JP2021115746A - サーマルプリントヘッド、および、サーマルプリントヘッドの製造方法 - Google Patents

サーマルプリントヘッド、および、サーマルプリントヘッドの製造方法 Download PDF

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【課題】スティッキング現象を抑制できるサーマルプリントヘッドを提供する。【解決手段】サーマルプリントヘッドA1において、主面11を有する基板1と、主面11の上に形成された電極層3と、主面11の上に形成された抵抗体層4とを備えた。抵抗体層4は、x方向に延び、かつ、電極層3に対して基板1とは反対側で電極層3に接して配置されており、z方向における基板1とは反対側を向く主面43を備えている。抵抗体層4の主面43は、x方向に直交するyz断面において、y方向の一方端から他方端側に向かってz方向の寸法である厚さ寸法の増加が止まる第1頂部431、および、y方向の他方端から一方端側に向かって厚さ寸法の増加が止まる第2頂部432を備える。抵抗体層4のyz断面において、第1頂部431と第2頂部432との間での厚さ寸法は、第1頂部431での厚さ寸法t1および第2頂部432での厚さ寸法t2のうち大きい方以下である。【選択図】図6

Description

本開示は、サーマルプリントヘッド、および、サーマルプリントヘッドの製造方法に関する。
特許文献1には、従来のサーマルプリントヘッドの一例が開示されている。同文献に開示されたサーマルプリントヘッドは、いわゆる厚膜タイプのサーマルプリントヘッドであって、基板、グレーズ層、電極層、抵抗体層、および保護層を備えている。当該サーマルプリントヘッドは、グレーズ層が形成された基板上に、電極層、抵抗体層、および保護層を積層することで形成されている。抵抗体層は、主走査方向に延びる帯状であり、電極層の共通電極の櫛歯状電極と個別電極とに接して配置されている。抵抗体層は、抵抗体ペーストを櫛歯状電極と個別電極とに交差する帯状に配置して焼成することで形成される。抵抗体層のうち櫛歯状電極と個別電極とに挟まれた部位が、選択的に通電されることで発熱して、印刷媒体に印字ドットを形成する。
抵抗体層の主走査方向に直交する断面は、副走査方向中央が上方に膨出した形状である。つまり、抵抗体層は、副走査方向中央部分が最も厚く、両端側に近づくほど薄くなっている。したがって、抵抗体層が通電されたとき、副走査方向中央部分に多くの電流が流れるので、副走査方向中央部分の発熱が顕著になる。このように、抵抗体層の副走査方向中央部分が高温になりやすいので、感熱紙などの印刷媒体の貼り付き(スティッキング現象)が発生しやすい。
特開2011−156665号公報
本開示は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、スティッキング現象を抑制できるサーマルプリントヘッドを提供すること、また、そのサーマルプリントヘッドの製造方法を提供することをその課題とする。
本開示の第1の側面によって提供されるサーマルプリントヘッドは、厚さ方向の一方を向く基板主面を有する基板と、前記基板主面の上に形成され、共通電極および複数の個別電極を有する電極層と、前記基板主面の上に形成された抵抗体層とを備え、前記共通電極は、副走査方向に延び、かつ、主走査方向に互いに離間して配置される複数の共通電極帯状部を有し、前記各個別電極は、前記副走査方向に延び、かつ、隣り合ういずれか2個の前記共通電極帯状部の間に配置される個別電極帯状部を有し、前記抵抗体層は、前記主走査方向に延び、かつ、前記電極層に対して前記基板とは反対側で、前記共通電極帯状部および前記個別電極帯状部に接して配置されており、前記厚さ方向における前記基板とは反対側を向く抵抗体主面を備え、前記抵抗体主面は、前記主走査方向に直交する断面において、前記副走査方向の一方端から他方端側に向かって前記厚さ方向の寸法である厚さ寸法の増加が止まる第1頂部、および、前記副走査方向の前記他方端から前記一方端側に向かって前記厚さ寸法の増加が止まる第2頂部を備え、前記抵抗体層の前記断面において、前記第1頂部と前記第2頂部との間での前記厚さ寸法は、前記第1頂部での前記厚さ寸法および前記第2頂部での前記厚さ寸法のうち大きい方以下である。
本開示の第2の側面によって提供されるサーマルプリントヘッドの製造方法は、基板を準備する準備工程と、前記基板の上に、電極層を形成する電極層形成工程と、前記電極層の上に、抵抗体層を形成する抵抗体層形成工程とを備え、前記抵抗体層は、主走査方向に延び、かつ、前記電極層に対して前記基板とは反対側で、前記電極層に接して配置されており、厚さ方向における前記基板とは反対側を向く抵抗体主面を備え、前記抵抗体主面は、前記主走査方向に直交する断面において、前記副走査方向の一方端から他方端側に向かって前記厚さ方向の寸法である厚さ寸法の増加が止まる第1頂部、および、前記副走査方向の前記他方端から前記一方端側に向かって前記厚さ寸法の増加が止まる第2頂部を備え、前記抵抗体層の前記断面において、前記第1頂部と前記第2頂部との間での前記厚さ寸法は、前記第1頂部での前記厚さ寸法および前記第2頂部での前記厚さ寸法のうち大きい方以下である。
本開示のサーマルプリントヘッドによれば、抵抗体層の副走査方向中央部分だけに電流が集中して高温になることを抑制できるので、スティッキング現象を抑制できる。
本開示のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
本開示の第1実施形態に係るサーマルプリントヘッドを示す平面図である。 図1のII−II線に沿う断面図である。 図1のサーマルプリントヘッドを示す要部拡大平面図である。 図3のIV−IV線に沿う要部拡大断面図である。 図1のサーマルプリントヘッドを示す要部拡大断面図である。 図1のサーマルプリントヘッドを示す要部拡大断面図である。 図1のサーマルプリントヘッドの製造方法の一例である第1製造方法の一工程を示す断面図である。 第1製造方法の一工程を示す断面図である。 第1製造方法の一工程を示す断面図である。 第1製造方法の一工程を示す断面図である。 第1製造方法の一工程を示す断面図である。 第1製造方法の一工程を示す断面図である。 第1製造方法の一工程を示す断面図である。 図1のサーマルプリントヘッドの製造方法の一例である第2製造方法の一工程を示す断面図である。 第2製造方法の一工程を示す断面図である。 第2製造方法の変形例の一工程を示す断面図である。 本開示の第2実施形態に係るサーマルプリントヘッドを示す要部拡大断面図である。 本開示の第3実施形態に係るサーマルプリントヘッドを示す要部拡大断面図である。 図18のサーマルプリントヘッドの製造方法の一例の一工程を示す断面図である。
以下、本開示の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
