JP2023004911A - 素子およびその製造方法ならびに電子デバイスおよび無線通信装置 - Google Patents

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翔太 河井
Shota Kawai
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Abstract

Figure 2023004911000001
【課題】上部電極と下部電極の電気的接続に優れ、上部電極の配線抵抗が低い素子を提供すること。
【解決手段】基材1と、基材1上に配された下部電極2と、下部電極2と接する領域を有する上部電極4と、を備えた素子であって、下部電極2を構成する金属成分の標準酸化還元電位が-0.40V以上0.50V以下であり、上部電極4が少なくとも第一の金属成分と第二の金属成分と有機成分とを含む。第二の金属成分の標準酸化還元電位をE°(M2)、下部電極を構成する金属成分の標準酸化還元電位をE°(M)、第一の金属成分の標準酸化還元電位をE°(M1)とするとき、E°(M2)<E°(M)≦E°(M1)の関係にある。
【選択図】図1

Description

本発明は、素子およびその製造方法ならびに電子デバイスおよび無線通信装置に関する。
近年、RFID(Radio Frequency IDentification)技術を用いた無線通信システムが注目されている。RFIDタグは、電界効果型トランジスタ(以下、FETという)などで構成された回路を有するICチップと、リーダ/ライタと無線通信するためのアンテナとを有する。タグ内に設置されたアンテナが、リーダ/ライタから送信される搬送波を受信し、ICチップ内の駆動回路が動作する。
RFIDタグは、物流管理、商品管理、万引き防止などの様々な用途での利用が期待されており、交通カードなどのICカード、商品タグなど一部で導入が始まっている。
今後、あらゆる商品でRFIDタグを使用するためには、製造コストの低減が必要である。そこで、RFIDタグの製造プロセスにおいて、真空や高温を使用するプロセスから脱却し、塗布・印刷技術を用いた、フレキシブルで安価なプロセスを利用することが検討されている。その一例として、導電体と感光性有機成分を含有する導電ペーストを用いて、RFIDの回路を構成するFETやキャパシタなどの素子の電極(上部電極や下部電極)を塗布・印刷技術を用いて形成し、各素子の上部電極と下部電極を回路の構成に応じて電気的に接続する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2017/030070号
しかしながら、特許文献1に記載のような導電ペーストを用いて電極層を形成する場合、下部電極と上部電極との電気的接続が得られにくいとの課題が存在した。
そこで本発明は、上部電極と下部電極の電気的接続に優れ、上部電極の配線抵抗が低い素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
すなわち本発明は、以下の構成を有する。
(1)基材と、前記基材上に配された下部電極と、前記下部電極と接する領域を有する上部電極と、を備えた素子であって、前記下部電極を構成する金属成分の標準酸化還元電位が-0.40V以上0.50V以下であり、前記上部電極が少なくとも第一の金属成分と第二の金属成分と有機成分とを含み、前記第二の金属成分の標準酸化還元電位をE°(M2)、前記下部電極を構成する金属成分の標準酸化還元電位をE°(M)、前記第一の金属成分の標準酸化還元電位をE°(M1)とするとき、E°(M2)<E°(M)≦E°(M1)の関係にあることを特徴とする素子である。
(2)さらに前記下部電極上に配された絶縁層を有し、前記上部電極は前記絶縁層上に配され、前記下部電極と前記上部電極とが接する領域が、前記絶縁層内に設けられ、前記下部電極と前記上部電極とが接するコンタクトホールである、(1)に記載の素子。
(3)E°(M2)とE°(M)との差が1.10V以下である、(1)または(2)に記載の素子。
(4)E°(M1)が0.60V以上1.50V以下である、(1)~(3)のいずれかに記載の素子。
(5)前記第一の金属成分と前記第二の金属成分の比重差が3以下である、(1)~(4)のいずれかに記載の素子。
(6)前記絶縁層上における前記上部電極と、前記コンタクトホールにおける前記上部電極とが、連続相である、(1)~(5)のいずれかに記載の素子。
(7)前記素子が電界効果型トランジスタである、(1)~(6)のいずれかに記載の素子。
(8)前記電界効果型トランジスタの半導体層がカーボンナノチューブを含有する、(1)~(7)のいずれかに記載の素子。
(9)(1)~(8)のいずれかに記載の素子を有する電子デバイス。
(10)(1)~(8)のいずれかに記載の素子の製造方法であって、少なくとも、第一の金属成分、第二の金属成分および有機成分を含有するペーストを塗布した後、乾燥、露光および現像を含む工程を経て前記上部電極を形成することを特徴とする、素子の製造方法。
(11)(1)~(8)のいずれかに記載の素子と、アンテナと、を少なくとも有する無線通信装置。
本発明によれば、上部電極と下部電極の電気的接続に優れ、上部電極の配線抵抗が低い素子を得ることができる。
本発明の実施の形態1に係る素子を示した模式断面図 本発明の実施の形態2に係る素子を示した模式断面図 本発明の実施の形態3に係る素子を示した模式断面図 本発明の実施の形態2に係る素子の製造方法を示した模式図 本発明の実施の形態に係る素子を用いた無線通信装置の一例を示すブロック図 実施例にて作製した素子を示す模式図 実施例における素子中のパターンを作製するためのフォトマスクの模式図 実施例における素子中のパターンを作製するためのフォトマスクの模式図 実施例にて作製した素子を示す模式図 実施例にて作製した素子を示す模式図 実施例にて作製した素子の製造方法を示した模式図
以下、本発明に係る素子、素子の製造方法および無線通信装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。また、図面に示される特定の実施の形態についての説明は、上位概念としての本発明の説明としても理解し得るものである。
<素子>
本発明の実施の形態に係る素子の一態様は、基材と、基材上に配された下部電極と、下部電極と接する領域を有する上部電極と、を備えた素子であって、下部電極を構成する金属成分の標準酸化還元電位が-0.40V以上0.50V以下であり、上部電極が少なくとも第一の金属成分と第二の金属成分と有機成分とを含み、第二の金属成分の標準酸化還元電位をE°(M2)、下部電極を構成する金属成分の標準酸化還元電位をE°(M)、第一の金属成分の標準酸化還元電位をE°(M1)とするとき、E°(M2)<E°(M)≦E°(M1)の関係にある。
また、本発明の実施の形態に係る素子の別の一態様は、さらに下部電極上に配された絶縁層を有し、上部電極は絶縁層上に配され、下部電極と上部電極とが接する領域が、絶縁層内に設けられ、下部電極と前記上部電極とが接するコンタクトホールである素子である。すなわち、このような素子は、基材と、基材上に配された下部電極と、下部電極上に配された絶縁層と、絶縁層上に配された上部電極と、絶縁層内に設けられ、下部電極と上部電極とが接するコンタクトホールと、を備えた素子であって、下部電極を構成する金属成分の標準酸化還元電位が-0.40V以上0.50V以下であり、上部電極が少なくとも第一の金属成分と第二の金属成分と有機成分とを含み、第二の金属成分の標準酸化還元電位をE°(M2)、下部電極を構成する金属成分の標準酸化還元電位をE°(M)、第一の金属成分の標準酸化還元電位をE°(M1)とするとき、E°(M2)<E°(M)≦E°(M1)の関係にある。
本発明における電極とは、電界をつくったり、電流を流したり、電気信号を取り出したりするのに用いられる部材または領域である。この電極としては、トランジスタのソース・ドレイン・ゲート電極、コンデンサの上部・下部電極、整流素子の1対の電極など、一般的に「電極」と呼ばれる部材の他、多層構成の回路において層間の電気的接続をとるために異なる導電体同士を接合させた領域などが挙げられる。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る素子を示した模式断面図である。本実施の形態に係る素子は、基材1と、基材1の上に配された下部電極2と、下部電極2の上に配された絶縁層3と、絶縁層3の上に配された上部電極4と、絶縁層3内に設けられ、下部電極2と上部電極4とが接するコンタクトホール5とを備える。上部電極4は、少なくとも、図示しない第一の金属成分と第二の金属成分と有機成分とを含む。
