JP2021118671A - ロータ、ロータの製造方法及び回転電機 - Google Patents

ロータ、ロータの製造方法及び回転電機 Download PDF

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Abstract

【課題】従来技術と比較してリブを薄くしても遠心力に耐えることができるとともに、トルクを向上したロータ、このロータの製造方法及びこのロータを用いた回転電機を提供する。【解決手段】ロータ5は、複数の磁石挿入孔21を有する環状のロータコア6と、ロータコア6の磁石挿入孔21に挿入される永久磁石7と、ロータコア6の径方向の外側からロータコア6を覆う円環部材8と、を備え、円環部材8は、ロータコア6に対して径方向に圧縮応力を付与した状態でロータコア6の外周部に固定される。この圧縮応力は、ロータコア6の疲労限度線図に基づいて設定される。【選択図】図3

Description

本発明は、ロータ、ロータの製造方法及び回転電機に関するものである。
従来、永久磁石が内部に埋設されたロータコアを有する磁石埋込型回転電機(いわゆるIPMモータ。IPM:Interior Permanent Magnet)の構成が知られている。磁石埋込型回転電機に用いられるロータでは、ロータ回転時の遠心力に対するロータの強度を向上する技術が種々提案されている。
例えば特許文献1には、永久磁石が内部に埋め込まれたロータコアを有する回転電機において、繊維強化プラスチック管がロータコアに外挿されて固定されている構成が開示されている。繊維強化プラスチック管を構成する繊維は格子状に配置され、周方向の繊維密度よりも軸方向の繊維密度の方が大きくされている。特許文献1に記載の技術によれば、軸方向に延在する繊維と周方向に延在する繊維との間に樹脂を介在させることにより、軸方向に延在する繊維と周方向に延在する繊維との間で絶縁性を確保し、渦電流を発生させるループを形成しないようにする。よって、ロータの強度を高めつつ、ロータで発生する渦電流損失を抑制することができるとされている。
特許第6220328号公報
ところで、一般に磁石埋込型回転電機では、ロータコアのうち、永久磁石の外周側に位置し、ロータ回転時に永久磁石の遠心力を受ける部分(リブ)において大きな応力が作用する。このため、遠心力に対するロータコアの強度を高めるためには、リブを厚くするのが望ましい、一方、リブを厚くすると、永久磁石の漏れ磁束が増加し、トルクが減少する。このため、ロータの強度とトルクとはトレードオフの関係にあり、例えば回転時の遠心力でリブが破断しない程度に十分なリブの厚みを確保した場合は、所望のトルクが得られないという課題があった。
ここで、特許文献1に記載の技術にあっては、繊維強化プラスチック管をロータコアの外周部に配置するのみに留まる。このため、上記の課題に対して、ロータコアに作用する遠心力の影響を十分に低減できないおそれがあった。また、リブの厚みを薄くすることに限界があり、十分なトルクが得られないおそれがあった。
そこで、本発明は、従来技術と比較してリブを薄くしても遠心力に耐えることができるとともに、トルクを向上したロータ、このロータの製造方法及びこのロータを用いた回転電機を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明に係るロータ(例えば、第1実施形態におけるロータ5)は、複数の磁石挿入孔(例えば、第1実施形態における磁石挿入孔21)を有する環状のロータコア(例えば、第1実施形態におけるロータコア6)と、前記ロータコアの前記磁石挿入孔に挿入される永久磁石(例えば、第1実施形態における永久磁石7)と、前記ロータコアの径方向の外側から前記ロータコアを覆う円環部材(例えば、第1実施形態における円環部材8)と、を備え、前記円環部材は、前記ロータコアに対して前記径方向に圧縮応力を付与した状態で前記ロータコアの外周部に固定されることを特徴としている。
また、請求項2に記載の発明に係るロータは、前記圧縮応力は、前記ロータコアの疲労限度線図に基づいて設定されることを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明に係るロータは、前記円環部材は、前記ロータコアに圧入されていることを特徴としている。
また、請求項4に記載の発明に係るロータは、前記ロータコアは、前記外周部から前記径方向の外側に向かって突出する凸部(例えば、第2実施形態における凸部206)を有し、前記凸部は、前記ロータコアに挿入された前記永久磁石の角部(例えば、第2実施形態における角部250)と対応する位置に設けられることを特徴としている。
また、請求項5に記載の発明に係るロータは、前記磁石挿入孔は、前記ロータコアの軸方向から見て、前記ロータコアの外周面より前記径方向の外側に円弧中心を有し、前記ロータコアの外周部に位置する前記磁石挿入孔の一端から他端まで前記ロータコアのd軸を跨いで連続する円弧状に形成されており、前記ロータコアは、前記磁石挿入孔の端部と対応する位置において、前記磁石挿入孔と前記ロータコアの外周面とを接続する連通部(例えば、第4実施形態における連通部470)を有することを特徴としている。
また、請求項6に記載の発明に係るロータは、前記磁石挿入孔は、前記ロータコアの軸方向から見て、前記ロータコアの外周面より前記径方向の外側に円弧中心を有し、前記ロータコアの外周部に位置する前記磁石挿入孔の一端から他端まで前記ロータコアのd軸を跨いで連続する円弧状に形成されており、前記磁石挿入孔は、前記径方向に並んで複数設けられ、前記ロータコアは、複数の前記磁石挿入孔のうち前記径方向の最も内側に位置する前記磁石挿入孔の端部と対応する位置において、前記径方向の内側に向かって凹むとともに前記軸方向に沿って延びる凹部(例えば、第1実施形態における凹部25)を有することを特徴としている。
