以下に、本開示に係る車両用灯具の一例としての車両用灯具10の実施例1について図面を参照しつつ説明する。なお、図1では、車両用灯具10が設けられている様子の把握を容易とするために、車両1に対して車両用灯具10を強調して示しており、必ずしも実際の様子とは一致するものではない。また、図6、図7、図9、図10では、集光レンズ12の構成やその中を光が進行する様子の把握を容易とするために、それぞれの切断面に付すハッチングを省略している。さらに、図6では、中間範囲Mrの把握を容易とするために、中間範囲Mrに相当する箇所にドットを付して示している。
本開示に係る車両用灯具の一実施形態に係る実施例1の車両用灯具10を、図1から図15を用いて説明する。実施例1の車両用灯具10は、図1に示すように、自動車等の車両1の灯具として用いられるもので、車両1に設けられる前照灯とは別に、車両1の前方の周辺の路面2に照射パターンPiを形成する。その車両1の前方の周辺とは、車両1に設けられる前照灯により照射される前照灯領域よりも車両1に近い近接領域を必ず含むものであり、部分的に前照灯領域を含む場合もある。車両用灯具10は、実施例1では、車両の前部の左右両側の灯室に配置されている。その灯室は、ランプハウジングの開放された前端がアウターレンズで覆われて形成されている。車両用灯具10は、灯室において、投影光軸Lpが路面2に対して傾斜した状態で設けられる。これは、灯室が路面2よりも高い位置に設けられていることによる。以下の説明では、車両用灯具10において、光を照射する方向となる投影光軸Lpが伸びる方向を光軸方向(図面ではZとする)とし、光軸方向を水平面に沿う状態とした際の鉛直方向を上下方向(図面ではYとする)とし、光軸方向および上下方向に直交する方向(水平方向)を幅方向(図面ではXとする)とする(図2等参照)。
車両用灯具10は、図2に示すように、光源部11と集光レンズ12とフィルタ13と投影レンズ14とが筐体15に収容され、単一の投射光学系とされて、プロジェクタタイプの路面投影ユニットを構成する。筐体15は、半円筒形の下側部材15aと上側部材15bとで構成されており、下側部材15aに上記の各部材(12から14)が設置された状態で、設置台部16を介在させて下側部材15aと上側部材15bとが嵌め合わされる。筐体15では、集光レンズ12を嵌め入れる集光レンズ溝15cと、フィルタ13を嵌め入れるフィルタ孔15dと、投影レンズ14を嵌め入れる投影レンズ溝15eとが設けられている(下側部材15a側のみ図示)。なお、筐体15の形状は、適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
設置台部16は、光源部11を設置するもので、熱伝導性を有するアルミダイカストや樹脂で形成され、設置箇所16aと放熱箇所16bとを有する。設置箇所16aは、光源部11(その基板23)が設置される箇所であり、光軸方向に直交する平板状とされている。設置箇所16aには、光源部11を囲む接続壁16cが設けられている。接続壁16cは、下側部材15aと上側部材15bとが嵌め合わされる際、光軸方向の前側の先端部16dが下側部材15aと上側部材15bとに挟まれることで、筐体15に接続される。
放熱箇所16bは、光源部11で発生する熱を外部に逃がすヒートシンクとして機能する。この放熱箇所16bは、設置箇所16aに連続して設けられ、複数の放熱フィン16eを有する。放熱箇所16bは、設置箇所16aに設置された光源部11で発生した熱を各放熱フィン16eから外部に放熱する。
光源部11は、第1光源21と、第2光源22と、それらが実装される基板23と、を有する。第1光源21と第2光源22とは、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子で構成され、並列方向Dp(図3参照)に並べられているとともに、互いの出射光軸Liが平行とされる(図6参照)。なお、出射光軸Liは、個別に記載する際は、第1光源21のものを第1出射光軸Li1とし、第2光源22のものを第2出射光軸Li2とする。第1光源21と第2光源22とは、実施例1では、出射光軸Liを中心とするランバーシアン分布でアンバー色の光(縦軸を光量とし横軸を波長としたグラフにおいてアンバー色の波長帯域に最も大きなピークがあって実質的にアンバー色の単色光に近いもの)を出射する。なお、第1光源21と第2光源22とは、色(波長帯域)や、分布の態様や、色の数(上記したグラフでのピークの数)等は適宜設定すればよく、他の色の光を出射するものでもよく、白色光を出射するものでもよく、実施例1の構成に限定されない。
第1光源21と第2光源22とは、図3に示すように、それぞれ光軸方向で見て矩形状の第1発光面21a、第2発光面22aを有する。この第1発光面21aと第2発光面22aとは、実施例1では互いに等しい形状で等しい大きさとされており、互いに等しい姿勢とされている。第1光源21と第2光源22とは、第1発光面21aと第2発光面22aとが間隔dを置いた位置関係とされている。実施例1では、並列方向Dpが、幅方向と平行とされている。間隔dは、第1発光面21aおよび第2発光面22aにおける幅方向での大きさ寸法(幅寸法w)と等しいまたはその大きさ寸法よりも大きくされている。
