JP2021104540A - 継目無鋼管圧延用プラグ、継目無鋼管圧延用プラグの製造方法、継目無鋼管圧延用プラグミル、継目無鋼管の圧延方法および継目無鋼管の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、合金の添加が少なく、高温強度が低いと、プラグが圧延中に高温化して変形しやすくなる。しかし、高温強度を上げるために合金を多量添加すると酸化物層が薄くなり、又は密着性が小さくなり、プラグが高温化しやすい。一方、合金を減らし、酸化物層を厚くするとそもそもの強度が足りず変形してしまう。
また、所定の成分組成のもと、ビッカース硬度を所定範囲とすることにより、十分な変形抑制を実現できることも知見した。
[1]プラグ素材と、該プラグ素材表面に形成された酸化物層と、を有する継目無鋼管圧延用プラグであって、
前記プラグ素材は、
質量%で、C:1.0〜2.0%、Si:0.3〜1.5%、Mn:0.3〜1.5%、Al:0.01〜0.1%、Ni:0.01〜5.0%、Cr:12〜20%、MoとWの1種または2種(Mo+W):0.1〜3.0%、V:0.01〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
前記酸化物層は、スピネル型酸化物を体積分率で50%以上有すると共に、層の厚みが0.4mm以上であり、
プラグ素材表面から厚み方向に10mmの位置のビッカース硬度が500〜700HVを満たす継目無鋼管圧延用プラグ。
[2]前記[1]に記載の継目無鋼管圧延用プラグの製造方法であり、
プラグ素材を、体積分率で酸素濃度:0.3%以下かつ一酸化炭素濃度:4〜8%である雰囲気中、1000〜1200℃で1〜3時間保持した後、800〜900℃まで冷却して1〜3時間保持することで前記プラグ素材表面に酸化物層を生成させる熱処理を行う継目無鋼管圧延用プラグの製造方法。
[3]前記[1]に記載の継目無鋼管圧延用プラグを備えた継目無鋼管圧延用プラグミル。
[4]前記[1]に記載の継目無鋼管圧延用プラグを使用した継目無鋼管の圧延方法。
[5]前記[1]に記載の継目無鋼管圧延用プラグを使用した継目無鋼管の製造方法。
上記の厚み方向とは、プラグ素材表面の各位置における接線に垂直な方向のことを指す。
これにより、コストパフォーマンスが良い高寿命のプラグを得ることができる。
具体的に、本発明によれば、鋼成分組成と硬度を制御し、圧延時のプラグにかかる衝撃による変形を抑制する。さらに1度の熱処理であっても、耐摩耗性に優れた酸化物層を形成し、過酷な圧延過程を経ても地鉄が表面に露出し難い、高寿命のプラグを得ることができる。
また、単価が高く、高強度化を目的とした合金元素を多量に含有しなくても、強度かつ耐摩耗性を優れたものとすることが可能となり、プラグの原単価を削減することもできる。
なお、上記の厚み方向とは、プラグ素材表面の各位置における接線に垂直な方向のことを指す。
本発明のプラグ1及びプラグ素材の形状は特に限定されないが、例えば、図1に示すように、円柱形状を有していたり、圧延方向に漸次断面形状が小さくなるような略円錐形状を有していたりすることができる。
次に、本発明のプラグ素材の合金の成分組成の作用と含有量の限定理由を説明する。以下、合金の成分を示す%は、質量%である。
Cは、Cr、Mo、V、Wなどと結合して高硬度の複合炭化物を形成し耐摩耗性を高める。また、基地のオーステナイト中にも一部固溶して、焼入れ操作により形成されるマルテンサイトによる高強度化の効果にも寄与する。Cは、このようにして、耐摩耗性ならびに常温から高温までの硬度および強度を向上させる作用を有する。C含有量が1.0%未満では炭化物の晶出量が少なく、そのため高い耐摩耗性が得られない。一方、C含有量が2.0%を超えると、炭化物の晶出量が過剰となって熱衝撃に著しく敏感となり、早期に割れを生じるようになる。したがって、C含有量は1.0〜2.0%とする。
また、炭化物の晶出量と耐熱衝撃性のバランスをより良くするという点から、C含有量は1.3〜1.5%であることが好ましい。
Siは、溶湯の脱酸と湯流れをよくするために含有する。また、Siは添加すると酸化物層のウスタイトを少なくし、スピネル型酸化物であるマグネタイトを多くする。Si含有量が0.3%未満ではその効果が得られない。一方、Si含有量が1.5%を超えると靱性の低下を招く。また、過剰にSiを添加すると酸化物と地鉄の界面にSiO2の層が形成され耐衝撃性が低下する。したがって、Si含有量は0.3〜1.5%とする。また、Si含有量は、好ましくは0.4〜0.7%である。