また、請求項7に記載の発明に係るロータの製造方法は、上述のロータの製造方法であって、前記ロータコアの前記磁石挿入孔に前記永久磁石を挿入する磁石挿入工程と、前記ロータコアに対して前記径方向に前記圧縮応力を付与した状態で、前記ロータコアの前記外周部に前記円環部材を配置する円環部材配置工程と、を有することを特徴としている。
また、請求項8に記載の発明に係るロータの製造方法は、上述のロータの製造方法であって、前記磁石挿入孔の前記永久磁石と前記ロータコアとの空隙に樹脂を充填する樹脂充填工程と、前記樹脂が硬化した後、前記ロータコアのうち前記磁石挿入孔の端部と対応する位置に前記連通部を形成する連通部形成工程と、を有することを特徴としている。
また、請求項9に記載の発明に係る回転電機(例えば、第1実施形態における回転電機1)は、上述のロータと、前記ロータに対して前記径方向の外側に隙間をあけて配置されるステータ(例えば、第1実施形態におけるステータ3)と、を備えることを特徴としている。
本発明の請求項1に記載のロータによれば、円環部材は、ロータコアに対して圧縮応力を付与した状態でロータコアの外周部に固定される。これにより、ロータコアのうち、永久磁石と円環部材との間に位置するリブに径方向内側を向く円環部材からの初期圧縮応力が作用する。ロータが回転すると、ロータコアのリブには、円環部材からの初期圧縮応力と、永久磁石及びロータコアの遠心力と、が作用する。これにより、ロータコアのリブに作用する径方向外側を向く引張応力を低減できる。このため、ロータコアを形成する材料の許容応力範囲内における広い領域を使用することができる。よって、従来技術と比較してリブを薄くした場合であっても、遠心力に対してロータコアの強度を高めることができる。
また、従来技術と比較してリブを薄くすることができるので、永久磁石からの磁束漏れを低減し、トルク密度を増加させることができる。
したがって、従来技術と比較してリブを薄くしても遠心力に耐えることができるとともに、トルクを向上したロータを提供できる。
本発明の請求項2に記載のロータによれば、圧縮応力は、ロータコアの疲労限度線図に基づいて設定される。これにより、ロータ回転時の遠心力と、円環部材により付与される圧縮応力と、を考慮した、高回転時の遠心力に耐え得るロータ設計が可能となる。また、疲労限度線図を最大限に利用できるので、従来技術と比較してリブを薄くすることができる。
本発明の請求項3に記載のロータによれば、円環部材は、ロータコアに圧入されている。このように、円環部材をロータコアに圧入することにより、ロータコアに圧縮応力を付与できる。よって、容易にロータコアに圧縮応力を付与できる。
本発明の請求項4に記載のロータによれば、ロータコアは、凸部を有し、凸部は、ロータコアに挿入された永久磁石の角部と対応する位置に設けられる。これにより、ロータコアのうち、永久磁石の遠心力を受け易いリブと対応する位置に凸部を設けることができる。この状態で、ロータコアの外周部に円環部材を配置した場合、凸部が設けられたリブには、他の場所と比較して大きな初期圧縮応力を付与できる。よって、特に大きな遠心力が作用し易い永久磁石の角部と対応するリブにおいて、円環部材による初期圧縮応力と、遠心力と、が作用することにより、ロータコアのリブに作用する径方向外側を向く引張応力を低減できる。
また、例えば複数の永久磁石を設ける場合であって、各永久磁石の角部と対応する位置に設けられたリブの厚みが互いに異なる場合がある。この場合、積極的に圧縮応力を付与したい部分にのみ凸部を設けることができる。よって、周方向において任意の部分に必要な大きさの圧縮応力を付与できる。また、リブの厚みや永久磁石の大きさ等、ロータの設計自由度を向上できる。
本発明の請求項5に記載のロータによれば、磁石挿入孔は、軸方向から見て、ロータコアのd軸を跨いで連続する円弧状に形成されており、ロータコアは、磁石挿入孔の端部と対応する位置に連通部を有する。連通部は、磁石挿入孔の端部とロータコアの外周面とを接続するので、磁石挿入孔の端部と対応する位置にロータコアのリブが設けられることを抑制できる。これにより、磁石挿入孔の端部にリブが設けられる場合と比較して、リブからの磁束漏れを抑制できる。すなわち、磁石挿入孔の端部と対応する部分からの磁束漏れを効果的に抑制できる。ロータコアの外周部には円環部材が設けられる。これにより、連通部を形成したことで磁石挿入孔に対して径方向の内側と外側とで分割されたロータコアが分解されることを抑制できる。よって、遠心力に対するロータ強度を高めつつ、磁束漏れを抑制した高性能なロータとすることができる。
本発明の請求項6に記載のロータによれば、磁石挿入孔は、軸方向から見て、ロータコアのd軸を跨いで連続する円弧状に形成されており、ロータコアは、複数の磁石挿入孔のうち最も径方向の内側に位置する磁石挿入孔の端部と対応する位置に凹部を有する。凹部は軸方向に沿って延びているので、ロータコアの外周部に円環部材を配置した場合、凹部と円環部材との間に軸方向に延びる貫通孔が形成される。この貫通孔に冷却用の冷媒を流通させることができる。よって、ロータコアを効果的に冷却できる。
凹部は、磁石挿入孔の端部と対応する位置において径方向の内側に向かって凹んでいる。これにより、凹部を有しない場合と比較して、磁石挿入孔の円弧長さが短くなるので、磁石挿入孔に挿入された永久磁石の端部と磁石挿入孔の端部との空隙の体積が小さくできる。よって、永久磁石をロータコアに固定するために磁石挿入孔内に充填される樹脂の量を削減できる。したがって、ロータコアの冷却効果を高めつつ加工コストを削減できる。
本発明の請求項7に記載のロータの製造方法によれば、ロータの製造方法は、磁石挿入工程と、円環部材配置工程と、を有する。円環部材配置工程では、ロータコアに対して圧縮応力を付与した状態で、ロータコアの外周部に円環部材を配置する。これにより、ロータコアのうち、永久磁石と円環部材との間に位置するリブに円環部材からの初期圧縮応力が作用する。この状態でロータが回転すると、ロータコアのリブには、円環部材からの初期圧縮応力と、永久磁石及びロータコアの遠心力と、が作用する。これにより、ロータコアのリブに作用する径方向外側を向く引張応力を低減できる。よって、従来技術と比較してリブを薄くした場合であっても、遠心力に対してロータコアの強度を高めることができる。
