本開示の一態様に係る表示システムは、自動車に設置される表示システムであって、前記自動車の後方の映像を表示する表示面を有する表示部を含み、前記映像を光として出射する出射部と、姿勢を変更自在な、凹面状の最終反射面を有する凹面鏡と、を備え、前記最終反射面には、前記出射部から出射した光が直接的又は間接的に入射し、前記最終反射面は、入射した光を観察者の目に向かって反射し、前記自動車の上下方向と直交する平面上に存在し前記最終反射面の中心に接する接線は、上から見て、前記姿勢の変更範囲において前記表示面の幅方向に延びる直線に対して平行であり、上から見て、前記最終反射面の前記中心と前記表示面の中心とを結ぶ直線は、前記最終反射面の前記接線とのなす角度における、前記自動車の後方側で前記観察者側の角度の補角は、90度未満の鋭角である。
また、前記自動車は、ウィンドシールドを有し、上から見て、前記凹面鏡は、前記ウィンドシールドの少なくとも一部の後方に配置され、前記最終反射面の前記中心と前記ウィンドシールドの中心とを結ぶ直線は、前記自動車の前後方向に延びる直線に対して平行である。
また、上から見て、前記最終反射面の前記中心と前記表示面の前記中心とを結ぶ前記直線は、前後方向に延びる前記直線に対して平行である。
また、上から見て、前記表示面の前記中心を通り前記自動車の前後方向に延びる直線は、前記最終反射面の前記中心を通り前記自動車の前後方向に延びる直線よりも前記観察者に近い。
また、前記出射部は、前記表示面から出射した光が直接的又は間接的に入射し、入射した光を前記最終反射面に向かって反射する中間反射面を有する中間反射部材を含み、上下方向と直交する平面上に存在し前記中間反射面の中心に接する接線は、上から見て、前記表示面の前記幅方向に延びる前記直線に対して平行である。
また、前記中間反射部材及び前記表示部は、前記中間反射面の前記接線と前記表示面の前記幅方向に延びる前記直線とが平行な状態を維持して、前記最終反射面に対する向きを変更可能である。
また、前記最終反射面の向きを検出する角度センサと、前記角度センサの検出結果に応じて、上から見て前記最終反射面の前記接線が前記表示面の前記幅方向に延びる前記直線に対して平行となる向きに、前記出射部の向きを変更する駆動部と、を備える。
また、前記最終反射面の向きを検出する角度センサを備え、前記表示部は、前記角度センサの検出結果に応じて、前記表示面に表示する前記映像を歪ませる。
また、前記最終反射面の形状は、前記最終反射面の前記中心を通る法線を含み上下方向に沿った平面を対称面として面対称な形状である。
また、自動車の車室内において前記自動車の後方の映像を表示する表示システムであって、姿勢を変更自在な凹面鏡と、前記凹面鏡よりも前記後方側に配置され、前記凹面鏡に向けて映像を投影する表示部と、前記映像が投影される領域を撮像する撮像部と、前記撮像部に撮像された画像に応じて、前記表示部に前記後方の映像を表示させる表示制御を行う制御部と、を備え、前記撮像部は、前記撮像部の光軸が前記表示部により投影される映像の光路の一部に沿う姿勢で配置されている。
これによれば、撮像部は、映像が投影される領域を撮像するため、表示部から投影され、かつ、凹面鏡に反射された映像を車室内において視認している人の顔を撮像することができる。特に、撮像部は、その光軸が表示部により投影される映像の光路の一部に沿う姿勢で配置されているため、車室内の人が映像を視認できるように自分の目の位置に合わせて凹面鏡の姿勢を変更すると、撮像部の撮像範囲に人の顔が含まれることとなる。よって、撮像部の画角を所定の角度範囲よりも広い角度範囲に変更しなくても人の顔を撮像しやすくすることができ、人の顔の位置を精度よく特定することができる。このため、人の顔の位置に応じた表示制御を精度よく行うことができる。
また、前記撮像部は、前記凹面鏡よりも前記後方側に配置され、前記凹面鏡を含む領域を撮像してもよい。
このため、撮像部は、凹面鏡を介して人の顔を撮像することができる。
また、さらに、可視光および赤外光のうちの一方を透過し、他方を反射する光学フィルタを備え、前記表示部は、可視光を含む映像を、前記光学フィルタに透過または反射させた後に、前記凹面鏡に投影し、前記撮像部は、前記光学フィルタにより反射または透過された赤外光を撮像する赤外光カメラであってもよい。
これによれば、撮像部は、表示部が投影する映像とは異なる波長の赤外光を撮像するため、人の顔を効果的に撮像することができる。
また、前記表示部および前記光学フィルタを含む投影光学系の光軸と、前記撮像部および前記光学フィルタを含む撮像光学系の光軸とは、略一致してもよい。
このため、人は、凹面鏡の姿勢を変更することで投影光学系の光軸が人の目の位置に合わせて調整することで、撮像光学系の光軸を同様に人の目の位置に合わせて調整することができる。
また、前記凹面鏡は、前記表示部により投影される映像のうちの一部の領域のみを反射してもよい。
これによれば、表示システムは、凹面鏡を見る人の視点の移動に伴って、人に視認させる反射映像の位置が変わるように構成されている。これにより、表示システムは、表示する画像を見る人に立体感を与えることができる。
また、前記制御部は、前記後方の映像の一部の領域の部分映像を前記表示部に表示させ、前記撮像部により撮像された画像に基づいて、前記自動車の車室内の人の顔の位置を特定し、特定した前記顔の位置が前記自動車の前後方向に直交する第1方向に沿って移動した場合、前記顔の位置が移動する前に前記表示部に表示させていた前記部分映像よりも前記後方の映像において前記第1方向の反対の第2方向にずれた一部の領域の部分映像を前記表示部に表示させてもよい。
このため、制御部は、自動車の前後方向に直交する方向における、人の顔の位置に応じた表示制御を精度よく行うことができる。
また、前記制御部は、前記後方の映像の一部の領域の部分映像を前記表示部に表示させ、特定した前記顔の位置が、既定のアイボックスから外れたと判断した場合、前記表示部に警告表示してもよい。
このため、制御部は、人の顔の位置がアイボックスから外れる場合に、表示部に警告表示することができる。
また、前記制御部は、前記後方の映像の一部の領域の部分映像を前記表示部に表示させ、前記撮像部により撮像された画像に基づいて、前記自動車の車室内の人の視線方向を特定し、特定した前記視線方向の先が前記自動車の前後方向に直交する第1方向に沿って移動した場合、前記視線方向が移動する前に前記表示部に表示させていた前記部分映像よりも前記後方の映像において前記第1方向の反対の第2方向にずれた一部の領域の部分映像を前記表示部に表示させてもよい。
このため、制御部は、自動車の前後方向に直交する方向における、人の視線の先の位置に応じた表示制御を精度よく行うことができる。
また、前記制御部は、前記後方の映像の一部の領域の部分映像を前記表示部に表示させ、前記撮像部により撮像された画像に基づいて、前記自動車の車室内の人の顔の位置を特定し、特定した前記顔の位置が前記自動車の前方向に移動するほど拡大した前記部分映像を前記表示部に表示させてもよい。
このため、制御部は、人の顔の前後方向の位置に応じた表示制御を精度よく行うことができる。
また、前記凹面鏡は、前記自動車のウィンドシールドに配置され、前記表示部は、前記自動車の車室の天井に配置されてもよい。
このため、表示部を車室内の邪魔になりにくい天井に配置することができる。また、凹面鏡と表示部とを分離した構成とするため、これらが一体に配置される構成よりもウィンドシールドに配置される構成要素のサイズをコンパクトにすることができる。
また、前記撮像部は、前記自動車の車室の天井に配置され、前記表示システムは、さらに、前記表示部と前記撮像部とを収納する筐体を備えてもよい。
このため、表示部と撮像部とを車室内の邪魔になりにくい天井に配置することができる。また、凹面鏡と撮像部とを分離した構成とするため、これらが一体に配置される構成よりもウィンドシールドに配置される構成要素のサイズをコンパクトにすることができる。
また、前記撮像部は、前記自動車の車室の天井に配置され、前記表示システムは、さらに、前記表示部と前記撮像部とを収納する筐体と、前記筐体に配置され、前記凹面鏡に向けて赤外光を照射する赤外光源と、を備えてもよい。
このため、人の顔を撮像部で撮像するための赤外光を、人の顔に向けて照射することができる。これにより、撮像部は、昼間に限らずに夜間でも人の顔を効果的に撮像することができる。
また、前記表示システムは、前記表示部と前記凹面鏡との間に、近赤外線を反射し可視光線を透過する光学フィルタをさらに備え、前記光学フィルタは、前記天井に近接するように配置された前記赤外光源と対向するように前記第1筐体に配置されてもよい。
このように、発熱熱量の大きい赤外光源を天井に配置することができる。このため、熱容量の大きい天井によって、赤外光源が発した熱が放熱され易くなる。つまり、表示システムでは、天井をヒートシンクように用いることで、赤外光源で発生した熱を放熱させることができる。このため、第1筐体内が高温になることを抑制することで、第1筐体内に配置される表示部の劣化を抑制することができる。
また、前記最終反射面である凹鏡面が形成される前記凹面鏡と、平鏡面が形成され、前記凹面鏡と重なるように配置される平面鏡とを有する両面反射光学体と、前記両面反射光学体を回転可能に保持する第2筐体と、をさらに備え、前記両面反射光学体は、回転動作によって、前記両面反射光学体の姿勢が第1状態と第2状態とに切り替えられ、前記第1状態では、前記凹鏡面に前記表示面から出射した画像光が直接的又は間接的に入射し、前記凹鏡面が入射した画像光を前記観察者の目に向けて反射し、記第2状態では、前記平鏡面に前記表示システムの外部から照射される光が入射し、前記平鏡面が入射した光を前記観察者の目に向けて反射し、前記両面反射光学体は、前記第1状態における前記凹鏡面の中心の法線方向と水平方向との角度が、前記第2状態における前記平鏡面の法線方向と水平方向との角度と異なるように前記第2筐体に設けられる。
また、前記両面反射光学体は、さらに、一方面と、前記一方面の反対側の面である他方面とを有し、前記凹鏡面の中心の法線方向と直行する平面に対して前記平鏡面が傾斜するように、前記凹面鏡を前記一方面に固定し、かつ、前記平面鏡を前記他方面に固定する支持体を有する。
また、前記両面反射光学体よりも光が入射する側で前記第2筐体に配置され、透光性を有する防眩ミラーと、前記自動車の鉛直方向に対する前記防眩ミラーの角度を調節する調節部とを備える。
また、光を検知するセンサと、前記両面反射光学体を前記第1状態と前記第2状態とに切り替える駆動部と、前記駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記センサの検知した光の光量が規定光量未満であれば、前記両面反射光学体が前記第1状態となるように前記駆動部を制御する。
また、近接する物体を検知するセンサと、前記両面反射光学体を前記第1状態と前記第2状態とに切り替える駆動部と、前記駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記センサが前記センサから検知エリア内の物体を検知すると、前記両面反射光学体が前記第2状態となるように前記駆動部を制御する。
また、さらに、前記両面反射光学体よりも光が入射する側で前記第2筐体に配置され、透光性を有する防眩ミラーと、前記自動車の鉛直方向に対する前記防眩ミラーの角度を調節する調節部と、前記第2状態から前記第1状態に切り替える場合、当該切り替えの前に、前記防眩ミラーによる防眩機能を停止させる制御部を備える。
また、前記凹面鏡への入射光、又は、前記凹面鏡での反射光の少なくとも一部を遮蔽する遮蔽状態と、前記遮蔽状態を解除する解除状態とのいずれかの状態で前記第2筐体に保持される遮光部材と、を備え、前記遮蔽状態では、前記遮光部材が、前記第2筐体に入射する外光を前記観察者の目に向かって反射し、前記第2筐体は、前記遮蔽状態及び前記解除状態のいずれの状態でも前記遮光部材を保持する保持構造を有している。
また、前記第2筐体には、前記遮光部材として、一方の面が反射面である板状のミラー部材が設けられ、前記ミラー部材の状態は、前記ミラー部材のスライド動作と回転動作によって、第3状態と第4状態とのいずれかに切り替えられ、前記第3状態は、前記凹面鏡から前記観察者の目に入射する光の光路外の第1位置に前記ミラー部材が配置される前記解除状態であり、前記第4状態は、前記凹面鏡と前記観察者との間の第2位置に前記反射面を前記観察者に向けた状態で前記ミラー部材が配置され、前記第2筐体の外部からの光を前記反射面で反射した反射像を前記観察者の目に表示させる前記遮蔽状態であり、前記ミラー部材を前記第1位置と前記第2位置との間で移動させるアクチュエータを更に備え、前記アクチュエータは、モータを含み、前記モータを制御する制御回路は、前記表示部による表示の異常を示す異常信号が入力されると、前記モータを駆動して前記ミラー部材を前記第1位置から前記第2位置に移動させる。
また、前記表示システムは、自動車に搭載され、前記自動車が走行に関する機能を停止した停止状態において、前記アクチュエータが前記ミラー部材を前記第2位置に移動させる。
また、前記第2筐体には、前記遮光部材として、一方の面が反射面である板状のミラー部材が設けられ、前記保持構造は、前記凹面鏡を更に保持し、前記保持構造は、前記凹面鏡及び前記ミラー部材を、前記ミラー部材の反射面と前記凹面鏡の反射面とを互いに反対側に向けた状態で、前記第2筐体に対して回転可能な状態で保持しており、前記ミラー部材の反射面の中心点における法線と、前記凹面鏡の反射面の中心点における法線とが非平行である。
また、前記保持構造は、前記第2筐体に対して回転可能な状態で保持された回転体を含み、前記回転体に前記凹面鏡と前記ミラー部材とが保持されており、前記回転体は、前記解除状態では前記観察者に前記凹面鏡の反射面を対向させる第1回転位置に回転し、前記遮蔽状態では前記観察者に前記ミラー部材の反射面を対向させる第2回転位置に回転する。
また、前記回転体は、前記ミラー部材の反射面の中心点における法線と、前記凹面鏡の反射面の中心点における法線とが非平行となる状態で、前記ミラー部材と前記凹面鏡とを保持している。
また、前記第2筐体には、前記遮光部材として、一方の面が反射面である板状のミラー部材が設けられ、前記保持構造は、前記第2筐体に対して回転可能な状態で保持された回転体を含み、前記回転体は、前記ミラー部材の反射面と前記凹面鏡の反射面とが互いに反対側を向き、かつ、前記ミラー部材の反射面の中心点における法線と、前記凹面鏡の反射面の中心点における法線とが平行となる状態で、前記ミラー部材と前記凹面鏡とを保持しており、前記回転体は、前記解除状態では前記観察者に前記凹面鏡の反射面を対向させる第1回転位置に回転し、前記遮蔽状態では前記観察者に前記ミラー部材の反射面を対向させる第2回転位置に回転し、前記第1回転位置と前記第2回転位置との間で前記回転体が回転する角度が180度以外の所定の角度である。
また、前記回転体は、1以上の別のミラー部材を更に保持し、前記別のミラー部材の反射面の中心点における法線が、前記凹面鏡の反射面の中心点における法線、及び、前記ミラー部材の反射面の中心点における法線の各々に対して非平行である。
また、前記回転体は、回転軸の軸方向と交差する断面の形状が四角形である四角柱であり、前記回転体において、前記回転軸の軸方向に沿う4つの側面には、2つの前記凹面鏡と、2つの前記ミラー部材とが交互に配置されている。
また、前記ミラー部材は平面鏡であり、前記ミラー部材に対して光が入射する側に透光性を有する防眩ミラーが配置され、前記回転体の回転軸の軸方向から見て、前記ミラー部材の反射面の中心点における法線と、前記防眩ミラーの反射面の中心点における法線とが非平行になるように、前記ミラー部材と前記防眩ミラーとが前記回転体に保持されている。
また、前記回転体を、前記第1回転位置と前記第2回転位置との間で移動させるアクチュエータを更に備える。
また、所定の検知エリアにおける状況を検知する検知センサの出力に応じて、前記遮光部材の状態を前記解除状態から前記遮蔽状態に切り替える駆動部を更に備える。
また、前記凹面鏡での前記反射光の光路が前記検知エリアを通り、前記検知センサは、前記検知エリアにおける物体の存否を検知する物体センサを含み、前記駆動部は、前記物体センサが前記検知エリアにおける前記物体の存在を検知すると、前記遮光部材の状態を前記解除状態から前記遮蔽状態に切り替える。
また、前記物体センサは、前記第2筐体に保持される。
また、前記物体センサは、前記検知エリアにおいて前記物体が移動している場合に、前記物体の存在を検知する。
また、前記遮光部材は、前記遮光部材の状態が前記遮蔽状態である場合に、前記凹面鏡での前記反射光の反射方向に光を反射する反射面を有する、光学ミラーである。
また、前記検知センサは、前記検知エリア側から入射する光量の少なくとも一部を検知する光量センサを含む。
また、前記光量センサに光を集光するレンズを更に備える。
また、前記光量センサは、前記第2筐体の内部において、前記第2筐体の下面又は上面に沿って配置される。
また、前記第2筐体に隣接して配置され、前記検知エリア側の一端に開口部を有する箱状部を更に備え、前記光量センサは、前記箱状部に収容されている。
また、前記光量センサは、前記遮光部材の表面に配置される。
また、前記遮光部材は、前記凹面鏡での前記反射光の光路上に配置され、前記遮光部材における光の透過率は、前記検知センサの出力に応じて変化する。
また、前記駆動部は、前記検知センサの出力に応じて、前記第2筐体の向きを変える。
また、前記映像が投影される領域を撮像する撮像部をさらに備え、前記撮像部は、前記表示部側に配置され、焦点を切り替え可能な構成を有し、前記両面反射光学体の姿勢の、前記第1状態と前記第2状態との切り替に基づいて、前記焦点が切り替えられる。
以下、本開示の一態様に係る表示システムについて、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
以下、本開示の一態様に係る表示システムについて、図面を参照しながら具体的に説明する。
(実施形態1)
(1)概要
以下、実施形態に係る表示システム1について、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
本開示では、表示システム1が設置される自動車100の、床から見て天井101側を「上」と規定し、自動車100の天井101から見て床側を「下」と規定する。また、自動車100の前進方向及び後退方向にそれぞれ対応して、「前」及び「後」を規定する。また、「前」を向いた観察者400から見た左右をそれぞれ、「左」及び「右」と規定する。ただし、これらの方向は一例であり、表示システム1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
以下の説明では、図1等におけるX軸方向が前後方向であり、図1等におけるY軸方向が左右方向であり、図2等におけるZ軸方向が上下方向である。さらに、X軸方向の正の向きが前向き、Y軸方向の正の向きが右向き、Z軸方向の正の向きが上向きである。図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
図1、図2に示すように、本実施形態の表示システム1は、自動車100に設置される。表示システム1は、出射部E1と、最終反射部材50と、を備える。出射部E1は、表示デバイス2を含む。表示デバイス2は、自動車100の後方の映像を表示する表示面21を有する。出射部E1は、表示面21の映像を光として出射する。最終反射部材50は、姿勢を変更自在な、凹面状の最終反射面51を有する。最終反射面51には、出射部E1から出射した光が直接的又は間接的に入射する。最終反射面51は、入射した光を観察者400(図3参照)の目401(図3参照)に向かって反射する。次に記載する接線T5は、上から見て、姿勢の変更範囲において表示面21の幅方向(第1方向D1)に延びる直線SL2に対して平行である。ここでいう平行とは、最終反射部材50の姿勢の調整可能な範囲において平行という意味であり、絶対的に平行という意味ではない。このため、調整可能な範囲内は、平行といえる範疇である。接線T5は、上下方向と直交する平面上に存在し最終反射面51の中心C5に接する。次に記載する直線SL12は、最終反射面51の接線T5とのなす角度における、自動車100の後方側で観察者400側の角度の補角は、90度未満の鋭角θ5である。直線SL12は、最終反射面51の中心C5と表示面21の中心C2とを結ぶ。
本実施形態によれば、上から見て、最終反射面51の接線T5が表示面21の幅方向に延びる直線SL2に対して平行ではない場合と比較して、表示面21上の各位置から最終反射面51までの光路長について、表示面21での幅方向の位置の違いに起因する誤差が低減される。光路長の誤差が低減されることにより、観察者400が見ることができる映像の歪みが低減される。すなわち、観察者400が見ることができる映像における左右の倍率差が低減される。
本開示において、2つの直線が「平行」とは、次のことを言う。すなわち、「平行」とは、完全に平行であることの他、略平行であることを含み得る。具体的には、「平行」とは、対象である2つの直線(例えば、直線SL2及び接線T5)のなす角度(鋭角)が0度以上10度以下であることを言う。なお、「平行」とは、対象である2つの直線のなす角度(鋭角)が0度以上5度以下であることを言うのが、より好ましい。
本開示において、出射部E1から出射した光が最終反射面51に「間接的に入射」するとは、出射部E1から出射した光がミラー、レンズ又はプリズム等の1以上の光学部品によって反射又は屈折された後に、最終反射面51に入射することを言う。
図1は、表示システム1の要部を上から見た図である。なお、図1では、図示の都合上、表示デバイス2と後述の中間反射部材90とを上から見て互いに異なる位置に配置しているが、実際には、表示デバイス2は、上から見て中間反射部材90と重なる位置に配置されている。
(2)構成
本実施形態の表示システム1と撮像部4(図3参照)とで電子ミラーシステム5(図3参照)が構成される。すなわち、電子ミラーシステム5は、表示システム1と、撮像部4と、を備えている。電子ミラーシステム5は、移動体である自動車100の移動体本体110(図3参照)に搭載される。すなわち、移動体(自動車100)は、電子ミラーシステム5と、電子ミラーシステム5を搭載する移動体本体110と、を含む。また、自動車100は、ウィンドシールド102を有している。
表示デバイス2は、例えば、光源装置と、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)と、を備えている。液晶パネルは、光源装置に対向して配置されている。光源装置は、液晶パネルのバックライトとして用いられる。光源装置は、いわゆる面光源である。光源装置は、発光ダイオード又はレーザダイオード等の固体発光素子を用いた、サイドライト方式の光源装置である。光源装置からの光は液晶パネルを透過して表示デバイス2の表示面21から出力されており、表示面21から出力される光で映像(画像)が形成される。表示デバイス2は、撮像部4によって撮影される映像を表示面21に表示する。表示デバイス2は、表示部の一例であってもよい。
表示面21の形状は、平面状である。より詳細には、表示面21の形状は、長方形状である。表示面21の法線ベクトルの向きは、下向きに沿っている。左右方向における表示面21の寸法は、前後方向における表示面21の寸法よりも大きい。
表示システム1は、出射部E1を備えている。出射部E1は、少なくとも表示デバイス2を含む。出射部E1は、表示面21の映像を光として出射する。
本実施形態では、出射部E1は、中間反射部材90を更に含む。中間反射部材90は、中間反射面91を有する。中間反射面91には、表示面21から出射した光が直接的又は間接的に入射する。中間反射面91は、入射した光を最終反射面51に向かって反射する。
また、表示システム1は、反射光学系B1を備えている。反射光学系B1は、1以上の反射部材を含む。反射光学系B1は、反射部材として、少なくとも最終反射部材50を含む。反射光学系B1は、表示デバイス2の表示面21から出力された光を1以上の反射部材で1回以上反射した後に観察者400の目401(アイボックス)に入射させる。これにより、表示システム1は、自動車100の電子インナーミラーとして機能する。最終反射部材50は、反射光学系B1が有する1以上の反射部材のうち最後に反射して、観察者400の目401に入射させる反射部材である。観察者400は、例えば、自動車100を運転する運転者である。
本実施形態では、反射光学系B1は、反射部材として、上述の中間反射部材90を更に含む。すなわち、中間反射部材90は、反射光学系B1の一構成であると共に、出射部E1の一構成でもある。表示デバイス2の表示面21から出射した光は中間反射部材90で反射されてから最終反射部材50に入射する。図1及び図2では、表示面21から中間反射部材90及び最終反射部材50を経由して観察者400の目401に向かう光路を、点線で図示している。この点線は説明のために図示しているに過ぎず、実体を伴わない。
最終反射部材50は、凹面鏡である。すなわち、最終反射面51の形状は、凹面状である。最終反射面51は、最終反射部材50の後面である。最終反射面51は、最終反射部材50のうち、最終反射面51が設けられた側とは反対側(すなわち、前側)へ窪んだ面である。最終反射面51は、例えば、最終反射部材50の本体部であるガラスの表面に、アルミニウム等の反射金属膜を蒸着することで形成される。最終反射面51の中心C5を通る法線ベクトルの向きとは反対向きに最終反射面51を見た場合に、最終反射面51の形状は、長方形状である(図4参照)。左右方向における最終反射面51の寸法は、上下方向における最終反射面51の寸法よりも大きい。
最終反射面51の形状は、平面P5を対称面として面対称な形状である。平面P5(対称面)は、最終反射面51の中心C5を通る法線N5を含み上下方向に沿った平面である。つまり、図1に示すように、上から見ると、最終反射面51の形状は、法線N5を対称軸として線対称な形状である。これにより、最終反射面51の形状は左右対称形となりデザイン性を損ないにくくすることができる。
中間反射部材90は、例えば、平面鏡である。すなわち、中間反射面91の形状は、平面状である。より詳細には、中間反射面91の形状は、長方形状である。
自動車100は、オーバーヘッドコンソールH1を備えている。オーバーヘッドコンソールH1は、天井101に取り付けられている。
図2に示すように、表示システム1は、第1支持部材70wと、第1軸部材73wと、軸受74wと、を更に備えている。第1支持部材70wは、最終反射部材50を支持している。第1支持部材70wは、例えば、合成樹脂の成型品である。第1支持部材70wの形状は、直方体状である。第1支持部材70wは、第1面71wを有している。最終反射部材50は、第1面71wに配置されている。最終反射面51の中心C5を通る法線ベクトルの向きは、後向きに沿っている。
第1支持部材70wは、自動車100におけるインナーミラーの取付け位置に取り付けられている。具体的には、図1、図4に示すように、第1支持部材70w(最終反射部材50)は、ウィンドシールド102の後方に配置される。また、図2に示すように、第1支持部材70wは、自動車100の天井101付近に配置される。すなわち、天井101(オーバーヘッドコンソールH1)から下向きに突出した第1軸部材73wに、第1支持部材70wが取り付けられている。
軸受74wは、オーバーヘッドコンソールH1に取り付けられている。第1軸部材73wは、軸受74wに対して回転可能に、軸受74wに取り付けられている。第1軸部材73wと一緒に、第1支持部材70w及び最終反射部材50が回転する。軸受74wは、第1軸部材73wを回転可能にするための構成として、例えば、ボールジョイントを含む。第1軸部材73wの回転軸の方向は、上下方向に沿っている。運転者等の操作者は、第1支持部材70wに回転力を加えることで、第1軸部材73w、第1支持部材70w及び最終反射部材50を回転させることができる。
表示システム1は、第2支持部材80wと、第2軸部材83wと、駆動部84と、を更に備えている。第2支持部材80wは、中間反射部材90及び表示デバイス2を支持している。第2支持部材80wは、例えば、合成樹脂の成型品である。第2支持部材80wの形状は、中空の三角柱状である。第2支持部材80wの軸方向は、左右方向に沿っている。第2支持部材80wは、その一側面である前面81wを有している。前面81wは、開口部を有している。開口部は、透光性を有するカバーにより塞がれていることが好ましい。
第2支持部材80wの内部空間のうち、前面81wに形成された開口部の後方に、中間反射部材90が支持されている。また、第2支持部材80wの内部空間のうち、中間反射部材90の上方に、表示デバイス2が支持されている。表示デバイス2は、その表示面21を中間反射面91に対向させて配置されている。表示面21は、中間反射面91に対して非平行である。より詳細には、表示面21の法線ベクトルの向きは、下向きに沿っており、中間反射面91の法線ベクトルの向きは、上向き成分と前向き成分とを含む向きである。表示面21から出射した光は、中間反射面91で反射され、開口部を通って最終反射面51に到達する。
図2に示すように、第2支持部材80w及び中間反射部材90は、最終反射部材50の後方に配置される。第2支持部材80wは、天井101付近に配置されている。第2支持部材80wは、オーバーヘッドコンソールH1に取り付けられている。より詳細には、第2支持部材80wは、第2軸部材83wを介して、オーバーヘッドコンソールH1に取り付けられている。
駆動部84は、例えば、アクチュエータを含む。駆動部84は、オーバーヘッドコンソールH1に収容されている。第2軸部材83wは、駆動部84に結合されている。第2軸部材83wは、駆動部84に駆動されて、第2支持部材80wと一緒に回転する。第2軸部材83wの回転軸の方向は、上下方向に沿っている。図2では、駆動部84の回転軸は、表示面21より後方に配置されているが、表示面21の直上に配置されていてもよい。
表示システム1は、角度センサ75w及び制御部76wを更に備えている。角度センサ75w及び制御部76wは、オーバーヘッドコンソールH1に収容されている。
角度センサ75wは、例えば、光電式ロータリエンコーダ又は磁気式ロータリエンコーダを備えている。角度センサ75wは、最終反射面51の向きを検出する。より詳細には、角度センサ75wは、軸受74wに対する第1軸部材73wの回転角を、最終反射面51の向きとして検出する。最終反射面51の向きは、例えば、前後方向に延びる直線SL11(図1参照)と最終反射面51の接線T5(図1参照)とがなす鋭角θ5(図1参照)により定義される。
制御部76wは、例えば、基板と、基板に形成された電気回路と、を含む。制御部76wとしての機能は、例えば、プログラムを実行するマイクロコントローラ、又は、複数のディスクリート部品により実現される。制御部76wは、角度センサ75wの検出結果に応じて、駆動部84を制御する。これについては、後述する。
また、制御部76wは、表示デバイス2による映像の表示状態を制御する。制御部76wは、例えば、自動車100の車内ネットワークを介して撮像部4(図3参照)と通信(有線通信又は無線通信)を行う。制御部76wには、撮像部4から自動車100の後方の撮像映像の映像データが入力される。制御部76wは、撮像部4から入力される撮像映像に基づく映像を表示デバイス2に表示させる。
ここにおいて、撮像映像に基づく映像とは、撮像映像そのものでもよいし、撮像映像を加工した映像でもよく、撮像映像をもとに作成したCG(Computer Graphics)映像でもよい。例えば、夜間には撮像部4で撮影された映像は暗くなるので、撮像部4で撮影された映像の明るさ補正を行ってもよい。また、撮像部4で撮影された映像をもとに、映像中に映っている障害物等を示すCG映像又はマーカー等を作成し、撮像部4の撮像映像にCG映像又はマーカー等を重畳した映像を表示デバイス2の表示面21に表示させてもよい。また、撮像部4の撮像映像に運転支援情報(例えば、車速情報、ナビゲーション情報、歩行者情報、前方車両情報、車線逸脱情報、及び車両コンディション情報等)を示すマーカーを重畳した映像を表示デバイス2に表示させてもよい。
撮像部4は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。撮像部4はCMOSイメージセンサに限らず、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等のイメージセンサでもよい。
撮像部4は例えば自動車100の後部において左右方向の中央に配置されている。撮像部4は、従来のインナーミラー(ルームミラー)で視認できる範囲を撮影しており、電子ミラーシステム5は従来のインナーミラーのような後方確認ミラーとして用いられる。撮像部4は自動車100の後部に取り付けられているので、撮像部4によって撮影される映像には、後部座席やピラー等が映り込むことはない。なお、撮像部4は、自動車100の後方を撮影することに加えて、自動車100の後側方を撮影してもよい。撮像部4は、従来のドアミラー、フェンダーミラーで視認できる範囲を撮影してもよく、電子ミラーシステム5を従来のドアミラー、フェンダーミラーの代わりの後方確認ミラーとして用いてもよい。撮像部4は移動体本体110の後部であって移動体本体110の上部位置に取り付けられているが、撮像部4の取付位置は一例であり、撮像部4は所望の範囲を撮影可能な位置に取り付けられていればよい。
(3)配置
図1は、表示システム1の要部を上から見た図である。上から見て、次の接線T5は、次の直線SL2に対して平行である。接線T5は、上下方向と直交する平面上に存在し最終反射面51の中心C5に接する。直線SL2は、姿勢の変更範囲において表示面21の幅方向に延びる直線である。
ここで、表示面21の幅方向は、表示面21に表示される映像の幅方向と対応する。つまり、幅方向を、表示面21に表示される映像の幅方向に基づいて定義することができる。表示面21に表示される映像の幅方向は、観察者400が最終的に見ることができる映像(虚像)の左右方向に対応する。例えば、観察者400が最終的に見ることができる映像(以下、「観察映像」と称す)の左右方向(図1のY軸方向)の位置関係が、表示面21に表示される映像の第1方向D1(図1参照)の位置関係に相当する場合を想定する。この場合、第1方向D1が、表示面21に表示される映像の幅方向である。ここでは、一例として、第1方向D1は、表示面21の長手方向である。
上から見て、接線T5が直線SL2に対して平行なので、これらが平行ではない場合と比較して、表示面21上の各位置から最終反射面51までの光路長について、表示面21での幅方向の位置の違いに起因する誤差(光路差)が低減される。例えば、図1には、表示面21と最終反射面51との間の光路として、表示面21の中心C2よりも左側に始点が設けられた光路A10と、表示面21の中心C2よりも右側に始点が設けられた光路A20と、を図示している。表示面21と最終反射面51との間では、光路A10と光路A20との光路差が比較的小さい。また、図1には、最終反射面51から観察者400(運転者)の目401までの間の光路として、光路A10から続く光路A11と、光路A20から続く光路A21と、を図示している。光路A1は、光路A10と光路A11とからなる光路である。光路A2は、光路A20と光路A21とからなる光路である。
光路A1と光路A2との間に光路差があると、観察映像には、観察映像の左右で倍率差が生じる。よって、観察映像には、観察映像の左右の倍率差に起因する歪みが生じる。本実施形態では、少なくとも光路A10と光路A20との光路差が低減されるので、観察映像の歪みを低減できる。なお、光路A11と光路A21との光路差が観察映像に与える影響は、光路A10と光路A20との光路差が観察映像に与える影響と比較して小さいため、ここでは、無視する。
また、上から見て、次の接線T9は、直線SL2に対して平行である。接線T9は、上下方向と直交する平面上に存在し中間反射面91の中心C9に接する。
そのため、接線T9が直線SL2に対して平行ではない場合と比較して、表示面21上の各位置から中間反射面91までの光路長について、表示面21での幅方向の位置の違いに起因する誤差が低減される。また、中間反射面91上の各位置から最終反射面51までの光路長について、中間反射面91での幅方向の位置の違いに起因する誤差が低減される。
また、上から見て、接線T9は、接線T5に対して平行である。
ここで、図5に、比較例に係る表示システム1Pを示す。表示システム1Pでは、最終反射面51の接線T5が、表示面21の幅方向に延びる直線SL2に対して平行ではない。また、表示システム1Pでは、最終反射面51の接線T5が、中間反射面91の接線T9に対して平行ではない。直線SL2と接線T9とは平行である。表示システム1Pにおいて、表示面21の中心C2よりも左側の始点から最終反射面51までの光路A10と、表示面21の中心C2よりも右側の始点から最終反射面51までの光路A20と、の光路差δ1が、本実施形態と比較して大きい。本実施形態では、最終反射面51を平面とみなすと、光路差δ1はゼロである。本実施形態の表示システム1の構成を採用することにより、比較例の表示システム1Pと比較して、光路差を低減し、観察映像の歪みを低減できる。
また、本実施形態において、表示デバイス2は、最終反射部材50の焦点距離の範囲内に配置されている。そのため、観察映像は、表示面21に表示される映像よりも大きい虚像となる。
また、上から見て、最終反射部材50は、ウィンドシールド102の少なくとも一部の後方に配置される。上から見て、最終反射面51の中心C5とウィンドシールド102の中心C10とを結ぶ直線SL10は、自動車100の前後方向に延びる直線SL11に対して平行である。図1では、直線SL10は直線SL11と一致している。
また、上から見て、最終反射面51の中心C5と表示面21の中心C2とを結ぶ直線SL12は、前後方向に延びる直線SL11に対して平行である。上から見て、直線SL12は、最終反射面51の接線T5に対して90度未満の鋭角θ5をなして交差する。つまり、鋭角θ5は、直線SL12と接線T5とのなす角度における、自動車100の後方側で観察者400側の角度の補角である。図1では、直線SL12は直線SL11と一致している。また、本実施形態では、図1に示すように、鋭角θ5は、45度よりも大きくしている。
上述の通り、第1支持部材70wは、軸受74wに対して回転する。第1支持部材70wは、軸受74wに対して回転可能な範囲が制限されていることが好ましい。例えば、第1支持部材70wが回転する際の回転角の最大値が5度、10度又は15度であってもよい。
また、第1支持部材70wが軸受74wに対して回転可能な範囲は、最終反射面51の接線T5と表示面21の幅方向に延びる直線SL2とが平行な状態に維持される範囲であることが好ましい。また、第1支持部材70wが軸受74wに対して回転可能な範囲は、最終反射面51の接線T5と中間反射面91の接線T9とが平行な状態に維持される範囲であることが好ましい。
また、第1支持部材70wが軸受74wに対して回転可能な範囲は、上から見て、最終反射面51の中心C5及びウィンドシールド102の中心C10を結ぶ直線SL10と前後方向に延びる直線SL11とが平行な状態に維持される範囲であることが好ましい。また、第1支持部材70wが軸受74wに対して回転可能な範囲は、上から見て、最終反射面51の中心C5及び表示面21の中心C2を結ぶ直線SL12と前後方向に延びる直線SL11とが平行な状態に維持される範囲であることが好ましい。
上述の通り、第2軸部材83wは、駆動部84に駆動されて、第2支持部材80wと一緒に回転する。つまり、第2支持部材80wは、オーバーヘッドコンソールH1に対して回転する。これにより、中間反射部材90及び表示デバイス2は、中間反射面91の接線T9と表示面21の幅方向に延びる直線SL2とが平行な状態を維持して、最終反射面51に対する向きを変更可能である。つまり、第2支持部材80wがオーバーヘッドコンソールH1に対して回転するとき、中間反射面91と表示面21とが互いに同じ回転角だけ回転するので、接線T9と直線SL2とが平行な状態が維持される。
(4)動作
駆動部84は、制御部76wの制御に応じて、第2支持部材80wを回転させる。制御部76wは、最終反射面51の向きを検出する角度センサ75wの検出結果に応じて、駆動部84に対する制御内容を決定する。つまり、駆動部84は、角度センサ75wの検出結果に応じて、第2支持部材80wを回転させる。第2支持部材80wが回転させられることで、表示デバイス2及び中間反射部材90の向きが変更される。
駆動部84は、角度センサ75wの検出結果に応じて、上から見て最終反射面51の接線T5が表示面21の幅方向に延びる直線SL2に対して平行となる向きに、出射部E1(表示デバイス2及び中間反射部材90)の向きを変更する。例えば、自動車100の電源が入れられたとき、及び、運転者等の操作者が最終反射部材50の向きを変更したときに、駆動部84は、出射部E1の向きを変更する。本開示において、「出射部E1の向きを変更する」とは、出射部E1の全体を一体的に動かして、出射部E1の全体の向きを変更することを指している。よって、出射部E1の向きを変更するとき、表示面21の幅方向に延びる直線SL2と中間反射面91の接線T9とが平行な状態が、維持される。
