JP2021127057A - 車椅子用シートベルトバックル装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シートベルトバックルの操作性に優れており車椅子を搭載していないときにシートベルトバックルが邪魔になるのを防ぐのに有効な車椅子用シートベルトバックル装置を提供する。【解決手段】車椅子用シートベルトバックル装置10は、車椅子用のシートベルトに取付けられたタングプレートが連結される2つのシートベルトバックル20と、2つのシートベルトバックル20を車体1に対して連結する連結部30と、を備え、連結部30は、車体1のフロア面2に設けられた凹部2aに格納された格納位置から凹部2aから突出した使用位置までの間の2つのシートベルトバックル20のそれぞれの移動を許容し、シートベルトバックル20を使用位置で支持するように構成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、車体に装着される車椅子用シートベルトバックル装置に関する。
下記特許文献1には、車椅子を搭載可能な自動車において車椅子に着座した乗員にシートベルトを装着するためのシートベルトバックル装置が開示されている。このシートベルトバックル装置について、自動車のリアシートよりも前方のフロアパネルには、2つのシートベルトバックルのそれぞれが連結部材を介して取付けられている。利用者は、車椅子をリアシートの前方の位置に位置決めした状態で、シートベルトリトラクタから引き出したシートベルトを乗員の腹部に掛けまわし、このシートベルトに取付けられているタングプレートを第1のシートベルトバックルに差し込んで連結する。また、別のシートベルトリトラクタから引き出したシートベルトを乗員の胸部に掛けまわし、このシートベルトに取付けられているタングプレートを第2のシートベルトバックルに差し込んで連結する。これにより、車椅子に着座している乗員の腹部及び胸部にシートベルトを装着することが可能になる。
特開2010−132243号公報
上記のシートベルトバックル装置の場合、シートベルトバックルが車室内に常に露出した状態にある。このため、車椅子を搭載していないときにシートベルトバックルが邪魔になり、シートベルトバックル自体の傷付きや乗員のつまずきの要因に成り得る。また、シートベルトバックルをフロアパネルに連結するのにウェビングのような可撓性を有する素材からなる連結部材を使用すると、シートベルトバックルを支持することができず、利用者は一方の手でシートベルトバックルを支えながら他方の手でタングプレートを把持することになり両手による操作が必要になる。このため、シートベルトバックルとタングプレートを連結する操作に手間がかかる。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、シートベルトバックルの操作性に優れており車椅子を搭載していないときにシートベルトバックルが邪魔になるのを防ぐのに有効な車椅子用シートベルトバックル装置を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、
車椅子用のシートベルトに取付けられたタングプレートが連結されるシートベルトバックルと、
上記シートベルトバックルを車体に対して連結する連結部と、
を備え、
上記連結部は、上記車体のフロア面に設けられた凹部に格納された格納位置から上記凹部から突出した使用位置までの間の上記シートベルトバックルの移動を許容し、上記シートベルトバックルを上記使用位置で支持するように構成されている、車椅子用シートベルトバックル装置、
にある。
上記の車椅子用シートベルトバックル装置において、シートベルトバックルは、車椅子の乗員にシートベルトを装着するときに使用される。このシートベルトバックルは、車体のフロア面の凹部に格納された格納位置から凹部から突出した使用位置までの間で移動できるように、連結部によって車体に対して連結される。
乗員にシートベルトを装着するとき、利用者は、シートベルトバックルを格納位置から使用位置まで移動させる。このとき、シートベルトバックルが連結部によって支持されるため、シートベルトバックルを使用位置で容易に保持できる。また、使用位置にあるこのシートベルトバックルに、乗員に掛けまわしたシートベルトに取付けられているタングプレートを連結することができる。このように、利用者は、シートベルトバックル自体を支える操作を行うことなく、このシートベルトバックルにタングプレートを連結する操作を片手で行うことができるため操作性に優れている。