また、従来技術と比較してリブを薄くすることができるので、永久磁石からの磁束漏れを低減し、トルク密度を増加させることができる。
したがって、リブの厚みを低減しても遠心力に耐えることができるとともに、リブの厚みを低減することによりトルク効率を向上したロータの製造方法を提供できる。
本発明の請求項8に記載のロータの製造方法によれば、ロータの製造方法は、樹脂充填工程と、連通部形成工程と、を有する。樹脂充填工程では、磁石挿入孔の永久磁石とロータコアとの空隙に樹脂を充填する。これにより、磁石挿入孔内に永久磁石を確実に固定できる。連通部形成工程では、樹脂充填工程で充填された樹脂が硬化した後、ロータコアのうち磁石挿入孔の端部と対応する位置に連通部を形成する。連通部は、例えば機械加工によりロータコアを除去することにより形成される。このように、連通部形成工程では、磁石挿入孔に充填された樹脂により、磁石挿入孔に対して径方向の内側及び外側に位置するロータコア同士が固定された状態で連通部を形成する。このため、連通部を形成した際にロータコアが分解されることを抑制できる。よって、製造工程を煩雑化することなく、磁気特性に優れたロータコアを製造できる。
本発明の請求項9に記載の回転電機によれば、上述のロータと、ロータに対して径方向の外側に隙間をあけて配置されるステータと、を備える。これにより、従来技術と比較してリブを薄くしても遠心力に耐えることができるとともに、従来技術と比較してリブの厚みを低減することによりトルク効率を向上したロータを備えた、高効率な回転電機を提供できる。
第1実施形態に係る回転電機の断面図。 第1実施形態に係るロータの正面図。 図2のIII部拡大図。 第1実施形態に係るロータコアの疲労限度線図。 第2実施形態に係るロータコアの部分正面図。 図5のVI部拡大図。 第3実施形態に係るロータコアの部分正面図。 第4実施形態に係るロータの部分正面図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
(回転電機)
図1は、第1実施形態に係る回転電機1の断面図である。
回転電機1は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車等の車両に搭載される走行用モータである。但し、本発明の構成は、走行用モータに限らず、発電用モータやその他用途のモータ、車両用以外の回転電機1(発電機を含む)としても適用可能である。
回転電機1は、ケース2と、ステータ3と、シャフト4と、ロータ5と、を備える。
(ケース)
ケース2は、ステータ3、シャフト4及びロータ5を収容している。ケース2の内部には、不図示の冷媒が収容されている。上述したステータ3、シャフト4及びロータ5は、ケース2の内部において、一部が冷媒に浸漬された状態で配置されている。なお、冷媒としては、トランスミッションの潤滑や動力伝達等に用いられる作動油である、ATF(Automatic Transmission Fluid)等が好適に用いられている。
以下の説明では、シャフト4の回転軸である軸線Cに沿う方向を単に軸方向といい、軸線Cに直交する方向を径方向といい、軸線C周りの方向を周方向という場合がある。
(ステータ)
ステータ3は、ケース2の内壁面に固定されている。ステータ3は、環状に形成されている。ステータ3は、ステータコア11と、コイル12と、を有する。
ステータコア11は、複数の鋼板を軸方向に積層して形成される積層コアである。ステータコア11は、軸線Cを中心とする環状に形成されている。ステータコア11の外周部は、ケース2の内壁面に固定されている。ステータコア11は、ステータコア11の内周部から径方向内側に向かって突出する不図示のティースを有する。ティースは周方向に複数設けられている。各ティース間はスロット(不図示)とされている。
コイル12は、ステータコア11のスロットに挿入されている。コイル12は、例えば複数の銅線セグメントをスロットに挿入することにより、ステータコア11に装着されている。コイル12は、ステータコア11のスロットに挿入されるコイル挿通部12aと、ステータコア11から軸方向の両側に突出するコイルエンド12bと、を有する。
(シャフト)
シャフト4は、軸線Cを中心とする筒状に形成されている。シャフト4は、ケース2に取り付けられた軸受15を介してケース2に対して回転可能に支持されている。シャフト4は、軸線C回りに回転する。
(ロータ)
ロータ5は、シャフト4の外周面に固定されている。ロータ5は、環状に形成されている。ロータ5は、ステータ3に対して径方向の内側に、間隔をあけて配置されている。ロータ5は、軸線C回りにシャフト4と一体で回転可能に構成されている。ロータ5は、ロータコア6と、永久磁石7と、円環部材8と、を有する。
図2は、第1実施形態に係るロータ5の正面図である。図3は、図2のIII部拡大図であって、ロータコア6に作用する平均応力σ1を表すコンター図である。図3のコンター図において、色が濃くなるほど、ロータコア6に作用する圧縮応力(平均応力σ1は負の値)が大きいことを示している。
図1及び図2に示すように、ロータコア6は、軸線Cを中心とする環状に形成されている。ロータコア6は、磁石挿入孔21と、エンドリブ22(図3参照)と、シャフト挿通孔23と、貫通孔24と、を有する。
磁石挿入孔21は、ロータコア6の外周部に設けられている。磁石挿入孔21は、径方向に並んで複数設けられている。具体的に、磁石挿入孔21は、第一磁石挿入孔31と、第二磁石挿入孔32と、第三磁石挿入孔33と、を有する。
