JP2021102750A - スチレン系樹脂発泡粒子、スチレン系樹脂発泡成形体および発泡性スチレン系樹脂粒子 - Google Patents

スチレン系樹脂発泡粒子、スチレン系樹脂発泡成形体および発泡性スチレン系樹脂粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】発泡成形体のニクロムカットの際の糸引きが顕著に抑制され、かつ、ニクロムカットにより平滑な表面が形成され得るスチレン系樹脂発泡粒子、そのようなスチレン系樹脂発泡粒子から形成されるスチレン系樹脂発泡成形体ならびにそのようなスチレン系樹脂発泡粒子を形成し得る発泡性スチレン系樹脂粒子を提供すること。【解決手段】本発明のスチレン系樹脂発泡粒子は、嵩密度が0.008g/cm3〜0.02g/cm3であり、粒子の中心から表面までの距離をtとしたとき、中心から距離t/2の位置までの領域Aに存在する気泡の平均径DAと距離t/2の位置から表面までの領域Bに存在する気泡の平均径DBとの差の絶対値|DA−DB|が、100μm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、スチレン系樹脂発泡粒子、スチレン系樹脂発泡成形体および発泡性スチレン系樹脂粒子に関する。
スチレン系樹脂発泡成形体は、軽量かつ断熱性および機械的強度に優れることから、住宅および自動車等に用いられる断熱材、建築資材等に用いられる保温材、魚箱および食品容器等の輸送用梱包材、緩衝材等に幅広く使用されている。スチレン系樹脂発泡成形体は、用途・目的等に応じてブロック状から所定形状にカットされて用いられる場合がある。このような所定形状へのカットは、例えば、電気抵抗加熱線(代表的には、ニクロム線、ステンレス線)を用いて行われ得る。しかし、電気抵抗加熱線によるカット(通常、ニクロムカットと称される)においては、いわゆる糸引き(加熱により溶融した樹脂が糸状に引っ張られる現象)が発生する場合がある。糸引きによる糸状不純物が最終カット品に付着すると、以下のような問題が生じ得る:(i)梱包製品が汚染され、弱電分野および/または食品分野では大きな問題が生じる可能性がある;(ii)最終カット品に接着剤等を用いる場合の接着性が不十分となる場合がある。加えて、ニクロムカットにおいては、クレーターと称される表面凹凸が形成され、平滑な表面が得られない場合がある。
特開平9−003235号公報 特開2004−137448号公報 特開平8−295756号公報 特開平8−295757号公報 特開2007−246606号公報 特開平7−188454号公報 特開2011−074144号公報 特開2003−277541号公報 特開平7−292150号公報 特開2006−316240号公報 特開2009−108237号公報 特許第3502472号 特開2004−307729号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、発泡成形体のニクロムカットの際の糸引きが顕著に抑制され、かつ、ニクロムカットにより平滑な表面が形成され得るスチレン系樹脂発泡粒子を提供することにある。本発明のさらなる目的は、そのようなスチレン系樹脂発泡粒子から形成されるスチレン系樹脂発泡成形体ならびにそのようなスチレン系樹脂発泡粒子を形成し得る発泡性スチレン系樹脂粒子を提供することにある。
本発明の1つの実施形態によるスチレン系樹脂発泡粒子は、嵩密度が0.008g/cm〜0.02g/cmであり、該粒子の中心から表面までの距離をtとしたとき、該中心から距離t/2の位置までの領域Aに存在する気泡の平均径Dと該距離t/2の位置から該表面までの領域Bに存在する気泡の平均径Dとの差の絶対値|D−D|が、100μm以下である。
本発明の別の実施形態によるスチレン系樹脂発泡粒子は、該粒子全体の重量平均分子量が200000〜350000であり、かつ、下記式(1)で求められる分子量変化率が−25%〜25%である:
分子量変化率(%)=(Y−X)/Y×100 ・・・(1)
式(1)において、Xは粒子表層部の重量平均分子量であり、Yは粒子全体の重量平均分子量である。
本発明のさらに別の実施形態によるスチレン系樹脂発泡粒子は、嵩密度が0.008g/cm〜0.02g/cmであり、該粒子の中心から表面までの距離をtとしたとき、該中心から距離t/2の位置までの領域Aに存在する気泡の平均径Dと該距離t/2の位置から該表面までの領域Bに存在する気泡の平均径Dとの差の絶対値|D−D|が、100μm以下であり、ならびに、該粒子全体の重量平均分子量が200000〜350000であり、かつ、下記式(1)で求められる分子量変化率が−25%〜25%である:
分子量変化率(%)=(Y−X)/Y×100 ・・・(1)
式(1)において、Xは粒子表層部の重量平均分子量であり、Yは粒子全体の重量平均分子量である。
本発明の別の局面によれば、発泡性スチレン系樹脂粒子が提供される。この発泡性スチレン系樹脂粒子は、スチレン系樹脂と発泡剤とを含み、発泡により上記のスチレン系樹脂発泡粒子を形成する。
本発明の別の発泡性スチレン系樹脂粒子は、100℃における貯蔵弾性率が15MPa〜3000MPaであり、かつ、60℃における貯蔵弾性率が2500MPa〜4000MPaである。
本発明のさらに別のスチレン系樹脂発泡粒子は、上記の発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡してなる。
本発明のさらに別のスチレン系樹脂発泡粒子は、100℃における貯蔵弾性率が15MPa〜3000MPaであり、かつ、60℃における貯蔵弾性率が2500MPa〜4000MPaである発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡してなり、嵩密度が0.008g/cm〜0.02g/cmであり、該粒子の中心から表面までの距離をtとしたとき、該中心から距離t/2の位置までの領域Aに存在する気泡の平均径Dと該距離t/2の位置から該表面までの領域Bに存在する気泡の平均径Dとの差の絶対値|D−D|が、100μm以下であり、ならびに、該粒子全体の重量平均分子量が200000〜350000であり、かつ、下記式(1)で求められる分子量変化率が−25%〜25%である:
分子量変化率(%)=(Y−X)/Y×100 ・・・(1)
式(1)において、Xは粒子表層部の重量平均分子量であり、Yは粒子全体の重量平均分子量である。
本発明のさらに別の局面によれば、スチレン系樹脂発泡成形体が提供される。このスチレン系樹脂発泡成形体は、上記のスチレン系樹脂発泡粒子を発泡させた発泡スチレン系樹脂粒子を含有し、互いに融着した複数の該発泡スチレン系樹脂粒子により構成されている。
1つの実施形態においては、上記スチレン系樹脂発泡成形体は、電気抵抗加熱線により所定形状にカットされている。
本発明の1つの実施形態によれば、スチレン系樹脂発泡粒子において、粒子の中心部に存在する気泡の平均径と粒子内において当該中心部よりも外側に存在する気泡の平均径との差を所定値以下とすることにより、発泡成形体のニクロムカットの際の糸引きが顕著に抑制され得るスチレン系樹脂発泡粒子を実現することができる。本発明の別の実施形態によれば、粒子全体の重量平均分子量と粒子表層部の重量平均分子量とから導出される分子量変化率を所定範囲とすることによっても、発泡成形体のニクロムカットの際の糸引きが顕著に抑制され得るスチレン系樹脂発泡粒子を実現することができる。本発明のさらに別の実施形態によれば、上記実施形態の技術的手段を組み合わせることによっても、発泡成形体のニクロムカットの際の糸引きが顕著に抑制され得るスチレン系樹脂発泡粒子を実現することができる。本発明のさらに別の実施形態によれば、発泡性スチレン系樹脂粒子において、100℃における貯蔵弾性率および60℃における貯蔵弾性率をそれぞれ所定範囲とすることによっても、発泡成形体のニクロムカットの際の糸引きが顕著に抑制され得るスチレン系樹脂発泡粒子を実現することができる。加えて、上記のようなスチレン系樹脂発泡粒子は、ニクロムカットにより平滑な表面が形成され得る。特に、分子量変化率を所定範囲とすることにより、ニクロムカットにより平滑な表面が形成され得る。
実施例および比較例で得られたスチレン系樹脂発泡粒子の表層部をサンプリングする手法を説明する概略平面図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。なお、本明細書における用語の定義は以下のとおりである。
発泡性スチレン系樹脂粒子(単に発泡性粒子と称する場合がある):発泡前の発泡剤を含浸した粒子を意味する。
スチレン系樹脂発泡粒子(単に発泡粒子と称する場合がある):発泡した粒子を意味する。
スチレン系発泡樹脂成形体(単に発泡成形体と称する場合がある):スチレン系樹脂発泡粒子の成形体を意味する。
発泡スチレン系樹脂粒子(2次発泡粒子とも称する):発泡成形体を構成する、必要に応じてスチレン系樹脂発泡粒子をさらに発泡させた粒子を意味する。
A.スチレン系樹脂発泡粒子
本発明の1つの実施形態によるスチレン系樹脂発泡粒子は、嵩密度が0.008g/cm〜0.02g/cmであり、好ましくは0.009g/cm〜0.014g/cmであり、より好ましくは0.01g/cm〜0.012g/cmである。発泡粒子の嵩発泡倍率は、好ましくは50倍〜125倍であり、より好ましくは70倍〜110倍であり、さらに好ましくは80倍〜100倍である。嵩発泡倍率は、嵩密度の逆数である。嵩発泡倍率および嵩密度は、例えば以下のようにして求められる。
発泡性粒子を測定試料としてW(g)採取する。この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させ、メスシリンダー内に落下させた測定試料の容積V(cm)をJIS K 6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定する。測定試料の質量および容積から、下記式に基づいて嵩発泡倍数および嵩密度を求めることができる。なお、スチレン系樹脂の比重は1.0として計算され得る。
