JP2024077614A - 配線基板およびその製造方法、半導体装置および無線通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機成分と金属成分を含む上部配線を備え、上部配線と下部配線の電気的接続に優れ、上部配線の配線抵抗が低い配線基板を提供すること。【解決手段】基材1と、基材に配された下部配線2と、下部配線2上に配され開口部5を有する絶縁層3と、絶縁層3上に配された上部配線4とを有し、開口部5において下部配線2と上部配線4とが接続する配線基板であって、上部配線4が少なくとも金属成分と有機成分とを含み、開口部5内に、平面視において上部配線4が存在しない領域を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、配線基板およびその製造方法、半導体装置および無線通信装置に関する。
近年、RFID(Radio Frequency IDentification)技術を用いた無線通信システムが注目されている。RFIDタグは、電界効果型トランジスタ(以下、FETという)などで構成された回路を有するICチップと、リーダ/ライタと無線通信するためのアンテナとを有する。タグ内に設置されたアンテナが、リーダ/ライタから送信される搬送波を受信し、ICチップ内の駆動回路が動作する。
RFIDタグは、物流管理、商品管理、万引き防止などの様々な用途での利用が期待されており、交通カードなどのICカード、商品タグなど一部で導入が始まっている。
今後、あらゆる商品でRFIDタグを使用するためには、製造コストの低減が必要である。そこで、RFIDタグの製造プロセスにおいて、真空や高温を使用するプロセスから脱却し、塗布・印刷技術を用いた、フレキシブルで安価なプロセスを利用することが検討されている。その一例として、導電体と感光性有機成分を含有する導電ペーストを用いて、FETやキャパシタの構成要素である下部電極や上部電極を塗布・印刷技術を用いて形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2017/030070号
しかしながら、特許文献1に記載のような導電ペーストを用いて電極層を形成する場合、下部電極と上部電極との電気的接続が得られにくいとの課題が存在した。
そこで本発明は、有機成分と金属成分を含む上部配線を備えた配線基板であって、上部配線と下部配線の電気的接続に優れ、上部配線の配線抵抗が低い配線基板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
[1]基材と、前記基材に配された下部配線と、前記下部配線上に配され開口部を有する絶縁層と、前記絶縁層上に配された上部配線とを有し、前記開口部において前記下部配線と前記上部配線とが接続する配線基板であって、前記上部配線が少なくとも金属成分と有機成分とを含み、前記開口部内に、平面視において前記上部配線が存在しない領域を有する配線基板。
[2]前記上部配線が開口部を有し、前記上部配線の開口部の少なくとも一部が前記絶縁層の開口部と重なるように配された[1]に記載の配線基板。
[3]前記上部配線が複数の開口部を有し、前記上部配線の複数の開口部の各々少なくとも一部が前記絶縁層の開口部と重なるように配された[1]または[2]に記載の配線基板。
[4]前記有機成分として、少なくとも、炭素-炭素二重結合を有する化合物と、カルボキシル基を有する化合物と、を含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の配線基板。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の配線基板の製造方法であって、少なくとも金属成分および有機成分を含有するペーストを塗布し、乾燥、露光および現像を含む工程を通して前記上部配線を形成することを特徴とする、配線基板の製造方法。
[6][1]~[4]のいずれかに記載の配線基板と、電界効果型トランジスタと、を少なくとも有する半導体装置。
[7][6]に記載の半導体装置と、アンテナと、を少なくとも有する無線通信装置。
本発明によれば、電気的接続に優れ、上部配線の配線抵抗が低い配線基板を得ることができる。
本発明の実施の形態1に係る配線基板を示した模式図 本発明の実施の形態2に係る配線基板を示した模式図 本発明の実施の形態3に係る配線基板を示した模式図 本発明の実施の形態3に係る配線基板の製造方法を示した模式図 本発明の実施の形態に係る配線基板を用いた半導体装置の模式図 本発明の実施の形態に係る半導体装置を用いた無線通信装置の一例を示すブロック図 実施例にて作製した配線基板を示す模式図 実施例における配線基板中のパターンを作製するためのフォトマスクの模式図 実施例における配線基板中のパターンを作製するためのフォトマスクの模式図 実施例における配線基板中のパターンを作製するためのフォトマスクの模式図 実施例にて作製した配線基板を示す模式図 実施例における配線基板中のパターンを作製するためのフォトマスクの模式図
以下、本発明に係る配線基板、配線基板の製造方法、半導体装置および無線通信装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
<配線基板>
本発明の実施の形態に係る配線基板は、基材と、基材に配された下部配線と、下部配線上に配され開口部を有する絶縁層と、絶縁層上に配された上部配線とを有し、開口部において下部配線と上部配線とが接続する配線基板であって、上部配線が少なくとも金属成分と有機成分とを含み、開口部内に、平面視において上部配線が存在しない領域(以下、この領域を「開放領域」と称する場合がある。)を有することを特徴とする配線基板である。ここで平面視とは、配線基板において上部配線や下部配線が形成されている側の面を上方から見ることをいう。
本発明における配線基板は、電界をつくったり、電流を流したり、電気信号を取り出したりするのに用いられるものであり、またトランジスタのソース・ドレイン・ゲート電極、コンデンサの上部・下部電極、整流素子の1対の電極などと組み合わせ多層構成の回路において層間の電気的接続をとるために異なる導電体同士を接合させた領域などに適用できる。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る配線基板を示した模式斜視図(a)、模式平面図(b)および図1(b)のI-I’線における模式断面図(c)である。本実施の形態に係る配線基板は、基材1と、基材1に配された下部配線2と、下部配線2上に配され開口部5を有する絶縁層3と、絶縁層3上に配された上部配線4とを有し、開口部5において下部配線2と上部配線4とが接続する。
本実施の形態1に係る配線基板は、上部配線4が少なくとも金属成分と有機成分とを含むことで上部配線4の折り曲げ耐性を向上し、開口部5内に平面視において上部配線4が存在しない領域6(開放領域6)を有することで電気的接続および歩留まりに優れた配線基板とすることができる。
(上部配線)
上部配線4は、少なくとも金属成分と有機成分とを含む。有機成分を含むことで上部配線4の屈曲性が向上する。