本実施の形態に係る素子は、上部電極4中に含まれる有機成分により、上部電極4と絶縁層3や下部電極2との密着性や素子の屈曲性が向上する。また、絶縁層3の上における上部電極4が含む第一の金属成分の標準酸化還元電位E°(M1)および第二の金属成分の標準酸化還元電位E°(M2)と、下部電極2を構成する金属成分の標準酸化還元電位E°(M)との間に、E°(M2)<E°(M)≦E°(M1)の関係があり、かつE°(M)が-0.40V以上0.50V以下であることで、下部電極2と上部電極4との電気的接続に優れ、電気的接続に優れ、かつ上部電極4の配線抵抗の低い素子とすることができる。
その詳細な機序は不明であるが、以下のように推定される。下部電極2と上部電極4との電気的接続が得られにくい原因として、上部電極4中に含まれる有機成分がこれに接する下部電極2を酸化し、下部電極2上に酸化膜が形成されることが考えられる。酸化膜が存在すると、上部電極と下部電極2との間の抵抗(接触抵抗)値が大きくなる。
そこで、上部電極4中に下部電極2を構成する金属成分よりも標準酸化還元電位が低い金属成分である第二の金属成分が含まれることで、下部電極に比べ第二の金属成分の方が酸化され易くなり、下部電極2の酸化を抑制することができる。また、上部電極4中に、下部電極2を構成する金属成分と同等かそれ以上の標準酸化還元電位を有する第一の金属成分をさらに有することで、第二の金属成分が酸化されたとしても、第一の金属成分により導電性を維持することができる。
以上のような作用により、上部電極4中に含まれる有機成分による下部電極2の酸化が抑制または低減され、下部電極2と上部電極4との良好な電気的接続が得られると考えられる。
標準酸化還元電位は、上部電極や下部電極の元素分析により判明した金属成分について、これを単体で電極とした際の、標準水素電極(normal hydrogen electrode;NHE)を基準電極にした電位差として算出される。標準酸化還元電位は物質固有の値であるため、本発明における標準酸化還元電位としては、丸善(株)化学便覧基礎編改定6版からその数値を参照する。
(金属成分)
本発明における下部電極を構成する金属成分と上部電極に含まれる各金属成分は、上下電極間の導電性を達成する観点から、それぞれ、電気伝導率が1.0×10S/m以上である材料から選択されることが好ましい。
E°(M2)とE°(M)との差は、E°(M2)<E°(M)を満たす限りは特に制限はないが、1.10Vであることが好ましく、0.70V以下であることがより好ましい。これにより上下電極間の接触抵抗の経時劣化をより抑えやすくなる。また、E°(M2)とE°(M)との差は、0.10V以上であることがさらに好ましい。これにより上下電極間の接触抵抗の経時劣化をさらに抑えやすくなる。
E°(M1)は、0.60V以上1.50V以下であることが好ましい。これにより第一の金属成分の酸化がより起こりづらくなり、下部電極2と上部電極4との良好かつ安定な電気的接続が得られやすくなる。E°(M1)は、より好ましくは0.60V以上1.00V以下である。標準酸化還元電位が高くなればなるほど、第一の金属成分の酸化をさらに抑えることができるが、上部電極を所望のパターンに形成においてエッチングなどの加工プロセスを行う際、加工性の悪化や製造コストの増加が発生しやすくなる。
E°(M)は-0.40V以上0.50V以下であるが、0.00V以上0.50V以下であることが好ましい。これにより下部電極の金属成分の経時酸化をさらに抑えやすくなるため、下部電極2と上部電極4との電気的接続がさらに安定しやすくなる。
下部電極に用いられる材料は、一般的に電極として使用され、標準酸化還元電位が-0.40V以上0.50V以下となる導電材料であれば、いかなるものでもよい。導電材料としては、例えば、銅、鉄、錫、インジウム、コバルト、モリブデン、ニッケル、鉛およびビスマスからなる群より選ばれる元素を含有する金属成分などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、真空蒸着によりフィルム上への成膜が可能であり、ロール・トゥ・ロール方式への適用が容易な点から、導電材料としては、銅、錫およびニッケルからなる群より選ばれる元素を含有する金属成分が好ましい。
上部電極に用いられる材料は、少なくとも第一の金属成分および第二の金属成分と有機成分とを含む。第一の金属成分としては、金、銀、銅、ニッケル、錫、ビスマス、鉛、パラジウム、白金およびモリブデンからなる群より選ばれる元素を含有する金属成分などが挙げられる。第二の金属成分としては、ニッケル、錫、ビスマス、鉛、モリブデン、クロムおよび亜鉛からなる群より選ばれる元素を含有する金属成分などが挙げられる。
より好ましい金属成分は、第一の金属成分としては、金、銀、銅、ニッケル、錫、ビスマス、鉛からなる群より選ばれる元素を含有する金属成分であり、第二の金属成分としては、ニッケル、錫、ビスマス、鉛、亜鉛、モリブデンからなる群より選ばれる元素を含有する金属成分である。第一の金属成分および第二の金属成分は粒子状、すなわち金属粒子であってもよい。
第一の金属成分は、導電性および安定性に優れる導電膜、導電パターンが得られやすくなる観点から、銀粒子であることが特に好ましい。第二の金属成分は、第一の金属成分が銀粒子である際に、上部電極の屈曲性や導電性に優れる導電膜、導電パターンが得られやすくなる観点から、ニッケル粒子またはモリブデン粒子であることが特に好ましい。
また、下部電極の金属成分が銅である際に、第一の金属成分と第二の金属成分はそれぞれ銀粒子、ニッケル粒子であることが特に好ましい。これにより、より安定した導電性が得られやすくなる。
上部電極内において、第一の金属成分と第二の金属成分はそれぞれ独立して分散して存在していることが好ましい。これにより、上部電極の膜強度を維持しやすくなる。各金属成分が分散して存在していることは、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などで上部電極の断面を観察することで確認することができる。
また、本発明の効果が奏される限りにおいては、第一の金属成分と第二の金属成分の一部が合金化していても構わない。
また、上部電極膜中において第一の金属成分および第二の金属成分の合計体積に対して、第二の金属成分の合計体積比率が10%以上35%以下であることが好ましい。体積比率をこの範囲とすることにより、温度や湿度の外的影響による接触抵抗の経時劣化をさらに抑制しやすくなり、かつ安定した導電性発現が得られやすくなる。
また、第一の金属成分に比べ第二の金属成分の体積抵抗率が高い場合は、上部電極膜中において第一の金属成分および第二の金属成分の合計体積に対して、第二の金属成分の合計体積比率を10%以上20%以下とすることが更に好ましい。体積比率をこの範囲とすることにより、初期の接触抵抗を低くしつつ、温度や湿度の外的影響による接触抵抗の経時劣化を抑制することができる。
上部電極膜中の第一の金属成分および第二の金属成分の体積比率は、走査型電子顕微鏡(SEM)により、上部電極断面の幅200μmの範囲を観察し、X線による元素分析(SEM-EDX)から第一の金属成分および第二の金属成分と有機成分を区別し、画像解析を行うことで算出される上部電極中の第一の金属成分および第二の金属成分の面積比率を体積比率と見なす。
上部電極や下部電極に含まれる金属成分の検出方法としては、コンタクトホールとその周辺を含む領域の電極膜面に垂直な断面を切り出し、透過型電子顕微鏡によるエネルギー分散型X線分光法(TEM-EDX)を用いて元素分析する方法が挙げられる。
上部電極に含まれる第一の金属成分の比重と第二の金属成分の比重との差が大きすぎないことが、上部電極の膜強度の向上や膜の屈曲性の向上の観点から好ましい。したがって、第一の金属成分と第二の金属成分の比重差は、3以下であることが好ましい。
(有機成分)
有機成分としては、特に制限はないが、モノマー、オリゴマー、ポリマー、光重合開始剤、カルボキシル基を有する化合物、重合禁止剤、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、シランカップリング剤、消泡剤、顔料などが挙げられる。