嵩発泡倍数(倍=cm/g)=メスシリンダー中の試料容積(cm)/試料質量(g)×樹脂比重
嵩密度(g/cm)=試料質量(g)/メスシリンダー中の試料容積(cm
1つの実施形態においては、発泡粒子は、粒子の中心から表面までの距離をtとしたとき、中心から距離t/2の位置までの領域(中心領域)Aに存在する気泡の平均径Dと距離t/2の位置から表面までの領域(外側領域)Bに存在する気泡の平均径Dとの差の絶対値|D−D|が、100μm以下であり、好ましくは90μm以下であり、より好ましくは80μm以下であり、さらに好ましくは70μm以下であり、さらに好ましくは60μm以下であり、特に好ましくは40μm以下であり、さらに特に好ましくは30μm以下であり、とりわけ好ましくは20μm以下であり、最も好ましくは15μm以下である。当該差は小さいほど好ましく、理想的にはゼロである。ニクロムカットの際、発泡粒子における位置によって気泡の平均径の差が大きい場合には、発泡粒子内で電気抵抗加熱線の移動速度が変化し、過剰に加熱される部分および/または加熱が不足する部分が発生し、その結果、過剰に溶融した樹脂および/または十分に溶融しない樹脂に電気抵抗加熱線による外力がかかって引っ張られることにより、糸引きが発生すると推察される。したがって、当該差がこのような範囲であれば(小さければ)、発泡成形体のニクロムカットの際の糸引きを顕著に抑制することができる。Dは、好ましくは30μm〜200μmであり、より好ましくは40μm〜190μmであり、さらに好ましくは50μm〜180μmである。Dは、好ましくは30μm〜200μmであり、より好ましくは40μm〜190μmであり、さらに好ましくは50μm〜180μmである。DおよびDの大小関係については、差の絶対値|D−D|が上記所定の範囲内であれば、Dが大きくてもよくDが大きくてもよい。D>Dであれば、糸引きの発生頻度を減少させることができる。D<Dであれば、長い糸引きを抑制し、かつ、ニクロムカットにおいて平滑な表面を形成することができる。
1つの実施形態においては、発泡粒子は、粒子全体の重量平均分子量が200000〜350000であり、かつ、下記式(1)で求められる分子量変化率が−25%〜25%である:
分子量変化率(%)=(Y−X)/Y×100 ・・・(1)
式(1)において、Xは粒子表層部の重量平均分子量であり、Yは粒子全体の重量平均分子量である。粒子全体の重量平均分子量は、好ましくは220000〜340000であり、より好ましくは240000〜330000である。粒子全体の重量平均分子量がこのような範囲であれば、機械的強度を維持しつつ、発泡成形体のニクロムカットの際の糸引きを抑制することができる。糸引き抑制のメカニズムは、|D−D|の場合と同様であると推察される。分子量変化率は、好ましくは−22%〜22%であり、より好ましくは−15%〜10%であり、さらに好ましくは−12%〜5%であり、特に好ましくは−12%〜3%である。分子量変化率は小さい方が好ましい。発泡粒子の全体の重量平均分子量と表層部における重量平均分子量とがこのような関係であれば、発泡成形体のニクロムカットの際の糸引きを顕著に抑制し、かつ、ニクロムカットにより平滑な表面を形成することができる。特に、分子量変化率を所定範囲とすることにより、ニクロムカットにより平滑な表面を形成することができる。なお、本明細書において「表層部」とは、発泡粒子表面から発泡粒子の直径の1/16までの部分をいう。あるいは、「表層部」とは、発泡成形体を作成した後、その成形体の表面を30μm〜200μmの厚みでスライスした部分をいう。これら何れの方法でも重量平均分子量の数値には大きく左右しない。
上記の実施形態は組み合わせてもよい。具体的には、発泡粒子は、|D−D|が100μm以下であり、粒子全体の重量平均分子量が200000〜350000であり、かつ、分子量変化率が−25%〜25%であってもよい。このような発泡粒子は、100℃における貯蔵弾性率が15MPa〜3000MPaであり、かつ、60℃における貯蔵弾性率が2500MPa〜4000MPaである発泡性粒子(後述)を発泡させて形成されてもよい。この場合、それぞれの実施形態の効果の相乗的な効果により、発泡成形体のニクロムカットの際の糸引きがさらに良好に抑制され、かつ、さらに平滑な表面が形成され得る。
発泡粒子は、スチレン系樹脂発泡成形体の成形に用いてもよく、そのままで緩衝剤、断熱材等として用いてもよい。発泡粒子をそのまま用いる場合、発泡粒子は、好ましくは、多数の発泡粒子を袋体に充填した充填体として用いられ得る。本発明の実施形態においては、発泡粒子は、好ましくは、発泡成形体の成形に用いられる。発泡成形体のニクロムカットの際の糸引き抑制という効果が発揮され得るからである。
発泡粒子は、発泡性スチレン系樹脂粒子(単に発泡性粒子と称する場合がある)を発泡させてなる。発泡は、発泡性粒子を、水蒸気等を用いて上記所定の嵩密度(嵩発泡倍率)に発泡させることを含む。以下、発泡粒子を形成し得る発泡性粒子およびその製造方法を説明する。
B.発泡性スチレン系樹脂粒子
発泡性粒子は、スチレン系樹脂と発泡剤とを含み、全体として粒子の形状を有する。発泡性粒子の粒径は、例えば0.3mm〜3.0mmであり、好ましくは0.3mm〜1.7mmである。粒径は、JIS Z 8815に準拠して測定され得る。具体的には、粒径は、JIS Z 8815の篩分け試験による粒度分布から積算値50%の粒径として測定した値とされる。発泡性粒子の形状としては、任意の適切な形状を採用することができる。形状の具定例としては、球状、略球状、楕円球状(卵状)、円柱状、略円柱状が挙げられる。発泡性粒子の形状は、代表的には、得られる発泡粒子の形状に対応し得る。
1つの実施形態においては、発泡性粒子は、100℃における貯蔵弾性率が15MPa〜3000MPaであり、かつ、60℃における貯蔵弾性率が2500MPa〜4000MPaである。100℃および60℃の貯蔵弾性率がそれぞれこのような範囲であれば、発泡成形体のニクロムカット時に、発泡成形体(実質的には、2次発泡粒子)を構成する樹脂が適切な溶融および粘弾性挙動を示す。より詳細には、ニクロムカットにおける樹脂の溶融開始、溶融および溶融終了(大気冷却による固化)のそれぞれの段階において、樹脂が適切に溶融、流動および固化し得る。その結果、ニクロムカット時にカット条件(例えば、カット速度、カット温度)の選択幅が広くなり、良品が得られやすくなる。100℃における貯蔵弾性率は、好ましくは80MPa〜2500MPaであり、より好ましくは150MPa〜2000MPaである。60℃における貯蔵弾性率は、好ましくは2700MPa〜3600MPaであり、より好ましくは2800MPa〜3300MPaである。貯蔵弾性率が小さすぎると、溶融時に樹脂が柔らかすぎて、例えば、ニクロム線に樹脂が付着する現象なども発生し得る。貯蔵弾性率が大きすぎると、溶融時に樹脂が固すぎて、例えば、ニクロム線が波打つ現象なども発生し得る。なお、貯蔵弾性率は動的粘弾性により測定され得る。
B−1.スチレン系樹脂
スチレン系樹脂は、単量体成分としてスチレン系単量体を含む高分子化合物である。スチレン系単量体は、スチレンまたはスチレン誘導体を含む。スチレン誘導体としては、例えば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレンが挙げられる。スチレン系単量体は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。スチレン系単量体は、好ましくは、少なくともスチレンを含有する。スチレン系単量体は、スチレンをスチレン系単量体の全量に対して好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上含有する。
スチレン系樹脂は、単量体成分の主成分としてスチレン系単量体を含んでいればよく、スチレン系単量体と共重合成分との共重合体であってもよい。共重合成分の代表例としては、ビニル単量体が挙げられる。本明細書において「主成分」とは、共重合体がスチレン系単量体を好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上含有することをいう。
ビニル単量体としては、例えば、多官能単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、マレイン酸エステル単量体、フマル酸エステル単量体が挙げられる。ビニル単量体は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
多官能単量体の具体例としては、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン等のジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能単量体を用いることにより、スチレン系樹脂に分岐構造を付与することができる。スチレン系樹脂における多官能単量体の含有量は、好ましくは、0質量%〜0.2質量%であり、より好ましくは0.005質量%〜0.1質量%である。
(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸2エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘキシルが挙げられる。アクリル酸ブチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸エチルが好ましく、アクリル酸ブチルがさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体を用いることにより、スチレン系樹脂のガラス転移温度(Tg)を低くすることができる。スチレン系樹脂におけるアクリル酸エステル単量体の含有量は、好ましくは、0質量%〜4.0質量%であり、より好ましくは0.1質量%〜3.0質量%である。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