(変形例1)
以下、変形例1に係る表示システム1について説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
表示デバイス2は、角度センサ75wの検出結果に応じて、表示面21に表示する映像を歪ませる。これにより、表示デバイス2は、観察映像の左右の倍率差に起因する歪みを低減させる。
例えば、図1において、接線T5が直線SL2に対して平行である範囲内、すなわち、接線T5と直線SL2とのなす角度(鋭角)が0度以上10度以下の範囲内において、最終反射部材50が中心C5を中心として時計回りに回転した場合を想定する。この場合、僅かではあるものの、表示面21の中心C2よりも左側の始点から最終反射面51までの光路A10が長くなり、表示面21の中心C2よりも右側の始点から最終反射面51までの光路A20が短くなる。また、表示デバイス2は、最終反射部材50の焦点距離の範囲内に配置されている。よって、観察者400から見て、観察映像のうち中心C2よりも左側の領域は僅かに大きく見え、観察映像のうち中心C2よりも右側の領域は僅かに小さく見える。つまり、観察映像には、観察映像の左右の倍率差に起因する歪みが生じる。そこで、表示デバイス2は、表示面21に表示する映像を、右側ほど大きくする。これにより、表示面21に表示する映像が歪むが、観察映像の歪みが低減される。すなわち、観察映像の左右の倍率差が補正される。
なお、本変形例では、駆動部84は、角度センサ75wの検出結果に応じて出射部E1の向きを変更する制御を、接線T5と直線SL2とのなす角度(鋭角)が10度を超えれば行い、10度以下であれば行わないようにしてもよい。つまり、駆動部84は、接線T5と直線SL2との関係が平行の範囲から外れた場合に、角度センサ75wの検出結果に応じて出射部E1の向きを変更する制御を行うように構成されていてもよい。駆動部84を制御する制御部76wは、例えば、角度センサ75wの検出結果に基づいて、接線T5と直線SL2との関係が平行の範囲から外れたか否かを判定し、判定結果に基づいて駆動部84を制御すればよい。
(変形例2)
以下、変形例2に係る表示システム1Aについて、図6を参照して説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例の表示システム1Aでは、出射部E2は、表示デバイス2を含む一方で、中間反射部材90を含んでいない。つまり、表示デバイス2の表示面21から出射した光は、中間反射部材90を経由せずに直接、最終反射面51に到達する。表示デバイス2は、表示面21の法線上に最終反射面51が位置する向きに配置されている。
本変形例では、実施形態と比較して、表示システム1Aの構成を簡略化できる。
(変形例3)
以下、変形例3に係る表示システム1Bについて、図7を参照して説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。図7は、表示システム1Bの要部を上から見た図である。なお、図7では、図示の都合上、表示デバイス2と後述の中間反射部材90とを上から見て互いに異なる位置に配置しているが、実際には、表示デバイス2は、上から見て中間反射部材90と重なる位置に配置されている。
本変形例では、上から見て、最終反射部材50は、運転席の正面に配置されている。そして、最終反射部材50は、光を後ろ(X軸の負の側)に反射する向きに配置されている。
また、上から見て、最終反射面51の中心C5と、中間反射面91の中心C9と、表示面21の中心C2とは、同一直線上に位置している。最終反射面51の接線T5、中間反射面91の接線T9及び表示面21の幅方向に延びる直線SL2は、互いに平行である。
また、上から見て、最終反射面51の中心C5と表示面21の中心C2とを結ぶ直線SL12は、最終反射面51の接線T5に対して90度未満の鋭角θ5をなして交差する。なお、図7では、直線SL12は、光路を表す点線と重なっている。
本変形例では、ウィンドシールド102の後方のスペースのうち、左右方向における中心付近のスペースを空けることができる。
なお、上から見て、ウィンドシールド102の中心C10と表示面21の中心C2とを結ぶ直線が、ウィンドシールド102の中心C10と中間反射面91の中心とを結ぶ直線SL13に対して平行であってもよい。
なお、本変形例において、変形例2のように、中間反射部材90を省略する場合は、上から見て、ウィンドシールド102の中心C10と表示面21の中心C2とを結ぶ直線が、前後方向に延びる直線SL11に対して平行であることが好ましい。つまり、図7の中心C9の位置に、中心C2が位置することが好ましい。
(変形例4)
以下、変形例4に係る表示システム1Bについて、図8を参照して説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。図8は、表示システム1Bの要部を上から見た図である。
本変形例では、上から見て、表示面21の中心C2を通り自動車100の前後方向に延びる直線SL20は、最終反射面51の中心C5を通り自動車100の前後方向に延びる直線SL10よりも観察者に近い。つまり、上から見て、表示デバイス2の表示面21は、直線SL10に対して観察者寄りであり、最終反射面51と対向するように配置される。例えば、最終反射面51の中心C5の法線が、表示面21の直線SL2と直交する直線と一致又は実質的に一致するように、表示面21は配置される。本変形例では、表示デバイス2の表示面21は、直線SL20が最終反射面51及び中間反射部材90と交差する位置に配置される。
このような本変形例の表示システム1Bでは、最終反射面51での光の反射角度を小さくすることができるため、光学性能の低下を抑制することができる。したがって、最終反射面51に映る映像の画質の低下を抑制することができるため、観察者は、最終反射面51に映る映像を正しく認識することができる。
(実施形態2)
実施形態に係る表示システム1Cについて説明する。
(1)構成
図9は、実施形態2に係る車両としての自動車100の一例を示す模式図である。図10は、自動車100の車室内を自動車100の水平方向左側から見た図である。図11は、実施形態2に係る撮像装置により撮像される自動車100後方における撮像範囲を説明するための図である。図12は、実施形態2に係る表示装置による画像処理前後、および、画像処理過程の画像を示す説明図である。図13は、実施形態2に係る表示システム1Cの機能構成の一例を示すブロック図である。
なお、以降の説明において特に断らない場合には、前後左右の方向は、自動車100の進行方向を前方とした場合の方向とし、これは自動車100のユーザにとっての前後左右の方向ともいえる。
これらの図に示されるように、自動車100は、表示システム1Cを備える。表示システム1Cは、最終反射部材50と、表示デバイス2と、撮像装置71x〜73xとを備える。
最終反射部材50は、自動車100のウィンドシールド102の上部、および、自動車100の左右方向の中央付近に配置されている。最終反射部材50は、ウィンドシールド102に対して姿勢を変更自在に支持されている。このため、最終反射部材50は、自動車100の運転者(観察者ともいう)の顔の位置に応じた姿勢に調整されることで、表示デバイス2から投影された映像を、自動車100の運転者の顔に向けて反射することができる。投影された映像は、最終反射部材50に反射されることで拡大されるため、運転者は、拡大された映像を視認することができる。運転者は、自動車100の車室AR1内にいる人の一例であってもよい。
表示デバイス2は、最終反射部材50を介して運転者の顔を撮像し、運転者の顔が撮像された画像に応じて変更された映像を最終反射部材50に投影する。表示デバイス2は、自動車100の後方の画像を撮像装置71x〜73xのそれぞれから取得し、取得した複数の画像に基づいて生成された合成映像80xを最終反射部材50に投影する。これにより、運転者は、最終反射部材50を見ることで、自動車100の後方の映像を視認することができる。表示デバイス2は、自動車100の車室AR1の天井101の最終反射部材50よりも自動車100後方側の位置に配置され、最終反射部材50の後方から前方に向けて映像を投影する。表示デバイス2は、例えば、運転者の上方の空間に配置されるオーバーヘッドコンソールの一部を構成していてもよい。
撮像装置71xは、自動車100の左側ドア付近に固定され、自動車100の左側後方の撮像範囲R21を撮像するカメラである。撮像装置71xは、自動車100の左側後方の撮像範囲R21を撮像して画像81xを生成する。撮像装置71xが生成した画像81xを左側後方画像ともいう。
撮像装置72xは、自動車100の右側ドア付近に固定され、自動車100の右側後方の撮像範囲R22を撮像するカメラである。撮像装置72xは、自動車100の右側後方の撮像範囲R22を撮像して画像82xを生成する。撮像装置72xが生成した画像82xを右側後方画像ともいう。
撮像装置73xは、自動車100のリアバンパー又はトランクフード付近に固定され、自動車100の中央後方の撮像範囲R23を撮像するカメラである。撮像装置73xは、自動車100の中央後方の撮像範囲R23を撮像して画像83xを生成する。撮像装置73xが生成した画像83xを中央後方画像ともいう。
このように、撮像装置71x〜73xのそれぞれは、自動車100の後方を撮像する向きで自動車100に配置されている。撮像装置71x〜73xにより撮像範囲R21〜R23が撮像されるため、各撮像範囲R21〜R23よりも広い撮像範囲R20が、撮像装置71x〜73xにより撮像されることとなる。
なお、撮像装置71xおよび73xの撮像範囲R21およびR23の一部が重なっており、撮像装置72x及び73xの撮像範囲R22およびR23の一部が重なっている。そのため、左側後方画像と中央後方画像との一部には共通の対象が映っている。また、右側後方画像と中央後方画像との一部には共通の対象が映っている。
撮像装置71x、72x及び73xのそれぞれは、互いに異なる撮像条件の下で撮像することで画像を生成する。具体的には、撮像装置71x、72x及び73xのそれぞれは、互いに異なる位置に配置され、また、互いに異なる方向を向いて配置されており、例えば60fpsで画像を取得する。また、撮像装置71x、72x及び73xのそれぞれの光学系の光学特性は異なっていてもよい。
表示デバイス2は、各撮像装置71x〜73xから画像81x〜83xを取得し、取得した画像81x〜83xに基づいて、1枚の合成映像80xを生成し、生成した合成映像80xから所定の範囲の部分映像84xを切り出す画像処理を行う。具体的には、表示デバイス2は、取得した画像81x〜83xから得られる広い撮像範囲R20の合成映像80xのうち、運転者の顔の位置(以下、顔位置ともいう)に応じて、最終反射部材50を自動車100のルームミラーと仮定したときにルームミラーを介して運転者が見ることができると推定される範囲の映像、あるいは、当該範囲に基づく所定の範囲の映像を切り出して、切り出した部分映像84xを出力する。表示デバイス2における切り出し処理の詳細な説明は、後述する。
次に、図14および図15を用いて、表示デバイス2の具体的な構成と、最終反射部材50、表示デバイス2および運転者の位置関係とについて説明する。図14は、図10における領域Re1を拡大した拡大図である。図15は、上面視における表示システム1Cの各構成要素と自動車の運転者との位置関係を説明するための図である。
最終反射部材50は、ウィンドシールド102に対して支持部材11で支持されている。支持部材11は、一端がウィンドシールド102に固定されており、他端が最終反射部材50に対して所定の角度範囲で回転自在に接続されている。支持部材11の他端は、例えば、最終反射部材50の裏面の中央付近にボールジョイントにより接続されている。これにより、最終反射部材50は、その姿勢を自在に変更されうる。また、これにより、最終反射部材50の姿勢の変更によって、最終反射部材50の中心(重心)の位置が変化することが低減される。
表示デバイス2は、筐体21xと、表示部30と、撮像部40xと、制御部50xとを備える。表示デバイス2は、さらに、赤外光源60xを備えていてもよい。
筐体21xは、車室AR1の天井101に固定されており、内部に表示部30、撮像部40xおよび制御部50xを収納する。筐体21xには、さらに、赤外光源60xが配置されている。筐体21xは、第1筐体の一例であってもよい。
表示部30は、最終反射部材50に向けて映像を投影する。表示部30は、具体的には、最終反射部材50が取り得る全ての姿勢において存在すると想定される領域の全体に向けて映像を投影してもよい。これにより、最終反射部材50の姿勢が変更されても最終反射部材50の全体に亘って表示部30による映像が投影されるため、運転者は、最終反射部材50の全体に亘って表示される映像を視認することができる。表示部30は、例えば光源装置と、液晶パネルと、を備えている。液晶パネルは、光源装置の前方に配置されている。光源装置は、液晶パネルのバックライトとして用いられる。光源装置は、いわゆる面光源である。光源装置は、発光ダイオード又はレーザダイオード等の固体発光素子を用いた、サイドライト方式の光源装置である。光源装置からの光線は液晶パネルを透過して表示部30の表示面から出射される。表示部30の表示面から出射される光線で画像が形成される。表示面から出力される光線は、液晶パネルに表示された画像を反映した光線である。図14および図15では、表示部30の表示面に表示される画像の一点(ある画素点)から出力される光線の進行経路を点線で模式的に表している。
撮像部40xは、表示部30によって映像が投影される領域を撮像する。撮像部40xは、具体的には、最終反射部材50を含む領域を撮像することで、表示部30によって映像が投影される領域を撮像する。撮像部40xは、例えば、所定の画角の撮像範囲R10を撮像する。撮像部40xは、撮像部40xの光軸が表示部30により投影される映像の光路の一部に沿う姿勢で配置されている。撮像部40xは、具体的には、筐体21xの内部において、表示部30により投影される映像の光路よりも上方に配置され、上面視において当該光路上に配置される。より具体的には、撮像部40xは、上面視において、表示部30の光軸上に配置される。撮像部40xは、最終反射部材50を介して運転者の顔位置が存在することが推測される領域に合焦するように光学系が予め設計されたカメラモジュールで実現されてもよい。また、撮像部40xは、市販のカメラモジュールと、最終反射部材50を介して運転者の顔位置が存在することが推測される領域に当該カメラモジュールが合焦するように設定された光学系とにより実現されてもよい。最終反射部材50と撮像部40xとの間の距離は、最終反射部材50の焦点距離よりも短い距離に設定されている。
なお、撮像範囲R10は、図14および図15において、最終反射部材50の範囲内であるが、最終反射部材50の範囲内を含んでいればよく、図14および図15で示す範囲に限らない。
このため、映像を運転者に投影するための投影光学系の光軸Ax1は、運転者の顔を撮像するための撮像光学系の光軸Ax2に対して、自動車100の左右方向から見た場合に沿って配置されており、上面視において一致している。なお、投影光学系は、最終反射部材50および表示部30を含み、撮像光学系は、最終反射部材50および撮像部40xを含む。
図16〜図18は、実施形態2に係る表示システムの運転者の視野と表示面に表示される画像の虚像との関係を示す概念図である。実施形態2では、図15に示すように運転者は最終反射部材50に正対していないが、ここでは説明の便宜上、運転者は最終反射部材50に正対しているものとする。
表示システム1Cでは、図16に示すように、運転者から離れた空間の仮想平面上での、画像p1全体に対する虚像300の大きさが、最終反射部材50で決まる運転者の眼201の視野VF2(図16参照)よりも大きくなるように、最終反射部材50の大きさを決めてある。ここにおいて、表示システム1Cでは、上記の仮想平面上において視野VF2の外周線が虚像300の外周線の内側に位置するように、最終反射部材50の大きさを決めてある。これにより、表示システム1Cは、最終反射部材50を見る運転者(対象者)の眼201の移動に伴って反射映像p2の位置が変わるように構成されている(図17および図18参照)。ここにおいて、反射映像p2は、画像p1の縦方向と横方向とのいずれの方向においても画像p1よりも画素数が少ない。
以下では、説明の便宜上、運転者の2つの眼201を、互いに区別するために右眼201R、左眼201Lと称することもある。
図17の(a)は、運転者の右眼201Rと左眼201Lとを結ぶ直線の中点と表示面31の中心とが一つの鉛直面VPの面内に位置している場合の概念図である。図18の(a)は、運転者の右眼201Rと左眼201Lとを結ぶ直線の中点が図17の(a)における位置から右方向に移動して右眼201Rがアイボックス203xの右端まで移動した場合の概念図である。ここでいう「アイボックス203x」は、運転者が画像を欠けることなく視認できる範囲である。より詳細には、「アイボックス203x」は、眼201の視野の全体に虚像300の一部が映る視点範囲である。表示システム1Cでは、運転者の眼201がアイボックス203xの範囲内にあれば反射映像p2は、図17の(b)及び図18の(b)に示すように画像p1内に収まる。
また、図17の(a)および図18の(a)に示すように、最終反射部材50で画像p1の一部を反射することによって形成される虚像301は、表示面31に表示される画像p1の全体を、最終反射部材50を拡大した大きな凹面鏡で反射したと仮定した場合に形成される虚像300の一部になる。ここで、図17の(a)では、上下方向及び左右方向のそれぞれで全体の虚像300の中央部が、運転者に見える虚像301となる。虚像301は、表示面31の一部の領域210xに表示されている映像である。
図17の(a)では、虚像300のうち、運転者の右眼201Rで見える虚像301の範囲を示している。運転者の左眼201Lで見える虚像301の範囲は、鉛直面VPを基準として右眼201Rで見える虚像301の範囲と面対称になる。
図18の(a)に示すように、運転者の右眼201Rと左眼201Lとを結ぶ直線の中点が図17の(a)に示す位置に比べて右方向に移動すると、運転者の右眼201Rで見える虚像301の範囲が左方向に移動する。図18の(a)では、運転者の右眼201Rがアイボックス203xの右端203Rに位置しており、運転者の右眼201Rで見える虚像301の左端301Lが虚像300の左端300Lに一致している。
図18の(a)とは逆に、運転者の右眼201Rと左眼201Lとを結ぶ直線の中点が図17の(a)に示す位置に比べて左方向に移動すると、運転者の左眼201Lで見える虚像301の範囲が右方向に移動する。運転者の左眼201Lがアイボックス203xの左端203Lに位置するまで移動すると、運転者の左眼201Lで見える虚像301の右端301Rが虚像300の右端300Rに一致する。
したがって、表示システム1Cでは、運転者が顔を左右方向に動かした場合、運転者がインサイドミラーを見る場合と同様、運転者の顔の移動に伴って、右眼201R及び左眼201Lでそれぞれ見える虚像301の範囲が変化する。ここにおいて、運転者の右眼201R及び左眼201Lがアイボックス203x内にあれば、画像が欠けて見えることがない。
また、表示システム1Cでは、運転者が顔を上下方向に動かした場合も、運転者がインサイドミラーを見る場合と同様、運転者の顔の移動に伴って、右眼201R及び左眼201Lでそれぞれ見える虚像301の範囲が変化する。すなわち、運転者の顔が上側に移動すれば、右眼201R及び左眼201Lでそれぞれ見える虚像301の範囲が下側に移動し、運転者の顔が下側に移動すれば、右眼201R及び左眼201Lでそれぞれ見える虚像301の範囲が上側に移動する。ここにおいて、運転者の右眼201R及び左眼201Lがアイボックス203x内にあれば、画像が欠けて見えることがない。
なお、本実施形態では、画像p1は、運転者の顔位置が左右方向に移動した前後で変更されてもよい。
表示デバイス2の説明に戻る。制御部50xは、撮像部40xにより撮像された画像に応じて、表示部30に自動車100の後方の映像を表示させる表示制御を行う。具体的には、制御部50xは、撮像部40xにより撮像された画像に応じて自動車100の後方の映像(合成映像80x)の一部を切り出し、合成映像80xから切り出された一部の領域の部分映像84xを上記で説明した画像p1として表示部30に表示させる。
制御部50xは、例えば、プロセッサ、および、当該プロセッサにより実行されるプログラムを格納しているメモリにより構成される。この場合の制御部50xは、プロセッサによりプログラムが実行されることにより、上記で説明した制御部50xの機能を実現する。つまり、制御部50xは、ソフトウェアにより実現される。また、これに限らずに、制御部50xは、例えば、制御部50xの機能をハードウェアで実現する専用回路により構成されていてもよい。
赤外光源60xは、赤外光を発光する光源であり、例えば、近赤外線LED(Light Emitting Diode)である。赤外光源60xは、筐体21xの前側に配置され、最終反射部材50に向けて赤外光を照射する。
次に、制御部50xによる表示制御の具体的な処理について以下に説明する。
制御部50xは、撮像装置71x〜73xによりそれぞれ撮像された画像81x〜83xを、各撮像装置71x〜73xから取得する。制御部50xは、異なる複数の第1タイミング(例えば60fps)で撮像装置71x〜73xのそれぞれにおいて撮像された画像を取得する。また、制御部50xは、撮像部40xにより撮像された画像を撮像部40xから取得する。制御部50xは、異なる複数の第2タイミング(例えば60fps)で撮像部40xにおいて撮像された画像を取得する。なお、複数の第1タイミングと、複数の第2タイミングとは、互いに同じタイミングであってもよいし、互いに異なるタイミングであってもよい。
制御部50xは、撮像部40xにより撮像された画像に基づいて、車室AR1内における運転者の顔位置を特定する。制御部50xは、具体的には、撮像部40xから取得した複数の画像のそれぞれについて顔認識処理を実行することで、最終反射部材50に対する運転者の複数の第2タイミングのそれぞれにおける顔位置を特定する。これにより、制御部50xは、最終反射部材50の基準位置から顔位置まで方向を逐次的に特定することができる。よって、制御部50xは、基準位置から顔位置までの方向の変位を特定することができる。基準位置は、例えば、最終反射部材50の中央の位置である。なお、制御部50xは、運転者の眼201の位置を検出してもよいし、運転者の頭部の位置を検出することで運転者の顔位置を推定してもよい。
また、制御部50xは、顔認識処理によって、運転者の両眼201の間隔を検出することで、運転者の前後方向における顔位置を逐次的に特定してもよい。これにより、制御部50xは、運転者の顔位置の前後方向における変位を特定することができる。
なお、制御部50xは、複数の第2タイミングのそれぞれにおける顔位置を特定しなくてもよく、複数の第2タイミングのうちの一部の複数のタイミングのそれぞれにおける顔位置を特定してもよい。つまり、制御部50xは、撮像部40xから取得した複数の画像について顔位置を特定するための処理を行わなくてもよく、撮像順で所定の枚数おきに選択された画像について顔位置を特定するための処理を行ってもよい。
また、制御部50xは、顔認識処理によって、運転者の目が向いている方向(視線方向)を検出することで、運転者の視線方向を逐次的に特定してもよい。これにより、制御部50xは、運転者の視線方向の変位を特定することができる。
制御部50xは、上述したように、画像81x〜83xを合成することで、合成映像80xを生成する。制御部50xは、複数の第1タイミングのそれぞれで取得された3枚の画像81x〜83xのセットについて、合成映像80xを生成する。
なお、制御部50xは、複数の第1タイミングのそれぞれにおいて取得された3枚の画像81x〜83xのセットについて合成映像80xを生成しなくてもよく、複数の第1タイミングのうちの一部の複数のタイミングのそれぞれにおける3枚の画像81x〜83xのセットについて合成映像80xを生成してもよい。つまり、制御部50xは、取得した複数セットの画像81x〜83xについて合成映像80xを生成する処理を行わなくてもよく、撮像順で所定数のセットおきに選択されたセットについて合成映像80xを生成する処理を行ってもよい。
次に、制御部50xは、検出した運転者の顔位置に応じて、対象画像としての合成映像80xのうち当該顔位置に対応する範囲を切り出す画像処理を行う。具体的には、制御部50xは、検出した顔位置に応じて、当該顔位置が検出されたタイミングに対応するタイミングで撮像された3枚の画像81x〜83xのセットについて生成された合成映像80xのうち当該顔位置に対応する範囲を切り出す画像処理を行う。なお、3枚の画像81x〜83xのセットが撮像されたタイミング(以下、撮像タイミング)は、顔位置が検出されたタイミング(以下、位置検出タイミング)のうち撮像タイミングに最も近いタイミングが対応していることとして処理されてもよいし、顔位置が検出されたタイミング(以下、位置検出タイミング)のうち撮像タイミングの後のタイミングで最も近いタイミングが対応していることとして処理されてもよい。そして、制御部50xは、画像処理後の部分映像84xを表示部30に表示させる。
制御部50xは、検出した運転者の顔位置が自動車100の前後方向に直交する第1方向に沿って移動した場合、合成映像80xから画像を切り出す範囲を顔位置が移動する前の範囲よりも自動車100の第1方向の反対の第2方向に移動させる。例えば、運転者の顔位置が第1方向として右方向に移動した場合の例について図19〜図22を用いて説明する。
図19は、通常の運転中における顔位置で制御部50xが画像を切り出す範囲を説明するための図である。図20は、移動した後の顔位置で制御部50xが画像を切り出す範囲を説明するための図である。図21は、顔位置が移動する前後における制御部50xによる画像処理の違いについて説明するための図である。図22は、図20の状態よりもさらに同じ方向に顔位置が移動した場合における制御部50xによる画像処理について説明するための図である。
なお、図19および図20における(a)は、自動車100の車室内の前側を上側から見た平面図であり、(b)は、自動車100を上側から見た平面図において撮像装置71x〜73xにより撮像された撮像範囲R10のうち表示部30に表示される画像の範囲を示す図である。図21の(a1)および(a2)は、図19の状態における制御部50xによる画像処理を説明するための図であり、(a1)は、合成映像80xから部分映像84xを切り出す処理例を示し、(a2)は、切り出した部分映像84xを示す図である。図21の(b1)および(b2)は、図20の状態における制御部50xによる画像処理を説明するための図であり、(b1)は、合成映像80xから部分映像86xを切り出す処理例を示し、(b2)は、切り出した部分映像86xを示す図である。図19および図20における一点鎖線Xは、自動車100の前後方向を示す。
顔位置が移動する前として、図19の(a)に示されるように、例えば、ステアリングホイール102xを握って通常の運転を行っており、自動車100の運転席101xの左右方向の中央に着座しているものとする。この場合、運転者が通常の運転中の顔位置P1xにおいて、最終反射部材50をルームミラーと仮定した場合に運転者に視認されるルームミラー越しの視界の中心の方向D1xが自動車100の後方となる画像が表示部30に表示されるように、制御部50xが切り出す範囲が調整されているものとする。つまり、この場合、図19の(b)に示されるように、制御部50xは、自動車100の最終反射部材50の中心位置(左右方向の中心位置)を起点とし、かつ、広い撮像範囲R20のうちの方向D1xを中心とする角度範囲θ10に対応する範囲91x(図21の(a1)参照)を、合成映像80xを切り出す範囲として決定する。角度範囲θ10は、最終反射部材50の中心位置を起点とし、方向D1xを中心とする左右それぞれの角度範囲θ11を合わせた角度範囲である。
なお、この場合の表示部30は、最終反射部材50をルームミラーとした場合に、最終反射部材50を顔位置P1xにある運転者が見た場合に、自動車100の真後ろの範囲が表示面に反射される角度となるように、角度が調整されている。つまり、運転者の顔位置P1xから最終反射部材50の左右方向の中心の位置P3xまでの線と位置P3xにおける最終反射部材50の表面とがなす角の角度は、方向D1xと最終反射部材50の表面とがなす角の角度と略等しい。
これにより、図21の(a1)に示されるように、制御部50xは、合成映像80xから、決定された範囲91xを切り出し、切り出すことで得られた図21の(a2)に示される部分映像84xを表示部30に出力する。なお、部分映像84xは、運転者が顔位置を移動させる前において制御部50xにより画像処理された後に出力される画像p1の一例であってもよい。このため、運転者には、最終反射部材50越しに反射映像85xが視認される。反射映像85xは、図17の(b)に示す反射映像p2の一例であってもよい。
次に、顔位置が移動した場合について図20を用いて説明する。
図20の(a)に示されるように、顔位置が移動した後の場合として、例えば、運転者が運転席101xの右方向に顔を移動させた場合を考える。この場合、運転者の顔位置P2xにおいて、最終反射部材50をルームミラーと仮定した場合に運転者に視認されるルームミラー越しの視界の中心の方向D2xは、方向D1xよりも左よりの方向となる。この場合、図20の(b)に示されるように、制御部50xは、自動車100の最終反射部材50の中心位置(左右方向の中心位置)を起点とし、かつ、広い撮像範囲R20のうちの方向D2xを中心とする角度範囲θ20に対応する範囲92x(図21の(a1)参照)を、合成映像80xを切り出す範囲として決定する。角度範囲θ20は、最終反射部材50の中心位置を起点とし、方向D2xを中心とする左右それぞれの角度範囲θ11を合わせた角度範囲である。
なお、合成映像80xを切り出す範囲92xは、方向D2xを中心とする角度範囲θ20に限らずに、運転者の顔が移動する前に切り出す基準の第1方向よりも、顔が移動した方向の反対方向に移動させた第2方向を基準とする角度範囲であればよい。
これにより、図21の(b1)に示されるように、制御部50xは、合成映像80xから、決定された範囲93xを切り出し、切り出すことで得られた図21の(b2)に示される部分映像86xを表示部30に出力する。このように、制御部50xは、顔位置P1xから顔位置P2xに顔位置が移動した場合、つまり、特定した顔の位置が自動車100の左右方向の一方の方向に移動した場合、顔の位置が移動する前に表示部30に表示させていた部分映像84xよりも、自動車100後方の合成映像80xにおいて自動車100の左右方向の他方の方向側にずれた一部の領域の部分映像86xを表示部30に表示させる。なお、部分映像86xは、運転者が顔位置を移動させた後において制御部50xにより画像処理された後に出力される画像p1の一例であってもよい。このため、運転者には、最終反射部材50越しに反射映像87xが視認される。反射映像87xは、図18の(b)に示す反射映像p2の一例であってもよい。
表示システム1Cでは、最終反射部材50が表示部30の表示面31に表示される画像のうちの一部の領域のみを反射映像p2として反射するため、運転者は顔位置を上下左右の何れの方向に移動しても、最終反射部材50を介して自動車100の後方のうちの顔位置を移動させた方向と反対側の映像を視認することができる上、さらに、制御部50xは、運転者の顔の上下左右方向の位置に応じた表示制御を行う。このため、運転者は、少し顔位置を、自動車100の前後方向に直交する第1方向に移動するだけで自動車100の後方の映像のうち、顔位置を移動させた側とは反対の第2方向における映像を視認しやすくすることができる。また、顔位置の移動に対応する視認範囲の変化と、制御部50xの運転者の顔の上下左右方向の位置に応じた表示制御とを組み合わせることにより、通常の鏡を見た場合の視認範囲の変化を精度よく再現した表示制御を行うこともできる。
次に、顔位置がさらに右方向に移動した場合の画像処理について図22を用いて説明する。
制御部50xは、図20の(a)に示す位置P2xからさらに顔位置が右方向に移動すると、図20の(b)の角度範囲θ20よりもさらに左側の角度範囲を切り出す必要がある。この場合、図22の(a)に示すように、合成映像80xの左端をはみ出した範囲93xを、合成映像80xを切り出す範囲として決定することとなる。このように、制御部50xは、運転者の顔位置が自動車100の左右方向の一方に移動した場合、他方の方向側にずれた一部の領域の部分映像88xが、自動車100後方の合成映像80xの左右方向の他端の境界を含むことになると判断した場合、図22の(b)に示すように、警告表示94xを含む部分映像88xを表示部30に表示させることで、警告表示する。警告表示94xは、部分映像88xのうち反射映像89x内の領域に配置される。また、制御部50xは、人の顔の位置がアイボックスから外れたと判断した場合に、表示部30に警告表示してもよい。
なお、警告表示94xは、運転者の顔位置が左右方向の一方側に行きすぎていることを示すメッセージを含んでいてもよいし、運転者の顔位置を他方側に戻すことを運転者に促すメッセージを含んでいてもよい。ここでいうアイボックスは、運転者が画像を欠けることなく視認できる範囲である。
また、図22の例では、部分映像88xは、合成映像80xの左端を表示する、つまり、左端よりも左側には映像を表示しない例を示したが、これに限らない。部分映像は、例えば、その左端が合成映像80xの左端となるように生成されてもよく、さらに警告表示が重畳されるように生成されてもよい。
なお、図19〜図22を用いて、運転者の顔が右方向に移動する場合を例に説明したが、左方向、上方向、下方向などのように自動車100の前後方向に直交する第1方向に移動する場合も同様に説明できる。この場合、切り出す範囲は、第1方向の反対の第2方向に移動することとなる。具体的には、第1方向が左方向、上方向、下方向である場合、第2方向は、それぞれの反対方向である右方向、下方向、上方向となる。なお、第1方向および第2方向は、上方向、下方向、左方向および右方向に限らずに、前後方向に直交する仮想面上の方向であればよい。
なお、制御部50xは、運転者の視線方向に応じて、対象画像としての合成映像80xのうち当該顔位置に対応する範囲を切り出す画像処理を行ってもよい。この場合、制御部50xは、顔位置に応じて画像処理する場合と同様に、特定した視線方向の先が自動車100の左右方向の一方の方向に移動した場合、視線方向が移動する前に表示部30に表示させていた部分映像84xよりも、自動車100後方の合成映像80xにおいて自動車100の左右方向の他方の方向側にずれた一部の領域の部分映像86xを表示部30に表示させる。このため、制御部50xは、運転者の視線の先の左右方向の位置に応じた表示制御を精度よく行うことができる。
また、制御部50xは、運転者の顔位置が自動車100の前方向に移動するほど拡大した部分映像を表示部30に表示させてもよい。つまり、制御部50xは、運転者の顔位置が自動車100の前方向に移動した場合、顔の位置が移動する前に表示部30に表示させていた部分映像よりも、拡大した部分映像を表示部30に表示する。また、制御部50xは、運転者の顔位置が自動車100の後方向に移動した場合、顔の位置が移動する前に表示部30に表示させていた部分映像よりも、縮小した部分映像を表示部30に表示する。このため、制御部50xは、運転者の顔の前後方向の位置に応じた表示制御を精度よく行うことができる。
なお、制御部50xは、上述した画像処理の他に、撮像装置71x〜73xの三次元空間におけるカメラの位置及び姿勢を示す外部パラメータと、カメラの焦点距離、収差、画像中心等の光学系の特性を示す内部パラメータとを調整する処理(つまり、校正)を行ってもよい。
(2)動作
次に、表示システム1Cの動作について説明する。
図23は、実施形態2に係る表示システム1Cの動作の一例を示すシーケンス図である。図24は、実施形態2に係る制御部50xにおける画像処理の一例を示すフローチャートである。
表示システム1Cでは、図23に示すように、撮像装置71x〜73xのそれぞれは、撮像により得られた画像を制御部50xに出力する(S1)。また、撮像部40xは、撮像により得られた画像を制御部50xに出力する(S2)。
制御部50xは、撮像部40xから取得した画像を用いて運転者の顔位置を特定し(S3)、撮像装置71x〜73xにより得られた画像に対して、制御部50xが検出された顔位置に応じた画像処理を実行し(S4)、画像処理後の画像を表示部30に出力する。なお、ステップS4の画像処理の詳細は後述する。
表示部30は、制御部50xから出力された画像を取得して、当該画像を表示する(S5)。
表示システム1Cでは、ステップS1〜S5の処理を繰り返し実行することで、リアルタイムに、同じタイミングで撮像装置71x〜73xで撮像された3枚の画像81x〜83xを、検出した顔位置に応じて画像処理し、画像処理後の画像を表示部30に表示する。
次に、制御部50xにおける画像処理について図24を用いて説明する。
画像処理において、制御部50xは、撮像装置71x〜73xにより撮像された3枚の画像81x〜83xを取得する(S11)。
次に、制御部50xは、3枚の画像81x〜83xを合成し、合成映像80xを得る(S12)。
そして、制御部50xは、特定した顔位置に応じて、合成映像80xのうち顔位置に対応する範囲91xの部分映像84xを切り出す(S13)。
制御部50xは、切り出した後の部分映像84xを表示部30に出力する(S14)。
なお、顔位置を検出する処理を実施する頻度は、画像処理の頻度よりも少なくてもよい。自動車100が走行中においては、自動車100の周囲の景色は変化し続けるため撮像装置71x〜73xにより得られた最新の画像を使用する必要があるが、顔位置が移動する頻度は少なく、また、顔位置が移動する速度は、自動車100が走行する速度よりも遅いためである。
また、顔位置の検出は複数フレームの顔位置の検出結果を平均した値としてもよい。これにより振動による映像のブレを低減することができる。
(3)効果など
車室内で運転者の視線を検出しようとすると、運転者の体格によって運転者の顔の位置は、前後方向および上下方向に変わりうる。例えば、脚が長い運転者は脚が短い運転者よりも後ろ方向に運転席の位置を変更するため、脚が長い運転者の顔は、脚が短い運転者よりも後ろに位置することとなる。また、胴が長い運転者の顔は、胴が短い運転者よりも上に位置することとなる。
このため、運転者の視線に応じて映像の表示制御が行われる従来の車両映像システムにおいて人の視線を検出するために、車両の利用者の顔の位置を、カメラを用いて検出する従来の顔位置検出装置を用いる場合、従来の顔位置検出装置では、カメラがダッシュボードに固定された状態で配置されているため、カメラの画角を広角に設定しておかないと、運転者が変更された場合に運転者の顔を撮像することができない。また、カメラの画角を広角にして1枚の画像で広い撮像範囲を撮像した場合、得られた画像に対して所定の割合よりも小さい領域に運転者の顔が映り込むこととなるため、高性能のカメラを用いないと得られた画像から精度よく運転者の顔の位置を特定することが難しい。
そこで、本実施形態に係る表示システム1Cは、自動車100の車室AR1内において自動車100の後方の映像を表示する表示システムであって、最終反射部材50と、表示部30と、撮像部40xと、制御部50xとを備える。最終反射部材50は、姿勢を変更自在である。表示部30は、最終反射部材50よりも後方側に配置され、最終反射部材50に向けて映像を投影する。撮像部40xは、表示部30によって映像が投影される領域を撮像する。制御部50xは、撮像部40xに撮像された画像に応じて、表示部30に自動車100の後方の映像を表示させる表示制御を行う。撮像部40xは、撮像部40xの光軸が表示部30により投影される映像の光路の一部に沿う姿勢で配置されている。
これによれば、撮像部40xは、表示部30により映像が投影される領域を撮像するため、表示部30から投影され、かつ、最終反射部材50に反射された映像を車室AR1内において視認している運転者の顔を撮像することができる。特に、撮像部40xは、その光軸が表示部30により投影される映像の光路の一部に沿う姿勢で配置されているため、車室AR1内の運転者が映像を視認できるように自分の目の位置に合わせて最終反射部材50の姿勢を変更すると、撮像部40xの撮像範囲R10に運転者の顔が含まれることとなる。よって、撮像部40xの画角を所定の角度範囲よりも広い角度範囲に変更しなくても運転者の顔を撮像しやすくすることができ、運転者の顔の位置を精度よく特定することができる。このため、運転者の顔の位置に応じた表示制御を精度よく行うことができる。
