(本開示に至った経緯)
以下、図1〜図3を用いて、本開示における表示システムの使用例を示しつつ、上記特許文献1等に開示された表示システムの課題点を詳しく説明する。
図1は、表示システムが設置された車両の車室の一例を示す図である。図1では、本開示における表示システム100及び従来の表示システムが設置される例として、車両300のルームミラーを遠視点電子ミラーに置き換えた例を示している。なお、従来の表示システムについては、適宜、表示システム100を従来の表示システムとして読み替えることによって説明がなされる。図1に示すように、表示システム100は、一例として、車両300のルームミラーに置き換えられる遠視点電子ミラーを構成する。
表示システム100の設置個所は、ルームミラーと同等である、例えば、車両300の運転者から見て、ウィンドシールド(フロントガラス)の上方に配置される。このような位置に設置された表示システム100には、ルームミラーと同様に車両300の後方の状況が画像として表示される。また、ルームミラーとは異なり、表示システム100は、任意の画像を表示できるため、例えば、車速、近接物体の検知結果、及び現在地から目的地までのナビゲーションの情報等、あらゆる情報を画像として表示することができる。画像は、表示システム100の筐体105(後述する図5参照)の表面に配置された出力窓101を介して、運転者の視線上に投影される。言い換えると、運転者は、出力窓101を見ることで、上記したような情報を視認することができる。
図2Aは、表示システムの使用例を示す第1図である。また、図2Bは、表示システムの使用例を示す第2図である。図2Aでは、運転者から見た表示システムに表示される画像101aの一例として、上記した車両300の後方の状況を示している。このように、表示システム100の出力窓101を見ることで、運転者は、投影された画像101aを視認することができる。この例では、表示される画像101aは、車両300に設置された撮像装置200によって撮像された画像である。撮像装置200は、図2Bに示すように、車両300の後方に設置されており、ドットハッチングを付した箇所等の車両300よりも後方の状況を撮像する。撮像された画像は、表示システム100へと送信され、ほぼリアルタイムに画像101aとして表示される。
ここで、従来の表示システムでは、図3に示すような画像101aが表示される場合があった。図3は、従来の表示システムにおいて表示される画像を例示する図である。図3では、表示される画像に模様等のパターンがない無地の状態を示している。図3に示すように、従来の表示システムでは、見る方向によって異なる色がまだらに波打つような着色現象が発生している。このような、着色現象が生じた場合、本来表示したい画像101aが影響を受けて乱れる等、視認性が低下する問題が生じる。すなわち、従来の表示システムでは、適切に画像を表示できない場合がある。
図3に示す、見る方向によって異なる色がまだらに波打つような着色現象は、水面に展開された油膜などでもみられる。この現象は、外光を受けて水面と油膜表面とで反射される2種類の反射光の干渉によって説明される。具体的には、外光が油膜を通過して水面に達して反射された光と、水面に達することなく油膜表面において反射される光とがあった場合に、これらの光が重なり合うと、光子の波長が一致している場合、各々の位相に応じて振幅が増幅又は減衰される。また、水面と油膜表面との厚みが一定でないために、干渉しあう光の波長は、見る位置又は方向によって異なる。従来の表示システムにおいては、以上と同様の原理に基づく現象が発生し得る。
より具体的には、従来の表示システムでは、表示器から画像情報に応じた光を出射した後、表示システム内部において複数回反射させて出力窓へと反射するが、このとき、光を反射する構成にハーフミラーが含まれており、当該ハーフミラーでの反射において、上記の問題が生じる。
(開示の概要)
上記に鑑みて、本開示の一態様に係る表示システムは、画像情報に応じた出射光を出射する表示器と、出射光が入射され、入射される光の第1成分を反射光として反射し、第1成分とは異なる第2成分を透過するハーフミラーと、凹面を有し、入射される光を凹面において反射することで、反射光をハーフミラーに向けて反射する第1反射鏡と、を備え、ハーフミラーは、入射される光の位相を変化させる第1位相差フィルムと、透光性を有する第1支持基板と、第1偏光成分を反射しかつ第1偏光成分とは異なる第2偏光成分を透過する反射型偏光フィルムとが、出射光が入射される側からこの順に積層される。
このような表示システムでは、画像情報に応じた光として出射された光が、ハーフミラーに入射する。ハーフミラーに入射した光は、反射する第1成分と、透過する第2成分とに分けられるが、この際、ハーフミラーを構成する第1位相差フィルム、反射型偏光フィルム、及びこれらを第1支持基板に接合する接合層の境界面等において、意図しない反射が生じ得る。本開示の表示システムは、このような意図しない反射が低減されるように構成されている。
具体的には、境界面に非平坦なうねりが生じていた場合、入射された光の反射が生じやすく、異なる境界面で反射された異なる光同士が干渉しあうことによって、上記に説明したような着色現象が生じる。このことから、境界面を平坦に保つことで、意図しない反射、引いては着色現象を抑制することができる。本開示の表示システムでは、比較的平坦度の高い第1支持基板の両面に非平坦な境界面を生じやすい第1位相差フィルム及び反射型偏光フィルムを配置することにより、第1位相差フィルム及び反射型偏光フィルムを2枚重ねで積層する従来の表示システムに比べ非平坦な境界面の発生が抑制される(つまり、平坦性が担保される)。したがって、表示システムは、意図しない反射と、当該反射による着色現象を抑制することができる。よって、より適切な画像の表示が可能となる。
また、例えば、第1位相差フィルムは、第1支持基板の一方の主面に直接貼り付けられ、反射型偏光フィルムは、第1支持基板の他方の主面に直接貼り付けられてもよい。
これによれば、第1位相差フィルムと第1支持基板との間に他の部材が存在しないため、第1支持基板による第1位相差フィルムの平坦性の担保の効果を高めることができる。同時に、反射型偏光フィルムと第1支持基板との間に他の部材が存在しないため、第1支持基板による反射型偏光フィルムの平坦性の担保の効果を高めることができる。よって、非平坦な面が形成されることが抑制され、より適切な画像の表示が可能となる。また、このような効果を第1支持基板1枚で実現できるため、ハーフミラーの各構成要素の平坦性を担保するために、表示システムが大型化することを抑制できる。
また、例えば、ハーフミラーは、更に、反射型偏光フィルムの第1支持基板とは反対側の面に積層された第2位相差フィルムを有し、第2位相差フィルムは、反射型偏光フィルムによって透過された第2偏光成分の光の位相を変化させてもよい。
これによれば、円偏光による出力で、表示システムによる画像の表示を行うことができる。表示システムと当該表示システムを用いて画像を視認するユーザ(例えば運転者等)との間に偏光板、偏光フィルム等の偏光性の光学デバイスが存在しても、ユーザは良好に画像を視認することができる。よって、より適切な画像の表示が可能となる。
また、例えば、ハーフミラーは、更に、反射型偏光フィルムの第1支持基板とは反対側の面に積層され、透光性を有する第2支持基板を有してもよい。
これによれば、第1支持基板と第2支持基板とによって挟まれる反射型偏光フィルムの平坦性を担保できる。反射型偏光フィルムの両主面において非平坦な面が形成されることが抑制され、より適切な画像の表示が可能となる。
また、例えば、ハーフミラーは、更に、第1位相差フィルムの第1支持基板とは反対側の面に積層され、透光性を有する第3支持基板を有してもよい。
これによれば、第1支持基板と第3支持基板とによって挟まれる第1位相差フィルムの平坦性を担保できる。第1位相差フィルムの両主面において非平坦な面が形成されることが抑制され、より適切な画像の表示が可能となる。
また、例えば、表示システムは、更に、第1反射鏡とは異なる第2反射鏡を備えてもよい。
これによれば、表示システムの表示器からハーフミラーを介して出射されるまでの光の光学経路の設計における自由度を高めることができる。また、このようにすることで表示システムの外形を決定する筐体の形状を自由に設計できる。よって、表示システムの用途に適した、より適切な画像の表示が可能となる。
また、例えば、第2反射鏡は、出射光をハーフミラーに向けて反射してもよい。
これによれば、表示器とハーフミラーとの間に配置された第2反射鏡によって反射した出射光をハーフミラーに入射することができる。表示器とハーフミラーとの間に遮蔽物等が存在する空間等においても光の光学経路の設計における自由度を高めることができる。よって、表示システムの用途に適した、より適切な画像の表示が可能となる。
また、例えば、第2反射鏡は、反射光を第1反射鏡に向けて反射してもよい。
これによれば、ハーフミラーと第1反射鏡との間に配置された第2反射鏡によって反射した反射光を第1反射鏡に入射することができる。ハーフミラーと第1反射鏡との間に遮蔽物等が存在する空間等においても光の光学経路の設計における自由度を高めることができる。よって、表示システムの用途に適した、より適切な画像の表示が可能となる。
また、例えば、画像情報は、撮像装置によって撮像された画像を示す情報であってもよい。
これによれば、表示システムを用いて、撮像された画像を表示することができる。例えば、略リアルタイムに撮像された画像が表示できる構成であれば、表示システムを電子ミラーとして応用することもできる。
また、例えば、表示器は、画像情報に応じた光を直線偏光によって供給する光供給器と、光供給器から供給された直線偏光の位相を変化させて前記出射光として出射する第3位相差フィルムと、を有してもよい。
これによれば、直線偏光を供給可能なあらゆる光供給器を用いて表示システムを構成できる。表示システムには、光供給器として、例えば、LCD又は有機ELディスプレイ等を用いることができる。なお、有機ELディスプレイを用いる場合は、供給される光を直線偏光に変化させる偏光板等を組み合わせて構成されればよい。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
[表示システムの構成と動作]
以下、実施の形態における表示システム100の構成及び動作について、図4〜図7を用いて説明する。図4は、実施の形態に係る表示システムの機能構成を示すブロック図である。
図4に示すように、本実施の形態における表示システム100は、出力窓101と、取得部102と、表示器103と、光学系104とを備える。また、図4のブロック図における表示システム100の最外周を囲む矩形は、筐体105を表している。出力窓101は、筐体105とともに表示システム100の構成要素を内蔵する。出力窓101からは、筐体105の内部で反射された光が出力される。言い換えると、出力窓101は、筐体105に形成された開口に設けられ、出力窓101から表示システム100を用いて表示する画像101aが出力される。したがって、出力窓101は、少なくとも一部が透光性を有する、ガラス、アクリル等の樹脂などの材料を用いて形成される。
取得部102は、図2Aにおいて説明した撮像装置200から撮像された画像を取得する処理部である。取得部102は、例えば、プロセッサとメモリとを用いて画像取得プログラムを実行することで、撮像装置200が撮像した画像を取得する。取得部102は、取得した画像を画像情報として後述の表示器103へと出力することで、表示システム100における画像の表示が開始される。なお、表示システム100を用いて表示される画像が、撮像装置200によって撮像された画像ではない場合、取得部102に代えて、図示しない画像生成部が備えられてもよい。画像生成部は、例えば、車速、近接物体の検知結果、及び現在地から目的地までのナビゲーションの情報等、表示したい情報に応じた画像情報を生成して表示器103へと出力してもよい。また、取得部102と画像生成部との両方が備えられてもよい。
表示器103は、取得部102又は画像生成部から出力された画像情報に応じた出射光を出射する装置である。表示器103は、例えば、LCD、有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ等のディスプレイ装置103a(後述する図5参照)を含んで実現される。ディスプレイ装置103aは、実施の形態における光供給器の一例である。また、詳細は図5を用いて後述するが、表示器103は、ディスプレイ装置103aが出射した光が通過する第3位相差フィルム103b(後述する図5参照)を含み、第3位相差フィルム103bによって、表示器103から円偏光の光が出射されるように構成される。このため、ディスプレイ装置103aが直線偏光を出射できる必要がある。直線偏光は、表示パネルに一般的な偏光板等を組み合わせることによって実現可能である。なお、ディスプレイ装置としてLCDを用いる場合には、原理上このような偏光板等を備えることなく直線偏光を出射できるため、本開示のディスプレイ装置103aとしてLCDは好適である。
光学系104は、反射、屈折等を利用して表示器103から出射された光を出力窓へと導く光路を形成している。光学系104は、複数の反射鏡及びレンズ等の光学デバイスによって構成される。本実施の形態における光学系104は、第1反射鏡111、第2反射鏡112、及びハーフミラー113を備える。また、ハーフミラー113は、第1位相差フィルム121、第1支持基板122、及び反射型偏光フィルム123を備える。なお、光学系104における光の反射角等によって許容される場合、ハーフミラー113の第1支持基板122を出力窓101として実現してもよい。
本実施の形態の光学系104は、図5に示す破線矢印の経路によって表示器103から出射された光を出力窓へと導く。図5は、実施の形態に係る表示システムの光学系を説明する図である。
図5に示すように、表示器103を構成するディスプレイ装置103aから画像情報に応じた光がP偏光として供給される。供給されたP偏光は、入射される光の位相を1/4波長の位相差の付与によって変化させる第3位相差フィルム103bを介して円偏光に変化されて光学系104に出射光131が出射される。第3位相差フィルム103bは、ディスプレイ装置103aから供給されたP偏光の位相を変化させて出射光として出射する光学デバイスである。
ディスプレイ装置103a及び第3位相差フィルム103bを含んで構成される表示器103から出射された出射光131は、第2反射鏡112によって反射される。第2反射鏡112は、後述する第1反射鏡111とは異なる、例えば平面鏡である。第2反射鏡112は、入射された出射光をハーフミラー113に向けて反射する姿勢で配置されている。なお、第2反射鏡112によって反射された円偏光は、偏光の回転方向が反転される。
ハーフミラー113は、図中の2点鎖線で囲んだ箇所の拡大図に示すように、入射される光のS偏光成分等の光成分を反射光132として反射し、入射される光から反射光132を差引いた光成分を透過光133として透過する。ハーフミラー113には、第2反射鏡112によって反射された出射光131が入射される。ここで、ハーフミラー113は、第1位相差フィルム121、第1支持基板122、及び反射型偏光フィルム123が、出射光131が入射される側からこの順に積層されている。したがって、ハーフミラー113に入射した出射光131は、第1位相差フィルム121を透過し、第1支持基板122を透過し、反射型偏光フィルム123に到達する。
第1位相差フィルム121は、入射される光の位相を変化させるシート状の光学デバイスである。第1位相差フィルム121は、透過後の光に1/4波長の位相差を付与する。そのため、第1位相差フィルム121は、入射される円偏光を位相の変化によって直線偏光へと変化させる。上記のように、第2反射鏡112からハーフミラー113へと入射された光は、円偏光であるため、直線偏光に変化して第1支持基板122へと入射する。ここでは、第2反射鏡112の反射によって回転方向が反転された円偏光が変化されるため、直線偏光としてS偏光が生成される。なお、1/4波長の位相差を付与する機能は、表示器103より出射される出射光のうち、人が視認できる可視光の波長範囲に対して適用されればよい。このような波長範囲は、たとえば、400nmから700nmの範囲である。また、可視光の波長範囲を十分に網羅可能な波長範囲に対して当該機能が適用されてもよい。このような波長範囲は、たとえば、350nmから850nmの範囲である。
第1支持基板122は、透光性を有する硬質の板状部材であり、軟質なシート状の第1位相差フィルム121を一方の主面に、軟質なシート状の反射型偏光フィルム123を他方の主面に直接貼り付けられた状態でこれらを支持する。また、第1支持基板122は、透過する光への光学的な影響が抑制されていることが好ましい。このようにすることで、第1位相差フィルム121を透過した光は、略そのままの状態で反射型偏光フィルム123へと到達することができる。第1支持基板122は、例えば矩形の主面を有するガラス板であるが、上記の性質を有すれば、第1支持基板122は、どのような材料及び形状であってもよい。
反射型偏光フィルム123は、S偏光成分を反射し、かつS偏光成分とは振動方向が直交するP偏光成分を透過する光学デバイスである。反射型偏光フィルム123には、第1支持基板122を介して第1位相差フィルム121を透過した光が入射される。入射した光は、円偏光から直線偏光に変化された光である。この直線偏光は、S偏光であるため反射型偏光フィルム123によって反射されて、第1支持基板122を介して再び第1位相差フィルム121へと入射される。第1位相差フィルム121は、指向性が抑えられており、どちらの主面から入射した光にも同様に位相を変化させる効果を示す。したがって、反射型偏光フィルム123によって反射されたS偏光は、第1位相差フィルム121に入射されて円偏光に変化する。なお、第1位相差フィルム121の生じる位相差は1/3から1/5の範囲内であってもよい。この場合、反射型偏光フィルム123によって反射するS偏光成分の光量が所望の光量となるように光学系104の設計を行うことができる。
