JP2021108107A - タッチパネル用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】比誘電率が高い樹脂組成物からなるタッチパネル用シートの実現。【解決手段】本発明のタッチパネル用シートは、ポリフッ化ビニリデン樹脂とアルキル四級アンモニウム硫酸塩とを含むポリフッ化ビニリデン樹脂組成物からなる樹脂層を有する。【選択図】なし
Description
本発明はタッチパネル用シートに関する。詳細には、ポリフッ化ビニリデン樹脂組成物からなる層を有するタッチパネル用シートに関する。
スマートフォンおよびタブレット等のタッチパネルは、一般的に静電センサーの上部に保護カバーが積層された形態をしている。保護カバーは、液晶の表示がクリアに見えるよう高い透明性が必要である。さらに、保護カバーは、指での操作の際に感度が良くなることから高い比誘電率が必要である。
保護カバーとしては、ガラス製のカバーガラスおよび樹脂製の樹脂シートが知られている。カバーガラスは割れやすく、重量があって柔軟性に欠けるという問題がある。樹脂シートは柔軟性を有し軽量である一方、ガラスに比べて比誘電率が低く、静電容量方式タッチパネルにおいては検出感度が低くなるという問題がある。
例えば、特許文献1には、ポリフッ化ビニリデン(ホモ重合体または共重合体)とメタクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル)とを含む樹脂組成物による樹脂シートが開示されている。また、樹脂組成物中のポリフッ化ビニリデンの含有量は10〜90質量%であることが開示されている。
特許文献2にはフッ化ビニリデン(VDF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体およびメタアクリル樹脂を含む樹脂組成物、当該樹脂組成物から形成された膜、積層体が開示されている。また、当該積層体がタッチセンサーパネルに用いられ得ることが開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示されている樹脂シートの比誘電率は2.8〜5.0と、タッチパネル用シートとしては比誘電率が低い。また、特許文献2に開示されている樹脂組成物から形成された膜の比誘電率も4.0〜4.5と低い。比誘電率が5.0以下であるタッチパネル用シートは、ユーザがタッチパネルを操作したときの検出感度が低くなるという問題がある。したがって、比誘電率が高い樹脂組成物からなるタッチパネル用シートの開発が望まれる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、比誘電率が高い樹脂組成物からなるタッチパネル用シートを実現することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るタッチパネル用シートは、ポリフッ化ビニリデン樹脂とアルキル四級アンモニウム硫酸塩とを含むポリフッ化ビニリデン樹脂組成物からなる樹脂層を有する。
本発明の一態様によれば、比誘電率が高い樹脂組成物からなるタッチパネル用シートを提供することができる。
本実施形態に係るタッチパネル用シートは、樹脂層を有する。
[樹脂層]
上記樹脂層は、ポリフッ化ビニリデン樹脂とアルキル四級アンモニウム硫酸塩とを含むポリフッ化ビニリデン樹脂組成物からなる。アルキル四級アンモニウム硫酸塩を含むことにより、樹脂層は高い比誘電率を有する。
上記樹脂層は、ポリフッ化ビニリデン樹脂とアルキル四級アンモニウム硫酸塩とを含むポリフッ化ビニリデン樹脂組成物からなる。アルキル四級アンモニウム硫酸塩を含むことにより、樹脂層は高い比誘電率を有する。
(ポリフッ化ビニリデン樹脂)
本実施形態におけるポリフッ化ビニリデン樹脂は、フッ化ビニリデンを主構成成分とするポリマーである。「フッ化ビニリデンを主構成成分とする」とは、ポリフッ化ビニリデン樹脂がフッ化ビニリデンに由来する構成単位を50モル%以上含有することを言う。ポリフッ化ビニリデン樹脂は、フッ化ビニリデンに由来の構成単位を実質的に100モル%含有するフッ化ビニリデンの単独重合体(ホモポリマー)であってもよいし、他のモノマーに由来する構成単位をさらに含むフッ化ビニリデンの共重合体(コポリマー)であってもよい。透明性の点で、ポリフッ化ビニリデン樹脂は、フッ化ビニリデンの単独重合体であることが好ましい。また、柔軟性等の点においては、ポリフッ化ビニリデン樹脂は、フッ化ビニリデンの共重合体であることが好ましい。
本実施形態におけるポリフッ化ビニリデン樹脂は、フッ化ビニリデンを主構成成分とするポリマーである。「フッ化ビニリデンを主構成成分とする」とは、ポリフッ化ビニリデン樹脂がフッ化ビニリデンに由来する構成単位を50モル%以上含有することを言う。ポリフッ化ビニリデン樹脂は、フッ化ビニリデンに由来の構成単位を実質的に100モル%含有するフッ化ビニリデンの単独重合体(ホモポリマー)であってもよいし、他のモノマーに由来する構成単位をさらに含むフッ化ビニリデンの共重合体(コポリマー)であってもよい。透明性の点で、ポリフッ化ビニリデン樹脂は、フッ化ビニリデンの単独重合体であることが好ましい。また、柔軟性等の点においては、ポリフッ化ビニリデン樹脂は、フッ化ビニリデンの共重合体であることが好ましい。
他のモノマーは、一種でもそれ以上でもよい。また、他のモノマーは、フッ素を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。他のモノマーの例には、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニル、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、ペルフルオロメチルビニルエーテル、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、および、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、が含まれる。
(異種結合)
