JP2021102568A - フリシェラ属細菌の菌数抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フリシェラ属細菌の菌数を抑制する剤および飼料、ハナバチにおけるDNA損傷を抑制する剤および飼料、ならびに、これらを用いるハナバチの飼育方法を提供する。【解決手段】 1−ケストースを有効成分とするフリシェラ属細菌の菌数抑制剤。本発明によれば、ハナバチ等の宿主の生体ないし腸内におけるフリシェラ属細菌の菌数を効果的に抑制することができる。また、本発明によれば、フリシェラ属細菌の菌数を抑制することにより、当該細菌がハナバチ等の宿主に及ぼす有害な作用(例えば、メガロサイトーシスの惹起やDNA損傷、成長抑制など)を抑制して、宿主の健康状態の維持、改善ないし増進に寄与することができる。【選択図】 図2

Description

本発明は、1−ケストースを有効成分とする、フリシェラ(Frischella)属細菌の菌数抑制剤および菌数抑制用飼料、ハナバチにおけるDNA損傷の抑制剤および抑制用飼料、ならびに、これらを用いるハナバチの飼育方法に関する。
ミツバチやマルハナバチ等のハナバチ類は、野菜や果物といった農作物の受粉に極めて重要な役割を果たしている。また、ミツバチは、人間の生活に有用な蜂蜜や蜜ろう、プロポリスやローヤルゼリーを生産する。これらのことから、ハナバチは従来からヒトによって飼育され、農作物の受粉の媒介や、蜂蜜等の生産に用いられている。
一方、フリシェラ属細菌のフリシェラ ぺララ(Frischella Perrara)(以下、ぺララと略記する。)は、ミツバチの腸内に生息する主たる細菌種の一つである(非特許文献1)。ぺララは、ヒト由来培養細胞においてメガロサイトーシス(有糸分裂を伴わない、細胞質および細胞核の肥大化)を誘発し、DNA損傷をもたらすことが報告されている(非特許文献2)。また、ミツバチの成長率と、ぺララの腸内における菌量とは、負の相関があることが報告されている(非特許文献3)。これらのことから、ぺララは、宿主に有害な作用をもたらす腸内細菌であるといえる。
Powell J.E., et al. 、Appl Environ Microbiol、第80巻、第23号、第7378-7387頁、2014年 Engel P, et al. 、Appl Environ Microbiol、第81巻、第4号、第1502-1512頁、2015年 Maes P. W., et al、Moleclar ecology、第25巻、第21号、第5439-5450頁、2016年
そこで、本発明者らは、腸内のフリシェラ属細菌の菌数を抑制することができれば、フリシェラ属細菌が宿主に及ぼす有害な作用(例えば、メガロサイトーシスの惹起やDNA損傷、成長抑制など)を抑制して、宿主の健康状態の維持、改善ないし増進に寄与することができると考えた。
特に、宿主がハナバチなどの益虫である場合は、その健康状態の維持、改善ないし増進をもって、蜂蜜等の益虫生産物や、それを介した受粉や害虫駆除による農作物の生産性向上を図ることができると考えた。
本発明は、係る課題を解決するためになされたものであって、フリシェラ属細菌の菌数を抑制する剤および飼料、DNA損傷を抑制する剤および飼料、ならびに、これらを用いるハナバチの飼育方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、1−ケストースが、フリシェラ属細菌の菌数を抑制できることを見出した。そこで、この知見に基づいて下記の各発明を完成した。
(1)本発明に係るフリシェラ属細菌の菌数抑制剤は、1−ケストースを有効成分とする。
(2)本発明に係るフリシェラ属細菌の菌数抑制剤は、ハナバチにおけるフリシェラ属細菌の菌数を抑制するために用いてもよい。
(3)本発明に係るハナバチにおけるDNA損傷の抑制剤は、1−ケストースを有効成分とする。
(4)本発明に係るフリシェラ属細菌の菌数抑制用飼料は、1−ケストースを有効成分とする。
