JP2020097558A - ティザレラ属細菌の菌数抑制剤 - Google Patents

ティザレラ属細菌の菌数抑制剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 ティザレラ属細菌の菌数を効果的に抑制することができる菌数抑制剤、菌数抑制用食品組成物および菌数抑制用飼料を提供することを目的とする。【解決手段】 1−ケストースを有効成分とするティザレラ属細菌の菌数抑制剤。本発明によれば、ティザレラ属細菌の菌数を効果的に抑制することができ、もってティザー病の予防に寄与することができる。また、本発明によれば、安全性も高く、様々な食品や医薬品等に容易に配合することないし日常的に簡便に摂取することができるティザレラ属細菌の菌数抑制剤を得ることができる。【選択図】 無し

Description

本発明は、1−ケストースを有効成分とする、ティザレラ属細菌の菌数を抑制する剤、食品組成物および飼料に関する。
ティザレラ属細菌(Tyzzerella)のティザレラ・ピリフォルミス(Tyzzerella piliformis)は、芽胞を形成し、周毛性鞭毛を有する、偏性細胞内寄生性のグラム陰性桿菌である(非特許文献1;第876頁左欄第2段落)。ティザレラ・ピリフォルミスは、ティザー病の原因微生物として単離され、当初、バチルス・ピリフォルミス(Bacillus piliformis)として報告された。その後、クロストリジウム科クロストリジウム属に分類され、クロストリジウム・ピリフォルミス(Clostridium piliformis)とされていたが、現在は、ラクノスピラ科(Lachnospiraceae)ティザレラ属に分類されている。ティザレラ・ピリフォルミスは現在のところ公的な微生物株保存期間に寄託されていないため、ティザレラ・ネキシリス(Tyzzerella nexilis)がティザレラ属の基準株(ATCC 27757、DSM 1787)である(非特許文献2:第10頁など、非特許文献3)。
ティザー病は、肝腫大や体重減少、立毛、下痢などの症状を呈する疾病であり、マウスやラット、ハムスター、スナネズミ、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、サル類など多くの実験動物や家畜において感染が報告されている(非特許文献1、4)。特に、仔ウマにおいては発症した場合、急性の致死性肝炎を起こし、ほぼ100%の個体が死亡する。本疾病は、糞便中に排泄されたティザレラ属細菌の芽胞を経口摂取することで感染する。多くの場合、症状を呈さない不顕性感染で推移するが、腸内細菌叢のバランスが崩れた場合や免疫能が低下した場合などに発症すると考えられる。ヒトでは、HIV−1感染患者でみられた皮膚病変を本菌の感染によるものと診断した症例報告がある(非特許文献5;第27頁左欄第4段落)。
Swerczek TW., Tyzzer’s disease in foals: Retrospective studies from 1969 to 2010., Can. Vet. Jour., vol. 54, September 2013, pp.876-880. Natalya Yutin and Michael Y. Galperin, A genomic update on clostridial phylogeny: Gram-negative spore-formers and other misplaced clostridia, Environ. Microbiol., vol. 15, no. 10, October 2013, pp.2631-2641, doi: 10.1111/1462-2920.12173. UniProt, Supporting data, Taxonomy - [Clostridium] piliforme (Tyzzer's bacillus), [online], [平成30年10月11日検索]、インターネット,<URL: https://www.uniprot.org/taxonomy/1524> Thomson G. W. et. al., Tyzzer's disease in the foal: case reports and review, Can. Vet. Jour., vol. 18, no. 2, February 1977, pp41-43. 國田 智、ティザー菌(Clostridium piliformis)、実験動物ニュース、vol.65、No.2、2016年4月、第26−29頁