上部配線4は、開口部5を全て覆うのではなく、部分的に覆うように形成されている。すなわち、開口部5内には平面視において上部配線4が存在しない領域6がある。本実施の形態に係る配線基板は、このような構成であることで、電気的接続および歩留まりに優れる。
開放領域6によって電気的接続および歩留まりに優れた配線基板となる詳細な機序は不明であるが、以下のように推定される。
まず、開放領域6が存在しない場合に下部配線2と上部配線4との電気的接続が得られにくい原因として、上部配線4が絶縁層3の開口部5を埋め込んでおらず、物理的に下部配線2と接続不良を発生していることが考えられる。
例えば、上部配線4を導電性ペーストを用いて塗布形成する場合、開放領域6が存在しないように絶縁層3の全面にペーストを塗布すると、塗布時に開口部5に空気が入り込んでしまい、ペーストが開口部5を埋め込まない可能性がある。そこで、塗布時に開放領域6ができるようにペーストを選択的に塗布すれば、塗布時における開口部5内の空気の逃げ場として開放領域6が機能する。そのため、上部配線4が形成される領域においては開口部5の埋め込みが良好になり、電気的接続が得やすくなると考えられる。
一方、ペーストを絶縁層3の全面に塗布した場合であっても、後工程で開放領域6を設けることで、電気的接続が良好になることも考えられる。例えば、上部配線4を感光性導電性ペーストを用いて塗布形成する場合は、ペーストを絶縁層3の全面に塗布してからフォトリソグラフィ法によって開放領域6を形成することが考えられる。この場合、塗布時に埋め込み不良が発生したとしても、現像工程にて領域6を形成した際に、残存するペーストが流動し開口部5内に落ち込んだり空隙を埋めたりすることで下部配線2と接し、良好な電気的接続が得やすくなると考えられる。
また、開放領域6が存在しない場合に下部配線2と上部配線4との電気的接続が得られにくい別の原因として、配線基板の構成材料の熱的・機械的性質の違いから、製造プロセスにおいて配線間の接続不良が生じることが考えられる。具体的には、例えば、熱や張力などの外部負荷を受ける過程で、配線内部に熱応力、残留応力や熱変形を生じ、上部配線4の金属成分が下部配線2からはがれてしまうことや、上部配線4内の金属成分に亀裂が入り下部配線2と上部配線4との電気が流れる経路が遮断されてしまうことが考えられる。そこで、開放領域6を有することで、上部配線4が絶縁層の開口部5内を全て覆うように形成された状態に比べ、熱応力、残留応力や熱変形を緩和し、上記のような問題が発生するのを抑制できると考えられる。
開口部5内に開放領域6を有するかどうかは、図1(c)に示すように配線基板の断面を切り出し、走査型電子顕微鏡(SEM)により断面観察することで確認できる。例えば、断面観察において開口部5内における下部配線2の上部に観察される層の膜厚を比較したときに、上部配線4の膜厚に対して開放領域において1/300以上の膜厚の層が観察されない時に開放領域を有するとみなすことができる。膜厚は下部配線2と垂直な方向に5点以上測定した平均値である。
開放領域6の平面視における形状は特に限定されない。図1では、開放領域6の平面形状が矩形であるが、半円形や一部が突出した形状などであってもよい。
開放領域6の面積は、絶縁層3の開口部5の面積に対し、10%以上80%以下であることが好ましい。この範囲とすることで上下配線の密着性を保ちつつ、電気的接続の歩留まりを良好にすることができる。開放領域6の面積は、絶縁層3の開口部5の面積に対し、20%以上60%以下であることがより好ましい。この範囲とすることで上下配線の密着性を保ちつつ、電気的接続の歩留まりをより良好にする効果が得られる。
絶縁層上および絶縁層の開口部における上部配線4の膜厚は、1.5~10.0μmが好ましい。膜厚の下限値としては、より好ましくは2.0μm以上である。また、膜厚の上限値としては、より好ましくは5.0μm以下であり、さらに好ましくは4.0μm以下である。この範囲にすることで、上部配線の配線抵抗を低くすることができる。
上部配線4に用いられる金属成分としては、金、銀、銅、ニッケル、錫、ビスマス、鉛、亜鉛、パラジウム、白金、アルミニウム、タングステン、モリブデンなどが挙げられる。より好ましい金属成分は、金、銀、銅、ニッケル、錫、ビスマス、鉛、亜鉛、パラジウム、白金およびアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含有する金属成分である。これらの金属成分は、単独で用いられてもよいし、合金として用いられてもよい。また、金属成分は金属粒子であってもよく、その場合、混合粒子として用いられてもよい。金属成分は、銀粒子であることがより好ましく、この場合、上部配線4の導電性および安定性により優れる。
上部配線4に用いられる有機成分としては、特に制限はないが、モノマー、オリゴマー、ポリマー、光重合開始剤、カルボキシル基を有する化合物、重合禁止剤、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、シランカップリング剤、消泡剤、顔料などが挙げられる。
オリゴマーもしくはポリマーとしては、特に限定されず、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド前駆体、ポリイミドなどを用いることができる。これらの中でも、電極を屈曲した時の耐クラック性の観点から、アクリル樹脂が好ましい。これは、アクリル樹脂のガラス転移温度が100℃以下であり、導電膜の熱硬化時に軟化し、間の結着が高まるためと推定される。
アクリル樹脂とは、繰返し単位に少なくともアクリル系モノマーに由来する構造を含む樹脂である。アクリル系モノマーの具体例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、2-ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート等が挙げられ、これらのアクリル系モノマーは、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
モノマーとしては、炭素-炭素二重結合を有する化合物を用いることができる。モノマーの具体例としては、前述のアクリル系モノマーに加え、スチレン、α-メチルスチレン、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。
カルボキシル基を有する化合物としては、構成モノマーの一部として不飽和カルボン酸等の不飽和酸を用いたアクリル樹脂、カルボキシル基を有する界面活性剤、カルボキシル基を有するその他の添加剤が挙げられる。
有機成分として、少なくとも、炭素-炭素二重結合を有する化合物と、カルボキシル基を有する化合物とを含有することが好ましい。少なくともこれらの化合物を含有することにより、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合などの重合反応による硬化反応性と、アルカリ現像液に対する溶解性を付与することができるため、感光性導電性ペーストを作製でき、フォトリソグラフィ法による微細なパターン加工が可能となる。
