JP2021116041A - 車両用シートベルト装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両用シートベルト装置において、軽量化と搭載性を向上させながら前方移動衝突時に乗員の拘束性能を向上させることができる。【解決手段】車両用シートベルト装置10のバックル14には、雌ネジ38が形成された第1ネジ部材20が連結されている。アンカブラケット18には、第1ネジ部材20と螺合されている第2ネジ部材22が連結されている。また、バックル14側に設けられた第1摺動部材54と、アンカブラケット18側に設けられた第2摺動部材56と、を有しているガイド部材26が設けられており、ガイド部材26によって第1ネジ部材20と第2ネジ部材22との軸線方向を中心とする相対回転が制限されるため、駆動機構部24により第2ネジ部材22を軸線方向に回転させると、第1ネジ部材20を第2ネジ部材22に対して軸線方向に沿って相対移動させることができる。【選択図】図2

Description

本発明は、車両用シートベルト装置に関する。
下記特許文献1、2には、乗員拘束装置に関する発明が開示されている。特許文献1における乗員拘束装置では、車両用シートに着座した乗員を拘束する3点式シートベルトに取り付けられたタングプレートはバックルに係合され、バックルは、ワイヤを介してスライダに接続されている。スライダは、モータにより回転するスクリュに螺合されており、モータを回転させることでバックルをシート上方側へ移動させる。したがって、タングプレートの着脱時にバックルをシート上方側へ移動させることで、タングプレートの着脱を行い易くすることができる。
また、下記特許文献2における乗員拘束装置は、バックルはバックル駆動部を介して車両に固定されている。このバックル駆動部は、バックルに固定されかつラックが形成されたスライド部材と、ラックと嵌合しかつモータにより回転するピニオンギヤとを有しており、モータを回転させることでバックル及びタングプレートをシート下方側かつシート後方側へ移動させる。一方、タングプレートの着脱時にモータを逆回転させてバックルをシート上方側へ移動させることで、タングプレートの着脱を行い易くすることができる。
特開2018−111465号公報 特開2011−068183号公報
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、ワイヤはワイヤガイド部材に摺動されながら延設方向を変えていることから、バックルを移動させるためにはワイヤとワイヤガイド部材との摩擦力を考慮して大きな出力が発揮できる大型モータが必要となる。つまり、装置が大型化しかつ重量が増加する可能性がある。この対策として、特許文献2に開示された構成のように、ワイヤではなくラックとピニオンとによりバックルを移動させる構成が考えられる。しかしながら、引用文献2に開示された構成では、車両用シートに着座した乗員がシート前方側へ移動する車両衝突(以下、「前方移動衝突」と称する。)時に、衝突荷重によりバックルが引き出される方向に移動しようとすると、ラックの移動によりモータが容易に回転してバックルの引き出しを抑制できない可能性がある。これに対応するため、ストッパ機構や、引き出し時に反力を発生させるための大きな出力が発揮できる大型モータが必要となる。つまり、この場合においても装置が大型化するため、車両への搭載性が低下する可能性がある。したがって、上記先行技術はこの点で改良の余地がある。
本発明は上記事実を考慮し、軽量化と搭載性を向上させながら着脱を容易に行うことができる車両用シートベルト装置を得ることを目的とする。
請求項1に記載の発明に係る車両用シートベルト装置は、車両用シートに着座した乗員を拘束するウェビングと、前記車両用シートのシートクッションの側方にて前記ウェビングに取り付けられたタングプレートが係合するバックルと、前記バックルに連結されると共に、車両に固定されたアンカブラケット側へ延設されかつ延設方向を軸線方向としてネジ部が形成された第1ネジ部材と、前記アンカブラケットに連結されかつ前記第1ネジ部材に螺合されたネジ部が形成された第2ネジ部材と、前記第1ネジ部材又は前記第2ネジ部材を前記軸線方向中心に回転させる駆動機構部と、前記バックル側に設けられた第1摺動部材と、前記アンカブラケット側に設けられかつ前記第1摺動部材と前記軸線方向に摺動可能とされた第2摺動部材と、を有しており、前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材の一方には、前記軸線方向を中心とする回転方向にて前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材の他方と対向する対向部が設けられているガイド部材と、を有している。