(5)本発明に係るハナバチにおけるDNA損傷の抑制用飼料は、1−ケストースを有効成分とする。
(6)本発明に係るハナバチの飼育方法は、本発明に係るフリシェラ属細菌の菌数抑制剤もしくは菌数抑制用飼料またはハナバチにおけるDNA損傷の抑制剤もしくは抑制用飼料を、ハナバチに摂取させる工程を有する。
本発明によれば、宿主の生体ないし腸内におけるフリシェラ属細菌の菌数を効果的に抑制することができる。また、本発明によれば、フリシェラ属細菌の菌数を抑制することにより、当該細菌が宿主に及ぼす有害な作用(例えば、メガロサイトーシスの惹起やDNA損傷、成長抑制など)を抑制して、宿主の健康状態の維持、改善ないし増進に寄与することができる。特に、宿主がハナバチなどの益虫である場合は、その健康状態の維持、改善ないし増進をもって、蜂蜜等の益虫生産物や、それを介した受粉や害虫駆除による農作物の生産性向上を図ることができる。
また、本発明が有効成分とする1−ケストースは、タマネギやニンニク、大麦、ライ麦などの野菜や穀物にも含まれているオリゴ糖の一種であり、古来より食経験を有する物質であることや、変異原性試験、急性毒性試験、亜慢性毒性試験および慢性毒性試験のいずれにおいても毒性が認められていないことから、安全性は極めて高い(食品と開発、Vol.49、No.12、第9頁、2014年)。したがって、本発明によれば、安全性や副作用への懸念を持つことなく、生体ないし腸内におけるフリシェラ属細菌の菌数を抑制し、あるいは、ハナバチのDNA損傷を抑制することができる。
また、1−ケストースは、水溶性が高く、砂糖に似た良好な甘味質を有するため、そのまま、あるいは添加剤や甘味料等として、日常的に簡便に摂取させることができるほか、様々な飼料や食品、医薬品等に容易に配合することができる。したがって、本発明によれば、安全性が高く、そのまま、あるいは様々な飼料や食品、医薬品等に容易に配合して日常的に簡便に摂取させることができる、フリシェラ属細菌の菌数抑制剤および菌数抑制用飼料、ならびに、ハナバチにおけるDNA損傷の抑制剤および抑制用飼料を得ることができる。
左側は羽化後3日目(羽化後7日以内)のミツバチを、右側は羽化後11日目(羽化後7日超)のミツバチを、それぞれ示す写真である。後段の写真における白矢印は、胸部の毛を指している。 1−ケストースを含有する糖液を摂取させたミツバチ(試験群)、および、市販の養蜂用砂糖を摂取させたミツバチ(対照群)の腸内における、フリシェラ ぺララ(Frischella perarra)のrpoEのコピー数の百分率を示す棒グラフである。
以下、本発明について、詳細に説明する。本発明は、フリシェラ属細菌の菌数抑制剤、フリシェラ属細菌の菌数抑制用飼料、ハナバチにおけるDNA損傷の抑制剤、および、ハナバチにおけるDNA損用の抑制用飼料(以下、これらの全てまたはいずれかを指して、「本発明の剤・飼料」という場合がある。)を提供する。
本発明において、「フリシェラ属細菌」は、フリシェラ属に属する細菌をいう。係る細菌としては、例えば、フリシェラ ぺララ(Frischella Perrara)を挙げることができる。
本発明の剤・飼料は、1−ケストースを有効成分とする。1−ケストースは、1分子のグルコースと2分子のフルクトースからなる三糖類のオリゴ糖である。1−ケストースは、スクロースを基質として、特開昭58−201980号公報に開示されているような酵素による酵素反応を行うことにより作ることができる。具体的には、まず、β−フルクトフラノシダーゼをスクロース溶液に添加し、37℃〜50℃で20時間程度静置することにより酵素反応を行って、酵素反応液を得る。この酵素反応液は1−ケストースを相当量含む糖液であるため、これをそのまま、本発明に係る剤・飼料として用いることができる。
