のものが挙げられる。中でも、硬化膜の高誘電化の観点から、酸化スズ−酸化チタン複合粒子、酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子、酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化ハフニウム粒子、酸化イットリウム粒子、酸化ニオブ粒子、酸化タンタル粒子、酸化スズ粒子、酸化スズ−酸化ジルコニウム複合粒子、酸化ケイ素−酸化ジルコニウム複合粒子、酸化アルミニウム粒子、チタン酸バリウム粒子、チタン酸ストロンチウム粒子およびチタン酸バリウム−チタン酸ストロンチウム複合粒子、チタン酸ジルコン酸鉛粒子、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛粒子、ニオブ酸ストロンチウムビスマス粒子、ニオブ酸チタン酸ストロンチウムビスマス粒子、タンタル酸ビスマスストロンチウム粒子から選ばれた無機粒子がより好ましく、入手性の観点からは、酸化スズ−酸化チタン複合粒子、酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子、酸化チタン粒子等の酸化チタン含有粒子が特に好ましい。絶縁層の誘電率を向上させることで、本発明の電子デバイス用素子の素子特性が向上する。例えば、FETの場合、あるゲート電圧値でのFET駆動時(オン時)において、回路上へ流れる電流が上昇する。
無機粒子の形状に特に制限はないが、絶縁層の表面を平滑に保つためには、低アスペクト比の形状が好ましく、球状であることがより好ましい。
絶縁層のパターン加工性向上、および耐クラック性向上によるリーク電流低減の観点から、無機粒子の数平均粒子径は、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、15nm以上がさらに好ましく、20nm以上が特に好ましい。一方、数平均粒子径は、100nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましく、60nm以下がさらに好ましく、50nm以下が特に好ましい。数平均粒子径が上記範囲内であると、硬化膜のパターン加工性を向上させることができる。
ここで、無機粒子の数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、以下のように測定することで求めることができる。拡大倍率を50,000〜200,000倍として、硬化膜の断面を観測する。無機粒子が真球の場合、真球の直径を測定し、その粒子の粒子径とする。無機粒子が真球でない場合、最も長い径(以下、「長軸径」)および長軸径と直交する方向において最も長い径(以下、「短軸径」)を測定し、長軸径と短軸径を平均した、二軸平均径をその粒子の粒子径とする。この粒子径測定を無作為に選んだ20個以上の粒子について行い、その算術平均を数平均粒子径とする。
ゲート絶縁層に占める無機粒子の含有量は、体積分率で5vol%以上が好ましく、8vol%以上がより好ましく、10vol%以上が特に好ましい。また、同様に含有量は、50vol%以下が好ましく、30vol%以下がより好ましく、20vol%以下がさらに好ましく、18vol%以下が特に好ましい。
(無機粒子とポリマーの結合)
「無機粒子と結合したポリマー」における「結合」とは、共有結合、イオン結合、配位結合、金属結合、水素結合、π−π相互作用による結合、イオン−双極子相互作用による結合、双極子−双極子相互作用による結合、双極子−誘起双極子相互作用による結合、疎水性相互作用による結合、電荷移動錯体形成による結合、金属−配位子錯体形成による結合、ロンドンの分散力による結合、およびファンデルワールス力による結合から選ばれた結合である。
無機粒子は、その表面にヒドロキシ基など、ポリマーと反応可能な官能基を有しており、そこを基点として無機粒子とポリマーとが反応し、ポリマー中に無機粒子が組み込まれる。無機粒子がポリマーに結合された状態では、無機粒子とポリマーとを混合した場合と比較して、溶液状態での無機粒子の凝集が抑制される。さらに、無機粒子がポリマーに結合された状態では、無機粒子のアルカリ可溶性が向上するため、本発明の素子を構成する絶縁層をアルカリ現像によって形成する場合に、残渣発生によるパターン加工性の低下を抑制することができる。「結合」は、共有結合であることが、凝集抑制、パターン加工性の観点から好ましい。
無機粒子とポリマーとの結合の有無は、13C−NMR、29Si−NMRおよびIRなどの分析手段を組み合わせて確認することができる。例えば、13C−NMRまたは29Si−NMRを用いて、無機粒子のスペクトル、ポリマーのスペクトルおよび無機粒子が結合したポリマーのスペクトルを比較する。無機粒子が結合したポリマー中の、無機粒子に結合しているCまたはSi原子由来のピークは、ポリマーのスペクトルには存在しない化学シフトを有するピークとなるため、無機粒子とポリマーとの結合の有無を確認することができる。
同様に、IRでも無機粒子が結合したポリマー中のCまたはSi原子由来のピークは、ポリマーのスペクトルとは異なる波数を有するピークとなるため、無機粒子とポリマーとの結合の有無を確認することができる。
(無機粒子が結合したポリマー)
無機粒子が結合したポリマー(A)において、ポリマーは、溶媒に可溶性のものが好ましい。ポリマーの骨格は直鎖状、環状、分岐状の何れも用いられる。また側鎖に架橋性の官能基や、極性を有する官能基や、ポリマーの種々の特性を制御する官能基が導入されていることが好ましい。これらの特性を制御したポリマーを用いることによって、電子デバイス用素子の作製工程において、例えば、塗布性、表面の平坦性、耐溶剤性、透明性、他インクの良好な濡れ性などが得られる。さらには電子デバイス用素子形成後の耐久性や安定性などに優れた、良好な素子を得ることができる。
本発明に用いられるポリマー(A)としては、FETが正常に機能する程度の絶縁性を示すものであれば特に制限はなく、例えば、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフタルアミド、ポリエーテルニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリルアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリエステル、芳香族ポリエーテル、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、脂環式オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等を用いることができる。また、これらのポリマーに他のポリマーを共重合もしくは混合したものを用いることもできる。これらの内、FETのオン電流の向上およびリーク電流の低減の観点から、ポリシロキサンが好ましく用いられる。
ポリシロキサンの具体例としては、国際公開第2019/065561号に記載されているもの等、公知のものが挙げられる。
(表面調整剤)
ゲート絶縁層の膜厚の変動係数を10%以下とするために表面調整剤を用いる手法は、ゲート絶縁層を、絶縁層形成用塗液を用いて塗布法により形成する場合に特に有効である。
本発明に用いられる表面調整剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを挙げることができる。ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンにより、絶縁層形成用塗液の表面張力の低下および絶縁層形成用塗液の安定度向上に伴うものと推察される。
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの例としては、BYK−333、BYK−331、BYK−307(ビックケミー・ジャパン(株)製)、Borchi Gol LA2、Borchi Gol LA50(Bochers(株)製)などが挙げられる。
(ポリマーB)
本発明に用いられるポリマー(B)としては、無機粒子と結合しておらず、かつポリマー(A)とは異なる構造であってポリマー(A)に含まれる無機粒子表面のヒドロキシ基と水素結合可能な官能基を有するポリマーが挙げられる。ポリマー(B)の具体例としては、例えば、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシスチレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフタルアミド、ポリエーテルニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリルアミド、芳香族ポリエーテル、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等、種々のポリマーを用いることができる。また、これらのポリマーに他のポリマーを共重合もしくは混合したものを用いることもできる。
ポリマー(B)としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、メルカプト基、水酸基、エポキシ基及びそれらの誘導体からなる群より少なくとも1種類の官能基を有するポリマーが好ましい。特に、一般式(1)で表される構造単位を有するポリシロキサン、フェノール性水酸基を持つ樹脂、一般式(2)で表されるカルボン酸残基を有するポリエステル、ならびに、ポリマレイン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましい。
Figure 2021136444