開放領域6を形成する方法は、特に制限はないが、例えば以下の2つの例が挙げられる。一例目は、スクリーン印刷を用いて導電ペーストのパターン印刷を行う方法である。基板1上に下部配線2および絶縁層3を形成し、絶縁層3の開口部5も形成した後、上部配線4を形成すべき箇所全体に導電ペーストをパターン印刷する。この際、開放領域6が形成されるように直接パターン印刷する。
二例目は、上部配線4を、感光性導電性ペーストを用いて形成する方法である。基板1上に下部配線2および絶縁層3を形成し、絶縁層3の開口部5も形成した後、その上に例えばネガ型感光性導電性ペーストを塗布する。フォトマスクとして、開放領域6に対応する箇所は黒化部としたフォトマスクを用いて露光、現像することで、開放領域6を形成することができる。
上部配線4は、絶縁層3上における領域と、下部配線2と接続する領域とが、連続相であることがより好ましい。連続相とは、上記の各領域における上部配線を構成する材料が入り混じり、各材料の濃度が段階的に変化する形で一体化しているか、または上記の各領域における上部配線を構成する材料が互いに同一であり、両者の接続部に接続面が存在しないことをいう。連続相であることは、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などで接続部の断面を観察することで確認することができる。連続相とすることにより、接続部における抵抗上昇を抑制することができる。
連続相を形成する方法としては、絶縁層3上における領域と、下部配線2と接続する領域との上部配線に対応するパターンとを導電性ペーストを用いて一括形成する方法や、前述の感光性導電性ペーストを用いて、絶縁層3上における領域と、下部配線2と接続する領域における上部配線とをフォトリソ加工により一括して形成する方法が挙げられる。
上部配線4中の金属成分の含有比率は、20~40体積%が好ましい。この範囲にすることで、上部配線形成時の塗布性や微細配線加工性が良好となる。上部配線中の金属成分の含有比率の測定は、配線層の膜面に垂直な断面をSEMにより観察し、画像解析することにより行うことができる。SEMによる断面観察は、断面を5箇所観察することとする。このとき、上部配線から無作為に5個所選び、それぞれの断面を1つずつ計5箇所の断面を観察してもよいし、上部配線から無作為に1個選び、それについて5箇所の断面を観察してもよい。SEM画像における金属成分と有機成分は、X線による元素分析(SEM-EDX)により特定することができる。
(基材)
基材1は、少なくとも電極系が配置される面が絶縁性を備える基材であれば、いかなる材質のものでもよい。基材としては、例えば、シリコンウエハ、ガラス、サファイア、アルミナ焼結体等の無機材料からなる基材、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン等の有機材料からなる基材が採用可能であるが、より安価な製造プロセスの採用のため、単位面積あたりのコストが低く、フレキシブル性に優れる材料が好ましい。
また、基材としては、例えば、シリコンウエハ上にPVP膜を形成したものや、ポリエチレンテレフタレート上にポリシロキサン膜を形成したものなど、複数の材料が積層されたものであってもよい。
(下部配線)
下部配線2に用いられる材料は、一般的に電極として使用されうる導電材料であれば、いかなるものでもよい。導電材料としては、例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)などの導電性金属酸化物;白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、パラジウム、モリブデン、アモルファスシリコン、ポリシリコンなどの金属やこれらの合金;ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質;ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン;ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との錯体など;ヨウ素などのドーピングにより導電率を向上させた導電性ポリマーなど;炭素材料など;および有機成分と導電体とを含有する材料など、が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(絶縁層)
絶縁層3に用いられる材料は、下部配線2と上部配線4との間の絶縁が確保できれば特に限定されないが、酸化シリコン、アルミナ等の無機材料;ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール(PVP)等の有機高分子材料;あるいは無機材料粉末と有機材料の混合物を挙げることができる。
中でもケイ素と炭素の結合を含む有機化合物を含むものが好ましく、ポリシロキサンが特に好ましい。
絶縁層は、フォトリソグラフィ法によるパターン加工性を付与するため、感光性有機成分を含有することが好ましい。感光性有機成分としては、ラジカル重合性化合物、光重合開始剤、光酸発生剤、増感剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、などが挙げられる。
ラジカル重合性化合物とは、分子中に複数の炭素-炭素二重結合を有する化合物をいう。UV光の照射により、光重合開始剤から発生するラジカルによって、ラジカル重合性化合物のラジカル重合が進行し、ゲート絶縁層の架橋密度が向上し、硬度を向上させることができる。ラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合の進行しやすい、(メタ)アクリル基を有する化合物が好ましい。
光重合開始剤とは、UV光の照射によって結合開裂及び/又は反応してラジカルを発生する化合物であり、前述したラジカル重合性化合物のラジカル重合を開始することができる。
光酸発生剤とは、UV光の照射によって酸を発生する化合物であり、光照射部のアルカリ可溶性を上げることができる。光酸発生剤としては、オニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物などが挙げられる。
絶縁層の膜厚は0.05~5μmが好ましく、0.1~1μmがより好ましい。この範囲の膜厚にすることにより、均一な薄膜形成が容易になる。膜厚は、原子間力顕微鏡、エリプソメトリ法、分光反射率法などにより測定できる。
絶縁層は、単層でも複数層でもよい。また、1つの層を複数の絶縁性材料から形成してもよいし、複数の絶縁性材料を積層して複数の絶縁層を形成しても構わない。
絶縁層内には、下部配線と上部配線とを接続するための開口部5が設けられる。開口部の形成方法としては、フォトリソグラフィ法、ドライエッチング法、ウェットエッチング法などの一般的な加工方法を用いることができる。
開口部の大きさは、下部配線と上部配線が接続し上下配線間の電気的接続が取り得る限りにおいては特に限定しないが、アスペクト比(コンタクト径に対するコンタクト深さの比率)が少なくとも1より小さい、つまり開口部の深さより、開口部の直径が大きい方が、上部配線の埋め込みが容易との観点から、好ましい。
[実施の形態2]