一方、1−ケストースを精製する場合は、酵素反応液を、特開2000−232878号公報で開示されているようなクロマト分離法に供することよって、1−ケストースと他の糖(ブドウ糖、果糖、ショ糖、4糖以上のオリゴ糖)とを分離して精製し、高純度1−ケストース溶液を得る。続いて、この高純度1−ケストース溶液を濃縮した後、特公平6−70075号公報に開示されているような結晶化法で結晶化することにより、1−ケストースを結晶として得ることができる。
また、1−ケストースは市販のフラクトオリゴ糖に含まれているため、これをそのまま、あるいは、フラクトオリゴ糖から上述の方法により1−ケストースを分離精製して用いてもよい。なお、本発明において、特定のオリゴ糖の「純度」とは、糖の総量を100%とした場合の、当該オリゴ糖の質量%をいう。
本発明のフリシェラ属細菌の菌数抑制剤またはハナバチにおけるDNA損傷の抑制剤の形態としては、医薬品や飼料添加剤、サプリメントなどを例示することができる。本剤の形体は特に限定されず、例えば、粉末や塊などの固形状、ペースト状または液体状のいずれの形体であってもよい。また、本剤には、本発明の特徴を損なわない限りにおいて、他の成分を添加して用いてもよい。そのような添加物としては、例えば、賦形剤や安定剤、1−ケストース以外の糖類、動物種に応じた誘引剤などを挙げることができる。
本発明のフリシェラ属細菌の菌数抑制用飼料またはハナバチにおけるDNA損傷の抑制用飼料の形体もまた、特に限定されず、例えば、粉末や塊などの固形状、ペースト状または液体状のいずれの形体であってもよい。また、本飼料には、本発明の特徴を損なわない限りにおいて、他の成分(例えば、通常の飼料に含まれる成分)を添加して用いてもよい。具体的には、ハナバチ用飼料であれば、1−ケストース以外の糖類、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸、賦形剤、安定剤、大豆粉末やカゼイン、ビール酵母、市販の代用花粉、花粉、ハチの誘引剤(キンリョウヘンやその成分、ナサノフ腺フェロモン、蜂蜜など)などを例示することができる。
本発明の剤・飼料は、動物に経口摂取させることにより使用することができる。フリシェラ属細菌は主として腸内に生息することから、有効成分である1−ケストースを経腸栄養剤に添加して、これを、消化管に挿入したチューブを経由して経腸栄養法により投与する方法で使用してもよい。
本発明の剤・飼料は、動物のうちでも特に、ハナバチに対して好適に用いることができる。すなわち、本発明は、本発明の剤・飼料を用いるハナバチの飼育方法をも提供する。本飼育方法は、本発明の剤・飼料をハナバチに摂取させる工程を有する。
ここで、「ハナバチ」とは、ハチ目(Hymen optera)ハナバチ上科(Apoidea)に属する昆虫のうち、花を訪れ花蜜や花粉を採取する習性を持つものをいう。ハナバチとして、具体的には、例えば、ミツバチ(ミツバチ属(Apis)に属するハチ)、マルハナバチ(マルハナバチ属(Bombus)に属するハチ)、クマバチ(クマバチ亜科(Xylocopinae)に属するハチ)、ハリナシバチ(ハリナシバチ族(Meliponini)に属するハチ)、マメコバチ(ツツハナバチ属(Osmia)に属するハチ)などを挙げることができる。
本発明の剤・飼料は、従来のハチ用飼料と同様にハナバチに摂取させることができる。すなわち、本発明の剤・飼料をそのまま、あるいは他の飼料や水に添加して、給餌器や給水器等の適当な容器に入れ、巣箱の中または近傍に置いておけばよい。本発明の剤・飼料あるいはこれを添加した飼料等を液体状とする場合は、ハナバチが溺れないように、容器は底の浅いもので、ガラス製や樹脂製など表面が平滑なものは避け、木製などがよい。また、容器の中に割り箸や小枝、ロープなど足場になるようなものを入れることが好ましい。
本発明の有効成分である1−ケストースの摂取量(投与量)は、動物の種や週齢、季節などに応じて適宜設定することができる。例えば、ハナバチに対しては、後述の実施例に準ずれば、1日あたり、0.1〜10g/1000匹、0.5〜8g/1000匹、または1〜5g/1000匹などとすることができる。
