以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る表示システム1は、図1〜図3に示すように、例えば、移動体としての自動車100に用いられる。
表示システム1は、図1に示すように、表示面21を有する表示デバイス2と、最終反射部材50を少なくとも含む反射光学系B1と、表示デバイス2と反射光学系B1とを保持する筐体70と、遮光部材8と、を備える。
最終反射部材50には、表示デバイス2の表示面21から出射した光が直接的又は間接的に入射する。最終反射部材50は、入射した光を観察者400の目401に向かって反射する。
遮光部材8は、遮蔽状態と解除状態とのいずれかの状態で筐体70に保持される。遮蔽状態は、最終反射部材50への入射光、又は、最終反射部材50での反射光の少なくとも一部を遮光部材8が遮蔽する状態である。解除状態は、遮光部材8の遮蔽状態を解除した状態である。また、遮蔽状態では、遮光部材8が、筐体70に入射する外光を観察者400の目401に向かって反射する。そして、筐体70は、遮蔽状態及び解除状態のいずれの状態でも遮光部材8を保持する保持構造200を有している。
ここにおいて、表示デバイス2の表示面21からの出射光が最終反射部材50に「間接的に入射」するとは、表示面21からの出射光がミラー、レンズ又はプリズム等の1以上の光学部品によって反射又は屈折された後に、最終反射部材50に入射することを言う。
また、反射光学系B1は、1以上の反射部材(最終反射部材50を含む)を有し、表示デバイス2の表示面21から出力された光を1以上の反射部材で1回以上反射した後に観察者400の目401に入射させる。そして、最終反射部材50は、反射光学系B1が有する1以上の反射部材のうち最後に反射して、観察者400の目401に入射させる反射部材である。
また、保持構造200による遮光部材8の「保持」は、少なくとも遮光部材8を保持する保持構造200が、筐体70から分離できない状態で筐体70に対して一体的に取り付けられた態様を含む。例えば、保持構造200が筐体70に対して筐体70から分離できない状態で予め取り付けられており、この保持構造200に対して遮光部材8が着脱可能な状態で取り付けられていてもよい。また、遮光部材8及び保持構造200が筐体70から分離できない状態で筐体70に対して一体的に取り付けられてもよい。また、保持構造200による遮光部材8の「保持」は、筐体70に内蔵させた状態で保持する態様を含む。ここでいう「内蔵」は、筐体70の内部に遮光部材8が収容されている態様と、遮光部材8の主要部が筐体70の投影範囲内に収まるようにして遮光部材8が筐体70の外側に取り付けられている態様と、の両方を含む。遮光部材8の主要部が筐体70の投影範囲内に収まるとは、筐体70を任意の観察方向から見た場合に、遮光部材8が筐体70の内側に収まっている状態を言う。
また、「遮蔽状態」は、最終反射部材50への入射光、又は、最終反射部材50での反射光の少なくとも一部を遮光部材8が遮蔽し、かつ、遮光部材8が筐体70に入射する外光を観察者400の目401に向かって反射する状態である。保持構造200によって遮光部材8が遮蔽状態で保持されている場合、遮光部材8が、最終反射部材50への入射光、又は、最終反射部材50での反射光の少なくとも一部を遮蔽することで、表示デバイス2の表示面21に表示された画像に基づく表示を停止する。また、保持構造200によって遮光部材8が遮蔽状態で保持されている場合、遮光部材8によって筐体70に入射する外光が観察者400の目401に向かって反射されるので、表示システム1は光学ミラーとして機能する。
また、「解除状態」は、遮光部材8による最終反射部材50への入射光、及び、最終反射部材50での反射光の遮光が解除された状態であり、遮光部材8によって最終反射部材50への入射光、及び、最終反射部材50での反射光が遮光されない状態である。解除状態では、表示デバイス2の表示面21から出力された光が反射光学系B1で反射された後に観察者400の目401に入射するので、観察者400は表示デバイス2の表示面21に表示された画像(以下、第1画像とも言う。)に基づく画像(以下、第2画像とも言う。)を視認することができる。
ところで、表示デバイス2の故障が原因で表示面21に画像が映らなくなること等によって、表示デバイス2の表示に異常が発生する場合がある。また、撮像部4の映像を表示デバイス2が表示する場合に、撮像部4の故障や撮像部4と表示デバイス2との間の通信の異常等によって、表示デバイス2の表示に異常が発生する場合がある。表示システム1では、表示デバイス2の異常等の原因で表示デバイス2による表示に異常が発生した場合、遮光部材8の状態を遮蔽状態とすることで、表示システム1を光学ミラーとして機能させることができる。したがって、遮光部材8を使用せず筐体70全体の角度を調整することで、反射光学系B1に含まれるハーフミラー40を光学式のミラーとして用いる場合に比べて、筐体70を傾ける量を小さくできる。よって、本実施形態の表示システム1では、表示デバイス2による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能でありながら、筐体70によって観察者400の視界が遮られる可能性を低減できる、との利点がある。また、遮光部材8は、遮蔽状態及び解除状態の各々で保持構造200によって筐体70に保持されているので、遮光部材8が筐体70と分離されている場合に比べて、遮光部材8を遮蔽状態及び解除状態の各々で筐体70に保持させる手間を少なくできる、との利点もある。
なお、図1、図4、及び図5では、表示デバイス2の表示面21の中心付近から出射された光が、ハーフミラー40を透過して筐体70の外部に出射するまでの光路A11〜A14を点線で示している。また、図5では、筐体70の外部からミラー部材60の中心付近に入射した光がミラー部材60で反射される場合の光路A21〜A22を二点鎖線で示している。なお、図1、4、及び図5において、光の光路A11〜A14,A21〜A22を示す線は説明のために図示しているに過ぎず、実際には表示されない。
(2)詳細
以下、実施形態1に係る表示システム1及び電子ミラーシステム5について図1〜図6を参照して詳しく説明する。なお、以下の説明では、図1におけるX軸方向を前後方向、図1及び図3におけるZ軸方向を上下方向と規定し、図3におけるY軸方向を左右方向と規定する。さらに、X軸方向の正の向きを前側、Y軸方向の正の向きを右側、Z軸方向の正の向きを上側と規定する。ただし、これらの方向は一例であり、表示システム1及び電子ミラーシステム5の使用時の方向を限定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
(2.1)構成
本実施形態の表示システム1は、上述したように、表示デバイス2と、最終反射部材50を少なくとも含む反射光学系B1と、遮光部材8であるミラー部材60と、筐体70と、を備えている。また、表示システム1は、表示制御部22を更に備えている。
本実施形態では、反射光学系B1がハーフミラー40を更に含む。表示デバイス2の表示面21から出射した光はハーフミラー40を介して最終反射部材50に入射し、最終反射部材50での反射光はハーフミラー40を透過して観察者400の目401に入射する。
また、本実施形態では、筐体70には、遮光部材8として、一方の面が反射面61である板状のミラー部材60が設けられている。ミラー部材60の状態は、ミラー部材60のスライド動作と回転動作によって、第1状態と第2状態とのいずれかに切り替えられる。第1状態は、最終反射部材50から観察者400の目401に入射する光の光路外の第1位置にミラー部材60が配置される解除状態である。第2状態は、最終反射部材50と観察者400との間の第2位置に反射面61を観察者に向けた状態でミラー部材60が配置され、筐体70の外部からの光を反射面61で反射した反射像を観察者400の目401に表示させる遮蔽状態である。すなわち、遮光部材8は光学ミラー(ミラー部材60)である。光学ミラー(ミラー部材60)は、遮光部材8の状態が遮蔽状態である場合に、(解除状態における)最終反射部材50での反射光の反射方向に光を反射する反射面61を有する。
本実施形態の表示システム1と撮像部4(図2参照)とで電子ミラーシステム5が構成され、表示デバイス2は、撮像部4によって撮影される画像を表示面21に表示する。電子ミラーシステム5は、移動体である自動車100の移動体本体110に搭載される。すなわち、移動体(自動車100)は、電子ミラーシステム5と、電子ミラーシステム5を搭載する移動体本体110と、を含む。
表示システム1の筐体70は、例えば合成樹脂の成型品等で構成されている。筐体70は、内部に収納室73を有する直方体状に形成されている。筐体70は、移動体本体110に取り付けられた状態において、移動体本体110の左右方向(車幅方向)における寸法が、上下方向における寸法及び前後方向における寸法よりもそれぞれ大きくなるような形状に形成されている。筐体70の収納室73には、表示デバイス2と、最終反射部材50を含む反射光学系B1と、表示制御部22と、が収容されている。
筐体70は、移動体本体110の天井部分101においてウィンドシールド102(フロントガラス)に近い前側部分に、前部座席に着座する観察者400の視界に入る位置に取り付けられている(図2参照)。筐体70は、ボールジョイントなどの支持部材72を介して移動体本体110の天井部分101から吊り下げられた状態で天井部分101に取り付けられており、観察者400の前方に配置されている。支持部材72は筐体70の向きを調整するための調整機構(例えばボールジョイントなど)を有している。なお、図1及び図2では、筐体70の上部に支持部材72が配置され、天井部分101から吊り下げられているが、筐体70の背面側(車両前方側)に支持部材を配置し、ウィンドシールド102に取り付けられている構造であってもよい。
筐体70の後壁71は斜めに傾斜しており、この後壁71には貫通孔74が設けられている。貫通孔74は、上下方向の寸法に比べて左右方向(上下方向及び前後方向と直交する方向)の寸法が大きく、左右方向の寸法(長辺寸法)と上下方向の寸法(短辺寸法)との比率は約3〜6:1である。貫通孔74にはハーフミラー40が取り付けられている。また、筐体70には、後壁71の左右の両側縁からそれぞれ後方に突出する横フード75と、後壁71の下側縁から後方に突出する下フード76とが、筐体70と一体に設けられている。ここで、横フード75と下フード76とは一体的に設けられている。
表示デバイス2は、収納室73の上部に、表示面21を下側に向けた状態で収容されている。表示デバイス2は画像を形成する光を出力する。表示デバイス2は、例えば光源装置と液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)とを備えている。液晶パネルは、光源装置の前方に配置されている。光源装置は、液晶パネルのバックライトとして用いられる。光源装置は、いわゆる面光源である。光源装置は、発光ダイオード又はレーザダイオード等の固体発光素子を用いた、サイドライト方式の光源装置である。光源装置からの光は液晶パネルを透過して表示デバイス2の表示面21から出力されており、表示デバイス2の表示面21から出力される光で画像が形成される。
本実施形態の表示システム1は、表示デバイス2の表示面21から出射する光を反射する2以上の反射部材3として、ハーフミラー40と、上記の最終反射部材50とを備えている。すなわち、表示システム1は、ハーフミラー40と、最終反射部材50とで構成される反射光学系B1を有している。
ハーフミラー40は、筐体70の後壁71に設けられた貫通孔74に取り付けられている。ハーフミラー40は光透過性を有している。ハーフミラー40は、入射光の一部を透過し、入射光の別の一部を反射する機能を有している。本実施形態では、ハーフミラー40は、光の透過率と反射率とが約50%である平板状のビームスプリッタで構成されている。ハーフミラー40は、ハーフミラー40の下端に比べて上端の方が後側に突出するように、上下方向に対して斜めに配置されている。
ハーフミラー40における収納室73側の面(以下、内側面ともいう)41は、表示デバイス2の表示面21及び最終反射部材50の反射面(最終反射面とも言う)51とそれぞれ対向している。ここで、2つの面又は部品が「対向」するとは、互いに平行な状態で配置されていることに限定されず、互いに平行ではない状態、つまり一方が他方に対して傾斜している状態で配置されている状態も含みうる。本実施形態では、ハーフミラー40は、表示デバイス2の表示面21からの光の入射方向、及び、反射面51からの光の入射方向に対して、内側面41の法線方向がそれぞれ斜めに交差するように配置されている。なお、本実施形態では、表示デバイス2からの光を反射する反射面である内側面41が平面であるが、内側面41は自由曲面のような曲面でもよい。ハーフミラー40の内側面41を自由曲面とすることで、反射面51に形成される画像の歪みを低減したり、像面の湾曲を低減したり、解像度を向上させたりすることができる。
最終反射部材50は、例えば凹面鏡である。最終反射部材50の反射面51は、例えばガラスの表面に、アルミニウム等の反射金属膜を蒸着することで形成される。最終反射部材50は、反射面51を後側に向けた状態で収納室73の前部に配置されている。換言すれば、最終反射部材50は、収納室73の内部において、ハーフミラー40の内側面41と対向する位置に配置されている。なお、最終反射部材50は凹面鏡に限定されず、平面鏡でもよい。
本実施形態では、ハーフミラー40の内側面41が、表示デバイス2の表示面21から出射された光の一部を最終反射部材50の反射面51に向かって反射する。最終反射部材50の反射面51は、ハーフミラー40の内側面41での反射光をハーフミラー40に向かって反射する。ハーフミラー40は、最終反射部材50から入射した光の一部を透過し、ハーフミラー40を透過した光が観察者400の目401に入射することによって、観察者400は、表示デバイス2の表示面21に表示される画像に基づく画像を見ることができる。すなわち、観察者400は、ハーフミラー40と最終反射部材50とで反射された画像を見ることになる。したがって、観察者400がハーフミラー40を通して最終反射部材50の反射面51を見る方向において、反射面51よりも遠方(観察者400の視点から、例えば1〜3m前方)の表示位置に、表示デバイス2の画像が表示されているかのように見える。つまり、表示デバイス2の画像は虚像となる。したがって、観察者400が、ウィンドシールド102を通して前方の視界を見ている状態から、表示システム1によって表示される画像(虚像)を見る場合にピント調節がしやすくなるという利点がある。また、表示デバイス2は、表示面21の法線方向に対して斜め方向(光路A11の方向)に光を出射している。このように光を斜め方向に出射することにより、画像の上側の虚像距離(視点から画像が見える位置までの距離)を遠く(長く)、画像の下側の虚像距離を近く(短く)することができる。撮像部4によって撮影される自動車100の後方の画像の遠近はこのような虚像距離の遠近の関係に近いため、疑似的な奥行感を生じさせることができ、観察者400は後方車両との距離感を掴みやすくなる。ただし、表示デバイス2が光を斜め方向に出射させると虚像に台形歪を発生させてしまうことから、反射面51において、入射光に対してやや下向きの反射角を設定することで、虚像に発生する台形歪みを低減できる。
ミラー部材60は、第1位置(図1中のミラー部材60の位置)と第2位置(図5中のミラー部材60の位置)との間で移動可能な状態で筐体70に取り付けられている。さらに言えば、遮光部材8であるミラー部材60は、保持構造200によって、第1位置と第2位置との間で移動可能な状態で筐体70に保持されている。
第1位置は、筐体70の下フード76の上側に、下フード76と平行するようにミラー部材60が配置される位置である。つまり、第1位置は、ハーフミラー40を透過して観察者400の目401に入射する光の光路外の位置であり、最終反射部材50での反射光が通らない位置である。したがって、ミラー部材60が第1位置にある第1状態では、ミラー部材60は、最終反射部材50での反射光の遮光を解除する解除状態となり、観察者400は、表示デバイス2の表示面21の画像(第1画像)を反射光学系B1が反射した反射像(第2画像)を見ることができる。
第2位置は、ハーフミラー40と観察者400との間にミラー部材60が配置される位置である。第2位置は、ハーフミラー40を透過して観察者400の目401に入射する光の光路A14に対してミラー部材60の表面が90度に近い角度で交差するようにミラー部材60が配置される位置である。ミラー部材60が第2位置に位置する第2状態では、ミラー部材60は、最終反射部材50での反射光を遮光する遮光状態となる。また、第2状態では、筐体70の外部からの光を反射面61で反射した光が観察者の目に入射するので、観察者は反射面61による反射像を見ることができる。
なお、第1位置は、図1中のミラー部材60の位置に限定されず、適宜変更が可能である。同様に、第2位置は、図5中のミラー部材60の位置に限定されず、観察者400が反射面61に映る反射像を見ることができる位置であれば適宜変更が可能である。
ここで、ミラー部材60は、第1位置及び第2位置の各々において、横フード75と下フード76とハーフミラー40とで囲まれる空間に配置(つまり、筐体70に内蔵)されているので、筐体70を大型化することなくミラー部材60を配置することができる。
ミラー部材60は、平面視の形状が矩形状である平板状に形成されている。ミラー部材60は、第2位置に配置された状態での左右方向の寸法及び上下方向の寸法が、観察者400の目401の位置からハーフミラー40を見た場合の見かけ上の寸法と同じ寸法に設定されている。したがって、ミラー部材60が第2位置に配置された第2状態(遮蔽状態)では、観察者400から見てハーフミラー40の全体がミラー部材60で覆われている。また、第2状態において、観察者400から見てハーフミラー40の全体がミラー部材60で覆われていることは必須ではなく、観察者400からハーフミラー40の一部が見えていてもよい。
ここで、ミラー部材60の片側の面(第2位置に配置された状態、つまり遮蔽状態で、ハーフミラー40と反対側、つまり観察者400側を向く面)は、少なくとも可視光領域の光を反射する反射面61となっている。したがって、ミラー部材60が第2位置に配置された状態では、観察者400は、筐体70の向きを支持部材72の調整機構によって調整することで自動車100の後方からの光をミラー部材60で反射した反射像を見ることができる。なお、ミラー部材60の一方の面に設けられた反射面61は平面でも凸面でもよい。つまり、ミラー部材60は平面鏡でも凸面鏡でもよい。
ミラー部材60において反射面61と反対側の面は、少なくとも可視光領域の光の反射率が反射面61よりも低い遮光面62である。そして、ミラー部材60が第1位置に配置される第1状態では、ミラー部材60の遮光面62がハーフミラー40と対向している。さらに言えば、本実施形態では、ミラー部材60の遮光面62が入射した光を吸収する機能を有している。遮光面62の色は、移動体本体110(図2参照)の天井部分101の内面よりも暗い色であり、例えば黒色である。このように、遮光面62の色を黒色等の暗い色とすることで、遮光面62に入射した光を吸収する機能を持たせている。したがって、図1に示すように、ミラー部材60が第1位置に配置される解除状態において、筐体70の外部から光路A31を通ってミラー部材60の遮光面62に入射した光が遮光面62で反射されるのを抑制できる。よって、筐体70の外部から遮光面62に入射した光が、遮光面62とハーフミラー40とで反射して観察者400の目401に入射するのを抑制でき、表示システム1が表示する画像のコントラストを向上することができる。
なお、遮光面62は光を吸収する機能を有しているが、遮光面62を粗面に形成することによって、遮光面62に光を散乱する機能を持たせてもよい。ミラー部材60が第1位置に配置される解除状態において、遮光面62が入射光を散乱することによって、筐体70の外部から遮光面62に入射した光が、遮光面62とハーフミラー40とで反射して観察者400の目401に入射することを抑制できる。
このように、ミラー部材60の遮光面62は、少なくとも可視光領域の光の吸収と散乱の少なくとも一方を行えばよく、外部からの光がハーフミラー40に反射して観察者400の目401に入射することを抑制できる。なお、遮光面62は、少なくとも可視光領域の光について吸収と散乱の少なくとも一方を行えばよく、可視光領域以外の光、例えば赤外領域の光に対しては透過性を有していてもよい。
ミラー部材60の左右の側縁には、図1及び図6に示すように、円柱状の突起64が複数設けられている。本実施形態では、複数の突起64が、第1位置にあるミラー部材60の左右の側面の前側に設けられた第1突起641と、第1位置にあるミラー部材60の左右の側面の後側に設けられた第2突起642とを含む。また、ミラー部材60が第1位置に位置する状態で、ミラー部材60の後端部には、斜め下向きに突出する突出片63が一体に設けられている。表示システム1のユーザ(例えば自動車100の運転者などの観察者400)は、操作部としての突出片63を指で上向きに押すか又は下向きに引くことによって、ミラー部材60を動かすことができる。すなわち、表示システム1は、ミラー部材60の状態を第1状態と第2状態とのいずれかに手動で切り替えるための操作部(突出片63)を更に備えている。なお、突出片63は、例えば、ミラー部材60の後端部において左右方向の中央に設けられているが、左右方向の両側に複数設けられていてもよい。また、ミラー部材60の左側縁又は右側縁から左右方向に突出する突出片を、横フード75に設けた貫通部を通して筐体70の外側に突出させ、この突出片において筐体70の外側に突出する部位を操作部としてもよい。
筐体70には、左右の横フード75の内側面に、ミラー部材60の複数の突起64がそれぞれ挿入される複数のガイド溝77が設けられている。複数のガイド溝77は、ミラー部材60の第1突起641が挿入される第1ガイド溝771と、ミラー部材60の第2突起642が挿入される第2ガイド溝772とを含む。第1ガイド溝771は、横フード75の内側面に前後方向に沿って設けられている。第2ガイド溝772は、横フード75の内側面に、上下方向に沿って設けられている。なお、本実施形態では、突起64がミラー部材60に設けられ、ガイド溝77が筐体70に設けられているが、筐体70に突起が設けられ、ミラー部材60に突起が挿入されるガイド溝が設けられてもよい。ここにおいて、遮光部材8であるミラー部材60を保持する保持構造200は、筐体70とミラー部材60との一方に設けられた突起64と、筐体70とミラー部材60との他方に設けられて、突起64が挿入されるガイド溝77と、を含んでいる。そして、ガイド溝77の内部で突起64の位置が変化することによって、ミラー部材60の状態が第1状態(解除状態)と第2状態(遮蔽状態)とのいずれかに切り替えられる。
図1に示すように、ミラー部材60が第1位置に存在する第1状態では、第1突起641は第1ガイド溝771の内部の前端付近に位置し、第2突起642は第2ガイド溝772の内部の下端付近に位置している。第1状態(解除状態)では、ミラー部材60は、下フード76の上側に下フード76の上面に沿って配置されており、ハーフミラー40を透過して観察者400の目401に入射する光の光路外に配置される。したがって、ミラー部材60の状態が第1状態である場合には、観察者400は、表示デバイス2の表示面21に表示される画像(第1画像)を、反射光学系B1で反射することによって拡大され遠視点化された画像(第2画像)を見ることができる。なお、ミラー部材60が第1位置に配置される状態では、例えば、ミラー部材60の端部が、筐体70に設けられたフック等にラッチされることによって、ミラー部材60が第1状態で保持される。
第1状態にあるミラー部材60の突出片63をユーザが上向きに押すと、図4に示すように、第1突起641が第1ガイド溝771の内部を後方へスライド動作し、第2突起642が第2ガイド溝772の内部を上方へスライド動作する。ここで、第1突起641及び第2突起642はそれぞれ第1ガイド溝771及び第2ガイド溝772内で回転動作を行いながらスライド動作を行うことで、ミラー部材60は全体として回転動作を行いながら第2位置に向かって移動する。すなわち、ミラー部材60は、スライド動作と回転動作とを行うことによって、第1位置から第2位置へと移動し、また第2位置から第1位置へと移動する。ここで、ミラー部材60はスライド動作と回転動作とを同時に行ってもよいし、スライド動作と回転動作とを別々に行ってもよい。