本開示において、「ある物Aがある物Bに形成されている」および「ある物Aがある物B上に形成されている」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに直接形成されていること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物を介在させつつ、ある物Aがある物Bに形成されていること」を含む。同様に、「ある物Aがある物Bに配置されている」および「ある物Aがある物B上に配置されている」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに直接配置されていること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物を介在させつつ、ある物Aがある物Bに配置されていること」を含む。同様に、「ある物Aがある物B上に位置している」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに接して、ある物Aがある物B上に位置していること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物が介在しつつ、ある物Aがある物B上に位置していること」を含む。また、「ある物Aがある物Bにある方向に見て重なる」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bのすべてに重なること」、および、「ある物Aがある物Bの一部に重なること」を含む。
<第1実施形態>
図1〜図6は、本開示に係るサーマルプリントヘッドの一例を示している。本実施形態のサーマルプリントヘッドA1は、基板1、グレーズ層2、電極層3、抵抗体層4、保護層5、駆動IC71、封止樹脂72、コネクタ73、配線基板74および放熱部材75を備えている。サーマルプリントヘッドA1は、プラテンローラ81との間に挟まれて搬送される印刷媒体82に印刷を施すプリンタに組み込まれるものである(図2参照)。このような印刷媒体82としては、たとえばバーコードシートやレシートを作成するための感熱紙が挙げられる。
図1は、サーマルプリントヘッドA1を示す平面図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。図3は、サーマルプリントヘッドA1を示す要部拡大平面図である。図4は、図3のIV−IV線に沿う要部拡大断面図である。図5は、サーマルプリントヘッドA1を示す要部拡大断面図であり、図4の一部を拡大した図である。図6は、サーマルプリントヘッドA1を示す要部拡大断面図であり、図5の一部を拡大した図である。なお、理解の便宜上、図1および図3においては、保護層5を省略している。また、これらの図において、サーマルプリントヘッドA1の長手方向(主走査方向)をx方向とし、短手方向(副走査方向)をy方向とし、厚さ方向をz方向として説明する。また、y方向については、図1および図3の下方(図2および図4の左方)を印刷媒体82が送られてくる上流側とし、図1および図3の上方(図2および図4の右方)を印刷媒体82が排出される下流側とする。以下の図においても同様である。
基板1は、たとえばAlN、Al23、ジルコニアなどのセラミックからなり、図1に示すように、z方向視においてx方向に長く延びる長矩形状の板状である。基板1の厚さは、たとえば0.6mm以上1.0mm以下である。基板1は、図4に示すように、主面11および裏面12を有している。主面11および裏面12は、z方向において互いに反対側を向く面である。主面11は、図4の上方を向いている。裏面12は、図4の下方を向いている。図2に示すように、基板1の裏面12には、たとえばAlなどの金属からなる放熱部材75が設けられている。本実施形態では、サーマルプリントヘッドA1は、基板1に加えて、配線基板74を備えている。配線基板74は、たとえばガラスエポキシ樹脂からなる基材層とCuなどからなる配線層とが積層された基板である。基板1および配線基板74は、放熱部材75上で、互いに隣接して配置され、基板1上の駆動IC71と配線基板74の配線とが、ワイヤ61によって接続されている。配線基板74には、図1および図2に示すコネクタ73が設けられている。なお、サーマルプリントヘッドA1は、配線基板74を備えず、コネクタ73が基板1に設けられていてもよい。また、基板1、配線基板74および放熱部材75の材料および寸法は限定されない。
グレーズ層2は、基板1の主面11上に形成されており、たとえば非晶質ガラスなどのガラス材料からなる。このガラス材料の軟化点は、たとえば800〜850℃である。グレーズ層2は、ガラスペーストを厚膜印刷(スクリーン印刷)したのちに、これを焼成することにより形成されている。本実施形態においては、基板1の主面11の図に示すほぼすべてがグレーズ層2によって覆われている。
本実施形態においては、図4に示すように、グレーズ層2は、ヒーターグレーズ22および平坦層23を有する。ヒーターグレーズ22は、x方向に直交する断面(以下では、「yz断面」とする)の形状がz方向に膨出した形状であり、x方向に長く延びるz方向視帯状である。ヒーターグレーズ22は、グレーズ頂部223を有する。図5に示すように、グレーズ頂部223は、yz断面において、ヒーターグレーズ22のうち基板1から最も離れた部分であり、x方向に延びている。また、図4に示すように、ヒーターグレーズ22は、露出領域221を有する。露出領域221は、後述の個別電極帯状部38のy方向先端から露出した領域である。平坦層23は、ヒーターグレーズ22に隣接して形成されており、上面が平坦な形状である。平坦層23は、ヒーターグレーズ22の一部に重なっている。
なお、グレーズ層2の構成は特に限定されず、様々な構成とすることができる。また、グレーズ層2は、基板1の一部のみを覆う構成であってもよい。
電極層3は、抵抗体層4に通電するための経路を構成するためのものであり、導電性材料によって形成されている。電極層3は、たとえば添加元素としてロジウム、バナジウム、ビスマス、シリコンなどが添加されたレジネートAuからなる。電極層3は、レジネートAuのペーストを厚膜印刷したのちに、これを焼成することにより形成されている。電極層3は、複数のAu層を積層させることによって構成されてもよい。電極層3の厚さは、たとえば0.3μm以上1.5μm以下である。なお、電極層3の材料および厚さは限定されない。本実施形態においては、電極層3は、グレーズ層2上に形成されている。図3に示すように、電極層3は、共通電極33および複数の個別電極36を有している。なお、理解の便宜上、図3においては、共通電極33および個別電極36にハッチングを付している。同様に、後述するAg層351にもハッチングを付し、抵抗体層4に点描を付している。
共通電極33は、複数の共通電極帯状部34および連結部35を有している。連結部35は、基板1のy方向下流側端寄りに配置されており、x方向に延びる帯状である。複数の共通電極帯状部34は、各々が連結部35からy方向に延びており、x方向に等ピッチで互いに離間して配置されている。また、本実施形態においては、連結部35には、Ag層351が積層されている。Ag層351は、連結部35の抵抗値を低減させるためのものである。Ag層351の厚さは、たとえば2μm以上10μm以下である。
複数の個別電極36は、抵抗体層4に対して部分的に通電するためのものであり、共通電極33に対して逆極性となる部位である。個別電極36は、抵抗体層4から駆動IC71に向かって延びている。複数の個別電極36は、x方向に配列されており、各々が個別電極帯状部38、連結部37およびボンディング部39を有している。