また、本実施形態に係る表示システム1Cにおいて、撮像部40xは、最終反射部材50よりも自動車100の後方側に配置され、最終反射部材50を含む領域を撮像する。このため、撮像部40xは、最終反射部材50を介して運転者の顔を撮像することができる。
また、本実施形態に係る表示システム1Cにおいて、最終反射部材50は、表示部30により投影される映像のうちの一部の領域のみを反射する。これにより、表示システム1Cは、最終反射部材50を見る人の視点の移動に伴って、人に視認させる反射映像p2の位置が変わるように構成されている。これにより、表示システムは、表示する画像を見る人に立体感を与えることができる。
また、本実施形態に係る表示システム1Cにおいて、最終反射部材50は、自動車100のウィンドシールド102に配置され、表示部30は、車室AR1の天井101に配置される。このため、表示部30を車室AR1内の邪魔になりにくい天井に配置することができる。また、最終反射部材50と表示部30とを分離した構成とするため、これらが一体に配置される構成よりもウィンドシールド102に配置される構成要素のサイズをコンパクトにすることができる。
また、本実施形態に係る表示システム1Cにおいて、撮像部40xは、車室AR1の天井101に配置され、表示システム1Cは、さらに、表示部30と撮像部40xとを収納する筐体21xを備える。このため、表示部30と撮像部40xとを車室AR1内の邪魔になりにくい天井に配置することができる。また、最終反射部材50と撮像部40xとを分離した構成とするため、これらが一体に配置される構成よりもウィンドシールド102に配置される構成要素のサイズをコンパクトにすることができる。
また、本実施形態に係る表示システム1Cにおいて、撮像部40xは、車室AR1の天井101に配置され、表示システム1Cは、さらに、表示部30と撮像部40xとを収納する筐体21xと、筐体21xに配置され、最終反射部材50に向けて赤外光を照射する赤外光源60xとを備える。このため、運転者の顔を撮像部40xで撮像するための赤外光を、運転者の顔に向けて照射することができる。これにより、撮像部40xは、昼間に限らずに夜間でも人の顔を効果的に撮像することができる。
(変形例1)
上記実施形態に係る表示システム1Cでは、撮像部40xは、筐体21xの内部において、表示部30により投影される映像の光路よりも上方に配置され、上面視において当該光路上に配置されるとしたが、これに限らない。例えば、図25に示す表示システム1CAのように、表示部30を含む投影光学系の光軸Ax11と、撮像部40xを含む撮像光学系の光軸Ax12とが略一致するように、表示部30および撮像部40xが配置されていてもよい。なお、図25は、変形例1に係る図10における領域Re1に対応する領域を拡大した拡大図である。
具体的には、表示システム1CAが備える表示デバイス20Aは、実施形態2に係る表示デバイス2の構成に加えて、光学フィルタ22Aを備える点が異なる。光学フィルタ22Aは、筐体21xに収納される。光学フィルタ22Aは、赤外光を透過し、可視光を反射する。光学フィルタ22Aは、例えば、ビームスプリッタ、分光フィルタなどにより実現される。
光学フィルタ22Aは、例えば、光学フィルタ22Aの上方に配置される表示部30により投影される可視光からなる映像を最終反射部材50に向けて反射する。つまり、表示部30は、可視光を含む映像を、光学フィルタ22Aに反射させた後に、最終反射部材50に投影する。
また、光学フィルタ22Aは、例えば、最終反射部材50により反射された光のうちの赤外光を、光学フィルタ22Aの後方に配置される撮像部40xに向けて透過する。つまり、撮像部40xは、光学フィルタ22Aにより透過された赤外光を撮像する。撮像部40xは、所定の画角の撮像範囲R11を撮像する。
このため、映像を運転者に投影するための投影光学系の光軸Ax11と、運転者の顔を撮像するための撮像光学系の光軸Ax12とは、自動車100の左右方向から見た場合も、上面視においても略一致している。これにより視点位置や視線方向を精度よく検出することができ、運転者の顔の位置や視線方向に応じた表示制御を精度よく行うことができる。なお、投影光学系は、最終反射部材50、光学フィルタ22Aおよび表示部30を含み、撮像光学系は、最終反射部材50、光学フィルタ22Aおよび撮像部40xを含む。
また、例えば、図26に示す表示システム1CBのように、表示部30を含む投影光学系の光軸Ax21と、撮像部40xを含む撮像光学系の光軸Ax22とが略一致するように、表示部30および撮像部40xが配置されていてもよい。なお、図26は、変形例1の他の例に係る図10における領域Re1に対応する領域を拡大した拡大図である。
具体的には、表示システム1CBが備える表示デバイス20Bは、実施形態2に係る表示デバイス2の構成に加えて、光学フィルタ22Bを備える点が異なる。光学フィルタ22Bは、筐体21xに収納される。光学フィルタ22Bは、可視光を透過し、赤外光を反射する。光学フィルタ22Bは、例えば、ビームスプリッタ、分光フィルタなどにより実現される。
光学フィルタ22Bは、例えば、最終反射部材50により反射された光のうちの赤外光を、光学フィルタ22Bの上方に配置される撮像部40xに向けて反射する。つまり、撮像部40xは、光学フィルタ22Bにより反射された赤外光を撮像する。撮像部40xは、所定の画角の撮像範囲R12を撮像する。
また、光学フィルタ22Bは、例えば、後方に配置される表示部30により最終反射部材50に向けて投影される可視光からなる映像を透過する。つまり、表示部30は、可視光を含む映像を、光学フィルタ22Bに透過させた後に、最終反射部材50に投影する。
このため、映像を運転者に投影するための投影光学系の光軸Ax21と、運転者の顔を撮像するための撮像光学系の光軸Ax22とは、自動車100の左右方向から見た場合も、上面視においても略一致している。これにより視点位置や視線方向を精度よく検出することができ、運転者の顔の位置や視線方向に応じた表示制御を精度よく行うことができる。
なお、投影光学系は、最終反射部材50、光学フィルタ22Bおよび表示部30を含み、撮像光学系は、最終反射部材50、光学フィルタ22Bおよび撮像部40xを含む。
(変形例2)
上記実施形態に係る表示システム1Cおよび変形例1に係る表示システム1CA、1CBでは、撮像部40xは、天井に配置されている表示デバイス2、20A、20Bが備えるとしたが、これに限らない。例えば、図27および図28に示す表示システム1CCのように、最終反射部材50の側方に撮像部41xが配置されていてもよい。なお、図27は、変形例2に係る図10における領域Re1に対応する領域を拡大した拡大図である。図28は、変形例2に係る、上面視における表示システムの各構成要素と自動車の運転者との位置関係を説明するための図である。
具体的には、表示システム1CCが備える表示デバイス20Cは、実施形態2に係る表示デバイス2の構成と比較して、撮像部40xを備えていない点が異なる。また、表示システム1CCが備える最終反射部材50の側方(具体的には下方)に、撮像部41xが配置されている点が異なる。また、撮像部41xの前面側(撮像方向側)には、光学フィルタ42xが配置されていてもよい。光学フィルタ42xは、例えば、赤外光を透過し、かつ、可視光を反射する。
撮像部41xは、最終反射部材50に対して所定の姿勢で配置されている。撮像部41xは、例えば、最終反射部材50の中心の法線方向に対して所定の角度の仰角または俯角の姿勢、かつ、上面視において上記法線方向に一致する姿勢で固定されている。撮像部41xは、例えば、所定の画角の撮像範囲R13を撮像する。
これにより、映像を運転者に投影するための投影光学系の光軸Ax31は、運転者の顔を撮像するための撮像光学系の光軸Ax32に対して、自動車100の左右方向から見た場合に沿って配置されており、上面視において一致している。なお、投影光学系は、最終反射部材50および表示部30を含み、撮像光学系は、撮像部41xを含む。
変形例2に係る表示システム1CCでは、撮像部41xが最終反射部材50の側方に配置される場合であっても、光軸Ax31が光軸Ax32に対して沿うように、表示部30および撮像部41xが配置されているため、撮像部41xの画角を所定の角度範囲よりも広い角度範囲に変更しなくても運転者の顔を撮像しやすくすることができ、運転者の顔の位置を精度よく特定することができる。このため、運転者の顔の位置に応じた表示制御を精度よく行うことができる。
(変形例3)
上記実施形態では、表示デバイス2は、複数の撮像装置71x〜73xのそれぞれから自動車100の後方の画像を取得し、取得した複数の画像に基づいて生成した映像を投影するとしたがこれに限らない。表示デバイス2は、1つの撮像装置から自動車100の後方の画像を取得し、取得した画像に基づいて生成した映像を投影してもよい。この場合、自動車100は、複数の撮像装置71x〜73xのうちの撮像装置73xのみを有する構成であってもよい。
(変形例4)
上記実施形態では、赤外光源60xは、筐体21xに配置され、最終反射部材50に向けて赤外光を照射するとしたが、これに限らない。赤外光源は、筐体21xに配置され、筐体21xから運転者に向けて赤外光を直接照射してもよい。この場合の赤外光源は、筐体21xから自動車100の後方側斜め下方に向けて赤外光を照射する。また、赤外光源は、最終反射部材50の側方に配置され、最終反射部材50の側方から運転者に向けて赤外光を照射してもよい。この場合の赤外光源は、最終反射部材50の側方から自動車100の後方に向けて赤外光を照射する。
(変形例5)
上記実施形態では、表示システム1Cでは、最終反射部材50が表示部30の表示面31に表示される画像のうちの一部の領域のみを反射映像p2として反射するとしたが、これに限らずに、最終反射部材50が表示部30の表示面31に表示される画像の全部の領域を反射映像p2として反射してもよい。
(変形例6)
変形例1に係る表示システム1CBでは、図26に示すように、赤外光源60xが筐体21xに配置され、撮像部40xが天井101に配置されているが、これに限らない。赤外光源60xが天井101に配置され、撮像部40xが筐体21xに配置されてもよい。図29は、変形例5の他の例に係る図10における領域Re1に対応する領域を拡大した拡大図である。
このように、本変形例では、表示システム1Cは、表示部30と凹面鏡としての最終反射部材50との間に、近赤外線を反射し可視光線を透過する光学フィルタ22Cをさらに備える。光学フィルタ22Cは、天井101に近接するように配置された赤外光源60xと対向するように筐体21xに配置される。
これによれば、発熱熱量の大きい赤外光源60xを天井101に配置することができる。このため、熱容量の大きい天井101によって赤外光源60xが発した熱が放熱され易くなる。つまり、表示システム1Cでは、天井101をヒートシンクのように用いることで、赤外光源60xで発生した熱を放熱させることができる。このため、筐体21x内が高温になることを抑制することで、筐体21x内に配置される表示部30の劣化を抑制することができる。
(実施形態3)
(1)構成
図30Aは、本開示の実施形態3に係る表示システム900を示し、画像光をルームミラー902に入射させて反射させる様子を例示した概略説明図である。図30Bは、本開示の実施形態3に係る表示システム900を示し、移動体後方の光をルームミラー902に入射させて反射させる様子を例示した概略説明図である。
図30A及び図30Bに示すように、表示システム900は、移動体に搭載され、例えば、移動体本体の天井904、天井904側のウィンドシールド903等に配置される。表示システム900は、移動体から得られる交流電力により駆動する。移動体は、自動車等の車両、船舶、航空機等である。本実施形態では、移動体として自動車を用いている。
表示システム900は、観察者が移動体後方に存在する対象物を見えるように構成される。具体的には、表示システム900は、移動体に搭載される後述する撮像部905が撮影した画像を表示する。また、表示システム900は、移動体後方から入射した光によって移動体後方に存在する対象物を映し出したりする。つまり、表示システム900は、後方視野ミラーとしても機能する。観察者は、移動体に搭乗する運転者又は同乗者等である。
表示システム900は、複数の動作モードを有する。複数の動作モードのうちの、第1モードは、表示デバイス901の表示面901cから出射した画像光が、後述する両面反射光学体920に投影されることで、投影された画像光が示す画像を両面反射光学体920に表示するモードである。複数の動作モードのうちの、第2モードは、移動体後方から入射した光を反射することで、移動体後方の対象物を映し出すモードである。
図31は、本開示の実施形態3に係る表示システム900を例示したブロック図である。
図30A、図30B及び図31に示すように、表示システム900は、撮像部905と、表示デバイス901と、ルームミラー902と、入力操作部909とを備える。
撮像部905は、移動体の周囲、特に移動体後方を撮像するように移動体に搭載される。撮像部905は、移動体後方を撮像した画像の画像データを表示デバイス901に出力する。撮像部905は、例えば、CMOSイメージセンサであり、移動体後方を撮影する。また、撮像部905は、CMOSイメージセンサに限らず、CCDイメージセンサ等のイメージセンサでもよい。
表示デバイス901は、撮像部905によって撮影される画像をルームミラー902に照射可能な姿勢であり、表示面901cを下側に向けた状態で、移動体本体の天井904に配置される。表示デバイス901は、例えばオーバーヘッドコンソール等に設けられる。表示デバイス901は、画像を形成する画像光を出射する。表示デバイス901は、表示部の一例であってもよい。
表示デバイス901は、表示制御部931と、光源部932と、液晶パネル933とを備える。
表示制御部931は、表示デバイス901による画像の表示状態を制御する。表示制御部931は、移動体の車内ネットワークを介して撮像部905と通信可能に接続され、撮像部905から撮像画像の画像データを取得する。表示制御部931は、撮像部905から取得される画像データに基づく画像を液晶パネル933に表示させる、つまり表示デバイス901の表示面901cに表示させる。表示制御部931は、制御部の一例であってもよい。
また、表示制御部931は、第2モードが実行された場合(後述する、両面反射光学体920が第2姿勢になった場合)、光源部932から出射する光を停止させる。つまり、表示制御部931は、第1モードと第2モードとの切り替え状態に応じて、光源部932から出射させる光のオンオフを制御する。
光源部932は、液晶パネル933のバックライトとして用いられる発光モジュールである。光源部932は、発光ダイオード又はレーザダイオード等の固体発光素子を用いた、サイドライト方式の光源部932であり、液晶パネル933の上方に配置される。光源部932が出射した光は、液晶パネル933を透過して表示デバイス901の表示面901cから出射されることで、表示デバイス901の表示面901cから出射される画像光となる。
液晶パネル933は、光源部932の下方に配置される液晶表示素子である。例えば、液晶パネル933は、光透過型又は光半透過型のTFT液晶(Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)等である。液晶パネル933では、裏面側の光源部932から光が照射されることで、透過した光によって、光学部材901bと対向する側の面である出射面(つまり、表示デバイス901の表示面901c)が発光する。液晶パネル933は、表示制御部931からの制御指示に応じて数字、文字及び図形等を含む画像を示す画像光を、液晶パネル933から出射させる。液晶パネル933は、表示部の一例であってもよい。
表示デバイス901は、撮像部905によって撮影された画像を表示面901cに表示し、表示面901cから画像を示す画像光を出射する。表示面901cから出射した画像光は、光学部材901bで反射された後に、ルームミラー902に入射することで、ルームミラー902で反射されて観察者の目に入射する。つまり、観察者は、表示デバイス901の表示面901cに表示された画像に基づいて、ルームミラー902に照射された画像光が示す画像を視認することができる。
ルームミラー902は、例えば移動体の後方視野ミラーであり、移動体後方を視認するために、天井904側のウィンドシールド903に配置され、前部座席に着座する観察者の視界に入る位置に取り付けられる。ルームミラー902は、後述する装着ブラケット911を介して移動体のウィンドシールド903に取り付けられる。観察者がルームミラー902を好ましい位置及び角度で調節できるように、ルームミラー902は、後述する筐体910と装着ブラケット911との間に図示しないヒンジを有する。なお、ルームミラー902は、オーバーヘッドコンソール等に設けられてもよく、ウィンドシールド903に限定されない。
ルームミラー902は、両面反射光学体920、及び、後述する防眩ミラー925の姿勢を調節することによって、複数の動作モードを実行することができる。
図32Aは、本開示の実施形態3に係る表示システム900を示し、両面反射光学体920を第1状態にした場合に、画像光をルームミラー902に入射させて反射させる様子を例示した概略説明図である。なお、図32Aでは、便宜上、観察者の目だけを観察者として例示する。また、図32B以降の図においても同様である。図32Bは、本開示の実施形態3に係る表示システム900を示し、両面反射光学体920を第2状態にした場合に、移動体後方の光をルームミラー902に入射させて反射させる様子を例示した概略説明図である。
図30A〜図32Bに示すように、ルームミラー902は、筐体910と、両面反射光学体920と、防眩ミラー925と、駆動制御部941と、駆動部942とを備える。
図32A及び図32Bに示すように、筐体910は、例えば合成樹脂の成型品等で構成される収容体である。筐体910は、内部に収容空間912を有し、移動体が車両である場合、観察者側が開口した車幅方向に長尺な直方体状に形成される。筐体910は、移動体に取り付けられた状態において、移動体の左右方向(車幅方向)における寸法が、上下方向における寸法及び前後方向における寸法よりもそれぞれ大きくなるような形状に形成される。筐体910は、両面反射光学体920と防眩ミラー925とを収容空間912に収容する。
筐体910は、両面反射光学体920を回転可能に保持する。筐体910は、両面反射光学体920を収容空間912に収容した状態で、両面反射光学体920を収容空間912内で回転可能に保持する。具体的には、筐体910の車幅方向の両側の側壁は、両面反射光学体920を軸心O周りで回転可能に保持する。筐体910は、第2筐体の一例であってもよい。
また、筐体910は、両面反射光学体920よりも観察者側、つまり、開口913側に配置される防眩ミラー925を保持している。具体的には、筐体910は、防眩ミラー925を収容空間912に収容した状態で、収容空間912内での両面反射光学体920の回転を阻害しない位置に防眩ミラー925を保持している。
両面反射光学体920は、支持体921と、凹面鏡922と、平面鏡923とを有する。
支持体921は、凹面鏡922を支持する一方面921aと、平面鏡923を支持する、一方面921aと反対側の他方面921bとを有する。支持体921の一方面921aは他方面921bに対して傾斜し、支持体921を軸心O方向(車幅方向)に沿って見た場合に、支持体921は、楔状である。本実施形態では、支持体921は、車幅方向に長尺の平板状であり、幅方向における一方端縁の厚みが、他方端縁の厚みよりも薄い。本実施形態では、支持体921は、車幅方向に長尺の平板状である。
支持体921は、凹面鏡922と平面鏡923とが重なるように、凹面鏡922及び平面鏡923を支持する。言い換えれば、支持体921は、凹面鏡922と平面鏡923とで挟まれている。具体的には、支持体921は、凹鏡面923bの中心の法線方向H1と直行する図32Aの平面V1に対して平鏡面923aが傾斜するように、凹面鏡922を一方面921aに固定し、かつ、平面鏡923を他方面921bに固定する。言い換えれば、支持体921は、凹面鏡922の幅方向が平面鏡923に対して傾斜するように、平面鏡923及び凹面鏡922を支持する。
支持体921は、凹面鏡922及び平面鏡923を支持した状態で、筐体910の車幅方向の両側の側壁に支持される一対の円柱状の図示しない突起を有する。一対の突起は、車幅方向の両側の側壁に一対一で支持されることで、当該側壁に対して回動可能に支持される。
一対の突起には、図31の駆動部942によって自動的に回動制御される歯車機構が接続される。図31の駆動部942が歯車機構を駆動制御することによって、一対の突起が軸心O周りで回動するため、両面反射光学体920が回動する。
凹面鏡922には、表示デバイス901の表示面901cから出射した画像光が直接的又は間接的に入射し、入射した画像光を反射するための凹鏡面923bが形成される。直接的に入射とは、表示面901cから出射した画像光が図30Aの光学部材901bを介さずに凹鏡面923bに直接入射することであり、間接的に入射とは、表示面901cから出射した画像光が図30Aの光学部材901bを介して凹鏡面923bに入射することである。図30Aの光学部材901bは、光を反射する鏡等の光反射部材、光を案内する導光部材等である。凹面鏡922が筐体910の開口913側に面している場合、つまり観察者側に向いている場合、凹鏡面923bは、表示デバイス901の表示面901cから出射した画像光を観察者に向けて反射する。
凹面鏡922は、凹鏡面923bが支持体921の反対側を向くように、支持体921と重なるように配置され、支持体921の一方面921aに支持されて固定される。具体的には、凹面鏡922は、軸心Oに沿って円弧状に湾曲し、幅方向の両端縁が支持体921の一方面921aから離れるように、凹面鏡922の中央部分が支持体921の一方面921aに支持されて固定される。
平面鏡923には、移動体の後方から入射した光を反射することで、移動体後方の対象物を映し出すための平鏡面923aが形成される。平面鏡923が筐体910の開口913側に面している場合、つまり観察者側に向いている場合、平面鏡923は、移動体後方から入射した光を観察者に向けて反射する。
このような両面反射光学体920は、回転動作によって、両面反射光学体920の姿勢が第1状態と第2状態とに切り替えられる。
第1状態は、第1モードが実行される際に、両面反射光学体920の凹面鏡922が筐体910の開口913側に面している状態、つまり観察者側に向いている状態である。第1状態は、両面反射光学体920の姿勢(第1姿勢)ともいえる。第1状態では、凹鏡面923bに表示デバイス901の表示面901cから出射した画像光が直接的又は間接的に入射し、入射した画像光を観察者の目に向けて反射する。
第2状態は、第2モードが実行される際に、両面反射光学体920の平面鏡923が筐体910の開口913側に面している状態、つまり観察者側に向いている状態である。第2状態は、両面反射光学体920の姿勢(第2姿勢)ともいえる。第2状態では、平鏡面923aに移動体後方側からの光が入射し、入射した光を観察者の目に向けて反射する。
つまり、両面反射光学体920は、第1状態における凹鏡面923bの中心の法線方向H1と水平方向との角度θ1が、第2状態における平鏡面923aの法線方向H2と水平方向との角度θ2と異なるように筐体910に設けられる。また、第1状態における画像光が凹鏡面923bに入射する方向と凹鏡面923bで反射して観察者に向かう方向との角度は、第2状態における移動体後方からの光が平鏡面923aに入射する方向と平鏡面923aで反射して観察者に向かう方向との角度よりも大きい。
防眩ミラー925は、両面反射光学体920よりも観察者側であり、筐体910の開口913を塞ぐように、筐体910に保持される。
図32Cは、本開示の実施形態3に係る表示システム900を示し、両面反射光学体920が第2状態の場合に、防眩機能を実行していない状態を例示した概略説明図である。図32Dは、本開示の実施形態3に係る表示システム900を示し、両面反射光学体920が第2状態の場合に、防眩機能を実行した状態を例示した概略説明図である。
図32C及び図32Dに示すように、防眩ミラー925は、レバー部926を回動する操作によって防眩ミラー駆動機構によって回動されることで、光の反射角度を変更する。例えば、防眩ミラー駆動機構は、レバー部926と、軸部926aと、ヒンジ部927aと、ばね部927bとを有する。防眩ミラー駆動機構は、レバー部926の操作に応じて防眩ミラー925の角度(光反射角度)を設定する。
具体的には、防眩ミラー925が角度α位置にある状態から、レバー部926を矢印A方向へ回動することで、軸部926aは、ヒンジ部927aをばね部927bのばね力に抗して押し上げながら回動する。このとき、軸部926aがヒンジ部927aを支点として、相対的にウィンドシールド903側へ移動し、防眩ミラー925の下部も同様に後方へ移動する。これにより、防眩ミラー925が傾動し、防眩ミラー925が角度β位置となる。
また、両面反射光学体920が第2状態の場合だけ、防眩ミラー925による防眩機能を実行することができるようになってもよい。
なお、防眩ミラー925の角度を変更する手段は、上述に限定されず、例えば、レバー部926を操作することで、筐体910の傾きを変更する構成であってもよい。この場合、両面反射光学体920が影響を受けないように、両面反射光学体920の姿勢も調節される。
図30A〜図32Dに示すように、駆動制御部941は、駆動部942を制御することで、複数の動作モードを実行する。本実施形態では、駆動制御部941は、複数の動作モードとして、第1モード及び第2モードのうち、所望のモードを実行することができる。駆動制御部941は制御部の一例であってもよい。
例えば、駆動制御部941は、駆動部942を制御することで、第1状態と第2状態とを切り替える。具体的には、駆動制御部941は、両面反射光学体920を第1状態から第2状態に切り替える制御指示(以下、第1制御指示ということがある)を入力操作部909から取得すると、駆動部942を介して両面反射光学体920の回動を制御することで、平面鏡923の平鏡面923aが観察者側に向くように、両面反射光学体920を回動させる。つまり、駆動制御部941は、第1モードから第2モードに切り替える。これにより、平面鏡923の平鏡面923aが観察者側に向く。
また、駆動制御部941は、両面反射光学体920を第2状態から第1状態に切り替える制御指示(以下、第2制御指示ということがある)を入力操作部909から取得すると、駆動部942を介して両面反射光学体920の回動を制御することで、凹面鏡922の凹鏡面923bが観察者側に向くように、両面反射光学体920を回動させる。つまり、駆動制御部941は、第2モードから第1モードに切り替える。これにより、凹面鏡922の凹鏡面923bが観察者側に向く。
なお、駆動制御部941は、表示デバイス901の表示面901cが故障した場合、両面反射光学体920を第2状態から第1状態に切り替える制御指示を出力しなくてもよい。この場合、駆動制御部941は、両面反射光学体920が第1状態であれば、第2状態に切り替えてもよい。また、駆動制御部941は、表示デバイス901から故障信号を取得することで、実現してもよい。
駆動部942は、両面反射光学体920を回動させるアクチュエータである。駆動部942は、駆動制御部941から取得した制御指示に応じて、両面反射光学体920を第1状態と第2状態とに切り替えることで、両面反射光学体920の回動を制御する。駆動部942は、第1制御指示を取得すると、両面反射光学体920を軸心O周りに回転させて、両面反射光学体920を第1状態から第2状態に切り替える。また、駆動部942は、第2制御指示を取得すると、両面反射光学体920を軸心O周りに回転させて、両面反射光学体920を第2状態から第1状態に切り替える。
入力操作部909は、第1モード又は第2モードを実行するための、観察者による入力操作を受け付ける入力インターフェイスである。入力操作部909は、観察者の操作によって入力された操作に応じた制御指示を駆動制御部941に出力する。入力操作部909は、例えば、センターコンソールに設けた専用スイッチであってもよい。
(2)処理
図33は、本開示の実施形態3に係る表示システム900のルームミラー902の処理を例示したフローチャートである。
まず、図33に示すように、入力操作部909は、観察者による、第1モード又は第2モードを実行するための入力操作を受け付ける。入力操作部909は、入力操作に応じた制御指示を駆動制御部941に出力する(S11a)。
次に、駆動制御部941は、第1モードを実行する制御指示を取得したか否かを判定する(S12a)。
駆動制御部941は、第1モードを実行する制御指示を取得した場合(S12aでYES)、第1モードを実行する(S13a)。例えば、第2モードが実行されていれば、駆動制御部941は、第2モードから第1モードに切り替える。具体的には、駆動制御部941は、両面反射光学体920を第2状態から第1状態に切り替える制御指示を入力操作部909から取得すると、駆動部942を制御して、両面反射光学体920を回動させる。駆動部942は、駆動制御部941から当該指示を取得すると、凹面鏡922の凹鏡面923bが観察者側に向くように、両面反射光学体920を約180度回動させる。これにより、両面反射光学体920は、凹面鏡922の凹鏡面923bが観察者側に向くようになる。そして、表示システム900は、処理を終了する。
駆動制御部941は、第2モードを実行する制御指示を取得した場合(S12aでNO)、第2モードを実行する(S14a)。例えば、第1モードが実行されていれば、駆動制御部941は、第1モードから第2モードに切り替える。具体的には、駆動制御部941は、両面反射光学体920を第1状態から第2状態に切り替える制御指示を入力操作部909から取得すると、駆動部942を制御して、両面反射光学体920を回動させる。駆動部942は、駆動制御部941から当該指示を取得すると、平面鏡923の平鏡面923aが観察者側に向くように、両面反射光学体920を約180度回動させる。これにより、両面反射光学体920は、平面鏡923の平鏡面923aが観察者側に向くようになる。そして、表示システム900は、処理を終了する。
(3)効果
しかしながら、従来の表示システムでは、ディスプレイソースである表示デバイスから出射したビデオ画像(画像光)及び観察者から遠く離れた対象物を、両面スクリーンである両面反射光学体に表示させる。この両面反射光学体では、凹状面である凹鏡面と、平坦面である平鏡面とが略並行に配置されているため、凹鏡面に画像光を表示させる場合と、平鏡面に対象物を表示させる場合とで、両面反射光学体の姿勢を変える必要がある。観察者は、画像光又は対象物が見えるように両面スクリーンに表示させるために、両面スクリーンの細かな位置調節をすることがある。このため、観察者にとって、操作し難く煩わしさを覚える。
そこで、本実施形態における表示システム900は、凹鏡面923bが形成される凹面鏡922と、平鏡面923aが形成され、凹面鏡922と重なるように配置される平面鏡923とを有する両面反射光学体920と、両面反射光学体920を回転可能に保持する筐体910とを備える。また、両面反射光学体920は、回転動作によって、両面反射光学体920の姿勢が第1状態と第2状態とに切り替えられ、第1状態では、凹鏡面923bに表示デバイス901の表示面から出射した画像光が直接的又は間接的に入射し、凹鏡面923bが入射した画像光を観察者の目に向けて反射する。また、第2状態では、平鏡面923aに当該表示システム900の外部から照射される光が入射し、平鏡面923aが入射した光を観察者の目に向けて反射する。そして、両面反射光学体920は、第1状態における凹鏡面923bの中心の法線方向H1と水平方向との角度が、第2状態における平鏡面923aの法線方向H2と水平方向との角度と異なるように筐体910に設けられる。
図34Aは、凹面鏡922xの幅方向と平面鏡923xとが略並行に重ねられた両面反射光学体920xを用いて、第1状態にした場合に、画像光を凹面鏡922xに入射させて反射させる様子を例示した概略説明図である。図34Bは、凹面鏡922xの幅方向と平面鏡923xとが略並行に重ねられた両面反射光学体920xを用いて、第1状態にした場合に、光を平面鏡923xに入射させて反射させる様子を例示した概略説明図である。
図34A及び図34Bに示すように、例えば、両面反射光学体920xを用いた場合、図34Aの第1状態では、凹鏡面923b1に例えばオーバーヘッドコンソール等に設けられる表示デバイスが出射した画像光を入射させて、画像光を観察者に向けて反射させるためには、凹鏡面923b1の中心における法線方向J1と水平方向との角度が小さくなる傾向にある。一方で、このような両面反射光学体920xにおいて、単に両面反射光学体920xを180度回転させて、第1状態から図34Bの第2状態に切り替える場合、平鏡面923a1に移動体後方からの光が入射すると、観察者に向けて光を反射し難くなる。
観察者に向けて光を反射させるためには、第1状態から第2状態に切り替える際に、両面反射光学体920xを180度よりも小さい角度で回転させる必要がある。つまり、単に両面反射光学体920xを第1状態から第2状態に切り替える回転角度と、両面反射光学体920xを第2状態から第1状態に切り替える回転角度とを、同等の回転角度とすると、両面反射光学体920xに画像光及び対象物が適切に映らず、観察者には、画像光及び対象物が見え難くなる。このため、観察者は、画像光又は対象物が見えるように両面反射光学体920xを操作して、両面反射光学体920xの細かな位置調節をすることがある。
そこで、本実施形態の表示システム900の両面反射光学体920では、第1状態における凹鏡面923bの中心の法線方向H1と水平方向との角度が、第2状態における平鏡面923aの法線方向H2と水平方向との角度と異なっている。つまり、凹面鏡922の幅方向に対して平面鏡923を傾けた状態で、筐体910に設けられている。このため、例えば、凹鏡面923bの法線方向H1と水平方向とが略平行な姿勢の場合、両面反射光学体920を第1状態から第2状態に切り替えるために、両面反射光学体920を180度回転させると、平面鏡923の平鏡面923aの法線方向が水平方向に対して傾斜した角度となる。つまり、第1状態の両面反射光学体920を観察者が凹鏡面923bを見た視線と凹鏡面923bの法線方向H1との角度と、観察者から平鏡面923aを見た視線と第2状態の平鏡面923aの法線方向H2との角度とが異なる。
このため、凹面鏡922の幅方向と平面鏡923の幅方向との角度を予め設定しておけば、両面反射光学体920を所定量回転(本実施形態では約180度回転)させるだけで、観察者は、第1状態で表示された画像を見ることができ、第2状態で映りこんだ移動体後方の対象物を見ることができる。
したがって、この表示システム900では、画像光と表示システム900の外部から照射される光との表示態様を容易に調節することができる。
また、本実施形態における運転支援装置において、両面反射光学体920は、さらに、一方面921aと、一方面921aの反対側の面である他方面921bとを有し、凹鏡面923bの中心の法線方向H1と直行する平面に対して平鏡面923aが傾斜するように、凹面鏡922を一方面921aに固定し、かつ、平面鏡923を他方面921bに固定する支持体921を有する。
これによれば、支持体921の一方面921aと一方面921aに対する他方面921bとの角度を予め設定しておけば、支持体921が凹面鏡922の幅方向に対して平面鏡923を傾けた状態で支持することができる。このため、支持体921は、凹面鏡922と平面鏡923との固定を所定の姿勢で容易に支持することができる。
また、支持体921を回転させるだけで、両面反射光学体920を第1状態と第2状態とに切り替えることができるため、両面反射光学体920の姿勢を容易に切り替えることができる。
また、本実施形態における運転支援装置は、両面反射光学体920よりも光が入射する側で筐体910に配置され、透光性を有する防眩ミラー925と、自動車100の鉛直方向に対する防眩ミラー925の角度を調節する調節部944とを備える。
これによれば、防眩ミラー925の角度を調節することで、両面反射光学体920に照射された移動体後方からの眩しい光が観察者の目に反射することを抑制することができる。このため、観察者は、眩しく感じ難くなり、両面反射光学体920を介して後方の対象物を確認することができるようになる。
(実施形態4)
(1)構成
実施形態4の表示システム900aについて図35を参照して説明する。
図35は、本開示の実施形態4に係る表示システム900aを例示したブロック図である。
本実施形態では、センサ943がルームミラー902に入射する光の明るさに応じて両面反射光学体920の状態を制御したり、防眩ミラー925の傾きを制御したりする点で実施形態3と相違する。本実施形態における他の構成は、特に明記しない場合は、実施形態3と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
図35に示すように、表示システム900aのルームミラー902は、駆動制御部941及び駆動部942の他に、センサ943と、調節部944とを備える。
センサ943は、例えば、フォトダイオード等の光センサである。センサ943は、主に、移動体後方から入射する光量を検知する。センサ943は、駆動制御部941と通信可能に接続され、検知した光量を示す情報を駆動制御部941に出力する。
センサ943は、筐体910の開口913を通過する光量を検知するように、筐体910に設けられる。センサ943は、例えば、筐体910の収容空間912内の開口913近傍に配置されてもよく、筐体910の外側に配置されてもよく、両面反射光学体920(例えば、上述の一対の突起)に設けられてもよい。また、センサ943は、実質的に開口913を通過する光量を検知できればよいため、筐体910に設けられなくてもよく、オーバーヘッドコンソール等に設けられてもよい。
駆動制御部941は、センサ943から取得した光量を示す情報に基づいて、駆動部942を制御することで、両面反射光学体920を第1状態と第2状態とに切り替える。駆動制御部941は、センサ943から取得した光量が第1規定光量未満であれば第2モードから第1モードに切り替える。つまり、駆動制御部941は、第2モードから第1モードに切り替えるための第2制御指示を駆動部942に出力し、駆動部942に両面反射光学体920を第2状態から第1状態に切り替えさせる。これにより、凹面鏡922が防眩ミラー925と対向する姿勢となるため、凹鏡面923bには画像光が示す画像が表示される。第1規定光量は、規定光量の一例であってもよい。
また、駆動制御部941は、センサ943から取得した光量が第1規定光量以上であれば第1モードから第2モードに切り替える。つまり、駆動制御部941は、第1モードから第2モードに切り替えるための第1制御指示を駆動部942に出力することで、駆動部942に両面反射光学体920を第1状態から第2状態に切り替えさせる。これにより、平面鏡923が防眩ミラー925と対向する姿勢となるため、平鏡面923aには対象物が映し出される。
また、駆動制御部941は、両面反射光学体920が第2状態である場合、センサ943から取得した光量が第1規定光量よりも大きい第2規定光量以上であれば調節部944を制御することで、鉛直方向(又は平鏡面923a)に対する防眩ミラー925の角度を調節して、防眩機能を実行させる。これにより、図32C及び図32Dのように防眩ミラー925が自動的に角度α位置から角度β位置に揺動するため、眩しさが抑制される。また、駆動制御部941は、両面反射光学体920が第1状態である場合で、センサ943から取得した光量が第2規定光量以上であれば、両面反射光学体920を第2状態に切り替えた後に、調節部944を制御することで、平鏡面923aに対する防眩ミラー925の角度を調節して、防眩機能を実行させる。
また、駆動制御部941は、駆動部942を制御することで両面反射光学体920を第2状態から第1状態に切り替える場合、当該切り替えの前に、防眩ミラー925による防眩機能を停止させる。具体的には、駆動制御部941は、両面反射光学体920を第2状態から第1状態に切り替える制御指示である第2制御指示を入力操作部909から取得すると、駆動制御部941は、第2モードから第1モードに切り替えの前に、調節部944を制御することで鉛直方向に対する防眩ミラー925の角度を調節して、防眩機能を停止させるための制御指示を調節部944に出力する。両面反射光学体920の凹鏡面923bが観察者に向いた状態で防眩機能を実行すると、凹鏡面923bに入射した画像光が観察者の目に向けて反射され難くなるため、駆動制御部941は、防眩機能を解除して、第2モードから第1モードを実行する。これにより、観察者は、凹面鏡922に表示される画像光が示す画像を見ることができる。