このようにして円偏光に変化した光を含む反射光132は、第1反射鏡111に入射される。第1反射鏡111は、凹面を有し、入射される光を凹面において反射する。このように凹面を用いて光を反射することで、光が実際よりも遠方にあるように視認される効果がある。
第1反射鏡111に入射された反射光132は、第1反射鏡111によって更に反射される。このとき反射光132に含まれる円偏光は、偏光の回転方向が反転される。第1反射鏡111は、反射光132が入射され、かつ、第1反射鏡111から入射された反射光132をハーフミラー113に向けて反射する姿勢で形成されている。したがって、第1反射鏡111によって反射された反射光132は、再びハーフミラー113に入射される。
ハーフミラー113に入射された反射光132は、S偏光の位相が変化された円偏光の回転方向が反転された光を多く含む。つまり、ハーフミラー113の第1位相差フィルム121において、反射光132の大部分がP偏光に変化する。反射光132のうちのP偏光に変化した成分は、反射型偏光フィルム123へと到達し、当該反射型偏光フィルム123を透過して出力窓101から出射される。例えば、運転者は、出力窓101から出射された光によって網膜上に投影された像を、表示システム100の出力窓に表示された画像として視認する。
ここで、図6Aは、従来の表示システムにおける反射光を構成する成分について説明する図である。また、図6Bは、実施の形態に係る表示システムにおける反射光を構成する成分について説明する図である。図6A及び、図6Bでは、従来の表示システムにおけるハーフミラー113a及び本実施の形態における表示システム100におけるハーフミラー113のそれぞれの構成を詳細に示している。
図6A及び、図6Bに示すように、第1位相差フィルム121は、第1位相差層121aと、接着層121bとを有し、接着層121bによって第1位相差フィルム121が接着される接着対象に接着されている。同様に、図6A及び、図6Bに示すように、反射型偏光フィルム123は、反射型偏光層123aと、接着層123bとを有し、接着層123bによって反射型偏光フィルム123が接着される接着対象に接着されている。
図6Aに示すように、従来の表示システムに用いられるハーフミラー113aは、第1支持基板122上に反射型偏光フィルム123が積層され、更に、その上に第1位相差フィルム121が積層されている。第1支持基板122は硬質な部材であるため、高い平坦性を有しているものの、その上に積層される反射型偏光フィルム123は、軟質であるために、平坦性が失われる。結果として接着層123bと反射型偏光層123aとの境界面、及び、当該境界面と反対側の反射型偏光層123aの表面に平坦性が減少した面(つまり、非平坦な面)が形成されてしまう。
更に、このように平坦性が減少した面の上に第1位相差フィルム121が積層されることによって、平坦性が大幅に失われる。具体的に、接着層121bと第1位相差層121aとの境界面、及び、当該境界面と反対側の第1位相差層121aの表面に平坦性が大幅に減少した面が形成されてしまう。
このような非平坦な面においては、入射される光の波長、入射角等によって意図しない反射が生じ、各界面で反射した光同士が干渉しあうことにより、着色現象につながり得る。また、干渉する光には、反射型偏光フィルム123において、図中に実線の矢印で示す、本来反射型偏光フィルム123によって反射される光が含まれる。また、図中の第1位相差層121aと接着層121bとの境界面は、上記したように平坦性が大幅に減少した面であり、図中に実線の矢印で示すように条件によって多くの光の反射が生じ得る。同様に、接着層121bと反射型偏光層123aとの境界面は、平坦性が減少した面であるが、その非平坦の程度が一定に抑制されているため、図中に破線の矢印で示すように光の反射が生じにくい。
一方で図6Bに示すように、本実施の形態における表示システム100に用いられるハーフミラー113は、第1支持基板122の一方の主面上に第1位相差フィルム121が積層され、他方の主面上に反射型偏光フィルム123が積層される。したがって、いずれの面でも平坦性の減少の度合いが一定に抑制される。よって、表示システム100では、非平坦な面の形成が抑制され、図中に破線の矢印で示すように、意図しない反射が生じにくい。
図7は、実施の形態に係る表示システムにおいて表示される画像を例示する図である。図7では、図3と同様に、表示システム100を用いて表示される画像に模様等のパターンがない無地の状態を示している。図7に示すように、図3の例にみられたような見る方向によって異なる色がまだらに波打つような着色現象が発生しておらず、表示システム100による画像101aの表示が良好に行えることが確認できる。以上のように、本実施の形態における表示システム100は、着色現象を有効に抑制し、より適切な画像101aの表示を行うことができる。
[変形例1]
以下、更に、実施の形態の変形例に係る表示システム100について、説明する。なお、以下の説明において、上記実施の形態と異なる点を中心に説明し、上記実施の形態と実質的に同様の構成については、説明を省略又は簡略化する。図8は、実施の形態の変形例1に係る表示システムの光学系を説明する図である。図8に示す表示システム100aでは、第2反射鏡112を備えない点が上記実施の形態と比較して異なっている。
本変形例では、ディスプレイ装置103aは、第3位相差フィルム103bによって円偏光に変化され、ハーフミラー113によって反射され、同じ回転方向の円偏光のまま第1反射鏡111に入射される。第1反射鏡111に入射された円偏光は、再びハーフミラー113に入射される。ハーフミラー113では、円偏光からP偏光に変化した光が反射型偏光フィルム123に到達し、当該反射型偏光フィルム123を透過して出力窓101から出射される。
このように、第2反射鏡112を有しない構成であっても表示システム100を実現することができる。したがって、第2反射鏡112は必須ではない。また、このように第2反射鏡112を備えないことによって、表示システム100aを小型化できるとともに省コスト化できる。
また、第2反射鏡112を複数としてもよく、平面鏡ではなく凹面鏡、凸面鏡を任意に組み合わせてもよい。また、第2反射鏡112の光学的な配置も上記実施の形態に特に限定されない。例えば、ハーフミラー113から第1反射鏡111までの光路間に第2反射鏡112が配置されていてもよく、第1反射鏡111からハーフミラー113までの光路間に第2反射鏡112が配置されてもよく、この両方に配置されもよい。表示システム100に要求される仕様に応じて任意の光学系104が形成されればよい。
[変形例2]
図9Aは、実施の形態の変形例2に係る表示システムのハーフミラーを説明する第1図である。また、図9Bは、実施の形態の変形例2に係る表示システムのハーフミラーを説明する第2図である。図9A及び図9Bに示す表示システム100では、ハーフミラー113の構成が上記実施の形態と比較して異なっている。
図9Aの例では、ハーフミラー113bが第2支持基板124を備える。具体的には、反射型偏光フィルム123の第1支持基板122とは反対側の面に第2支持基板124が更に積層される。第2支持基板124は、第2支持基板124を構成する第2支持層124aが、接着層124bによって反射型偏光フィルム123の反射型偏光層123a上に接着されて積層される。第2支持基板124の第2支持層124aは、第1支持基板122と同様に硬質な部材によって形成されている。したがって、このように構成することで、第2支持層124aと、第1支持基板122とによって挟まれる反射型偏光フィルム123の平坦性が担保される。よって、このようなハーフミラー113bを有する表示システム100は、より適切な画像101aの表示を行うことができる。
また、図9Bの例では、ハーフミラー113cが第3支持基板126を備える。具体的には、第1位相差フィルム121の第1支持基板122とは反対側の面に第3支持基板126が更に積層される。第3支持基板126は、第3支持基板126を構成する第3支持層126aが、接着層126bによって第1位相差フィルム121の第1位相差層121a上に接着されて積層される。したがって、このように構成することで、第3支持層126aと、第1支持基板122とによって挟まれる第1位相差フィルム121の平坦性が担保される。よって、このようなハーフミラー113cを有する表示システム100は、より適切な画像101aの表示を行うことができる。
[変形例3]
図10は、実施の形態の変形例3に係る表示システムのハーフミラーを説明する図である。図10に示す表示システム100では、ハーフミラー113の構成が上記実施の形態と比較して異なっている。
本変形例では、ハーフミラー113dが第2位相差フィルム125を備える。具体的には、反射型偏光フィルム123の第1支持基板122とは反対側の面に第2位相差フィルム125が更に積層される。第2位相差フィルム125は、第2位相差フィルム125を構成する第2位相差層125aが、接着層125bによって反射型偏光フィルム123の反射型偏光層123a上に接着されて積層される。第2位相差フィルム125は、第1位相差フィルム121と同様に、入射される光の位相を1/4波長の位相差の付与によって変化させることで、直線偏光と円偏光とを双方向で変化させる。上記実施の形態において説明したように、反射型偏光フィルム123を透過した光は、直線偏光のうちのP偏光であり、例えば、偏光サングラス等を着用した運転者がこの光を見た際に、偏光の方向によって全く見えない又は見えづらい可能性がある。反射型偏光フィルム123上に、更に第2位相差フィルム125が積層されることによって、反射型偏光フィルム123を透過したP偏光は円偏光として出力窓101へと向かう。つまり、偏光サングラス等を着用した運転者であっても視認性の高い表示システム100が実現できる。よって、このようなハーフミラー113dを有する表示システム100は、より適切な画像101aの表示を行うことができる。
(実施の形態2)
次に、上記に加えて更に、複数の車種の車両に適用可能な表示システムについて説明する。
例えば、特許文献2には、車両に取り付けられているバックミラーと、画像検知手段と、を備えるミラー調整装置が記載されている。画像検知手段は、運転者の頭部の画像を作成及び記録するためのビデオカメラを含み得る。車両の上から見て、バックミラーは、運転者の斜め前方に位置している。車両の上から見て、画像検知手段は、運転者の前方に位置する。
特許文献1に記載されたミラー調整装置では、車種毎にカメラの搭載位置の制約があり、複数の車種の車両に共通化して適用することが困難であった。
以下に説明する実施の形態2では、複数の車種の車両に適用可能であり、より適切に画像が表示される表示システムの提供を目的とする。
一例として、本実施の形態の表示システムは、表示器と、ハーフミラーと、第1反射鏡と、筐体と、カメラと、を備える。前記表示器は、車両の後方の映像を表示する表示面を有する。前記反射鏡は、前記表示器から出射された光線を反射する。前記第1反射鏡は、前記反射鏡で反射された光線を反射する。前記筐体は、前記表示器、前記反射鏡、及び第1反射鏡を内蔵している。前記カメラは、前記筐体に設けられている。前記筐体は、前記第1反射鏡で反射された光線を出射する出射部を有する。前記表示システムでは、前記出射部から出射された光線が観察者の目に入射することで前記映像を表示する。前記カメラの撮像方向が前記車両の車室内を向いている。
上記構成により、本実施の形態の表示システムには、複数の車種の車両に適用可能であるという利点がある。
なお、下記の実施の形態等において説明する図11〜図32Cは、概念図であり、図中の各構成要素の大きさ、厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
[概要]
実施の形態2に係る表示システム301は、図11に示すように、例えば、移動体としての車両(自動車)400に用いられるシステムである。
表示システム301は、移動体の移動体本体に搭載される。移動体の移動体本体は、車両400の本体(車体)410である。
表示システム301は、表示器302と、ハーフミラー303と、凹面鏡である第1反射鏡304と、筐体305と、を備える。
表示器302は、車両400の後方の映像を表示する表示面321を有する。映像は、例えば、車両400の後方を撮像する撮像部309(図12参照)から出力される。撮像部309は、車両400の本体410に搭載される。なお、本実施の形態の表示システム301と撮像部309(図12参照)とで電子ミラーシステム310が構成される。移動体は、電子ミラーシステム310と、電子ミラーシステム310を搭載する本体410と、を含む。
ハーフミラー303は、表示器302から出射された光線を反射する。第1反射鏡304は、ハーフミラー303で反射された光線を反射する。筐体305は、表示器302、ハーフミラー303、及び第1反射鏡304を内蔵している。筐体305は、第1反射鏡304で反射された光線を出射する出射部358を有する。表示システム301では、車両の後方の映像が表示面321に表示されると、ハーフミラー303及び第1反射鏡304で反射された映像が、出射部358から出射される。
表示システム301では、出射部358から出射された光線が観察者500の目に入射することで映像を表示する。これにより、観察者500は、表示器302の表示面321から出射する光線に基づく映像を見ることができる。観察者500は、例えば、車両400の運転者である。
また、表示システム301は、カメラ306を備える。カメラ306は、筐体305に設けられている。表示システム301では、カメラ306の撮像方向が車両400の車室404内を向いている。
表示システム301は、本体410の天井部分401においてウィンドシールド402(フロントガラス)に近い前側部分であって、運転座席430に着座する観察者500が前方を向いた状態で観察者500の視界に入る位置に配置される(図11参照)。
[構成]
本実施形態に係る表示システム301は、上述したように、表示器302と、ハーフミラー303と、第1反射鏡304と、筐体305と、カメラ306と、を備える。
表示器302は、筐体305に収納されている。表示器302は、筐体305の内側空間S1における上部に位置している。表示器302は、表示面321を下側に向けた状態で筐体35に収納されている。表示器302は映像の画像を形成する光線を出力する。表示器302は、例えば光源装置と、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)と、を備えている。液晶パネルは、光源装置の前方に配置されている。光源装置は、液晶パネルのバックライトとして用いられる。光源装置は、いわゆる面光源である。光源装置は、発光ダイオード又はレーザダイオード等の固体発光素子を用いた、サイドライト方式の光源装置である。光源装置からの光線は液晶パネルを透過して表示器302の表示面321から出射される。表示器302の表示面321から出射される光線で画像が形成される。表示面321から出力される光線は、液晶パネルに表示された画像を反映した光線である。図11及び図12では、表示器302の表示面321に表示される画像の一点(ある画素点)から出力される光線の進行経路を点線で模式的に表している。
本実施形態の表示システム301は、表示器302の表示面321から出射する光線を反射する反射部材として、ハーフミラー303と、第1反射鏡304と、を備えている。すなわち、表示システム1は、ハーフミラー303と第1反射鏡304とを含む光学系を有している。
ハーフミラー303は、入射光の一部を透過し、入射光の別の一部を反射する機能を有している。ハーフミラー303は、光の透過率と反射率とが約50%である平板状のビームスプリッタで構成されている。ハーフミラー303は、表示器2から出射された光線を第1反射鏡304に向かって反射し、第1反射鏡304により反射された光線を透過する。ハーフミラー303は、表示器302の表示面321の下方に配置されている。また、ハーフミラー303は、第1反射鏡304の反射面341側において第1反射鏡304から離れて配置されている。ハーフミラー303は、第1反射鏡304とハーフミラー303との並んでいる方向において、第1反射鏡304とハーフミラー303の上端333との距離が、第1反射鏡304とハーフミラー303の下端334との距離よりも長くなるように、第1反射鏡304とハーフミラー303との並んでいる方向に直交する面に対して傾いて配置されている。これにより、ハーフミラー303では、車両400の前後方向において、ハーフミラー303の下端334よりもハーフミラー303の上端333が後側に位置する。
ハーフミラー303は、その厚さ方向に交差する第1面331及び第2面332を有する。ハーフミラー303の第1面331は、表示器302の表示面321及び第1反射鏡304の反射面341それぞれと対向している。ここで、「対向」とは、2つの面が互いに向き合っていることを意味し、2つの面が平行である必要はない。なお、本実施形態では、第1面331が平面であるが、第1面331は自由曲面のような曲面でもよい。ハーフミラー303の第1面331を自由曲面とすることで、第1反射鏡304の反射面341に形成される画像の歪みを低減したり、像面の湾曲を低減したり、解像度を向上させたりすることができる。
第1反射鏡304は、例えばガラスを含む凹面鏡本体と、凹面鏡本体の表面に設けられた反射膜と、を有する。凹面鏡本体の材料は、例えば、ガラスを含む。反射膜の材料は、可視光に対する反射率の高い金属が好ましく、例えば、アルミニウムを含む。ハーフミラー303と第1反射鏡304とを含む光学系L1は、筐体305の内側空間S1において、第1反射鏡304が前側に位置し、ハーフミラー303が後側に位置するように配置される。第1反射鏡304は、反射面341を後側に向けた状態で筐体305の内側空間S1に配置されている。換言すれば、第1反射鏡304は、筐体305の内側空間S1において、ハーフミラー303の第1面331と対向する位置に配置されている。
ハーフミラー303と第1反射鏡304とを含む光学系L1では、表示器302の表示面321から出射された光線をハーフミラー303の第1面331で第1反射鏡304に向かって反射する。第1反射鏡304の反射面341は、ハーフミラー303からの光線を、ハーフミラー303に向かって反射する。ハーフミラー303は、第1反射鏡304からの光線を透過する。