そこで、本発明者らは、生体内のティザレラ属細菌の菌数を抑制できれば、ヒトや動物の生活環境中に排泄される菌数を抑制できることから、他個体への感染可能性を低減できると考えた。すなわち、本発明は、ティザレラ属細菌の菌数を効果的に抑制することができ、もってティザー病の予防に寄与しうる、菌数抑制剤、菌数抑制用食品組成物ならびに菌数抑制用飼料を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、1−ケストースが、腸内のティザレラ属細菌の菌数を顕著に抑制することを見出した。そこで、この知見に基づいて、下記の各発明を完成した。
(1)本発明に係るティザレラ属細菌の菌数抑制剤は、1−ケストースを有効成分とする。
(2)本発明に係る菌数抑制剤は、ティザー病の予防に好適に用いることができる。
(3)本発明に係るティザレラ属細菌の菌数抑制用食品組成物は、1−ケストースを有効成分とする。
(4)本発明に係るティザレラ属細菌の菌数抑制用飼料は、1−ケストースを有効成分とする。
本発明によれば、ヒトや動物の生体におけるティザレラ属細菌の菌数を効果的に抑制することができる。また、本発明によれば、ティザレラ属細菌の菌数を抑制することにより、ティザー病の予防に寄与することができる。
また、本発明が有効成分とする1−ケストースは、タマネギやニンニク、大麦、ライ麦などの野菜や穀物にも含まれているオリゴ糖の一種であり、古来より食経験を有する物質であることや、変異原性試験、急性毒性試験、亜慢性毒性試験および慢性毒性試験のいずれにおいても毒性が認められていないことから、安全性は極めて高い(食品と開発、Vol.49、No.12、第9頁、2014年)。したがって、本発明によれば、安全性への懸念を全く生じさせずにティザレラ属細菌の菌数を抑制することができる。
また、1−ケストースは、水溶性が高く、砂糖に似た良好な甘味質を有するため、そのまま、あるいは甘味料等の調味料として、日常的に簡便に摂取することができるほか、様々な食品や医薬品、飼料等に容易に配合することができる。したがって、本発明によれば、安全性が高く、そのまま、あるいは様々な食品や医薬品、飼料等に容易に配合して日常的に簡便に摂取することができる、ティザレラ属細菌の菌数抑制剤、菌数抑制用食品組成物ならびに菌数抑制用飼料を得ることができる。
以下、本発明に係るティザレラ属細菌の菌数抑制剤、菌数抑制用食品組成物ならびに菌数抑制用飼料(以下、まとめて「本発明の剤等」という場合がある。)について詳細に説明する。
本発明において、「ティザレラ属細菌」は、ティザレラ属に属する微生物をいう。係る微生物としては、例えば、ティザレラ・ネキシリス(Tyzzerella nexilis)、ティザレラ・コリナ(Tyzzerella colina)、ティザレラ・ネオプロピオニカ(Tyzzerella neopropionica)、ティザレラ・ピリフォルミス(Tyzzerella piliformis)、ティザレラ・プロピオニカ(Tyzzerella propionica)などを挙げることができる。
本発明の剤等は、1−ケストースを有効成分とする。1−ケストースは、1分子のグルコースと2分子のフルクトースからなる三糖類のオリゴ糖である。
1−ケストースは、スクロースを基質として、特開昭58−201980号公報に開示されているような酵素による酵素反応を行うことにより作ることができる。具体的には、まず、β−フルクトフラノシダーゼをスクロース溶液に添加し、37℃〜50℃で20時間程度静置することにより酵素反応を行って、1−ケストース含有反応液を得る。この1−ケストース含有反応液を、特開2000−232878号公報で開示されているようなクロマト分離法に供することよって、1−ケストースと他の糖(ブドウ糖、果糖、ショ糖、4糖以上のオリゴ糖)とを分離して精製し、高純度1−ケストース溶液を得る。続いて、この高純度1−ケストース溶液を濃縮した後、特公平6−70075号公報に開示されているような結晶化法で結晶化することにより、1−ケストースを結晶として得ることができる。