図2は、本発明の実施の形態2に係る配線基板を示した模式斜視図(a)、模式平面図(b)および図2(b)のII-II’線における模式断面図(c)である。本実施の形態2に係る配線基板は、基材1と、基材1に配された下部配線2と、下部配線2上に配され開口部5を有する絶縁層3と、絶縁層3上に配された上部配線4とを有し、開口部5において下部配線2と上部配線4とが接続する。
本実施の形態2は、絶縁層3の開口部5上において上部配線4が開口部7を有し、それによって絶縁層の開口部5内に開放領域6が形成されるという構成をとる。実施の形態2におけるその他の構成は実施の形態1と同じである。
図2では上部配線4の開口部7の全体が絶縁層3の開口部5上に重なるように配置されているが、本実施の形態2において、絶縁層3の開口部5と上部配線4の開口部7とがずれて重なっていても構わない。すなわち、本実施の形態2では、上部配線4の開口部7の少なくとも一部が絶縁層3の開口部5と重なるように配されていればよい。そのような構成であれば、実施の形態1と同様、上部配線4が少なくとも金属成分と有機成分とを含むことで上部配線4の屈曲性が良好となり、上部配線4の開口部5内に開放領域6を有することで電気的接続および歩留まりに優れた配線基板とすることができる。 なお、図2に示すように上部配線4の開口部7の全体が絶縁層3の開口部5内に収まるように重なっている方が、絶縁層3の開口部5の側面を上部配線4で完全に覆うことができ、上部配線4の剥がれや断線を抑制できるため、好ましい。
[実施の形態3]
図3は、本発明の実施の形態3に係る配線基板を示した模式斜視図(a)、模式平面図(b)および図3(b)のIII-III’線における模式断面図(c)である。本実施の形態3に係る配線基板は、基材1と、基材1に配された下部配線2と、下部配線2上に配され開口部5を有する絶縁層3と、絶縁層3上に配された上部配線4とを有し、開口部5において下部配線2と上部配線4とが接続する。る。
本実施の形態3は、絶縁層の開口部5内において上部配線4が3か所の開口部7a、7b、7cを有し、それらによって3か所の開放領域6a、6b、6cが形成されるという構成をとる。実施の形態3におけるその他の構成は実施の形態1と同じである。
本実施の形態3において、上部配線4の開口部の数は3か所には限定されず、2か所であっても4か所以上であってもよい。すなわち、上部配線は複数の開口部を有していればよい。
また、図3では上部配線4の開口部7a~7cの全体が絶縁層3の開口部5上に重なるように配置されているが、本実施の形態3において、絶縁層3の開口部5と上部配線4の開口部7a~7cとがそれぞれずれて重なっていても構わない。すなわち、本実施の形態3では、上部配線4の開口部7a~7cの各々少なくとも一部が絶縁層3の開口部5と重なるように配されていればよい。
上部配線4の各開口部の大きさは同じでも異なっていてもよい。また、上部配線4の開口部の数が3か所以上である場合、開口部間の間隔は互いに同じでも異なっていてもよい。熱応力、残留応力や熱変形の影響を緩和しやすくなる観点からは、上部配線4には同じ大きさの開口部が一定の間隔で存在することが好ましい。
(配線基板の製造方法)
以下、図3に示す構造の配線基板を製造する場合を例に挙げて、本発明の実施の形態に係る配線基板の製造方法を具体的に説明する。本発明の実施の形態に係る配線基板の製造方法は、少なくとも金属成分および有機成分を含有するペーストを塗布し、乾燥、露光および現像を含む工程を通して上部配線を形成する工程を有する。この方法は、他の実施の形態に係る配線基板を製造する場合にも当然適用できる。
まず、図4(a)に示すように、基材1の上に下部配線2を形成する。下部配線2の形成方法としては、特に制限はなく、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、メッキ、化学気相成長法(CVD)、イオンプレーティングコーティング、インクジェット、印刷などの、公知技術を用いた方法が挙げられる。また、下部配線2の形成方法の別の例として、有機成分および導電体を含むペーストを、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法などの、公知の技術で、絶縁基板上に塗布し、オーブン、ホットプレート、赤外線などを用いて乾燥を行い、形成する方法などが挙げられる。
また、下部配線2のパターン形成方法としては、上記方法で作製した配線薄膜を、公知のフォトリソグラフィ法などで所望の形状にパターン形成してもよいし、あるいは、配線物質の蒸着やスパッタリング時に、所望の形状のマスクを介することで、パターンを形成してもよい。
次に、図4(b)に示すように、下部配線の上に開口部5を有する絶縁層3を形成する。開口部5を有する絶縁層3の作製方法は、特に制限はないが、例えば、絶縁層を形成する材料を含む組成物を基板に塗布し、乾燥することで得られたコーティング膜を、フォトリソグラフィ法で開口部5を形成した後、必要に応じ熱処理する方法が挙げられる。塗布方法としては、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などの公知の塗布方法が挙げられる。コーティング膜の熱処理の温度としては、100~300℃の範囲にあることが好ましい。
次に、図4(c)に示すように、絶縁層3および下部配線2の上部に開口部6を有する上部配線4を形成する。開口部6を有する上部配線4の開口部の形成方法としては、少なくとも金属成分および有機成分を含有するペーストを塗布し、乾燥、露光、現像を含む工程を通して上部配線4およびその開口部6を形成することが好ましい。
塗布法としては、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法などの、公知の技術が挙げられる。乾燥法としては、オーブン、ホットプレート、赤外線などを用いた乾燥法が挙げられる。
露光法としては、通常のフォトリソグラフィ法で行われるように、フォトマスクを介して露光する方法が一般的である。また、レーザー光等で直接描画する方法を用いても構わない。露光装置としては、例えば、ステッパー露光機又はプロキシミティ露光機が挙げられる。この際使用される活性光源としては、例えば、近紫外線、紫外線、電子線、X線又はレーザー光等が挙げられるが、紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ又は殺菌灯が挙げられるが、超高圧水銀灯が好ましい。
現像法としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ現像液を用いて、基板を静置又は回転させながら現像液をスプレーする方法、基板を現像液中に浸漬する方法などが挙げられる。現像により得られたパターンは、水やアルコール水溶液によるリンス処理を施しても構わない。
さらに、必要に応じて、得られたパターンをキュアすることも好ましい。キュアする方法としては、例えば、オーブン、イナートオーブン、ホットプレート若しくは赤外線等による加熱乾燥又は真空乾燥が挙げられる。この形成方法により、微細な配線パターンを簡便に形成することができる。