筐体305は、第1反射鏡304で反射されてハーフミラー303を透過した光を出射させる出射部358を有している。出射部358は、可視光を透過する。これにより、表示システム301では、出射部358から出射された光線が観察者500の目501に入射することによって、観察者500は、表示器302の表示面321に表示される画像に基づく画像を見ることができる。すなわち、観察者500は、光学系L1のハーフミラー303と第1反射鏡304とで反射された画像を見ることになる。したがって、観察者500がハーフミラー303を通して第1反射鏡304の反射面341を見る方向において、反射面341よりも遠方(観察者500の視点から、例えば1〜3m前方)の表示位置に、表示器302の画像が表示されているかのように見える。つまり、表示器302の画像は虚像となる。したがって、観察者500が、ウィンドシールド402を通して前方の視界を見ている状態から、表示システム301によって表示される画像(虚像)を見る場合にピント調節がしやすくなるという利点がある。
筐体305は、本体部350と、出射部358と、を有する。本体部350は、前壁351、後壁352、上壁353、下壁354、第1側壁355(観察者500から見て右側壁)及び第2側壁356(観察者500から見て左側壁)を有し、後壁352に開口821(貫通孔)を有する箱状であり、内側空間S1を有する。筐体305の材料は、樹脂を含む。開口821の形状は、長方形状であり、上下方向の開口幅に比べて左右方向の開口幅が大きく、左右方向の開口幅と上下方向の開口幅との比率は約3〜6:1である。出射部358は、長方形状の外周形状を有する平板状であり、後壁352の開口821を覆うように配置されている。筐体305は、車両400の本体410に取り付けられた状態において、本体410の左右方向(車幅方向)における寸法が、上下方向における寸法及び前後方向における寸法よりも大きい。
筐体305は、本体410の天井部分401においてウィンドシールド402に近い前側部分に取り付けられており、運転座席430等の前部座席に着座する観察者500の視界に入る位置に配置されている(図12参照)。筐体305は、支持部材372を介して本体410の天井部分401に取り付けられ、天井部分401から吊り下げられた状態となる。ここにおいて、筐体305は、観察者500の前方視界を邪魔しない位置に配置されている。支持部材372は、筐体305の向きを調整するための調整機構(例えば、ボールジョイント)を有している。なお、筐体305は、天井部分401に取り付けられる場合に限らず、例えば、ウィンドシールド402に取り付けられてもよい。
本実施形態では、カメラ306は、出射部358の周囲に位置している。カメラ306は、筐体305の後壁352の下部において左右方向の中央に設けられている。カメラ306の撮像方向D1は、車両400の車室404内を向いている。より詳細には、カメラ306の撮像方向D1は、例えば、カメラ306のレンズ361の光軸方向である。カメラ306は、近赤外線の撮影に使用される赤外線カメラであるが、これに限らず、近赤外線の撮影と可視光の撮影との両方に使用可能なカメラであってもよい。
表示システム301では、カメラ306の撮像方向D1が、車両400の車室404内を向いている。表示システム301では、カメラ306の撮像方向D1が車室404内の運転座席430のヘッドレスト431を向いている。これにより、運転座席430に着座している運転者である観察者500の目501を撮影することが可能となる。
また、図11のように出射部358の下部にカメラ306を配置することにより、観察者500が帽子を被っている場合において、帽子のつばによって観察者500の目501が遮られる可能性を低くすることができる。
表示システム301では、出射部358からの光線の出射方向が、カメラ306の撮像方向D1に沿っているのが好ましい。ここにおいて、表示システム301では、出射部358からの光線の出射方向が、カメラ306の撮像方向D1と略平行であるのが好ましい。ここにおいて、「平行」とは厳密に平行である場合のみに限らず、略平行である場合も含む。略平行は、出射部358からの光線の出射方向とカメラ306の撮像方向D1とのなす角度が10度以下である場合を含む。
また、表示システム301は、2つの近赤外線光源307を更に備えている。2つの近赤外線光源307の各々は、近赤外線を出射する。2つの近赤外線光源307の各々は、近赤外線LED(Light Emitting Diode)である。2つの近赤外線光源307は、筐体305の左右方向においてカメラ306の両側に1つずつ配置されている。2つの近赤外線光源307の各々の光軸は、カメラ306の撮像方向D1に沿った方向である。2つの近赤外線光源307の各々の光軸は、カメラ306の撮像方向D1と平行であるのが好ましい。ここにおいて、「平行」とは厳密に平行である場合のみに限らず、略平行である場合も含む。略平行は、近赤外線光源307の光軸とカメラ306の撮像方向D1とのなす角度が10度以下である場合を含む。
表示システム301は、制御部308を更に備える。制御部308は、表示器302とカメラ306とに電気的に接続されている。また、制御部308は、2つの近赤外線光源307にも接続されている。制御部308は、表示器302による画像の表示状態を制御する。制御部308は例えば車両400の車内ネットワークを介して撮像部309と通信(有線通信又は無線通信)を行う。制御部308には、撮像部309から車両400の後方の撮像画像の画像データが入力される。制御部308は、撮像部309から入力される撮像画像に基づく画像を表示器302に表示させる。ここにおいて、撮像画像に基づく画像とは、撮像画像そのものでもよいし、撮像画像を画像処理した画像でもよく、撮像画像をもとに作成したCG(Computer Graphics)画像でもよい。例えば、夜間には撮像部309で撮影された画像は暗くなるので、撮像部309で撮影された画像の明るさ補正を行ってもよい。また、撮像部309で撮影された画像をもとに、画像中に映っている障害物等を示すCG画像又はマーカー等を作成し、撮像部309の撮像画像にCG画像又はマーカー等を重畳した画像を表示器302の表示面321に表示させてもよい。また、撮像部309の撮像画像に運転支援情報(例えば、車速情報、ナビゲーション情報、歩行者情報、前方車両情報、車線逸脱情報、及び車両コンディション情報等)を示すマーカーを重畳した画像を表示器302に表示させてもよい。
制御部308は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、制御部308の機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。更に、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
撮像部309は、例えば、車両400の後部に取り付けられたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであり、車両400の後方を撮影する。撮像部309はCMOSイメージセンサに限らず、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等のイメージセンサでもよい。
撮像部309は、車両400の後方を撮影した画像データを例えば車内ネットワークを介して制御部308に出力する。撮像部309は例えば車両400の後部において左右方向の中央に配置され、従来のルームミラーで視認できる範囲を撮影しており、電子ミラーシステム310は従来のルームミラーのような後方確認ミラーとして用いられる。撮像部309は車両400の後部に取り付けられているので、撮像部309によって撮影される画像には、後部座席やピラー等が映り込むことはない。なお、車両400の後方は、車両400の後側方を含んでもよく、撮像部309は車両400の後側方を撮影してもよい。撮像部309は、従来のドアミラー、フェンダーミラーで視認できる範囲を撮影してもよく、電子ミラーシステム310を従来のドアミラー、フェンダーミラーの代わりの後方確認ミラーとして用いてもよい。撮像部309は本体410の後部であって本体410の上部位置に取り付けられているが、撮像部309の取付位置は一例であり、撮像部9は所望の範囲を撮影可能な位置に取り付けられていればよい。
本実施形態の表示システム301では、表示器302が表示する画像、つまり表示器302の表示面321から出力される光線をハーフミラー303と第1反射鏡304とで1回ずつ反射している。つまり、表示システム301では、表示器302の表示面321から出力される光線を光学系L1で2回反射している。ここで、観察者500から観察者500によって視認される画像の表示位置までの距離(視距離)は、表示器302の表示面321から第1反射鏡304の反射面341までの光路長、及び、光学系L1の焦点距離等で決まる。本実施形態では、表示器302の表示面321から出射される光線を2回反射することで、画像の表示位置までの視距離を所望の距離に保ちながら、筐体305(の内側空間S1)の大きさを小さくできる。したがって、観察者500がハーフミラー303を通して反射面341を見る方向において筐体305の小型化を図ることができる。
[動作]
本実施形態の表示システム301及び表示システム301を備える電子ミラーシステム310の動作について以下に説明する。
例えば、車両400のバッテリから電子ミラーシステム310に電力が供給され、車両400が備えるECU(Electronic Control Unit)から電子ミラーシステム310に動作を開始させる制御信号が入力されると、電子ミラーシステム310が動作を開始する。
例えば、車両400のECUから制御部308に動作を開始させる制御信号が入力されると、制御部308は、撮像部309に所定のフレームレートで車両400の後方を撮影させ、撮像部309から撮像画像の画像データを取得する。
制御部308は、撮像部309から撮像画像の画像データが入力されると、撮像画像に基づく画像を作成して、その画像を表示器302の表示面321に表示させる。
表示器302の表示面321に画像が表示されると、この画像を形成する光線は、ハーフミラー303の第1面331に向かって出射される。ハーフミラー303の第1面331は、表示器302からの光線を第1反射鏡304に向かって反射する。第1反射鏡304は、表示面321の画像を拡大した拡大画像を形成する光線をハーフミラー303の第1面331に向かって反射する。第1反射鏡304の反射面341で反射された光線がハーフミラー303の第1面331に入射すると、その光線の一部がハーフミラー303を透過して筐体305の出射部358から外部に出射されるので、観察者500は反射面341によって拡大された画像を見ることができる。よって、観察者500は、反射面341によって拡大された画像を、ハーフミラー303を介して見ることによって、車両400の後方の状況を確認できる。
また、制御部308は、上述の制御信号が入力されると、カメラ306に所定のフレームレートで撮像方向D1にある観察者500の顔を撮影させ、カメラ306から撮像画像の画像データを取得する。ここにおいて、カメラ306は、例えば、観察者500の目501を含む顔を撮影する。カメラ306の撮像方向D1が運転座席430のヘッドレスト431に向かっている場合、カメラ306は、観察者500としての運転者(ドライバ)をモニタするドライバモニタ用のカメラとして利用できる。
制御部308は、カメラ306からの撮像画像に基づいて観察者500の目501の位置を検知し、観察者500のわき見、居眠り等を検出する機能を有していてもよい。また、制御部308は、カメラ306からの撮像画像に基づいて観察者500の姿勢を検知する機能を有していてもよい。また、制御部308は、カメラ306が撮像した観察者500の撮像画像に基づいて観察者500の顔位置、視点位置及び視線方向の少なくとも一つの値もしくは変位量を検出し、検出した値もしくは変位量に基づいて、表示器302の表示面321に表示させる映像の位置及び大きさの少なくとも一方を変化させてもよい。つまり、制御部308は、表示器302を制御して、表示器302の表示面321に表示させる映像をシフトさせてもよいし、拡大させてもよいし、縮小させてもよい。これにより、顔位置や視点位置を上下左右方向に少し動かすだけで視野範囲を大きくシフトさせたり、顔位置や視点位置を前後に少し動かすだけで大きく拡大もしくは縮小させたりすることができる。また、視線方向を視野の端部方向に移動させることで、視点位置や顔位置を変化させなくても視野範囲をシフトさせることも可能となる。
また、制御部308は、カメラ306が撮像した観察者500の撮像画像に基づいて観察者500の視点位置を検出し、視点位置が既定のアイボックスから外れたと判断すると、警告信号を発するように構成されていてもよい。ここでいう「アイボックス」は、観察者500が画像を欠けることなく視認できる範囲である。より詳細には、「アイボックス」は、観察者500の目501の視野の全体に虚像の一部が映る視点範囲である。
また、表示システム301は、筐体305を駆動することによって出射部358からの光線の出射方向を変える駆動部として、上述の調整機構を有する支持部材372を備えていてもよい。この場合、制御部308は、表示器302とカメラ306と駆動部とに電気的に接続される。制御部308は、カメラ306が撮像した観察者500の撮像画像に基づいて観察者500の視点位置を検出し、視点位置に基づいて筐体305が駆動されるように駆動部を制御する。これにより、表示システム301は、筐体305の出射部358から出射される光線を観察者500の視点方向に追従させることが可能となる。
[利点]
実施の形態2に係る表示システム301は、出射部358から出射された光線が観察者500の目501に入射することで映像を表示するように構成されている。そして、表示システム301は、表示器302、ハーフミラー303、及び第1反射鏡304を内蔵している筐体305にカメラ306が設けられており、カメラ306の撮像方向D1が車両400の車室404内を向いているので、車両400にカメラ306を搭載するための取付位置及び取付構造を車両400において確保する必要がなく、複数の車種の車両に適用可能となる。
更に、カメラ306が車室404内の、特に観察者500の方向を向くので、カメラ306の視野角を狭くすることができ、撮像画像に占める観察者500の割合を大きくできる。そのため、カメラ306の画素数が比較的少ない場合であっても観察者500の視点位置や視線を精度よく検出できる。また、カメラ306の画素数が比較的多い場合(例えば、特許文献1に記載のビデオカメラと同等の画素数の場合)では、視野角を狭くできることによって解像度を高めることができるので、観察者500の視点位置や視線の検出精度を従来よりも高めることができる。
以上に説明した実施の形態2は、本開示の様々な実施の形態の一つに過ぎない。実施の形態2は、複数の車種の車両に適用可能であり、より適切に画像が表示されるという目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
[変形例1]
以下では、実施の形態2の変形例1の第1例に係る表示システム301について、図14に基づいて説明する。
実施の形態2の変形例1の第1例に係る表示システム301は、カメラ306及び2つの近赤外線光源307が筐体305の下壁354の下面において左右方向の中央に配置されている点で、実施の形態2に係る表示システム301と相違する。なお、実施の形態2の変形例1の第1例に係る表示システム301に関し、実施の形態2に係る表示システム301と同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
実施の形態2の変形例1の第1例に係る表示システム301では、カメラ306及び2つの近赤外線光源307が筐体305から下方に突出しているので、筐体305そのものを大きくする必要がなくなる。また、カメラ306及び2つの近赤外線光源307が筐体305の下に位置しているので、例えば、観察者500が帽子を被っている場合に、カメラ306による観察者500の目501の撮像及び各近赤外線光源307による観察者500の目501への近赤外線の照射が帽子により妨げられにくくなる。
以下では、実施の形態2の変形例1の第2例に係る表示システム301について、図15に基づいて説明する。
実施の形態2の変形例1の第2例に係る表示システム301は、カメラ306及び2つの近赤外線光源307が筐体305の下壁354の下面において左右方向の右端に配置されている点で、実施の形態2に係る表示システム301と相違する。なお、実施の形態2の変形例1の第2例に係る表示システム301に関し、実施の形態2に係る表示システム301と同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
実施の形態2の変形例1の第2例に係る表示システム301では、カメラ306及び2つの近赤外線光源307が筐体305から下方に突出しているので、筐体305を大きくせずに、筐体305において観察者500から見える出射部358を大きくすることが可能となる。
実施の形態2の変形例1の第2例に係る表示システム301では、実施の形態2の変形例1の第1例に係る表示システム301と比べて、右ハンドルの車両400の運転者である観察者500の顔に近い位置にカメラ306及び2つの近赤外線光源307が位置することになるので、観察者500の目501の撮像及び各近赤外線光源307による観察者500の目501への近赤外線の照射の点で有利となる。なお、左ハンドルの車両に適用する場合には、カメラ306及び2つの近赤外線光源307が筐体305の下壁354の下面において左右方向の左端に配置されているのが好ましい。
以下では、実施の形態2の変形例1の第3例に係る表示システム301について、図16に基づいて説明する。