基板23は、設置台部16の設置箇所16aに取り付けられ、第1光源21と第2光源22とが実装される。基板23は、点灯制御回路が設けられており、そこから電力を適宜供給して第1光源21と第2光源22とを点灯させる。基板23は、設置台部16の設置箇所16aに取り付けられた状態で、接続壁16cに筐体15が接続されることで、筐体15の後端部(光軸方向で投影レンズ溝15eとは反対側の端部)側に位置されて、その筐体15に収容された集光レンズ12(その入射面31)と対向される。
集光レンズ12は、図2に示すように、第1光源21、第2光源22から出射された光を集光するものであり、フィルタ13上に光を集める。集光レンズ12は、実施例1では基本的に両凸レンズとされており、入射面31および出射面32(図6等参照)が自由曲面とされている。その入射面31と出射面32とにおける光学的な設定については後述する。集光レンズ12では、幅方向の両端にフランジ部33が設けられている。各フランジ部33は、筐体15の集光レンズ溝15cに嵌め入れることが可能とされている。集光レンズ12は、光軸方向に延びるレンズ軸Lrを有する。そのレンズ軸Lrは、集光レンズ12における光学的な中心となる軸線である。集光レンズ12は、フランジ部33が集光レンズ溝15cに嵌め入れられるとレンズ軸Lrの延びる方向が投影光軸Lpと一致される。
フィルタ13は、集光レンズ12で集光された第1光源21や第2光源22からの光を部分的に通すことで照射パターンPiを形成する遮光部材の一例である。その照射パターンPiは、図1に示すように、3つの照射図柄Diが車両1から遠ざかる方向に略等しい間隔で整列されている。各照射図柄Diは、図4に示すように、大きく開くV字形状とされており、互いに略等しい大きさとされている。ここで、各照射図柄Diは、個別に示す際には、車両1から最も遠いものを第1照射図柄Di1とし、そこから車両1に近づくにつれて順に、第2照射図柄Di2、第3照射図柄Di3とする。このため、照射パターンPiでは、第1照射図柄Di1が最遠部となり、第3照射図柄Di3が最近部となる。照射パターンPiは、V字形状の頂点が略一直線上に位置されて3つの各照射図柄Diが並べられることで、車両1から所定の方向を指し示す矢印のように見せることができる。この照射パターンPiとしての矢印が指し示す方向すなわち各照射図柄DiのV字形状の頂点が並ぶ方向を矢印方向Daとし、その指し示す側(第1照射図柄Di1側)を矢印方向Daの前側とする。
その各照射図柄Diは、矢印方向Daに直交する方向に位置する2つの側端Dieが、矢印方向Daの後側に向かうに連れて内側(矢印方向Daが示す車両が曲がる側から見て内側)に向かう傾斜の直線とされている。すなわち、各照射図柄Diにおける両側端Dieは、矢印方向Daに対して内側に傾斜されている。この両側端Dieの直線が伸びる方向を側端方向Deとする。この3つの照射図柄Diからなる照射パターンPiは、フィルタ13により形成される。フィルタ13は、車両1の左右のいずれに設けられるのかに拘わらず、等しい構成とされている。
フィルタ13は、図5に示すように、フィルタ部24がフィルタ枠部25に設けられている。フィルタ枠部25は、フィルタ部24を取り囲む円形の枠状とされており、筐体15のフィルタ孔15dに嵌め入れることが可能とされている(図1参照)。
フィルタ部24は、基本的に光の透過を阻む板状のフィルム部材で形成されており、照射スリット26が設けられている。照射スリット26は、集光レンズ12で集光された第1光源21、第2光源22からの光を部分的に透過させることで、照射パターンPiを所定の形状に成形する。照射スリット26は、照射パターンPiに対応されており、実施例1では3つのスリット部27で構成されている。3つのスリット部27は、3つの照射図柄Diに一対一で対応しており、各照射図柄Diと同様に大きく開くV字形状とされ、各照射図柄Diとは異なり互いに異なる大きさとされるとともに異なる間隔とされている。詳細には、車両用灯具10は、路面2に対して投影光軸Lpが傾斜して設けられることでフィルタ13および投影レンズ14から路面2までの距離が異なるので、投影レンズ14により路面2上に投影されると各スリット部27(そこを透過した光である各照射図柄Di)がその距離に応じた大きさおよび間隔とされる。このため、各スリット部27は、路面2上で各照射図柄Diが略等しい大きさで略等間隔となるように、路面2までの距離に応じて大きさおよび間隔が設定されている。
また、各スリット部27は、照射パターンPiの各照射図柄Diの位置関係に対して、投影光軸Lpを中心として回転対象な位置関係とされている。すなわち、車両用灯具10は、投影レンズ14が反転させてフィルタ13(照射スリット26)を路面2に投影させることから、路面2上で各照射図柄Diが狙った位置関係となるように、各スリット部27を設けている。このため、各スリット部27は、上下方向の最も下側の第1スリット部271が、照射パターンPiの第1照射図柄Di1(最遠部)に対応する最遠箇所となる。そして、各スリット部27は、その上の第2スリット部272が第2照射図柄Di2に対応し、最も上側の第3スリット部273が第3照射図柄Di3(最近部)に対応する最近箇所となる。実施例1のフィルタ13では、上下方向において、第3スリット部273が投影光軸Lpよりも上方に設けられ、その下で投影光軸Lpを含む水平線を跨いで第2スリット部272が設けられ、その下に第1スリット部271が設けられている。このフィルタ13(照射スリット26の各スリット部27)を透過した光は、投影レンズ14により路面2に投影される。