これらの方法の中でも、感光性導電性ペーストを塗布し、フォトリソグラフィ法によってパターン形成することが好ましい。その方法としては、絶縁層3および下部配線2の上に感光性導電性ペーストを塗布し塗布膜を形成する工程と、塗布膜を露光する工程と、露光した塗布膜を現像する工程とを含み、さらに塗布膜をキュアすることで対応するパターンの導電性を発現させる工程とを含むことが好ましい。この際、下部配線材料が銅を含み、また上部配線材料が、金属成分として銀を、有機成分として炭素-炭素二重結合とカルボキシル基とを有する化合物を、それぞれ含むことで、下部配線と上部配線の密着性を良好とすることができる。
感光性導電性ペーストは、少なくとも導電性粒子として上述の金属成分と感光性有機成分として炭素-炭素二重結合を有する化合物と、カルボキシル基を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーを含むものであることが好ましい。重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリレート基、メタクリレート基等のエチレン性不飽和基又はアクリルアミド基が挙げられる。
感光性導電性ペーストは、必要な材料を混合した後、例えば、三本ローラー、ボールミル若しくは遊星式ボールミル等の分散機又は混練機を用いて製造される。
(光重合開始剤・増感剤)
上記のような感光性有機成分を光反応によって光硬化させるために、導電性ペーストには、光重合開始剤が含まれることが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤又は光カチオン重合開始剤が挙げられるが、露光工程で用いる光によって適宜選択すればよい。
また、導電性ペーストには、光重合開始剤と共に増感剤を使用することで感度を向上させ、反応に有効な波長範囲を拡大することができる。
(溶剤)
感光性導電性ペーストは、粘度調整及び塗布膜の表面平滑性向上の観点から、有機溶剤を含むことが好ましい。導電性ペースト粘度(ブルックフィールド型粘度計で3rpm測定した値)は、導電性粒子の沈降による塗布不良や液垂れ防止又は被覆性向上の観点から、1~100Pa・sが好ましく、1~50Pa・sがより好ましい。
有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、γ-ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸等、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、テルピネオール、3-メチル-3-メトキシブタノール、テキサノール、ベンジルアルコール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。
(その他の成分)
導電性ペーストには、例えば、有機系若しくは無機系の顔料、ガラス粉末、フィラー、可塑剤、特殊ビニル系重合物若しくは特殊アクリル系重合物等のレベリング剤、界面活性剤、シランカップリング剤、消泡剤又は酸化防止剤等の添加剤が配合されていても構わない
<半導体装置>
次に、上記配線基板を有する、本発明の実施の形態に係る半導体装置について説明する。本発明の実施の形態に係る半導体装置は、上述の配線基板と、電界効果型トランジスタ(FET)と、を少なくとも有するものである。
図5は本発明の実施の形態に係る半導体装置を示した模式図である。図5においてFET20は、絶縁性の基材1と、基材1の上に形成された下部電極であるゲート電極12と、ゲート電極12の上に配された絶縁層であるゲート絶縁層13と、その上に設けられた上部電極であるソース電極14aおよびドレイン電極14bと、ソース電極14aおよびドレイン電極14bの間に設けられた半導体層16と、を有する。
この構造は、ゲート電極が半導体層の下側に配置され、半導体層の上面にソース電極およびドレイン電極が配置される、いわゆるボトムゲート・トップコンタクト構造である。
なお、図5の点線外の部分(右側の部分)は、実施の形態3に係る配線基板と同様の構造である。すなわち、FETと共通の基材1の上に、下部配線2を有し、その上に開口部5を有する絶縁層3、13を有する。絶縁層の一部はFET20のゲート絶縁層13としての機能を兼ねている。その絶縁層3、13の上に、開口部7a、7b、7cを有する上部配線4、14を有する、上部配線の一部はFET20のドレイン電極14bとしての機能を兼ねている。
FET20における半導体層16としては、一般的な半導体材料を用いることができるが、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン、グラフェン、カーボンナノホーン、グラフェンナノリボン、内包CNTなどのナノカーボンや、有機半導体や金属酸化物半導体など塗布・印刷技術により形成できる材料がより好ましい。
下部配線2とゲート電極12はそれぞれ別々に加工して形成してもよいし、2つを一括して加工して形成してもよい。加工工程の低減、及びパターンの接続の観点からは、下部配線2およびゲート電極を一括して加工することが好ましい。絶縁層3とゲート絶縁層13や、上部配線4とソース電極14aとドレイン電極14bについても、同様の理由で、それぞれ一括して加工することが好ましい。
<無線通信装置>
次に、上記半導体装置を有する、本発明の実施の形態に係る無線通信装置について説明する。本発明の実施の形態に係る無線通信装置は、上述の半導体装置と、アンテナと、を少なくとも有するものである。
この無線通信装置は、アンテナが受信する無線電波を用いて動作する装置である。無線通信装置の例としては、特に制限はないが、(1)アダプタによる有線接続を用いず非接触でエネルギーの給電を行う給電装置、(2)センシングに用いられるような搬送波を一部変調して電気通信を行う装置、(3)リーダ/ライタに搭載されたアンテナから送信される搬送波を受信することで情報のやりとりを行う装置、などが挙げられる。(3)のより具体的な例としては、商品タグ、万引防止タグ、各種チケットやスマートカードなどの、非接触型タグであるRFID(Radio Frequency IDentification)タグが挙げられる。
無線通信装置の具体的な動作を、RFIDタグを例に挙げて説明する。例えば、図6に示すようなものが挙げられる。これは、アンテナ50で受信した外部からの変調波信号の整流を行い各部に電源を供給する電源生成部と、上記変調波信号を復調して制御回路へ送る復調回路と、制御回路から送られたデータを変調してアンテナに送り出す変調回路と、復調回路で復調されたデータの記憶回路への書込み、および記憶回路からデータを読み出して変調回路への送信を行う制御回路と、で構成され、各回路部が電気的に接続されている。
上記復調回路、制御回路、変調回路、記憶回路は上述のFETを含んでもよく、さらにコンデンサ、抵抗素子、ダイオードを含んでいても良い。上記電源生成部は、コンデンサと、ダイオードとから構成される。
アンテナ、コンデンサ、抵抗素子、ダイオードは、一般的に使用されるものであればよく、用いられる材料、形状は特に限定はされない。また、上記の各構成要素を電気的に接続する材料も、一般的に使用されうる導電材料であればいかなるものでもよい。各構成要素の接続方法も、電気的に導通を取ることができれば、いかなる方法でもよい。各構成要素の接続部の幅や厚みは、任意である。