オリゴマーもしくはポリマーとしては、特に限定されず、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド前駆体、ポリイミドなどを用いることができる。これらの中でも、電極を屈曲した時の耐クラック性の観点から、アクリル樹脂が好ましい。これは、アクリル樹脂のガラス転移温度が100℃以下であり、導電膜の熱硬化時に軟化し、間の結着が高まるためと推定される。
アクリル樹脂とは、繰返し単位に少なくともアクリル系モノマーに由来する構造を含む樹脂である。アクリル系モノマーの具体例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、2-ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート等が挙げられ、これらのアクリル系モノマーは、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
モノマーとしては、炭素-炭素二重結合を有する化合物を用いることができる。モノマーの具体例としては、前述のアクリル系モノマーに加え、スチレン、α-メチルスチレン、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。
カルボキシル基を有する化合物としては、構成モノマーの一部として不飽和カルボン酸等の不飽和酸を用いたアクリル樹脂、カルボキシル基を有する界面活性剤、カルボキシル基を有するその他の添加剤が挙げられる。
有機成分として、少なくとも、炭素-炭素二重結合を有する化合物と、カルボキシル基を有する化合物とを含有することが好ましい。少なくともこれらの化合物を含有することにより、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合などの重合反応による硬化反応性と、アルカリ現像液に対する溶解性を付与することができるため、感光性導電性ペーストを作製でき、フォトリソグラフィ法による微細なパターン加工が可能となる。
(連続相)
絶縁層上における上部電極と、コンタクトホールにおける上部電極とが、連続相であることが好ましい。連続相とは、絶縁層上における上部電極を構成する材料とコンタクトホールにおける上部電極を構成する材料とが入り混じり、各材料の濃度が段階的に変化する形で一体化していること、または、絶縁層上における上部電極を構成する材料とコンタクトホールにおける上部電極を構成する材料とが同一であり、両者の接続部に接続面が存在しないことをいう。
連続相であることは、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などで接続部の断面を観察することで確認することができる。連続相とすることにより、絶縁層上における上部電極とコンタクトホールにおける上部電極との間の領域における抵抗上昇を抑制することができる。連続相を形成する方法としては、例えば、前述の感光性導電性ペーストを用いて、絶縁層上における上部電極とコンタクトホールにおける上部電極とを一括形成する方法が挙げられる。
(基材)
基材1は、少なくとも電極系が配置される面が絶縁性を備える基材であれば、いかなる材質のものでもよい。基材としては、例えば、シリコンウエハ、ガラス、サファイア、アルミナ焼結体等の無機材料からなる基材、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン等の有機材料からなる基材が採用可能であるが、より安価な製造プロセスの採用のため、単位面積あたりのコストが低く、フレキシブル性に優れる材料が好ましい。
また、基材としては、例えば、シリコンウエハ上にPVP膜を形成したものや、ポリエチレンテレフタレート上にポリシロキサン膜を形成したものなど、複数の材料が積層されたものであってもよい。
(絶縁層)
絶縁層3に用いられる材料は、下部電極2と上部電極4との間の絶縁が確保できれば特に限定されないが、酸化シリコン、アルミナ等の無機材料;ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール(PVP)等の有機高分子材料;あるいは無機材料粉末と有機材料の混合物を挙げることができる。
中でもケイ素と炭素の結合を含む有機化合物を含むものが好ましく、ポリシロキサンが特に好ましい。
絶縁層は、フォトリソグラフィ法によるパターン加工性を付与するため、感光性有機成分を含有することが好ましい。感光性有機成分としては、ラジカル重合性化合物、光重合開始剤、光酸発生剤、増感剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、などが挙げられる。
絶縁層の膜厚は0.05~5μmが好ましく、0.1~1μmがより好ましい。この範囲の膜厚にすることにより、均一な薄膜形成が容易になる。膜厚は、原子間力顕微鏡、エリプソメトリ法、分光反射率法などにより測定できる。
絶縁層は、単層でも複数層でもよい。また、1つの層を複数の絶縁性材料から形成してもよいし、複数の絶縁性材料を積層して複数の絶縁層を形成しても構わない。
絶縁層内には、下部電極と上部電極とを接続するためのコンタクトホール5が設けられる。コンタクトホールの形成方法としては、フォトリソグラフィ法、ドライエッチング法、ウェットエッチング法などの一般的な加工方法を用いることができる。
コンタクトホールの大きさは、上部電極がコンタクトホールを満たすことで上下電極間の電気的接続が取り得る限りにおいては特に限定しないが、アスペクト比(コンタクト径に対するコンタクト深さの比率)が少なくとも1より小さい、つまりコンタクトホールの深さより、コンタクトホールの直径が大きい方が、上部電極の埋め込みが容易との観点から、好ましい。
[実施の形態2]
図2は、本発明の実施の形態2に係る素子を示した模式断面図である。この実施の形態2は、実施の形態1に係る素子と電界効果型トランジスタ(FET)とを有する場合の例であることを除いては、実施の形態1における特徴と同様の点があてはまる。
図2(a)点線内に示すFETは、絶縁性の基材1と、基材1の上に形成された下部電極であるゲート電極12と、ゲート電極12の上に配された絶縁層であるゲート絶縁層13と、その上に設けられた上部電極であるソース電極14aおよびドレイン電極14bと、ソース電極14aおよびドレイン電極14bの間に設けられた半導体層16と、を有する。ソース電極14aおよびドレイン電極14bは、少なくとも、図示しない第一の金属成分および第二の金属成分と有機成分とを含む。
この構造は、ゲート電極が半導体層の下側に配置され、半導体層の上面にソース電極およびドレイン電極が配置される、いわゆるボトムゲート・トップコンタクト構造である。
なお、図2(a)の点線外の部分(右側の部分)は、実施の形態1に係る素子と同様の構造である。図2(a)の素子において、ドレイン電極14bと上部電極4とは連続相である。
図2(b)点線内に示すFETは、絶縁性の基材1と、基材1の上に形成された下部電極であるソース電極22aおよびドレイン電極22bと、ソース電極22aおよびドレイン電極22bの間に設けられた半導体層26と、ソース電極22a、ドレイン電極22bおよび半導体層26の上に配された絶縁層であるゲート絶縁層23と、その上に設けられる上部電極であるゲート電極24と、を有する。
この構造は、ゲート電極が半導体層の上側に配置され、半導体層の下面にソース電極およびドレイン電極が配置される、いわゆるトップゲート・ボトムコンタクト構造である。
なお、図2(b)の点線外の部分(右側の部分)は、実施の形態1に係る素子と同様の構造である。図2(b)の素子において、ドレイン電極22bと下部電極2とは連続相である。
FETを構成する半導体層としては、半導体性を示す材料であれば特に限定されず、キャリア移動度の高い材料が好ましく用いられる。また、半導体層16の材料としては、低コストで簡便な塗布プロセスが適用できるものが好ましく、有機半導体やカーボン材料が好ましい例として挙げられる。
半導体層16に用いられる有機半導体としては、ペンタセン、ポリチオフェン類、チオフェンユニットを主鎖中に含む化合物、ポリピロール類、ポリ(p-フェニレンビニレン)類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリジアセチレン類、ポリカルバゾール類、ポリフラン類、含窒素芳香環を構成単位とするポリヘテロアリール類、縮合多環芳香族化合物、複素芳香族化合物、芳香族アミン誘導体、ビスカルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニン類、銅ポルフィリンなどの金属ポルフィリン類、ジスチリルベンゼン誘導体、アミノスチリル誘導体、芳香族アセチレン誘導体、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、有機色素、など公知のものを利用することができる。上記の有機半導体は、これらを2種以上含有してもよい。