一方で、利用者は、車椅子が搭載されていないときには、シートベルトバックルを使用位置から格納位置まで移動させることによって、フロア面の凹部に格納することができる。このため、シートベルトバックルがフロア面に露出して邪魔になるのを防ぐことができる。
以上のごとく、上記の態様によれば、シートベルトバックルの操作性に優れており車椅子を搭載していないときにシートベルトバックルが邪魔になるのを防ぐのに有効な車椅子用シートベルトバックル装置を提供することができる。
実施形態1にかかる車体の車室内の平面図。 実施形態1の車椅子用シートベルトバックル装置を上方からみた平面図。 図1の車椅子用シートベルトバックル装置をシートベルトバックルが格納位置にあるときに側方からみた側面図。 図3においてシートベルトバックルが中間位置にあるときの側面図。 図3においてシートベルトバックルが使用位置にあるときの側面図。 実施形態2の車椅子用シートベルトバックル装置を上方からみた平面図。 図6の車椅子用シートベルトバックル装置をシートベルトバックルが格納位置にあるときに側方からみた側面図。 図7においてシートベルトバックルが中間位置にあるときの側面図。 図7においてシートベルトバックルが使用位置にあるときの側面図。 実施形態3の車椅子用シートベルトバックル装置を上方からみた平面図。 図10の車椅子用シートベルトバックル装置をシートベルトバックルが格納位置にあるときに側方からみた側面図。 図11においてシートベルトバックルが中間位置にあるときの側面図。 図11においてシートベルトバックルが使用位置にあるときの側面図。
上述の態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
上記の車椅子用シートベルトバックル装置において、上記連結部は、上記シートベルトバックルから延出するバックルステーと、上記車体に固定され上記バックルステーを回動可能に支持するブラケットと、を有し、上記バックルステーの回動によって上記シートベルトバックルが上記格納位置から上記使用位置までの間で移動するのが好ましい。
このシートベルトバックル装置によれば、シートベルトバックルから延出するバックルステーがブラケットに対して回動する動作を利用して、シートベルトバックルを格納位置から使用位置までの間で移動させることができる。
上記の車椅子用シートベルトバックル装置において、上記シートベルトバックルとして、腹部用シートベルトに取付けられた第1タングプレートが連結される第1シートベルトバックルと、胸部用シートベルトに取付けられた第2タングプレートが連結される第2シートベルトバックルと、が設けられており、上記第1シートベルトバックルと上記第2シートベルトバックルのいずれか一方の動きを他方の動きに連動させる連動機構部を備えるのが好ましい。
このシートベルトバックル装置によれば、連動機構部によって第1シートベルトバックルと第2シートベルトバックルのいずれか一方の動きを他方の動きに連動させることにより、一方のシートベルトバックルを移動させるワンアクションの操作のみで他方のシートベルトバックルを移動させることができ、シートベルト装着時の利用者の負担を低く抑えることができる。
上記の車椅子用シートベルトバックル装置は、上記第1シートベルトバックルと上記第2シートベルトバックルのそれぞれを被覆する2つのブーツを備え、上記連動機構部は、上記2つのブーツのうちの少なくとも一方に設けられた係合部を有し、上記第1シートベルトバックルと上記第2シートベルトバックルのいずれか一方が上記格納位置から上記使用位置までの間で移動するときにいずれか他方と上記係合部とを係合させて上記第1シートベルトバックルと上記第2シートベルトバックルを一体的に動かすように構成されているのが好ましい。
このシートベルトバックル装置によれば、シートベルトバックルを被覆するブーツの一部によって構成された係合部を利用することにより連動機構部の構造を簡素化することができる。
以下、車体に装着される車椅子用シートベルトバックル装置の具体的な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
