JP2021113435A - 耐力壁構造 - Google Patents
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Abstract
Description
このような耐力壁としては、隣り合う柱材間の開口部に筋交いを架け渡したり、隣り合う柱材間の開口部全面を覆うように構造用合板を張り付けたりすることで構成されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、比較的規模の大きな木造建物に、例えば規模の小さい木造の戸建て住宅に使用されるような通常の耐力壁を適用すると、粘り強さを発揮するための性質である靭性が十分でない場合があり、耐震性を維持しにくい。
前記隣り合う第一フレーム材2と前記第二フレーム材3との接合部には、外力を受けて前記パネル材4に破壊が生じた後にも、前記外力に抵抗するモーメント抵抗接合が適用されていることを特徴とする。
そのため、パネル材4に破壊が生じた後にも、隣り合う第一フレーム材2と第二フレーム材3からなるフレームが靭性の高い状態を確保・維持し、耐力壁1としての機能を損なわずに、外力に抵抗できることとなる。これにより、比較的規模の大きな木造建物でも十分な耐震性を維持することができる。
前記第二フレーム材3は複数備えられ、これら複数の第二フレーム材3は、前記第一フレーム材2の長さ方向に間隔を空けて配置されている。
前記第一フレーム材2と前記第二フレーム材3は、前記第一フレーム材2と前記第二フレーム材3との接合部に埋め込まれた複数の棒材5によって接合されており、
前記複数の棒材5は、少なくとも前記第一フレーム材2の長さ方向に並んで設けられていることを特徴とする。
前記第一フレーム材42から前記第二フレーム材43の端部に亘って鋼板46が埋め込まれ、
前記第一フレーム材42と前記第二フレーム材43は、これら第一フレーム材42と第二フレーム材43の各々の側面42e,43eから、複数のドリフトピン47が、前記第一フレーム材42及び前記第二フレーム材43と、前記鋼板46と、を貫通して差し込まれることによって接合されており、
前記第一フレーム材42側及び前記第二フレーム材43側の前記複数のドリフトピン47は、少なくとも前記第一フレーム材42の長さ方向に沿って並んで設けられていることを特徴とする。
前記パネル材4は、前記隣り合う第一フレーム材2のうち互いに対向する側面2d間に亘って設けられていることを特徴とする。
さらに、パネル材4を、隣り合う第一フレーム材2間に納めることができるので、耐力壁1の壁厚を抑えることができる。
前記パネル材4は、縦横の框材によって形成された枠体4aと、この枠体4aの少なくとも一側面に設けられた面材4bと、を有する中空パネル体として構成されていることを特徴とする。
前記パネル材14は、前記隣り合う第一フレーム材12のうち同一鉛直面上に配置された側面12e間に亘って設けられていることを特徴とする。
さらに、パネル材14を、隣り合う第一フレーム材12のうち同一鉛直面上に配置された側面12e間に亘って設けるだけで耐力壁1の耐力を向上できるので、パネル材14を製造する手間やコストを低減できるとともに、耐力壁11を組み立てる作業も効率良く行うことができる。
図1において符号1は、耐力壁を示す。この耐力壁1は、主として、例えば、中層・高層の木造建物や、延べ面積の広い木造建物のような、比較的規模の大きな木造建物の建築に使用されるものである。このような比較的規模の大きな木造建物以外にも、例えば、戸建て住宅のような比較的規模の小さな木造建物に使用してもよいし、このような建物のリフォーム時に採用してもよい。さらに、耐力壁1は、枠組壁工法やパネル工法による建物以外にも、木造軸組構法による建物に使用してもよいし、木造と非木造を組み合わせた混構造の建物に使用してもよい。