なお、一般式(1)で表される構造単位を有するポリシロキサンは、一般式(5)で表される構造単位を有するポリシロキサンとして表すこともできる。
Figure 2021136444
一般式(1)および(5)において、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基またはアルケニル基を表す。Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはシリル基を表す。nは0または1を表す。Aは、カルボキシル基、スルホ基、チオール基、フェノール性水酸基、エポキシ基またはそれらの誘導体を少なくとも一つ含む有機基を表す。ただし、前記誘導体が、前記カルボキシル基、スルホ基、チオール基およびフェノール性水酸基のうち、いずれか二つによる環状縮合構造である場合は、Aは当該環状縮合構造を少なくとも一つ有する有機基を表す。
Figure 2021136444
一般式(2)において、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、または一般式(3)で表される有機基を表す。なお、一般式(2)において、1位および1’位にあるカルボキシル基の残基が、ポリエステル中のエルテル結合に供される部位である。
Figure 2021136444
一般式(3)において、Rは、水酸基、アルコキシ基、又は一般式(4)で表される官能基を表す。
Figure 2021136444
一般式(4)において、Rは、アルキレン基、またはオキシアルキレン基で表される官能基を表す。ただし、アルキレン基、オキシアルキレン基の中に少なくとも1つのエステル結合、アミド結合、またはウレタン結合が含まれていてもよい。R10は、水素原子、またはメチル基を表す。
ゲート絶縁層中に含まれる全ポリマー成分中に占めるポリマー(A)の重量比率は、特に制限はないが、電極上及び周囲での絶縁層の膜厚ムラ改善の観点からは、94重量%以下が好ましい。一方、ポリマー(A)に含まれる無機粒子に由来する、高誘電性の維持の観点からは、50重量%以上が好ましい。
これらの範囲にあることで、絶縁層の高誘電率を維持しつつフォトリソグラフィ時に露光部と未露光部のコントラストをとることができる。「露光部と未露光部のコントラストをとることができる」とは、例えば、ポジ型感光性材料の場合、露光部では残膜が無く、未露光部は現像液への溶解性が抑制され、所望膜厚の絶縁層が得られることを意味する。
また、ポリマーAとポリマーBの合計100重量部に対して占める無機粒子の含有量としては特に制限はないが、絶縁層の高誘電率化の観点から、15重量部以上が好ましく、30重量部以上が特に好ましい。一方、溶液状態でのポリマーAの分散性の観点からは、80重量部以下が好ましい。
ゲート絶縁層中にポリマー(A)とポリマー(B)が含まれていることは、FT−IR、H−NMR、13C−NMR、29Si−NMR、熱分解GC−MS、LC−MSなどの分析手法を組み合わせることで分析することができる。
(その他の成分)
ゲート絶縁層は、必要に応じて、粘度調整剤、界面活性剤、安定化剤などを含有することができる。本発明における絶縁層は、さらに感光性有機成分を含むことができる。感光性有機成分としては、エチレン性不飽和二重結合基を有するラジカル重合性化合物、UV光の照射によって結合開裂および/または反応してラジカルを発生する光重合開始剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、光により酸を発生する光酸発生剤などが挙げられる。
FET素子のヒステリシス低減の観点からは、ゲート絶縁層中での電荷トラップの原因となるラジカルが発生しない光酸発生剤が好ましい。ゲート絶縁層中での電荷トラップを低減することで、低ヒステリシスの実現が可能である。
光酸発生剤としては、特に限定されないが、オニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物などを例として挙げることができる。ジアゾケトン化合物の具体的な例としては、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物などが挙げられる。中でもジアゾナフトキノン化合物が、絶縁層のパターン加工精度や耐クラック性の観点から好ましい。好ましいジアゾケトン化合物は1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸と2,2,3,4,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノンとのエステル、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸と1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンとのエステルなどを挙げることができる。
(半導体層)
本発明における半導体層は、半導体性を有するものであれば特に制限はなく、シリコン半導体や酸化物半導体等の無機半導体、ペンタセンやポリチオフェン誘導体等の有機半導体、カーボンナノチューブ(CNT)やグラフェン等のカーボン半導体を用いることができる。これらの中でも、CNTは、キャリア移動度が高く、低コストで簡便な塗布プロセスが適用できる点で優れている。
さらに、CNT表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着した、CNT複合体は、溶液中での分散安定性に優れ、低ヒステリシスが得られるため、特に好ましい。共役系重合体がCNTの表面の少なくとも一部に付着した状態とは、CNT表面の一部、あるいは全部を共役系重合体が被覆した状態を意味する。
好ましく用いられるCNTおよび有機半導体としては、国際公開第2019/065561号に記載されているもの等、公知のものが挙げられる。
本発明の実施の形態に係るFETは、ゲート絶縁層と半導体層の間に配向性層を設けることもできる。配向性層の材料としては、シラン化合物、チタン化合物、有機酸、ヘテロ有機酸など、公知の材料を用いることができ、特に有機シラン化合物が好ましい。
本発明の実施の形態に係るFETは、半導体層に対してゲート絶縁層と反対側に第2絶縁層を有してもよい。ここで、半導体層に対してゲート絶縁層と反対側とは、例えば、半導体層の上側にゲート絶縁層を有する場合は半導体層の下側を指す。これにより、しきい値電圧やヒステリシスを低減することができ、高性能なFETが得られる。好ましく用いられる第2絶縁層およびその製造方法としては、国際公開第2019/065561号に記載されているもの等、公知のものが挙げられる。
(基板)
基板に用いる材料としては、少なくとも電極(ゲート電極、またはソース・ドレイン電極)が配置される面が絶縁性であればいかなる材質のものでもよい。例えば、シリコンウェハー、ガラス、サファイア、アルミナ焼結体等の無機材料;ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン等の有機材料などが好適に用いられる。
また、例えばシリコンウェハー上にPVP膜を形成したものや、ポリエチレンテレフタレート上に下部電極の密着改良剤としてアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリシロキサンを形成したものなど、複数の材料が積層されたものであってもよい。
これらの中でも、素子の柔軟性、製造コストの観点から、基板の材料としてはポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましく、特に基板表面の平滑性の観点から、シリカ粒子などのフィラーが未添加のPETフィルムの表面にシリカナノ粒子を含むコート層が形成されたフィルムが好ましい。
通常のPETフィルムでは、フィルム中にシリカ粒子が含まれているため基板の表面平滑性が低く、このフィルムで素子を作製すると、凸部分でゲート絶縁層のリークが起こりやすい。一方、シリカ粒子などのフィラーが未添加のPETフィルムの表面にシリカナノ粒子を含むコート層が形成されたフィルムでは、表面平滑性が高い。このため、このフィルムで作製した素子では、ゲート絶縁層でのリークが起きにくい。
(電極)
ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極に用いる材料としては、例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)などの導電性金属酸化物;白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、パラジウム、モリブデン、アモルファスシリコンやポリシリコンなどの金属やこれらの合金;ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質;ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン;ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体;ヨウ素などのドーピングなどで導電率を向上させた導電性ポリマーなど;炭素材料などの導電体が挙げられる。これらの材料は、単独で用いてもよいし、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。
導電体としては金属粒子を用いることが好ましい。金属粒子を用いることで、素子の折り曲げ耐性向上という効果を有する。この原因としては、導電膜表面に凹凸が形成され、その凹凸にゲート絶縁層が入り込むことで生じるアンカー効果によって、導電膜とゲート絶縁層との密着性が向上するためと考えられる。
