JP7228367B2 - ルミノコッカス属細菌の菌数抑制剤 - Google Patents

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Description

本発明は、1-ケストースを有効成分とする、ルミノコッカス属細菌の菌数を抑制する剤、食品組成物および動物用飼料に関する。
ルミノコッカス属細菌(Ruminococcus)は偏性嫌気性のグラム陽性球菌であり、ヒトや動物の腸内に生息することが知られている。近年の研究において、ルミノコッカス属細菌は種々の疾患や健康状態との関連が示唆されており、例えば、慢性出血性下痢を発症したネコ(非特許文献1;第6頁および図4C)、急性下痢を発症したネコおよび慢性下痢を発症したネコ(非特許文献1;Supporting Information S1 Table. 第3頁第15行目)のいずれにおいても糞便において増加が見られることから、当該疾患に関与することが示唆されている。
そこで、疾患を治療ないし予防するため、健康を維持するため、あるいは健康状態を改善するために、腸内におけるルミノコッカス属細菌の菌数を抑制する方法が求められている。係る従来法としては、例えば、抗生物質を投与する方法が挙げられる。しかしながら、ルミノコッカス属細菌の菌数を特異的に抑制する抗生物質は報告されていないため、この方法では有益な菌種の生育まで阻害すること等により腸内細菌叢を破壊する懸念がある上、耐性菌を生じさせるというリスクもある。
Jan S.Suchodolskiら、PLOS ONE、Vol.10(5)、e0127378、2015年5月、<URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4437779/ >
そこで、本発明者らは、抗生物質の使用に伴う上述の懸念ないしリスクを生じさせずに、ルミノコッカス属細菌の菌数を抑制することを課題とした。すなわち、本発明は、ルミノコッカス属細菌の菌数を安全かつ効果的に抑制することができる、ルミノコッカス属細菌の菌数抑制剤、菌数抑制用食品組成物ならびに菌数抑制用動物用飼料を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、1-ケストースが、腸内のルミノコッカス属細菌の菌数を顕著に抑制することを見出した。そこで、この知見に基づいて、下記の各発明を完成した。
(1)本発明に係るルミノコッカス属細菌の菌数抑制剤は、1-ケストースを有効成分とする。
(2)本発明に係る菌数抑制剤は、ネコにおけるルミノコッカス属細菌の菌数を抑制するために好適に用いることができる。
(3)本発明に係る菌数抑制剤は、下痢の予防または治療に好適に用いることができる。
(4)本発明に係るルミノコッカス属細菌の菌数抑制用食品組成物は、1-ケストースを有効成分とする。
(5)本発明に係るルミノコッカス属細菌の菌数抑制用動物用飼料は、1-ケストースを有効成分とする。
本発明によれば、ヒトや動物の生体におけるルミノコッカス属細菌の菌数を効果的に抑制することができる。また、本発明によれば、ルミノコッカス属細菌の菌数を抑制することにより、下痢等の疾患の予防や治療、健康の維持、あるいは健康状態の改善に寄与することができる。
また、本発明の菌数抑制剤、菌数抑制用食品組成物および菌数抑制用動物用飼料が有効成分とする1-ケストースは、タマネギやニンニク、大麦、ライ麦などの野菜や穀物にも含まれているオリゴ糖の一種であり、古来より食経験を有する物質であることや、変異原性試験、急性毒性試験、亜慢性毒性試験および慢性毒性試験のいずれにおいても毒性が認められていないことから、安全性は極めて高い(食品と開発、Vol.49、No.12、第9頁、2014年)。したがって、本発明によれば、上述の抗生物質使用に伴う懸念やリスク(腸内細菌叢の破壊や耐性菌の発生)を全く生じさせずに、ルミノコッカス属細菌の菌数を抑制することができる。
また、1-ケストースは、水溶性が高く、砂糖に似た良好な甘味質を有するため、そのまま、あるいは甘味料等の調味料として、日常的に簡便に摂取することができるほか、様々な食品や医薬品、動物用飼料等に容易に配合することができる。したがって、本発明によれば、安全性が高く、そのまま、あるいは様々な食品や医薬品、動物用飼料等に容易に配合して日常的に簡便に摂取することができる、ルミノコッカス属細菌の菌数抑制剤、菌数抑制用食品組成物ならびに菌数抑制用動物用飼料を得ることができる。
