JP2021108571A - 植物油脂組成物及びそれを含有する容器詰め飲料 - Google Patents
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Abstract
Description
1.以下の成分(A)〜(E):
(A)乳成分由来のホスファチジルコリン
(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン
(C)乳成分由来のスフィンゴミエリン
(D)植物油脂
(E)水
を含む植物油脂組成物であって、
前記組成物中の前記成分の重量基準の含有割合が式(1)を満たす、植物油脂組成物。
([A]+[B]+[C])/[D]=0.0005〜0.0157 (1)
(式(1)中、[A]〜[D]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(A)〜(D)の重量基準の含有割合を示す。)
2.さらに、成分(F)ミリスチン酸エチル及び成分(G)酪酸ブチルのうち少なくとも一方を含む、1に記載の植物油脂組成物。
3.以下の成分(D)〜(F):
(D)植物油脂
(E)水
(F)ミリスチン酸エチル
を含む植物油脂組成物であって、
前記組成物中の前記成分の重量基準の含有割合が式(2)を満たす、植物油脂組成物。
[F]/[D]=0.0008〜0.00975 (2)
(式(2)中、[D]及び[F]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(D)及び(F)の重量基準の含有割合を示す。)
4.以下の成分(D)、(E)及び(G):
(D)植物油脂
(E)水
(G)酢酸ブチル
を含む植物油脂組成物であって、
前記組成物中の前記成分の重量基準の含有割合が式(3)を満たす、植物油脂組成物。
[G]/[D]=0.00003〜0.00045 (3)
(式(3)中、[D]及び[G]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(D)及び(G)の重量基準の含有割合を示す。)
5.前記植物油脂がヤシ油である、1〜4のいずれかに記載の植物油脂組成物。
6.水中油型エマルションである、1〜5のいずれかに記載の植物油脂組成物。
7.さらに、カゼインナトリウムを含む、1〜6のいずれかに記載の植物油脂組成物。
8.1〜7のいずれかに記載の植物油脂組成物の製造方法であって、
前記成分(D)植物油脂に対して、使用する場合には前記成分(F)ミリスチン酸エチル及び前記成分(G)酪酸ブチルのうち少なくとも一方を溶解し、さらに、使用する場合には乳成分原料を混合した後、前記成分(E)水を混合し、乳化させて、水中油型エマルションとすることを含む、製造方法。
9.1〜7のいずれかに記載の植物油脂組成物を含む容器詰め飲料。
10.コーヒー、紅茶、抹茶、ほうじ茶、ココア、及び酸味料からなる群から選択される少なくとも1種を含む、9に記載の容器詰め飲料。
11.乳固形分の含有量が3.0重量%未満である、9又は10に記載の容器詰め飲料。
12.脂質の含有量が2.1〜4.0重量%である、9〜11のいずれかに記載の容器詰め飲料。
[植物油脂組成物]
本発明の植物油脂組成物は、植物油脂に対して、乳成分由来のホスファチジルコリン、乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン、乳成分由来のスフィンゴミエリン、ミリスチン酸エチル、及び酪酸ブチルからなる群から選択される特定の物質を特定の含有割合で含む組成物である。本発明の植物油脂組成物は、このような特定の物質を特定の含有割合で含むことにより、乳脂肪の代替成分として容器詰め飲料に含有させた場合に、濃厚で新鮮なミルク感を付与することができる。
([A]+[B]+[C])/[D]=0.0005〜0.0157 (1)
(式(1)中、[A]〜[D]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(A)〜(D)の重量基準の含有割合を示す。)
[F]/[D]=0.0008〜0.00975 (2)
(式(2)中、[D]及び[F]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(D)及び(F)の重量基準の含有割合を示す。)
[G]/[D]=0.00003〜0.00045 (3)
(式(3)中、[D]及び[G]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(D)及び(G)の重量基準の含有割合を示す。)