金属粒子としては、具体的には、金、銀、銅、白金、鉛、錫、ニッケル、アルミニウム、タングステン、モリブデン、酸化ルテニウム、クロム、チタン、カーボン若しくはインジウムの少なくとも1種を含む金属粒子が好ましい。これらの金属粒子を単独、合金、あるいは混合粒子として用いることができる。これらの中でも導電性の観点から金、銀、銅または白金の粒子が好ましい。中でも、コスト、安定性の観点から銀の粒子であることがより好ましい。また、導電膜の電気抵抗率低減の観点から、カーボンブラックを含むことがさらに好ましい。
ゲート電極、及びソース電極/ドレイン電極のうち少なくとも一方の電極が有機成分を含むことが好ましい。有機成分を含むことで電極とゲート絶縁層の密着性が向上する。また、有機成分が感光性有機成分を含むことで、レジストを用いずフォトリソグラフィによる電極のパターン加工ができ、より生産性を向上させることが可能になる。これらの効果をより高める観点から、ゲート電極、及びソース電極/ドレイン電極のいずれもが有機成分を含むことが好ましい。
有機成分としては、特に制限はないが、モノマー、オリゴマーもしくはポリマーなどが挙げられる。オリゴマーもしくはポリマーとしては特に限定されず、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド前駆体、ポリイミドなどを用いることができるが、屈曲時の耐クラック性の観点からアクリル樹脂が好ましい。これは、アクリル樹脂のガラス転移温度は100℃以下であり、導電膜の熱硬化時に軟化し、導電体粒子間の結着が強まるためと推定される。
また、感光性有機成分は、分子内に重合性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーおよび/またはこれらの付加反応体を含むものである。
分子内に重合性不飽和基を有するモノマーとしては、活性な炭素−炭素不飽和二重結合を有する化合物を用いることができる。官能基として、ビニル基、アリル基、アクリレート基、メタクリレート基およびアクリルアミド基から選ばれた基を有する単官能化合物および多官能化合物が応用できる。これらを1種または2種以上使用することができる。
上記モノマーは、電極材料の全質量に対し、1質量%〜15質量%の範囲で含まれることが好ましく、より好ましくは、2質量%〜10質量%の範囲内である。 分子内に重合性不飽和基を有するオリゴマーもしくはポリマーは、オリゴマーもしくはポリマーに対して、重合性不飽和基を側鎖または分子末端に付加させることによって得ることができる。
好ましい重合性不飽和基は、エチレン性不飽和基を有するものである。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。
このような側鎖をオリゴマーもしくはポリマーに付加させる方法としては、国際公開第2019/065561号に記載されている方法など、公知の方法が挙げられる。
電極材料は光硬化するために、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は、光硬化に使用される光源によって選択され、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤等が使用できる。
光重合開始剤は、電極材料の全質量部に対し、0.05質量%〜10質量%の範囲内で含まれることが好ましく、より好ましくは、0.1質量%〜10質量%である。光重合開始剤の量が少なすぎると光硬化不足となり、光重合開始剤の量が多すぎる場合には相溶性が不良になる恐れがある。
光重合開始剤と共に増感剤を使用することで感度を向上させ、反応に有効な波長範囲を拡大することができる。電極材料が増感剤を含む場合、その含有量は感光性有機成分に対して0.05質量%〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1質量%〜10質量%である。増感剤の量が少なすぎれば光硬化を向上させる効果が発揮されず、増感剤の量が多すぎれば、相溶性が不良になる恐れがある。
導電膜中の導電体の量は、導電膜の70〜95wt%の範囲内であることが好ましく、下限としては80wt%以上が、上限としては90wt%以下が、それぞれより好ましい。この範囲にあることで、導電膜の比抵抗値、および断線確率を低くすることができる。
電極の形成方法としては、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、メッキ、CVD、イオンプレーティングコーティング、インクジェット、印刷などの公知技術を用いた方法や、前記有機成分および導電体を含むペーストをスピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法などの公知の技術で絶縁基板上に塗布し、オーブン、ホットプレート、赤外線などを用いて乾燥を行い形成する方法などが挙げられる。導通を取ることができれば特に制限されない。
電極をペーストの塗布により形成する場合、ペースト形成のために、有機溶剤を含有しても構わない。有機溶剤を用いることで、ペーストの粘度調整を行うことができ、塗布膜の表面平滑性を向上できる。
電極の幅、厚み、間隔は任意である。電極幅は5μm〜1mm、厚みは0.01μm〜100μm、電極の間隔は1μm〜500μmが好ましいが、これらに限られない。
電極をパターン状に形成する方法としては、上記方法で作製した電極薄膜を公知のフォトリソグラフィ法などで所望の形状にパターン形成してもよいし、あるいは電極、配線および接続部物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターン形成してもよい。また、インクジェットや印刷法を用いて直接パターンを形成してもよい。
電極パターンは、それぞれ別々に加工して形成してもよいし、それらのうちの少なくとも2つを一括して加工して形成してもよい。加工工程の低減、およびパターンの接続の観点からは、電極パターンを一括して加工することが好ましい。
(FETの製造方法)
以下に、図1の構成で示されるFETの製造方法を説明する。なお、製造方法は下記に限定されるものではない。
(工程1)基板上に下部電極となる導電性パターンを形成する工程
まず、基板100上にゲート電極11となる導電性パターンを形成する。形成方法は、例えば金属蒸着やスピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコート法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などの公知の方法が挙げられる。なお、導電性パターンを形成するにあたっては、マスクなどを用いて直接パターン形成してもよいし、形成したゲート電極上にレジストを塗布し、レジスト膜を所望のパターンに露光および現像した後、エッチングすることによりゲート電極をパターニングすることも可能である。さらに、感光性有機成分を有する導電性ペーストを用いる場合、レジストを用いなくても、フォトリソグラフィによりゲート電極をパターニングすることが可能である。
(工程2)ゲート絶縁層を形成する工程
次に上記導電性パターンが形成された基板上にゲート絶縁層12を形成する。ゲート絶縁層12の形成方法としては、少なくとも、無機粒子が結合したポリマーを含む溶液を基板上に塗布し、乾燥してコーティング膜を得た後、該コーティング膜を加熱して硬化させることにより、ゲート絶縁層12を形成することができる。また、FETを組み合わせた回路の形成において、絶縁層下部に存在する導電性パターンから導通を取るために、コーティング膜にパターニングを施すことができる。
無機粒子が結合したポリマーを含む溶液を塗布する方法としては、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコート法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などの公知の塗布方法が挙げられる。
(工程3)前記ゲート絶縁層上に上部電極となる導電性パターンを形成する工程
次に、ゲート絶縁層上にソース電極13およびドレイン電極15となる導電性パターンを形成する。ソース電極13およびドレイン電極15を形成する方法としては、ゲート電極11と同様、例えば金属蒸着、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコート法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などの公知の方法が挙げられる。なお、導電性パターンを形成するにあたっては、マスクなどを用いて直接パターン形成してもよいし、形成した電極上にレジストを塗布し、レジスト膜を所望のパターンに露光および現像した後、エッチングすることによりソース電極およびドレイン電極をパターニングすることも可能である。さらに、感光性有機成分を有する導電性ペーストを用いる場合、レジストを用いず導電性ペーストのみから、フォトリソグラフィによりゲート電極をパターニングすることもまた可能である。
(工程3)の後、ソース電極およびドレイン電極を形成したゲート絶縁層上に半導体層14を形成することにより、FETが得られる。半導体層14の形成方法としては、抵抗加熱蒸着、電子線、スパッタリング、CVDなど乾式の方法を用いることも可能であるが、製造コストや大面積への適合の観点から塗布法を用いることが好ましい。塗布法としては、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコート法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などの公知の塗布方法が挙げられる。塗膜厚み制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択できる。これらの方法を用いて、半導体層と、ソース電極13およびドレイン電極15となる導電性パターンとが、お互いに接するように半導体層を形成する。なお、半導体層を形成した後に、ソース電極およびドレイン電極を形成してもよい。