各個別電極帯状部38は、y方向に延びた帯状部分であり、共通電極33の隣り合ういずれか2個の共通電極帯状部34の間に配置されている。隣り合う個別電極36の個別電極帯状部38と共通電極33の共通電極帯状部34との間隔はたとえば40μm以下となっている。隣り合う個別電極36の個別電極帯状部38と共通電極33の共通電極帯状部34との中心間距離は、たとえば20μm以上100μm以下である。
連結部37は、個別電極帯状部38から駆動IC71に向かって延びる部分である。連結部37は、平行部371および斜行部372を有する。平行部371は、一端がボンディング部39につながり、かつy方向に沿っている。斜行部372は、y方向に対して傾斜している。斜行部372は、y方向において平行部371と、個別電極帯状部38との間に挟まれている。また、複数の個別電極36は、駆動IC71に集約される。
ボンディング部39は、個別電極36のy方向端部に形成されており、平行部371に繋がっている。ボンディング部39には、個別電極36と駆動IC71とを接続するためのワイヤ61がボンディングされている。複数のボンディング部39は、第1ボンディング部39Aと第2ボンディング部39Bとを含む。隣り合う2つの第1ボンディング部39Aに挟まれた平行部371の幅(x方向における長さ)は、たとえば20μm以上30μm以下とされている。また、第2ボンディング部39Bは、y方向において第1ボンディング部39Aよりも抵抗体層4から遠ざかる側に位置する。第2ボンディング部39Bは、隣り合う2つの第1ボンディング部39Aに挟まれた平行部371につながっている。このような構成により、複数のボンディング部39は、連結部37のほとんどの部位よりも幅が大きいにも関わらず、たがいに干渉することが回避されている。連結部37のうち隣り合う第1ボンディング部39Aに挟まれた部位は、個別電極36において最も幅が小さい。
なお、電極層3の各部の形状および配置は特に限定されず、様々な構成とすることができる。また、電極層3の各部の材料も限定されない。
抵抗体層4は、電極層3を構成する材料よりも抵抗率が大であるたとえば酸化ルテニウムなどからなり、ヒーターグレーズ22上でx方向に延びる帯状に形成されている。抵抗体層4は、共通電極33の複数の共通電極帯状部34と複数の個別電極36の個別電極帯状部38とに交差し、接している。また、抵抗体層4は、共通電極33の複数の共通電極帯状部34と複数の個別電極36の個別電極帯状部38に対して基板1とは反対側に積層されている。抵抗体層4のうち各共通電極帯状部34と各個別電極帯状部38とに挟まれた部位が、電極層3によって部分的に通電されることにより発熱する発熱部41とされている。発熱部41の発熱によって印字ドットが形成される。抵抗体層4の厚さは、たとえば1μm以上10μm以下、好ましくは3μm以上10μm以下である。なお、抵抗体層4の材料および厚さは限定されない。本実施形態においては、図5および図6に示すように、抵抗体層4は、z方向視において、ヒーターグレーズ22のグレーズ頂部223と重なるように設けられている。なお、抵抗体層4は、必ずしもグレーズ頂部223に重なる必要はなく、ヒーターグレーズ22上に形成されていればよい。
抵抗体層4は、主面43を有している。主面43は、z方向において、基板1とは反対側(主面11が向く方向)を向く面である。本実施形態では、図6に示すように、主面43は第1頂部431、第2頂部432、および凹部433を有している。第1頂部431および第2頂部432は、yz断面において、厚さ(z方向の寸法)が極大になる部分である。第1頂部431は、y方向の一方端(上流側であり、図6においては左端)から他方端(下流側であり、図6においては右端)側に向かって、厚さが増加して減少に転じる(すなわち増加が止まる)部分である。第2頂部432は、y方向の他方端から一方端側に向かって、厚さが増加して減少に転じる(すなわち増加が止まる)部分である。凹部433は、第1頂部431と第2頂部432とに挟まれた部分であり、z方向に凹んだ部分である。凹部433は、z方向視において、ヒーターグレーズ22のグレーズ頂部223に重なっている。本実施形態では、第1頂部431での厚さt1と、第2頂部432での厚さt2とは、ほぼ等しい。凹部433での厚さは、厚さt1(t2)以下である。凹部433のうち厚さが極小になる部分の厚さt3は、厚さt1(t2)に近いのが望ましい。本実施形態では、厚さt1(t2)に対する厚さt3の割合は、90%以上100%以下である。なお、厚さt1,t2,t3は限定されない。厚さt1と厚さt2とは等しくなくてもよい。なお、抵抗体層4は、y方向に並び互いに平行である2本の部分に分かれて形成されてもよい。この場合には、2本の部分の間に抵抗体層4が存在しない部分が形成され、当該部分は厚さt3=0になる。つまり、厚さt1(t2)に対する厚さt3の割合は、0%以上100%以下であればよい。第1頂部431、第2頂部432、および凹部433は、x方向に延びている。
本実施形態において、抵抗体層4は、後述する製造方法に記載のように、x方向に直線状に延び、互いに平行である2本の抵抗体ペーストを配置し、焼成することで形成される。抵抗体層4の形成方法の詳細は後述する。
保護層5は、電極層3および抵抗体層4を保護するためのものであり、抵抗体層4および電極層3のほぼ全体を覆っている。ただし、保護層5は、複数の個別電極36のボンディング部39を含む領域を露出させている。保護層5は、第1保護層51および第2保護層52を備えている。
第1保護層51は、抵抗体層4および電極層3に直接当接する。図4に示すように、第1保護層51は、y方向において、基板1の下流側端縁手前(たとえば端縁より0.1〜0.5mm手前)から個別電極36のボンディング部39の手前にわたる領域に形成されており、電極層3の大部分を覆っている。なお、第1保護層51は、y方向において、基板1の下流側端縁まで形成されていてもよい。第1保護層51は、たとえば非晶質ガラスなどのガラス材料からなる。このガラス材料の軟化点は、たとえば700℃程度である。第1保護層51の厚さは、たとえば0.5μm以上10μm以下である。なお、第1保護層51の材料および厚さは限定されない。
第2保護層52は、第1保護層51の外側(基板1とは反対側)に形成されている。本実施形態では、第2保護層52は、y方向において、第1保護層51のy方向下流側の端縁から個別電極36の斜行部372の中央付近にわたる領域に形成されている。また、本実施形態では、第2保護層52は、第1保護層51のy方向下流側の端部を覆って基板1に接しており、第1保護層51の端部から第2保護層52の厚みの分だけy方向下流側まで形成されている。なお、第2保護層52が形成される範囲は限定されない。第2保護層52は、z方向視において、少なくとも抵抗体層4の印字に寄与する部分の全体を覆っていればよく、第1保護層51の全体を覆ってもよい。
本実施形態では、第2保護層52は、例えばSiALONにより形成されている。SiALONは、チッ化珪素(Si34)にアルミナ(Al23)とシリカ(SiO2)を合成したチッ化珪素系のエンジニアリングセラミックスである。第2保護層52は、例えばスパッタリング法によって形成される。第2保護層52の厚さは、たとえば1μm以上10μm以下である。なお、第2保護層52の材料および厚さは限定されない。第2保護層52は、熱伝導性、耐摩耗性、耐熱性に優れているものが望ましい。
