JP2021109311A - 積層体、包装材料、および積層体の製造方法 - Google Patents

積層体、包装材料、および積層体の製造方法 Download PDF

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公美 芦原
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Abstract

【課題】金属箔と樹脂層との密着性、および金属箔と基材との接着性に優れる積層体を提供する。【解決手段】金属箔と樹脂層とが積層された積層体である。樹脂層は、酸変性ポリオレフィン樹脂を含有し、以下の方法により測定される剥離強度Aが5N/15mm以上である。(剥離強度Aの測定方法)樹脂層表面にさらに基材を積層し、これを15mm幅で切り出して、オクタンとトルエン(質量比1/1)とからなる溶媒中で、50℃で2週間保管した試験片に対し、引張り試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機2020型)を用い、20℃かつ65%RHの雰囲気中で、引張り速度200mm/分かつ引張り角度180度の条件で測定された、金属箔と基材との剥離強度を剥離強度Aとする。【選択図】なし

Description

本発明は、金属箔と樹脂層とが積層された積層体、この積層体を含む包装材料、および積層体の製造方法に関する。
従来から、包装材料として、アルミニウム箔などの金属箔などからなるバリア層の上に、接着性を有する樹脂層を介して、様々な基材が積層された積層体が知られている。
例えば、特許文献1においては、バリア層としての金属箔上に酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する接着層が形成され、さらに接着層上にシーラント層が設けられた積層体が記載されている。この積層体は接着性、耐アルカリ性、耐水性などに優れる。
特開2014−213867号公報
本発明は、上記のような従来技術に鑑みて、金属箔と樹脂層とが積層された積層体であって、金属箔と樹脂層との密着性にいっそう優れるとともに、樹脂層上に基材を積層した場合の、金属箔と基材との接着性にいっそう優れる積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、表面を加熱処理した金属箔と樹脂層とが積層された積層体は、上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記(1)〜(7)の通りである。
(1)金属箔と樹脂層とが積層された積層体であって、樹脂層は、酸変性ポリオレフィン樹脂を含有し、以下の方法により測定される剥離強度Aが5N/15mm以上である、積層体。
(剥離強度Aの測定方法)
樹脂層表面にさらに基材を積層し、これを15mm幅で切り出して、オクタンとトルエン(質量比1/1)とからなる溶媒中で、50℃で2週間保管した試験片に対し、引張り試験機を用い、20℃かつ65%RHの雰囲気中で、引張り速度200mm/分かつ引張り角度180度の条件で測定された、金属箔と基材との剥離強度を剥離強度Aとする。
(2)樹脂層表面にさらに基材を積層してなる、(1)の積層体。
(3)基材がポリオレフィン樹脂層である、(2)の積層体。
(4)酸変性ポリオレフィン樹脂におけるオレフィン成分が、プロピレンを含む、(1)〜(3)の何れかの積層体。
(5)(1)〜(4)の何れかの積層体を含む、包装材料。
(6)(1)〜(4)の何れかの積層体を製造する方法であって、
以下の第一工程および第二工程をこの順に含む、積層体の製造方法。
金属箔を100〜300℃の温度で加熱処理する第一工程
金属箔表面に、酸変性ポリオレフィン樹脂を含有するコート剤を塗布し、樹脂層を形成する第二工程
(7)さらに、樹脂層表面に基材を積層する第三工程を含む、(6)の積層体。
本発明の積層体は、金属箔と樹脂層との密着性にいっそう優れるとともに、金属箔と基材との接着性にいっそう優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層体は、金属箔と樹脂層とが積層されてなるものであり、樹脂層表面に基材が積層された場合の、金属箔と基材との間における接着性に優れる。接着性に優れることの指標は、以下の方法により測定される剥離強度Aが5N/15mm以上である。
(剥離強度Aの測定方法)
樹脂層表面にさらに基材を積層し、これを15mm幅で切り出して、オクタンとトルエン(質量比1/1)とからなる溶媒中で、50℃で2週間保管した試験片に対し、引張り試験機を用い、20℃かつ65%RHの雰囲気中で、引張り速度200mm/分かつ引張り角度180度の条件で測定された、金属箔と基材との剥離強度を剥離強度Aとする。
(金属箔)
金属箔としては、金属から構成されるものであれば、特に限定されない。金属箔を構成する金属としては、バリア性の点から、アルミニウム、銅またはステンレス鋼であることが好ましい。金属箔の厚みは、特に限定されないが、経済的な面から3〜50μmであることが好ましい。
