JP2021119331A - 局所臭気探索装置及び局所臭気の探索方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]患部から発生した臭気の原因となる原因ガスを含みその患部近傍に存在する気体からなる局所臭気から当該原因ガスを検出するための局所臭気探索装置であって、
前記局所臭気を吸引する吸気ノズルと、4L/min以下の気体吸引量で前記気体を吸引可能な吸引部と、を有する局所臭気探索装置である。
局所臭気の獲得には適切な吸引量の設定が重要であるところ、4L/min以下の気体吸引量で患部近傍に存在する気体を吸引可能な吸引部を備えるため、局所臭気を好適に捉えることができる。そのため、臭気の発生部位を見極め易い。なお「L/min」は、1分間当たりのリットルに換算した気体量(気体流量)を示す。
吸気ノズルの直径を1〜10mmとしたため、臭気発生部位の大きさに合わせた局所臭気を取得できる気体取得要求範囲内の気体を網羅して取得することができる。したがって、局所臭気以外の気体の取得を抑えることができる。
[3]前記吸気ノズルがディスポーサブルである局所臭気探索装置とすることができる。
吸気ノズルをディスポーサブルとしたため、衛生的、機能的な取り扱いが可能となる。
[4]前記吸気ノズルよりも柔らかい素材で形成され先端には切り欠きを有するガイドキャップを有する局所臭気探索装置とすることができる。
吸気ノズルよりも柔らかい素材で形成され先端には切り欠きを有するガイドキャップを設けたため、その柔らかさから、患部想定部位に当たった場合における患者の違和感を減らし、患者の負担を少なくすることができる。また、ガイドキャップを患部想定部位に当てつつ、切り欠きから気体を吸引させることができるため、局所臭気探索装置を患部想定部位から所定距離に保つものさしの役割を持たせながら、唾液等の液体の吸引を抑制することができる。
前記吸気ノズルから吸引した局所臭気中の原因ガスを検知可能な臭気センサを有するため、この臭気センサで臭気の原因となる原因ガスを検知することができる。
[6]前記吸気ノズルから吸引した局所臭気中の原因ガスを前記局所臭気の吸収から2〜3秒で検知可能な臭気センサを有する局所臭気探索装置とすることができる。
吸気ノズルから吸引した局所臭気中の原因ガスを前記局所臭気の吸収から2〜3秒で検知可能な臭気センサを有するため、少ない時間で臭気を検知できることから患者の負担を少なくし、また吸引した気体に臭気が含まれるか否かを直ぐに判定できることから、一つの患部想定部位から別の患部想定部位に移動して気体を取得する流れ作業が容易になる。
[7]ガス取得部と本体部とから構成され、前記ガス取得部には吸気ノズルを有し、前記本体部には吸引部を有し、前記吸気ノズルは、前記本体部に直接接続しており、前記本体部が把持可能な筐体で覆われており携行可能である局所臭気探索装置とすることができる。
吸気ノズルは本体部に直接接続したものとしたため装置をコンパクトなものとでき、本体部が把持可能な筐体で覆われて携行可能であるため、操作がし易い局所臭気探索装置とすることができる。
前記吸引部の単位時間当たりの吸引量、前記臭気センサによる検知時間、及び前記臭気センサで検定する気体量の制御を行う制御部を設けたため、コンパクトな装置の中にこれらの機能を備えることができる。そのため、操作者の手元で局所臭気の取得から検知までの操作を行うことが可能となる。
[9]遠隔のコンピュータやスマートフォン、ICデバイス等の外部デバイスで検出結果を表示可能なデータ送信部をさらに有する局所臭気探索装置とすることができる。
遠隔のコンピュータやスマートフォン、ICデバイス等の外部デバイスで検出結果を表示可能なデータ送信部を設けたため、局所臭気探索装置で得られた各種データをその装置外に送信することができ、各種データの2次利用に便利である。
把持可能な筐体を有し、当該筐体にオンオフスイッチを設けたため、患者に向き合って患部想定部位からの局所臭気の取得を操作者の手元で簡単に行うことができる。
[11]上記何れかの局所臭気探索装置における前記吸気ノズルの先端を、歯牙や歯肉、舌表面等の患部想定部位から2〜10mm離して前記局所臭気を吸引する局所臭気の探索方法とすることができる。