本発明において、フリシェラ属細菌の「菌数を抑制する」とは、生体のいずれかの細胞ないし組織・器官における当該細菌の細胞数の増加を抑制することをいう。
例えば、腸におけるフリシェラ属細菌の菌数は、腸内容物あるいは糞便(以下、「腸内容物等」という。)中の当該細菌の菌数と相関していると考えられるため、腸内容物等の中の当該細菌の菌数を計測することにより、腸においてフリシェラ属細菌の菌数が抑制されたか否かを確認することができる。具体的には、例えば、本発明の剤・飼料の摂取前後の腸内容物等、または、摂取した個体(群)からの腸内容物等と摂取していない個体(群)からの腸内容物等とを試料として、フリシェラ属細菌に特異的なプライマーを用いたリアルタイムPCR法を行ってrpoE(RNAポリメラーゼのシグマE因子をコードする遺伝子)のコピー数を計測する。当該細菌のrpoE遺伝子のコピー数と当該細菌の菌数とは相関関係にあるため、rpoEコピー数は、菌数の指標とすることができる。よって、当該細菌のrpoEコピー数を計測した結果、摂取後の試料におけるrpoEコピー数が摂取前よりも小さければ、あるいは、摂取した個体(群)からの試料におけるrpoEコピー数が摂取していない個体(群)よりも小さければ、本発明の剤・飼料によりフリシェラ属細菌の菌数が抑制されたと判断することができる。
フリシェラ属細菌のrpoEに特異的なプライマーは、公知の塩基配列に基づいて設計することができる。例えば、後述する実施例に示すペララのrpoEの部分配列(配列番号4、配列番号7)に基づいて設計することができる。また、ペララの基準株(Frischella perrara PEB0191 (DSM 104328, ATCC BAA 2450)の全ゲノム塩基配列はGenBankアクセッション番号QGTI01000001.1から入手可能である。当該全ゲノム塩基配列情報においては、rpoE遺伝子の塩基配列(配列番号1)も開示されており、これに基づいて、フリシェラ属細菌のrpoE遺伝子に特異的なプライマーを設計することができる。
上述のとおり、ペララを感染させたヒト由来培養細胞ではDNA損傷が生じたことが報告されている(非特許文献2)。よって、ハナバチ腸内のフリシェラ属細菌の菌数を抑制できれば、ハナバチの腸管において腫瘍形成や炎症等を引き起こすDNA損傷を、抑制できると考えられる。したがって、本発明の剤・飼料は、ハナバチにおけるDNA損傷を抑制する用途に用いることができる。
DNA損傷が抑制されたか否かは、公知のDNA損傷検出法(コメット試験、UDS試験、Recアッセイ、umu試験、DNAアダクト検出、γ−H2AXフォーカス、GreenScreenHCなど)により確認することができる。例えば、本発明の剤・飼料の摂取前後の腸管粘膜内皮細胞、または、摂取した個体(群)からの同細胞と摂取していない個体(群)からの同細胞とを試料として、リン酸化H2AX(γ−H2AX)の量を計測する。γ−H2AXはDNA二重鎖が切断されると速やかに生じることから、DNA損傷の鋭敏なマーカーであり、二次抗体法によりγ−H2AXを簡便に検出できるキットが市販されている。計測した結果、摂取後の試料におけるγ−H2AX量が摂取前よりも小さければ、あるいは、摂取した個体(群)からの試料におけるγ−H2AX量が摂取していない個体(群)よりも小さければ、本発明の剤・飼料によりDNA損傷が抑制されたと判断することができる。
以下、本発明について各実施例に基づいて説明する。なお、本発明の技術的範囲はこれらの実施例によって示される特徴に限定されない。本実施例においては、別段の記載のない限り「%」は質量百分率(質量%)を意味する。また、固形分濃度は、試料に含まれる可溶性固形分の含有量を表す。固形分濃度は、糖用屈折計で測定し、単位を「°Bx」とするBrix値で表す。
<実施例1>1−ケストースの製造