第一磁石挿入孔31は、ロータコア6を軸方向に貫通している。第一磁石挿入孔31は、軸方向から見て、ロータコア6の外周面6aより径方向の外側に円弧中心を有する円弧状に形成されている。第一磁石挿入孔31は、軸方向から見て、ロータコア6のd軸を跨いで連続する円弧状に形成されている。図3に示すように、第一磁石挿入孔31の両端部35は、ロータコア6の外周部に位置している。具体的に、第一磁石挿入孔31の両端部35は、ロータコア6の外周面6aより径方向の内側に位置している。第一磁石挿入孔31は、周方向において等間隔に複数(本実施形態では8個)設けられている。
第二磁石挿入孔32は、第一磁石挿入孔31より径方向の内側に設けられている。第二磁石挿入孔32は、ロータコア6を軸方向に貫通している。軸方向から見て、第二磁石挿入孔32は、第一磁石挿入孔31と同等な曲率を有する円弧状に形成されている。第二磁石挿入孔32は、軸方向から見て、ロータコア6のd軸を跨いで連続する円弧状に形成されている。第二磁石挿入孔32の両端部36は、ロータコア6の外周部に位置している。具体的に、第二磁石挿入孔32の両端部36は、ロータコア6の外周面6aより径方向の内側に位置している。第二磁石挿入孔32は、周方向において等間隔に複数(本実施形態では8個)設けられている。
第三磁石挿入孔33は、第二磁石挿入孔32より径方向の内側に設けられている。第三磁石挿入孔33は、径方向に並ぶ複数の磁石挿入孔21のうち最も径方向の内側に位置している。第三磁石挿入孔33は、ロータコア6を軸方向に貫通している。軸方向から見て、第三磁石挿入孔33は、第二磁石挿入孔32と同等な曲率を有する円弧状に形成されている。第三磁石挿入孔33は、軸方向から見て、ロータコア6のd軸を跨いで連続する円弧状に形成されている。第三磁石挿入孔33の両端部37は、ロータコア6の外周部に位置している。具体的に、第三磁石挿入孔33の両端部37は、第一磁石挿入孔31の端部35及び第二磁石挿入孔32の端部36よりも径方向の内側で終端している。第三磁石挿入孔33は、周方向において等間隔に複数(本実施形態では8個)設けられている。
ロータコア6は、第三磁石挿入孔33の端部37と対応する位置に凹部25を有する。凹部25は、ロータコア6の外周面6aから径方向の内側に向かって凹んでいる。凹部25は、1個の第三磁石挿入孔33において、第三磁石挿入孔33の両端部37に対応して一対設けられている。凹部25は、軸方向に沿って延びている。
エンドリブ22は、磁石挿入孔21の端部35,36,37よりも径方向の外側に設けられている。エンドリブ22は、第一エンドリブ41と、第二エンドリブ42と、第三エンドリブ43と、を有する。
第一エンドリブ41は、第一磁石挿入孔31の端部35と、ロータコア6の外周面6aと、の間に設けられている。第一エンドリブ41は、1個の第一磁石挿入孔31における両端部35に対応して一対設けられている。第一エンドリブ41は、ロータコア6のうち、第一磁石挿入孔31より径方向の内側に位置する部分と、第一磁石挿入孔31より径方向の外側に位置する部分と、を接続している。
第二エンドリブ42は、第二磁石挿入孔32の端部36と、ロータコア6の外周面6aと、の間に設けられている。第二エンドリブ42は、1個の第二磁石挿入孔32における両端部36に対応して一対設けられている。第二エンドリブ42は、ロータコア6のうち、第二磁石挿入孔32より径方向の内側に位置する部分と、第二磁石挿入孔32より径方向の外側に位置する部分と、を接続している。軸方向から見て、第二エンドリブ42の厚みは、第一エンドリブ41の厚みと同等となっている。
第三エンドリブ43は、第三磁石挿入孔33の端部37と、凹部25の底部25aと、の間に設けられている。第三エンドリブ43は、1個の第三磁石挿入孔33における両端部37に対応して一対設けられている。第三エンドリブ43は、ロータコア6のうち、第三磁石挿入孔33より径方向の内側に位置する部分と、第三磁石挿入孔33より径方向の外側に位置する部分と、を接続している。軸方向から見て、第三エンドリブ43の厚みは、第二エンドリブ42の厚みと同等となっている。
図3のコンター図に示すように、このように形成された各エンドリブ41,42,43には、後述する円環部材8が装着されることにより、径方向に沿う圧縮応力が作用している。
ここで、第三磁石挿入孔33の端部37と対応する位置に設けられた第三エンドリブ43には、第一エンドリブ41及び第二エンドリブ42と比較して大きな遠心力(径方向に沿う引張応力)が作用する。軸方向から見た第三エンドリブ43の傾斜角度は、第一エンドリブ41及び第二エンドリブ42と比較して、ロータコアのd軸とのなす角度が小さくなるように形成されている。具体的に、本実施形態において、第三エンドリブ43は、軸方向から見て、d軸から周方向に離間するにつれて径方向の内側に位置するように傾斜している。このように、大きな遠心力が作用する第三エンドリブ43の傾斜角度をd軸に沿うように形成することで、ロータ回転時に第三エンドリブ43に作用する引張応力に対して第三エンドリブ43の剛性を高めることが可能となる。
なお、第三エンドリブ43の傾斜角度は、図3等に図示した傾斜角度に限定されない。第三エンドリブ43は、ロータコアのd軸とのなす角度が小さいほど望ましい。
図2に示すように、シャフト挿通孔23は、磁石挿入孔21より径方向の内側に設けられている。シャフト挿通孔23は、ロータコア6を軸方向に貫通している。シャフト挿通孔23は、軸線Cと同軸上に設けられている。シャフト挿通孔23には、シャフト4が挿入されている(図1参照)。シャフト4は、例えばシャフト挿通孔23に圧入されて固定されている。
貫通孔24は、径方向において、磁石挿入孔21とシャフト挿通孔23との間に設けられている。貫通孔24は、ロータコア6を軸方向に貫通している。貫通孔24は、周方向に隣り合う第三磁石挿入孔33(磁石挿入孔21)の間に設けられている。軸方向から見て、貫通孔24は、径方向の外側に頂部を有する三角形状に形成されている。貫通孔24の内部は、冷媒が流通可能とされている。