マレイン酸エステル単量体としては、例えば、マレイン酸ジメチルが挙げられる。
フマル酸エステル単量体としては、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸エチルが挙げられる。
B−2.発泡剤
発泡剤としては、任意の適切な発泡剤を用いることができる。発泡剤は、好ましくは、沸点がスチレン系樹脂の軟化点以下であり、常圧でガス状または液状の有機化合物である。具体例としては、プロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタン(n−ペンタン、イソペンタンまたはネオペンタン)、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロペンタジエン等の脂環式炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物;トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン含有炭化水素が挙げられる。発泡剤として、炭酸ガス、窒素、アンモニア等の無機ガスを用いてもよい。発泡剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。脂肪族炭化水素が好ましい。オゾン層の破壊を防止することができ、かつ、空気と速く置換するので発泡成形体の経時変化を抑制することができるからである。より好ましくは、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、およびこれらの組み合わせである。
発泡性粒子中における発泡剤の含有量は、発泡粒子および発泡成形体を形成するに十分な量である限り、目的に応じて適切に設定され得る。発泡剤の含有量は、スチレン系樹脂100質量部に対して、好ましくは2質量部〜16質量部であり、より好ましくは3質量部〜13質量部である。
B−3.その他
発泡性粒子は、発泡剤とともに発泡助剤を含んでいてもよい。発泡助剤としては、例えば、アジピン酸ジイソブチル、トルエン、シクロヘキサン、エチルベンゼン、流動パラフィン、植物油(例えば、ヤシ油)、グリセリン酢酸脂肪酸エステル等が挙げられる。上記発泡助剤により、気泡を調整することができ、その結果、糸引きを低減させることができ、および、カット面の平滑性を向上させることができる。また、発泡助剤として、RоHS指令(RоHS2)や食品衛生法などの法令で使用が禁止されている化学物質を用いないことが好ましい。当該化学物質としては、例えば、フタル酸エステルが挙げられる。フタル酸エステルとしては、例えば、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸−n−オクチルが挙げられる。
発泡性粒子は、添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、輻射伝熱抑制成分、スチレン系樹脂以外の樹脂、架橋剤、可塑剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤、展着剤、気泡調整剤、耐候剤、老化防止剤、防曇剤、香料が挙げられる。添加剤の種類、数、組み合わせ、含有量等は、目的に応じて適切に設定され得る。
発泡性粒子の表面には、粉末状金属石鹸類(例えば、ステアリン酸亜鉛)が塗布されていてもよい。このような構成であれば、発泡性粒子の予備発泡において、発泡粒子同士の融着を減少させることができる。
C.発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法
C−1.製造方法の概略
発泡性粒子は、上記所定の|D−D|、上記所定の粒子全体の重量平均分子量および上記所定の分子量変化率、ならびに/あるいは、上記所定の貯蔵弾性率を有する発泡粒子を形成し得る発泡性粒子が得られる限りにおいて、任意の適切な方法により製造され得る。
発泡性粒子の製造方法は、代表的には、スチレン系単量体を重合させる工程と、重合と同時または重合後に発泡剤を含浸させる工程と、を含む。スチレン系単量体の重合方法としては、代表的には、懸濁重合法が挙げられる。懸濁重合法は、スチレン系単量体に重合開始剤を溶解して、懸濁剤を分散した水とともに、反応槽中で昇温し重合した後冷却して、発泡性粒子を得る方法である。重合の途中および/または重合終了後に発泡剤を添加する方法は1段法と呼ばれる。発泡剤を添加せずに重合して得られた粒子をふるい分けして必要な粒径範囲の粒子のみを、反応槽の懸濁剤を分散した水中で昇温して、ここで発泡剤を添加して粒子に含浸させる方法は2段法(後含浸法)と呼ばれる。また、小粒子のスチレン系樹脂粒子(種粒子)を、分散剤を含む水性媒体の入っている反応槽に投入し、昇温した後、重合開始剤を溶解した単量体を連続的に反応槽に供給して重合し、目的とする粒子径まで成長させる方法はシード重合法と呼ばれる。シード重合法において、発泡剤は重合の途中および/または重合終了後に添加される。1段法、2段法(後含浸法)、シード重合法のいずれの方法によっても、発泡性粒子を製造することができる。また、いずれの方法によっても、真球状の発泡性粒子が得られるという利点がある。
スチレン系単量体の重合においては、連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤と重合開始剤とを併用することにより、得られる発泡性粒子(実質的には、スチレン系樹脂)の分子量等を調整することができる。連鎖移動剤としては、任意の適切な連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、α―メチルスチレンダイマー(2,4−ジフェニルー4―メチルー1−ペンテン)が挙げられる。
1つの実施形態においては、発泡性粒子の製造方法として、シード重合法が採用され得る。シード重合において、種粒子の重合条件(例えば、重合開始剤、重合温度、重合時間、懸濁液の粒子径)、種粒子の粒子径および重量平均分子量、ならびに、スチレン系樹脂粒子の重合条件(例えば、重合開始剤、重合温度、重合時間、種粒子へのスチレン系単量体の添加様式および添加速度)を適切に調整することにより、上記所定の|D−D|、ならびに/あるいは、上記所定の粒子全体の重量平均分子量および分子量変化率を有する発泡粒子を形成し得る発泡性粒子が得られ得る。以下、シード重合法について簡単に説明する。
C−2.シード重合法
C−2−1.種粒子の形成
種粒子は、1つの実施形態においては、スチレン系単量体の懸濁重合により形成される。懸濁重合は、代表的には、分散剤を含む水性媒体中に、スチレン系単量体と、重合開始剤と、必要に応じて添加剤(例えば、連鎖移動剤)と、を入れ、加熱および撹拌することによりスチレン系単量体を重合する。
スチレン系単量体は、上記B−1項で説明したとおりである。重合開始剤としては、任意の適切なラジカル発生型重合開始剤を用いることができる。具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド(過酸化ベンゾイル)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾート、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサイハイドロテレフタレート等の有機過酸化物;アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物のような有機化合物;が挙げられる。これらの重合開始剤は単独でまたは2種以上併用して使用できる。好ましくは、ベンゾイルパーオキサイド(過酸化ベンゾイル)とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートとの組み合わせである。
本工程における重合温度は、70℃〜130℃が好ましく、75℃〜125℃がより好ましい。また、重合時間は、15時間以内が好ましく、4時間〜10時間がより好ましい。
分散剤としては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の有機系分散剤;ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム等の無機系分散剤;が挙げられる。無機系分散剤が好ましい。無機系分散剤としては、ピロリン酸マグネシウムがより好ましい。無機系分散剤を用いる場合には、界面活性剤を併用することが好ましい。このような界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ(ナトリウム)、α − オレフィンスルホン酸ソーダ(ナトリウム)が挙げられる。
種粒子は、別の実施形態においては、水中カット法により形成される。水中カット法は、適切な重量平均分子量を有するポリスチレン系樹脂を押出機に投入し、ダイの細孔から押し出すと同時に水中に導いてカットし、略球状のペレットを得ることを含む。種粒子は、ストランドカット法により形成されてもよい。ストランドカット法は、ポリスチレン系樹脂を押出機に投入し、ダイの細孔から押出してから水中を通して樹脂を冷却して細長のストランドを形成し、当該ストランドをカットして円柱等のペレットを得ることを含む。
上記のようにして得られる種粒子の平均粒子径および重量平均分子量は、目的に応じて適切に設定され得る。平均粒子径は例えば0.3mm〜1.3mmであり得、重量平均分子量は例えば200000〜350000であり得る。
C−2−2.スチレン系樹脂粒子の形成