以下、本発明に係るルミノコッカス属細菌の菌数抑制剤、菌数抑制用食品組成物ならびに菌数抑制用動物用飼料(以下、まとめて「本発明の剤等」という場合がある。)について詳細に説明する。
本発明において、「ルミノコッカス属細菌」は、ルミノコッカス属に属する微生物をいう。係る微生物としては、例えば、ルミノコッカス・グナバス(Ruminococcus gnavus)、ルミノコッカス・ラクタリス(Ruminococcus lactaris)、ルミノコッカス・プロダクタス(Ruminococcus productus)、ルミノコッカス・トロクエス(Ruminococcus torques)、ルミノコッカス・ハイドロジェノトロフィクス(Ruminococcus hydrogenotrophicus)、ルミノコッカス・スチンキ(Ruminococcus schinkii)、ルミノコッカス・ハンセニー(Ruminococcus hansenii)及びルミノコッカス・オベウム(Ruminococcus obeum)などを挙げることができる。
本発明の剤等は、1-ケストースを有効成分とする。1-ケストースは、1分子のグルコースと2分子のフルクトースからなる三糖類のオリゴ糖である。
1-ケストースは、スクロースを基質として、特開昭58-201980号公報に開示されているような酵素による酵素反応を行うことにより作ることができる。具体的には、まず、β-フルクトフラノシダーゼをスクロース溶液に添加し、37℃~50℃で20時間程度静置することにより酵素反応を行って、1-ケストース含有反応液を得る。この1-ケストース含有反応液を、特開2000-232878号公報で開示されているようなクロマト分離法に供することよって、1-ケストースと他の糖(ブドウ糖、果糖、ショ糖、4糖以上のオリゴ糖)とを分離して精製し、高純度1-ケストース溶液を得る。続いて、この高純度1-ケストース溶液を濃縮した後、特公平6-70075号公報に開示されているような結晶化法で結晶化することにより、1-ケストースを結晶として得ることができる。
また、1-ケストースは市販のフラクトオリゴ糖に含まれているため、これをそのまま、あるいは、フラクトオリゴ糖から上述の方法により1-ケストースを分離精製して用いてもよい。すなわち、本発明の1-ケストースとして、1-ケストースを含有するオリゴ糖などの1-ケストース含有組成物を用いてもよい。1-ケストース含有組成物を用いる場合、1-ケストースの純度は80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。なお、本発明において、1-ケストースの「純度」とは、糖の総質量を100とした場合の、1-ケストースの質量%をいう。
本発明の剤等は、ヒトまたは動物に経口摂取させることにより使用することができるほか、有効成分を経腸栄養剤に添加して、これを、胃や小腸などの消化管に挿入したチューブを経由して経腸栄養法により投与する方法で使用してもよい。
本発明の菌数抑制剤の形態としては、有効成分である1-ケストースのみからなるもののほか、医薬品や食品添加剤、サプリメントなどの形態を挙げることができる。医薬品や食品添加剤、サプリメントの形態とする場合、その剤型としては、例えば、散剤、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、顆粒剤、ドライシロップ剤、液剤、シロップ剤、ドロップ剤、ドリンク剤等の固形または液状の剤型を挙げることができる。
上記各剤型の医薬品や食品添加剤、サプリメントは、当業者に公知の方法で製造することができる。例えば、散剤であれば、1-ケストース800gおよび乳糖200gをよく混合した後、90%エタノール300mLを添加して湿潤させる。続いて、湿潤粉末を造粒した後、60℃で16時間通風乾燥し、その後、整粒して、適当な細かさの散剤1000g(1-ケストース含有量800mg/1g)を得ることができる。また、錠剤であれば、1-ケストース300g、粉末還元水飴380g、コメデンプン180gおよびデキストリン100gをよく混合した後、90(v/v)%エタノール300mLを添加して湿潤させ、湿潤粉末を得る。この湿潤粉末を押し出し造粒した後、60℃で16時間通風乾燥して顆粒を得る。この顆粒を850μmの篩を用いて整粒した後、顆粒470gに対してショ糖脂肪酸エステル50gを添加して混合する。これを、ロータリー打錠機(6B-2、菊水製作所)に供して打錠することにより、直径8mm、重量200mgの錠剤5000錠(1-ケストース含有量60mg/1錠)を得ることができる。その他、後述する実施例1(1)に記載の方法で錠剤を製造することもできる。