Mnは、脱酸のためにSiと共に添加される。Mn含有量が0.3%未満では、十分な脱酸効果が得られない。一方、Mn含有量が1.5%より多いと靱性が低下する。したがって、Mn含有量は0.3〜1.5%とする。さらに、スピネル型の酸化物層が増加する範囲を考慮すると、Mn含有量は0.6〜1.2%であることが好ましい。
Alは、脱酸のためにSiやMnと共に添加される。Al含有量が0.01%未満では十分な脱酸効果が得られない。一方、Al含有量が、0.1%より多いと靱性が低下する。したがって、Al含有量は0.01〜0.1%とする。
Niは、基地の焼き入れ性を向上させるもので、Ni含有量が0.01%未満では添加の効果がない。一方、このような焼入れ性改善効果は、Niを5.0%含有すれば飽和する。さらに、Niは、酸化物層中でのNi富化地鉄粒子の混在を通じて酸化物層の密着性の向上に寄与するが、過剰にNiが添加されれば軟化不足による切削性の低下、残留オーステナイトの生成による熱処理性の劣化を引き起こす。したがって、Ni含有量は0.01〜5.0%とする。また、Ni含有量は、好ましくは0.6〜3.0%である。
Crは、高温高圧下で使用されるプラグミル圧延用のプラグとして高温強度を与え、かつ潤滑剤などに含まれる腐食環境で使用されることの多いプラグに対して耐食性を与える。これらの効果を得るために、Cr含有量を12%以上とすることが必要である。一方、Cr含有量が20%を超えれば、熱処理を施した際に酸化物層を十分な厚みにすることが困難となり、また、フェライト相が生成して熱処理性を害する。したがって、Crの含有量は12〜20%とする。さらに、コランダム型の酸化物層を少なくし、スピネル型酸化物をより多く含有するために、Cr含有量は13〜17%とすることが好ましい。
MoおよびWは、基地に固溶して高温軟化抵抗などの高温特性を改善するほか、焼戻しによりCと結合して微細な複合炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させる。さらに、MoとWは、FeよりもOとの結合性が貴であるため、酸化物層を形成する際に選択酸化が起こり、酸化物層と地鉄の界面がくぎで打ちつけられたような形状になり、アンカー効果による高密着性が得られる。これらの効果は、MoとWの含有量の合計(Mo+W)を0.1%以上とすれば得られる。
一方、MoとWはフェライト形成元素であるため、その含有量を増加すればオーステナイトを生成する組成範囲を狭くする。また、この組成範囲の狭さを補うためにCやNiを増量するとしても、各元素の含有量には前述した制限がある。そのため、MoとWの含有量の合計(Mo+W)は3.0%以下とする。以上の理由と、経済性の観点から、MoとWについては1種または2種を含有し、MoとWの含有量の合計(Mo+W)を0.1〜3.0%とする。
Vは微量の添加で炭化物や窒化物になり結晶粒の微細化へ寄与し、靱性も向上する。この効果は、V含有量を0.01%以上とすれば得られる。
一方、V含有量が0.1%を超えると、上記の効果は飽和し、硬質な相が形成されることで靭性が低下する。したがって、V含有量は0.01〜0.1%とする。
次に、本発明のプラグに形成される酸化物層について説明する。
図2は、酸化物層の厚みと、1000℃の高温物を10秒間酸化物層に接触させた際の酸化物層及び地鉄の界面(プラグ素材表面)に設置させた熱電対の最高到達温度(酸化物層直下温度)との関係を示すグラフである。上記の10秒間の接触時間はプラグが高温に曝される時間を模擬している。図2に示すように、酸化物層が厚いほど最高到達温度が低い。また、酸化物層が0.1mm(100μm)厚くなるごとに最高到達温度が約55℃低下している。
具体例として、その厚みが0.7mm(700μm)と比較的厚い場合、最高到達温度は650℃程度となり、一方、0.4mm(400μm)未満と薄い場合、最高到達温度は800℃を超えることが図2から分かる。
このように、プラグ圧延において、酸化物層は、プラグ素材表面の昇温(及び被圧延材の表面の昇温)を抑止する作用があり、厚いほど好ましい。