スチレン系樹脂粒子の形成は、上記のとおり、分散剤および種粒子を含む水性媒体を所定温度まで昇温した後、重合開始剤を溶解したスチレン系単量体を反応系に供給して重合し、目的とする粒子径まで成長させることを含む。分散剤および重合開始剤は、上記C−2−1項に記載したとおりである。本工程において好ましい重合開始剤は、ベンゾイルパーオキサイド(過酸化ベンゾイル)とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートとの組み合わせ、あるいは、ベンゾイルパーオキサイド(過酸化ベンゾイル)とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートとの組み合わせである。重合開始剤の使用量は、スチレン系単量体100質量部に対して0.02質量部〜2.0質量部が好ましく、0.1質量部〜1.0質量部がより好ましい。重合開始剤は、スチレン系単量体ではなく種粒子に含有させてもよく、スチレン系単量体および種粒子の両方に含有させてもよい。スチレン系単量体は、目的に応じた任意の適切な様式で反応系に供給され得る。例えば、スチレン系単量体は、連続的に滴下して添加されてもよく、一括で添加されてもよく、複数回に分割して添加されてもよい。スチレン系樹脂粒子の形成は、上記種粒子の形成から連続して行ってもよく、上記種粒子に一旦処理(例えば、洗浄、乾燥、篩い分け)を施してから行ってもよい。
種粒子の外側に形成されるスチレン系樹脂の重量平均分子量は、重合開始剤の濃度、重合温度、重合開始剤と連鎖移動剤の併用、重合開始剤と連鎖移動剤の組み合わせ、等を適切に設定することにより調整することができる。連鎖移動剤の使用量は、スチレン系単量体100質量部に対して2.0質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましい。さらに、連鎖移動剤と重合開始剤の使用比A/Bは、100以下が好ましく、5以下がより好ましい。ここで、Aは、スチレン系単量体に対する連鎖移動剤の使用量(質量部)であり、Bは、スチレン系単量体に対する重合開始剤の使用量(質量部)である。なお、連鎖移動剤については、上記C−1項で説明したとおりである。
本工程における重合温度は、60℃〜120℃が好ましく、70℃〜115℃がより好ましい。また、重合時間は、24時間以内が好ましく、4時間〜20時間がより好ましく、4.5時間〜15時間がさらに好ましい。さらに、スチレン系単量体の添加速度は、重合温度が低いほど遅く、高いほど早くすることが好ましい。
本工程における種粒子の使用量は、重合終了時のスチレン系重合体全量に対して、好ましくは10重量%〜75重量%であり、より好ましくは15重量%〜35重量%である。種粒子の使用量が10重量%未満では、以下のような問題が生じる場合がある:(1)スチレン系単量体を添加する際に、スチレン系樹脂粒子の重合率を適正範囲に制御することが困難となり、得られるスチレン系樹脂粒子の分子量が過度に大きくなる;(2)微粉末状重合体が多量に発生し、製造効率が低下する。種粒子の使用量が75重量%を越えると、発泡成形性が不十分となる場合がある。
以上のようにして、スチレン系樹脂粒子が得られ得る。
C−3.発泡剤の含浸
1段法、2段法またはシード重合法により得られたスチレン系樹脂粒子に発泡剤を添加(実質的には、含浸)することにより、発泡性粒子が得られ得る。発泡剤は、スチレン系樹脂粒子を反応系(水性媒体)から取り出した後に添加してもよく、水性媒体に圧入して水性媒体中のスチレン系樹脂粒子に添加してもよい。あるいは、発泡剤は、スチレン系樹脂粒子の重合中に添加してもよい。1つの実施形態においては、発泡剤を含浸する前に、発泡時の気泡を調整するために気泡調整剤を添加してもよい。気泡調整剤としては、例えば、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等の脂肪族ビスアマイド、ポリエチレンワックス等などが挙げられる。気泡調整剤の使用量は、スチレン系単量体100質量部に対して0.01質量部〜0.25質量部が好ましく、0.01質量部〜0.15質量部がより好ましい。
C−4.別の製造方法
別の実施形態においては、発泡性粒子は、溶融押出法により製造され得る。溶融押出法は、スチレン系樹脂ペレットを樹脂供給装置に供給し、樹脂供給装置内で溶融されたスチレン系樹脂に発泡剤を圧入・混練し、発泡剤を含有した溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から押し出し、その後冷却して、発泡性粒子を得る方法である。ダイの小孔から冷却用液体中に直接押し出し、押し出した直後に押出物を回転刃で切断し、切断された粒子を冷却用液体中で冷却する方法は水中カット法と呼ばれる。ダイの小孔から一旦空気中にストランド状に押し出し、ストランドが発泡する前に冷却用水槽中に導き、ストランドを冷却用水槽中で冷却した後、切断し円柱状の粒子とする方法はストランドカット法と呼ばれる。水中カット法、ストランドカット法のいずれの方法によっても、発泡性粒子を製造することができる。水中カット法によれば、ほぼ球状の発泡性粒子が得られるという利点がある。
D.スチレン系樹脂発泡成形体
本発明の実施形態による発泡成形体は、上記A項に記載の発泡粒子をさらに発泡させた発泡スチレン系樹脂粒子(2次発泡粒子)を含む。発泡成形体は、代表的には、互いに融着した複数の2次発泡粒子により構成されている。
発泡成形体は、代表的には、目的に応じた所定の形状を有する型内に発泡粒子を仕込み、型内発泡成形を行うことにより作製され得る。より詳細には、型内発泡成形は、(i)発泡粒子を多数の小孔を有する閉鎖金型内に充填すること、(ii)熱媒体(例えば、加圧水蒸気等)で発泡粒子を加熱発泡させて2次発泡粒子を得ること、(iii)当該加熱発泡により、2次発泡粒子間の空隙を埋めると共に、2次発泡粒子を相互に融着させることにより一体化させること;を含む。発泡成形体の密度は、目的に応じて適切に設定され得る。発泡成形体の密度は、例えば、金型内に充填する発泡粒子の嵩発泡倍率を予め調整すること、あるいは、金型内への発泡粒子の充填量を調整することにより調整することができる。
加熱発泡の温度(実質的には、熱媒体の温度)は、好ましくは90℃〜150℃であり、より好ましくは100℃〜130℃である。加熱発泡時間は、好ましくは1分〜30分であり、より好ましくは2分〜20分である。加熱発泡の成形蒸気圧(熱媒体の吹き込みゲージ圧)は、好ましくは0.04MPa〜0.08MPaである。加熱発泡がこのような条件であれば、2次発泡粒子を相互に良好に融着させることができる。
必要に応じて、発泡成形体の成形前に発泡粒子を熟成させてもよい。発泡粒子の熟成温度は、好ましくは20℃〜60℃である。熟成温度が低すぎると、過度に長い熟成時間が必要とされる場合がある。熟成温度が高すぎると、発泡粒子中の発泡剤が散逸して成形性が低下する場合がある。
発泡成形体の密度は、好ましくは0.008g/cm〜0.02g/cmであり、より好ましくは0.009g/cm〜0.014g/cmであり、さらに好ましくは0.01g/cm〜0.012g/cmである。発泡成形体の発泡倍率は、好ましくは50倍〜125倍であり、より好ましくは70倍〜110倍であり、さらに好ましくは80倍〜100倍である。密度および発泡倍数は、切り出した試験片を用いて、下記式に基づいて求めることができる。なお、スチレン系樹脂の比重は1.0として計算され得る。
密度(g/cm)=試料片質量(g)/試験片体積(cm
発泡倍数(倍=cm/g)=試験片体積(cm)/試料片質量(g)×樹脂比重
1つの実施形態においては、発泡成形体は、電気抵抗加熱線(代表的には、ニクロム線、ステンレス線)により所定形状にカットされている。本発明の実施形態によれば、ニクロムカットの際の糸引きが顕著に抑制され、かつ、ニクロムカットにおいて平滑な表面が形成され得るので、優れた品質を有する最終製品(カット品)が得られ得る。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各特性の測定方法および評価方法は以下の通りである。
(1)|D−D|の算出
発泡粒子の中心部で略二分割した断面の中心部を(株)日立ハイテクノロジーズ製「SU1510」走査電子顕微鏡を用いて、18倍〜100倍に拡大して撮影した。このとき、顕微鏡画像は、横向きのA4用紙1枚に縦横2画像(合計4画像)並んだ状態で印刷した際に所定の倍率となるように撮影した。
具体的には、上記のように印刷した画像上に、タテ方向(画像の上下方向)、ヨコ方向(画像の左右方向)の各方向に平行する60mmの任意の直線を描いた際に、この任意の直線上に存在する気泡の数が5個〜30個程度となるように電子顕微鏡での撮影倍率を調整した。
発泡粒子の中心から表面までの距離をtとしたとき、該中心から距離t/2の位置までの領域A、該距離t/2の位置から該表面までの領域Bとした。2粒の発泡粒子の断面に対して、領域Aおよび領域Bそれぞれ1視野ずつ合計4視野の顕微鏡画像を撮影し、上記のようにA4用紙に印刷した。
領域Aにおける発泡粒子断面の2つの画像のそれぞれに、タテ方向およびヨコ方向に平行な3本の任意の直線(長さ60mm)を描き、任意の直線を各方向6本ずつ描いた。なお、任意の直線はできる限り気泡が接点でのみ接しないようにし、接してしまう場合には、この気泡も数に加えた。タテ方向、ヨコ方向の各方向の6本の任意の直線について数えた気泡数を算術平均し、各方向の気泡数とした。気泡数を数えた画像倍率とこの気泡数から気泡の平均弦長tを次式により算出した。
平均弦長 t(mm)=60/(気泡数×画像倍率)
画像倍率は画像上のスケールバーを株式会社ミツトヨ製「デジマチックキャリパ」にて1/100mmまで計測し、次式により求めた。
画像倍率=スケールバー実測値(mm)/スケールバーの表示値(mm)
さらに、次式により各方向における気泡径を算出し、それらの積の2乗根を平均気泡径とした。
気泡径D(mm)=t/0.616