駆動IC71は、複数の個別電極36を選択的に通電させることにより、抵抗体層4を部分的に発熱させる機能を果たす。駆動IC71には、複数のパッドが設けられている。駆動IC71のパッドと複数の個別電極36とは、それぞれにボンディングされた複数のワイヤ61を介して接続されている。ワイヤ61は、たとえばAuからなる。図1および図2に示すように、駆動IC71およびワイヤ61は、封止樹脂72によって覆われている。封止樹脂72は、たとえば黒色の軟質樹脂からなる。また、駆動IC71とコネクタ73とは、ワイヤ61おおび配線基板74の配線を介して接続されている。
次に、サーマルプリントヘッドA1の製造方法の一例について、図7〜図13を参照しつつ以下に説明する。図7〜図13はそれぞれ、サーマルプリントヘッドA1の製造方法の一工程を示す断面図である。図7、図12、および図13は、図4に示す断面に対応する。また、図8〜図11は、図5に示す断面に対応する。
まず、たとえばAlN、Al23、ジルコニアなどからなる基板1を準備する。次いで、基板1上にガラスペーストを厚膜印刷した後に、これを焼成することを複数回繰り返すことにより、ヒーターグレーズ22および平坦層23を有するグレーズ層2を形成する。なお、本実施形態では、先に、ヒーターグレーズ22を形成し、その後、平坦層23を形成する。グレーズ層2を形成する順番は上記の逆でもよい。これにより、基板1上にグレーズ層2が形成される(図7参照)。
次いで、レジネートAuのペーストを厚膜印刷した後に、これを焼成することにより、金属膜を形成する。次いで、金属膜に対してたとえばエッチング等を用いたパターニングを施すことにより、電極層3を形成する。次いで、電極層3の連結部35上の所定領域にAgを含むペーストを厚膜印刷した後に、これを焼成することにより、Ag層351を形成する。これにより、図7および図8に示すように、基板1上に電極層3が形成される。
次いで、たとえば酸化ルテニウムなどの抵抗体を含む抵抗体ペーストを厚膜印刷し、これを焼成することにより、抵抗体層4を形成する。
本実施形態では、まず、図9に示すように、基板1の主面11側に、スクリーン91を配置する。スクリーン91は、メッシュスクリーンでもよく、メタルスクリーン(メタルマスク)でもよい。メタルスクリーンを使用する場合には、スクリーン91は、z方向に貫通するスリット91a,91bが形成された薄い金属板である。スリット91a,91bは、z方向視において、x方向に長く延びる細長矩形状に形成されており、互いに平行である。スリット91aとスリット91bとは、z方向視において同じ形状である。スリット91aとスリット91bとの間隔Wは、本実施形態では、10μm以上100μm以下である。なお、望ましくは、20μm以上80μm以下である。間隔Wが小さいほど、形成される抵抗体層4の第1頂部431と第2頂部432とが近づいて、凹部433での厚さが、第1頂部431での厚さt1(第2頂部432での厚さt2)に近づく。しかし、間隔Wが小さすぎると、形成される抵抗体層4は、凹部433のない、y方向中央が上方に膨出した形状になってしまう。なお、間隔Wは、限定されず、抵抗体ペーストの組成などによって異なる。
次に、グレーズ層2および電極層3が形成された基板1に、スクリーン印刷の技法により、抵抗体ペーストを印刷する。これにより、スリット91a,91bにより抵抗体ペーストが通過した位置にだけ、抵抗体ペーストが配置される。その後、スクリーン91を取り除く。これにより、図10に示すように、電極層3上に、スリット91aを通過した第1抵抗体ペースト4Aと、スリット91bを通過した第2抵抗体ペースト4Bとが配置される。第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bは、x方向に直線状に延び、互いに平行に配置されている。
なお、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4B(両方まとめて示す場合は、単に「抵抗体ペースト」と記載する場合がある)のyz断面の形状は、抵抗体ペーストの組成によって異なる。抵抗体ペーストの粘度が低い場合、当該形状は、底面側(図10において下方側)が広がり、主面側(図10において上方側)が曲面になる。また、スクリーン91のスリット91aとスリット91bとの間隔Wが小さい場合、第1抵抗体ペースト4Aと第2抵抗体ペースト4Bとが、底面側で接触した状態になる場合もある。
なお、スクリーン91として、抵抗体ペーストを通過させる部分をメッシュにしたメッシュスクリーンを利用して、スクリーン印刷を行ってもよい。この場合、抵抗体ペーストの粘度が高いと、電極層3上に配置された抵抗体ペーストの表面に、凹凸が形成される場合がある。本実施形態では、抵抗体ペーストの表面を平坦にすることを優先させて、スリット91a,91bを設けたメタルスクリーンであるスクリーン91を採用している。抵抗体ペーストの粘度によってはメッシュスクリーンを使用してもよい。
その後、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bを焼成することによって、図11および図12に示すように、抵抗体層4が形成される。第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bは、バインダとして含んでいるガラス粒子が焼成による熱で軟化して流動化することで一体となり、上述した形状の抵抗体層4になる。たとえば第1抵抗体ペースト4Aだけが形成されている(第2抵抗体ペースト4Bが形成されていない)場合、流動化した第1抵抗体ペースト4Aが表面張力によって、y方向中央がz方向に膨出した形状の抵抗体層になる。しかし、本実施形態では、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bが隣接して(あるいは一部が重なって)配置されているので、抵抗体層4は、z方向に膨出した第1頂部431および第2頂部432と、その間に位置する凹部433とを有する形状になっている。
次いで、たとえばガラスペーストを厚膜印刷し、これを焼成することにより、第1保護層51を形成する。次いで、第2保護層52をスパッタリング法により形成する。これにより、図13に示すように、保護層5が形成される。そして、駆動IC71の実装およびワイヤ61のボンディング、基板1および配線基板74の放熱部材75への取り付けなどを行うことにより、図1〜図6に示したサーマルプリントヘッドA1が製造される。上記した製造方法は一例であり、これに限定されない。
次に、サーマルプリントヘッドA1の作用について説明する。
本実施形態によると、抵抗体層4の主面43は、厚さが極大になる第1頂部431および第2頂部432を有している。抵抗体層4は、通電時に流れる電流をy方向において分散させるので、y方向中央部分が最も厚く両端側に近づくほど薄くなる従来の抵抗体層と比較して、一部だけが発熱により高温になることを抑制できる。これにより、サーマルプリントヘッドA1は、従来のサーマルプリントヘッドと比較して、スティッキング現象を抑制できる。
また、本実施形態によると、第1頂部431での厚さt1と、第2頂部432での厚さt2とがほぼ等しい。したがって、第1頂部431を流れる電流と第2頂部432を流れる電流とが同等になるので、y方向における電流の分散が促進される。これにより、スティッキング現象をより抑制できる。