特に、CNTを含有する半導体層を形成する場合は、CNTを含む溶液を、ゲート絶縁層上に塗布することが好ましい。この場合、塗布する方法に特に制限は無いが、インクジェット法を用いることが、溶液の使用量を削減し、生産性を高めることができる点で優れている。CNTを含む溶液は、超音波ホモジナイザーなど公知の分散装置を用いた撹拌処理によって、CNTを溶媒中で撹拌することにより作製することができる。
ゲート絶縁層12と半導体層14の間に配向性層を、上記ゲート絶縁層材料のコーティング膜を形成する方法と同様の方法にて形成する工程を追加してもよい。また、半導体層14に対してゲート絶縁層12と反対側に第2絶縁層を、前記半導体層14と同様の方法にて形成する工程を追加してもよい。
[実施の形態2:キャパシタ]
図7は、本発明の実施の形態2に係る素子であるキャパシタを示す模式断面図である。このキャパシタ7は、絶縁基材200と、下部電極21と、下部電極21の一部を覆う誘電膜22と、誘電膜22の一部を覆う上部電極23とを有する。
絶縁基材、誘電膜、上部電極および下部電極の材料及び製造方法については、上記のFETにおける絶縁基材、ゲート絶縁層およびゲート電極におけるものと同様の事項が当てはまる。
本発明の実施の形態に係るキャパシタは、絶縁層に前述の無機粒子と結合したポリマー(A)を含むが、このような場合、一般に、下部電極の周囲や下部電極上において、形成された絶縁層の膜厚ムラが大きくなる。特に、キャパシタにおいては下部電極の面積が大きいため、その電極上での絶縁層の膜厚ムラが大きくなると、膜厚が薄い箇所でリークしてしまい、キャパシタ形成の歩留まりが著しく低くなる。さらに、膜厚ムラにより、基板内での容量値などのキャパシタ特性のバラツキが大きくなる。
本発明の実施の形態に係るキャパシタは、絶縁層の膜厚の変動係数が10%以下であるので、リーク電流が低減し、素子形成の歩留まりが向上する。絶縁層の膜厚の変動係数は、8%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。
絶縁層の膜厚の変動係数を10%以下とする方法としては、上述した実施の形態1に係るFETのゲート絶縁層における方法と同じ方法が挙げられる。
この絶縁層を構成する材料および組成や、その製造方法については、上述した実施の形態1に係るFETのゲート絶縁層におけるものと同じ内容が該当する。
<回路>
上記のFETとキャパシタを組み合わせることで、回路を構成することができる。回路としては特に制限はなく、整流回路、変調回路、メモリ回路、電源回路、基準電圧・電流回路、データ・コンバータ回路、オペアンプ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせもよい。
図8は、FET301とキャパシタ素子302とを備える整流回路の一例である。図8の構造では、絶縁基材300上に、下部電極32、上部電極37、および絶縁層(誘電膜)33bからなるキャパシタ302と、ゲート電極31、絶縁層33a(ゲート絶縁層)、ソース電極35、ドレイン電極36および半導体層34からなるFET301と、配線38と、ビア39とが設けられている。図8ではキャパシタ302の誘電膜とFET301のゲート絶縁層が共通化されており、同一の材料を使用している。図8では、ドレイン電極36と上部電極37が配線38を介して電気的に接続されている構造を例示しているが、ドレイン電極36と下部電極32が配線38とビア39を介して電気的に接続されていてもよい。また、図8ではボトムゲート構造のFETを示したが、トップゲート構造のFETでも構わない。さらに、図8ではキャパシタ302の誘電膜とFET301のゲート絶縁層が共通の材料で構成される回路を示したが、図9、10に示すように、それぞれ異なる材料による絶縁層33A、絶縁層33Bを用いてもよい。
なお、絶縁基材、誘電膜、ゲート電極、上部電極、下部電極については、第1及び第2の実施形態に用いられるのと同様の材料、及び製造方法を用いることができる。また、ビア、配線については、下部電極および上部電極と同様の材料、及び製造方法を用いることができる。
(素子の適用可能性)
本発明の素子は、各種電子機器のIC、RFIDタグなどの無線通信装置、無線給電装置、ディスプレイ用TFTアレイ、センサ、開封検知システムなどに適用可能である。
<無線通信装置>
本発明の素子およびそれを有する回路は、無線通信装置に適用することができる。この無線通信装置は、例えば、商品タグ、万引防止タグ、各種チケットやスマートカードなどの、非接触型タグであるRFID(Radio Frequency IDentification)タグのような、リーダ/ライタに搭載されたアンテナから送信される搬送波を受信することで電気通信を行う装置である。具体的な動作は、例えばリーダ/ライタに搭載されたアンテナから送信された無線信号を、RFIDタグのアンテナが受信し、整流回路により直流電流に変換されRFIDタグが起電する。次に、起電されたRFIDタグは、無線信号からコマンドを受信し、コマンドに応じた動作を行う。その後、コマンドに応じた結果の回答をRFIDタグのアンテナからリーダ/ライタのアンテナへ無線信号として送信する。なお、コマンドに応じた動作は復調回路、制御回路、変調回路等によって実行される。
本発明の素子と、アンテナと、を少なくとも有する無線通信装置のより具体的な構成としては、例えば図11に示すように、アンテナ40で受信した外部からの変調波信号の整流を行い、各部に電源を供給する電源生成部45、上記変調波信号を復調して制御回路へ送る復調回路41、制御回路から送られたデータを変調してアンテナに送り出す変調回路43、復調回路41で復調されたデータの記憶回路44への書込みおよび記憶回路44からデータを読み出して変調回路43への送信を行う制御回路42を含み、各回路部が電気的に接続された無線通信装置が挙げられる。前記電源生成部、復調回路、制御回路、変調回路、記憶回路の少なくともいずれか1つ以上は上述の素子を含み、さらにコンデンサ、抵抗素子、ダイオード等を含んでいても良い。なお前記記憶回路は、さらに、製造時に情報が書き込まれる読み取り専用の記憶部や、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、FeRAM(Ferroelectric Randam Access Memory)等の不揮発性の書換え可能な記憶部を有していてもよい。なお、前記電源生成部はコンデンサおよびダイオードから構成される。
アンテナ、コンデンサ、抵抗素子、ダイオードおよび不揮発性の書き換え可能な記憶部は一般的に使用されるものであればよく、用いられる材料および形状は特に限定はされない。またそれぞれを電気的に接続する材料も、一般的に使用されうる導電材料であればいかなるものでもよい。接続方法も電気的に導通を取ることができれば、いかなる方法でもよく、接続部の幅および厚みは任意である。
<商品タグ>
上記の無線通信装置を用いた商品タグについて説明する。この商品タグは、例えば基体と、この基体によって被覆された上記無線通信装置を有している。
基体は、例えば、平板状に形成された紙などの非金属材料によって形成されている。例えば、基体は2枚の平板状の紙を貼り合わせた構造をしており、この2枚の紙の間に上記無線通信装置が配置されている。上記無線記憶装置の記憶回路に、例えば商品を個体識別する個体識別情報が予め格納されている。
この商品タグとリーダ/ライタとの間で、無線通信を行う。リーダ/ライタとは、無線により商品タグに対するデータの読み取りおよび書き込みを行う装置であり、商品の流通過程や決済時に、商品タグとデータのやり取りを行うものである。リーダ/ライタは公知のものが利用でき、例えば、携帯型のものや、レジに設置される固定型のものがある。
具体的には、商品タグは個体識別情報の送信を要求する所定のリーダ/ライタからのコマンドに応じ、記憶している個体識別情報を無線により返信する識別情報返信機能を備えている。これにより、例えば商品の精算レジにおいて、非接触で多数の商品を同時に識別することが可能となり、バーコードでの識別と比較すると決済処理の容易化や迅速化を図ることができる。
例えば、商品の会計の際には、リーダ/ライタが商品タグから読み取った商品情報をPOS(Point of sale system、販売時点情報管理)端末に送信すると、POS端末においてその商品情報によって特定される商品の販売登録がなされるといったことが可能となる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(1)絶縁層の膜厚測定
光干渉式分光膜厚測定機(OPTM−A2大塚電子(株)製)を用いて、下部電極上に形成されており上部電極に被覆されていない部分の絶縁層の膜厚を測定した。それぞれの部位について15箇所で膜厚の測定を行い、その算術平均および標準偏差を求め、標準偏差を算術平均で除することで変動係数を算出し、以下の基準で評価を行った。
A(非常に良好):変動係数が5%以下
B(良好):変動係数が5%より大きく8%以以下
C(可):変動係数が8%より大きく10%以下
D(不可):変動係数が10%より大きい。
(2)絶縁層の比誘電率の測定
