JP2021113275A - ポリアミド系樹脂粉体の製造方法 - Google Patents

ポリアミド系樹脂粉体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粒径が小さく、かつ、粒径のばらつきが小さいポリアミド系樹脂の粉体を効率的に製造しやすいポリアミド系樹脂粉体の製造方法を提供する。【解決手段】ポリアミド系樹脂が前記ポリアミド系樹脂に対する良溶媒に溶解したポリアミド系樹脂溶液(a)と、前記ポリアミド系樹脂に対する少なくとも1種の貧溶媒を含む貧溶媒液(b1)とを接触させる接触工程を少なくとも含み、前記接触工程における供給界面領域の面積をXm2とし、ポリアミド系樹脂溶液(a)又は貧溶媒液(b)の添加速度をYkg/分としたとき、式(A):添加流束((kg/分)/m2)=Y/X 式(A)により算出される添加流束は400以下である、ポリアミド系樹脂粉体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド系樹脂粉体の製造方法に関する。
現在、液晶表示装置や有機EL表示装置等の画像表示装置は、テレビのみならず、携帯電話やスマートウォッチといった種々の用途で広く活用されている。こうした用途の拡大に伴い、フレキシブル特性を有する画像表示装置(フレキシブルディスプレイ)が求められている。
画像表示装置は、液晶表示素子又は有機EL表示素子等の表示素子の他、偏光板や位相差板及び前面板等の構成部材から構成される。フレキシブルディスプレイを達成するためには、これら全ての構成部材が柔軟性を有する必要がある。
これまで前面板としてはガラスが用いられている。ガラスは、透明度が高く、ガラスの種類によっては高硬度を発現できる反面、非常に剛直であり、割れやすいため、フレキシブルディスプレイの前面板材料としての利用は難しい。
そのため、ガラスに代わる材料として高分子材料の活用が検討されている。高分子材料からなる前面板はフレキシブル特性を発現し易いため、種々の用途に用いることが期待できる。柔軟性を有する樹脂としては種々のものが挙げられるが、例えばポリアミド系樹脂及びポリイミド系樹脂がある。
ポリアミド系樹脂及びポリイミド系樹脂を使用して前面板等の部材を製造する場合、取り扱い性の容易さのためにこれら樹脂の粉体が使用されている。例えば特許文献1には、特定の平均粒子径を有し、450nmにおける光線透過率が80%以上であるフィルムを得ることができるポリイミド粉体が開示されている。
国際公開第2017/179367号
本発明者は、ポリアミド系樹脂粉体の製造方法を検討するにあたり、粒径が小さく、かつ、粒径のばらつきが小さいポリアミド系樹脂粉体は、ポリアミド系樹脂粉体を製造する際の乾燥工程において、乾燥時間が短くなり、乾燥ムラが生じにくいと共に、ポリアミド系樹脂粉体を用いて光学フィルムを製造する際の溶解工程(例えばワニス製造工程)において、溶解時間が短くなり、溶解ムラが生じにくいことを見出していた。例えば特許文献1には、ポリイミド溶液にポリイミドの貧溶媒を加えてポリイミドを析出させて粉体を形成させるポリイミド粉体の製造方法が記載されている。しかしながら、本発明者の検討によれば、ポリアミド系樹脂の場合、貧溶媒の添加条件等によっては粒径が小さく、かつ、粒径のばらつきが小さいポリアミド系樹脂粉体を得られない場合があることがわかった。
したがって、本発明の目的は、粒径が小さく、かつ、粒径のばらつきが小さいポリアミド系樹脂の粉体を効率的に製造しやすいポリアミド系樹脂粉体の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、貧溶媒の添加方法に着目し、鋭意検討を行った。その結果、ポリアミド系樹脂が良溶媒中に溶解したポリアミド系樹脂溶液(a)を、特定の条件下で貧溶媒と接触させることを含むポリアミド系樹脂粉体の製造方法によって、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の好適な態様を含む。
〔1〕ポリアミド系樹脂が前記ポリアミド系樹脂に対する良溶媒に溶解したポリアミド系樹脂溶液(a)と、前記ポリアミド系樹脂に対する少なくとも1種の貧溶媒を含む貧溶媒液(b)とを接触させる接触工程を少なくとも含み、前記接触工程における供給界面領域の面積をXmとし、ポリアミド系樹脂溶液(a)又は貧溶媒液(b)の添加速度をYkg/分としたとき、式(A):
添加流束((kg/分)/m)=Y/X 式(A)
により算出される添加流束は400以下である、ポリアミド系樹脂粉体の製造方法。
〔2〕前記接触工程は、貧溶媒液(b)をポリアミド系樹脂溶液(a)に添加することにより行う、前記〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕前記接触工程において、貧溶媒液(b)をポリアミド系樹脂溶液(a)に添加する場合はポリアミド系樹脂溶液(a)の撹拌動力をZkW/mとし、ポリアミド系樹脂溶液(a)を貧溶媒液(b)に添加する場合は貧溶媒液(b)の撹拌動力をZkW/mとすると、式(B):
割合R=(Y/X)/Z 式(B)
により算出される、撹拌動力に対する前記添加流束の割合Rは300以下である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕前記接触工程は、割合Rが互いに異なる第1接触工程及び第2接触工程を少なくとも含み、第1接触工程における割合Rは、第2接触工程における割合Rよりも小さい、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
〔5〕第1接触工程における割合Rは150以下である、前記〔4〕に記載の製造方法。
〔6〕ポリアミド系樹脂溶液(a)の粘度は0.5〜100Pa・sである、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の製造方法。
〔7〕ポリアミド系樹脂は、ポリアミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂からなる群から選択される、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の製造方法。
〔8〕前記接触工程において、ポリアミド系樹脂溶液(a)又は貧溶媒液(b)の添加は、スプレー、滴下ノズル、シャワー及びノズル分散板からなる群から選択される1種以上を用いて行われる、前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の製造方法。
〔9〕前記添加はスプレーを用いて行われる、前記〔8〕に記載の製造方法。
〔10〕ポリアミド系樹脂溶液(a)は少なくとも1種の貧溶媒をさらに含む、前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の製造方法。
〔11〕ポリアミド系樹脂が前記ポリアミド系樹脂に対する良溶媒に溶解したポリアミド系樹脂溶液(a)と、前記ポリアミド系樹脂に対する少なくとも1種の貧溶媒を含む貧溶媒液(b)とを接触させて前記ポリアミド系樹脂溶液(a)を得る工程をさらに含む、前記〔10〕に記載の製造方法。
〔12〕ポリアミド系樹脂溶液(a)を得る工程において、ポリアミド系樹脂溶液(a)と貧溶媒液(b)とを接触させる際の供給界面領域の面積をPmとし、ポリアミド系樹脂溶液(a)又は貧溶媒液(b)の添加速度をQkg/分としたとき、式(C):
添加流束((kg/分)/m)=Q/P 式(C)
により算出される添加流束は400を超える、前記〔11〕に記載の製造方法。
本発明によれば、粒径が小さく、かつ、粒径のばらつきが小さいポリアミド系樹脂の粉体を製造しやすいポリアミド系樹脂粉体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。
本発明のポリアミド系樹脂粉体の製造方法(以下において、「本発明の製造方法」とも称する)は、ポリアミド系樹脂が前記ポリアミド系樹脂に対する良溶媒に溶解したポリアミド系樹脂溶液(a)と、前記ポリアミド系樹脂に対する少なくとも1種の貧溶媒を含む貧溶媒液(b)とを接触させる接触工程を少なくとも含み、前記接触工程における供給界面領域の面積をXmとし、ポリアミド系樹脂溶液(a)又は貧溶媒液(b)の添加速度をYkg/分としたとき、式(A):
添加流束((kg/分)/m)=Y/X 式(A)
により算出される添加流束は400以下である、接触工程を含む。
本発明の製造方法は、ポリアミド系樹脂溶液(a)と貧溶媒液(b)とを接触させる接触工程を少なくとも含み、該接触工程における添加流束が400以下である。
(ポリアミド系樹脂溶液(a))
ポリアミド系樹脂溶液(a)は、ポリアミド系樹脂が良溶媒中に溶解した溶液である。ここで、本明細書において、ポリアミド系樹脂とは、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及び、ポリアミドイミド前駆体樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を表す。ポリアミド樹脂は、アミド基を含む繰返し構造単位を含有する樹脂であり、ポリアミドイミド樹脂は、アミド基及びイミド基の両方を含む繰返し構造単位を含有する樹脂である。また、ポリアミドイミド前駆体樹脂は、イミド化によりポリアミドイミド樹脂を与えるイミド化前の前駆体であり、ポリアミック酸とも称される樹脂である。本明細書において、上記ポリアミドイミド前駆体樹脂を「ポリアミック酸樹脂」とも称する。
ポリアミド系樹脂溶液(a)は、例えば、ポリアミド系樹脂の原料モノマーを溶媒(中でも、ポリアミド系樹脂に対する良溶媒)中で重合させて得た反応溶液であってもよいし、単離したポリアミド系樹脂を良溶媒に溶解させて得た溶液であってもよいし、これらの溶液にさらに貧溶媒を添加して得た溶液であってもよい。ポリアミド系樹脂の合成からポリアミド系樹脂粉体を製造するまでの工程を効率的に実施しやすい観点からは、モノマーの重合反応を後述する良溶媒中で行い、得られた反応溶液をポリアミド系樹脂溶液(a)として用いるか、又は、得られた反応溶液に貧溶媒を添加して得た溶液をポリアミド系樹脂溶液(a)として用いることが好ましい。
ポリアミド系樹脂溶液(a)に含まれる良溶媒は、ポリアミド系樹脂を溶解させやすい溶媒であり、例えばポリアミド系樹脂に対する室温(20〜30℃)での溶解度が1質量%以上の溶媒をいう。ポリアミド系樹脂溶液に含まれる良溶媒は、1種類の溶媒であってもよいし、2種以上の溶媒の混合物であってもよい。良溶媒としては、例えば、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ−ブチロラクトン(GBL)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられる。なお、使用する溶媒が良溶媒であるか否かは下記の方法で確認することができる。溶媒にポリアミド系樹脂を1質量%となるように加え、必要に応じて加熱・撹拌等することにより溶媒に樹脂を溶解させ、室温(20〜30℃)状態での溶液が均一に透明になっていれば該溶媒は良溶媒であり、溶液が均一に透明になっていなければ、該溶媒は良溶媒ではなく貧溶媒である。例えば本実施例においては、容器に溶媒を測りとり、撹拌し、そこに、1質量%になるようにポリアミド系樹脂を入れ、室温(24℃)で3時間撹拌を行った。その結果、溶け残りがなく、溶液が均一に透明になっていれば良溶媒であり、溶け残りが存在した場合は良溶媒ではなく、貧溶媒であると判断できる。
良溶媒のポリアミド系樹脂に対する溶解度は、容積効率の観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。良溶媒のポリアミド系樹脂に対する溶解度の上限は特に限定されないが、貧溶媒の使用量を削減できる観点からは、好ましくは40質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。なお、本明細書において、ある溶媒Sのポリアミド系樹脂に対する溶解度は、G質量部の溶媒Sに溶解可能なポリアミド系樹脂の量がH質量部である場合、溶解度(%)=G/(G+H)×100の式により算出される値である。
ポリアミド系樹脂溶液(a)が、良溶媒を含有し、貧溶媒を含有しない場合、ポリアミド系樹脂溶液(a)における良溶媒の含有量は、操作上、扱いやすい粘度に調整しやすい観点から、ポリアミド系樹脂溶液の総量に対して好ましくは60質量%以上、より好ましくは75質量%以上である。また、ポリアミド系樹脂溶液における良溶媒の含有量は、貧溶媒の使用量を削減できる観点から、ポリアミド系樹脂溶液の総量に対して好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。
ポリアミド系樹脂溶液(a)が、良溶媒を含有し、貧溶媒を含有しない場合、ポリアミド系樹脂溶液(a)におけるポリアミド系樹脂の含有量は、容積効率の観点から、ポリアミド系樹脂溶液の総量に対して好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上である。また、ポリアミド系樹脂溶液におけるポリアミド系樹脂の含有量は、操作上、扱いやすい粘度に調整しやすい観点から、ポリアミド系樹脂溶液の総量に対して好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
ポリアミド系樹脂溶液(a)が、少なくとも1種の貧溶媒をさらに含む場合、ポリアミド系樹脂溶液(a)における良溶媒の含有量は、操作上、扱いやすい粘度に調整しやすい観点から、ポリアミド系樹脂溶液(a)の総量に対して好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。また、ポリアミド系樹脂溶液(a)における良溶媒の含有量は、貧溶媒の使用量を削減できる観点から、ポリアミド系樹脂溶液(a)の総量に対して好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
ポリアミド系樹脂溶液(a)が、少なくとも1種の貧溶媒をさらに含む場合、ポリアミド系樹脂溶液(a)におけるポリアミド系樹脂の含有量は、容積効率の観点から、ポリアミド系樹脂溶液の総量に対して好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。また、ポリアミド系樹脂溶液におけるポリアミド系樹脂の含有量は、操作上、扱いやすい粘度に調整しやすい観点から、ポリアミド系樹脂溶液の総量に対して好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
ポリアミド系樹脂溶液(a)が、少なくとも1種の貧溶媒をさらに含む場合、貧溶媒は、1種類の溶媒であってもよいし、2種以上の溶媒の混合物であってもよい。本明細書における貧溶媒は、ポリアミド系樹脂を溶解させにくい溶媒であり、例えばポリアミド系樹脂に対する室温(20〜30℃)での溶解度が1質量%未満の溶媒をいう。貧溶媒としては、例えば、メタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒(例えば炭素数1〜4のアルコール)、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、水が挙げられる。なお、使用する溶媒が貧溶媒であるか否かの評価方法は上記に述べた通りである。この場合、ポリアミド系樹脂溶液(a)は、1種類の貧溶媒をさらに含有してもよいし、2種以上の貧溶媒の混合溶媒をさらに含有してもよい。