本実施形態におけるポリフッ化ビニリデン樹脂に含まれる異種結合の割合が、4%以上であることが好ましい。ここで、異種結合とは、頭尾結合される高分子中において、頭頭結合および尾尾結合のことを指す。例えば、フッ化ビニリデンの重合体では、通常、「CF2」と「CH2」とが交互に結合しているが、その中で、「CF2」同士または「CH2」同士が結合している部分がある。この「CF2」同士または「CH2」同士が結合している部分が異種結合である。
本実施形態におけるポリフッ化ビニリデン樹脂に含まれる異種結合の割合が、4%以上であることが好ましい。ここで、異種結合とは、頭尾結合される高分子中において、頭頭結合および尾尾結合のことを指す。例えば、フッ化ビニリデンの重合体では、通常、「CF2」と「CH2」とが交互に結合しているが、その中で、「CF2」同士または「CH2」同士が結合している部分がある。この「CF2」同士または「CH2」同士が結合している部分が異種結合である。
ポリフッ化ビニリデン樹脂における異種結合の割合は、全結合数に対して4.3%以上であることがより好ましく、4.5%以上であることがさらに好ましい。上限は特に限定されるものではないが、全結合数に対して6%未満であることが好ましく、5.5%未満であることがより好ましく、5%未満であることがさらに好ましい。ポリフッ化ビニリデン樹脂における異種結合の割合は、ポリフッ化ビニリデン樹脂の製造において、重合温度によって調整することができる。また、異種結合の割合が上述の範囲にある市販のポリフッ化ビニリデン樹脂を用いてもよい。
異種結合の割合は、ポリフッ化ビニリデン樹脂の19F−NMR測定から求めることができる。より詳細にはポリフッ化ビニリデン樹脂40mgを重水素ジメチルホルムアミド(D7−DMF)0.8mLに溶解し、室温下で19F−NMRを測定する。得られた19F−NMRのスペクトルは、−91.6ppm、−92.1ppm、−94.7ppm、−113.5ppm、および−115.9ppmの位置に主要な5本のピークを有する。これらのピークのうち、−113.5ppmおよび−115.9ppmのピークが、異種結合に由来するピークと同定される。したがって、5本の各ピークの面積の合計をS0、−113.5ppmのピークの面積をS1、−115.9ppmのピークの面積をS2として、異種結合の割合は、下記の式(1)により算出される。
異種結合の割合(%)=[{(S1+S2)/2}/S0]×100 (1)
異種結合の割合(%)=[{(S1+S2)/2}/S0]×100 (1)
異種結合の割合が上述の範囲内であれば、アルキル四級アンモニウム硫酸塩を含んだ本実施形態に係る樹脂組成物を用いた場合に、成形した樹脂層において黄変を抑制することができる。なお、本明細書において「黄変が抑制されている」とは、YI値(イエローインデックス)が40以下となることを意図している。なお、YI値については後述する。
黄変のメカニズムを推測すると、アルキル四級アンモニウム硫酸塩は加熱されると分解し、アミンを生じさせる。生じたアミンが、ポリフッ化ビニリデン樹脂の変性末端を攻撃することで、脱HF反応が進行する。一度脱HF反応が起こり、C=C結合が主鎖中に出来上がると、C=C結合の隣にあるCH2−CF2において、さらに脱HF反応が起こりやすくなり、連鎖的に脱HF反応が主鎖骨格に伝搬していく。その結果、長鎖のポリエン構造が生成され、黄変が起こると考えられる。ポリフッ化ビニリデン樹脂に異種結合が存在することにより、連鎖的な脱HF反応のストッパーとして働き、長鎖のポリエンが生成しにくくなるため、黄変を抑制することができると考えられる。しかしながら、本実施形態に係る樹脂組成物においては、異種結合の割合が所定以上であって、それにより、得られる樹脂層において黄変が抑制されていればよく、そのメカニズムによって発明の範囲が限定されるものではない。
(吸光度比)
上述の黄変メカニズムの推測によれば、ポリフッ化ビニリデン樹脂の末端においては、変性末端が少ないことが好ましい。このような観点から、本実施形態におけるポリフッ化ビニリデン樹脂は、赤外線吸収スペクトルにおける下記の式(2)で表される吸光度比(AR)が0.150以下であることが好ましい。
AR=A1700−1800/A3023 (2)
上述の黄変メカニズムの推測によれば、ポリフッ化ビニリデン樹脂の末端においては、変性末端が少ないことが好ましい。このような観点から、本実施形態におけるポリフッ化ビニリデン樹脂は、赤外線吸収スペクトルにおける下記の式(2)で表される吸光度比(AR)が0.150以下であることが好ましい。
AR=A1700−1800/A3023 (2)
式(2)において、A1700−1800は1700〜1800cm−1の範囲に検出されるカルボニル基の伸縮振動に由来する吸光度であり、A3023は3023cm−1付近に検出されるCHの伸縮振動に由来する吸光度である。よって、ARの値は、ポリフッ化ビニリデン樹脂中のカルボニル基の存在量を示す尺度となる。ポリフッ化ビニリデン樹脂を構成するモノマーにカルボニル基を含まない場合には、エステル末端およびカーボネート末端の存在量を示す尺度となる。なお、ポリフッ化ビニリデン樹脂を構成するモノマーとして、アクリル酸等のカルボニル基を含むモノマーを用いている場合には、吸光度比ARはモノマー中のカルボニル基の伸縮振動も反映した値となる。しかしながら、得られた吸光度比ARが0.150以下であれば、エステル末端、カーボネート末端におけるカルボニル基の伸縮振動のみを反映した吸光度比ARは、必然的に0.150より小さな値となる。
吸光度比(AR)の値は、上述の通り、黄変抑制の観点で、0.150以下であることが好ましく、0.125以下であることがより好ましく、0.100以下であることがさらに好ましい。
吸光度比(AR)の値が上述の範囲内であれば、黄変の度合をより小さくすることができるとともに、190℃よりも高い温度、例えば250℃以上の温度で樹脂組成物の成形を行っても、得られる成形体において黄変を抑制することができる。
吸光度比は、赤外分光光度計を用いて、赤外線吸収スペクトルによる吸光度から求められる。より詳細には、まず、ポリフッ化ビニリデン樹脂を230℃で熱プレスし、厚み50μm以上100μm以下のプレスシートを作製する。次いで、赤外分光光度計(例えば、FT/IR−4100(日本分光社製))を用いて、当該プレスシートの赤外吸収スペクトルを1500cm−1〜4000cm−1の範囲で測定する。そして、1660cm−1の吸光度と1900cm−1の吸光度とを結んだ線をベースラインとしたときの1700cm−1〜1800cm−1における吸光度の最大値を、A1700−1800とする。一方、2900cm−1の吸光度と3300cm−1の吸光度とを結んだ線をベースラインとしたときの3023±10cm−1における吸光度の最大値を、A3023とする。