上記何れかの局所臭気探索装置における前記吸気ノズルの先端を、歯牙や歯肉、舌表面等の患部想定部位から2〜10mm離して前記局所臭気を吸引する局所臭気の探索方法では、患部から発生した臭気の原因ガスを含む局所臭気を好適に取得することができ、それ以外の気体の取得を抑えることができる。
また、本発明の局所臭気探索装置及び局所臭気の探索方法によれば、局所臭気からの臭気の検知に基づいて、局所細菌叢や口腔疾患、さらには全身疾患の有無等の検出が期待できる。
第1実施形態としての局所臭気探索装置10aを、図1の概略斜視図及び図2のブロック図で示す。局所臭気探索装置10aは、吸気ノズル11として機能するプローブ11と、必要によりガイドキャップ12とを有するガス取得部Aと、センサ部14である臭気センサ14と、吸引部15として機能する吸引ポンプ15と、臭気センサ14の検出結果を電気的に出力する制御部16と、そして必要により検出結果、検出条件等を表示する表示部17とを有する本体部Bを備えてなる。
この局所臭気探索装置10aは、患部近傍にプローブ11を近づけ吸引ポンプ15から吸引することでプローブ11の先端近傍に存在する局所的な気体を選択的に吸引し、その局所的な気体に存在する疾患の原因物質を臭気センサ14で検知するものである。
それに対して本発明では、例えば口臭を検知する場面についてみると、口腔内全体の気体から臭気を検知するのではなく、特定部位近傍の気体を採取することを特徴とする。口臭の原因が歯周病であれば、歯周病を患った歯牙の歯周組織が臭気発生部位となるから、その部位近傍の気体(局所臭気)を検査して臭気を検知できれば、歯周病であること、及び歯周病を患った歯牙を特定できる。1本の歯牙の幅は5〜10mm程度であり、2本の歯牙に挟まれた部分を中心に歯周疾患が起こり易いことに鑑みると、この歯周病由来の臭気を獲得するためには、2本の歯牙の間を中心にして歯牙と歯肉の境界に沿った5〜10mmの幅を含む範囲を、局所臭気の存在する範囲(気体取得要求範囲)として、その範囲内の気体を採取することで所期の目的が達成できると考えられる。
図4には、好適に採用できる円形開口がそれぞれ1mm、2mm、3mm、4mmとなる一例のプローブ11a,11b,11c,11dについて示した。こうしたプローブ11は、合成樹脂、合成ゴム、金属等で形成でき、衛生的観点からディスポーサブルであることが好ましい。
但し、イオウ分子含有ガスの検出は一例であり、臭気の原因となる気体を検出する各種センサを用いることができる。
局所臭気探索装置10aでは、操作者がプローブ11を操作する把持部Cを、本体部Bと一体に設けてコンパクトでモバイルな装置としていたが、把持部Cと臭気センサ14のある本体部Bとを別体とし、その両者間をシリコーンチューブなどのホース(配管)13でつなぐ構成とすることができる。こうした構成とした局所臭気探索装置10bを図9のブロック図で示す。
臭気センサ14への液体又は湿気の混入が問題となる場合には、湿気除去装置を設けることが好ましい。例えば外気温よりも低くなる金属等の素材から構成される結露部のような構成を、例えばホース13の途中やプローブ11内に設けることが挙げられる。吸引された湿気は、結露部で結露させ、ドレンキャッチに結露を導くことで臭気センサ14や吸引ポンプ15への液体の流通を阻害できる。こうした金属を用いた結露による除湿以外でも、除湿皮膜を用いたり、ペルチェ素子等で気体を高温・低温にして除湿したりすることも可能である。
センサ部14に用いるセンサによっては、必要に応じて洗浄装置を設けることができる。例えば吸着型のセンサを用いる場合には、吸着物を取り除く洗浄装置等が例示できる。局所臭気探索装置では短時間で局所臭気を検知するため、それまで測定した局所臭気とは異なる局所から吸引された別の気体を瞬時に計測する必要があるからである。
唾液や歯肉溝液等の液体からも疾病から生じる成分を含むため、変形形態1で採取された液体を分析できるセンサを含む構成とすることができる。これにより、ガスだけでなく液体からも疾病の有無を判断できる装置として構成することができる。
さらに別の実施形態としての局所臭気探索装置10cを、図10の概略斜視図に示す。局所臭気探索装置10cは、吸気ノズルとして機能するプローブ11を有するガス取得部Aと、吸引部15として機能する吸引ポンプ15と局所臭気収容部15aを有する本体部Bを備えてなる。