この車椅子用シートベルトバックル装置の説明のための図面において、特に断りのない限り、前方を矢印FRで示し、上方を矢印UPで示し、右方を矢印RHで示し、左方を矢印LHで示している。また、前後方向を矢印Xで示し、左右方向を矢印Yで示し、上下方向を矢印Zで示している。これらの向きや方向は、車体における当該向きや方向と一致している。
(実施形態1)
図1及び図2に示されるように、車体1のフロア面2上には、2つの前席シート3,4と1つの後席シート5が配置されて固定されている。後席シート5の左方の配置スペース7は車椅子6を搭載するためのものである。
フロア面2のうち後席シート5と配置スペース7との間には、フロア面2が凹んでなる凹部2aが設けられている。この凹部2aは、実施形態1の車椅子用シートベルトバックル装置(以下、「シートベルトバックル装置」ともいう。)10を格納するための空間である。フロア面2を蓋部材11によって塞ぐことができる。このとき、蓋部材11はフロア面2に沿った平坦面を形成するのが好ましい。
シートベルトバックル装置10は、2つのシートベルトバックル20と、2つのシートベルトバックル20を車体1に対して連結する連結部30と、2つのシートベルトバックル20を連動させるための連動機構部40と、を備えている。
2つのシートベルトバックル20は、前後方向Xに並んで配置されている。2つのシートベルトバックル20のうちの前方側の第1シートベルトバックル20Aには、車椅子6に着座した乗員の腹部に掛けまわされるシートベルトに取付けられたタングプレート(後述の第1タングプレート9A)が連結される。これに対して、2つのシートベルトバックル20のうちの後方側の第2シートベルトバックル20Bには、車椅子6に着座した乗員の胸部に掛けまわされるシートベルトに取付けられたタングプレート(後述の第2タングプレート9B)が連結される。
このため、利用者は、配置スペース7に車椅子6を位置決めして固定した状態で、車椅子6の乗員にシートベルトを装着するときに、配置スペース7の後方からアクセスして2つのシートベルトバックル20を操作することができる。利用者として、典型的には、乗員が乗車している車椅子6を車体1の配置スペース7まで搬入する介護者が挙げられる。
図2及び図3に示されるように、第1シートベルトバックル20Aの一部は、ブーツ22によって被覆されている。同様に、第2シートベルトバックル20Bの一部は、ブーツ23によって被覆されている。2つのブーツ22,23はいずれも、傷付き防止のために樹脂材料からなるのが好ましい。
2つのシートベルトバックル20A,20Bのそれぞれには、対応するタングプレートが挿入される挿入穴20aと、このタングプレートとの係合解除操作のための操作ボタン20bと、が設けられている。
連結部30は、格納位置P1,Q1から使用位置(後述の使用位置P3,Q3)までの間の2つのシートベルトバックル20A,20Bのそれぞれの移動を許容し、且つ、2つのシートベルトバックル20A,20Bのそれぞれを使用位置で支持する機能を有する。この機能を達成するために、連結部30は、2つのシートベルトバックル20A,20Bのそれぞれから延出する2つのバックルステー31と、2つのバックルステー31のそれぞれを回動可能に支持する兼用のブラケット32と、を有する。
2つのバックルステー31はいずれも、左右方向Yを厚み方向として延びるプレート部材として構成されている。本構成によれば、2つのシートベルトバックル20A,20Bはいずれも、左右方向Yを厚み方向として配置される。
ブラケット32は、フロア面2の凹部2aに収容された状態で、固定ボルト32aによって車体1のフロアパネルに固定されている。これにより、2つのシートベルトバックル20A,20Bは、2つのバックルステー31及びブラケット32を介して車体1に対して連結されている。なお、必要に応じてブラケット32を2つに分割して、2つのバックルステー31のそれぞれに専用のブラケットを設けるようにしてもよい。
2つのバックルステー31とブラケット32はいずれも、2つのシートベルトバックル20A,20Bを支持できるように、2つのシートベルトバックル20A,20Bの自重で塑性変形しない強度を有する素材、典型的には金属材料によって構成されている。