本発明において使用する植物油脂は、植物から得られる油脂であれば特に限定されない。本発明において使用できる植物油脂としては、例えば、ヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、サフラワー油、菜種油、オリーブ油、コーン油、等が挙げられ、好ましくは、ヤシ油である。
本発明の植物油脂組成物の一態様において、植物油脂は、好ましくはヤシ油である。
本発明の植物油脂組成物の第一の態様において使用するホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、及びスフィンゴミエリンは、いずれも乳成分由来であるものとする。これらはリン脂質に分類されるもので、乳脂肪球皮膜成分に多く含まれる。
例えば、これらのリン脂質は、バターオイルを製造する際に分離工程で副産物として得られるバターセーラム等に多く含まれる。本明細書の実施例において使用する脱脂濃縮乳加工品は、これらの副産物から得られたリン脂質を含有する溶液を用いて調製したものである。また、本明細書の実施例において使用するバターミルクパウダーとは、クリームからバターを製造するときのチャーニング(撹拌)工程において得られる液体を乾燥して粉末にしたもので、これらもリン脂質を多く含む。
本発明の植物油脂組成物の第一の態様について、一実施形態においては、乳成分原料由来のタンパク質(安定剤として使用するカゼインナトリウムを除く)の重量基準の含有割合が、植物油脂に対して0.0023以上であることが好ましい。
本発明の植物油脂組成物の第一の態様について、一実施形態においては、乳成分原料由来の脂質の重量基準の含有割合が、植物油脂に対して0.000875以上であることが好ましい。
ミリスチン酸エチル、酪酸ブチルは、香料原料の一つとして用いられるエステル類の成分である。
本発明の植物油脂組成物を製造するためには、ミリスチン酸エチル、酪酸ブチルは、直接、単独で添加すればよく、あるいは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、トリアセチン等の有機溶媒や油脂類で希釈した状態で添加してもよい。また、乳化剤を用いて乳化香料製剤のような形態で添加してもよい。
酪酸ブチルを用いる場合、(G)酪酸ブチル及び(D)植物油脂の各成分の組成物中における重量基準の含有割合が式(3)を満たすように、添加量を調整することにより、本発明の効果は得られる。
本発明の植物油脂油脂組成物を調製する際、又は、後述する本発明の容器詰め飲料を調製する際には、本発明の効果を損なわないことを条件として、安定剤を配合してもよい。本発明において使用できる安定剤としては、本明細書の実施例において使用したカゼインナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル(有機酸モノグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル)が挙げられるが、これらには限定されない。
また、グリセリン有機酸脂肪酸エステル(又は有機酸モノグリセリド)、ポリグリセリン脂肪酸エステルであってもよい。
グリセリン有機酸脂肪酸エステルは、グリセリンに脂肪酸が1つ結合したモノグリセリドの水酸基にさらに有機酸(例えば、酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、ジアセチル酒石酸)が結合したものである。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリン重合度が、例えば、2〜9であり、脂肪酸残基は一種又は複数種であってもよい。
また、本発明の植物油脂組成物の一態様においては、レシチンを含まないことが好ましい。より具体的には、厚生労働省が認める食品添加物の既存添加物名簿には、レシチンとして、植物レシチン、卵黄レシチン、又は、これらに処理を加えた酵素分解レシチン、分別レシチン、酵素処理レシチンが収載されているが、これらは風味が好ましくないため、本発明の植物油脂組成物の一態様においては含まないことが好ましい。
また、本発明の植物油脂組成物の一態様においては、デカグリセリン脂肪酸エステル及びレシチンを含まないことが好ましい。
本発明の植物油脂組成物は、成分(D)植物油脂に対して、使用する場合には成分(F)ミリスチン酸エチル及び成分(G)酪酸ブチルのうち少なくとも一方を溶解し、さらに、使用する場合には乳成分原料を混合した後、成分(E)水を混合し、乳化させることにより製造することができる。このとき、植物油脂組成物を水中油型エマルションとすることが好ましい。
植物油脂は、あらかじめ加温して融解しておくことが好ましい。植物油脂を融解する際の温度は、それぞれの油脂の融点を超える温度が好ましい。