<商品タグ>
次に、本発明の実施の形態に係る無線通信装置を含有する商品タグについて説明する。この商品タグは、例えば基体と、この基体によって被覆された上記無線通信装置とを有している。
基体は、例えば、平板状に形成された、紙などの非金属材料によって形成されている。例えば、基体は、2枚の平板状の紙を貼り合わせた構造をしており、この2枚の紙の間に、上記無線通信装置が配置されている。上記無線記憶装置の記憶回路に、例えば、商品を個体識別する個体識別情報が予め格納されている。
この商品タグと、リーダ/ライタとの間で、無線通信を行う。リーダ/ライタとは、無線により、商品タグに対するデータの読み取りおよび書き込みを行う装置である。リーダ/ライタは、商品の流通過程や決済時に、商品タグとの間でデータのやり取りを行う。リーダ/ライタには、例えば、携帯型のものや、レジに設置される固定型のものがある。本発明の実施の形態に係る商品タグに対しては、リーダ/ライタは公知のものが利用できる。
商品タグは、識別情報返信機能を備えている。これは、商品タグが、所定のリーダ/ライタから、個体識別情報の送信を要求するコマンドを受けたときに、自身が記憶している個体識別情報を無線により返信する機能である。リーダ/ライタからの1度のコマンドで、多数の商品タグから、各タグの個体識別情報が送信される。この機能により、例えば、商品の精算レジにおいて、非接触で多数の商品を同時に識別することが可能となる。それゆえ、バーコードでの識別と比較して、決済処理の容易化や迅速化を図ることができる。
また、例えば、商品の会計の際に、リーダ/ライタが、商品タグから読み取った商品情報をPOS(Point of sale system、販売時点情報管理)端末に送信することが可能である。この機能により、POS端末において、その商品情報によって特定される商品の販売登録をすることもできるため、在庫管理の容易化や迅速化を図ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定して解釈されるものではない。実施例における各評価法を以下の[1]~[6]で説明する。
[1]上部配線と下部配線のコンタクト抵抗
図7に示す配線基板100を5つ用意し、各素子中のケルビンパターン110を用いて、コンタクト抵抗を測定した。図7(b)は図7(a)におけるIV-IV’線における断面である。図中の白色部分が上部配線104、黒色部分が下部配線102である。図中の破線は、破線内に開口部105a~105cが存在することを意味している。測定には、半導体特性評価システム4200-SCS型(ケースレーインスツルメンツ株式会社製)を用い、大気中で測定した。図7のパッド1-パッド4間の電流を0~10μAに変化させた時のパッド2-パッド3間の電圧を4端子法で測定し、電流10μAでの電圧値からコンタクト抵抗を算出した。合計5つのケルビンパターンを測定し、その平均値を実施例におけるコンタクト抵抗として算出し、以下の基準で評価を行った。
A(良好):コンタクト抵抗が50Ω以下である。
B(可):コンタクト抵抗が50Ωより大きく100Ω以下である。
C(不可):コンタクト抵抗が100Ωより大きい。
[2]上部配線膜厚の測定
図7に示す配線基板100中のIV-IV’断面を切り出した。走査型電子顕微鏡(SEM)により、該断面中の開口部5とその周辺を含む幅200μmの範囲を観察した。観察範囲内において、絶縁層上および下部配線上の上部配線から無作為に抽出した5箇所の厚みを計測し、それらの平均値を膜厚として算出した。
[3]上部配線中の金属成分含有比率の測定
図7に示す配線基板100を5つ用意し、各素子のIV-IV’断面を切り出した。走査型電子顕微鏡(SEM)により、各断面中の開口部5とその周辺を含む幅200μmの範囲、を観察した。X線による元素分析(SEM-EDX)から金属粒子と有機成分を区別し、画像解析を行うことで、絶縁層上および下部配線上における上部配線中の金属成分の含有比率を求めた。5箇所の観察箇所でそれぞれ求められた値の平均値を算出し、含有比率(体積%)とした。
[4]上部配線の配線抵抗
図7に示す配線基板100を5つ用意し、各素子中の配線抵抗測定用パターン120を用いて、配線抵抗を測定した。抵抗測定用パターン120の細線部は長さ500μm、線幅100μmとした。測定には、半導体特性評価システム4200-SCS型(ケースレーインスツルメンツ株式会社製)を用い、大気中で測定した。パッド5-パッド6間の電流を0~10μAに変化させた時のパッド5-パッド6間の電圧を4端子法で測定し、電流10μAでの電圧値から配線抵抗を算出した。5つの配線抵抗測定用パターンでそれぞれ求められた値の平均値を実施例における配線抵抗とした。
[5]上部配線と下部配線の連結コンタクト抵抗
図9に示す配線基板200を5つ用意し、各素子中の連結コンタクト抵抗パターン210を用いて、連結コンタクト抵抗を測定した。図9(b)は図9(a)におけるV-V’線における断面である。図中の白色部分が上部配線204、黒色部分が下部配線202である。図中の破線は、破線内に開口部205が存在することを意味している。測定には、半導体特性評価システム4200-SCS型(ケースレーインスツルメンツ株式会社製)を用い、大気中で測定した。図9のパッド1-パッド2間の電流を0~10μAに変化させた時のパッド1-パッド2間の電圧を2端子法で測定し、電流10μAでの電圧値からコンタクト抵抗を算出した。合計5つの連結コンタクト抵抗パターンを測定し、その平均値を実施例における連結コンタクト抵抗として算出し、以下の基準で評価を行った。
A(良好):連結コンタクト抵抗が500Ω以下である。
B(可):連結コンタクト抵抗が500Ωより大きく1000Ω以下である。
C(不可):連結コンタクト抵抗が1000Ωより大きい。
[6]折り曲げ耐性の評価
評価[5]で使用した配線基板200を用いて、パターンが山折になるようにし、図9に示す基材の辺Aと辺Bとの距離が10mmになるまで近づけては元に戻す屈曲動作を実施した。動作前後のパターン210を光学顕微鏡で観察し、剥がれ、断線の有無を確認し、以下の基準で評価を行った。
A(良好):折り曲げ動作を300回繰り返しても剥がれ、断線が見られない。
B(可):折り曲げ動作を100回繰り返しても剥がれ、断線が見られない。
C(不可):折り曲げ動作の繰り返しが100回未満で、剥がれ、断線が見られた。
各実施例および比較例で用いた材料は、以下の通りである。
(ポリシロキサン溶液Aの作製)