また、本発明の菌数抑制用食品組成物の形態としては、有効成分である1-ケストースのみからなるもののほか、菓子や飲料、加工食品、健康食品、乳幼児食品などの通常の飲食物の形態を挙げることができる。飲食物の形態とする場合は、通常の製造過程で、有効成分を添加して製造することができる。1-ケストースの甘味度は30で、その味質・物性・加工性はショ糖に近いことから、各種飲食物の製造過程において、砂糖の一部または全部を1-ケストースに置き換えるなどして、砂糖と同様に扱って各種飲食物を製造することができる。
本発明の菌数抑制用動物用飼料の形態もまた、有効成分である1-ケストースのみからなるもののほか、乳牛飼料や肉牛用飼料、養豚飼料、養鶏飼料等の家畜用飼料、イヌ用飼料やネコ用飼料等の愛玩動物用飼料(ペットフード)といった通常の動物用飼料の形態を挙げることができる。本発明の飼料は、これらのうち、特に、ペットフード、とりわけキャットフード(ルミノコッカス属細菌の菌数抑制用ネコ用飼料)として好適である。通常の動物用飼料の形態とする場合は、その製造過程で有効成分を添加して製造することができる。
例えば、キャットフードなどのペットフードの形態とする場合は、通常、1-ケストースの他に基本原料を含む。基本原料は、ペットフードにおいて原料として従来用いられているものを適宜用いることができ、例えば、肉粉、魚粉、穀粉類(小麦粉、トウモロコシ粉、大豆粉、米粉、各種澱粉類)、糟糠類(大豆粕、米ぬか、ふすま、胚芽、麦芽など)、おから、小麦グルテン、油脂類、ビタミン類、ミネラル類、卵製品、ガム類等の増粘剤、ゲル化剤、食塩、調味料、香辛料等が挙げられ、これらの1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
一般に、ペットフードは、水分含量が通常50質量%以上のモイストタイプ、水分含量が通常約20~40重量%程度であるセミモイストタイプおよび水分含量が通常約10重量%以下のドライタイプに大別される。本発明のペットフードはモイストタイプ、セミモイストタイプおよびドライタイプのいずれであってもよい。
ペットフードの形状は、流通、保存、販売、ペット類への給与時等の取扱い時に大きな変形や崩れ等を生ずることなく、その固体形状を保持し得るものであれば良い。すなわち、セミモイストタイプやドライタイプであれば、従来と同様のペレット状、粒状、スティック状、ドーナツ状、星型、ドッグボーン状、勾玉状、偏平丸状、球状、楕円形状、方形状等の形状にすることができる。また、ペットフードのサイズは特に制限されず、給与するペットの種類や年齢に応じたものとすることができる。
本発明の剤等をヒトや動物に対して用いる場合の有効成分の摂取量(投与量)としては、例えば、1日あたり0.04g/kg体重以上を挙げることができる。また、ネコにおいては、好ましくは0.01g/kg体重~1g/kg体重の範囲を例示することができる。係る摂取量は、1日1回に限らず、複数回に分割して摂取してもよい。ネコは通常1日当たり10~20g程度/kg体重のキャットフード(ドライタイプで、カロリーが380kcal/100gの場合)を摂食することから、上記例示した投与量に基づき本発明のネコ用飼料を製造する場合、当該飼料における1-ケストースの濃度は、0.05~8質量%、好ましくは2.5~4.0質量%の範囲を例示することができる。0.05質量%未満であると、ルミノコッカス属細菌の菌数抑制効果が得られないおそれがある。一方、8質量%を超えると、嗜好性を阻害するおそれがある。
本発明において、ルミノコッカス属細菌の「菌数を抑制する」とは、生体のいずれかの細胞ないし組織・器官における当該細菌の菌数の増加を抑制することをいう。