オーステナイト変態点である800℃超えになると、熱間変形抵抗が大きく下がる。また、鋼材(プラグ)の温度とその降伏応力には、相関があり、高温ほど降伏応力は低い。
しかし、プラグと素材とが接触するときには、前述したように、酸化物層が0.7mmの厚みを有する場合には、上記の最高到達温度は650℃程度までしか上昇せず(図2再参照)、そのときプラグは、図4に示すように1200MPa程度の降伏応力を有することとなる。一方、上記の最高到達温度がオーステナイト変態点の800℃となる場合には、プラグの降伏応力が400MPa程度になることが分かる。
用いたプラグのプラグ素材は、表1に示す成分組成を有しており、このプラグを800℃に加熱し、その際に各種応力を与え、その後冷却し、断面を観察するために切断し、割れの程度を観察しやすくするために、腐食をさせた。図6(a)では、200MPaの応力をプラグに与え、(b)は400MPaの応力、(c)は600MPaの応力を与えた。プラグがオーステナイト変態点程度になる場合は、400MPaを超える応力をプラグに与えると損傷することがわかった。
よって、本発明では、プラグに形成させる酸化物層の厚みを0.4mm以上とする。
また、上限値については特に限定しないが、酸化物層の厚みが1.0mm以上となると酸化物層中にヘマタイトの比率が増加しやすくなる。また、酸化物層の厚みを1.0mm以上とすると、プラグの外径において2.0mm(=1.0mm×2(径における両端))以上が酸化物層となり、酸化物層が摩耗した際に、その後に圧延に行う素管の寸法精度が落ちるという懸念がある。よって、酸化物層の厚みは、1.0mm未満とすることが好ましい。
次に、酸化物層中の組成について説明する。
大気炉で生成させた酸化物層は厚く、この厚い酸化物層の存在により、プラグの地鉄表面と素管内面との間隔を長くすることで、プラグの高温化を抑制することができる。しかしながら、大気炉で酸化物層を形成させると、炉内の酸素濃度が高いために、ヘマタイトの構成比率が高くなる。ヘマタイトは、硬いが密着性が低く、衝撃が加わった際に剥離しやすいため、プラグミル圧延のようなプラグと素管とロールとの隙間がない過酷な圧延では容易に酸化物層が剥離してしまう。
まず、酸化物層を剥離させ粉末状にしたサンプルに対して、X線回折分析を行い、酸化物層全体の酸化物に占めるスピネル型酸化物の体積分率を求めた。
また、エネルギー分散型X線分析機器を用いて成分組成が変わる位置を分析し、求められた体積分率と対比した。また、外表面から地鉄に向けて酸素濃度が低くなるように酸化物層(ヘマタイト−マグネタイト−ウスタイト)が構成されていることも考慮し、図7中、断面写真に層構成としてFe(地鉄(プラグ素材))、FeO(ウスタイト)、Fe3O4(マグネタイト)、Fe2O3(ヘマタイト)を記載している。
耐摩耗性評価用のサンプルは、上記の表1に示す成分組成を有する素材に対して、大気雰囲気炉を用いて1185℃で2時間保持して作製した。
サンプルは最表面がヘマタイトとなるため、ヘマタイト層の厚み分である0.2mmが摩耗するまでの時間を測定した。
よって、本発明では、プラグに形成される酸化物層中、スピネル型酸化物を体積分率で50%以上有するようにする。
一方、酸化物層中、スピネル型の酸化物(マグネタイト)が多すぎると、酸化物層に発生した割れが地鉄まで進展しやすくなるため、地鉄との界面にウスタイトが体積分率で10%存在することが好ましい。すなわち、好ましくは、スピネル型の酸化物を体積分率で90%以下有するようにする。これにより、地鉄との密着力をより向上させることができる。さらに、耐摩耗性及び地鉄との密着性の両立を考慮すると、スピネル型の酸化物を体積分率で50〜80%有することがより好ましい。
上記の表2、3に示す条件で、プラグミル圧延を解析した結果、プラグが素管に接触した瞬間ではプラグにかかる最大応力は1000MPa程度であった。硬度と引張強度の関係に関し、プラグが有する硬度が300HVの時に引張強度として1000MPa程度有する。
ここで、常温硬度とは、JIS Z 2244:2009に基づき測定される常温(25℃)でのビッカース硬度のことを指す。
また、厚み方向とは、プラグ素材表面に対する接線に垂直な方向のことを指す。
次に、本発明の継目無鋼管圧延用プラグの製造方法について説明する。