半導体層16に用いられるカーボン材料としては、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン、フラーレンなどが挙げられる。中でも、200℃以下の低温形成が可能である点、塗布プロセスへの適性が高い点から、上記カーボン材料としてCNTが好ましい。さらには、有機半導体と異なり結晶化を必要とせず、CNT同士のネットワーク構造によって高移動度が達成でき、また電極材料の仕事関数に応じてFET特性を変化させることができる。そのため、本発明のように上部電極に含まれる金属成分1および金属成分2の組み合わせや含有率によって、FET特性を調整がしやすくなる点からも、上記カーボン材料としてCNTが好ましい。
CNTとしては、1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNTのいずれを用いてもよく、これらを2種以上用いてもよい。中でも、半導体の特性を示すという観点から、単層CNTを用いることが好ましく、特に、当該単層CNTは、半導体型単層CNTを90重量%以上含むことがより好ましい。さらに好ましくは、単層CNTが半導体型単層CNTを95重量%以上含むことである。
さらに、表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したCNT(以下、CNT複合体という)は、溶液中での分散安定性に優れ、高移動度が得られるため、半導体層16のカーボン材料として特に好ましい。ここで、共役系重合体とは、繰り返し単位が共役構造をとり、重合度が2以上の化合物を指す。また、CNTが均一に分散した溶液を用いることで、CNTが均一に分散した膜(半導体層4を構成する膜)をインクジェット法等の塗布法により形成することができる。
「共役系重合体がCNTの表面の少なくとも一部に付着した状態」とは、CNT表面の一部、あるいは全部を共役系重合体が被覆した状態を意味する。共役系重合体がCNTを被覆できるのは、それぞれの共役系構造に由来するπ電子雲が重なることによって相互作用が生じるためと推測される。CNTが共役系重合体で被覆されているか否かは、対象とするCNTの反射色が被覆されていないCNTの色から共役系重合体の色に近づくことで判別できる。定量的には、X線光電子分光法(XPS)などの元素分析によって、付着物の存在とCNTに対する付着物の質量比とを同定することができる。
CNTに付着させる共役系重合体は、分子量、分子量分布や構造に関わらず用いることができる。CNTへの付着のし易さという観点から、該共役系重合体は、重量平均分子量が1000以上であることが好ましい。
共役系重合体をCNTに付着させる方法としては、例えば、以下に示す第1~第4の方法等が挙げられる。第1の方法としては、溶融した共役系重合体中にCNTを添加して混合する方法が挙げられる。第2の方法としては、共役系重合体を溶媒中に溶解させ、この中にCNTを添加して混合する方法が挙げられる。第3の方法としては、CNTを溶媒中で予め超音波等で予備分散しておいた所に共役系重合体を添加し混合する方法が挙げられる。第4の方法としては、溶媒中に共役系重合体とCNTを入れ、この混合系に超音波を照射して混合する方法が挙げられる。本発明では、これら複数の方法を組み合わせてもよい。
本発明において、CNTの長さは、ソース電極14aとドレイン電極14bとの間の距離(チャネル長)よりも短いことが好ましい。CNTの平均長さは、チャネル長によるが、好ましくは2μm以下であり、より好ましくは0.5μm以下である。一般に市販されているCNTは長さに分布があり、チャネル長よりも長いCNTが含まれることがある。このため、半導体層4を形成する工程には、CNTをチャネル長よりも短くする工程を加えることが好ましい。CNTをチャネル長よりも短くする方法としては、例えば、硝酸、硫酸などによる酸処理、超音波処理、または凍結粉砕法などにより、CNTを短繊維状にカットする方法が有効である。また、フィルターによる分離を併用することは、CNTの純度を向上させるという観点から、さらに好ましい。また、CNTの直径は、特に限定されないが、1nm以上100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
上記のCNTを被覆する共役系重合体としては、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリ-p-フェニレン系重合体、ポリ-p-フェニレンビニレン系重合体、チオフェンユニットとヘテロアリールユニットを繰り返し単位中に有するチオフェン-ヘテロアリーレン系重合体などが挙げられる。上記共役系重合体は、これらを2種以上用いたものでもよい。上記共役系重合体としては、単一のモノマーユニットが並んだもの、異なるモノマーユニットをブロック共重合したもの、ランダム共重合したもの、または、グラフト重合したものなどを用いることができる。
また、半導体層16としては、CNT複合体と有機半導体とを混合したものを用いてもよい。有機半導体中にCNT複合体を均一に分散させることにより、有機半導体そのものの特性を維持しつつ、高い移動度を実現することが可能となる。
また、半導体層16は、さらに絶縁性材料を含んでもよい。ここで用いられる絶縁性材料としては、本発明の絶縁材料組成物や、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリマー材料が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
半導体層16は、単層でも複数層でもよい。半導体層16の膜厚は、1nm以上200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。半導体層4をこの範囲内の膜厚にすることにより、均一な薄膜形成が容易になり、さらにゲート電圧によって制御できないソース・ドレイン電極間の電流を抑制し、FETのオンオフ比をより高くすることができる。半導体層16の膜厚は、原子間力顕微鏡やエリプソメトリ法などにより測定できる。
[実施の形態3]
図3(a)は、本発明の実施の形態3に係る素子を示した模式図である。本発明の実施の形態3に係る素子は、基材1と、基材1の上に配された下部電極32と、下部電極32と接する領域を有する上部電極34とを備える。実施の形態3は、実施の形態1に係る素子における絶縁層3を有さないため、コンタクトホール5を介することなく下部電極32と上部電極34が
電気的に接続されることを除いては、実施の形態1における特徴と同様の点があてはまる。実施の形態3に係る素子は所望の平面形状をとることで、さまざまな機能を持たせることができる。例えば平面形状がコイル状であるような実施の形態3に係る素子は、アンテナとして機能させることができる。
また図3(b)は本発明の実施の形態3に係る素子を利用した整流素子を示す。整流素子は、本発明の実施の形態3に係る素子と、下部電極32の一部の上に配された絶縁層33と、絶縁層33の上に配された上部電極35と上部電極34および上部電極35の間に設けられた半導体層36とを有する。
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、絶縁層のコンタクトホールを介して下部配線と上部配線とを電気的に接続させる際や、絶縁層のコンタクトホールを介して上部電極と下部配線を電気的に接続される際にも、同様の構成とすることで電気的接続に優れ、配線抵抗を低くすることができる。
<素子の製造方法>
以下、図2(a)に示す構造の素子を製造する場合を例に挙げて、本発明の実施の形態に係る素子の製造方法を具体的に説明する。