請求項1に記載の発明によれば、車両用シートベルト装置は、車両用シートに着座した乗員を拘束するウェビングに取り付けられたタングプレートがシートクッションの側方にて係合するバックルを有している。このバックルには、第1ネジ部材が連結されており、第1ネジ部材は、アンカブラケット側へ延設されかつ延設方向が軸線方向とされたネジ部が形成されている。一方、アンカブラケットには、第2ネジ部材が連結されており、この第2ネジ部材は、第1ネジ部材と螺合されたネジ部が形成されている。また、車両用シートベルト装置には、ガイド部材が設けられており、このガイド部材は、バックル側に設けられた第1摺動部材と、アンカブラケット側に設けられかつ第1摺動部材と軸線方向に摺動可能とされた第2摺動部材と、を有している。第1摺動部材及び第2摺動部材の一方には、軸線方向を中心とする回転方向にて第1摺動部材及び第2摺動部材の他方と対向する対向部が設けられている。したがって、ガイド部材によって第1ネジ部材と第2ネジ部材との軸線方向を中心とする相対回転が制限される。このため、駆動機構部により第1ネジ部材又は第2ネジ部材を軸線方向に回転させると、第1ネジ部材を第2ネジ部材に対して軸線方向に沿って相対移動させることができる。つまり、バックルをシート上方側へ移動させてタングプレートの着脱を行い易くすることができる。この第1ネジ部材と第2ネジ部材とは、螺合により同軸上に配置されているため、第1ネジ部材及び第2ネジ部材の軸線方向に直交するスペースを最小限にすることができる。これにより、小型化が容易となる。
また、第1ネジ部材は、螺合によって第2ネジ部材に対して軸線方向に相対移動することから、駆動機構部を高出力にて回転させる必要がない。さらに、バックルに第1ネジ部材が連結されていることから、前方移動衝突時にバックルをシート前方側へ引き出す方向に衝突荷重が作用した場合、第1ネジ部材及びこれに螺合する第2ネジ部材には軸線方向に沿って衝突荷重が作用する。したがって、軸線方向中心に第1ネジ部材又は第2ネジ部材を回転させる駆動機構部の回転方向と異なる向きに衝突荷重が入力される。このため、バックルをシート前方側へ引き出す方向に衝突荷重が作用した際にバックルの移動を抑制するためのストッパ機構や、衝突荷重の作用方向と反対方向にバックルを移動させて衝突荷重を打ち消すための高出力の駆動源が不要となる。つまり、駆動機構部等を軽量化及び小型化することができる。
請求項1に記載の発明に係る車両用シートベルト装置は、軽量化と搭載性を向上させながら着脱を容易に行うことができるという優れた効果を有する。
第1実施形態に係る車両用シートベルト装置を示す側面図である。 第1実施形態に係る車両用シートベルト装置の要部の伸展状態を示す側面図である。 第1実施形態に係る車両用シートベルト装置の要部の収縮状態を示す側面図である。 図2におけるZ部の一部を拡大して示す側面図である。 図4におけるX方向から見た状態を示すX方向矢視図である。 第2実施形態に係る車両用シートベルト装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 第2実施形態に係る車両用シートベルト装置の機能構成を示すブロック図である。 第2実施形態に係る車両用シートベルト装置の動作の流れを示すフローチャートである。 第3実施形態に係る車両用シートベルト装置を示す側面図である。 図9におけるY部の一部を拡大して示す側面図である。 図10におけるA−A線に沿って切断した状態を示す拡大断面図である。 図10おけるW方向から見た状態を示すX方向矢視図である。
以下、図1〜図12を用いて、本発明に係る車両用シートベルト装置の実施形態について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRはシート前方側を示しており、矢印UPはシート上方側を示しており、矢印OUTはシート幅方向外側を示している。また、本実施形態では、シート前後方向、シート幅方向、シート上下方向は、それぞれ車両前後方向、車幅方向、車両上下方向と略一致している。
(第1実施形態)
図1において、本実施形態に係る車両用シートベルト装置10は、ウェビング12と、バックル14と、タングプレート16と、アンカブラケット18と、第1ネジ部材20と、第2ネジ部材22と、駆動機構部24と、ガイド部材26と、を有している。
(ウェビング)