表1に示す絶縁体溶液をアルミ基板上にスピンコート塗布(800rpm×10秒)し、110℃で2分間熱処理後、乾燥オーブンを用いて150℃30分加熱処理することによって、膜厚400nmの硬化膜を形成した。次に、硬化膜上に、直径5mmの円形のアルミ電極を蒸着形成した。この膜を、精密インピーダンスアナライザー(Agilent製、4294A型)を使用し、25℃、1MHzで静電容量を測定した。以上の条件と測定値を元に、(a)式に従い硬化膜の比誘電率εを求めた。
ε=C・D/(S・ε) (a)
ただしC(F)は絶縁層の静電容量、D(m)は絶縁層の厚さ、S(m)は絶縁層を挟む電極の面積、εは真空の誘電率(8.85×10−12F/m)である。
(3)キャパシタの作製
図12に示すキャパシタを作製した。膜厚50μmのPETフィルム(商品名「U48」、東レ(株)製)500上に、抵抗加熱法により、銅を膜厚100nmになるように真空蒸着し、その上にフォトレジスト(商品名「LC140−10cP」、ローム・アンド・ハース(株)製)をスピンコート塗布(1000rpm×20秒)し、100℃で10分加熱乾燥した。作製したフォトレジスト膜をパラレルライトマスクアライナー(キヤノン(株)製PLA−501F)を用いて、マスクを介してパターン露光した後、自動現像装置(滝沢産業(株)製AD−2000)を用いて2.38質量%TMAH水溶液であるELM−D(商品名、三菱ガス化学(株)製)で60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間洗浄した。その後、Cu−03(商品名、関東化学(株)製)で2分間エッチング処理した後、水で30秒間洗浄した。JELK−101(商品名、関東化学(株)製)に2分間浸漬してレジストを剥離し、水で30秒間洗浄後、120℃で20分間加熱乾燥することで下部電極51を形成した。次に各実施例および比較例に記載の絶縁材料溶液を下部電極51が形成されたPETフィルム上にスピンコート塗布(800rpm×10秒)し、110℃で2分間熱処理後、乾燥オーブンを用いて150℃30分加熱処理することによって、膜厚400nmの誘電膜52を形成した。次に、調製例2の導電ペーストをバーコーターで塗布し、乾燥オーブンで100℃、10分間プリベークを行った。その後、露光装置“PEM−8M”を用いて露光した後、0.5%NaCO溶液で30秒間浸漬現像し、超純水でリンス後、乾燥オーブンで140℃、30分間キュアを行い、上部電極53を形成した。
(4)FETの作製
図13に示すFETを作製した。膜厚50μmのPETフィルム(商品名「U48」、東レ(株)製)600上に、抵抗加熱法により、銅を膜厚100nmになるように真空蒸着し、その上にフォトレジスト(商品名「LC140−10cP」、ローム・アンド・ハース(株)製)をスピンコート塗布(1000rpm×20秒)し、100℃で10分加熱乾燥した。作製したフォトレジスト膜をパラレルライトマスクアライナー(キヤノン(株)製PLA−501F)を用いて、マスクを介してパターン露光した後、自動現像装置(滝沢産業(株)製AD−2000)を用いて2.38質量%TMAH水溶液であるELM−D(商品名、三菱ガス化学(株)製)で60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間洗浄した。その後、Cu−03(商品名、関東化学(株)製)で2分間エッチング処理した後、水で30秒間洗浄した。JELK−101(商品名、関東化学(株)製)に2分間浸漬してレジストを剥離し、水で30秒間洗浄後、120℃で20分間加熱乾燥することでゲート電極61を形成した。次に各実施例および比較例に記載の絶縁材料溶液をゲート電極61が形成されたPETフィルム上にスピンコート塗布(800rpm×10秒)し、110℃で2分間熱処理後、乾燥オーブンを用いて150℃30分加熱処理することによって、膜厚400nmのゲート絶縁層62を形成した。次に、調製例1の半導体溶液を、ゲート絶縁層62上にインクジェット塗布し、大気下150℃で30分間熱処理することによって半導体層63を形成した。次に、調製例2の導電ペーストをバーコーターで塗布し、乾燥オーブンで100℃、10分間プリベークを行った。その後、露光装置“PEM−8M”を用いて露光した後、0.5%NaCO溶液で30秒間浸漬現像し、超純水でリンス後、乾燥オーブンで140℃、30分間キュアを行い、ソース電極64、ドレイン電極65を形成した。
(5)整流回路の作製
図14に示すFET701とキャパシタ702からなる整流回路を作製した。膜厚50μmのPETフィルム(商品名「U48」、東レ(株)製)700上に、抵抗加熱法により、銅を膜厚100nmになるように真空蒸着し、その上にフォトレジスト(商品名「LC140−10cP」、ローム・アンド・ハース(株)製)をスピンコート塗布(1000rpm×20秒)し、100℃で10分加熱乾燥した。作製したフォトレジスト膜をパラレルライトマスクアライナー(キヤノン(株)製PLA−501F)を用いて、マスクを介してパターン露光した後、自動現像装置(滝沢産業(株)製AD−2000)を用いて2.38質量%TMAH水溶液であるELM−D(商品名、三菱ガス化学(株)製)で60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間洗浄した。その後、Cu−03(商品名、関東化学(株)製)で2分間エッチング処理した後、水で30秒間洗浄した。JELK−101(商品名、関東化学(株)製)に2分間浸漬してレジストを剥離し、水で30秒間洗浄後、120℃で20分間加熱乾燥することでFET素子のゲート電極71とキャパシタ素子の下部電極72を形成した。次に各実施例および比較例に記載の絶縁材料溶液をゲート電極71と下部電極72が形成されたPETフィルム上にスピンコート塗布(800rpm×10秒)し、110℃で2分間熱処理した。その後、露光装置“PEM−8M”を用いて露光した後、TMAH溶液で30秒間浸漬現像し、超純水でリンスし、ビア79を形成する箇所に抜きパターンを形成した。その後、乾燥オーブンを用いて150℃30分加熱処理することによって、膜厚400nmのFET素子のゲート絶縁層とキャパシタ素子の誘電層を兼ねる絶縁層73を形成した。次に、調製例1の半導体溶液を、絶縁層73上にインクジェット塗布し、大気下150℃で30分間熱処理することによって半導体層74を形成した。次に、調製例2の導電ペーストをバーコーターで塗布し、乾燥オーブンで100℃、10分間プリベークを行った。その後、露光装置“PEM−8M”を用いて露光した後、0.5%NaCO溶液で30秒間浸漬現像し、超純水でリンス後、乾燥オーブンで140℃、30分間キュアを行い、FET素子のソース電極75とドレイン電極76、キャパシタ素子の上部電極77、配線78、ビア79を形成した。
(6)キャパシタの短絡率の評価
作製したキャパシタ100個について、印加電圧(Ve)を変えたときの電極間電流(Ie)を測定した。測定には半導体特性評価システム4200−SCS型(ケースレーインスツルメンツ(株)製)を用い、大気中(気温20℃、湿度35%)で測定した。電極面積1mmの素子について、Ve=10VにおけるIeが10−8A以上の素子を短絡素子として、以下の基準で評価を行った。
A(非常に良好):短絡が見られた素子数が100個中1個以下。
B(良好):短絡が見られた素子数が100個中2個以上5個未満。
C(可):短絡が見られた素子数が100個中5個以上20個未満。
D(不可):短絡が見られた素子数が100個中20個以上。
(7)FETリーク率の評価
作製したFET100個について、ゲート電圧(Vg)を変えたときのソース・ドレイン間電流(Id)−ソース・ドレイン間電圧(Vsd)特性を測定した。測定には半導体特性評価システム4200−SCS型(ケースレーインスツルメンツ(株)製)を用い、大気中(気温20℃、湿度35%)で測定した。Vg=−20Vにおけるドレイン電流値からオン電流を求めた。さらに、Vg=20Vでの、ゲート・ソース間電流(Vgs)が10−8A以上の素子をリーク素子として、以下の基準で評価を行った。
A(非常に良好):リークが見られた素子数が100個中1個以下。
B(良好):リークが見られた素子数が100個中2個以上5個未満。
C(可):リークが見られた素子数が100個中5個以上20個未満。
D(不可):リークが見られた素子数が100個中20個以上。
(8)整流回路の歩留まり評価
作製した整流回路100個において、ソース電極75に交流電流を入力した際、ドレイン電極76に出力された直流電流を測定し、整流回路の歩留まりを、以下の基準で評価を行った。
A(非常に良好):駆動しない回路数が100個中1個以下。
B(良好):駆動しない回路数が100個中2個以上5個未満。
C(可):駆動しない回路数が100個中5個以上20個未満。
D(不可):駆動しない回路数が100個中20個以上。
合成例1:無機粒子が結合したポリシロキサン(PS−01)の合成