投影レンズ14は、図2に示すように、光軸方向で見て円形状の凸レンズとされたレンズ本体部28と、その周辺を取り巻くフランジ部29と、を備える。レンズ本体部28は、実施例1では、入射面および出射面が、凸面とされた自由曲面とされており、段差がなく滑らかに曲率が変化された面(少なくともC2級関数)とされている。投影レンズ14は、光軸方向に延びるレンズ軸を有する。このレンズ軸は、レンズ本体部28において光軸方向での厚さが最も大きい位置を通る光学的な軸線である。レンズ本体部28は、フィルタ13の照射スリット26(その各スリット部27)を投影することで、図1等に示すように、投影光軸Lpに対して傾斜する路面2上に照射パターンPiを形成する。なお、入射面と出射面とは、レンズ本体部28を凸レンズとするものであれば、凸面でもよく凹面でもよく、実施例1の構成に限定されない。
フランジ部29は、レンズ本体部28からレンズ軸を中心とする放射方向に突出しており、レンズ軸を中心する周方向で全周に亘っている。フランジ部29は、筐体15の投影レンズ溝15eに嵌め入れることが可能とされている。投影レンズ14は、フランジ部29が投影レンズ溝15eに嵌め入れられるとレンズ軸が投影光軸Lpと一致される。
次に、集光レンズ12の光学的な設定について、図6から図14を用いて説明する。その図8と、図11から図14と、では、色が濃くなるほど相対的に明るいことを示し、色が薄くなるほど相対的に暗いことを示す。
先ず、集光レンズ12は、基本的に、第1光源21および第2光源22からの光を集光することで、フィルタ13における設定範囲Sr(図5参照)を含む配光分布で照射させる(図14参照)。設定範囲Srは、実施例1では、フィルタ13において照射スリット26(その各スリット部27)が設けられている範囲とされている。なお、設定範囲Srは、照射スリット26の形状に合わせて形状を設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。以下では、投影光軸Lpに直交する方向を径方向とする。
集光レンズ12は、図6に示すように、入射面31が、光軸方向と幅方向(並列方向Dp)とを含む横断面においてレンズ軸Lrに関して線対称な構成、すなわちレンズ軸Lrを含み幅方向に直交する面に関して面対称な構成とされている。集光レンズ12は、第1入射面部34と第2入射面部35と中間入射面部36とを有する。第1入射面部34は、第1光源21を対象として、すなわちその第1発光面21aを基準として光学的に設定されており、第1光源21に対して光軸方向の前側であって幅方向の外側(第2光源22とは反対側)に設けられている。第2入射面部35は、第2光源22を対象として、すなわちその第2発光面22aを基準として光学的に設定されており、第2光源22に対して光軸方向の前側であって幅方向の外側(第1光源21とは反対側)に設けられている。中間入射面部36は、第1光源21および第2光源22の前側であって第1入射面部34と第2入射面部35との間に設けられており、レンズ軸Lr上に位置している。実施例1の入射面31は、横断面において、第1光源21の第1出射光軸Li1上が第1入射面部34と中間入射面部36との境とされ、第2光源22の第2出射光軸Li2上が第2入射面部35と中間入射面部36との境とされている。
集光レンズ12は、光軸方向と上下方向とを含む縦断面において、入射面31が光軸方向の後側に凸の曲面とされているとともに、出射面32が光軸方向の前側に凸の曲面とされている。このとき、集光レンズ12は、フィルタ13の設定範囲Srにおいて上下方向で所望の配光分布(図13等参照)とするように、入射面31と出射面32とのそれぞれの縦断面における曲率を調整する。その配光分布は、実施例1では、フィルタ13の設定範囲Srにおいて、上下方向で投影光軸Lpの近傍で投影光軸Lpよりも下方を最も明るくしつつ、そこから離れるに連れて漸次的に暗くなるものとされている。これにより、フィルタ13上では、縦断面において、投影光軸Lpを含む幅方向にのびる線に関して、上下で非対称な配光分布とされる。
また、集光レンズ12の入射面31は、図6に示すように、横断面において、第1入射面部34と第2入射面部35とが光軸方向の後側に凸の曲面とされているとともに、中間入射面部36が幅方向(並列方向Dp)と平行な平面とされている。すなわち、中間入射面部36は、シリンドリカルレンズのように幅方向に伸びつつ上下方向のみに屈折力を持つものとされている。その第1入射面部34は、第1光源21の第1発光面21aの中心からの光を基準として光学的に設定され、第2入射面部35は、第2光源22の第2発光面22aの中心からの光を基準として光学的に設定されている。このため、入射面31では、第1光源21の第1出射光軸Li1上にサブレンズ軸が設定されているとともに、第2光源22の第2出射光軸Li2上にサブレンズ軸が設定されている。
また、集光レンズ12は、横断面において、出射面32が光軸方向の前側に凸の曲面とされている。その出射面32では、横断面において、レンズ軸Lrよりも幅方向の第1入射面部34側の半分を第1出射面部37とし、残りの半分を第2出射面部38とする。また、集光レンズ12では、幅方向で中間入射面部36が設けられた範囲を中間範囲Mrとする。すなわち、中間範囲Mrは、光軸方向で中間入射面部36と対向する範囲であり、中間入射面部36の光軸方向の前側に位置する範囲である。そして、集光レンズ12は、横断面において、第1入射面部34および第2入射面部35と、出射面32と、の曲率が次のように設定されている。