そして、ミラー部材60が第2位置に移動すると、図5に示すように、第1突起641が第1ガイド溝771の内部の後端付近に位置し、第2突起642が第2ガイド溝772の内部の上端付近に位置する。ミラー部材60が第2位置に配置される第2状態(遮蔽状態)では、ミラー部材60は、反射面61をハーフミラー40と反対側に向けた状態で、上下方向に沿って配置される。なお、上下方向に沿って配置されるとは、鉛直方向に沿って配置されることに限定されず、反射面61を介して自動車100の後方を視認可能であれば、鉛直方向に対して斜めに傾いた状態で配置されていてもよい。この第2状態では、観察者400から見てハーフミラー40のほぼ全体がミラー部材60によって覆われており、観察者400は、筐体70の外部(例えば自動車100の後方)からの光を反射面61で反射した反射像を見ることができる。なお、ミラー部材60が第2位置に配置された状態では、ハーフミラー40を透過した光がミラー部材60で遮られるので、観察者400は、表示デバイス2の表示面21に表示される画像を見ることはできない。したがって、表示デバイス2の表示が異常になった場合、観察者400は、ミラー部材60の状態を第1状態から第2状態に切り替えることで、反射面61で反射された反射像を見ることができる。なお、ミラー部材60が第2位置に配置される第2状態では、例えば、ミラー部材60の端部が、筐体70に設けられたフック等にラッチされることによって、ミラー部材60が第2状態で保持される。
また、ミラー部材60の状態を第2状態(遮蔽状態)から第1状態(解除状態)に切り替える場合、ユーザ(例えば観察者400)はミラー部材60の突出片63を下向きに引く。突出片63が下向きに引っ張られると、第1突起641が第1ガイド溝771の内部を前側に移動し、第2突起642が第2ガイド溝772の内部を下側に移動することによって、ミラー部材60の状態が第2状態から第1状態に切り替えられる。ミラー部材60の状態が第1状態に切り替えられることによって、観察者400は、表示デバイス2の表示面21の画像を反射光学系B1が反射した反射像を見ることができる。
このように、本実施形態では、ミラー部材60に突起64が設けられ、筐体70には突起64が挿入されるガイド溝77が設けられている。ガイド溝77の内部で突起64の位置が変化することによって、ミラー部材60が第1位置又は第2位置に移動し、ミラー部材60の状態が第1状態と第2状態とのいずれかに切り替えられる。
なお、本実施形態では、突起64を、ミラー部材60に固定された円柱状の突起としているが、突起64は、ミラー部材60に設けられた軸に回転可能な状態で取り付けられた円筒状のローラであってもよい。突起64を回転可能なローラとすることで、突起64がガイド溝77の内部をスライド移動する場合に引っ掛かりにくくなり、突起64の摩耗が低減され、ミラー部材60の状態を第1状態又は第2状態にスムーズに切り替えることができる。
表示制御部22は、表示デバイス2による画像の表示状態を制御する。表示制御部22は例えば自動車100の車内ネットワークを介して撮像部4と通信(有線通信又は無線通信)を行う。表示制御部22には、撮像部4から自動車100の後方の撮像画像の画像データが入力される。表示制御部22は、撮像部4から入力される撮像画像に基づく画像を表示デバイス2に表示させる。
ここにおいて、撮像画像に基づく画像とは、撮像画像そのものでもよいし、撮像画像を画像処理した画像でもよく、撮像画像をもとに作成したCG(Computer Graphics)画像でもよい。例えば、夜間には撮像部4で撮影された画像は暗くなるので、撮像部4で撮影された画像の明るさ補正を行ってもよい。また、撮像部4で撮影された画像をもとに、画像中に映っている障害物等を示すCG画像又はマーカー等を作成し、撮像部4の撮像画像にCG画像又はマーカー等を重畳した画像を表示デバイス2の表示面21に表示させてもよい。また、撮像部4の撮像画像に運転支援情報(例えば、車速情報、ナビゲーション情報、歩行者情報、前方車両情報、車線逸脱情報、及び車両コンディション情報等)を示すマーカーを重畳した画像を表示デバイス2に表示させてもよい。
撮像部4は、例えば、自動車100の後部に取り付けられたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであり、自動車100の後方を撮影する。撮像部4はCMOSイメージセンサに限らず、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等のイメージセンサでもよい。
撮像部4は、自動車100の後方を撮影した画像データを例えば車内ネットワークを介して表示制御部22に出力する。撮像部4は例えば自動車100の後部において左右方向の中央に配置され、従来のルームミラーで視認できる範囲を撮影しており、電子ミラーシステム5は従来のルームミラーのような後方確認ミラーとして用いられる。撮像部4は自動車100の後部に取り付けられているので、撮像部4によって撮影される画像には、後部座席やピラー等が映り込むことはない。なお、撮像部4は自動車100の後側方を撮影してもよい。撮像部4は、従来のドアミラー、フェンダーミラーで視認できる範囲を撮影してもよく、電子ミラーシステム5を従来のドアミラー、フェンダーミラーの代わりの後方確認ミラーとして用いてもよい。撮像部4は移動体本体110の後部であって移動体本体110の上部位置に取り付けられているが、撮像部4の取付位置は一例であり、撮像部4は所望の範囲を撮影可能な位置に取り付けられていればよい。
本実施形態の表示システム1では、表示デバイス2が表示する画像、つまり表示デバイス2の表示面21から出力される光をハーフミラー40と最終反射部材50とで複数回(本実施形態では例えば2回)反射している。ここで、観察者400から、観察者400によって視認される画像の表示位置までの距離(視距離)は、表示デバイス2の表示面21から反射面51までの光路長、及び、反射光学系B1の焦点距離等で決定される。本実施形態では、表示デバイス2の表示面21から出力される光を2回反射することで、画像の表示位置までの視距離を所望の距離に保ちながら、筐体70(収納室73)の大きさを小さくできる。したがって、観察者400がハーフミラー40を通して反射面51を見る方向において筐体70の小型化を図ることができる。
(2.2)動作
本実施形態の表示システム1及び表示システム1を備える電子ミラーシステム5の動作について以下に説明する。なお、ミラー部材60の状態は、図1に示すように、ミラー部材60が第1位置に配置される第1状態(解除状態)に切り替えられているものとする。
例えば、自動車100のバッテリから電子ミラーシステム5に電力が供給され、自動車100が備えるECU(Electronic Control Unit)から電子ミラーシステム5に動作を開始させる制御信号が入力されると、電子ミラーシステム5が動作を開始する。
自動車100のECUから表示制御部22に動作を開始させる制御信号が入力されると、表示制御部22は、撮像部4に所定のフレームレートで自動車100の後方を撮影させ、撮像部4から撮像画像の画像データを取得する。
表示制御部22は、撮像部4から撮像画像の画像データが入力されると、撮像画像に基づく画像を作成して、表示デバイス2の表示面21に表示させる。
表示デバイス2の表示面21に画像が表示されると、この画像を形成する光は、光路A11と平行な方向に沿って、ハーフミラー40の内側面41に向かって出射される。ハーフミラー40はビームスプリッタであり、ハーフミラー40の内側面41は、表示デバイス2からの入射光の一部を最終反射部材50の反射面51に向かって反射する。反射面51は凹面鏡であり、表示面21の画像を拡大した拡大画像を形成する光をハーフミラー40の内側面41に向かって反射する。ハーフミラー40の内側面41に反射面51で反射された反射光が入射すると、入射光の一部がハーフミラー40を透過して筐体70の外部に出射されるので、観察者400は反射面51によって拡大された画像を見ることができる。よって、観察者400は、反射面51によって拡大された画像をハーフミラー40を介して見ることによって、自動車100の後方の状況を確認できる。
表示デバイス2又は撮像部4等の異常によって表示デバイス2の表示面21に表示される画像に異常が発生した場合、観察者400は、突出片63を上向きに押して、ミラー部材60の状態を、ミラー部材60が第2位置に配置される第2状態(遮蔽状態)に切り替える。第2状態では、図5に示すように、ミラー部材60は、ハーフミラー40と観察者400との間の第2位置に、反射面61を観察者400側に向けた状態で配置される。したがって、ミラー部材60の状態を第2状態に切り替え、筐体70の向きを支持部材72の調整機構によって調整した場合、観察者400は、筐体70の外部(例えば自動車100の後方)から入射する光を反射面61で反射した反射像を見ることができる。よって、表示デバイス2の表示に異常が発生した場合でも、観察者400は、第2状態に切り替えられたミラー部材60を用い、ミラー部材60の反射面61での反射像を見ることによって、自動車100の後方の状況を確認できる。すなわち、表示システム1は、表示デバイス2による表示に異常が発生した場合でも、ミラー部材60を用いて代替の表示を行うことができる。なお、本実施形態でも支持部材72の調整機構によって筐体70の向きを微調整することはあるが、ミラー部材60の状態を第2状態に切り替えることによって、ミラー部材60の反射面61での反射像を観察者400に見せている。したがって、ミラー部材60を使用せず筐体70全体の角度を調整することで、ハーフミラー40を光学式のミラーに代用する場合に比べて、筐体70を傾ける量を小さくできる。よって、筐体70によって観察者400の視界(観察者400の前方の視界)が遮られるのを抑制し、前方の視認性の低下を抑制することができる。
なお、表示システム1は、ミラー部材60が第2位置に配置されている状態を検知するための検知スイッチを更に備えていてもよい。ミラー部材60が第2位置に配置されていることを検知スイッチが検知すると、表示制御部22が、検知スイッチの検知結果に基づいて表示デバイス2の表示を停止させてもよく、表示システム1の消費電力を低減できる。
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
以下、上記の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示における表示システム1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における表示システム1の機能(例えば表示制御部22の機能)が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
(3.1)変形例1
変形例1の表示システム1について図7に基づいて説明する。
変形例1の表示システム1は、ガイド溝77に挿入され、ガイド溝77に沿ってスライド移動するガイド部材78を更に備える点で上記の実施形態と相違する。なお、ガイド部材78以外は上記の実施形態と同様の構成を有しているので、共通する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
本変形例では、第1ガイド溝771及び第2ガイド溝772のそれぞれにガイド部材78が配置されている。ガイド部材78は、例えば合成樹脂の成形品であり、スライド移動する方向の両端面が曲面に形成されている。ガイド部材78には、円柱状の突起64が挿入される丸穴781が形成されており、ガイド部材78に突起64が回転可能な状態で支持されている。
ここで、第1状態では、第1ガイド溝771に挿入されているガイド部材78は、第1ガイド溝771の前端付近に位置し、第2ガイド溝772に挿入されているガイド部材78は、第2ガイド溝772の下端付近に位置している。
ミラー部材60の状態を第2状態に切り替えるために観察者400が突出片63を上側に押すと、第1ガイド溝771の内部をガイド部材78が後方へスライド動作し、第2ガイド溝772の内部をガイド部材78が上方へスライド動作する。また、ガイド部材78のスライド動作に応じて、ガイド部材78に対して突起64が回転動作しており、ガイド部材78のスライド移動と突起64の回転動作とによって、ミラー部材60が第1位置から第2位置へと移動する。
また、ミラー部材60を第2状態から第1状態に切り替えるために観察者400が突出片63を下側に引くと、第1ガイド溝771をガイド部材78が前側に向かってスライド動作し、第2ガイド溝772内をガイド部材78が下側に向かってスライド動作する。また、ガイド部材78のスライド動作に応じて、ガイド部材78に対して突起64が回転動作しており、ガイド部材78のスライド移動と突起64の回転動作とによって、ミラー部材60が第2位置から第1位置へと移動する。
このように、変形例1の表示システム1では、ミラー部材60が第1位置と第2位置との間で移動する場合に、スライド動作を行う部材(ガイド部材78)と、回転動作を行う部材(突起64)とを別々の部材に分けている。変形例1では、ガイド溝77の溝内をスライド移動するガイド部材78は回転動作を行わないので、ガイド部材78のスライド動作がスムーズになり、ミラー部材60を第1位置と第2位置との間でスムーズに移動させることができる。また、突起64は回転動作を行うのみでスライド動作を行わないので、突起64がスライド動作を行うことによって摩耗する可能性を低減できるという利点もある。
(3.2)変形例2
変形例2の表示システム1について図8を参照して説明する。
変形例2の表示システム1は、図8に示すように、ミラー部材60の状態を、第1状態及び第2状態のそれぞれの状態で保持する状態保持部材80を更に備える点で、上記の実施形態と相違する。なお、状態保持部材80以外は上記の実施形態と同様の構成を有しているので、共通する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
本変形例では、状態保持部材80が、例えばミラー部材60に設けられた複数の磁石81を含む。ミラー部材60は平面視の形状が矩形状の平板状であり、ミラー部材60が第1位置に配置されている状態で、ミラー部材60の左右の側面には、前後方向の両端部に永久磁石のような磁石81が複数(例えば4個)取り付けられている。
筐体70の左右の横フード75の内側面には、磁石81の磁力によって吸着される磁性材料(例えば鉄など)の板片82が複数取り付けられている。ここで、複数の板片82は、第1位置にあるミラー部材60の磁石81と対向する4箇所の部位にそれぞれ配置された4つの第1板片821と、第2位置にあるミラー部材60の磁石81と対向する4箇所の部位にそれぞれ配置された4つの第2板片822とを含む。
ミラー部材60が第1位置に配置されている第1状態(解除状態)では、ミラー部材60の4つの磁石81が筐体70の4つの第1板片821をそれぞれ吸着することで、ミラー部材60が第1位置で保持される。
一方、ミラー部材60の突出片63を上側に押して、ミラー部材60を第1位置から移動させると、磁石81が第1板片821から離れることによって、磁石81の磁力による保持状態が解除される。ミラー部材60の突出片63を更に上側に押して、ミラー部材60を第2位置まで移動させると、ミラー部材60の4つの磁石81が筐体70の4つの第2板片822をそれぞれ吸着することで、ミラー部材60が第2位置で保持される。このように、ミラー部材60の四隅に設けられた磁石81が筐体70に設けられた第2板片822を吸着することによって、ミラー部材60が第2状態(遮蔽状態)で保持されるので、自動車100の振動等によるミラー部材60のがたつきを低減できる。
また、第2位置に配置されたミラー部材60の突出片63を下側に引くと、磁石81が第2板片822から離れることによって、磁石81の磁力による保持状態が解除される。磁石81の磁力による保持状態が解除されると、ミラー部材60が自重によって第2位置から第1位置に移動する。そして、ミラー部材60が第1位置まで移動すると、ミラー部材60の4つの磁石81が筐体70の4つの第1板片821を吸着することで、ミラー部材60が第1位置で保持される。このように、第2位置にあるミラー部材60の突出片63を下側に引いて磁石81による保持状態を解除すると、ミラー部材60が自重で第1位置まで移動するので、ミラー部材60の状態を第1状態に切り替える操作を簡単に行うことができる。
なお、筐体70には、ミラー部材60の磁石81が磁力で吸着する磁性材料の板片82が設けられているが、筐体70にはミラー部材60の磁石81が吸着する永久磁石のような磁石が設けられていてもよい。
また、筐体70に磁石81が設けられ、ミラー部材60には磁石81が吸着する板片82が設けられてもよい。すなわち、本変形例において、ミラー部材60及び筐体70の一方に磁石81が設けられ、ミラー部材60及び筐体70の他方には磁石81が吸着する磁性材料の板片又は磁石が設けられてもよい。換言すれば、状態保持部材80は、ミラー部材60と筐体70との少なくとも一方に設けられた磁石81を含み、ミラー部材60の状態が、磁石81の磁力によって、第1状態及び第2状態のそれぞれで保持されればよい。状態保持部材80である磁石81の磁力によって、ミラー部材60の状態が、第1状態及び第2状態のそれぞれで保持されるので、第1状態及び第2状態のそれぞれでミラー部材60の位置ががたつくのを抑制できる。
また、本変形例において、状態保持部材80を構成する磁石81の数及び配置は、ミラー部材60の形状、及びミラー部材60を保持する保持力等に応じて適宜変更が可能である。
また、本変形例において、状態保持部材80に含まれる磁石81は永久磁石に限定されず、電磁石でもよい。状態保持部材80が電磁石を含む場合、電磁石のコイルへの通電を停止することによって、状態保持部材80による保持状態を解除することができる。ここで、例えば図8の表示システム1が筐体70の上下を反転させた状態で使用される場合、状態保持部材80による保持状態が解除されると、ミラー部材60を、ミラー部材60の自重によって第1位置から第2位置へと移動させることができる。この構成によると、電磁石のコイルへの通電を停止するスイッチ(図示せず)を設けることによって、運転者等の観察者400のスイッチ操作により、任意のタイミングでミラー部材60を第1位置(解除状態の位置)から第2位置(遮蔽状態の位置)へと移動させることができる。電磁石のコイルへの通電を停止することによってミラー部材60が第2位置に移動すると、再び電磁石のコイルへの通電が行われるようにしてもよい。これにより、第2位置におけるミラー部材60の、がたつきを抑制できる。
(3.3)変形例3
変形例3の表示システム1について図9を参照して説明する。
変形例3の表示システム1は、状態保持部材80が、ミラー部材60に設けられたボールプランジャ83を含む点で変形例2と相違する。なお、状態保持部材80以外の構成は変形例2又は上記の実施形態と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
ミラー部材60は平面視の形状が矩形状の平板状であり、ミラー部材60が第1位置に配置されている状態で、ミラー部材60の左右の側面には、前後方向の両端部にボールプランジャ83が取り付けられている。
筐体70の左右の横フード75の内側面には、ボールプランジャ83のボール部831が挿入される受け穴84が設けられている。ミラー部材60には複数(例えば4つ)のボールプランジャ83が設けられており、筐体70の左右の横フード75の内側面には、ボールプランジャ83のボール部831がそれぞれ挿入される複数の受け穴84が設けられている。複数の受け穴84は、例えば4つの第1受け穴841と、例えば4つの第2受け穴842とを含む。第1受け穴841には、第1位置にあるミラー部材60のボールプランジャ83が有するボール部831が挿入される。第2受け穴842には、第2位置にあるミラー部材60のボールプランジャ83が有するボール部831が挿入される。すなわち、ミラー部材60の状態が、ボールプランジャ83のボール部831が受け穴84に挿入されることによって、第1状態及び第2状態のそれぞれで保持される。
ここで、ミラー部材60が第1位置に配置されている状態では、ボールプランジャ83のボール部831が筐体70の第1受け穴841に挿入されることで、ミラー部材60が第1位置で保持される。第1状態では、ミラー部材60の四隅にあるボールプランジャ83のボール部831が筐体70の第1受け穴841にそれぞれ挿入されるので、自動車100の振動等でミラー部材60ががたつくのを抑制することができる。
ミラー部材60の突出片63を上側に押して、ミラー部材60を第1位置から移動させると、ボール部831が第1受け穴841の外に出ることで、ボールプランジャ83による保持状態が解除される。ミラー部材60の突出片63を更に上側に押して、ミラー部材60を第2位置まで移動させると、ボールプランジャ83のボール部831が第2受け穴842に挿入されることで、ミラー部材60が第2位置で保持される。このように、ミラー部材60の四隅にあるボールプランジャ83のボール部831が第2受け穴842に挿入されることで、ミラー部材60が第2状態で保持されるので、自動車100の振動等によるミラー部材60のがたつきを低減できる。
また、第2位置に配置されたミラー部材60の突出片63を下側に引くと、ボールプランジャ83のボール部831が第2受け穴842の外に出ることで、ボールプランジャ83によるミラー部材60の保持状態が解除される。ボールプランジャ83による保持状態を解除した後、突出片63を更に下側に引いて、ミラー部材60を第1位置まで移動させると、ボールプランジャ83のボール部831が第1受け穴841に挿入されることでミラー部材60が第1位置で保持される。
なお、本変形例では、ミラー部材60にボールプランジャ83が設けられているが、筐体70にボールプランジャ83が設けられ、ミラー部材60にボールプランジャ83のボール部831が挿入される受け穴84が設けられてもよい。すなわち、本変形例において、ミラー部材60及び筐体70の一方にボールプランジャ83が設けられ、ミラー部材60及び筐体70の他方にボールプランジャ83のボール部831が挿入される受け穴84が設けられていればよい。言い換えると、状態保持部材80は、筐体70とミラー部材60との一方に設けられたボールプランジャ83を含み、筐体70とミラー部材60との他方に、ボールプランジャ83のボール部831が挿入される受け穴84が設けられていればよい。そして、ミラー部材60の状態が、ボール部831が受け穴84に挿入されることによって、第1状態及び第2状態のそれぞれで保持される。
また、本変形例において、状態保持部材80を構成するボールプランジャ83の数及び配置は、ミラー部材60の形状、及びミラー部材60を保持する保持力等に応じて適宜変更が可能である。
なお、変形例2及び3の表示システム1は、磁石81又はボールプランジャ83を含む状態保持部材80を備えているが、ミラー部材60を第1状態及び第2状態で保持する状態保持部材80は磁石及びボールプランジャに限定されない。状態保持部材80は、ミラー部材60及び筐体70の一方に設けられた爪等でもよい。ミラー部材60及び筐体70の一方に設けられた爪を、ミラー部材60及び筐体70の他方に引っ掛けることで、第1状態及び第2状態のそれぞれの状態を保持してもよい。
なお、変形例2及び3では、状態保持部材80が、ミラー部材60の状態を、第1状態及び第2状態のそれぞれの状態で保持しているが、第1状態及び第2状態のうち少なくとも一方の状態(例えば第2状態)で保持してもよい。
(3.4)変形例4
変形例4の表示システム1について図10及び図11を参照して説明する。
変形例4の表示システム1は、図10に示すように、筐体70の左右の横フード75の内側面に突起751が設けられ、ミラー部材60の左右の側面に、突起751が挿入されるガイド溝65が設けられている点で上記の実施形態と相違する。なお、突起751及びガイド溝65以外の構成は上記の実施形態と同様であるので、上記の実施形態と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
ミラー部材60のガイド溝65には筐体70に設けられた突起751が挿入されており、ミラー部材60は、ガイド溝65に突起751が挿入された状態で、筐体70に対してスライド動作及び回転動作を行うことができる。ミラー部材60が第1位置に配置されている状態で、ミラー部材60の下面の前端部には下向きに突出する突出片63A(図11参照)が設けられている。また、筐体70の左右の横フード75の内側面には、ミラー部材60をガイドする2つのガイド突起752が上下方向に沿って形成されている。なお、筐体70において第1位置に配置されたミラー部材60の下側は開放されており、ミラー部材60の下側には下フード76は設けられていない。
図11に示すように、ミラー部材60が第1位置に配置された第1状態では、突起751がガイド溝65の溝内の右端付近に位置している。ミラー部材60が第1位置に配置されると、変形例2又は3で説明した状態保持部材80によってミラー部材60が第1位置に配置された第1状態が保持されている。
ミラー部材60を第1状態から第2状態に切り替える場合、表示システム1のユーザ(例えば観察者400)は突出片63Aを下向きに引っ張り、突起751を中心にミラー部材60を反時計回り(矢印A1の方向)に回転させる。その後、観察者400は突出片63Aを持ち、ミラー部材60を上方(矢印A2の方向)に移動させる。このとき、突起751がガイド溝65に挿入された状態で、ミラー部材60がガイド突起752にガイドされながら、第2位置まで移動する。そして、ミラー部材60が第2位置に移動した状態では、変形例2又は3で説明した状態保持部材80によりミラー部材60が第2位置に配置された第2状態が保持さる。