ポリアミド系樹脂溶液(a)に含まれる貧溶媒は、好ましくは炭素数1〜4のアルコールを含む貧溶媒である。炭素数1〜4のアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等が挙げられる。ポリアミド系樹脂溶液(a)に含まれる貧溶媒は、1種類の炭素数1〜4のアルコールであってもよいし、2種以上の炭素数1〜4のアルコールの混合物であってもよいし、1種類又は2種以上の炭素数1〜4のアルコールと他の貧溶媒との混合物であってもよい。
ポリアミド系樹脂溶液(a)が、少なくとも1種の貧溶媒をさらに含む場合、ポリアミド系樹脂溶液(a)における貧溶媒の含有量は、操作上、扱いやすい粘度に調整しやすいことと、粒径が小さく、かつ、粒径のばらつきが小さいポリアミド系樹脂の粉体を効率的に製造しやすい観点から、ポリアミド系樹脂溶液の総量に対して好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。また、ポリアミド系樹脂溶液(a)における貧溶媒の含有量は、ポリアミド系樹脂溶液(a)中でのポリアミド系樹脂の析出を防ぎやすく、また生産効率を高める観点から、ポリアミド系樹脂溶液の総量に対して好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
ポリアミド系樹脂溶液(a)が、少なくとも1種の貧溶媒をさらに含む場合、本発明の製造方法は、ポリアミド系樹脂が前記ポリアミド系樹脂に対する良溶媒に溶解したポリアミド系樹脂溶液(a)と、前記ポリアミド系樹脂に対する少なくとも1種の貧溶媒を含む貧溶媒液(b)とを接触させて前記ポリアミド系樹脂溶液(a)を得る工程をさらに含んでよい。ポリアミド系樹脂溶液(a)を得る工程において、ポリアミド系樹脂溶液(a)と貧溶媒液(b)とを接触させる際の供給界面領域の面積をPmとし、ポリアミド系樹脂溶液(a)又は貧溶媒液(b)の添加速度をQkg/分としたとき、式(C):
添加流束((kg/分)/m)=Q/P 式(C)
により算出される添加流束は、特に限定されないが、生産効率を高めやすい観点から、好ましくは400を超える。
ポリアミド系樹脂溶液(a)に含まれる析出したポリアミド系樹脂の量は、続く貧溶媒液(b)との接触工程等において、粒径が小さく、かつ、粒径のばらつきが小さいポリアミド系樹脂の粉体を効率的に製造しやすい観点から、ポリアミド系樹脂溶液(a)に含まれるポリアミド系樹脂の全量に基づいて、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、さらにより好ましくは1質量%以下、とりわけ好ましくは0質量%である。なお、ポリアミド系樹脂溶液(a)に含まれる析出したポリアミド系樹脂の量は、ポリアミド系樹脂溶液(a)をろ過等することにより固液分離して、得られた固形物の質量を測定して得られる。また、ポリアミド系樹脂溶液(a)に含まれる析出したポリアミド系樹脂の量は、貧溶媒液(b)との接触工程を行う温度において測定した量であってよい。ポリアミド系樹脂溶液(a)に含まれる析出したポリアミド系樹脂の量が0質量%であるとは、ポリアミド系樹脂溶液(a)において、ポリアミド系樹脂が析出していないことを表す。
後述する、ポリアミド系樹脂溶液(a)と貧溶媒液(b)とを接触させる接触工程を経て、粒径が小さく、かつ、粒径のばらつきが小さいポリアミド系樹脂の粉体を製造しやすい観点からは、ポリアミド系樹脂の粉体が析出し始める時点を基準として、その時点の前後、及び、その時点以降の添加流束を調整することがとりわけ重要である。そのため、貧溶媒液(b)と接触させる前のポリアミド系樹脂溶液(a)においては、ポリアミド系樹脂の析出が生じていないことが好ましい。また、同様の観点から、ポリアミド系樹脂溶液(a)は、貧溶媒を含有しないか、又は、貧溶媒を含有する場合には、ポリアミド系樹脂溶液(a)に含まれる貧溶媒の量が、接触工程後に得られる混合物(固液分離工程前の混合物)に含まれる貧溶媒の量に対して、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは45質量%以下であることが好ましい。
ポリアミド系樹脂溶液(a)の粘度は、ポリアミド系樹脂溶液(a)のポリアミド系樹脂含有量、ポリアミド系樹脂の分子量等に応じて決まるが、生産効率を高めやすい観点から、好ましくは0.5Pa・s以上、より好ましくは0.6Pa・s以上、さらに好ましくは0.7Pa・s以上であり、操作上扱いやすく、また粒径が小さく、かつ、粒径のばらつきが小さいポリアミド系樹脂の粉体を製造しやすい観点から、好ましくは100Pa・s以下、より好ましくは50Pa・s以下、さらに好ましくは10Pa・s以下である。粘度の測定は粘度計を用いて行うことができ、例えば実施例に記載の測定条件にて測定することができる。
(貧溶媒液(b))
本発明の製造方法に含まれる接触工程において、ポリアミド系樹脂溶液(a)と貧溶媒液(b)とを接触させる。貧溶媒液(b)は、少なくとも1種類の貧溶媒を含む溶媒であり、1種類の貧溶媒であってもいし、2種類以上の貧溶媒の混合溶媒であってもよいし、ポリアミド系樹脂に対して貧溶媒液(b)としての混合溶媒が貧溶媒性を示す限りにおいて、1種類以上の貧溶媒と良溶媒とを含む混合溶媒であってもよい。貧溶媒としては、例えば、メタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒(例えば炭素数1〜4のアルコール)、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、水が挙げられる。なお、使用する溶媒が貧溶媒であるか否かの評価方法は上記に述べた通りである。
ポリアミド系樹脂溶液(a)と接触させる貧溶媒液(b)は、好ましくは水を含む溶媒であり、より好ましくは70質量%以上の水を含む溶媒である。貧溶媒液(b)が水を含む場合、その割合は、析出したポリアミド系樹脂に場合により含まれ得る良溶媒又はアルコールを除去しやすい観点から、貧溶媒液(b)の総量に基づいて好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらにより好ましくは60質量%以上、とりわけ好ましくは70質量%以上、とりわけより好ましくは75質量%以上、とりわけさらに好ましくは80質量%以上、ことさら好ましくは85質量%以上、ことさらより好ましくは90質量%以上である。また、貧溶媒(b)に含まれるアルコールの含有量は、貧溶媒(b)の総質量に対して、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、さらにより好ましくは3質量%以下である。
(接触工程)
本発明の製造方法は、ポリアミド系樹脂溶液(a)と貧溶媒液(b)とを接触させる接触工程を少なくとも含み、該接触工程における添加流束が400以下である。本発明の製造方法において、ポリアミド系樹脂溶液(a)と貧溶媒液(b)とを接触させる接触工程は、1段階の接触工程であってもよいし、2段階以上の接触工程であってもよい。ここで、接触工程が2段階以上であるとは、撹拌速度、添加速度、使用する貧溶媒の種類等において互いに異なる段階が2以上あることを意味する。
ポリアミド系樹脂溶液(a)と貧溶媒液(b)とを接触させる接触工程が2段階以上である場合、添加流束が400以下であるポリアミド系樹脂溶液(a)と貧溶媒液(b)とを接触させる接触工程を少なくとも含んでいればよい。
ポリアミド系樹脂溶液(a)と貧溶媒液(b)とを接触させる方法としては、これらが接触する限り特に限定されないが、例えば、ポリアミド系樹脂溶液(a)に貧溶媒液(b)を添加する方法、又は、貧溶媒液(b)にポリアミド系樹脂溶液(a)を添加する方法が挙げられる。粒径が小さく、かつ、粒径のばらつきが小さい粉体を得やすい観点からは、ポリアミド系樹脂溶液(a)と貧溶媒液(b)との接触を、ポリアミド系樹脂溶液(a)に貧溶媒液(b)を添加することにより行うことが好ましい。また、添加速度を調整しやすい観点から、滴下により添加を行うことがより好ましい。上記接触により、ポリアミド系樹脂が析出し、析出したポリアミド系樹脂を含む混合物が得られる。なお、析出したポリアミド系樹脂を含む混合物において、ポリアミド系樹脂溶液中に溶解していたポリアミド系樹脂の少なくとも一部のポリアミド系樹脂が析出していればよい。
上記接触工程における添加流束は、前記接触工程における供給界面領域の面積をXmとし、ポリアミド系樹脂溶液(a)又は貧溶媒液(b)の添加速度をYkg/分としたとき、式(A):
添加流束((kg/分)/m)=Y/X 式(A)
により算出される。本発明の製造方法に含まれる接触工程においては、上記添加流束が400以下である。
接触工程における供給界面領域の面積(Xm)は、ポリアミド系樹脂溶液(a)が貧溶媒液(b)に供給されるか、又は、貧溶媒液(b)がポリアミド系樹脂溶液(a)に供給されることにより、これらの各接触工程での最初の接触が生じる界面の領域の面積である。ポリアミド系樹脂溶液(a)又は貧溶媒液(b)の添加(供給)は、好ましくは、スプレー、滴下ノズル、シャワー及びノズル分散板からなる群から選択される1種以上を用いて行われる。例えば、貧溶媒液(b)をポリアミド系樹脂溶液(a)に供給することにより上記の接触工程が行われる場合、貧溶媒液(b)を、例えば1本又は複数本のノズルから供給してもよいし、複数の枝分かれを有するノズルを用いて供給してもよいし、1つ又は複数の、シャワー、スプレーを用いて供給してもよいし、ノズルの先に分散板を取り付ける方法で供給を行ってもよい。スプレーとしては、例えば、(株)いけうち社製の充円錐ノズルJJXP、多頭ノズル7JJXP、広角充円錐ノズルBBXP、山形扇形ノズルVP、偏心均等扇形ノズルINOVVE、(株)MISUMI社製の扇形ノズルNZRVFなどを用いて、貧溶媒(b)を供給することができる。シャワーとしては、例えば、SANEI(株)製のシャワーヘッドS1040F1や回転シャワーヘッドS1040F5などを用いて、貧溶媒(b)を供給することができる。ポリアミド系樹脂溶液(a)を貧溶媒液(b)に供給することにより上記の接触工程が行われる場合には、上記ノズル等からポリアミド系樹脂溶液(a)が供給される。
例えば1つの吐出口を有する1本のノズルを用いて供給を行う場合、該吐出口の内径断面積を供給界面領域の面積とする。2つ以上の吐出口を有する1本のノズルを用いて供給を行う場合、ノズルに設けられた全ての吐出口の内径断面積の合計を供給界面領域の面積とする。1つ又は2つ以上の吐出口を有するノズルを2本以上用いて供給を行う場合、1本のノズルを用いる場合と同様にして各ノズルについての供給界面領域を算出し、これらの合計を供給界面領域の面積とする。シャワーを用いる場合も、1つ又は2つ以上のシャワーに設けられた全ての吐出口の内径断面積の合計を供給界面領域の面積とする。スプレーを用いる場合、スプレーは、吐出口から広い領域に散布される機能を有するため、供給液の散布面積を供給界面領域の面積とする。言い換えると、1つ又は2以上の滴下ノズル及び/又はシャワーを用いて供給を行う場合、該滴下ノズル及び/又はシャワーに設けられた全ての吐出口の内径断面積の合計を供給界面領域の面積とし、スプレーを用いて供給を行う場合、該スプレーから吐出される吐出液が供給界面に散布される散布面積を供給界面領域の面積とする。ノズル分散板を用いる場合、該ノズル分散板から吐出される散布面積を供給界面領域の面積とする。ここで、例えば2本以上のノズルを用いて供給を行う場合に、各ノズルの供給界面領域が一部又は全部の領域において重複する場合は、各供給界面領域の面積の合計から、該重複する領域の面積を除した面積を、供給界面領域の面積とする。2以上のシャワー、スプレー等を用いる場合にも、重複する領域が存在する場合には、同様にして供給界面領域の面積を算出する。
スプレーノズルを用いる場合、粒径が小さく、かつ、粒径のばらつきが小さい粉体を得やすい観点からは、供給界面領域と釜断面積との比(供給界面領域/釜断面積)の下限値が、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.25以上となる条件で供給を行うことが好ましい。これにより、粒子の急激な析出や粗大化が抑制されやすくなる。前記比の上限値は特に限定されないが、操作上扱いやすい観点から、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.45以下である。
添加速度Y(kg/分)は、例えば、貧溶媒液(b)をポリアミド系樹脂溶液(a)に添加することにより接触工程を行う場合には、該接触工程において添加した貧溶媒液(b)の量を、貧溶媒液(b)の添加に要した時間で除することにより算出することができる。ポリアミド系樹脂溶液(a)を貧溶媒液(b)に添加することにより接触工程を行う場合には、該接触工程において添加したポリアミド系樹脂溶液(a)の量を、ポリアミド系樹脂溶液(a)の添加に要した時間で除することにより算出することができる。接触工程が添加速度において異なる2以上の工程を含む場合には、少なくとも1つの工程において添加流束が400以下であればよいが、各工程において添加した貧溶媒の量に基づいて加重平均として算出される加重平均添加速度Yを用いて算出される添加流束が400以下であることが好ましい。
上記の式により算出される添加流束(Y/X)が400を超える場合、局所的に貧溶媒の濃度が高い部分が生じやすい。また、貧溶媒濃度の変化が急激に生じやすい。貧溶媒の濃度が局所的に高くなりすぎると、局所的にポリアミド系樹脂粉体が急激に析出し、ポリアミド系樹脂粉体が不純物と共に析出したり、固体化したポリアミド系樹脂が溶媒を包含したりすることにより、微細な粉体を得にくくなる。貧溶媒濃度が急激に高くなることによっても、微細な粉体を得にくくなる。さらに、その結果、粒径のばらつきも生じやすくなる。上記の式により算出される添加流束(Y/X)が400以下であると、粒径が小さく、かつ、粒径のばらつきが小さい粉体を得ることができる。添加流束は、このような粉体を得やすい観点から、好ましくは400以下、より好ましくは300以下、さらに好ましくは100以下、さらにより好ましくは80以下である。添加流束(Y/X)の下限は特に限定されないが、生産効率を高めやすい観点からは、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1.0以上である。
添加は、連続的に行ってもよいし、間欠的に行ってもよい。添加を間欠的に行う場合、添加が行われている工程の添加速度を用いて添加流束を算出してよい。
上記の添加流束は、ポリアミド系樹脂溶液(a)と貧溶媒液(b)とを接触させる接触工程における添加速度(Ykg/分)及び供給界面領域の面積(Xm)を調整することにより、上記の所望の範囲に調整することができる。添加速度は、上記の通り、接触工程において添加した貧溶媒液(b)の量を、添加に要した時間で除することにより算出され、添加量と添加時間を調整することで調整できる。供給界面領域の面積(Xm)は、用いるノズルの内径断面積及び本数を調整する方法、スプレーノズルを使用する場合には、これらに加えてスプレーノズルの供給界面からの高さや吐出圧力を調整する方法等により、調整できる。
接触工程が、添加流束が互いに異なる2つ以上の工程を含む場合、少なくとも1つの工程において添加流束(Y/X)が400以下であればよいが、各工程の添加流束から、各工程において添加した貧溶媒の量に基づいて加重平均として算出される平均添加流束が400以下であることが好ましい。この場合の平均添加流束についても、上記の添加流束に関する好ましい記載および好ましい数値範囲が同様にあてはまる。