2つのバックルステー31のうち第1シートベルトバックル20Aから延出している第1バックルステー31Aは、回動軸部33においてブラケット32に取付けられている。このため、本実施形態の連結部30では、第1バックルステー31Aが回動軸部33を中心に回動することによって、第1シートベルトバックル20Aは、フロア面2の凹部2aに格納された格納位置P1から使用位置までの間で移動できるようになっている。
2つのバックルステー31のうち第2シートベルトバックル20Bから延出している第2バックルステー31Bは、回動軸部34においてブラケット32に取付けられている。このため、本実施形態の連結部30では、第2バックルステー31Bが回動軸部34を中心に回動することによって、第2シートベルトバックル20Bは、フロア面2の凹部2aに格納された格納位置Q1から使用位置までの間で移動できるようになっている。
2つの回動軸部33,34はいずれも、ウェーブワッシャなどの摺動抵抗付与手段を介してブラケット32に取付けられたカシメ部材によって構成されるのが好ましい。本構成によれば、2つのシートベルトバックル20A,20Bのそれぞれに対して、その自重による回動を抑制できる程度の摺動抵抗を付与することができ、2つのシートベルトバックル20A,20Bのそれぞれを任意の回動位置で自立させることが可能になる。
また、2つの回動軸部33,34に摺動抵抗付与手段を設けない場合には、摺動抵抗付与手段に代えて、2つのシートベルトバックル20A,20Bのそれぞれを使用位置において係止可能なストッパーなどの係止手段を設けるのが好ましい。これにより、2つのシートベルトバックル20A,20Bのそれぞれを使用位置で係止手段によって係止して自立させることが可能になる。
連動機構部40は、第1シートベルトバックル20Aの動きを第2シートベルトバックル20Bの動きに連動させる機能を有する。この機能を達成するために、第1シートベルトバックル20A側のブーツ22に連動機構部40を構成する係合部24が設けられている。係合部24は、ブーツ22の一部をプレート状に延出させることによって形成されている。この係合部24は、第1シートベルトバックル20Aが格納位置P1にあるときに、格納位置Q1にある第2シートベルトバックル20Bの下方に対向配置され、上下方向Zについて第2シートベルトバックル20Bの一部と重なるように構成されている(図3参照)。
なお、係合部24に代わる要素として、ブーツ22或いは第1シートベルトバックル20Aに固定される別部材を採用することもできる。
詳細については後述するが、連動機構部40は、第1シートベルトバックル20Aの移動時に第2シートベルトバックル20Bと係合部24とを係合させて第1シートベルトバックル20Aと第2シートベルトバックル20Bを一体的に動かすように構成されている。
次に、図4及び図5を参照しながら、上記構成のシートベルトバックル装置10の動作について説明する。
図4に示されるように、利用者は、格納位置P1にある第1シートベルトバックル20Aに手をかけて後方へ引き上げる。これにより、第1シートベルトバックル20Aは、回動軸部33を中心に後方へ回動する。このとき、第1シートベルトバックル20A側の係合部24も回動軸部33を中心に後方へ回動するため、この係合部24が第2シートベルトバックル20Bに当接して係合し第1シートベルトバックル20Aと第2シートベルトバックル20Bを一体的に動かすように作用する。
第1シートベルトバックル20Aが、回動軸部33を中心に二点鎖線で示される格納位置P1から使用位置P3(図5参照)よりも手前の中間位置P2まで回動すると、係合部24によって付勢された第2シートベルトバックル20Bは、別の回動軸部34を中心に二点鎖線で示される格納位置Q1から使用位置Q3(図5参照)よりも手前の中間位置Q2まで回動する。このように、第2シートベルトバックル20Bは、係合部24を介して第1シートベルトバックル20Aに連動して動く。
なお、格納位置P1にある第1シートベルトバックル20Aの引き上げ操作をより円滑に行うために、第1シートベルトバックル20Aとブーツ22と第1バックルステー31Aの少なくとも1つに、利用者が手指で把持可能なベルト(図示省略)を設けるのが好ましい。これにより、利用者は、このベルトを把持して引っ張る操作を行うことで、第1シートベルトバックル20A自体を把持することなく、第1シートベルトバックル20Aを格納位置P1から引き上げることが可能になる。