上記の実施形態及び変形例4の表示システム1では、筐体70とミラー部材60との一方には突起64又は751が設けられ、筐体70とミラー部材60との他方には、突起64又は751が挿入されるガイド溝77又は65が設けられている。そして、ガイド溝77又は65の内部で突起64又は751の位置が変化することによって、ミラー部材60の状態が第1状態と第2状態とのいずれかに切り替えられる。このように、ガイド溝77又は65に沿って突起64又は751の位置が変化することで、ミラー部材60の状態が第1状態と第2状態とのいずれかに切り替えられるので、ミラー部材60をスムーズに移動させることができる。
(3.5)変形例5
変形例5の表示システム1について図12を参照して説明する。
変形例5の表示システム1は、図12に示すように、ミラー部材60を第1位置と第2位置との間で移動させるアクチュエータ6を更に備える点で上記の実施形態と相違する。なお、上記の実施形態と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
本変形例では、横フード75の内部に例えば第1ガイド溝771に沿ってウォームギア611が配置されている。ウォームギア611は回転可能な状態で配置されている。ウォームギア611の一端は収納室73の内部に挿入されている。アクチュエータ6は例えば電動のモータを含み、ウォームギア611の一端はモータの出力軸に連結されている。また、収納室73には、モータ(アクチュエータ6)を制御する制御回路7が収容されている。
ウォームギア611の一部は第1ガイド溝771の溝内に露出しており、第1ガイド溝771の内部に挿入される第1突起641の周面にはピニオンギアが形成されている。第1突起641が第1ガイド溝771の溝内に挿入された状態では、第1ガイド溝771内に配置されているウォームギア611と、第1突起641に設けられたピニオンギアとが組み合わさっている。
ここで、第1突起641はミラー部材60に対して固定的に設けられており、制御回路7がアクチュエータ6を制御してウォームギア611を回転させると、ウォームギア611の回転に応じて、第1突起641が第1ガイド溝771内を移動する。そして、第1突起641が第1ガイド溝771内を移動することによって、ミラー部材60が第1位置と第2位置との間で移動する。
制御回路7は、例えば表示デバイス2又は表示制御部22等から、表示デバイス2による表示の異常を示す異常信号が入力されると、モータ(アクチュエータ6)を制御してミラー部材60を第1位置から第2位置に移動させる。これにより、表示デバイス2による表示に異常が発生した場合、ミラー部材60が第2位置に配置されるので、観察者400は、ミラー部材60の反射面61に映る反射像を見ることができる。よって、表示システム1は、表示デバイス2による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能になる。
なお、制御回路7は、例えば表示デバイス2又は表示制御部22等から、表示デバイス2による表示が復旧したことを示す通知信号が入力されると、モータ(アクチュエータ6)を制御してミラー部材60を第1位置に移動させてもよい。これにより、表示デバイス2による表示が復旧した場合、観察者400は、表示デバイス2が表示した画像を反射光学系B1を介して見ることができる。
なお、本変形例では、モータがウォームギア611を回転させることでミラー部材60を移動させているが、モータがミラー部材60を移動させる機構は適宜変更が可能である。例えば、ミラー部材60に一端が接続されたワイヤの巻き取り及び送り出しを行う回転ドラムをモータで回転させることで、ミラー部材60を第1位置と第2位置との間で移動させてもよい。また、アクチュエータ6は、モータに限定されず、ミラー部材60を第1位置から第2位置まで移動させる機構を駆動するソレノイド等でもよい。
(3.6)変形例6
上記の実施形態では、ハーフミラー40を蒸着タイプのビームスプリッタとしているが、ハーフミラー40は蒸着タイプのビームスプリッタに限定されない。図13に示すように、表示デバイス2を液晶パネルとし、表示面21上にλ/4位相差フィルム(第1のλ/4位相差フィルム)23を配置した上で、ハーフミラー40Aを、平面ガラス42上にワイヤーグリッドなどの反射型偏光素子43とλ/4位相差フィルム44とを積層した構成としてもよい。λ/4位相差フィルム23は、液晶パネルからλ/4位相差フィルム23に入射する入射光と、λ/4位相差フィルム23を透過してλ/4位相差フィルム23から出射する出射光との間に、電界振動方向において4分の1波長の位相差を発生させる。
すなわち、図13に示すハーフミラー40Aは、反射型偏光フィルム(反射型偏光素子43)とλ/4位相差フィルム44(第2のλ/4位相差フィルム)との積層構造を有している。反射型偏光素子43は、所定の振動方向の光を透過する。λ/4位相差フィルム44は、ハーフミラー40における入射光と出射光との間に電界振動方向において4分の1波長の位相差を発生させる。ここで、ハーフミラー40Aを構成する反射型偏光素子43は、例えばS偏光を反射し、P偏光を透過するような偏光素子である。
このような構成を採用した場合、表示面21から出射したP偏光は、表示面21上のλ/4位相差フィルム23によって円偏光に変換され、その後反射型偏光素子43上のλ/4位相差フィルム44によってS偏光に変換される。S偏光の光は反射型偏光素子43でほとんどの光線が反射され、その反射光は反射型偏光素子43上のλ/4位相差フィルム44によって円偏光に変換される。円偏光の光は最終反射部材50で反射された後、再び反射型偏光素子43上のλ/4位相差フィルム44に入射してP偏光に変換される。P偏光の光は反射型偏光素子43でほとんどの光線が透過し、その透過光は観察者400の目401に到達する。このような構成により蒸着タイプのビームスプリッタに比べて表示デバイス2からの光を効率よく観察者400の目401に到達させることができる。
なお、本変形例において、遮光部材8として光学ミラーに代えて液晶ミラー等の液晶が用いられる場合には、次のような構成を採用することが好ましい。遮光部材8が液晶ミラーである場合、液晶ミラーは例えばハーフミラー40と観察者400との間の光路上に配置される。液晶ミラーにおける光の透過率は、印加電圧に応じて変化する。より詳細には、液晶ミラーにおいて、少なくとも可視光の透過率が、印加電圧に応じて変化する。すなわち、液晶ミラーは、印加電圧に応じて、可視光の一部を遮蔽する遮蔽状態と、可視光の遮蔽を解除する解除状態と、のうちいずれか一方の状態を取り得る。遮蔽状態は、液晶ミラーでの可視光の透過率が比較的小さい状態である。解除状態は、液晶ミラーでの可視光の透過率が遮蔽状態に比べて比較的大きい状態である。ここで、液晶ミラーが解除状態の場合は、ハーフミラー40での反射光の偏光方向が、液晶ミラーに到達する際に、液晶ミラーの分子配列の方向に沿うように、ハーフミラー40及び表示面21上のλ/4位相差フィルム44,23を含む反射光学系B1を設計すればよい。また、液晶ミラーが遮蔽状態の場合は、液晶ミラーに到達する際の光の偏光方向が、液晶ミラーの分子配列の方向と交差するように、ハーフミラー40及び表示面21上のλ/4位相差フィルム44,23を含む反射光学系B1を設計すればよい。
(3.7)変形例7
上記の実施形態及び変形例1〜6において、反射光学系B1が、中間反射部材90を更に含んでもよい。図14は変形例7の表示システム1の概略的な説明図である。なお、反射光学系B1以外の構成は実施形態1と同様であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
変形例7の表示システム1は、中間反射部材90と最終反射部材50とを含む反射光学系B1を有している。
表示デバイス2は、収納室73の下部に、表示面21を上側に向けた状態で収容されている。
中間反射部材90は、例えば平面鏡であり、収納室73の上部に、反射面91を下側に向けた状態で配置されている。中間反射部材90は、表示デバイス2の表示面21から出射した光をハーフミラー40に向かって反射する。すなわち、変形例7の表示システム1では、反射光学系B1が、表示デバイス2の表示面21から出射した光をハーフミラー40に向かって反射する中間反射部材90を、更に備えている。なお、中間反射部材90は平面鏡に限定されず、凹面鏡でも凸面鏡でもよいし、フレネルミラーで構成されていてもよい。
最終反射部材50は、例えば凹面鏡である。最終反射部材50は、反射面51を後側に向けた状態で収納室73の前部に配置されている。
変形例7では、反射光学系B1が中間反射部材90と最終反射部材50とを有しており、表示デバイス2の表示面21から出射された光は、中間反射部材90の反射面91に入射し、この反射面91によってハーフミラー40に向かって反射される。ハーフミラー40に入射した光は、ハーフミラー40によって反射されて、最終反射部材50に入射する。最終反射部材50は、入射光をハーフミラー40に向かって反射し、ハーフミラー40が入射光の一部を透過して、観察者400の目に入射させる。
なお、変形例7では中間反射部材90の数が1つであるが、中間反射部材90の数は1つに限定されず、適宜変更が可能である。
また、上記の実施形態及び変形例1〜6では、反射光学系B1がハーフミラー40を含んでいるが、反射光学系B1が、ハーフミラー40を含むことは必須ではない。ハーフミラー40に代えて筐体70に透明カバーを取り付け、筐体70の内部に表示デバイス2からの光を最終反射部材50に向かって反射する中間反射部材を配置し、最終反射部材50での反射光を透明カバーを通して外部に出力させてもよい。
(3.8)その他の変形例
上記の実施形態において、表示デバイス2が収納室73の上側に配置されているが、表示デバイス2が収納室73の下側に配置されていてもよい。
この場合、表示デバイス2、ハーフミラー40、最終反射部材50、及びミラー部材60の配置は、図1の配置を上下反転させたような配置となる。ハーフミラー40は、上端に比べて下端の方が後方に突出するように斜めに配置され、ミラー部材60は、第1状態ではハーフミラー40の上側に配置される。
ミラー部材60が第1位置に配置された第1状態において、突出片63を操作してミラー部材60を第1位置から移動させると、ミラー部材60は自重で第2位置へと移動する。換言すると、操作部(突出片63)を用いてミラー部材60が第1位置から動かされると、ミラー部材60の状態が、ミラー部材60の自重によって第1状態から第2状態に切り替わる。これにより、表示デバイス2による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能な表示システム1を提供することができる。また、ミラー部材60の状態を第1状態から第2状態に切り替える操作を簡単に行うことができる。
上記実施形態及び変形例の電子ミラーシステム5は、自動車100に適用されるものに限らず、例えば、二輪車、電車、航空機、建設機械、及び船舶等、自動車100以外の移動体にも適用可能である。
(実施形態2)
実施形態2の表示システム1について図15〜図17を参照して説明する。
実施形態2の表示システム1は、2以上の反射部材3が、表示デバイス2の表示面21から出射した光をハーフミラー40に向かって反射する中間反射部材90を更に含む点で上記の実施形態1と相違する。なお、中間反射部材90以外の構成は上記の実施形態1と同様であるので、実施形態1と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
実施形態2では、2以上の反射部材3が、中間反射部材90と、ハーフミラー40と、最終反射部材50とを含んでいる。すなわち、反射光学系B1が、中間反射部材90と、ハーフミラー40と、最終反射部材50とを含んでいる。筐体70の収納室73には、中間反射部材90と、ハーフミラー40と、最終反射部材50とが収容れている。また、図15〜図17では図示を省略しているが、収納室73の内部には表示制御部22も収容されている。
実施形態2では、収納室73の上側に、表示デバイス2が表示面21を下側に向けた状態で配置されている。中間反射部材90は、例えば平面鏡であり、収納室73の下側に、反射面91を上側に向けた状態で配置されている。ハーフミラー40は、筐体70の後壁71に設けられた貫通孔74に取り付けられている。最終反射部材50は、収納室73の前側に、反射面51を後側に向けた状態で配置されている。ここで、ハーフミラー40は、ハーフミラー40の上端に比べて下端の方が後側に突出するように斜めに配置されている。
図15〜図17では、表示デバイス2の表示面21の中心付近から出射された光が、ハーフミラー40を透過して筐体70の外部に出射するまでの光路A41〜A45を点線で示している。また、図17では、筐体70の外部からミラー部材60の中心付近に入射した光がミラー部材60で反射される場合の光路A51〜A52を二点鎖線で示している。なお、図15〜図17において、光の光路A41〜A45,A51〜A52を示す線は説明のために図示しているに過ぎず、実際には表示されない。
本実施形態では、図15に示すように、表示デバイス2から出射された光を中間反射部材90とハーフミラー40とで反射させた後、最終反射部材50によりハーフミラー40に向かって反射させ、ハーフミラー40を透過させて外部に出射させている。このような光路A41〜A45を形成するため、表示デバイス2は、表示面21の法線方向に対して斜め方向(光路A41の方向)に光を出射している。本実施形態では、表示デバイス2の表示面21から出力される光を3回反射しているので、画像の表示位置までの視距離を所望の距離に保ちながら、筐体70(収納室73)の更なる小型化を実現できる。
ミラー部材60の左右の側縁には、実施形態1と同様に、円柱状の突起64が複数(例えば4個)設けられている。本実施形態では、複数の突起64は、第1位置にあるミラー部材60の左右の側面の前側に設けられた第1突起641と、第1位置にあるミラー部材60の左右の側面の後側に設けられた第2突起642とを含む。また、第1位置にあるミラー部材60の後端部には、斜め下向きに突出する突出片(操作部)が一体に設けられている。なお、図15〜図17では突出片の図示を省略している。
また本実施形態では、筐体70には、後壁71の左右の両側縁から後方に突出する横フード75と、後壁71の上側縁から後方に突出する上フード79とが、筐体70と一体に設けられている。ここで、横フード75と上フード79とは一体的に設けられている。
ミラー部材60は、第1位置(図15に示す位置)と第2位置(図17に示す位置)との間で移動可能な状態で筐体70に取り付けられている。第1位置は、筐体70の上フード79の下側に、上フード79と平行するようにミラー部材60が配置される位置である。第2位置は、ハーフミラー40と観察者400との間にミラー部材60が配置される位置である。第2位置は、ハーフミラー40を透過して観察者400の目401に入射する光の光路A45に対して、ミラー部材60の表面が90度に近い角度で交差するようにミラー部材60が配置される位置である。ここで、ミラー部材60は、横フード75と上フード79とハーフミラー40とで囲まれる空間に配置されている。すなわち、ミラー部材60は、筐体70の投影範囲内に収まるように筐体70に保持(内蔵)されているので、筐体70を大型化することなくミラー部材60を配置することができる。
ミラー部材60の片側の面(第2位置に配置された状態で、ハーフミラー40と反対側、つまり観察者400側を向く面)は、少なくとも可視光領域の光を反射する反射面61となっている。また、ミラー部材60において、反射面61と反対側の面は、反射面61に比べて可視光領域の光の反射率が低い遮光面62となっている。
筐体70には、左右の横フード75の内側面に、ミラー部材60の複数の突起64がそれぞれ挿入される複数のガイド溝77が設けられている。本実施形態では、複数のガイド溝77は、ミラー部材60の第1突起641が挿入される第1ガイド溝773と、ミラー部材60の第2突起642が挿入される第2ガイド溝774とを含む。第1ガイド溝773は、横フード75の内側面に前後方向に沿って設けられている。第2ガイド溝774は、横フード75の内側面に、第1ガイド溝773と交差する方向に沿って設けられている。
図15に示すように、ミラー部材60が第1位置に存在する第1状態(解除状態)では、第1突起641は第1ガイド溝773の溝内の前端付近に位置し、第2突起642は第2ガイド溝774の溝内の上端付近に位置している。ミラー部材60は、上フード79の下側に上フード79の下面に沿って配置されており、ハーフミラー40を透過して観察者400の目401に入射する光の光路外に配置される。したがって、ミラー部材60の状態が第1状態である場合には、観察者400は、表示デバイス2の表示面21に表示される画像(第1画像)を、反射光学系B1で反射することによって拡大され遠視点化された画像(第2画像)を見ることができる。なお、ミラー部材60が第1位置に配置される状態では、上記の変形例2又は3で説明した状態保持部材80によって、ミラー部材60が第1状態で保持される。
第1状態にあるミラー部材60の突出片を観察者400が下向きに引くと、図16に示すように、第1突起641が第1ガイド溝773の内部を後方に移動し、第2突起642が第2ガイド溝774の内部を下方に移動する。ここで、第1突起641及び第2突起642はそれぞれ第1ガイド溝773及び第2ガイド溝774内で回転動作を行いながらスライド動作を行うことで、ミラー部材60は全体として回転動作を行いながら第2位置に向かって移動する。なお、第1状態にあるミラー部材60の突出片を下向きに引くことで、ミラー部材60を第1位置から移動させると、ミラー部材60は、ミラー部材60の自重によって第1位置から第2位置へと移動する。したがって、ミラー部材60の状態を第1状態から第2状態に切り替える操作を簡単に行うことができる。
そして、ミラー部材60の状態が第2状態に切り替えられると、図17に示すように、第1突起641が第1ガイド溝773の溝内の後端付近に位置し、第2突起642が第2ガイド溝774の溝内の下端付近に位置する。第2状態では、ミラー部材60は、反射面61をハーフミラー40と反対側(つまり観察者400)に向けた状態で、上下方向に沿って配置される。この場合、観察者400から見てハーフミラー40のほぼ全体がミラー部材60によって覆われており、観察者400は、筐体70の外部(例えば自動車100の後方)からの光を反射面61で反射した反射像を見ることができる。なお、ミラー部材60が第2位置に配置された状態では、ハーフミラー40を透過した光がミラー部材60の遮光面62で遮光されるので、観察者400は、表示デバイス2の表示面21に表示される画像を見ることはできない。したがって、表示デバイス2又は撮像部4等の故障によって、表示デバイス2の表示が異常になった場合、観察者400は、ミラー部材60の状態を第2状態とすることで、反射面61で反射された反射像を見ることができる。なお、ミラー部材60が第2位置に配置されると、上記の変形例2又は3で説明した状態保持部材80によって、ミラー部材60が第2状態で保持される。
また、ミラー部材60の状態を第2状態から第1状態に切り替える場合、ユーザ(例えば観察者400)はミラー部材60の突出片を上向きに押す。突出片が上向きに押されると、第1突起641が第1ガイド溝773の溝内を前側に移動し、第2突起642が第2ガイド溝774の溝内を上側に移動することによって、ミラー部材60の状態が第2状態から第1状態に切り替えられる。ミラー部材60の状態が第1状態に切り替えられることによって、観察者400は、表示デバイス2の表示面21の画像(第1画像)が反射光学系B1によって拡大反射された反射像(第2画像)を見ることができる。
本実施形態では、第1状態において、ミラー部材60が上フード79の下側に、遮光面62を下向きにして配置されているので、筐体70の外部から遮光面62に入射した光が遮光面62で反射されてハーフミラー40に映り込むのを抑制できる。また、第1状態では、ミラー部材60が上フード79の下側に、遮光面62を下向きにして配置されているので、遮光面62に埃等が溜まりにくくなるという利点がある。
なお、本実施形態において、中間反射部材90(第1の中間反射部材)に代えて、ハーフミラー40での反射光を最終反射部材50に向かって反射する第2の中間反射部材を備えてもよい。第2の中間反射部材は、収納室73の下側に反射面を上側に向けて配置される。この場合、表示デバイス2から出射された光は、まずハーフミラー40で第2の中間反射部材に向けて反射される。この反射光は、第2の中間反射部材で最終反射部材50に向けて反射される。さらに、最終反射部材50での反射光はハーフミラー40に至り、ハーフミラー40を透過して外部に出射する。このように、本実施形態において、反射光学系B1を構成する反射部材の数及び配置は適宜変更が可能である。
また、実施形態2では、表示デバイス2が収納室73の上側に配置されているが、表示デバイス2が収納室73の下側に配置されていてもよい。
この場合、表示デバイス2、中間反射部材90、ハーフミラー40、最終反射部材50、及びミラー部材60の配置は、図15の配置を上下反転させたような配置となる。ハーフミラー40は、下端に比べて上端の方が後方に突出するように斜めに配置され、ミラー部材60は、第1状態ではハーフミラー40の下側に配置される。
また、実施形態1及び実施形態2では、ハーフミラー40を蒸着タイプのビームスプリッタとしているが、ハーフミラー40は蒸着タイプのビームスプリッタに限定されない。表示デバイス2を液晶パネルとし、表示面21上にλ/4位相差フィルムを配置した上で、ハーフミラー40を、平面ガラス上にワイヤーグリッドなどの反射型偏光素子(反射型偏光フィルム)とλ/4位相差フィルムとを積層した構成としてもよい。ここで、ハーフミラー40を構成する反射型偏光素子は、例えばS偏光を反射し、P偏光を透過するような偏光素子である。このような構成を採用した場合、表示面21から出射したP偏光は、表示面21上のλ/4位相差フィルムによって円偏光に変換され、その後反射型偏光素子上のλ/4位相差フィルムによってS偏光に変換される。S偏光の光は反射型偏光素子でほとんどの光線が反射され、その反射光は反射型偏光素子上のλ/4位相差フィルムによって円偏光に変換される。円偏光の光は最終反射部材50で反射された後、再び反射型偏光素子上のλ/4位相差フィルムに入射してP偏光に変換される。P偏光の光は反射型偏光素子でほとんどの光線が透過し、その透過光は観察者400の目401に到達する。このような構成により蒸着タイプのビームスプリッタに比べて表示デバイス2からの光を効率よく観察者400の目401に到達させることができる。
なお、実施形態2では中間反射部材90の数が1つであるが、中間反射部材90の数は1つに限定されず、適宜変更が可能である。また、中間反射部材90は平面鏡に限定されず、凹面鏡でも凸面鏡でもよいし、フレネルミラーで構成されていてもよい。
(実施形態3)
実施形態3の表示システム1について図18〜図19を参照して説明する。
上述した実施形態1又は2の表示システム1では、遮光部材8であるミラー部材60が筐体70の収納室73の外側に筐体70と分離できない状態で保持されているのに対して、本実施形態では、遮光部材8であるミラー部材60Aが筐体70の内部に収容されている。なお、ミラー部材60Aが筐体70の内部に収容されている点を除いては表示システム1の構成は上記の実施形態2と同様であるので、実施形態2と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。なお、図18では、表示デバイス2の表示面21の中心付近から出射された光が、ハーフミラー40を透過して筐体70の外部に出射するまでの光路A41〜A44を点線で示している。また、図19では、筐体70の外部からミラー部材60Aの中心付近に入射した光がミラー部材60Aで反射される場合の光路A51〜A52を点線で示している。なお、図18及び図19において、光の光路A41〜A44,A51〜A52を示す線は説明のために図示しているに過ぎず、実際には表示されない。
表示システム1は、表示デバイス2と、反射光学系B1と、遮光部材8であるミラー部材60Aと、ミラー部材60Aを解除状態及び遮蔽状態のいずれかの状態で保持する保持構造200と、筐体70と、を備えている。
表示デバイス2は、収納室73の上部に、表示面21を下側に向けた状態で収容されている。
反射光学系B1は、平面鏡のような中間反射部材90と、ハーフミラー40と、最終反射部材50とを含む。
筐体70には、遮光部材8として、一方の面が反射面61Aである板状のミラー部材60Aが設けられている。
保持構造200は、ミラー部材60Aを保持するとともに、最終反射部材50を更に保持する。
この保持構造200は、最終反射部材50及びミラー部材60Aを、ミラー部材60Aの反射面61Aと最終反射部材50の反射面51とを互いに反対側に向けた状態で、筐体70に対して回転可能な状態で保持している。