まず、図4(a)に示すように、絶縁性基材1の上に下部電極群(下部電極2、ゲート電極12)を形成する。下部電極群の形成方法としては、特に制限はなく、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、メッキ、化学気相成長法(CVD)、イオンプレーティングコーティング、インクジェット、印刷などの、公知技術を用いた方法が挙げられる。また、電極の形成方法の別の例として、有機成分および導電体を含むペーストを、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法などの、公知の技術で、絶縁基板上に塗布し、オーブン、ホットプレート、赤外線などを用いて乾燥を行い、形成する方法などが挙げられる。
また、電極パターンの形成方法としては、上記方法で作製した電極薄膜を、公知のフォトリソグラフィ法などで所望の形状にパターン形成してもよいし、あるいは、電極物質の蒸着やスパッタリング時に、所望の形状のマスクを介することで、パターンを形成してもよい。
次に、図4(b)に示すように、下部電極群の上に絶縁層3、13を形成する。絶縁層3、13の作製方法は、特に制限はないが、例えば、絶縁層を形成する材料を含む組成物を基板に塗布し、乾燥することで得られたコーティング膜を、フォトリソグラフィ法でコンタクトホール5を形成した後、必要に応じ熱処理する方法が挙げられる。塗布方法としては、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などの公知の塗布方法が挙げられる。コーティング膜の熱処理の温度としては、100~300℃の範囲にあることが好ましい。
次に、図4(c)に示すように、絶縁層13の上部に半導体層16を形成する。半導体層16の形成方法としては、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、CVDなど、乾式の方法を用いることも可能であるが、製造コストや大面積への適合の観点から、塗布法を用いることが好ましい。具体的には、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などを好ましく用いることができる。これらの中から、塗膜厚み制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択することが好ましい。また、形成した塗膜に対して、大気下、減圧下または窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、アニーリング処理を行ってもよい。
次に、図4(d)に示すように、絶縁層3、13、下部電極2および半導体層16の上部に上部電極群(上部電極4、ソース電極14a、ドレイン電極14b)を形成する。上部電極群の形成方法としては、少なくとも第一の金属成分、第二の金属成分および有機成分を含有するペーストを塗布した後、乾燥、露光および現像を含む工程を通して上部電極群を形成することがより好ましい。
塗布法としては、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法などの、公知の技術が挙げられる。乾燥法としては、オーブン、ホットプレート、赤外線などを用いた乾燥法が挙げられる。
露光法としては、通常のフォトリソグラフィ法で行われるように、フォトマスクを介して露光する方法が一般的である。また、レーザー光等で直接描画する方法を用いても構わない。露光装置としては、例えば、ステッパー露光機又はプロキシミティ露光機が挙げられる。この際使用される活性光源としては、例えば、近紫外線、紫外線、電子線、X線又はレーザー光等が挙げられるが、紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ又は殺菌灯が挙げられるが、超高圧水銀灯が好ましい。
現像法としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ現像液を用いて、基板を静置又は回転させながら現像液をスプレーする方法、基板を現像液中に浸漬する方法などが挙げられる。現像により得られたパターンは、水やアルコール水溶液によるリンス処理を施しても構わない。
さらに、必要に応じて、得られたパターンをキュアすることも好ましい。キュアする方法としては、例えば、オーブン、イナートオーブン、ホットプレート若しくは赤外線等による加熱乾燥又は真空乾燥が挙げられる。この形成方法により、微細な配線パターンを簡便に形成することができる。
これらの方法の中でも、感光性導電性ペーストを塗布し、フォトリソグラフィ法によってパターン形成することが好ましい。感光性導電性ペーストを用いて絶縁層3、13、下部電極2および半導体層16の上部に上部電極群(上部電極4、ソース電極14a、ドレイン電極14b)を形成する方法としては、基板上に感光性導電性ペーストを塗布し塗布膜を形成する工程と、塗布膜を露光する工程と、露光した塗布膜を現像する工程とを含み、さらに塗布膜をキュアすることで対応するパターンの導電性を発現させる工程とを含むことが好ましい。
この際、塗布膜のキュア温度や時間を十分確保することで導電性が発現しやすくなるが、同時に下部電極の酸化も起こりやすくなる。そこで、下部電極を構成する金属成分と上部電極に含まれる第一の金属成分および第二の金属成分との間にE°(M2)<E°(M)≦E°(M1)の関係があることで、キュア工程において、下部電極の酸化を抑制することができ、安定した導電性発現が得られやすくなる。
また、下部電極材料が銅を含み、また上部電極材料が第二の金属成分としてニッケルを含み、有機成分としてカルボキシル基を有する化合物を含むことで、下部電極と上部電極の密着性を向上させつつ、塗布膜のキュア工程における銅の酸化を抑制しやすくなる。
感光性導電性ペーストは、少なくとも、導電性粒子として上述の第一の金属成分および第二の金属成分とを、感光性有機成分として炭素-炭素二重結合を有する化合物を含み、さらに、カルボキシル基を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーを含むものであることが好ましい。重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリレート基、メタクリレート基等のエチレン性不飽和基又はアクリルアミド基が挙げられる。
感光性導電性ペーストは、必要な材料を混合した後、例えば、三本ローラー、ボールミル若しくは遊星式ボールミル等の分散機又は混練機を用いて製造される。
(光重合開始剤・増感剤)
上記のような感光性有機成分を光反応によって光硬化させるために、導電性ペーストには、光重合開始剤が含まれることが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤又は光カチオン重合開始剤が挙げられるが、露光工程で用いる光によって適宜選択すればよい。
また、導電性ペーストには、光重合開始剤と共に増感剤を使用することで感度を向上させ、反応に有効な波長範囲を拡大することができる。
(溶剤)
感光性導電性ペーストは、粘度調整及び塗布膜の表面平滑性向上の観点から、有機溶剤を含むことが好ましい。導電性ペースト粘度(ブルックフィールド型粘度計で3rpm測定した値)は、導電性粒子の沈降による塗布不良や液垂れ防止又は被覆性向上の観点から、10~100Pa・sが好ましく、10~50Pa・sがより好ましい。
有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、γ-ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸等、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、テルピネオール、3-メチル-3-メトキシブタノール、テキサノール、ベンジルアルコール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。
(その他の成分)
導電性ペーストには、例えば、有機系若しくは無機系の顔料、ガラス粉末、フィラー、可塑剤、特殊ビニル系重合物若しくは特殊アクリル系重合物等のレベリング剤、界面活性剤、シランカップリング剤、消泡剤又は酸化防止剤等の添加剤が配合されていても構わない。
<電子デバイス>
本発明の実施の形態に係る素子は、タッチパネル、ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス照明、太陽電池や各種センサに用いられる電子回路内の素子として好適に利用することができる。各種センサとは、例えば、温度、水分、ガス、光、電磁波、放射線、圧力などを検出するセンサが挙げられる。
<無線通信装置>