ウェビング12は、車両用シート28に着座した乗員Pを拘束するための非伸張性の帯状部材である。このウェビング12は、乗員Pによる装着状態において、乗員Pの大腿部Fにおける腰部L側の部位を拘束するラップベルト12Aと、乗員Pの胸部Cを拘束するショルダベルト12Bとを有している。ウェビング12には、タングプレート16が取り付けられている。乗員装着時(図中二点鎖線参照)のウェビング12において、ショルダベルト12Bとラップベルト12Aとは、タングプレート16を境にして区分されている。
アンカブラケット18は、バックル14よりシート後方かつシート下方に設けられ、シートスライドレール104を介して図示しないフロアパネルに固定されている。
(バックル)
バックル14は、車両用シート28における乗員Pが着座するシートクッション30のシート幅方向外側(シート側方)に配置されており、図4に示されるように、例えばバックル本体部32が樹脂カバー34で覆われかつバックル本体部32の内部にウェビング12に取り付けられたタングプレート16が係合する構造(図1参照)を有している。タングプレート16は、ウェビング12の装着時にバックル14に挿入されて、バックル14と係合するようになっている。また、ウェビング12を外す際には、バックル14の解除ボタン(図示せず)によってタングプレート16の係合を解除できるようになっている。
(第1ネジ部材)
図2に示されるように、第1ネジ部材20は、後述する回動部36を介してバックル14のシート下方側に連結されている。この第1ネジ部材20は、バックル14からアンカブラケット18(図1参照)側へ向けて延設された長尺円筒部材により構成されており、この延設方向を軸線方向として円筒内部にネジ部としての雌ネジ38が形成されている。なお、第1ネジ部材20の円筒内部は、軸線方向におけるシート下方側の端部が外部と連通可能に開放されている。
図4に示されるように、回動部36は、バックル本体部32の一対の側壁部32Aの間に配置された第1ネジ部材20における軸線方向のシート上方側の端部20Aと一対の側壁部32Aとを回動可能に連結する回動シャフト36Aを有している。この回動シャフト36Aは、長手方向が車両側面視にてシート後方側へ向かうに連れてシート上方側へ傾けられた円柱部材(図2参照)により構成されており、この長手方向を中心として図5に示されるように、バックル14を第1ネジ部材20に対してシート幅方向内側に回動可能に連結している。
(第2ネジ部材)
図1に示されるように、第2ネジ部材22は、保持ブラケット40を介してアンカブラケット18にシート幅方向を軸方向として回動可能に連結されている。この第2ネジ部材22は、アンカブラケット18からバックル14側へ向けて延設されかつ第1ネジ部材20の円筒内部に挿入可能な径の長尺円柱部材により構成されている。第2ネジ部材22の外周面には、第1ネジ部材20の雌ネジ38と螺合されたネジ部としての雄ネジ42が形成されている。なお、図2に示されるように、保持ブラケット40は、ゴムブッシュ44を介してアンカブラケット18に締結されている。
(駆動機構部)
図2に示されるように、駆動機構部24は、モータ46と、第1ギヤ48と、第2ギヤ50とを含んで構成されている。モータ46は、保持ブラケット40における第2ネジ部材22と隣接する位置に取り付けられており、車両側面視にて駆動軸46Aが第2ネジ部材22の軸方向と平行になるように配置されている。
第1ギヤ48は、モータ46の駆動軸46Aの先端部に取り付けられており、駆動軸46Aの軸方向を中心に円盤状に形成されかつ外周面に歯48Aが形成された所謂平歯車とされている。
第2ギヤ50は、第2ネジ部材22における長手方向のシート下方側の端部に取り付けられており、第2ネジ部材22の軸方向を中心に円盤状に形成されかつ外周面に歯50Aが形成された所謂平歯車とされている。そして、第1ギヤ48の歯48Aと第2ギヤ50の歯50Aとは、互いに噛み合う構成とされており、これにより、モータ46の駆動力が第1ギヤ48及び第2ギヤ50を介して第2ネジ部材22に伝達されて第2ネジ部材22が軸方向中心に回転可能とされている。
(ガイド部材)
ガイド部材26は、第1摺動部材54と、第2摺動部材56とを含んで構成されている。第1摺動部材54は、バックル14に連結された第1ネジ部材20の外周面20Bに設けられており、第1ネジ部材20の軸線方向に沿って延設された円筒部材により構成されている。つまり、第1摺動部材54は、バックル14側に設けられている。なお、第1摺動部材54の円筒内部における長手方向のシート下方側の端部は、外部と連通可能に開放されている。