集光レンズ12は、図7に示すように、横断面において、第1光源21から出射されて第1入射面部34から入射された光L1を制御の対象として、第1入射面部34と第1出射面部37との曲率を設定する。集光レンズ12は、横断面において、光L1のうちの第1出射光軸Li1の近傍の光を、フィルタ13に至る前に投影光軸Lpと交差する方向へと進行させつつ緩やかに発散させる。また、集光レンズ12は、横断面において、光L1のうちの残りの光を、フィルタ13に至る前では投影光軸Lpと交差させることなく投影光軸Lp側へと向かうように進行させつつ緩やかに発散させる。このとき、第1出射面部37は、中間範囲Mrに頂点が位置するように、第1入射面部34とともに曲率が設定される。
集光レンズ12は、上記した光学的な設定とされることで、光L1をフィルタ13上に照射させて、図8に示すように所望の配光分布とする。ここで、フィルタ13では、投影光軸Lpよりも幅方向で第1入射面部34(第1光源21)側を第1遮光領域As1とし、その反対側すなわち幅方向で第2入射面部35(第2光源22)側を第2遮光領域As2とする。
フィルタ13上では、光L1が照射されることにより、投影光軸Lpよりも下方における投影光軸Lpの近傍に、この配光分布において最も光量の高い高光量箇所Ha1(光量のピーク)が形成される。その高光量箇所Ha1は、投影光軸Lpを通る鉛直線を跨いで第1遮光領域As1と第2遮光領域As2との双方に幅方向に伸びる長尺な形状としている。そして、フィルタ13上では、光L1が照射されることにより、高光量箇所Ha1を中心として、設定範囲Sr内における上下左右の所定の範囲に亘り配光分布が形成される。その光L1による配光分布では、高光量箇所Ha1から離れるに連れて、すなわち設定範囲Srの周縁に近付くほど暗くなるように、徐々に明るさが変化しており、単一の高光量箇所Ha1が形成されている。なお、フィルタ13上では、光L1が、設定範囲Srにおける中央近傍から第1遮光領域As1側に広げた範囲を照射しており、設定範囲Srの全域を照射してはいない。
集光レンズ12では、横断面において、上記のように設定された第1入射面部34と第1出射面部37とを用いて、第2入射面部35と第2出射面部38との曲率が設定される。この集光レンズ12は、横断面においてレンズ軸Lrに関して線対称、すなわちレンズ軸Lrを含み幅方向に直交する面に関して面対称とする。そして、集光レンズ12は、横断面においてレンズ軸Lrを中心に第1入射面部34を反転させて第2入射面部35を設定し、レンズ軸Lrを中心に第1出射面部37を反転させて第2出射面部38を設定する。
ここで、第1入射面部34は、上記のように設定することで、第1光源21側に凸となる曲面とされるとともに、幅方向でレンズ軸Lrに至る前に頂点(光軸方向で最も第1光源21側となる点)が存在する(図6において第1入射面部34からのびる二点鎖線34´参照)。このため、入射面31では、横断面において第1入射面部34からレンズ軸Lrを中心に線対称として第2入射面部35を設定すると、レンズ軸Lrの近傍に凹み(光軸方向で出射面32側に湾曲した窪み)が形成される。この凹みは、設定範囲Sr内において、不要に明るい領域(図11の破線で囲む箇所参照)を形成してしまう。
そこで、実施例1の集光レンズ12は、横断面において、第1入射面部34および第2入射面部35を、幅方向で外側の端部34a、35aからそれぞれが対応する光源(21、22)の出射光軸(Li1、Li2)まで伸びるものとし、その間を幅方向に平行な線で繋いで中間入射面部36とする。この中間入射面部36は、第1入射面部34と第2入射面部35とを連続させているので、縦断面においては、それらと一体的に光軸方向の後側に凸の曲面とされている。この中間入射面部36は、第1入射面部34と第2入射面部35とを上記のように設定した際に不要に明るい領域の原因のとなる凹みを形成しないように、横断面において幅方向に平行とされていれば、幅方向での位置は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
出射面32は、第1出射面部37の頂点が中間範囲Mrに位置するので、その頂点が幅方向でレンズ軸Lrを超えた位置(第2光源22が設けられた側)に形成されている場合、上記のように形成されることで単一の頂点を有するものとなる。また、出射面32は、第1出射面部37の頂点が幅方向でレンズ軸Lrを超えない位置(第1光源21が設けられた側)に形成されている場合、上記のように形成されることで2つの頂点を有するものとなる。そして、出射面32は、いずれの場合であっても横断面においてレンズ軸Lrを中心として線対称とされているので、第1出射面部37と第2出射面部38とがレンズ軸Lr上において段差のないもの(C0級関数)とされている。
上記のように設定された集光レンズ12は、図9に示すように、横断面において、第2光源22から出射されて第1入射面部34から入射された光L2のうち、幅方向の外側の近傍の光をレンズ軸Lr側へ向けて出射する。また、集光レンズ12は、横断面において、光L2のうち、レンズ軸Lr側の光をレンズ軸Lrから離れる方向へ向けて出射する。すなわち、集光レンズ12は、横断面において、光L2に対して、入射位置が第1入射面部34における幅方向の内側となるに連れて、レンズ軸Lrに近付く方向から遠ざかる方向へ出射させる方向を変化させている。このため、集光レンズ12は、横断面において、光L2を、進行する方向を交差させた後にレンズ軸Lrから離れた位置で緩やかに発散させる。