調節部944は、防眩ミラー925を揺動させるアクチュエータである。調節部944は、鉛直方向に対する防眩ミラー925の角度を調節する。調節部944は、駆動制御部941から防眩機能を停止させるための制御指示を取得すると、防眩ミラー925の防眩機能を停止するため、図32C及び図32Dのように防眩ミラー925を角度β位置から角度α位置に揺動させる。
また、調節部944は、駆動制御部941から防眩機能を実行させる制御指示を取得すると、防眩ミラー925の防眩機能を実行するため、図32C及び図32Dのように防眩ミラー925を角度α位置から角度β位置に揺動させる。
なお、本実施形態では、光量に応じて防眩ミラー925の角度を自動的に変更するが、防眩ミラー925の角度を手動で変更することができてもよい。
(2)処理
図36Aは、本開示の実施形態4に係る表示システム900aが光量に応じて第1モード又は第2モードを実行する処理を例示したフローチャートである。
まず、図36Aに示すように、センサ943は、移動体の後方から入射する光量として、筐体910の開口913を通過する光量を検知する(S21)。センサ943は、検知した光量を示す情報を駆動制御部941に出力する。
次に、駆動制御部941は、センサ943から光量を示す情報を取得すると、取得した当該情報に示される光量が第1規定光量以上であるか否かを判定する(S22)。
光量が第1規定光量未満であれば(S22でYES)、駆動制御部941は、第1モードを実行する(S23)。具体的には、第2モードが実行されていれば、駆動制御部941は、第2モードから第1モードに切り替える。より具体的には、駆動制御部941は、第2制御指示を駆動部942に出力して駆動部942を制御することで、駆動部942に両面反射光学体920を第2状態から第1状態に切り替えさせる。駆動部942が両面反射光学体920を第2状態から第1状態に切り替えることで、凹鏡面923bが観察者に向く姿勢となる。これにより、画像光が凹面鏡922に映し出される。そして、ルームミラー902は、処理を終了する。
光量が第1規定光量以上であれば(S22でNO)、駆動制御部941は、第2モードを実行する(S23)。具体的には、第1モードが実行されていれば、駆動制御部941は、第1モードから第2モードに切り替える。より具体的には、駆動制御部941は、第1制御指示を駆動部942に出力して駆動部942を制御することで、駆動部942に両面反射光学体920を第1状態から第2状態に切り替えさせる。駆動部942が両面反射光学体920を第1状態から第2状態に切り替えることで、平鏡面923aが観察者に向く姿勢となる。これにより、移動体後方の対象物が平面鏡923に表示される。そして、ルームミラー902は、処理を終了する。
次に、防眩機能を実行する処理について、説明する。
図36Bは、本開示の実施形態4に係る表示システム900aが光量に応じて防眩機能を実行する処理を例示したフローチャートである。
まず、図36Bに示すように、センサ943は、移動体後方から入射する光量として、筐体910の開口913を通過する光量を検知する(S31)。センサ943は、検知した光量を示す情報を駆動制御部941に出力する。
次に、駆動制御部941は、センサ943から光量を示す情報を取得すると、取得した当該情報に示される光量が第2規定光量以上であるか否かを判定する(S32)。
光量が第2規定光量未満であれば(S32でNO)、駆動制御部941は、処理を終了する。この場合、駆動制御部941は、防眩機能を実行させない。
光量が第2規定光量以上であれば(S32でYES)、駆動制御部941は、両面反射光学体920が第2状態か否か、つまり、第2モードが実行されているか否かを判定する(S33)。
第2モードが実行されていれば(S33でYES)、駆動制御部941は、調節部944に自動防眩機能を実行するための制御指示を出力して調節部944を制御することで、防眩ミラー925の防眩機能を実行させる(S34)。調節部944は、図32C及び図32Dのように防眩ミラー925の角度α位置から角度β位置に揺動させる。このように、自動的に防眩機能が実行されることで、平鏡面923aで反射した光によって、観察者の感じる眩しさが抑制される。そして、ルームミラー902は、処理を終了する。
第1モードが実行されていれば(S33でNO)、駆動制御部941は、駆動部942を制御することで、両面反射光学体920を第1状態から第2状態に切り替えた(第2モードを実行した)後に(S35)、調節部944を制御することで、平鏡面923aに対する防眩ミラー925の角度を調節して、防眩機能を実行させる(S34)。具体的には、駆動制御部941は、第1制御指示を駆動部942に出力して駆動部942を制御することで、駆動部942に両面反射光学体920を第1状態から第2状態に切り替えさせる。駆動部942が両面反射光学体920を第1状態から第2状態に切り替えることで、平鏡面923aが観察者に向く姿勢となる。これにより、移動体後方の対象物が平面鏡923に映し出される。そして、ルームミラー902は、処理を終了する。
(3)作用効果
本実施形態における表示システム900aは、光を検知するセンサ943と、両面反射光学体920を第1状態と第2状態とに切り替える駆動部942と、駆動部942を制御する駆動制御部941とを備える。そして、駆動制御部941は、センサ943の検知した光の光量が第1規定光量未満であれば、両面反射光学体920が第1状態となるように駆動部942を制御する。
これによれば、筐体910に入射する光量が第1規定光量未満であれば、駆動制御部941は、両面反射光学体920が第1状態となるように駆動部942を制御するため、観察者は、ルームミラー902で反射した外光を眩しく感じ難くなる。その結果、観察者が車両を運転する運転者である場合、運転者は、車両後方を適切に確認することができる。また、筐体910に入射する光量が第1規定光量以上であれば、駆動制御部941は、両面反射光学体920が第2状態となるように駆動部942を制御する。その結果、両面反射光学体920が第1状態の場合に外光が集光する可能性を低減することができる。
また、本実施形態における表示システム900aは、さらに、両面反射光学体920よりも光が入射する側で筐体910に配置され、透光性を有する防眩ミラー925と、鉛直方向に対する防眩ミラー925の角度を調節する調節部944と、第2状態から第1状態に切り替える場合、当該切り替えの前に、防眩ミラー925による防眩機能を停止させる駆動制御部941を備える。
これによれば、第1モードを実行する場合、防眩機能を停止することができるため、観察者は、両面反射光学体920の凹鏡面923bに表示された画像光が示す画像を確実に見ることができる。また、例えば観察者が車両を運転する運転者である場合、第1モードを実行するときに、防眩機能を停止させる操作を行わなくてもよく、この表示システム900aでは、操作性に優れている。
本実施形態における作用効果は、実施形態3と同様の作用効果を奏する。
(変形例1)
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
また、本変形例では、センサ943が近接センサ943である点で実施形態4と相違する。本実施形態における他の構成は、特に明記しない場合は、実施形態4と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。このため、本変形例では、主に、図35を用いて説明する。
センサ943は、当該表示システム900aに近接する物体を検知する近接センサ943である。センサ943は、センサ943から物体までの距離を検知し、検知した距離を示す距離情報を駆動制御部941に出力する。なお、本実施形態ではセンサ943の一例として近接センサを例に、検知エリアの一例とする規定距離に対する動作を例示するが、センサ943は、所定の検知エリアに存在する物体を検知する検知センサであっても良い(検知センサについては実施形態8で後述する)。
駆動制御部941は、センサ943から取得した距離情報に基づいて、駆動部942を制御することで、両面反射光学体920を第1状態と第2状態とに切り替える。駆動制御部941は、センサ943から取得した距離情報が示す距離が規定距離以上であれば第2モードから第1モードに切り替える。つまり、駆動制御部941は、第2モードから第1モードに切り替えるための第2制御指示を駆動部942に出力することで、両面反射光学体920が第1状態となるように駆動部942を制御する、つまり駆動部942に両面反射光学体920を第2状態から第1状態に切り替えさせる。これにより、凹面鏡922が防眩ミラー925と対向する姿勢となるため、凹鏡面923bには画像光が示す画像が表示される。
また、駆動制御部941は、センサ943から取得した距離情報が示す距離が規定距離未満(規定距離以内ともいう)であれば第1モードから第2モードに切り替える。つまり、駆動制御部941は、第1モードから第2モードに切り替えるための第1制御指示を駆動部942に出力することで、駆動部942に両面反射光学体920を第1状態から第2状態に切り替えさせる。これにより、平面鏡923が防眩ミラー925と対向する姿勢となるため、平鏡面923aには対象物が映し出される。
なお、センサ943が上述の検知センサである場合、駆動制御部941は、検知エリア内に物体が存在するか否かによって、第1モードと第2モードとを切り替えてもよい。例えば、駆動制御部941は、センサ943から取得した情報において物体が存在することを示す情報であれば(又は、物体が存在することを示す情報を取得し続ける間)、第1モードから第2モードに切り替える。また、駆動制御部941は、センサ943から取得した情報において物体が存在しないことを示す情報(又は、物体が存在することを示す情報を取得しない場合)であれば、第2モードから第1モードに切り替える。
本変形例における表示システム900aの処理について説明する。
図36Cは、本開示の実施形態4の変形例1に係る表示システム900aがセンサ943から物体までの距離に応じて第1モード及び第2モードを実行する処理を例示したフローチャートである。
まず、図36Cに示すように、センサ943は、センサ943に近接する物体を検知し、センサ943から当該物体までの距離を検知する(S41)。センサ943は、検知した物体の距離を示す距離情報を駆動制御部941に出力する。
次に、駆動制御部941は、センサ943から距離情報を取得すると、取得した距離情報に示される距離が規定距離以上であるか否かを判定する(S42)。
距離が規定距離以上であれば(S42でYES)、駆動制御部941は、第1モードを実行する(S43)。具体的には、第2モードが実行されていれば、駆動制御部941は、第2モードから第1モードに切り替える。より具体的には、駆動制御部941は、第2制御指示を駆動部942に出力して駆動部942を制御することで、駆動部942に両面反射光学体920を第2状態から第1状態に切り替えさせる。駆動部942が両面反射光学体920を第2状態から第1状態に切り替えることで、凹鏡面923bが観察者に向く姿勢となる。これにより、画像光が凹面鏡922に映し出される。そして、ルームミラー902は、処理を終了する。
距離が規定距離未満であれば(S42でNO)、駆動制御部941は、第2モードを実行する(S43)。具体的には、第1モードが実行されていれば、駆動制御部941は、第1モードから第2モードに切り替える。より具体的には、駆動制御部941は、第1制御指示を駆動部942に出力して駆動部942を制御することで、駆動部942に両面反射光学体920を第1状態から第2状態に切り替えさせる。駆動部942が両面反射光学体920を第1状態から第2状態に切り替えることで、平鏡面923aが観察者に向く姿勢となる。これにより、移動体後方の対象物が平面鏡923に表示される。そして、ルームミラー902は、処理を終了する。
本変形例における表示システム900aは、近接する物体を検知するセンサ943と、両面反射光学体920を第1状態と第2状態とに切り替える駆動部942と、駆動部942を制御する駆動制御部941とを備える。そして、駆動制御部941は、センサ943がセンサ943から規定距離以内(検知エリア内)の物体を検知すると、両面反射光学体920が第2状態となるように駆動部942を制御する。
これによれば、筐体910に近接する物体が規定距離以上であれば、駆動制御部941は、両面反射光学体920が第1状態となるように駆動部942を制御することで、両面反射光学体920に画像光が示す画像を表示することができる。このため、観察者は、凹鏡面923bに表示された画像を見ることができるため、車両の後方を適切に確認することができる。また、筐体910の近接する物体が規定距離未満であれば、駆動制御部941は、両面反射光学体920が第2状態となるように駆動部942を制御する。その結果、両面反射光学体920が第1状態の場合に、外光が集光する位置に物体が存在する可能性を低減することができる。
(変形例2)
また、本変形例では、両面反射光学体920aが液晶パネルの平面鏡923dと、凹面鏡922とを有する点で実施形態4と相違する。本実施形態における他の構成は、特に明記しない場合は、実施形態4と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
図37Aは、本開示の実施形態4の変形例2に係る表示システムを示し、平面鏡923dが反射モードの場合の概略説明図である。図37Bは、本開示の実施形態4の変形例2に係る表示システムを示し、平面鏡923dが反射モードの場合の概略説明図である。
両面反射光学体920aは、凹面鏡922と、平面鏡923dとを有する。
凹面鏡922は、凹鏡面923bが筐体910の開口913側を向くように、筐体910の収容空間912に配置されて固定される。
平面鏡923dは、液晶パネルであり、表示制御部931によって制御されることで、入射する光を反射する反射モードと、画像光を透過する透過モードとを実行する。
図37Aに示すように、レバー部926を矢印B方向(ウィンドシールド903側)に押すことで、装着ブラケット911に対する筐体910を下側に傾けさせる。これにより、筐体910と装着ブラケット911との間の図示しないヒンジによって、筐体910が傾くことで、平鏡面923aが観察者の目と対向するように傾く。例えば、表示制御部931は、センサ943が検知した光量が規定光量以上であれば、平面鏡923dを透過モードから反射モードに切り替える。具体的には、表示制御部931は、平面鏡923dへの電圧の印可を停止することで、光を反射する反射モードにする。このため、ルームミラー902bは、移動体後方から入射する光を、平鏡面923aが観察者の目に反射させることができる。
また、図37Bに示すように、レバー部926を矢印C方向(矢印B方向と反対方向であり、観察者側)に押すことで、装着ブラケット911に対する筐体910を上側に傾けさせる。これにより、筐体910が傾くことで、平鏡面923aが表示デバイス901と対向するように傾く。例えば、表示制御部931は、センサ943が検知した光量が規定光量未満であれば、平面鏡923dを反射モードから透過モードに切り替える。具体的には、表示制御部931は、図示しない電源回路からの電圧を平面鏡923dに印可することで、光を透過する透過モードにする。このため、ルームミラー902bは、表示デバイス901から出射された画像光を、凹鏡面923bが観察者の目に反射させることができる。
以下に示す実施形態5〜9は、後述する遮光部材8や保持構造200を実施の形態1〜4と組み合わせる構成を前提とした実施形態である。
(実施形態5)
(1)概要
本実施形態に係る表示システム1は、図38〜図40に示すように、例えば、移動体としての自動車100に用いられる。
表示システム1は、図38に示すように、表示面21を有する表示デバイス2と、最終反射部材50を少なくとも含む反射光学系B1と、表示デバイス2と反射光学系B1とを保持する筐体70と、遮光部材8と、を備える。最終反射部材50は、凹面鏡の一例であってもよい。筐体70は、第2筐体の一例であってもよい。
最終反射部材50には、表示デバイス2の表示面21から出射した光が直接的又は間接的に入射する。最終反射部材50は、入射した光を観察者400の目401に向かって反射する。
遮光部材8は、遮蔽状態と解除状態とのいずれかの状態で筐体70に保持される。遮蔽状態は、最終反射部材50への入射光、又は、最終反射部材50での反射光の少なくとも一部を遮光部材8が遮蔽する状態である。解除状態は、遮光部材8の遮蔽状態を解除した状態である。また、遮蔽状態では、遮光部材8が、筐体70に入射する外光を観察者400の目401に向かって反射する。そして、筐体70は、遮蔽状態及び解除状態のいずれの状態でも遮光部材8を保持する保持構造200を有している。
ここにおいて、表示デバイス2の表示面21からの出射光が最終反射部材50に「間接的に入射」するとは、表示面21からの出射光がミラー、レンズ又はプリズム等の1以上の光学部品によって反射又は屈折された後に、最終反射部材50に入射することを言う。
また、反射光学系B1は、1以上の反射部材(最終反射部材50を含む)を有し、表示デバイス2の表示面21から出力された光を1以上の反射部材で1回以上反射した後に観察者400の目401に入射させる。そして、最終反射部材50は、反射光学系B1が有する1以上の反射部材のうち最後に反射して、観察者400の目401に入射させる反射部材である。
また、保持構造200による遮光部材8の「保持」は、少なくとも遮光部材8を保持する保持構造200が、筐体70から分離できない状態で筐体70に対して一体的に取り付けられた態様を含む。例えば、保持構造200が筐体70に対して筐体70から分離できない状態で予め取り付けられており、この保持構造200に対して遮光部材8が着脱可能な状態で取り付けられていてもよい。また、遮光部材8及び保持構造200が筐体70から分離できない状態で筐体70に対して一体的に取り付けられてもよい。また、保持構造200による遮光部材8の「保持」は、筐体70に内蔵させた状態で保持する態様を含む。ここでいう「内蔵」は、筐体70の内部に遮光部材8が収容されている態様と、遮光部材8の主要部が筐体70の投影範囲内に収まるようにして遮光部材8が筐体70の外側に取り付けられている態様と、の両方を含む。遮光部材8の主要部が筐体70の投影範囲内に収まるとは、筐体70を任意の観察方向から見た場合に、遮光部材8が筐体70の内側に収まっている状態を言う。
また、「遮蔽状態」は、最終反射部材50への入射光、又は、最終反射部材50での反射光の少なくとも一部を遮光部材8が遮蔽し、かつ、遮光部材8が筐体70に入射する外光を観察者400の目401に向かって反射する状態である。保持構造200によって遮光部材8が遮蔽状態で保持されている場合、遮光部材8が、最終反射部材50への入射光、又は、最終反射部材50での反射光の少なくとも一部を遮蔽することで、表示デバイス2の表示面21に表示された画像に基づく表示を停止する。また、保持構造200によって遮光部材8が遮蔽状態で保持されている場合、遮光部材8によって筐体70に入射する外光が観察者400の目401に向かって反射されるので、表示システム1は光学ミラーとして機能する。
また、「解除状態」は、遮光部材8による最終反射部材50への入射光、及び、最終反射部材50での反射光の遮光が解除された状態であり、遮光部材8によって最終反射部材50への入射光、及び、最終反射部材50での反射光が遮光されない状態である。解除状態では、表示デバイス2の表示面21から出力された光が反射光学系B1で反射された後に観察者400の目401に入射するので、観察者400は表示デバイス2の表示面21に表示された画像(以下、第1画像とも言う。)に基づく画像(以下、第2画像とも言う。)を視認することができる。
ところで、表示デバイス2の故障が原因で表示面21に画像が映らなくなること等によって、表示デバイス2の表示に異常が発生する場合がある。また、撮像部4の映像を表示デバイス2が表示する場合に、撮像部4の故障や撮像部4と表示デバイス2との間の通信の異常等によって、表示デバイス2の表示に異常が発生する場合がある。表示システム1では、表示デバイス2の異常等の原因で表示デバイス2による表示に異常が発生した場合、遮光部材8の状態を遮蔽状態とすることで、表示システム1を光学ミラーとして機能させることができる。したがって、遮光部材8を使用せず筐体70全体の角度を調整することで、反射光学系B1に含まれるハーフミラー40を光学式のミラーとして用いる場合に比べて、筐体70を傾ける量を小さくできる。よって、本実施形態の表示システム1では、表示デバイス2による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能でありながら、筐体70によって観察者400の視界が遮られる可能性を低減できる、との利点がある。また、遮光部材8は、遮蔽状態及び解除状態の各々で保持構造200によって筐体70に保持されているので、遮光部材8が筐体70と分離されている場合に比べて、遮光部材8を遮蔽状態及び解除状態の各々で筐体70に保持させる手間を少なくできる、との利点もある。
なお、図38、図41、及び図42では、表示デバイス2の表示面21の中心付近から出射された光が、ハーフミラー40を透過して筐体70の外部に出射するまでの光路A11〜A14を点線で示している。また、図42では、筐体70の外部からミラー部材60の中心付近に入射した光がミラー部材60で反射される場合の光路A21〜A22を点線で示している。なお、図38、12、及び図42において、光の光路A11〜A14、A21〜A22を示す線は説明のために図示しているに過ぎず、実際には表示されない。
(2)詳細
以下、実施形態5に係る表示システム1及び電子ミラーシステム5について図38〜図43を参照して詳しく説明する。なお、以下の説明では、図38におけるX軸方向を前後方向、図38及び図40におけるZ軸方向を上下方向と規定し、図40におけるY軸方向を左右方向と規定する。さらに、X軸方向の正の向きを前側、Y軸方向の正の向きを右側、Z軸方向の正の向きを上側と規定する。ただし、これらの方向は一例であり、表示システム1及び電子ミラーシステム5の使用時の方向を限定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
(3)構成
本実施形態の表示システム1は、上述したように、表示デバイス2と、最終反射部材50を少なくとも含む反射光学系B1と、遮光部材8であるミラー部材60と、筐体70と、を備えている。また、表示システム1は、表示制御部22を更に備えている。
本実施形態では、反射光学系B1がハーフミラー40を更に含む。表示デバイス2の表示面21から出射した光はハーフミラー40を介して最終反射部材50に入射し、最終反射部材50での反射光はハーフミラー40を透過して観察者400の目401に入射する。
また、本実施形態では、筐体70には、遮光部材8として、一方の面が反射面61である板状のミラー部材60が設けられている。ミラー部材60の状態は、ミラー部材60のスライド動作と回転動作によって、第3状態と第4状態とのいずれかに切り替えられる。第3状態は、最終反射部材50から観察者400の目401に入射する光の光路外の第1位置にミラー部材60が配置される解除状態である。第4状態は、最終反射部材50と観察者400との間の第2位置に反射面61を観察者に向けた状態でミラー部材60が配置され、筐体70の外部からの光を反射面61で反射した反射像を観察者400の目401に表示させる遮蔽状態である。すなわち、遮光部材8は光学ミラー(ミラー部材60)である。光学ミラー(ミラー部材60)は、遮光部材8の状態が遮蔽状態である場合に、(解除状態における)最終反射部材50での反射光の反射方向に光を反射する反射面61を有する。
本実施形態の表示システム1と撮像部4(図39参照)とで電子ミラーシステム5が構成され、表示デバイス2は、撮像部4によって撮影される画像を表示面21に表示する。電子ミラーシステム5は、移動体である自動車100の移動体本体110に搭載される。すなわち、移動体(自動車100)は、電子ミラーシステム5と、電子ミラーシステム5を搭載する移動体本体110と、を含む。
筐体70の収納室73には、表示デバイス2と、最終反射部材50を含む反射光学系B1と、表示制御部22と、が収容されている。
筐体70は、移動体本体110の天井101においてウィンドシールド102(フロントガラス)に近い前側部分に、前部座席に着座する観察者400の視界に入る位置に取り付けられている(図39参照)。筐体70は、ボールジョイントなどの支持部材72を介して移動体本体110の天井101から吊り下げられた状態で天井101に取り付けられており、観察者400の前方に配置されている。支持部材72は筐体70の向きを調整するための調整機構(例えばボールジョイントなど)を有している。なお、図38及び図39では、筐体70の上部に支持部材72が配置され、天井101から吊り下げられているが、筐体70の背面側(車両前方側)に支持部材を配置し、ウィンドシールド102に取り付けられている構造であってもよい。
筐体70の後壁71は斜めに傾斜しており、この後壁71には貫通孔74が設けられている。貫通孔74は、上下方向の寸法に比べて左右方向(上下方向及び前後方向と直交する方向)の寸法が大きく、左右方向の寸法(長辺寸法)と上下方向の寸法(短辺寸法)との比率は約3〜6:1である。貫通孔74にはハーフミラー40が取り付けられている。また、筐体70には、後壁71の左右の両側縁からそれぞれ後方に突出する横フード75と、後壁71の下側縁から後方に突出する下フード76とが、筐体70と一体に設けられている。ここで、横フード75と下フード76とは一体的に設けられている。
液晶パネルは、光源装置の前方に配置されている。光源装置は、いわゆる面光源である。
本実施形態の表示システム1は、表示デバイス2の表示面21から出射する光を反射する2以上の反射部材3として、ハーフミラー40と、上記の最終反射部材50とを備えている。すなわち、表示システム1は、ハーフミラー40と、最終反射部材50とで構成される反射光学系B1を有している。
ハーフミラー40は、筐体70の後壁71に設けられた貫通孔74に取り付けられている。ハーフミラー40は光透過性を有している。ハーフミラー40は、入射光の一部を透過し、入射光の別の一部を反射する機能を有している。本実施形態では、ハーフミラー40は、光の透過率と反射率とが約50%である平板状のビームスプリッタで構成されている。ハーフミラー40は、ハーフミラー40の下端に比べて上端の方が後側に突出するように、上下方向に対して斜めに配置されている。
ハーフミラー40における収納室73側の面41(以下、内側面ともいう)は、表示デバイス2の表示面21及び最終反射部材50の最終反射面51(反射面の一例である)とそれぞれ対向している。ここで、2つの面又は部品が「対向」するとは、互いに平行な状態で配置されていることに限定されず、互いに平行ではない状態、つまり一方が他方に対して傾斜している状態で配置されている状態も含みうる。本実施形態では、ハーフミラー40は、表示デバイス2の表示面21からの光の入射方向、及び、最終反射面51からの光の入射方向に対して、内側面41の法線方向がそれぞれ斜めに交差するように配置されている。なお、本実施形態では、表示デバイス2からの光を反射する反射面である内側面41が平面であるが、内側面41は自由曲面のような曲面でもよい。ハーフミラー40の内側面41を自由曲面とすることで、最終反射面51に形成される画像の歪みを低減したり、像面の湾曲を低減したり、解像度を向上させたりすることができる。
最終反射部材50は、例えば凹面鏡である。最終反射部材50の最終反射面51は、例えばガラスの表面に、アルミニウム等の反射金属膜を蒸着することで形成される。最終反射部材50は、最終反射面51を後側に向けた状態で収納室73の前部に配置されている。換言すれば、最終反射部材50は、収納室73の内部において、ハーフミラー40の内側面41と対向する位置に配置されている。なお、最終反射部材50は凹面鏡に限定されず、平面鏡でもよい。
本実施形態では、ハーフミラー40の内側面41が、表示デバイス2の表示面21から出射された光の一部を最終反射部材50の最終反射面51に向かって反射する。最終反射部材50の最終反射面51は、ハーフミラー40の内側面41での反射光をハーフミラー40に向かって反射する。ハーフミラー40は、最終反射部材50から入射した光の一部を透過し、ハーフミラー40を透過した光が観察者400の目401に入射することによって、観察者400は、表示デバイス2の表示面21に表示される画像に基づく画像を見ることができる。すなわち、観察者400は、ハーフミラー40と最終反射部材50とで反射された画像を見ることになる。したがって、観察者400がハーフミラー40を通して最終反射部材50の最終反射面51を見る方向において、最終反射面51よりも遠方(観察者400の視点から、例えば1〜3m前方)の表示位置に、表示デバイス2の画像が表示されているかのように見える。つまり、表示デバイス2の画像は虚像となる。したがって、観察者400が、ウィンドシールド102を通して前方の視界を見ている状態から、表示システム1によって表示される画像(虚像)を見る場合にピント調節がしやすくなるという利点がある。また、表示デバイス2は、表示面21の法線方向に対して斜め方向(光路A11の方向)に光を出射している。このように光を斜め方向に出射することにより、画像の上側の虚像距離(視点から画像が見える位置までの距離)を遠く(長く)、画像の下側の虚像距離を近く(短く)することができる。撮像部4によって撮影される自動車100の後方の画像の遠近はこのような虚像距離の遠近の関係に近いため、疑似的な奥行感を生じさせることができ、観察者400は後方車両との距離感を掴みやすくなる。ただし、表示デバイス2が光を斜め方向に出射させると虚像に台形歪を発生させてしまうことから、最終反射面51において、入射光に対してやや下向きの反射角を設定することで、虚像に発生する台形歪みを低減できる。
ミラー部材60は、第1位置(図38中のミラー部材60の位置)と第2位置(図42中のミラー部材60の位置)との間で移動可能な状態で筐体70に取り付けられている。さらに言えば、遮光部材8であるミラー部材60は、保持構造200によって、第1位置と第2位置との間で移動可能な状態で筐体70に保持されている。
第1位置は、筐体70の下フード76の上側に、下フード76と平行するようにミラー部材60が配置される位置である。つまり、第1位置は、ハーフミラー40を透過して観察者400の目401に入射する光の光路外の位置であり、最終反射部材50での反射光が通らない位置である。したがって、ミラー部材60が第1位置にある第3状態では、ミラー部材60は、最終反射部材50での反射光の遮光を解除する解除状態となり、観察者400は、表示デバイス2の表示面21の画像(第1画像)を反射光学系B1が反射した反射像(第2画像)を見ることができる。
第2位置は、ハーフミラー40と観察者400との間にミラー部材60が配置される位置である。第2位置は、ハーフミラー40を透過して観察者400の目401に入射する光の光路A14に対してミラー部材60の表面が90度に近い角度で交差するようにミラー部材60が配置される位置である。ミラー部材60が第2位置に位置する第4状態では、ミラー部材60は、最終反射部材50での反射光を遮光する遮光状態となる。また、第4状態では、筐体70の外部からの光を反射面61で反射した光が観察者の目に入射するので、観察者は反射面61による反射像を見ることができる。
なお、第1位置は、図38中のミラー部材60の位置に限定されず、適宜変更が可能である。同様に、第2位置は、図42中のミラー部材60の位置に限定されず、観察者400が反射面61に映る反射像を見ることができる位置であれば適宜変更が可能である。
ここで、ミラー部材60は、第1位置及び第2位置の各々において、横フード75と下フード76とハーフミラー40とで囲まれる空間に配置(つまり、筐体70に内蔵)されているので、筐体70を大型化することなくミラー部材60を配置することができる。
ミラー部材60は、平面視の形状が矩形状である平板状に形成されている。ミラー部材60は、第2位置に配置された状態での左右方向の寸法及び上下方向の寸法が、観察者400の目401の位置からハーフミラー40を見た場合の見かけ上の寸法と同じ寸法に設定されている。したがって、ミラー部材60が第2位置に配置された第4状態(遮蔽状態)では、観察者400から見てハーフミラー40の全体がミラー部材60で覆われている。また、第4状態において、観察者400から見てハーフミラー40の全体がミラー部材60で覆われていることは必須ではなく、観察者400からハーフミラー40の一部が見えていてもよい。
ここで、ミラー部材60の片側の面(第2位置に配置された状態、つまり遮蔽状態で、ハーフミラー40と反対側、つまり観察者400側を向く面)は、少なくとも可視光領域の光を反射する反射面61となっている。したがって、ミラー部材60が第2位置に配置された状態では、観察者400は、筐体70の向きを支持部材72の調整機構によって調整することで自動車100の後方からの光をミラー部材60で反射した反射像を見ることができる。なお、ミラー部材60の一方の面に設けられた反射面61は平面でも凸面でもよい。つまり、ミラー部材60は平面鏡でも凸面鏡でもよい。
ミラー部材60において反射面61と反対側の面は、少なくとも可視光領域の光の反射率が反射面61よりも低い遮光面62である。そして、ミラー部材60が第1位置に配置される第3状態では、ミラー部材60の遮光面62がハーフミラー40と対向している。さらに言えば、本実施形態では、ミラー部材60の遮光面62が入射した光を吸収する機能を有している。遮光面62の色は、移動体本体110(図39参照)の天井101の内面よりも暗い色であり、例えば黒色である。このように、遮光面62の色を黒色等の暗い色とすることで、遮光面62に入射した光を吸収する機能を持たせている。したがって、図38に示すように、ミラー部材60が第1位置に配置される解除状態において、筐体70の外部から光路A31を通ってミラー部材60の遮光面62に入射した光が遮光面62で反射されるのを抑制できる。よって、筐体70の外部から遮光面62に入射した光が、遮光面62とハーフミラー40とで反射して観察者400の目401に入射するのを抑制でき、表示システム1が表示する画像のコントラストを向上することができる。
なお、遮光面62は光を吸収する機能を有しているが、遮光面62を粗面に形成することによって、遮光面62に光を散乱する機能を持たせてもよい。ミラー部材60が第1位置に配置される解除状態において、遮光面62が入射光を散乱することによって、筐体70の外部から遮光面62に入射した光が、遮光面62とハーフミラー40とで反射して観察者400の目401に入射することを抑制できる。
このように、ミラー部材60の遮光面62は、少なくとも可視光領域の光の吸収と散乱の少なくとも一方を行えばよく、外部からの光がハーフミラー40に反射して観察者400の目401に入射することを抑制できる。なお、遮光面62は、少なくとも可視光領域の光について吸収と散乱の少なくとも一方を行えばよく、可視光領域以外の光、例えば赤外領域の光に対しては透過性を有していてもよい。
ミラー部材60の左右の側縁には、図38及び図43に示すように、円柱状の突起64が複数設けられている。本実施形態では、複数の突起64が、第1位置にあるミラー部材60の左右の側面の前側に設けられた第1突起641と、第1位置にあるミラー部材60の左右の側面の後側に設けられた第2突起642とを含む。また、ミラー部材60が第1位置に位置する状態で、ミラー部材60の後端部には、斜め下向きに突出する突出片63が一体に設けられている。表示システム1のユーザ(例えば自動車100の運転者などの観察者400)は、操作部としての突出片63を指で上向きに押すか又は下向きに引くことによって、ミラー部材60を動かすことができる。すなわち、表示システム1は、ミラー部材60の状態を第3状態と第4状態とのいずれかに手動で切り替えるための操作部(突出片63)を更に備えている。なお、突出片63は、例えば、ミラー部材60の後端部において左右方向の中央に設けられているが、左右方向の両側に複数設けられていてもよい。また、ミラー部材60の左側縁又は右側縁から左右方向に突出する突出片を、横フード75に設けた貫通部を通して筐体70の外側に突出させ、この突出片において筐体70の外側に突出する部位を操作部としてもよい。
筐体70には、左右の横フード75の内側面に、ミラー部材60の複数の突起64がそれぞれ挿入される複数のガイド溝77が設けられている。複数のガイド溝77は、ミラー部材60の第1突起641が挿入される第1ガイド溝771と、ミラー部材60の第2突起642が挿入される第2ガイド溝772とを含む。第1ガイド溝771は、横フード75の内側面に前後方向に沿って設けられている。第2ガイド溝772は、横フード75の内側面に、上下方向に沿って設けられている。なお、本実施形態では、突起64がミラー部材60に設けられ、ガイド溝77が筐体70に設けられているが、筐体70に突起が設けられ、ミラー部材60に突起が挿入されるガイド溝が設けられてもよい。ここにおいて、遮光部材8であるミラー部材60を保持する保持構造200は、筐体70とミラー部材60との一方に設けられた突起64と、筐体70とミラー部材60との他方に設けられて、突起64が挿入されるガイド溝77と、を含んでいる。そして、ガイド溝77の内部で突起64の位置が変化することによって、ミラー部材60の状態が第3状態(解除状態)と第4状態(遮蔽状態)とのいずれかに切り替えられる。
図38に示すように、ミラー部材60が第1位置に存在する第3状態では、第1突起641は第1ガイド溝771の内部の前端付近に位置し、第2突起642は第2ガイド溝772の内部の下端付近に位置している。第3状態(解除状態)では、ミラー部材60は、下フード76の上側に下フード76の上面に沿って配置されており、ハーフミラー40を透過して観察者400の目401に入射する光の光路外に配置される。したがって、ミラー部材60の状態が第3状態である場合には、観察者400は、表示デバイス2の表示面21に表示される画像(第1画像)を、反射光学系B1で反射することによって拡大され遠視点化された画像(第2画像)を見ることができる。なお、ミラー部材60が第1位置に配置される状態では、例えば、ミラー部材60の端部が、筐体70に設けられたフック等にラッチされることによって、ミラー部材60が第3状態で保持される。
第3状態にあるミラー部材60の突出片63をユーザが上向きに押すと、図41に示すように、第1突起641が第1ガイド溝771の内部を後方へスライド動作し、第2突起642が第2ガイド溝772の内部を上方へスライド動作する。ここで、第1突起641及び第2突起642はそれぞれ第1ガイド溝771及び第2ガイド溝772内で回転動作を行いながらスライド動作を行うことで、ミラー部材60は全体として回転動作を行いながら第2位置に向かって移動する。すなわち、ミラー部材60は、スライド動作と回転動作とを行うことによって、第1位置から第2位置へと移動し、また第2位置から第1位置へと移動する。ここで、ミラー部材60はスライド動作と回転動作とを同時に行ってもよいし、スライド動作と回転動作とを別々に行ってもよい。
そして、ミラー部材60が第2位置に移動すると、図42に示すように、第1突起641が第1ガイド溝771の内部の後端付近に位置し、第2突起642が第2ガイド溝772の内部の上端付近に位置する。ミラー部材60が第2位置に配置される第4状態(遮蔽状態)では、ミラー部材60は、反射面61をハーフミラー40と反対側に向けた状態で、上下方向に沿って配置される。なお、上下方向に沿って配置されるとは、鉛直方向に沿って配置されることに限定されず、反射面61を介して自動車100の後方を視認可能であれば、鉛直方向に対して斜めに傾いた状態で配置されていてもよい。この第4状態では、観察者400から見てハーフミラー40のほぼ全体がミラー部材60によって覆われており、観察者400は、筐体70の外部(例えば自動車100の後方)からの光を反射面61で反射した反射像を見ることができる。なお、ミラー部材60が第2位置に配置された状態では、ハーフミラー40を透過した光がミラー部材60で遮られるので、観察者400は、表示デバイス2の表示面21に表示される画像を見ることはできない。したがって、表示デバイス2の表示が異常になった場合、観察者400は、ミラー部材60の状態を第3状態から第4状態に切り替えることで、反射面61で反射された反射像を見ることができる。なお、ミラー部材60が第2位置に配置される第4状態では、例えば、ミラー部材60の端部が、筐体70に設けられたフック等にラッチされることによって、ミラー部材60が第4状態で保持される。