(樹脂層)
樹脂層は、酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する。酸変性ポリオレフィン樹脂は、樹脂の溶解または分散が容易であり、後述のコート剤への加工が容易である観点、また樹脂層と金属箔との密着性を向上させる観点から、不飽和カルボン酸成分を含有する。
酸変性ポリオレフィン樹脂中のオレフィン成分としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のアルケン、またはノルボルネン等のシクロアルケンが挙げられ、これらの混合物であってもよい。中でも接着性の観点から、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが好ましく、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、プロピレン成分を含むことがさらに好ましい。また、2種類以上のオレフィン成分が共重合されていてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂におけるオレフィン成分の含有量は、50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがより好ましい。オレフィン成分の含有量が50質量部未満では、接着性に劣る場合がある。
不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸が挙げられ、さらに不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でも密着性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、無水マレイン酸がより好ましい。
不飽和カルボン酸成分の共重合の形態は、特に限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂における不飽和カルボン酸成分の含有量としては、不飽和カルボン酸成分以外の成分の合計100質量部に対して0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることがさらに好ましく、3質量部以上であることが特に好ましい。含有量の上限としては、10質量部以下であることが好ましく、9質量部以下であることがより好ましく、8質量部以下であることがさらに好ましく、7質量部以下であることが特に好ましい。不飽和カルボン酸成分の含有量が上記範囲を外れると、密着性または接着性が低下する場合がある。
酸変性ポリオレフィン樹脂には、オレフィン成分または不飽和カルボン酸成分以外の他の成分が、本発明の効果を損ねない限りにおいて、20質量部以下程度含有されていてもよい。他の成分として、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸ジエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどのビニルエステル類、並びにビニルエステル類を塩基性化合物などでケン化して得られるビニルアルコール、(メタ)アクリル酸アミド類など、さらには、これらの混和物が挙げられる。中でも、接着性の観点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどのビニルエステル類成分が好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類がより好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。
これらの他の成分の共重合の形態は、特に限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂の具体例としては、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−ブテン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−ブテン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
中でも、密着性、接着性の観点から、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−無水マレイン酸共重合体が好ましく、エチレン−プロピレン−無水マレイン酸共重合体がより好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量の下限としては、密着性、接着性の観点から、5,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、20,000以上であることがさらに好ましく、30,000以上であることが最も好ましい。一方、重量平均分子量の上限としては、樹脂層が硬くてもろくなることを抑制し、樹脂層の割れを低減させて接着性を維持する観点、また樹脂の溶解または分散が容易であり、後述のコート剤への加工が容易である観点から、200,000以下であることが好ましく、180,000以下であることがより好ましく、160,000以下であることがさらに好ましく、120,000以下であることが最も好ましい。