また、水は加温したものが好ましい。具体的には、使用する安定剤が溶解しやすい温度に水を加温することが好ましい。
乳化のためには、既知の手段・方法を用いることができ、例えば、高速ホモゲナイザー、高圧ホモゲナイザー等を使用することができる。乳化強度は、せん断力が強いほど、乳化粒子径が細かくなるため、安定性の向上が期待できる。
本発明の容器詰め飲料は、既に説明した本発明の植物油脂組成物を含むものである。本発明の容器詰め飲料は、飲料に対して本発明の植物油脂組成物を配合し、これを容器に充填することにより製造できる。
本発明の容器詰め飲料において、飲料を殺菌することが好ましい。殺菌方法は、特に限定されず、UHT殺菌、レトルト殺菌等を採用することができる。殺菌強度は、常温流通において変敗のおそれがない条件で行えばよい。
本発明の容器詰め飲料の一態様においては、乳固形分の含有量が3.0重量%未満であることが好ましい。乳固形分の含有量が3.0重量%未満である場合、乳等省令において「乳飲料」の規格に該当しないが、本発明の植物油脂組成物を使用することにより、容器詰め飲料に濃厚で新鮮なミルク感を付与することができる。
乳固形分とは、乳脂肪分と無脂乳固形分の合計を指し、一般的な牛乳は乳固形分が12.6重量%(乳脂肪分3.8重量%、無脂乳固形分8.8重量%)である。また、本明細書の実施例において用いた生クリームは、乳固形分が51.8重量%(乳脂肪分47重量%、無脂乳固形分4.8重量%)であった。
本発明の容器詰め飲料の一態様においては、脂質の含有量が2.1〜4.0重量%であることが好ましい。これにより、容器詰め飲料の呈味を好ましいものとすることができる。
本発明において脂質の含有量とは、植物油脂と乳脂肪の含有量の合計を意味する。
本発明において、脂質の含有量は、栄養成分表示のための分析方法により測定することができる。具体的には、ソックスレー抽出法、酸分解法、クロロホルム・メタノール混液抽出法、レーゼゴッドリーブ法、等を用いればよい。
本発明の容器詰め飲料の一態様においては、植物油脂組成物と乳脂肪を含む原料とを併用してもよい。
乳脂肪を含む原料としては、例えば、牛乳、全粉乳、生クリーム、バター、バターオイル、クリームチーズ等が挙げられる。これらの原料中の乳脂肪の含有量は、各々の原料により異なるため、原料の添加量を調節することにより、容器詰め飲料における乳脂肪の含有量を調整することが可能である。植物油脂組成物に乳脂肪を含む原料を併用することにより、植物油脂組成物のみを用いる場合よりも、さらに風味が向上することが期待できる。
(1)植物油脂組成物の調製(実施例1〜6、比較例1〜2)
精製ヤシ油を60〜70℃に加温融解し、表1に示す配合にしたがって、所定量の脱脂濃縮乳加工品(MILK−EM−1、アデカ社製)、バターミルクパウダー(よつば乳業製)、カゼインナトリウムを加え、最後に、合計が100gとなるような量の70〜90℃に加温した水を加えた。この混合物200gに対して、高速乳化装置(PRIMIX社製ホモミクサーMARKII)を用いて、16000rpmにて2分間乳化処理を行い、植物油脂組成物を調製した。
使用した脱脂濃縮乳加工品100gにおいて、炭水化物の含有量は14.4g、タンパク質の含有量は9.2g、脂質の含有量は3.5g、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、及びスフィンゴミエリンの合計の含有量は2.03gであった。
使用したバターミルクパウダー100gにおいて、炭水化物の含有量は50.1g、タンパク質の含有量は31.0g、脂質の含有量は2.7g、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、及びスフィンゴミエリンの合計の含有量は1.05gであった。
ブラジル産コーヒー豆(焙煎度合いL値=20)に、コーヒー豆の重量に対して8〜10倍量の95〜98℃の水を加え、抽出を行った。得られたコーヒー抽出液を屈折式Brix計(ショ糖換算)に供し、Brix値を測定した。抽出液量(g)にBrix値(%)を乗じて、抽出液中のコーヒー固形分(g)を算出した。
上記(2)で調製した容器詰め飲料を、3名の専門パネラーにて、「濃厚で新鮮な牛乳や生クリームのような風味」について官能評価を行った。1〜5点の範囲で、1点刻みで5段階にて点数を付け、3名の平均点を小数点以下第一位になるように四捨五入をして算出した。最終的には、平均点が3点以上であるものを効果があると判断した。
官能評価に際しては、評点を1点あげるにはどの程度「濃厚で新鮮な牛乳や生クリームのような風味」が強くなればよいのかをパネラー間で共通になるようにした。
・5点:比較例7と同等の乳風味を感じる。
・4点:比較例7と非常に近い乳風味を感じる。
・3点:比較例7と近い乳風味を感じる。