図5に示されるように、第1シートベルトバックル20Aが、回動軸部33を中心に格納位置P1に対して90°を超える角度をなす使用位置P3まで回動することによって、係合部24によって付勢された第2シートベルトバックル20Bもこれに連動して、別の回動軸部34を中心に使用位置Q3に向けて回動する。その後、利用者が最終的に第2シートベルトバックル20Bを操作して回動位置を調整することによって、第2シートベルトバックル20Bを格納位置Q1に対して90°を超える角度をなす使用位置Q3に設定することができる。
このとき、第1シートベルトバックル20Aは、その使用位置P3において、連結部30を構成する第1バックルステー31Aによって下方から支持される。同様に、第2シートベルトバックル20Bは、その使用位置Q3において、連結部30を構成する第2バックルステー31Bによって下方から支持される。このため、第1シートベルトバックル20Aを使用位置P3で自立させ、また第2シートベルトバックル20Bを使用位置Q3で自立させることができる。これに対して、第1バックルステー31Aや第2シートベルトバックル20Bを車体1側に連結するのにウェビングのような可撓性を有する素材からなる連結部材を使用すると、第1シートベルトバックル20Aや第2シートベルトバックル20Bを支持することができない。
また、第1シートベルトバックル20Aを使用位置P3まで回動させることによって、第1シートベルトバックル20Aがその自重で格納位置P1に向けて動くのを防ぐことができる。同様に、第2シートベルトバックル20Bを使用位置Q3まで回動させることによって、第2シートベルトバックル20Bがその自重で格納位置Q1に向けて動くのを防ぐことができる。
そして、2つのシートベルトバックル20A,20Bのそれぞれに設けられている20aに、シートベルト8に取付けられたタングプレート9が挿入されることによって、シートベルト8を乗員に装着することができる。ここで、シートベルト8は、可撓性を有する長尺状のウェビングによって構成されている。また、タングプレート9は、プレート形状を有する金属製の部材として構成されている。
本実施形態では、使用位置P3に設定された第1シートベルトバックル20Aに、腹部用シートベルト8Aに取付けられた第1タングプレート9Aが連結される。また、使用位置Q3に設定された第2シートベルトバックル20Bに、胸部用シートベルト8Bに取付けられた第2タングプレート9Bが連結される。ここで、腹部用シートベルト8Aは、車椅子6の乗員の腹部に掛けまわされるシートベルト8であり、胸部用シートベルト8Bは、その乗員の胸部に掛けまわされるシートベルト8である。
ここで、第1シートベルトバックル20Aの使用位置P3は、その挿入穴20aが上向きで且つ真上よりも後方側に向けて開口する位置であるのが好ましい。これにより、利用者は車椅子6の後方から第1シートベルトバックル20Aの挿入穴20aに第1タングプレート9Aを片手で挿入することが可能になり、第1タングプレート9Aの連結操作がやり易くなる。同様に、第2シートベルトバックル20Bの使用位置Q3は、その挿入穴20aが上向きで且つ真上よりも後方側に向けて開口する位置であるのが好ましい。これにより、利用者は車椅子6の後方から第2シートベルトバックル20Bの挿入穴20aに第2タングプレート9Bを片手で挿入することが可能になり、第2タングプレート9Bの連結操作がやり易くなる。
特に図示しないものの、第1シートベルトバックル20A及び第2シートベルトバックル20Bをフロア面2の凹部2aに格納する場合には、第2シートベルトバックル20Bを格納位置Q1に向けて押し込む。このとき、第2シートベルトバックル20Bが第1シートベルトバックル20A側の係合部24に接触して係合することにより、第1シートベルトバックル20Aは、第2シートベルトバックル20Bを格納位置Q1まで回動させる動きに連動して格納位置P1まで回動する。
以下に、上述の実施形態1の作用効果について説明する。
