JP2021122788A - 塗布装置及び塗布方法 - Google Patents

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暁雄 鈴木
諭 圓崎
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Abstract

【課題】高粘度の塗布液を用いる場合でも、均一厚さの塗布膜を形成することができる塗布装置及び塗布方法を提供する。【解決手段】基板を保持するステージ部と、一方向に延びるスリットを有し、このスリットから塗布液を供給する塗布器と、塗布器とステージ部とをスリットの延びる方向と直交する特定方向に相対的に移動させる移動制御手段と、を備え、スリットから塗布液を供給させつつ、ステージ部と塗布器とを相対的に複数回移動させることにより、基板上に単一膜を複数回積層させて塗布膜を形成する塗布装置であって、移動制御手段は、塗布器と基板とを相対的に通常に移動させる通常塗布モードと、塗布器と基板とを相対的に通常とは逆向きの反転に移動させる反転塗布モードを有しており、通常塗布モードで形成された単一膜と、反転塗布モードで形成された単一膜とが積層されることにより塗布膜が形成されるように構成する。【選択図】図2

Description

本発明は、塗布器とステージ部を相対的に複数回移動させて基板上に複数回積層させることにより塗布膜を形成する塗布装置及び塗布方法に関するものである。
従来より、基板上に均一厚さの塗布膜を精度よく形成するものとして、基板が保持されたステージ部と、スリットが形成された塗布器とを相対的に移動させつつ、スリットから塗布液を吐出させることにより、塗布膜を形成する塗布装置が用いられている。このような塗布装置は、スリットから吐出される塗布液の圧力を調節することにより塗布液が吐出され、スリットの長手方向に亘って塗布液が吐出された状態で、塗布器と基板とが相対的に移動することによって、基板上に矩形状の塗布膜が形成される。
近年では、その用途によって矩形以外の形状に塗布膜を形成したい要求があり、この要求を満たすために、いわゆるキャピラリー塗布装置が開発されている。このキャピラリー塗布装置は、塗布器の塗布液が大気圧よりも低圧に維持された状態でスリットから塗布液が供給されることにより、基板上に塗布膜が形成されるようになっている。例えば、図4では、円形基板W上に円形の塗布膜Cを形成する例を示しているが、円形基板Wの端部に液付けを行った状態から、塗布器100とステージ部101とを相対移動させると、液付け部分の塗布液の表面張力が塗布器100内の圧力に打ち勝つ状態で塗布器100の移動に伴い、基板Wに形成される塗布膜Cに必要な量の塗布液が塗布器100から引き出される。これにより、基板Wの形状に対応した塗布液が引き出され、余分な塗布液を引き出すことなく、基板Wの形状に応じた塗布膜C(図4では円形の塗布膜C)を形成することができる。
特開2015−091569号公報
近年では、形成される塗布膜Cから製品の多面取りを効率よく行うため、膜厚均一性が重要視されている。一方で、塗布膜Cを形成する塗布液は数千cPの高粘度液が用いられることが多くなり、膜厚均一性を維持することが困難になっている。具体的には、特にキャピラリー塗布装置では、塗布器100に接続される配管、スリット102等の圧損により塗布膜Cの塗布開始部Sの膜厚が薄くなり、塗布終了部Tでは、スリット102と基板Wとを連結するビードB分の塗布液が基板W側に着液することにより膜厚が厚くなるという現象が生じ、例えば、図5に示すような塗布膜Cが形成される。そして、高粘度液になるほどその傾向は顕著であった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、高粘度の塗布液を用いる場合でも、均一厚さの塗布膜を形成することができる塗布装置及び塗布方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために本発明の塗布装置は、基板を保持するステージ部と、一方向に延びるスリットを有し、このスリットから塗布液を供給する塗布器と、前記塗布器と前記ステージ部とを前記スリットの延びる方向と直交する特定方向に相対的に移動させる移動制御手段と、を備え、前記スリットから塗布液を供給させつつ、前記ステージ部と前記塗布器とを相対的に複数回移動させることにより、前記基板上に単一膜を複数回積層させて塗布膜を形成する塗布装置であって、前記移動制御手段は、前記塗布器と前記基板とを相対的に通常に移動させる通常塗布モードと、前記塗布器と前記基板とを相対的に通常とは逆向きの反転に移動させる反転塗布モードを有しており、前記通常塗布モードで形成された単一膜と、前記反転塗布モードで形成された単一膜とが積層されることにより塗布膜が形成されることを特徴としている。