保持構造200が、最終反射部材50の反射面51がハーフミラー40と対向する回転位置(図18に示す位置)に、最終反射部材50及びミラー部材60Aを回転させた状態が、最終反射部材50への入射光及び最終反射部材50での反射光を遮蔽しない解除状態となる。解除状態では、ミラー部材60Aは、最終反射部材50に対してハーフミラー40と反対側の位置であって、最終反射部材50とハーフミラー40との間の光路から外れた位置に配置されている。そして、解除状態では、最終反射部材50の反射面51が、ハーフミラー40から入射した光を、観察者400の目401に向かって反射することによって、観察者400は、表示デバイス2の表示面21に表示された画像(第1画像)に基づく画像(第2画像)を視認することができる。
一方、保持構造200が、図18に示す回転位置から180度回転した回転位置(図19に示す位置)に、最終反射部材50及びミラー部材60Aを回転させた状態が、最終反射部材50への入射光を遮蔽する遮蔽状態となる。ここで、ミラー部材60Aの反射面61Aの中心点P1における法線L1と、最終反射部材50の反射面51の中心点P2における法線L2とが非平行になるように、保持構造200が最終反射部材50及びミラー部材60Aを保持している。なお、反射面の中心点における法線とは、反射面の中心点を通り、かつ反射面の中心点における接線と直交する線である。なお、ここでいう「直交」とは、線又は面に対して直角に交差していることに限定されず、人の目で見てほぼ直交しているとみなせるのであれば、直交方向から多少(数度程度)ずれていてもよい。
遮蔽状態では、ハーフミラー40と最終反射部材50との間の光路上にミラー部材60Aが配置される。遮蔽状態では、表示デバイス2の表示面21から光が出射した場合、この光は中間反射部材90とハーフミラー40とで反射された後にミラー部材60Aに入射するため、ミラー部材60Aによって最終反射部材50への入射光が遮蔽される。また、ミラー部材60Aの反射面61Aの法線L1と、最終反射部材50の反射面51の法線L2とは非平行になっているので、表示デバイス2から中間反射部材90とハーフミラー40とを介してミラー部材60Aに入射する光は、ミラー部材60Aによって観察者400の目401の方向とは異なる方向に反射される。つまり、ミラー部材60Aが、表示デバイス2の表示面21から出射された光を観察者400の目401の方向とは異なる方向に反射することで、観察者400が表示デバイス2に表示された画像(第1画像)に基づく画像(第2画像)を視認できない、つまり表示デバイス2に表示される画像が観察者400に対して遮蔽された状態となる。なお、制御回路7が、アクチュエータ6を用いてミラー部材60Aを観察者400と対向する位置に回転させた状態では、表示制御部22が、例えば制御回路7からの遮蔽状態を通知する信号を受けて、表示デバイス2の表示を停止させるのが好ましい。
上述のように、遮蔽状態では、表示デバイス2の表示面21から出射した光は中間反射部材90とハーフミラー40とで反射された後にミラー部材60Aに入射し、ミラー部材60Aによって観察者600の目401の方向とは異なる方向に反射される。つまり、ミラー部材60Aが、表示デバイス2の表示面21から中間反射部材90とハーフミラー40とを介して入射した光を、観察者600の目401の方向とは異なる方向に反射することで、観察者400が表示デバイス2の表示面21に表示された画像に基づく画像を見えない遮蔽状態としている。そして、遮蔽状態では、筐体70の外部からハーフミラー40を介してミラー部材60Aに入射した光が、ミラー部材60Aによって観察者400の目401の方向に反射されるので、観察者400は、筐体70の外部からの光を反射面61で反射した反射像を視認することができる。
なお、本実施形態では、保持構造200が、筐体70に対して回転可能な状態で保持された回転体210を含んでおり、回転体210には最終反射部材50とミラー部材60Aとが保持されている。回転体210は、回転軸211を中心に、第1回転位置と第2回転位置との間で回転可能に設けられている。第1回転位置は、図18に示すように、解除状態において観察者400に最終反射部材50の反射面51を対向させる位置である。第2回転位置は、図19に示すように、遮蔽状態において観察者400にミラー部材60Aの反射面61Aを対向させる位置である。回転軸211の軸方向から見た回転体210の形状は台形状であり、一方の取付面212には最終反射部材50が取り付けられ、他方の取付面213にはミラー部材60Aが取り付けられている。ここで、最終反射部材50は凹面鏡であるので、最終反射部材50が取り付けられる取付面212は最終反射部材50のカーブに合わせた曲面に形成されている。回転体210は、ミラー部材60Aの反射面61Aの中心点P1における法線L1と、最終反射部材50の反射面51の中心点P2における法線L2とが非平行となる状態で、ミラー部材60Aと最終反射部材50とを保持している。この回転体210は、筐体70の収納室73に収容されたアクチュエータ6(例
えばモータ)によって駆動される。また、収納室73には、アクチュエータ6を制御する制御回路7が収容されている。すなわち、表示システム1は、回転体210を第1回転位置と第2回転位置との間で移動させるアクチュエータ6を更に備えている。
ここで、制御回路7は、例えば表示デバイス2又は表示制御部22等から、表示デバイス2による表示が正常であることを示す信号が入力されている場合、アクチュエータ6を制御して回転体210を第1回転位置に回転させる。回転体210が第1回転位置に回転した状態では、表示デバイス2の表示面21から出射した光は、中間反射部材90とハーフミラー40とで反射された後に最終反射部材50に入射される。最終反射部材50は、ハーフミラー40から入射した光を、ハーフミラー40に向かって反射する。最終反射部材50での反射光の一部はハーフミラー40を透過して観察者400の目401に入射されるので、観察者400は、表示デバイス2の表示面21に表示された画像に基づく画像を視認することができる。なお、自動車100の後方からハーフミラー40を透過して最終反射部材50の反射面51に入射した光は、反射面51によって観察者400の目401(アイボックス)の方向とは異なる方向に反射されるので、観察者400の目401に外乱光が入るのを抑制できる。
一方、制御回路7は、例えば表示デバイス2又は表示制御部22等から、表示デバイス2による表示が異常であることを示す異常信号が入力されると、モータ(アクチュエータ6)を制御して回転体210を第2回転位置に回転させる。なお、表示制御部22は、表示デバイス2による表示が異常になると、表示デバイス2の表示を停止させており、表示デバイス2の表示面21から光が出力されない状態となる。回転体210が第2回転位置に回転した状態では、筐体70の外部(例えば自動車100の後方)からハーフミラー40を介してミラー部材60Aの反射面61Aに入射した光が、ミラー部材60Aの反射面61Aによって観察者400の目401に向かって反射される。したがって、観察者400は、ミラー部材60Aの反射面61Aに映った反射像を視認することができる。
ここで、本実施形態では、ミラー部材60Aの反射面61Aの中心点P1における法線L1と、最終反射部材50の反射面51の中心点P2における法線L2とが非平行になるように回転体210に保持されている。したがって、最終反射部材50での反射光が観察者400に向かって反射される位置に回転体210が位置している状態から、回転体210を180度回転させると、ミラー部材60Aでの反射光を観察者400に向かって反射させることができる。したがって、本実施形態では、回転体210を180度回転させるごとに、解除状態と遮蔽状態とを交互に切り替えることができる。このように、解除状態に切り替える場合と遮蔽状態に切り替える場合とで回転体210の回転角度が同じ角度であるので、解除状態及び遮蔽状態のそれぞれで回転体210の位置を保持する状態保持部材を共通化できるという利点がある。また、表示システム1は、回転体210を第1回転位置と第2回転位置との間で移動させるアクチュエータ6を更に備えているので、アクチュエータ6を用いて解除状態と遮蔽状態とを切り替えることができる。
なお、本実施形態では、ミラー部材60Aの反射面61Aの中心点P1における法線L1と、最終反射部材50の反射面51の中心点P2における法線L2とが非平行になるように回転体210に保持されているが、保持構造200の構成は適宜変更が可能である。
例えば、図20に示すように、回転体210は、ミラー部材60Aの反射面61Aと最終反射部材50の反射面51とが互いに反対側を向き、かつ、ミラー部材60Aの反射面61Aの中心点P1における法線L1と、最終反射部材50の反射面51の中心点P2における法線L2とが平行となる状態で、ミラー部材60Aと最終反射部材50とを保持してもよい。なお、ここでいう「平行」とは、線又は面に対して完全に平行な状態に限定されず、人の目で見てほぼ平行であるとみなせるのであれば、平行な状態から多少(数度程度)ずれていてもよい。
ここで、制御回路7がアクチュエータ6を制御して回転体210を一方向(右回り又は左回り)に回転させる場合に、解除状態から遮蔽状態に切り替える場合と、遮蔽状態から解除状態に切り替える場合とで互いに異なる角度で回転体210を回転させている。つまり、第1回転位置(解除状態の位置)と第2回転位置(遮蔽状態の位置)との間で回転体210が回転する角度が180度以外の所定の角度である。このように、解除状態から遮蔽状態に切り替える場合の回転体210の回転角度と、遮蔽状態から解除状態に切り替える場合の回転体210の回転角度とを異なる角度とすることで、解除状態での最終反射部材50の反射面51の中心点P2における法線L2に沿う方向と、遮蔽状態でのミラー部材60Aの反射面61Aの中心点P1における法線L1に沿う方向とを異なる方向とすることができる。
これにより、解除状態では、表示デバイス2の表示面21からの出射光を中間反射部材90とハーフミラー40とで反射した光は、最終反射部材50によって観察者400の方向に反射されるので、観察者400は、表示デバイス2に表示された画像(第1画像)に基づく画像(第2画像)を視認することができる。一方、遮蔽状態では、筐体70の外部(例えば自動車100の後方)からハーフミラー40を通ってミラー部材60Aの反射面61Aに入射した光が、反射面61Aによって観察者400の方向に反射されるので、観察者400は、反射面61Aによる反射像(自動車100の後方の画像)を視認することができる。なお、遮蔽状態では表示デバイス2が発光を停止しているが、仮に表示デバイス2の表示面21から光が出射している場合でも、この出射光は中間反射部材90とハーフミラー40とで反射された後、ミラー部材60Aの反射面61Aによって観察者400(アイボックス)の方向とは異なる方向に反射されることになり、観察者400の目401に入射されることはない。
なお、本実施形態では、回転体210に最終反射部材50と遮光部材8とが保持されているが、回転体210は必須の構成ではなく、適宜省略可能である。保持構造200は、最終反射部材50及び遮光部材8の各々を別個に筐体70に対して回転可能な状態で筐体70に直接取り付けてもよい。
また、本実施形態では、回転体210に、最終反射部材50と、遮光部材8であるミラー部材60Aとが保持されているが、回転体210には、1以上の別のミラー部材が更に保持されていてもよい。なお、以下では、遮光部材8であるミラー部材60Aを第1ミラー部材と言い、遮光部材8であるミラー部材60A以外の別のミラー部材を第2ミラー部材と言う場合もある。
例えば、図21は、最終反射部材50及び第1ミラー部材60Aの他に、1つの第2ミラー部材320を保持する回転体210の一例を示している。第2ミラー部材320は、例えば第1ミラー部材60Aに比べて反射率が低い平面の防眩ミラーである。ここで、第2ミラー部材320(別のミラー部材)の反射面321の中心点P3における法線L3は、最終反射部材50の反射面51の中心点P2における法線L2、及び、第1ミラー部材(ミラー部材)60Aの反射面61Aの中心点P1における法線L1の各々に対して非平行である。なお、第2ミラー部材320は平面の防眩ミラーに限定されず、広角の視野が得られる凸面鏡であってもよい。
ここで、回転軸211の軸方向から見た回転体210の形状は台形状であり、回転軸211に沿った4つの面のうち、平行2平面のうちの一面(例えば小さい方の面)を除いた3つの面212〜214に、最終反射部材50と第1ミラー部材60Aと第2ミラー部材320とが取り付けられている。ここで、回転体210には、最終反射部材50と第2ミラー部材320との間に第1ミラー部材60Aが配置されるように、最終反射部材50と第1ミラー部材60Aと第2ミラー部材320とが取り付けられている。
この表示システム1では、解除状態では最終反射部材50が観察者400に対向する位置に配置されるように、制御回路7がアクチュエータ6を制御して回転体210を回転させる。これにより、観察者400は表示デバイス2の表示面21に表示された画像に基づく画像を視認することができる。
一方、遮蔽状態では、第1ミラー部材60A又は第2ミラー部材320が観察者400に対向する位置に配置されるように、制御回路7がアクチュエータ6を制御して回転体210を回転させる。第1ミラー部材60Aが観察者400に対向する位置に配置された場合には、筐体70の後方からハーフミラー40を通って第1ミラー部材60Aの反射面61Aに入射した光が、反射面61Aによって観察者400の方向に反射されるので、観察者400は反射面61Aによる反射像(自動車100の後方の画像)を視認できる。同様に、第2ミラー部材320が観察者400に対向する位置に配置された場合には、筐体70の後方からハーフミラー40を通って第2ミラー部材320の反射面321に入射した光が、反射面321によって観察者400の方向に反射されるので、観察者400は反射面321による反射像(自動車100の後方の画像)を視認できる。なお、第2ミラー部材320が第1ミラー部材60Aに比べて反射率が低い防眩ミラーである場合、第1ミラー部材60Aに比べて反射光の光量が低下するので、例えば夜間に後続車両のヘッドライト等の眩しい光が入射した場合でも、観察者400が眩しいと感じる可能性を低減できる。
また、図22A〜図22Cに示すように、回転軸211の軸方向から見た断面が台形である回転体210の回転軸211に沿う4つの面のうち、非平行な2面の一方に、最終反射部材50を配置し、非平行な2面の他方にミラー部材60Aを配置してもよい。そして、回転体210には、ミラー部材60Aに対して光が入射する側に透光性を有する防眩ミラー322を配置してもよい。防眩ミラー322の反射率は、ミラー部材60Aの反射率よりも低く、例えば10%程度である。なお、ミラー部材60A及び防眩ミラー322は平面鏡であり、ミラー部材60Aの反射面と防眩ミラー322の反射面323とは互いに非平行になるように回転体210に保持されている。つまり、回転体210の回転軸211の軸方向から見て、ミラー部材60Aの反射面61Aの中心点P1における法線L1と、防眩ミラー322の反射面323の中心点P3における法線L3とが非平行になるように、ミラー部材60Aと防眩ミラー322とが回転体210に保持されている。なお、ミラー部材60Aと防眩ミラー322との間には透光性を有する部材(例えばガラス又はアクリル樹脂等)が配置されている。防眩ミラー322は、防眩ミラー322に入射した入射光の一部を反射する。入射光の残りは防眩ミラー322を透過してミラー部材60Aに入射し、ミラー部材60Aによって防眩ミラー322による反射方向とは異なる反射方向に反射される。
ここで、図22Aに示すように、最終反射部材50が観察者400と対向する位置に回転体210が回転した解除状態では、表示デバイス2の表示面21からの出射光が中間反射部材90とハーフミラー40とで反射された後に、最終反射部材50の反射面51に入射する。そして、最終反射部材50の反射面51が、ハーフミラー40から入射した光を観察者400の目401の方向に反射するので、観察者400は表示デバイス2の表示面21に表示された画像に基づく画像を視認することができる。
一方、図22Bに示すように、ミラー部材60Aの反射面61Aによる反射光が観察者400の目401に入射する位置に回転体210が回転した状態では、観察者400はミラー部材60Aによる反射像を視認する。すなわち、筐体70の外部からハーフミラー40を通って入射した光は、その大部分が防眩ミラー322を透過してミラー部材60Aに入射し、ミラー部材60Aの反射面61Aで反射される。この反射面61Aでの反射光はハーフミラー40を透過して観察者400の目401に入射するので、観察者400はミラー部材60Aによる反射像を視認することができる。なお、防眩ミラー322によっても入射光の一部が反射されるが、防眩ミラー322は観察者400とは異なる方向に光を反射するので、防眩ミラー322による反射像が観察者400に視認されることはない。
また、図22Cに示すように、防眩ミラー322の反射面323による反射光が観察者400の目401に入射する位置に回転体210が回転した状態では、観察者400は防眩ミラー322による反射像を視認する。すなわち、筐体70の外部からハーフミラー40を通って入射した光の一部は、防眩ミラー322の反射面323によって反射される。この反射面323での反射光はハーフミラー40を透過して観察者400の目401に入射するので、観察者400は防眩ミラー322での反射像を視認することができる。ここで、防眩ミラー322の反射率はミラー部材60Aの反射率よりも低いので、例えば夜間等に筐体70の外部から眩しい光(後続車のヘッドライトの光等)が入射した場合でも、観察者400が眩しさを感じる可能性を低減できる。なお、防眩ミラー322に入射した光の大部分は防眩ミラー322を透過してミラー部材60Aに入射し、ミラー部材60Aの反射面61Aによって反射されるが、反射面61Aは観察者400とは異なる方向に入射光を反射するので、ミラー部材60Aによる反射像は観察者400によって視認されることはない。
このように、回転体210には最終反射部材50とミラー部材60Aと防眩ミラー322とが保持されており、回転体210の回転位置を変えることによって、表示デバイス2に表示された画像に基づく画像を観察者400に見せる状態(解除状態)と、ミラー部材60A又は防眩ミラー322による反射像を観察者400に見せる状態(遮蔽状態)とを切り替えることができる。
また、図22A〜図22Cに示す表示システムでは、ミラー部材60Aに対して光が入射する側に防眩ミラー322が配置されているが、図23に示すように、回転体210の一面に防眩ミラー322を配置するとともに、防眩ミラー322に対して光が入射する側にミラー部材60Aが配置されていてもよい。
また、図24に示すように、回転体210は、回転軸211の軸方向と交差する断面の形状が四角形である四角柱であってもよい。そして、回転体210において、回転軸211の軸方向に沿う4つの側面には、2つの最終反射部材50と、2つのミラー部材60Aとが交互に配置されていればよい。
ここで、回転体210は、回転軸211の軸方向と交差する断面の形状が平行四辺形である。そして、回転軸211と直交する面内で、各最終反射部材50の反射面51の中心点における法線L2を回転軸211を中心に90度回転させた場合、各ミラー部材60Aの反射面61の中心点P1における法線L1と非平行になるように、2つの最終反射部材50と2つのミラー部材60Aとが回転体210に保持されている。
したがって、制御回路7は、解除状態から遮蔽状態に切り替える場合、又は、遮蔽状態から解除状態に切り替える場合、アクチュエータ6を制御して回転体210を90度回転させればよい。
解除状態では、2つの最終反射部材50のいずれかが観察者400と対向するように配置されるので、観察者400は表示デバイス2の表示面21に表示された画像に基づく画像を視認することができる。
一方、遮蔽状態では、2つのミラー部材60Aのいずれかが観察者400と対向するように配置される。ミラー部材60Aが観察者400に対向する位置に配置された場合には、筐体70の後方からハーフミラー40を通ってミラー部材60Aの反射面61Aに入射した光が、反射面61Aによって観察者400の方向に反射されるので、観察者400は反射面61Aによる反射像(自動車100の後方の画像)を視認できる。
このように、図24に示す保持構造200では、回転体210を90度回転させることで、解除状態から遮蔽状態、又は、遮蔽状態から解除状態に切り替えられるので、解除状態又は遮蔽状態に切り替えるために回転体210を回転させる角度を180度よりも小さくできる。また、図24に示す向きにおいて、回転体210を右回り及び左回りのいずれの方向でも90度回せば解除状態と遮蔽状態との切り替えが可能になる。
ここで、回転体210に取り付けられた2つのミラー部材60Aは平面鏡でもよいし、凸面鏡でもよく、またフレネルミラーでもよい。
また、回転体210に保持されている2つのミラー部材60Aは同じ種類の鏡であるが、2つの最終反射部材50を回転体210の対向二面に取り付け、回転体210の残りの二面に、ミラー部材(第1ミラー部材)60Aと、ミラー部材60Aとは別のミラー部材(第2ミラー部材)320を取り付けてもよい。別のミラー部材320は、例えば、ミラー部材60Aに比べて反射率が低い防眩ミラーでもよいし、広角の視野が得られる凸面鏡でもよい。
なお、本実施形態において、図25に示すように、反射光学系B1が含むハーフミラーとして、実施形態1の変形例6と同様の構成を有するハーフミラー40Aを適用してもよい。つまり、反射光学系B1に含まれるハーフミラーを、所定の振動方向の光を透過する反射型偏光フィルム(反射型偏光素子43)と、λ/4位相差フィルム44と、の積層構造を有するハーフミラー40Aとしてもよい。λ/4位相差フィルム(第1のλ/4位相差フィルム)44は、ハーフミラー40Aにおける入射光と出射光との間に電界振動方向において4分の1波長の位相差を発生させる。表示デバイス2の表示面21から出射した光はハーフミラー40Aを介して最終反射部材50に入射し、最終反射部材50での反射光はハーフミラー40Aを透過して観察者400の目401に入射することで映像を表示している。
この場合、表示デバイス2が液晶パネルを含み、表示面21上にλ/4位相差フィルム23を配置した上で、ハーフミラー40Aを、平面ガラス42上にワイヤーグリッドなどの反射型偏光素子43とλ/4位相差フィルム44とを積層した構成とすればよい。
また、本実施形態では、筐体70には、遮光部材8として、一方の面が反射面61Aである板状のミラー部材60Aが設けられている。解除状態では、図25に示すように、最終反射部材50から観察者400の目401に入射する光の光路外の第1位置にミラー部材60Aが配置される。遮蔽状態では、ミラー部材60Aを保持する回転体210が180度回転しており、最終反射部材50と観察者400との間に反射面61Aを観察者400に向けた状態でミラー部材60Aが配置される。このミラー部材60Aの表面には、λ/4位相差フィルム(第2のλ/4位相差フィルム)66が設けられている。λ/4位相差フィルム66は、ミラー部材60Aにおける入射光と出射光との間に、電界振動方向において4分の1波長の位相差を発生させる。
このような構成を採用した場合、解除状態では、表示面21から出射したP偏光は、表示面21上のλ/4位相差フィルム23によって円偏光に変換され、その後反射型偏光素子43上のλ/4位相差フィルム44によってS偏光に変換される。S偏光の光は反射型偏光素子43でほとんどの光線が反射され、その反射光は反射型偏光素子43上のλ/4位相差フィルム44によって円偏光に変換される。円偏光の光は最終反射部材50で反射された後、再び反射型偏光素子43上のλ/4位相差フィルム44に入射してP偏光に変換される。P偏光の光は反射型偏光素子43で殆どの光線が透過し、その透過光は観察者400の目401に到達する。このような構成により蒸着タイプのビームスプリッタに比べて表示デバイス2からの光を効率よく観察者400の目401に到達させることができる。
また、遮蔽状態では、筐体70の外部からの入射光はハーフミラー40Aを透過して筐体70の内部に入射するのであるが、入射光のうちP成分の光が反射型偏光素子43を透過し、λ/4位相差フィルム44によって円偏光に変換される。ハーフミラー40Aを透過した円偏光の光は、λ/4位相差フィルム66によってS偏光に偏光されてミラー部材60Aの反射面61Aに入射する。ミラー部材60Aの反射面61Aは入射光を反射し、この反射光が再びλ/4位相差フィルム66を透過することによって円偏光に変換されて、ハーフミラー40Aに入射される。このとき、ハーフミラー40Aの入射光(円偏光の光)はλ/4位相差フィルム44を透過することによってP偏光に変換される。P偏光の光は反射型偏光素子43で殆どの光線が透過し、その透過光は観察者400の目401に到達する。このような構成により、遮蔽状態においても、蒸着タイプのビームスプリッタに比べて表示デバイス2からの光を効率よく観察者400の目401に到達させることができる。
(実施形態4)
実施形態4に係る表示システム1について図26〜図28を参照して説明する。