なお、酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン樹脂を標準として求めることができる。
一般に酸変性ポリオレフィン樹脂は、溶剤に対して難溶であり、このため分子量の測定が困難となる場合がある。そのような場合には、溶融樹脂の流動性を示すメルトフローレート値を分子量の目安としてもよい。具体的には、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート値が、0.01〜500g/10分であることが好ましく、0.1〜400g/10分であることがより好ましく、1〜300g/10分であることがさらに好ましく、5〜200g/10分であることが特に好ましい。
樹脂層には、酸変性ポリオレフィン樹脂以外の樹脂が含有されていてもよい。こうした樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン−ポリ塩化ビニル共重合体、フッ素樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、UV硬化型樹脂などが挙げられる。これらは単独でも、複数を含有してもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂以外の樹脂の含有量は、本発明の効果を損ねない限りにおいては特に限定されないが、通常、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して500質量部以下の範囲が好ましい。
樹脂層には、各種の添加剤が含有されていてもよい。添加剤は、必要な性能によって適宜選択すればよく特に限定されないが、例えば、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライトなどからなる無機微粒子、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、触媒、光触媒、UV硬化剤、濡れ剤、浸透剤、柔軟剤、増粘剤、分散剤、撥水剤、滑剤、帯電防止剤、老化防止剤、加硫促進剤などの各種薬剤、顔料あるいは染料、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ガラス繊維などの添加剤、または上記添加剤以外の有機もしくは無機の化合物が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の積層体において、樹脂層表面にさらに基材を積層した場合に、下記式にて算出される接着性保持率が、70%以上であることが好ましい。
接着性保持率(%)=(剥離強度A/剥離強度B)×100
剥離強度Bは、積層体を15mm幅で切り出したのみであり、オクタンとトルエン(質量比1/1)からなる溶媒中で処理していない試験片に対し、引張り試験機を用い、20℃かつ65%RHの雰囲気中で、引張り速度200mm/分かつ引張り角度180度の条件で測定された、金属箔と基材との剥離強度である。
本発明においては、接着性に優れる観点から、剥離強度Bが5N/15mm以上であることが好ましい。
(基材)
基材としては、各種の樹脂からなる層、紙、不織布、シーラント層などが挙げられる。
各種の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)などのポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン6、ポリ−p−キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)などのポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。さらに、これらの樹脂からなる層の複層体、または混合体であってもよい。
上記のポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマーなどが挙げられる。
紙としては、例えば、通常の紙または合成紙などが挙げられる。
基材には、公知の添加剤または安定剤、例えば帯電防止剤、易接着コート剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などが含まれていてもよい。また、密着性を向上させるために、前処理としてコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理などが施されていてもよい。