領域Bにおける発泡粒子断面についても、上記方法を実施し、気泡径Dを求めた。
得られた気泡径Dと気泡径Dより、その差|D−D|を算出した。
(2)重量平均分子量
(粒子全体)
重量平均分子量(Mw)はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定した。ここで、重量平均分子量はポリスチレン換算重量平均分子量を意味する。具体的には、以下の手順で測定した。
実施例および比較例で得られた発泡粒子3mgをテトラヒドロフラン(THF)10mLに室温で24時間かけて完全溶解した後、非水系0.45μmクロマトディスクで濾過した上で次の測定条件にてクロマトグラフを用いて測定し、予め作製しておいた標準ポリスチレンの検量線から発泡粒子の重量平均分子量を求めた。
(測定条件)
装置:高速GPC装置
商品名:東ソーHLC−8320GPC EcoSECシステム(RI検出器内蔵)
分析条件:
ガードカラム:TSKguardcolumn SuperHZ−H(4.6mmID×2cmL)×1本
カラム:TSKgel SuperHZM−H(4.6mmI.D×15cmL)×2本
カラム温度:40℃
システム温度:40℃
移動相:THF
移動相流量:サンプル側ポンプ=0.175mL/min
リファレンス側ポンプ=0.175mL/min
検出器:RI検出器
試料濃度:0.3g/L
注入量:50μL
測定時間:0〜25min
ランタイム:25min
サンプリングピッチ:200msec
(検量線の作成)
検量線用標準ポリスチレン試料は、東ソー社製、商品名「TSK standard POLYSTYRENE」の重量平均分子量が、5480000、3480000、1090000、355000、102000、37900、9100、2630、及び589である標準ポリスチレン試料を用いた。
上記検量線用標準ポリスチレン試料をグループA(重量平均分子量が1090000のもの)、グループB(重量平均分子量が3480000、102000、9100、及び589のもの)及びグループC(重量平均分子量が5480000、355000、37900、及び2630のもの)にグループ分けした。グループAに属する重量平均分子量が1090000である標準ポリスチレン試料を5mg秤量した後にTHF20mLに溶解し、得られた溶液50μLを試料側カラムに注入した。グループBに属する重量平均分子量が3480000、102000、9100及び589である標準ポリスチレン試料をそれぞれ5mg、5mg、5mg、及び10mg秤量した後にTHF50mLに溶解し、得られた溶液50μLを試料側カラムに注入した。グループCに属する重量平均分子量が5480000、355000、37900及び2630である標準ポリスチレン試料をそれぞれ1mg、5mg、5mg、及び5mg秤量した後にTHF40mLに溶解し、得られた溶液50μLを試料側カラムに注入した。これら標準ポリスチレン試料の保持時間から較正曲線(三次式)をHLC−8320GPC専用データ解析プログラムGPCワークステーション(EcoSEC−WS)にて作成し、これをポリスチレン換算重量平均分子量測定の検量線として用いた。
(表層部)
実施例および比較例で得られた発泡粒子の直径Dに対して、直径の1/16の位置を剃刀刃にてスライスした。スライス方法の一例として、次の方法で行った(図1参照)。まず直径の1/2の位置を剃刀にて2等分にスライスした。次に半球状の径1/2Dに対して、1/2の位置を剃刀刃にて2等分にスライスした。さらに径1/4Dに対して、1/2の位置を剃刀刃にて2等分にスライスした。最後に径1/8Dに対して、1/2の位置を剃刀刃にてスライスし、径1/16Dのサンプルを得た。この作業をもう半分の半球についても実施した。この作業を測定に必要な3mgが得られるまで繰り返してサンプリングを行い、その後、粒子全体に関して記載した方法と同様の方法にて測定を実施した。なお、別の方法として、発泡成形体からサンプリングを行ってもよい。具体的には、発泡成形体の表面を30μm〜200μmの厚みでスライスし、測定に必要な3mgが得られるまで繰り返してサンプリングを行ってもよい。サンプリング後の手順は上記と同様である。
(分子量変化率)
発泡粒子表層部の重量平均分子量をX、発泡粒子全体の重量平均分子量をYとし、式(1)から分子量変化率を算出した。
分子量変化率(%)=(Y−X)/Y×100 ・・・(1)
(3)貯蔵弾性率
(試験片の作製)
固体粘弾性測定の試験片は以下のように作製した。発泡性粒子を180℃で10分間静置して発泡剤を除去した。その後、熱プレス機にて、温度180℃×5分の条件下で脱泡プレスした。さらに脱泡プレスした試料を温度180℃×5分の条件下で、幅10mm、厚み1mmの短冊状サンプルに成形した後、長さ40mmに切り出し、試験片とした。なお、試験片の寸法測定には、Mitutoyo Corporation製、「DIGIMATIC」CD−15タイプを用いた。
(固体粘弾性測定)
固体粘弾性測定は、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製「EXSTRAR DMS6100」粘弾性スペクトロメータを用いた。条件は次の通りであった。
モード:引張制御モード
雰囲気:窒素雰囲気
周波数:1Hz
昇温速度:5℃/分
測定温度:30℃〜220℃
チャック間隔:20mm
歪振幅:5μm
最小張力/圧縮力:100mN
張力/圧縮力ゲイン:1.5
力振幅初期値:100mN
解析は装置付属の解析ソフトを用いた。そこから、貯蔵弾性率の数値を読み取った。
(4)ニクロムカットの糸引き量
実施例および比較例で得られた発泡成形体を50℃3日間で保管することにより内部の水分を十分に除去した。23℃24時間にて保管して養生した後、この発泡成形体の固定側(高さ300mm、幅400mmの平面)を下にしてニクロムカット機の台に載置し、張力8N〜10Nで張った0.6mm径のステンレス線に対し、成形体を送り速度630mm/分、電流4A/本の条件にてニクロムカットを行い、発生する「糸引き」の量を測定した。具体的には、粘着性テープ(積水化学工業製、養生テープ スマートカットテープNo.833)10cm×5cmの重量をWとし、これを上記ニクロムカット面に貼り付け、5分間放置した。なお、粘着テープは上記の成形体同様に23℃24時間にて保管して養生した後に使用した。その後、養生テープを発泡成形体から剥離し、重量Wを測定した。これより、50cm当たりの「糸引き」量Wを測定した。
W[mg/50cm] = W[mg/50cm] − W[mg/50cm
上記より算出したW量より、以下の評価を行った。
5(良): W=7mg/50cm未満
4 : W=7mg/50cm以上15mg/50cm未満
3 : W=15mg/50cm以上20mg/50cm未満
2 : W=20mg/50cm以上30mg/50cm未満
1(悪): W=30mg/50cm以上
(5)表面平滑性
上記(4)と同様にして発泡成形体をニクロムカットし、カット面表面に発生した凹凸(クレーター)を目視により観察し、以下の基準で評価した。
5(良): 凹凸がなく表面が平滑で良好
4 : 凹凸がほとんどなく表面が平滑
3 : 凹凸が少なく表面が平滑
2 : 凹凸が認められ表面の平滑が劣る
1(悪): 凹凸が顕著であり表面の平滑が劣悪
(6)総合評価
上記(4)および(5)の評価の合計点数により、以下の基準で総合評価を行った。
◎:合計点数が9〜10
○:合計点数が5〜8
×:合計点数が4以下
[実施例1]
(スチレン系樹脂粒子の作製)
内容積100リットルの攪拌機付反応器にリン酸三カルシウム120g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1g、過酸化ベンゾイル(純度75%)140g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート30g、イオン交換水40kg及びスチレン単量体40kgを投入した後、粒子径が0.5mm〜0.7mmとなるように撹拌することにより懸濁液を形成した。その後、反応器内の温度を90℃まで昇温した後、6時間保持した。その後、さらに反応器内の温度を120℃まで昇温し、120℃で2時間保持した後、反応器内の温度を25℃まで冷却し、反応器から内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級して粒子径が0.5mm〜0.7mmで重量平均分子量が30万のスチレン系樹脂粒子を得た。
(発泡性スチレン系樹脂粒子の作製)
100リットルの攪拌機付反応器に純水35kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2g、ピロリン酸マグネシウム100gを入れ、さらに、上記で得られたスチレン系樹脂粒子10kgを加えて攪拌し懸濁させた。
次いで、予め用意しておいた乳濁液を80℃に保持した反応器に添加した。この乳濁液は、純水5kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6gの分散液に、重合開始剤の過酸化ベンゾイル(純度75%)190g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート34g、2,4−ジフェニルー4―メチルー1−ペンテン29gを溶解したスチレン単量体4kgを加え、ホモミキサーで攪拌して乳濁化させたものである。
その後、ポリスチレン系樹脂粒子中にスチレン単量体と重合開始剤とがよく吸収されるように15分間保持し、保持した直後からスチレン単量体25kgを180分かけて連続的に滴下した。反応器の温度としては、上記80℃で120分間保持し、その後、0.08℃/分の割合で85℃まで昇温した。次に、スチレン単量体の滴下が終了してから45分間85℃を保持した。