実施の形態2の変形例1の第3例に係る表示システム301は、カメラ306が筐体305の下壁354の下面において左右方向の中央に配置され、2つの近赤外線光源307が筐体305の上壁353の上面において左右方向の中央に配置されている点で、実施の形態2に係る表示システム301と相違する。なお、実施の形態2の変形例1の第3例に係る表示システム301に関し、実施の形態2に係る表示システム301と同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
2つの近赤外線光源307は、筐体305の左右方向において互いに離れている。
実施の形態2の変形例1の第3例に係る表示システム301では、実施の形態2の変形例1の第1例に係る表示システム301のように2つの近赤外線光源307が筐体305の下壁354から下方に突出している場合と比べて、観察者500の前方の視界が遮られにくくなる。
以下では、実施の形態2の変形例1の第4例に係る表示システム301について、図17に基づいて説明する。
実施の形態2の変形例1の第4例に係る表示システム301は、カメラ306が筐体305の下壁354の下面において左右方向の中央に配置され、2つの近赤外線光源307が筐体305の第1側壁355と第2側壁356とに分けて配置されている点で、実施の形態2に係る表示システム301と相違する。なお、実施の形態2の変形例1の第4例に係る表示システム301に関し、実施の形態2に係る表示システム301と同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
実施の形態2の変形例1の第4例に係る表示システム301では、実施の形態2の変形例1の第1例に係る表示システム301のように2つの近赤外線光源307が筐体305の下壁354から下方に突出している場合と比べて、観察者500の前方の視界が遮られにくくなる。
以下では、実施の形態2の変形例1の第5例に係る表示システム301について、図18に基づいて説明する。
実施の形態2の変形例1の第5例に係る表示システム301は、カメラ306及び2つの近赤外線光源307が筐体305の第1側壁355に配置されている点で、実施の形態2に係る表示システム301と相違する。なお、実施の形態2の変形例1の第5例に係る表示システム301に関し、実施の形態2に係る表示システム301と同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
実施の形態2の変形例1の第5例に係る表示システム301では、カメラ306及び2つの近赤外線光源307が筐体305から右側に突出しているので、筐体305そのものを大きくする必要がなくなる。
実施の形態2の変形例1の第5例に係る表示システム301では、実施の形態2の変形例1の第1例に係る表示システム301と比べて、右ハンドルの車両400の運転者である観察者500の顔に近い位置にカメラ306及び2つの近赤外線光源307が位置することになるので、観察者500の目501の撮像及び各近赤外線光源307による観察者500の目501への近赤外線の照射の点で有利となる。なお、左ハンドルの車両に適用する場合には、カメラ306及び2つの近赤外線光源307が筐体305の第2側壁356に配置されているのが好ましい。
なお、実施の形態2及びその実施の形態2の変形例1においてカメラ306と近赤外線光源307は筐体305から突出した構成としているが、筐体305の外周部にデッドスペースがある場合は、カメラ306と近赤外線光源307を筐体305のデッドスペースに配置し、突出しない構成としてもよい。これにより、カメラ306と近赤外線光源307の存在感を低減することができる。
[変形例2]
以下では、実施の形態2の変形例2に係る表示システム301aについて、図19に基づいて説明する。
実施の形態2の変形例2に係る表示システム301aは、光学系L1aが反射鏡3a及び第1反射鏡304に加えて出射部358aを含んでおり、表示器302の表示面321からの光線を光学系L1aによって3回反射させて出射部358aから出射させる点で、実施の形態2に係る表示システム301と相違する。なお、実施の形態2の変形例2に係る表示システム301aに関し、実施の形態2に係る表示システム301と同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
表示システム301aでは、表示システム301のハーフミラー303の代わりに反射鏡303aを備え、表示システム301の出射部358の代わりに、ハーフミラーにより構成される出射部358aを備えている。出射部358aは、入射光の一部を透過し、入射光の別の一部を反射する機能を有している。出射部358aは、光の透過率と反射率とが約50%である平板状のビームスプリッタで構成されている。
また、表示システム301aでは、反射鏡303aが筐体305の内側空間S1において筐体305の下壁354上に配置されている。ここにおいて、反射鏡303aは、表示器302の表示面321の斜め下方に配置されている。反射鏡303aは、表示器302からの光線を出射部358aへ向かって反射する。
出射部358aは、表示器302から出射されて反射鏡303aで反射された光線を第1反射鏡304に向かって反射し、第1反射鏡304により反射された光線を透過する。出射部358aは、第1反射鏡304の反射面341側において第1反射鏡304から離れて配置されている。出射部358aは、第1反射鏡304と出射部358aとの並んでいる方向において、第1反射鏡304と出射部358aの上端との距離が、第1反射鏡304と出射部358aの下端との距離よりも短くなるように、第1反射鏡304と出射部358aとの並んでいる方向に直交する面に対して傾いて配置されている。これにより、出射部358aでは、車両400(図11参照)の前後方向において、出射部358aの下端よりも出射部358aの上端が前側に位置する。実施の形態2の変形例2に係る表示システム301aでは、実施の形態2に係る表示システム301と同様、出射部358aからの光線の出射方向が、カメラ306の撮像方向D1に沿っている。
実施の形態2の変形例2に係る表示システム301aでは、実施の形態2に係る表示システム301と比べて、光路長を長くすることができるので、観察者500の目501から虚像の投影位置までの距離を長くすることができる。
実施の形態2の変形例2に係る表示システム301aの筐体305に設けるカメラ306及び2つの近赤外線光源307の位置は、実施の形態2に係る表示システム301と同様であるが、これに限らず、実施の形態2の変形例1の第1例〜第5例のいずれかと同様であってもよい。
[変形例3]
以下では、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bについて、図20及び図21に基づいて説明する。
実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bは、実施の形態2に係る表示システム301の第1反射鏡304の代わりに、第1反射鏡304bを備えている点と、カメラ306が赤外線カメラであって筐体305内に内蔵されており、第1反射鏡304bから見て出射部358側とは反対側に位置している点とで、実施の形態2に係る表示システム301と相違する。実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bでは、ハーフミラー303と第1反射鏡304bとで、表示器302の表示面321からの光線を2回反射する光学系L1bを構成している。なお、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bに関し、実施の形態2に係る表示システム301と同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
第1反射鏡304bは、近赤外線を透過し可視光を反射する機能を有する。つまり、第1反射鏡304bは、コールドミラー(Cold Mirror)である。第1反射鏡304bは、凹曲面と凸曲面とを有し、近赤外線を透過するガラス板と、ガラス板の凹曲面上に形成されており、可視光を反射し近赤外線を透過する誘電体多層膜と、を含む。誘電体多層膜の表面が、第1反射鏡304bにおける反射面341bを構成し、ガラス板の凸曲面が、第1反射鏡304bにおける反射面341b側とは反対側の面342bを構成している。
実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bでは、2つの近赤外線光源307がカメラ306の周囲に配置されている。2つの近赤外線光源307は、筐体305の内側空間S1に収納されている。2つの近赤外線光源307は、筐体305の左右方向において、カメラ306の両側に1つずつ配置されている。
実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bでは、2つの近赤外線光源307の各々からの近赤外線の出射方向が、カメラ306の撮像方向D1に沿っている。2つの近赤外線光源307の各々から出射された近赤外線は、第1反射鏡304及び出射部358を透過して観察者500(図11参照)の顔に照射される。
実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bでは、実施の形態2に係る表示システム301と同様、出射部358からの光線の出射方向が、カメラ306の撮像方向D1に沿っている。カメラ306は、出射部358及び第1反射鏡304bを介して観察者500(図11参照)の顔を撮像する。
実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bでは、カメラ306及び2つの近赤外線光源307が筐体305に内蔵されており、第1反射鏡304bの面342b側に配置されているので、実施の形態2と比べて、観察者500から見た場合に突出部をなくすことができ、前方視界を遮蔽しなくて済む。
また、観察者500の視線方向とカメラ306の光軸が一致しているので、実施の形態2のように光軸が一致していない場合と比べて、観察者500の視点位置や視線の検出精度を高くすることができる。
また、実施の形態2の変形例3の第1例では観察者500から見て第1反射鏡304bの裏側にカメラ306と近赤外線光源307を配置しているので、これらの存在感を低減することができる。
以下では、実施の形態2の変形例3の第2例に係る表示システム301bについて、図22に基づいて説明する。
実施の形態2の変形例3の第2例に係る表示システム301bは、2つの近赤外線光源307が出射部358の周囲に配置されている点で、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bと相違する。なお、実施の形態2の変形例3の第2例に係る表示システム301bに関し、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bと同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
実施の形態2の変形例3の第2例に係る表示システム301bでは、2つの近赤外線光源307が筐体305の下壁354の下面において左右方向の中央に配置されている。2つの近赤外線光源307は、筐体305の左右方向において互いに離れている。2つの近赤外線光源307の各々からの近赤外線の出射方向は、カメラ306の撮像方向D1に沿っている。
実施の形態2の変形例3の第2例に係る表示システム301bでは、2つの近赤外線光源307が筐体305から下方に突出しているので、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bのように2つの近赤外線光源307が筐体305に内蔵されている場合に比べて、各近赤外線光源307から出射させる近赤外線の光量を少なくでき、筐体305等の温度上昇を抑制することが可能となる。
以下では、実施の形態2の変形例3の第3例に係る表示システム301bについて、図23に基づいて説明する。
実施の形態2の変形例3の第3例に係る表示システム301bは、2つの近赤外線光源307が出射部358の周囲に配置されている点で、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bと相違する。なお、実施の形態2の変形例3の第3例に係る表示システム301bに関し、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bと同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
実施の形態2の変形例3の第3例に係る表示システム301bでは、2つの近赤外線光源307が筐体305の上壁353の上面において左右方向の中央に配置されている。2つの近赤外線光源307は、筐体305の左右方向において互いに離れている。2つの近赤外線光源307の各々からの近赤外線の出射方向は、カメラ306の撮像方向D1に沿っている。
実施の形態2の変形例3の第2例に係る表示システム301bでは、2つの近赤外線光源307が筐体305から上方に突出しているので、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bのように2つの近赤外線光源307が筐体305に内蔵されている場合に比べて、各近赤外線光源307から出射させる近赤外線の光量を少なくでき、筐体305等の温度上昇を抑制することが可能となる。また、実施の形態2の変形例3の第2例に係る表示システム301bでは、2つの近赤外線光源307が筐体305から上方に突出しているので、観察者500(図11参照)の視界が2つの近赤外線光源307により遮られにくくなる。
以下では、実施の形態2の変形例3の第4例に係る表示システム301bについて、図24に基づいて説明する。
実施の形態2の変形例3の第4例に係る表示システム301bは、2つの近赤外線光源307が出射部358の周囲に配置されている点で、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bと相違する。なお、実施の形態2の変形例3の第4例に係る表示システム301bに関し、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bと同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
実施の形態2の変形例3の第4例に係る表示システム301bは、2つの近赤外線光源307が筐体305の第1側壁355と第2側壁356とに分けて配置されている点で、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bと相違する。なお、実施の形態2の変形例3の第4例に係る表示システム301bに関し、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bと同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
2つの近赤外線光源307の各々からの近赤外線の出射方向は、カメラ306の撮像方向D1に沿っている。
実施の形態2の変形例3の第4例に係る表示システム301bでは、実施の形態2の変形例3の第2例に係る表示システム301b(図22参照)のように2つの近赤外線光源307が筐体305の下壁354から下方に突出している場合と比べて、観察者500の前方の視界が遮られにくくなる。
以下では、実施の形態2の変形例3の第5例に係る表示システム301bについて、図25に基づいて説明する。
実施の形態2の変形例3の第5例に係る表示システム301bは、2つの近赤外線光源307が筐体305の第1側壁355に配置されている点で、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bと相違する。なお、実施の形態2の変形例3の第5例に係る表示システム301bに関し、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bと同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
2つの近赤外線光源307の各々からの近赤外線の出射方向は、カメラ306の撮像方向D1に沿っている。
実施の形態2の変形例3の第5例に係る表示システム301bでは、2つの近赤外線光源307が筐体305から右側に突出しているので、筐体305そのものを大きくする必要がなくなる。
実施の形態2の変形例3の第5例に係る表示システム301bでは、実施の形態2の変形例3の第2例に係る表示システム1bと比べて、右ハンドルの車両400(図11参照)の運転者である観察者500(図11参照)の顔に近い位置に2つの近赤外線光源307が位置することになるので、各近赤外線光源307による観察者500の目501への近赤外線の照射の点で有利となる。なお、左ハンドルの車両に適用する場合には、2つの近赤外線光源307が筐体305の第2側壁356に配置されているのが好ましい。
[変形例4]
以下では、実施の形態2の変形例4に係る表示システム301cについて、図26に基づいて説明する。
実施の形態2の変形例4に係る表示システム301cは、光学系L1cがハーフミラー303a及び第1反射鏡304bに加えて出射部358aを含んでおり、表示器302の表示面321からの光線を光学系L1cによって3回反射させて出射部358aから出射させる点で、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bと相違する。なお、実施の形態2の変形例4に係る表示システム301cに関し、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bと同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
表示システム301cでは、表示システム301bのハーフミラー303の代わりに反射鏡303aを備え、表示システム301bの出射部358の代わりに、ハーフミラーにより構成される出射部358aを備えている。出射部358aは、入射光の一部を透過し、入射光の別の一部を反射する機能を有している。出射部358aは、光の透過率と反射率とが約50%である平板状のビームスプリッタで構成されている。