例えば、腸におけるルミノコッカス属細菌の菌数は、糞便中の当該細菌の菌数と相関していると考えられるため、糞便中の当該細菌の菌数を計測することにより、腸においてルミノコッカス属細菌の菌数が抑制されたか否かを確認することができる。具体的には、例えば、本発明の剤等の摂取前後の糞便を試料として、ルミノコッカス属細菌に特異的なプライマーを用いたリアルタイムPCR法を行って16S rDNAコピー数を計測する。当該細菌の16S rDNAコピー数と当該細菌の菌数とは相関関係にあるため、16S rDNAコピー数は、菌数の指標とすることができる。よって、当該細菌の16S rDNAコピー数を計測した結果、摂取後の糞便における16S rDNAコピー数が摂取前よりも小さければ、本発明の剤等によりルミノコッカス属細菌の菌数が抑制されたと判断することができる。
ルミノコッカス属細菌に特異的なプライマーは、当該細菌の公知の塩基配列に基づいて設計することができる。また、特開2001-120271号公報に記載のルミノコッカス属の各菌種に特異的な下記配列番号1~18から選ばれる塩基配列または当該塩基配列に相補的な配列を有するプライマーを用いることもできる。
ルミノコッカス・グナバス;配列番号1および10
ルミノコッカス・ラクタリス;配列番号2および11
ルミノコッカス・プロダクタス;配列番号3および12、配列番号4および13
ルミノコッカス・トロクエス;配列番号5および14
ルミノコッカス・ハイドロジェノトロフィクス;配列番号6および15
ルミノコッカス・スチンキ;配列番号7および16
ルミノコッカス・ハンセニー;配列番号8および17
ルミノコッカス・オベウム;配列番号9および18
また、後述する実施例1(4)に示すように、本発明の剤等の摂取前後の糞便を試料として、次世代シークエンサーにより糞便中の細菌由来16S rDNAの網羅的解析を行い、ルミノコッカス属の配列(配列番号21)と相同性の高い配列データの存在比率を算出する。当該存在比率は、ルミノコッカス属細菌の16S rDNAコピー数、すなわち当該細菌の菌数と相関関係にあるといえる。よって、摂取後の糞便における当該配列データの存在比率が摂取前よりも小さければ、本発明の剤等によりルミノコッカス属細菌の菌数が抑制されたと判断することができる。
また、下痢の罹患者などの、ルミノコッカス属細菌の菌数が時間経過に伴い増加する状態にある者については、摂取前後の糞便における当該細菌の菌数が同程度(一定)、あるいは増加していても、その増加の程度が本発明の剤等を摂取していない場合よりも小さければ、本発明の剤等により当該細菌の菌数が抑制されたと判断することができる。
上述のとおり、ルミノコッカス属細菌の菌数は、慢性出血性下痢に罹患したネコ(非特許文献1;第6頁および図4Cなど)、急性下痢に罹患したネコおよび慢性下痢に罹患したネコ(非特許文献1;Supporting Information S1 Table. 第3頁第15行目)のいずれにおいても、糞便中において増加していることが報告されており、このことから、下痢に関与することが示唆されている。すなわち、生体におけるルミノコッカス属細菌の菌数を抑制することにより、下痢を予防ないし治療できると考えられることから、本発明の剤等は、下痢を予防または治療する用途に用いることができる。
以下、本発明について、各実施例に基づいて説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。
<実施例1>1-ケストース摂取によるルミノコッカス属の菌数変化
(1)1-ケストースを主成分とする錠剤の調製
1-ケストース(純度98質量%以上;物産フードサイエンス)1000gおよびステアリン酸カルシウム10gをよく混合した後、連続打錠機に供して打錠することにより、直径10mm、重量505mgの錠剤2000錠(1-ケストース含有量500mg/1錠)を得た。
(2)1-ケストースを経口摂取させたネコの飼育および糞便の採取
試験期間を10週間として、4頭のネコ(体重2.4~3.6kg)に、本実施例1(1)の錠剤を1日当たり2錠(1日当たりの1-ケストース摂取量が1000mg)摂取させながら8週間飼育した。その後、経過観察の為に、錠剤を摂取させずに2週間飼育した。試験開始時、試験開始から4週後、8週後、および10週後(試験終了時)に、採便容器スプーン型キットを用いて糞便を採取し、-80℃で凍結保存した。