また、上記課題を解決するために本発明の塗布方法は、基板を保持するステージ部と、一方向に延びるスリットを有し、このスリットから塗布液を供給する塗布器と、を備え、前記スリットから塗布液を供給させつつ、前記ステージ部と前記塗布器とを前記スリットの延びる方向と直交する特定方向に相対的に複数回移動させて塗布することにより、前記基板上に単一膜を複数回積層させて塗布膜を形成する塗布方法であって、前記塗布器と前記基板とを相対的に通常に移動させて塗布を行う通常塗布工程と、前記塗布器と前記基板とを相対的に通常とは逆向きに移動させて塗布を行う反転塗布工程と、を行うことにより、前記通常塗布工程で形成される単一膜と前記反転塗布工程で形成される単一膜とが積層されることにより塗布膜が形成されることを特徴としている。
上記塗布装置及び塗布方法によれば、通常塗布モード(通常塗布工程)と反転塗布モード(反転塗布工程)とを行って単一膜を積層させることにより、均一厚さの塗布膜を形成することができる。すなわち、通常塗布モードで単一膜を形成すると、塗布開始部で膜厚が薄く、塗布終了部で膜厚が薄い単一膜が形成される。そして、この通常塗布モードで形成した単一膜の上に、反転塗布モードで単一膜を形成すると、通常塗布モードと同様に、塗布開始部で膜厚が薄く、塗布終了部で膜厚が薄い単一膜が形成されるが、通常塗布モードと反転塗布モートでは、塗布開始部と塗布終了部が逆になるため、通常塗布モードの薄膜部分と反転塗布モードの厚膜部分、及び、通常塗布モードの厚膜部分と反転塗布モードの薄膜部分とが互いに相殺されることにより、形成される塗布膜の膜厚は、全体に亘ってほぼ均一にすることができる。これにより、高粘度の塗布液を用いる場合であっても、互いに厚膜部分と薄膜部分とが相殺されるため、均一厚さの塗布膜を形成することができる。
また、前記移動制御手段は、前記ステージ部に保持される基板の配置方向を逆向きに変更することにより、前記通常塗布モードと、前記反転塗布モードとが切り替えられる構成にしてもよい。すなわち、前記反転塗布工程は、前記通常塗布工程に対して、前記ステージ部に保持される基板の配置方向が逆向きに設定される構成にしてもよい。
この構成によれば、ステージ部の傾きが起因して膜厚均一性が害される場合であっても膜厚を均一にして形成することができる。すなわち、ステージ部の表面が加工精度が問題で傾斜している場合、あるいはステージ部の組み付け精度によりステージ部の表面が傾斜している場合には、ステージ部上の基板に対して均一な膜厚の塗布膜を形成しても、基板上には膜厚均一性の悪い塗布膜(単一膜)が形成される。ここで、スリット塗布の場合には、スリット102と基板Wとの距離(塗布ギャップGという。図6参照。)が大きい場合には、形成される塗布膜Cの膜厚が厚くなり、塗布ギャップGが小さい場合には、形成される膜厚が薄くなる傾向がある。そのため、ステージ部101が傾斜している場合には、塗布開始部Sで調節された塗布ギャップGが、塗布動作と共に変化するため、形成される膜厚が変化する。特にキャピラリー塗布であって、粘度の高い塗布液を用いる場合には、その傾向が大きくなり、例えば、図6(a)に示すように、塗布開始部Sで塗布ギャップGが小さく、塗布終了部Tで塗布ギャップGが大きくなると、塗布開始部Sで膜厚が薄く、塗布終了部Tで膜厚の厚い塗布膜C(単一膜C)が形成される。そして、形成された単一膜C上にさらに単一膜Cを形成すると、塗布ギャップGの大きい部分(図6(a)では右側部分)では膜厚が厚く、塗布ギャップGの小さい部分(図6(a)では左側部分)では膜厚が薄く形成され(図6(b))、最終的にステージ部101から基板Wを取り外した状態では、塗布開始部Sと、塗布終了部Tにおける膜厚の差が大きくなってしまうという問題が生じる(図6(c))。そこで、ステージ部に配置される基板の配置方向を通常塗布モード(通常塗布工程)、反転塗布モード(反転塗布工程)でステージ部に対して逆に設定することにより、基板の傾斜方向が逆になるため、厚膜部分と薄膜部分とが相殺され、均一厚さの塗布膜を形成することができる。