また、表示システム301cでは、反射鏡303aが筐体305の内側空間S1において筐体305の下壁354上に配置されている。ここにおいて、反射鏡303aは、表示器302の表示面321の斜め下方に配置されている。反射鏡303aは、表示器302からの光線を出射部358aへ向かって反射する。反射鏡303aは、可視光を反射する平面鏡であるが、これに限らず、ハーフミラーであってもよい。
出射部358aは、表示器302から出射されて反射鏡303aで反射された光線を第1反射鏡304bに向かって反射し、第1反射鏡304bにより反射された光線を透過する。出射部358aは、第1反射鏡304bの反射面341b側において第1反射鏡304bから離れて配置されている。出射部358aは、第1反射鏡304bと出射部358aとの並んでいる方向において、第1反射鏡304bと出射部358aの上端との距離が、第1反射鏡304bと出射部358aの下端との距離よりも短くなるように、第1反射鏡304bと出射部358aとの並んでいる方向に直交する面に対して傾いて配置されている。これにより、出射部358aでは、車両400(図11参照)の前後方向において、出射部358aの下端よりも出射部358aの上端が前側に位置する。実施の形態2の変形例4に係る表示システム301cでは、実施の形態2に係る表示システム301と同様、出射部358aからの光線の出射方向が、カメラ306の撮像方向D1に沿っている。
実施の形態2の変形例4に係る表示システム301cでは、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bと比べて、光路長を長くすることができるので、観察者500の目501から虚像の投影位置までの距離を長くすることができる。
また、実施の形態2の変形例3の第1例と同様に観察者500の視線方向とカメラ306の光軸が一致しているので、実施の形態2のように観察者500の視線方向とカメラ306の光軸が一致していない場合と比べて、観察者500の視点位置や視線の検出精度を高くすることができる。
実施の形態2の変形例4に係る表示システム301cの筐体305に設けるカメラ306及び2つの近赤外線光源307の位置は、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bと同様であるが、これに限らず、実施の形態2の変形例3の第1〜第5例のいずれかと同様であってもよい。
[変形例5]
以下では、実施の形態2の変形例5に係る表示システム301dについて、図27Aに基づいて説明する。
実施の形態2の変形例5の第1例に係る表示システム301dは、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bのハーフミラー303の代わりにハーフミラー303dを備える点で、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bと相違する。また、実施の形態2の変形例5の第1例に係る表示システム301dでは、カメラ306が、表示器302とハーフミラー303dとの並んでいる方向において、ハーフミラー303dから見て表示器302側とは反対側に配置されている。つまり、表示システム301dでは、カメラ306は、ハーフミラー303dの下方に配置されており、上下方向に沿った方向においてハーフミラー303dに対向している。ここで、「対向」とは、2つの面が互いに向き合っていることを意味し、2つの面が平行である必要はない。なお、実施の形態2の変形例5の第1例に係る表示システム301dに関し、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bと同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
ハーフミラー303dは、平板状であって、第1反射鏡304に対向する第1面331dと、出射部358に対向する第2面332dと、を有する。ハーフミラー303dは、第2面332dに入射する可視光を透過し近赤外線を反射する機能を有する。つまり、ハーフミラー303dは第1主面及び第2主面を有し可視光を透過するガラス板と、ガラス板の第2主面上に形成されており、可視光を透過し近赤外線を反射する誘電体多層膜と、を含む。ガラス板の第1主面が、ハーフミラー303dの第1面331dを構成し、誘電体多層膜の表面が、ハーフミラー303dの第2面332dを構成している。
ハーフミラー303dの第1面331dは、表示器302の表示面321からの光線を第1反射鏡304へ向けて反射する。ハーフミラー303dは、第1反射鏡304の反射面341でハーフミラー303dに向けて反射された光線を透過する。ハーフミラー303dの第2面332dは、出射部358を通して入射した近赤外線を下方へ反射する。図27Aでは、出射部358を通して入射した近赤外線の進行経路を破線で模式的に例示してある。
実施の形態2の変形例5の第1例に係る表示システム301dでは、出射部358aからの光線の出射方向が、カメラ306の撮像方向D1に沿っている。ここにおいて、カメラ306の撮像方向D1は、ハーフミラー303dを介して観察者500(図11参照)を撮像する方向である。
実施の形態2の変形例5の第1例に係る表示システム301dは、実施の形態2に係る表示システム301と同様、出射部358から出射された光線が観察者500の目501(図11参照)に入射することで映像を表示するように構成されている。そして、表示システム301dは、表示器302、ハーフミラー303、及び第1反射鏡304を内蔵している筐体305にカメラ306が設けられており、カメラ306の撮像方向D1が車両400(図11参照)の車室404内を向いているので、車両400にカメラ306を搭載するための取付位置及び取付構造を車両400において確保する必要がなく、複数の車種の車両に適用可能となる。
また、実施の形態2の変形例3の第1例及び実施の形態2の変形例4と同様に観察者500の視線方向とカメラ306の光軸が一致しているので、実施の形態2のように観察者500の視線方向とカメラ306の光軸が一致していない場合と比べて、観察者500の視点位置や視線の検出精度を向上させることができる。
以下では、実施の形態2の変形例5の第2例に係る表示システム301dについて、図27Bに基づいて説明する。
実施の形態2の変形例5の第2例に係る表示システム301dは、近赤外線光源307の配置が異なる点で、実施の形態2の変形例5の第1例に係る表示システム301dと相違する。実施の形態2の変形例5の第2例に係る表示システム301dでは、実施の形態2の変形例5の第1例に係る表示システム301dと同様に、カメラ306は、筐体305の出射部358側において、ハーフミラー303dの下方に配置されており、上下方向に沿った方向においてハーフミラー303dに対向している。ここで、「対向」とは、2つの面が互いに向き合っていることを意味し、2つの面が平行である必要はない。なお、実施の形態2の変形例5の第2例に係る表示システム301dに関し、実施の形態2の変形例5の第1例に係る表示システム301dと同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
実施の形態2の変形例5の第2例に係る表示システム301dでは、近赤外線光源307は、筐体305の後壁352に設けられ、前後方向(つまり紙面左右方向)にカメラ306と離間して配置される。近赤外線光源307は、カメラの撮像方向D1に沿って、筐体305の外方に向けて近赤外線を出射する。
カメラ306及び近赤外線光源307は、いずれも動作において発熱を伴う機能モジュールであるため、これらが近接配置されると互いに発熱を助長しあい、熱障害によるモジュールの不調につながり得る。また、高熱の影響は、ハーフミラー303d、出力部358等の光学系を構成する各部材にも及び、これらの光学系に歪みを生じさせて表示システム301dの劣化等を引き起こす可能性がある。
本例では、上記のように、前後方向にカメラ306及び近赤外線光源307が前後方向に離間配置されることで、このような熱障害を抑制することができる。また、このような前後方向での離間では、近赤外線光源307からの近赤外線の出射方向と、カメラ306の撮像方向D1とを接近させることが可能となる。つまり、モジュール同士が離間されて、熱障害が抑制され、かつ、離間に伴うカメラ306での撮像の品質の劣化が抑制される。
また、以上の近赤外線光源307とカメラ306との配置を入れ替えた場合においても同様の効果を奏することができる。つまり、近赤外線光源307がハーフミラー303dの下方に配置され、上下方向に沿った方向においてハーフミラー303dに対向し、カメラ306が筐体305の後壁352に設けられて筐体305の外方を撮像する構成であっても熱障害の抑制と撮像の品質の劣化の抑制を両立することが可能となる。
[変形例6]
以下では、実施の形態2の変形例6に係る表示システム301eについて、図28〜図30に基づいて説明する。実施の形態2の変形例6に係る表示システム301eは、ミラー部材900を更に備える点で、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bと相違する。なお、実施の形態2の変形例6に係る表示システム301eに関し、実施の形態2の変形例3の第1例に係る表示システム301bと同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
また、実施の形態2の変形例6に係る表示システム301eでは、筐体305の後壁の開口が出射部358eを構成している。
ミラー部材900は、筐体305に設けられており、可視光を反射する反射面901を有する。また、ミラー部材900は、平板状であって、反射面901とは反対側に、可視光を遮光する遮光面902を有する。
ミラー部材900は、第1位置(図28に示す位置)と第2位置(図30に示す位置)との間で移動可能な状態で筐体305に取り付けられている。第1位置は、表示器302の表示面321から出射されてハーフミラー303で反射され第1反射鏡304bで反射された光線の光路外の位置である。より詳細には、第1位置は、筐体305の下壁354の上側で下壁354に隣接する位置であって、筐体305の前後方向においてハーフミラー303に重ならず、下壁354と略平行となる位置である。ここにおいて、略平行とは、図28に示す表示システム301eの側面視で、第1位置のミラー部材900と下壁354とのなす角度(鋭角)が10度以下である場合を含む。第2位置は、表示器302の表示面321から出射されてハーフミラー303で反射され第1反射鏡304bで反射された光線の光路上の位置である。より詳細には、第2位置は、第1反射鏡304bから見て出射部358eと重複する位置、すなわち、ハーフミラー303から見て第1反射鏡304b側とは反対側の位置であって、出射部358e側に反射面901を向けた位置である。言い換えれば、第2位置にあるミラー部材900では、ハーフミラー303側とは反対側に反射面901が位置し、ハーフミラー303側に遮光面902が位置する。車両400の運転座席430に運転者である観察者500が座っている場合、第2位置にあるミラー部材900は、ハーフミラー303と観察者500との間に位置することになり、ミラー部材900の反射面901は観察者500側に位置する。
ミラー部材900は、その厚さ方向から見て長方形状である。ミラー部材900では、第2位置に配置された状態での左右方向の寸法及び上下方向の寸法が、観察者500の目501の位置からハーフミラー303を見た場合の見かけ上の寸法と同じ寸法に設定されている。したがって、ミラー部材900が第2位置に配置された第2状態では、観察者500から見てハーフミラー303の全体がミラー部材900で覆われている。第2状態において、観察者200から見てハーフミラー303の全体がミラー部材900で覆われていることは必須ではなく、観察者500からハーフミラー303の一部が見えていてもよい。
また、表示システム301eにおいて、ミラー部材900が第2位置に配置された状態では、観察者500は、筐体305の向きを支持部材372の調整機構によって調整することで車両400の後方からの光をミラー部材900で反射した反射像を見ることができる。
ミラー部材900の遮光面902は、反射面901よりも可視光に対する反射率が低い。更に言えば、ミラー部材900は、遮光面902に入射した光を吸収する機能を有している。遮光面902の色は、車両400の本体410の天井部分401の内面よりも暗い色であり、例えば黒色である。ミラー部材900が第1位置に配置された状態では、ミラー部材900の遮光面902がハーフミラー303と対向している。表示システム301eでは、ミラー部材900が遮光面902に入射した光を吸収する機能を有することにより、ミラー部材900が第1位置に配置されている状態で、筐体305の外部からミラー部材900の遮光面902に入射した光が遮光面9602で反射されるのを抑制できる。よって、表示システム301eでは、筐体305の外部から遮光面902に入射した光が、遮光面902とハーフミラー303とで反射して観察者500の目501に入射するのを抑制でき、表示システム301により表示する画像のコントラストを向上することができる。
ミラー部材900の左右の側縁の各々には、第1突起941と第2突起942とが設けられている。ミラー部材900が第1位置にあるとき、前後方向において、第1突起941と第2突起942とのうち第1突起941が前側に位置し、第2突起942が後側に位置する。また、ミラー部材900が第2位置にあるとき、上下方向において、第1突起941と第2突起942とのうち第1突起941が下側に位置し、第2突起942が上側に位置する。
筐体305の第1側壁355及び第2側壁356の互いの対向面には、第1突起941を筐体305の前後方向に沿って移動可能にガイドする第1ガイド溝971と、第2突起942を筐体305の上下方向に沿って移動可能にガイドする第2ガイド溝972と、が設けられている。第1ガイド溝971は、筐体305の第1側壁355及び第2側壁356の互いの対向面において筐体35の前後方向に沿って設けられている。第2ガイド溝972は、筐体305の第1側壁355及び第2側壁356の互いの対向面において筐体305の上下方向に沿って設けられている。
図28に示すように、ミラー部材900が第1位置に存在する第1状態では、第1突起941は第1ガイド溝971の内部の前端付近に位置し、第2突起942は第2ガイド溝972の内部の下端付近に位置している。これにより、ミラー部材900は、筐体305の下壁354の上面に沿って配置されており、ハーフミラー303を透過して観察者500の目501に入射する光線の光路外に配置される。したがって、ミラー部材900の状態が第1状態である場合には、観察者900は、表示器302の表示面321に表示される画像を、光学系L1で反射することによって拡大され遠視点化された画像を見ることができる。なお、ミラー部材900が第1位置に配置される状態では、例えば、ミラー部材900の端部が筐体305に設けられたフック等にラッチされることによって、ミラー部材900が第1状態で保持される。
表示システム301eは、ミラー部材900の状態を第1状態と第2状態とのいずれかに手動で切り替えるための操作部としての突出片903を更に備えている。突出片903は、ミラー部材900と一体に設けられている。突出片903は、ミラー部材900が第1位置に位置する状態で、斜め下向きに突出する。
観察者500等は、操作部としての突出片903を指で上向きに押すか又は下向きに引くことによって、ミラー部材900を動かすことができる。
第1状態にあるミラー部材900の突出片903をユーザが上向きに押すと、図29に示すように、第1突起941が第1ガイド溝971の内部を後方へスライド動作し、第2突起942が第2ガイド溝972の内部を上方へスライド動作する。
そして、ミラー部材900が第2位置まで移動すると、図30に示すように、第1突起941が第1ガイド溝971の内部の後端付近に位置し、第2突起942が第2ガイド溝972の内部の上端付近に位置する。ミラー部材900が第2位置に配置される第2状態では、ミラー部材900は、反射面901をハーフミラー303と反対側に向けた状態で、上下方向に沿って配置される。なお、上下方向に沿って配置されるとは、鉛直方向に沿って配置されることに限定されず、観察者500が反射面901を介して車両400の後方を視認可能であれば、鉛直方向に対して斜めに傾いた状態で配置されていてもよい。また、ミラー部材900が第2位置に配置される第2状態では、例えば、ミラー部材900の端部が、筐体305に設けられたフック等にラッチされることによって、ミラー部材900が第2状態で保持される。
この第2状態では、観察者500は、筐体305の外部(例えば車両400の後方)からの光A21を反射面901で反射した反射像を見ることができる。なお、第2状態では、第1反射鏡304で反射されてハーフミラー303を透過した光線がミラー部材900で遮られるので、観察者500は、表示器302の表示面321に表示される画像を見ることはできない。
また、ミラー部材900の状態を第2状態から第1状態に切り替える場合、例えば観察者500は、ミラー部材900の突出片903を下向きに引く。突出片903が下向きに引っ張られると、第1突起941が第1ガイド溝971の内部を前側に移動し、第2突起942が第2ガイド溝972の内部を下側に移動することによって、ミラー部材900の状態が第2状態から第1状態に切り替えられる。ミラー部材900の状態が第1状態に切り替えられることによって、観察者500は、表示器302の表示面321の画像を光学系L1bが反射した反射像を見ることができる。
表示システム301eは、ミラー部材900を第1位置と第2位置との間で移動させる駆動部としてのアクチュエータ905を備えている。制御部308は、アクチュエータ905とも電気的に接続されている。