3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(SucSi)13.12g(0.05モル)、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(AcrSi)93.73g(0.40モル)およびフェニルトリメトキシシラン(PheSi)109.06g(0.55モル)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、沸点146℃)215.91gに溶解し、これに、水54.90g、リン酸0.864gを撹拌しながら加えた。得られた溶液をバス温105℃で2時間加熱し、内温を90℃まで上げて、主として副生するメタノールからなる成分を留出せしめた。次いでバス温130℃で2時間加熱し、内温を118℃まで上げて、主として水とメタノールからなる成分を留出せしめた後、室温まで冷却し、固形分濃度26.0質量%のポリシロキサン溶液Aを得た。得られたポリシロキサン溶液Aを10gはかり取り、PGMEA0.83gを混合して、室温にて2時間撹拌し、ポリシロキサン溶液A(固形分濃度24質量%)を得た。
(絶縁層材料溶液Bの作製)
ポリシロキサン溶液Aを10gはかり取り、DPHA(商品名「KAYARAD」、日本化薬(株)製;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)を1.04g、OXE-01(商品名「イルガキュア」、BASF(株)製)を0.15gとPGMEA4.60gを混合して、室温にて2時間撹拌し、ネガ型感光性を有する絶縁層材料溶液B(固形分濃度23質量%)を得た。
(カルボキシル基を有する化合物Cの合成)
共重合比率(質量基準):エチルアクリレート(以下、「EA」)/メタクリル酸2-エチルヘキシル(以下、「2-EHMA」)/n-ブチルアクリレート(以下、「BA」)/グリシジルメタクリレート(以下、「GMA」)/アクリル酸(以下、「AA」)==20/40/20/5/15。
窒素雰囲気の反応容器中に、150gのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(DMEA)を仕込み、オイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、20gのEA、40gの2-EHMA、20gのBA、15gのAA、0.8gの2,2’-アゾビスイソブチロニトリルおよび10gのDMEAからなる混合物を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに80℃で6時間加熱して重合反応を行った。その後、1gのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加して、重合反応を停止した。引き続き、5gのグリシジルメタクリレート(以下、「GMA」)、1gのトリエチルベンジルアンモニウムクロライドおよび10gのDMEAからなる混合物を、0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間加熱して付加反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することにより未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで、カルボキシル基を有する化合物Cを得た。
(カルボキシル基を有する化合物Dの合成)
窒素雰囲気の反応容器中に、492.1gのDMEA、860.0gのEOCN-103S(日本化薬(株)製;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;エポキシ当量:215.0g/当量)、288.3gのAA、4.92gの2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールおよび4.92gのトリフェニルホスフィンを仕込み、98℃の温度で反応液の酸価が0.5mg・KOH/g以下になるまで加熱して反応させ、エポキシカルボキシレート化合物を得た。引き続き、この反応液に169.8gのDMEAおよび201.6gのテトラヒドロ無水フタル酸を仕込み、95℃で4時間加熱して反応させ、カルボキシル基を有する化合物Dを得た。
(感光性導電性ペーストEの調製)
調製例1;感光性導電性ペーストE
100mlクリーンボトルに、上記により得られた化合物Cを16g、炭素-炭素二重結合を有する化合物であるライトアクリレートBP-4EA(共栄社化学(株)製)を8g、光重合開始剤OXE-01(BASFジャパン株式会社製)1.0、DMEAを15g入れ、自転-公転真空ミキサー“あわとり練太郎”(登録商標)(ARE-310;(株)シンキー製)で混合し、感光性樹脂溶液40.0gを得た。得られた感光性樹脂溶液13.0gと平均粒子径0.5μmのAg粒子37.0gを混ぜ合わせ、3本ローラー“EXAKT M-50”(商品名、EXAKT社製)を用いて混練し、50gの感光性導電ペーストEを得た。
調整例2;感光性導電性ペーストF
化合物Cの代わりに化合物Dを用いたこと以外は、調整例1と同様の方法で、感光性導電性ペーストFを得た。
実施例1
実施例1では、図7に示す配線基板100を5個作製した。PETフィルム(厚み0.05mm)上に、抵抗加熱法により銅を厚さ100nmで真空蒸着した。次に、ポジ型フォトレジストLC140-10cP(ローム・アンド・ハース電子材料(株)製)を銅蒸着膜上にスピンコート塗布し、100℃5分で乾燥した。次に図8(a)のフォトマスクを介して、乾燥膜を露光・現像した。なお、露光は露光装置“PEM-8M” (商品名、ユニオン光学(株)製)を用いて、露光量50mJ/cm(波長365nm換算)で全線露光を行い、現像は2.38重量%のTMAH水溶液で40秒間浸漬現像し、超純水でリンス処理を施して行った。次に、3.0重量%の過硫酸アンモニウム水溶液を用いてエッチング後、洗浄・乾燥して、下部配線パターンを得た。フォトレジスト剥離は、AZリムーバ100(商品名、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)に2分間浸漬し、超純水でリンス処理を施し後、水滴をエアナイフで除去した。
次に、絶縁層材料溶液Bを上記基板上にスピンコート塗布し、100℃で2分乾燥した。次に図8(b)のフォトマスクを介して、乾燥膜を露光・現像して、開口部を形成した後に、窒素気流下、150℃で30分の熱処理を行い、絶縁層を形成した。なお、露光は露光装置“PEM-8M”(商品名、ユニオン光学(株)製)を用いて、露光量200mJ/cm(波長365nm換算)で全線露光を行い、現像は2.38重量%のTMAH水溶液で40秒間浸漬現像し、超純水でリンス処理を施して行った。作製した開口部の大きさは、平面視で100μm×100μmとなるようにした。
次に感光性導電性ペーストEを上記基板上にスクリーン印刷で塗布し、乾燥オーブンで100℃、10分間乾燥した。図8(c)のフォトマスクを介して乾燥膜を露光、現像して、パターンを得た。その後、得られたパターンを窒素気流下、150℃で30分の熱処理を行い、上部配線を形成した。作製した配線基板において、絶縁層の開口部内に上部配線が存在しない領域の大きさは、平面視で100μm×50μmとなるようにした。なお、露光は露光装置“PEM-8M” (商品名、ユニオン光学(株)製)を用いて、露光量80mJ/cm(波長365nm換算)で全線露光を行い、現像は0.2重量%のNaCO溶液で60秒間浸漬現像し、超純水でリンス処理を施して行った。この実施例1では、開口部105aの部分形状は本発明の実施の形態1に示すようになっている。