この局所臭気探索装置10cは、患部近傍にプローブ11を近づけ吸引ポンプ15で吸引し筐体19内の局所臭気収容部15aに吸引した局所臭気を保持することができるものである。この保持した局所臭気は、別途臭気センサで臭気成分を検知することができる。プローブ11の形状や口径、吸引ポンプ15の吸引量等は他の実施形態で説明したものと同じである。局所臭気探索装置10cによれば、局所臭気を好適に取得することができ、そうした局所臭気から別途設けた臭気センサで臭気成分を検知することができる。
実験例1:
プローブ11から吸引される気体の状態を観察する実験を次のようにして行った。ドライアイスを使って白煙を発生させ白煙層を形成し、この白煙の表面を患部表面に見立てた。そして、白煙の表面から所定距離離してプローブ11を置き、プローブ11から白煙を吸引したときの白煙の変化する形状を、顕微ビデオカメラを用いて撮影した。そして、その画像を画像解析装置で解析した。
実験例2では、実験例1と同様にプローブ11の先端からの気体の吸引量を変化させたときの白煙の形状変化を観察したが、実験例1で直径1mmの円形の先端開口を持つプローブ11を使用したのに代えて、直径3mmの円形の先端開口を持つプローブ11を使用した。そして、0.3L/min、0.5L/min、0.7L/minに吸引量を変化させて、プローブ11の先端から4mm離れた位置に存在する白煙を吸引した。
吸引された形状を観察すると、何れの吸引量の場合もほぼ同様な山形状を示すことがわかった。吸引量が0.3L/minの場合に撮影した写真を図11に、0.5L/minの場合を図12に、0.7L/minの場合を図13にそれぞれ示した。
実験例3では、プローブ11の先端開口の大きさを変化させたときの白煙の形状変化を観察した。より具体的には、プローブ11の先端開口の大きさが、直径1mm、直径2mm、直径3mm、直径4mmとなる図4で示すような4種類のプローブ11を準備した。そして、0.3L/minの吸引ガス量を設定し、プローブ11の先端から4mm離れた位置の白煙を吸引した。
写真からも明らかなように、吸引によって生じた白煙は、プローブ11の開口の大きさによって、その開口付近の大きさが異なり、また、底面の大きさが異なるが、その形状はほとんど同じであった。
局所臭気探索装置による局所臭気の検知の可否を調べる実験を行った。
臭気センサ14にはイオウ分子ガスセンサ、プローブ11には円形開口の直径が2mmの硬質プラスチック製プローブを用いた図1で示すような局所臭気探索装置10aを製造した。
そうした一方で、石膏で作製した下顎の歯形模型について、左側の第2小臼歯と第1大臼歯の間で歯牙と歯肉の境界部分、及び同じく左側の第1大臼歯と第2大臼歯の間で歯牙と歯肉の境界部分をそれぞれ患部として、イオウ分子含有成分を含有させたPVAゲルと、イオウ分子含有成分を含有させないPVAゲルをそれぞれの患部に塗り込んだ。そして、それぞれの患部に対して、プローブが4mm離れる位置から、0.4L/minのガス吸引量で吸引し、臭気センサ14でイオウ分子含有成分の検出を試みた。
なお、2〜3秒で検出のピーク値が認められることから、こうした半導体式のガス吸着型のセンサを用いた場合には局所臭気の吸収から5秒以内で検知することができ、1〜4秒で検知することが好ましく、2〜3秒で検知することがより好ましい。
上記実験例の結果に鑑みて、さらに実験を進め、プローブ11の開口の大きさ、吸引量、患部想定部位とプローブ11先端の距離(以下単に「距離」)のそれぞれの値を変化させて上記実験に倣った実験を行った。
その結果、プローブ11先端の開口については、直径1mmの円形よりも小さな直径0.8mmの円形とすると、吸引量を4L/minを超える吸引量としても適当な大きさの気体取得要求範囲を得ることができず、吸引量を0.1L/minを下回る吸引量とするとほとんど吸引できず、要求される局所臭気を好適に取得できなかった。また、直径10mmの円形よりも大きな直径10.2mmの円形とすると、吸引量を4L/minを超える吸引量とすると適当な大きさの気体取得要求範囲よりも広範囲の気体を取得することになり、吸引量を0.1L/minを下回る吸引量とすると距離を2mmより近づけてもほとんど気体を吸引できなかった。