また、ミラー部材60の状態を第4状態(遮蔽状態)から第3状態(解除状態)に切り替える場合、ユーザ(例えば観察者400)はミラー部材60の突出片63を下向きに引く。突出片63が下向きに引っ張られると、第1突起641が第1ガイド溝771の内部を前側に移動し、第2突起642が第2ガイド溝772の内部を下側に移動することによって、ミラー部材60の状態が第4状態から第3状態に切り替えられる。ミラー部材60の状態が第3状態に切り替えられることによって、観察者400は、表示デバイス2の表示面21の画像を反射光学系B1が反射した反射像を見ることができる。
このように、本実施形態では、ミラー部材60に突起64が設けられ、筐体70には突起64が挿入されるガイド溝77が設けられている。ガイド溝77の内部で突起64の位置が変化することによって、ミラー部材60が第1位置又は第2位置に移動し、ミラー部材60の状態が第3状態と第4状態とのいずれかに切り替えられる。
なお、本実施形態では、突起64を、ミラー部材60に固定された円柱状の突起としているが、突起64は、ミラー部材60に設けられた軸に回転可能な状態で取り付けられた円筒状のローラであってもよい。突起64を回転可能なローラとすることで、突起64がガイド溝77の内部をスライド移動する場合に引っ掛かりにくくなり、突起64の摩耗が低減され、ミラー部材60の状態を第3状態又は第4状態にスムーズに切り替えることができる。
表示制御部22は、表示デバイス2による画像の表示状態を制御する。表示制御部22は例えば自動車100の車内ネットワークを介して撮像部4と通信(有線通信又は無線通信)を行う。表示制御部22には、撮像部4から自動車100の後方の撮像画像の画像データが入力される。表示制御部22は、撮像部4から入力される撮像画像に基づく画像を表示デバイス2に表示させる。
ここにおいて、撮像画像に基づく画像とは、撮像画像そのものでもよいし、撮像画像を画像処理した画像でもよく、撮像画像をもとに作成したCG(Computer Graphics)画像でもよい。例えば、夜間には撮像部4で撮影された画像は暗くなるので、撮像部4で撮影された画像の明るさ補正を行ってもよい。また、撮像部4で撮影された画像をもとに、画像中に映っている障害物等を示すCG画像又はマーカー等を作成し、撮像部4の撮像画像にCG画像又はマーカー等を重畳した画像を表示デバイス2の表示面21に表示させてもよい。また、撮像部4の撮像画像に運転支援情報(例えば、車速情報、ナビゲーション情報、歩行者情報、前方車両情報、車線逸脱情報、及び車両コンディション情報等)を示すマーカーを重畳した画像を表示デバイス2に表示させてもよい。
撮像部4は、自動車100の後方を撮影した画像データを例えば車内ネットワークを介して表示制御部22に出力する。撮像部4は例えば自動車100の後部において左右方向の中央に配置され、従来のルームミラーで視認できる範囲を撮影しており、電子ミラーシステム5は従来のルームミラーのような後方確認ミラーとして用いられる。撮像部4は自動車100の後部に取り付けられているので、撮像部4によって撮影される画像には、後部座席やピラー等が映り込むことはない。なお、撮像部4は自動車100の後側方を撮影してもよい。撮像部4は、従来のドアミラー、フェンダーミラーで視認できる範囲を撮影してもよく、電子ミラーシステム5を従来のドアミラー、フェンダーミラーの代わりの後方確認ミラーとして用いてもよい。撮像部4は移動体本体110の後部であって移動体本体110の上部位置に取り付けられているが、撮像部4の取付位置は一例であり、撮像部4は所望の範囲を撮影可能な位置に取り付けられていればよい。
本実施形態の表示システム1では、表示デバイス2が表示する画像、つまり表示デバイス2の表示面21から出力される光をハーフミラー40と最終反射部材50とで複数回(本実施形態では例えば2回)反射している。ここで、観察者400から、観察者400によって視認される画像の表示位置までの距離(視距離)は、表示デバイス2の表示面21から最終反射面51までの光路長、及び、反射光学系B1の焦点距離等で決定される。本実施形態では、表示デバイス2の表示面21から出力される光を2回反射することで、画像の表示位置までの視距離を所望の距離に保ちながら、筐体70(収納室73)の大きさを小さくできる。したがって、観察者400がハーフミラー40を通して最終反射面51を見る方向において筐体70の小型化を図ることができる。
(4)動作
本実施形態の表示システム1及び表示システム1を備える電子ミラーシステム5の動作について以下に説明する。なお、ミラー部材60の状態は、図38に示すように、ミラー部材60が第1位置に配置される第3状態(解除状態)に切り替えられているものとする。
例えば、自動車100のバッテリから電子ミラーシステム5に電力が供給され、自動車100が備えるECU(Electronic Control Unit)から電子ミラーシステム5に動作を開始させる制御信号が入力されると、電子ミラーシステム5が動作を開始する。
自動車100のECUから表示制御部22に動作を開始させる制御信号が入力されると、表示制御部22は、撮像部4に所定のフレームレートで自動車100の後方を撮影させ、撮像部4から撮像画像の画像データを取得する。
表示制御部22は、撮像部4から撮像画像の画像データが入力されると、撮像画像に基づく画像を作成して、表示デバイス2の表示面21に表示させる。
表示デバイス2の表示面21に画像が表示されると、この画像を形成する光は、光路A11と平行な方向に沿って、ハーフミラー40の内側面41に向かって出射される。ハーフミラー40はビームスプリッタであり、ハーフミラー40の内側面41は、表示デバイス2からの入射光の一部を最終反射部材50の最終反射面51に向かって反射する。最終反射面51は凹面鏡であり、表示面21の画像を拡大した拡大画像を形成する光をハーフミラー40の内側面41に向かって反射する。ハーフミラー40の内側面41に最終反射面51で反射された反射光が入射すると、入射光の一部がハーフミラー40を透過して筐体70の外部に出射されるので、観察者400は最終反射面51によって拡大された画像を見ることができる。よって、観察者400は、最終反射面51によって拡大された画像を、ハーフミラー40を介して見ることによって、自動車100の後方の状況を確認できる。
表示デバイス2又は撮像部4等の異常によって表示デバイス2の表示面21に表示される画像に異常が発生した場合、観察者400は、突出片63を上向きに押して、ミラー部材60の状態を、ミラー部材60が第2位置に配置される第4状態(遮蔽状態)に切り替える。第4状態では、図42に示すように、ミラー部材60は、ハーフミラー40と観察者400との間の第2位置に、反射面61を観察者400側に向けた状態で配置される。したがって、ミラー部材60の状態を第4状態に切り替え、筐体70の向きを支持部材72の調整機構によって調整した場合、観察者400は、筐体70の外部(例えば自動車100の後方)から入射する光を反射面61で反射した反射像を見ることができる。よって、表示デバイス2の表示に異常が発生した場合でも、観察者400は、第4状態に切り替えられたミラー部材60を用い、ミラー部材60の反射面61での反射像を見ることによって、自動車100の後方の状況を確認できる。すなわち、表示システム1は、表示デバイス2による表示に異常が発生した場合でも、ミラー部材60を用いて代替の表示を行うことができる。なお、本実施形態でも支持部材72の調整機構によって筐体70の向きを微調整することはあるが、ミラー部材60の状態を第4状態に切り替えることによって、ミラー部材60の反射面61での反射像を観察者400に見せている。したがって、ミラー部材60を使用せず筐体70全体の角度を調整することで、ハーフミラー40を光学式のミラーに代用する場合に比べて、筐体70を傾ける量を小さくできる。よって、筐体70によって観察者400の視界(観察者400の前方の視界)が遮られるのを抑制し、前方の視認性の低下を抑制することができる。
なお、表示システム1は、ミラー部材60が第2位置に配置されている状態を検知するための検知スイッチを更に備えていてもよい。ミラー部材60が第2位置に配置されていることを検知スイッチが検知すると、表示制御部22が、検知スイッチの検知結果に基づいて表示デバイス2の表示を停止させてもよく、表示システム1の消費電力を低減できる。
(1)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
以下、上記の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示における表示システム1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における表示システム1の機能(例えば表示制御部22の機能)が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
(2)変形例1
変形例1の表示システム1について図44に基づいて説明する。
変形例1の表示システム1は、ガイド溝77に挿入され、ガイド溝77に沿ってスライド移動するガイド部材78を更に備える点で上記の実施形態と相違する。なお、ガイド部材78以外は上記の実施形態と同様の構成を有しているので、共通する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
本変形例では、第1ガイド溝771及び第2ガイド溝772のそれぞれにガイド部材78が配置されている。ガイド部材78は、例えば合成樹脂の成形品であり、スライド移動する方向の両端面が曲面に形成されている。ガイド部材78には、円柱状の突起64が挿入される丸穴781が形成されており、ガイド部材78に突起64が回転可能な状態で支持されている。
ここで、第3状態では、第1ガイド溝771に挿入されているガイド部材78は、第1ガイド溝771の前端付近に位置し、第2ガイド溝772に挿入されているガイド部材78は、第2ガイド溝772の下端付近に位置している。
ミラー部材60の状態を第4状態に切り替えるために観察者400が突出片63を上側に押すと、第1ガイド溝771の内部をガイド部材78が後方へスライド動作し、第2ガイド溝772の内部をガイド部材78が上方へスライド動作する。また、ガイド部材78のスライド動作に応じて、ガイド部材78に対して突起64が回転動作しており、ガイド部材78のスライド移動と突起64の回転動作とによって、ミラー部材60が第1位置から第2位置へと移動する。
また、ミラー部材60を第4状態から第3状態に切り替えるために観察者400が突出片63を下側に引くと、第1ガイド溝771及び第2ガイド溝772内をガイド部材78が下側に向かってスライド動作する。また、ガイド部材78のスライド動作に応じて、ガイド部材78に対して突起64が回転動作しており、ガイド部材78のスライド移動と突起64の回転動作とによって、ミラー部材60が第2位置から第1位置へと移動する。
このように、変形例1の表示システム1では、ミラー部材60が第1位置と第2位置との間で移動する場合に、スライド動作を行う部材(ガイド部材78)と、回転動作を行う部材(突起64)とを別々の部材に分けている。変形例1では、ガイド溝77の溝内をスライド移動するガイド部材78は回転動作を行わないので、ガイド部材78のスライド動作がスムーズになり、ミラー部材60を第1位置と第2位置との間でスムーズに移動させることができる。また、突起64は回転動作を行うのみでスライド動作を行わないので、突起64がスライド動作を行うことによって摩耗する可能性を低減できるという利点もある。
(変形例2)
変形例2の表示システム1について図45を参照して説明する。
変形例2の表示システム1は、図45に示すように、ミラー部材60の状態を、第3状態及び第4状態のそれぞれの状態で保持する状態保持部材80を更に備える点で、上記の実施形態と相違する。なお、状態保持部材80以外は上記の実施形態と同様の構成を有しているので、共通する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
本変形例では、状態保持部材80が、例えばミラー部材60に設けられた複数の磁石81を含む。ミラー部材60は平面視の形状が矩形状の平板状であり、ミラー部材60が第1位置に配置されている状態で、ミラー部材60の左右の側面には、前後方向の両端部に永久磁石のような磁石81が複数(例えば4個)取り付けられている。
筐体70の左右の横フード75の内側面には、磁石81の磁力によって吸着される磁性材料(例えば鉄など)の板片82が複数取り付けられている。ここで、複数の板片82は、第1位置にあるミラー部材60の磁石81と対向する4箇所の部位にそれぞれ配置された4つの第1板片821と、第2位置にあるミラー部材60の磁石81と対向する4箇所の部位にそれぞれ配置された4つの第2板片822とを含む。
ミラー部材60が第1位置に配置されている第3状態(解除状態)では、ミラー部材60の4つの磁石81が筐体70の4つの第1板片821をそれぞれ吸着することで、ミラー部材60が第1位置で保持される。
一方、ミラー部材60の突出片63を上側に押して、ミラー部材60を第1位置から移動させると、磁石81が第1板片821から離れることによって、磁石81の磁力による保持状態が解除される。ミラー部材60の突出片63を更に上側に押して、ミラー部材60を第2位置まで移動させると、ミラー部材60の4つの磁石81が筐体70の4つの第2板片822をそれぞれ吸着することで、ミラー部材60が第2位置で保持される。このように、ミラー部材60の四隅に設けられた磁石81が筐体70に設けられた第2板片822を吸着することによって、ミラー部材60が第4状態(遮蔽状態)で保持されるので、自動車100の振動等によるミラー部材60のがたつきを低減できる。
また、第2位置に配置されたミラー部材60の突出片63を下側に引くと、磁石81が第2板片822から離れることによって、磁石81の磁力による保持状態が解除される。磁石81の磁力による保持状態が解除されると、ミラー部材60が自重によって第2位置から第1位置に移動する。そして、ミラー部材60が第1位置まで移動すると、ミラー部材60の4つの磁石81が筐体70の4つの第1板片821を吸着することで、ミラー部材60が第1位置で保持される。このように、第2位置にあるミラー部材60の突出片63を下側に引いて磁石81による保持状態を解除すると、ミラー部材60が自重で第1位置まで移動するので、ミラー部材60の状態を第3状態に切り替える操作を簡単に行うことができる。
なお、筐体70には、ミラー部材60の磁石81が磁力で吸着する磁性材料の板片82が設けられているが、筐体70にはミラー部材60の磁石81が吸着する永久磁石のような磁石が設けられていてもよい。
また、筐体70に磁石81が設けられ、ミラー部材60には磁石81が吸着する板片82が設けられてもよい。すなわち、本変形例において、ミラー部材60及び筐体70の一方に磁石81が設けられ、ミラー部材60及び筐体70の他方には磁石81が吸着する磁性材料の板片又は磁石が設けられてもよい。換言すれば、状態保持部材80は、ミラー部材60と筐体70との少なくとも一方に設けられた磁石81を含み、ミラー部材60の状態が、磁石81の磁力によって、第3状態及び第4状態のそれぞれで保持されればよい。状態保持部材80である磁石81の磁力によって、ミラー部材60の状態が、第3状態及び第4状態のそれぞれで保持されるので、第3状態及び第4状態のそれぞれでミラー部材60の位置ががたつくのを抑制できる。
また、本変形例において、状態保持部材80を構成する磁石81の数及び配置は、ミラー部材60の形状、及びミラー部材60を保持する保持力等に応じて適宜変更が可能である。
また、本変形例において、状態保持部材80に含まれる磁石81は永久磁石に限定されず、電磁石でもよい。状態保持部材80が電磁石を含む場合、電磁石のコイルへの通電を停止することによって、状態保持部材80による保持状態を解除することができる。ここで、例えば図45の表示システム1が筐体70の上下を反転させた状態で使用される場合、状態保持部材80による保持状態が解除されると、ミラー部材60を、ミラー部材60の自重によって第1位置から第2位置へと移動させることができる。この構成によると、電磁石のコイルへの通電を停止するスイッチ(図示せず)を設けることによって、運転者等の観察者400のスイッチ操作により、任意のタイミングでミラー部材60を第1位置(解除状態の位置)から第2位置(遮蔽状態の位置)へと移動させることができる。電磁石のコイルへの通電を停止することによってミラー部材60が第2位置に移動すると、再び電磁石のコイルへの通電が行われるようにしてもよい。これにより、第2位置におけるミラー部材60の、がたつきを抑制できる。
(変形例3)
変形例3の表示システム1について図46を参照して説明する。
変形例3の表示システム1は、状態保持部材80が、ミラー部材60に設けられたボールプランジャ83を含む点で変形例2と相違する。なお、状態保持部材80以外の構成は変形例2又は上記の実施形態と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
ミラー部材60は平面視の形状が矩形状の平板状であり、ミラー部材60が第1位置に配置されている状態で、ミラー部材60の左右の側面には、前後方向の両端部にボールプランジャ83が取り付けられている。
筐体70の左右の横フード75の内側面には、ボールプランジャ83のボール部831が挿入される受け穴84vが設けられている。ミラー部材60には複数(例えば4つ)のボールプランジャ83が設けられており、筐体70の左右の横フード75の内側面には、ボールプランジャ83のボール部831がそれぞれ挿入される複数の受け穴84vが設けられている。複数の受け穴84vは、例えば4つの第1受け穴841と、例えば4つの第2受け穴842とを含む。第1受け穴841には、第1位置にあるミラー部材60のボールプランジャ83が有するボール部831が挿入される。第2受け穴842には、第2位置にあるミラー部材60のボールプランジャ83が有するボール部831が挿入される。すなわち、ミラー部材60の状態が、ボールプランジャ83のボール部831が受け穴84vに挿入されることによって、第3状態及び第4状態のそれぞれで保持される。
ここで、ミラー部材60が第1位置に配置されている状態では、ボールプランジャ83のボール部831が筐体70の第1受け穴841に挿入されることで、ミラー部材60が第1位置で保持される。第3状態では、ミラー部材60の四隅にあるボールプランジャ83のボール部831が筐体70の第1受け穴841にそれぞれ挿入されるので、自動車100の振動等でミラー部材60ががたつくのを抑制することができる。
ミラー部材60の突出片63を上側に押して、ミラー部材60を第1位置から移動させると、ボール部831が第1受け穴841の外に出ることで、ボールプランジャ83による保持状態が解除される。ミラー部材60の突出片63を更に上側に押して、ミラー部材60を第2位置まで移動させると、ボールプランジャ83のボール部831が第2受け穴842に挿入されることで、ミラー部材60が第2位置で保持される。このように、ミラー部材60の四隅にあるボールプランジャ83のボール部831が第2受け穴842に挿入されることで、ミラー部材60が第4状態で保持されるので、自動車100の振動等によるミラー部材60のがたつきを低減できる。
また、第2位置に配置されたミラー部材60の突出片63を下側に引くと、ボールプランジャ83のボール部831が第2受け穴842の外に出ることで、ボールプランジャ83によるミラー部材60の保持状態が解除される。ボールプランジャ83による保持状態を解除した後、突出片63を更に下側に引いて、ミラー部材60を第1位置まで移動させると、ボールプランジャ83のボール部831が第1受け穴841に挿入されることでミラー部材60が第1位置で保持される。
なお、本変形例では、ミラー部材60にボールプランジャ83が設けられているが、筐体70にボールプランジャ83が設けられ、ミラー部材60にボールプランジャ83のボール部831が挿入される受け穴84vが設けられてもよい。すなわち、本変形例において、ミラー部材60及び筐体70の一方にボールプランジャ83が設けられ、ミラー部材60及び筐体70の他方にボールプランジャ83のボール部831が挿入される受け穴84vが設けられていればよい。言い換えると、状態保持部材80は、筐体70とミラー部材60との一方に設けられたボールプランジャ83を含み、筐体70とミラー部材60との他方に、ボールプランジャ83のボール部831が挿入される受け穴84vが設けられていればよい。そして、ミラー部材60の状態が、ボール部831が受け穴84vに挿入されることによって、第3状態及び第4状態のそれぞれで保持される。
また、本変形例において、状態保持部材80を構成するボールプランジャ83の数及び配置は、ミラー部材60の形状、及びミラー部材60を保持する保持力等に応じて適宜変更が可能である。
なお、変形例2及び3の表示システム1は、磁石81又はボールプランジャ83を含む状態保持部材80を備えているが、ミラー部材60を第3状態及び第4状態で保持する状態保持部材80は磁石及びボールプランジャに限定されない。状態保持部材80は、ミラー部材60及び筐体70の一方に設けられた爪等でもよい。ミラー部材60及び筐体70の一方に設けられた爪を、ミラー部材60及び筐体70の他方に引っ掛けることで、第3状態及び第4状態のそれぞれの状態を保持してもよい。
なお、変形例2及び3では、状態保持部材80が、ミラー部材60の状態を、第3状態及び第4状態のそれぞれの状態で保持しているが、第3状態及び第4状態のうち少なくとも一方の状態(例えば第4状態)で保持してもよい。
(変形例4)
変形例4の表示システム1について図47及び図48を参照して説明する。
変形例4の表示システム1は、図47に示すように、筐体70の左右の横フード75の内側面に突起751が設けられ、ミラー部材60の左右の側面に、突起751が挿入されるガイド溝65が設けられている点で上記の実施形態と相違する。なお、突起751及びガイド溝65以外の構成は上記の実施形態と同様であるので、上記の実施形態と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
ミラー部材60のガイド溝65には筐体70に設けられた突起751が挿入されており、ミラー部材60は、ガイド溝65に突起751が挿入された状態で、筐体70に対してスライド動作及び回転動作を行うことができる。ミラー部材60が第1位置に配置されている状態で、ミラー部材60の下面の前端部には下向きに突出する突出片63A(図48参照)が設けられている。また、筐体70の左右の横フード75の内側面には、ミラー部材60をガイドする2つのガイド突起752が上下方向に沿って形成されている。なお、筐体70において第1位置に配置されたミラー部材60の下側は開放されており、ミラー部材60の下側には下フード76は設けられていない。
図48に示すように、ミラー部材60が第1位置に配置された第3状態では、突起751がガイド溝65の溝内の右端付近に位置している。ミラー部材60が第1位置に配置されると、変形例2又は3で説明した状態保持部材80によってミラー部材60が第1位置に配置された第3状態が保持されている。
ミラー部材60を第3状態から第4状態に切り替える場合、表示システム1のユーザ(例えば観察者400)は突出片63Aを下向きに引っ張り、突起751を中心にミラー部材60を反時計回り(矢印A1の方向)に回転させる。その後、観察者400は突出片63Aを持ち、ミラー部材60を上方(矢印A2の方向)に移動させる。このとき、突起751がガイド溝65に挿入された状態で、ミラー部材60がガイド突起752にガイドされながら、第2位置まで移動する。そして、ミラー部材60が第2位置に移動した状態では、変形例2又は3で説明した状態保持部材80によりミラー部材60が第2位置に配置された第4状態が保持される。
上記の実施形態及び変形例4の表示システム1では、筐体70とミラー部材60との一方には突起64又は751が設けられ、筐体70とミラー部材60との他方には、突起64又は751が挿入されるガイド溝77又は65が設けられている。そして、ガイド溝77又は65の内部で突起64又は751の位置が変化することによって、ミラー部材60の状態が第3状態と第4状態とのいずれかに切り替えられる。このように、ガイド溝77又は65に沿って突起64又は751の位置が変化することで、ミラー部材60の状態が第3状態と第4状態とのいずれかに切り替えられるので、ミラー部材60をスムーズに移動させることができる。
(変形例5)
変形例5の表示システム1について図49を参照して説明する。
変形例5の表示システム1は、図49に示すように、ミラー部材60を第1位置と第2位置との間で移動させるアクチュエータ6を更に備える点で上記の実施形態と相違する。なお、上記の実施形態と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
本変形例では、横フード75の内部に例えば第1ガイド溝771に沿ってウォームギア611が配置されている。ウォームギア611は回転可能な状態で配置されている。ウォームギア611の一端は収納室73の内部に挿入されている。アクチュエータ6は例えば電動のモータを含み、ウォームギア611の一端はモータの出力軸に連結されている。また、収納室73には、モータ(アクチュエータ6)を制御する制御回路7が収容されている。制御回路7は、制御部の一例であってもよい。
ウォームギア611の一部は第1ガイド溝771の溝内に露出しており、第1ガイド溝771の内部に挿入される第1突起641の周面にはピニオンギアが形成されている。第1突起641が第1ガイド溝771の溝内に挿入された状態では、第1ガイド溝771内に配置されているウォームギア611と、第1突起641に設けられたピニオンギアとが組み合わさっている。
ここで、第1突起641はミラー部材60に対して固定的に設けられており、制御回路7がアクチュエータ6を制御してウォームギア611を回転させると、ウォームギア611の回転に応じて、第1突起641が第1ガイド溝771内を移動する。そして、第1突起641が第1ガイド溝771内を移動することによって、ミラー部材60が第1位置と第2位置との間で移動する。
制御回路7は、例えば表示デバイス2又は表示制御部22等から、表示デバイス2による表示の異常を示す異常信号が入力されると、モータ(アクチュエータ6)を制御してミラー部材60を第1位置から第2位置に移動させる。これにより、表示デバイス2による表示に異常が発生した場合、ミラー部材60が第2位置に配置されるので、観察者400は、ミラー部材60の反射面61に映る反射像を見ることができる。よって、表示システム1は、表示デバイス2による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能になる。
なお、制御回路7は、例えば表示デバイス2又は表示制御部22等から、表示デバイス2による表示が復旧したことを示す通知信号が入力されると、モータ(アクチュエータ6)を制御してミラー部材60を第1位置に移動させてもよい。これにより、表示デバイス2による表示が復旧した場合、観察者400は、表示デバイス2が表示した画像を、反射光学系B1を介して見ることができる。
なお、本変形例では、モータがウォームギア611を回転させることでミラー部材60を移動させているが、モータがミラー部材60を移動させる機構は適宜変更が可能である。例えば、ミラー部材60に一端が接続されたワイヤの巻き取り及び送り出しを行う回転ドラムをモータで回転させることで、ミラー部材60を第1位置と第2位置との間で移動させてもよい。また、アクチュエータ6は、モータに限定されず、ミラー部材60を第1位置から第2位置まで移動させる機構を駆動するソレノイド等でもよい。
(変形例6)
上記の実施形態では、ハーフミラー40を蒸着タイプのビームスプリッタとしているが、ハーフミラー40は蒸着タイプのビームスプリッタに限定されない。図50に示すように、表示デバイス2を液晶パネルとし、表示面21上にλ/4位相差フィルム23を配置した上で、ハーフミラー40Aを、平面ガラス42上にワイヤーグリッドなどの反射型偏光素子43とλ/4位相差フィルム44とを積層した構成としてもよい。
すなわち、図50に示すハーフミラー40Aは、反射型偏光フィルム(反射型偏光素子43)とλ/4位相差フィルム44との積層構造を有している。反射型偏光素子43は、所定の振動方向の光を透過する。λ/4位相差フィルム44は、ハーフミラー40における入射光と出射光との間に電界振動方向において4分の1波長の位相差を発生させる。ここで、ハーフミラー40Aを構成する反射型偏光素子43は、例えばS偏光を反射し、P偏光を透過するような偏光素子である。
このような構成を採用した場合、表示面21から出射したP偏光は、表示面21上のλ/4位相差フィルム23によって円偏光に変換され、その後、反射型偏光素子43上のλ/4位相差フィルム44によってS偏光に変換される。S偏光の光は反射型偏光素子43でほとんどの光線が反射され、その反射光は反射型偏光素子43上のλ/4位相差フィルム44によって円偏光に変換される。円偏光の光は最終反射部材50で反射された後、再び反射型偏光素子43上のλ/4位相差フィルム44に入射してP偏光に変換される。P偏光の光は反射型偏光素子43でほとんどの光線が透過し、その透過光は観察者400の目401に到達する。このような構成により蒸着タイプのビームスプリッタに比べて表示デバイス2からの光を効率よく観察者400の目401に到達させることができる。
なお、本変形例において、遮光部材8として光学ミラーに代えて液晶ミラー等の液晶が用いられる場合には、次のような構成を採用することが好ましい。遮光部材8が液晶ミラーである場合、液晶ミラーは例えばハーフミラー40と観察者400との間の光路上に配置される。液晶ミラーにおける光の透過率は、印加電圧に応じて変化する。より詳細には、液晶ミラーにおいて、少なくとも可視光の透過率が、印加電圧に応じて変化する。すなわち、液晶ミラーは、印加電圧に応じて、可視光の一部を遮蔽する遮蔽状態と、可視光の遮蔽を解除する解除状態と、のうちいずれか一方の状態を取り得る。遮蔽状態は、液晶ミラーでの可視光の透過率が比較的小さい状態である。解除状態は、液晶ミラーでの可視光の透過率が比較的大きい状態である。ここで、液晶ミラーが解除状態の場合は、ハーフミラー40での反射光の偏光方向が、液晶ミラーに到達する際に、液晶ミラーの分子配列の方向に沿うように、ハーフミラー40及び表示面21上のλ/4位相差フィルム44、23を含む反射光学系B1を設計すればよい。また、液晶ミラーが遮蔽状態の場合は、液晶ミラーに到達する際の光の偏光方向が、液晶ミラーの分子配列の方向と交差するように、ハーフミラー40及び表示面21上のλ/4位相差フィルム44、23を含む反射光学系B1を設計すればよい。
(変形例7)
上記の実施形態及び変形例1〜6において、反射光学系B1が、中間反射部材90を更に含んでもよい。図51は変形例7の表示システム1の概略的な説明図である。なお、反射光学系B1以外の構成は実施形態5と同様であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
変形例7の表示システム1は、中間反射部材90と最終反射部材50とを含む反射光学系B1を有している。
表示デバイス2は、収納室73の下部に、表示面21を上側に向けた状態で収容されている。
中間反射部材90は、例えば平面鏡であり、収納室73の上部に、反射面91を下側に向けた状態で配置されている。中間反射部材90は、表示デバイス2の表示面21から出射した光をハーフミラー40に向かって反射する。すなわち、変形例7の表示システム1では、反射光学系B1が、表示デバイス2の表示面21から出射した光をハーフミラー40に向かって反射する中間反射部材90を、更に備えている。なお、中間反射部材90は平面鏡に限定されず、凹面鏡でも凸面鏡でもよいし、フレネルミラーで構成されていてもよい。
最終反射部材50は、例えば凹面鏡である。最終反射部材50は、最終反射面51を後側に向けた状態で収納室73の前部に配置されている。
変形例7では、反射光学系B1が中間反射部材90と最終反射部材50とを有しており、表示デバイス2の表示面21から出射された光は、中間反射部材90の反射面91に入射し、この反射面91によってハーフミラー40に向かって反射される。ハーフミラー40に入射した光は、ハーフミラー40によって反射されて、最終反射部材50に入射する。最終反射部材50は、入射光をハーフミラー40に向かって反射し、ハーフミラー40が入射光の一部を透過して、観察者400の目に入射させる。
なお、変形例7では中間反射部材90の数が1つであるが、中間反射部材90の数は1つに限定されず、適宜変更が可能である。
また、上記の実施形態及び変形例1〜6では、反射光学系B1がハーフミラー40を含んでいるが、反射光学系B1が、ハーフミラー40を含むことは必須ではない。ハーフミラー40に代えて筐体70に透明カバーを取り付け、最終反射部材50での反射光を、透明カバーを通して外部に出力させてもよい。
(その他の変形例)
上記の実施形態において、表示デバイス2が収納室73の上側に配置されているが、表示デバイス2が収納室73の下側に配置されていてもよい。
この場合、表示デバイス2、ハーフミラー40、最終反射部材50、及びミラー部材60の配置は、図38の配置を上下反転させたような配置となる。ハーフミラー40は、上端に比べて下端の方が後方に突出するように斜めに配置され、ミラー部材60は、第3状態ではハーフミラー40の上側に配置される。
ミラー部材60が第1位置に配置された第3状態において、突出片63を操作してミラー部材60を第1位置から移動させると、ミラー部材60は自重で第2位置へと移動する。換言すると、操作部(突出片63)を用いてミラー部材60が第1位置から動かされると、ミラー部材60の状態が、ミラー部材60の自重によって第3状態から第4状態に切り替わる。これにより、表示デバイス2による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能な表示システム1を提供することができる。また、ミラー部材60の状態を第3状態から第4状態に切り替える操作を簡単に行うことができる。
上記実施形態及び変形例の電子ミラーシステム5は、自動車100に適用されるものに限らず、例えば、二輪車、電車、航空機、建設機械、及び船舶等、自動車100以外の移動体にも適用可能である。
(実施形態6)
実施形態6の表示システム1について図52〜図54を参照して説明する。
実施形態6の表示システム1は、2以上の反射部材3が、表示デバイス2の表示面21から出射した光をハーフミラー40に向かって反射する中間反射部材90を更に含む点で上記の実施形態5と相違する。なお、中間反射部材90以外の構成は上記の実施形態5と同様であるので、実施形態5と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
実施形態6では、2以上の反射部材3が、中間反射部材90と、ハーフミラー40と、最終反射部材50とを含んでいる。すなわち、反射光学系B1が、中間反射部材90と、ハーフミラー40と、最終反射部材50とを含んでいる。筐体70の収納室73には、中間反射部材90と、ハーフミラー40と、最終反射部材50とが収容れている。また、図52〜図54では図示を省略しているが、収納室73の内部には表示制御部22も収容されている。
実施形態6では、収納室73の上側に、表示デバイス2が表示面21を下側に向けた状態で配置されている。中間反射部材90は、例えば平面鏡であり、収納室73の下側に、反射面91を上側に向けた状態で配置されている。ハーフミラー40は、筐体70の後壁71に設けられた貫通孔74に取り付けられている。最終反射部材50は、収納室73の前側に、最終反射面51を後側に向けた状態で配置されている。ここで、ハーフミラー40は、ハーフミラー40の上端に比べて下端の方が後側に突出するように斜めに配置されている。
図52〜図54では、表示デバイス2の表示面21の中心付近から出射された光が、ハーフミラー40を透過して筐体70の外部に出射するまでの光路A41〜A45を点線で示している。また、図54では、筐体70の外部からミラー部材60の中心付近に入射した光がミラー部材60で反射される場合の光路A51〜A52を点線で示している。なお、図52〜図54において、光の光路A41〜A45、A51〜A52を示す線は説明のために図示しているに過ぎず、実際には表示されない。
本実施形態では、図52に示すように、表示デバイス2から出射された光を中間反射部材90とハーフミラー40とで反射させた後、最終反射部材50によりハーフミラー40に向かって反射させ、ハーフミラー40を透過させて外部に出射させている。このような光路A41〜A44を形成するため、表示デバイス2は、表示面21の法線方向に対して斜め方向(光路A11の方向)に光を出射している。本実施形態では、表示デバイス2の表示面21から出力される光を3回反射しているので、画像の表示位置までの視距離を所望の距離に保ちながら、筐体70(収納室73)の更なる小型化を実現できる。
ミラー部材60の左右の側縁には、実施形態5と同様に、円柱状の突起64が複数(例えば4個)設けられている。本実施形態では、複数の突起64は、第1位置にあるミラー部材60の左右の側面の前側に設けられた第1突起641と、第1位置にあるミラー部材60の左右の側面の後側に設けられた第2突起642とを含む。また、第1位置にあるミラー部材60の後端部には、斜め下向きに突出する突出片(操作部)が一体に設けられている。なお、図52〜図54では突出片の図示を省略している。
また本実施形態では、筐体70には、後壁71の左右の両側縁から後方に突出する横フード75と、後壁71の上側縁から後方に突出する上フード79とが、筐体70と一体に設けられている。ここで、横フード75と上フード79とは一体的に設けられている。
ミラー部材60は、第1位置(図52に示す位置)と第2位置(図54に示す位置)との間で移動可能な状態で筐体70に取り付けられている。第1位置は、筐体70の上フード79の下側に、上フード79と平行するようにミラー部材60が配置される位置である。第2位置は、ハーフミラー40と観察者400との間にミラー部材60が配置される位置である。第2位置は、ハーフミラー40を透過して観察者400の目401に入射する光の光路A45に対して、ミラー部材60の表面が90度に近い角度で交差するようにミラー部材60が配置される位置である。ここで、ミラー部材60は、横フード75と上フード79とハーフミラー40とで囲まれる空間に配置されている。すなわち、ミラー部材60は、筐体70の投影範囲内に収まるように筐体70に保持(内蔵)されているので、筐体70を大型化することなくミラー部材60を配置することができる。
ミラー部材60の片側の面(第2位置に配置された状態で、ハーフミラー40と反対側、つまり観察者400側を向く面)は、少なくとも可視光領域の光を反射する反射面61となっている。また、ミラー部材60において、反射面61と反対側の面は、反射面61に比べて可視光領域の光の反射率が低い遮光面62となっている。
筐体70には、左右の横フード75の内側面に、ミラー部材60の複数の突起64がそれぞれ挿入される複数のガイド溝77が設けられている。本実施形態では、複数のガイド溝77は、ミラー部材60の第1突起641が挿入される第1ガイド溝773と、ミラー部材60の第2突起642が挿入される第2ガイド溝774とを含む。第1ガイド溝773は、横フード75の内側面に前後方向に沿って設けられている。第2ガイド溝774は、横フード75の内側面に、第1ガイド溝773と交差する方向に沿って設けられている。
図52に示すように、ミラー部材60が第1位置に存在する第3状態(解除状態)では、第1突起641は第1ガイド溝773の溝内の前端付近に位置し、第2突起642は第2ガイド溝774の溝内の上端付近に位置している。ミラー部材60は、上フード79の下側に上フード79の下面に沿って配置されており、ハーフミラー40を透過して観察者400の目401に入射する光の光路外に配置される。したがって、ミラー部材60の状態が第3状態である場合には、観察者400は、表示デバイス2の表示面21に表示される画像(第1画像)を、反射光学系B1で反射することによって拡大され遠視点化された画像(第2画像)を見ることができる。なお、ミラー部材60が第1位置に配置される状態では、上記の変形例2又は3で説明した状態保持部材80によって、ミラー部材60が第3状態で保持される。
第3状態にあるミラー部材60の突出片を観察者400が下向きに引くと、図53に示すように、第1突起641が第1ガイド溝773の内部を後方に移動し、第2突起642が第2ガイド溝774の内部を下方に移動する。ここで、第1突起641及び第2突起642はそれぞれ第1ガイド溝773及び第2ガイド溝774内で回転動作を行いながらスライド動作を行うことで、ミラー部材60は全体として回転動作を行いながら第2位置に向かって移動する。なお、第3状態にあるミラー部材60の突出片を下向きに引くことで、ミラー部材60を第1位置から移動させると、ミラー部材60は、ミラー部材60の自重によって第1位置から第2位置へと移動する。したがって、ミラー部材60の状態を第3状態から第4状態に切り替える操作を簡単に行うことができる。