こうして、得られたコンタクト抵抗および配線抵抗測定パターンについて、[1]~[4]に記載の方法で評価を行った。[1]~[4]の結果を表1に示す。また、光学顕微鏡観察の結果、全ての配線基板で上下配線間の接続箇所の欠けはなかった。
実施例2
実施例2では、上部配線を形成する際に、感光性導電性ペーストEのかわりに感光性導電性ペーストFを用いた以外は実施例1と同様にしてパターンを作製し、評価した。[1]~[4]の結果を表1に示す。また、光学顕微鏡観察の結果、全ての配線基板で上下配線間の接続箇所の欠けはなかった。
実施例3
実施例3では、上部配線形成時に図8(c)のフォトマスクの代わりに図8(d)のフォトマスクを用いた以外は実施例1と同様にして、パターン作製し、同様の評価をした。この実施例3では、開口部105aの部分形状は本発明の実施の形態2に示すようになっている。開放領域の大きさは、平面視で50μm×50μmとなるようにした。[1]~[4]の結果を表1に示す。また、光学顕微鏡観察の結果、また、光学顕微鏡観察の結果、全ての配線基板で上下配線間の接続箇所の欠けはなかった。
実施例4
実施例4では、上部配線形成時に図8(c)のフォトマスクの代わりに図8(e)のフォトマスクを用いた以外は実施例1と同様にして、パターン作製し、同様の評価をした。この実施例3では、開口部105aの部分形状は本発明の実施の形態3に示すようになっている。開放領域の大きさは、3か所とも平面視で50μm×20μmとなるようにし、上部配線が存在しない3か所の領域間隔は20μmピッチとなるようにした。[1]~[4]の結果を表1に示す。また、光学顕微鏡観察の結果、全ての配線基板で上下配線間の接続箇所の欠けはなかった。
実施例5
実施例5では、上部配線形成時に図8(c)のフォトマスクの代わりに図8(f)のフォトマスクを用いた以外は実施例1と同様にして、パターン作製し、同様の評価をした。この実施例3では、開口部105aの部分形状は本発明の実施の形態2に示すようになっている。開放領域の大きさは、平面視で50μm×20μmとなるようにした。[1]~[4]の結果を表1に示す。また、光学顕微鏡観察の結果、全ての配線基板で上下配線間の接続箇所の欠けはなかった。
実施例6
実施例6では、上部配線形成時に図8(c)のフォトマスクの代わりに図8(g)のフォトマスクを用いた以外は実施例1と同様にして、パターン作製し、同様の評価をした。この実施例3では、開口部105aの部分形状は本発明の実施の形態3に示すようになっている。開放領域の大きさは、2か所とも平面視で80μm×40μmとなるようにし、上部配線が存在しない領域間隔は10μmとなるようにした。[1]~[4]の結果を表1に示す。また、光学顕微鏡観察の結果、全ての配線基板で上下配線間の接続箇所の欠けはなかった。
比較例1
比較例1では、上部配線形成時に図8(c)のフォトマスクの代わりに図8(fh)のフォトマスクを用いた以外は実施例1と同様にして、パターン作製し、同様の評価をした。この比較例1では、絶縁層の開口部内に上部配線が存在しない領域はなかった。また、光学顕微鏡観察の結果、全ての配線基板で上下配線間の接続箇所の欠けはなかった。
実施例7
実施例7では、図9に示す配線基板200を5個作製した。下部配線、絶縁層、上部配線それぞれの形成時に図8(a)、(b)、(c)のフォトマスクの代わりに図10(a)、(b)、(c)のフォトマスクをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして、パターン作製し、[5]、[6]に記載の方法で評価を行った。その結果を表2に示す。この実施例3では、開口部205の部分形状は本発明の実施の形態3に示すようになっている。絶縁層の開口部の大きさは、平面視で100μm×100μmとし、開放領域の大きさは実施例4と同様にした。また、光学顕微鏡観察の結果、全ての配線基板で上下配線間の接続箇所の欠けはなかった。
実施例8
実施例8では、上部配線形成時に図10(c)のフォトマスクの代わりに図10(d)のフォトマスクを用いた以外は実施例5と同様にして、パターン作製し、同様の評価をした。この実施例8では、開口部205の部分形状は本発明の実施の形態2に示すようになっている。開放領域の大きさは実施例3と同様にした。絶縁層の開口部内に上部配線が存在しない領域はなかった。また、光学顕微鏡観察の結果、全ての配線基板で上下配線間の接続箇所の欠けはなかった。
比較例2
比較例2では、上部配線形成時に図10(c)のフォトマスクの代わりに図10(e)のフォトマスクを用いた以外は実施例5と同様にして、パターン作製し、同様の評価をした。この比較例2では、絶縁層の開口部内に上部配線が存在しない領域はなかった。連結コンタクト抵抗は抵抗値が高すぎて測定不能だった。また、光学顕微鏡観察の結果、全ての配線基板で上下配線間の接続箇所の欠けはなかった。
Figure 2024077614000002
Figure 2024077614000003
1 基材
2 下部配線
3 絶縁層
4 上部配線
5 開口部
6、6a、6b、6c 開放領域
7、7a、7b、7c 開口部
12 ゲート電極
13 ゲート絶縁層
14a ソース電極
14b ドレイン電極
16 半導体層
20 FET
50 アンテナ
100 配線基板
101 基材
102 下部配線
103 絶縁層
104 上部配線
105a、105b、105c 開口部
110 ケルビンパターン
120 配線抵抗測定用パターン
200 配線基板
201 基材
202 下部配線
203 絶縁層
204 上部配線
210 連結コンタクト抵抗パターン

Claims (7)

  1. 基材と、前記基材に配された下部配線と、前記下部配線上に配され開口部を有する絶縁層と、前記絶縁層上に配された上部配線とを有し、前記開口部において前記下部配線と前記上部配線とが接続する配線基板であって、
    前記上部配線が少なくとも金属成分と有機成分とを含み、
    前記開口部内に、平面視において前記上部配線が存在しない領域を有する配線基板。
  2. 前記上部配線が開口部を有し、前記上部配線の開口部の少なくとも一部が前記絶縁層の開口部と重なるように配された請求項1に記載の配線基板。
  3. 前記上部配線が複数の開口部を有し、前記上部配線の複数の開口部の各々少なくとも一部が前記絶縁層の開口部と重なるように配された請求項1に記載の配線基板。
  4. 前記有機成分として、少なくとも、炭素-炭素二重結合を有する化合物と、カルボキシル基を有する化合物と、を含有する、請求項1に記載の配線基板。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の配線基板の製造方法であって、
    少なくとも金属成分および有機成分を含有するペーストを塗布し、乾燥、露光および現像を含む工程を通して前記上部配線を形成することを特徴とする、配線基板の製造方法。
  6. 請求項1~4のいずれかに記載の配線基板と、電界効果型トランジスタと、を少なくとも有する半導体装置。
  7. 請求項6に記載の半導体装置と、アンテナと、を少なくとも有する無線通信装置。
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