三口フラスコにメチルトリメトキシシラン(MeSi)を10.90g(0.08mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(SucSi)を5.25g(0.02mol)、1−ナフチルトリメトキシシラン(NapSi)を24.84g(0.10mol)、20.6質量%の酸化チタン−酸化ケイ素複合粒子メタノール分散液である“オプトレイク(登録商標)”TR−550(日揮触媒化成(株)製、数平均粒子径15〜25nm)を133.68g(オルガノシランが完全縮合した場合の質量(27.54g)100質量部に対して、粒子含有量100質量部)、ジアセトンアルコール(DAA、沸点168℃)を102.28g仕込み、室温で撹拌しながら水11.16gにリン酸0.205g(仕込みモノマーに対して0.50質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分間かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて60分間撹拌した後、オイルバスを30分間かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。加熱撹拌して得られた樹脂溶液を氷浴にて冷却した後、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂を、それぞれ樹脂溶液に対して2重量%加えて12時間撹拌した。撹拌後、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂をろ過して除去し、無機粒子が結合したポリシロキサン(PS−01)の溶液を得た。なお、昇温および加熱撹拌中、窒素を0.05l(リットル)/分で流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計121.19g留出した。得られた、無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液PS−01の固形分濃度は33質量%であった。
合成例2:ポリシロキサンの合成(PS−02)
メチルトリメトキシシラン(MeSi)を10.90g(0.08mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(SucSi)を5.25g(0.02mol)、1−ナフチルトリメトキシシラン(NapSi)を24.84g(0.10mol)をプロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点170℃)64.26gに溶解し、これに、水11.16g、リン酸0.205gを撹拌しながら加えた。得られた溶液をバス温105℃で2時間加熱し、内温を70℃まで上げて、主として副生するメタノールからなる成分を留出せしめた。次いでバス温130℃で2.0時間加熱し、内温を110℃まで上げて、主として水とプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる成分を留出せしめた。加熱撹拌して得られた樹脂溶液を氷浴にて冷却した後、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂を、それぞれ樹脂溶液に対して2重量%加えて12時間撹拌した。撹拌後、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂をろ過して除去し、固形分濃度36.0wt%のポリシロキサン溶液を得た。
合成例3:ポリシロキサンの合成(PS−03)
メチルトリメトキシシラン61.29g(0.09モル)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン12.31g(0.01モル)、およびフェニルトリメトキシシラン99.15g(0.10モル)をプロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点170℃)48.84gに溶解し、これに、水10.98g、リン酸0.173gを撹拌しながら加えた。得られた溶液をバス温105℃で2時間加熱し、内温を90℃まで上げて、主として副生するメタノールからなる成分を留出せしめた。次いでバス温130℃で2.0時間加熱し、内温を118℃まで上げて、主として水とプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる成分を留出せしめた。加熱撹拌して得られた樹脂溶液を氷浴にて冷却した後、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂を、それぞれ樹脂溶液に対して2重量%加えて12時間撹拌した。撹拌後、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂をろ過して除去し、固形分濃度36.0wt%のポリシロキサン溶液を得た。
合成例4:ナフトキノンジアジド化合物(QD−01)の合成
乾燥窒素気流下、Ph−cc−AP−MF(商品名、本州化学工業(株)製)15.32g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド37.62g(0.14mol)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.58g(0.154mol)を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入した。その後、析出した沈殿を濾過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記構造のキノンジアジド化合物(QD−01)を得た。
合成例5;化合物P1(重合性成分:重合性不飽和基を有するポリマー)
共重合比率(重量基準):エチルアクリレート(以下、「EA」)/メタクリル酸2−エチルヘキシル(以下、「2−EHMA」)/スチレン(以下、「St」)/グリシジルメタクリレート(以下、「GMA」)/アクリル酸(以下、「AA」)=20/40/20/5/15。
窒素雰囲気の反応容器中に、150gのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下、「DMEA」)を仕込み、オイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、20gのEA、40gの2−EHMA、20gのSt、15gのAA、0.8gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリル及び10gのDMEAからなる混合物を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに6時間重合反応を行った。その後、1gのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加して、重合反応を停止した。引き続き、5gのGMA、1gのトリエチルベンジルアンモニウムクロライド及び10gのDMEAからなる混合物を、0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間付加反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することで未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで、化合物P1を得た。
合成例6;化合物P2(重合性成分:重合性不飽和基を有するポリマー)
共重合比率(重量基準):2官能エポキシアクリレートモノマー(エポキシエステル3002A;共栄社化学(株)製)/2官能エポキシアクリレートモノマー(エポキシエステル70PA;共栄社化学(株)製)/GMA/St/AA=20/40/5/20/15。
窒素雰囲気の反応容器中に、150gのDMEAを仕込み、オイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、20gのエポキシエステル3002A、40gのエポキシエステル70PA、20gのSt、15gのAA、0.8gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリル及び10gのDMEAからなる混合物を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに6時間重合反応を行った。その後、1gのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加して、重合反応を停止した。引き続き、5gのGMA、1gのトリエチルベンジルアンモニウムクロライド及び10gのDMEAからなる混合物を、0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間付加反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することで未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで、化合物P2を得た。
合成例7;化合物P2のウレタン変性化合物である化合物P3(重合性成分:重合性不飽和基を有するポリマー)
窒素雰囲気の反応容器中に、100gのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下、「DMEA」)を仕込み、オイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、感光性成分P2を10g、3.5gのn−ヘキシルイソシアネート及び10gのDMEAからなる混合物を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することで未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで、ウレタン結合を有する化合物P3を得た。
合成例8:無機粒子が結合したポリシロキサン(PS−04)の合成