また、本実施形態によると、抵抗体ペーストの厚膜印刷において、スリット91aおよびスリット91bが互いに近接して形成されたスクリーン91が用いられる。これにより、近接または一部が重なる第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bが、基板1に配置される。よって、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bを焼成することで、上記した形状の抵抗体層4を形成できる。また、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bは、スクリーン91を用いたスクリーン印刷の技法により、1度の印刷で配置されるので、抵抗体層4の形成工程にかかる時間を短縮できる。また、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bは、z方向視において同じ形状であるスリット91aおよびスリット91bが形成されたスクリーン91を用いて、スクリーン印刷の技法により形成される。したがって、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bのyz断面形状は同様になる。これにより、焼成によって形成された抵抗体層4の第1頂部431での厚さt1と第2頂部432での厚さt2とがほぼ等しくなる。
また、本実施形態によると、抵抗体層4を形成する工程で用いられるスクリーン91は、スリット91a,91bが形成された薄い金属板であり、スリット91a,91bを通過した第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bが基板1に配置される。したがって、抵抗体ペーストの粘度が高い場合には、メッシュスクリーンを利用したスクリーン印刷によって配置される場合と比較して、配置された抵抗体ペーストの表面を平坦にできる。これにより、抵抗体層4の表面を平坦にできる。
なお、本実施形態では、抵抗体層4が、スクリーン印刷により形成される場合について説明したが、これに限られない。抵抗体層4は、ディスペンサーを用いて形成されてもよい。この場合の製造方法の一例について、図14〜図15を参照しつつ以下に説明する。図14および図15はそれぞれ、サーマルプリントヘッドA1の他の製造方法の一工程を示す断面図であり、図5に示す断面に対応する。なお、以下では、先に説明した製造方法を「第1製造方法」と記載し、以下に説明する製造方法を「第2製造方法」と記載する。
第2製造方法は、第1製造方法に対して、抵抗体層4の形成工程が異なるだけであり、その他の工程は第1製造方法と同様である。したがって、抵抗体層4を形成する工程以外の説明を省略する。
第2製造方法における抵抗体層4の形成工程では、まず、図14に示すように、ディスペンサー95での抵抗体ペーストの塗布により、第1抵抗体ペースト4Aを配置する。
次いで図15に示すように、ディスペンサー95での抵抗体ペーストの塗布により、第2抵抗体ペースト4Bを配置する。第2抵抗体ペースト4Bは、第1抵抗体ペースト4Aに平行に、また、本実施形態では、第1抵抗体ペースト4Aと所定の距離だけ離間して配置される。第1抵抗体ペースト4Aと第2抵抗体ペースト4Bとの距離は、抵抗体ペーストの組成などによって異なる。また、第1製造方法の場合と同様に、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bのyz断面の形状は、抵抗体ペーストの組成によって異なる。抵抗体ペーストの粘度が低い場合、第2抵抗体ペースト4Bは、第1抵抗体ペースト4Aの一部に重なるように配置されてもよい。
その後、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bを焼成することによって、第1製造方法の図11および図12に示す状態と同様に、抵抗体層4が形成される。
第2製造方法によっても、近接または一部が重なる第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bが、基板1に配置される。よって、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bを焼成することで、上記した形状の抵抗体層4を形成できる。また、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bは、同じディスペンサー95で形成される。したがって、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bのyz断面形状は同様になる。これにより、焼成によって形成された抵抗体層4の第1頂部431での厚さt1と第2頂部432での厚さt2とがほぼ等しくなる。さらに、第2製造方法によりサーマルプリントヘッドA1を製造する場合、スクリーン91を準備する必要がない。
なお、図16に示すように、同じ形状の排出口が2個形成されたディスペンサー96を用いて、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bを一度に配置してもよい。当該変形例の場合でも、近接または一部が重なる第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bが、基板1に配置される。よって、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bを焼成することで、上記した形状の抵抗体層4を形成できる。また、排出口の形状が同じなので、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bのyz断面形状は同様になる。これにより、焼成によって形成された抵抗体層4の第1頂部431での厚さt1と第2頂部432での厚さt2とがほぼ等しくなる。また、スクリーン91を準備する必要がない。さらに、当該変形例の場合、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bを別々に配置する場合と比較して、抵抗体層4の形成工程にかかる時間を短縮できる。
図17および図18は、本開示の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
<第2実施形態>
図17は、本開示の第2実施形態に係るサーマルプリントヘッドを示している。図17は、サーマルプリントヘッドA2を示す要部拡大断面図であり、図6に対応する図である。本実施形態のサーマルプリントヘッドA2は、抵抗体層4が凹部433を有しておらず、水平部434を有している点で、上述した実施形態と異なっている。
本実施形態における抵抗体層4の主面43は、第1頂部431、第2頂部432、および水平部434を有している。第1頂部431、第2頂部432、および水平部434は、yz断面において、厚さが最大になる部分である。第1頂部431は、y方向の一方端から他方端側に向かって、厚さが増加して、厚さの増加が止まる部分である。第2頂部432は、y方向の他方端から一方端側に向かって、厚さが増加して、増加が止まる部分である。水平部434は、第1頂部431と第2頂部432とに挟まれた部分であり、厚さが第1頂部431での厚さt1および第2頂部432での厚さt2と等しい部分である。水平部434は、抵抗体層4のうち基板1から最も離れた部分であり、第1頂部431および第2頂部432を含んでいる。第1頂部431、第2頂部432、および水平部434は、x方向に延びている。