また、1−ケストースは市販のフラクトオリゴ糖に含まれているため、これをそのまま、あるいは、フラクトオリゴ糖から上述の方法により1−ケストースを分離精製して用いてもよい。すなわち、本発明の1−ケストースとして、1−ケストースを含有するオリゴ糖などの1−ケストース含有組成物を用いてもよい。1−ケストース含有組成物を用いる場合、1−ケストースの純度は80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。なお、本発明において、1−ケストースの「純度」とは、糖の総質量を100とした場合の、1−ケストースの質量%をいう。
本発明の剤等は、ヒトまたは動物に経口摂取させることにより使用することができるほか、有効成分を経腸栄養剤に添加して、これを、胃や小腸などの消化管に挿入したチューブを経由して経腸栄養法により投与する方法で使用してもよい。
本発明の菌数抑制剤の形態としては、有効成分である1−ケストースのみからなるもののほか、医薬品や食品添加剤、サプリメントなどの形態を挙げることができる。医薬品や食品添加剤、サプリメントの形態とする場合、その剤型としては、例えば、散剤、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、顆粒剤、ドライシロップ剤、液剤、シロップ剤、ドロップ剤、ドリンク剤等の固形または液状の剤型を挙げることができる。
上記各剤型の医薬品や食品添加剤、サプリメントは、当業者に公知の方法で製造することができる。例えば、散剤であれば、1−ケストース800gおよび乳糖200gをよく混合した後、90%エタノール300mLを添加して湿潤させる。続いて、湿潤粉末を造粒した後、60℃で16時間通風乾燥し、その後、整粒して、適当な細かさの散剤1000g(1−ケストース含有量800mg/1g)を得ることができる。また、錠剤であれば、1−ケストース300g、粉末還元水飴380g、コメデンプン180gおよびデキストリン100gをよく混合した後、90(v/v)%エタノール300mLを添加して湿潤させ、湿潤粉末を得る。この湿潤粉末を押し出し造粒した後、60℃で16時間通風乾燥して顆粒を得る。この顆粒を850μmの篩を用いて整粒した後、顆粒470gに対してショ糖脂肪酸エステル50gを添加して混合する。これを、ロータリー打錠機(6B−2、菊水製作所)に供して打錠することにより、直径8mm、重量200mgの錠剤5000錠(1−ケストース含有量60mg/1錠)を得ることができる。
また、本発明の菌数抑制用食品組成物の形態としては、有効成分である1−ケストースのみからなるもののほか、菓子や飲料、加工食品、健康食品、乳幼児食品などの通常の飲食物の形態を挙げることができる。飲食物の形態とする場合は、通常の製造過程で、有効成分を添加して製造することができる。1−ケストースの甘味度は30で、その味質・物性・加工性はショ糖に近いことから、各種飲食物の製造過程において、砂糖の一部または全部を1−ケストースに置き換えるなどして、砂糖と同様に扱って各種飲食物を製造することができる。
本発明の菌数抑制用飼料の形態もまた、有効成分である1−ケストースのみからなるもののほか、ウマやウシ、ブタ、ニワトリなどの家畜用飼料、マウスやラット、ハムスター、スナネズミ、ウサギ、モルモット、サルなどの実験動物用飼料、イヌやネコなどの愛玩動物用飼料(ペットフード)といった通常の加工飼料の形態を挙げることができる。通常の加工飼料の形態とする場合は、その製造過程で有効成分を添加して製造することができる。
本発明の剤等をヒトや動物に対して用いる場合の有効成分の摂取量(投与量)としては、例えば、1日あたり0.04g/kg体重以上を挙げることができる。係る摂取量は、1日1回に限らず、複数回に分割して摂取してもよい。
本発明において、ティザレラ属細菌の「菌数を抑制する」とは、生体のいずれかの細胞ないし組織・器官における当該細菌の細胞数の増加を抑制することをいう。