永久磁石7は、複数設けられている。永久磁石7は、各磁石挿入孔21に挿入されている。各永久磁石7は、軸方向から見て、各永久磁石7が挿入される磁石挿入孔21の形状に沿う円弧状に形成されている。磁石挿入孔21に永久磁石7が挿入された状態で、永久磁石7の径方向の外側を向く面には、樹脂材料51が充填されて固定されている。永久磁石7の長手方向に沿う長さは、磁石挿入孔21の長手方向に沿う長さより短い。永久磁石7の端部とロータコア6との間には、間隙52が設けられている。この間隙52は、フラックスバリアとして機能する。
図2及び図3に示すように、円環部材8は、ロータコア6の外周面6aに設けられている。円環部材8は、径方向の外側からロータコア6を覆っている。円環部材8は、非磁性体であって、導電率が低い材料により形成されている。具体的に、円環部材8は、例えばステンレス等の金属材料や、CFRPなどの合成繊維材料等により形成されている。円環部材8は、軸線Cを中心とする環状に形成されている。円環部材8の軸方向に沿う長さ寸法は、ロータコア6の軸方向に沿う長さ寸法と同等となっている。円環部材8は、ロータコア6に対して径方向に圧縮応力を付与した状態でロータコア6の外周面6aに固定されている。具体的に、円環部材8は、ロータコア6に圧入されることにより、ロータコア6に圧縮応力を付与している。円環部材8によりロータコア6に付与される圧縮応力の大きさは、ロータコア6の疲労限度線図に基づいて設定される。
図4は、第1実施形態に係るロータコア6の疲労限度線図である。
図4の横軸は、ロータコア6のエンドリブ22に作用する平均応力σ1を表す。ロータコア6のエンドリブ22に径方向の外側を向く引張応力が作用した場合、平均応力σ1は正の値となる。ロータコア6のエンドリブ22に径方向の内側を向く圧縮応力が作用した場合、平均応力σ1は負の値となる。図4の縦軸は、ロータ5が回転した際にロータコア6のエンドリブ22に作用する応力振幅σ2の大きさを表している。図4の折れ線Lは、各平均応力σ1の値に対してロータコア6のエンドリブ22が疲労破壊する応力振幅σ2の値をプロットした降伏限界を示している。つまり、折れ線Lより外側の領域は、ロータコア6のエンドリブ22が疲労破壊する領域(以下、破断エリアという場合がある。)となっている。
ここで、図4の矢印Aに示すように、円環部材8がロータコア6に対して圧縮応力を付与しない状態でロータコア6に固定される従来技術にあっては、回転による遠心力や応力振幅σ2によりエンドリブ22に作用する応力が折れ線Lで示す値を超えやすくなる。具体的に、従来技術において、ロータコア6のエンドリブ22に作用する初期圧縮応力はほぼ零である。この状態で、ロータコア6のシャフト4挿入孔にシャフト4が例えば圧入される場合がある。この場合、シャフト4の圧入応力により、ロータコア6には、径方向の外側を向く引張応力が作用する(矢印A1参照)。さらに、ロータ5が高速回転すると、回転による遠心力がロータコア6に作用してエンドリブ22の平均応力σ1が増加するとともに、応力振幅σ2が上昇する(矢印A2参照)。これにより、ロータコア6におけるエンドリブ22の疲労限度が破断エリアに達し易い。
一方、図4の矢印Bに示すように、円環部材8がロータコア6に圧入固定された場合、円環部材8からの圧縮応力により、ロータコア6のエンドリブ22には、径方向の内側を向く初期圧縮応力が作用する(矢印B1参照)。この状態で、ロータコア6にシャフト4が挿入されてロータ5が高速回転すると、シャフト4の圧入応力及び回転による遠心力がロータコア6に作用する。よって、エンドリブ22の平均応力σ1が増加するとともに、応力振幅σ2が上昇する(矢印B2参照)。
このとき、ロータコア6のエンドリブ22には、円環部材8による圧縮応力と、遠心力等による引張応力と、が作用している。これにより、ロータコア6のエンドリブ22に作用する平均応力σ1は、従来技術と比較して小さくなる。よって、応力振幅σ2が作用した場合であっても、ロータコア6におけるエンドリブ22の疲労限度が破断エリアに達しない。つまり、本実施形態において、ロータコア6は、ロータ5回転時の遠心力等に耐え得る構造となっている。
(ロータの製造方法)
次に、上述したロータ5の製造方法について説明する。
ロータ5の製造方法は、磁石挿入工程と、円環部材配置工程と、を有する。
磁石挿入工程では、ロータコア6の各磁石挿入孔21に永久磁石7をそれぞれ挿入する。
円環部材配置工程では、ロータコア6に対して径方向に圧縮応力を付与した状態で、ロータコア6の外周部に円環部材8を配置する。本実施形態において、円環部材配置工程では、円環部材8をロータコア6に圧入することにより、ロータコア6の外周面6aに円環部材8を固定する。具体的に、ロータコア6に装着される前の円環部材8の内径は、ロータコア6の外径より小さく形成されている。ロータコアに円環部材8を装着する際には、円環部材8を径方向の外側に向けて押し広げるとともに、軸方向から円環部材8の内周部にロータコア6を挿入する。円環部材配置工程において、円環部材8は、ロータコア6装着時にロータコア6に付与する圧縮応力が所定の値となるように設定される。所定の値は、上述したロータコア6の疲労限度線図に基づいて設定される。
(作用、効果)
次に、上述のロータ5、ロータ5の製造方法及び回転電機1の作用、効果について説明する。
本実施形態のロータ5によれば、円環部材8は、ロータコア6に対して圧縮応力を付与した状態でロータコア6の外周部に固定される。これにより、ロータコア6のうち、永久磁石7と円環部材8との間に位置するエンドリブ22に径方向内側を向く円環部材8からの初期圧縮応力が作用する(図3参照)。図3のコンター図に示すように、このとき、各エンドリブ41,42,43には、同等の大きさの初期圧縮応力が作用している。これにより、ロータコア6のエンドリブ41,42,43には、ロータコア6の他の部分と比較して大きな圧縮応力が作用している。