(3)総DNAの抽出
〈Shunsuke Takahashiら、PLosONE、第9巻、第8号、e105592、2014年8月:参考文献1〉に記載の方法に従って、本実施例1(2)の糞便から総DNAを抽出した。具体的には、まず、4Mのグアニジンチオシアネート、100mMのトリスHCl(pH9.0)および40mMのEDTAを含む水溶液に、氷上で融解した糞便100mgを懸濁し、FastPrep FP100A(MP Biomedicals)を用いてジルコニアビーズで粉砕して懸濁液を得た。Magtration System 12GC(Precision System Science)およびGC series MagDEA DNA 200(Precision System Science)を用いて、この懸濁液からDNAを抽出した。DNAの濃度を分光測光器ND-1000(NanDrop Technologies)を用いて測定し、10ng/μLとなるように調製して、これを糞便由来総DNAとした。
(4)糞便中の微生物由来DNAの網羅的解析
上記参考文献1に記載の方法に従い、本実施例1(2)の糞便に含まれる細菌の種類と存在比率の網羅的解析を行った。すなわち、まず、本実施例1(3)の糞便由来総DNAを鋳型として、下記配列番号19および20のユニバーサルプライマーを用いてDual-index法(Hisada Takayoshiら、Arch Microbiol、197巻、第7号、第919‐34頁、2015年6月)によりポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、細菌由来の16S rDNAを増幅した。
フォワードプライマー(341f):CCTACGGGAGGCAGCAG(配列番号19)
リバースプライマー(R806):GGACTACHVGGGTWTCTAAT(配列番号20)
続いて、次世代シークエンサーMiSeq(Illumina)によりPCR増幅産物の塩基配列をペアエンド法により解読した。得られた塩基配列データはデータの質(クオリティ)が低いものおよびキメラ配列由来のものを排除した。決定した塩基配列についてデータベースによる検索を行い、同一性が97%以上で検出される分類群を1菌種(属)として同定した。ルミノコッカス属として同定された配列(16S rDNAの部分配列)を配列番号21に示す。存在比率は、総リード数に占める各群のリード数の割合を百分率として算出した。なお、クオリティのチェックは参考文献1に、キメラ配列のチェックは〈Robert C. Edgarら、BIOINFORMATICS、第27巻、16号、第2194-2200頁、2011年6月〉に、データベースによる検索は〈Hisada Takayoshiら、Arch Microbiol、197巻、第7号、第919‐34頁、2015年6月〉に、それぞれ記載の方法に準じて行った。この網羅的解析の結果を表1に示す。なお、表1において、存在比率の値は、4頭のネコにおける平均値を示す。
Figure 0007228367000001
表1に示すように、ルミノコッカス属細菌の16S rDNAの存在比率は、試験開始時は0.85であったのに対して、試験開始から4週後は0.44、8週後は0.42であり、試験開始時と比較して顕著に小さかった。これに対して、1-ケストースの摂取終了から2週後(10週後)は0.85であり、試験開始時と同等であった。この結果から、1-ケストースの摂取により、糞便中のルミノコッカス属細菌の16S rDNAの存在比率が減少することが明らかになった。すなわち、1-ケストースは、ネコの生体内において、ルミノコッカス属細菌の菌数を抑制する効果を有することが明らかになった。

Claims (4)

  1. 1-ケストースからなる腸内のルミノコッカス属細菌の菌数抑制剤。
  2. ネコにおけるルミノコッカス属細菌の菌数を抑制するために用いられる、請求項1に記載の菌数抑制剤。
  3. 1-ケストースからなる腸内のルミノコッカス属細菌の菌数抑制用食品組成物。
  4. 1-ケストースからなる腸内のルミノコッカス属細菌の菌数抑制用動物用飼料。
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