例えば、腸におけるティザレラ属細菌の菌数は、盲腸内容物あるいは糞便中の当該細菌の菌数と相関していると考えられるため、盲腸内容物あるいは糞便中の当該細菌の菌数を計測することにより、腸においてティザレラ属細菌の菌数が抑制されたか否かを確認することができる。具体的には、例えば、本発明の剤等の摂取前後の盲腸内容物あるいは糞便、または、摂取した個体からの盲腸内容物あるいは糞便と摂取していない個体からの盲腸内容物あるいは糞便とを試料として、ティザレラ属細菌に特異的なプライマーを用いたリアルタイムPCR法を行って16S rRNA遺伝子(16S rDNA)コピー数を計測する。当該細菌の16S rDNAコピー数と当該細菌の菌数とは相関関係にあるため、16S rDNAコピー数は、菌数の指標とすることができる。よって、当該細菌の16S rDNAコピー数を計測した結果、摂取後の試料における16S rDNAコピー数が摂取前よりも小さければ、あるいは、摂取した個体からの試料における16S rDNAコピー数が摂取していない個体よりも小さければ、本発明の剤等によりティザレラ属細菌の菌数が抑制されたと判断することができる。
ティザレラ属細菌の16S rDNAに特異的なプライマーは、公知の塩基配列に基づいて設計することができる。例えば、ティザレラ・ピリフォルミスであれば、GenBankアクセッション番号L07416(配列番号1)の16S rDNA塩基配列に基づいて設計することができる。また、ティザレラ・ピリフォルミスに特異的なプライマーとしては、T. Furukawa et al., Detection by PCR of the Tyzzer's Disease Organism (Clostridium piliforme) in Feces, Exp. Anim., vol. 51, no. 5, 2002, 513-516に記載のRJ−1(配列番号2)およびRJ−2C(配列番号3)を例示することができる。
また、後述する実施例1(3)に示すように、本発明の剤等の摂取前後の盲腸内容物あるいは糞便、または、摂取した個体からの盲腸内容物あるいは糞便と摂取していない個体からの盲腸内容物あるいは糞便とを試料として、次世代シークエンサーにより試料中の細菌由来16S rDNAの網羅的解析を行い、ティザレラ属の配列(配列番号4)と相同性の高い配列データの存在比率を算出する。当該存在比率は、ティザレラ属細菌の16S rDNAコピー数、すなわち当該細菌の菌数と相関関係にあるといえる。よって、摂取後の試料における当該配列データの存在比率が摂取前よりも小さければ、あるいは、摂取した個体の試料における当該配列データの存在比率が摂取していない個体のものよりも小さければ、本発明の剤等によりティザレラ属細菌の菌数が抑制されたと判断することができる。
上述のとおり、ティザー病は、感染個体から糞便中ないし環境中に排泄されたティザレラ属細菌の芽胞を他個体が経口摂取することで感染する(非特許文献5;第26頁右欄下から第2−3行目など)。生体内のティザレラ属細菌の菌数を抑制できれば、ヒトや動物の生活環境中に排泄される菌数を抑制できることから、他個体への感染可能性を低減してティザー病を予防できると考えられる。したがって、本発明の剤等は、ティザー病を予防する用途に用いることができる。
以下、本発明について、各実施例に基づいて説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。また、本実施例においては、「1−ケストース」として、純度99質量%で1−ケストースを含有する組成物(物産フードサイエンス社)を用いた。
<実施例1>1−ケストース摂取によるティザレラ属細菌の菌数変化
(1)ラットの飼育
12匹のSDラット(日本エスエルシー社)を6匹ずつ2つの群に分け、一方を対照群、他方をケストース摂取群とした。対照群には1−ケストースを溶解していない水道水を、ケストース摂取群には1−ケストースを2(w/v)%となるよう溶解した水道水を、それぞれ自由摂取させながら、19週間飼育した。飼育条件は温度23±2℃、明期12時間(8:00〜20:00)および暗期12時間(20:00〜8:00)とした。その後、解剖して盲腸を摘出し、盲腸の内容物を採取して、−80℃で凍結保存した。
なお、ラットにおける薬物の摂取量は、下記の式1により、ヒト成人における摂取量に換算できることが報告されている(特開2014−526521号公報の段落[0065]、Shannon Reagan−Shawら、The FASEB Journal、Vol.22、2007年3月、第659〜661頁)。そこで、式1により、本実施例1のラットにおける1日の1−ケストース摂取量を、ヒト成人におけるものに換算した。その結果を表1に示す。
《式1》ヒト成人における1日の1−ケストース摂取量(g/kg体重)=ラットにおける1日の1−ケストースの摂取量(g/kg体重)×6/37
(2)総DNAの抽出