次に、上記素子を有する、本発明の実施の形態に係る無線通信装置について説明する。本発明の実施の形態に係る無線通信装置は、上述の素子と、アンテナと、を少なくとも有するものである。
この無線通信装置は、アンテナが受信する無線電波を用いて動作する装置である。無線通信装置の例としては、特に制限はないが、(1)アダプタによる有線接続を用いず非接触でエネルギーの給電を行う給電装置、(2)センシングに用いられるような搬送波を一部変調して電気通信を行う装置、(3)リーダ/ライタに搭載されたアンテナから送信される搬送波を受信することで情報のやりとりを行う装置、などが挙げられる。(3)のより具体的な例としては、商品タグ、万引防止タグ、各種チケットやスマートカードなどの、非接触型タグであるRFID(Radio Frequency IDentification)タグが挙げられる。
無線通信装置の具体的な動作を、RFIDタグを例に挙げて説明する。例えば、図5に示すようなものが挙げられる。これは、アンテナ50で受信した外部からの変調波信号の整流を行い各部に電源を供給する電源生成部と、上記変調波信号を復調して制御回路へ送る復調回路と、制御回路から送られたデータを変調してアンテナに送り出す変調回路と、復調回路で復調されたデータの記憶回路への書込み、および記憶回路からデータを読み出して変調回路への送信を行う制御回路と、で構成され、各回路部が電気的に接続されている。
上記復調回路、制御回路、変調回路、記憶回路は上述のFETを含んでもよく、さらにコンデンサ、抵抗素子、ダイオードを含んでいても良い。上記電源生成部は、コンデンサと、ダイオードとから構成される。
アンテナ、コンデンサ、抵抗素子、ダイオードは、一般的に使用されるものであればよく、用いられる材料、形状は特に限定はされない。また、上記の各構成要素を電気的に接続する材料も、一般的に使用されうる導電材料であればいかなるものでもよい。各構成要素の接続方法も、電気的に導通を取ることができれば、いかなる方法でもよい。各構成要素の接続部の幅や厚みは、任意である。
<商品タグ>
次に、本発明の実施の形態に係る無線通信装置を含有する商品タグについて説明する。この商品タグは、例えば基体と、この基体によって被覆された上記無線通信装置とを有している。
基体は、例えば、平板状に形成された、紙などの非金属材料によって形成されている。例えば、基体は、2枚の平板状の紙を貼り合わせた構造をしており、この2枚の紙の間に、上記無線通信装置が配置されている。上記無線記憶装置の記憶回路に、例えば、商品を個体識別する個体識別情報が予め格納されている。
この商品タグと、リーダ/ライタとの間で、無線通信を行う。リーダ/ライタとは、無線により、商品タグに対するデータの読み取りおよび書き込みを行う装置である。リーダ/ライタは、商品の流通過程や決済時に、商品タグとの間でデータのやり取りを行う。リーダ/ライタには、例えば、携帯型のものや、レジに設置される固定型のものがある。本発明の実施の形態に係る商品タグに対しては、リーダ/ライタは公知のものが利用できる。
本発明の実施の形態に係る商品タグは、識別情報返信機能を備えている。これは、商品タグが、所定のリーダ/ライタから、個体識別情報の送信を要求するコマンドを受けたときに、自身が記憶している個体識別情報を無線により返信する機能である。リーダ/ライタからの1度のコマンドで、多数の商品タグから、各タグの個体識別情報が送信される。この機能により、例えば、商品の精算レジにおいて、非接触で多数の商品を同時に識別することが可能となる。それゆえ、バーコードでの識別と比較して、決済処理の容易化や迅速化を図ることができる。
また、例えば、商品の会計の際に、リーダ/ライタが、商品タグから読み取った商品情報をPOS(Point of sale system、販売時点情報管理)端末に送信することが可能である。この機能により、POS端末において、その商品情報によって特定される商品の販売登録をすることもできるため、在庫管理の容易化や迅速化を図ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定して解釈されるものではない。実施例における各評価法を以下の[1]~[4]で説明する。
[1]上部電極と下部電極のコンタクト抵抗
図6に示す素子100を5つ用意し、各素子中のケルビンパターン110を用いて、コンタクト抵抗を測定した。図6(b)および(c)はそれぞれ図6(a)におけるI-I’線およびII-II’線における断面である。図中の白色部分が上部電極4、黒色部分が下部電極2である。図中の破線は、破線内にコンタクトホール5が存在することを意味している。測定には、半導体特性評価システム4200-SCS型(ケースレーインスツルメンツ株式会社製)を用い、大気中で測定した。図6のパッド1-パッド4間の電流を0~10μAに変化させた時のパッド2-パッド3間の電圧を4端子法で測定し、電流10μAでの電圧値からコンタクト抵抗を算出した。合計5つのケルビンパターンを測定し、その平均値を初期のコンタクト抵抗として算出した。その後、測定した素子を85℃、85%RHの恒温恒湿槽SH-661(エスペック(株)製)に24時間投入した。その後、素子を取り出し、再度同様にしてコンタクト抵抗値(5つのケルビンパターンの平均値)を算出した。
以下の基準で評価を行った。
(抵抗の評価)
A(良好):コンタクトホールの大きさが100μm×100μmの素子のコンタクト抵抗が50Ω以下である。
B(可):コンタクトホールの大きさが100μm×100μmの素子のコンタクト抵抗が100Ω以下ある。
C(不可):コンタクトホールの大きさが100μm×100μmの素子のコンタクト抵抗が100Ωより大きい。
(恒温恒湿試験後の抵抗増加評価)
A(良好):コンタクトホールの大きさが100μm×100μmの素子のコンタクト抵抗における恒温恒湿試験後の抵抗増加が30Ω以下である。
B(可):コンタクトホールの大きさが100μm×100μmの素子のコンタクト抵抗における恒温恒湿試験後の抵抗増加が100Ω以下である。
C(不可):コンタクトホールの大きさが100μm×100μmの素子のコンタクト抵抗における恒温恒湿試験後の抵抗増加が100Ωより大きい。
D(評価不能):コンタクトホールの大きさが100μm×100μmの素子の初期のコンタクト抵抗が100Ωより大きい。
[2]上部電極の配線抵抗
図6に示す素子100を5つ用意し、各素子中の配線抵抗測定用パターン120を用いて、配線抵抗を測定した。抵抗測定用パターン120の細線部は長さ500μm、線幅100μmとした。測定には、半導体特性評価システム4200-SCS型(ケースレーインスツルメンツ株式会社製)を用い、大気中で測定した。パッド5-パッド6間の電流を0~10μAに変化させた時のパッド5-パッド6間の電圧を4端子法で測定し、電流10μAでの電圧値から配線抵抗を算出した。5つの配線抵抗測定用パターンでそれぞれ求められた値の平均値を配線抵抗とした。
[3]耐屈曲性
評価[1]で使用したケルビンパターン110を用いて、パターンが山折になるようにし、図6に示す基材の辺Aと辺Bとの距離が10mmになるまで近づけては元に戻す屈曲動作を実施した。前後のケルビンパターン110を光学顕微鏡で観察し、剥がれ、断線の有無を確認し、以下の基準で評価を行った。
A(良好):折り曲げ動作を300回繰り返しても剥がれおよび断線が見られない。
B(可):折り曲げ動作を100回繰り返しても剥がれおよび断線が見られない。
C(不可):折り曲げ動作の繰り返しが100回未満で、剥がれまたは断線が見られた。
(ポリシロキサン溶液Aの作製)
3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(SucSi)13.12g(0.05モル)、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(AcrSi)93.73g(0.40モル)およびフェニルトリメトキシシラン(PheSi)109.06g(0.55モル)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、沸点146℃)215.91gに溶解し、これに、水54.90g、リン酸0.864gを撹拌しながら加えた。得られた溶液をバス温105℃で2時間加熱し、内温を90℃まで上げて、主として副生するメタノールからなる成分を留出せしめた。次いでバス温130℃で2時間加熱し、内温を118℃まで上げて、主として水とメタノールからなる成分を留出せしめた後、室温まで冷却し、固形分濃度26.0質量%のポリシロキサン溶液Aを得た。得られたポリシロキサン溶液Aを10gはかり取り、PGMEA0.83gを混合して、室温にて2時間撹拌し、ポリシロキサン溶液A(固形分濃度24質量%)を得た。