また、前記塗布器内の塗布液は、大気圧よりも低圧に維持されている構成にしてもよい。
この構成によれば、高粘度で用いられるキャピラリー塗布装置で特に有用である。
本発明によれば、高粘度の塗布液を用いる場合でも、均一厚さの塗布膜を形成することができる。
本発明の一実施形態における塗布装置を概略的に示す図である。 上記塗布装置で基板上に塗布膜を形成した状態を示す図であり、(a)は通常塗布モードで単一膜を形成した図であり、(b)は反転塗布モードで単一膜を形成した図であり、(c)は通常塗布モードで形成された単一膜上に反転塗布モードで単一膜を形成し、それぞれの単一膜が合成された状態を示す図である。 傾斜したステージ部に載置された基板上に塗布膜が形成された状態を示す図であり、(a)は通常塗布モードで単一膜を形成した図であり、(b)は(a)出形成された単一膜上に反転塗布モードで単一膜を形成した図であり、(c)は(b)により形成された塗布膜を有する基板がステージ部から取り外された状態を示す図である。 従来の塗布装置で円形基板上に塗布膜を形成する状態を示す図であり、(a)は上方から見た図、(b)は側方から見た図である。 従来のキャピラリー塗布装置で形成された塗布膜(単一膜)を示す図である。 従来の塗布装置で傾斜したステージ部に載置された基板上に塗布膜が形成された状態を示す図であり、(a)は単一膜を形成した図であり、(b)は(a)で形成された単一膜上にさらに単一膜を形成した図であり、(c)は(b)により形成された塗布膜を有する基板がステージ部から取り外された状態を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の塗布装置を概略的に示す図である。
図1に示すように、塗布装置は、基板W上に薬液やレジスト液等の液状物(以下、塗布液と称す)の塗布膜を形成するものであり、基板Wを載置するためのステージ部2と、このステージ部2に対し特定方向に移動可能に構成される塗布ユニット3とを備えている。
なお、以下の説明では、塗布ユニット3が移動する方向をX軸方向、これと水平面上で直交する方向をY軸方向、X軸およびY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向として説明を進めることとする。
ステージ部2は、ロボットハンド等により搬入された基板Wを載置するものである。このステージ部2には、基板保持手段(不図示)が設けられており、この基板保持手段により基板Wが保持されるようになっている。具体的には、ステージ部2の表面に形成された複数の吸引孔が形成されており、この吸引孔に吸引力を発生させることにより基板Wをステージ部2の表面に吸着させて保持できるようになっている。本実施形態では、円形の基板Wが保持されるようになっている。
また、塗布ユニット3は、基板W上に塗布液を吐出して塗布膜を形成するものである。この塗布ユニット3は、図1に示すように、塗布液を吐出する塗布器30と、この塗布器30を保持するガントリ部35とを有しており、X軸方向に移動可能に形成されている。すなわち、塗布ユニット3を移動させる駆動ユニットが設けられており、この駆動ユニットを制御することにより、後述する塗布ユニット3のスリット31と直交するX軸方向にガントリ部35を移動させることができるようになっている。具体的には、駆動ユニットは、ステージ部2のY軸方向端部に設けられるX軸方向に延びるレールと、脚部35aに取り付けられたガントリ部35を駆動させるリニアモータとで形成されており、ガントリ部35がレールにスライド自在に取り付けられている。そして、後述する制御装置4により、このリニアモータが駆動制御されることにより、塗布ユニット3がX軸方向に移動し、任意の位置で停止することができる。本実施形態では、塗布ユニット3が塗布を開始する塗布開始位置Sから塗布終了位置Tを含むX軸方向領域を移動し、任意の位置で停止できるように設定されている。すなわち、本実施形態では、駆動ユニット、及び、制御装置4により、移動制御手段が構成されている。
また、ガントリ部35には、塗布器30を昇降させる昇降機構が設けられている。具体的には、昇降機構を作動させることにより、塗布器30が基板Wに対して接離できるようになっている。これにより、塗布動作中には、ステージ部2上の基板Wに対して適切な高さ位置に位置することができる。