ロータ5が回転すると、ロータコア6のエンドリブ22には、円環部材8からの初期圧縮応力と、永久磁石7及びロータコア6の遠心力と、が作用する。これにより、ロータコア6のエンドリブ22に作用する径方向外側を向く引張応力を低減できる。このため、ロータコア6を形成する材料の許容応力範囲内における広い領域を使用することができる。よって、従来技術と比較してエンドリブ22を薄くした場合であっても、遠心力に対してロータコア6の強度を高めることができる。
また、従来技術と比較してエンドリブ22を薄くすることができるので、永久磁石7からの磁束漏れを低減し、トルク密度を増加させることができる。
したがって、従来技術と比較してエンドリブ22を薄くしても遠心力に耐えることができるとともに、トルクを向上したロータ5を提供できる。
圧縮応力は、ロータコア6の疲労限度線図に基づいて設定される。これにより、ロータ回転時の遠心力と、円環部材8により付与される圧縮応力と、を考慮した、高回転時の遠心力に耐え得るロータ5設計が可能となる。また、疲労限度線図を最大限に利用できるので、従来技術と比較してエンドリブ22を薄くすることができる。
円環部材8は、ロータコア6に圧入されている。このように、円環部材8をロータコア6に圧入することにより、ロータコア6に圧縮応力を付与できる。よって、容易にロータコア6に圧縮応力を付与できる。
磁石挿入孔21は、軸方向から見て、ロータコア6のd軸を跨いで連続する円弧状に形成されており、ロータコア6は、複数の磁石挿入孔21のうち最も径方向の内側に位置する第三磁石挿入孔33の端部と対応する位置に凹部25を有する。凹部25は軸方向に沿って延びているので、ロータコア6の外周部に円環部材8を配置した場合、凹部25と円環部材8との間に軸方向に延びる貫通孔が形成される。この貫通孔に冷却用の冷媒を流通させることができる。よって、ロータコア6を効果的に冷却できる。
凹部25は、磁石挿入孔21の端部と対応する位置において径方向の内側に向かって凹んでいる。これにより、凹部25を有しない場合と比較して、磁石挿入孔21の円弧長さが短くなるので、磁石挿入孔21に挿入された永久磁石7の端部と磁石挿入孔21の端部との空隙の体積が小さくできる。よって、永久磁石7をロータコア6に固定するために磁石挿入孔21内に充填される樹脂材料51の量を削減できる。したがって、ロータコア6の冷却効果を高めつつ加工コストを削減できる。
本実施形態のロータ5の製造方法によれば、ロータ5の製造方法は、磁石挿入工程と、円環部材配置工程と、を有する。円環部材配置工程では、ロータコア6に対して圧縮応力を付与した状態で、ロータコア6の外周部に円環部材8を配置する。これにより、ロータコア6のうち、永久磁石7と円環部材8との間に位置するエンドリブ22に円環部材8からの初期圧縮応力が作用する。この状態でロータ5が回転すると、ロータコア6のリブには、円環部材8からの初期圧縮応力と、永久磁石7及びロータコア6の遠心力と、が作用する。これにより、ロータコア6のエンドリブ22に作用する径方向外側を向く引張応力を低減できる。よって、従来技術と比較してエンドリブ22を薄くした場合であっても、遠心力に対してロータコア6の強度を高めることができる。
また、従来技術と比較してエンドリブ22を薄くすることができるので、永久磁石7からの磁束漏れを低減し、トルク密度を増加させることができる。
したがって、エンドリブ22の厚みを低減しても遠心力に耐えることができるとともに、エンドリブ22の厚みを低減することによりトルク効率を向上したロータ5の製造方法を提供できる。
本実施形態の回転電機1によれば、上述のロータ5と、ロータ5に対して径方向の外側に隙間をあけて配置されるステータ3と、を備える。これにより、従来技術と比較してリブを薄くしても遠心力に耐えることができるとともに、従来技術と比較してエンドリブ22の厚みを低減することによりトルク効率を向上したロータ5を備えた、高効率な回転電機1を提供できる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。図5は、第2実施形態に係るロータコア6の部分正面図である。図6は、図5のVI部拡大図である。以下の説明において、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態では、ロータコア6の外周部に凸部206が設けられる点において上述した実施形態と相違している。
本実施形態において、ロータコア6は、ロータコア6の外周部から径方向の外側に向かって突出する凸部206を有する。図6に示すように、凸部206は、ロータコア6に挿入された永久磁石7の角部250と対応する位置に設けられている。具体的に、本実施形態において、凸部206は、第一エンドリブ41及び第二エンドリブ42と対応する位置にそれぞれ設けられている。このロータコア6の外周部に円環部材8(図2参照)が配置されることにより、凸部206が設けられた第一エンドリブ41及び第二エンドリブ42には、凸部206が設けられていない他の部分(例えば、第三エンドリブ43等)と比較して大きな圧縮応力が作用する。
本実施形態によれば、ロータコア6のうち、永久磁石7の遠心力を受け易いエンドリブ22と対応する位置に凸部206を設けることができる。この状態で、ロータコア6の外周部に円環部材8を配置した場合、凸部206が設けられたエンドリブ22には、他の場所と比較して大きな初期圧縮応力を付与できる。よって、特に大きな遠心力が作用し易い永久磁石7の角部250と対応するエンドリブ22において、円環部材8による初期圧縮応力と、遠心力と、が作用することにより、ロータコア6のエンドリブ22に作用する径方向外側を向く引張応力を低減できる。
また、例えば複数の永久磁石7を設ける場合であって、各永久磁石7の角部250と対応する位置に設けられたエンドリブ22の厚みが互いに異なる場合がある。この場合、積極的に圧縮応力を付与したい部分にのみ凸部206を設けることができる。よって、周方向において任意の部分に必要な大きさの圧縮応力を付与できる。また、エンドリブ22の厚みや永久磁石7の大きさ等、ロータ5の設計自由度を向上できる。