本実施形態において、抵抗体層4は、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bを配置する工程において、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bの配置位置および組成を調整することで形成される。第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bの配置位置の調整は、第1製造方法においては、スクリーン91のスリット91aとスリット91bとの間隔Wの調整により行われ、第2製造方法においては、ディスペンサー95による第2抵抗体ペースト4Bの配置での、第1抵抗体ペースト4Aに対する配置位置の調整により行われる。
本実施形態によると、抵抗体層4の主面43は、第1頂部431と第2頂部432との間に厚さが等しい水平部434を有している。したがって、第2実施形態に係る抵抗体層4は、第1実施形態に係る抵抗体層4と比較して、通電時に流れる電流をy方向においてより分散させることができる。したがって、サーマルプリントヘッドA2は、サーマルプリントヘッドA1と比較して、スティッキング現象をより抑制できる。
<第3実施形態>
図18は、本開示の第3実施形態に係るサーマルプリントヘッドを示している。図18は、サーマルプリントヘッドA3を示す要部拡大断面図であり、図6に対応する図である。本実施形態のサーマルプリントヘッドA3は、抵抗体層4がさらに第3頂部435および凹部436を有している点で、上述した実施形態と異なっている。
本実施形態における抵抗体層4の主面43は、第1頂部431、第2頂部432、第3頂部435、および凹部433,436を有している。第1頂部431、第2頂部432および第3頂部435は、yz断面において、厚さが極大になる部分である。第1頂部431は、y方向の一方端から他方端側に向かって、厚さが増加して減少に転じる(すなわち増加が止まる)部分である。第2頂部432は、y方向の他方端から一方端側に向かって、厚さが増加して減少に転じる(すなわち増加が止まる)部分である。第3頂部435は、第1頂部431と第2頂部432との間で、y方向に向かって厚さが増加から減少に転じる(すなわち増加が止まる)部分である。凹部433は、第1頂部431と第3頂部435とに挟まれた部分であり、z方向に凹んだ部分である。凹部436は、第3頂部435と第2頂部432とに挟まれた部分であり、z方向に凹んだ部分である。本実施形態では、第1頂部431での厚さt1、第2頂部432での厚さt2、および第3頂部435での厚さt5は、ほぼ等しい。なお、厚さt1,t2,t5は限定されない。厚さt5は、厚さt1,t2以下であるのが望ましい。第1頂部431、第2頂部432、第3頂部435、および凹部433,436は、x方向に延びている。
図19は、サーマルプリントヘッドA3の製造方法の一工程を示す断面図であり、図5に示す断面に対応する。当該製造方法は、サーマルプリントヘッドA1の製造方法である第1製造方法および第2製造方法に対して、抵抗体層4の形成工程が異なるだけであり、その他の工程は同様である。したがって、抵抗体層4の形成工程以外の説明を省略する。
サーマルプリントヘッドA3の製造方法における抵抗体ペーストを配置する工程では、図19に示すように、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bに加えて、さらに第3抵抗体ペースト4Cを配置する。第3抵抗体ペースト4Cは、x方向に直線状に延び、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bに対して平行に配置されている。第1製造方法においては、スリット91aおよびスリット91bに加えてさらに3個目のスリットが形成されたスクリーン91を用いることで、第1抵抗体ペースト4A、第2抵抗体ペースト4B、および第3抵抗体ペースト4Cを配置する。また、第2製造方法においては、第1抵抗体ペースト4Aおよび第2抵抗体ペースト4Bを配置した後、さらに、ディスペンサー95で第3抵抗体ペースト4Cを配置する。また、第2製造方法の変形例においては、排出口が3個形成されたディスペンサー96を用いて、第1抵抗体ペースト4A、第2抵抗体ペースト4B、および第3抵抗体ペースト4Cを一度に配置する。
その後、第1抵抗体ペースト4A、第2抵抗体ペースト4B、および第3抵抗体ペースト4Cを焼成することによって、図18に示す抵抗体層4が形成される。抵抗体層4のyz断面形状(図18参照)は、第1抵抗体ペースト4A、第2抵抗体ペースト4B、および第3抵抗体ペースト4Cの配置位置および組成によって異なる。配置位置および組成を調整することにより、第1頂部431と第2頂部432とに挟まれた部分を水平部434として、第2実施形態に係るサーマルプリントヘッドA2(図17参照)としてもよい。
本実施形態によると、抵抗体層4の主面43は、厚さが極大になる第1頂部431、第2頂部432、および第3頂部435を有している。したがって、第3実施形態に係る抵抗体層4は、第1実施形態に係る抵抗体層4と比較して、通電時に流れる電流をy方向においてより分散させることができる。したがって、サーマルプリントヘッドA3は、サーマルプリントヘッドA1と比較して、スティッキング現象をより抑制できる。
本開示に係るサーマルプリントヘッドおよびサーマルプリントヘッドの製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本開示に係るサーマルプリントヘッドの各部の具体的な構成、および、本開示に係るサーマルプリントヘッドの製造方法の各工程の具体的な処理は、種々に設計変更自在である。
〔付記1〕
厚さ方向の一方を向く基板主面を有する基板と、
前記基板主面の上に形成され、共通電極および複数の個別電極を有する電極層と、
前記基板主面の上に形成された抵抗体層と、
を備え、
前記共通電極は、副走査方向に延び、かつ、主走査方向に互いに離間して配置される複数の共通電極帯状部を有し、
前記各個別電極は、前記副走査方向に延び、かつ、隣り合ういずれか2個の前記共通電極帯状部の間に配置される個別電極帯状部を有し、
前記抵抗体層は、
前記主走査方向に延び、かつ、前記電極層に対して前記基板とは反対側で、前記共通電極帯状部および前記個別電極帯状部に接して配置されており、
前記厚さ方向における前記基板とは反対側を向く抵抗体主面を備え、
前記抵抗体主面は、前記主走査方向に直交する断面において、前記副走査方向の一方端から他方端側に向かって前記厚さ方向の寸法である厚さ寸法の増加が止まる第1頂部、および、前記副走査方向の前記他方端から前記一方端側に向かって前記厚さ寸法の増加が止まる第2頂部を備え、
前記抵抗体層の前記断面において、前記第1頂部と前記第2頂部との間での前記厚さ寸法は、前記第1頂部での前記厚さ寸法および前記第2頂部での前記厚さ寸法のうち大きい方以下である、
サーマルプリントヘッド。
〔付記2〕
前記抵抗体主面は、