そして、ミラー部材60の状態が第4状態に切り替えられると、図54に示すように、第1突起641が第1ガイド溝773の溝内の後端付近に位置し、第2突起642が第2ガイド溝774の溝内の下端付近に位置する。第4状態では、ミラー部材60は、反射面61をハーフミラー40と反対側(つまり観察者400)に向けた状態で、上下方向に沿って配置される。この場合、観察者400から見てハーフミラー40のほぼ全体がミラー部材60によって覆われており、観察者400は、筐体70の外部(例えば自動車100の後方)からの光を反射面61で反射した反射像を見ることができる。なお、ミラー部材60が第2位置に配置された状態では、ハーフミラー40を透過した光がミラー部材60の遮光面62で遮光されるので、観察者400は、表示デバイス2の表示面21に表示される画像を見ることはできない。したがって、表示デバイス2又は撮像部4等の故障によって、表示デバイス2の表示が異常になった場合、観察者400は、ミラー部材60の状態を第4状態とすることで、反射面61で反射された反射像を見ることができる。なお、ミラー部材60が第2位置に配置されると、上記の変形例2又は3で説明した状態保持部材80によって、ミラー部材60が第4状態で保持される。
また、ミラー部材60の状態を第4状態から第3状態に切り替える場合、ユーザ(例えば観察者400)はミラー部材60の突出片を上向きに押す。突出片が上向きに押されると、第1突起641が第1ガイド溝773の溝内を前側に移動し、第2突起642が第2ガイド溝774の溝内を上側に移動することによって、ミラー部材60の状態が第4状態から第3状態に切り替えられる。ミラー部材60の状態が第3状態に切り替えられることによって、観察者400は、表示デバイス2の表示面21の画像(第1画像)が反射光学系B1によって拡大反射された反射像(第2画像)を見ることができる。
本実施形態では、第3状態において、ミラー部材60が上フード79の下側に、遮光面62を下向きにして配置されているので、筐体70の外部から遮光面62に入射した光が遮光面62で反射されてハーフミラー40に映り込むのを抑制できる。また、第3状態では、ミラー部材60が上フード79の下側に、遮光面62を下向きにして配置されているので、遮光面62に埃等が溜まりにくくなるという利点がある。
なお、本実施形態において、中間反射部材90(第1の中間反射部材)に代えて、ハーフミラー40での反射光を最終反射部材50に向かって反射する第2の中間反射部材を備えてもよい。第2の中間反射部材は、収納室73の下側に反射面を上側に向けて配置される。この場合、表示デバイス2から出射された光は、まずハーフミラー40で第2の中間反射部材に向けて反射される。この反射光は、第2の中間反射部材で最終反射部材50に向けて反射される。さらに、最終反射部材50での反射光はハーフミラー40に至り、ハーフミラー40を透過して外部に出射する。このように、本実施形態において、反射光学系B1を構成する反射部材の数及び配置は適宜変更が可能である。
また、実施形態6では、表示デバイス2が収納室73の上側に配置されているが、表示デバイス2が収納室73の下側に配置されていてもよい。
この場合、表示デバイス2、中間反射部材90、ハーフミラー40、最終反射部材50、及びミラー部材60の配置は、図52の配置を上下反転させたような配置となる。ハーフミラー40は、下端に比べて上端の方が後方に突出するように斜めに配置され、ミラー部材60は、第3状態ではハーフミラー40の下側に配置される。
また、実施形態5及び実施形態6では、ハーフミラー40を蒸着タイプのビームスプリッタとしているが、ハーフミラー40は蒸着タイプのビームスプリッタに限定されない。表示デバイス2を液晶パネルとし、表示面21上にλ/4位相差フィルムを配置した上で、ハーフミラー40を、平面ガラス上にワイヤーグリッドなどの反射型偏光素子(反射型偏光フィルム)とλ/4位相差フィルムとを積層した構成としてもよい。ここで、ハーフミラー40を構成する反射型偏光素子は、例えばS偏光を反射し、P偏光を透過するような偏光素子である。このような構成を採用した場合、表示面21から出射したP偏光は、表示面21上のλ/4位相差フィルムによって円偏光に変換され、その後反射型偏光素子上のλ/4位相差フィルムによってS偏光に変換される。S偏光の光は反射型偏光素子でほとんどの光線が反射され、その反射光は反射型偏光素子上のλ/4位相差フィルムによって円偏光に変換される。円偏光の光は最終反射部材50で反射された後、再び反射型偏光素子上のλ/4位相差フィルムに入射してP偏光に変換される。P偏光の光は反射型偏光素子でほとんどの光線が透過し、その透過光は観察者400の目401に到達する。このような構成により蒸着タイプのビームスプリッタに比べて表示デバイス2からの光を効率よく観察者400の目401に到達させることができる。
なお、実施形態6では中間反射部材90の数が1つであるが、中間反射部材90の数は1つに限定されず、適宜変更が可能である。また、中間反射部材90は平面鏡に限定されず、凹面鏡でも凸面鏡でもよいし、フレネルミラーで構成されていてもよい。
(実施形態7)
実施形態7の表示システム1について図55〜図56を参照して説明する。
上述した実施形態5又は2の表示システム1では、遮光部材8であるミラー部材60が筐体70の外側に筐体70と分離できない状態で保持されているのに対して、本実施形態では、遮光部材8であるミラー部材60Aが筐体70の内部に収容されている。なお、ミラー部材60Aが筐体70の内部に収容されている点を除いては表示システム1の構成は上記の実施形態6と同様であるので、実施形態6と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。なお、図55では、表示デバイス2の表示面21の中心付近から出射された光が、ハーフミラー40を透過して筐体70の外部に出射するまでの光路A41〜A44を点線で示している。また、図56では、筐体70の外部からミラー部材60Aの中心付近に入射した光がミラー部材60Aで反射される場合の光路A51〜A52を点線で示している。なお、図55及び図56において、光の光路A41〜A44、A51〜A52を示す線は説明のために図示しているに過ぎず、実際には表示されない。
表示システム1は、表示デバイス2と、反射光学系B1と、遮光部材8であるミラー部材60Aと、ミラー部材60Aを解除状態及び遮蔽状態のいずれかの状態で保持する保持構造200と、筐体70と、を備えている。
表示デバイス2は、収納室73の上部に、表示面21を下側に向けた状態で収容されている。
反射光学系B1は、平面鏡のような中間反射部材90と、ハーフミラー40と、最終反射部材50とを含む。
筐体70には、遮光部材8として、一方の面が反射面61Aである板状のミラー部材60Aが設けられている。
保持構造200は、ミラー部材60Aを保持するとともに、最終反射部材50を更に保持する。
この保持構造200は、最終反射部材50及びミラー部材60Aを、ミラー部材60Aの反射面61Aと最終反射部材50の最終反射面51とを互いに反対側に向けた状態で、筐体70に対して回転可能な状態で保持している。
保持構造200が、最終反射部材50の最終反射面51がハーフミラー40と対向する回転位置(図55に示す位置)に、最終反射部材50及びミラー部材60Aを回転させた状態が、最終反射部材50への入射光及び最終反射部材50での反射光を遮蔽しない解除状態となる。解除状態では、ミラー部材60Aは、最終反射部材50に対してハーフミラー40と反対側の位置であって、最終反射部材50とハーフミラー40との間の光路から外れた位置に配置されている。そして、解除状態では、最終反射部材50の最終反射面51が、ハーフミラー40から入射した光を、観察者400の目401に向かって反射することによって、観察者400は、表示デバイス2の表示面21に表示された画像(第1画像)に基づく画像(第2画像)を視認することができる。
一方、保持構造200が、図55に示す回転位置から180度回転した回転位置(図56に示す位置)に、最終反射部材50及びミラー部材60Aを回転させた状態が、最終反射部材50への入射光を遮蔽する遮蔽状態となる。ここで、ミラー部材60Aの反射面61Aの中心点P1における法線L1と、最終反射部材50の最終反射面51の中心点P2における法線L2とが非平行になるように、保持構造200が最終反射部材50及びミラー部材60Aを保持している。なお、反射面の中心点における法線とは、反射面の中心点を通り、かつ反射面の中心点における接線と直交する線である。なお、ここでいう「直交」とは、線又は面に対して直角に交差していることに限定されず、人の目で見てほぼ直交しているとみなせるのであれば、直交方向から多少(数度程度)ずれていてもよい。
遮蔽状態では、ハーフミラー40と最終反射部材50との間の光路上にミラー部材60Aが配置される。遮蔽状態では、表示デバイス2の表示面21から光が出射した場合、この光は中間反射部材90とハーフミラー40とで反射された後にミラー部材60Aに入射するため、ミラー部材60Aによって最終反射部材50への入射光が遮蔽される。また、ミラー部材60Aの反射面61Aの法線L1と、最終反射部材50の最終反射面51の法線L2とは非平行になっているので、表示デバイス2から中間反射部材90とハーフミラー40とを介してミラー部材60Aに入射する光は、ミラー部材60Aによって観察者400の目401の方向とは異なる方向に反射される。つまり、ミラー部材60Aが、表示デバイス2の表示面21から出射された光を観察者400の目401の方向とは異なる方向に反射することで、観察者400が表示デバイス2に表示された画像(第1画像)に基づく画像(第2画像)を視認できない、つまり表示デバイス2に表示される画像が観察者400に対して遮蔽された状態となる。なお、制御回路7が、アクチュエータ6を用いてミラー部材60Aを観察者400と対向する位置に回転させた状態では、表示制御部22が、例えば制御回路7からの遮蔽状態を通知する信号を受けて、表示デバイス2の表示を停止させるのが好ましい。
上述のように、遮蔽状態では、表示デバイス2の表示面21から出射した光は中間反射部材90とハーフミラー40とで反射された後にミラー部材60Aに入射し、ミラー部材60Aによって観察者600の目401の方向とは異なる方向に反射される。つまり、ミラー部材60Aが、表示デバイス2の表示面21から中間反射部材90とハーフミラー40とを介して入射した光を、観察者600の目401の方向とは異なる方向に反射することで、観察者400が表示デバイス2の表示面21に表示された画像に基づく画像を見えない遮蔽状態としている。そして、遮蔽状態では、筐体70の外部からハーフミラー40を介してミラー部材60Aに入射した光が、ミラー部材60Aによって観察者400の目401の方向に反射されるので、観察者400は、筐体70の外部からの光を反射面61で反射した反射像を視認することができる。
なお、本実施形態では、保持構造200が、筐体70に対して回転可能な状態で保持された回転体210を含んでおり、回転体210には最終反射部材50とミラー部材60Aとが保持されている。回転体210は、回転軸211を中心に、第1回転位置と第2回転位置との間で回転可能に設けられている。第1回転位置は、図55に示すように、解除状態において観察者400に最終反射部材50の最終反射面51を対向させる位置である。第2回転位置は、図56に示すように、遮蔽状態において観察者400にミラー部材60Aの反射面61Aを対向させる位置である。回転軸211の軸方向から見た回転体210の形状は台形状であり、一方の取付面212には最終反射部材50が取り付けられ、他方の取付面213にはミラー部材60Aが取り付けられている。ここで、ミラー部材60Aは凹面鏡であるので、ミラー部材60Aが取り付けられる取付面213はミラー部材60Aのカーブに合わせた曲面に形成されている。回転体210は、ミラー部材60Aの反射面61Aの中心点P1における法線L1と、最終反射部材50の最終反射面51の中心点P2における法線L2とが非平行となる状態で、ミラー部材60Aと最終反射部材50とを保持している。この回転体210は、筐体70の収納室73に収容されたアクチュエータ6(例えばモータ)によって駆動される。また、収納室73には、アクチュエータ6を制御する制御回路7が収容されている。すなわち、表示システム1は、回転体210を第1回転位置と第2回転位置との間で移動させるアクチュエータ6を更に備えている。
ここで、制御回路7は、例えば表示デバイス2又は表示制御部22等から、表示デバイス2による表示が正常であることを示す信号が入力されている場合、アクチュエータ6を制御して回転体210を第1回転位置に回転させる。回転体210が第1回転位置に回転した状態では、表示デバイス2の表示面21から出射した光は、中間反射部材90とハーフミラー40とで反射された後に最終反射部材50に入射される。最終反射部材50は、ハーフミラー40から入射した光を、ハーフミラー40に向かって反射する。最終反射部材50での反射光の一部はハーフミラー40を透過して観察者400の目401に入射されるので、観察者400は、表示デバイス2の表示面21に表示された画像に基づく画像を視認することができる。なお、自動車100の後方からハーフミラー40を透過して最終反射部材50の最終反射面51に入射した光は、最終反射面51によって観察者400の目401(アイボックス)の方向とは異なる方向に反射されるので、観察者400の目401に外乱光が入るのを抑制できる。
一方、制御回路7は、例えば表示デバイス2又は表示制御部22等から、表示デバイス2による表示が異常であることを示す異常信号が入力されると、モータ(アクチュエータ6)を制御して回転体210を第2回転位置に回転させる。なお、表示制御部22は、表示デバイス2による表示が異常になると、表示デバイス2の表示を停止させており、表示デバイス2の表示面21から光が出力されない状態となる。回転体210が第2回転位置に回転した状態では、筐体70の外部(例えば自動車100の後方)からハーフミラー40を介してミラー部材60Aの反射面61Aに入射した光が、ミラー部材60Aの反射面61Aによって観察者400の目401に向かって反射される。したがって、観察者400は、ミラー部材60Aの反射面61Aに映った反射像を視認することができる。
ここで、本実施形態では、ミラー部材60Aの反射面61Aの中心点P1における法線L1と、最終反射部材50の最終反射面51の中心点P2における法線L2とが非平行になるように回転体210に保持されている。したがって、最終反射部材50での反射光が観察者400に向かって反射される位置に回転体210が位置している状態から、回転体210を180度回転させると、ミラー部材60Aでの反射光を観察者400に向かって反射させることができる。したがって、本実施形態では、回転体210を180度回転させるごとに、解除状態と遮蔽状態とを交互に切り替えることができる。このように、解除状態に切り替える場合と遮蔽状態に切り替える場合とで回転体210の回転角度が同じ角度であるので、解除状態及び遮蔽状態のそれぞれで回転体210の位置を保持する状態保持部材を共通化できるという利点がある。また、表示システム1は、回転体210を第1回転位置と第2回転位置との間で移動させるアクチュエータ6を更に備えているので、アクチュエータ6を用いて解除状態と遮蔽状態とを切り替えることができる。
なお、本実施形態では、ミラー部材60Aの反射面61Aの中心点P1における法線L1と、最終反射部材50の最終反射面51の中心点P2における法線L2とが非平行になるように回転体210に保持されているが、保持構造200の構成は適宜変更が可能である。
例えば、図57に示すように、回転体210は、ミラー部材60Aの反射面61Aと最終反射部材50の最終反射面51とが互いに反対側を向き、かつ、ミラー部材60Aの反射面61Aの中心点P1における法線L1と、最終反射部材50の最終反射面51の中心点P2における法線L2とが平行となる状態で、ミラー部材60Aと最終反射部材50とを保持してもよい。なお、ここでいう「平行」とは、線又は面に対して完全に平行な状態に限定されず、人の目で見てほぼ平行であるとみなせるのであれば、平行な状態から多少(数度程度)ずれていてもよい。
ここで、制御回路7がアクチュエータ6を制御して回転体210を一方向(右回り又は左回り)に回転させる場合に、解除状態から遮蔽状態に切り替える場合と、遮蔽状態から解除状態に切り替える場合とで互いに異なる角度で回転体210を回転させている。つまり、第1回転位置(解除状態の位置)と第2回転位置(遮蔽状態の位置)との間で回転体210が回転する角度が180度以外の所定の角度である。このように、解除状態から遮蔽状態に切り替える場合の回転体210の回転角度と、遮蔽状態から解除状態に切り替える場合の回転体210の回転角度とを異なる角度とすることで、解除状態での最終反射部材50の最終反射面51の中心点P2における法線L2に沿う方向と、遮蔽状態でのミラー部材60Aの反射面61Aの中心点P1における法線L1に沿う方向とを異なる方向とすることができる。
これにより、解除状態では、表示デバイス2の表示面21からの出射光を中間反射部材90とハーフミラー40とで反射した光は、最終反射部材50によって観察者400の方向に反射されるので、観察者400は、表示デバイス2に表示された画像(第1画像)に基づく画像(第2画像)を視認することができる。一方、遮蔽状態では、筐体70の外部(例えば自動車100の後方)からハーフミラー40を通ってミラー部材60Aの反射面61Aに入射した光が、反射面61Aによって観察者400の方向に反射されるので、観察者400は、反射面61Aによる反射像(自動車100の後方の画像)を視認することができる。なお、遮蔽状態では表示デバイス2が発光を停止しているが、仮に表示デバイス2の表示面21から光が出射している場合でも、この出射光は中間反射部材90とハーフミラー40とで反射された後、ミラー部材60Aの反射面61Aによって観察者400(アイボックス)の方向とは異なる方向に反射されることになり、観察者400の目401に入射されることはない。
なお、本実施形態では、回転体210に最終反射部材50と遮光部材8とが保持されているが、回転体210は必須の構成ではなく、適宜省略可能である。保持構造200は、最終反射部材50及び遮光部材8の各々を別個に筐体70に対して回転可能な状態で筐体70に直接取り付けてもよい。
また、本実施形態では、回転体210に、最終反射部材50と、遮光部材8であるミラー部材60Aとが保持されているが、回転体210には、1以上の別のミラー部材が更に保持されていてもよい。なお、以下では、遮光部材8であるミラー部材60Aを第1ミラー部材と言い、遮光部材8であるミラー部材60A以外の別のミラー部材を第2ミラー部材と言う場合もある。
例えば、図58は、最終反射部材50及び第1ミラー部材60Aの他に、1つの第2ミラー部材320を保持する回転体210の一例を示している。第2ミラー部材320は、例えば第1ミラー部材60Aに比べて反射率が低い平面の防眩ミラーである。ここで、第2ミラー部材320(別のミラー部材)の反射面321の中心点P3における法線L3は、最終反射部材50の最終反射面51の中心点P2における法線L2、及び、第1ミラー部材(ミラー部材)60Aの反射面61Aの中心点P1における法線L1の各々に対して非平行である。なお、第2ミラー部材320は平面の防眩ミラーに限定されず、広角の視野が得られる凸面鏡であってもよい。
ここで、回転軸211の軸方向から見た回転体210の形状は台形状であり、回転軸211に沿った4つの面のうち、平行2平面のうちの一面(例えば小さい方の面)を除いた3つの面212〜214に、最終反射部材50と第1ミラー部材60Aと第2ミラー部材320とが取り付けられている。ここで、回転体210には、最終反射部材50と第2ミラー部材320との間に第1ミラー部材60Aが配置されるように、最終反射部材50と第1ミラー部材60Aと第2ミラー部材320とが取り付けられている。
この表示システム1では、解除状態では最終反射部材50が観察者400に対向する位置に配置されるように、制御回路7がアクチュエータ6を制御して回転体210を回転させる。これにより、観察者400は表示デバイス2の表示面21に表示された画像に基づく画像を視認することができる。
一方、遮蔽状態では、第1ミラー部材60A又は第2ミラー部材320が観察者400に対向する位置に配置されるように、制御回路7がアクチュエータ6を制御して回転体210を回転させる。第1ミラー部材60Aが観察者400に対向する位置に配置された場合には、筐体70の後方からハーフミラー40を通って第1ミラー部材60Aの反射面61Aに入射した光が、反射面61Aによって観察者400の方向に反射されるので、観察者400は反射面61Aによる反射像(自動車100の後方の画像)を視認できる。同様に、第2ミラー部材320が観察者400に対向する位置に配置された場合には、筐体70の後方からハーフミラー40を通って第2ミラー部材320の反射面321に入射した光が、反射面321によって観察者400の方向に反射されるので、観察者400は反射面321による反射像(自動車100の後方の画像)を視認できる。なお、第2ミラー部材320が第1ミラー部材60Aに比べて反射率が低い防眩ミラーである場合、第1ミラー部材60Aに比べて反射光の光量が低下するので、例えば夜間に後続車両のヘッドライト等の眩しい光が入射した場合でも、観察者400が眩しいと感じる可能性を低減できる。
また、図59A〜図59Cに示すように、回転軸211の軸方向から見た断面が台形である回転体210の回転軸211に沿う4つの面のうち、非平行な2面の一方に、最終反射部材50を配置し、非平行な2面の他方にミラー部材60Aを配置してもよい。そして、回転体210には、ミラー部材60Aに対して光が入射する側に透光性を有する防眩ミラー322を配置してもよい。防眩ミラー322の反射率は、ミラー部材60Aの反射率よりも低く、例えば10%程度である。なお、ミラー部材60A及び防眩ミラー322は平面鏡であり、ミラー部材60Aの反射面と防眩ミラー322の反射面323とは互いに非平行になるように回転体210に保持されている。つまり、回転体210の回転軸211の軸方向から見て、ミラー部材60Aの反射面61Aの中心点P1における法線L1と、防眩ミラー322の反射面323の中心点P3における法線L3とが非平行になるように、ミラー部材60Aと防眩ミラー322とが回転体210に保持されている。なお、ミラー部材60Aと防眩ミラー322との間には透光性を有する部材(例えばガラス又はアクリル樹脂等)が配置されている。防眩ミラー322は、防眩ミラー322に入射した入射光の一部を反射する。入射光の残りは防眩ミラー322を透過してミラー部材60Aに入射し、ミラー部材60Aによって防眩ミラー322による反射方向とは異なる反射方向に反射される。
ここで、図59Aに示すように、最終反射部材50が観察者400と対向する位置に回転体210が回転した解除状態では、表示デバイス2の表示面21からの出射光が中間反射部材90とハーフミラー40とで反射された後に、最終反射部材50の最終反射面51に入射する。そして、最終反射部材50の最終反射面51が、ハーフミラー40から入射した光を観察者400の目401の方向に反射するので、観察者400は表示デバイス2の表示面21に表示された画像に基づく画像を視認することができる。
一方、図59Bに示すように、ミラー部材60Aの反射面61Aによる反射光が観察者400の目401に入射する位置に回転体210が回転した状態では、観察者400はミラー部材60Aによる反射像を視認する。すなわち、筐体70の外部からハーフミラー40を通って入射した光は、その大部分が防眩ミラー322を透過してミラー部材60Aに入射し、ミラー部材60Aの反射面61Aで反射される。この反射面61Aでの反射光はハーフミラー40を透過して観察者400の目401に入射するので、観察者400はミラー部材60Aによる反射像を視認することができる。なお、防眩ミラー322によっても入射光の一部が反射されるが、防眩ミラー322は観察者400とは異なる方向に光を反射するので、防眩ミラー322による反射像が観察者400に視認されることはない。
また、図59Cに示すように、防眩ミラー322の反射面323による反射光が観察者400の目401に入射する位置に回転体210が回転した状態では、観察者400は防眩ミラー322による反射像を視認する。すなわち、筐体70の外部からハーフミラー40を通って入射した光の一部は、防眩ミラー322の反射面323によって反射される。この反射面323での反射光はハーフミラー40を透過して観察者400の目401に入射するので、観察者400は防眩ミラー322での反射像を視認することができる。ここで、防眩ミラー322の反射率はミラー部材60Aの反射率よりも低いので、例えば夜間等に筐体70の外部から眩しい光(後続車のヘッドライトの光等)が入射した場合でも、観察者400が眩しさを感じる可能性を低減できる。なお、防眩ミラー322に入射した光の大部分は防眩ミラー322を透過してミラー部材60Aに入射し、ミラー部材60Aの反射面61Aによって反射されるが、反射面61Aは観察者400とは異なる方向に入射光を反射するので、ミラー部材60Aによる反射像は観察者400によって視認されることはない。
このように、回転体210には最終反射部材50とミラー部材60Aと防眩ミラー322とが保持されており、回転体210の回転位置を変えることによって、表示デバイス2に表示された画像に基づく画像を観察者400に見せる状態(解除状態)と、ミラー部材60A又は防眩ミラー322による反射像を観察者400に見せる状態(遮蔽状態)とを切り替えることができる。
また、図59A〜図59Cに示す表示システムでは、ミラー部材60Aに対して光が入射する側に防眩ミラー322が配置されているが、図60に示すように、回転体210の一面に防眩ミラー322を配置するとともに、防眩ミラー322に対して光が入射する側にミラー部材60Aが配置されていてもよい。
また、図61に示すように、回転体210は、回転軸211の軸方向と交差する断面の形状が四角形である四角柱であってもよい。そして、回転体210において、回転軸211の軸方向に沿う4つの側面には、2つの最終反射部材50と、2つのミラー部材60Aとが交互に配置されていればよい。
ここで、回転体210は、回転軸211の軸方向と交差する断面の形状が平行四辺形である。そして、回転軸211と直交する面内で、各最終反射部材50の最終反射面51の中心点における法線L2を、回転軸211を中心に90度回転させた場合、各ミラー部材60Aの反射面61の中心点P1における法線L1と非平行になるように、2つの最終反射部材50と2つのミラー部材60Aとが回転体210に保持されている。
したがって、制御回路7は、解除状態から遮蔽状態に切り替える場合、又は、遮蔽状態から解除状態に切り替える場合、アクチュエータ6を制御して回転体210を90度回転させればよい。
解除状態では、2つの最終反射部材50のいずれかが観察者400と対向するように配置されるので、観察者400は表示デバイス2の表示面21に表示された画像に基づく画像を視認することができる。
一方、遮蔽状態では、2つのミラー部材60Aのいずれかが観察者400と対向するように配置される。ミラー部材60Aが観察者400に対向する位置に配置された場合には、筐体70の後方からハーフミラー40を通ってミラー部材60Aの反射面61Aに入射した光が、反射面61Aによって観察者400の方向に反射されるので、観察者400は反射面61Aによる反射像(自動車100の後方の画像)を視認できる。
このように、図61に示す保持構造200では、回転体210を90度回転させることで、解除状態から遮蔽状態、又は、遮蔽状態から解除状態に切り替えられるので、解除状態又は遮蔽状態に切り替えるために回転体210を回転させる角度を180度よりも小さくできる。また、図61に示す向きにおいて、回転体210を右回り及び左回りのいずれの方向でも90度回せば解除状態と遮蔽状態との切り替えが可能になる。
ここで、回転体210に取り付けられた2つのミラー部材60Aは平面鏡でもよいし、凸面鏡でもよく、またフレネルミラーでもよい。
また、回転体210に保持されている2つのミラー部材60Aは同じ種類の鏡であるが、2つの最終反射部材50を回転体210の対向二面に取り付け、回転体210の残りの二面に、ミラー部材(第1ミラー部材)60Aと、ミラー部材60Aとは別のミラー部材(第2ミラー部材320)を取り付けてもよい。第2ミラー部材320は、例えば、ミラー部材60Aに比べて反射率が低い防眩ミラーでもよいし、広角の視野が得られる凸面鏡でもよい。
なお、本実施形態において、図62に示すように、反射光学系B1が含むハーフミラーとして、実施形態5の変形例6と同様の構成を有するハーフミラー40Aを適用してもよい。つまり、反射光学系B1に含まれるハーフミラーを、所定の振動方向の光を透過する反射型偏光フィルム(反射型偏光素子43)と、λ/4位相差フィルム44と、の積層構造を有するハーフミラー40Aとしてもよい。λ/4位相差フィルム(第1のλ/4位相差フィルム)44は、ハーフミラー40Aにおける入射光と出射光との間に電界振動方向において4分の1波長の位相差を発生させる。表示デバイス2の表示面21から出射した光はハーフミラー40Aを介して最終反射部材50に入射し、最終反射部材50での反射光はハーフミラー40Aを透過して観察者400の目401に入射することで映像を表示している。
この場合、表示デバイス2が液晶パネルを含み、表示面21上にλ/4位相差フィルム23を配置した上で、ハーフミラー40Aを、平面ガラス42上にワイヤーグリッドなどの反射型偏光素子43とλ/4位相差フィルム44とを積層した構成とすればよい。
また、本実施形態では、筐体70には、遮光部材8として、一方の面が反射面61Aである板状のミラー部材60Aが設けられている。解除状態では、図62に示すように、最終反射部材50から観察者400の目401に入射する光の光路外の第1位置にミラー部材60Aが配置される。遮蔽状態では、ミラー部材60Aを保持する回転体210が180度回転しており、最終反射部材50と観察者400との間に反射面61Aを観察者400に向けた状態でミラー部材60Aが配置される。このミラー部材60Aの表面には、λ/4位相差フィルム(第2のλ/4位相差フィルム)66が設けられている。λ/4位相差フィルム66は、ミラー部材60Aにおける入射光と出射光との間に、電界振動方向において4分の1波長の位相差を発生させる。
このような構成を採用した場合、解除状態では、表示面21から出射したP偏光は、表示面21上のλ/4位相差フィルム23によって円偏光に変換され、その後、反射型偏光素子43上のλ/4位相差フィルム44によってS偏光に変換される。S偏光の光は反射型偏光素子43でほとんどの光線が反射され、その反射光は反射型偏光素子43上のλ/4位相差フィルム44によって円偏光に変換される。円偏光の光は最終反射部材50で反射された後、再び反射型偏光素子43上のλ/4位相差フィルム44に入射してP偏光に変換される。P偏光の光は反射型偏光素子43で殆どの光線が透過し、その透過光は観察者400の目401に到達する。このような構成により蒸着タイプのビームスプリッタに比べて表示デバイス2からの光を効率よく観察者400の目401に到達させることができる。
また、遮蔽状態では、筐体70の外部からの入射光はハーフミラー40Aを透過して筐体70の内部に入射するのであるが、入射光のうちP成分の光が反射型偏光素子43を透過し、λ/4位相差フィルム44によって円偏光に変換される。ハーフミラー40Aを透過した円偏光の光は、λ/4位相差フィルム66によってS偏光に偏光されてミラー部材60Aの反射面61Aに入射する。ミラー部材60Aの反射面61Aは入射光を反射し、この反射光が再びλ/4位相差フィルム66を透過することによって円偏光に変換されて、ハーフミラー40Aに入射される。このとき、ハーフミラー40Aの入射光(円偏光の光)はλ/4位相差フィルム44を透過することによってP偏光に変換される。P偏光の光は反射型偏光素子43で殆どの光線が透過し、その透過光は観察者400の目401に到達する。このような構成により、遮蔽状態においても、蒸着タイプのビームスプリッタに比べて表示デバイス2からの光を効率よく観察者400の目401に到達させることができる。
(実施形態8)
実施形態8に係る表示システム1について図63〜図65を参照して説明する。
本実施形態の表示システム1は、図63に示すように、表示面21を有する表示デバイス2と、ハーフミラー40と最終反射部材50とを少なくとも含む2以上の反射部材3と、表示デバイス2と2以上の反射部材3とを保持する筐体70とを備える。なお、図63では、表示デバイス2の表示面21の中心付近から出射された光が、ハーフミラー40及び液晶ミラー12を透過して筐体70の外部に出射するまでの光路A41〜A45を点線で示している。なお、図63において、光の光路A41〜A45を示す線は説明のために図示しているに過ぎず、実際には表示されない。
上述のように、表示システム1は、ハーフミラー40を含む反射光学系B1を備えている。表示デバイス2の表示面21から出射した光はハーフミラー40を介して最終反射部材50に入射する。最終反射部材50での反射光はハーフミラー40を介して観察者400の目401に入射することで映像(画像)を表示する。最終反射部材50は、凹面鏡である。
表示システム1は、遮光部材8(液晶ミラー12)と、駆動部(駆動回路13)と、を更に備える。遮光部材8は、最終反射部材50での反射光の少なくとも一部を遮蔽する遮蔽状態と、最終反射部材50での反射光の遮蔽を解除する解除状態とのうちいずれか一方の状態を取る。駆動部は、検知センサ14の出力に応じて、遮光部材8の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。検知センサ14は、所定の検知エリアR1(図65参照)における状況を検知する。
本実施形態によれば、検知エリアR1における状況に応じて、駆動部(駆動回路13)は、遮光部材8(液晶ミラー12)の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。この場合、凹面鏡(最終反射部材50)への光の入射を抑制できるので、凹面鏡に入射した光が凹面鏡により反射光として検知エリアR1に集光されることを抑制できる。よって、検知エリアR1に存在する物体O1(図65参照)が光により熱せられる可能性を低減できる。
さらに詳細には、本実施形態の検知センサ14は、物体センサ15を含んでいる。検知エリアR1は、最終反射部材50での反射光の光路が通るエリアである。物体センサ15は、検知エリアR1における物体O1の存否を検知する。駆動部(駆動回路13)は、物体センサ15が検知エリアR1における物体O1の存在を検知すると、遮光部材8(液晶ミラー12)の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。これにより、検知エリアR1に存在する物体O1が光により熱せられる可能性を、さらに低減できる。
本実施形態の表示システム1は、駆動部(駆動回路13)が、検知センサ14の検知結果に応じて、遮光部材8(液晶ミラー12)の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える点で、上述した実施形態5と相違する。なお、本実施形態の表示システム1において、上記実施形態と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
本実施形態の表示システム1は、上述したように、表示デバイス2と、2以上の反射部材3と、筐体70と、遮光部材8(液晶ミラー12)と、駆動部(駆動回路13)と、を備えている。また、表示システム1は、表示制御部22と、検知センサ14と、を更に備えている。2以上の反射部材3は、上述のハーフミラー40と、最終反射部材50とに加えて、中間反射部材90を更に含む。中間反射部材90は、表示デバイス2の表示面21から出射した光をハーフミラー40に向かって反射する。
本実施形態の表示システム1は、遮光部材8として液晶ミラー12を備える。液晶ミラー12は、最終反射部材50での反射光の光路A44〜A45上に配置されている。ハーフミラー40は、遮光部材である液晶ミラー12と最終反射部材50との間に配置されている。液晶ミラー12(遮光部材8)における光の透過率は、印加電圧(検知センサ14の出力)に応じて変化する。より詳細には、液晶ミラー12における少なくとも可視光の透過率が、印加電圧に応じて変化する。すなわち、液晶ミラー12は、印加電圧に応じて、最終反射部材50での反射光等の可視光の少なくとも一部を遮蔽する遮蔽状態と、最終反射部材50での反射光等の可視光の遮蔽を解除する解除状態と、のうちいずれか一方の状態を取る。遮蔽状態は、液晶ミラー12の透過率が比較的小さい状態である。解除状態は、液晶ミラー12の透過率が比較的大きい状態である。つまり、本開示における「遮蔽状態」とは、解除状態と比較して光を通しにくい状態であればよく、光を完全に通さない状態に限らない。駆動回路13は、例えば、電源回路及び半導体集積回路(IC)を含む。駆動回路13は、液晶ミラー12への印加電圧を制御することにより、液晶ミラー12の状態を解除状態と遮蔽状態との間で自在に切り替える。ここにおいて、遮光部材(液晶ミラー12)の状態が遮蔽状態である場合に、ハーフミラー40が遮光部材(液晶ミラー12)と最終反射部材50との間に位置するように、遮光部材(液晶ミラー12)が配置されている。
さらに、液晶ミラー12が遮蔽状態のときは、液晶ミラー12の外面1200(観察者400側の面)は、可視光を反射する反射面(鏡面)となる。外面1200は、最終反射部材50の反射面である最終反射面51とは反対側を向いた面である。
液晶ミラー12は、液晶層121と、光拡散層122と、を含んでいる。液晶層121は、駆動回路13からの印加電圧に応じて透過率が変化する部位である。より詳細には、印加電圧に応じて液晶層121の分子配列の方向が変化するので、これにより、光の透過と遮蔽とが切り替わる。光拡散層122は、液晶層121に積層されている。光拡散層122は、例えば、母材に散乱粒子を配合して形成されている。光拡散層122が光を拡散することで、液晶ミラー12における映り込みが低減される。
表示デバイス2の表示面21から出射され、中間反射部材90で反射され、ハーフミラー40で反射され、最終反射部材50で反射された光としての反射光の一部は、ハーフミラー40を透過して、液晶ミラー12に到達する。
液晶ミラー12が遮蔽状態の場合は、最終反射部材50での反射光の大部分が、液晶ミラー12で吸収又は反射される(遮蔽される)ので、筐体70の外部からは表示面21に表示される映像が視認できない。また、図64に示すように、液晶ミラー12が遮蔽状態のときは、液晶ミラー12の外面1200(観察者400側の面)は、鏡面となる。そのため、観察者400は、液晶ミラー12に映る自動車100の後方の像を視認することができる。すなわち、表示システム1は、表示デバイス2による表示に異常が発生した場合でも、液晶ミラー12に映る鏡像により代替の表示が可能になる。図64では、筐体70の外部から液晶ミラー12の中心付近に入射した光が液晶ミラー12で反射される場合の光路A71〜A72を点線で示している。なお、図64において、光の光路A71〜A72を示す線は説明のために図示しているに過ぎず、実際には表示されない。
図63に示すように、液晶ミラー12が解除状態の場合は、最終反射部材50での反射光の大部分が、液晶ミラー12を透過するので、筐体70の外部からは表示面21に表示される映像を視認できる(光路A41〜A45参照)。
ところで、図65に示すように、検知センサ14は、検知エリアR1における状況を検知する。本実施形態の検知センサ14は、検知エリアR1における物体O1の存否を検知する物体センサ15を含む。本実施形態の物体センサ15は、近接センサである。物体センサ15としては、例えば、超音波センサ、静電容量型近接スイッチ、又は、PSD(Position Sensitive Device)等を用いることができる。また、検知センサ14は、上述の近接センサ943であっても良い。物体O1の具体例は、人が持ち込む荷物、カーテン等の備品、車内に取り付けられたキャラクターストラップ等の装飾品、又は、人若しくは動物の体の一部である。なお、図65では、物体O1を概念的に表しているに過ぎず、図65で物体O1の実際の形状を表しているわけではない。
物体センサ15は、筐体70に保持されている。より詳細には、物体センサ15は、筐体70に収容されている。ただし、物体センサ15は、筐体70の外部に配置されていてもよい。