第2摺動部材56は、保持ブラケット40における第2ネジ部材22と隣接する位置に設けられていると共に、第1ネジ部材20の軸線方向を長手方向とする円柱部材により構成されており、第1摺動部材54の円筒内部に挿入されている。つまり、第2摺動部材56は、保持ブラケット40を介してアンカブラケット18側に設けられている。以上の構成により、第1摺動部材54と第2摺動部材56とは、第1ネジ部材20の軸線方向に沿って相対移動が可能とされている。また、第1ネジ部材20の軸線方向を中心にする回転方向にて第2摺動部材56が第1摺動部材54の対向部としての円筒内面54Aに対向しかつ当接する構成とされている。
(第1実施形態の作用・効果)
次に、第1実施形態の作用並びに効果を説明する。
本実施形態では、図1に示されるように、車両用シートベルト装置10は、車両用シート28に着座した乗員Pを拘束するウェビング12に取り付けられたタングプレート16がシートクッション30の側方にて係合するバックル14を有している。このバックル14には、第1ネジ部材20が連結されており、第1ネジ部材20は、アンカブラケット18側へ延設されかつ延設方向が軸線方向とされた雌ネジ38が形成されている。一方、アンカブラケット18には、第2ネジ部材22が連結されており、この第2ネジ部材22は、第1ネジ部材20と螺合された雄ネジ42が形成されている。また、図2に示されるように、車両用シートベルト装置10には、ガイド部材26が設けられており、ガイド部材26は、バックル14側に設けられた第1摺動部材54と、アンカブラケット18側に設けられかつ第1摺動部材54と軸線方向に摺動可能とされた第2摺動部材56と、を有している。第1摺動部材54には、軸線方向を中心とする回転方向にて第2摺動部材56と対向する円筒内面54Aが設けられている。したがって、ガイド部材26によって第1ネジ部材20と第2ネジ部材22との軸線方向を中心とする相対回転が制限される。このため、駆動機構部24により第2ネジ部材22を軸線方向に回転させると、第1ネジ部材20を第2ネジ部材22に対して軸線方向に沿って相対移動させることができる。つまり、バックル14を図2に示されるように略シート上方側へ移動させた伸展状態と、図3に示されるように略シート下方側へ移動させた収縮状態との間で移動させることができる。これにより、バックル14をシート上方側へ移動させてタングプレート16の着脱を行い易くすることができる。また、第1ネジ部材20と第2ネジ部材22とは、螺合により同軸上に配置されているため、第1ネジ部材20及び第2ネジ部材22の軸線方向に直交するスペースを最小限にすることができる。これにより、小型化が容易となる。
さらに、第1ネジ部材20は、螺合によって第2ネジ部材22に対して軸線方向に相対移動することから、駆動機構部24を高出力にて回転させる必要がない。さらに、バックル14に第1ネジ部材20が連結されていることから、前方移動衝突時にバックル14をシート前方側へ引き出す方向に衝突荷重が作用した場合、第1ネジ部材20及びこれに螺合する第2ネジ部材22には軸線方向に沿って衝突荷重が作用する。したがって、軸線方向中心に第1ネジ部材20又は第2ネジ部材22を回転させる駆動機構部24のモータ46の回転方向と異なる向きに衝突荷重が入力される。このため、バックル14をシート前方側へ引き出す方向に衝突荷重が作用した際にバックル14の移動を抑制するためのストッパ機構や、衝突荷重の作用方向と反対方向にバックル14を移動させて衝突荷重を打ち消すための高出力の駆動源が不要となる。つまり、駆動機構部24等を軽量化及び小型化することができる。これにより、軽量化と搭載性を向上させながらタングプレート16ひいてはウェビング12の着脱を容易に行うことができる。
さらにまた、第1ネジ部材20は、回動部36を介してバックル14のシート下方側に連結されていることで、図5に示されるように、バックル14を第1ネジ部材20に対してシート幅方向内側に回動可能に連結している。したがって、車両用シートベルト装置10の伸展及び収縮によってバックル14が移動した場合においても、ウェビング12が乗員Pに追従し易くなる。これにより、ウェビング12の乗員Pへのフィッティング性を向上させることができる。さらにまた、保持ブラケット40は、ゴムブッシュ44を介してアンカブラケット18に締結されていることから、保持ブラケット40ひいてはガイド部材26を介してバックル14のシート幅方向の柔軟性が付与される。これにより、ウェビング12の乗員Pへのフィッティング性をさらに向上させることができる。
(第2実施形態)
