JP2021118671A - ロータ、ロータの製造方法及び回転電機 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、特許文献1に記載の技術にあっては、繊維強化プラスチック管をロータコアの外周部に配置するのみに留まる。このため、上記の課題に対して、ロータコアに作用する遠心力の影響を十分に低減できないおそれがあった。また、リブの厚みを薄くすることに限界があり、十分なトルクが得られないおそれがあった。
また、従来技術と比較してリブを薄くすることができるので、永久磁石からの磁束漏れを低減し、トルク密度を増加させることができる。
したがって、従来技術と比較してリブを薄くしても遠心力に耐えることができるとともに、トルクを向上したロータを提供できる。
また、例えば複数の永久磁石を設ける場合であって、各永久磁石の角部と対応する位置に設けられたリブの厚みが互いに異なる場合がある。この場合、積極的に圧縮応力を付与したい部分にのみ凸部を設けることができる。よって、周方向において任意の部分に必要な大きさの圧縮応力を付与できる。また、リブの厚みや永久磁石の大きさ等、ロータの設計自由度を向上できる。
凹部は、磁石挿入孔の端部と対応する位置において径方向の内側に向かって凹んでいる。これにより、凹部を有しない場合と比較して、磁石挿入孔の円弧長さが短くなるので、磁石挿入孔に挿入された永久磁石の端部と磁石挿入孔の端部との空隙の体積が小さくできる。よって、永久磁石をロータコアに固定するために磁石挿入孔内に充填される樹脂の量を削減できる。したがって、ロータコアの冷却効果を高めつつ加工コストを削減できる。
また、従来技術と比較してリブを薄くすることができるので、永久磁石からの磁束漏れを低減し、トルク密度を増加させることができる。
したがって、リブの厚みを低減しても遠心力に耐えることができるとともに、リブの厚みを低減することによりトルク効率を向上したロータの製造方法を提供できる。
(回転電機)
図1は、第1実施形態に係る回転電機1の断面図である。
回転電機1は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車等の車両に搭載される走行用モータである。但し、本発明の構成は、走行用モータに限らず、発電用モータやその他用途のモータ、車両用以外の回転電機1(発電機を含む)としても適用可能である。
回転電機1は、ケース2と、ステータ3と、シャフト4と、ロータ5と、を備える。
ケース2は、ステータ3、シャフト4及びロータ5を収容している。ケース2の内部には、不図示の冷媒が収容されている。上述したステータ3、シャフト4及びロータ5は、ケース2の内部において、一部が冷媒に浸漬された状態で配置されている。なお、冷媒としては、トランスミッションの潤滑や動力伝達等に用いられる作動油である、ATF(Automatic Transmission Fluid)等が好適に用いられている。
以下の説明では、シャフト4の回転軸である軸線Cに沿う方向を単に軸方向といい、軸線Cに直交する方向を径方向といい、軸線C周りの方向を周方向という場合がある。
ステータ3は、ケース2の内壁面に固定されている。ステータ3は、環状に形成されている。ステータ3は、ステータコア11と、コイル12と、を有する。
ステータコア11は、複数の鋼板を軸方向に積層して形成される積層コアである。ステータコア11は、軸線Cを中心とする環状に形成されている。ステータコア11の外周部は、ケース2の内壁面に固定されている。ステータコア11は、ステータコア11の内周部から径方向内側に向かって突出する不図示のティースを有する。ティースは周方向に複数設けられている。各ティース間はスロット(不図示)とされている。
シャフト4は、軸線Cを中心とする筒状に形成されている。シャフト4は、ケース2に取り付けられた軸受15を介してケース2に対して回転可能に支持されている。シャフト4は、軸線C回りに回転する。
ロータ5は、シャフト4の外周面に固定されている。ロータ5は、環状に形成されている。ロータ5は、ステータ3に対して径方向の内側に、間隔をあけて配置されている。ロータ5は、軸線C回りにシャフト4と一体で回転可能に構成されている。ロータ5は、ロータコア6と、永久磁石7と、円環部材8と、を有する。
図1及び図2に示すように、ロータコア6は、軸線Cを中心とする環状に形成されている。ロータコア6は、磁石挿入孔21と、エンドリブ22(図3参照)と、シャフト挿通孔23と、貫通孔24と、を有する。
第一磁石挿入孔31は、ロータコア6を軸方向に貫通している。第一磁石挿入孔31は、軸方向から見て、ロータコア6の外周面6aより径方向の外側に円弧中心を有する円弧状に形成されている。第一磁石挿入孔31は、軸方向から見て、ロータコア6のd軸を跨いで連続する円弧状に形成されている。図3に示すように、第一磁石挿入孔31の両端部35は、ロータコア6の外周部に位置している。具体的に、第一磁石挿入孔31の両端部35は、ロータコア6の外周面6aより径方向の内側に位置している。第一磁石挿入孔31は、周方向において等間隔に複数(本実施形態では8個)設けられている。
第一エンドリブ41は、第一磁石挿入孔31の端部35と、ロータコア6の外周面6aと、の間に設けられている。第一エンドリブ41は、1個の第一磁石挿入孔31における両端部35に対応して一対設けられている。第一エンドリブ41は、ロータコア6のうち、第一磁石挿入孔31より径方向の内側に位置する部分と、第一磁石挿入孔31より径方向の外側に位置する部分と、を接続している。