本実施形態の表示システム1は、図26に示すように、表示面21を有する表示デバイス2と、ハーフミラー40と最終反射部材50とを少なくとも含む2以上の反射部材3と、表示デバイス2と2以上の反射部材3とを保持する筐体70とを備える。なお、図26では、表示デバイス2の表示面21の中心付近から出射された光が、ハーフミラー40及び液晶ミラー12を透過して筐体70の外部に出射するまでの光路A41〜A45を点線で示している。なお、図26において、光の光路A41〜A45を示す線は説明のために図示しているに過ぎず、実際には表示されない。
上述のように、表示システム1は、ハーフミラー40を含む反射光学系B1を備えている。表示デバイス2の表示面21から出射した光はハーフミラー40を介して最終反射部材50に入射する。最終反射部材50での反射光はハーフミラー40を介して観察者400の目401に入射することで映像(画像)を表示する。最終反射部材50は、凹面鏡である。
表示システム1は、遮光部材8(液晶ミラー12)と、駆動部(駆動回路13)と、を更に備える。遮光部材8は、最終反射部材50での反射光の少なくとも一部を遮蔽する遮蔽状態と、最終反射部材50での反射光の遮蔽を解除する解除状態とのうちいずれか一方の状態を取る。駆動部は、検知センサ14の出力に応じて、遮光部材8の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。検知センサ14は、所定の検知エリアR1(図28参照)における状況を検知する。
本実施形態によれば、検知エリアR1における状況に応じて、駆動部(駆動回路13)は、遮光部材8(液晶ミラー12)の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。この場合、凹面鏡(最終反射部材50)への光の入射を抑制できるので、凹面鏡に入射した光が凹面鏡により反射光として検知エリアR1に集光されることを抑制できる。よって、検知エリアR1に存在する物体O1(図28参照)が光により熱せられる可能性を低減できる。
さらに詳細には、本実施形態の検知センサ14は、物体センサ15を含んでいる。検知エリアR1は、最終反射部材50での反射光の光路が通るエリアである。物体センサ15は、検知エリアR1における物体O1の存否を検知する。駆動部(駆動回路13)は、物体センサ15が検知エリアR1における物体O1の存在を検知すると、遮光部材8(液晶ミラー12)の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。これにより、検知エリアR1に存在する物体O1が光により熱せられる可能性を、さらに低減できる。
本実施形態の表示システム1は、駆動部(駆動回路13)が、検知センサ14の検知結果に応じて、遮光部材8(液晶ミラー12)の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える点で、上述した実施形態1と相違する。なお、本実施形態の表示システム1において、実施形態1と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
本実施形態の表示システム1は、上述したように、表示デバイス2と、2以上の反射部材3と、筐体70と、遮光部材8(液晶ミラー12)と、駆動部(駆動回路13)と、を備えている。また、表示システム1は、表示制御部22と、検知センサ14と、を更に備えている。2以上の反射部材3は、上述のハーフミラー40と、最終反射部材50とに加えて、中間反射部材90を更に含む。中間反射部材90は、表示デバイス2の表示面21から出射した光をハーフミラー40に向かって反射する。
本実施形態の表示システム1は、遮光部材8として液晶ミラー12を備える。液晶ミラー12は、最終反射部材50での反射光の光路A44〜A45上に配置されている。ハーフミラー40は、遮光部材である液晶ミラー12と最終反射部材50との間に配置されている。液晶ミラー12(遮光部材8)における光の透過率は、印加電圧(検知センサ14の出力)に応じて変化する。より詳細には、液晶ミラー12における少なくとも可視光の透過率が、印加電圧に応じて変化する。すなわち、液晶ミラー12は、印加電圧に応じて、最終反射部材50での反射光等の可視光の少なくとも一部を遮蔽する遮蔽状態と、最終反射部材50での反射光等の可視光の遮蔽を解除する解除状態と、のうちいずれか一方の状態を取る。遮蔽状態は、液晶ミラー12の透過率が比較的小さい状態である。解除状態は、液晶ミラー12の透過率が比較的大きい状態である。つまり、本開示における「遮蔽状態」とは、解除状態と比較して光を通しにくい状態であればよく、光を完全に通さない状態に限らない。駆動回路13は、例えば、電源回路及び半導体集積回路(IC)を含む。駆動回路13は、液晶ミラー12への印加電圧を制御することにより、液晶ミラー12の状態を解除状態と遮蔽状態との間で自在に切り替える。ここにおいて、遮光部材(液晶ミラー12)の状態が遮蔽状態である場合に、ハーフミラー40が遮光部材(液晶ミラー12)と最終反射部材50との間に位置するように、遮光部材(液晶ミラー12)が配置されている。
さらに、液晶ミラー12が遮蔽状態のときは、液晶ミラー12の外面1200(観察者400側の面)は、可視光を反射する反射面(鏡面)となる。外面1200は、最終反射部材50の反射面である反射面51とは反対側を向いた面である。
液晶ミラー12は、液晶層121と、光拡散層122と、を含んでいる。液晶層121は、駆動回路13からの印加電圧に応じて透過率が変化する部位である。より詳細には、印加電圧に応じて液晶層121の分子配列の方向が変化するので、これにより、光の透過と遮蔽とが切り替わる。光拡散層122は、液晶層121に積層されている。光拡散層122は、例えば、母材に散乱粒子を配合して形成されている。光拡散層122が光を拡散することで、液晶ミラー12における映り込みが低減される。
表示デバイス2の表示面21から出射され、中間反射部材90で反射され、ハーフミラー40で反射され、最終反射部材50で反射された光としての反射光の一部は、ハーフミラー40を透過して、液晶ミラー12に到達する。
液晶ミラー12が遮蔽状態の場合は、最終反射部材50での反射光の大部分が、液晶ミラー12で吸収又は反射される(遮蔽される)ので、筐体70の外部からは表示面21に表示される映像が視認できない。また、図27に示すように、液晶ミラー12が遮蔽状態のときは、液晶ミラー12の外面1200(観察者400側の面)は、鏡面となる。そのため、観察者400は、液晶ミラー12に映る自動車100の後方の像を視認することができる。すなわち、表示システム1は、表示デバイス2による表示に異常が発生した場合でも、液晶ミラー12に映る鏡像により代替の表示が可能になる。図27では、筐体70の外部から液晶ミラー12の中心付近に入射した光が液晶ミラー12で反射される場合の光路A71〜A72を点線で示している。なお、図27において、光の光路A71〜A72を示す線は説明のために図示しているに過ぎず、実際には表示されない。
図26に示すように、液晶ミラー12が解除状態の場合は、最終反射部材50での反射光の大部分が、液晶ミラー12を透過するので、筐体70の外部からは表示面21に表示される映像を視認できる(光路A41〜A45参照)。
ところで、図28に示すように、検知センサ14は、検知エリアR1における状況を検知する。本実施形態の検知センサ14は、検知エリアR1における物体O1の存否を検知する物体センサ15を含む。本実施形態の物体センサ15は、近接センサである。物体センサ15としては、例えば、超音波センサ、静電容量型近接スイッチ、又は、PSD(Position Sensitive Device)等を用いることができる。物体O1の具体例は、人が持ち込む荷物、カーテン等の備品、車内に取り付けられたキャラクターストラップ等の装飾品、又は、人若しくは動物の体の一部である。なお、図28では、物体O1を概念的に表しているに過ぎず、図28で物体O1の実際の形状を表しているわけではない。
物体センサ15は、筐体70に保持されている。より詳細には、物体センサ15は、筐体70に収容されている。ただし、物体センサ15は、筐体70の外部に配置されていてもよい。
検知エリアR1は、筐体70の後方の所定の広さのエリアである。また、検知エリアR1は、最終反射部材50の焦点F1を含むエリアである。物体センサ15として例えば超音波センサを用いる場合に、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)を計測することにより、検知エリアR1の範囲を制限することができる。すなわち、駆動回路13は、超音波センサの受信信号強度が所定範囲内の場合に、検知エリアR1に物体O1が存在すると判定することができる。検知エリアR1の中心と筐体70との間の最短距離は、例えば、10cm程度である。また、アイボックス(自動車100の運転者等の観察者400の目401の位置)の中心と筐体70との間の最短距離は、検知エリアR1と筐体70との間の最短距離よりも長い。アイボックスは、検知エリアR1の外に存在する。アイボックスの中心と筐体70との間の最短距離は、例えば、50cm程度である。
最終反射部材50に入射する平行光は、焦点F1に集光する。図28には、筐体70の外部から最終反射部材50に入射する平行光の2つの光路を点線で示している。2つの光路のうち一方は、光路A81〜A82であり、他方は、光路A83〜A84である。なお、図28において、光の光路A81〜A82、A83〜A84を示す線は説明のために図示しているに過ぎず、実際には表示されない。
最終反射部材50には、太陽光等の光(外光)が入射する可能性がある。そして、最終反射部材50での反射光が焦点F1に集光する可能性がある。もし、焦点F1又は焦点F1の付近に物体O1が存在すると、最終反射部材50での反射光により物体O1が熱せられる可能性がある。そこで、駆動回路13は、検知センサ14の出力に応じて、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。より詳細には、駆動回路13は、検知センサ14の物体センサ15が、検知エリアR1における物体O1の存在を検知すると、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。これにより、検知エリアR1に存在する物体O1が光により熱せられる可能性を低減できる。また、このように液晶ミラー12の状態が遮蔽状態に切り替わったとき、筐体70の外部からの光を液晶ミラー12の外面1200で反射した反射像を観察者400に見せることができる。
また、表示デバイス2の故障が原因で表示面21に画像が映らなくなることによって、表示デバイス2の表示に異常が発生する場合がある。また、撮像部4の映像を表示デバイス2が表示する場合に、撮像部4の故障や撮像部4と表示デバイス2との間の通信の異常等によって、表示デバイス2の表示に異常が発生する場合がある。表示デバイス2の表示に異常が発生した場合には、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替えることによって、筐体70の外部からの光を液晶ミラー12の外面1200で反射した反射像を観察者400に見せることができる。また、本実施形態では液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替え、液晶ミラー12の外面1200で筐体70の外部からの光(観察者400の背後からの光)を反射した反射像を観察者400に見せている。したがって、液晶ミラー12を使用せず筐体70全体の角度を調整することで、ハーフミラー40を光学式のミラーの代用とする場合に比べて、筐体70を傾ける量を小さくでき、筐体70によって前方(観察者400の前方)の視界が遮られるのを抑制できる。よって、本実施形態によれば、表示デバイス2による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム1を提供できる。本実施形態では、筐体70を傾けることなく、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替えることができる。
また、駆動回路13は、自動車100が停止状態のとき、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態にする。停止状態とは、自動車100が走行に関する機能を停止した状態である。より詳細には、停止状態とは、自動車100の走行に要する回路が通電されていない状態である。例えば、自動車100がイグニッションコイルを有するガソリン車の場合は、停止状態とは、イグニッションコイルが通電されていない状態を指す。なお、上述した実施形態1〜3において、自動車100が走行に関する機能を停止した停止状態において、アクチュエータ6がミラー部材60,60Aを第2位置に移動させてもよく、ミラー部材60,60Aを遮蔽状態としてもよい。
表示システム1の筐体70は、中壁701を有している。中壁701は斜めに傾斜しており、この中壁701には貫通孔74が設けられている。貫通孔74は、上下方向の寸法に比べて左右方向(上下方向及び前後方向と直交する方向)の寸法が大きく、左右方向の寸法(長辺寸法)と上下方向の寸法(短辺寸法)との比率は約3〜6:1である。貫通孔74にはハーフミラー40が取り付けられている。
筐体70は、後壁85を更に有している。後壁85は、中壁701の後方に形成されている。後壁85は上下方向に沿って形成されている。後壁85には開口部86が設けられている。開口部86は、筐体70のうち後壁85の前後の空間をつないでいる。開口部86は、上下方向の寸法に比べて左右方向(上下方向及び前後方向と直交する方向)の寸法が大きく、左右方向の寸法(長辺寸法)と上下方向の寸法(短辺寸法)との比率は約3〜6:1である。開口部86には液晶ミラー12が取り付けられている。ここにおいて、筐体70の後壁85等で、解除状態及び遮蔽状態のいずれの状態でも遮光部材8である液晶ミラー12を保持する保持構造200が構成されている。
また、筐体70には、後壁85の左右の両側縁からそれぞれ後方に突出する横フード75と、後壁85の下側縁から後方に突出する下フード76とが、筐体70と一体に設けられている。つまり、筐体70は、横フード75と下フード76とを備えている。ここで、横フード75と下フード76とは一体的に設けられている。さらに、筐体70は、後壁85の上側縁から後方に突出する上フード79を備えている。
本実施形態の表示システム1は、表示デバイス2の表示面21から出射する光を反射する2以上の反射部材3として、ハーフミラー40と、最終反射部材50と、中間反射部材90とを備えている。すなわち、表示システム1は、ハーフミラー40と、最終反射部材50と、中間反射部材90とで構成される反射光学系B1を有している。
ハーフミラー40は、筐体70の中壁701に設けられた貫通孔74に取り付けられている。ハーフミラー40は光透過性を有している。ハーフミラー40は、入射光の一部を透過し、入射光の別の一部を反射する機能を有している。本実施形態では、ハーフミラー40は、光の透過率と反射率とが約50%である平板状のビームスプリッタで構成されている。ハーフミラー40は、ハーフミラー40の上端に比べて下端の方が後側に突出するように、上下方向に対して斜めに配置されている。
ハーフミラー40における最終反射部材50側の面(以下、内側面ともいう)41は、表示デバイス2の表示面21及び最終反射部材50の反射面51とそれぞれ対向している。本実施形態では、ハーフミラー40は、表示デバイス2の表示面21からの光の入射方向、及び、反射面51からの光の入射方向に対して、内側面41の法線方向がそれぞれ斜めに交差するように配置されている。なお、本実施形態では、表示デバイス2からの光を反射する反射面である内側面41が平面であるが、内側面41は自由曲面のような曲面でもよい。ハーフミラー40の内側面41を自由曲面とすることで、反射面51に形成される画像の歪みを低減したり、像面の湾曲を低減したり、解像度を向上させたりすることができる。
最終反射部材50は、凹面鏡である。最終反射部材50の反射面51は、例えばガラスの表面に、アルミニウム等の反射金属膜を蒸着することで形成される。最終反射部材50は、反射面51を後側に向けた状態で収納室73の前部に配置されている。換言すれば、最終反射部材50は、収納室73の内部において、ハーフミラー40の内側面41と対向する位置に配置されている。
本実施形態では、ハーフミラー40の内側面41が、表示デバイス2の表示面21から出射された光を最終反射部材50の反射面51に向かって反射する。最終反射部材50の反射面51は、ハーフミラー40の内側面41での反射光をハーフミラー40に向かって反射する。ハーフミラー40は、最終反射部材50から入射した光を透過し、ハーフミラー40を透過した光が観察者400の目401に入射することによって、観察者400は、表示デバイス2の表示面21に表示される画像に基づく画像を見ることができる。
本実施形態の表示システム1及び表示システム1を備える電子ミラーシステム5の動作について以下に説明する。なお、液晶ミラー12の状態は、最終反射部材50での反射光の遮蔽を解除する解除状態に切り替えられているものとする。
例えば、自動車100のバッテリから電子ミラーシステム5に電力が供給され、自動車100が備えるECUから電子ミラーシステム5に動作を開始させる制御信号が入力されると、電子ミラーシステム5が動作を開始する。
例えば、自動車100のECUから表示制御部22に動作を開始させる制御信号が入力されると、表示制御部22は、撮像部4に所定のフレームレートで自動車100の後方を撮影させ、撮像部4から撮像画像の画像データを取得する。
表示制御部22は、撮像部4から撮像画像の画像データが入力されると、撮像画像に基づく画像を作成して、表示デバイス2の表示面21に表示させる。
表示デバイス2の表示面21に画像が表示されると、この画像を形成する光は、光路A41と平行な方向に沿って、中間反射部材90の反射面91に向かって出射される。中間反射部材90での反射光は、ハーフミラー40の内側面41に向かって出射される。ハーフミラー40はビームスプリッタであり、ハーフミラー40の内側面41は、中間反射部材90での反射光の一部を最終反射部材50の反射面51に向かって反射する。反射面51は凹面鏡であり、表示面21の画像を拡大した拡大画像を形成する光をハーフミラー40の内側面41に向かって反射する。ハーフミラー40の内側面41に反射面51で反射された反射光が入射すると、入射光の一部がハーフミラー40と液晶ミラー12とを透過して筐体70の外部に出射されるので、観察者400は反射面51によって拡大された画像を見ることができる。よって、観察者400は、反射面51によって拡大された画像をハーフミラー40と液晶ミラー12とを介して見ることによって、自動車100の後方の状況を確認できる。
また、駆動回路13は、検知センサ14の物体センサ15が、検知エリアR1における物体O1の存在を検知すると、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。これにより、検知エリアR1に存在する物体O1が光により熱せられる可能性を低減できる。また、このように液晶ミラー12の状態が遮蔽状態に切り替わったとき、筐体70の外部からの光を液晶ミラー12の外面1200で反射した反射像を、観察者400に見せることができる。
その後、駆動回路13は、検知センサ14の物体センサ15が、検知エリアR1における物体O1の存在を検知しなくなると、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替える。
なお、駆動回路13は、検知センサ14の物体センサ15が、検知エリアR1における物体O1の存在を最後に検知してから、所定の時間が経過した場合に、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替えてもよい。
(4)実施形態4の変形例
実施形態4の変形例について図29を参照して説明する。
本変形例の表示システム1は、駆動回路(駆動部)13が、外光に関する所定条件が成立する場合は、検知センサ14の出力に応じた、遮光部材8(例えば液晶ミラー12)の状態の切り替えを停止する点で上記の実施形態4と相違する。
ここで、所定条件は、外部から表示システム1に入射する外光に関する条件である。外部から表示システム1に入射する外光は、表示システム1を搭載した自動車100の外部から入射する太陽光等の自然光を含む。例えば、最終反射部材50に直接入射する太陽光が最終反射部材50によって反射され、最終反射部材50の焦点F1付近に集光された場合、焦点F1付近に集光された太陽光によって、焦点F1付近に存在する物体O1が加熱される。そして、最終反射部材50に入射する外光の光量が許容範囲を超えると、焦点F1付近に存在する物体O1が異常に加熱される可能性がある。そのため、解除状態において、最終反射部材50に入射する外光の光量が許容範囲を超える場合には、検知センサ14の出力に応じて、遮光部材8を遮蔽状態に切り替えるのが好ましいが、最終反射部材50に入射する外光の光量が許容範囲に収まっていれば、検知センサ14の出力に応じて、遮光部材8を遮光状態に切り替えることは必須ではない。
上記の所定条件は、例えば、解除状態において最終反射部材50に入射する外光の光量が所定の許容範囲に収まっているという条件である。所定条件が成立する場合、駆動回路(駆動部)13が、検知センサ14の出力に応じた、遮光部材8(例えば液晶ミラー12)の状態の切り替えを停止しており、遮光部材8は現在の状態(つまり解除状態)を維持することができる。なお、本変形例では、最終反射部材50に入射する外光の光量を直接測定するのではなく、駆動回路13は、時間に関する時間情報と、自動車100に関する車両情報との少なくとも一方に基づいて、最終反射部材50に入射する外光の光量が許容範囲内であるか否かを間接的に判断している。
ここで、実施形態4では、表示システム1が自動車100に搭載されている。検知センサ14は、図28に示すように、検知エリアR1における物体O1の存否を検知する物体センサ15を含んでおり、最終反射部材50での反射光の光路が検知エリアR1を通っている。本変形例では、上記の所定条件は、時間に関する時間情報と、自動車100に関する車両情報と、の少なくとも一方に基づいた条件である。
時間情報は、例えば、現在の時刻を表す情報を少なくとも含む。時間情報は、時刻の情報に加えて、現在の日、季節等を表す情報を含んでもよい。この時間情報は、例えば自動車100が備えるECU又はGPS(Global Positioning System)等から取得される。
車両情報は、自動車100が存在する場所での降雨に関連する降雨関連情報を含んでもよい。降雨関連情報は、例えば、自動車100に設けられた、降雨を検知するための雨滴センサの計測情報、温湿度を計測するための温湿度センサの計測情報、及び自動車100のワイパの動作状況を示す情報の少なくとも1つを含んでいればよい。
車両情報は、例えばGPS等の測位システムによって測定される自動車100の現在位置を表す現在地情報(例えば緯度、経度、及び高度の情報)を含み得る。車両情報は、自動車100の現在地情報と地図情報とに基づいて得られる、自動車100が存在する(走行又は停止している)場所を示す場所情報を含んでもよい。車両情報は、自動車100に設けられた方位センサ等で測定される進行方向、又は、現在地情報の履歴等に基づいて推測される進行方向を表す進行方向情報を含んでもよい。
また、車両情報は、例えば自動車100に設けられた、自動車100の傾斜角度を計測する傾斜角センサの計測結果を示す傾斜角情報を含んでもよい。ここで、自動車100の傾斜角度とは、自動車100の前後軸と水平面とがなすピッチ角を少なくとも含む。なお、ピッチ角の正負は、自動車100の前部が上向きになるときのピッチ角を正、自動車100の前部が下向きになるときのピッチ角を負とする。
また、車両情報は、例えば自動車100に備えられた前照灯及び車幅灯等の灯火が点灯しているか消灯しているかを示す点灯情報を含んでもよい。
ここで、上記の所定条件は、例えば、昼間に比べて外光が少ない夜間であるという条件であってもよい。つまり、夜間であるという条件が成立すれば、最終反射部材50に入射する外光の光量が許容範囲内であるという条件は成立するので、駆動回路13は、夜間であるか否かを判断することによって、最終反射部材50に入射する外光の光量が許容範囲内であるか否かを判断する。駆動回路13は、夜間であるという条件が成立すると、物体センサ15の出力に応じた液晶ミラー12の状態の切り替えを停止する。具体的には、駆動回路13は、時間情報に基づく現在の時刻が、日の入時刻から日の出時刻までの夜間の時間帯に含まれるという条件が成立すると、物体センサ15の出力に応じた液晶ミラー12の状態の切り替えを停止する。ここで、日の入時刻及び日の出時刻は、固定の時間でもよいが、駆動回路13が、時間情報に含まれる日又は季節の情報に基づいて、日の入時刻及び日の出時刻を設定してもよい。また、駆動回路13は、時間情報に含まれる日又は季節の情報と、現在地情報が示す現在位置の緯度、経度、及び高度の情報とに基づいて、日の入時刻及び日の出時刻を設定してもよい。また、駆動回路13は、車両情報に含まれる点灯情報に基づき、前照灯及び車幅灯の少なくとも一方が点灯していれば、夜間であるという条件が成立したと判断し、物体センサ15の出力に応じた液晶ミラー12の状態の切り替えを停止してもよい。