接触工程においては、通常、貧溶媒液(b)をポリアミド系樹脂溶液(a)に添加する場合はポリアミド系樹脂溶液(a)を撹拌しながら、ポリアミド系樹脂溶液(a)を貧溶媒液(b)に添加する場合は貧溶媒液(b)を撹拌しながら、接触工程を行う。ここで、貧溶媒液(b)をポリアミド系樹脂溶液(a)に添加する場合はポリアミド系樹脂溶液(a)の撹拌動力をZkW/mとし、ポリアミド系樹脂溶液(a)を貧溶媒液(b)に添加する場合は貧溶媒液(b)の撹拌動力をZkW/mとすると、式(B):
割合R=(Y/X)/Z 式(B)
により算出される、撹拌動力に対する前記添加流束の割合Rは、好ましくは300以下、より好ましくは150以下、さらに好ましくは100以下、さらにより好ましくは50以下である。また、割合Rは、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上である。割合Rが上記の上限以下であると、粒径のばらつきが小さくなり、下限以上であると生産効率を高めやすい。
撹拌動力(Z[kW/m])は、式(D):
Z=Np×ρ×(n/60)×d/V/1000 式(D)
により算出される。
(式(D)中、Npは動力数を表し、ρは液体密度[kg/m]を表し、nは撹拌回転数[rpm]を表し、dは撹拌翼の翼径[m]を表し、Vは液体の体積[m]を表す。)
動力数Npは、既往の文献式やメーカーカタログ記載の動力数Npとレイノルズ数Reとの相関から求めることができ、レイノルズ数Reは式(E)
Re=ρ×n/60×d/μ 式(E)
(式(E)中、μは液体粘度[Pa・s]を表し、ρは液体密度[kg/m]を表し、nは撹拌回転数[rpm]を表し、dは撹拌翼の翼径[m]を表す)
により算出される。
例えば、本実施例においては3枚後退翼を用いており、(株)神鋼環境ソリューションのカタログ「Glasslined Reactor」(No.114E、Printed in Japan Mar.2018)8ページに記載のNp−Re線図((3) Oval Section Three−blades retreat impeller with beaver−tail baffle、https://www.kobelco-eco.co.jp/product/process/punf_pdf/p_glasslinedreactor.pdf参照)から、動力数Npを求めている。
撹拌動力を調整し、割合Rを調整する方法としては、撹拌回転数を調整する方法や液体の体積を変更する方法が挙げられる。
前記接触工程は、割合Rが互いに異なる第1接触工程及び第2接触工程を少なくとも含むことが好ましい。また、この場合、第1接触工程における割合Rは、第2接触工程における割合Rよりも小さいことが好ましい。さらに、この場合、第1接触工程における割合Rは、粒径のばらつきを小さくする観点から、好ましくは150以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは50以下であり、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上である。また、第2接触工程における割合Rは、生産効率を高めやすい観点から、好ましくは300以下、より好ましくは150以下、さらに好ましくは100以下であり、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上である。
(固液分離工程)
上記の接触工程を経て、析出したポリアミド系樹脂と、良溶媒と、貧溶媒とを少なくとも含む混合物が得られる。該混合物を固液分離することにより、ポリアミド系樹脂粉体が得られる。なお、接触工程を経て得た混合物を固液分離すると、該混合物中に含まれていた析出したポリアミド系樹脂と該混合物中に含まれていた一部の溶媒とを含む、ポリアミド系樹脂組成物を得ることができる。該ポリアミド系樹脂組成物は、ウェットケーキとも称される組成物であり、ポリアミド系樹脂粉体を得るための中間体である。
固液分離の方法は特に限定されず、例えば、一般的にろ過と称される方法、具体的には、析出物と溶媒の透過性が異なるフィルターを介して、重力により分離する方法、遠心力により分離する方法、圧力差により分離する方法が挙げられる。使用可能なろ過器の例としては、遠心ろ過器、ドリュックフィルターろ過器、吸引ろ過器、減圧ろ過器等が挙げられる。
(乾燥工程)
本発明の製造方法は、さらに、ポリアミド系樹脂組成物を乾燥させ、ポリアミド系樹脂粉体を得る乾燥工程を含んでよい。乾燥条件は、ポリアミド系樹脂組成物中の溶媒が除去される限り特に限定されず、例えば、減圧又は大気圧条件下、約50〜250℃程度の温度で1〜48時間程度加熱する等の条件であってよい。生産効率を高めやすい観点からは、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上の温度で、好ましくは0.5〜10時間、より好ましくは1〜5時間加熱して、乾燥を行ってよい。
<ポリアミド系樹脂粉体>
本発明の製造方法により製造されるポリアミド系樹脂粉体は、L表色系に基づく色差測定(JIS Z 8781−4:2013に準拠)において、L≧90、−10≦a≦10、及び−10≦b≦10を満たすことが好ましい。上記色差測定におけるLは、最終的に得られる高分子材料の透明性、視認性を高めやすい観点から、好ましくは90以上、より好ましくは93以上、さらに好ましくは95以上である。Lの上限は特に限定されず、100以下であればよい。上記色差測定におけるaは、赤みの指標を表し、最終的に得られる高分子材料の視認性を高めやすい観点から、好ましくは−10以上10以下、より好ましくは−7以上7以下、さらに好ましくは−5以上5以下である。上記色差測定におけるbは、青みの指標を表し、最終的に得られる高分子材料の視認性を高めやすい観点から、好ましくは−10以上10以下、より好ましくは−5以上10以下、さらに好ましくは−3以上7以下である。上記色差は、色差計を用いて測定することができる。本発明の製造方法によれば、ポリアミド系樹脂粉体が析出する際に、ポリアミド樹脂溶液に含まれていた不純物等が析出物に含まれることを抑制することができる。そのため、本発明の製造方法によれば、上記のような色差値を有するポリアミド系樹脂粉体を製造しやすい。
本発明の製造方法により製造されるポリアミド系樹脂粉体について得た体積基準の粒度分布における、メディアン径(d50)は、該粉体を製造する際の粉体の乾燥しやすさ、及び、該粉体を用いて高分子材料を製造する際の粉体の溶解性の観点から、好ましくは10〜1,000μm、より好ましくは50〜800μm、さらに好ましくは100〜600μm、さらにより好ましくは200〜500μmである。粒度分布は、粒度分析計を用いて測定することができ、例えば実施例に記載する方法により測定することができる。
本発明の製造方法により製造されるポリアミド系樹脂粉体について得た体積基準の粒度分布におけるd10、d50及びd90から、式(F):
δ=(d90−d10)/d50 式(F)
により算出されるパラメータδは、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4.0以下、さらにより好ましくは3.0以下、とりわけ好ましくは1.5以下、とりわけより好ましくは1.0以下である。ここで、dは、得られた粒度分布において、頻度(小径側からの累積体積)がx%となる時点の粒径を表し、パラメータδが小さいほど粒径のばらつきが小さいことを表す。パラメータδが上記の上限以下である場合、該粉体を製造する際の粉体の乾燥ムラ、及び、該粉体を用いて高分子材料を製造する際の粉体の溶解性のムラを低減しやすい。
<ポリアミド系樹脂>
本発明の製造方法において、ポリアミド系樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂及びポリアミック酸樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であってよい。ポリアミド系樹脂は、1種類のポリアミド系樹脂であってもよいし、2種以上のポリアミド系樹脂の混合物であってもよい。ポリアミド系樹脂は、製膜性の観点から、好ましくはポリアミドイミド樹脂である。ポリアミド系樹脂は、芳香族系のポリアミド系樹脂であることが好ましい。ポリアミド系樹脂が芳香族系であるとは、ポリアミド系樹脂を構成する構成単位の好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは100モル%が、芳香族系の構造を含む構成単位であることを表す。
本発明の好ましい一実施形態において、ポリアミド系樹脂は、式(2)で表される構成単位を有するポリアミド樹脂であるか、又は、式(1)で表される構成単位及び式(2)で表される構成単位を有するポリアミドイミド樹脂であることが好ましい。以下において式(1)及び式(2)について説明するが、式(2)についての説明は、ポリアミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂の両方に関し、式(1)についての説明は、ポリアミドイミド樹脂に関する。
Figure 2021113275
[式(1)中、Yは4価の有機基を表し、Xは2価の有機基を表し、*は結合手を表す。式(2)中、Z及びXは、互いに独立に、2価の有機基を表し、*は結合手を表す。]
式(1)で表される構成単位は、テトラカルボン酸化合物とジアミン化合物とが反応して形成される構成単位であり、式(2)で表される構成単位は、ジカルボン酸化合物とジアミン化合物とが反応して形成される構成単位である。ポリアミド系樹脂が、芳香族系のポリアミド系樹脂である本発明の好ましい一態様において、式(1)で表される構成単位及び式(2)で表される構成単位を構成する、テトラカルボン酸化合物、ジアミン化合物及びジカルボン酸化合物の少なくとも1つが、芳香族化合物(芳香族テトラカルボン酸化合物、芳香族ジアミン化合物及び/又は芳香族ジカルボン酸化合物)であることが好ましい。
式(2)において、Zは、2価の有機基を表し、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基(これらの基における水素原子はハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換されていてもよい)で置換されていてもよい、炭素数4〜40の2価の有機基を表し、より好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基(これらの基における水素原子はハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換されていてもよい)で置換されていてもよい、環状構造を有する炭素数4〜40の2価の有機基を表す。なお、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基の例としては、後述する式(3)中のR3a及びR3bに関する例示が同様にあてはまる。環状構造としては、脂環、芳香環、ヘテロ環構造が挙げられる。Zの有機基として、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)及び式(29):
Figure 2021113275
[式(20)〜式(29)中、Wは、単結合、−O−、−CH−、−CH−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−C(CF−、−Ar−、−SO−、−CO−、−O−Ar−O−、−Ar−O−Ar−、−Ar−CH−Ar−、−Ar−C(CH−Ar−又は−Ar−SO−Ar−を表し、ここで、Arは、互いに独立に、水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリーレン基(例えばフェニレン基)を表し、*は結合手を表す]
で表される基の結合手のうち、隣接しない2つが水素原子に置き換わった基及び炭素数6以下の2価の鎖式炭化水素基が挙げられ、Zのヘテロ環構造としてはチオフェン環骨格を有する基が挙げられる。ポリアミド系樹脂粉体及び得られる光学部材の黄色度を抑制(YI値を低減)しやすい観点から、式(20)〜式(29)で表される基、及び、チオフェン環骨格を有する基が好ましく、式(26)、式(28)及び式(29)で表される基がより好ましい。
Zの有機基としては、式(20’)、式(21’)、式(22’)、式(23’)、式(24’)、式(25’)、式(26’)、式(27’)、式(28’)及び式(29’):
Figure 2021113275
[式(20’)〜式(29’)中、W及び*は、式(20)〜式(29)において定義した通りである]
で表される2価の有機基がより好ましい。なお、式(20)〜式(29)及び式(20’)〜式(29’)における環上の水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基(これらの基における水素原子はハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換されていてもよい)で置換されていてもよい。
ポリアミド系樹脂が、式(2)中のZが上記の式(20’)〜式(29’)のいずれかで表される構成単位を有する場合、中でも式(2)中のZが後述する式(3’)で表される構成単位を有する場合、ポリアミド系樹脂は、該構成単位に加えて、次の式(d1):
Figure 2021113275
[式(d1)中、R24は後述する式(3)中のR3aについて定義する基又は水素原子であり、R25は、R24又は−C(=O)−*を表し、*は結合手を表す]
で表されるカルボン酸由来の構成単位をさらに有することが、ワニスの成膜性を高めやすく、光学フィルムの均一性を高めやすい観点から好ましい。構成単位(d1)としては、具体的には、R24及びR25がいずれも水素原子である構成単位(ジカルボン酸化合物に由来する構成単位)、R24がいずれも水素原子であり、R25が−C(=O)−*を表す構成単位(トリカルボン酸化合物に由来する構成単位)等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂は、式(2)中のZとして複数種のZを含んでよく、複数種のZは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。本発明のポリアミド系樹脂粉体を用いて得られる光学フィルムの耐屈曲性、耐衝撃性を高めやすく、かつ、光学特性を高めやすい観点から、式(2)中のZが、好ましくは式(3):
Figure 2021113275
[式(3)中、R3a及びR3bは、互いに独立に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基を表し、R3a及びR3bに含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
Wは、互いに独立に、単結合、−O−、−CH−、−CH−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−S−、−CO−又は−N(R)−を表し、
は水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表し、
sは0〜4の整数であり、tは0〜4の整数であり、uは0〜4の整数であり、*は結合手を表す]
、より好ましくは式(3’):
Figure 2021113275
[式(3’)中、R3a、R3b、s、t、u、W及び*は、式(3)において定義した通りである]
で表される構成単位を少なくとも有することが好ましい。なお、本明細書において、ポリアミド系樹脂が式(2)中のZが式(3)で表される構成単位を有することと、ポリアミド系樹脂が式(2)中のZとして式(3)で表される構造を有することとは、同様の意味を有し、ポリアミド系樹脂に含まれる複数の式(2)で表される構成単位のうち、少なくとも一部の構成単位におけるZが式(3)で表されることを意味する。当該記載は、他の同様の記載にもあてはまる。