前記第1頂部と前記第2頂部との間で、前記厚さ方向に凹む凹部をさらに備えている、
付記1に記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記3〕
前記第1頂部から前記第2頂部までの間では、前記厚さ寸法が等しい、
付記1に記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記4〕
前記抵抗体主面は、
前記第1頂部と前記第2頂部との間で、前記厚さ寸法が増加から減少に転じる第3頂部をさらに備えている、
付記1に記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記5〕
前記抵抗体層の前記厚さ寸法の最大値は、1μm以上10μm以下である、
付記1ないし4のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記6〕
前記基板と前記電極層との間に介在するグレーズ層をさらに備え、
前記グレーズ層は、前記厚さ方向視において前記抵抗体層に重なり、かつ、前記主走査方向に直交する断面の形状が前記厚さ方向に膨出した形状であるヒーターグレーズを有している、
付記1ないし5のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記7〕
基板を準備する準備工程と、
前記基板の上に、電極層を形成する電極層形成工程と、
前記電極層の上に、抵抗体層を形成する抵抗体層形成工程と、
を備え、
前記抵抗体層は、
主走査方向に延び、かつ、前記電極層に対して前記基板とは反対側で、前記電極層に接して配置されており、
厚さ方向における前記基板とは反対側を向く抵抗体主面を備え、
前記抵抗体主面は、前記主走査方向に直交する断面において、前記副走査方向の一方端から他方端側に向かって前記厚さ方向の寸法である厚さ寸法の増加が止まる第1頂部、および、前記副走査方向の前記他方端から前記一方端側に向かって前記厚さ寸法の増加が止まる第2頂部を備え、
前記抵抗体層の前記断面において、前記第1頂部と前記第2頂部との間での前記厚さ寸法は、前記第1頂部での前記厚さ寸法および前記第2頂部での前記厚さ寸法のうち大きい方以下である、
サーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記8〕
前記抵抗体層形成工程は、
前記電極層の上に、各々が前記主走査方向に直線状に延びる第1抵抗体ペーストおよび第2抵抗体ペーストを配置する配置工程と、
前記第1抵抗体ペーストおよび前記第2抵抗体ペーストを焼成することで前記抵抗体層を形成する焼成工程と、
を備える、
付記7に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記9〕
前記配置工程では、スクリーン印刷によって前記第1抵抗体ペーストおよび前記第2抵抗体ペーストを配置する、
付記8に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記10〕
前記配置工程では、前記主走査方向に延び、互いに平行である複数の通過部が形成されたスクリーンを用いて印刷を行う、
付記9に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記11〕
前記複数の通過部の間隔は、10μm以上100μm以下である、
付記10に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記12〕
前記複数の通過部の間隔は、20μm以上80μm以下である、
付記11に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記13〕
前記スクリーンは金属板であり、
前記複数の通過部はスリットである、
付記10ないし12のいずれかに記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記14〕
前記スクリーンはメッシュスクリーンであり
前記複数の通過部はメッシュである、
付記10ないし12のいずれかに記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記15〕
前記配置工程では、ディスペンサーによって、前記第1抵抗体ペーストおよび前記第2抵抗体ペーストを配置する、
付記8に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記16〕
前記配置工程では、前記ディスペンサーによって、まず、前記第1抵抗体ペーストを配置し、次に、前記第1抵抗体ペーストに平行に前記第2抵抗体ペーストを配置する、
付記15に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記17〕
前記ディスペンサーは、排出口が複数形成されており、
前記配置工程では、前記ディスペンサーによって、前記第1抵抗体ペーストおよび前記第2抵抗体ペーストを1度に配置する、
付記15に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記18〕
前記配置工程は、前記主走査方向に直線状に延びる第3抵抗体ペーストをさらに配置し、
前記焼成工程は、前記第1抵抗体ペースト、第2抵抗体ペースト、および前記第3抵抗体ペーストを焼成することで前記抵抗体層を形成する、
付記8ないし17のいずれかに記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記19〕
前記電極層形成工程より前に行われ、前記基板の上にグレーズ層を形成するグレーズ層形成工程と、
前記抵抗体層形成工程の後に行われ、少なくとも前記抵抗体層を覆う保護層を形成する保護層形成工程と、
をさらに備えている、
付記8ないし18のいずれかに記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
A1,A2,A3:サーマルプリントヘッド
1 :基板
11 :主面
12 :裏面
2 :グレーズ層
22 :ヒーターグレーズ
221 :露出領域
223 :グレーズ頂部
23 :平坦層
3 :電極層
33 :共通電極
34 :共通電極帯状部
35 :連結部
351 :Ag層
36 :個別電極
37 :連結部
371 :平行部
372 :斜行部
38 :個別電極帯状部
39 :ボンディング部
39A :第1ボンディング部
39B :第2ボンディング部
4 :抵抗体層
41 :発熱部
43 :主面
431 :第1頂部
432 :第2頂部
433 :凹部
434 :水平部
435 :第3頂部
436 :凹部
5 :保護層
51 :第1保護層
52 :第2保護層
61 :ワイヤ
71 :駆動IC
72 :封止樹脂
73 :コネクタ
74 :配線基板
75 :放熱部材
81 :プラテンローラ
82 :印刷媒体
4A :第1抵抗体ペースト
4B :第2抵抗体ペースト
4C :第3抵抗体ペースト
91 :スクリーン
91a,91b:スリット
95,96:ディスペンサー

Claims (19)

  1. 厚さ方向の一方を向く基板主面を有する基板と、
    前記基板主面の上に形成され、共通電極および複数の個別電極を有する電極層と、
    前記基板主面の上に形成された抵抗体層と、
    を備え、