棒材7L,7Uとしては、異形棒鋼や全ねじボルト等のように、表面に凹凸のある長尺な棒材が好適に用いられる。
また、棒材7L,7Uによる耐力壁1と下部構造材及び上部構造材との接合には、グルードインロッド(GIR:Glued in Rod)と呼ばれる方法が採用される。より詳細に説明すると、棒材7L,7Uと上記の耐力壁1側の差込穴2b,2cとの空隙と、棒材7L,7Uと下部構造材及び上部構造材側の差込穴との空隙と、に接着剤を充填し、その接着剤の硬化により、応力を接着剤の付着力と棒材7L,7Uを介して伝達し、接合耐力を発生させる方法である。
なお、下棒材7Lは、耐力壁1の下端面に対して下方に突出して設けられる場合も、下部構造材の上面から上方に突出して設けられる場合もある。一方、上棒材7Uは、耐力壁1の上端面に対して上方に突出して設けられ、その上から、上部構造材(又は第二金物6U)が載せられる。
なお、本実施形態においては、棒材7L,7Uによる耐力壁1と下部構造材及び上部構造材との接合には、グルードインロッドの方法を採用したが、例えば接合用の金物を用いるなど、その他の方法を採用してもよい。
また、第一フレーム材2の下端部には、上記の差込穴2bが形成され、上端部には、上記の差込穴2cが形成されている。
また、第二フレーム材3は、耐力壁1に対して複数備えられており、これら複数の第二フレーム材3は、隣り合う第一フレーム材2の長さ方向に間隔を空けて配置されている。すなわち、本実施形態における耐力壁1は、隣り合う第一フレーム材2と、複数の第二フレーム材3と、によって略井桁状(又は梯子状)に形成された本体フレーム1aを備えている。
接合用棒材5としては、異形棒鋼や全ねじボルト等のように、表面に凹凸のある長尺な棒材が好適に用いられる。
また、複数の接合用棒材5による第一フレーム材2と第二フレーム材3との接合には、上記のグルードインロッドの方法が採用されている。すなわち、複数の接合用棒材5と第一フレーム材2側の複数の接合用差込孔2aとの空隙と、複数の接合用棒材5と第二フレーム材3側の複数の接合用差込穴3aとの空隙と、に接着剤を充填し、その接着剤の硬化により、応力を接着剤の付着力と複数の接合用棒材5を介して伝達し、接合耐力を発生させるようにする。
本実施形態においては、第二フレーム材3の両端部のそれぞれにおける上半部に、8本ずつの接合用棒材5が設けられ、両端部のそれぞれにおける下半部に、8本ずつの接合用棒材5が設けられている。さらに、上半部における8本ずつの接合用棒材5は、上側4本、下側4本になるように配置され、下半部における8本ずつの接合用棒材5も、上側4本、下側4本になるように配置されている。
また、第一フレーム材2側の複数の接合用差込孔2aと、第二フレーム材3側の複数の接合用差込穴3aは、これら複数の接合用棒材5と同じ数だけ形成されている。
ここで、靭性とは、耐力壁1に対して外力による変形が生じた後も壁としての機能が著しく低下しない粘り強さを発揮するための性質を指し、このような靭性は、隣り合う第一フレーム材2と第二フレーム材3との接合部に、複数の接合用棒材5によるモーメント抵抗接合が適用されることにより確保される。
より詳細に説明すると、パネル材4は、建築用木質パネルであり、図2に示すように、縦横の框材によって形成された枠体4aと、枠体4aの内部に組み込まれた補強桟材4cと、枠体4a及び補強桟材4cの表裏面に貼り付けられた面材4bと、を有する。枠体4aの内部には、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填される。なお、補強桟材4cは、図示例においては上下方向(縦)に伸びるものが1本のみ用いられているが、左右方向(横)に伸びる補強桟材が、縦に伸びる補強桟材4cと交差して設けられてもよいし、本数も1本に限られるものではない。