式(3)及び式(3’)において、Wは、互いに独立に、単結合、−O−、−CH−、−CH−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−S−、−CO−又は−N(R)−を表し、光学フィルムの耐屈曲性の観点から、好ましくは−O−又は−S−を表し、より好ましくは−O−を表す。
3a及びR3bは、互いに独立に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基を表す。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチル−ブチル基、3−メチルブチル基、2−エチル−プロピル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。光学フィルムの表面硬度及び柔軟性の観点から、R3a及びR3bは、互いに独立に、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基を表す。ここで、R3a及びR3bに含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
は水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表す。炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチル−ブチル基、3−メチルブチル基、2−エチル−プロピル基、n−ヘキシル、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられ、これらはハロゲン原子で置換されていてもよい。前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。ポリアミド系樹脂は、複数種のAを含み得、複数種のAは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(3)及び式(3’)中のt及びuは、互いに独立に、0〜4の整数であり、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。
式(3)中及び式(3’)中のsは0〜4の範囲の整数であり、sがこの範囲内であると、該ポリアミド系樹脂を含むフィルムの耐屈曲性や弾性率が良好になりやすい。式(3)及び式(3’)中のsは、該ポリアミド系樹脂を含むフィルムの耐衝撃性、弾性率及び耐屈曲性をより向上しやすい観点から、好ましくは0〜3の範囲の整数、より好ましくは0〜2の範囲の整数、さらに好ましくは0又は1、さらにより好ましくは0である。式(2)中のZとしてsが0である式(3)又は式(3’)で表される構造を含む構成単位は、例えばテレフタル酸又はイソフタル酸に由来する構成単位であり、該構成単位は、式(3)又は式(3’)中のsが0及びuが0である構造を含む構成単位であることが好ましい。光学フィルムの耐衝撃性、弾性率及び耐屈曲性を向上しやすい観点から、ポリアミド系樹脂はテレフタル酸に由来する構成単位を含むことが好ましい。ポリアミド系樹脂はZが式(3)又は式(3’)で表される構成単位を1種又は2種類以上含んでいてもよい。ポリアミド系樹脂粉体及び得られる光学部材の黄色度を低減しやすい観点、並びに、光学フィルムの耐衝撃性、弾性率及び耐屈曲性を向上しやすい観点からは、ポリアミド系樹脂は式(2)中のZとして、式(3)中又は式(3’)中のsの値が異なる2種類以上の構造を含むことが好ましく、式(3)又は式(3’)中のsの値が異なる2種類又は3種類の構造を含むことがより好ましい。この場合、光学フィルムの耐衝撃性、弾性率及び耐屈曲性を高めやすい観点、並びに、ポリアミド系樹脂粉体及び得られる光学フィルムの黄色度を低減しやすい観点から、ポリアミド系樹脂が式(2)で表される構成単位におけるZとして、sが0である式(3)で表される構造を含有し、該構造を含む構成単位に加えてsが1である式(3)で表される構造を含む構成単位をさらに含有することがさらに好ましい。また、sが0である式(3)で表されるZを有する式(2)で表される構成単位に加えて、上記の式(d1)で表される構成単位をさらに有することも好ましい。
本発明の好ましい一実施形態において、ポリアミド系樹脂は、式(3)又は式(3’)で表される構造(2価の基)として、s=0であり、かつu=0である構造を有する。本発明のより好ましい一実施形態において、ポリアミド系樹脂は、式(3)又は式(3’)で表される構造として、s=0であり、かつu=0である構造と、式(3”):
Figure 2021113275
で表される構造を有する。この場合、光学フィルムの耐衝撃性、弾性率及び耐屈曲性を向上させやすいと共に、ポリアミド系樹脂粉体及び光学フィルムの黄色度を低減しやすい。
ポリアミド系樹脂が、式(2)中のZが式(3)又は式(3’)で表される構成単位を有する場合、その割合は、ポリアミド系樹脂の式(1)で表される構成単位及び式(2)で表される構成単位の合計を100モル%としたときに、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上、さらにより好ましくは50モル%以上、とりわけ好ましくは60モル%以上であり、好ましくは90モル%以下、より好ましくは85モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下である。式(2)中のZが式(3)又は式(3’)で表される構成単位の割合が上記の下限以上であると、光学フィルムの耐衝撃性、弾性率及び耐屈曲性を高めやすい。式(2)中のZが式(3)又は式(3’)で表される構成単位の割合が上記の上限以下であると、式(3)由来のアミド結合間水素結合による樹脂含有ワニスの粘度上昇を抑制し、フィルムの加工性を向上しやすい。
また、ポリアミド系樹脂が式(2)中のZとしてs=1〜4である式(3)又は式(3’)で表される構造を有する場合、sが1〜4である式(3)又は式(3’)で表されるZを有する式(2)で表される構成単位の割合は、ポリアミド系樹脂の式(1)で表される構成単位及び式(2)で表される構成単位の合計を100モル%としたときに、好ましくは3モル%以上、より好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは7モル%以上、さらにより好ましくは9モル%以上であり、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下、さらに好ましくは50モル%以下、さらにより好ましくは30モル%以下である。sが1〜4である式(3)又は式(3’)で表されるZを有する式(2)で表される構成単位の割合が上記の下限以上であると、光学フィルムの耐衝撃性、弾性率及び耐屈曲性を高めやすい。sが1〜4である式(3)又は式(3’)で表されるZを有する式(2)で表される構成単位の割合が上記の上限以下であると、式(3)又は式(3’)で表される構造由来のアミド結合間水素結合による樹脂含有ワニスの粘度上昇を抑制し、フィルムの加工性を向上しやすい。なお、式(1)、式(2)、式(2)中のZが式(3)又は式(3’)で表される構成単位の割合は、例えばH−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
本発明の好ましい一実施形態において、ポリアミド系樹脂中のZの、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは45モル%以上、さらにより好ましくは50モル%以上が、sが0〜4である式(3)又は式(3’)で表される。Zの上記の下限以上が、sが0〜4である式(3)又は式(3’)で表されると、光学フィルムの耐衝撃性、弾性率及び耐屈曲性を高めやすい。また、ポリアミド系樹脂中のZの100モル%以下が、sが0〜4である式(3)又は式(3’)で表されればよい。なお、樹脂中の、sが0〜4である式(3)又は式(3’)で表されるZを有する式(2)で表される構成単位の割合は、例えばH−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
本発明の好ましい一実施形態において、ポリアミド系樹脂中のZの、好ましくは5モル%以上、より好ましくは8モル%以上、さらに好ましくは10モル%以上、さらにより好ましくは12モル%以上が、sが1〜4である式(3)又は式(3’)で表される。ポリアミド系樹脂のZの上記の下限以上が、sが1〜4である式(3)又は式(3’)で表される場合、光学フィルムの耐衝撃性、弾性率及び耐屈曲性を高めやすい。また、Zの、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下、さらに好ましくは50モル%以下、さらにより好ましくは30モル%以下が、sが1〜4である式(3)又は式(3’)で表される。Zの上記の上限以下が、sが1〜4である式(3)又は式(3’)で表される場合、sが1〜4である式(3)又は式(3’)で表される構造由来のアミド結合間水素結合による樹脂含有ワニスの粘度上昇を抑制し、フィルムの加工性を向上しやすい。なお樹脂中のsが1〜4である式(3)又は式(3’)で表されるZを有する式(2)で表される構成単位の割合は、例えばH−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
式(1)及び式(2)において、Xは、互いに独立に、2価の有機基、好ましくは炭素数4〜40の2価の有機基、より好ましくは環状構造を有する炭素数4〜40の2価の有機基を表す。環状構造としては、脂環、芳香環、ヘテロ環構造が挙げられる。前記有機基は、有機基中の水素原子が炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよく、その場合、炭化水素基及びフッ素置換された炭化水素基の炭素数は好ましくは1〜8である。本発明の一実施形態において、本発明のポリアミド系樹脂は、複数種のXを含み得、複数種のXは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。Xとしては、式(10)、式(11)、式(12)、式(13)、式(14)、式(15)、式(16)、式(17)及び式(18)で表される基;該式(10)〜式(18)で表される基中の水素原子がメチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基で置換された基;並びに炭素数6以下の鎖式炭化水素基が挙げられる。
Figure 2021113275
式(10)〜式(18)中、*は結合手を表し、
、V及びVは、互いに独立に、単結合、−O−、−S−、−CH−、−CH−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−CO−又は−N(Q)−を表す。ここで、Qはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表す。炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、Rについて上記に述べた基が挙げられる。
1つの例は、V及びVが単結合、−O−又は−S−であり、かつ、Vが−CH−、−C(CH−、−C(CF−又は−SO−である。VとVとの各環に対する結合位置、及び、VとVとの各環に対する結合位置は、互いに独立に、各環に対して、好ましくはメタ位又はパラ位、より好ましくはパラ位である。
式(10)〜式(18)で表される基の中でも、光学フィルムの耐衝撃性、弾性率及び耐屈曲性を高めやすい観点から、式(13)、式(14)、式(15)、式(16)及び式(17)で表される基が好ましく、式(14)、式(15)及び式(16)で表される基がより好ましい。また、V、V及びVは、光学フィルムの耐衝撃性、弾性率及び柔軟性を高めやすい観点から、互いに独立に、好ましくは単結合、−O−又は−S−、より好ましくは単結合又は−O−である。
本発明の好ましい一実施形態において、ポリアミド系樹脂は、式(1)中のX又は式(2)中のXとして、式(4):
Figure 2021113275
[式(4)中、R10〜R17は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、R10〜R17に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、*は結合手を表す]
で表される構造を含む。式(1)及び式(2)で表される複数の構成単位中のXの少なくとも一部が式(4)で表される構造であると、光学フィルムの耐衝撃性、弾性率及び透明性を高めやすい。
式(4)において、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基を表す。炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基としては、式(3)における炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基として例示した基が挙げられる。R10〜R17は、互いに独立に、好ましくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、ここで、R10〜R17に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。R10〜R17は、互いに独立に、光学フィルムの耐衝撃性、弾性率、透明性及び耐屈曲性の観点から、さらに好ましくは水素原子、メチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基を表し、さらにより好ましくはR10、R12、R13、R14、R15及びR16が水素原子、R11及びR17が水素原子、メチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基を表し、とりわけ好ましくはR11及びR17がメチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
本発明の好ましい一実施形態において、式(4)で表される構成単位は式(4’):
Figure 2021113275
で表される構成単位であり、すなわち、式(1)及び式(2)で表される複数の構成単位中のXの少なくとも一部は、式(4’)で表される構成単位である。この場合、フッ素元素を含有する骨格によりポリアミド系樹脂の溶媒への溶解性を高め、該樹脂を含有するワニスの保管安定性を向上しやすいと共に、該ワニスの粘度を低減しやすく、光学フィルムの加工性を向上しやすい。また、フッ素元素を含有する骨格により、光学フィルムの光学特性を向上しやすい。
本発明の好ましい一実施形態において、上記ポリアミド系樹脂中のXの、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上が式(4)、とりわけ式(4’)で表される。ポリアミド系樹脂における上記範囲内のXが式(4)、とりわけ式(4’)で表される場合、得られる光学フィルムは、フッ素元素を含有する骨格により樹脂の溶媒への溶解性を高め、該樹脂を含有するワニスの保管安定性を向上しやすいと共に、該ワニスの粘度を低減しやすく、光学フィルムの加工性を向上しやすい。また、フッ素元素を含有する骨格により、光学フィルムの光学特性も向上しやすい。なお、好ましくは、上記ポリアミド系樹脂中のXの100モル%以下が式(4)、とりわけ式(4’)で表される。上記樹脂中のXは式(4)、とりわけ式(4’)であってもよい。上記樹脂中のXの式(4)で表される構成単位の割合は、例えばH−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