基材には、本発明の効果を低減させない範囲で、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、着色剤、発泡剤などが含有されていてもよい。
基材の厚みは、特に限定されないが、10〜60μmの範囲とすることが好ましく、15〜40μmの範囲とすることがより好ましい。
基材には、5〜20μm程度の凸凹が形成されていてもよい。これにより、滑り性、引き裂き性を付与できる。
本発明の積層体は、用途または必要な性能(例えば、易引裂性またはハンドカット性、耐衝撃性、または耐ピンホール性)などに応じて、金属箔の樹脂層と反対の面に、別の基材(例えば、紙、シーラント層、不織布)または別の層(例えば、印刷層、またはトップコート層)を設けてもよい。
別の基材または別の層を設ける方法としては、公知の方法(例えば、接着剤からなる層を介してドライラミネートする法、熱ラミネートする法、ヒートシールする法、または押出しラミネートする法など)を採用すればよい。
接着剤としては、1液タイプのウレタン系接着剤、2液タイプのウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体などが挙げられる。また、本発明における樹脂層を形成するためのコート剤を接着剤として用いてもよい。
別の基材または別の層の厚みは、特に限定されず、各種用途への適性、加工性などを考慮して決定すればよい。
別の基材は、公知の添加剤または安定剤、例えば帯電防止剤、易接着コート剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでいてもよい。また接着性を向上させるために、前処理として表面にコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、または溶剤処理などが施されていてもよい。
(用途)
本発明の積層体の用途としては、包装材料用途、断熱フィルム部材などの建材用途、太陽電池素子材料部材、照明部材、フィルムコンデンサ部材などの電子部材用途などが挙げられる。
(包装材料)
本発明の積層体を含む包装材料は、金属箔と基材との接着性に優れ、様々な内容物に対して良好な耐性を有する。
具体的には、内容物としては、アルコール(例えば50質量%以上の高濃度アルコール)、アルコール飲料、酸化防止剤、亜硫酸塩、芳香剤、香料、入浴剤(液体タイプ、粉末タイプ)、香辛料(チョウジ、唐辛子)、湿布剤、貼付剤、医薬品、電池電解液、トイレタリー製品、界面活性剤、シャンプー、リンス、洗剤、車用洗浄剤、パーマ液、防虫剤、殺虫剤、消毒液、消臭剤、育毛剤、食酢、歯磨き剤、化粧品、現像液、毛染め剤、歯磨き粉、美容エキス、マスタード、食酢、油、カレー、粉末キムチの素、タバスコ(キダチトウガラシを原料とした香辛料、登録商標)、塩基性物質を含んだ物、酸性物物質を含んだ物が挙げられる。
包装材料の態様としては、例えば、三方シール袋、四方シール袋、ガセット包装袋、ピロー包装袋、ゲーベルトップ型の有底容器、テトラクラシック、ブリュックタイプ、チューブ容器(ラミネートチューブ)、紙カップ(例えば、胴部と底部のブランク板をそれぞれ作製し、該ブランク板をカップ成形機で筒状の胴部を形成するとともに、該胴部の一方の開口端に底部を成形し、熱接着してなる紙カップ容器など)、蓋材など種々のものが挙げられる。また、最内層としてシーラント層を設け、さらにポリエチレン樹脂製チャック、またはポリプロピレン樹脂製チャックを設けて、チャック付き包装袋とすることもできる。
本発明の包装材料は、チャックとの接着性にも優れ、さらに深絞り成型に適している。
本発明の積層体を包装材用途に用いる場合の層構成としては、特に限定されるものではないが、例えば、金属箔/樹脂層/シーラント層などが挙げられる。
本発明の積層体を製造する方法は、以下の第一工程および第二工程をこの順に含む。
金属箔を100〜300℃の温度で加熱処理する第一工程
金属箔表面に、酸変性ポリオレフィン樹脂を含有するコート剤を塗布し、樹脂層を形成する第二工程
第一工程において用いられる金属箔としては、上記したものが挙げられる。
加熱処理する方法は特に限定されず、熱ロール接触式、熱風式、近赤外線または遠赤外線を用いる方法等が挙げられる。
第一工程における加熱処理温度は、100〜300℃であり、120〜250℃とすることが好ましく、140〜220℃とすることがより好ましい。加熱処理温度が100℃未満であると、密着性、接着性が低下する。300℃を超えても、接着性が低下してしまう。なお、第一工程から第二工程へ移る際に、本工程で加熱処理した金属箔表面の温度は、室温まで下がっていてもよい。
加熱処理を行うことで、密着性、接着性に優れる積層体が得られる。その理由を本発明者らは、特定温度での加熱処理を行うことで、金属箔における酸化が均一に進行して化学的結合が増加したために、樹脂層との密着性にいっそう優れるものとなり、基材との接着性が向上されるからであると推測する。