このようなパネル材4は、面材4bが枠体4aに接着されて一体化しているため、パーツ全体(枠体4a、面材4b)で剛性と強度を保持するようになっている。また、パネル材4自体は、木質であるため、ある程度の粘り強さも有しているが、耐力壁1が強い外力を受けた場合には、破壊が生じる場合がある。
さらに、パネル材4は、上下に間隔を空けて隣り合う第二フレーム材3間に組み込まれる。すなわち、パネル材4は、下側の第二フレーム材3における上面3bと、上側の第二フレーム材3における下面3cと、に亘って設けられている。
要するに、パネル材4は、左右に隣り合う第一フレーム材2と、上下に隣り合う第二フレーム材3と、によって形成される枠内に配置され、かつ、左右に隣り合う第一フレーム材2と、上下に隣り合う第二フレーム材3と、に接している。
なお、本実施形態においては、正背方向に隣接する2枚一組のパネル材4が、上記の枠内に配置されている。
複数のパネル材4の幅寸法(左右方向の寸法)は全て同一に設定されているが、最も下方のパネル材4は上下方向の寸法が他のパネル材4よりも長く、最も上方のパネル材4は上下方向の寸法が他のパネル材4よりも短く設定されている。
また、複数のパネル材4の厚さ寸法(正背方向の寸法)は、正背方向に隣接する2枚一組で、第一フレーム材2における正背方向の寸法と等しくなるように設定されている。
さらに、最も下方のパネル材4における下端面と、隣り合う第一フレーム材2における下端面は面一となっており、最も上方のパネル材4における上端面と、隣り合う第一フレーム材2における上端面は面一となっている。
第二金物6Uも、同様に鋼板であり、両端部に、耐力壁1を上部構造材に接続するための上記の上棒材7Uを通すための孔が複数形成されている。また、この第二金物6Uの上面及び下面における面積は、耐力壁1の上端面における面積と略等しい。
第二金物6Uは、両端部に形成された複数の孔に上棒材7Uを通して耐力壁1の上端面に接し、上部構造材と耐力壁1との間に挟まれた状態に設けられる。
なお、第一金物6L及び第二金物6Uの、耐力壁1への固定は、接着でもよいし、ビスなどの固定具によるものでもよい。ビスなどの固定具を使用する場合は、ビス孔が形成されている。
隣り合う第一フレーム材2間の間隔寸法は、540mmとされており、隣り合う第一フレーム材2間に設けられる第二フレーム材3の長さ(左右方向の寸法)も、540mmとされている。また、第二フレーム材3の上下方向の寸法は、215mmとされている。さらに、第二フレーム材3の厚さ寸法(正背方向の寸法)は、本実施形態においては180mmであるが、第二フレーム材3の厚さ寸法は180mmより薄くしてもよい(例えば図3等参照)。
接合用棒材5の長さ(左右方向の寸法)は、335mmとされている、また、第二フレーム材3の上面又は下面から直近の接合用棒材5までの間隔は、24〜30mm程度とされている。さらに、上半部又は下半部において上下に並ぶ接合用棒材5同士の間隔は、30mm前後とされているが、上半部の接合用棒材5と下半部の接合用棒材5との間隔は、30mm程度よりも広い。換言すれば、上半部に設けられる接合用棒材5と下半部に設けられる接合用棒材5同士の間隔は、上半部又は下半部において上下に並ぶ接合用棒材5同士の間隔よりも目に見えて明らかに広くなるように設定されていることが望ましい。ただし、用いられる接合用棒材5が多く、上半部に設けられる接合用棒材5と下半部に設けられる接合用棒材5同士の間隔を広く確保できない場合は、等間隔でもよい。
なお、このような寸法設定は、耐力壁1が導入される木造建物の大きさに応じて縮尺を適宜変更して使用してもよい。
従来公知の耐力壁の場合は、耐力壁に剛性を付与するパネル材に破壊が生じると、耐力壁としての機能を損なう。これに対して、本実施形態によれば、隣り合う第一フレーム材2と第二フレーム材3との接合部には、モーメント抵抗接合が適用されているため、パネル材4に破壊が生じた後にも、本体フレーム1aが靭性の高い状態を確保・維持しており、耐力壁1としての機能を損なわずに、外力に抵抗できることとなる。これにより、比較的規模の大きな木造建物でも十分な耐震性を維持することができる。