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態について説明する。図7は、第3実施形態に係るロータコア6の部分正面図である。以下の説明において、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態では、V字磁石を用いた点において上述した実施形態と相違している。
本実施形態において、ロータコア6は、V字状に配置される一対の磁石挿入孔321を有する。軸方向から見て、一対の磁石挿入孔321は、径方向の内側から径方向の外側へ向かうにつれて互いに周方向に離間するように延びている。磁石挿入孔321とロータコア6の外周面6aとの間には、エンドリブ22が設けられている。また、一対の磁石挿入孔321の間には、センターリブ340が設けられている。センターリブ340の厚みは、エンドリブ22の厚みと同等となっている。一対の磁石挿入孔321には、それぞれ永久磁石307が挿入されている。各永久磁石307は、軸方向から見て矩形状に形成されている。
ロータコア6の外周部のうち、永久磁石307の角部350に対応する位置(すなわち、エンドリブ22と対応する位置)には、凸部206が設けられている。凸部206は、ロータコア6の外周部から径方向の外側に向かって突出している。ロータコア6の外周部に円環部材8(図2参照)が配置されることにより、凸部206が設けられたエンドリブ22には、凸部206が設けられていない他の部分と比較して大きな圧縮応力が作用する。
本実施形態によれば、V字磁石307を用いた場合に、従来技術と比較して各リブ(エンドリブ22及びセンターリブ340)を薄くしても遠心力に耐えることができるとともに、トルクを向上したロータ5とすることができる。また、エンドリブ22とセンターリブ340とを同等の厚みとすることにより、エンドリブ22とセンターリブ340とに均等な圧縮応力を作用させることができる。
なお、本実施形態において、凸部206は設けられていなくてもよい。
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態について説明する。図8は、第4実施形態に係るロータ5の部分正面図である。図8では、円環部材8の図示を省略している。以下の説明において、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態では、ロータコア6に連通部470が設けられる点において上述した実施形態と相違している。
本実施形態の磁石挿入孔21は、軸方向から見て、第1実施形態と同様、ロータコアの外周面より径方向の外側に円弧中心を有し、d軸を跨いで連続する円弧状に形成されている。本実施形態において、ロータコア6は、磁石挿入孔21の端部と対応する位置に連通部470を有する。連通部470は、磁石挿入孔21とロータコア6の外周面6aとを接続している。連通部470は、軸方向に沿って延びている。連通部470は、軸方向においてロータコア6の全体に亘って設けられている。連通部470が設けられることにより、ロータコア6は、第一コア461と、第二コア462と、第三コア463と、第四コア464と、に分割されている。第一コア461は、第三磁石挿入孔33より径方向の内側に位置している。第二コア462は、第三磁石挿入孔33と第二磁石挿入孔32との間に位置している。第三コア463は、第二磁石挿入孔32と第一磁石挿入孔31との間に位置している。第四コア464は、第一磁石挿入孔31より径方向の外側に位置している。
第一コア461、第二コア462、第三コア463、及び第四コア464は、各磁石挿入孔21に充填された樹脂材料51により、互いに固定されている。より具体的に、第一コア461と第二コア462とは、第三磁石挿入孔33に充填された樹脂材料51により互いに固定されている。第二コア462と第三コア463とは、第二磁石挿入孔32に充填された樹脂材料51により互いに固定されている。第三コア463と第四コア464とは、第一磁石挿入孔31に充填された樹脂材料51により互いに固定されている。これらの樹脂材料51は、磁石挿入孔21に挿入された永久磁石7をロータコア6に固定している。
次に、連通部470を有する上述のロータコアを製造するためのロータの製造方法について説明する。
本実施形態のロータ5の製造方法は、樹脂充填工程と、連通部形成工程と、を有する。
樹脂充填工程では、磁石挿入孔21の永久磁石7とロータコア6との空隙に樹脂材料51を充填する。このとき、樹脂材料51は、磁石挿入孔21のうち、永久磁石7の径方向の外側を向く面とロータコア6との空隙、及び永久磁石7の端部とロータコア6との空隙に充填される。
連通部形成工程では、樹脂充填工程で充填された樹脂材料51が硬化した後、ロータコア6のうち磁石挿入孔21の端部と対応する位置に連通部470を形成する。具体的に、連通部形成工程では、例えばワイヤカット等の機械加工によりロータコア6を除去することにより、連通部470を形成する。
本実施形態のロータ5によれば、磁石挿入孔21は、軸方向から見て、ロータコア6のd軸を跨いで連続する円弧状に形成されており、ロータコア6は、磁石挿入孔21の端部と対応する位置に連通部470を有する。連通部470は、磁石挿入孔21の端部とロータコア6の外周面6aとを接続するので、磁石挿入孔21の端部と対応する位置にロータコア6のエンドリブ22が設けられることを抑制できる。これにより、磁石挿入孔21の端部にエンドリブ22が設けられる場合と比較して、エンドリブ22からの磁束漏れを抑制できる。すなわち、磁石挿入孔21の端部と対応する部分からの磁束漏れを効果的に抑制できる。ロータコア6の外周部には円環部材8(図3参照)が設けられる。これにより、連通部470を形成したことで磁石挿入孔21に対して径方向の内側と外側とで分割されたロータコア(第一コア461、第二コア462、第三コア463、及び第四コア464)が分解されることを抑制できる。よって、遠心力に対するロータ強度を高めつつ、磁束漏れを抑制した高性能なロータ5とすることができる。