三口フラスコにメチルトリメトキシシランを4.36g(0.032mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を4.20g(0.016mol)、フェニルトリメトキシシランを22.21g(0.11mol)、20.6質量%の酸化チタン−酸化ケイ素複合粒子メタノール分散液を145.72g、ジアセトンアルコールを116.74g仕込み、室温で撹拌しながら水8.93gにリン酸0.154gを溶かしたリン酸水溶液を10分間かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて60分間撹拌した後、オイルバスを30分間かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。加熱撹拌して得られた樹脂溶液を氷浴にて冷却した後、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂を、それぞれ樹脂溶液に対して2重量%加えて12時間撹拌した。撹拌後、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂をろ過して除去し、無機粒子が結合したポリシロキサン(PS−04)の溶液を得た。なお、昇温および加熱撹拌中、窒素を0.05l(リットル)/分で流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計121.85g留出した。得られた、無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液PS−04の固形分濃度は31質量%であった。
合成例9:無機粒子が結合したポリシロキサン(PS−05)の合成
メチルトリメトキシシランを3.27g(0.024mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を3.15g(0.012mol)、フェニルトリメトキシシランを16.66g(0.084mol)、20.6質量%の酸化チタン−酸化ケイ素複合粒子メタノール分散液を170.012g、ジアセトンアルコールを116.74g、水6.70g、リン酸0.115gを用いたこと以外は合成例8と同様にして、無機粒子が結合したポリシロキサン(PS−05)の溶液を得た。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計134.78g留出した。得られた、無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液PS−05の固形分濃度は31質量%であった。
合成例10:無機粒子が結合したポリシロキサン(PS−06)の合成
メチルトリメトキシシランを2.72g(0.02mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物を2.62g(0.01mol)、フェニルトリメトキシシランを13.88g(0.07mol)、20.6質量%の酸化チタン−酸化ケイ素複合粒子メタノール分散液を242.87g、ジアセトンアルコールを145.93g、水5.58g、リン酸0.096gを用いたこと以外は合成例8と同様にして、無機粒子が結合したポリシロキサン(PS−06)の溶液を得た。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計184.63g留出した。得られた、無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液PS−06の固形分濃度は31質量%であった。
調製例1:半導体溶液の調製
ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)(アルドリッチ(株)製)2.0mgのクロロホルム10ml溶液にCNT(CNI社製、単層CNT、純度95%)を1.0mg加え、氷冷しながら超音波ホモジナイザー(東京理化器械(株)製VCX−500)を用いて出力20%で4時間超音波撹拌し、CNT分散液A(溶媒に対するCNT複合体濃度0.96g/l)を得た。
次に、半導体層を形成するための半導体溶液の作製を行った。上記CNT分散液Aをメンブレンフィルター(孔径10μm、直径25mm、ミリポア社製オムニポアメンブレン)を用いてろ過を行い、長さ10μm以上のCNT複合体を除去した。得られた濾液にo−ジクロロベンゼン(和光純薬工業(株)製)5mlを加えた後、ロータリーエバポレーターを用いて、低沸点溶媒であるクロロホルムを留去し、溶媒をo−ジクロロベンゼンで置換し、CNT分散液Bを得た。CNT分散液B1mlにo−ジクロロベンゼン3mLを加え、半導体溶液(溶媒に対するCNT複合体濃度0.03g/l)とした。
調製例2:導電ペーストの調製
100mlクリーンボトルに化合物P1を1.6g、化合物P3を0.4g、光重合開始剤OXE−01(BASFジャパン株式会社製)0.4g、酸発生剤SI−110(三新化学工業株式会社製)を0.06g、ジアセトンアルコール(三協化学株式会社製)38gを入れ、自転−公転真空ミキサー“あわとり練太郎”(登録商標)(ARE−310;(株)シンキー製)で混合し、感光性樹脂溶液40.86g(固形分4.0重量%)を得た。得られた感光性樹脂溶液20.0gと体積平均粒子径0.5μmのAg粒子5.0gを混ぜ合わせ、3本ローラー“EXAKT M−50”(商品名、EXAKT社製)を用いて混練し、25gの導電ペーストを得た。
実施例1
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01、ポリマー(A))16.36g、アラスター700(荒川化学工業(株)製、ポリマー(B)、スチレン・マレイン酸ハーフエステル共重合体)0.60g(ポリマー(A)とポリマー(B)との混合重量比率が90:10)、キノンジアジド化合物(QD−01)0.54g、BYK−333(ポリシロキサン系界面活性剤、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ビックケミー・ジャパン(株)製)を300ppm、DAA33.04gを黄色灯下で混合、撹拌して均一溶液とした後、0.20μmのフィルターで濾過して絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁層の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜(絶縁層)の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。また、(4)に記載の方法でFETを作製し、(1)に記載の方法でゲート絶縁層の膜厚評価を行い、(7)に記載の方法でFETリーク率の評価を行った。
また、(5)に記載の方法で整流回路を作製し、(1)に記載の方法で絶縁層の膜厚評価を行い、(8)に記載の方法で整流回路の歩留まり評価を行った。結果を表1〜4に示す。
実施例2
アラスター700の代わりに合成例2で合成したポリシロキサン溶液(PS−02、ポリマー(B))1.67gを用い、無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)を18.00gに、DAAを30.33gに、それぞれ変更した以外は実施例1と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマー(A)とポリマー(B)との混合重量比率が90:10)。
得られた絶縁体溶液を用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜4に示す。なお、表2はキャパシタにおける評価結果、表3はFETにおける評価結果、表4は整流回路における評価結果をそれぞれ示すものである。
実施例3
アラスター700の代わりに合成例3で合成したポリシロキサン溶液(PS−03、ポリマー(B))1.67gを用い、無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)を18.00gに、DAAを30.33gに、それぞれ変更した以外は実施例1と同様にして絶縁体溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマー(A)とポリマー(B)との混合重量比率が90:10)。
得られた絶縁体溶液を用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜4に示す。
実施例4
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)を13.64gに、ポリシロキサン溶液(PS−03)を4.17gに、DAAを32.20gに、それぞれ変更した以外は実施例3と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマー(A)とポリマー(B)との混合重量比率が75:25)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁層の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜(絶縁層)の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例5
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)を9.09gに、ポリシロキサン溶液(PS−03)を8.33gに、DAAを32.58gに、それぞれ変更した以外は実施例3と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマー(A)とポリマー(B)との混合重量比率が50:50)。
得られた絶縁体溶液を用いて、実施例4と同様の評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例6