また、上記の所定条件は、例えば、晴天時及び曇天時に比べて外光が少ない雨降りであるという条件であってもよい。つまり、雨降りであるという条件が成立すれば、最終反射部材50に入射する外光の光量が許容範囲内であるという条件は成立するので、駆動回路13は、雨降りであるか否かを判断することによって、最終反射部材50に入射する外光の光量が許容範囲内であるか否かを判断する。駆動回路13は、雨降りであるという条件が成立すると、物体センサ15の出力に応じた液晶ミラー12の状態の切り替えを停止する。具体的には、駆動回路13は、車両情報に含まれる降雨関連情報に基づいて雨が降っていると判断すると、物体センサ15の出力に応じた液晶ミラー12の状態の切り替えを停止する。
また、上記の所定条件は、例えば、太陽光が当たらない場所(トンネル又は地下駐車場等)に自動車100が存在するという条件であってもよい。つまり、太陽光が当たらない場所に自動車100が存在するという条件が成立すれば、最終反射部材50に入射する外光の光量が許容範囲内であるという条件は成立する。したがって、駆動回路13は、太陽光が当たらない場所に存在するか否かを判断することによって、最終反射部材50に入射する外光の光量が許容範囲内であるか否かを判断する。具体的には、駆動回路13は、車両情報に含まれる現在地情報と地図情報とに基づいて、太陽光が当たらない場所に自動車100が存在すると判断すると、物体センサ15の出力に応じた液晶ミラー12の状態の切り替えを停止する。
また、上記の所定条件は、例えば、太陽の高度(仰角)が、最終反射部材50に太陽光が直接入射可能な高度の最大値(この最大値を基準角度ともいう)よりも大きいという条件であってもよい。太陽の高度(仰角)が基準角度よりも大きければ、自動車100の窓から太陽光が入射しても、最終反射部材50に太陽光が入射しにくくなるので、太陽の高度が基準角度よりも大きいという条件が成立すれば、最終反射部材50に入射する外光の光量が許容範囲内であると想定される。したがって、駆動回路13は、太陽の高度が基準角度よりも大きいか否かを判断することによって、最終反射部材50に入射する外光の光量が許容範囲内であるか否かを判断する。具体的には、駆動回路13は、時間情報(時刻及び日の情報)と現在地情報(現在地の緯度及び経度)とに基づいて太陽の高度を推定し、太陽の高度の推定結果が基準角度よりも大きいという条件が成立すれば、物体センサ15の出力に応じた液晶ミラー12の状態の切り替えを停止する。ここにおいて、所定条件は、自動車100の傾斜角度(例えばピッチ角)を更に考慮した条件でもあってもよい。すなわち、駆動回路13は、太陽の高度(仰角)の推定結果に自動車100のピッチ角を足した角度が基準角度よりも大きいという条件が成立した場合、物体センサ15の出力に応じた液晶ミラー12の状態の切り替えを停止してもよい。
また、上記の所定条件は、例えば、自動車100の姿勢(進行方向、及び自動車100の傾斜角度等)が、自動車100の外部からの外光(例えば太陽光)が最終反射部材50に入射しにくいような姿勢であるという条件であってもよい。換言すれば、上記の所定条件は、最終反射部材50の位置から自動車100の窓(後部又は側方の窓)を通して見える範囲に太陽が存在しないという条件であってもよい。最終反射部材50の位置から自動車100の窓を通して見える範囲に太陽が存在しないという条件が成立すれば、最終反射部材50に入射する外光の光量が許容範囲内に収まると想定される。したがって、駆動回路13は、自動車100の姿勢が、自動車100の外部からの外光が最終反射部材50に入射しにくいような姿勢であるか否かを判断することによって、最終反射部材50に入射する外光の光量が許容範囲内であるか否かを判断する。具体的には、駆動回路13は、車両情報に含まれる進行方向情報に基づいて自動車100が南側(つまり太陽の方向)を向いている場合は、最終反射部材50に外光が入射しにくい姿勢であるという条件が成立したと判断する。なお、駆動回路13は、時間情報及び現在地情報に基づいて太陽の方位角を推定した結果と進行方向情報とに基づいて、自動車100が太陽の方向を向いている場合は、最終反射部材50に自然光が入りにくい姿勢であるという条件が成立したと判断してもよい。
また、駆動回路13は、車両情報に含まれる傾斜角情報に基づいて、最終反射部材50に太陽光が入射しにくい姿勢であるという条件が成立しているか否かを判断してもよい。例えば、自動車100が上り坂を走行中であれば、自動車100の前部が上向きになるので、最終反射部材50に太陽光が入射しにくくなると想定される。一方、自動車100が下り坂を走行中であれば、自動車100の前部が下向きになるので、最終反射部材50に太陽光が入射しやすくなると想定される。したがって、駆動回路13は、車両情報に含まれる傾斜角情報(ピッチ角の情報)に基づいて、ピッチ角が所定の判定角度(例えば0度)よりも大きければ、最終反射部材50に太陽光が入射しにくい姿勢であるという条件が成立していると判断する。
ここで、駆動回路13が、外光に関する所定条件が成立する場合に、検知センサ14の出力に応じた、遮光部材8(例えば液晶ミラー12)の状態の切り替えを停止する動作を図29に基づいて説明する。
駆動回路13は、所定のタイミングで(例えば、所定の判定時間が経過するごとに)、所定条件が成立しているか否かを判定する(S1)。この所定条件は、上記した複数の条件のうちの少なくとも1つを含む。
処理S1において所定条件が不成立であると判定された場合(S1:Yes)、駆動回路13は、物体センサ15が検知エリアR1において物体O1の存在を検知しているか否かを判断する(S2)。
処理S2において物体センサ15が物体O1を検知していない場合(S2:Yes)、駆動回路13は、液晶ミラー12の切替状態を現状のまま維持する(S4)。これにより、観察者400の好みに応じた現在の切替状態(解除状態または遮光状態)を維持することができる。
処理S2において物体センサ15が物体O1を検知している場合(S2:No)、駆動回路13は、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態に制御する(S5)。遮蔽状態では、観察者400は、液晶ミラー12の反射面による反射像を視認することができる。また、液晶ミラー12が遮蔽状態に制御された状態では、外光が最終反射部材50に入射するのを抑制できる。
また、処理S1において所定条件が成立していると判定された場合(S1:No)、駆動回路13は、例えば物体センサ15の出力を無視することで、物体センサ15の出力に応じた、遮光部材8(液晶ミラー12)の状態の切り替えを停止する(S3)。これにより、表示システム1は、遮光部材8の状態(例えば解除状態)を維持することができ、物体センサ15の誤検知によって遮光部材8の状態が切り替えられる可能性を低減できる。また、所定条件が成立している場合は、遮光部材8(液晶ミラー12)の状態の切り替えを停止するので、観察者400の好みに応じた状態(解除状態または遮光状態)を維持することができる。
駆動回路13は、上記のS1〜S5の処理を繰り返し実行しており、所定条件が成立した場合は、物体センサ15の出力に応じた、遮光部材8(液晶ミラー12)の状態の自動切り替えを停止することができる。
なお、図29に示すフローチャートは、本変形例に係る表示システム1が所定条件に基づいて遮光部材8の状態を切り替える切り替え方法の一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
なお、図29に示すフローチャートでは、処理S4において、液晶ミラー12の現在の切替状態を維持しているが、解除状態に切り替えるようにしてもよい。
なお、表示制御部22は、液晶ミラー12の状態が遮蔽状態に切り替わったとき表示デバイス2の表示を停止させてもよい。これにより、表示システム1の消費電力を低減できる。
なお、実施形態4で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1、2又は3で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。すなわち、実施形態1、2又は3において、制御回路7が、検知センサ14(物体センサ15)の検知結果に基づいて、アクチュエータ6を駆動し、遮光部材8の状態を解除状態と遮蔽状態とのいずれかに切り替えてもよい。
(実施形態5)
実施形態5の表示システム1について図30を参照して説明する。
実施形態5の表示システム1は、検知センサ14が、物体センサ15に代えて、光量センサ16を含んでいる点で上記の実施形態4と相違する。なお、光量センサ16以外の構成は上記の実施形態4と同様であるので、実施形態4と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図30では、筐体70の外部から液晶ミラー12の中心付近に入射した光が液晶ミラー12で反射され、光量センサ16に入射される場合の光路A61〜A62を点線で示している。なお、図30において、光の光路A61〜A62を示す線は説明のために図示しているに過ぎず、実際には表示されない。
光量センサ16は、検知エリアR1における状況として、検知エリアR1側から入射する光量の少なくとも一部を検知する。本実施形態では、光量センサ16は、検知エリアR1を通り光量センサ16に到達する光の光量を検知する。本実施形態では、光量センサ16は、筐体70に収容されている。具体的には、光量センサ16は、筐体70の内部において、筐体70の上面に沿って配置されている。そのため、光量センサ16は、検知エリアR1側から筐体70に入射する光量の少なくとも一部を検知する。光量センサ16は、少なくとも太陽光の波長の光を検知可能であることが好ましい。光量センサ16は、例えば、太陽電池パネルである。太陽電池パネルは、受光量に応じた電力を生成する。太陽電池パネルで生成された電力は、駆動回路13へ出力される。ここで、検知エリアR1は、実施形態1の検知エリアR1とは異なるエリアであってもよい。本実施形態の検知エリアR1は、最終反射部材50での反射光の光路が通らないエリアであってもよい。なお、光量センサ16は、筐体70の内部において、筐体70の下面に沿って配置されてもよく、筐体70の下面又は上面に沿って配置されていればよい。
駆動回路13は、光量センサ16の出力に基づいて液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。例えば、駆動回路13は、光量センサ16の出力に基づく光量が所定値よりも大きいとき、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。この所定値は、最終反射部材50での反射光が焦点F1付近に集光された場合に、焦点F1付近に存在する物体O1の温度上昇が所定の上限値となるときの光量センサ16の測定値よりも低い値に設定されていればよい。これにより、検知エリアR1に物体O1が存在しても、最終反射部材50での反射光によって物体O1が熱せられる可能性を低減できる。また、光量センサ16の出力に基づく光量が所定値以下であって液晶ミラー12の状態が解除状態のときは、検知エリアR1における光量が比較的小さいため、検知エリアR1に物体O1が存在しても、物体O1が熱せられる可能性が比較的低い。よって、液晶ミラー12の状態が解除状態の場合も、遮蔽状態の場合も、物体O1が熱せられる可能性を低減できる。すなわち、実施形態5でも、実施形態4と同様の作用及び効果を得ることができる。
また、駆動回路13は、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替えてから、所定の時間が経過すると、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替える。これにより、表示システム1の電子ミラーとしての機能を自動的に復帰させることができる。
なお、光量センサ16として、フォトダイオード、フォトトランジスタ、又はフォトレジスタ(photoresistor)を用いてもよい。
また、検知センサ14は、光量センサ16に加えて、物体センサ15を更に含んでいてもよい。駆動回路13は、光量センサ16の出力と物体センサ15の出力との両方に基づいて、液晶ミラー12の状態を解除状態と遮蔽状態との間で切り替えてもよい。例えば、光量センサ16の出力に基づく光量が所定値よりも大きく、かつ、物体センサ15の出力に基づいて検知エリアR1に物体O1が存在すると判定されるとき、駆動回路13は、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替えてもよい。これにより、例えば光量が所定値以下の場合には、検知エリアR1に物体O1が存在すると判定されても、駆動回路13は、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態に切り替えないため、観察者400が反射面51によって拡大された画像を見る機会を増大させることができる。
また、駆動回路13は、光量センサ16の出力に基づく光量が第1の値(所定値)よりも大きいとき、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。その後、所定の時間が経過すると、液晶ミラー12の反射率を、所定期間(短期間)だけ、解除状態における反射率と遮蔽状態における反射率との間の大きさ(以下、「中間反射率」と称す)に変化させてもよい。所定期間は、光量センサ16が光量検知できる最小の期間以上であればよく、可能な限り短いことが好ましい。反射率を中間反射率に変化させた後、光量センサ16で検知される光量が第2の値よりも大きい場合は、まだ検知エリアR1の光量が大きいため、駆動回路13は、再び液晶ミラー12の反射率を遮蔽状態における反射率に戻してもよい。つまり、このとき駆動回路13は、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態にする。そして、その後駆動回路13は、光量センサ16で検知される光量が第2の値以下となるまで、所定の時間が経過する度に、液晶ミラー12の反射率を所定期間(短期間)だけ中間反射率にしてもよい。一方で、駆動回路13は、反射率を中間反射率に変化させた後、光量センサ16で検知される光量が第2の値以下となった場合は、液晶ミラー12の状態を解除状態にしてもよい。上述の第2の値は、例えば、第1の値よりも小さい。このような構成とすることにより、検知エリアR1の光量が小さくなれば、自動的に液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替えることができる。
(5)実施形態5の変形例
(5.1)変形例1
実施形態5の変形例1の表示システム1について図31に基づいて説明する。
本変形例1の表示システム1は、図31に示すように、光量センサ16が、液晶ミラー12の外側に配置されている点で、上記の実施形態5と相違する。なお、光量センサ16の配置以外は上記の実施形態5と同様の構成を有しているので、共通する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
光量センサ16は、透光性を有している。光量センサ16は、例えば、色素増感型太陽電池パネルである。光量センサ16は、液晶ミラー12に重なっている。光量センサ16は、遮光部材である液晶ミラー12の表面に配置されている。より詳細には、光量センサ16は、液晶ミラー12を後方から覆うように配置されている。液晶ミラー12の状態が解除状態のとき、表示デバイス2から出射され最終反射部材50から進行する反射光は、液晶ミラー12と光量センサ16とを透過して、筐体70の外部に出射する。なお、光量センサ16は、液晶ミラー12の全面を覆っていなくてもよく、液晶ミラー12の一部のみを覆っていてもよい。光量センサ16及び液晶ミラー12は、後壁85の開口部86に取り付けられている。
上述の実施形態5では、液晶ミラー12の状態が遮蔽状態のときは、筐体70の外部からの光が光量センサ16に到達しない。これに対して、本変形例1では、液晶ミラー12の状態が遮蔽状態のときも、液晶ミラー12の状態が解除状態のときも、筐体70の外部からの光が光量センサ16に到達する。
駆動回路13は、光量センサ16の出力に基づく光量が第1の閾値よりも大きいと、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。その後、駆動回路13は、光量センサ16の出力に基づく光量が第2の閾値よりも小さいと、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替える。すなわち、本変形例1では、光量センサ16の出力に応じて、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替えることができる。
第2の閾値は、第1の閾値と同じ値であってもよいし、第1の閾値よりも小さい値であってもよい。光量が第1の閾値近傍であったときに前者の場合に起こり得る、液晶ミラー12の状態が遮蔽状態と解除状態との間で頻繁に切り替わる、いわゆるチャタリングを、後者の構成とすることにより抑制することができる。
また、光量センサ16が液晶ミラー12の少なくとも一部に重なっているため、光量センサ16の設置スペースを容易に確保できる。ただし、光量センサ16が液晶ミラー12の少なくとも一部に重なっていることは、必須ではない。光量センサ16は、液晶ミラー12の後方(X軸方向の負の向き側)の任意の位置に設置されていてもよい。また、光量センサ16は、フォトダイオード、フォトトランジスタ、又はフォトレジスタ等であってもよいが、光量センサ16が透光性を有していない場合は、光量センサ16が液晶ミラー12に重ならないことが好ましい。
(5.2)変形例2
実施形態5の変形例2の表示システム1について図32に基づいて説明する。
本変形例2の表示システム1は、図32に示すように、箱状部17及びレンズ18を更に備えている点で、上記の実施形態5と相違する。なお、箱状部17及びレンズ18以外は上記の実施形態5と同様の構成を有しているので、共通する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
箱状部17は、筐体70に隣接して配置されている。より詳細には、箱状部17は、筐体70の上フード79に隣接して配置されている。箱状部17は、筐体70と一体に形成されている。箱状部17は、検知エリアR1側の一端に開口部170を有する。箱状部17の形状は、筐体70の形状と相似である。そのため、筐体70への入射光量に比例して、箱状部17への入射光量が変化する。つまり、箱状部17への入射光量を光量センサ16で検知することで、筐体70への入射光量を擬似的に検知できる。なお、本開示でいう「相似」とは、2つの形状が完全に相似である場合だけではなく、許容される範囲内の誤差がある場合も含む。
光量センサ16は、箱状部17に収容されている。光量センサ16は、箱状部17のうち開口部170側とは反対側の一端(底面)の付近に配置されている。最終反射部材50が筐体70の前端に配置されているのと同様に、光量センサ16が箱状部17の前端に配置されている。つまり、箱状部17に対する光量センサ16の配置は、筐体70に対する最終反射部材50の配置と対応する。本変形例2の光量センサ16は、例えば、フォトダイオードである。
レンズ18は、例えば、合成樹脂を材料として形成されている。レンズ18は、開口部170を覆うように配置されている。レンズ18は、光量センサ16に光を集光する。これにより、レンズ18が無い場合と比較して、光量センサ16に到達する光量を大きくできるので、開口部170における光量が比較的小さい場合であっても、光量センサ16において光量を精度良く検知できる。
上述の変形例1と同様に、液晶ミラー12の状態が遮蔽状態のときも、液晶ミラー12の状態が解除状態のときも、外光が光量センサ16に到達する。駆動回路13は、光量センサ16の出力に基づく光量が第1の閾値よりも大きいと、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。その後、駆動回路13は、光量センサ16の出力に基づく光量が第2の閾値よりも小さいと、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替える。すなわち、本変形例2でも、変形例1と同様に、光量センサ16の出力に応じて、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替えることができる。
(5.3)変形例3
実施形態5の変形例3の表示システム1について図33に基づいて説明する。
本変形例3の表示システム1は、図33に示すように、光量センサ16が、最終反射部材50の前方に配置されている点で、上記の実施形態5と相違する。なお、光量センサ16の配置以外は上記の実施形態と同様の構成を有しているので、共通する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
光量センサ16は、最終反射部材50に対してハーフミラー40とは反対側の位置に配置されている。
最終反射部材50において、入射光の一部は最終反射部材50を透過する。可視光に対する最終反射部材50の透過率は、例えば、10%程度である。最終反射部材50を透過した可視光は、光量センサ16に到達する。駆動回路13は、光量センサ16の出力に基づく光量が所定値よりも大きいと、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。なお、表示システム1は、光量センサ16の出力を増幅する増幅回路を備えていてもよい。
また、駆動回路13は、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替えてから、所定の時間が経過すると、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替える。これにより、駆動回路13は光量センサ16で検知される光量が低下したか否かを判断できる。
本変形例3では、最終反射部材50を透過する光の光量を光量センサ16で検知するので、最終反射部材50への入射光量の検知精度を向上させることができる。また、光量センサ16が表示デバイス2からの光の光路の外に配置されるので、光量センサ16の配置スペースを容易に確保できる。
なお、最終反射部材50は、可視光以外の波長の光を透過させてもよい。例えば、最終反射部材50は、赤外線を透過させてもよい。そして、光量センサ16は、赤外線の光量を検知してもよい。この構成では、太陽光等に含まれる赤外線は、最終反射部材50を透過して、光量センサ16で赤外線の光量が検知される。太陽光等が最終反射部材50に入射して光量センサ16で検知される赤外線の光量が比較的大きくなった場合、最終反射部材50に到達した可視光の光量も比較的大きいと考えられる。駆動回路13は、光量センサ16で検知される赤外線の光量が所定値以上の場合に、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替えてもよい。
(5.4)変形例4
本実施形態では、ハーフミラー40を蒸着タイプのビームスプリッタとしているが、ハーフミラー40は蒸着タイプのビームスプリッタに限定されない。図34に示すように、表示デバイス2を液晶パネルとし、表示面21上にλ/4位相差フィルム23を配置した上で、ハーフミラー40を、平面ガラス42上にワイヤーグリッドなどの反射型偏光素子43とλ/4位相差フィルム44とを積層した構成としてもよい。すなわち、図34に示すハーフミラー40は、反射型偏光フィルム(反射型偏光素子43)とλ/4位相差フィルム44との積層構造を有している。反射型偏光素子43は、所定の振動方向の光を透過する。λ/4位相差フィルム44は、ハーフミラー40における入射光と出射光との間に電界振動方向において4分の1波長の位相差を発生させる。ここで、ハーフミラー40を構成する反射型偏光素子43は、例えばS偏光を反射し、P偏光を透過するような偏光素子である。このような構成を採用した場合、表示面21から出射したP偏光は、表示面21上のλ/4位相差フィルム23によって円偏光に変換され、その後反射型偏光素子43上のλ/4位相差フィルム44によってS偏光に変換される。S偏光の光は反射型偏光素子43でほとんどの光線が反射され、その反射光は反射型偏光素子43上のλ/4位相差フィルム44によって円偏光に変換される。円偏光の光は最終反射部材50で反射された後、再び反射型偏光素子43上のλ/4位相差フィルム44に入射してP偏光に変換される。P偏光の光は反射型偏光素子43でほとんどの光線が透過し、その透過光は観察者400の目401に到達する。このような構成により蒸着タイプのビームスプリッタに比べて表示デバイス2からの光を効率よく観察者400の目401に到達させることができる。
なお、図34に示す例において、実施形態4又は5のように、遮光部材8として液晶ミラー12等の液晶が用いられる場合は、次のような構成を採用することが好ましい。すなわち、液晶が解除状態のとき、最終反射部材50での反射光の偏光方向が、液晶に到達する際に、液晶の分子配列の方向に沿うように、ハーフミラー40のλ/4位相差フィルム44及び表示面21上のλ/4位相差フィルム23を含む反射光学系B1を設計する。また、液晶が遮蔽状態のとき、最終反射部材50での反射光の偏光方向は、液晶に到達する際に、液晶の分子配列の方向と交差する。