式(1)において、Yは、4価の有機基を表し、好ましくは炭素数4〜40の4価の有機基を表し、より好ましくは環状構造を有する炭素数4〜40の4価の有機基を表す。環状構造としては、脂環、芳香環、ヘテロ環構造が挙げられ、耐衝撃性及び弾性率を高めやすい観点からは、好ましくは芳香環が挙げられる。前記有機基は、有機基中の水素原子が炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基であり、その場合、炭化水素基及びフッ素置換された炭化水素基の炭素数は好ましくは1〜8である。本発明の一実施形態において、ポリアミド系樹脂はポリアミドイミド樹脂であり、該ポリアミドイミド樹脂は、複数種のYを含み得、複数種のYは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。Yとしては、以下の式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)及び式(29)で表される基;該式(20)〜式(29)で表される基中の水素原子がメチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基で置換された基;並びに4価の炭素数6以下の鎖式炭化水素基が挙げられる。
Figure 2021113275
式(20)〜式(29)中、*は結合手を表し、Wは、単結合、−O−、−CH−、−CH−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−C(CF−、−Ar−、−SO−、−CO−、−O−Ar−O−、−Ar−O−Ar−、−Ar−CH−Ar−、−Ar−C(CH−Ar−又は−Ar−SO−Ar−を表す。Arは、水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリーレン基を表し、具体例としてはフェニレン基が挙げられる。
式(20)〜式(29)で表される基の中でも、光学フィルムの耐衝撃性、弾性率及び耐屈曲性を高めやすい観点から、式(26)、式(28)又は式(29)で表される基が好ましく、式(26)で表される基がより好ましい。また、Wは、光学フィルムの耐衝撃性、弾性率及び耐屈曲性を高めやすいと共に、ポリアミド系樹脂粉体及び光学フィルムの黄色度を低減しやすい観点から、互いに独立に、好ましくは単結合、−O−、−CH−、−CH−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−又は−C(CF−、より好ましくは単結合、−O−、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−又は−C(CF−、さらに好ましくは単結合、−C(CH−又は−C(CF−、さらにより好ましくは単結合又は−C(CF−である。
本発明の好ましい一実施形態において、ポリアミドイミド樹脂中のYの、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上が、式(26)で表される。ポリアミドイミド樹脂における上記範囲内のYが式(26)、好ましくはWが単結合、−C(CH−又は−C(CF−である式(26)、より好ましくはWが単結合又は−C(CF−である式(26)で表されると、光学フィルムの耐衝撃性、弾性率及び耐屈曲性を高めやすいと共に、ポリアミド系樹脂粉体及び光学フィルムの黄色度を低減しやすい。ポリアミドイミド樹脂中のYが式(26)で表される構成単位の割合は、例えばH−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
本発明の好ましい一実施形態において、複数の式(1)中のYの少なくとも一部は、式(5):
Figure 2021113275
[式(5)中、R18〜R25は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、R18〜R25に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、*は結合手を表す]
及び/又は式(9)
Figure 2021113275
[式(9)中、R35〜R40は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、R35〜R40に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、*は結合手を表す]
で表される。複数の式(1)中のYの少なくとも一部が式(5)で表される、及び/又は、式(9)で表されると、光学フィルムの耐衝撃性、弾性率及び光学特性を向上させやすい。
式(5)において、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24及びR25は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基としては、式(3)における炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基として上記に例示のものが挙げられる。R18〜R25は、互いに独立に、好ましくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、ここで、R18〜R25に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよい。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。R18〜R25は、互いに独立に、光学フィルムの耐衝撃性、弾性率及び耐屈曲性を高めやすい観点、並びに、透明性を高めやすいと共に、該透明性を維持しやすい観点から、さらに好ましくは水素原子、メチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基を表し、さらにより好ましくはR18、R19、R20、R23、R24及びR25が水素原子、R21及びR22が水素原子、メチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基を表し、とりわけ好ましくはR21及びR22がメチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
式(9)において、光学フィルムの化学的安定性、耐衝撃性、弾性率及び耐屈曲性を高めやすい観点、並びに、透明性を高めやすいと共に、該透明性を維持しやすい観点から、R35〜R40は、好ましくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、さらに好ましくは水素原子を表す。ここで、R35〜R40に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。R35〜R40における炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数6〜12のアリール基としては、それぞれ上記に例示のものが挙げられる。
本発明の好ましい一実施形態においては、式(5)は式(5’)で表され、式(9)は式(9’):
Figure 2021113275
で表される。すなわち、複数のYの少なくとも一部は、式(5’)及び/又は式(9’)で表される。この場合、光学フィルムの耐衝撃性、弾性率及び耐屈曲性を高めやすい。さらに、式(5)が式(5’)で表される場合、フッ素元素を含有する骨格によりポリアミド系樹脂の溶媒への溶解性を高め、該樹脂を含有するワニスの保管安定性を向上しやすいと共に、該ワニスの粘度を低減しやすく、光学フィルムの加工性を向上しやすい。また、フッ素元素を含有する骨格により、光学フィルムの光学特性を向上しやすい。
本発明の好ましい一実施形態において、ポリアミドイミド樹脂中のYの、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上が、式(5)、とりわけ式(5’)で表される。ポリアミドイミド樹脂における上記範囲内のYが式(5)、とりわけ式(5’)で表されると、フッ素元素を含有する骨格によりポリアミド系樹脂の溶媒への溶解性を高め、該樹脂を含有するワニスの粘度を低減しやすく、光学フィルムの加工性を向上しやすい。また、フッ素元素を含有する骨格により、光学フィルムの光学特性を向上しやすい。なお、好ましくは、上記ポリアミドイミド樹脂中のYの100モル%以下が式(5)、とりわけ式(5’)で表される。ポリアミドイミド樹脂中のYは式(5)、とりわけ式(5’)であってもよい。ポリアミドイミド樹脂中のYの式(5)で表される構成単位の割合は、例えばH−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
本発明の好ましい一実施形態において、式(1)で表される複数の構成単位は、Yが式(5)で表される構成単位に加えて、Yが式(9)で表される構成単位をさらに含むことが好ましい。Yが式(9)で表される構成単位をさらに含む場合、光学フィルムの耐衝撃性及び弾性率をさらに向上させやすい。
ポリアミドイミド樹脂は、式(30)で表される構成単位及び/又は式(31)で表される構成単位を含むものであってもよく、また式(1)及び場合により式(2)で表される構成単位の他に、式(30)で表される構成単位及び/又は式(31)で表される構成単位を含むものであってもよい。
Figure 2021113275
式(30)において、Yは4価の有機基を表し、好ましくは有機基中の水素原子が炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基を表す。Yとしては、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)及び式(29)で表される基、該式(20)〜式(29)で表される基中の水素原子がメチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基で置換された基、並びに4価の炭素数6以下の鎖式炭化水素基が挙げられる。本発明の一実施形態において、ポリアミド系樹脂は、複数種のYを含み得、複数種のYは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(31)において、Yは3価の有機基を表し、好ましくは有機基中の水素原子が炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基を表す。Yとしては、上記の式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)及び式(29)で表される基の結合手のいずれか1つが水素原子に置き換わった基、及び3価の炭素数6以下の鎖式炭化水素基が挙げられる。本発明の一実施形態において、ポリアミドイミド樹脂は、複数種のYを含み得、複数種のYは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(30)及び式(31)において、X及びXは、互いに独立に、2価の有機基を表し、好ましくは有機基中の水素原子が炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基を表す。X及びXとしては、上記の式(10)、式(11)、式(12)、式(13)、式(14)、式(15)、式(16)、式(17)及び式(18)で表される基;該式(10)〜式(18)で表される基中の水素原子がメチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基で置換された基;並びに炭素数6以下の鎖式炭化水素基が挙げられる。
本発明の一実施形態において、ポリアミド系樹脂は、式(1)及び/又は式(2)で表される構成単位、並びに場合により式(30)及び/又は式(31)で表される構成単位からなる。また、光学フィルムの光学特性、耐衝撃性、弾性率及び耐屈曲性を高めやすい観点から、上記ポリアミド系樹脂において、式(1)及び式(2)で表される構成単位の割合は、式(1)及び式(2)、並びに場合により式(30)及び式(31)で表される全構成単位に基づいて、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上である。なお、ポリアミド系樹脂において、式(1)及び式(2)で表される構成単位の割合は、式(1)及び式(2)、並びに場合により式(30)及び/又は式(31)で表される全構成単位に基づいて、通常100%以下である。なお、上記割合は、例えば、H−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
本発明の一実施形態において、光学フィルムに含まれる基材層におけるポリアミド系樹脂の含有量は、光学フィルムを構成する基材層100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上であり、好ましくは99.5質量部以下、より好ましくは95質量部以下である。ポリアミド系樹脂の含有量が上記範囲内であると、光学フィルムの中間層の厚さ及び割合(A/B)を上記の範囲に調整しやすく、耐屈曲性を高めやすいと共に、光学フィルムの光学特性、耐衝撃性及び弾性率を向上させやすい。
ポリアミド系樹脂の重量平均分子量は、光学フィルムの中間層の厚さ及び割合(A/B)を上記の範囲に調整しやすい観点、並びに、耐衝撃性、弾性率及び耐屈曲性を高めやすい観点から、標準ポリスチレン換算で、好ましくは200,000以上、より好ましくは230,000以上、さらに好ましくは250,000以上、さらにより好ましくは270,000以上、とりわけ好ましくは280,000以上である。また、ポリアミド系樹脂の重量平均分子量は、ワニス調製時のポリアミド系樹脂粉体の溶解性をより高めやすい観点、並びに、光学フィルムの延伸性及び加工性を向上しやすい観点から、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは800,000以下、さらに好ましくは700,000以下、さらにより好ましくは500,000以下である。重量平均分子量は、例えばGPC測定を行い、標準ポリスチレン換算によって求めることができ、例えば実施例に記載の方法により算出してよい。
本発明の好ましい一実施形態において、ポリアミド系樹脂がポリアミドイミド樹脂である場合、該ポリアミドイミド樹脂における式(2)で表される構成単位の含有量は、式(1)で表される構成単位1モルに対して、好ましくは0.1モル以上、より好ましくは0.5モル以上、さらに好ましくは1.0モル以上、さらにより好ましくは1.5モル以上であり、好ましくは6.0モル以下、より好ましくは5.0モル以下、さらに好ましくは4.5モル以下である。式(2)で表される構成単位の含有量が上記の下限以上であると、光学フィルムの耐衝撃性及び弾性率を高めやすい。また、式(2)で表される構成単位の含有量が上記の上限以下であると、式(2)中のアミド結合間の水素結合による増粘を抑制し、光学フィルムの加工性を向上させやすい。