さらに、パネル材4を、隣り合う第一フレーム材2間に納めることができるので、耐力壁1の壁厚を抑えることができる。
図3は、上記の第1実施形態における耐力壁1の構成例を示しており、本構成例における耐力壁1Aは、上端部及び下端部に、第二フレーム材3が設けられている。
より詳細に説明すると、隣り合う第一フレーム材2間に設けられる複数の第二フレーム材3及び複数のパネル材4は、上下方向に交互に配置されているが、最も下方には第二フレーム材3が配置され、最も上方にも第二フレーム材3が配置されている。つまり、隣り合う第一フレーム材2と上下端部の第二フレーム材3によって矩形枠が形成され、その枠内に、他の第二フレーム材3と複数のパネル材4とが上下方向に交互に組み込まれた状態となっている。
なお、上端部の第二フレーム材3と、上から二番目の第二フレーム材3との間の隙間は狭いため、この隙間に設けられる最も上方のパネル材4は、他のパネル材4よりも簡略化された構成であってもよい。
上下端部の第二フレーム材3は、上下方向に並んで設けられる2本の接合用棒材5によって、第一フレーム材2に接合されている。すなわち、上下端部の第二フレーム材3は、両端部のそれぞれにおける上半部側と下半部側に設けられた接合用棒材5によって、第一フレーム材2に接合されている。なお、2本の接合用棒材5と、当該2本の接合用棒材5が差し込まれる接合用差込孔2a及び接合用差込穴3aは、棒材7L,7Uの一端が差し込まれる差込穴2b,2cを避けて配置されている。
なお、これら上下端部の第二フレーム材3については、両端部に2本ずつの接合用棒材5によって第一フレーム材2に接合されるものとしたが、1本ずつでもよい。両端部に1本ずつの接合用棒材5によって第一フレーム材2に接合される場合も、第一フレーム材2へのめり込みで圧縮し、接合用棒材5で引っ張りとなるのでモーメント抵抗接合されていることとなる。
また、他の複数の第二フレーム材3は、両端部のそれぞれにおける上半部に、10本ずつの接合用棒材5が設けられ、両端部のそれぞれにおける下半部に、10本ずつの接合用棒材5が設けられている。さらに、上半部における10本ずつの接合用棒材5は、上側5本、下側5本になるように配置され、下半部における10本ずつの接合用棒材5も、上側5本、下側5本になるように配置されている。
また、第一フレーム材2側の複数の接合用差込孔2aと、第二フレーム材3側の複数の接合用差込穴3aは、これら複数の接合用棒材5と同じ数だけ形成されている。
図4,図5に示す耐力壁11は、互いに間隔を空けて隣り合う第一フレーム材12と、隣り合う第一フレーム材12同士を連結する第二フレーム材13と、隣り合う第一フレーム材12同士を連結するパネル材4と、を備えている。
また、耐力壁11は、第一フレーム材12と第二フレーム材13とを接合するための複数の接合用棒材15と、隣り合う第一フレーム材12と複数の第二フレーム材3からなる本体フレーム11aを補強する複数の補強材16と、を更に備えている。
複数の第二フレーム材13のうち、上下端部の第二フレーム材13の厚さ寸法(正背方向の寸法)は、第一フレーム材12の厚さ寸法(正背方向の寸法)と等しく、隣り合う第一フレーム材12間に設けられた場合に、第一フレーム材12の表面と第二フレーム材13の表面が面一となる。
一方、複数の第二フレーム材13のうち、上下端部の第二フレーム材13以外のその他の第二フレーム材13は、上下端部の第二フレーム材13よりも厚さ寸法(正背方向の寸法)が短く設定されている。また、第一フレーム材12の正背方向中央に位置するように設けられている。ただし、上下端部の第二フレーム材13以外のその他の第二フレーム材13も、上下端部の第二フレーム材13と同じ厚さ寸法に設定されていてもよい。