本発明の継目無鋼管圧延用プラグは、前述した成分組成を有するプラグ素材を、体積分率で酸素濃度:0.3%以下かつ一酸化炭素濃度:4〜8%である雰囲気中、1000〜1200℃で1〜3時間保持後、800〜900℃まで冷却して1〜3時間保持することで上記プラグ素材表面に酸化物層を生成させる熱処理を行うことで得られる。
プラグ素材については、従前公知の方法で、所望の形状に製造することができる。
また、このとき、雰囲気中、体積分率で、酸素濃度を0.3%以下とし、かつ一酸化炭素濃度を4〜8%とする。酸素濃度が0.3%超えとなると、酸化物層の厚みが不足する。
また、一酸化炭素濃度が4%未満となると、ヘマタイト量が多くなり過ぎる。一方、一酸化炭素濃度が8%超えとなると、酸化物層の厚みが不足する。
また、保持時間が1時間未満となると、酸化物層の生成量が不足し、プラグの均熱化ができていないため、酸化物層の厚みのムラになる。一方、3時間を超えると、効果は飽和する。
よって、まず、得られたプラグ素材を、体積分率で酸素濃度:0.3%以下かつ一酸化炭素濃度:4〜8%である雰囲気中、1000〜1200℃で1〜3時間保持する。
なお、この雰囲気において、残部のガス成分は特に限定するものではないが、一般的には不活性ガス(窒素、アルゴン等)を使用すればよい。
また、単価が高く、高強度化を目的とした合金元素の含有量を少なくしても所望の効果を得られるため、プラグの原単価を削減することができる。
本実施例で用いたプラグのプラグ素材の成分組成を表4に示す(鋼No.A〜X)。
鋼No.A〜Uから得たプラグについては、各成分組成を有するプラグ素材を、体積分率で酸素濃度:0.3%以下かつ一酸化炭素濃度:4〜8%である雰囲気中、1185℃で2時間保持した後、880℃まで冷却(炉冷)して2時間保持することでプラグ素材表面に酸化物層を生成させる熱処理を行った(プラグNo.1〜21)。
また、鋼No.Vを用いたプラグNo.22については、プラグ素材を、体積分率で酸素濃度:0.3%以下かつ一酸化炭素濃度:20〜25%である雰囲気中、1185℃で2時間保持した後、880℃まで冷却(炉冷)して1.5時間保持することでプラグ素材表面に酸化物層を生成させる熱処理を行った。
また、鋼No.Vを用いたプラグNo.23については、プラグ素材を、体積分率で酸素濃度:10〜15%かつ一酸化炭素濃度:6〜7%である雰囲気中、1150℃で2時間保持した後、850℃まで冷却(炉冷)して1.5時間保持することでプラグ素材表面に酸化物層を生成させる熱処理を行った。
また、鋼No.Vを用いたプラグNo.24については、プラグ素材を、体積分率で酸素濃度:0.3%以下かつ一酸化炭素濃度:5〜6%である雰囲気中、1200℃で1時間保持した後、700℃まで冷却(炉冷)して3時間保持することでプラグ素材表面に酸化物層を生成させる熱処理を行った。
プラグミル圧延を行うプラグとは別に表4に示す成分組成を有するサンプルを用意し、上述した熱処理を施した。用いたサンプルの寸法は150mm角で厚み30mmとした。
そして、熱処理したサンプルを切断し、デジタルマイクロスコープを用いた寸法測定により、酸化物層の厚み(スケール厚)を測定した。
また、酸化物層を形成させるための熱処理後、プラグ外表面から厚み方向に10mm位置で、0.5mmピッチでビッカース硬度計(荷重:3kgf)を用いて、JIS Z 2244:2009に基づき常温(25℃)でのビッカース硬度の測定を行った。
上記の各プラグを用いて、同一の被圧延材に対して、熱間でプラグミル圧延を実施し、プラグ寿命まで圧延した。用いた被圧延材は外径φ223mm×肉厚16.99mm×長さ8mであり、素材規格は0.2質量%C−13質量%Crであった。
上記の圧延は、圧下量が減肉率:30%となる圧延条件で行った。また、被圧延材の温度は、放射温度計により測定した外表面の温度で950〜1000℃とした。そして、プラグは1度圧延をすると水冷し、プラグの外表面温度が50℃以下になってから、10分間水冷を続けて、再度使用した。
圧延後、超音波センサーを利用した非接触厚み測定器(日本パナメトリクス株式会社 37DL PLUS)により測定された酸化物層の厚みが0.1mm未満の場合、プラグに摩耗が生じているとして、酸化物層の厚みが0.1mm以上の場合、プラグに摩耗は生じていないとした。