次に、図6〜図8を用いて、本発明の第2実施形態に係る車両用シートベルト装置について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
この第2実施形態に係る車両用シートベルト装置70は、基本的な構成は第1実施形態と同様とされ、ウェビング12の伸び出し及びタングプレート16のバックル14への結合を検知してバックル14を移動させる点に特徴がある。
(ハードウェア構成)
すなわち、図6に示されるように、車両用シートベルト装置70は、駆動機構部24と、ウェビング引き出し検知センサ72と、タングプレート装着センサ74と、着座センサ76と、制御装置78とを有している。ウェビング引き出し検知センサ72は、図示しないシートベルトリトラクタに設けられており、シートベルトリトラクタにおけるウェビング12を巻き取る図示しないスプールがウェビング12の引き出し方向に回転したことを検知する。ウェビング引き出し検知センサ72は、バス73を介して制御装置78と通信可能に接続されている。
タングプレート装着センサ74は、バックル14に設けられており、タングプレート16がバックル14に係合されているか否かを検知する。タングプレート装着センサ74は、バス73を介して制御装置78と通信可能に接続されている。
着座センサ76は、車両用シート28(図1参照)に設けられており、車両用シート28に乗員Pが着座しているか否かを判定する。着座センサ76は、バス73を介して制御装置78と通信可能に接続されている。なお、タングプレート装着センサ74及び着座センサ76は、既存のシートベルトリマインダ装置であってもよい。
制御装置78は、CPU(Central Processing Unit)80、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)84及びストレージ86を含んで構成されている。各構成は、バス88を介して相互に通信可能に接続されている。
CPU80は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU80は、ROM82又はストレージ86からプログラムを読み出し、RAM84を作業領域としてプログラムを実行する。CPU80は、ROM82又はストレージ86に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM82又はストレージ86には、車両用シートベルト装置70のバックル14の移動を制御するバックル移動制御プログラムが格納されている。
ROM82は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM84は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ86は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
(機能構成)
上記のバックル移動制御プログラムを実行する際に、車両用シートベルト装置70は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。車両用シートベルト装置70が実現する機能構成について説明する。
図7は、車両用シートベルト装置70の機能構成の例を示すブロック図である。
図7に示されるように、車両用シートベルト装置70は、機能構成として、着座検知部90、ウェビング引き出し検知部92、タングプレート装着検知部94、判定部96及び出力部98を有している。各機能構成は、制御装置78のCPU80がROM82又はストレージ86(図6参照)に記憶されたバックル移動制御プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
着座検知部90は、車両用シート28に乗員Pが着座しているか否かを判定部96へ出力する。
ウェビング引き出し検知部92は、ウェビング12の引き出しが検知されたか否かを判定部96へ出力する。
タングプレート装着検知部94は、タングプレート16がバックル14に装着されているか否かを判定部96へ出力する。
判定部96は、着座検知部90、ウェビング引き出し検知部92及びタングプレート装着検知部94からの情報に基づいてバックル14を移動させるか否か及び移動させる場合の移動方向を判定する。すなわち、タングプレート16がバックル14に装着されていない状態にて車両用シート28に乗員Pが着座しておりかつウェビング12の引き出しが検知された場合に、タングプレート16がバックル14に装着されるまでバックル14をシート上方側へ移動させるように判定する。その状態にてタングプレート16がバックル14に装着された場合は、バックル14をシート下方側へ移動させるように判定する。判定部96は、判定結果を出力部98へ出力する。