さらに、距離については、2mmよりも短くすると、プローブ11の口径の大きさや吸引量にかかわらず液体を吸引する可能性が高まりすぎ、10mmを超える長さとすると、プローブ11の口径の大きさにかかわらず、吸引量が少ないときには患部により近い部分の広がりが十分でなく、吸引量が多いときには適当な大きさの気体取得要求範囲よりも広範囲の気体を取得することになり好ましい結果とはならなかった。
以上より、プローブ11の開口の大きさは直径1〜10mmの円面積相当分の開口とし、吸引量は4L/min以下とし、患部とプローブ11先端の距離は2〜10mmとすることが好ましいことがわかった。
例えば、第2実施形態で説明した各種センサはコンパクトなものであれば第1実施形態で説明したセンサに代えて用いることもできる。
あるいはまた、プローブ11をガイドキャップ12のような柔らかな材質から形成し、又はプローブ11の先端を、ガイドキャップ12に設けたような形状とする等を行うことで、プローブ11にガイドキャップの機能を持たせることもできる。
さらに、局所臭気探索装置10の使用に関し、上記実施形態では口腔内における局所臭気の探索に基づいて説明したが、口腔内の患部に起因する臭気以外の臭気の探索のため、口腔内以外でも用いることができる。
A ガス取得部
B 本体部
C 把持部
R 山形状の範囲(気体取得要求範囲)
11,11a,11b,11c,11d 吸気ノズル(プローブ)
12,12a,12b ガイドキャップ
13 ホース(配管)
14 センサ部(臭気センサ)
15 吸引部(吸引ポンプ)
15a 局所臭気収容部
16 制御部
17 表示部
18 外部表示部
19 筐体
51 天面(上面)
52 患者
53 底面
54a,54b 側面
Claims (11)
- 患部から発生した臭気の原因となる原因ガスを含みその患部近傍に存在する気体からなる局所臭気から当該原因ガスを検出するための局所臭気探索装置であって、
前記局所臭気を吸引する吸気ノズルと、4L/min以下の気体吸引量で前記気体を吸引可能な吸引部と、を有する局所臭気探索装置。 - 前記吸気ノズルは、直径が1〜10mmの円面積相当分の開口を有する請求項1記載の局所臭気探索装置。
- 前記吸気ノズルがディスポーサブルである請求項1又は請求項2記載の局所臭気探索装置。
- 前記吸気ノズルよりも柔らかい素材で形成され先端には切り欠きを有するガイドキャップを有する請求項1〜請求項3何れか1項記載の局所臭気探索装置。
- 前記吸気ノズルから吸引した局所臭気中の原因ガスを検知可能な臭気センサを有する請求項1〜請求項4何れか1項記載の局所臭気探索装置。
- 前記吸気ノズルから吸引した局所臭気中の原因ガスを前記局所臭気の吸収から2〜3秒で検知可能な臭気センサを有する請求項1〜請求項5何れか1項記載の局所臭気探索装置。
- ガス取得部と本体部とから構成され、
前記ガス取得部には吸気ノズルを有し、
前記本体部には吸引部を有し、
前記吸気ノズルは、前記本体部に直接接続しており、
前記本体部が把持可能な筐体で覆われており携行可能である請求項1〜請求項6何れか1項記載の局所臭気探索装置。 - ガス取得部と本体部とから構成され、
前記ガス取得部には、吸気ノズルとガイドキャップとを有し、
前記本体部には、臭気センサであるセンサ部と吸引部と制御部とを有し、
前記制御部は、前記吸引部の単位時間当たりの吸引量、前記臭気センサによる検知時間、及び前記臭気センサで検定する気体量の制御を行い、
前記吸気ノズルは、前記本体部に直接接続しており、
前記本体部が把持可能な筐体で覆われており携行可能である請求項1〜請求項7何れか1項記載の局所臭気探索装置。 - 遠隔のコンピュータやスマートフォン、ICデバイス等の外部デバイスで検出結果を表示可能なデータ送信部をさらに有する請求項1〜請求項8何れか1項記載の局所臭気探索装置。
- 把持可能な筐体を有し、当該筐体にオンオフスイッチを設けた請求項1〜請求項9何れか1項記載の局所臭気探索装置。
- 請求項1〜請求項10何れか1項記載の局所臭気探索装置における前記吸気ノズルの先端を、歯牙や歯肉、舌表面等の患部想定部位から2〜10mm離して前記局所臭気を吸引する局所臭気の探索方法。
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