その後、予め調製しておいた乳濁液を反応器に添加した。この乳濁液は、純水2.5kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6g、ピロリン酸マグネシウム15gの分散液に、トルエン195g、エチレンビスステアリン酸アマイド19gを加え、ホモミキサーで攪拌して乳濁化したものである。この乳濁液を添加してから20分後に、発泡剤として、ブタン(イソブタン/ノルマルブタン=30/70)3210gとペンタン(イソペンタン/ノルマルペンタン=20/80)1146gとを圧入し、その状態で15分保持した後、100℃まで30分かけ昇温した後、3時間保持し、反応器内の温度を25℃まで冷却した。
その後、反応器から内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級し、発泡性粒子を得た。
(スチレン系樹脂発泡粒子)
発泡性粒子40kgと、表面処理剤としてのポリエチレングリコール20g及びステアリン酸亜鉛60g、脂肪酸トリグリセライド40g、脂肪酸モノグリセライド20gとをタンブラーミキサーに投入し、30分間撹拌し、発泡性粒子を表面処理剤で被覆した。
表面処理剤で被覆された発泡性粒子を15℃の保冷庫にて7日間保管後、容積量が330リットルである円筒型バッチ式加圧発泡機に投入し、蒸気により2分間加熱し発泡粒子を得た。発泡粒子の嵩密度は0.011g/cm、嵩発泡倍数は90倍であった。発泡粒子の嵩密度および嵩発泡倍数は、以下のようにして測定した。
<嵩密度の測定方法>
嵩密度は発泡粒子を試料としてメスシリンダー内に自然落下させたのち、メスシリンダーの底をたたいて試料容積を一定にさせ、その容積と質量を測定し次式により算出した。
嵩密度(g/mL)=試料質量(g)/メスシリンダー中の試料容積(mL)
<嵩発泡倍数の測定方法>
嵩発泡倍数は発泡粒子を試料としてメスシリンダー内に自然落下させたのち、メスシリンダーの底をたたいて試料容積を一定にさせ、その容積と質量を測定し次式により算出した。樹脂比重は、スチレン系樹脂の場合1.0とした。
嵩発泡倍数(倍)=メスシリンダー中の試料容積(mL)/試料質量(g)×樹脂比重
なお、嵩発泡倍数は、嵩密度の逆数として算出してもよい。
発泡粒子の|D−D|および重量平均分子量、ならびに発泡性粒子の貯蔵弾性率をそれぞれ上記(1)〜(3)の手順で測定および算出した。結果を表1に示す。
(スチレン系樹脂発泡成形体)
発泡粒子を室温雰囲気下で24時間放置後、キャビティのサイズ:高さ300mm、幅400mm、奥行100mmの成形型を有する成形機を用い、成形型のキャビティ内に上記発泡粒子を充填し、0.05MPa(ゲージ圧)の蒸気圧で30秒間加熱し、次いで成形型内圧力が−0.01MPaになるまで冷却した後、成形型から離型し、成形型に対応するブロック状の発泡成形体を得た。発泡成形体の密度は0.0111g/cm、発泡倍数は90倍であった。その後、発泡成形体を、50℃乾燥室に3日間保管した。なお、発泡成形体の密度および発泡倍数は、以下のようにして測定した。
<密度の測定方法>
発泡成形体の密度は試験片の寸法と質量を有効数字3桁以上になるように測定し、次式により算出した。
密度(g/cm)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
<発泡倍数の測定方法>
発泡成形体の発泡倍数は試験片の寸法と質量を有効数字3桁以上になるように測定し、次式により算出した。樹脂比重は、スチレン系樹脂の場合1.0とした。
発泡倍数(倍)=試験片体積(cm)/試験片質量(g)×樹脂比重
得られた発泡成形体を、上記(4)〜(6)の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1と同様にしてスチレン系樹脂粒子を作製した。
100リットルの攪拌機付反応器に純水35kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2g、ピロリン酸マグネシウム100gを入れ、さらに、このスチレン系樹脂粒子10kgを加えて攪拌し懸濁させた。
次いで、予め用意しておいた乳濁液を75℃に保持した反応器に添加した。この乳濁液は、純水5kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6gの分散液に、重合開始剤の過酸化ベンゾイル(純度75%)151g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート8.6gを溶解したスチレン単量体4kgを加え、ホモミキサーで攪拌して乳濁化させたものである。
その後、ポリスチレン系樹脂粒子中にスチレン単量体と重合開始剤とがよく吸収されるように15分間保持し、保持した直後からスチレン単量体25kgを150分かけて連続的に滴下した。反応器の温度としては、上記75℃から105℃までで150分間かけて昇温した。次に、スチレン単量体の滴下が終了してから30分かけて110℃まで昇温させ、20分かけて120℃とし、30分間120℃を保持した。
その後、50分かけて95℃まで冷却しながら、予め調製しておいた乳濁液を反応器に添加した。この乳濁液は、純水2.5kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6g、ピロリン酸マグネシウム15gの分散液に、トルエン382g、スチレン単量体268g、エチルベンゼン172g、エチレンビスステアリン酸アマイド11gを加え、ホモミキサーで攪拌して乳濁化したものである。
この乳濁液を添加してから95℃に達した後、発泡剤としてブタン(イソブタン/ノルマルブタン=30/70)4204gを反応器に圧入し、その状態で3時間保持し、反応器内の温度を25℃まで冷却した。
その後、反応器から内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級し、発泡性粒子を得た。
以下の手順は実施例1と同様にして、発泡粒子および発泡成形体を作製した。得られた発泡粒子の|D−D|および重量平均分子量、ならびに発泡性粒子の貯蔵弾性率をそれぞれ上記(1)〜(3)の手順で測定および算出した。さらに、得られた発泡成形体を、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例3]
(スチレン系樹脂粒子の作製)
内容積100リットルの攪拌機付反応器にリン酸三カルシウム120g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1g、過酸化ベンゾイル(純度75%)140g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート30g、イオン交換水40kg及びスチレン単量体40kgを投入した後、粒子径が1.0mm〜1.4mmとなるように撹拌、溶解及び分散させて懸濁液を形成した。引き続き、反応器内の温度を90℃まで昇温した後、90℃で6時間保持した。その後、さらに反応器内の温度を120℃まで昇温し、120℃で2時間保持した後、反応器内の温度を25℃まで冷却し、反応器から内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級して粒子径が1.0mm〜1.4mmで重量平均分子量が30万のスチレン系樹脂粒子を得た。
(発泡性スチレン系樹脂粒子の作製)
次いで、100リットルの攪拌機付反応器に純水33kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5g、ピロリン酸マグネシウム100gを入れ、さらに、上記で得られたスチレン系樹脂粒子38kgを加えて攪拌した。
その後、予め調製しておいた乳濁液を反応器に添加した。この乳濁液は、純水4kgに、アジピン酸ジイソブチル191g、シクロヘキサン573g、エチレンビスステアリン酸アマイド31gを加え、ホモミキサーで攪拌して乳濁化したものである。この乳濁液を添加してから20分後に、発泡剤として、ブタン(イソブタン/ノルマルブタン=30/70)4204gを圧入し、その状態で15分保持した後、100℃まで30分かけ昇温した後、3時間保持し、反応器内の温度を25℃まで冷却した。
その後、反応器から内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級し、発泡性粒子を得た。
以下の手順は実施例1と同様にして、発泡粒子および発泡成形体を作製した。得られた発泡粒子の|D−D|および重量平均分子量、ならびに発泡性粒子の貯蔵弾性率をそれぞれ上記(1)〜(3)の手順で測定および算出した。さらに、得られた発泡成形体を、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1と同様にしてスチレン系樹脂粒子を作製した。
100リットルの攪拌機付反応器に純水35kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2g、ピロリン酸マグネシウム100gを入れ、さらに、このスチレン系樹脂子10kgを加えて攪拌し懸濁させた。
次いで、予め用意しておいた乳濁液を80℃に保持した反応器に添加した。この乳濁液は、純水5kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6gの分散液に、重合開始剤の過酸化ベンゾイル(純度75%)190g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート34g、2,4−ジフェニルー4―メチルー1−ペンテン7gを溶解したスチレン単量体4kgを加え、ホモミキサーで攪拌して乳濁化させたものである。
その後、スチレン系樹脂粒子中にスチレン単量体と重合開始剤とがよく吸収されるように15分間保持し、保持した直後からスチレン単量体25kgを180分かけて連続的に滴下した。反応器の温度としては、80℃で120分間保持した後、スチレン単量体を同温度で重合させ、その後、0.08℃/分の割合で85℃まで昇温した。次に、スチレン単量体の滴下が終了してから45分間85℃を保持した。