加熱処理の時間としては、特に限定されるものではないが、密着性、接着性の観点から10〜500秒であることが好ましい。
第二工程において、コート剤に含有される酸変性ポリオレフィン樹脂としては、上記の樹脂層の記載において例示したものが挙げられる。
本発明の製造方法において、密着性、接着性を良好にするため、または金属箔に樹脂層を薄く均一に形成するためなどの観点から、コート剤は、酸変性ポリオレフィン樹脂が媒体に溶解または分散してなるものが好ましい。媒体は、水、または水溶性の溶媒であってもよいし、非水溶性の溶媒であってもよい。性能、地球環境、または職場環境の観点から水溶性の溶媒が好ましい。
水溶性の溶媒とは、例えば、20℃における水に対する溶解性が50g/L以上の有機溶媒である。水溶性の溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、さらには、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチルなどが挙げられ、これらは単独であっても、2種類以上の混合液であってもよい。
非水溶性の溶媒としては、例えば、トルエン、ヘプタン、キシレン、アミルベンゼン、イソプロピルベンゼン、オクタン、シクロヘキサン、シクロへキシルベンゼン、シクロへキセン、シクロペンタン、ジペンテン、シメン、テレピン油、ヘキサン、ペンタン、メシチレン、メチルシクロヘキサン等に代表される炭化水素などを用いることができる。
水溶性の溶媒に酸変性ポリオレフィン樹脂を溶解または分散させてコート剤を得る方法としては、公知の方法を用いることが可能である。
水溶性の酸変性ポリオレフィン樹脂を用いた場合は、水溶性の溶媒の中で加熱または撹拌さらには加圧などによって溶液を得ることができる。一方で、非水溶性の酸変性ポリオレフィン樹脂を用いた場合は、水溶性の溶媒に分散し、分散体として得ることが有効である。
非水溶性の酸変性ポリオレフィン樹脂を用いてコート剤を得る際に、不揮発性水性分散化助剤を用いることがあるが、密着性、接着性の観点から、分散体中の不揮発性水性分散化助剤の含有量は、全固形分に対して1質量%以下とすることが好ましく、0.5質量%とすることがより好ましく、0質量%とすることが最も好ましい。不揮発性水性分散化助剤としては、乳化剤、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸化の酸変性化合物などが挙げられる。
不揮発性水性分散化助剤を添加することなく、水溶性の溶媒に分散する方法としては、例えば、酸変性ポリオレフィン樹脂、水溶性の溶媒またはアミンなどの塩基性化合物と、水とを、密閉容器内で加熱及び撹拌する方法が好ましい。
塩基性化合物としては、接着性の面から、樹脂層形成時に揮発するアンモニア又は有機アミン化合物を用いることが好ましく、中でも沸点が30〜250℃、さらには50〜200℃の有機アミン化合物を用いることが好ましい。沸点が30℃未満の有機アミン化合物を用いる場合は、樹脂の水性化時に揮発する割合が多くなり、水性化が完全に進行しない場合がある。沸点が250℃を超える有機アミン化合物を用いる場合は、樹脂層から乾燥によって有機アミン化合物を飛散させることが困難になり、接着性が悪化する場合がある。
有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。
塩基性化合物の添加量は酸変性ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基に対して0.5〜3.0倍当量であることが好ましく、0.8〜2.5倍当量がより好ましく、1.0〜2.0倍当量が特に好ましい。0.5倍当量未満では、塩基性化合物の添加効果が認められない場合がある。一方、3.0倍当量を超えると樹脂層形成時の乾燥時間が長くなり過ぎたり、コート剤が着色したりする場合がある。
性能面、または樹脂層の厚みを均一にしやすいなどの観点から、コート剤中の酸変性ポリオレフィン樹脂の数平均粒子径を1μm以下とすることが好ましく、0.5μm以下とすることがより好ましく、0.2μm以下とすることがさらに好ましく、0.1μm以下とすることが特に好ましい。
非水溶性の溶媒に酸変性ポリオレフィン樹脂を溶解又は分散する方法としては、公知の方法を用いることが可能である。例えば、酸変性ポリオレフィン樹脂を非水溶性の溶媒の中で加熱、または撹拌、さらには加圧することなどによって、酸変性ポリオレフィン樹脂の溶液を得ることができる。
コート剤の固形分濃度は、成膜条件、目的とする樹脂層の厚さ、または性能等により適宜選択でき、特に限定されるものではないが、コート剤の粘性を適度に保ち、かつ良好な樹脂層形成能を発現させる点で、1〜60質量%とすることが好ましく、5〜50質量%とすることがより好ましく、5〜40質量%とすることがさらに好ましく、5〜30質量%とすることが特に好ましい。