なお、変形例4の構成を上述した実施形態4に適用してもよく、変形例4と同様の効果を奏することができる。
(5.5)変形例5
変形例5の表示システム1について図35を参照して説明する。
変形例5の表示システム1は、駆動回路(駆動部)13が、外光に関する所定条件が成立する場合に、検知センサ14の出力に応じた、遮光部材8(例えば液晶ミラー12)の状態の切り替えを停止する点で、上記の実施形態5及びその変形例1〜4と相違する。
この所定条件は、表示システム1の周囲の外光に関する条件であり、表示システム1を搭載した自動車100の外部から最終反射部材50に入射する外光(例えば太陽光等)に関する条件である。所定条件は、より具体的には、解除状態において最終反射部材50に入射する外光に関する条件であり、例えば、解除状態において最終反射部材50に入射する外光の光量が所定の許容範囲内であるか否かという条件を含む。ここで、光量の許容範囲は、「(4)実施形態4の変形例」で説明した許容範囲と同様であるので、その説明は省略する。
所定条件が成立する場合、駆動回路(駆動部)13が、検知センサ14の出力に応じた、遮光部材8(例えば液晶ミラー12)の状態の切り替えを停止しており、遮光部材8は現在の状態(つまり解除状態)を維持することができる。なお、本変形例では、最終反射部材50に入射する外光の光量を直接測定するのではなく、駆動回路13は、時間に関する時間情報と、自動車100に関する車両情報のうち光量センサ16で検知される光量に非関連の情報との少なくとも一方に基づいて、最終反射部材50に入射する外光の光量が許容範囲内であるか否かを間接的に判断している。
ここで、実施形態5及びその変形例1〜4では、表示システム1が自動車100に搭載されている。そして、図30〜図33に示すように、検知センサ14は、検知エリアR1側から入射する光量の少なくとも一部を検知する光量センサ16を含んでいる。上記の所定条件は、時間に関する時間情報と、自動車100に関する車両情報のうち(自動車100の)周囲の光量に応じた自動車100の動作と非関連の情報と、の少なくとも一方に基づいた条件である。なお、車両情報のうち周囲の光量に応じた自動車100の動作に関連する情報とは、周囲の光量に応じて動作状態が切り替わる機器の動作状態に関する情報を含み、例えば、「(4)実施形態4の変形例」で説明した点灯情報等を少なくとも含む。前照灯等の灯火が点灯している場合、光量センサ16で検知される光量は必ず所定値以下になる。したがって、光量センサ16で検知される光量に基づいた判定処理を行うのであれば、点灯情報に基づく所定条件が成立するか否かを判定する必要がない。したがって、駆動回路13は、時間に関する時間情報と、車両情報のうち周囲の光量に応じた自動車100の動作と非関連の情報と、の少なくとも一方に基づいた所定条件が成立するか否かを判定する。そして、所定条件が成立する場合、駆動回路13は、光量センサ16の出力に応じた、遮光部材8の状態の切り替えを停止し、所定条件が不成立の場合に、駆動回路13は、光量センサ16の出力に応じた、遮光部材8の状態の切り替えを行う。
ここで、時間情報は、例えば、現在の時刻を表す情報を少なくとも含む。時間情報は、時刻の情報に加えて、現在の日、季節等を表す情報を含んでもよい。この時間情報は、例えば自動車100が備えるECU又はGPS等から取得される。
車両情報には、「(4)実施形態4の変形例」で説明した複数種類の情報が含まれる。ここで、複数種類の車両情報のうち、前照灯等の灯火の点灯情報は、周囲の光量に応じた自動車100の動作に関連した情報である。したがって、複数種類の車両情報のうち、周囲の光量に応じた自動車100の動作に非関連の情報は、「(4)実施形態4の変形例」で説明した降雨関連情報、現在地情報、進行方向情報、及び傾斜角情報のうちの少なくとも1つを含む情報である。
上記の所定条件は、「(4)実施形態4の変形例」と同様に、昼間に比べて自然光が少ない夜間であるという条件であってもよい。駆動回路13は、夜間であるという条件が成立すると、光量センサ16の出力に応じた液晶ミラー12の状態の切り替えを停止する。具体的には、駆動回路13は、時間情報に基づく現在の時刻が、日の入時刻から日の出時刻までの夜間の時間帯に含まれるという条件が成立すると、光量センサ16の出力に応じた液晶ミラー12の状態の切り替えを停止する。ここで、日の入時刻及び日の出時刻は、固定の時間でもよいが、駆動回路13が、時間情報に含まれる日又は季節の情報に基づいて、日の入時刻及び日の出時刻を設定してもよい。また、駆動回路13は、時間情報に含まれる日又は季節の情報と、現在地情報が示す現在位置の情報とに基づいて、日の入時刻及び日の出時刻を設定してもよい。
また、上記の所定条件は、例えば、晴天時及び曇天時に比べて自然光が少ない雨降りであるという条件であってもよく、駆動回路13は、雨が降っているという条件が成立すると、光量センサ16の出力に応じた液晶ミラー12の状態の切り替えを停止する。具体的には、駆動回路13は、車両情報に含まれる降雨関連情報に基づいて雨が降っていると判断すると、光量センサ16の出力に応じた液晶ミラー12の状態の切り替えを停止する。
また、上記の所定条件は、例えば、太陽の高度(仰角)が、最終反射部材50に太陽光が入射可能な高度の最大値(基準角度)よりも大きいという条件であってもよい。太陽の高度(仰角)が基準角度よりも大きければ、自動車100の窓から太陽光が入射しても、最終反射部材50に太陽光が入射しにくくなると想定される。したがって、駆動回路13は、時間情報(時刻及び日の情報)と現在地情報(現在地の緯度及び経度)とに基づいて太陽の高度を推定し、太陽の高度の推定結果が基準角度よりも大きいという条件が成立すれば、光量センサ16の出力に応じた液晶ミラー12の状態の切り替えを停止する。ここにおいて、所定条件は、自動車100の傾斜角度(例えばピッチ角)を更に考慮した条件でもよい。すなわち、駆動回路13は、太陽の高度(仰角)の推定結果に自動車100のピッチ角を足した角度が基準角度よりも大きいという条件が成立した場合、光量センサ16の出力に応じた液晶ミラー12の状態の切り替えを停止してもよい。
また、上記の所定条件は、例えば、自動車100の姿勢(進行方向、及び自動車100が傾斜角度等)が、自動車100の外部からの自然光(例えば太陽光)が最終反射部材50に入射しにくいような姿勢であるという条件であってもよい。換言すれば、上記の所定条件は、最終反射部材50の位置から自動車100の窓(後部又は側方の窓)を通して見える範囲に太陽が存在しないという条件であってもよい。具体的には、駆動回路13は、車両情報に含まれる進行方向情報に基づいて自動車100が南側(つまり太陽の方向)を向いている場合は、最終反射部材50に自然光が入射しにくい姿勢であるという条件が成立したと判断する。なお、駆動回路13は、時間情報及び現在地情報に基づいて太陽の方位角を推定した結果と進行方向情報とに基づいて、自動車100が太陽の方向を向いている場合は、最終反射部材50に自然光が入りにくい姿勢であるという条件が成立したと判断してもよい。
また、駆動回路13は、車両情報に含まれる傾斜角情報に基づいて、最終反射部材50に太陽光が入射しにくい姿勢であるという条件が成立しているか否かを判断してもよい。例えば、自動車100が上り坂を走行中であれば、自動車100の前部が上向きになるので、最終反射部材50に太陽光が入射しにくくなると想定される。一方、自動車100が下り坂を走行中であれば、自動車100の前部が下向きになるので、最終反射部材50に太陽光が入射しやすくなると想定される。したがって、駆動回路13は、車両情報に含まれる傾斜角情報(ピッチ角の情報)に基づいて、ピッチ角が所定の判定角度(例えば0度)よりも大きければ、最終反射部材50に太陽光が入射しにくい姿勢であるという条件が成立していると判断する。
ここで、駆動回路13が、外光に関する所定条件が成立する場合に、検知センサ14(光量センサ16)の出力に応じた、遮光部材8(例えば液晶ミラー12)の状態の切り替えを停止する動作を図35に基づいて説明する。
駆動回路13は、所定のタイミングで(例えば、所定の判定時間が経過するごとに)、所定条件が成立しているか否かを判定する(S11)。この所定条件は、本変形例で説明した複数の条件のうちの少なくとも1つを含む。
処理S11において所定条件が不成立であると判定された場合(S11:Yes)、駆動回路13は、光量センサ16によって検知された光量が所定値よりも大きいか否かを判断する(S12)。
処理S12において光量センサ16によって検知された光量が所定値以下の場合(S12:Yes)、駆動回路13は、液晶ミラー12の切替状態を現状の状態に維持する(S14)。これにより、観察者400の好みに応じた現在の切替状態(解除状態または遮光状態)を維持することができる。
処理S12において光量センサ16によって検知された光量が所定値よりも大きい場合(S12:No)、駆動回路13は、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態に制御する(S15)。遮蔽状態では、観察者400は、液晶ミラー12の反射面による反射像を視認することができる。また、液晶ミラー12が遮蔽状態に制御された状態では、外光が最終反射部材50に入射するのを抑制できる。
また、処理S11において所定条件が成立していると判定された場合(S11:No)、駆動回路13は、例えば光量センサ16の出力を無視することで、光量センサ16の出力に応じた、遮光部材8(液晶ミラー12)の状態の切り替えを停止する(S13)。これにより、表示システム1は、遮光部材8の状態(例えば解除状態)を維持することができ、光量センサ16の誤検知によって遮光部材8の状態が切り替えられる可能性を低減できる。また、所定条件が成立している場合は、遮光部材8(液晶ミラー12)の状態の切り替えを停止するので、観察者400の好みに応じた状態(解除状態または遮光状態)を維持することができる。
駆動回路13は、上記のS11〜S15の処理を繰り返し実行しており、所定条件が成立した場合は、光量センサ16の出力に応じた、遮光部材8(液晶ミラー12)の状態の自動切り替えを停止することができる。
なお、図35に示すフローチャートは、本実施形態に係る表示システム1が遮光部材8の状態を切り替える切り替え方法の一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
なお、図35に示すフローチャートでは、処理S14において、液晶ミラー12の切替状態を維持しているが、解除状態に切り替えるようにしてもよい。
なお、実施形態5で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1、2又は3で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。実施形態1、2又は3において、制御回路7が、光量センサ16の検知結果に基づいて、駆動部であるアクチュエータ6を制御し、遮光部材8の状態を解除状態と遮蔽状態とのいずれかに切り替えてもよい。また、実施形態1、2又は3において、制御回路7が、物体センサ15の検知結果と光量センサ16の検知結果とに基づいて、駆動部であるアクチュエータ6を制御し、遮光部材8の状態を解除状態と遮蔽状態とのいずれかに切り替えてもよい。
(6)その他の変形例
以下に列挙する変形例は、上述の実施形態1〜5(それらの変形例を含む)の一部又は全部に適宜適用することができる。
表示システム1は、自動車100に適用されるものに限らず、例えば、二輪車、自転車、フォークリフト、電車、航空機、建設機械、及び船舶等、自動車100以外の移動体に適用されてもよい。また、表示システム1は、移動体に適用されるものに限らず、例えば、アミューズメント機器の表示などに適用されてもよい。
また、表示システム1が自動車100に適用される場合に、表示システム1は、運転者が視認できる範囲に設置されるものに限らない。表示システム1は、例えば、後部座席又は助手席に着席している人が視認できる範囲に設置されてもよい。
また、上述の実施形態1では、ミラー部材60が矩形であるが、図36に示すように、ミラー部材60の角における、二隅又は四隅をアール形状とし、筐体70の角にも、ミラー部材60のアール形状に沿うようなアール形状を形成してもよい。なお、図36では突起64及びガイド溝77の図示を省略しているが、突起及びガイド溝の位置及び形状は、第1位置と第2位置との間でミラー部材60が移動可能なように、適宜変更が可能である。このような構成により、助手席側から筐体70を見た時の圧迫感を低減することができる。なお、上述の実施形態2〜5においても、ミラー部材60の角における、二隅又は四隅をアール形状とし、筐体70の角にも、ミラー部材60のアール形状に沿うようなアール形状を形成してもよい。
上述の実施形態1〜5において、反射光学系B1は、最終反射部材50での反射光が、ハーフミラー40を透過するのではなく、ハーフミラー40で反射されることで観察者400の目401に入射するように構成されていてもよい。つまり、最終反射部材50での反射光はハーフミラー40を介して観察者400の目401に入射すればよい。
上述の実施形態4又は5において、検知センサ14は、表示システム1の構成に含まれていなくてもよい。
検知センサ14は、筐体70に保持されるセンサに限定されない。検知センサ14は、例えば、自動車100の移動体本体110(天井部分101等)に保持されてもよい。
検知センサ14は、自動車100の移動体本体110(天井部分101等)に保持された撮像部を含んでいてもよい。撮像部は、自動車100の外部を撮像する撮像部4(図2参照)とは別に備えられる。撮像部は、例えばCCDイメージセンサ、又はCMOSイメージセンサ等の二次元イメージセンサである。駆動回路13は、撮像部で撮像された画像に基づいて、検知エリアR1における物体O1の存否を判定してもよい。
検知センサ14の物体センサ15は、検知エリアR1において物体O1が移動している場合に、物体O1の存在を検知してもよい。すなわち、物体センサ15は、静止している物体O1は検知しないように構成されていてもよい。このような物体センサ15は、例えば、マイクロ波等の電磁波のドップラー効果を利用したドップラセンサにより実現できる。
検知センサ14は、複数のセンサを含んでいてもよい。検知センサ14は、例えば、筐体70の幅方向(左右方向)に並んだ、フォトダイオード等の光量センサ16を複数含んでいてもよい。これにより、検知センサ14の検知精度の向上を図ることができる。
検知センサ14は、筐体70の内部において、筐体70の下面又は上面に沿って配置されてもよい。例えば、図26では物体センサ15が筐体70の下面に沿って配置されるが、物体センサ15は、筐体70の上面に沿って配置されてもよい。また、図30では光量センサ16が筐体70の内部において筐体70の上面に沿って配置されるが、光量センサ16は、筐体70の内部において筐体70の下面に沿って配置されてもよい。
上述の実施形態4又は5において、駆動部(例えば、駆動回路13)は、検知センサ14の出力に応じて、筐体70の向きを変えてもよい。表示システム1は、例えば、筐体70の向きを変える駆動力を発生させるアクチュエータを備えていてもよい。駆動回路13は、検知センサ14の出力に応じて液晶ミラー12の状態を変化させる際に、アクチュエータの動作を制御することで筐体70の向きを変えてもよい。アクチュエータは、例えば、筐体70を支持するボールジョイントなどの支持部材72を回転駆動することで、筐体70の向きを変える。駆動回路13は、例えば、液晶ミラー12の状態が遮蔽状態から解除状態になったとき、運転者が筐体70を奥行き方向(前後方向)から視認できる向きに筐体70の向きを変えてもよい。これにより、運転者は、表示システム1に表示される画像を正面視できる。また、駆動回路13は、例えば、液晶ミラー12の状態が解除状態から遮蔽状態になったとき、運転者が筐体70を奥行き方向(前後方向)に対して斜め向きに視認できる向きに筐体70の向きを変えてもよい。これにより、運転者から見て、液晶ミラー12に自動車100の後方の像を映すことができる。
また、駆動部(例えば、駆動回路13)は、検知センサ14の出力に応じて、筐体70の向きを、運転者ごとに定められた向きに変えてもよい。つまり、運転者ごとにアイボックスの高さが異なるので、筐体70の向きを運転者ごとに適した向きにしてもよい。駆動部は、例えば、運転者が個別に所持する自動車の電子キーから識別情報を読み取り、電子キーの識別情報に基づいて運転者を識別すればよい。表示システム1は、運転者ごとの筐体70の向きを予め設定するための設定操作部を備えていてもよい。
なお、筐体70の向きが変わると、筐体70に取り付けられた検知センサ14の向きも変わるので、検知センサ14の検知エリアR1が変わり得る。そこで、検知センサ14は、複数のセンサを含んでいてもよい。例えば、検知センサ14は、2つのセンサを備えていてもよい。筐体70の向きに応じて2つのセンサを使い分けることで、検知センサ14は、一定の検知エリアR1の状態を検知できる。すなわち、2つのセンサのうち一方は、液晶ミラー12の状態が遮蔽状態であって筐体70の向きが第1の向きのときに、検知エリアR1の状態を検知する。2つのセンサのうち他方は、液晶ミラー12の状態が解除状態であって筐体70の向きが第2の向きのときに、検知エリアR1の状態を検知する。
また、筐体70の向きが変わる場合に、検知センサ14の検知範囲を、制限手段により制限することで、検知センサ14により一定の検知エリアR1の状態を検知してもよい。例えば、検知センサ14が光量センサ16を含む場合に、光量センサ16は、2つの開口部(制限手段)を有するケースに収容される。光量センサ16は、液晶ミラー12の状態が遮蔽状態であって筐体70の向きが第1の向きのときに、2つの開口部のうち一方を通して入射した光の光量を検知する。また、光量センサ16は、液晶ミラー12の状態が解除状態であって筐体70の向きが第2の向きのときに、2つの開口部のうち他方を通して入射した光の光量を検知する。なお、2つの開口部にはそれぞれ、レンズが取り付けられていてもよい。また、筐体70の向きに応じて2つの開口部のうち一方を開放し、他方を閉じてもよい。
また、駆動部(例えば、駆動回路13)は、筐体70の向きを変えることに代えて、遮光部材8(例えば、液晶ミラー12)の向きを変えてもよい。
検知センサ14が物体センサ15としてのPSDを含む場合に、駆動回路13は、PSDの出力に応じて、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替えてもよい。PSDは、例えば、2つの赤外発光ダイオードを有する。PSDは、基本的には、次のようにして、検知エリアR1における物体O1の存否を検知するために用いられる。すなわち、PSDは、一方の赤外発光ダイオードから照射される赤外線の反射波の強度と、他方の赤外発光ダイオードから照射される赤外線の反射波の強度との差分に基づいて、物体O1の位置を検知する。ここで、駆動回路13は、2つの強度の差分に代えて算出した、2つの強度の和に応じて、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替えてもよい。具体的には、駆動回路13は、2つの強度の和が所定値以下の場合に、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態から解除状態に切り替えてもよい。
駆動部(例えば、駆動回路13)は、遮光部材8(例えば、液晶ミラー12)の状態を切り替えてから、所定時間の間、検知センサ14の出力に関わらず、切替後の状態を維持させてもよい。これにより、遮光部材8の状態が短時間の間に続けて変化することを抑制できる。
駆動部(例えば、駆動回路13)は、検知センサ14の出力に加えて、時間に関する条件に更に基づいて、遮光部材8(例えば、液晶ミラー12)の状態を切り替えてもよい。例えば、駆動回路13は、検知センサ14としての光量センサ16で検知された光量が所定値よりも大きい状態が、所定時間継続すると、液晶ミラー12の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替えてもよい。
駆動部(例えば、駆動回路13)は、特定の時間帯には、検知センサ14の出力に関わらず、遮光部材8(例えば、液晶ミラー12)の状態を解除状態にしてもよい。特定の時間帯は、例えば、太陽光が照射される可能性が低い時間帯(例えば、19時〜翌5時)である。また、駆動部は、自動車100の外の明るさが所定の明るさ以上の場合に、検知センサ14の出力に関わらず、遮光部材8の状態を解除状態にしてもよい。自動車100の外の明るさは、例えば、表示システム1とは別に自動車100に搭載された光量センサで検知される。
表示デバイス2は、光量センサ16で検知された光量に応じて、表示面21の明るさを調整してもよい。例えば、光量センサ16で検知された光量が大きいほど、表示面21の明るさを明るくすることで、表示面21からの光が出射される液晶ミラー12又はハーフミラー40の映り込みを低減させてもよい。
遮光部材8として液晶ミラー12を用いる場合に、表示システム1は、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態と解除状態との間で切り替えるための操作を受け付ける状態操作部を備えていてもよい。駆動回路13は、状態操作部への操作に応じて、液晶ミラー12の印加電圧を変更することで、液晶ミラー12の状態を遮蔽状態と解除状態との間で切り替える。このような構成により、液晶ミラー12の状態の切り替えを、駆動回路13が自動で行うだけでなく、ユーザ(運転者等)の操作により行うことができる。
上述の実施形態4又は5において、遮光部材8として、液晶ミラー12に代えて、液晶シャッタを用いてもよい。液晶シャッタにおける光の透過率は、印加電圧に応じて変化する。液晶シャッタは、液晶ミラー12とは異なり、遮蔽状態のとき、観察者400側の面(外面1200)は、鏡面とはならず、可視光を吸収又は散乱する。
上述の実施形態4又は5において、遮光部材8として、光を常に吸収又は散乱する部材を用いてもよい。例えば、遮光部材8として、黒色の板を用いてもよい。また、検知エリアR1を、観察者400(運転者等)から見て表示システム1で表示される画像が物体O1により遮られる位置に制限してもよい。そして、検知エリアR1における物体O1の存在が検知された場合に、遮光部材8の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替えてもよい。つまり、遮光部材8が解除状態であったとしても表示システム1で表示される画像を観察者400が視認できない場合にのみ、遮光部材8の状態を遮蔽状態に切り替え可能としてもよい。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の表示システム(1)は、表示面(21)を有する表示デバイス(2)と、最終反射部材(50)を少なくとも含む反射光学系(B1)と、筐体(70)と、遮光部材(8)と、を備える。最終反射部材(50)は、表示デバイス(2)の表示面(21)から出射した光が直接的又は間接的に入射し、入射した光を観察者(400)の目(401)に向かって反射する。筐体(70)は、表示デバイス(2)と反射光学系(B1)とを保持する。遮光部材(8)は、最終反射部材(50)への入射光、又は、最終反射部材(50)での反射光の少なくとも一部を遮蔽する遮蔽状態と、遮蔽状態を解除する解除状態とのいずれかの状態で筐体(70)に保持される。遮蔽状態では、遮光部材(8)が、筐体(70)に入射する外光を観察者(400)の目(401)に向かって反射する。筐体(70)は、遮蔽状態及び解除状態のいずれの状態でも遮光部材(8)を保持する保持構造(200)を有している。
この態様によれば、表示デバイス(2)による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム(1)を提供することができる。
第2の態様の表示システム(1)では、第1の態様において、反射光学系(B1)は、ハーフミラー(40)を更に含む。表示デバイス(2)の表示面(21)から出射した光はハーフミラー(40)を介して最終反射部材(50)に入射し、最終反射部材(50)での反射光はハーフミラー(40)を透過して観察者(400)の目(401)に入射する。
この態様によれば、ハーフミラー(40)と最終反射部材(50)とで少なくとも2回反射することで、光路長を長くしながらも、小型化を図ることができる。
第3の態様の表示システム(1)では、第1の態様において、筐体(70)には、遮光部材(8)として、一方の面が反射面(61)である板状のミラー部材(60)が設けられる。ミラー部材(60)の状態は、ミラー部材(60)のスライド動作と回転動作によって、第1状態と第2状態とのいずれかに切り替えられる。第1状態は、最終反射部材(50)から観察者(400)の目(401)に入射する光の光路外の第1位置にミラー部材(60)が配置される解除状態である。第2状態は、最終反射部材(50)と観察者(400)との間の第2位置に反射面(61)を観察者(400)に向けた状態でミラー部材(60)が配置され、筐体(70)の外部からの光を反射面(61)で反射した反射像を観察者(400)の目(401)に表示させる遮蔽状態である。