(その他のポリフッ化ビニリデン樹脂の物性)
本実施形態におけるポリフッ化ビニリデン樹脂の分子量は、シートの所期の物性に基づいて適宜に決めることが可能である。ポリフッ化ビニリデン樹脂の分子量はインヘレント粘度で表すことができる。成形加工性の観点から、ポリフッ化ビニリデン樹脂のインヘレント粘度が0.8〜2.0dL/gであることが好ましく、0.8〜1.3dL/gであることがより好ましく、0.9〜1.2dL/gであることがさらに好ましい。インヘレント粘度は、ポリフッ化ビニリデン樹脂4gを1リットルのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた溶液の30℃における対数粘度である。
本実施形態におけるポリフッ化ビニリデン樹脂の分子量は、シートの所期の物性に基づいて適宜に決めることが可能である。ポリフッ化ビニリデン樹脂の分子量はインヘレント粘度で表すことができる。成形加工性の観点から、ポリフッ化ビニリデン樹脂のインヘレント粘度が0.8〜2.0dL/gであることが好ましく、0.8〜1.3dL/gであることがより好ましく、0.9〜1.2dL/gであることがさらに好ましい。インヘレント粘度は、ポリフッ化ビニリデン樹脂4gを1リットルのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた溶液の30℃における対数粘度である。
また、本実施形態におけるポリフッ化ビニリデン樹脂の融点は、タッチパネル用シートの樹脂層に十分な機械強度、ガスバリア性および耐溶剤性を付与する観点から、130〜190℃であることが好ましく、150〜180℃であることがより好ましく、160〜180℃であることがさらに好ましい。融点は、示差走査熱量計を用いて測定することができる。
(ポリフッ化ビニリデン樹脂の含有量)
ポリフッ化ビニリデン樹脂の割合は、本実施形態に係るポリフッ化ビニリデン樹脂組成物100質量%に対して、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、97質量%以上であることがさらに好ましい。また、99.5質量%以下であることが好ましく、99質量%以下であることがさらに好ましい。上述の範囲内であると、タッチパネル用シートの樹脂層の十分な透明性、誘電性および強度を確保することができる。
ポリフッ化ビニリデン樹脂の割合は、本実施形態に係るポリフッ化ビニリデン樹脂組成物100質量%に対して、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、97質量%以上であることがさらに好ましい。また、99.5質量%以下であることが好ましく、99質量%以下であることがさらに好ましい。上述の範囲内であると、タッチパネル用シートの樹脂層の十分な透明性、誘電性および強度を確保することができる。
(ポリフッ化ビニリデン樹脂の製造方法)
ポリフッ化ビニリデン樹脂の製造方法としては、例えば乳化重合、ソープフリー乳化重合、シード乳化重合、懸濁重合、ミニエマルション重合、および溶液重合等が挙げられる。そのなかでも、不純物を少なくできる観点から懸濁重合が好ましい。
ポリフッ化ビニリデン樹脂の製造方法としては、例えば乳化重合、ソープフリー乳化重合、シード乳化重合、懸濁重合、ミニエマルション重合、および溶液重合等が挙げられる。そのなかでも、不純物を少なくできる観点から懸濁重合が好ましい。
(アルキル四級アンモニウム硫酸塩)
本実施形態におけるアルキル四級アンモニウム硫酸塩は、下記式(1)で表される化合物である。
本実施形態におけるアルキル四級アンモニウム硫酸塩は、下記式(1)で表される化合物である。
式(1)においてR1〜R4は、互いに同一または相異する炭素数1〜10のアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などの短鎖アルキル基を例示することができる。R1〜R4におけるアルキル基の炭素数の合計は、タッチパネル用シートの樹脂層の十分な誘電性の確保の観点から、好ましくは6〜30、より好ましくは6〜24、特に好ましくは8〜20である。
式(1)においてR5は、アルキル基、フルオロアルキル基、または水素原子である。R5におけるアルキル基は、メチル基およびエチル基など、炭素数1〜10の短鎖アルキル基である。R5におけるフルオロアルキル基は、CF3、C2F5など、炭素数1〜10の短鎖フルオロアルキル基である。R5は中でも水素であることが好ましい。
これらの具体例として、例えば、(C2H5)4N+、(C3H7)4N+、(C4H9)4N+、および(C5H11)4N+等のアルキル四級アンモニウムカチオンと、CF3SO4 −、CH3SO4 −、HSO4 −などのアニオンとからなる塩を挙げることができる。これらの化合物は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態におけるアルキル四級アンモニウム硫酸塩は、タッチパネル用シートの樹脂層の十分な誘電性の確保の観点から、アルキル四級アンモニウム硫酸水素塩であることが好ましい。アルキル四級アンモニウム硫酸水素塩の例として、テトラエチルアンモニウム硫酸水素塩、テトラプロピルアンモニウム硫酸水素塩、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、テトラペンチルアンモニウム硫酸水素塩、テトラヘキシルアンモニウム硫酸水素塩、等が挙げられる。アルキル四級アンモニウム硫酸水素塩の中でも、タッチパネル用シートの樹脂層の十分な誘電性、透明性および強度の確保の点から、テトラエチルアンモニウム硫酸水素塩、テトラプロピルアンモニウム硫酸水素塩、またはテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩が好ましい。これらの化合物は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