コート剤は、密着性、接着性をより良好とするために、架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、オキサゾリン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、ヒドラジド系架橋剤、メラミン系架橋剤、アミン系架橋剤およびポリオールなどの酸変性ポリオレフィン樹脂と反応し得る官能基を分子内に2個以上含有する化合物が挙げられる。これらは単独でも2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、密着性、接着性を良好にする点、または酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体との混合安定性に優れる点などから、オキサゾリン系架橋剤またはヒドラジド系架橋剤が好ましい。
架橋剤の添加量は、本発明の効果を損ねない限りにおいて特に限定されないが、コート剤中の酸変性ポリオレフィン樹脂固形分量100質量部に対して、0.05〜30質量部であることが好ましく、0.1〜20質量部がより好ましく、0.2〜10質量部がさらに好ましく、0.2〜5質量部が特に好ましい。なお、架橋剤の形態が溶液または分散体であった場合、その添加量は、溶液または分散体中の固形分で算出される。
コート剤は、本発明の効果を損ねない限りにおいて、上記した架橋剤以外に、その他の樹脂または添加剤を含有してもよい。このような樹脂または添加剤としては、上記の樹脂層の記載において例示したものが挙げられる。これらを添加する際は、これらを水性分散体又は水溶液としたものを使用するのが一般的である。
コート剤を金属箔表面に塗布する方法としては、例えば、キャスティングヘッドからの吐出、ロールコート、ナイフコート、エアナイフコート、グラビアロールコート、ドクターロールコート、ドクターナイフコート、カーテンフローコート、スプレーコート、シャワーコート、ワイヤーバー、ロッドコート、浸漬コート、筆塗り、刷毛塗りなどの方法が採用できる。塗布は、全面状、非全面状のいずれでもよく、また、必要に応じて2回以上塗布してもよい。
樹脂層を形成するには、コート剤を金属箔表面に塗布し、放置するだけでよいが、作業効率または得られる積層体の品質向上の観点から、塗布後に樹脂層を乾燥する工程を設けることが好ましい。
樹脂層を乾燥させる方法としては、特に限定されず、自然乾燥または熱風乾燥など公知の方法が採用できるが、生産性などの観点から、乾燥温度は40〜250℃とすることが好ましく、60〜200℃とすることがより好ましい。
乾燥時間は、樹脂層の耐薬品性などを良好にするためには長時間であることが有効であるが、生産性などの観点から、5〜1200秒とすることが好ましく、10〜900秒とすることがより好ましく、20〜600秒とすることがさらに好ましい。また、乾燥後に加熱処理してもよい。
コート剤の塗布量としては、コート剤中の固形分質量に換算して、0.2g/m以上とすることが好ましく、1〜1000g/mの範囲とすることがより好ましく、5〜500g/mの範囲とすることが特に好ましい。塗布量が0.2g/m未満の場合は、接着性が低下する場合がある。
本発明においては、第二工程の後に、第二工程を経て樹脂層表面に基材を積層させる第三工程を含んでもよい。
樹脂層表面に基材を積層させる方法としては、特に限定されないが、例えば、樹脂層と、各種の基材とを熱によってラミネートする方法(熱ラミネート、ドライラミネート)、または各種の樹脂を溶融させて樹脂層上に押出し、冷却固化させて積層する方法(押出ラミネーション法)などが挙げられる。後者の方法を採用した場合、押出時の溶融樹脂の温度は、接着性を良好にする観点から、200〜400℃とすることが好ましく、250〜350℃とすることがより好ましく、280〜330℃とすることがさらに好ましい。また、押出しの際の溶融したポリオレフィン樹脂には、接着性を向上させたり、ライン速度を向上させたりするために、オゾン処理などの処理を施してもよい。
また、基材としての紙、不織布を樹脂層上に積層してもよい。
基材を積層するために、第二工程の直後に、インラインで、樹脂を溶融押出ししてもよい。また、第二工程で得られた積層体を、一旦ロール状に巻き取って保管または輸送したのち、樹脂層上にオフラインで基材を積層してもよい。
本発明の製造方法は、以上の3工程の他に、必要に応じて別工程を任意の段階において組み入れてもよい。例えば、接着性をいっそう向上させるために、得られた積層体をエージング処理してもよい。エージング処理の条件としては、室温〜60℃程度の温度で、12〜200時間保持することが挙げられる。
以下、本発明の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.酸変性ポリオレフィン樹脂の特性
(1)構成
H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)より求めた。酸変性ポリオレフィン樹脂は、オルトジクロロベンゼン(d)を溶媒とし、120℃で測定した。