    前記共通電極は、副走査方向に延び、かつ、主走査方向に互いに離間して配置される複数の共通電極帯状部を有し、
    前記各個別電極は、前記副走査方向に延び、かつ、隣り合ういずれか2個の前記共通電極帯状部の間に配置される個別電極帯状部を有し、
    前記抵抗体層は、
    前記主走査方向に延び、かつ、前記電極層に対して前記基板とは反対側で、前記共通電極帯状部および前記個別電極帯状部に接して配置されており、
    前記厚さ方向における前記基板とは反対側を向く抵抗体主面を備え、
    前記抵抗体主面は、前記主走査方向に直交する断面において、前記副走査方向の一方端から他方端側に向かって前記厚さ方向の寸法である厚さ寸法の増加が止まる第1頂部、および、前記副走査方向の前記他方端から前記一方端側に向かって前記厚さ寸法の増加が止まる第2頂部を備え、
    前記抵抗体層の前記断面において、前記第1頂部と前記第2頂部との間での前記厚さ寸法は、前記第1頂部での前記厚さ寸法および前記第2頂部での前記厚さ寸法のうち大きい方以下である、
    サーマルプリントヘッド。
  2. 前記抵抗体主面は、
    前記第1頂部と前記第2頂部との間で、前記厚さ方向に凹む凹部をさらに備えている、
    請求項1に記載のサーマルプリントヘッド。
  3. 前記第1頂部から前記第2頂部までの間では、前記厚さ寸法が等しい、
    請求項1に記載のサーマルプリントヘッド。
  4. 前記抵抗体主面は、
    前記第1頂部と前記第2頂部との間で、前記厚さ寸法が増加から減少に転じる第3頂部をさらに備えている、
    請求項1に記載のサーマルプリントヘッド。
  5. 前記抵抗体層の前記厚さ寸法の最大値は、1μm以上10μm以下である、
    請求項1ないし4のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
  6. 前記基板と前記電極層との間に介在するグレーズ層をさらに備え、
    前記グレーズ層は、前記厚さ方向視において前記抵抗体層に重なり、かつ、前記主走査方向に直交する断面の形状が前記厚さ方向に膨出した形状であるヒーターグレーズを有している、
    請求項1ないし5のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
  7. 基板を準備する準備工程と、
    前記基板の上に、電極層を形成する電極層形成工程と、
    前記電極層の上に、抵抗体層を形成する抵抗体層形成工程と、
    を備え、
    前記抵抗体層は、
    主走査方向に延び、かつ、前記電極層に対して前記基板とは反対側で、前記電極層に接して配置されており、
    厚さ方向における前記基板とは反対側を向く抵抗体主面を備え、
    前記抵抗体主面は、前記主走査方向に直交する断面において、副走査方向の一方端から他方端側に向かって前記厚さ方向の寸法である厚さ寸法の増加が止まる第1頂部、および、前記副走査方向の前記他方端から前記一方端側に向かって前記厚さ寸法の増加が止まる第2頂部を備え、
    前記抵抗体層の前記断面において、前記第1頂部と前記第2頂部との間での前記厚さ寸法は、前記第1頂部での前記厚さ寸法および前記第2頂部での前記厚さ寸法のうち大きい方以下である、
    サーマルプリントヘッドの製造方法。
  8. 前記抵抗体層形成工程は、
    前記電極層の上に、各々が前記主走査方向に直線状に延びる第1抵抗体ペーストおよび第2抵抗体ペーストを配置する配置工程と、
    前記第1抵抗体ペーストおよび前記第2抵抗体ペーストを焼成することで前記抵抗体層を形成する焼成工程と、
    を備える、
    請求項7に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
  9. 前記配置工程では、スクリーン印刷によって前記第1抵抗体ペーストおよび前記第2抵抗体ペーストを配置する、
    請求項8に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
  10. 前記配置工程では、前記主走査方向に延び、互いに平行である複数の通過部が形成されたスクリーンを用いて印刷を行う、
    請求項9に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
  11. 前記複数の通過部の間隔は、10μm以上100μm以下である、
    請求項10に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
  12. 前記複数の通過部の間隔は、20μm以上80μm以下である、
    請求項11に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
  13. 前記スクリーンは金属板であり、
    前記複数の通過部はスリットである、
    請求項10ないし12のいずれかに記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
  14. 前記スクリーンはメッシュスクリーンであり
    前記複数の通過部はメッシュである、
    請求項10ないし12のいずれかに記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
  15. 前記配置工程では、ディスペンサーによって、前記第1抵抗体ペーストおよび前記第2抵抗体ペーストを配置する、
    請求項8に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
  16. 前記配置工程では、前記ディスペンサーによって、まず、前記第1抵抗体ペーストを配置し、次に、前記第1抵抗体ペーストに平行に前記第2抵抗体ペーストを配置する、
    請求項15に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
  17. 前記ディスペンサーは、排出口が複数形成されており、
    前記配置工程では、前記ディスペンサーによって、前記第1抵抗体ペーストおよび前記第2抵抗体ペーストを1度に配置する、
    請求項15に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
  18. 前記配置工程は、前記主走査方向に直線状に延びる第3抵抗体ペーストをさらに配置し、
    前記焼成工程は、前記第1抵抗体ペースト、第2抵抗体ペースト、および前記第3抵抗体ペーストを焼成することで前記抵抗体層を形成する、
    請求項8ないし17のいずれかに記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
  19. 前記電極層形成工程より前に行われ、前記基板の上にグレーズ層を形成するグレーズ層形成工程と、
    前記抵抗体層形成工程の後に行われ、少なくとも前記抵抗体層を覆う保護層を形成する保護層形成工程と、
    をさらに備えている、
    請求項8ないし18のいずれかに記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
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