その後、予め調製しておいた乳濁液を反応器に添加した。この乳濁液は、純水2.5kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6g、ピロリン酸マグネシウム15gの分散液に、アジピン酸ジイソブチル306g、シクロヘキサン407g、エチレンビスステアリン酸アマイド38gを加え、ホモミキサーで攪拌して乳濁化したものである。この乳濁液を添加してから20分後に、発泡剤として、イソブタン3300gとペンタン(イソペンタン/ノルマルペンタン=20/80)1150gとを圧入し、その状態で15分保持した後、110℃まで45分かけ昇温した後、3時間保持し、反応器内の温度を25℃まで冷却した。
その後、反応器から内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級し、発泡性粒子を得た。
以下の手順は実施例1と同様にして、発泡粒子および発泡成形体を作製した。得られた発泡粒子の|D−D|および重量平均分子量、ならびに発泡性粒子の貯蔵弾性率をそれぞれ上記(1)〜(3)の手順で測定および算出した。さらに、得られた発泡成形体を、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例5]
(スチレン系樹脂粒子の作製)
内容積100リットルの攪拌機付反応器にリン酸三カルシウム120g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1g、過酸化ベンゾイル(純度75%)171g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート30g、イオン交換水40kg及びスチレン単量体40kgを投入した後、粒子径が0.85mm〜1.4mmとなるように撹拌、溶解及び分散させて懸濁液を形成した。引き続き、反応器内の温度を90℃まで昇温した後、90℃で6時間保持した。その後、さらに反応器内の温度を120℃まで昇温し、120℃で2時間保持した後、反応器内の温度を25℃まで冷却し、反応器から内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級して粒子径が0.85mm〜1.4mmで重量平均分子量が25万のスチレン系樹脂粒子を得た。
(発泡性スチレン系樹脂粒子の作製)
100リットルの攪拌機付反応器に純水33kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5g、ピロリン酸マグネシウム100gを入れ、さらに、上記で得られたスチレン系樹脂粒子38kgを加えて攪拌した。
その後、予め調製しておいた乳濁液を反応器に添加した。この乳濁液は、純水4kgに、トルエン382g、スチレン単量体80g、エチレンビスステアリン酸アマイド31gを加え、ホモミキサーで攪拌して乳濁化したものである。この乳濁液を添加してから20分後に、発泡剤として、イソブタン4204gを圧入し、その状態で15分保持した後、100℃まで30分かけ昇温した後、3時間保持し、反応器内の温度を25℃まで冷却した。
その後、反応器から内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級し、発泡性粒子を得た。
以下の手順は実施例1と同様にして、発泡粒子および発泡成形体を作製した。得られた発泡粒子の|D−D|および重量平均分子量、ならびに発泡性粒子の貯蔵弾性率をそれぞれ上記(1)〜(3)の手順で測定および算出した。さらに、得られた発泡成形体を、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例1と同様にしてスチレン系樹脂粒子を作製した。
100リットルの攪拌機付反応器に純水35kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2g、ピロリン酸マグネシウム100gを入れ、さらに、このスチレン系樹脂粒子10kgを加えて攪拌し懸濁させた。
次いで、予め用意しておいた乳濁液を80℃に保持した反応器に添加した。この乳濁液は、純水5kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8gの分散液に、重合開始剤の過酸化ベンゾイル(純度75%)190g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート34g、2,4−ジフェニルー4―メチルー1−ペンテン7gを溶解したスチレン単量体4kgを加え、ホモミキサーで攪拌して乳濁化させたものである。
その後、スチレン系樹脂粒子中にスチレン単量体と重合開始剤とがよく吸収されるように15分間保持し、保持した直後からスチレン単量体25kgを180分かけて連続的に滴下した。反応器の温度としては、80℃で180分間保持し重合させた。次に、スチレン単量体の滴下が終了してから45分間80℃を保持した。
その後、予め調製しておいた乳濁液を反応器に添加した。この乳濁液は、純水2.5kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.8g、ピロリン酸マグネシウム15gの分散液に、アジピン酸ジイソブチル306g、シクロヘキサン407g、エチレンビスステアリン酸アマイド38gを加え、ホモミキサーで攪拌して乳濁化したものである。この乳濁液を添加してから20分後に、発泡剤として、イソブタン3300gとペンタン(イソペンタン/ノルマルペンタン=20/80)1150gとを圧入し、その状態で15分保持した後、110℃まで45分かけ昇温した後、3時間保持し、反応器内の温度を25℃まで冷却した。
その後、オートクレーブから内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級し、発泡性粒子を得た。
以下の手順は実施例1と同様にして、発泡粒子および発泡成形体を作製した。得られた発泡粒子の|D−D|および重量平均分子量、ならびに発泡性粒子の貯蔵弾性率をそれぞれ上記(1)〜(3)の手順で測定および算出した。さらに、得られた発泡成形体を、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例1と同様にしてスチレン系樹脂粒子を作製した。
100リットルの攪拌機付反応器に純水35kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2g、ピロリン酸マグネシウム100gを入れ、さらに、このスチレン系樹脂子10kgを加えて攪拌し懸濁させた。次いで、予め用意しておいた乳濁液を80℃に保持した反応器に添加した。この乳濁液は、純水5kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6gの分散液に、重合開始剤の過酸化ベンゾイル(純度75%)190g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート34g、2,4−ジフェニル−4―メチル−1−ペンテン29gを溶解したスチレン単量体4kgを加え、ホモミキサーで攪拌して乳濁化させたものである。その後、スチレン系樹脂粒子中にスチレン単量体と重合開始剤とがよく吸収されるように15分間保持し、保持した直後からスチレン単量体25kgを180分かけて連続的に滴下した。反応器の温度としては、80℃で120分間保持した後、スチレン単量体を同温度で重合させ、その後、0.08℃/分の割合で85℃まで昇温した。次に、スチレン単量体の滴下が終了してから45分間85℃を保持した。
その後、予め調製しておいた乳濁液を反応器に添加した。この乳濁液は、純水2.5kg、ドデシルベンンゼンスルホン酸ナトリウム0.6g、ピロリン酸マグネシウム15gの分散液に、アジピン酸ジイソブチル230g、シクロヘキサン306g、エチレンビスステアリン酸アマイド6gを加え、ホモミキサーで攪拌して乳濁化したものである。この乳濁液を添加してから20分後に、発泡剤として、イソブタン2350gとノルマルブタン1010gとペンタン(イソペンタン/ノルマルペンタン=20/80)1150gとを圧入し、その状態で15分保持した後、110℃まで45分かけて昇温し、110℃で3時間保持した後、反応器内の温度を25℃まで冷却した。
その後、反応器から内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級し、発泡性粒子を得た。
以下の手順は実施例1と同様にして、発泡粒子および発泡成形体を作製した。得られた発泡粒子の|D−D|および重量平均分子量、ならびに発泡性粒子の貯蔵弾性率をそれぞれ上記(1)〜(3)の手順で測定および算出した。さらに、得られた発泡成形体を、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例1と同様にしてスチレン系樹脂粒子を作製した。
100リットルの攪拌機付反応器に純水35kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2g、ピロリン酸マグネシウム100gを入れ、さらに、このスチレン系樹脂子10kgを加えて攪拌し懸濁させた 。次いで、予め用意しておいた乳濁液を80℃に保持した反応器に添加した。この乳濁液は、純水5kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6gの分散液に、重合開始剤の過酸化ベンゾイル(純度75%)190g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート34gを溶解したスチレン単量体4kgを加え、ホモミキサーで攪拌して乳濁化させたものである。その後、スチレン系樹脂粒子中にスチレン単量体と重合開始剤とがよく吸収されるように15分間保持し、保持した直後からスチレン単量体25kgを180分かけて連続的に滴下した 。反応器の温度としては、80℃で120分間保持した後、スチレン単量体を同温度で重合させ、その後、0.08℃/分の割合で85℃まで昇温した。次に、スチレン単量体の滴下が終了してから45分間85℃を保持した。