(2)重量平均分子量
GPC分析(東ソー社製HLC−8020、カラムはTSK−GEL)を用いて、試料をテトラヒドロフランに溶解して40℃で測定し、ポリスチレン標準試料で作成した検量線から重量平均分子量を求めた。テトラヒドロフランに溶解し難い場合はオルトジクロロベンゼンを用いた。
(3)メルトフローレート(MFR)
JIS K6730記載(190℃、2160g荷重)の方法に従って測定した。
2.樹脂層の特性
(1)金属箔との密着性
金属箔/樹脂層の構成を有する積層体の樹脂層表面に、粘着テープ(ニチバン社製TF−12)を貼り付けた後、勢いよくテープを剥離した。樹脂層表面の状態を目視で観察して、以下のように評価した。
◎:樹脂層に全く剥がれがなかった。
○:樹脂層の一部(0面積%を超え10面積%以下)に剥がれが生じた。
△:樹脂層の大部分(10面積%を超え100面積%以下)に剥がれが生じた。
本発明においては、◎または○の評価であるものが好ましい。
(2)接着性 その1(剥離強度A)
得られた積層体の樹脂層表面にさらに基材を積層し、これを15mm幅で切り出して、オクタンとトルエン(質量比1/1)とからなる溶媒中で、50℃で2週間保管して試験片を作製した。
この試験片に対し、引張り試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機2020型)を用い、20℃かつ65%RHの雰囲気中で、引張り速度200mm/分かつ引張り角度180度の条件で測定された、金属箔と基材との剥離強度を剥離強度Aとし、接着性を評価した。
なお、ラミネート強度が高い場合には、測定時に基材に伸び、切れなどが発生して剥離が不可能となることがあるが、このような現象はラミネート状態として最も好ましい。また、剥離強度を測定する前から、金属箔と基材とが剥がれている(デラミネーションしている)ことがある(表2において「デラミ」と記載)が、このような現象はラミネート状態として劣ることを示す。
(3)接着性 その2(剥離強度B)
積層体を15mm幅で切り出したのみであり、オクタンとトルエン(質量比1/1)からなる溶媒中で処理していないものを試験片として用いた。
この試験片に対し、引張り試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機2020型)を用い、20℃かつ65%RHの雰囲気中で、引張り速度200mm/分かつ引張り角度180度の条件で測定された、金属箔と基材との剥離強度を剥離強度Bとして、接着性を評価した。
(4)接着性保持率
上記の方法により算出した。
酸変性ポリオレフィン樹脂とその分散体は下記の方法で製造した。
<酸変性ポリオレフィン樹脂P−1の製造>
プロピレン−エチレン共重合体(プロピレン/エチレン=97/3(質量%)、重量平均分子量85000)280gを、4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた。その後、系内温度を180℃に保って、撹拌下、不飽和カルボン酸としての無水マレイン酸35.0gとラジカル発生剤としてのジ−tert−ブチルパーオキサイド6.0gとをそれぞれ2時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィン樹脂P−1を得た。得られた樹脂の特性を表1に示す。
<酸変性ポリオレフィン樹脂P−2の製造>
英国特許2091745、米国特許4617366および米国特許4644044に記載された方法に従って、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合体を作製し、得られた重合体を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィン樹脂P−2を得た。得られた樹脂の特性を表1に示す。
Figure 2021109311
<酸変性ポリオレフィン樹脂P−1の水性分散体E−1の製造>
撹拌機とヒーターを備えた1Lガラス容器に、酸変性ポリオレフィン樹脂P−1を60g、エチレングリコール−n−ブチルエーテルを45g、2−ジメチルアミノエタノールを8g、蒸留水を137g仕込んだ。撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を150℃に保ってさらに60分間撹拌し分散化させた。その後、回転速度300rpmのまま撹拌しつつ、空冷にて内温が80℃になるまで冷却し、撹拌を止め、開封して、テトラヒドロフランを45g、2−ジメチルアミノエタノールを5g、蒸留水を30g添加した。その後、密閉し、撹拌翼の回転速度を300rpmとして系内温度を130℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ、ヒーターの電源を切り、室温(約25℃)まで冷却した後、180メッシュのステンレス製フィルターで加圧濾過して、微白濁の均一なP−1の水性分散体E−1を得た。
<酸変性ポリオレフィン樹脂P−2の水性分散体E−2の製造>