出力部98は、判定部96の判定結果に基づき駆動機構部24のモータ46(図2参照)を作動させる。すなわち、判定部96がバックル14をシート上方側へ移動させるように判定した場合は、第1ネジ部材20と第2ネジ部材22との重なり量が少なくなる方向にモータ46を回転させる。一方、判定部96がバックル14をシート下方側へ移動させるように判定した場合は、第1ネジ部材20と第2ネジ部材22との重なり量が多くなる方向にモータ46を回転させる。なお、出力部98は、バックル14を移動可能な範囲における最下端に位置させた状態を基本状態としている。
(処理フロー)
次に、車両用シートベルト装置70の作用について説明する。図8は、車両用シートベルト装置70の動作の流れを示すフローチャートである。CPU80がROM82又はストレージ86からバックル移動制御プログラムを読み出して、RAM84に展開して実行することにより、バックル14の移動が行われる。
CPU80は、車両用シート28に乗員Pが着座しているか否かを判定する(ステップS100)。乗員Pが車両用シート28に着座していない場合(ステップS100:NO)、CPU80は、バックル移動制御プログラムに基づく処理を終了する。一方、乗員Pが車両用シート28に着座している場合(ステップS100:YES)、CPU80は、タングプレート16がバックル14に装着されているか否かを判定する(ステップS102)。タングプレート16がバックル14に装着されている場合(ステップS102:YES)、CPU80は、バックル移動制御プログラムに基づく処理を終了する。
タングプレート16がバックル14に装着されていない場合(ステップS102:NO)、CPU80は、ウェビング12の引き出しが検知されたか否かを判定する(ステップS104)。ウェビング12の引き出しが検知されない場合(ステップS104:NO)、CPU80は、ステップS100の処理へ戻る。一方、ウェビング12の引き出しが検知された場合(ステップS104:YES)、CPU80は、タングプレート16がバックル14に装着されたか否かを判定する(ステップS106)。タングプレート16がバックル14に装着された場合(ステップS106:YES)、CPU80は、バックル移動制御プログラムに基づく処理を終了する。
タングプレート16がバックル14に装着されていない場合(ステップS106:NO)、CPU80は、バックル14をシート上方側へ移動させる(ステップS108)。そして、CPU80は、タングプレート16がバックル14に装着されたか否かを判定する(ステップS110)。タングプレート16がバックル14に装着されていない場合(ステップS110:NO)、CPU80は、バックル14が移動可能な範囲における最上端に位置しているか否かを判定する(ステップS112)。バックル14が移動可能な範囲における最上端に位置していない場合(ステップS112:NO)、CPU80は、ステップS108の処理へ戻る。一方、バックル14が移動可能な範囲における最上端に位置している場合(ステップS112:YES)、CPU80は、バックル14の状態を維持させて(ステップS114)、その後ステップS110の処理へ戻る。
タングプレート16がバックル14に装着された場合(ステップS110:YES)、CPU80は、バックル14をシート下方側へ移動させる(ステップS116)と共に、バックル14が移動可能な範囲における最下端に位置しているか否かを判定する(ステップS118)。バックル14が移動可能な範囲における最下端に位置していない場合(ステップS118:NO)、CPU80は、ステップS116の処理へ戻る。一方、バックル14が移動可能な範囲における最下端に位置した場合(ステップS118:YES)、CPU80は、バックル14の状態を維持させて(ステップS120)、その後バックル移動制御プログラムに基づく処理を終了する。
(第2実施形態の作用・効果)
次に、第2実施形態の作用並びに効果を説明する。