図3のコンター図に示すように、このように形成された各エンドリブ41,42,43には、後述する円環部材8が装着されることにより、径方向に沿う圧縮応力が作用している。
なお、第三エンドリブ43の傾斜角度は、図3等に図示した傾斜角度に限定されない。第三エンドリブ43は、ロータコアのd軸とのなす角度が小さいほど望ましい。
図4の横軸は、ロータコア6のエンドリブ22に作用する平均応力σ1を表す。ロータコア6のエンドリブ22に径方向の外側を向く引張応力が作用した場合、平均応力σ1は正の値となる。ロータコア6のエンドリブ22に径方向の内側を向く圧縮応力が作用した場合、平均応力σ1は負の値となる。図4の縦軸は、ロータ5が回転した際にロータコア6のエンドリブ22に作用する応力振幅σ2の大きさを表している。図4の折れ線Lは、各平均応力σ1の値に対してロータコア6のエンドリブ22が疲労破壊する応力振幅σ2の値をプロットした降伏限界を示している。つまり、折れ線Lより外側の領域は、ロータコア6のエンドリブ22が疲労破壊する領域(以下、破断エリアという場合がある。)となっている。
このとき、ロータコア6のエンドリブ22には、円環部材8による圧縮応力と、遠心力等による引張応力と、が作用している。これにより、ロータコア6のエンドリブ22に作用する平均応力σ1は、従来技術と比較して小さくなる。よって、応力振幅σ2が作用した場合であっても、ロータコア6におけるエンドリブ22の疲労限度が破断エリアに達しない。つまり、本実施形態において、ロータコア6は、ロータ5回転時の遠心力等に耐え得る構造となっている。
次に、上述したロータ5の製造方法について説明する。
ロータ5の製造方法は、磁石挿入工程と、円環部材配置工程と、を有する。
磁石挿入工程では、ロータコア6の各磁石挿入孔21に永久磁石7をそれぞれ挿入する。
次に、上述のロータ5、ロータ5の製造方法及び回転電機1の作用、効果について説明する。
本実施形態のロータ5によれば、円環部材8は、ロータコア6に対して圧縮応力を付与した状態でロータコア6の外周部に固定される。これにより、ロータコア6のうち、永久磁石7と円環部材8との間に位置するエンドリブ22に径方向内側を向く円環部材8からの初期圧縮応力が作用する(図3参照)。図3のコンター図に示すように、このとき、各エンドリブ41,42,43には、同等の大きさの初期圧縮応力が作用している。これにより、ロータコア6のエンドリブ41,42,43には、ロータコア6の他の部分と比較して大きな圧縮応力が作用している。
また、従来技術と比較してエンドリブ22を薄くすることができるので、永久磁石7からの磁束漏れを低減し、トルク密度を増加させることができる。
したがって、従来技術と比較してエンドリブ22を薄くしても遠心力に耐えることができるとともに、トルクを向上したロータ5を提供できる。
凹部25は、磁石挿入孔21の端部と対応する位置において径方向の内側に向かって凹んでいる。これにより、凹部25を有しない場合と比較して、磁石挿入孔21の円弧長さが短くなるので、磁石挿入孔21に挿入された永久磁石7の端部と磁石挿入孔21の端部との空隙の体積が小さくできる。よって、永久磁石7をロータコア6に固定するために磁石挿入孔21内に充填される樹脂材料51の量を削減できる。したがって、ロータコア6の冷却効果を高めつつ加工コストを削減できる。
また、従来技術と比較してエンドリブ22を薄くすることができるので、永久磁石7からの磁束漏れを低減し、トルク密度を増加させることができる。
したがって、エンドリブ22の厚みを低減しても遠心力に耐えることができるとともに、エンドリブ22の厚みを低減することによりトルク効率を向上したロータ5の製造方法を提供できる。
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。図5は、第2実施形態に係るロータコア6の部分正面図である。図6は、図5のVI部拡大図である。以下の説明において、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態では、ロータコア6の外周部に凸部206が設けられる点において上述した実施形態と相違している。
また、例えば複数の永久磁石7を設ける場合であって、各永久磁石7の角部250と対応する位置に設けられたエンドリブ22の厚みが互いに異なる場合がある。この場合、積極的に圧縮応力を付与したい部分にのみ凸部206を設けることができる。よって、周方向において任意の部分に必要な大きさの圧縮応力を付与できる。また、エンドリブ22の厚みや永久磁石7の大きさ等、ロータ5の設計自由度を向上できる。
次に、本発明に係る第3実施形態について説明する。図7は、第3実施形態に係るロータコア6の部分正面図である。以下の説明において、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態では、V字磁石を用いた点において上述した実施形態と相違している。
ロータコア6の外周部のうち、永久磁石307の角部350に対応する位置(すなわち、エンドリブ22と対応する位置)には、凸部206が設けられている。凸部206は、ロータコア6の外周部から径方向の外側に向かって突出している。ロータコア6の外周部に円環部材8(図2参照)が配置されることにより、凸部206が設けられたエンドリブ22には、凸部206が設けられていない他の部分と比較して大きな圧縮応力が作用する。
なお、本実施形態において、凸部206は設けられていなくてもよい。