アクチュエータ905は、例えば、電動モータを含む。ここにおいて、電動モータの出力軸にはウォームギアが連結されている。ウォームギアの一部は、第1ガイド溝971内に露出している。この場合、第1突起941は、ウォームギアと噛み合うピニオンギアの形状を有する。第1突起941はミラー部材900に対して固定的に設けられており、制御部308がアクチュエータ905を制御してウォームギアを回転させると、ウォームギアの回転に応じて、第1突起941が第1ガイド溝971内を移動する。そして、第1突起941が第1ガイド溝971内を移動することによって、ミラー部材900が第1位置と第2位置との間で移動する。アクチュエータ905は、モータに限定されず、ミラー部材900を第1位置から第2位置まで移動させる機構を駆動するソレノイド等でもよい。
制御部308は、例えば、カメラ306で撮像した画像に基づいて出射部358と観察者500の顔との距離を検出し、距離が規定距離より大きければミラー部材900を第1位置とし、距離が規定距離以下であればミラー部材900を第2位置とするように、アクチュエータ905を制御する。これにより、表示システム301eでは、観察者500が顔をミラー部材900に近づけた場合に、太陽光がミラー部材900によって観察者500の目に集光されるのを回避することが可能となる。出射部358と観察者500の顔との距離は、例えば、カメラ306により撮像された観察者500の画像における観察者500の2つの目501の間の距離、カメラ306のオートフォーカスの焦点距離等を利用して求めることができる。
制御部308は、例えば、表示器302から表示器302による表示の異常を示す異常信号が入力されたときに、アクチュエータ905を制御してミラー部材900を第1位置から第2位置に移動させてもよい。これにより、表示器302による表示に異常が発生した場合、ミラー部材900が第2位置に配置されるので、観察者500は、ミラー部材900の反射面901に映る反射像を見ることができる。よって、表示システム301eは、表示器302による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能になる。
なお、制御部308は、例えば表示器302から、表示器302による表示が復旧したことを示す通知信号が入力されると、アクチュエータ905を制御してミラー部材900を第1位置に移動させてもよい。これにより、表示器302による表示が復旧した場合、観察者500は、表示器302が表示した画像を光学系L1bを介して見ることができる。
なお、表示システム301eは、ミラー部材900が第2位置に配置されている状態を検知するための検知スイッチを更に備えていてもよい。この場合、ミラー部材900が第2位置に配置されていることを検知スイッチが検知すると、制御部308が、検知スイッチの検知結果に基づいて表示器302の表示を停止させてもよい。
[その他の変形例]
上述の実施の形態2は、本開示の様々な実施の形態の一つに過ぎない。実施の形態2は、先に説明した目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
例えば、表示システム301では、カメラ306によって車室404内の乗員席435(図31参照)も撮像できるようにカメラ306のレンズが広角レンズで構成されていてもよい。この場合、表示システム301では、乗員席435に座っている乗員600(図31参照)もモニタすることが可能となる。
また、制御部308は、カメラ306の撮像画像から車両400の後部座席の乗員の画像を抽出し撮像部9からの映像に重畳して表示器302により表示させてもよい。
また、制御部308は、例えば、図32Cに示すように、撮像部309からの画像P1(図32A参照)に車両400の内装(例えば、後部座席の後ろにある窓柱)の画像P2(図32B参照)を重畳して表示器302により表示させてもよい。内装の画像は、例えば、制御部308の有するメモリ等にあらかじめ記憶させておけばよい。なお、内装は、窓柱だけに限らず、例えば、車両400の後部座席の少なくとも一部を含んでいてもよい。
また、実施の形態2において説明されたハーフミラー303の構成は、上記の実施の形態1におけるハーフミラー113と同様であってもよく、通常に使用される普遍的なハーフミラーであってもよい。
[まとめ]
以上説明したように、本実施の形態の第1の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)は、表示器(302)と、ハーフミラー(303;303d;反射鏡303a)と、第1反射鏡(304;304b)と、筐体(305)と、カメラ(306)と、を備える。表示器(302)は、車両(400)の後方の映像を表示する表示面(321)を有する。ハーフミラー(303;303d;反射鏡303a)は、表示器(302)から出射された光線を反射する。第1反射鏡(304;304b)は、ハーフミラー(303;303d;反射鏡303a)で反射された光線を反射する。筐体(305)は、表示器(302)、ハーフミラー(303;303d;反射鏡303a)、及び第1反射鏡(304;304b)を内蔵している。カメラ(306)は、筐体(305)に設けられている。筐体(305)は、第1反射鏡(304;304b)で反射された光線を出射する出射部(358;358a;358e)を有する。表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)では、出射部(358;358a;358e)から出射された光線が観察者(500)の目(501)に入射することで映像を表示する。カメラ(306)の撮像方向(D1)が車両(400)の車室(404)内を向いている。
第1の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)は、複数の車種の車両に適用可能であるという利点がある。
第2の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)では、第1の態様において、出射部(358)からの光線の出射方向が、カメラ(306)の撮像方向(D1)に沿っている。
第2の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)では、カメラ(306)の画角の余計なマージンが不要となり、カメラ(306)の画角を狭くすることが可能となる。これにより、例えば、観察者(500)の目(501)を検知する場合に、目(501)の検知精度を向上させることが可能となる。
第3の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)では、第1の態様において、カメラ(306)の撮像方向(D1)が車室(404)内の運転座席(430)のヘッドレスト(431)を向いている。
第4の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)は、第1の態様において、カメラ(306)の撮像方向(D1)が車室(404)内の乗員席を向いている。
第4の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)では、車両(400)の乗員(600)をモニタすることが可能となる。
第5の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)では、第1〜第4の態様のいずれか一つにおいて、カメラ(306)は、出射部(358;358a;358e)の周囲に位置している。
第5の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)では、筐体(305)そのものを大きくする必要がなくなり、観察者(500)の前方視界が筐体(305)により妨げられる可能性を低減することが可能となる。
第6の態様に係る表示システム(301;301a;301d)は、第5の態様において、出射部(358;358a)の周囲に配置されている近赤外線光源(307)を更に備える。近赤外線光源(307)からの近赤外線の出射方向が、カメラ(306)の撮像方向(D1)に沿っている。
第6の態様に係る表示システム(301;301a;301d)では、夜間等の暗いときでもカメラ(306)による撮像が可能となる。
第7の態様に係る表示システム(301b;301c;301e)では、第1〜第3の態様のいずれか一つにおいて、第1反射鏡(304b)は、近赤外線を透過し可視光を反射する機能を有する。カメラ(306)は、筐体(305)に内蔵されており、第1反射鏡(304b)から見て出射部(358;358a)側とは反対側に位置している。
第7の態様に係る表示システム(301b;301c;301e)では、観察者(30500)の視界が近赤外線光源(307)で遮られなくなる。
第8の態様に係る表示システム(301b;301c;301e)は、第7の態様において、出射部(358;358a)の周囲に配置されている近赤外線光源(307)を更に備える。近赤外線光源(307)からの近赤外線の出射方向が、カメラ(306)の撮像方向(D1)に沿っている。
第8の態様に係る表示システム(301b;301c;301e)では、夜間等の暗いときでもカメラ(306)による撮像が可能となる。
第9の態様に係る表示システム(301;301a)は、第7の態様において、出射部(358;358a)の周囲に配置されている近赤外線光源(307)を更に備える。近赤外線光源(307)からの近赤外線の出射方向が、カメラ(306)の撮像方向(D1)に沿っている。
第9の態様に係る表示システム(301;301a)では、夜間等の暗いときでも観察者(500)をカメラ(306)により撮像することが可能となる。
第10の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)は、第1〜第9の態様のいずれか一つにおいて、制御部(308)を更に備える。制御部(308)は、表示器(302)とカメラ(306)とに電気的に接続される。制御部(308)は、カメラ(306)が撮像した観察者(500)の映像における顔位置、視点位置及び視線方向の少なくとも一つの値もしくは変位量を検出し、検出した値もしくは変位量に基づいて、映像の位置及び大きさの少なくとも一方を変化させる。
第10の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)では、映像のシフト、拡大、縮小等が可能となる。
第11の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)は、第1〜第3、及び、第7〜第9の態様のいずれか一つにおいて、制御部(308)を更に備える。制御部(308)は、表示器(302)とカメラ(306)とに電気的に接続される。制御部(308)は、カメラ(306)が撮像した観察者(500)の画像に基づいて観察者(500)の視点位置を検出し、視点位置が、既定のアイボックスから外れたと判断すると、警告信号を発する。
第11の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)では、観察者(500)の視点位置が既定のアイボックスから外れたときに警告信号が発せられる。
第12の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)は、第1〜第9の態様のいずれか一つにおいて、ミラー部材(900)と、アクチュエータ(905)と、制御部(308)と、を更に備える。ミラー部材(900)は、筐体(305)に設けられており、可視光を反射する反射面(901)を有する。制御部(308)は、表示器(302)とカメラ(306)とアクチュエータ(905)に電気的に接続されている。ミラー部材(900)は、第1反射鏡(304)で反射された光線の光路外の第1位置と、光路上であって第1反射鏡(304;304b)から見て出射部(358e)と重複する第2位置と、の間で移動可能である。制御部(308)は、カメラ(306)で撮像した画像を用いた距離に基づいて出射部(358)と観察者(500)の顔との距離を検出し、距離が規定距離より大きければミラー部材(900)を第1位置とし、距離が規定距離以下であればミラー部材(900)を第2位置とするように、アクチュエータ(905)を制御する。第2位置では、ミラー部材(900)の反射面(901)が観察者(500)側に位置する。
第12の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)では、観察者(500)の顔がミラー部材(900)に近づいたときに太陽光がミラー部材(900)で反射されて観察者(500)に集光されるのを抑制することが可能となる。
第13の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)は、第1〜第9の態様のいずれか一つにおいて、制御部(308)を更に備える。制御部(308)は、表示器(302)とカメラ(306)とに電気的に接続される。制御部(308)は、カメラ(306)の撮像画像から車両(400)の後部座席の乗員の画像を抽出し映像に重畳して表示器(302)により表示させる。
第13の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)では、観察者(500)が後部座席の乗員の様子を視認することが可能となる。
第14の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)は、第1〜第11の態様のいずれか一つにおいて、駆動部(支持部材372)と、制御部(308)と、を更に備える。駆動部は、筐体(305)を駆動することにより、出射部(358;358a)からの光線の出射方向を変える。制御部(308)は、駆動部と表示器(302)とカメラ(306)とに電気的に接続される。制御部(308)は、カメラ(306)が撮像した観察者(500)の画像に基づいて観察者(200)の視点位置を検出し、視点位置に基づいて筐体(305)が駆動されるように駆動部を制御する。
第14の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)では、観察者(500)の視点位置が動いてもカメラ(306)により撮像することが可能となる。また、第14の態様に係る表示システム(301;301a;301b;301c;301d;301e)では、筐体(305)の出射部(358)から出射される光線を観察者(500)の視点方向に追従させることが可能となる。
(実施の形態3)
次に、上記に加えて更に、表示する映像を見る観察者にとって自車両と後方の車両との間隔を掴みやすい表示システムについて説明する。
従来、映像を表示する表示器と、表示器に表示された映像を反射させる反射部と、反射部で反射された映像を反射させる凹面鏡と、を備える車両用表示装置が知られている(特許文献3)。特許文献3に記載された車両用表示装置では、反射部は、凹面鏡で反射された映像を透過する。凹面鏡は、曲率中心が表示器と車両の乗員の視点との間の光軸上に配置されている。
特許文献3に記載された車両用表示装置では、映像を見た観察者が、自車両と後方の車両との間隔を掴みにくい。
以下に説明する実施の形態3では、表示する映像を見る観察者にとって自車両と後方の車両との間隔を掴みやすく、より適切に画像が表示される表示システムの提供を目的とする。
一例として、本実施の形態の表示システムは、表示器と、第2反射鏡と、第1反射鏡と、を備える。前記表示器は、車両の後方の映像を表示する表示面を有する。前記第2反射鏡は、平面状の反射面を有し、前記表示器から出射された光線を直接反射する。前記第1反射鏡は、少なくとも前記第2反射鏡で反射された光線を反射する。前記表示システムは、内装表示部を更に備える。前記内装表示部は、前記第2反射鏡と一体に設けられて前記反射面上に直接又は間接的に位置している。前記内装表示部は、前記車両の後部の内装の少なくとも一部に対応する内装パターンを表示する。前記表示システムでは、前記第1反射鏡で反射された光線が前記内装パターンと重畳して観察者の目に入射することで前記映像と前記内装パターンとを表示する。
上記構成により、本実施の形態の表示システムには、表示する映像を見る観察者にとって自車両と後方の車両との間隔を掴みやすい、という利点がある。
なお、下記の実施の形態等において説明する図33〜41は、概念図であり、図中の各構成要素の大きさ、厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
[概要]
実施の形態3に係る表示システム1001は、図33に示すように、例えば、移動体としての車両(自動車)1100に用いられるシステムである。
表示システム1001は、移動体の移動体本体に搭載される。移動体の移動体本体は、車両1100の本体(車体)1110である。
表示システム1001は、表示器1002と、第2反射鏡1003と、第1反射鏡1004と、を備える。また、表示システム1001は、筐体1005を更に備える。
表示器1002は、車両1100の後方の映像を表示する表示面1021を有する。映像は、例えば、車両1100の後方を撮像する撮像部1090(図34参照)から出力される。撮像部1090は、車両1100の本体1110に搭載される。なお、実施の形態3に係る表示システム1001と撮像部1090とで電子ミラーシステム1010が構成される。移動体は、電子ミラーシステム1010と、電子ミラーシステム1010を搭載する本体1110と、を含む。
第2反射鏡1003は、表示器1002から出射された光線を反射する平面状の反射面1031を有する。第1反射鏡1004は、第2反射鏡1003で反射された光線を反射する。筐体1005は、表示器1002、第2反射鏡1003、及び第1反射鏡1004を内蔵している。筐体1005は、第1反射鏡1004で反射された光線を出射する出射部1058を有する。表示システム1001では、車両の後方の映像が表示面1021に表示されると、第2反射鏡1003及び第1反射鏡1004で反射された映像が、出射部1058から出射される。