特公昭59−53834号公報(第2〜3頁)および特開2010−273580号公報(段落[0096])に記載の方法に準じて、スクロースを基質としてフラクトシルトランスフェラーゼの酵素反応を行い、1−ケストースを製造した。具体的には、まず、アスペルギルス・ニガーACE−2−1株(寄託番号:FERM P−5886)を酵素生産培地(5%スクロース、0.7%麦芽エキス、1%ポリペプトン、0.5%カルボキシメチルセルロース、0.3%NaCl)に植菌し、28℃で3日間培養した後、菌体を超音波で破砕して粗酵素液を調製した。45%スクロース水溶液(pH7.5)に、粗酵素液をスクロース1gあたり2.5単位の割合で添加して、40℃にて24時間反応させて酵素反応液を得た。酵素反応液を100℃で10分間加熱して酵素反応を停止させた後、ろ過してろ液を回収した。ろ液を定法により活性炭で脱色し、さらにイオン交換樹脂で脱塩して、これを1−ケストースを含有する糖液(供試試料)とした。
<実施例2>糖組成
市販の養蜂用砂糖(固形品:一般社団法人日本養蜂協会)を用意し、これを比較対照の試料(対照試料)とした。供試試料および対照試料を下記の条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供して、糖組成(単糖・オリゴ糖の種類ならびにそれらの含有割合)を確認した。各糖の含有割合は、検出された全ピークの面積の総和に対する各ピークの面積の割合として、百分率で算出した。すなわち、これにより算出した値は、試料に含まれる糖の総量を100%とした場合の、各糖の質量%(純度)を示す。その結果を表1に示す。なお、表1において「−」は検出限界以下(0.1%以下)であることを示す。
《HPLCの条件》
カラム:Shodex SUGAR KS-802 HQ(8.0mm ID x 300mm) 2本
溶離液:高純水
流速:1.0mL/分
カラム温度:50℃
注入量:200μL
検出:示差屈折率検出器Shodex RI
Figure 2021102568
表1に示すように、供試試料および対照試料のいずれも、比較的多量のスクロース、並びに少量のグルコースおよびフルクトースを含有していた。その一方で、供試試料は20%程度の1−ケストースを含有するのに対して、対照試料の1−ケストース含有量は検出限界以下であった。この結果から、供試試料は、1−ケストースを特有の成分として含有することが明らかになった。
<実施例3>細菌数抑制効果
(1)ミツバチの飼育
ミツバチの飼育は、外的因子を極力排除するためビニールハウス内で実施した。供試試料は固形分濃度を70°Bxとした。対照試料は、一般的な使用濃度である50°Bxとした(対照試料はスクロースを多く含むことから、70°Bxとすると粘性が高く、結晶が析出し易くて操作性が悪いため)。
ビニールハウスを8棟および養蜂箱(1番〜8番)を8個用意した。1棟のビニールハウスにつき1箱の養蜂箱を設置し、空の巣枠に約8,000匹/1箱のミツバチを投入した。半数(1〜4番の養蜂箱)を試験群として供試試料を給餌し、残りの半数(5〜8番の養蜂箱)を対照群として対照試料を給餌した。給餌は、2週間毎に、3000mLの試料を養蜂箱の給餌器に入れることにより行った。環境変化によるミツバチの混乱の影響を除くため、最初の4週間は環境適応期間とし、4週間経過後の初日を「0日目」として、8週間飼育した。0日目には、ビニールハウス内の環境および養蜂箱内の様子(蜂数、活動量など)のいずれにも、大きな違いがないことを確認した。
一般に、羽化後7日以内のミツバチは、図1左側に示すように胸部の毛が長く、その量が多い。これに対して、羽化後7日超のミツバチは、図1右側に示すように胸部の毛が短く、その量が少ない。このことから、試験期間の0日目に、胸部の毛が長く、量が多いものを羽化後7日以内の若蜂と判断して、養蜂箱1箱あたり300匹の若蜂の背にサインペンで印をつけた(マーキング)。その後、2週間毎に、マーキングしたミツバチ6匹を採取した。
(2)ぺララの菌数評価