また、本実施形態のロータの製造方法によれば、ロータ5の製造方法は、樹脂充填工程と、連通部形成工程と、を有する。樹脂充填工程では、磁石挿入孔21の永久磁石7とロータコア6との空隙に樹脂材料51を充填する。これにより、磁石挿入孔21内に永久磁石7を確実に固定できる。連通部形成工程では、樹脂充填工程で充填された樹脂材料51が硬化した後、ロータコア6のうち磁石挿入孔21の端部と対応する位置に連通部470を形成する。連通部470は、例えば機械加工によりロータコア6を除去することにより形成される。このように、連通部形成工程では、磁石挿入孔21に充填された樹脂材料51により、磁石挿入孔21に対して径方向の内側及び外側に位置するロータコア(第一コア461、第二コア462、第三コア463、及び第四コア464)同士が固定された状態で連通部470を形成する。このため、連通部470を形成した際にロータコア6が分解されることを抑制できる。よって、製造工程を煩雑化することなく、磁気特性に優れたロータ5を製造できる。
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
第1実施形態では、ロータコア6は、円弧状に連なった磁石挿入孔21を有する構成について説明したが、これに限らない。例えば第3実施形態で示すように、ロータコア6は、センターリブ340を挟んで周方向に並ぶ一対の磁石挿入孔21を有してもよい。
凹部25は設けられていなくてもよい。
磁石挿入孔21の径方向に並ぶ個数及び周方向に並ぶ個数は、上述した実施形態に限定されない。
円環部材8によりロータコア6に圧縮応力を付与する方法としては、例えば熱間圧入や冷間圧入でもよい。また、円環部材8が合成繊維材料により形成される場合、ロータコア6の外周部に合成繊維を直接巻回するダイレクトワインディングにより圧縮応力を付与してもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
1 回転電機
3 ステータ
5 ロータ
6 ロータコア
7 永久磁石
8 円環部材
21,321 磁石挿入孔
25 凹部
206 凸部
250,350 角部
470 連通部

Claims (9)

  1. 複数の磁石挿入孔を有する環状のロータコアと、
    前記ロータコアの前記磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、
    前記ロータコアの径方向の外側から前記ロータコアを覆う円環部材と、
    を備え、
    前記円環部材は、前記ロータコアに対して前記径方向に圧縮応力を付与した状態で前記ロータコアの外周部に固定されることを特徴とするロータ。
  2. 前記圧縮応力は、前記ロータコアの疲労限度線図に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載のロータ。
  3. 前記円環部材は、前記ロータコアに圧入されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロータ。
  4. 前記ロータコアは、前記外周部から前記径方向の外側に向かって突出する凸部を有し、
    前記凸部は、前記ロータコアに挿入された前記永久磁石の角部と対応する位置に設けられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のロータ。
  5. 前記磁石挿入孔は、前記ロータコアの軸方向から見て、前記ロータコアの外周面より前記径方向の外側に円弧中心を有し、前記ロータコアの外周部に位置する前記磁石挿入孔の一端から他端まで前記ロータコアのd軸を跨いで連続する円弧状に形成されており、
    前記ロータコアは、前記磁石挿入孔の端部と対応する位置において、前記磁石挿入孔と前記ロータコアの外周面とを接続する連通部を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のロータ。
  6. 前記磁石挿入孔は、前記ロータコアの軸方向から見て、前記ロータコアの外周面より前記径方向の外側に円弧中心を有し、前記ロータコアの外周部に位置する前記磁石挿入孔の一端から他端まで前記ロータコアのd軸を跨いで連続する円弧状に形成されており、
    前記磁石挿入孔は、前記径方向に並んで複数設けられ、
    前記ロータコアは、複数の前記磁石挿入孔のうち前記径方向の最も内側に位置する前記磁石挿入孔の端部と対応する位置において、前記径方向の内側に向かって凹むとともに前記軸方向に沿って延びる凹部を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のロータ。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のロータの製造方法であって、
    前記ロータコアの前記磁石挿入孔に前記永久磁石を挿入する磁石挿入工程と、
    前記ロータコアに対して前記径方向に前記圧縮応力を付与した状態で、前記ロータコアの前記外周部に前記円環部材を配置する円環部材配置工程と、
    を有することを特徴とするロータの製造方法。
  8. 請求項5に記載のロータの製造方法であって、
    前記磁石挿入孔の前記永久磁石と前記ロータコアとの空隙に樹脂を充填する樹脂充填工程と、
    前記樹脂が硬化した後、前記ロータコアのうち前記磁石挿入孔の端部と対応する位置に前記連通部を形成する連通部形成工程と、
    を有することを特徴とするロータの製造方法。
  9. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のロータと、
    前記ロータに対して前記径方向の外側に隙間をあけて配置されるステータと、
    を備えることを特徴とする回転電機。
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