本発明の好ましい一実施形態において、ポリアミド系樹脂は、例えば上記の含フッ素置換基等によって導入することができる、フッ素原子等のハロゲン原子を含んでよい。ポリアミド系樹脂がハロゲン原子を含む場合、光学フィルムの弾性率を向上させ、かつ、ポリアミド系樹脂粉体及び光学フィルムの黄色度を低減させやすい。光学フィルムの弾性率が高いと、傷及びシワ等の発生を抑制しやすい。また、光学フィルムの黄色度が低いと、該フィルムの透明性及び視認性を向上させやすくなる。ハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子である。ポリアミド系樹脂にフッ素原子を含有させるために好ましい含フッ素置換基としては、例えばフルオロ基及びトリフルオロメチル基が挙げられる。
ポリアミド系樹脂におけるハロゲン原子の含有量は、それぞれ、ポリアミド系樹脂の質量を基準として、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは5〜30質量%である。ハロゲン原子の含有量が上記の下限以上であると、光学フィルムの弾性率をより向上させ、吸水率を下げ、ポリアミド系樹脂粉体及び光学フィルムの黄色度をより低減し、透明性及び視認性をより向上させやすい。ハロゲン原子の含有量が上記の上限以下であると、合成がしやすくなる。
ポリアミドイミド樹脂のイミド化率は、好ましくは90%以上、より好ましくは93%以上、さらに好ましくは96%以上である。光学フィルムの光学特性を高めやすい観点から、イミド化率が上記の下限以上であることが好ましい。また、イミド化率の上限は100%以下である。イミド化率は、ポリアミドイミド樹脂中のテトラカルボン酸化合物に由来する構成単位のモル量の2倍の値に対する、イミド結合のモル量の割合を示す。なお、ポリアミドイミド樹脂がトリカルボン酸化合物を含む場合には、ポリアミドイミド樹脂中のテトラカルボン酸化合物に由来する構成単位のモル量の2倍の値と、トリカルボン酸化合物に由来する構成単位のモル量との合計に対する、ポリアミドイミド樹脂中のイミド結合のモル量の割合を示す。また、イミド化率は、IR法、NMR法などにより求めることができる。
ポリアミド系樹脂は、市販品を使用してもよい。ポリアミド樹脂の市販品としては、例えば三菱瓦斯化学(株)製ネオプリム(登録商標)、河村産業(株)製KPI−MX300F等が挙げられる。
<樹脂の製造方法>
ポリアミド樹脂は、例えば、ジアミン化合物及びジカルボン酸化合物を主な原料として製造できる。ポリアミドイミド樹脂及びポリアミドイミド前駆体樹脂は、例えば、テトラカルボン酸化合物、ジカルボン酸化合物及びジアミン化合物を主な原料として製造できる。ここで、ジカルボン酸化合物は少なくとも式(3”)で表される化合物を含むことが好ましい。
Figure 2021113275
[式(3”)中、R〜Rは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基を表し、R〜Rに含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
Aは、単結合、−O−、−CH−、−CH−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−、−S−、−CO−又は−N(R)−を表し、
は水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表し、
mは0〜4の整数であり、
31及びR32は、互いに独立に、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基又は塩素原子を表す。]
本発明の好ましい一実施形態において、ジカルボン酸化合物は、mが0である、式(3”)で表される化合物である。ジカルボン酸化合物として、mが0である式(3”)で表される化合物に加えて、Aが酸素原子である式(3”)で表される化合物を使用することがより好ましい。また、別の好ましい一実施形態においては、ジカルボン酸化合物は、R31及びR32が塩素原子である、式(3”)で表される化合物である。また、ジアミン化合物に代えて、ジイソシアネート化合物を用いてもよい。
樹脂の製造に使用されるジアミン化合物としては、例えば、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン及びこれらの混合物が挙げられる。なお、本実施形態において「芳香族ジアミン」とは、アミノ基が芳香環に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に脂肪族基又はその他の置換基を含んでいてもよい。この芳香環は単環でも縮合環でもよく、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環及びフルオレン環等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの中でも、好ましくはベンゼン環である。また「脂肪族ジアミン」とは、アミノ基が脂肪族基に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に芳香環やその他の置換基を含んでいてもよい。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、ヘキサメチレンジアミン等の非環式脂肪族ジアミン、並びに1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ノルボルナンジアミン及び4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等の環式脂肪族ジアミン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
芳香族ジアミンとしては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン等の、芳香環を1つ有する芳香族ジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(TFMBと記載することがある)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン等の、芳香環を2つ以上有する芳香族ジアミンが挙げられる。これらは単独又は2種以上を組合せて使用できる。
芳香族ジアミンとしては、好ましくは4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(TFMB)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルが挙げられ、より好ましくは4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(TFMB)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルが挙げられる。これらは単独又は2種以上を組合せて使用できる。
上記ジアミン化合物の中でも、光学フィルムの高弾性率、高透明性、高柔軟性、高屈曲耐性及び低着色性の観点からは、ビフェニル構造を有する芳香族ジアミンからなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなる群から選ばれる1種以上を用いることがより好ましく、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(TFMB)を用いることがよりさらに好ましい。
樹脂の製造に用いられるテトラカルボン酸化合物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸化合物;及び脂肪族テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸化合物等が挙げられる。テトラカルボン酸化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。テトラカルボン酸化合物は、二無水物の他、酸クロリド化合物等のテトラカルボン酸化合物類縁体であってもよい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、非縮合多環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物、単環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物及び縮合多環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。非縮合多環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDAと記載することがある)、1,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物が挙げられる。また、単環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物が挙げられ、縮合多環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
これらの中でも、好ましくは4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、1,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物及び4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物が挙げられ、より好ましくは4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物及び4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組合せて使用できる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、環式又は非環式の脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物とは、脂環式炭化水素構造を有するテトラカルボン酸二無水物であり、その具体例としては、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等のシクロアルカンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物及びこれらの位置異性体が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。非環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、及び1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。また、環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び非環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物を組合せて用いてもよい。
上記テトラカルボン酸二無水物の中でも、光学フィルムの高耐衝撃性、高弾性率、高表面硬度、高透明性、高柔軟性、高屈曲耐性、及び低着色性の観点から、より好ましくは4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、及びこれらの混合物が挙げられ、さらに好ましくは3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、並びにこれらの混合物が挙げられ、さらにより好ましくは4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)が挙げられる。
樹脂の製造に用いられるジカルボン酸化合物としては、好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−オキシビス安息香酸又はそれらの酸クロリド化合物が用いられる。テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−オキシビス安息香酸又はそれらの酸クロリド化合物に加えて、他のジカルボン酸化合物が用いられてもよい。他のジカルボン酸化合物としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びそれらの類縁の酸クロリド化合物、酸無水物等が挙げられ、2種以上を組合せて用いてもよい。具体例としては、イソフタル酸;ナフタレンジカルボン酸;4,4’−ビフェニルジカルボン酸;3,3’−ビフェニルジカルボン酸;炭素数8以下である鎖式炭化水素、のジカルボン酸化合物及び2つの安息香酸が単結合、−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−又はフェニレン基で連結された化合物並びに、それらの酸クロリド化合物が挙げられる。具体例としては、4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)、テレフタロイルクロリド又はイソフタロイルクロリドが好ましく、4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)とテレフタロイルクロリドとを組合せて用いることがさらに好ましい。
なお、ポリアミドイミド樹脂は、光学フィルムの各種物性を損なわない範囲で、上記テトラカルボン酸化合物に加えて、テトラカルボン酸及びトリカルボン酸並びにそれらの無水物及び誘導体をさらに反応させたものであってもよい。
テトラカルボン酸としては、上記テトラカルボン酸化合物の無水物の水付加体が挙げられる。
トリカルボン酸化合物としては、芳香族トリカルボン酸、脂肪族トリカルボン酸及びそれらの類縁の酸クロリド化合物、酸無水物等が挙げられ、2種以上を組合せて用いてもよい。その具体例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸の無水物;1,3,5−ベンゼントリカルボン酸の無水物;2,3,6−ナフタレントリカルボン酸−2,3−無水物;フタル酸無水物と安息香酸とが単結合、−O−、−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−又はフェニレン基で連結された化合物が挙げられる。
樹脂の製造において、ジアミン化合物、テトラカルボン酸化合物及び/又はジカルボン酸化合物の使用量は、所望とするポリアミド系樹脂の各構成単位の比率に応じて適宜選択できる。
樹脂の製造において、ジアミン化合物、テトラカルボン酸化合物及びジカルボン酸化合物の反応温度は、特に限定されないが、例えば5〜350℃、好ましくは20〜200℃、より好ましくは25〜100℃である。反応時間も特に限定されないが、例えば30分〜10時間程度である。必要に応じて、不活性雰囲気又は減圧の条件下において反応を行ってよい。好ましい態様では、反応は、常圧及び/又は不活性ガス雰囲気下、撹拌しながら行う。また、反応は、反応に不活性な溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、反応に影響を与えない限り特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ブトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;テトラヒドロフラン及びジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;クロロホルム及びクロロベンゼン等の塩素含有溶媒;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;及びそれらの組合せなどが挙げられる。これらの中でも、溶解性の観点から、アミド系溶媒を好適に使用できる。