圧延後、3Dスキャナーによる寸法測定を実施し、10%以上の体積変化が発見された場合、プラグに変形が生じているとして、10%未満の体積変化の場合、プラグに変形は生じていないとした。なお、この評価では、接触温度計を用いて、プラグの表面温度が常温(25℃以下)になったことを確認してから変形の有無を判定した。
○(合格):5回以上の圧延を実施しても、プラグに摩耗が生じておらず、且つプラグに変形も生じていないと判断できた。
◎(合格(より優れている)):10回以上の圧延を実施しても、プラグに摩耗が生じておらず、且つプラグに変形も生じていないと判断できた。
×(不合格):5回未満の圧延で、プラグに摩耗、変形の少なくとも一方が生じていると判断した。
本発明例の中でも、特に、スピネル型の酸化物層の体積分率が70%以上となるプラグNo.1、2、5は、より優れた結果を得られた。また、プラグNo.8も、スピネル型の酸化物層の体積分率が60%以上となり、ビッカース硬度が600HV以上であり、且つ酸化物層の厚みが0.55mm以上であるため、より優れた結果を得られた。
プラグNo.17(鋼No.Q)は、Cr含有量が本発明の範囲の下限値未満であり、5回未満の圧延で体積変化が10%以上であった。
プラグNo.18(鋼No.R)は、Cr含有量が本発明の範囲の上限値超えであり、5回未満の圧延で酸化物層の厚みが0.1mm未満になった。
プラグNo.19(鋼No.S)は、C含有量が本発明の範囲の上限値超えであり、且つMo+Wの含有量が本発明の範囲の上限値超えであり、5回未満の圧延で体積変化が10%以上であった。
プラグNo.20(鋼No.T)は、Si含有量が本発明の範囲の上限値超えであり、且つCr含有量が本発明の範囲の上限値超えであり、5回未満の圧延で酸化物層の厚みが0.1mm未満になり、且つ体積変化が10%以上であった。
プラグNo.21(鋼No.U)は、Mn含有量が本発明の範囲の上限値超えであり、5回未満の圧延で酸化物層の厚みが0.1mm未満になった。
プラグNo.22(鋼No.V)は、鋼成分組成は本発明の範囲内であったが、熱処理時の一酸化炭素の濃度が高く酸化物層の生成が少ないため、5回未満の圧延で酸化物層の厚みが0.1mm未満になった。
プラグNo.23(鋼No.V)は、鋼成分組成は本発明の範囲内であったが、熱処理時の酸素濃度が高く酸化物層は厚く生成されたがマグネタイトの比率が小さいため、5回未満の圧延で酸化物層の厚みが0.1mm未満になり、且つ体積変化が10%以上であった。
プラグNo.24(鋼No.V)は、鋼成分組成は本発明の範囲内であったが、熱処理時の温度が低く所望の硬さを得ることができなかったため、5回未満の圧延で体積変化が10%以上であった。
2a、2b 圧延ロール
3 バー
101 圧延機
S ホロー
Claims (5)
- プラグ素材と、該プラグ素材表面に形成された酸化物層と、を有する継目無鋼管圧延用プラグであって、
前記プラグ素材は、
質量%で、C:1.0〜2.0%、Si:0.3〜1.5%、Mn:0.3〜1.5%、Al:0.01〜0.1%、Ni:0.01〜5.0%、Cr:12〜20%、MoとWの1種または2種(Mo+W):0.1〜3.0%、V:0.01〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
前記酸化物層は、スピネル型酸化物を体積分率で50%以上有すると共に、層の厚みが0.4mm以上であり、
プラグ素材表面から厚み方向に10mmの位置のビッカース硬度が500〜700HVを満たす継目無鋼管圧延用プラグ。 - 請求項1に記載の継目無鋼管圧延用プラグの製造方法であり、
プラグ素材を、体積分率で酸素濃度:0.3%以下かつ一酸化炭素濃度:4〜8%である雰囲気中、1000〜1200℃で1〜3時間保持後、800〜900℃まで冷却して1〜3時間保持することで前記プラグ素材表面に酸化物層を生成させる熱処理を行う継目無鋼管圧延用プラグの製造方法。 - 請求項1に記載の継目無鋼管圧延用プラグを備えた継目無鋼管圧延用プラグミル。
- 請求項1に記載の継目無鋼管圧延用プラグを使用した継目無鋼管の圧延方法。
- 請求項1に記載の継目無鋼管圧延用プラグを使用した継目無鋼管の製造方法。
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