その後、予め調製しておいた乳濁液を反応器に添加した。この乳濁液は、純水2.5kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6g、ピロリン酸マグネシウム15gの分散液に、アジピン酸ジイソブチル230g、シクロヘキサン306g、エチレンビスステアリン酸アマイド6gを加え、ホモミキサーで攪拌して乳濁化したものである。この乳濁液を添加してから20分後に、発泡剤として、イソブタン2350gとノルマルブタン1010gとペンタン(イソペンタン/ノルマルペンタン=20/80)1150gとを圧入し 、その状態で15分保持した後、110℃ まで45分かけて昇温し、110℃で3時間保持した後、反応器内の温度を25℃まで冷却した。
その後、反応器から内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級し、発泡性粒子を得た 。
以下の手順は実施例1と同様にして、発泡粒子および発泡成形体を作製した。得られた発泡粒子の|D−D|および重量平均分子量、ならびに発泡性粒子の貯蔵弾性率をそれぞれ上記(1)〜(3)の手順で測定および算出した。さらに、得られた発泡成形体を、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例1]
特開2004−137448号公報の実施例3の手順に従って発泡性粒子を得た。以下の手順は実施例1と同様にして、発泡粒子および発泡成形体を作製した。得られた発泡粒子の|D−D|および重量平均分子量、ならびに発泡性粒子の貯蔵弾性率をそれぞれ上記(1)〜(3)の手順で測定および算出した。さらに、得られた発泡成形体を、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例2]
特開平8−295757号公報の実施例1の手順に従って発泡性粒子を得た。以下の手順は実施例1と同様にして、発泡粒子および発泡成形体を作製した。得られた発泡粒子の|D−D|および重量平均分子量、ならびに発泡性粒子の貯蔵弾性率をそれぞれ上記(1)〜(3)の手順で測定および算出した。さらに、得られた発泡成形体を、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例3]
特開平8−295757号公報の実施例4の手順に従って発泡性粒子を得た。以下の手順は実施例1と同様にして、発泡粒子および発泡成形体を作製した。得られた発泡粒子の|D−D|および重量平均分子量、ならびに発泡性粒子の貯蔵弾性率をそれぞれ上記(1)〜(3)の手順で測定および算出した。さらに、得られた発泡成形体を、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例4]
特開2004−137448号公報の実施例2の手順に従って発泡性粒子を得た。以下の手順は実施例1と同様にして、発泡粒子および発泡成形体を作製した。得られた発泡粒子の|D−D|および重量平均分子量、ならびに発泡性粒子の貯蔵弾性率をそれぞれ上記(1)〜(3)の手順で測定および算出した。さらに、得られた発泡成形体を、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例5]
特開平8−295756号公報の実施例1の手順に従って発泡性粒子を得た。以下の手順は実施例1と同様にして、発泡粒子および発泡成形体を作製した。得られた発泡粒子の|D−D|および重量平均分子量、ならびに発泡性粒子の貯蔵弾性率をそれぞれ上記(1)〜(3)の手順で測定および算出した。さらに、得られた発泡成形体を、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例6]
特開平8−295756号公報の実施例3の手順に従って発泡性粒子を得た。以下の手順は実施例1と同様にして、発泡粒子および発泡成形体を作製した。得られた発泡粒子の|D−D|および重量平均分子量、ならびに発泡性粒子の貯蔵弾性率をそれぞれ上記(1)〜(3)の手順で測定および算出した。さらに、得られた発泡成形体を、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例7]
特開2004−307729号公報の実施例1の手順に従って発泡粒子を得た。以下の手順は実施例1と同様にして、発泡粒子および発泡成形体を作製した。得られた発泡粒子の|D−D|および重量平均分子量、ならびに発泡性粒子の貯蔵弾性率をそれぞれ上記(1)〜(3)の手順で測定および算出した。さらに、得られた発泡成形体を、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
Figure 2021102750
[評価]
表1から明らかなように、本発明の実施例によれば、|D−D|、発泡粒子全体の重量平均分子量および分子量変化率、ならびに/あるいは、発泡性粒子の貯蔵弾性率を適切に調整することにより、発泡成形体のニクロムカットの際の糸引きを顕著に抑制し、かつ、ニクロムカットにおいて平滑な表面を形成することができる。
本発明の実施形態によるスチレン系樹脂発泡粒子、スチレン系樹脂発泡粒子を用いたスチレン系樹脂発泡成形体、およびスチレン系樹脂発泡粒子を形成し得る発泡性スチレン系樹脂粒子は、住宅および自動車等に用いる断熱材、建築資材等に用いる保温材、魚箱および食品容器等の輸送用梱包材、緩衝材等に好適に用いられる。これらは、より具体的には、壁用断熱材、床用断熱材、屋根用断熱材、自動車用断熱材、温水タンク用保温材、配管用保温材、ソーラーシステム用保温材、給湯器用保温材、食品および工業製品等の容器、魚および農産物等の梱包材、盛土材、畳の芯材等に好適に用いられる。

Claims (9)

  1. スチレン系樹脂発泡粒子であって、
    嵩密度が0.008g/cm〜0.02g/cmであり、
    該粒子の中心から表面までの距離をtとしたとき、該中心から距離t/2の位置までの領域Aに存在する気泡の平均径Dと該距離t/2の位置から該表面までの領域Bに存在する気泡の平均径Dとの差の絶対値|D−D|が、100μm以下である、
    スチレン系樹脂発泡粒子。
  2. スチレン系樹脂発泡粒子であって、
    該粒子全体の重量平均分子量が200000〜350000であり、かつ、下記式(1)で求められる分子量変化率が−25%〜25%である、スチレン系樹脂発泡粒子:
    分子量変化率(%)=(Y−X)/Y×100 ・・・(1)
    式(1)において、Xは粒子表層部の重量平均分子量であり、Yは粒子全体の重量平均分子量である。
  3. スチレン系樹脂発泡粒子であって、
    嵩密度が0.008g/cm〜0.02g/cmであり、
    該粒子の中心から表面までの距離をtとしたとき、該中心から距離t/2の位置までの領域Aに存在する気泡の平均径Dと該距離t/2の位置から該表面までの領域Bに存在する気泡の平均径Dとの差の絶対値|D−D|が、100μm以下であり、ならびに、
    該粒子全体の重量平均分子量が200000〜350000であり、かつ、下記式(1)で求められる分子量変化率が−25%〜25%である、スチレン系樹脂発泡粒子:
    分子量変化率(%)=(Y−X)/Y×100 ・・・(1)
    式(1)において、Xは粒子表層部の重量平均分子量であり、Yは粒子全体の重量平均分子量である。
  4. スチレン系樹脂と発泡剤とを含み、発泡により請求項1から3のいずれかに記載のスチレン系樹脂発泡粒子を形成する、発泡性スチレン系樹脂粒子。
  5. 100℃における貯蔵弾性率が15MPa〜3000MPaであり、かつ、60℃における貯蔵弾性率が2500MPa〜4000MPaである、発泡性スチレン系樹脂粒子。
  6. 請求項5に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡してなる、スチレン系樹脂発泡粒子。
  7. 100℃における貯蔵弾性率が15MPa〜3000MPaであり、かつ、60℃における貯蔵弾性率が2500MPa〜4000MPaである発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡してなる、スチレン系樹脂発泡粒子であって、
    嵩密度が0.008g/cm〜0.02g/cmであり、
    該粒子の中心から表面までの距離をtとしたとき、該中心から距離t/2の位置までの領域Aに存在する気泡の平均径Dと該距離t/2の位置から該表面までの領域Bに存在する気泡の平均径Dとの差の絶対値|D−D|が、100μm以下であり、ならびに、
    該粒子全体の重量平均分子量が200000〜350000であり、かつ、下記式(1)で求められる分子量変化率が−25%〜25%である、スチレン系樹脂発泡粒子:
    分子量変化率(%)=(Y−X)/Y×100 ・・・(1)
    式(1)において、Xは粒子表層部の重量平均分子量であり、Yは粒子全体の重量平均分子量である。
  8. 請求項1、2、3、6および7のいずれかに記載のスチレン系樹脂発泡粒子を発泡させた発泡スチレン系樹脂粒子を含有し、互いに融着した複数の該発泡スチレン系樹脂粒子により構成されている、スチレン系樹脂発泡成形体。
  9. 電気抵抗加熱線により所定形状にカットされている、請求項8に記載のスチレン系樹脂発泡成形体。
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