ポリアミドイミド樹脂の製造におけるイミド化工程では、イミド化触媒の存在下で、イミド化することができる。イミド化触媒としては、例えばトリプロピルアミン、ジブチルプロピルアミン、エチルジブチルアミン等の脂肪族アミン;N−エチルピペリジン、N−プロピルピペリジン、N−ブチルピロリジン、N−ブチルピペリジン、及びN−プロピルヘキサヒドロアゼピン等の脂環式アミン(単環式);アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザビシクロ[3.2.1]オクタン、アザビシクロ[2.2.2]オクタン、及びアザビシクロ[3.2.2]ノナン等の脂環式アミン(多環式);並びにピリジン、2−メチルピリジン(2−ピコリン)、3−メチルピリジン(3−ピコリン)、4−メチルピリジン(4−ピコリン)、2−エチルピリジン、3−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、3,4−シクロペンテノピリジン、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン、及びイソキノリン等の芳香族アミンが挙げられる。また、イミド化反応を促進しやすい観点から、イミド化触媒とともに、酸無水物を用いることが好ましい。酸無水物は、イミド化反応に用いられる慣用の酸無水物等が挙げられ、その具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族酸無水物、フタル酸等の芳香族酸無水物などが挙げられる。
ポリアミド系樹脂は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組合せた分離手段により分離精製して単離してもよく、好ましい態様では、透明ポリアミド系樹脂を含む反応液に、多量のメタノール等のアルコールを加え、樹脂を析出させ、濃縮、濾過、乾燥等を行うことにより単離することができる。
本発明の製造方法により製造したポリアミド系樹脂粉体は、例えば光学部材として使用することができる。光学部材としては、例えば光学フィルムが挙げられる。該光学部材は、柔軟性、屈曲耐性及び表面硬度に優れるため、画像表示装置の前面板、中でもフレキシブルディスプレイの前面板であるウィンドウフィルムとして適当である。光学部材は単層であってもよく、複層であってもよい。光学部材が複層である場合、各層は同一の組成であってよく、異なる組成であってもよい。
本発明の製造方法により製造したポリアミド系樹脂粉体を光学部材として使用する場合、光学部材中におけるポリアミド系樹脂の含有率は、光学部材の全質量に対して、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上、とりわけ90質量%以上である。ポリアミド系樹脂の含有率が上記の下限以上であると、光学部材の屈曲耐性が良好である。なお、光学部材中におけるポリアミド系樹脂の含有率は、光学部材の全質量に対して、通常100質量%以下である。
(無機材料)
光学部材には、ポリアミド系樹脂の他に無機粒子等の無機材料を更に含有してもよい。無機材料として、例えば、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、シリカ粒子等の無機粒子、及びオルトケイ酸テトラエチル等の4級アルコキシシラン等のケイ素化合物等が挙げられる。光学部材を製造するためのポリアミド系樹脂を含むワニスの安定性の観点から、無機材料は無機粒子、中でもシリカ粒子であることが好ましい。無機粒子同士は、シロキサン結合を有する分子により結合されていてもよい。
無機粒子の平均一次粒子径は、光学部材の透明性、機械物性、及び無機粒子の凝集抑制の観点から、通常1〜100nm、好ましくは5〜80nm、より好ましくは7〜50nm、さらに好ましくは10〜30nmである。本発明において、平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡による定方向径の10点平均値を測定することにより決定することができる。
光学部材中の無機材料の含有率は、光学部材の全質量を基準として、好ましくは0質量%以上90質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上60質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上40質量%以下である。無機材料の含有率が上記範囲内であると、光学部材の透明性及び機械物性を両立させやすい傾向がある。
(紫外線吸収剤)
光学部材は、1種又は2種以上の紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤は、樹脂材料の分野で紫外線吸収剤として通常用いられているものから、適宜選択することができる。紫外線吸収剤は、400nm以下の波長の光を吸収する化合物を含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、及びトリアジン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。光学部材が紫外線吸収剤を含有することにより、ポリアミド系樹脂の劣化が抑制されるため、光学部材の視認性を高めることができる。
なお、本明細書において、「系化合物」とは、当該「系化合物」が付される化合物の誘導体を指す。例えば、「ベンゾフェノン系化合物」とは、母体骨格としてのベンゾフェノンと、ベンゾフェノンに結合している置換基とを有する化合物を指す。
光学部材が紫外線吸収剤を含有する場合、紫外線吸収剤の含有率は、光学部材の全質量に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下である。好適な含有率は用いる紫外線吸収剤により異なるが、400nmの光線透過率が20〜60%程度になるように紫外線吸収剤の含有率を調節すると、光学部材の耐光性が高められるとともに、透明性の高い光学部材を得ることができる。
(他の添加剤)
光学部材は、更に他の添加剤を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、離型剤、安定剤、ブルーイング剤、難燃剤、pH調整剤、シリカ分散剤、滑剤、増粘剤及びレベリング剤等が挙げられる。
他の添加剤を含有する場合、その含有率は、光学部材の質量に対して、好ましくは0.001質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.001質量%以上10質量%以下である。
例えば光学フィルムである光学部材の厚さは、用途に応じて適宜調整されるが、通常10〜1,000μm、好ましくは15〜500μm、より好ましくは20〜400μm、さらに好ましくは25〜300μmである。なお、本発明において、厚さは接触式のデジマチックインジケーターによって測定することができる。
光学部材において、JIS K 7105:1981に準拠した全光線透過率Ttが好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、さらにより好ましくは90%以上である。光学部材の全光線透過率Ttが上記の下限以上であると、光学部材を画像表示装置に組み込んだ際に、十分な視認性を確保しやすい。なお、光学部材の全光線透過率Ttの上限値は通常100%以下である。光学部材におけるヘーズは、スガ試験機(株)製の直読ヘーズコンピュータ(型式HGM−2DP)で測定して、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.8%以下、さらに好ましくは0.5%以下、さらにより好ましくは0.3%以下である。光学部材のヘーズが上記の上限以下であると、光学部材を画像表示装置等のフレキシブル電子デバイスに組み込んだ際に、十分な視認性を確保しやすい。なお、上記ヘーズの下限値は特に限定されず、0%以上であればよい。本発明の製造方法において使用するポリアミド系樹脂溶液(a)に溶解させたポリアミド系樹脂、及び/又は、本発明の製造方法により得られるポリアミド系樹脂の粉体は、上記全光線透過率Tt及び/又はヘーズを有することが好ましい。ポリアミド系樹脂及びポリアミド系樹脂粉体の全光線透過率Tt及び/又はヘーズは、成形体(例えばフィルム)の形状で測定される。測定試料の作成方法及び測定方法の詳細は、実施例に記載するとおりである。
(光学部材の製造方法)
本発明の製造方法により製造したポリアミド系樹脂粉体を用いて、上記のような光学部材、例えば光学フィルムを製造することができる。製造方法は特に限定されない。例えば以下の工程:
(a)ポリアミド系樹脂粉体を溶媒に溶解させて得たポリアミド系樹脂を含む液(ポリアミド系樹脂のワニス)を基材に塗布して塗膜を形成する工程(塗布工程)、及び
(b)塗布された液(ポリアミド系樹脂のワニス)を乾燥させて光学部材(好ましくは光学フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム)を形成する工程(形成工程)
を含む製造方法によって光学部材を製造することができる。工程(a)及び(b)は、通常この順で行うことができる。
塗布工程においては、ポリアミド系樹脂粉体を溶媒に溶解させ、必要に応じて上記紫外線吸収剤及び他の添加剤を添加し、撹拌することにより、ポリアミド系樹脂を含む液(ポリアミド系樹脂のワニス)を調製する。
ワニスの調製に用いられる溶媒は、ポリアミド系樹脂を溶解可能であれば特に限定されない。かかる溶媒としては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;及びそれらの組合せが挙げられる。これらの溶媒の中でも、アミド系溶媒又はラクトン系溶媒が好ましい。また、ワニスには水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、非環状エステル系溶媒、エーテル系溶媒などが含まれてもよい。
次に、例えば公知のロール・ツー・ロールやバッチ方式により、樹脂基材、SUSベルト、又はガラス基材等の基材上に、ポリアミド系樹脂のワニスを用いて、流涎成形等によって塗膜を形成することができる。
形成工程において、塗膜を乾燥し、基材から剥離することによって、光学部材を形成することができる。剥離後に更に光学部材を乾燥する乾燥工程を行ってもよい。塗膜の乾燥は、通常50〜350℃の温度にて行うことができる。必要に応じて、不活性雰囲気又は減圧の条件下において塗膜の乾燥を行ってよい。
光学部材の少なくとも一方の表面に、表面処理を施す表面処理工程を行ってもよい。表面処理としては、例えばUVオゾン処理、プラズマ処理及びコロナ放電処理が挙げられる。
樹脂基材の例としては、PETフィルム、PENフィルム、ポリアミドフィルム及びポリアミドイミドフィルム等が挙げられる。中でも、耐熱性に優れる観点から、PETフィルム、PENフィルム、ポリアミドフィルム及び他のポリアミドイミドフィルムが好ましい。さらに、光学部材との密着性及びコストの観点から、PETフィルムがより好ましい。
本発明の製造方法により得たポリアミド系樹脂粉体を用いて、光学部材を製造することができる。このような光学部材は、高い弾性率と柔軟性を有する。本発明の好適な実施態様において、上記光学部材の弾性率は、好ましくは3.0GPa以上、より好ましくは4.0GPa以上、さらに好ましくは5.0GPa以上、さらにより好ましくは6.0GPa以上であり、好ましくは10.0GPa以下である。光学部材の弾性率が上記上限以下であると、フレキシブルディスプレイが屈曲する際に、上記光学部材による他の部材の損傷を抑制することができる。弾性率は、例えば(株)島津製作所製オートグラフAG−ISを用いて、10mm幅の試験片をチャック間距離50mm、引張速度20mm/分の条件で応力−歪曲線を測定し、その傾きから測定することができる。本発明の製造方法において使用するポリアミド系樹脂溶液(a)に溶解させたポリアミド系樹脂、及び/又は、本発明の製造方法により得られるポリアミド系樹脂の粉体は、上記弾性率を有することが好ましい。ポリアミド系樹脂及びポリアミド系樹脂粉体の弾性率は、成形体(例えばフィルム)の形状で測定される。測定試料の作成方法及び測定方法の詳細は、実施例に記載するとおりである。
上記光学部材は、優れた屈曲耐性を有する。本発明の好適な実施態様において、光学部材は、R=1mmで135°を加重0.75kgfで速度175cpmにて測定した際に破断するまでの往復折り曲げ回数が、好ましくは10,000回以上、より好ましくは20,000回以上、さらに好ましくは30,000回以上、さらにより好ましくは40,000回以上、とりわけ好ましくは50,000回以上である。
光学部材の往復折り曲げ回数が上記の下限以上であると、光学部材を屈曲した際に生じ得る織り皺をさらに抑制することができる。なお、光学部材の往復折り曲げ回数は制限されないが、通常1,000,000回の折り曲げが可能であれば十分実用的である。往復折り曲げ回数は、例えば(株)東洋精機製作所製MIT耐折疲労試験機(型式0530)で厚さ50μm、幅10mmの試験片(光学部材)を用いて求めることができる。本発明の製造方法において使用するポリアミド系樹脂溶液(a)に溶解させたポリアミド系樹脂、及び/又は、本発明の製造方法により得られるポリアミド系樹脂の粉体は、上記屈曲耐性を有することが好ましい。ポリアミド系樹脂及びポリアミド系樹脂粉体の屈曲耐性は、成形体(例えばフィルム)の形状で測定される。
上記光学部材は、優れた透明性を発現することができる。そのため、上記光学部材は、画像表示装置、中でもウィンドウフィルムとして非常に有用である。本発明の好適な実施態様において、光学部材は、JIS K 7373:2006に準拠した黄色度YIが、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2.5以下、さらにより好ましくは2.0以下である。黄色度YIが上記の上限以下である光学部材は、表示装置等の高い視認性に寄与することができる。なお、上記光学部材の黄色度は好ましくは0以上である。本発明の製造方法において使用するポリアミド系樹脂溶液(a)に溶解させたポリアミド系樹脂、及び/又は、本発明の製造方法により得られるポリアミド系樹脂の粉体は、上記黄色度YIを有することが好ましい。ポリアミド系樹脂及びポリアミド系樹脂粉体の黄色度YIは、成形体(例えばフィルム)の形状で測定される。
上記の光学部材は、紫外線吸収層、粘着層、色相調整層、屈折率調整層等の機能層、ハードコート層を備えてもよい。
本発明のポリアミド系樹脂粉体を用いて製造した光学部材、例えば光学フィルムは、画像表示装置の前面板、特にウィンドウフィルムとして有用である。上記光学部材は、画像表示装置、特にフレキシブルディスプレイの視認側表面に前面板として配置することができる。この前面板は、フレキシブルディスプレイ内の画像表示素子を保護する機能を有する。上記光学部材を備える画像表示装置は、高い柔軟性及び屈曲耐性を有すると同時に、高い表面硬度を有するため、屈曲した際に他の部材を損傷することがなく、また光学部材自体にも折り皺が生じ難く、さらに表面の傷つきを有利に抑制できる。
画像表示装置としては、テレビ、スマートフォン、携帯電話、カーナビゲーション、タブレットPC、携帯ゲーム機、電子ペーパー、インジケーター、掲示板、時計及びスマートウォッチ等のウェアラブルデバイス等が挙げられる。フレキシブルディスプレイとしては、フレキシブル特性を有する画像表示装置、例えばテレビ、スマートフォン、携帯電話、カーナビゲーション、タブレットPC、携帯ゲーム機、電子ペーパー、インジケーター、掲示板、時計及びウェアラブルデバイス等が挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部を意味する。