(アルキル四級アンモニウム硫酸塩の含有量)
アルキル四級アンモニウム硫酸塩の割合は、本実施形態に係るポリフッ化ビニリデン樹脂組成物100質量%に対して、0.5質量%以上であることが好ましく、0.8質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましい。また、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1.3質量%以下であることがさらに好ましい。上述の範囲内であると、タッチパネル用シートの樹脂層の十分な透明性、誘電性および強度を確保することができる。
アルキル四級アンモニウム硫酸塩の割合は、本実施形態に係るポリフッ化ビニリデン樹脂組成物100質量%に対して、0.5質量%以上であることが好ましく、0.8質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましい。また、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1.3質量%以下であることがさらに好ましい。上述の範囲内であると、タッチパネル用シートの樹脂層の十分な透明性、誘電性および強度を確保することができる。
ポリフッ化ビニリデン樹脂組成物は、例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂とアルキル四級アンモニウム硫酸塩とを混合することによって得ることができる。また、ポリフッ化ビニリデン樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、タッチパネル用シートに一般的に用いられる添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例として、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、難燃剤、補強剤、核剤、ブルーイング剤等の着色剤等が挙げられる。
(樹脂層の物性)
本実施形態に係るタッチパネル用シートの樹脂層(以下、「本実施形態の樹脂層」と略記する場合がある)の比誘電率は、6以上であり得、8以上であり得、さらには10以上でもあり得る。樹脂層の比誘電率が上記範囲であることにより、ユーザがタッチパネルを操作したときの検出感度が高くなる。比誘電率は、例えば、公知のLCRメーターによって、測定電圧1Vおよび測定周波数100kHzで測定することができる。
本実施形態に係るタッチパネル用シートの樹脂層(以下、「本実施形態の樹脂層」と略記する場合がある)の比誘電率は、6以上であり得、8以上であり得、さらには10以上でもあり得る。樹脂層の比誘電率が上記範囲であることにより、ユーザがタッチパネルを操作したときの検出感度が高くなる。比誘電率は、例えば、公知のLCRメーターによって、測定電圧1Vおよび測定周波数100kHzで測定することができる。
本実施形態の樹脂層のヘイズは、15%以下であり得、10%以下であり得、さらには5%以下であり得る。例えば、「樹脂層のヘイズは10%以下である」とは、樹脂層の厚みが500μmのときのヘイズの値が高くても10%であることを意味する。すなわち、本実施形態の樹脂層は、上述の樹脂組成物を用いて形成されていることにより、低ヘイズ(高透明性)を実現することができる。樹脂層のヘイズは、例えば、市販のヘイズメータ等の公知の方法によってJIS K7136に基づいて測定することが可能である。樹脂層のヘイズは、例えば樹脂層における任意の部分で測定したヘイズの実測値であってもよいし、500μm超または500μm未満の厚さの部分のヘイズの実測値から500μm厚の部分のヘイズとして算出される算出値であってもよい。
本実施形態の樹脂層の全光線透過率は、85%以上であり得、87%以上であり得、さらには90%以上であり得る。樹脂層の全光線透過率は、例えば、市販のヘイズメータ等の公知の方法によってJIS K7136に基づいて測定することが可能である。樹脂層の全光線透過率は、例えば樹脂層における任意の部分で測定した全光線透過率の実測値であってもよいし、500μm超または500μm未満の厚さの部分の全光線透過率の実測値から500μm厚の部分の全光線透過率として算出される算出値であってもよい。
本実施形態に係るタッチパネル用シートの樹脂層の厚みは、タッチパネルを備える製品の構造および形態等に応じて適宜選択することができる。例えば、樹脂層の厚みを50μm以上2000μm以下に設定することができる。タッチパネル用シートとして使用する際の耐久性の観点から、樹脂層の厚みは300μm以上が好ましい。
本実施形態の樹脂層は、例えば、上記ポリフッ化ビリニデン樹脂組成物を、公知の成形法によって成形することにより得ることができる。成形法の例として、射出成形、プレス成形および押出成形等が挙げられる。
本実施形態の樹脂層の製造に供される樹脂組成物の形態は、成形方法に適用可能であればよい。このような形態は、例えば粉末であるが、ペレットであってもよいし、フレークであってもよいし、粉末の圧縮成形品であってもよいし、型内に収容される成形品であってもよい。樹脂層の製造では、樹脂組成物が十分に溶融する温度に樹脂組成物を加熱して溶融させ、成形する。
(射出成形)
射出成形は、例えば、樹脂組成物を射出成形機に供給し、加熱によって溶融させ、金型に流し込み、射出して冷却することで樹脂層を得る方法である。
射出成形は、例えば、樹脂組成物を射出成形機に供給し、加熱によって溶融させ、金型に流し込み、射出して冷却することで樹脂層を得る方法である。
(プレス成形)
プレス成形は、一般に、樹脂組成物を型内に収容し、圧縮成形機を用いて高温プレス(例えば、230℃で3分間、5MPaの圧力)した後、冷プレス(例えば、30℃で3分間)することで樹脂層を得る方法である。
プレス成形は、一般に、樹脂組成物を型内に収容し、圧縮成形機を用いて高温プレス(例えば、230℃で3分間、5MPaの圧力)した後、冷プレス(例えば、30℃で3分間)することで樹脂層を得る方法である。
プレス成形において用いられる型は、加熱加圧に使用可能であり、かつ溶融した樹脂組成物を成形すべき形状に保持可能な部材であればよい。このような型の例には、金属製の型、および、アルミニウム箔等の金属製のシート、が含まれる。