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)を17.27gに、ポリシロキサン溶液(PS−03)を0.83gに、DAAを31.89gに、それぞれ変更した以外は実施例3と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマー(A)とポリマー(B)との混合重量比率が95:5)。
得られた絶縁体溶液を用いて、実施例4と同様の評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例7
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)18.18g、キノンジアジド化合物(QD−01)0.54g、BYK−333(ポリシロキサン系界面活性剤、ビックケミー・ジャパン(株)製)を300ppm、DAA31.82gを黄色灯下で混合、撹拌して均一溶液とした後、0.20μmのフィルターで濾過して絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た。
得られた絶縁体溶液を用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜4に示す。
実施例8
BYK−333の代わりにBYK−331(ポリシロキサン系界面活性剤、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ビックケミー・ジャパン(株)製)を用いたこと以外は、実施例7と同様の方法で、絶縁体溶液を調製した。得られた絶縁体溶液を用いて、実施例4と同様の評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例9
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)の代わりに無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−04)19.20gを用い、DAAを32.50gに、それぞれ変更した以外は実施例7と同様にして、絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た。得られた絶縁体溶液を用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜4に示す。
実施例10
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−04)の代わりに無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−05)を用いたこと以外は、実施例7と同様の方法で、絶縁体溶液を調製した。得られた絶縁体溶液を用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜4に示す。
実施例11
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−04)の代わりに無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−06)を用いたこと以外は、実施例7と同様の方法で、絶縁体溶液を調製した。得られた絶縁体溶液を用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜4に示す。
実施例12
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)の代わりに無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−06)17.30gを用い、DAAを32.90gに、ポリシロキサン溶液(PS−03、ポリマー(B))を1.66gに、それぞれ変更した以外は実施例3と同様にして、絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た。得られた絶縁体溶液を用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜4に示す。
比較例1
BYK−333の代わりにDFX−18(フッ素計界面活性剤、(株)ネオス製)を用いたこと以外は、実施例7と同様の方法で、絶縁体溶液を調製した。
得られた絶縁体溶液を用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜4に示す。絶縁層の変動係数が10%を超えることから、キャパシタの短絡率評価、FETリーク率評価および整流回路の歩留まり評価がいずれも悪かった。
比較例2
DFX−18の添加量を900ppmにしたこと以外は、実施例7と同様の方法で、絶縁体溶液を調製した。得られた絶縁体溶液を用いて、実施例4と同様の評価を行った。結果を表1、2に示す。絶縁層の変動係数が10%を超えることから、キャパシタの短絡率評価が悪かった。
比較例3:絶縁体溶液の調製
アラスター700の代わりにポリスチレン(SigmaAldrich製)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、絶縁体溶液を調製したが、酸化チタン粒子が析出してしまい、均一な溶液を得ることができなかった。
Figure 2021136444
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1、2、3、4、5、6 FET
11、31、61、71 ゲート電極
12、62 ゲート絶縁層
13、35、64、75 ソース電極
14、34、63、74 半導体層
15、36、65、76 ドレイン電極
38、78 配線
39、79 ビア
100、200、300、400、500、600、700 絶縁基材
301、701 FET素子
302、702 キャパシタ素子
21、32、51、72 下部電極
22、52 誘電膜
23、37、53、77 上部電極
33、33A、33B、73 絶縁層
40 アンテナ
41 復調回路
42 制御回路
43 変調回路
44 記憶回路
45 電源生成部

Claims (15)

  1. 基材上に、少なくとも、(1)パターニングされた下部電極、(2)絶縁層、および(3)パターニングされた上部電極が積層された素子であって、
    前記絶縁層が、無機粒子と結合したポリマー(A)を含有し、
    前記絶縁層の、前記下部電極上であって前記上部電極に被覆されていない部分における膜厚の変動係数が10%以下であることを特徴とする素子。
  2. 前記無機粒子が、ケイ素、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ランタン、セリウム、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、イットリウム、ニオブ、タンタルおよびアルミニウムからなる群より選ばれる一種以上の元素を含む化合物の粒子である、請求項1に記載の素子。
  3. 前記絶縁層中に、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンをさらに含む、請求項1または2に記載の素子。
  4. 前記絶縁層中に、無機粒子と結合しておらず、かつポリマー(A)とは異なる構造であってポリマー(A)に含まれる無機粒子表面のヒドロキシ基と水素結合可能な官能基を有するポリマー(B)をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の素子。
  5. 前記絶縁層中に含まれる全ポリマー成分中に占めるポリマー(A)の重量比率が50重量%以上94重量%以下である、請求項4に記載の素子。
  6. 前記絶縁層に含まれる前記無機粒子の数平均粒子径が1nm以上100nm以下の範囲内である、請求項1から5のいずれかに記載の素子。
  7. 前記絶縁層に含まれる前記無機粒子の含有量が、体積分率で5vol%以上50vol%以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の素子。
  8. 前記下部電極上の絶縁層の平均膜厚が10nm以上1000nm以下の範囲内である、請求項1から7のいずれかに記載の素子。
  9. 前記基材がフィルムである請求項1から8のいずれかに記載の素子。
  10. 前記下部電極が銅である請求項1から9のいずれかに記載の素子。
  11. 前記素子がキャパシタである、請求項1から10のいずれかに記載の素子。
  12. 前記素子が電界効果型トランジスタである、請求項1から10のいずれかに記載の素子。
  13. カーボンナノチューブを含む半導体膜をさらに含む、請求項12に記載の素子。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の素子を製造する方法であって、基板上に下部電極となる導電性パターンを形成する工程と、前記導電性パターン上に絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層上に上部電極となる導電性パターンを形成する工程とを含み、前記絶縁層を形成する工程が、無機粒子と結合したポリマー(A)を含有する溶液を塗布し、乾燥してコーティング膜を得た後、該コーティング膜を加熱して硬化させるものである、素子の製造方法。
  15. 請求項1〜13のいずれかに記載の素子を有する無線通信装置。
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