[樹脂の物性測定]
〔重量平均分子量〕
重量平均分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定を行った。測定試料の調製方法及び測定条件は下記の通りである。
(1)試料調整方法
樹脂粉体を20mg秤りとり、10mLのDMF(10mmol/L臭化リチウム)を加え、完全に溶解させた。この溶液をクロマトディスク(孔径0.45μm)にてろ過し、試料溶液とした。
(2)測定条件
装置:HLC−8020GPC
カラム:ガードカラム+TSKgelα−M(300×7.8mm)×2本+α−2500(300×7.8mm)×1本
溶離液:DMF(10mmol/Lの臭化リチウム添加)
流量:1.0mL/分
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μL
分子量標準:標準ポリスチレン
〔製造例:ポリアミドイミド樹脂の調製〕
撹拌機と温度計を備える反応容器を、窒素で置換し、10℃に冷却し、溶媒としてジメチルアセトアミド(DMAc)を容器に入れた。さらに、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)(OBBC)、及びテレフタロイルクロリド(TPC)を、表1中の条件1に示すモル比で加えて、ポリアミック酸1を含む溶液1を調製した。
Figure 2021113275
次いで、ポリアミック酸溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、無水酢酸、及び4−ピコリン(4−PC)を加え、反応容器を70℃に昇温することにより、反応液であるポリアミドイミド樹脂溶液(a)を得た。各原料のTFMB 1.0000モルに対するモル比を表2に示す。
Figure 2021113275
得られた反応液を冷却し、45℃以下に下がったところで、メタノールをTFMB 1.0000モルに対して表3中の条件1に示すモル比で加えて、ポリアミドイミド樹脂溶液(a1)(密度:910kg/m、取得量2,000kg)を得た。ポリアミドイミド樹脂溶液(a1)の粘度は1Pa・sであり、ポリアミドイミド樹脂溶液(a1)において、ポリアミドイミド樹脂の析出は見られなかった。また、ポリアミドイミド樹脂溶液(a1)に含まれるポリアミドイミド樹脂の量は、ポリアミドイミド樹脂溶液(a1)の総量に基づいて、5質量%であり、良溶媒(DMAc)の量は70質量%であり、貧溶媒(メタノール)の量は21質量%であった。さらに、ポリアミドイミド樹脂溶液(a1)に含まれるポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量は、33万であった。ポリアミドイミド樹脂溶液(a1)を以下において、溶液(a1)とも称する。
Figure 2021113275
各成分のモル比を表1〜表3中の条件2に示すモル比に変えたこと以外は条件1の場合と同様にして、ポリアミドイミド樹脂溶液(a2)(密度:910kg/m、取得量2kg)を得た。ポリアミドイミド樹脂溶液(a2)の粘度は5Pa・sであり、ポリアミドイミド樹脂溶液(a2)において、ポリアミドイミド樹脂の析出は見られなかった。また、ポリアミドイミド樹脂溶液(a2)に含まれるポリアミドイミド樹脂の量は、ポリアミドイミド樹脂溶液(a2)の総量に基づいて、5質量%であり、良溶媒(DMAc)の量は70質量%であり、貧溶媒(メタノール)の量は21質量%であった。さらに、ポリアミドイミド樹脂溶液(a2)に含まれるポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量は、60万であった。ポリアミドイミド樹脂溶液(a2)を以下において、溶液(a2)とも称する。
〔粘度の測定〕
(1)測定サンプル
上記製造例にて調製したポリアミドイミド樹脂溶液(a1)及びポリアミドイミド樹脂溶液(a2)のそれぞれを一部抜き出して測定サンプルとし、以下の測定条件で粘度を求めた。
(2)測定条件
装置名:LVDV−II+Pro(ブルックフィールド社製)
測定温度:10℃
スピンドル:CPE−52
サンプル量:0.55mL
ローター回転速度:0.3rpm
〔樹脂粉体の粒径測定〕
以下に示す測定条件にて、レーザー回折式散乱法により、実施例及び比較例にて得られた湿潤固体の体積基準のメディアン径を求め、得られた値を樹脂粉体の粒径とした。また、粒径の均一性を示すパラメータδは、得られた粒度分布において頻度がx%時の粒径をdxとして式(F)で計算して求めた。
δ=(d90−d10)/d50 式(F)
(測定条件)
装置名:マスターサイザー3000(malvern社製)
測定温度:常温
サンプル量:40〜50mL
屈折率:1.53
粒径測定の結果に基づき、次の基準で、粒径、均一性及び最終品質を評価した。なお、各評価基準において、◎は非常に良好であり、〇は良好であり、×は不良である。
(粒径の評価基準)
◎:粒径が200μm以上500μm未満
〇:粒径が200μm未満であるか、又は、500μm以上1000μm未満である
×:粒径が1000μm以上
(均一性の評価基準)
◎:パラメータδが1.0以下
〇:パラメータδが1.0より大きく5.0以下
×:パラメータδが5.0より大きい
(最終品質)
A:粒径及び均一性の両方が◎である
B:粒径及び均一性の一方が◎であり、他方が〇である
C:粒径及び均一性の両方が〇である
D:粒径及び均一性の一方が〇又は◎であり、他方が×である
E:粒径及び均一性の両方が×である
なお、A〜Cは合格であり、D及びEは不合格である。
(撹拌動力の算出)
撹拌動力(Z[kW/m])は(D)式で計算して求めた。
Z=Np×ρ×(n/60)×d/V/1000 式(D)
式(D)中、Npは動力数を表し、ρは液体密度[kg/m]を表し、nは撹拌回転数[rpm]を表し、dは撹拌翼の翼径[m]を表し、Vは液体の体積[m]を表す。
動力数Npは、(株)神鋼環境ソリューションのカタログに記載の動力数Npとレイノルズ数Reとの相関より求めた。
レイノルズ数Reは式(E)で算出される。
Re=ρ×n/60×d/μ 式(E)
(式(E)中、μは液体粘度[Pa・s]を表し、ρは液体密度[kg/m]を表し、nは撹拌回転数[rpm]を表し、dは撹拌翼の翼径[m]を表す。)
(樹脂の溶媒への溶解性の確認)
上記製造例で得た樹脂について、下記の方法で溶媒への溶解性を確認した。
30mLのガラス製スクリュー管に溶媒を9.9g量りとり、さらにマグネチックスターラーを入れて撹拌した。そこに樹脂粉体を0.1g加え、室温(24℃)で3時間撹拌し、溶解性を確認した。その結果、該樹脂粉体は、DMAcには溶解したが、メタノールとイオン交換水には溶解しなかった。したがって、DMAcは良溶媒であり、メタノールとイオン交換水は貧溶媒である。なお、本実施例及び比較例において、イオン交換水を単に水と記載する。
<実施例1>
ポリアミドイミド樹脂溶液(a1)870kgを、3枚後退翼(d=1.2m)にて125rpmの回転数で撹拌しながら、該溶液(a1)に、スプレーノズル((株)いけうち社製、充円錐ノズル(1/2M JJXP 010S303)より0.6kg/分の添加速度(Y)で合計92kgの水を連続的に添加した。このとき、スプレーノズルから散布される水が溶液(a1)と接触する際の供給界面領域の面積(X)は0.5mであり、添加流束(Y/X)は1.2((kg/分)/m)であった(前半添加)。92kgの水を添加終了後、さらに5kg/分の添加速度で153kgの水を、異なるスプレーノズル((株)いけうち社製、充円錐ノズル(1/2M JJXP 20 S303)から、連続的に添加した(後半添加)。その際の供給界面領域の面積は0.5mであり、添加流束(Y/X)は10(kg/分)/mであった。なお、前半添加及び後半添加の加重平均添加速度は3.35kg/分であり、加重平均添加流束は6.7(kg/分)/mであった。また、実施例1における供給界面領域と釜断面積との比(供給界面領域/釜断面積)は、0.37であった。
析出した白色固体を20〜80kPaにて加圧ろ過により捕集し、湿潤固体を得た。湿潤固体は、粒径460μmの粒状であり、粒径の均一性を表すパラメータδは1.0であった。
<実施例2>
ポリアミドイミド樹脂溶液(a1)680kgを、3枚後退翼(d=1.2m)にて114rpmの回転数で撹拌しながら、該溶液(a1)に、スプレーノズル((株)いけうち社製、充円錐ノズル(1/2M JJXP 20 S303)より5kg/分の添加速度(Y)で合計71kgの水を間欠的に添加した(水の添加が終了するまで撹拌は継続し、水の添加時間と撹拌のみ行っている時間との比率は1:8であった。具体的には、5kg/分の添加速度(Y)で30秒間の水の添加と、水の添加を行わず4分間の撹拌を行う作業を繰り返し実施した。)。その際の供給界面領域の面積(X)は0.5mであり、添加流束(Y/X)は10(kg/分)/mであった。また、実施例2における供給界面領域と釜断面積との比(供給界面領域/釜断面積)は、0.37であった。
析出した白色固体を20〜80kPaにて加圧ろ過により捕集し、湿潤固体を得た。湿潤固体は、粒径310μmの粒状であり、パラメータδは0.8であった。
<実施例3>
ポリアミドイミド樹脂溶液(a1)2,700gを、3枚後退翼(d=0.11m)にて323rpmの回転数で撹拌しながら、該溶液(a1)に、滴下ノズルより1.2g/分(1.2×10−3kg/分)の添加速度(Y)で合計320gの水を連続滴下した。その際の供給界面領域の面積(X)は1.4×10−5であり、添加流束(Y/X)は86(kg/分)/mであった。
析出した白色固体を減圧ろ過により捕集し、湿潤固体を得た。湿潤固体は、粒径630μmの粒状であり、パラメータδは1.3であった。
<実施例4>
ポリアミドイミド樹脂溶液(a1)260gを、3枚後退翼(d=0.11m)にて520rpmの回転数で撹拌しながら、該溶液(a1)に、滴下ノズルより9.0g/分(9.0×10−3kg/分)の添加速度(Y)で合計70gの水を連続滴下した。その際の供給界面領域の面積(X)は2.8×10−5であり、添加流束(Y/X)は321(kg/分)/mであった。
析出した白色固体を減圧ろ過により捕集し、湿潤固体を得た。湿潤固体は、粒径が80μmの粒状であり、パラメータδは3.1であった。
<実施例5>
ポリアミドイミド樹脂溶液(a2)260gを、3枚後退翼(d=0.11m)にて520rpmの回転数で撹拌しながら、該溶液(a2)に、滴下ノズルより9.0g/分(9.0×10−3kg/分)の添加速度(Y)で70gの水を連続滴下した。その際の供給界面領域の面積(X)は2.8×10−5であり、添加流束(Y/X)は321(kg/分)/mであった。
析出した白色固体を減圧ろ過により捕集し、湿潤固体を得た。湿潤固体は、粒径が40μmの粒状であり、パラメータδは2.0であった。
<比較例1>
ポリアミドイミド樹脂溶液(a1)260gを、3枚後退翼(d=0.11m)にて532rpmの回転数で撹拌しながら、該溶液(a1)に、滴下ノズルより17.0g/分(17.0×10−3kg/分)の添加速度(Y)で75gの水を連続滴下した。その際の供給界面領域の面積(X)は2.8×10−5であり、添加流束(Y/X)は607(kg/分)/mであった。
析出した白色固体を減圧ろ過により捕集し、湿潤固体を得た。湿潤固体は、粒径が1000μm以上の塊状であった。
実施例及び比較例におけるポリアミドイミド樹脂溶液への貧溶媒の添加条件と、得られた粉体の評価結果を表4及び表5に示す。
Figure 2021113275
Figure 2021113275
実施例1〜5に示すように、ポリアミド系樹脂溶液(a)と、前記ポリアミド系樹脂に対する少なくとも1種の貧溶媒を含む貧溶媒液(b)とを、添加流束が400以下で接触させる工程を含む本発明の製造方法により得たポリアミド系樹脂粉体は、粒径が小さく、かつ、粒径のばらつきが小さい粉体であることが確認された。これに対し、比較例1に示すように、添加流束が400を超える場合、得られたポリアミド系樹脂粉体は、粒径が大きく、粒径のばらつきも大きい粉体であった。

Claims (12)

  1. ポリアミド系樹脂が前記ポリアミド系樹脂に対する良溶媒に溶解したポリアミド系樹脂溶液(a)と、前記ポリアミド系樹脂に対する少なくとも1種の貧溶媒を含む貧溶媒液(b)とを接触させる接触工程を少なくとも含み、前記接触工程における供給界面領域の面積をXmとし、ポリアミド系樹脂溶液(a)又は貧溶媒液(b)の添加速度をYkg/分としたとき、式(A):
    添加流束((kg/分)/m)=Y/X 式(A)
    により算出される添加流束は400以下である、ポリアミド系樹脂粉体の製造方法。
  2. 前記接触工程は、貧溶媒液(b)をポリアミド系樹脂溶液(a)に添加することにより行う、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記接触工程において、貧溶媒液(b)をポリアミド系樹脂溶液(a)に添加する場合はポリアミド系樹脂溶液(a)の撹拌動力をZkW/mとし、ポリアミド系樹脂溶液(a)を貧溶媒液(b)に添加する場合は貧溶媒液(b)の撹拌動力をZkW/mとすると、式(B):
    割合R=(Y/X)/Z 式(B)
    により算出される、撹拌動力に対する前記添加流束の割合Rは300以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記接触工程は、割合Rが互いに異なる第1接触工程及び第2接触工程を少なくとも含み、第1接触工程における割合Rは、第2接触工程における割合Rよりも小さい、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 第1接触工程における割合Rは150以下である、請求項4に記載の製造方法。
  6. ポリアミド系樹脂溶液(a)の粘度は0.5〜100Pa・sである、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. ポリアミド系樹脂は、ポリアミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記接触工程において、ポリアミド系樹脂溶液(a)又は貧溶媒液(b)の添加は、スプレー、滴下ノズル、シャワー及びノズル分散板からなる群から選択される1種以上を用いて行われる、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記添加はスプレーを用いて行われる、請求項8に記載の製造方法。
  10. ポリアミド系樹脂溶液(a)は少なくとも1種の貧溶媒をさらに含む、請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. ポリアミド系樹脂が前記ポリアミド系樹脂に対する良溶媒に溶解したポリアミド系樹脂溶液(a)と、前記ポリアミド系樹脂に対する少なくとも1種の貧溶媒を含む貧溶媒液(b)とを接触させて前記ポリアミド系樹脂溶液(a)を得る工程をさらに含む、請求項10に記載の製造方法。
  12. ポリアミド系樹脂溶液(a)を得る工程において、ポリアミド系樹脂溶液(a)と貧溶媒液(b)とを接触させる際の供給界面領域の面積をPmとし、ポリアミド系樹脂溶液(a)又は貧溶媒液(b)の添加速度をQkg/分としたとき、次の式:
    添加流束((kg/分)/m)=Q/P
    により算出される添加流束は400を超える、請求項11に記載の製造方法。
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