本実施形態の樹脂層の製造において、成形体の均一な厚さと平滑な表面とを実現する観点から、溶融している樹脂組成物を加圧することが好ましい。すなわち、プレス成形では、プレス部材を加熱することにより樹脂組成物を溶融させつつプレス部材によってプレスしてシート状に成形することが好ましい。プレス部材は、前述の加熱加圧を実現可能な公知の部材であればよい。
(押出成形)
押出成形は、例えば、樹脂組成物を混練機により混練した後、押出成形して樹脂層を得る方法である。混練機は特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機、加圧ニーダーのような公知の混練機である。
押出成形は、例えば、樹脂組成物を混練機により混練した後、押出成形して樹脂層を得る方法である。混練機は特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機、加圧ニーダーのような公知の混練機である。
(ハードコート層)
本実施形態に係るタッチパネル用シートは、上記樹脂層の少なくとも片面にハードコート層を備えていてもよい。ハードコート層を備えることによって、樹脂層の傷の防止、反射防止およびユーザがタッチパネルを操作したときの指紋付着の防止をすることができる。
本実施形態に係るタッチパネル用シートは、上記樹脂層の少なくとも片面にハードコート層を備えていてもよい。ハードコート層を備えることによって、樹脂層の傷の防止、反射防止およびユーザがタッチパネルを操作したときの指紋付着の防止をすることができる。
例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂およびエポキシ樹脂等の光または熱硬化性樹脂を主成分とする材料を、樹脂層の少なくとも片面に塗布し、光又は熱により硬化させることによって、ハードコート層が樹脂層に形成される。
ハードコート層の厚みは、タッチパネルを備える製品の構造および形態等に応じて適宜選択することができる。例えば、ハードコート層の厚みを1μm以上100μm以下に設定することができる。
本実施形態に係るタッチパネル用シートは、スマートフォンおよびタブレット等のタッチパネル用透明シートとして用いることができる。本実施形態に係るタッチパネル用シートは、高誘電率を有するため、静電容量方式のタッチパネルに好適である。
[まとめ]
本実施形態に係るタッチパネル用シートは、ポリフッ化ビニリデン樹脂とアルキル四級アンモニウム硫酸塩とを含むポリフッ化ビニリデン樹脂組成物からなる樹脂層を有する。
本実施形態に係るタッチパネル用シートは、ポリフッ化ビニリデン樹脂とアルキル四級アンモニウム硫酸塩とを含むポリフッ化ビニリデン樹脂組成物からなる樹脂層を有する。
本実施形態に係るタッチパネル用シートにおいて、前記樹脂層の比誘電率が6以上であってもよい。
本実施形態に係るタッチパネル用シートにおいて、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂における異種結合の割合が4%以上であってもよい。
本実施形態に係るタッチパネル用シートにおいて、前記アルキル四級アンモニウム硫酸塩がアルキル四級アンモニウム硫酸水素塩であってもよい。
本実施形態に係るタッチパネル用シートにおいて、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂組成物における、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂の含有量が、90質量%以上99.5質量%以下であってもよい。
本実施形態に係るタッチパネル用シートにおいて、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂組成物における、前記アルキル四級アンモニウム硫酸塩の含有量が、0.5質量%以上10質量%以下であってもよい。
本実施形態に係るタッチパネル用シートにおいて、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂がフッ化ビニリデンのホモポリマーであってもよい。
本実施形態に係るタッチパネル用シートにおいて、前記樹脂層の少なくとも一方の面にハードコート層をさらに有していてもよい。
本実施形態に係るタッチパネル用シートにおいて、前記タッチパネルが静電容量方式のタッチパネルであってもよい。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明の以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
[実施例1]
ポリフッ化ビニリデン樹脂99質量%に、アルキル四級アンモニウム硫酸塩1質量%を添加した。そして、同方向2軸押出機(東芝機械社製 TEM−26)により、シリンダー温度190℃で押出し、ペレット状のポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を得た。
ポリフッ化ビニリデン樹脂99質量%に、アルキル四級アンモニウム硫酸塩1質量%を添加した。そして、同方向2軸押出機(東芝機械社製 TEM−26)により、シリンダー温度190℃で押出し、ペレット状のポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を得た。
ポリフッ化ビニリデン樹脂(以下、「原料1」と略記する場合がある)として、粉末状ホモポリマーであるポリフッ化ビニリデン(以下、Polymer Aと略記する)を用いた。Polymer Aは国際公開WO2006/061988の実施例4と同一の条件で製造した。
また、アルキル四級アンモニウム硫酸塩(以下、「原料2」と略記する場合がある)としてテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(広栄化学工業社製、以下、「TBAHS」と略記する場合がある)を用いた。
得られたポリフッ化ビニリデン樹脂組成物をアルミ箔にはさみ、さらにステンレス鋼(SUS)板に挟んで圧縮成形機(神藤金属工業所社製、型式AYSR−5)を用いて200℃で5分間、5MPaの圧力でプレスした。次いで、プレス品をSUS板に挟んだまま直ちに30℃の冷プレスで3分間保持して冷却(急冷)した。そして、シート1を作製した。シート1の厚みを、厚さ計「DG−925」(小野測器社製)を用い、1サンプルにつき5回ずつ測定して平均値を求めた。この平均値をシート1の厚みとした。シート1の厚みは500μmであった。
