JP3890518B2 - 自動車シートのインナバックル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車等の車両に装備される座席シートにおいてシートベルトを装着するために座席シートに取り付けられるインナバックルに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の車両の、特にリヤシートにおいて、シートベルトを装着するためのインナバックルが取り付けられる。リヤシートのインナバックルは通常、様々な体格もしくは体型の人が着座し、あるいはCRS装着時の自由度が高いことから所謂ウェビングタイプのものが採用されている。
【0003】
たとえばミニバンタイプの車両では、図6に示すように、リヤシート(セカンドシートまたはサードシートであってよい)においてこの例では横3列の座席を有する。各座席にはシートクッション1とこれに結合するシートバック2を備え、シートバック2にヘッドレスト3が付設される。そして、座席相互間には図示のようにシートベルトを装着するためのインナバックル100が設けられ、適宜シートベルトを着脱し得るようになっている。
【0004】
ここで、図7は従来のインナバックル100の構成例を示している。図において、バックル本体101はベルト102を介してアンカプレート103に連結されている。アンカプレート103はシートクッション1のサイドブラケット4に固着され、これによりインナバックル100がシートに取り付けられる。なお、インナバックル100の取付部には樹脂製のカバー5が設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のインナバックル100は図7に示されるように、シートクッション1の座面1aから張り出すほどの長さがあり、そのままでは着座した乗員の尻部に当たることがある。また、座面1aから長く延び出た状態では外観見栄えを損ない、見栄えをすっきりとするのが難しい。
また、シートをタンブルして格納する場合などには、インナバックル100がシートから脱落してしまうことがある。さらに、分割シートの場合にあってはインナバックル100が反対側のシートに巻き込まれてしまうことがある。
【0006】
一方、上述のような問題に対応すべく、図6に示したようにシートクッション1内に格納部104を設け、この格納部104にインナバックル100を格納する等の対策を講じる場合がある。あるいはまた、インナバックル100をゴムバンドで固定することで対応するが、これらの対応策には手間や費用がかからざるを得ない。
【0007】
本発明は以上の点に鑑み、使用性や取扱性等に優れ、見栄え等を有効に向上する自動車シートのインナバックルを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の自動車シートのインナバックルは、シートベルトを装着するために座席シートに取り付けられるインナバックルであって、シートクッションのサイドブラケットに回動可能に取り付けられ、シートクッションの座面から露出しないようにカバーで覆われることを特徴とする。
【0009】
本発明の自動車シートのインナバックルにおいて、好ましくは、バックル本体の上端部付近のかしめ部位にて前記サイドブラケットに直接取り付けられ、前記バックル本体が角度可変に構成される。
【0010】
本発明の自動車シートのインナバックルにおいて、前記かしめ部位にはバックルロックが設定されていてもよい。
【0011】
また、本発明の自動車シートのインナバックルにおいて、好ましくは、前記バックル本体にベースプレートが延設され、このベースプレートに回動動作をガイドするガイド孔が形成される。
【0012】
本発明によれば、インナバックルは、シートクッションのサイドブラケットに回動可能に取り付けられ、シートクッションの座面から露出しないようにカバーで覆われる。すなわちシートクッションのサイドブラケットを利用して、シート内に組み込まれる構造としたことで、外観見栄えは極めてすっきりしたものとなる。また、シートから張り出さないため他の部材等と干渉することがなく、邪魔にならず極めて使い易く、取扱性にも優れている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基き、従来例と実質的に同一または対応する部材には同一符号を用いて、本発明による自動車シートのインナバックルの好適な実施の形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態におけるインナバックル10の構成例を示している。本発明のインナバックル10は、シートクッション1のサイドブラケット4に対して、矢印Bで示すように回動可能に取り付けられ、シートクッション1の座面1aから露出しないように樹脂製のカバー5で覆われる。
【0014】
ここで、本発明の適用例として、図2に示すように、たとえばミニバンタイプの車両のリヤシート(セカンドシートまたはサードシートであってよい)に装備するものとする。この例では横3列の座席を有し、各座席にはシートクッション1とこれに結合するシートバック2を備え、シートバック2にヘッドレスト3が付設される。座席相互間にはシートベルト6を装着するためのインナバックル10が設けられ、適宜シートベルト6を着脱し得るようになっている。
【0015】
本発明のインナバックル10は、バックル本体11の上端部付近のかしめ部位12にてサイドブラケット4に直接取り付けられる。このかしめ部位12に回動可能に取り付けられることで、バックル本体11が角度可変になる。なお、かしめ部位12には、バックルロックが設定される。
【0016】
また、図3にも示されるようにバックル本体11に延設されたベースプレート13を有し、このベースプレート13に回動動作をガイドするガイド孔14が形成されている。ガイド孔14は円弧状に形成され、サイドブラケット4側に植設されたガイドピン15が係合する。ガイドピン15がガイド孔14の両端部に当接することで、バックル本体11の回動角度を規制するようにしている。
【0017】
バックル本体11は、シートベルト6のタングプレート7(装着用係合もしくはロック部材)を挿脱させるための挿入孔11aを有する。また、図3に示されるようにバックル本体11において、かしめ部位12を上端部付近に設けることにより、該かしめ部位12と挿入孔11aまたはガイドピン15までの長さa,bはa<bとなるように設定される。このようにかしめ部位12を設けることにより、バックル本体11が回動する際の首振り量を小さくし、したがってカバー5に開設される開口部5a(図1参照)を実質的に小さくすることができる。