また、塗布器30は、塗布液を吐出して基板W上に塗布膜を形成するものである。この塗布器30は、一方向に延びる形状を有する柱状部材であり、塗布ユニット3の走行方向(X軸方向)とほぼ直交するように設けられている。この塗布器30は、基板Wと対向する基板対向面32と、基板Wに対して所定角度を有する傾斜側面33とを有しており、基板対向面32にスリット31が形成されている。具体的には、基板対向面32は、基板Wに対向しY軸方向に延びる平坦面に形成されており、この平坦面のX軸方向端部から連続して傾斜側面33が所定角度で形成されている。すなわち、塗布器30は、傾斜側面33、基板対向面32と連続するように基板Wに向かって先細りの形状に形成されている。
また、基板対向面32には、僅かな隙間で形成されるスリット31がY軸方向に延びるように形成されている。そして、塗布器30に塗布液が供給されると、塗布液がスリット31を通じて長手方向(Y軸方向)に亘って一様に吐出されるようになっている。
具体的には、塗布器30には、塗布液を一時的に貯留するマニホールド36が形成されており、このマニホールド36には、塗布液を供給する供給機構5が接続されている。供給機構5は、本実施形態では、図1に示すように、塗布液を貯留するタンク51と、タンク51とマニホールド36とを接続する配管52と、タンク51の圧力を調節する圧力調節部53とで形成されている。この圧力調節部53は、真空ポンプ及びレギュレータで形成されており、タンク51の塗布液が大気圧よりも所定の低圧になるように調節されている。すなわち、マニホールド36内の塗布液も大気圧よりも所定の低圧に調節され、圧力調節部53により、塗布器30のマニホールド36内が所定の低圧に維持されるように調節されるようになっている。これにより、塗布開始前のスリット31から塗布液が吐出されることはなく、スリット31内に塗布液を保持した状態を維持することができるようになっている。
そして、スリット31から僅かに塗布液を吐出させて基板Wに接触させることにより液付けを行った後、移動制御手段により塗布器30を移動させると、スリット31から塗布液が引き出されることにより基板W上に塗布膜Cが形成される。すなわち、液付けを行うことにより、スリット31と基板Wとの間に形成されるビードB(液溜まり部)が形成され、この状態で塗布器30を移動させると、スリット31と基板Wとで形成される隙間における毛細管現象(表面張力)によって塗布液がスリット31から順次引き出される(キャピラリー塗布)。そして、塗布器30を移動し続けることにより塗布液が引き出されると、供給機構5のタンク51からマニホールド36を介して塗布液が供給され、常に基板W上に供給された量の塗布液が供給される。これにより、基板Wの形状に応じた塗布膜Cが形成されるようになっている。
また、塗布装置には、制御装置4が設けられており、予め記憶されたプログラムに従って一連の塗布動作を実行すべく、各種モータ、ポンプ、レギュレータ等が駆動制御されることにより、塗布器30、ステージ部2、圧力調節部53が制御され、いわゆるキャピラリー塗布が実行できるようになっている。
また、制御装置4には、いくつかの塗布モードが設定されており、例えば、本実施形態では、通常塗布モードと反転塗布モードが設定されている。この通常塗布モードは、ガントリ部35が特定方向において特定の一方向(本実施形態ではX軸方向)に移動しつつ塗布動作を行って単一膜C1を形成するモードであり、反転塗布モードは、通常塗布モードで形成された単一膜C1の塗布終了位置Tから塗布開始位置Sに向かってガントリ部35が移動しつつ塗布動作を行って単一膜C2を形成するモードである。この通常塗布モードと反転塗布モードで単一膜を積層させて塗布膜Cを形成することにより、膜厚が均一な塗布膜Cを形成することができる。ここで、単一膜C1、C2は、塗布膜Cを構成する積層膜であり、塗布器30がX軸方向(主走査方向)に走行して1回の塗布動作で形成される膜を単一膜と呼ぶ。本実施形態では、通常塗布モードで形成される単一膜C1と、反転塗布モードで形成される単一膜C2によって最終的な塗布膜Cが形成される場合について説明しているが、2層に限定するわけではなく、塗布膜Cは、2層よりも多数の複数層で形成されるものであってもよい。