〈Shunsuke Takahashiら、PLosONE、第9巻、第8号、e105592、2014年8月:参考文献1〉に記載の方法に従って、本実施例1(1)の盲腸内容物から総DNAを抽出した。具体的には、まず、4Mのグアニジンチオシアネート、100mMのトリスHCl(pH9.0)および40mMのEDTAを含む水溶液に、氷上で融解した盲腸内容物100mgを懸濁し、FastPrep FP100A(MP Biomedicals)を用いてジルコニアビーズで粉砕して懸濁液を得た。Magtration System 12GC(Precision System Science)およびGC series MagDEA DNA 200(Precision System Science)を用いて、この懸濁液からDNAを抽出した。DNAの濃度を分光測光器ND-1000(NanDrop Technologies)を用いて測定し、10ng/μLとなるように調製して、これを盲腸内容物由来総DNAとした。
(3)盲腸内容物中の細菌由来DNAの網羅的解析
上記参考文献1に記載の方法に従い、本実施例1(1)の盲腸内容物に含まれる細菌の種類と存在比率の網羅的解析を行った。すなわち、まず、本実施例1(2)の盲腸内容物由来総DNAを鋳型として、下記配列番号5および6のユニバーサルプライマーを用いてDual−index法(Hisada Takayoshiら、Arch Microbiol、197巻、第7号、第919‐34頁、2015年6月)によりポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、細菌由来の16S rDNAを増幅した。
フォワードプライマー(341f):CCTACGGGAGGCAGCAG(配列番号5)
リバースプライマー(R806):GGACTACHVGGGTWTCTAAT(配列番号6)
続いて、次世代シークエンサーMiSeq(Illumina)によりPCR増幅産物の塩基配列をペアエンド法により解読した。得られた塩基配列データはデータの質(クオリティ)が低いものおよびキメラ配列由来のものを排除した。決定した塩基配列についてデータベースによる検索を行い、同一性が97%以上で検出される分類群を1菌種(属)として同定した。ティザレラ属として同定された配列(16S rDNAの部分配列)を配列番号4に示す。存在比率は、総リード数に占める各群のリード数の割合を百分率として算出した。なお、クオリティのチェックは参考文献1に、キメラ配列のチェックは〈Robert C. Edgarら、BIOINFORMATICS、第27巻、16号、第2194−2200頁、2011年6月〉に、データベースによる検索は〈Hisada Takayoshiら、Arch Microbiol、197巻、第7号、第919‐34頁、2015年6月〉に、それぞれ記載の方法に準じて行った。この網羅的解析の結果を表1に示す。なお、表1において、リード数および存在比率の値は、各群6匹のラットにおける平均値である。また、括弧内に、各群6匹のラットにおける数値範囲を示す。
Figure 2020097558
表1に示すように、ティザレラ属細菌の16S rDNAのリード数の平均値は、対照群では807であったのに対して、ケストース摂取群では4であった。すなわち、ケストース摂取群のリード数は、対照群の約1/201以下と、顕著に小さかった。また、ティザレラ属細菌の16S rDNAの存在比率は、対照群では4.06であったのに対して、ケストース摂取群では0.02であった。すなわち、ケストース摂取群の存在比率は、対照群の1/203と、顕著に小さかった。この結果から、1−ケストースの摂取により、盲腸内容物中のティザレラ属細菌の16S rDNAの存在比率が減少することが明らかになった。すなわち、1−ケストースは、生体内においてティザレラ属細菌の菌数を抑制する効果を有することが明らかになった。

Claims (4)

  1. 1−ケストースを有効成分とする、ティザレラ属細菌の菌数抑制剤。
  2. ティザー病の予防に用いられることを特徴とする、請求項1に記載の菌数抑制剤。
  3. 1−ケストースを有効成分とする、ティザレラ属細菌の菌数抑制用食品組成物。
  4. 1−ケストースを有効成分とする、ティザレラ属細菌の菌数抑制用飼料。
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