[実施例2]
原料1を、コポリマーであるクレハ社製KF#2300に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート2を作製した。KF#2300は、VDF(フッ化ビニリデン)/HFP(ヘキサフルオロプロピレン)からなるコポリマーである。
原料1を、コポリマーであるクレハ社製KF#2300に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート2を作製した。KF#2300は、VDF(フッ化ビニリデン)/HFP(ヘキサフルオロプロピレン)からなるコポリマーである。
[実施例3]
原料1を、コポリマーであるクレハ社製KF#1500に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート3を作製した。KF#1500は、VDF/CTFE(クロロトリフルオロエチレン)からなるコポリマーである。
原料1を、コポリマーであるクレハ社製KF#1500に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート3を作製した。KF#1500は、VDF/CTFE(クロロトリフルオロエチレン)からなるコポリマーである。
[実施例4]
原料1の量を97質量%、原料2の量を3質量%に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート4を作製した。
原料1の量を97質量%、原料2の量を3質量%に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート4を作製した。
[実施例5]
原料1の量を95質量%、原料2の量を5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート5を作製した。
原料1の量を95質量%、原料2の量を5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート5を作製した。
[実施例6]
原料1の量を90質量%、原料2の量を10質量%に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート6を作製した。
原料1の量を90質量%、原料2の量を10質量%に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート6を作製した。
[実施例7]
原料2をテトラエチルアンモニウム硫酸水素塩(東京化成工業社製、以下、「TEAHS」と略記する場合がある)に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート7を作製した。
原料2をテトラエチルアンモニウム硫酸水素塩(東京化成工業社製、以下、「TEAHS」と略記する場合がある)に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート7を作製した。
[実施例8]
原料2をテトラプロピルアンモニウム硫酸水素塩(シグマアルドリッチ社製、以下、「TPAHS」と略記する場合がある)に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート8を作製した。
原料2をテトラプロピルアンモニウム硫酸水素塩(シグマアルドリッチ社製、以下、「TPAHS」と略記する場合がある)に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート8を作製した。
[実施例9]
原料2をテトラヘキシルアンモニウム硫酸水素塩(東京化成工業社製、以下、「THAHS」と略記する場合がある)に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート9を作製した。
原料2をテトラヘキシルアンモニウム硫酸水素塩(東京化成工業社製、以下、「THAHS」と略記する場合がある)に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート9を作製した。
[実施例10]
原料1をフッ化ビニリデンのホモポリマーであるクレハ社製KF#1000に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート10を作製した。
原料1をフッ化ビニリデンのホモポリマーであるクレハ社製KF#1000に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート10を作製した。
[実施例11]
原料1の量を95質量%、原料2の量を5質量%に変更した以外は、実施例10と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート11を作製した。
原料1の量を95質量%、原料2の量を5質量%に変更した以外は、実施例10と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシート11を作製した。
[比較例1]
原料1の量を100質量%とし、原料2を添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシートC1を作製した。
原料1の量を100質量%とし、原料2を添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシートC1を作製した。
[比較例2]
原料1の量を90質量%とし、原料2として10質量%のポリメタクリル酸メチル(住友化学株式会社製「スミペックスMG5」、以下、「PMMA」と略記する場合がある)を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製した。そして、厚さ500μmのシートC2を作製した。