通常塗布モードは、塗布開始位置Sと塗布終了位置Tが予め設定されており、塗布開始位置Sから塗布終了位置Tに塗布器30を移動させて塗布を行う塗布動作モードである。具体的には、塗布膜Cを形成するために、基板Wの端部に設定される塗布開始位置Sに塗布器30を移動させ、その位置で液付け動作が行われる。すなわち、圧力調節部53を調整することによりスリット31から僅かに塗布液を吐出させて基板Wに接触させ、スリット31と基板Wとの間にビードBを形成させる。そして、圧力調節部53を大気圧よりも低い所定圧力に調整し、移動制御手段により塗布器30を特定方向に移動させることにより、塗布液がスリット31から引き出され、基板W上に塗布液が配置される。そして、塗布器30が塗布終了部に位置すると、ビードBを切断する液切り動作が行われることにより、基板W上に単一膜C1が形成される。この基板W上に形成される単一膜C1は、図2(a)に示すように、流路配管52等の圧損の影響により塗布開始部で薄く形成され、塗布終了部でビードB分の塗布液が着液することで厚く形成される(通常塗布工程)。
反転塗布モードは、通常塗布モードと同様に、塗布開始位置Sと塗布終了位置Tが予め設定されており、塗布開始位置Sから塗布終了位置Tに塗布器30を移動させて塗布を行う塗布動作モードである。そして、反転塗布モードでの塗布開始位置Sは、通常塗布モードにおける塗布完了位置に設定され、反転塗布モードの塗布完了位置は、通常塗布モードにおける塗布開始位置Sに設定されている。この反転塗布モードでは、通常塗布モードと同様にして単一膜C2が形成されると、図2(b)に示すように、通常塗布モードで形成される単一膜C1の形状と対称となるように形成される。すなわち、通常塗布モードで形成される薄膜部及び厚膜部は、反転塗布モードでは厚膜部及び薄膜部として形成される(反転塗布工程)。
そして、通常塗布モードで形成される単一膜C1と反転塗布モードで形成される単一膜C2とが積層されると、膜厚が均一な塗布膜Cが形成される(図2(c))。すなわち、通常塗布モードで形成される薄膜部、厚膜部は、反転塗布モードではそれぞれ対称位置に形成されるため、通常塗布モードで形成された単一膜C1上に反転塗布モードで単一膜C2を形成すると、厚膜部と薄膜部が互いに相殺されることにより、基板W全体に亘って均一厚さの塗布膜Cが形成される。すなわち、通常塗布モードで単一膜C1を形成すると、塗布開始部で膜厚が薄く、塗布終了部で膜厚が薄い単一膜C1が形成される。そして、この通常塗布モードで形成した単一膜C1の上に、反転塗布モードで単一膜C2を形成すると、通常塗布モードと同様に、塗布開始部で膜厚が薄く、塗布終了部で膜厚が薄い単一膜C1が形成されるが、通常塗布モードと反転塗布モートでは、塗布開始部と塗布終了部が逆になるため、通常塗布モードの薄膜部分と反転塗布モードの厚膜部分、及び、通常塗布モードの厚膜部分と反転塗布モードの薄膜部分とが互いに相殺されることにより、形成される塗布膜Cの膜厚は、全体に亘ってほぼ均一にすることができる。これにより、高粘度の塗布液を用いる場合であっても、互いに厚膜部分と薄膜部分とが相殺されるため、均一厚さの塗布膜Cを形成することができる。
また、この通常塗布モードで塗布を行う通常塗布工程と、反転塗布モードで塗布を行う反転塗布工程とを複数回行って複数積層させて塗布膜Cを行うことにより、さらに均一厚さの塗布膜Cを形成することができる。すなわち、複数に亘って積層させて形成される塗布膜Cは、その単一膜C1、C2が薄く形成される。そのため、積層数が増加するにしたがって、塗布開始部で薄く形成される薄膜部と、塗布終了部で厚く形成される厚膜部の影響が小さくなり、単一膜C1、C2自体の膜厚も均一になる。したがって、通常塗布工程と反転塗布工程を複数回行って積層数を増加させるほど、基板W上に形成される塗布膜Cの均一性を向上させることができる。
また、上記実施形態では、反転塗布モードは、予め反転塗布モードでの塗布開始位置Sは、通常塗布モードにおける塗布終了位置Tに設定され、反転塗布モードの塗布終了位置Tは、通常塗布モードにおける塗布開始位置Sに設定されているが、ステージ部2上に配置される基板Wの配置方向を反転させることにより反転塗布モードが行われるものであってもよい。