上記のように設定された集光レンズ12は、図10に示すように、横断面において、第2光源22から出射されて中間入射面部36から入射された光L3を、発散させつつレンズ軸Lrから徐々に離れる方向へと出射して、緩やかに発散させる。
集光レンズ12は、上記のように光学的に設定されることで、第1入射面部34および中間入射面部36を経た第2光源22からの光L2および光L3を、フィルタ13上において図11に示すように照射させる。フィルタ13上では、光L2および光L3が照射されることにより、投影光軸Lpよりも下方における投影光軸Lpの近傍に、この配光分布において最も光量の高い高光量箇所Ha2(光量のピーク)が形成される。その高光量箇所Ha2は、第1遮光領域As1内で幅方向に伸びる長尺な形状とされており、上記の光L1による高光量箇所Ha1(図8参照)と一部を重ねつつ幅方向で並ぶ位置関係とされている。そして、フィルタ13上では、高光量箇所Ha2を中心として、設定範囲Sr内における第1遮光領域As1側の上下左右の所定の範囲に亘り配光分布が形成される。その配光分布では、高光量箇所Ha2から離れるに連れて、すなわち設定範囲Srの周縁に近付くほど暗くなるように、徐々に明るさが変化しており、単一の高光量箇所Ha2が形成されている。
フィルタ13上では、光L1による配光分布(図8参照)と、光L2と光L3とによる配光分布(図11参照)と、が重ねられる。すると、フィルタ13上では、図12に示すように、高光量箇所Ha1と高光量箇所Ha2とが重ねられて、この配光分布において最も光量の高い高光量箇所Ha3が形成される。この高光量箇所Ha3は、投影光軸Lpよりも下方における投影光軸Lpの近傍において、投影光軸Lpを通る鉛直線を跨いで一部が第2遮光領域As2に位置しつつ第1遮光領域As1まで幅方向に伸びる長尺な形状とされている。そして、フィルタ13上では、高光量箇所Ha3を中心として、設定範囲Srの第1遮光領域As1側を埋めつつ第2遮光領域As2における投影光軸Lpの近傍に至る範囲に亘って配光分布が形成される。その配光分布では、高光量箇所Ha3から離れるに連れて、すなわち設定範囲Srの周縁に近付くほど暗くなるように徐々に明るさが変化しており、単一の高光量箇所Ha3を有している。
ここで、図12に示すフィルタ13上の配光分布は、第1入射面部34および中間入射面部36を経た第1光源21および第2光源22からの光L1と光L2と光L3とにより形成されたものである。そして、集光レンズ12は、横断面においてレンズ軸Lrに関して線対称な構成とされているので、第1光源21および第2光源22からの第2入射面部35および中間入射面部36を経た光による配光分布が、図12の配光分布の投影光軸Lpに関して線対称なものとされる。
これらのことから、第1光源21と第2光源22とが点灯されると、図12の配光分布と、それと投影光軸Lpに関して線対称な配光分布と、が重ねられて、図13に示す配光分布がフィルタ13上に形成される。フィルタ13上では、双方の高光量箇所Ha3が重ねられることで、投影光軸Lpよりも下方の投影光軸Lpの近傍において、投影光軸Lpを跨いで幅方向に長尺な高光量領域HAが形成される。高光量領域HAは、この配光分布において最も光量の高い領域(光量がピークとなる領域)であり、所謂ホットゾーンとなる。フィルタ13上では、高光量領域HAを中心として、設定範囲Srを埋めるように光が照射され、高光量領域HAから離れるに連れてすなわち設定範囲Srの周縁に近付くほど暗くなるように、徐々に明るさが変化している。このように、フィルタ13上では、幅方向(並列方向Dp)で単一の高光量領域HA(光量のピーク)を有する配光分布が形成されている。このとき、フィルタ13上では、明るさの分布が幅方向に拡がるものとされており、上下方向で等しい位置である場合には幅方向での位置が変化しても明るさが殆ど変化しない。すなわち、集光レンズ12は、幅方向において、上下方向と比較して明るさの差が生じないように発散させて、第1光源21および第2光源22からの光で設定範囲Sr内を照射させている。
この図13に示す配光分布が、フィルタ13における照射スリット26の各スリット部27上に形成された様子を図14に示す。フィルタ13上では、高光量領域HAが第1スリット部271の略全域を包含するものとされており、そこを最も明るく(光量のピークと)しつつ、そこから離れるに連れて漸次的に暗くされて設定範囲Sr内が照射されている。その設定範囲Srでは、上下方向において、最遠箇所となる第1スリット部271が最も明るく、最近箇所となる第3スリット部273が最も暗くなるように、第1から第3のスリット部271、272、273の順に徐々に明るさが変化している。このとき、設定範囲Srでは、各スリット部27すなわち上下方向での各位置において、幅方向における明るさが略均一なものとされている。これにより、フィルタ13上では、第1スリット部271よりも第2スリット部272が、かつ第2スリット部272よりも第3スリット部273が、暗くされつつ、その各スリット部27が幅方向における明るさが略均一なものとされている。