表示システム1001では、出射部1058から出射された光線が観察者1200の目に入射することで映像を表示する。これにより、観察者1200は、表示器1002の表示面1021から出射する光線に基づく映像を見ることができる。観察者1200は、例えば、車両1100の運転者である。
また、表示システム1001は、内装表示部1009を更に備える。内装表示部1009は、第2反射鏡1003と一体に設けられており、第2反射鏡1003の反射面1031上に位置している。したがって、内装表示部1009は、筐体1005に内蔵されている。内装表示部1009は、車両1100の後部の内装の少なくとも一部に対応する内装パターンを表示する。
表示システム1001の筐体1005は、本体1110の天井部分1101においてウィンドシールド1102(フロントガラス)に近い前側部分であって、運転座席1130に着座する観察者1200が前方を向いた状態で観察者1200の視界に入る位置に配置される(図33参照)。なお、観察者1200の顔は、運転座席1130のヘッドレスト1131の前に位置する。
[構成]
実施の形態3に係る表示システム1001は、上述したように、表示器1002と、第2反射鏡1003と、第1反射鏡1004と、筐体1005と、内装表示部1009と、を備える。
表示器1002は、筐体1005に収納されている。表示器1002は、筐体1005の内側空間S1における上部に位置している。表示器1002は、表示面1021を下側に向けた状態で筐体1005に収納されている。表示器1002は映像の画像を形成する光線を出力する。表示器1002は、例えば光源装置と、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)と、を備えている。液晶パネルは、光源装置の前方に配置されている。光源装置は、液晶パネルのバックライトとして用いられる。光源装置は、いわゆる面光源である。光源装置は、発光ダイオード又はレーザダイオード等の固体発光素子を用いた、サイドライト方式の光源装置である。光源装置からの光線は液晶パネルを透過して表示器1002の表示面1021から出射される。表示器1002の表示面1021から出射される光線で画像が形成される。表示面1021から出力される光線は、液晶パネルに表示された画像を反映した光線である。図33及び図34では、表示器1002の表示面1021に表示される画像P1(例えば、図36A参照)の一点(ある画素点)から出力される光線の進行経路を点線で模式的に表している。
実施の形態3に係る表示システム1001は、表示器1002の表示面1021から出射する光線を反射する反射部材として、第2反射鏡1003と、第1反射鏡1004と、を備えている。すなわち、表示システム1001は、第2反射鏡1003と第1反射鏡1004とを含む光学系(反射光学系)を有している。
第2反射鏡1003は、表示器1002から出射された光線を直接反射する。ここで、「直接反射する」とは、表示器1002から出射され他の部材で1度も反射されずに反射面1031に入射した光線を反射することを意味する。第2反射鏡1003は、表示器1002から出射されて反射面1031に入射した光線を反射面1031で第1反射鏡1004に向かって反射する。第2反射鏡1003は、表示器1002の表示面1021の下方に配置されている。第2反射鏡1003の反射面1031は、表示器1002の表示面1021と対向している。ここで、「対向」とは、表示面10021と反射面10031とが互いに向き合っていることを意味し、表示面1021と反射面1031とが平行である必要はない。
第2反射鏡1003は、例えば、平面鏡本体と、平面鏡本体の表面に設けられた反射膜と、を有する。平面鏡本体の材料は、例えば、ガラスを含む。反射膜の材料は、可視光に対する反射率の高い金属が好ましく、例えば、アルミニウムを含む。第2反射鏡1003では、反射膜の表面が、反射面1031を構成している。
第1反射鏡1004は、例えば、凹面鏡本体と、凹面鏡本体の表面に設けられた反射膜と、を有する。凹面鏡本体の材料は、例えば、ガラスを含む。反射膜の材料は、可視光に対する反射率の高い金属が好ましく、例えば、アルミニウムを含む。第1反射鏡1004では、反射膜の表面が反射面1041を構成している。
第2反射鏡1003と第1反射鏡1004とを含む光学系L1では、表示器1002の表示面1021から出射された光線を第2反射鏡1003の反射面1031で第1反射鏡1004に向かって反射する。第1反射鏡1004の反射面1041は、第2反射鏡1003からの光線を反射する。
表示システム1001では、筐体1005が、第1反射鏡1004で反射された光線を出射させる出射部1058を有している。出射部1058は、可視光を透過する。これにより、表示システム1001では、出射部10058から出射された光線が観察者1200の目1201に入射することによって、観察者1200は、表示器1002の表示面1021に表示される画像に基づく画像を見ることができる。すなわち、観察者1200は、光学系L1の第2反射鏡1003と第1反射鏡1004とで反射された画像を見ることになる。したがって、観察者1200が出射部1058を通して第1反射鏡1004の反射面1041を見る方向において、反射面1041よりも遠方(観察者1200の視点から、例えば1〜3m前方)の表示位置に、表示器1002の画像が表示されているかのように見える。つまり、表示器1002の画像は虚像となる。したがって、観察者1200が、ウィンドシールド1102を通して前方の視界を見ている状態から、表示システム1001によって表示される画像(虚像)を見る場合にピント調節がしやすくなるという利点がある。
筐体1005は、本体部1050と、出射部1058と、を有する。本体部1050は、前壁1051、後壁1052、上壁1053、下壁1054、一対の側壁(観察者1200から見て右側壁及び左側壁)を有し、後壁1052に開口1521(貫通孔)を有する箱状であり、内側空間S1を有する。筐体1005の材料は、樹脂を含む。開口1521の形状は、長方形状であり、上下方向の開口幅に比べて左右方向の開口幅が大きく、左右方向の開口幅と上下方向の開口幅との比率は約3〜6:1である。出射部1058は、長方形状の外周形状を有する平板状であり、後壁1052の開口1521を覆うように配置されている。筐体1005は、車両1100の本体1110に取り付けられた状態において、本体1110の左右方向(車幅方向)における寸法が、上下方向における寸法及び前後方向における寸法よりも大きい。出射部1058は、筐体1005の内側空間S1に塵等の侵入を防ぐための防塵カバーとしての機能も有する。出射部1058は、例えば、可視光を透過する透明板である。透明板は、例えば、ガラスにより形成されており、透明性を有する。ここで、「透明性を有する」とは、可視光に対する透過率が50%以上、好ましくは70%以上、90%以上であるのが好ましい。透明板は、ガラスに限らず、例えば、アクリル樹脂等の樹脂により形成されていてもよい。出射部1058は、透明板に限らず、液晶ミラーであってもよい。
筐体1005は、本体1110の天井部分1101においてウィンドシールド1102に近い前側部分に取り付けられており、運転座席1130等の前部座席に着座する観察者1200の視界に入る位置に配置されている(図34参照)。筐体1005は、支持部材1072を介して本体1110の天井部分1101に取り付けられ、天井部分1101から吊り下げられた状態となる。ここにおいて、筐体1005は、観察者1200の前方視界を邪魔しない位置に配置されている。支持部材1072は、筐体1005の向きを調整するための調整機構(例えば、ボールジョイント)を有している。なお、筐体1005は、天井部分1101に取り付けられる場合に限らず、例えば、ウィンドシールド1102に取り付けられてもよい。
表示システム1001は、制御部1008を更に備える。制御部1008は、表示器1002と電気的に接続されている。制御部1008は、表示器1002による画像の表示状態を制御する。制御部1008は例えば車両1100の車内ネットワークを介して撮像部1090と通信(有線通信又は無線通信)を行う。制御部1008には、撮像部1090から車両1100の後方の撮像画像の画像データが入力される。制御部1008は、撮像部1090から入力される撮像画像に基づく画像を表示器1002に表示させる。ここにおいて、撮像画像に基づく画像とは、撮像画像そのものでもよいし、撮像画像を画像処理した画像でもよい。例えば、夜間には撮像部1090で撮影された画像は暗くなるので、撮像部1090で撮影された画像の明るさ補正を行ってもよい。また、撮像部1090で撮影された画像をもとに、画像中に映っている障害物等を示すCG(Computer Graphics)画像又はマーカー等を作成し、撮像部1090の撮像画像にCG画像又はマーカー等を重畳した画像を表示器1002の表示面1021に表示させてもよい。また、撮像部1090の撮像画像に運転支援情報(例えば、車速情報、ナビゲーション情報、歩行者情報、前方車両情報、車線逸脱情報、及び車両コンディション情報等)を示すマーカーを重畳した画像を表示器1002に表示させてもよい。
制御部1008は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、制御部1008の機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。更に、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
撮像部1090は、例えば、車両1100の後部に取り付けられたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであり、車両1100の後方を撮影する。撮像部1090はCMOSイメージセンサに限らず、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等のイメージセンサでもよい。
撮像部1090は、車両1100の後方を撮影した画像データを例えば車内ネットワークを介して制御部1008に出力する。撮像部1090は例えば車両1100の後部において左右方向の中央に配置され、従来のルームミラーで視認できる範囲を撮影しており、電子ミラーシステム1010は従来のルームミラーのような後方確認ミラーとして用いられる。撮像部1090は車両1100の後部に取り付けられているので、撮像部1090によって撮影される画像には、後部座席やピラー(窓柱)等が映り込むことはない。なお、車両1100の後方は、車両1100の後側方を含んでもよく、撮像部1090は車両1100の後側方を撮影してもよい。撮像部1090は、従来のドアミラー、フェンダーミラーで視認できる範囲を撮影してもよく、電子ミラーシステム1010を従来のドアミラー、フェンダーミラーの代わりの後方確認ミラーとして用いてもよい。撮像部1090は本体1110の後部であって本体1110の上部位置に取り付けられているが、撮像部1090の取付位置は一例であり、撮像部1090は所望の範囲を撮影可能な位置に取り付けられていればよい。
実施の形態3に係る表示システム1001は、表示器1002が表示する画像、つまり表示器2の表示面1021から出力される光線を第2反射鏡1003と第1反射鏡1004とで1回ずつ反射している。つまり、表示システム1001は、表示器1002の表示面1021から出力される光線を光学系L1で2回反射する。ここで、観察者1200から観察者1200によって視認される画像の表示位置までの距離(視距離)は、表示器1002の表示面1021から第1反射鏡1004の反射面1041までの光路長、及び、光学系L1の焦点距離等で決まる。実施の形態3に係る表示システム1001は、表示器1002の表示面1021から出射される光線を2回反射するので、画像の表示位置までの視距離を所望の距離に保ちながら、筐体1005(の内側空間S1)の大きさを小さくできる。したがって、観察者1200が出射部1058を通して反射面1041を見る方向において筐体1005の小型化を図ることができる。
実施の形態3に係る表示システム1001では、内装表示部1009は、第2反射鏡1003と一体に設けられて第2反射鏡1003の反射面1031上に位置している。第2反射鏡1003は、矩形板状である。内装表示部1009は、表示器1002の表示面1021と第1反射鏡1004との間の光路上に位置する。
内装表示部1009は、車両1100の後部の内装の少なくとも一部に対応する内装パターンPA1(図35参照)を表示する。つまり、内装表示部1009は、第1反射鏡1004の視野内であってかつ撮像部1090の視野FV9外に存在する車両1100の内装の少なくとも一部を内装パターンPA1として表示する。なお、表示システム1001は、第1反射鏡1004の視野内に、内装表示部1009の内装パターンPA1が全て表示されている構成に限定されず、内装パターンPA1の少なくとも一部が表示される構成としてもよい。車両1100の後部の内装の少なくとも一部は、例えば、車両1100の後部のリアウィンドウの2つのピラー1115(図34では一方のピラー1115のみ見えている)を含む。ここでいうピラー1115は、車両1100において後部座席の斜め後ろにある窓柱である。内装表示部1009では、内装パターンPA1は、一例として、2つの像部分PA11と、像部分PA12と、像部分PA13と、を含んでいる。2つの像部分PA11は、車両1100の左右において互いに離れている2つのピラー1115の各々に一対一に対応する。像部分PA12は、車両1100の2つのピラー1115の上端に連結されている天井部分1101(図33参照)の後部に対応する。像部分PA13は、車両1100の2つのピラー1115の下端に連結されている部分に対応する。内装パターンPA1は、図35の例に限らず、例えば、少なくとも2つのピラー1115の各々に一対一に対応する2つの像部分PA11を含んでいればよい。ピラー1115の像部分PA11の太さは、車両1100の車種等に応じて変えてもよいし、車両1100のピラー1115よりも細く見える太さでもよい。また、リアウィンドウに対応する領域にリアウィンドウの電熱線に相当する線が描画されていてもよい。
表示システム1001では、第1反射鏡1004で反射された光線が内装パターンPA1と重畳して観察者1200の目1201に入射することで映像と内装パターンPA1とを表示する。
表示システム1001では、内装表示部1009に含まれる内装パターンPA1は、第2反射鏡1003の反射面1031上に描画されている。ここにおいて、内装パターンPA1は、印刷技術により形成されている。内装パターンPA1は、例えば、半透明な印刷膜であってもよいし、微細な水玉状のドットパターンによって見かけ上半透明に見えるように印刷されていてもよい。
[動作]
実施の形態3に係る表示システム1001及び表示システム1001を備える電子ミラーシステム1010の動作について以下に説明する。
例えば、車両1100のバッテリから電子ミラーシステム1010に電力が供給され、車両1100が備えるECU(Electronic Control Unit)から電子ミラーシステム1010に動作を開始させる制御信号が入力されると、電子ミラーシステム1010が動作を開始する。
例えば、車両1100のECUから制御部1008に動作を開始させる制御信号が入力されると、制御部1008は、撮像部1090に所定のフレームレートで車両1100の後方を撮影させ、撮像部1090から撮像画像の画像データを取得する。
制御部1008は、撮像部1090から撮像画像の画像データが入力されると、撮像画像に基づく画像を作成して、その画像を表示器1002の表示面1021に表示させる。
表示器1002の表示面1021に画像が表示されると、この画像を形成する光線は、第2反射鏡1003の反射面1031に向かって出射される。第2反射鏡1003の反射面1031は、表示器1002からの光線を第1反射鏡1004に向かって反射する。第1反射鏡1004は、表示面1021の画像を拡大した拡大画像を形成する光線を反射する。よって、観察者1200は反射面1041によって拡大された画像を見ることができ、反射面1041によって拡大された画像を見ることによって、車両1100の後方の状況を確認できる。なお、表示システム1001では、第1反射鏡1004の反射面1041で反射された光線は、筐体1005の出射部1058から外部に出射される。出射部1058は、透明板又は液晶ミラー等の物体に限らず、筐体1005の有する開口1521であってもよい。
[利点]
実施の形態3に係る表示システム1001は、表示器1002と、第2反射鏡1003と、第1反射鏡1004と、を備え、第1反射鏡1004で反射された光線が観察者1200の目1201に入射することで映像を表示するように構成されている。そして、表示システム1001は、第2反射鏡1003に一体に設けられた内装表示部1009を更に備えているので、第1反射鏡1004を見る観察者1200において、表示面1021に表示される画像P1(図36A参照)と内装表示部1009により表示される内装パターンPA1(図35参照)とが重なって見える(図36B参照)。これにより、表示システム1001では、撮像部1090から出力された映像信号を映像として表示する表示装置を観察者が直接見る場合と比べて、観察者1200が車両1100の後方の他の車両等との間隔を掴みやすい、という利点がある。
また、表示システム1001では、内装表示部1009が第2反射鏡1003と一体に設けられるため、内装表示部1009から目1201に至る光路の長さが、表示器1002から観察者1200の目1201に至る光路の長さよりも短い。そのため、観察者1200において、図36Bにおける、表示器2により表示される車両1100の後方の画像P1(虚像)の手前に内装パターンPA1(虚像)が視認される。これにより、内装パターンPA1と後方の画像P1との位置関係が実際の位置関係に近づくため、観察者1200にとって後方視野の違和感が低減される。
[変形例1]
以下では、実施の形態3の変形例1に係る表示システム1001aについて、図37に基づいて説明する。