すなわち、反転塗布モードでは、通常塗布モードにおいてステージ部2に対して基板Wの位置関係が逆になるように(反転するように)基板Wの配置方向を変更し、通常塗布モードと共通の塗布開始位置Sから塗布終了位置Tに向かって塗布動作が行われる。具体的には、図3に示すように、通常塗布モードでは、基板Wの位置Aから位置Bに向かって塗布動作が行われ、単一膜C1が形成される。そして、ロボットハンドなどで基板Wがステージ部2から離され、基板Wを反転させた状態で再度基板Wがステージ部2に載置される。そして、再度、位置Aから位置Bに向かって塗布動作が行われることにより単一膜C2が形成される。この場合であっても、通常塗布モードで単一膜C1が形成された後、反転塗布モードで塗布を行う場合、基板Wの配置方向が反転されているため、通常塗布モードにより厚膜部、薄膜部が形成された部分には、反転塗布モードで薄膜部、厚膜部がそれぞれ形成される。その結果、通常塗布モードと反転塗布モードで厚膜部と薄膜部が互いに相殺されることにより、基板W全体に亘って均一厚さの塗布膜Cを形成することができる。
また、上記実施形態では、キャピラリー塗布装置を用いる場合について説明を行ったが、キャピラリー塗布装置以外に通常のスリット31塗布装置に用いるものであってもよい。
また、上記実施形態では、塗布器30がステージ部2上を移動する場合について説明したが、塗布器30が固定され、この塗布器30に対してステージ部2が特定方向に移動するものであってもよい。すなわち、塗布器30とステージ部2とが特定方向に相対的に移動するように移動制御手段が構成されていればよい。
また、上記実施形態では、基板が円形の場合について説明したが、矩形であってもよく、さらに、1枚の基板に複数の塗布膜を形成するものであってもよい。
2 ステージ部
3 塗布ユニット
5 供給機構
30 塗布器
31 スリット
C 塗布膜
C1、C2 単一膜
W 基板
S 塗布開始位置
T 塗布終了位置

Claims (5)

  1. 基板を保持するステージ部と、
    一方向に延びるスリットを有し、このスリットから塗布液を供給する塗布器と、
    前記塗布器と前記ステージ部とを前記スリットの延びる方向と直交する特定方向に相対的に移動させる移動制御手段と、
    を備え、前記スリットから塗布液を供給させつつ、前記ステージ部と前記塗布器とを相対的に複数回移動させることにより、前記基板上に単一膜を複数回積層させて塗布膜を形成する塗布装置であって、
    前記移動制御手段は、前記塗布器と前記基板とを相対的に通常に移動させる通常塗布モードと、前記塗布器と前記基板とを相対的に通常とは逆向きの反転に移動させる反転塗布モードを有しており、前記通常塗布モードで形成された単一膜と、前記反転塗布モードで形成された単一膜とが積層されることにより塗布膜が形成されることを特徴とする塗布装置。
  2. 前記移動制御手段は、前記ステージ部に保持される基板の配置方向を逆向きに変更することにより、前記通常塗布モードと、前記反転塗布モードとが切り替えられることを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
  3. 前記塗布器内の塗布液は、大気圧よりも低圧に維持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布装置。
  4. 基板を保持するステージ部と、
    一方向に延びるスリットを有し、このスリットから塗布液を供給する塗布器と、
    を備え、前記スリットから塗布液を供給させつつ、前記ステージ部と前記塗布器とを前記スリットの延びる方向と直交する特定方向に相対的に複数回移動させて塗布することにより、前記基板上に単一膜を複数回積層させて塗布膜を形成する塗布方法であって、
    前記塗布器と前記基板とを相対的に通常に移動させて塗布を行う通常塗布工程と、
    前記塗布器と前記基板とを相対的に通常とは逆向きに移動させて塗布を行う反転塗布工程と、
    を行うことにより、前記通常塗布工程で形成される単一膜と前記反転塗布工程で形成される単一膜とが積層されることにより塗布膜が形成されることを特徴とする塗布方法。
  5. 前記反転塗布工程は、前記通常塗布工程に対して、前記ステージ部に保持される基板の配置方向が逆向きに設定されることを特徴とする請求項4に記載の塗布方法。
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