上記構成によっても、ウェビング12の伸び出し及びタングプレート16のバックル14への結合を検知してバックル14を移動させる点以外は第1実施形態の車両用シートベルト装置10と同様に構成されているので、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、制御装置78によってタングプレート16がバックル14に装着されていない状態にて車両用シート28に乗員Pが着座しておりかつウェビング12の引き出しが検知された場合に、タングプレート16がバックル14に装着されるまでバックル14をシート上方側へ移動される。つまり、乗員Pが車両用シート28に着座してウェビング12を引き出した際にバックル14がシート上方側へ移動するため、タングプレート16をバックル14に装着し易くなる。さらに、タングプレート16がバックル14に装着された際は、制御装置78によってバックル14がシート下方側へ移動されることから、ウェビング12の弛みを減らして乗員Pの拘束性能を向上させることができる。以上の動作を乗員Pがスイッチ等の操作を行うことなく実施することができる。これにより、煩わしさを解消しながら利便性を向上させることができると共に、前方移動衝突時に乗員Pの拘束性能を向上させることができる。
(第3実施形態)
次に、図9〜図12を用いて、本発明の第3実施形態に係る車両用シートベルト装置について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
この第3実施形態に係る車両用シートベルト装置100は、基本的な構成は第1実施形態と同様とされ、プリテンショナ102が設けられている点に特徴がある。
すなわち、プリテンショナ102は、作動することによりバックル14を引き込むための装置である。図9に示されるように、このプリテンショナ102は、車両用シート28のシートスライドレール104に設けられている。具体的には、プリテンショナ102は、プリテンショナ本体部106と、引込案内部材108とを有しており、プリテンショナ本体部106は、円筒状に形成されている。そして、車両用シート28のシート下方側に、シート前後方向がプリテンショナ本体部106の長手方向となるように配置されている。プリテンショナ本体部106の内側には、可動部(図示せず)が設けられている。この可動部は、可撓性を有する荷重伝達部材110のシート前方側の端部(図示せず)が係合されている。
荷重伝達部材110は、可撓性を有する長尺状に構成され、バックル14とプリテンショナ102とに架け渡され、プリテンショナ102の作動時にプリテンショナ本体部106の内部に引き込まれる部材である。具体的には、荷重伝達部材110は、例えばワイヤであり、シート前方側の端部がプリテンショナ本体部106のシート後方側から可動部に係合されている。また、荷重伝達部材110のシート後方側の端部110Aは、後述する連結部材114を介してバックル14に係合されている。これによって、可動部とバックル14とは連結されている。なお、荷重伝達部材110は、バックル14の移動可能な範囲における最上端への移動を阻害しない長さに設定されている(図中二点鎖線参照)。
プリテンショナ102のシート後方側部は、引込案内部材108により構成されている。この引込案内部材108は、プリテンショナ本体部106のシート後方側の端部に結合されていると共に、車両側面視にてプリテンショナ本体部106からシート上方側へ突出された円状に形成されている。そして、荷重伝達部材110が引込案内部材108の外周に摺動可能とされている。
プリテンショナ102は、車両衝突時に図示しない制御部からの作動電流を受けて作動し、プリテンショナ本体部106内に高圧のガスを発生させて、そのガスの圧力により可動部をシート前方側へ移動させ、荷重伝達部材110を介してバックル14をシート前方側へ引き込む(図中破線から実線へ変化する)ようになっている。
図10に示されるように、連結部材114は、バックル14のシート下方側の端部と第1ネジ部材20のシート上方側の端部120Bとを連結している。具体的には、連結部材114は、図12に示されるように、第1ネジ部材20のシート上方側の一対の壁部120Aにより構成された端部120Bと、荷重伝達部材110のシート後方側の端部110Aとを挟む一対の側壁部114Aが形成されている。この一対の側壁部114Aと、第1ネジ部材20のシート上方側の端部20Aと、荷重伝達部材110のシート後方側の端部110Aとを回動部120を介して回動可能に連結している。回動部120は、図11に示されるように、連結部材114の一対の側壁部114Aと、第1ネジ部材20の一対の壁部120Aと、荷重伝達部材110のシート後方側の端部110Aとに挿通された回動シャフト122を有している。この回動シャフト122は、シート幅方向を長手方向とする円柱部材により構成されており、この長手方向を中心として荷重伝達部材110のシート後方側の端部110Aを連結部材114に対して回動可能に連結している。