車両用灯具10は、図2を参照して以下のように組み付けられる。先ず、基板23に第1光源21、第2光源22が実装されて光源部11が組み付けられ、その光源部11が設置箇所16aに固定されて設置台部16が構成される。その後、筐体15の下側部材15aにおいて、集光レンズ溝15cに集光レンズ12を嵌め入れ、フィルタ孔15dにフィルタ13を嵌め入れ、投影レンズ溝15eに投影レンズ14を嵌め入れる。そして、筐体15の下側部材15aの後端部を接続壁16cの先端部16dの下側に宛がいつつその下側部材15aに上側から上側部材15bを嵌め合わせる。これにより、集光レンズ12とフィルタ13と投影レンズ14とが筐体15に収容されつつ、その筐体15に光源部11が接続される。これにより、投影光軸Lp上に、光源部11の側から集光レンズ12とフィルタ13と投影レンズ14との順に並ぶ所定の位置関係で配置されて、車両用灯具10が組み付けられる。
次に、車両用灯具10の作用について説明する。この車両用灯具10は、投影光軸Lpが車両1の外側の斜め前側に向けられつつ車両1の周辺の路面2に対して傾斜された状態で灯室に設けられる(図1参照)。車両用灯具10は、点灯制御回路からの電力を基板23から第1光源21および第2光源22に供給することで、それらを適宜点灯および消灯できる。第1光源21および第2光源22からの光は、集光レンズ12で集光されてフィルタ13を照射し、その照射スリット26(各スリット部27)を透過した後に、投影レンズ14により投影されることで、照射パターンPiを路面2上に形成する。その照射パターンPiは、上記の配光分布とされたフィルタ13の照射スリット26(その各スリット部27)を透過した光が、投影レンズ14により投影されることで、略等しい明るさで略一直線上に3つの照射図柄Diが並べられる。特に、実施例1の車両用灯具10では、第1光源21、第2光源22を単色光としているので、投影レンズ14における色収差の影響を大幅に抑制することができ、照射パターンPiすなわち各照射図柄Diを明確なものにできる。
車両用灯具10は、ターンランプと連動されており、左右いずれかのターンランプが点灯されると、その点灯された側に設けられたものの第1光源21、第2光源22が点灯されて、照射パターンPiを路面2上に形成する。例えば、図15に示す例では、見通しの悪い路地から出てくる車両1が左折しようとしている場面を示している。車両1では、左側のターンランプが点滅されることで、左前に設けられた車両用灯具10が照射パターンPiを路面2上に形成する。すると、図15を正面視して手前側に存在する者は、車両1を視認できない場合であっても、路面2上に形成された照射パターンPiを視認できる。
特に、車両用灯具10は、形成する照射パターンPiの各照射図柄Diにおいて、両側端Dieを矢印方向Daに対して内側に傾斜させている。このため、車両用灯具10は、曲がろうとする方向へ向けて形成した照射パターンPi(その矢印方向Da)よりも、その曲がろうとする方向へと大きく傾けたラインとして各側端Dieを示すことができる。このことから、車両用灯具10は、例えば、左前に形成された照射パターンPiを車両1の左前側に存在する者に対して、手前側の側端Die(その側端方向De)が自らへ向けられているように見せることができる。これにより、車両用灯具10は、その者に対して、照射パターンPiが単に矢印方向Daを指し示しているだけではなく、矢印方向Daからより外側すなわちその者がいる方向へと曲がる意図があることを感じさせることができる。
また、車両1は、左右の車両用灯具10がターンランプと連動されているので、ハザードランプが点灯された場合には、左右の2つの車両用灯具10が同時に照射パターンPiを路面2上に形成することとなる(図1参照)。このため、車両用灯具10は、左右のターンランプのみを点滅させている場合と比較して、車両1の周辺にいる者に対して、ハザードランプが点灯されていることをより確実に認識させることができる。
車両用灯具10は、第1光源21と第2光源22とからの光をフィルタ13上に導いているので、その照射スリット26を通して形成する照射パターンPiの明るさを十分なものにできる。ここで、第1光源21と第2光源22とは、それぞれが発熱するので、間隔を置いて配置することで、良好に放熱できる。
ここで、比較例としての車両用灯具(以下では、比較車両用灯具とする)について述べる。比較車両用灯具は、車両用灯具10と同様に、光源からの光を集光レンズでフィルタ上に集光し、投影レンズで投影することで照射パターンを形成する構成とされている。比較車両用灯具は、間隔を置いて2つの光源を配置すると、フィルタ上において、2つの光源が形成する光量のピークが離れて形成される。このことは、形成した照射パターンにおける光ムラの原因となり、両光源が双方の発光面の寸法よりも大きな間隔で配置された場合に、顕著となって光ムラが目立つようになる。換言すると、比較車両用灯具は、各発光面よりも大きな間隔を置いて両光源を配置すると、2つの光源を単一の光源とみなすことが困難となる傾向があり、フィルタ上で2つのピークが形成されて照射パターンに光ムラを生じさせてしまう。