なお、パネル材14は、一枚の大判なものでもよいし、複数に分割されたパネル材14を上下方向に並べて隣り合う第一フレーム材12間に設けるようにしてもよい。
また、パネル材14は、複数の第二フレーム材13のうち、少なくとも、上下端部の第二フレーム材13に接し、接着によって接合されている。
パネル材14は、第一フレーム材12や少なくとも上下端部の第二フレーム材13に対して接着により接合されているが、これに限られるものではなく、釘などの固定具によって固定されて接合されてもよい。
また、複数に分割されたパネル材14を上下方向に並べて設ける場合は、接着で接合されたパネル材14と、固定具によって接合されたパネル材14とが混在してもよい。さらに、例えば開口部が形成される箇所などのように、場合によっては、パネル材14が部分的に設けられなくてもよい。
複数の補強材16は、第一フレーム材12及び第二フレーム材13に対して接着接合されているが、例えばビス留めなど、その他の接合方法を採用するか適宜組み合わせて接合されるものとしてもよい。
上下端部の第二フレーム材13は、両端部のそれぞれにおいて、上下方向に並んで設けられる2本の接合用棒材15によって第一フレーム材2に接合されている。
さらに、他の複数の第二フレーム材13は、両端部のそれぞれにおける上半部に、2本ずつの接合用棒材15が設けられ、両端部のそれぞれにおける下半部に、2本ずつの接合用棒材15が設けられている。
また、第一フレーム材12側の複数の接合用差込孔12aと、第二フレーム材13側の複数の接合用差込穴13aは、これら複数の接合用棒材15と同じ数だけ形成されている。
すなわち、図6に示す例では、第二フレーム材13の両端部のそれぞれにおける上半部に、4本ずつの接合用棒材15が設けられ、両端部のそれぞれにおける下半部に、4本ずつの接合用棒材15が設けられている。
図7に示す例では、第二フレーム材13の両端部のそれぞれにおける上半部に、6本ずつの接合用棒材15が設けられ、両端部のそれぞれにおける下半部に、6本ずつの接合用棒材15が設けられている。また、上半部及び下半部における6本ずつの接合用棒材15は、2本ずつ上下三段に並んだ状態となっている。
図8に示す例では、第二フレーム材13の両端部のそれぞれにおける上半部に、6本ずつの接合用棒材15が設けられ、両端部のそれぞれにおける下半部に、6本ずつの接合用棒材15が設けられている。また、上半部及び下半部における6本ずつの接合用棒材15は、3本ずつ上下二段に並んだ状態となっている。
図9に示す例では、第二フレーム材13の両端部のそれぞれにおける上半部に、10本ずつの接合用棒材15が設けられ、両端部のそれぞれにおける下半部に、10本ずつの接合用棒材15が設けられている。このように数多く接合用棒材15を設ける必要がある場合は、第二フレーム材13の厚さ寸法を、第一フレーム材12と同じ長さにし、接合用棒材15を埋め込むことができるスペースを確保する。
さらに、パネル材14は、隣り合う第一フレーム材12のうち同一鉛直面上に配置された側面12e間に亘って設けられているので、パネル材14によって隣り合う第一フレーム材12同士を連結することができる。そのため、例えばパネル材14を用いずに、第一フレーム材12と第二フレーム材13だけで耐力を持たせようとする場合に比して、耐力壁11の耐力を向上させることができる。
さらに、パネル材14を、隣り合う第一フレーム材12のうち同一鉛直面上に配置された側面12e間に亘って設けるだけで耐力壁1の耐力を向上できるので、パネル材14を製造する手間やコストを低減できるとともに、耐力壁11を組み立てる作業も効率良く行うことができる。
図10に示す構成例では、複数の接合用棒材15Aとして、長ボルト又は全ねじボルトが用いられており、第一フレーム材12の左右側面から側方に突出する部分(突出部)に雄ネジ部が形成されている。
突出部には、角座金15aが設けられるとともにナット15bが設けられている。角座金15aは、複数の接合用棒材15Aのそれぞれに設けられるものであるため、複数の角座金15aは隣接し合い、回転を防止できるようになっている。