この態様によれば、表示デバイス(2)による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム(1)を提供することができる。
第4の態様の表示システム(1)では、第3の態様において、反射光学系(B1)は、ハーフミラー(40)を更に含む。表示デバイス(2)の表示面(21)から出射した光はハーフミラー(40)を介して最終反射部材(50)に入射し、最終反射部材(50)での反射光はハーフミラー(40)を透過して観察者(400)の目(401)に入射する。
この態様によれば、ハーフミラー(40)と最終反射部材(50)とで少なくとも2回反射することで、光路長を長くしながらも、小型化を図ることができる。
第5の態様の表示システム(1)では、第4の態様において、ミラー部材(60)において、反射面(61)と反対側の面は、少なくとも可視光領域の光の反射率が反射面(61)よりも低い遮光面(62)である。第1状態は、ミラー部材(60)の遮光面(62)が、ハーフミラー(40)と対向する状態である。
この態様によれば、第1の状態においてミラー部材(60)の遮光面(62)に筐体(70)の外部から入射した光が、遮光面(62)とハーフミラー(40)とで反射されて観察者(400)の目(401)に入射するのを抑制できる。
第6の態様の表示システム(1)では、第5の態様において、遮光面(62)は、少なくとも可視光領域の光の吸収と散乱の少なくとも一方を行う。
この態様によれば、第1状態において筐体(70)の外部から遮光面(62)に入射した光が、遮光面(62)とハーフミラー(40)とで反射されて観察者(400)の目(401)に入射するのを抑制できる。
第7の態様の表示システム(1)では、第4〜6のいずれかの態様において、反射光学系(B1)が、表示デバイス(2)の表示面(21)から出射した光をハーフミラー(40)に向かって反射する中間反射部材(90)を更に含む。
この態様によれば、表示デバイス(2)による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム(1)を提供することができる。
第8の態様の表示システム(1)では、第4〜7のいずれかの態様において、表示デバイス(2)は液晶パネルを有する。表示面(21)には、入射光と出射光との間に電界振動方向において4分の1波長の位相差を発生させる第1のλ/4位相差フィルム(23)が設けられている。ハーフミラー(40A)は、所定の振動方向の光を透過する反射型偏光フィルム(43)と、第2のλ/4位相差フィルム(44)と、の積層構造を有する。第2のλ/4位相差フィルム(44)は、ハーフミラー(40A)における入射光と出射光との間に電界振動方向において4分の1波長の位相差を発生させる。
この態様によれば、表示デバイス(2)からの光を効率よく観察者(400)の目(401)に到達させることができる。
第9の態様の表示システム(1)では、第3〜8のいずれかの態様において、保持構造(200)は、突起(64,751)と、ガイド溝(77,65)と、を含む。突起(64,751)は、筐体(70)とミラー部材(60)との一方に設けられる。ガイド溝(77,65)は、筐体(70)とミラー部材(60)との他方に設けられて、突起(64,751)が挿入される。ガイド溝(77,65)の内部で突起(64,751)の位置が変化することによって、ミラー部材(60)の状態が第1状態と第2状態とのいずれかに切り替えられる。
この態様によれば、ガイド溝(77,65)に沿って突起(64,751)が移動することによって、ミラー部材(60)を第1位置と第2位置との間で移動させることができる。
第10の態様の表示システム(1)では、第9の態様において、保持構造(200)は、ガイド溝(77)に挿入されガイド溝(77)に沿ってスライド移動するガイド部材(78)を更に含み、ガイド部材(78)に突起(64)が回転可能な状態で支持されている。
この態様によれば、ガイド部材(78)をガイド溝(77)に沿ってスムーズに移動させることができる。
第11の態様の表示システム(1)では、第3〜9のいずれかの態様において、ミラー部材(60)の状態を、第1状態及び第2状態のそれぞれで保持する状態保持部材(80)を更に備える。
この態様によれば、第1状態及び第2状態のそれぞれでミラー部材(60)の位置ががたつくのを抑制できる。
第12の態様の表示システム(1)では、第11の態様において、状態保持部材(80)は、ミラー部材(60)と筐体(70)との少なくとも一方に設けられた磁石(81)を含む。ミラー部材(60)の状態が、磁石(81)の磁力によって、第1状態及び第2状態のそれぞれで保持される。
この態様によれば、第1状態及び第2状態のそれぞれでミラー部材(60)の位置ががたつくのを抑制できる。
第13の態様の表示システム(1)では、第12の態様において、磁石(81)は電磁石である。
この態様によれば、第1状態及び第2状態のそれぞれでミラー部材(60)の位置ががたつくのを抑制できる。
第14の態様の表示システム(1)では、第11の態様において、状態保持部材(80)は、筐体(70)とミラー部材(60)との一方に設けられたボールプランジャ(83)を含む。筐体(70)とミラー部材(60)との他方には、ボールプランジャ(83)のボール部(831)が挿入される受け穴(84)が設けられる。ミラー部材(60)の状態が、ボール部(831)が受け穴(84)に挿入されることによって、第1状態及び第2状態のそれぞれで保持される。
この態様によれば、第1状態及び第2状態のそれぞれでミラー部材(60)の位置ががたつくのを抑制できる。
第15の態様の表示システム(1)では、第3〜14のいずれかの態様において、ミラー部材(60)の状態を第1状態と第2状態とのいずれかに手動で切り替えるための操作部(63)を更に備える。
この態様によれば、表示デバイス(2)による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム(1)を提供することができる。
第16の態様の表示システム(1)では、第15の態様において、操作部(63)を用いてミラー部材(60)が第1位置から動かされると、ミラー部材(60)の状態が、ミラー部材(60)の自重によって第1状態から第2状態に切り替わる。
この態様によれば、表示デバイス(2)による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム(1)を提供することができる。
第17の態様の表示システム(1)では、第3〜16のいずれかの態様において、ミラー部材(60)を第1位置と第2位置との間で移動させるアクチュエータ(6)を更に備える。
この態様によれば、表示デバイス(2)による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム(1)を提供することができる。
第18の態様の表示システム(1)では、第17の態様において、アクチュエータ(6)はモータを含む。モータを制御する制御回路(7)は、表示デバイス(2)による表示の異常を示す異常信号が入力されると、モータを駆動してミラー部材(60)を第1位置から第2位置に移動させる。
この態様によれば、表示デバイス(2)による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム(1)を提供することができる。
第19の態様に係る表示システム(1)では、第17又は第18の態様において、表示システム(1)は、自動車(100)に搭載される。自動車(100)が走行に関する機能を停止した停止状態において、アクチュエータ(6)がミラー部材(60)を第2位置に移動させる。
この態様によれば、自動車(100)が停止状態のとき、物体(O1)が光により熱せられる可能性を低減できる。
第20の態様に係る表示システム(1)では、第1の態様において、筐体(70)には、遮光部材(8)として、一方の面が反射面である板状のミラー部材(60A)が設けられる。保持構造(200)は、最終反射部材(50)を更に保持する。保持構造(200)は、最終反射部材(50)及びミラー部材(60A)を、ミラー部材(60A)の反射面(61A)と最終反射部材(50)の反射面(51)とを互いに反対側に向けた状態で、筐体(70)に対して回転可能な状態で保持している。ミラー部材(60A)の反射面(61A)の中心点(P1)における法線(L1)と、最終反射部材(50)の反射面(51)の中心点(P2)における法線(L2)とが非平行である。
この態様によれば、ミラー部材(60A)及び最終反射部材(50)を筐体(70)に対して180度回転させることで、解除状態と遮蔽状態とを切り替えることができる。
第21の態様に係る表示システム(1)では、第20の態様において、保持構造(200)は、筐体(70)に対して回転可能な状態で保持された回転体(210)を含む。回転体(210)に最終反射部材(50)とミラー部材(60A)とが保持されている。回転体(210)は、解除状態では観察者(400)に最終反射部材(50)の反射面(51)を対向させる第1回転位置に回転し、遮蔽状態では観察者(400)にミラー部材(60A)の反射面(61A)を対向させる第2回転位置に回転する。
この態様によれば、回転体(210)を第1回転位置又は第2回転位置に回転させることで、解除状態又は遮蔽状態に切り替えることができる。
第22の態様に係る表示システム(1)では、第21の態様において、回転体(210)は、ミラー部材(60A)の反射面(61A)の中心点(P1)における法線(L1)と、最終反射部材(50)の反射面(51)の中心点(P2)における法線(L2)とが非平行となる状態で、ミラー部材(60A)と最終反射部材(50)とを保持している。
この態様によれば、回転体(210)を180度回転させることで、解除状態と遮蔽状態とを切り替えることができる。
第23の態様に係る表示システム(1)では、第1の態様において、筐体(70)には、遮光部材(8)として、一方の面が反射面である板状のミラー部材(60A)が設けられる。保持構造(200)は、筐体(70)に対して回転可能な状態で保持された回転体(210)を含む。回転体(210)は、ミラー部材(60A)の反射面(61A)と最終反射部材(50)の反射面(51)とが互いに反対側を向き、かつ、ミラー部材(60A)の反射面(61A)の中心点(P1)における法線(L1)と、最終反射部材(50)の反射面(51)の中心点(P2)における法線(L2)とが平行となる状態で、ミラー部材(60A)と最終反射部材(50)とを保持している。回転体(210)は、解除状態では観察者(400)に最終反射部材(50)の反射面(51)を対向させる第1回転位置に回転し、遮蔽状態では観察者(400)にミラー部材(60A)の反射面(61A)を対向させる第2回転位置に回転する。第1回転位置と第2回転位置との間で回転体(210)が回転する角度が180度以外の所定の角度である。
この態様によれば、回転体(210)を所定の角度回転させることで、解除状態と遮蔽状態とを切り替えることができる。
第24の態様に係る表示システム(1)では、第21〜第23のいずれかの態様において、回転体(210)は、1以上の別のミラー部材(320)を更に保持する。別のミラー部材(320)の反射面(321)の中心点(P3)における法線(L3)が、最終反射部材(50)の反射面(51)の中心点(P2)における法線(L2)、及び、ミラー部材(60A)の反射面(61A)の中心点(P1)における法線(L1)の各々に対して非平行である。
この態様によれば、別のミラー部材(320)が観察者(400)に対向する回転位置に回転体(210)を回転させることによって、別のミラー部材(320)による反射像を表示することができる。
第25の態様に係る表示システム(1)では、第21〜第23のいずれかの態様において、回転体(210)は、回転軸(211)の軸方向と交差する断面の形状が四角形である四角柱である。回転体(210)において、回転軸(211)の軸方向に沿う4つの側面には、2つの最終反射部材(50)と、2つのミラー部材(60A)とが交互に配置されている。
この態様によれば、遮蔽状態及び解除状態に切り替えるために回転体(210)を回転させる回転角度を180度よりも小さくできる。
第26の態様に係る表示システム(1)では、第21〜第25のいずれかの態様において、ミラー部材(60A)は平面鏡であり、ミラー部材(60A)に対して光が入射する側に透光性を有する防眩ミラー(322)が配置される。回転体(210)の回転軸(211)の軸方向から見て、ミラー部材(60A)の反射面(61A)の中心点(P1)における法線(L1)と、防眩ミラー(322)の反射面(323)の中心点(P3)における法線(L3)とが非平行になるように、ミラー部材(60A)と防眩ミラー(322)とが回転体(210)に保持されている。
この態様によれば、防眩ミラー(322)によって観察者(400)の方向に光が反射される回転位置に回転体(210)を回転させることによって、防眩ミラー(322)による反射像を表示することができる。
第27の態様に係る表示システム(1)は、第21〜第26のいずれかの態様において、回転体(210)を、第1回転位置と第2回転位置との間で移動させるアクチュエータ(6)を更に備える。
この態様によれば、アクチュエータ(6)を用いて、回転体(210)を、第1回転位置と第2回転位置との間で移動させることができる。
第28の態様に係る表示システム(1)では、第21〜第27のいずれかの態様において、反射光学系(B1)は、ハーフミラー(40)を更に含む。表示デバイス(2)の表示面(21)から出射した光はハーフミラー(40)を介して最終反射部材(50)に入射し、最終反射部材(50)での反射光はハーフミラー(40)を透過して観察者(400)の目(401)に入射することで映像を表示する。ハーフミラー(40)は、所定の振動方向の光を透過する反射型偏光フィルム(43)と、ハーフミラー(40)における入射光と出射光との間に電界振動方向において4分の1波長の位相差を発生させる第1のλ/4位相差フィルム(44)と、の積層構造を有する。筐体(70)には、遮光部材(8)として、一方の面が反射面(61A)である板状のミラー部材(60A)が設けられる。解除状態では、最終反射部材(50)から観察者(400)の目(401)に入射する光の光路外の第1位置にミラー部材(60A)が配置される。遮蔽状態では、最終反射部材(50)と観察者(400)との間に反射面を観察者(400)に向けた状態でミラー部材(60A)が配置される。ミラー部材(60A)の表面に、ミラー部材(60A)における入射光と出射光との間に電界振動方向において4分の1波長の位相差を発生させる第2のλ/4位相差フィルム(66)が設けられている。
この態様によれば、表示デバイス(2)からの光を効率よく観察者(400)の目(401)に到達させることができる。
第29の態様に係る表示システム(1)は、第1の態様において、所定の検知エリアにおける状況を検知する検知センサ(14)の出力に応じて、遮光部材(8)の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える駆動部(駆動回路(13)又はアクチュエータ(6))を更に備える。
この態様によれば、検知エリア(R1)における状況に応じて、駆動部(駆動回路(13)又はアクチュエータ(6))は、遮光部材(8)の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。この場合、検知エリア(R1)に存在する物体(O1)が光により熱せられる可能性を低減できる。
第30の態様に係る表示システム(1)では、第29の態様において、最終反射部材(50)での反射光の光路が検知エリア(R1)を通り、検知センサ(14)は、検知エリア(R1)における物体(O1)の存否を検知する物体センサ(15)を含む。駆動部(駆動回路(13)又はアクチュエータ(6))は、物体センサ(15)が検知エリア(R1)における物体(O1)の存在を検知すると、遮光部材(8)の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。
この態様によれば、検知エリア(R1)における状況に応じて、駆動部(駆動回路(13)又はアクチュエータ(6))は、遮光部材(8)の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替える。この場合、検知エリア(R1)に存在する物体(O1)が光により熱せられる可能性を低減できる。
第31の態様に係る表示システム(1)では、第30の態様において、物体センサ(15)は、筐体(70)に保持される。
この態様によれば、表示システム(1)を構成する表示デバイス(2)等と物体センサ(15)とを、筐体(70)に集約することができる。
第32の態様に係る表示システム(1)では、第30又は第31の態様において、物体センサ(15)は、検知エリア(R1)において物体(O1)が移動している場合に、物体(O1)の存在を検知する。
この態様によれば、物体センサ(15)が物体(O1)の存否を誤検知する可能性を低減できる。
第33の態様に係る表示システム(1)では、第29〜32のいずれかの態様において、反射光学系(B1)は、ハーフミラー(40)を更に含む。表示デバイス(2)の表示面(21)から出射した光はハーフミラー(40)を介して最終反射部材(50)に入射し、最終反射部材(50)での反射光はハーフミラー(40)を透過して観察者(400)の目(401)に入射することで映像を表示する。
この態様によれば、ハーフミラー(40)と最終反射部材(50)とで少なくとも2回反射することで、光路長を長くしながらも、小型化を図ることができる。
第34の態様に係る表示システム(1)では、第33の態様において、遮光部材(8)の状態が遮蔽状態である場合に、遮光部材(8)は、ハーフミラー(40)が遮光部材(8)と最終反射部材(50)との間に位置するように配置される。
この態様によれば、遮光部材(8)と最終反射部材(50)との間の空間をハーフミラー(40)の配置スペースとして有効に利用できる。
第35の態様に係る表示システム(1)では、第33又は34の態様において、ハーフミラー(40)は、反射型偏光フィルム(43)と、λ/4位相差フィルム(44)と、の積層構造を有する。反射型偏光フィルム(43)は、所定の振動方向の光を透過する。λ/4位相差フィルム(44)は、ハーフミラー(40)における入射光と出射光との間に電界振動方向において4分の1波長の位相差を発生させる。
この態様によれば、ハーフミラー(40)として蒸着タイプのビームスプリッタを用いる場合に比べて、表示デバイス(2)からの光を効率よく観察者(400)の目(401)に到達させることができる。
第36の態様に係る表示システム(1)では、第29〜第35のいずれかの態様において、遮光部材(8)は、反射面(61)を有する、光学ミラー(60)である。反射面(61)は、遮光部材(8)が遮蔽状態のとき最終反射部材(50)での反射光の反射方向に光を反射する。
この態様によれば、遮光部材(8)が遮蔽状態のとき、反射面(61)に映る像を観察者(400)が視認できる。
第37の態様に係る表示システム(1)では、第29〜36のいずれかの態様において、検知センサ(14)は、光量センサ(16)を含む。光量センサ(16)は、検知エリア(R1)側から入射する光量の少なくとも一部を検知する。
この態様によれば、駆動部(駆動回路(13)又はアクチュエータ(6))は、光量センサ(16)で検知された光量に応じて、遮光部材(8)の状態を解除状態から遮蔽状態に切り替えることができる。そのため、検知エリア(R1)に存在する物体(O1)が光により熱せられる可能性を更に低減できる。
第38の態様に係る表示システム(1)は、第37の態様において、レンズ(18)を更に備える。レンズ(18)は、光量センサ(16)に光を集光する。
この態様によれば、光量センサ(16)に入射する光量が比較的小さい場合であっても、光量を精度良く検知できる。
第39の態様に係る表示システム(1)では、第37又は38の態様において、光量センサ(16)は、筐体(70)の内部において、筐体(70)の下面又は上面に沿って配置される。
この態様によれば、光量センサ(16)の配置スペースを容易に確保できる。
第40の態様に係る表示システム(1)は、第37又は第38の態様において、箱状部(17)を更に備える。箱状部(17)は、筐体(70)に隣接して配置される。箱状部(17)は、検知エリア(R1)側の一端に開口部(170)を有する。光量センサ(16)は、箱状部(17)に収容されている。
この態様によれば、光量センサ(16)の配置スペースを容易に確保できる。
第41の態様に係る表示システム(1)では、第37又は第38の態様において、光量センサ(16)は、遮光部材(8)の表面に配置される。
この態様によれば、光量センサ(16)の配置スペースを容易に確保できる。
第42の態様に係る表示システム(1)では、第29〜第41のいずれかの態様において、遮光部材(液晶ミラー(12))は、最終反射部材(50)での反射光の光路上に配置される。遮光部材(液晶ミラー(12))における光の透過率は、検知センサ(14)の出力に応じて変化する。
上記の構成によれば、遮光体(液晶ミラー(12))の印加電圧を変更することで、遮光体の状態を解除状態と遮蔽状態との間で容易に切り替えることができる。
第43の態様に係る表示システム(1)では、第29〜第42のいずれかの態様において、駆動部(駆動回路(13)又はアクチュエータ(6))は、検知センサ(14)の出力に応じて、筐体(70)の向きを変える。
この態様によれば、遮光部材(8)の状態が解除状態のときと遮蔽状態のときとで、筐体(70)の向きを、ユーザ(観察者(400))にとって利便性が高い向きに変えられる。例えば、遮光体の状態が解除状態のとき、筐体(70)の向きを、ユーザ(観察者(400))が映像を見やすい向きにすることができる。
第44の態様に係る表示システム(1)では、第29〜43のいずれかの態様において、駆動部(駆動回路(13)又はアクチュエータ(6))は、所定条件が成立する場合は、検知センサ(14)の出力に応じた、遮光部材(8)の状態の切り替えを停止する。所定条件は、外光に関する情報である。
この態様によれば、所定条件が成立する場合、駆動部は、検知センサ(14)の出力に応じた遮光部材(8)の状態の切り替えを停止するので、検知センサ(14)の誤検知によって遮光部材(8)の状態が切り替えられる可能性を低減できる。
第45の態様に係る表示システム(1)では、第44の態様において、表示システム(1は自動車(100)に搭載される。最終反射部材(50)での反射光の光路が検知エリア(R1)を通り、検知センサ(14)は、検知エリア(R1)における物体の存否を検知する物体センサ(15)を含む。所定条件は、時間に関する時間情報と、自動車(100)に関する車両情報と、の少なくとも一方に基づいた条件である。
この態様によれば、時間情報と車両情報との少なくとも一方に基づく所定条件が成立する場合、駆動部は、物体センサ(15)の出力に応じた遮光部材(8)の状態の切り替えを停止する。したがって、物体センサ(15)の誤検知によって遮光部材(8)の状態が切り替えられる可能性を低減できる。
第46の態様に係る表示システム(1)では、第44の態様において、表示システム(1)は自動車(100)に搭載される。検知センサ(14)は、検知エリア(R1)側から入射する光量の少なくとも一部を検知する光量センサ(16)を含む。所定条件は、時間に関する時間情報と、自動車(100)に関する車両情報のうち周囲の光量に応じた自動車(100)の動作と非関連の情報と、の少なくとも一方に基づいた条件である。
この態様によれば、時間情報と、車両情報のうち光量センサ(16)で検知される光量に基づく駆動部の切替制御が必要である情報と、の少なくとも一方に基づく所定条件が成立する場合、駆動部は、光量センサ(16)の出力に応じた遮光部材(8)の状態の切り替えを停止する。したがって、光量センサ(16)の誤検知によって遮光部材(8)の状態が切り替えられる可能性を低減できる。
第1の態様以外の構成については、表示システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
第47の態様に係る電子ミラーシステム(5)は、第1〜第46のいずれかの態様の表示システム(1)と、撮像部(4)と、を備える。表示デバイス(2)は、撮像部(4)によって撮影される画像を表示面(21)に表示する。
この態様によれば、表示デバイス(2)による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム(1)を備えた電子ミラーシステム(5)を提供することができる。
第48の態様に係る移動体(自動車(100))は、第47の態様に係る電子ミラーシステム(5)と、電子ミラーシステム(5)を搭載する移動体本体(110)と、を含む。
この態様によれば、表示デバイス(2)による表示に異常が発生した場合でも代替の表示が可能で、前方の視認性の低下を抑制可能な表示システム(1)を備えた移動体を提供することができる。