また、連結部材114は、回動部36を介してバックル本体部32と回動可能に連結されている。これにより、図12に示されるように、バックル14が連結部材114ひいては第1ネジ部材20に対してシート幅方向内側(車両幅方向外側)に回動可能に連結されている。
(作動)
図9に示されるように、乗員Pがウェビング12を装着した状態で前方移動衝突が発生すると、プリテンショナ102が作動する。具体的には、プリテンショナ102が作動すると、プリテンショナ本体部106内に高圧のガスが発生し、そのガスの圧力により可動部(図示せず)がシート前方側へ移動し、荷重伝達部材110の図示しない前端部がシート前方側へ引き込まれる。これにより、バックル14が移動可能な範囲におけるシート下方側に位置している状態(図中点線参照)からバックル14及びこれに装着されたタングプレート16を介してラップベルト12Aは、図中実線に示されるようにシート下方側かつシート前方側へ引き込まれる。これにより、乗員Pの大腿部Fの腰部L側がシートクッション30に押し付けられる。したがって、腰部Lがラップベルト12Aの下側をすり抜けてシート前方側へ潜り込むサブマリン現象の発生を抑制することができる。
(第3実施形態の作用・効果)
次に、第3実施形態の作用並びに効果を説明する。
上記構成によっても、プリテンショナ102が設けられている点以外は第1実施形態の車両用シートベルト装置10と同様に構成されているので、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、前方移動衝突時に、プリテンショナ102を作動させることで、バックル14及びこれに装着されたタングプレート16を介してラップベルト12Aは、シート下方側かつシート前方側へ引き込まれる。これにより、乗員Pの大腿部Fの腰部L側がシートクッション30に押し付けられて骨盤の後傾が抑制されるので、サブマリン現象の発生を抑制することができる。
なお、上述した第1〜第3実施形態では、第1ネジ部材20に雌ネジ38が形成されると共に第2ネジ部材22に雄ネジ42が形成されている構成とされているが、これに限らず、第1ネジ部材20に雄ネジ42が形成されかつ第2ネジ部材22に雌ネジ38が形成された構成としてもよい。また、第2ネジ部材22を駆動機構部24により回転させる構成とされているが、これに限らず、第1ネジ部材20を回転させる構成としてもよい。
さらに、第1摺動部材54が円筒状に形成され第2摺動部材56が第1摺動部材54の円筒内部に挿入される円柱状に形成されているが、これに限らず、軸線方向を中心とする回転方向にて第1摺動部材54及び第2摺動部材56のどちらか一方に第1摺動部材54及び第2摺動部材56のどちらか他方と対向する対向部を備えていればその他の構成としてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
10 車両用シートベルト装置
12 ウェビング
14 バックル
16 タングプレート
18 アンカブラケット
20 第1ネジ部材
22 第2ネジ部材
24 駆動機構部
26 ガイド部材
28 車両用シート
30 シートクッション
38 雌ネジ(ネジ部)
42 雄ネジ(ネジ部)
54 第1摺動部材
54A 円筒内面(対向部)
56 第2摺動部材
70 車両用シートベルト装置
100 車両用シートベルト装置
P 乗員

Claims (1)

  1. 車両用シートに着座した乗員を拘束するウェビングと、
    前記車両用シートのシートクッションの側方にて前記ウェビングに取り付けられたタングプレートが係合するバックルと、
    前記バックルに連結されると共に、車両に固定されたアンカブラケット側へ延設されかつ延設方向を軸線方向としてネジ部が形成された第1ネジ部材と、
    前記アンカブラケットに連結されかつ前記第1ネジ部材に螺合されたネジ部が形成された第2ネジ部材と、
    前記第1ネジ部材又は前記第2ネジ部材を前記軸線方向中心に回転させる駆動機構部と、
    前記バックル側に設けられた第1摺動部材と、前記アンカブラケット側に設けられかつ前記第1摺動部材と前記軸線方向に摺動可能とされた第2摺動部材と、を有しており、前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材の一方には、前記軸線方向を中心とする回転方向にて前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材の他方と対向する対向部が設けられているガイド部材と、
    を有する車両用シートベルト装置。
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