次に、本発明に係る第4実施形態について説明する。図8は、第4実施形態に係るロータ5の部分正面図である。図8では、円環部材8の図示を省略している。以下の説明において、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態では、ロータコア6に連通部470が設けられる点において上述した実施形態と相違している。
本実施形態のロータ5の製造方法は、樹脂充填工程と、連通部形成工程と、を有する。
樹脂充填工程では、磁石挿入孔21の永久磁石7とロータコア6との空隙に樹脂材料51を充填する。このとき、樹脂材料51は、磁石挿入孔21のうち、永久磁石7の径方向の外側を向く面とロータコア6との空隙、及び永久磁石7の端部とロータコア6との空隙に充填される。
連通部形成工程では、樹脂充填工程で充填された樹脂材料51が硬化した後、ロータコア6のうち磁石挿入孔21の端部と対応する位置に連通部470を形成する。具体的に、連通部形成工程では、例えばワイヤカット等の機械加工によりロータコア6を除去することにより、連通部470を形成する。
第1実施形態では、ロータコア6は、円弧状に連なった磁石挿入孔21を有する構成について説明したが、これに限らない。例えば第3実施形態で示すように、ロータコア6は、センターリブ340を挟んで周方向に並ぶ一対の磁石挿入孔21を有してもよい。
磁石挿入孔21の径方向に並ぶ個数及び周方向に並ぶ個数は、上述した実施形態に限定されない。
円環部材8によりロータコア6に圧縮応力を付与する方法としては、例えば熱間圧入や冷間圧入でもよい。また、円環部材8が合成繊維材料により形成される場合、ロータコア6の外周部に合成繊維を直接巻回するダイレクトワインディングにより圧縮応力を付与してもよい。
3 ステータ
5 ロータ
6 ロータコア
7 永久磁石
8 円環部材
21,321 磁石挿入孔
25 凹部
206 凸部
250,350 角部
470 連通部
Claims (9)
- 複数の磁石挿入孔を有する環状のロータコアと、
前記ロータコアの前記磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、
前記ロータコアの径方向の外側から前記ロータコアを覆う円環部材と、
を備え、
前記円環部材は、前記ロータコアに対して前記径方向に圧縮応力を付与した状態で前記ロータコアの外周部に固定されることを特徴とするロータ。 - 前記圧縮応力は、前記ロータコアの疲労限度線図に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載のロータ。
- 前記円環部材は、前記ロータコアに圧入されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロータ。
- 前記ロータコアは、前記外周部から前記径方向の外側に向かって突出する凸部を有し、
前記凸部は、前記ロータコアに挿入された前記永久磁石の角部と対応する位置に設けられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のロータ。 - 前記磁石挿入孔は、前記ロータコアの軸方向から見て、前記ロータコアの外周面より前記径方向の外側に円弧中心を有し、前記ロータコアの外周部に位置する前記磁石挿入孔の一端から他端まで前記ロータコアのd軸を跨いで連続する円弧状に形成されており、
前記ロータコアは、前記磁石挿入孔の端部と対応する位置において、前記磁石挿入孔と前記ロータコアの外周面とを接続する連通部を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のロータ。 - 前記磁石挿入孔は、前記ロータコアの軸方向から見て、前記ロータコアの外周面より前記径方向の外側に円弧中心を有し、前記ロータコアの外周部に位置する前記磁石挿入孔の一端から他端まで前記ロータコアのd軸を跨いで連続する円弧状に形成されており、
前記磁石挿入孔は、前記径方向に並んで複数設けられ、
前記ロータコアは、複数の前記磁石挿入孔のうち前記径方向の最も内側に位置する前記磁石挿入孔の端部と対応する位置において、前記径方向の内側に向かって凹むとともに前記軸方向に沿って延びる凹部を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のロータ。 - 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のロータの製造方法であって、
前記ロータコアの前記磁石挿入孔に前記永久磁石を挿入する磁石挿入工程と、
前記ロータコアに対して前記径方向に前記圧縮応力を付与した状態で、前記ロータコアの前記外周部に前記円環部材を配置する円環部材配置工程と、
を有することを特徴とするロータの製造方法。 - 請求項5に記載のロータの製造方法であって、
前記磁石挿入孔の前記永久磁石と前記ロータコアとの空隙に樹脂を充填する樹脂充填工程と、
前記樹脂が硬化した後、前記ロータコアのうち前記磁石挿入孔の端部と対応する位置に前記連通部を形成する連通部形成工程と、
を有することを特徴とするロータの製造方法。 - 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のロータと、
前記ロータに対して前記径方向の外側に隙間をあけて配置されるステータと、
を備えることを特徴とする回転電機。
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