原料1の量を90質量%とし、原料2として10質量%のポリメタクリル酸メチル(住友化学株式会社製「スミペックスMG5」、以下、「PMMA」と略記する場合がある)を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製した。そして、厚さ500μmのシートC2を作製した。
[比較例3]
原料2の量を25質量%に変更した以外は比較例2と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシートC3を作製した。
原料2の量を25質量%に変更した以外は比較例2と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシートC3を作製した。
[比較例4]
原料2の量を50質量%に変更した以外は比較例2と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシートC4を作製した。
原料2の量を50質量%に変更した以外は比較例2と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシートC4を作製した。
[比較例5]
原料2の量を75質量%に変更した以外は比較例2と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシートC5を作製した。
原料2の量を75質量%に変更した以外は比較例2と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシートC5を作製した。
[比較例6]
原料2の量を100質量%とし、原料1を添加しなかった以外は、比較例2と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシートC6を作製した。
原料2の量を100質量%とし、原料1を添加しなかった以外は、比較例2と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシートC6を作製した。
[比較例7]
原料2を添加しなかった以外は、実施例2と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシートC7を作製した。
原料2を添加しなかった以外は、実施例2と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシートC7を作製した。
[比較例8]
原料2を添加しなかった以外は、実施例3と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシートC8を作製した。
原料2を添加しなかった以外は、実施例3と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシートC8を作製した。
[比較例9]
原料2を添加しなかった以外は、実施例10と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシートC9を作製した。
原料2を添加しなかった以外は、実施例10と同様にしてポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を作製し、厚さ500μmのシートC9を作製した。
実施例1〜11および比較例1〜9で使用した原料1および原料2の詳細を表1に示す。
[評価]
(原料1の異種結合の割合)
ポリフッ化ビニリデン樹脂40mgを重水素ジメチルホルムアミド(D7−DMF)0.8mlに溶解し、室温下で19F−NMRを測定した。得られた19F−NMRのスペクトルにおける−91.6ppm、−92.1ppm、−94.7ppm、−113.5ppm、および−115.9ppmの位置の主要な5本のピークの面積の合計をS0、−113.5ppmのピークの面積をS1、−115.9ppmのピークの面積をS2として、次式により算出した。
異種結合の割合(%)=[{(S1+S2)/2}/S0]×100
測定の結果、polymer A、KF#1000およびKF#2300の異種結合の割合はそれぞれ、4.1%、3.8%および3.6%であった。
(原料1の異種結合の割合)
ポリフッ化ビニリデン樹脂40mgを重水素ジメチルホルムアミド(D7−DMF)0.8mlに溶解し、室温下で19F−NMRを測定した。得られた19F−NMRのスペクトルにおける−91.6ppm、−92.1ppm、−94.7ppm、−113.5ppm、および−115.9ppmの位置の主要な5本のピークの面積の合計をS0、−113.5ppmのピークの面積をS1、−115.9ppmのピークの面積をS2として、次式により算出した。
異種結合の割合(%)=[{(S1+S2)/2}/S0]×100
測定の結果、polymer A、KF#1000およびKF#2300の異種結合の割合はそれぞれ、4.1%、3.8%および3.6%であった。
(原料1の吸光度比)
フッ化ビニリデン重合体を、230℃で熱プレスして、厚み50μm以上100μm以下のプレスシートを作製した。作製したプレスシートのIRスペクトルを、赤外分光光度計FT/IR−4100(日本分光社製)を用いて、1500cm−1〜4000cm−1範囲で測定し、下記式によって吸光度比ARを求めた。
フッ化ビニリデン重合体を、230℃で熱プレスして、厚み50μm以上100μm以下のプレスシートを作製した。作製したプレスシートのIRスペクトルを、赤外分光光度計FT/IR−4100(日本分光社製)を用いて、1500cm−1〜4000cm−1範囲で測定し、下記式によって吸光度比ARを求めた。
AR=A1700−1800/A3023
上記式において、A1700−1800は1700〜1800cm−1の範囲で検出されるカルボニル基の伸縮振動に由来の吸光度であり、A3023は3023cm−1付近に検出されるCHの伸縮振動に由来の吸光度である。具体的には、1660cm−1の吸光度と1900cm−1の吸光度とを結んだ線をベースラインとしたときの1700cm−1〜1800cm−1における吸光度の最大値をA1700−1800とした。一方、2900cm−1の吸光度と3300cm−1の吸光度とを結んだ線をベースラインとしたときの3023±10cm−1における吸光度の最大値をA3023とした。