・2点:比較例7とやや異なる乳風味を感じる。
・1点:比較例7と異なる乳風味を感じる。
官能評価点を、表2及び表3に示す。実施例1〜4の植物油脂組成物を使用して調製した、実施例7〜10の容器詰め飲料において、濃厚で新鮮な牛乳や生クリームのような風味が3.0点以上であった。乳成分由来のホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンとスフィンゴミエリンを、特定の含有割合で植物油脂と組み合わせることにより、濃厚で新鮮な牛乳や生クリームのような風味を付与できることが分かった。
(1)植物油脂組成物の調製(実施例17〜22、比較例8〜11)
精製ヤシ油を60〜70℃に加温融解し、表4及び表5に示す配合にしたがって、ミリスチン酸ブチル、酪酸ブチル、脱脂濃縮乳加工品(MILK−EM−1、アデカ社製)を加え、最後に合計が100gとなるような量の70〜90℃に加温した水を加えた。この混合物200gに対して、高速乳化装置(PRIMIX社製ホモミクサーMARKII)を用いて16000rpmにて2分間乳化処理を行い、植物油脂組成物を調製した。
調製例1の(2)と同様の方法により、表6及び表7に示す配合にしたがって、容器詰め飲料を調製した。
上記(2)で調製した容器詰め飲料について、調製例1の(3)と同様の方法により、官能評価を実施した。
官能評価点を、表6及び表7に示す。実施例17〜18の植物油脂組成物を使用して調製した、実施例23〜24の容器詰め飲料において、濃厚で新鮮な牛乳や生クリームのような風味が3.0点以上であることから、ミリスチン酸エチルと植物油脂を特定の含有割合で配合することにより、濃厚で新鮮な牛乳や生クリームのような風味を付与できることが分かった。
(1)植物油脂組成物の調製
調製例1の(1)と同様の方法により、表1の実施例3の配合にしたがって、植物油脂組成物を調製した。
表8に示す配合にしたがって、各種の容器詰め飲料を調製した。
紅茶及びほうじ茶の抽出は、紅茶茶葉(商品名:VAHDAM TEAS、ダージリン)とほうじ茶(商品名:静岡深蒸し極上ほうじ茶、販売者:マルフク)のそれぞれ100gに対して、20倍量の95〜98℃に加温した水を用いて、抽出固形分が25〜27g得られるように抽出を行った。抽出固形分は、屈折Brix計の測定値により算出した。容器詰め飲料の調製の際には、抽出固形分が8.0g/100gとなるように使用した。
さらに、抹茶(販売者:ほんぢ園)、ココアパウダー(純ココア、販売者:富澤商店)、酸味料(クエン酸、クエン酸三ナトリウム)を使用した。
実施例29〜32においては、調製した飲料に対してUHTにて140℃分の殺菌を行い、無菌環境下でペットボトルに充填した。実施例33においては、調製した飲料を容器詰めした後、容器内の飲料が85℃になるよう熱水中で10分間殺菌を行った。
上記(2)で調製した容器詰め飲料について、調製例1の(3)と同様の方法により、官能評価を実施した。
官能評価点を表8に示す。紅茶、ほうじ茶、抹茶、ココア、酸味料を加えた酸性飲料ともに、濃厚で新鮮な牛乳や生クリームのような風味が3.0点以上であった。このことから、本発明の植物油脂組成物は、コーヒーに限らず、種々の容器詰め飲料に適用できることが分かった。
(1)植物油脂組成物の調製(実施例34〜35)
精製ヤシ油を60〜70℃に加温融解し、表9に示す配合にしたがって、所定量の脱脂濃縮乳加工品(MILK−EM−1、アデカ社製)、バターミルクパウダー(よつば乳業製)、カゼインナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル(ショ糖パルミチン酸エステル、三菱ケミカルフーズ社、P−1670)、有機酸モノグリセライド(コハク酸脂肪酸モノグリセライド、理研ビタミン社、ポエム(登録商標)B−30)を加え、最後に、合計が100gとなるような量の70〜90℃に加温した水を加えた。この混合物200gに対して、高速乳化装置(PRIMIX社製ホモミクサーMARKII)を用いて、16000rpmにて2分間乳化処理を行い、植物油脂組成物を調製した。
調製例1の(2)と同様の方法により、表10に示す配合にしたがって、容器詰め飲料を調製した。
上記(2)で調製した容器詰め飲料について、調製例1の(3)と同様の方法により、官能評価を実施した。
官能評価点を表10に示す。
実施例9は、安定剤としてカゼインナトリウムを含む植物油脂組成物(実施例3)を用い、さらに安定剤としてショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルとカゼインナトリウムを配合した容器詰め飲料である。一方、実施例36及び37は、それぞれ、安定剤としてさらにショ糖脂肪酸エステル(実施例34)又は有機酸モノグリセライド(実施例35)を含む植物油脂組成物を用いたほかは、実施例9と同量の安定剤を配合した容器詰め飲料である。