検知エリアR1は、筐体70の後方の所定の広さのエリアである。また、検知エリアR1は、最終反射部材50の焦点F1を含むエリアである。物体センサ15として例えば超音波センサを用いる場合に、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)を計測することにより、検知エリアR1の範囲を制限することができる。すなわち、駆動回路13は、超音波センサの受信信号強度が所定範囲内の場合に、検知エリアR1に物体O1が存在すると判定することができる。検知エリアR1の中心と筐体70との間の最短距離は、例えば、10cm程度である。また、アイボックス(自動車100の運転者等の観察者400の目401の位置)の中心と筐体70との間の最短距離は、検知エリアR1と筐体70との間の最短距離よりも長い。アイボックスは、検知エリアR1の外に存在する。アイボックスの中心と筐体70との間の最短距離は、例えば、50cm程度である。
最終反射部材50に入射する平行光は、焦点F1に集光する。図65には、筐体70の外部から最終反射部材50に入射する平行光の2つの光路を点線で示している。2つの光路のうち一方は、光路A81〜A82であり、他方は、光路A83〜A84である。なお、図65において、光の光路A81〜A82、A83〜A84を示す線は説明のために図示しているに過ぎず、実際には表示されない。
最終反射部材50には、太陽光等の光(外光)が入射する可能性がある。そして、最終反射部材50での反射光が焦点F1に集光する可能性がある。もし、焦点F1又は焦点F1の付近に物体O1が存在すると、最終反射部材50での反射光により物体O1が熱せられる可能性がある。そこで、駆動回路13は、検知センサ14の出力に応じて、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。より詳細には、駆動回路13は、検知センサ14の物体センサ15が、検知エリアR1における物体O1の存在を検知すると、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。これにより、検知エリアR1に存在する物体O1が光により熱せられる可能性を低減できる。また、このように液晶ミラー12の状態が遮蔽状態に切り替わったとき、筐体70の外部からの光を液晶ミラー12の外面1200で反射した反射像を観察者400に見せることができる。
また、表示デバイス2の故障が原因で表示面21に画像が映らなくなることによって、表示デバイス2の表示に異常が発生する場合がある。また、撮像部4の映像を表示デバイス2が表示する場合に、撮像部4の故障や撮像部4と表示デバイス2との間の通信の異常等によって、表示デバイス2の表示に異常が発生する場合がある。表示デバイス2の表示に異常が発生した場合には、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替えることによって、筐体70の外部からの光を液晶ミラー12の外面1200で反射した反射像を観察者400に見せることができる。また、本実施形態では液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替え、液晶ミラー12の外面1200で筐体70の外部からの光(観察者400の背後からの光)を反射した反射像を観察者400に見せている。したがって、液晶ミラー12を使用せず筐体70全体の角度を調整することで、ハーフミラー40を光学式のミラーの代用とする場合に比べて、筐体70を傾ける量を小さくでき、筐体70によって前方(観察者400の前方)の視界が遮られるのを抑制できる。よって、本実施形態によれば、表示デバイス2による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム1を提供できる。本実施形態では、筐体70を傾けることなく、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替えることができる。
また、駆動回路13は、自動車100が停止状態のとき、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態にする。停止状態とは、自動車100が走行に関する機能を停止した状態である。より詳細には、停止状態とは、自動車100の走行に要する回路が通電されていない状態である。例えば、自動車100がイグニッションコイルを有するガソリン車の場合は、停止状態とは、イグニッションコイルが通電されていない状態を指す。なお、上述した実施形態3〜5において、自動車100が走行に関する機能を停止した停止状態において、アクチュエータ6がミラー部材60、60Aを第2位置に移動させてもよく、ミラー部材60、60Aを遮蔽状態としてもよい。
表示システム1の筐体70は、中壁(又は後壁71ともいう)を有している。中壁は斜めに傾斜しており、この中壁には貫通孔74が設けられている。貫通孔74は、上下方向の寸法に比べて左右方向(上下方向及び前後方向と直交する方向)の寸法が大きく、左右方向の寸法(長辺寸法)と上下方向の寸法(短辺寸法)との比率は約3〜6:1である。貫通孔74にはハーフミラー40が取り付けられている。
筐体70は、後壁85を更に有している。後壁85は、中壁の後方に形成されている。後壁85は上下方向に沿って形成されている。後壁85には開口部86が設けられている。開口部86は、筐体70のうち後壁85の前後の空間をつないでいる。開口部86は、上下方向の寸法に比べて左右方向(上下方向及び前後方向と直交する方向)の寸法が大きく、左右方向の寸法(長辺寸法)と上下方向の寸法(短辺寸法)との比率は約3〜6:1である。開口部86には液晶ミラー12が取り付けられている。ここにおいて、筐体70の後壁85等で、解除状態及び遮蔽状態のいずれの状態でも遮光部材8である液晶ミラー12を保持する保持構造200が構成されている。
また、筐体70には、後壁85の左右の両側縁からそれぞれ後方に突出する横フード75と、後壁85の下側縁から後方に突出する下フード76とが、筐体70と一体に設けられている。つまり、筐体70は、横フード75と下フード76とを備えている。ここで、横フード75と下フード76とは一体的に設けられている。さらに、筐体70は、後壁85の上側縁から後方に突出する上フード79を備えている。
本実施形態の表示システム1は、表示デバイス2の表示面21から出射する光を反射する2以上の反射部材3として、ハーフミラー40と、最終反射部材50と、中間反射部材90とを備えている。すなわち、表示システム1は、ハーフミラー40と、最終反射部材50と、中間反射部材90とで構成される反射光学系B1を有している。
ハーフミラー40は、筐体70の中壁に設けられた貫通孔74に取り付けられている。ハーフミラー40は光透過性を有している。ハーフミラー40は、入射光の一部を透過し、入射光の別の一部を反射する機能を有している。本実施形態では、ハーフミラー40は、光の透過率と反射率とが約50%である平板状のビームスプリッタで構成されている。ハーフミラー40は、ハーフミラー40の下端に比べて上端の方が後側に突出するように、上下方向に対して斜めに配置されている。
ハーフミラー40における最終反射部材50側の面(以下、内側面ともいう)41は、表示デバイス2の表示面21及び最終反射部材50の最終反射面51とそれぞれ対向している。本実施形態では、ハーフミラー40は、表示デバイス2の表示面21からの光の入射方向、及び、最終反射面51からの光の入射方向に対して、内側面41の法線方向がそれぞれ斜めに交差するように配置されている。なお、本実施形態では、表示デバイス2からの光を反射する反射面である内側面41が平面であるが、内側面41は自由曲面のような曲面でもよい。ハーフミラー40の内側面41を自由曲面とすることで、最終反射面51に形成される画像の歪みを低減したり、像面の湾曲を低減したり、解像度を向上させたりすることができる。
最終反射部材50は、凹面鏡である。最終反射部材50の最終反射面51は、例えばガラスの表面に、アルミニウム等の反射金属膜を蒸着することで形成される。最終反射部材50は、最終反射面51を後側に向けた状態で収納室73の前部に配置されている。換言すれば、最終反射部材50は、収納室73の内部において、ハーフミラー40の内側面41と対向する位置に配置されている。
本実施形態では、ハーフミラー40の内側面41が、表示デバイス2の表示面21から出射された光を最終反射部材50の最終反射面51に向かって反射する。最終反射部材50の最終反射面51は、ハーフミラー40の内側面41での反射光をハーフミラー40に向かって反射する。ハーフミラー40は、最終反射部材50から入射した光を透過し、ハーフミラー40を透過した光が観察者400の目401に入射することによって、観察者400は、表示デバイス2の表示面21に表示される画像に基づく画像を見ることができる。
本実施形態の表示システム1及び表示システム1を備える電子ミラーシステム5の動作について以下に説明する。なお、液晶ミラー12の状態は、最終反射部材50での反射光の遮蔽を解除する解除状態に切り替えられているものとする。
例えば、自動車100のバッテリから電子ミラーシステム5に電力が供給され、自動車100が備えるECU(Electronic Control Unit)から電子ミラーシステム5に動作を開始させる制御信号が入力されると、電子ミラーシステム5が動作を開始する。
例えば、自動車100のECUから表示制御部22に動作を開始させる制御信号が入力されると、表示制御部22は、撮像部4に所定のフレームレートで自動車100の後方を撮影させ、撮像部4から撮像画像の画像データを取得する。
表示制御部22は、撮像部4から撮像画像の画像データが入力されると、撮像画像に基づく画像を作成して、表示デバイス2の表示面21に表示させる。
表示デバイス2の表示面21に画像が表示されると、この画像を形成する光は、光路A41と平行な方向に沿って、中間反射部材90の反射面91に向かって出射される。中間反射部材90での反射光は、ハーフミラー40の内側面41に向かって出射される。ハーフミラー40はビームスプリッタであり、ハーフミラー40の内側面41は、中間反射部材90での反射光の一部を最終反射部材50の最終反射面51に向かって反射する。最終反射面51は凹面鏡であり、表示面21の画像を拡大した拡大画像を形成する光をハーフミラー40の内側面41に向かって反射する。ハーフミラー40の内側面41に最終反射面51で反射された反射光が入射すると、入射光の一部がハーフミラー40と液晶ミラー12とを透過して筐体70の外部に出射されるので、観察者400は最終反射面51によって拡大された画像を見ることができる。よって、観察者400は、最終反射面51によって拡大された画像をハーフミラー40と液晶ミラー12とを介して見ることによって、自動車100の後方の状況を確認できる。
また、駆動回路13は、検知センサ14の物体センサ15が、検知エリアR1における物体O1の存在を検知すると、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。これにより、検知エリアR1に存在する物体O1が光により熱せられる可能性を低減できる。また、このように液晶ミラー12の状態が遮蔽状態に切り替わったとき、筐体70の外部からの光を液晶ミラー12の外面1200で反射した反射像を、観察者400に見せることができる。
その後、駆動回路13は、検知センサ14の物体センサ15が、検知エリアR1における物体O1の存在を検知しなくなると、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替える。
なお、駆動回路13は、検知センサ14の物体センサ15が、検知エリアR1における物体O1の存在を最後に検知してから、所定の時間が経過した場合に、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替えてもよい。
なお、表示制御部22は、液晶ミラー12の状態が遮蔽状態に切り替わったとき表示デバイス2の表示を停止させてもよい。これにより、表示システム1の消費電力を低減できる。
なお、実施形態8で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態5、6又は7で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。すなわち、実施形態5、6又は7において、制御回路7が、検知センサ14(物体センサ15)の検知結果に基づいて、アクチュエータ6を駆動し、遮光部材8の状態を解除状態と遮蔽状態とのいずれかに切り替えてもよい。
(実施形態9)
実施形態9の表示システム1について図66を参照して説明する。
実施形態9の表示システム1は、検知センサ14が、物体センサ15に代えて、光量センサ16を含んでいる点で上記の実施形態8と相違する。なお、光量センサ16以外の構成は上記の実施形態8と同様であるので、実施形態8と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図66では、筐体70の外部から液晶ミラー12の中心付近に入射した光が液晶ミラー12で反射され、光量センサ16に入射される場合の光路A61〜A62を点線で示している。なお、図66において、光の光路A61〜A62を示す線は説明のために図示しているに過ぎず、実際には表示されない。
光量センサ16は、検知エリアR1における状況として、検知エリアR1側から入射する光量の少なくとも一部を検知する。本実施形態では、光量センサ16は、検知エリアR1を通り光量センサ16に到達する光の光量を検知する。本実施形態では、光量センサ16は、筐体70に収容されている。具体的には、光量センサ16は、筐体70の内部において、筐体70の上面に沿って配置されている。そのため、光量センサ16は、検知エリアR1側から筐体70に入射する光量の少なくとも一部を検知する。光量センサ16は、少なくとも太陽光の波長の光を検知可能であることが好ましい。光量センサ16は、例えば、太陽電池パネルである。太陽電池パネルは、受光量に応じた電力を生成する。太陽電池パネルで生成された電力は、駆動回路13へ出力される。ここで、検知エリアR1は、実施形態5の検知エリアR1とは異なるエリアであってもよい。本実施形態の検知エリアR1は、最終反射部材50での反射光の光路が通らないエリアであってもよい。なお、光量センサ16は、筐体70の内部において、筐体70の下面に沿って配置されてもよく、筐体70の下面又は上面に沿って配置されていればよい。
駆動回路13は、光量センサ16の出力に基づいて液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。例えば、駆動回路13は、光量センサ16の出力に基づく光量が所定値よりも大きいとき、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。これにより、検知エリアR1に物体O1が存在しても、最終反射部材50での反射光によって物体O1が熱せられる可能性を低減できる。また、光量センサ16の出力に基づく光量が所定値以下であって液晶ミラー12の状態が解除状態のときは、検知エリアR1における光量が比較的小さいため、検知エリアR1に物体O1が存在しても、物体O1が熱せられる可能性が比較的低い。よって、液晶ミラー12の状態が解除状態の場合も、遮蔽状態の場合も、物体O1が熱せられる可能性を低減できる。すなわち、実施形態9でも、実施形態6と同様の作用及び効果を得ることができる。
また、駆動回路13は、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替えてから、所定の時間が経過すると、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替える。これにより、表示システム1の電子ミラーとしての機能を自動的に復帰させることができる。
なお、光量センサ16として、フォトダイオード、フォトトランジスタ、又はフォトレジスタ(Photo Resistor)を用いてもよい。
また、検知センサ14は、光量センサ16に加えて、物体センサ15を更に含んでいてもよい。駆動回路13は、光量センサ16の出力と物体センサ15の出力との両方に基づいて、液晶ミラー12の状態を解除状態と遮蔽状態との間で切り替えてもよい。例えば、光量センサ16の出力に基づく光量が所定値よりも大きく、かつ、物体センサ15の出力に基づいて検知エリアR1に物体O1が存在すると判定されるとき、駆動回路13は、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替えてもよい。これにより、例えば光量が所定値以下の場合には、検知エリアR1に物体O1が存在すると判定されても、駆動回路13は、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態に切り替えないため、観察者400が最終反射面51によって拡大された画像を見る機会を増大させることができる。
また、駆動回路13は、光量センサ16の出力に基づく光量が第1の値(所定値)よりも大きいとき、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。その後、所定の時間が経過すると、液晶ミラー12の反射率を、所定期間(短期間)だけ、解除状態における反射率と遮蔽状態における反射率との間の大きさ(以下、「中間反射率」と称す)に変化させてもよい。所定期間は、光量センサ16が光量検知できる最小の期間以上であればよく、可能な限り短いことが好ましい。反射率を中間反射率に変化させた後、光量センサ16で検知される光量が第2の値よりも大きい場合は、まだ検知エリアR1の光量が大きいため、駆動回路13は、再び液晶ミラー12の反射率を遮蔽状態における反射率に戻してもよい。つまり、このとき駆動回路13は、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態にする。そして、その後、駆動回路13は、光量センサ16で検知される光量が第2の値以下となるまで、所定の時間が経過する度に、液晶ミラー12の反射率を所定期間(短期間)だけ中間反射率にしてもよい。一方で、駆動回路13は、反射率を中間反射率に変化させた後、光量センサ16で検知される光量が第2の値以下となった場合は、液晶ミラー12の状態を解除状態にしてもよい。上述の第2の値は、例えば、第1の値よりも小さい。このような構成とすることにより、検知エリアR1の光量が小さくなれば、自動的に液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替えることができる。
(実施形態9の変形例)
(変形例1)
実施形態9の変形例1の表示システム1について図67に基づいて説明する。
本変形例の表示システム1は、図67に示すように、光量センサ16が、液晶ミラー12の外側に配置されている点で、上記の実施形態9と相違する。なお、光量センサ16の配置以外は上記の実施形態9と同様の構成を有しているので、共通する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
光量センサ16は、透光性を有している。光量センサ16は、例えば、色素増感型太陽電池パネルである。光量センサ16は、液晶ミラー12に重なっている。光量センサ16は、遮光部材である液晶ミラー12の表面に配置されている。より詳細には、光量センサ16は、液晶ミラー12を後方から覆うように配置されている。液晶ミラー12の状態が解除状態のとき、表示デバイス2から出射され最終反射部材50から進行する反射光は、液晶ミラー12と光量センサ16とを透過して、筐体70の外部に出射する。なお、光量センサ16は、液晶ミラー12の全面を覆っていなくてもよく、液晶ミラー12の一部のみを覆っていてもよい。光量センサ16及び液晶ミラー12は、後壁85の開口部86に取り付けられている。
上述の実施形態9では、液晶ミラー12の状態が遮蔽状態のときは、筐体70の外部からの光が光量センサ16に到達しない。これに対して、本変形例では、液晶ミラー12の状態が遮蔽状態のときも、液晶ミラー12の状態が解除状態のときも、筐体70の外部からの光が光量センサ16に到達する。
駆動回路13は、光量センサ16の出力に基づく光量が第1の閾値よりも大きいと、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。その後、駆動回路13は、光量センサ16の出力に基づく光量が第2の閾値よりも小さいと、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替える。すなわち、本変形例では、光量センサ16の出力に応じて、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替えることができる。
第2の閾値は、第1の閾値と同じ値であってもよいし、第1の閾値よりも小さい値であってもよい。光量が第1の閾値近傍であったときに前者の場合に起こり得る、液晶ミラー12の状態が遮蔽状態と解除状態との間で頻繁に切り替わる、いわゆるチャタリングを、後者の構成とすることにより抑制することができる。
また、光量センサ16が液晶ミラー12の少なくとも一部に重なっているため、光量センサ16の設置スペースを容易に確保できる。ただし、光量センサ16が液晶ミラー12の少なくとも一部に重なっていることは、必須ではない。光量センサ16は、液晶ミラー12の後方(X軸方向の負の向き側)の任意の位置に設置されていてもよい。また、光量センサ16は、フォトダイオード、フォトトランジスタ、又はフォトレジスタ等であってもよいが、光量センサ16が透光性を有していない場合は、光量センサ16が液晶ミラー12に重ならないことが好ましい。
(変形例2)
実施形態9の変形例2の表示システム1について図68に基づいて説明する。
本変形例の表示システム1は、図68に示すように、箱状部17及びレンズ18を更に備えている点で、上記の実施形態9と相違する。なお、箱状部17及びレンズ18以外は上記の実施形態9と同様の構成を有しているので、共通する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
箱状部17は、筐体70に隣接して配置されている。より詳細には、箱状部17は、筐体70の上フード79に隣接して配置されている。箱状部17は、筐体70と一体に形成されている。箱状部17は、検知エリアR1側の一端に開口部170を有する。箱状部17の形状は、筐体70の形状と相似である。そのため、筐体70への入射光量に比例して、箱状部17への入射光量が変化する。つまり、箱状部17への入射光量を光量センサ16で検知することで、筐体70への入射光量を擬似的に検知できる。なお、本開示でいう「相似」とは、2つの形状が完全に相似である場合だけではなく、許容される範囲内の誤差がある場合も含む。
光量センサ16は、箱状部17に収容されている。光量センサ16は、箱状部17のうち開口部170側とは反対側の一端(底面)の付近に配置されている。最終反射部材50が筐体70の前端に配置されているのと同様に、光量センサ16が箱状部17の前端に配置されている。つまり、箱状部17に対する光量センサ16の配置は、筐体70に対する最終反射部材50の配置と対応する。本変形例の光量センサ16は、例えば、フォトダイオードである。
レンズ18は、例えば、合成樹脂を材料として形成されている。レンズ18は、開口部170を覆うように配置されている。レンズ18は、光量センサ16に光を集光する。これにより、レンズ18が無い場合と比較して、光量センサ16に到達する光量を大きくできるので、開口部170における光量が比較的小さい場合であっても、光量センサ16において光量を精度良く検知できる。
上述の変形例1と同様に、液晶ミラー12の状態が遮蔽状態のときも、液晶ミラー12の状態が解除状態のときも、外光が光量センサ16に到達する。駆動回路13は、光量センサ16の出力に基づく光量が第1の閾値よりも大きいと、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。その後、駆動回路13は、光量センサ16の出力に基づく光量が第2の閾値よりも小さいと、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替える。すなわち、本変形例でも、変形例1と同様に、光量センサ16の出力に応じて、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替えることができる。
(変形例3)
実施形態9の変形例3の表示システム1について図69に基づいて説明する。
本変形例の表示システム1は、図69に示すように、光量センサ16が、最終反射部材50の前方に配置されている点で、上記の実施形態6と相違する。なお、光量センサ16の配置以外は上記の実施形態と同様の構成を有しているので、共通する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
光量センサ16は、最終反射部材50に対してハーフミラー40とは反対側の位置に配置されている。
最終反射部材50において、入射光の一部は最終反射部材50を透過する。可視光に対する最終反射部材50の透過率は、例えば、10%程度である。最終反射部材50を透過した可視光は、光量センサ16に到達する。駆動回路13は、光量センサ16の出力に基づく光量が所定値よりも大きいと、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。なお、表示システム1は、光量センサ16の出力を増幅する増幅回路を備えていてもよい。
また、駆動回路13は、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替えてから、所定の時間が経過すると、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替える。これにより、駆動回路13は光量センサ16で検知される光量が低下したか否かを判断できる。
本変形例では、最終反射部材50を透過する光の光量を光量センサ16で検知するので、最終反射部材50への入射光量の検知精度を向上させることができる。また、光量センサ16が表示デバイス2からの光の光路の外に配置されるので、光量センサ16の配置スペースを容易に確保できる。
なお、最終反射部材50は、可視光以外の波長の光を透過させてもよい。例えば、最終反射部材50は、赤外線を透過させてもよい。そして、光量センサ16は、赤外線の光量を検知してもよい。この構成では、太陽光等に含まれる赤外線は、最終反射部材50を透過して、光量センサ16で赤外線の光量が検知される。太陽光等が最終反射部材50に入射して光量センサ16で検知される赤外線の光量が比較的大きくなった場合、最終反射部材50に到達した可視光の光量も比較的大きいと考えられる。駆動回路13は、光量センサ16で検知される赤外線の光量が所定値以上の場合に、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替えてもよい。
(変形例4)
本実施形態では、ハーフミラー40を蒸着タイプのビームスプリッタとしているが、ハーフミラー40は蒸着タイプのビームスプリッタに限定されない。図70に示すように、表示デバイス2を液晶パネルとし、表示面21上にλ/4位相差フィルム23を配置した上で、ハーフミラー40を、平面ガラス42上にワイヤーグリッドなどの反射型偏光素子43とλ/4位相差フィルム44とを積層した構成としてもよい。すなわち、図70に示すハーフミラー40は、反射型偏光フィルム(反射型偏光素子43)とλ/4位相差フィルム44との積層構造を有している。反射型偏光素子43は、所定の振動方向の光を透過する。λ/4位相差フィルム44は、ハーフミラー40における入射光と出射光との間に電界振動方向において4分の1波長の位相差を発生させる。ここで、ハーフミラー40を構成する反射型偏光素子43は、例えばS偏光を反射し、P偏光を透過するような偏光素子である。このような構成を採用した場合、表示面21から出射したP偏光は、表示面21上のλ/4位相差フィルム23によって円偏光に変換され、その後、反射型偏光素子43上のλ/4位相差フィルム44によってS偏光に変換される。S偏光の光は反射型偏光素子43でほとんどの光線が反射され、その反射光は反射型偏光素子43上のλ/4位相差フィルム44によって円偏光に変換される。円偏光の光は最終反射部材50で反射された後、再び反射型偏光素子43上のλ/4位相差フィルム44に入射してP偏光に変換される。P偏光の光は反射型偏光素子43でほとんどの光線が透過し、その透過光は観察者400の目401に到達する。このような構成により蒸着タイプのビームスプリッタに比べて表示デバイス2からの光を効率よく観察者400の目401に到達させることができる。
なお、図70に示す例において、実施形態8又は9のように、遮光部材8として液晶ミラー12等の液晶が用いられる場合は、次のような構成を採用することが好ましい。すなわち、液晶が解除状態のとき、最終反射部材50での反射光の偏光方向が、液晶に到達する際に、液晶の分子配列の方向に沿うように、ハーフミラー40のλ/4位相差フィルム44及び表示面21上のλ/4位相差フィルム23を含む反射光学系B1を設計する。また、液晶が遮蔽状態のとき、最終反射部材50での反射光の偏光方向は、液晶に到達する際に、液晶の分子配列の方向と交差する。
なお、変形例5の構成を上述した実施形態8に適用してもよく、変形例5と同様の効果を奏することができる。
なお、実施形態9で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態5、6又は7で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。実施形態5、6又は7において、制御回路7が、光量センサ16の検知結果に基づいて、駆動部であるアクチュエータ6を制御し、遮光部材8の状態を解除状態と遮蔽状態とのいずれかに切り替えてもよい。また、実施形態5、6又は7において、制御回路7が、物体センサ15の検知結果と光量センサ16の検知結果とに基づいて、駆動部であるアクチュエータ6を制御し、遮光部材8の状態を解除状態と遮蔽状態とのいずれかに切り替えてもよい。
(その他の変形例)
以下、実施形態のその他の変形例を列挙する。以下に列挙する変形例は、上述の実施形態1〜9(それらの変形例を含む)の一部又は全部に適宜適用することができ、適宜組み合わせて実現されてもよい。
表示システム1は、自動車100に適用されるものに限らず、例えば、二輪車、自転車、フォークリフト、電車、航空機、建設機械、及び船舶等、自動車100以外の移動体に適用されてもよい。また、表示システム1は、移動体に適用されるものに限らず、例えば、アミューズメント機器の表示などに適用されてもよい。
また、表示システム1が自動車100に適用される場合に、表示システム1は、運転者が視認できる範囲に設置されるものに限らない。表示システム1は、例えば、後部座席又は助手席に着席している人が視認できる範囲に設置されてもよい。
また、上述の実施形態5では、ミラー部材60が矩形であるが、図71に示すように、ミラー部材60の角における、二隅又は四隅をアール形状とし、筐体70の角にも、ミラー部材60のアール形状に沿うようなアール形状を形成してもよい。なお、図71では突起64及びガイド溝77の図示を省略しているが、突起及びガイド溝の位置及び形状は、第1位置と第2位置との間でミラー部材60が移動可能なように、適宜変更が可能である。このような構成により、助手席側から筐体70を見た時の圧迫感を低減することができる。なお、上述の実施形態6〜9においても、ミラー部材60の角における、二隅又は四隅をアール形状とし、筐体70の角にも、ミラー部材60のアール形状に沿うようなアール形状を形成してもよい。
上述の実施形態5〜9において、反射光学系B1は、最終反射部材50での反射光が、ハーフミラー40を透過するのではなく、ハーフミラー40で反射されることで観察者400の目401に入射するように構成されていてもよい。つまり、最終反射部材50での反射光はハーフミラー40を介して観察者400の目401に入射すればよい。
上述の実施形態8又は9において、検知センサ14は、表示システム1の構成に含まれていなくてもよい。
検知センサ14は、筐体70に保持されるセンサに限定されない。検知センサ14は、例えば、自動車100の移動体本体110(天井101等)に保持されてもよい。
検知センサ14は、自動車100の移動体本体110(天井101等)に保持された撮像部を含んでいてもよい。撮像部は、自動車100の外部を撮像する撮像部4(図39参照)とは別に備えられる。撮像部は、例えばCCDイメージセンサ、又はCMOSイメージセンサ等の二次元イメージセンサである。駆動回路13は、撮像部で撮像された画像に基づいて、検知エリアR1における物体O1の存否を判定してもよい。
検知センサ14の物体センサ15は、検知エリアR1において物体O1が移動している場合に、物体O1の存在を検知してもよい。すなわち、物体センサ15は、静止している物体O1は検知しないように構成されていてもよい。このような物体センサ15は、例えば、マイクロ波等の電磁波のドップラー効果を利用したドップラセンサにより実現できる。
検知センサ14は、複数のセンサを含んでいてもよい。検知センサ14は、例えば、筐体70の幅方向(左右方向)に並んだ、フォトダイオード等の光量センサ16を複数含んでいてもよい。これにより、検知センサ14の検知精度の向上を図ることができる。
検知センサ14は、筐体70の内部において、筐体70の下面又は上面に沿って配置されてもよい。例えば、図63では物体センサ15が筐体70の下面に沿って配置されるが、物体センサ15は、筐体70の上面に沿って配置されてもよい。また、図66では光量センサ16が筐体70の内部において筐体70の上面に沿って配置されるが、光量センサ16は、筐体70の内部において筐体70の下面に沿って配置されてもよい。
上述の実施形態8又は9において、駆動部(例えば、駆動回路13)は、検知センサ14の出力に応じて、筐体70の向きを変えてもよい。表示システム1は、例えば、筐体70の向きを変える駆動力を発生させるアクチュエータを備えていてもよい。駆動回路13は、検知センサ14の出力に応じて液晶ミラー12の状態を変化させる際に、アクチュエータの動作を制御することで筐体70の向きを変えてもよい。アクチュエータは、例えば、筐体70を支持するボールジョイントなどの支持部材72を回転駆動することで、筐体70の向きを変える。駆動回路13は、例えば、液晶ミラー12の状態が遮蔽状態から解除状態になったとき、運転者が筐体70を奥行き方向(前後方向)から視認できる向きに筐体70の向きを変えてもよい。これにより、運転者は、表示システム1に表示される画像を正面視できる。また、駆動回路13は、例えば、液晶ミラー12の状態が解除状態から遮蔽状態になったとき、運転者が筐体70を奥行き方向(前後方向)に対して斜め向きに視認できる向きに筐体70の向きを変えてもよい。これにより、運転者から見て、液晶ミラー12に自動車100の後方の像を映すことができる。
また、駆動部(例えば、駆動回路13)は、検知センサ14の出力に応じて、筐体70の向きを、運転者ごとに定められた向きに変えてもよい。つまり、運転者ごとにアイボックスの高さが異なるので、筐体70の向きを運転者ごとに適した向きにしてもよい。駆動部は、例えば、運転者が個別に所持する自動車の電子キーから識別情報を読み取り、電子キーの識別情報に基づいて運転者を識別すればよい。表示システム1は、運転者ごとの筐体70の向きを予め設定するための設定操作部を備えていてもよい。
なお、筐体70の向きが変わると、筐体70に取り付けられた検知センサ14の向きも変わるので、検知センサ14の検知エリアR1が変わり得る。そこで、検知センサ14は、複数のセンサを含んでいてもよい。例えば、検知センサ14は、2つのセンサを備えていてもよい。筐体70の向きに応じて2つのセンサを使い分けることで、検知センサ14は、一定の検知エリアR1の状態を検知できる。すなわち、2つのセンサのうち一方は、液晶ミラー12の状態が遮蔽状態であって筐体70の向きが第1の向きのときに、検知エリアR1の状態を検知する。2つのセンサのうち他方は、液晶ミラー12の状態が解除状態であって筐体70の向きが第2の向きのときに、検知エリアR1の状態を検知する。
また、筐体70の向きが変わる場合に、検知センサ14の検知範囲を、制限手段により制限することで、検知センサ14により一定の検知エリアR1の状態を検知してもよい。例えば、検知センサ14が光量センサ16を含む場合に、光量センサ16は、2つの開口部(制限手段)を有するケースに収容される。光量センサ16は、液晶ミラー12の状態が遮蔽状態であって筐体70の向きが第1の向きのときに、2つの開口部のうち一方を通して入射した光の光量を検知する。また、光量センサ16は、液晶ミラー12の状態が解除状態であって筐体70の向きが第2の向きのときに、2つの開口部のうち他方を通して入射した光の光量を検知する。なお、2つの開口部にはそれぞれ、レンズが取り付けられていてもよい。また、筐体70の向きに応じて2つの開口部のうち一方を開放し、他方を閉じてもよい。
また、駆動部(例えば、駆動回路13)は、筐体70の向きを変えることに代えて、遮光部材8(例えば、液晶ミラー12)の向きを変えてもよい。
検知センサ14が物体センサ15としてのPSDを含む場合に、駆動回路13は、PSDの出力に応じて、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替えてもよい。PSDは、例えば、2つの赤外発光ダイオードを有する。PSDは、基本的には、次のようにして、検知エリアR1における物体O1の存否を検知するために用いられる。すなわち、PSDは、一方の赤外発光ダイオードから照射される赤外線の反射波の強度と、他方の赤外発光ダイオードから照射される赤外線の反射波の強度との差分に基づいて、物体O1の位置を検知する。ここで、駆動回路13は、2つの強度の差分に代えて算出した、2つの強度の和に応じて、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替えてもよい。具体的には、駆動回路13は、2つの強度の和が所定値以下の場合に、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替えてもよい。
駆動部(例えば、駆動回路13)は、遮光部材8(例えば、液晶ミラー12)の状態を切り替えてから、所定時間の間、検知センサ14の出力に関わらず、切り替え後の状態を維持させてもよい。これにより、遮光部材8の状態が短時間の間に続けて変化することを抑制できる。
駆動部(例えば、駆動回路13)は、検知センサ14の出力に加えて、時間に関する条件に更に基づいて、遮光部材8(例えば、液晶ミラー12)の状態を切り替えてもよい。例えば、駆動回路13は、検知センサ14としての光量センサ16で検知された光量が所定値よりも大きい状態が、所定時間継続すると、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替えてもよい。
駆動部(例えば、駆動回路13)は、特定の時間帯には、検知センサ14の出力に関わらず、遮光部材8(例えば、液晶ミラー12)の状態を解除状態にしてもよい。特定の時間帯は、例えば、太陽光が照射される可能性が低い時間帯(例えば、19時〜翌5時)である。また、駆動部は、自動車100の外の明るさが所定の明るさ以上の場合に、検知センサ14の出力に関わらず、遮光部材8の状態を解除状態にしてもよい。自動車100の外の明るさは、例えば、表示システム1とは別に自動車100に搭載された光量センサで検知される。
表示デバイス2は、光量センサ16で検知された光量に応じて、表示面21の明るさを調整してもよい。例えば、光量センサ16で検知された光量が大きいほど、表示面21の明るさを明るくすることで、表示面21からの光が出射される液晶ミラー12又はハーフミラー40の映り込みを低減させてもよい。
遮光部材8として液晶ミラー12を用いる場合に、表示システム1は、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態と解除状態との間で切り替えるための操作を受け付ける状態操作部を備えていてもよい。駆動回路13は、状態操作部への操作に応じて、液晶ミラー12の印加電圧を変更することで、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態と解除状態との間で切り替える。このような構成により、液晶ミラー12の状態の切り替えを、駆動回路13が自動で行うだけでなく、ユーザ(運転者等)の操作により行うことができる。
上述の実施形態8又は9において、遮光部材8として、液晶ミラー12に代えて、液晶シャッタを用いてもよい。液晶シャッタにおける光の透過率は、印加電圧に応じて変化する。液晶シャッタは、液晶ミラー12とは異なり、遮蔽状態のとき、観察者400側の面(外面1200)は、鏡面とはならず、可視光を吸収又は散乱する。