上記式において、A1700−1800は1700〜1800cm−1の範囲で検出されるカルボニル基の伸縮振動に由来の吸光度であり、A3023は3023cm−1付近に検出されるCHの伸縮振動に由来の吸光度である。具体的には、1660cm−1の吸光度と1900cm−1の吸光度とを結んだ線をベースラインとしたときの1700cm−1〜1800cm−1における吸光度の最大値をA1700−1800とした。一方、2900cm−1の吸光度と3300cm−1の吸光度とを結んだ線をベースラインとしたときの3023±10cm−1における吸光度の最大値をA3023とした。
測定の結果、polymer A、KF#1000およびKF#2300の吸光度比はそれぞれ、0.100、0.104および0.132であった。
(全光線透過率とヘイズ)
シート1〜11およびC1〜C9のそれぞれについて、全光線透過率(%)とヘイズ(%)を測定した。シートの全光線透過率とヘイズは、ヘイズメータ「NDH4000」(日本電色工業株式会社製)を用いて、JIS K7136に基づいて測定した。
シート1〜11およびC1〜C9のそれぞれについて、全光線透過率(%)とヘイズ(%)を測定した。シートの全光線透過率とヘイズは、ヘイズメータ「NDH4000」(日本電色工業株式会社製)を用いて、JIS K7136に基づいて測定した。
(比誘電率)
シート1〜6およびC1〜C6のそれぞれについて、ヒューレットパッカード社製のMULTI-FREQUENCY LCR METER 4274Aを用いて、比誘電率を測定した。電極面積11.3cm2、測定電圧1V、および測定周波数100kHzで測定した。
シート1〜6およびC1〜C6のそれぞれについて、ヒューレットパッカード社製のMULTI-FREQUENCY LCR METER 4274Aを用いて、比誘電率を測定した。電極面積11.3cm2、測定電圧1V、および測定周波数100kHzで測定した。
(YI)
シート1、5、10、11、C1およびC9のYI値は、測色色差計color meter ZE6000(日本電色工業株式会社製)を用いてシートに白板を載せて反射法で測定し、ASTM D1925に従い算出した。また、成形体の任意の箇所4点を測定し、その平均値を成形体のYI値とした。
シート1、5、10、11、C1およびC9のYI値は、測色色差計color meter ZE6000(日本電色工業株式会社製)を用いてシートに白板を載せて反射法で測定し、ASTM D1925に従い算出した。また、成形体の任意の箇所4点を測定し、その平均値を成形体のYI値とした。
シート1〜11およびC1〜C9の評価結果を表2に示す。表2中の「対応する比較例に対する割合」は、シート1、4〜9に関してはシートC1の比誘電率に対する割合である。シート2および3それぞれに関しては、シートC7およびC8の比誘電率に対する割合である。
[結果]
表2に示すように、アンモニウム四級硫酸水素塩を添加した実施例1〜11のシート1〜11は、比誘電率が高かった。また、低ヘイズであり、タッチパネル用シートに適していることが分かった。
表2に示すように、アンモニウム四級硫酸水素塩を添加した実施例1〜11のシート1〜11は、比誘電率が高かった。また、低ヘイズであり、タッチパネル用シートに適していることが分かった。
ポリフッ化ビニリデン樹脂100質量%からなる比較例1および7〜9のシートC1、C7およびC8は、ヘイズが高く透明性が悪かった。PMMA100質量%からなる比較例6のシートC6は、比誘電率が低かった。PMMAを添加した比較例2〜5のシートC2〜C5は、PMMAの添加量を増加させるとヘイズが低くなった一方、比誘電率が低下した。
また、異種結合の割合が4.1%であるPolymer Aが含まれるシート1および5は、異種結合の割合が3.8%であるKF#1000が含まれるシート10および11と比べて、YI値が低く、黄変が抑制されることがわかった。したがって、異種結合の割合が4%以上であるポリフッ化ビニリデン樹脂およびアンモニウム四級硫酸水素塩を原料として用いることにより、高透明性および高誘電率であり、黄変が抑制されたタッチパネル用シートが得られることが分かった。
本発明は、スマートフォンおよびタブレット等に用いられるタッチパネル用シートに利用することができる。
Claims (9)
- ポリフッ化ビニリデン樹脂とアルキル四級アンモニウム硫酸塩とを含むポリフッ化ビニリデン樹脂組成物からなる樹脂層を有する、タッチパネル用シート。
- 上記樹脂層の比誘電率が6以上である、請求項1に記載のタッチパネル用シート。
- 前記ポリフッ化ビニリデン樹脂における異種結合の割合が4%以上である、請求項1または2に記載のタッチパネル用シート。
- 前記アルキル四級アンモニウム硫酸塩がアルキル四級アンモニウム硫酸水素塩である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタッチパネル用シート。
- 前記ポリフッ化ビニリデン樹脂組成物における、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂の含有量が、90質量%以上99.5質量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタッチパネル用シート。
- 前記ポリフッ化ビニリデン樹脂組成物における、前記アルキル四級アンモニウム硫酸塩の含有量が、0.5質量%以上10質量%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のタッチパネル用シート。
- 前記ポリフッ化ビニリデン樹脂がフッ化ビニリデンのホモポリマーである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のタッチパネル用シート。
- 前記樹脂層の少なくとも一方の面にハードコート層をさらに有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のタッチパネル用シート。
- 前記タッチパネルが静電容量方式のタッチパネルである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のタッチパネル用シート。
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