(絶縁層材料溶液Bの作製)
ポリシロキサン溶液Aを10gはかり取り、DPHA(商品名「KAYARAD」、日本化薬(株)製;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)を1.04g、OXE-01(商品名「イルガキュア」、BASF(株)製)を0.15gとPGMEA4.60gを混合して、室温にて2時間撹拌し、ネガ型感光性を有する絶縁層材料溶液B(固形分濃度23質量%)を得た。
(カルボキシル基を有する化合物Cの合成)
共重合比率(質量基準):エチルアクリレート(以下、「EA」)/メタクリル酸2-エチルヘキシル(以下、「2-EHMA」)/スチレン(以下、「St」)/グリシジルメタクリレート(以下、「GMA」)/アクリル酸(以下、「AA」)=20/40/20/5/15。
窒素雰囲気の反応容器中に、150gのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下、「DMEA」)を仕込み、オイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、20gのEA、40gの2-EHMA、20gのSt、15gのAA、0.8gの2,2’-アゾビスイソブチロニトリルおよび10gのDMEAからなる混合物を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに6時間重合反応を行った。その後、1gのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加して、重合反応を停止した。引き続き、5gのGMA、1gのトリエチルベンジルアンモニウムクロライドおよび10gのDMEAからなる混合物を、0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間付加反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することで未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで、カルボキシル基を有する化合物Cを得た。
(導電性粒子)
・Ag粒子:粒子径(D50)0.5μm、比重10.5、標準酸化還元電位0.799V(v.s.NHE)のAg粒子
・Ni粒子:粒子径(D50)0.3μm、比重8.9、標準酸化還元電位-0.257V(v.s.NHE)のNi粒子
・Mo粒子:粒子径(D50)0.3μm、比重10.2、標準酸化還元電位-0.20V(v.s.NHE)のMo粒子
・Cr粒子:粒子径(D50)0.3μm、比重7.2、標準酸化還元電位-0.74V(v.s.NHE)のCr粒子。
(感光性導電性ペーストEの調製)
調製例1;感光性導電性ペーストE
100mlクリーンボトルに、上記により得られた化合物Cを10g炭素-炭素二重結合を有する化合物であるライトアクリレートBP-4EA(共栄社化学(株)製)を1.5g、光重合開始剤OXE-01(BASFジャパン株式会社製)0.5g、γ-ブチロラクトン(三菱ガス化学株式会社製)を10g入れ、自転-公転真空ミキサー“あわとり練太郎”(登録商標)(ARE-310;(株)シンキー製)で混合し、感光性樹脂溶液22gを得た。得られた感光性樹脂溶液13.0gと、第一の金属成分としてAg粒子29.5gと、第二の金属成分としてNi粒子0.5gとを混ぜ合わせ、3本ローラー“EXAKT M-50”(商品名、EXAKT社製)を用いて混練し、43gの感光性導電ペーストEを得た。
調整例2~6;感光性導電性ペーストF~K
導電性粒子を表1に示す組成に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で、感光性導電性ペーストF~Kを得た。
Figure 2023004911000002
(半導体溶液の作製)
まず、P3HT(アルドリッチ株式会社製、ポリ(3-ヘキシルチオフェン))を2.0mg含有するクロロホルム溶液(10ml)に、CNT(CNI社製、単層CNT、純度95%)を1.0mg加え、氷冷しながら、超音波ホモジナイザー(東京理化器械株式会社製、VCX-500)を用いて出力20%で4時間超音波撹拌した。これにより、CNT分散液A11(溶媒に対するCNT複合体濃度が0.96g/lのもの)を得た。
つぎに、メンブレンフィルター(孔径10μm、直径25mm、ミリポア社製オムニポアメンブレン)を用いて、上記CNT分散液A11の濾過を行い、長さ10μm以上のCNT複合体を除去した。これによって得られた濾液に、o-DCB(和光純薬工業株式会社製)を5ml加えた後、ロータリーエバポレーターを用いて、低沸点溶媒であるクロロホルムを留去し、これにより、溶媒をo-DCBで置換して、CNT分散液B11を得た。CNT分散液B11(1ml)に、o-DCBを3ml加え、これにより、半導体溶液A(溶媒に対するCNT複合体濃度が0.03g/lのもの)を得た。
(第2絶縁層の作成例)
ポリメチルメタクリレート(富士フィルム和光純薬株式会社製)2.5gをN,N-ジメチルホルムアミド7.5gに溶解し、ポリマー溶液Aを調製した。次に、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン(東京化成工業株式会社製)1gをN,N-ジメチルホルムアミド9.0gに溶解し、化合物溶液Aを調製した。ポリマー溶液A0.68gに化合物溶液A0.30gを添加し、第2絶縁層溶液Aを得た。
実施例1
図6に示す素子100を作製した。PETフィルム(厚み0.15mm)上に、抵抗加熱法により銅(標準酸化還元電位0.340V)を厚さ100nmで真空蒸着した。次に、ポジ型フォトレジストLC140-10cP(ローム・アンド・ハース電子材料(株)製)を銅蒸着膜上にスピンコート塗布し、100℃5分で乾燥した。次に図7(a)のフォトマスクを介して、乾燥膜を露光・現像した。次に、銅用混酸系エッチング液(Cu-01;関東化学(株)製)を用いてエッチング後、洗浄・乾燥して、下部電極パターンを得た。なお、露光は露光装置“PEM-8M” (商品名、ユニオン光学(株)製)を用いて、露光量50mJ/cm(波長365nm換算)で全線露光を行い、現像は2.38重量%のTMAH水溶液で40秒間浸漬現像し、超純水でリンス処理を施して行った。フォトレジスト剥離は、AZリムーバ100(商品名、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)に2分間浸漬し、超純水でリンス処理を施し後、水滴をエアナイフで除去した。
次に、絶縁層材料溶液Bを上記基板上にスピンコート塗布し、100℃2分で乾燥した。次に図7(b)のフォトマスクを介して、乾燥膜を露光・現像して、コンタクトホールを形成した後に、窒素気流下、150℃で30分の熱処理を行い、絶縁層を形成した。なお、露光は露光装置“PEM-8M” (商品名、ユニオン光学(株)製)を用いて、露光量200mJ/cm(波長365nm換算)で全線露光を行い、現像は2.38重量%のTMAH水溶液で20秒間浸漬現像し、超純水でリンス処理を施して行った。コンタクトホールの大きさは、平面視で、1個は100μm×100μmとなるようにした。
次に感光性導電性ペーストEを上記基板上にスクリーン印刷で塗布し、乾燥オーブンで100℃、10分間乾燥した。図7(c)のフォトマスクを介して乾燥膜を露光、現像して、パターンを得た。その後、得られたパターンを140℃で30分の熱処理を行い、上部電極を形成した。なお、露光は露光装置“PEM-8M” (商品名、ユニオン光学(株)製)を用いて、露光量200mJ/cm(波長365nm換算)で全線露光を行い、現像は0.2重量%のNaCO溶液で45秒間浸漬現像し、超純水でリンス処理を施して行った。
こうして、得られたコンタクト抵抗および配線抵抗測定パターンについて、[1]~[3]に記載の方法で評価を行った。[1]~[3]の結果を表2に示す。
実施例2~6、比較例1
感光性導電性ペーストEの代わりに表2記載の感光性導電性ペーストを用いた以外は実施例1と同様の方法でパターンを形成し、同様の評価をした。評価結果を、表2に示す。