これに対して、車両用灯具10は、両発光面(21a、22a)における幅寸法w以上の間隔dを置いた2つの光源(21、22)からの光を集光する集光レンズ12において、入射面31に第1入射面部34と第2入射面部35とを設けている。その第1入射面部34は、第1光源21を対象として光学的に設定しているとともに、第2入射面部35は、第2光源22を対象として光学的に設定している。そして、集光レンズ12では、第1入射面部34や第2入射面部35から入射させた第1光源21および第2光源22からの光が、フィルタ13上において並列方向Dp(幅方向)で単一の高光量領域HA(光量のピーク)を有する配光分布となるように、第1入射面部34および第2入射面部35とともに出射面32を光学的に設定している。このため、車両用灯具10は、両光源(21、22)を適切に冷却しつつ、光ムラを抑制した明るい照射パターンPiを形成できる。
特に、実施例1の車両用灯具10では、集光レンズ12が、第1入射面部34を経た第1光源21からの光をフィルタ13上に投影して、第2遮光領域As2で投影光軸Lpの近傍に配光分布における高光量箇所Ha1を有する配光分布とする。また、車両用灯具10では、集光レンズ12が、第2入射面部35を経た第2光源22からの光をフィルタ13上に投影して、第1遮光領域As1で投影光軸Lpの近傍に配光分布における高光量箇所(高光量箇所Ha1を反転したもの)を有する配光分布とする。そして、車両用灯具10では、集光レンズ12が、上記の2つの高光量箇所を並列方向Dpで隙間なく並べることで、投影光軸Lp上で途切れることなく投影光軸Lpを跨いで幅方向に長尺な高光量領域HAを形成する。換言すると、集光レンズ12は、配光分布を反転させて重ねた際に単一の高光量領域HAを形成するように、第1入射面部34を経た第1光源21からの光L1が形成する配光分布における高光量箇所Ha1の位置および形状を調整している。これにより、車両用灯具10は、フィルタ13上において、幅方向に伸びる第1スリット部271の略全域に亘って高光量領域HAを形成することができ、第1スリット部271の最も遠くに形成される第1照射図柄Di1の明るさを確保しつつ略均一な明るさにできる。
ここで、先行技術文献に記載の従来の車両用灯具は、複数の光源に個別に対応させて複数のライトガイドを設けている。この各ライトガイドは、一体化されていても、個別に光源に対応する棒状とされており、対応する光源からの光のみを遮光部材上へと個別に導くものとされている。このため、従来の車両用灯具は、各光源に合わせて複数の棒状のライトガイドを配置する必要があり、複雑な構成となる。また、従来の車両用灯具は、遮光部材上において、ライトガイド毎に対応する光源からの光が導かれるので、光源毎に別々に遮光部材上に導かれることとなる。このため、従来の車両用灯具は、形成する照射パターンに最適化させて遮光部材上で単一の高光量領域(光量のピーク)を有する配光分布を形成するように調整することが困難となる。この最適化は、例えば、本願発明の照射パターンPiを例にすると、最遠部の第1照射図柄Di1に対応する第1スリット部271を最も明るくして第2スリット部272、第3スリット部273の順に暗くしていくとともに、各スリット部27内を略均一な光量とするものである。このように、従来の車両用灯具は、照射パターンPiにおいて、各スリット部27が並ぶ上下方向では光量を変化させつつ、それに直交する幅方向では光量を略均一とする配光分布を形成するように調整することが困難となる。
これに対して、車両用灯具10は、第1光源21および第2光源22に対して、それぞれからの光を内方に導きつつ同じ出射面32から出射させる単一の集光レンズ12を設け、その集光レンズ12でフィルタ13上における配光分布を所望のものとしている。このため、車両用灯具10は、形成する照射パターンPiの明るさを十分なものとしつつ、従来の車両用灯具と比較して簡易な構成にできる。また、車両用灯具10は、単一の集光レンズ12において、第1光源21からの光と第2光源22とからの光とを内方に導いて同一の出射面32から出射させて集光するので、双方の光を併せてフィルタ13上に導くことができる。このため、車両用灯具10は、従来の車両用灯具と比較して、フィルタ13上で単一の高光量領域HA(光量のピーク)を有する配光分布を形成するように調整することが容易となる。
実施例1の車両用灯具10は、以下の各作用効果を得ることができる。
車両用灯具10は、2つの光源(21、22)を両発光面(21a、22a)の幅寸法wと同じ間隔dもしくは幅寸法wよりも大きな間隔dを置いて並列方向Dpに並べて配置している。そして、車両用灯具10では、集光レンズ12が、両光源(21、22)からの光を集光して、遮光部材(実施例1ではフィルタ13)上における並列方向Dpで単一の高光量領域HAを有する配光分布とする。このため、車両用灯具10は、2つの光源(21、22)を適切に冷却しつつ、遮光部材上で単一の高光量領域HAを有する配光分布を形成できる。これにより、車両用灯具10は、集光レンズ12の構成を簡易なものにできるとともに、光ムラを抑制した明るい照射パターンPiを形成できる。
また、車両用灯具10では、集光レンズ12が、第1入射面部34を経た第1光源21からの光を遮光部材上に投影して、その第2遮光領域As2で配光分布の高光量箇所Ha1を形成する。また、車両用灯具10では、集光レンズ12が、第2入射面部35を経た第2光源22からの光を遮光部材(フィルタ13)上に投影して、その第1遮光領域As1で配光分布の高光量箇所(高光量箇所Ha1を反転したもの)を形成する。そして、車両用灯具10では、集光レンズ12が、上記の2つの高光量箇所を並列方向Dpで隙間なく並べることで高光量領域HAを形成する。このため、車両用灯具10は、遮光部材上において、投影光軸Lpを跨いで幅方向に長尺な高光量領域HAを有する配光分布とすることができる。