上述の実施形態8又は9において、遮光部材8として、光を常に吸収又は散乱する部材を用いてもよい。例えば、遮光部材8として、黒色の板を用いてもよい。また、検知エリアR1を、観察者400(運転者等)から見て表示システム1で表示される画像が物体O1により遮られる位置に制限してもよい。そして、検知エリアR1における物体O1の存在が検知された場合に、遮光部材8の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替えてもよい。つまり、遮光部材8が解除状態であったとしても表示システム1で表示される画像を観察者400が視認できない場合にのみ、遮光部材8の状態を遮蔽状態に切り替え可能としてもよい。
また、上述の実施形態1〜9において、例えば、図72で示すように、図29の凹面鏡としての最終反射部材50の代わりに図32Aのルームミラー902を適用してもよい。図72は、実施形態1〜9の表示システム1CEにおける概略説明図である。このような表示システム1CEにおいて、映像が投影される領域を撮像する撮像部40xをさらに備えてもよい。また、撮像部40xは、光学フィルタ22B側に配置され、焦点を切り替え可能な構成を有してもよい。そして、両面反射光学体920の姿勢の、第1状態と第2状態との切り替えに基づいて、焦点が切り替えられてもよい。この場合、制御部50xは、両面反射光学体920の凹面鏡922及び平面鏡923のいずれが選択されているかを示す信号を、両面反射光学体920から取得することで撮像部905の焦点の位置を変えてもよい。例えば、第1状態と第2状態との切り替えによってスイッチ部(図示せず)が切替信号を制御部50xに出力すると、制御部50xが切替信号を取得することで第1状態と第2状態との切り替えを認識し、制御部50xは、第1状態が第2状態かを判別できる。これにより制御部50xは、撮像部40xの焦点を切り替えることができる。
これによれば、凹面鏡922と平面鏡923との切り替えに応じて、撮像部40xの焦点を切り替えることができる。つまり、撮像部40xから凹面鏡922の凹鏡面923bまでの距離と、撮像部40xから平面鏡923の平鏡面923aまでの距離との変化に応じて、撮像部40xは焦点を切り替える。このため、凹面鏡922と平面鏡923とを切り替えても、撮像部40xは、合焦した状態で運転者を撮像することができる。
また、上述の実施形態1〜9において、例えば、両面反射光学体920を有するルームミラー1yと表示デバイス2とを組み合わせた表示システム1CFの構成であってもよい。図73は、実施形態1〜9の表示システム1CFを示す概略説明図である。図74は、実施形態1〜9のルームミラー1yのミラー部材60がスライドする様子を示す概略説明図である。図75は、実施形態1〜9のルームミラー1yのミラー部材60の反射面61を観察者に向けた状態で、両面反射光学体920と観察者との間にミラー部材60が配置された様子を示す概略説明図である。
なお、図73以降では、図6の表示デバイス2と同様の表示デバイス2を用いているが、これに限定されず、本明細書内で開示された表示デバイスを用いてもよい。このため、図73以降で示される表示デバイス2はあくまでも一例である。
図73、図74及び図75では、表示システム1CFのルームミラー1yは、図38の表示システム1と対応し、最終反射部材50の代わりに配置された最終反射面としての両面反射光学体920と、筐体70と、ミラー部材60とを有する。図73のルームミラー1yでは、筐体70内に図38の表示制御部22、表示デバイス2及びハーフミラー40が配置されていない。なお、表示制御部22は表示デバイス2に配置されていてもよく、配置は特に限定されない。また、図73では、一例として両面反射光学体920を例示しているが上述で開示された、他の両面反射光学体、最終反射部材、又は、保持構造を用いてもよい。
図73の筐体70は、表示デバイス2から出射した光が直接的に入射するように、天井101側の上フード79が下フード76よりも短い寸法にされている。つまり、上フード79の前後方向の寸法は、下フード76の前後方向の寸法よりも小さい。このため、表示デバイス2から出射した光が通過する筐体70に形成された開口は、筐体70内の両面反射光学体920よりも上方向で高い位置に配置された表示デバイス2から出射した光が効果的に入射するように、上下方向に対して傾斜している。つまり、筐体70の開口は、天井101側に対して対向するように開いている。
また、表示デバイス2は、状態保持部材80を介して天井101に固定され、ルームミラー1yの両面反射光学体920に光を入射させる姿勢で配置される。図73では、一例として表示デバイス2を例示しているが上述で開示された表示デバイスを用いてもよい。
また、図73の構成では、両面反射光学体920の回転機構が破損した場合に、ミラー部材60を用いることにより、後方視界を確保することができる。この点は、以下に説明する図76〜図78の構成にも適用される。
また、上述の実施形態1〜9において、例えば、図76に示すようにミラー部材60が図48のミラー部材60と同様の構成であってもよく、ルームミラー1yの他の構成についても、図73〜75と同様の構成であってもよい。また、図76の筐体70には、図48の筐体70に形成されるガイド突起752と同様の構成が形成されていてもよい。図76は、実施形態1〜9の表示システム1CFのミラー部材60が図48のミラー部材60と同様の構成を示す概略説明図である。
また、上述の実施形態1〜9において、例えば、図77及び図78に示すミラー部材60は図51〜図54等のミラー部材60と同様の構成であってもよく、ルームミラー1yの他の構成についても、図73〜75等と同様の構成であってもよい。なお、図77及び図78の筐体70の下フード76は、前後方向に対して後方側が前方側に対して下り傾斜している。図77は、実施形態1〜9の表示システムの筐体70の上フード79側にミラー部材60を配置する様子を示す概略説明図である。図78は、実施形態1〜9の表示システムのルームミラー1yを示す概略説明図である。
また、上述の実施形態1〜9において、図79及び図80に示すように、例えば、図73の両面反射光学体920の代わりに、図79及び図80に示すように最終反射部材50、ミラー部材60A及び回転体210を一体的に構成した図55及び図56と同様の保持構造200を用いてもよい。また、図79の筐体70には、図73〜75のミラー部材60が配置されていなくてもよい。このため、筐体70には、ガイド溝が形成されていなくてもよい。図79は、実施形態1〜9の表示システム1CGに保持構造200の最終反射部材50が観察者400に向いている状態を示す概略説明図である。図80は、実施形態1〜9の表示システム1CGに保持構造200のミラー部材60Aが観察者400に向いている状態を示す概略説明図である。
また、上述の実施形態1〜9において、図81に示すように、例えば、図79及び図80の保持構造200の代わりに、図57と同様の保持構造200を用いてもよい。図81の表示システム1CGの構成は、図79及び図80の表示システム1CGの構成と同様の構成である。図81は、実施形態1〜9の表示システム1CGに図79及び図80と異なる保持構造200を用いた構成を示す概略説明図である。
また、上述の実施形態1〜9において、出射部E1は、複数の中間反射部材90を含んでいてもよい。この場合、表示面21から出射した光は、複数の中間反射部材90で反射されて最終反射部材50に到達する。
中間反射部材90は平面鏡に限定されず、凹面鏡でも凸面鏡でもよいし、フレネルミラーで構成されていてもよい。また、中間反射部材90は、自由曲面である中間反射面91を有していてもよい。
最終反射面51と中間反射面91との組合せは、次に記載する組合せであってもよい。すなわち、最終反射面51は、面対称であって、かつ中間反射部材90は、面対称でない自由曲面である中間反射面91を有する組合せであってもよい。
最終反射面51は、面対称な形状に限定されず、非対称な形状であってもよい。
表示面21から観察者400までの間の光路には、レンズ又はプリズム等の1以上の光学部品が配置されていてもよい。
実施形態では、最終反射部材50は、天井101(オーバーヘッドコンソールH1)から吊り下げられているが、最終反射部材50は、ウィンドシールド102に取り付けられていてもよい。
表示デバイス2及び中間反射部材90は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。
表示デバイス2、中間反射部材90及び最終反射部材50は、1つの筐体に集約されていてもよい。あるいは、表示システム1は、中間反射部材90及び最終反射部材50が集約された筐体と、表示デバイス2が設けられた筐体と、を備えていてもよい。あるいは、表示システム1は、表示デバイス2及び最終反射部材50が集約された筐体と、中間反射部材90が設けられた筐体と、を備えていてもよい。
表示デバイス2、中間反射部材90及び最終反射部材50のうち少なくとも1つが、オーバーヘッドコンソールH1に収容されていてもよい。
表示システム1は、最終反射面51の向きを自動で調整する調整機構を備えていてもよい。調整機構は、例えば、最終反射部材50を支持する第1支持部材70wを回転させることで最終反射面51の向きを調整するアクチュエータと、アクチュエータを制御する制御部76wと、を含む。調整機構は、例えば、運転者のアイボックスの位置及び出射部E1の向きのうち少なくとも一方に応じて、最終反射面51の向きを調整する。運転者のアイボックスの位置は、例えば、撮像素子で撮像された画像に基づいて検出されればよい。出射部E1の向きは、例えば、光電式ロータリエンコーダ又は磁気式ロータリエンコーダ等の角度センサにより検出されればよい。
制御部76wが駆動部84を制御する機能を有していることは、必須ではない。また、表示デバイス2による映像の表示状態を制御する機能を有する制御部76wとは別に、駆動部84を制御する機能を有する制御部が備えられていてもよい。
実施形態等における最終反射部材50の配置は、あくまで一例であって、これに限定されない。表示システム1がインナーミラーとして用いられる場合は、最終反射部材50は、インナーミラーの配置に関する規格に準拠した領域に配置されていればよい。
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
第1の態様に係る表示システム(1、1A、1B)は、自動車(100)に設置される。表示システム(1、1A、1B)は、出射部(E1、E2)と、最終反射部材(50)と、を備える。出射部(E1、E2)は、表示デバイス(2)を含む。表示デバイス(2)は、自動車(100)の後方の映像を表示する表示面(21)を有する。出射部(E1、E2)は、表示面(21)の映像を光として出射する。最終反射部材(50)は、凹面状の最終反射面(51)を有する。最終反射面(51)には、出射部(E1、E2)から出射した光が直接的又は間接的に入射する。最終反射面(51)は、入射した光を観察者(400)の目(401)に向かって反射する。次に記載する接線(T5)は、上から見て、表示面(21)の幅方向(第1方向D1)に延びる直線(SL2)に対して平行である。接線(T5)は、上下方向と直交する平面上に存在し最終反射面(51)の中心(C5)に接する。上から見て、最終反射面(51)の中心(C5)と表示面(21)の中心(C2)とを結ぶ直線(SL12)は、最終反射面(51)の接線(T5)に対して90度未満の鋭角(θ5)をなして交差する。
上記の構成によれば、上から見て、最終反射面(51)の接線(T5)が表示面(21)の幅方向に延びる直線(SL2)に対して平行ではない場合と比較して、表示面(21)上の各位置から最終反射面(51)までの光路長について、表示面(21)での幅方向の位置の違いに起因する誤差が低減される。光路長の誤差が低減されることにより、観察者(400)が見ることができる映像の歪みが低減される。すなわち、観察者(400)が見ることができる映像における左右の倍率差が低減される。
また、第2の態様に係る表示システム(1、1A)では、第1の態様において、自動車(100)は、ウィンドシールド(102)を有する。上から見て、最終反射部材(50)は、ウィンドシールド(102)の少なくとも一部の後方に配置される。上から見て、最終反射面(51)の中心(C5)とウィンドシールド(102)の中心(C10)とを結ぶ直線(SL10)は、前後方向に延びる直線(SL11)に対して平行である。
上記の構成によれば、運転者から見やすい位置に最終反射部材(50)を配置できる。
また、第3の態様に係る表示システム(1、1A)では、第2の態様において、上から見て、最終反射面(51)の中心(C5)と表示面(21)の中心(C2)とを結ぶ直線(SL12)は、前後方向に延びる直線(SL11)に対して平行である。
上記の構成によれば、最終反射部材(50)及び表示デバイス(2)の左右にスペースを確保できる。
また、第4の態様に係る表示システム(1、1B)では、第1〜3の態様のいずれか1つにおいて、出射部(E1)は、中間反射部材(90)を含む。中間反射部材(90)は、中間反射面(91)を有する。中間反射面(91)には、表示面(21)から出射した光が直接的又は間接的に入射する。中間反射面(91)は、入射した光を最終反射面(51)に向かって反射する。上から見て、次の接線(T9)は、表示面(21)の幅方向に延びる直線(SL2)に対して平行である。接線(T9)は、上下方向と直交する平面上に存在し中間反射面(91)の中心(C9)に接する。
上記の構成によれば、中間反射部材(90)が無い場合と比較して、最終反射部材(50)及び表示デバイス(2)の配置の自由度が高まる。
また、第5の態様に係る表示システム(1、1B)では、第4の態様において、中間反射部材(90)及び表示デバイス(2)は、中間反射面(91)の接線(T9)と表示面(21)の幅方向に延びる直線(SL2)とが平行な状態を維持して、最終反射面(51)に対する向きを変更可能である。
上記の構成によれば、映像の見え方を調整できる。
また、第6の態様に係る表示システム(1、1A、1B)は、第1〜5の態様のいずれか1つにおいて、角度センサ(75)と、駆動部(84)と、を備える。角度センサ(75)は、最終反射面(51)の向きを検出する。駆動部(84)は、角度センサ(75)の検出結果に応じて、上から見て最終反射面(51)の接線(T5)が表示面(21)の幅方向に延びる直線(SL2)に対して平行となる向きに、出射部(E1、E2)の向きを変更する。
上記の構成によれば、最終反射部材(50)の向きがずれた場合であっても、最終反射部材(50)の向きが自動で修正され、観察者(400)が見ることができる映像の歪みが低減される。
また、第7の態様に係る表示システム(1、1A、1B)は、第1〜6の態様のいずれか1つにおいて、角度センサ(75)を備える。角度センサ(75)は、最終反射面(51)の向きを検出する。表示デバイス(2)は、角度センサ(75)の検出結果に応じて、表示面(21)に表示する映像を歪ませる。
上記の構成によれば、表示面(21)に表示する映像を歪ませることで、観察者(400)が見ることができる映像の歪みを更に低減させることができる。
また、第8の態様に係る表示システム(1、1A、1B)では、第1〜7の態様のいずれか1つにおいて、最終反射面(51)の形状は、次の平面(P5)を対称面として面対称な形状である。平面(P5)は、最終反射面(51)の中心(C5)を通る法線(N5)を含み上下方向に沿った平面である。
上記の構成によれば、映像において、左右の見え方の違いを低減できる。
第1の態様以外の構成については、表示システム(1、1A、1B)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
第9の態様の表示システム(1)は、表示面(21)を有する表示デバイス(2)と、最終反射部材(50)を少なくとも含む反射光学系(B1)と、筐体(70)と、遮光部材(8)と、を備える。最終反射部材(50)は、表示デバイス(2)の表示面(21)から出射した光が直接的又は間接的に入射し、入射した光を観察者(400)の目(401)に向かって反射する。筐体(70)は、表示デバイス(2)と反射光学系(B1)とを保持する。遮光部材(8)は、最終反射部材(50)への入射光、又は、最終反射部材(50)での反射光の少なくとも一部を遮蔽する遮蔽状態と、遮蔽状態を解除する解除状態とのいずれかの状態で筐体(70)に保持される。遮蔽状態では、遮光部材(8)が、筐体(70)に入射する外光を観察者(400)の目(401)に向かって反射する。筐体(70)は、遮蔽状態及び解除状態のいずれの状態でも遮光部材(8)を保持する保持構造(200)を有している。
この態様によれば、表示デバイス(2)による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム(1)を提供することができる。
第10の態様の表示システム(1)では、第9の態様において、反射光学系(B1)は、ハーフミラー(40)を更に含む。表示デバイス(2)の表示面(21)から出射した光はハーフミラー(40)を介して最終反射部材(50)に入射し、最終反射部材(50)での反射光はハーフミラー(40)を透過して観察者(400)の目(401)に入射する。
この態様によれば、ハーフミラー(40)と最終反射部材(50)とで少なくとも2回反射することで、光路長を長くしながらも、小型化を図ることができる。
第11の態様の表示システム(1)では、第9の態様において、筐体(70)には、遮光部材(8)として、一方の面が反射面(61)である板状のミラー部材(60)が設けられる。ミラー部材(60)の状態は、ミラー部材(60)のスライド動作と回転動作によって、第3状態と第4状態とのいずれかに切り替えられる。第3状態は、最終反射部材(50)から観察者(400)の目(401)に入射する光の光路外の第1位置にミラー部材(60)が配置される状態である。第4状態では、最終反射部材(50)と観察者(400)との間の第2位置に反射面(61)を観察者(400)に向けた状態でミラー部材(60)が配置される。第4状態は、筐体(70)の外部からの光を反射面(61)で反射した反射像を観察者(400)の目(401)に表示させる状態である。
この態様によれば、表示デバイス(2)による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム(1)を提供することができる。
第12の態様の表示システム(1)では、第11の態様において、反射光学系(B1)は、ハーフミラー(40)を更に含む。表示デバイス(2)の表示面(21)から出射した光はハーフミラー(40)を介して最終反射部材(50)に入射し、最終反射部材(50)での反射光はハーフミラー(40)を透過して観察者(400)の目(401)に入射する。
この態様によれば、ハーフミラー(40)と最終反射部材(50)とで少なくとも2回反射することで、光路長を長くしながらも、小型化を図ることができる。
第13の態様の表示システム(1)では、第12の態様において、ミラー部材(60)において、反射面(61)と反対側の面は、少なくとも可視光領域の光の反射率が反射面(61)よりも低い遮光面(62)である。第3状態は、ミラー部材(60)の遮光面(62)が、ハーフミラー(40)と対向する状態である。
この態様によれば、第9の状態においてミラー部材(60)の遮光面(62)に筐体(70)の外部から入射した光が、遮光面(62)とハーフミラー(40)とで反射されて観察者(400)の目(401)に入射するのを抑制できる。
第14の態様の表示システム(1)では、第13の態様において、遮光面(62)は、少なくとも可視光領域の光の吸収と散乱の少なくとも一方を行う。
この態様によれば、第3状態において筐体(70)の外部から遮光面(62)に入射した光が、遮光面(62)とハーフミラー(40)とで反射されて観察者(400)の目(401)に入射するのを抑制できる。
第15の態様の表示システム(1)では、第12〜第14のいずれかの態様において、反射光学系(B1)が、表示デバイス(2)の表示面(21)から出射した光をハーフミラー(40)に向かって反射する中間反射部材(90)を更に含む。
この態様によれば、表示デバイス(2)による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム(1)を提供することができる。
第16の態様の表示システム(1)では、第11〜第15のいずれかの態様において、保持構造(200)は、突起(64、751)と、ガイド溝(77、65)と、を含む。突起(64、751)は、筐体(70)とミラー部材(60)との一方に設けられる。ガイド溝(77、65)は、筐体(70)とミラー部材(60)との他方に設けられて、突起(64、751)が挿入される。ガイド溝(77、65)の内部で突起(64、751)の位置が変化することによって、ミラー部材(60)の状態が第3状態と第4状態とのいずれかに切り替えられる。
この態様によれば、ガイド溝(77、65)に沿って突起(64、751)が移動することによって、ミラー部材(60)を第1位置と第2位置との間で移動させることができる。
第17の態様の表示システム(1)では、第16の態様において、保持構造(200)は、ガイド溝(77)に挿入されガイド溝(77)に沿ってスライド移動するガイド部材(78)を更に含み、ガイド部材(78)に突起(64)が回転可能な状態で支持されている。
この態様によれば、ガイド部材(78)をガイド溝(77)に沿ってスムーズに移動させることができる。
第18の態様の表示システム(1)では、第11〜16のいずれかの態様において、ミラー部材(60)の状態を、第3状態及び第4状態のそれぞれで保持する状態保持部材(80)を更に備える。
この態様によれば、第3状態及び第4状態のそれぞれでミラー部材(60)の位置ががたつくのを抑制できる。
第19の態様の表示システム(1)では、第18の態様において、状態保持部材(80)は、ミラー部材(60)と筐体(70)との少なくとも一方に設けられた磁石(81)を含む。ミラー部材(60)の状態が、磁石(81)の磁力によって、第3状態及び第4状態のそれぞれで保持される。
この態様によれば、第3状態及び第4状態のそれぞれでミラー部材(60)の位置ががたつくのを抑制できる。
第20の態様の表示システム(1)では、第19の態様において、磁石(81)は電磁石である。
この態様によれば、第3状態及び第4状態のそれぞれでミラー部材(60)の位置ががたつくのを抑制できる。
第21の態様の表示システム(1)では、第18の態様において、状態保持部材(80)は、筐体(70)とミラー部材(60)との一方に設けられたボールプランジャ(83)を含む。筐体(70)とミラー部材(60)との他方には、ボールプランジャ(83)のボール部(831)が挿入される受け穴(84)が設けられる。ミラー部材(60)の状態が、ボール部(831)が受け穴(84)に挿入されることによって、第3状態及び第4状態のそれぞれで保持される。
この態様によれば、第3状態及び第4状態のそれぞれでミラー部材(60)の位置ががたつくのを抑制できる。
第22の態様の表示システム(1)では、第11〜第21のいずれかの態様において、ミラー部材(60)の状態を第3状態と第4状態とのいずれかに手動で切り替えるための操作部(63)を更に備える。
この態様によれば、表示デバイス(2)による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム(1)を提供することができる。
第23の態様の表示システム(1)では、第22の態様において、操作部(63)を用いてミラー部材(60)が第1位置から動かされると、ミラー部材(60)の状態が、ミラー部材(60)の自重によって第3状態から第4状態に切り替わる。
この態様によれば、表示デバイス(2)による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム(1)を提供することができる。
第24の態様の表示システム(1)では、第11〜第23のいずれかの態様において、ミラー部材(60)を第1位置と第2位置との間で移動させるアクチュエータ(6)を更に備える。
この態様によれば、表示デバイス(2)による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム(1)を提供することができる。
第25の態様の表示システム(1)では、第24の態様において、アクチュエータ(6)はモータを含む。モータを制御する制御回路(7)は、表示デバイス(2)による表示の異常を示す異常信号が入力されると、モータを駆動してミラー部材(60)を第1位置から第2位置に移動させる。
この態様によれば、表示デバイス(2)による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム(1)を提供することができる。
第26の態様に係る表示システム(1)では、第24又は第25の態様において、表示システム(1)は、自動車(100)に搭載される。駆動部(駆動回路(13)又はアクチュエータ(6))は、自動車(100)が走行に関する機能を停止した停止状態のとき、遮光体(液晶ミラー(12)又はミラー部材(60))の状態を遮蔽状態にする。
この態様によれば、自動車(100)が停止状態のとき、物体(O1)が光により熱せられる可能性を低減できる。
第27の態様に係る表示システム(1)では、第9の態様において、筐体(70)には、遮光部材(8)として、一方の面が反射面である板状のミラー部材(60A)が設けられる。保持構造(200)は、最終反射部材(50)を更に保持する。保持構造(200)は、最終反射部材(50)及びミラー部材(60A)を、ミラー部材(60A)の反射面(61A)と最終反射部材(50)の反射面(51)とを互いに反対側に向けた状態で、筐体(70)に対して回転可能な状態で保持している。ミラー部材(60A)の反射面(61A)の中心点(P1)における法線(L1)と、最終反射部材(50)の反射面(51)の中心点(P2)における法線(L2)とが非平行である。
この態様によれば、ミラー部材(60A)及び最終反射部材(50)を筐体(70)に対して180度回転させることで、解除状態と遮蔽状態とを切り替えることができる。
第28の態様に係る表示システム(1)では、第27の態様において、保持構造(200)は、筐体(70)に対して回転可能な状態で保持された回転体(210)を含む。回転体(210)に最終反射部材(50)とミラー部材(60A)とが保持されている。回転体(210)は、解除状態では観察者(400)に最終反射部材(50)の反射面(51)を対向させる第1回転位置に回転し、遮蔽状態では観察者(400)にミラー部材(60A)の反射面(61A)を対向させる第2回転位置に回転する。
この態様によれば、回転体(210)を第1回転位置又は第2回転位置に回転させることで、解除状態又は遮蔽状態に切り替えることができる。
第29の態様に係る表示システム(1)では、第28の態様において、回転体(210)は、ミラー部材(60A)の反射面(61A)の中心点(P1)における法線(L1)と、最終反射部材(50)の反射面(51)の中心点(P2)における法線(L2)とが非平行となる状態で、ミラー部材(60A)と最終反射部材(50)とを保持している。
この態様によれば、回転体(210)を180度回転させることで、解除状態と遮蔽状態とを切り替えることができる。
第30の態様に係る表示システム(1)では、第9の態様において、筐体(70)には、遮光部材(8)として、一方の面が反射面である板状のミラー部材(60A)が設けられる。保持構造(200)は、筐体(70)に対して回転可能な状態で保持された回転体(210)を含む。回転体(210)は、ミラー部材(60A)の反射面(61A)と最終反射部材(50)の反射面(51)とが互いに反対側を向き、かつ、ミラー部材(60A)の反射面(61A)の中心点(P1)における法線(L1)と、最終反射部材(50)の反射面(51)の中心点(P2)における法線(L2)とが平行となる状態で、ミラー部材(60A)と最終反射部材(50)とを保持している。回転体(210)は、解除状態では観察者(400)に最終反射部材(50)の反射面(51)を対向させる第1回転位置に回転し、遮蔽状態では観察者(400)にミラー部材(60A)の反射面(61A)を対向させる第2回転位置に回転する。第1回転位置と第2回転位置との間で回転体(210)が回転する角度が180度以外の所定の角度である。
この態様によれば、回転体(210)を所定の角度回転させることで、解除状態と遮蔽状態とを切り替えることができる。
第31の態様に係る表示システム(1)では、第28〜第30のいずれかの態様において、回転体(210)は、1以上の別のミラー部材(320)を更に保持する。別のミラー部材(320)の反射面(321)の中心点(P3)における法線(L3)が、最終反射部材(50)の反射面(51)の中心点(P2)における法線(L2)、及び、ミラー部材(60A)の反射面(61A)の中心点(P1)における法線(L1)の各々に対して非平行である。
この態様によれば、別のミラー部材(320)が観察者(400)に対向する回転位置に回転体(210)を回転させることによって、別のミラー部材(320)による反射像を表示することができる。
第32の態様に係る表示システム(1)では、第28〜第30のいずれかの態様において、回転体(210)は、回転軸(211)の軸方向と交差する断面の形状が四角形である四角柱である。回転体(210)において、回転軸(211)の軸方向に沿う4つの側面には、2つの最終反射部材(50)と、2つのミラー部材(60A)とが交互に配置されている。
この態様によれば、遮蔽状態及び解除状態に切り替えるために回転体(210)を回転させる回転角度を180度よりも小さくできる。
第33の態様に係る表示システム(1)では、第28〜第32のいずれかの態様において、ミラー部材(60A)は平面鏡であり、ミラー部材(60A)に対して光が入射する側に透光性を有する防眩ミラー(322)が配置される。回転体(210)の回転軸(211)の軸方向から見て、ミラー部材(60A)の反射面(61A)の中心点(P1)における法線(L1)と、防眩ミラー(322)の反射面(323)の中心点(P3)における法線(L3)とが非平行になるように、ミラー部材(60A)と防眩ミラー(322)とが回転体(210)に保持されている。
この態様によれば、防眩ミラー(322)によって観察者(400)の方向に光が反射される回転位置に回転体(210)を回転させることによって、防眩ミラー(322)による反射像を表示することができる。
第34の態様に係る表示システム(1)は、第28〜第33のいずれかの態様において、回転体(210)を、第1回転位置と第2回転位置との間で移動させるアクチュエータ(6)を更に備える。
この態様によれば、アクチュエータ(6)を用いて、回転体(210)を、第1回転位置と第2回転位置との間で移動させることができる。
第35の態様に係る表示システム(1)では、第28〜第34のいずれかの態様において、反射光学系(B1)は、ハーフミラー(40)を更に含む。表示デバイス(2)の表示面(21)から出射した光はハーフミラー(40)を介して最終反射部材(50)に入射し、最終反射部材(50)での反射光はハーフミラー(40)を透過して観察者(400)の目(401)に入射することで映像を表示する。ハーフミラー(40)は、所定の振動方向の光を透過する反射型偏光フィルム(43)と、ハーフミラー(40)における入射光と出射光との間に電界振動方向において4分の1波長の位相差を発生させる第1のλ/4位相差フィルム(44)と、の積層構造を有する。筐体(70)には、遮光部材(8)として、一方の面が反射面(61A)である板状のミラー部材(60A)が設けられる。解除状態では、最終反射部材(50)から観察者(400)の目(401)に入射する光の光路外の第1位置にミラー部材(60A)が配置される。遮蔽状態では、最終反射部材(50)と観察者(400)との間に反射面を観察者(400)に向けた状態でミラー部材(60A)が配置される。ミラー部材(60A)の表面に、ミラー部材(60A)における入射光と出射光との間に電界振動方向において4分の1波長の位相差を発生させる第2のλ/4位相差フィルム(66)が設けられている。
この態様によれば、表示デバイス(2)からの光を効率よく観察者(400)の目(401)に到達させることができる。
第36の態様に係る表示システム(1)は、第9の態様において、検知センサ(14)の出力に応じて、遮光部材(8)の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える駆動部(駆動回路(13)又はアクチュエータ(6))を更に備える。
この態様によれば、検知エリア(R1)における状況に応じて、駆動部(駆動回路(13)又はアクチュエータ(6))は、遮光部材(8)の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。この場合、検知エリア(R1)に存在する物体(O1)が光により熱せられる可能性を低減できる。
第37の態様に係る表示システム(1)では、第36の態様において、最終反射部材(50)での反射光の光路が検知エリア(R1)を通り、検知センサ(14)は、検知エリア(R1)における物体(O1)の存否を検知する物体センサ(15)を含む。駆動部(駆動回路(13)又はアクチュエータ(6))は、物体センサ(15)が検知エリア(R1)における物体(O1)の存在を検知すると、遮光部材(8)の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。
この態様によれば、検知エリア(R1)における状況に応じて、駆動部(駆動回路(13)又はアクチュエータ(6))は、遮光部材(8)の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。この場合、検知エリア(R1)に存在する物体(O1)が光により熱せられる可能性を低減できる。
第38の態様に係る表示システム(1)では、第37の態様において、物体センサ(15)は、筐体(70)に保持される。
この態様によれば、表示システム(1)を構成する表示デバイス(2)等と物体センサ(15)とを、筐体(70)に集約することができる。
第39の態様に係る表示システム(1)では、第37又は第38の態様において、物体センサ(15)は、検知エリア(R1)において物体(O1)が移動している場合に、物体(O1)の存在を検知する。
この態様によれば、物体センサ(15)が物体(O1)の存否を誤検知する可能性を低減できる。
第40の態様に係る表示システム(1)では、第36〜第39のいずれかの態様において、反射光学系(B1)は、ハーフミラー(40)を更に含む。表示デバイス(2)の表示面(21)から出射した光はハーフミラー(40)を介して最終反射部材(50)に入射し、最終反射部材(50)での反射光はハーフミラー(40)を透過して観察者(400)の目(401)に入射することで映像を表示する。
この態様によれば、ハーフミラー(40)と最終反射部材(50)とで少なくとも2回反射することで、光路長を長くしながらも、小型化を図ることができる。
第41の態様に係る表示システム(1)では、第40の態様において、遮光部材(8)の状態が遮蔽状態である場合に、遮光部材(8)は、ハーフミラー(40)が遮光部材(8)と最終反射部材(50)との間に位置するように配置される。
この態様によれば、遮光部材(8)と最終反射部材(50)との間の空間をハーフミラー(40)の配置スペースとして有効に利用できる。
第42の態様に係る表示システム(1)では、第40又は41の態様において、ハーフミラー(40)は、反射型偏光フィルム(43)と、λ/4位相差フィルム(44)と、の積層構造を有する。反射型偏光フィルム(43)は、所定の振動方向の光を透過する。λ/4位相差フィルム(44)は、ハーフミラー(40)における入射光と出射光との間に電界振動方向において4分の1波長の位相差を発生させる。
この態様によれば、ハーフミラー(40)として蒸着タイプのビームスプリッタを用いる場合に比べて、表示デバイス(2)からの光を効率よく観察者(400)の目(401)に到達させることができる。
第43の態様に係る表示システム(1)では、第36〜第42のいずれかの態様において、遮光部材(8)は、反射面(61)を有する、光学ミラー(ミラー部材60)である。反射面(61)は、遮光部材(8)が遮蔽状態のとき最終反射部材(50)での反射光の反射方向に光を反射する。
この態様によれば、遮光部材(8)が遮蔽状態のとき、反射面(61)に映る像を観察者(400)が視認できる。
第44の態様に係る表示システム(1)では、第36〜第43のいずれかの態様において、検知センサ(14)は、光量センサ(16)を含む。光量センサ(16)は、検知エリア(R1)側から入射する光量の少なくとも一部を検知する。
この態様によれば、駆動部(駆動回路(13)又はアクチュエータ(6))は、光量センサ(16)で検知された光量に応じて、遮光部材(8)の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替えることができる。そのため、検知エリア(R1)に存在する物体(O1)が光により熱せられる可能性を更に低減できる。
第45の態様に係る表示システム(1)は、第44の態様において、レンズ(18)を更に備える。レンズ(18)は、光量センサ(16)に光を集光する。
この態様によれば、光量センサ(16)に入射する光量が比較的小さい場合であっても、光量を精度良く検知できる。
第46の態様に係る表示システム(1)では、第44又は第45の態様において、光量センサ(16)は、筐体(70)の内部において、筐体(70)の下面又は上面に沿って配置される。
この態様によれば、光量センサ(16)の配置スペースを容易に確保できる。
第47の態様に係る表示システム(1)は、第44又は第45の態様において、箱状部(17)を更に備える。箱状部(17)は、筐体(70)に隣接して配置される。箱状部(17)は、検知エリア(R1)側の一端に開口部(170)を有する。光量センサ(16)は、箱状部(17)に収容されている。
この態様によれば、光量センサ(16)の配置スペースを容易に確保できる。
第48の態様に係る表示システム(1)では、第44又は第45の態様において、光量センサ(16)は、遮光部材(8)の表面に配置される。
この態様によれば、光量センサ(16)の配置スペースを容易に確保できる。
第49の態様に係る表示システム(1)では、第36〜第48のいずれかの態様において、遮光部材(液晶ミラー(12))は、最終反射部材(50)での反射光の光路上に配置される。遮光部材(液晶ミラー(12))における光の透過率は、印加電圧に応じて変化する。
上記の構成によれば、遮光体(液晶ミラー(12))の印加電圧を変更することで、遮光体の状態を解除状態と遮蔽状態との間で容易に切り替えることができる。
第50の態様に係る表示システム(1)では、第36〜第49のいずれかの態様において、駆動部(駆動回路(13)又はアクチュエータ(6))は、検知センサ(14)の出力に応じて、筐体(70)の向きを変える。
この態様によれば、遮光部材(8)の状態が解除状態のときと遮蔽状態のときとで、筐体(70)の向きを、ユーザ(観察者(400))にとって利便性が高い向きに変えられる。例えば、遮光体の状態が解除状態のとき、筐体(70)の向きを、ユーザ(観察者(400))が映像を見やすい向きにすることができる。
第9の態様以外の構成については、表示システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
第51の態様に係る電子ミラーシステム(5)は、第1〜第50のいずれかの態様の表示システム(1)と、撮像部(4)と、を備える。表示デバイス(2)は、撮像部(4)によって撮影される画像を表示面(21)に表示する。
この態様によれば、表示デバイス(2)による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム(1)を備えた電子ミラーシステム(5)を提供することができる。
第52の態様に係る移動体(自動車(100))は、第51の態様に係る電子ミラーシステム(5)と、電子ミラーシステム(5)を搭載する移動体本体(110)と、を含む。
この態様によれば、表示デバイス(2)による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム(1)を備えた移動体を提供することができる。
なお、上記各実施形態において、制御部50xの各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
以上、本発明の一つまたは複数の態様に係る表示システムについて、各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの各実施形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を各実施形態に施したものや、異なる各実施形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。