シートベルトバックル装置10において、2つのシートベルトバックル20A,20Bは、車椅子6の乗員にシートベルト8を装着するときに使用される。2つのシートベルトバックル20A,20Bは、車体1のフロア面2の凹部2aに格納された格納位置P1,Q1から凹部2aから突出した使用位置P3,Q3までの間で移動できるように、連結部30によって車体1に対して連結されている。
乗員にシートベルト8を装着するとき、利用者は、2つのシートベルトバックル20A,20Bを格納位置P1,Q1から使用位置P3,Q3まで移動させる。このとき、2つのシートベルトバックル20A,20Bがいずれも連結部30によって支持されるため、シートベルトバックル20A,20Bのそれぞれを使用位置P3,Q3で容易に保持できる。また、使用位置P3,Q3にある2つのシートベルトバックル20A,20Bのそれぞれに、乗員に掛けまわしたシートベルト8に取付けられているタングプレート9を連結することができる。このように、利用者は、2つのシートベルトバックル20A,20B自体を支える操作を行うことなく、2つのシートベルトバックル20A,20Bのそれぞれにタングプレート9を連結する操作を片手で行うことができるため操作性に優れている。
一方で、利用者は、車椅子6が搭載されていないときには、2つのシートベルトバックル20A,20Bを使用位置P3,Q3から格納位置P1,Q1まで移動させることによって、フロア面2の凹部2aに格納することができる。このため、2つのシートベルトバックル20A,20Bがフロア面2に露出して邪魔になるのを防ぐことができる。
以上のごとく、上述の実施形態1によれば、2つのシートベルトバックル20A,20Bの操作性に優れており車椅子6を搭載していないときに2つのシートベルトバックル20A,20Bが邪魔になるのを防ぐのに有効なシートベルトバックル装置10を提供できる。
上記のシートベルトバックル装置10によれば、2つのシートベルトバックル20A,20Bのそれぞれからそれぞれが延出する2つのバックルステー31A,32Aがブラケット32に対して回動する動作を利用して、2つのシートベルトバックル20A,20Bを格納位置P1,Q1から使用位置P3,Q3までの間で移動させることができる。
上記のシートベルトバックル装置10によれば、連動機構部40によって第1シートベルトバックル20Aの動きを第2シートベルトバックル20Bの動きに連動させることにより、第1シートベルトバックル20Aを移動させるワンアクションの操作のみで第2シートベルトバックル20Bを移動させることができ、シートベルト装着時の利用者の負担を低く抑えることができる。
上記のシートベルトバックル装置10によれば、第1シートベルトバックル20Aを被覆するブーツ22の一部によって構成された係合部24を利用することにより連動機構部40の構造を簡素化することができる。
上述の実施形態1に特に関連する変更例では、ブーツ23の一部によって係合部24に相当する部位を構成し、第2シートベルトバックル20Bに連動して第1シートベルトバックル20Aが動くようにすることができる。また、係合部24に相当する部位を、2つのバックルステー31A,32Aの少なくとも一方に設けることができる。
上述の実施形態1に特に関連する変更例では、第1シートベルトバックル20Aと第2シートベルトバックル20Bを一体的に動かすための連動機構部40として、2つのバックルステー31A,32Aを複数のリンクで連結させた構造を採用することができる。
上述の実施形態1に特に関連する変更例では、第1シートベルトバックル20Aを格納位置P1から使用位置P3までの間で回動させる操作と、第2シートベルトバックル20Bを格納位置Q1から使用位置Q3までの間で回動させる操作の少なくとも一方を、バネ部材の弾性付勢力やモータ等のアクチュエータの駆動力を利用して行うようにすることができる。
次に、実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
(実施形態2)
図6及び図7に示されるように、実施形態2のシートベルトバックル装置110は、連結部130の構造についてのみ、実施形態1のシートベルトバックル装置10の連結部130のものと相違している。
連結部130は、2つのバックルステー31A,31Bが共通の回動軸部33においてブラケット32に取付けられるように構成されている。
その他の構成は、実施形態1と同様である。