さらに、車両用灯具10は、入射面31が、並列方向Dpで、第1入射面部34と第2入射面部35との間に中間入射面部36を有し、その中間入射面部36が、並列方向Dpと平行な面とされている。このため、車両用灯具10は、上記のように第1入射面部34と第2入射面部35とを設定することに伴って、遮光部材上において不要に明るい領域が形成されることを抑制できる。
車両用灯具10は、集光レンズ12の出射面32が、並列方向Dpにおいて、中間入射面部36が設けられた中間範囲Mrに遮光部材側へ向けて凸となる頂点を有している。このため、車両用灯具10は、頂点の周辺を含む出射面32の成形を容易なものにできる。
したがって、本開示に係る車両用灯具としての実施例1の車両用灯具10は、簡易な構成としつつ遮光部材(フィルタ13)上における配光分布を所望のものにできる。
以上、本開示の車両用灯具を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
なお、実施例1では、3つの照射図柄Diを車両1から遠ざかる方向に略等しい間隔で整列させて照射パターンPiを構成している。しかしながら、照射パターンは、車両1の周辺の路面2に形成されて、車両1の周辺の者に対して運転手の何らかの意図を知らせるものであれば、図柄や形成する位置等は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。また、車両用灯具10は、実施例1ではターンランプに連動されていたが、後退灯等の他のランプに連動させてもよく、個別に動作されてもよく、実施例1の構成に限定されない。そして、車両用灯具は、車両1に対して照射パターンを形成する位置に応じて車両1に設ければ、ドアミラーに収容したり、尾灯の灯室(車両の後部の左右両側の灯室)に配置したり、車体に設けたりしてもよく、実施例1の構成に限定されない。
この他の一例を図16に示す。図16の車両用灯具10Aは、車両1の進行方向の後側に照射パターンPiAを形成する。この照射パターンPiAは、実施例1と同様の3つの照射図柄Diが車両1の進行方向に並べられて形成される。この車両用灯具10Aは、車両1の進行方向の後側に向けて、ハイマウントストップランプ等の車両の後部の灯室または車体の後部に配置される。車両用灯具10Aは、光源部11における第1光源21と第2光源22とが白色光を出射するものとしている。車両用灯具10Aは、後退灯と連動されており、後退灯が点灯されると、車両1が後進する方向を指し示すように照射パターンPiAを路面2上に形成する。照射パターンPiAは、車両1の後方の周辺の者に対して、車両1が後進していることを知らせることができ、注意喚起することができる。そして、車両用灯具10Aは、連動された後退灯と同じ白色の照射パターンPiAを形成するので、連動することの違和感が抑制されている。なお、車両用灯具10Aは、後退灯と連動して白色の照射パターンを形成するものであれば、例えば、矩形状の照射パターンを形成してもよく、他の形状の照射パターンを形成してもよく、この他の例に限定されない。
また、実施例1(上記の他の例も含む(以下、同様とする))では、各スリット部27において、幅方向における明るさを略均一なものとしている。しかしながら、集光レンズ12は、遮光部材(フィルタ13)上において、2つの光源(21、22)の並列方向Dpで単一の高光量領域(HA)を有する配光分布とするものであればよく、実施例1の構成に限定されない。すなわち、並列方向Dpは、形成する照射パターンの形状や態様に合わせて適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
さらに、実施例1では、遮光部材として、集光レンズ12で集光された光を照射スリット26から透過させるフィルタ13を用いている。しかしながら、遮光部材は、集光レンズ12で集光された光を部分的に通す照射スリット26が設けられたものであれば、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。その他の構成としては、例えば、光を通さない板状の部材に、その部材を貫通する照射スリットを設け、集光レンズ12を経た光を照射スリットから通過させる遮光板とすることができる。
実施例1では、運転手が運転する車両1に車両用灯具10、10Aを設けている。しかしながら、車両用灯具は、自動運転機能を有する車両に設けられてもよく、実施例1の構成に限定されない。この場合、車両用灯具は、設けられる用途に応じたタイミング、すなわち車両1の動作に関する何らかの意図に応じたタイミングで照射パターンを形成すればよく、実施例1の構成に限定されない。
実施例1では、光源部11がヒートシンク(放熱箇所16b)としての機能を有する設置台部16に設けられており、この設置台部16が筐体15に接続される構成とされている。しかしながら、車両用灯具は、光源部からの光を集光レンズで遮光部材上に集光し、投影レンズで投影することで照射パターンを形成するものであれば、光源部は筐体の端部に設けられてもよく、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。