実施の形態3の変形例1に係る表示システム1001aは、実施の形態3に係る表示システム1001の内装表示部1009の代わりに内装表示部1009aを備える点で、実施の形態3に係る表示システム1001と相違する。つまり、内装を表示するための構成としては、上記実施の形態3において述べたように内装パターンPA1が印刷技術により形成された内装表示部1009であってもよいし、以下において詳細に述べるように液晶ディスプレイなどで内装パターンPA2を表示する内装表示部1009aであってもよい。なお、実施の形態3の変形例1に係る表示システム1001aに関し、実施の形態3に係る表示システム1001と同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
内装表示部1009aは、表示器1002(以下、第1表示素子1002ともいう)とは別に設けられており、内装パターンPA2を表示可能な第2表示素子である。内装表示部1009aは、第2反射鏡1003と一体に設けられており、第2反射鏡1003の反射面1031上に位置している。内装表示部1009としての第2表示素子は、例えば、液晶ディスプレイである。内装パターンPA2は、一例として、2つの像部分PA21と、像部分PA22と、像部分PA23と、を含んでいる。2つの像部分PA21は、車両1100の左右において互いに離れている2つのピラー1115の各々に一対一に対応する。像部分PA22は、車両1100の2つのピラー1115の上端に連結されている天井部分1101の後部に対応する。像部分PA23は、車両1100の2つのピラー1115の下端に連結されている部分に対応する。
実施の形態3の変形例1に係る表示システム1001aは、実施の形態3に係る制御部1008の代わりに、制御部1008aを備えている。制御部1008aは、第1表示素子1002及び第2表示素子と電気的に接続されている。制御部1008aは、実施の形態3に係る表示システム1001における制御部1008と同様、第1表示素子1002を制御する。
表示システム1001aは、第1反射鏡1004を見る観察者1200において、表示面1021に表示される画像P1(図38A参照)と内装表示部1009aにより表示される内装パターンPA2(図38B参照)とが第1反射鏡1004で反射された画像(以下、反射画像ともいう)P2として見える(図38C参照)。反射画像P2では、画像P1と内装パターンPA2とが重なって見える。つまり、表示システム1001aは、第2反射鏡1003に一体に設けられた内装表示部1009aを備えているので、第1反射鏡1004を見る観察者1200において、表示面1021に表示される画像P1(図38A参照)と内装表示部1009aにより表示される内装パターンPA2(図38B参照)とが重なって見える(図38C参照)。これにより、表示システム1001aでは、撮像部1090から出力された映像信号を映像として表示する表示装置を観察者が直接見る場合と比べて、観察者1200が車両1100の後方の他の車両等との間隔を掴みやすい、という利点がある。なお、図38A〜図38Cにおいても、実施の形態3と同様に、観察者1200において、表示器1002により表示される車両1100の後方の画像P1(虚像)の手前に内装パターンPA2(虚像)が視認される。これにより、内装パターンPA2と後方の画像P1との位置関係が実際の位置関係に近づくため、観察者1200にとって後方視野の違和感が低減される。
また、表示システム1001aは、スイッチSW1を更に備える。スイッチSW1は、制御部1008aと電気的に接続されている。スイッチSW1は、例えば、筐体1005の後壁1052に配置されており、観察者1200等による操作が可能である。制御部1008aは、スイッチSW1が操作されることにより、第2表示素子における内装パターンPA2の表示と非表示とを切り替える。したがって、表示システム1001aによれば、観察者1200がスイッチSW1を操作することにより、内装パターンPA2の表示、非表示を気切り替えることが可能となる。
第2表示素子において内装パターンPA2が表示された場合は、観察者1200には、例えば図38Cに示すように画像P1と内装パターンPA2とが重なって見える。第2表示素子において内装パターンPA2が非表示とされた場合は、観察者1200には、例えば図38Aの画像が第1反射鏡1004で反射されて見える。
表示システム1001aでは、制御部1008aは、車両1100に関する車両情報を取得可能である。車両情報は、自車両である車両1100の情報の他に後方車両の情報を含んでもよい。自車両の情報は、例えば、車速情報、車線逸脱情報、車両コンディション情報であり、後方車両の情報は、例えば、接近していることを示すアラート情報である。制御部1008aは、スイッチSW1が操作されることにより、内装表示部1009aに内装パターンPA2と車両情報との少なくとも一方を表示させる。図39は、内装表示部1009aに内装パターンPA2と車両情報との両方を表示させた場合に観察者1200に見える反射画像P2の例を示している。
表示システム1001aは、図40に示すように、車両1100の後方を撮像する撮像部1090(第1カメラ)、車両1100の右後方を撮像する第2カメラ、車両1100の左後方を撮像する第3カメラのそれぞれから出力される撮像画像を合成した画像(合成画像)P11に車両1100の内装の一部に対応する内装パターンPA3を重ね合わせて表示させてもよい。図40は、表示器2の表示面21に合成画像を表示させ、内装表示部1009aに内装パターンPA3を表示させた場合に、第1反射鏡1004での反射画像P2を示している。内装パターンPA3は、内装パターンPA2よりも、車両1100内の広い範囲の内装に対応している。内装パターンPA3は、リアウィンドウのピラー1115に対応する像部分PA31の他に、サイドウインドウのピラー1113、1114(図34参照)に対応する像部分PA34、PA35、後部座席に対応する像部分PA36、PA37、PA38も含んでいる。
ここにおいて、表示器1002で表示する映像は、車両1100の真後ろ方向の映像と車両1100の右後方の映像と車両1100の左後方の映像とが合成された映像である。車両1100の後部の内装は、車両1100のインストルメントパネル1108から見て後方の内装である。
[変形例2]
以下では、実施の形態3の変形例2に係る表示システム1001bについて、図41に基づいて説明する。
実施の形態3の変形例2に係る表示システム1001bは、光学系L1bが第2反射鏡1003及び第1反射鏡1004に加えて出射部1058bを含んでおり、表示器1002の表示面1021からの光線を光学系L1bによって3回反射させて出射部1058bから出射させる点で、実施の形態3の変形例1に係る表示システム1001aと相違する。なお、実施の形態3の変形例2に係る表示システム1001bに関し、実施の形態3の変形例1に係る表示システム1001aと同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
表示システム1001bでは、表示システム1001aの出射部1058の代わりに、ハーフミラーにより構成される出射部1058bを備えている。出射部1058bは、入射光の一部を透過し、入射光の別の一部を反射する機能を有している。出射部1058bは、光の透過率と反射率とが約50%である平板状のビームスプリッタで構成されている。
また、表示システム1001bでは、第2反射鏡1003が、表示器1002からの光線を出射部1058bへ向かって反射するように配置されている。
出射部1058bは、表示器1002から出射されて第2反射鏡1003で反射された光線を第1反射鏡1004に向かって反射し、第1反射鏡1004により反射された光線を透過する。出射部1058bは、第1反射鏡1004の反射面1041側において第1反射鏡1004から離れて配置されている。出射部1058bは、第1反射鏡1004と出射部1058bとの並んでいる方向において、第1反射鏡1004と出射部1058bの上端との距離が、第1反射鏡1004と出射部1058bの下端との距離よりも短くなるように、第1反射鏡1004と出射部1058bの並んでいる方向に直交する面に対して傾いて配置されている。これにより、出射部1058bでは、車両1100(図33参照)の前後方向において、出射部1058bの下端よりも出射部1058bの上端が前側に位置する。
実施の形態3の変形例2に係る表示システム1001bは、実施の形態3の変形例1に係る表示システム1001aと同様、第2反射鏡1003に一体に設けられた内装表示部1009aを備えているので、第1反射鏡1004を見る観察者1200において、表示面1021に表示される画像P1(図38A参照)と内装表示部1009aにより表示される内装パターンPA2(図38B参照)とが重なって見える(図38C参照)。これにより、表示システム1001aでは、撮像部1090から出力された映像信号を映像として表示する表示装置を観察者が直接見る場合と比べて、観察者1200が車両1100の後方の他の車両等との間隔を掴みやすい、という利点がある。なお、実施の形態3の変形例2においても、実施の形態3と同様に、観察者1200において、表示器1002により表示される車両1100の後方の画像P1(虚像)の手前に内装パターンPA2(虚像)が視認される。これにより、内装パターンPA2と後方の画像P1との位置関係が実際の位置関係に近づくため、観察者1200にとって後方視野の違和感が低減される。
また、実施の形態3の変形例2に係る表示システム1001bは、光学系L1bを採用しているので、実施の形態3の変形例1に係る表示システム1001aと比べて、観察者1200の目1201から虚像の投影位置までの距離を長くすることができる。
[その他の変形例]
上述の実施の形態3は、本開示の様々な実施の形態の一つに過ぎない。実施の形態3は、先に説明した目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
実施の形態3は、表示器1002を筐体1005の上壁1053の下面に配置している構成であるが、例えば表示器1002を筐体1005の下壁1054の上面に配置し、筐体1005の内部のレイアウトを上下反転した構成としてもよい。
内装表示部1009、1009aは、第2反射鏡1003と一体であればよく第2反射鏡1003の反射面1031上に直接的に設けられる場合に限らず、反射面1031上に他の部材を介して間接的に設けられてもよい。他の部材は、可視光を透過する部材である。
実施の形態3の変形例2に係る表示システム1001bの内装表示部1009aの代わりに、実施の形態3に係る表示システム1001の内装表示部1009を採用してもよい。
また、実施の形態3の変形例2に係る表示システム1001bでは、光学系Lb1での反射回数を増やすようにミラーの数を増やしてもよい。
また、表示器1002は、液晶パネルと光源装置とを有する構成に限らない。表示器1002は、例えば、拡散透過型のスクリーンに対し、スクリーンの背後からレーザ光を走査することで、スクリーン上に画像を描画する構成であってもよい。また、表示器1002は、例えば、拡散透過型のスクリーンに対し、スクリーンの背後からプロジェクタで画像を投影する構成であってもよい。また、表示器2は、OLED(Organic Light Emitting Diode)等を備える自発光型の表示パネルであってもよい。
表示システム1001、1001a、1001bでは、観察者1200から離れた空間の仮想平面上での、画像P1全体に対する虚像の大きさが、第1反射鏡1004で決まる観察者1200の目1201の視野よりも大きくなるように、第1反射鏡1004の大きさを決めてあってもよい。ここにおいて、表示システム1001では、上記の仮想平面上において観察者1200の目1201の視野の外周線が虚像の外周線の内側に位置するように、第1反射鏡1004の大きさを決めてある。これにより、表示システム1001は、第1反射鏡1004を見る観察者1200の目1201の移動に伴って遠方に虚像として表示される反射画像P2の位置が変わるように構成されている。
表示システム1001、1001a、1001bは、表示面1021と第1反射鏡1004との間の光路上に配置されるレンズを備えていてもよい。
電子ミラーシステム1010を適用する移動体は、車両1100に限らない。例えば、電子ミラーシステム1010は、二輪車、電車、航空機、建設機械、及び船舶等の車両1100以外の移動体にも適用可能である。要するに、移動体本体は、自動車の車両に限らず、二輪車、電車、航空機、建設機械、及び船舶等の車両1100以外の移動体の本体でもよい。更に、電子ミラーシステム1010は、移動体に限らず、例えば、アミューズメント施設、医療設備等に用いられてもよい。
また、実施の形態3において説明された表示システム1001の構成を上記の実施の形態1における表示システム100の構成と同様に光学系内にハーフミラー113を介する構成としてもよく、その他であってもよい。
また、実施の形態3において、電子ミラーシステム1010を車両のバックミラーの代わりとして用いる構成について説明したが、その構成に限定されるものではなく、電子ミラーシステム1010を車両のドアミラー(又はサイドミラー)の代わりとして用いる構成も実現できる。通常、ドアミラーには車両の内装ではなく外装が映ることから、この場合、表示システム1001は、内装表示部1009、1009aに代えて、車両の外装を表示するための外装表示部を備えればよい。外装表示部は、車両の外装として、例えばドアパネルの一部やピラー外観の一部などに対応する外装パターンを表示する。外装表示部は、外装パターンが印刷技術により形成されて実現されてもよいし、液晶ディスプレイなどの表示素子で実現されてもよい。
[まとめ]
本実施の形態には、以下の態様が開示されている。
第1の態様に係る表示システム(1001;1001a;1001b)は、表示器(1002)と、第2反射鏡(1003)と、第1反射鏡(1004)と、を備える。表示器(1002)は、車両(1100)の後方の映像を表示する表示面(1021)を有する。第2反射鏡(1003)は、平面状の反射面(1031)を有し、表示器(1002)から出射された光線を直接反射する。第1反射鏡(1004)は、少なくとも第2反射鏡(1003)で反射された光線を反射する。表示システム(1001;1001a;1001b)は、内装表示部(1009;1009a)もしくは外装表示部を更に備える。内装表示部(1009;1009a)もしくは外装表示部は、第2反射鏡(1003)と一体に設けられて反射面(1031)上に直接又は間接的に位置している。内装表示部(1009)は、車両(1100)の後部の内装の少なくとも一部に対応する内装パターン(PA1;PA2;PA3)を表示する。外装表示部は、車両(1100)の後部の外装の少なくとも一部に対応する外装パターンを表示する。表示システム(1001;1001a;1001b)では、第1反射鏡(1004)で反射された光線が内装パターン(PA1;PA2;PA3)もしくは外装パターンと重畳して観察者(1200)の目(1201)に入射することで映像と内装パターン(PA1;PA2;PA3)もしくは外装パターンとを表示する。
第1の態様に係る表示システム(1001;1001a;1001b)によれば、表示する映像を見る観察者(1200)にとって車両(1100)と後方の車両との間隔を掴みやすい。
第2の態様に係る表示システム(1001)では、第1の態様において、内装表示部(1009)もしくは外装表示部は、第2反射鏡(1003)の反射面(1031)上に描画された内装パターン(PA1)もしくは外装パターンを含む。
第2の態様に係る表示システム(1001)によれば、内装表示部(1009)もしくは外装表示部を比較的簡単な構成で実現できる。
第3の態様に係る表示システム(1001a;1001b)では、第1の態様において、内装表示部(1009a)もしくは外装表示部は、表示器(1002)からなる第1表示素子とは別に設けられ、内装パターン(PA2;PA3)もしくは外装パターンを表示可能な第2表示素子である。
第3の態様に係る表示システム(1001a;1001b)によれば、内装パターン(PA2:PA3)もしくは外装パターンの変更が容易である。
第4の態様に係る表示システム(1001a;1001b)は、第3の態様において、制御部(1008a)と、スイッチ(SW1)と、を更に備える。制御部(1008a)は、第1表示素子と第2表示素子(内装表示部9a)とに電気的に接続されている。スイッチ(SW1)は、制御部(1008a)と電気的に接続されている。制御部(1008a)は、スイッチ(SW1)が操作されることにより、第2表示素子(内装表示部1009a)における内装パターン(PA2;PA3)もしくは外装パターンの表示と非表示とを切り替える。
第4の態様に係る表示システム(1001a;1001b)によれば、観察者(1200)がスイッチ(SW1)を操作することにより、内装パターン(PA2;PA3)もしくは外装パターンの表示、非表示を切り替えることが可能となる。
第5の態様に係る表示システム(1001a;1001b)では、第4の態様において、制御部(1008a)は、車両(1100)に関する車両情報を取得可能である。制御部(8a)は、スイッチ(SW1)が操作されることにより、第2表示素子(内装表示部9a)に内装パターン(PA2;PA3)もしくは外装パターンと、車両情報との少なくとも一方を表示させる。
第5の態様に係る表示システム(1001a;1001b)によれば、映像に車両情報を重畳させて表示することも可能となる。
第6の態様に係る表示システム(1001;1001a;1001b)では、第1〜第5の態様のいずれか一つにおいて、表示器(1002)で表示する映像は、車両(1100)の真後ろ方向の映像と車両(1100)の右後方の映像と車両(1100)の左後方の映像とが合成された映像である。車両(1100)の後部の内装は、車両(1100)のインストルメントパネルから見て後方の内装である。
第6の態様に係る表示システム(1001;1001a;1001b)によれば、より広い範囲の映像及び内装を表示することが可能となり、表示する映像を見る観察者(1200)にとって車両(1100)と後方の車両との間隔をより掴みやすくなる。
以上、本開示の一つ又は複数の態様に係る表示システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。