図8に示されるように、第1シートベルトバックル20Aが、回動軸部33を中心に二点鎖線で示される格納位置P1から中間位置P2まで回動すると、係合部24によって付勢された第2シートベルトバックル20Bも、同一の回動軸部33を中心に二点鎖線で示される格納位置Q1から中間位置Q2まで回動する。
図9に示されるように、第1シートベルトバックル20Aが、回動軸部33を中心に格納位置P1に対して90°を超える角度をなす使用位置P3まで回動することによって、係合部24によって付勢された第2シートベルトバックル20Bもこれに連動して、同一の回動軸部33を中心に使用位置Q3まで回動する。
上述の実施形態2によれば、2つのシートベルトバックル20A,20Bが同一の回動軸部33を中心に回動する構造を採用することによって、実施形態1の場合に比べて部品点数を少なくできる。また、2つのシートベルトバックル20A,20Bの相対位置が回動時に変化しないため、シートベルトバックル20A側の係合部24がシートベルトバックル20Bの同一箇所に当接した状態を維持することができる。これにより、第1シートベルトバックル20Aを回動させる操作のみで、2つのシートベルトバックル20A,20Bを常時に同じ向きに配置することができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
(実施形態3)
図10及び図11に示されるように、実施形態3のシートベルトバックル装置210は、連結部230の構造及び連動機構部240の構造について、実施形態1のシートベルトバックル装置10のものと相違している。また、このシートベルトバックル装置210では、実施形態1のシートベルトバックル装置10におけるブーツ22,23が省略されている。
連結部230は、2つのバックルステー31がいずれも、上下方向Xを厚み方向として延びるプレート部材として構成されている。本構成によれば、2つのシートベルトバックル20A,20Bはいずれも、上下方向Zを厚み方向として配置される。また、連結部230は、第1シートベルトバックル20Aが第2シートベルトバックル20Bよりも前方且つ下方に配置され、第1シートベルトバックル20Aの後端部と第2シートベルトバックル20Bの前端部が上下方向Zについて重なって配置されるように構成されている。
連動機構部240は、第1シートベルトバックル20Aのうち格納位置P1における上面であるバックル接触面20cによって構成されている。第1シートベルトバックル20Aのバックル接触面20cは、第1シートベルトバックル20Aが格納位置P1にあるときに、格納位置Q1にある第2シートベルトバックル20Bの下方に対向配置され、上下方向Zについて第2シートベルトバックル20Bの一部と重なるように構成されている(図11参照)。
その他の構成は、実施形態1と同様である。
図12に示されるように、第1シートベルトバックル20Aが、回動軸部33を中心に二点鎖線で示される格納位置P1から中間位置P2まで回動すると、第1シートベルトバックル20Aのバックル接触面20cによって付勢された第2シートベルトバックル20Bは、別の回動軸部34を中心に二点鎖線で示される格納位置Q1から中間位置Q2まで回動する。
図13に示されるように、第1シートベルトバックル20Aが、回動軸部33を中心に格納位置P1に対して90°を超える角度をなす使用位置P3まで回動することによって、第2シートベルトバックル20Bもこれに連動して、別の回動軸部34を中心に使用位置Q3まで回動する。
特に図示しないものの、第1シートベルトバックル20A及び第2シートベルトバックル20Bをフロア面2の凹部2aに格納する場合には、第2シートベルトバックル20Bを格納位置Q1に向けて回動させる。このとき、第2シートベルトバックル20Bが第1シートベルトバックル20Aのバックル接触面20cに接触することにより、第1シートベルトバックル20Aは、第2シートベルトバックル20Bを格納位置Q1まで回動させる動きに連動して格納位置P1まで回動する。
上述の実施形態3によれば、2つのシートベルトバックル20A,20Bが同一の回動軸部33を中心に回動する構造を採用することによって、実施形態1の場合に比べて部品点数を少なくできる。また、2つのシートベルトバックル20A,20Bの相対位置が回動時に変化しないため、シートベルトバックル20A側の係合部24がシートベルトバックル20Bの同一箇所に当接した状態を維持することができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