撹拌機とヒーターを備えた1Lガラス容器に、酸変性ポリオレフィン樹脂P−2を100g、イソプロパノールを100g、2−ジメチルアミノエタノールを5g、蒸留水を295g仕込んだ。撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を130℃に保ってさらに120分間撹拌し分散化させた。その後、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ、ヒーターの電源を切り約40℃まで冷却したところで、イソプロパノールを添加して水性分散体の固形分濃度を10質量%となるように調整し、180メッシュのステンレス製フィルターで加圧濾過して、乳白色の均一なP−2の水性分散体E−2を得た。
(実施例1)
金属箔としてのアルミニウム箔(三菱アルミニウム社製、厚み15μm)を、熱風乾燥機を用いて200℃で5分間、加熱処理した(第一工程)。
次いで、酸変性ポリオレフィン樹脂P−1の水性分散体E−1に、固形分濃度が10質量%となるように水を加え攪拌してコート剤を調製した。得られたコート剤を、加熱処理したアルミニウム箔上に、乾燥後の塗布量が約2g/mになるように、メイヤーバーでコートし、150℃で10秒間乾燥することで樹脂層を形成した(第二工程)。
得られた樹脂層の面に、基材としての延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ社製、OPU−1、厚み50μm)のコロナ処理面が接するように重ね合わせて、ヒートプレス機(シール圧3kg/cmで5秒間)にて130℃でプレスして(第三工程)、金属箔/樹脂層/基材からなる構成の積層体を得た。
(実施例2〜4、比較例1〜4)
第一工程における金属箔の加熱処理温度、または第二工程に用いられる水性分散体を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
なお、オレフィン成分の主成分がエチレンである樹脂P−2を含有する水性分散体E−2を使用した実施例4では、基材としてポリエチレンフィルム(タマポリ社製、V−1、厚み30μm)を用い、100℃でプレスした。
実施例1〜4および比較例1〜4で得られた積層体の特性を表2に示す。
Figure 2021109311
実施例1〜4は、本発明の製造方法の条件を満満足したものであり、その結果、得られた本発明の積層体は、密着性および接着性に優れていた。
一方、比較例1においては、本発明の製造方法における第一工程を行わなかった。その結果、得られた積層体は剥離強度Aが本発明の範囲から外れており、実施例と比較すると、密着性および接着性に劣るものであった。
比較例2においては、本発明の製造方法における第二工程を行わず樹脂層を設けなかった。その結果、得られた積層体は、剥離強度Aが本発明の範囲から外れており、実施例と比較すると、密着性および接着性に劣るものであった。
比較例3においては、加熱処理温度が本発明の製造方法の範囲を超えて低く、比較例4においては、加熱処理温度が本発明の製造方法範囲を超えて高かった。その結果、得られた積層体は、剥離強度Aが本発明の範囲から外れており、密着性および接着性に劣るものであった。

Claims (7)

  1. 金属箔と樹脂層とが積層された積層体であって、
    樹脂層は、酸変性ポリオレフィン樹脂を含有し、
    以下の方法により測定される剥離強度Aが5N/15mm以上である、積層体。
    (剥離強度Aの測定方法)
    樹脂層表面にさらに基材を積層し、これを15mm幅で切り出して、オクタンとトルエン(質量比1/1)とからなる溶媒中で、50℃で2週間保管した試験片に対し、引張り試験機を用い、20℃かつ65%RHの雰囲気中で、引張り速度200mm/分かつ引張り角度180度の条件で測定された、金属箔と基材との剥離強度を剥離強度Aとする。
  2. 樹脂層表面にさらに基材を積層してなる、請求項1に記載の積層体。
  3. 基材がポリオレフィン樹脂層である、請求項2に記載の積層体。
  4. 酸変性ポリオレフィン樹脂におけるオレフィン成分が、プロピレンを含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の積層体。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の積層体を含む、包装材料。
  6. 請求項1〜4の何れか1項に記載の積層体を製造する方法であって、
    以下の第一工程および第二工程をこの順に含む、積層体の製造方法。
    金属箔を100〜300℃の温度で加熱処理する第一工程
    金属箔表面に、酸変性ポリオレフィン樹脂を含有するコート剤を塗布し、樹脂層を形成する第二工程
  7. さらに、樹脂層表面に基材を積層する第三工程を含む、請求項6に記載の積層体。

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