実施例34〜35の植物油脂組成物を使用して調製した、実施例36〜37の容器詰め飲料において、実施例3の植物油脂組成物を使用して調製した、実施例9の容器詰め飲料と同様に、濃厚で新鮮な牛乳や生クリームのような風味が3.7点という結果となった。
特に、乳固形分の含有量が3.0重量%未満である「乳飲料」の規格に該当しない飲料においても、濃厚で新鮮なミルク感というすぐれた風味を付与することができる。
本発明の植物油脂組成物は、成分(D)植物油脂に対して、使用する場合には成分(F)ミリスチン酸エチル及び成分(G)酪酸ブチルのうち少なくとも一方を溶解し、さらに、(A)乳成分由来のホスファチジルコリン、(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン、及び(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンを混合するか、又は成分(A)〜(C)を含む乳成分原料を混合した後、成分(E)水を混合し、乳化させることにより製造することができる。このとき、植物油脂組成物を水中油型エマルションとすることが好ましい。
Claims (12)
- 以下の成分(A)〜(E):
(A)乳成分由来のホスファチジルコリン
(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン
(C)乳成分由来のスフィンゴミエリン
(D)植物油脂
(E)水
を含む植物油脂組成物であって、
前記組成物中の前記成分の重量基準の含有割合が式(1)を満たす、植物油脂組成物。
([A]+[B]+[C])/[D]=0.0005〜0.0157 (1)
(式(1)中、[A]〜[D]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(A)〜(D)の重量基準の含有割合を示す。) - さらに、成分(F)ミリスチン酸エチル及び成分(G)酪酸ブチルのうち少なくとも一方を含む、請求項1に記載の植物油脂組成物。
- 以下の成分(D)〜(F):
(D)植物油脂
(E)水
(F)ミリスチン酸エチル
を含む植物油脂組成物であって、
前記組成物中の前記成分の重量基準の含有割合が式(2)を満たす、植物油脂組成物。
[F]/[D]=0.0008〜0.00975 (2)
(式(2)中、[D]及び[F]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(D)及び(F)の重量基準の含有割合を示す。) - 以下の成分(D)、(E)及び(G):
(D)植物油脂
(E)水
(G)酢酸ブチル
を含む植物油脂組成物であって、
前記組成物中の前記成分の重量基準の含有割合が式(3)を満たす、植物油脂組成物。
[G]/[D]=0.00003〜0.00045 (3)
(式(3)中、[D]及び[G]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(D)及び(G)の重量基準の含有割合を示す。) - 前記植物油脂がヤシ油である、請求項1〜4のいずれかに記載の植物油脂組成物。
- 水中油型エマルションである、請求項1〜5のいずれかに記載の植物油脂組成物。
- さらに、カゼインナトリウムを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の植物油脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の植物油脂組成物の製造方法であって、
前記成分(D)植物油脂に対して、使用する場合には前記成分(F)ミリスチン酸エチル及び前記成分(G)酪酸ブチルのうち少なくとも一方を溶解し、さらに、使用する場合には乳成分原料を混合した後、前記成分(E)水を混合し、乳化させて、水中油型エマルションとすることを含む、製造方法。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の植物油脂組成物を含む容器詰め飲料。
- コーヒー、紅茶、抹茶、ほうじ茶、ココア、及び酸味料からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項9に記載の容器詰め飲料。
- 乳固形分の含有量が3.0重量%未満である、請求項9又は10に記載の容器詰め飲料。
- 脂質の含有量が2.1〜4.0重量%である、請求項9〜11のいずれかに記載の容器詰め飲料。
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