上述の実施形態3に特に関連する変更例では、実施形態2の場合のように、2つのバックルステー31A,31Bが共通の回動軸部33においてブラケット32に取付けられる構造を採用することができる。
本発明は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変更が考えられる。例えば、上述の実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
上述の実施形態では、2つのシートベルトバックル20を格納位置P1,Q1と使用位置P3,Q3との間で回動させる構造について例示したが、これに代えて、2つのシートベルトバックル20を格納位置P1,Q1と使用位置P3,Q3との間で直線的にスライドさせる構造を採用することもできる。
上述の実施形態では、2つのシートベルトバックル20を設ける場合について例示したが、これに代えて、1つ或いは3つ以上のシートベルトバックル20を設ける構造を採用することもできる。
上述の実施形態では、2つのシートベルトバックル20を連動させる連動機構部40,240を設ける場合について例示したが、これに代えて、連動機構部40,240を省略することもできる。
1 車体
2 フロア面
2a 凹部
8 シートベルト
8A 腹部用シートベルト(シートベルト)
8B 胸部用シートベルト(シートベルト)
9 タングプレート
9A 第1タングプレート(タングプレート)
9B 第2タングプレート(タングプレート)
10,110,210 車椅子用シートベルトバックル装置
20 シートベルトバックル
20c バックル接触面(連動機構部)
20A 第1シートベルトバックル(シートベルトバックル)
20B 第2シートベルトバックル(シートベルトバックル)
22,23 ブーツ
24 係合部(連動機構部)
30,130,230 連結部
31 バックルステー
31A 第1バックルステー
31B 第2バックルステー
32 ブラケット
40,240 連動機構部
P1,Q1 格納位置
P3,Q3 使用位置

Claims (4)

  1. 車椅子用のシートベルトに取付けられたタングプレートが連結されるシートベルトバックルと、
    上記シートベルトバックルを車体に対して連結する連結部と、
    を備え、
    上記連結部は、上記車体のフロア面に設けられた凹部に格納された格納位置から上記凹部から突出した使用位置までの間の上記シートベルトバックルの移動を許容し、上記シートベルトバックルを上記使用位置で支持するように構成されている、車椅子用シートベルトバックル装置。
  2. 上記連結部は、上記シートベルトバックルから延出するバックルステーと、上記車体に固定され上記バックルステーを回動可能に支持するブラケットと、を有し、上記バックルステーの回動によって上記シートベルトバックルが上記格納位置から上記使用位置までの間で移動する、請求項1に記載の車椅子用シートベルトバックル装置。
  3. 上記シートベルトバックルとして、腹部用シートベルトに取付けられた第1タングプレートが連結される第1シートベルトバックルと、胸部用シートベルトに取付けられた第2タングプレートが連結される第2シートベルトバックルと、が設けられており、
    上記第1シートベルトバックルと上記第2シートベルトバックルのいずれか一方の動きを他方の動きに連動させる連動機構部を備える、請求項1または2に記載の車椅子用シートベルトバックル装置。
  4. 上記第1シートベルトバックルと上記第2シートベルトバックルのそれぞれを被覆する2つのブーツを備え、
    上記連動機構部は、上記2つのブーツのうちの少なくとも一方に設けられた係合部を有し、上記第1シートベルトバックルと上記第2シートベルトバックルのいずれか一方の移動時にいずれか他方と上記係合部とを係合させて上記第1シートベルトバックルと上記第2シートベルトバックルを一体的に動かすように構成されている、請求項3に記載の車椅子用シートベルトバックル装置。
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