Figure 2023004911000003
実施例7
実施例7では、p型のFETとn型のFETとを含むインバーを形成し、このインバータを用いて、発振回路であるリングオシレータを作製した。
図8(a)は、本実施例7におけるリングオシレータの構成を示す模式平面図である。このリングオシレータ28は、インバータ27を直列に21段分接続することによって構成されるものとした。なお、図8(a)では、リングオシレータ28の構成を簡略に示すために、21個のインバータ27のうち、繰り返しの構成となるインバータ27の図示は省略している。また、これらのインバータ27を各々構成する複数組のFETは、配線(図示せず)によって接続される。
図8(b)は、図8(a)において一点鎖線IIIで囲まれた2段分のインバータ27の模式図であり、図8(c)および(d)はそれぞれ図8(b)におけるIV-IV’線およびV-V’線における断面である。図中の白色部分が上部電極4、黒色部分が下部電極2である。図8(b)中の破線は、破線内にコンタクトホール5が存在することを意味している。
具体的なリングオシレータの作製方法を、図9を参照して説明する。図9は、図8(b)におけるIV-IV’線およびV-V’線における断面図を用いて、本実施例7におけるリングオシレータの製造工程を示すものである。
まず、基材1であるPETフィルム(厚み0.15mm)上に、抵抗加熱法により銅(標準酸化還元電位0.340V)を厚さ100nmで真空蒸着した。次に、ポジ型フォトレジストLC140-10cP(ローム・アンド・ハース電子材料(株)製)を銅蒸着膜上にスピンコート塗布し、100℃5分で乾燥した。作製したフォトレジスト膜を、下部電極およびゲート電極がデザインされたフォトマスクを介して、露光量40mJ/cm(波長365nm換算)で、全線露光を行った。フォトマスクにデザインされたゲート電極幅は50μmとした。露光した後、2.38重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で30秒間現像し、次いで水で1分間洗浄した。その後、混酸(商品名SEA-5、関東化学(株)製)で30秒間エッチング処理した後、水で30秒間洗浄した。フォトレジスト剥離液(商品名AZリムーバ100、メルクパフォーマンスマテリアルズ(株)製)に2分間浸漬してレジストを剥離し、水で30秒間洗浄後、水滴をエアナイフで除去した。その後、80℃で60秒間、熱風乾燥炉にて加熱乾燥することで、下部電極2とゲート電極12を形成した(図9(a))。
その後、絶縁層材料溶液Bを上記基板1上にスピンコート塗布し、100℃2分で乾燥した。次にコンタクトホールがデザインされたフォトマスクを介して、乾燥膜を露光・現像して、コンタクトホールを形成した後に、窒素気流下、150℃で30分の熱処理を行い、絶縁層3およびゲート絶縁層13を形成した。なお、露光は露光装置“PEM-8M” (商品名、ユニオン光学(株)製)を用いて、露光量200mJ/cm(波長365nm換算)で全線露光を行い、現像は2.38重量%のTMAH水溶液で20秒間浸漬現像し、超純水でリンス処理を施して行った。コンタクトホール5の大きさは、平面視で、1個は100μm×100μmとなるようにした(図9(b))。
上記のようにゲート絶縁層3が形成された基板1上において、ゲート電極12に対する投影上に位置するゲート絶縁層上に、それぞれ100plの半導体溶液Aをインクジェット法で塗布し、IR乾燥炉で窒素気流下、150℃で30分間の熱処理を行うことによって半導体層16を形成した(図9(c))。
次に感光性導電性ペーストFを上記基板上にスクリーン印刷で塗布し、乾燥オーブンで100℃、10分間乾燥した。上部電極およびソース電極、ドレイン電極がデザインされたフォトマスクを介して乾燥膜を露光、現像して、パターンを得た。その後、得られたパターンを140℃で30分の熱処理を行い、上部電極4、ソース電極14aおよびドレイン電極14bを形成した。なお、露光は露光装置“PEM-8M” (商品名、ユニオン光学(株)製)を用いて、露光量200mJ/cm(波長365nm換算)で全線露光を行い、現像は0.2重量%のNaCO溶液で45秒間浸漬現像し、超純水でリンス処理を施して行った(図9(d))。
つぎに、上記半導体層が形成されたPETフィルム製の基板上に、第2絶縁層溶液A5μLを、一部の半導体層16上に、半導体層16を覆うようにドロップキャスト法で滴下した。その後、窒素気流下、110℃で30分熱処理して、第2絶縁層17を形成した(図9(e))。第2絶縁層17の厚みは20μmであった。
得られたリングオシレータについて、リングオシレータ回路に電源電圧として5.0Vが印加された状態で、リングオシレータ回路の出力にオシロスコープ(Keysight Technology社製、DSOX6002A)を接続し、波形を観測し、リングオシレータ回路の発振動作を確認した。
また、リングオシレータ回路から、p型FETを5個抽出し、ゲート電圧(Vg)を変えたときのソース・ドレイン間電流(Id)-ソース・ドレイン間電圧(Vsd)特性を測定した。測定には半導体特性評価システム4200-SCS型(ケースレーインスツルメンツ(株)製)を用い、大気下で測定した。Vg=+5V~-5Vに変化させたときのVsd=-5VにおけるVg=-5V時のIdの平均値を計測した結果、14.6μAであった。
比較例2
感光性導電性ペーストFの代わりに感光性導電性ペーストKを用いた以外は実施例7と同様の方法でリングオシレータを形成し、同様の評価をした。結果、上部電極と下部電極の導通不良のためリングオシレータ回路は発信動作しなかった。また、リングオシレータ回路から抽出したp型FETは動作を確認できたが、Idの平均値は10.8μAと実施例7よりも電流値が低かった。
1 基材
2 下部電極
3 絶縁層
4 上部電極
5 コンタクトホール
12 ゲート電極
13 ゲート絶縁層
14a ソース電極
14b ドレイン電極
16 半導体層
17 第2絶縁層
22a ソース電極
22b ドレイン電極
23 ゲート絶縁層
24 ゲート電極
26 半導体層
27 インバータ
28 リングオシレータ
32 下部電極
33 絶縁層
34 上部電極
35 上部電極
36 半導体層
50 アンテナ
100 素子
110 ケルビンパターン
120 配線抵抗測定用パターン

Claims (11)

  1. 基材と、前記基材上に配された下部電極と、前記下部電極と接する領域を有する上部電極と、を備えた素子であって、前記下部電極を構成する金属成分の標準酸化還元電位が-0.40V以上0.50V以下であり、前記上部電極が少なくとも第一の金属成分と第二の金属成分と有機成分とを含み、前記第二の金属成分の標準酸化還元電位をE°(M2)、前記下部電極を構成する金属成分の標準酸化還元電位をE°(M)、前記第一の金属成分の標準酸化還元電位をE°(M1)とするとき、E°(M2)<E°(M)≦E°(M1)の関係にある、素子。
  2. さらに前記下部電極上に配された絶縁層を有し、前記上部電極は前記絶縁層上に配され、前記下部電極と前記上部電極とが接する領域が、前記絶縁層内に設けられ、前記下部電極と前記上部電極とが接するコンタクトホールである、請求項1に記載の素子。
  3. E°(M2)とE°(M)との差が1.10V以下である、請求項1または2に記載の素子。
  4. E°(M1)が0.60V以上1.50V以下である、請求項1または2に記載の素子。
  5. 前記第一の金属成分と前記第二の金属成分の比重差が3以下である、請求項1または2に記載の素子。
  6. 前記絶縁層上における前記上部電極と、前記コンタクトホールにおける前記上部電極とが、連続相である、請求項2に記載の素子。
  7. 前記素子が電界効果型トランジスタである、請求項1または2に記載の素子。
  8. 前記電界効果型トランジスタの半導体層がカーボンナノチューブを含有する、請求項7に記載の素子。
  9. 請求項1または2に記載の素子を有する電子デバイス。
  10. 請求項1または2に記載の素子の製造方法であって、
    少なくとも、第一の金属成分、第二の金属成分および有機成分を含有するペーストを塗布した後、乾燥、露光および現像を含む工程を経て前記上部電極を形成することを特徴とする、素子の製造方法。
  11. 請求項1または2に記載の素子と、アンテナと、を少なくとも有する無線通信装置。
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