図11に示す構成例は、隣り合う第一フレーム材12と、複数の第二フレーム材13からなる本体フレーム11aの最も簡易な構造である。
すなわち、本構成例における本体フレーム11aは、隣り合う第一フレーム材12と上下端部の第二フレーム材13によって矩形枠状に形成されている。
また、隣り合う第一フレーム材12と上下端部の第二フレーム材13は、接合部に埋め込まれた複数の接合用棒材15によってモーメント抵抗接合されている。つまり、上下端部の第二フレーム材13は、両端部のそれぞれにおいて、上下方向に並んで設けられる2本の接合用棒材15によって第一フレーム材2に接合されている。
図12に示す耐力壁21は、互いに間隔を空けて隣り合う第一フレーム材22と、隣り合う第一フレーム材22同士を連結する第二フレーム材23と、隣り合う第一フレーム材22同士を連結するパネル材24と、を備えている。
また、隣り合う第一フレーム材22と複数の第二フレーム材23は、接合部に埋め込まれた複数の接合用棒材(図示省略)によってモーメント抵抗接合されている。
複数の第二フレーム材23は、隣り合う第一フレーム材22よりも厚さ寸法(正背方向の寸法)が短く設定されている。より具体的には、第一フレーム材22の正背方向における寸法の3分の1程度に設定されている。また、第一フレーム材22の正背方向中央に位置するように設けられている。
パネル材24の幅寸法(左右方向の寸法)は、第二フレーム材23の長さ方向(左右方向の寸法)と等しく、厚さ寸法(正背方向の寸法)は、第二フレーム材23の厚さ寸法(正背方向の寸法)と等しい。また、パネル材24を一枚の大判なものとする場合は、上下方向の寸法が、第一フレーム材22における上下方向の寸法と等しいが、複数に分割されたパネル材24を上下方向に並べる場合は、上下に並ぶ複数のパネル材24における上下方向の寸法を足し合わせた寸法が、第一フレーム材22における上下方向の寸法と等しい。
このようなパネル材24は、面材24bが枠体24aに接着されて一体化しているため、パーツ全体(枠体24a、面材24b)で剛性と強度を保持するようになっている。また、パネル材24自体は、木質であるため、ある程度の粘り強さも有しているが、耐力壁21が強い外力を受けた場合には、破壊が生じる場合がある。
さらに、パネル材24は、複数の第二フレーム材23の正面側と背面側であって、かつ隣り合う第一フレーム材22間に組み込まれる。要するに、パネル材24は、左右に隣り合う第一フレーム材22間に亘って配置され、かつ、複数の第二フレーム材23に接して設けられ、第二フレーム材23は、パネル材24によって正面及び背面からは見えない状態となる。
また、正面側に位置するパネル材24の背面は、複数の第二フレーム材23の正面に接し、背面側に位置するパネル材24の正面は、複数の第二フレーム材23の背面に接するが、これらの接触部位は接着によって接合されてもよいし、接合されていなくてもよい。
さらに、パネル材24を、耐力壁21の下端部から上端部にかけて連続的に、かつ耐力壁21の正面側と背面側に設けることができるので、表裏のパネル材24によって耐力壁21の耐力を向上させることができる。また、複数の第二フレーム材23をパネル材24によって遮蔽できる。
なお、本発明を適用可能な実施形態及び構成例は、上記のものに限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。また、以下の各変形例において、上記の実施形態及び構成例と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
本変形例における耐力壁31は、図13に示すように、互いに間隔を空けて隣り合う第一フレーム材32と、隣り合う第一フレーム材32同士を連結する第二フレーム材33と、隣り合う第一フレーム材32同士を連結するパネル材34と、を備えている。