採取したミツバチの腸を引き抜き、これをDNA抽出キット「ISOPLANT II」(ニッポンジーン)およびフェノール抽出に供して、DNA(ミツバチ腸内総DNA)を抽出した。
続いて、ぺララのrpoE遺伝子(ぺララrpoE)(配列番号1)の配列に基づき、下記のプライマー(配列番号2、3)を設計した。そして、ミツバチ腸内総DNAを鋳型として、PCR用酵素(KOD FX Neo;東洋紡社)を用いてPCRを行い、ぺララrpoE断片(配列番号4)を増幅した。このPCR産物を精製した後、In-Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ社)を用いて添付の使用書に従いベクターに挿入し、これを標準試料プラスミドとした。標準試料プラスミドは、濃度を測定し、所定の希釈系列を作製した。なお、配列番号2および3において、小文字はベクター側と相同な配列であり、PCR産物のベクターへの挿入に必要であったものである。
《標準試料作成用のプライマー》
フォワード;5’−acggccagtgaattcGCCTTTAATTTATTAGT−3’(配列番号2)
リバース;5’−gattacgccaagcttAAAATACGGGAACGCAC−3’(配列番号3)
一方、ぺララrpoEの配列に基づき、下記のプライマー(配列番号5、6)を設計した。これらのプライマーと、リアルタイムPCR試薬「SYBR GREEN Master Mix」(Applied Biosystems社)とリアルタイムPCR装置「ABI PRISM7700 sequence detection system(Applied Biosystems社)とを用いてリアルタイムPCRを行い、腸組織1mgあたりのぺララrpoEのコピー数を推定した。本リアルタイムPCRにより増幅したぺララrpoE断片を配列番号7に示す。検量線は、所定の濃度の標準試料プラスミドを鋳型として、同条件でリアルタイムPCRを行った結果を基に作成した。得られたコピー数は各群ごとに全個体の平均値を求め、各群における0日目の数値を100%とした百分率を算出した。その結果を図2に示す。
《リアルタイムPCR用のプライマー》
フォワード;5’―AGCTTATCGGTCTTTGGGTTC―3’(配列番号5)
リバース;5’―ATCATAGCTCTCTGCCTCCAC―3’(配列番号6)
図2に示すように、試験群では、2週目、4週目、6週目および8週目のいずれの時点においても、コピー数の百分率が100%を下回っていた。すなわち、試験群では、ミツバチの成長に伴って、腸内におけるぺララの菌数が減少していったと推測される。これに対して、対照群では、2週目、4週目、6週目および8週目のいずれの時点においても、コピー数の百分率が100%を超えていた。すなわち、対照群では、ミツバチの成長に伴って、腸内におけるぺララの菌数が増加したと推測される。
この結果から、供試試料に特有の成分である1−ケストースは、ハナバチの腸におけるフリシェラ属細菌の菌数を抑制できることが明らかになった。

Claims (6)

  1. 1−ケストースを有効成分とする、フリシェラ(Frischella)属細菌の菌数抑制剤。
  2. ハナバチにおけるフリシェラ属細菌の菌数を抑制するために用いられる、請求項1に記載の剤。
  3. 1−ケストースを有効成分とする、ハナバチにおけるDNA損傷の抑制剤。
  4. 1−ケストースを有効成分とする、フリシェラ(Frischella)属細菌の菌数抑制用飼料。
  5. 1−ケストースを有効成分とする、ハナバチにおけるDNA損傷の抑制用飼料。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の剤または請求項4もしくは請求項5に記載の飼料をハナバチに摂取させる工程を有する、ハナバチの飼育方法。
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