【0018】
上記構成において、本発明によれば、インナバックル10は、シートクッション1のサイドブラケット4に回動可能に取り付けられ、シートクッション1の座面1aから露出しないようにカバー5で覆われる。まず、上述したようにバックル本体11が角度可変であるため、シートベルト6装着時の自由度を有効に確保することができ、適正機能を保証するとともに良好な使い易さを実現する。
【0019】
また、シートクッション1のサイドブラケット4を利用して、インナバックル10をシート内に組み込まれる構造としたことで、外観見栄えは極めてすっきりしたものとなる。また、この場合かしめ部位12をバックル本体11の上端部付近に設けることで、上述したようにカバー5の開口部5aを小さくし、この点でも外観見栄えを向上することができる。
【0020】
また、インナバックル10をシート内に組み込むことで、シートから張り出すことなく配置構成され、他の部材等と干渉することがない。したがって、たとえばシートをタンブルして格納する場合など、インナバックル10がシートから脱落する等の心配がなく、このように邪魔にならず極めて使い易く、取扱性にも優れている。
【0021】
さらに、上記構成においてインナバックル10を格納するために、従来のような特別な格納部を設ける必要がなく、あるいはインナバックル10を固定するためのゴムバンド等を使用しないで済む。このように構成が簡素化され、部品点数等を減らすことでコスト低減を図ることができる。
【0022】
(第2の実施形態)
つぎに、本発明のインナバックル10の第2の実施形態を説明する。この例では従来よりリヤシートに設定されている所謂自立式(鉄板タイプ)のものと組み合せて構成される。自立式の場合、図4に示されるようにシートクッション1の下側に配置され、第2の実施形態においてこの自立式のものに適用される。
【0023】
図5は、第2の実施形態の構成例を示している。自立式のものではシートクッション1の下側で、ベースもしくはブラケット16がボディ(フロア)にボルト等によって固定される。ベース16には支軸17を介して、鉄板製のアーム18が矢印Cで示すように回動可能に支持されている。インナバックル10は、アーム18の上端部に取り付けられる。
【0024】
第2の実施形態におけるインナバックル10の構成は、実質的に前記実施形態の場合と同様である。すなわち、バックル本体11に延設されたベースプレート13を有し、このベースプレート13に回動動作をガイドするガイド孔14が形成されている。ガイド孔14は円弧状に形成され、この例ではアーム18側に植設されたガイドピン15が係合する。
【0025】
第2の実施形態によれば、図4に示されるように外観見栄えは極めてすっきりするが、従来の自立式のものに比べて自由度は格段に向上している。すなわちバックル本体11が第1の実施形態と同様に角度可変であることに加えて、アーム18が回動することで自由度が飛躍的に向上する。さらに、第2の実施形態では自立式の利点である衝突時の拘束力を維持することができ、すなわちウェビングに対して伸びがなく長さを短くすることができ、シートベルトを的確かつ適正に乗員の腰に巻くことが可能になる。
【0026】
以上本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は実施形態にのみ限定されるものでなく、本発明の範囲内で適宜変更等が可能である。
たとえば、本発明は上記実施形態のようにミニバン等のリヤシートの場合に限らず、乗用車以外のその他の車両に対しても有効に適用可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、この種の外観見栄えを極めてすっきりさせるとともに、極めて使い易く取扱性にも優れている。また、比較的簡単な構成であるため有効にコスト低減を図ることができる等の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自動車シートのインナバックルの第1の実施形態における構成例を示す図である。
【図2】本発明によるインナバックルの第1の実施形態におけるリヤシートまわりを示す外観斜視図である。
【図3】本発明によるインナバックルの第1の実施形態における斜視図である。
【図4】本発明によるインナバックルの第2の実施形態におけるリヤシートまわりを示す外観斜視図である。
【図5】本発明による自動車シートのインナバックルの第2の実施形態における構成例を示す図である。
【図6】従来のインナバックルに係るリヤシートまわりを示す外観斜視図である。
【図7】従来のインナバックルの構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 シートクッション
1a 座面
2 シートバック
3 ヘッドレスト
4 サイドブラケット
5 カバー
6 シートベルト
10 インナバックル
11 バックル本体
11a 挿入孔
12 かしめ部位
13 ベースプレート
14 ガイド孔
15 ガイドピン
16 ベース(ブラケット)
17 支軸
18 アーム
Claims (4)
- シートベルトを装着するために座席シートに取り付けられるインナバックルであって、
シートクッションのサイドブラケットに回動可能に取り付けられ、該シートクッションの座面から露出しないようにカバーで覆われることを特徴とする自動車シートのインナバックル。 - バックル本体の上端部付近のかしめ部位にて前記サイドブラケットに直接取り付けられ、前記バックル本体が角度可変であることを特徴とする、請求項1に記載の自動車シートのインナバックル。
- 前記かしめ部位にバックルロックが設定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の自動車シートのインナバックル。
- 前記バックル本体にベースプレートが延設され、このベースプレートに回動動作をガイドするガイド孔が形成されたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の自動車シートのインナバックル。
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