第二フレーム材33は、第一フレーム材32に形成された差込穴32cに干渉しないように、耐力壁31の上端部と下端部には配置されない。
パネル材34は、枠体34aと面材34bとを有する中空パネル体であり、上下方向の寸法が、第一フレーム材32における上下方向の寸法と等しい。
また、隣り合う第一フレーム材32と複数の第二フレーム材33は、接合部に埋め込まれた複数の接合用棒材(図示省略)によってモーメント抵抗接合されている。さらに、パネル材34は、左右の外周面が、隣り合う第一フレーム材32に対して接着によって接合されている。
図14は、耐力壁41において、第一フレーム材42と第二フレーム材43との接合部における変形例を示している。より詳細に説明すると、第一フレーム材42から第二フレーム材43の端部に亘って鋼板46が埋め込まれ、第一フレーム材42と第二フレーム材43は、これら第一フレーム材42と第二フレーム材43の各々の側面42e,43eから、複数のドリフトピン47が、第一フレーム材42及び第二フレーム材43と、鋼板46と、を貫通して差し込まれることによって接合されている。
1a 本体フレーム
2 第一フレーム材
2a 接合用差込孔
2d 内側面
3 第二フレーム材
3a 接合用差込穴
4 パネル材
5 接合用棒材
Claims (7)
- 互いに間隔を空けて隣り合う第一フレーム材と、前記隣り合う第一フレーム材同士を連結する第二フレーム材と、前記隣り合う第一フレーム材同士を連結するパネル材と、を備えており、
前記隣り合う第一フレーム材と前記第二フレーム材との接合部には、外力を受けて前記パネル材に破壊が生じた後にも、前記外力に抵抗するモーメント抵抗接合が適用されていることを特徴とする耐力壁構造。 - 請求項1に記載の耐力壁構造において、
前記第二フレーム材は複数備えられ、これら複数の第二フレーム材は、前記第一フレーム材の長さ方向に間隔を空けて配置されていることを特徴とする耐力壁構造。 - 請求項1又は2に記載の耐力壁構造において、
前記第一フレーム材と前記第二フレーム材は、前記第一フレーム材と前記第二フレーム材との接合部に埋め込まれた複数の棒材によって接合されており、
前記複数の棒材は、少なくとも前記第一フレーム材の長さ方向に並んで設けられていることを特徴とする耐力壁構造。 - 請求項1又は2に記載の耐力壁構造において、
前記第一フレーム材から前記第二フレーム材の端部に亘って鋼板が埋め込まれ、
前記第一フレーム材と前記第二フレーム材は、これら第一フレーム材と第二フレーム材の各々の側面から、複数のドリフトピンが、前記第一フレーム材及び前記第二フレーム材と、前記鋼板と、を貫通して差し込まれることによって接合されており、
前記第一フレーム材側及び前記第二フレーム材側の前記複数のドリフトピンは、少なくとも前記第一フレーム材の長さ方向に沿って並んで設けられていることを特徴とする耐力壁構造。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の耐力壁構造において、
前記パネル材は、前記隣り合う第一フレーム材のうち互いに対向する側面間に亘って設けられていることを特徴とする耐力壁構造。 - 請求項5に記載の耐力壁構造において、
前記パネル材は、縦横の框材によって形成された枠体と、この枠体の少なくとも一側面に設けられた面材と、を有する中空パネル体として構成されていることを特徴とする耐力壁構造。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の耐力壁構造において、
前記パネル材は、前記隣り合う第一フレーム材のうち同一鉛直面上に配置された側面間に亘って設けられていることを特徴とする耐力壁構造。
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