JP2021098591A - 搬送装置、乾燥装置及び印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】グリッパー搬送機構と吸着搬送機構を併用する構成においてシートの吸着時におけるしわを抑制することができる搬送装置、乾燥装置及び印刷装置を提供する。【解決手段】本開示の一態様に係る搬送装置は、シートの先端部をグリッパーによって把持してシートを搬送するグリッパー搬送機構と、シートを搬送面の吸着領域に吸着させてシートを搬送する吸着搬送機構と、を備え、吸着搬送機構の吸着領域は、シートの搬送方向上流側がV字の頂点となるV字状の吸着開始形状を有し、グリッパー搬送機構は、吸着領域にてシートが吸着搬送されている期間中にグリッパーによるシートの把持状態を一時的に解除する。【選択図】図1

Description

本発明は搬送装置、乾燥装置及び印刷装置に係り、特にシートの吸着搬送を行う枚葉搬送技術及びその応用技術に関する。
特許文献1には、枚葉の用紙にインクを吐出して画像を記録するインクジェット印刷装置が記載されている。特許文献1に記載のインクジェット印刷装置は、画像が記録された用紙に乾燥処理を施すインク乾燥部を備えており、インク乾燥部において用紙をチェーングリッパーによって搬送しつつ、用紙の印刷面と反対側の面である下面(裏面)を吸着してバックテンションを付与する搬送機構が採用されている。
特許文献2には、吸着ベルト搬送装置とチェーングリッパーとを併用して用紙を搬送しながらインク乾燥処理を行うインク乾燥部を備えたインクジェット印刷装置が記載されている。
特開2013−47136号公報 特開2019−155614号公報
特許文献1及び特許文献2に記載されているように、印刷装置のインク乾燥部における用紙搬送の際に、カール及び/又はカックルなどの用紙の変形を抑制するため、用紙の下面を吸着する機構が用いられる。しかし、用紙が大きく変形している(歪んでいる)場合に用紙の下面を吸着すると、用紙が座屈し、しわが発生してしまう。
このような課題は、印刷装置のインク乾燥部に限らず、用紙などのシートの先端部をグリッパーによって把持した状態でシートを搬送するグリッパー搬送機構と、シートを搬送面に吸着させて搬送する吸着搬送機構と、を併用する枚葉搬送システムに共通する課題である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、グリッパー搬送機構と吸着搬送機構を併用する構成においてシートの吸着時におけるしわを抑制することができる搬送装置、乾燥装置及び印刷装置を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る搬送装置は、シートを搬送する搬送装置であって、シートの先端部を把持するグリッパーを有し、グリッパーによって把持されたシートを搬送するグリッパー搬送機構と、グリッパー搬送機構によるシートの搬送経路に沿って配置され、シートを搬送面の吸着領域に吸着させてシートを搬送する吸着搬送機構と、を備え、吸着搬送機構の吸着領域は、シートの搬送方向上流側がV字の頂点となるV字状の吸着開始形状を有し、グリッパー搬送機構は、吸着領域にてシートが吸着搬送されている期間中にグリッパーによるシートの把持状態を一時的に解除する、搬送装置である。
「シート」は搬送装置によって搬送される被搬送材である。「シート」という用語は、シート状の媒体、あるいは、シート状の被搬送材と、同義である。シートの搬送方向上流側のシート端をシートの先端、搬送方向下流側のシート端をシートの後端という。シートの先端部とは、シートの先端付近の部分をいう。「吸着開始形状」とは、吸着領域におけるシートの入口側の形状であり、搬送方向に進行するシートに対して吸着が開始される部分の形状である。
本態様によれば、吸着搬送機構の吸着領域へと運ばれたシートはV字状の吸着開始形状によってV字の頂点部分から吸着が始まり、V字の広がりに沿って次第にシートの外側に向かって吸着が進む。このため、シートの歪が拡散され、吸着時のしわの発生を抑制することができる。また、本態様によれば吸着搬送機構による吸着搬送の途中でグリッパーの把持状態を一時的に解除するため、グリッパーの把持によるシートの拘束と、吸着によるシートの拘束との二重拘束状態が回避され、二重拘束に起因するしわの発生が抑制される。なお、しわを抑制することは座屈を抑制することの概念を含む。
V字状の吸着開始形状におけるV字角度は60度以下であることが好ましい。
グリッパー搬送機構は、シートの先端がV字状の吸着開始形状の途中の位置にあるときにグリッパーを開いて把持状態を解除し、シートの先端がV字状の吸着開始形状の区間を通過した後にグリッパーを閉じてシートを把持し直すように動作することが好ましい。
グリッパー搬送機構は、シートの先端がV字状の吸着開始形状の途中の位置にあるときにグリッパーを開いて把持状態を解除し、シートの後端が吸着領域に吸着された後にグリッパーを閉じてシートを把持し直すように動作することがさらに好ましい。
グリッパー搬送機構におけるグリッパーの開閉動作は、グリッパーを移動させる動きに連動する機械的なメカニズムによって実現されてもよいし、電気的な制御によって実現されてよもよい。
本開示の他の態様に係る搬送装置において、1つ又は複数のプロセッサをさらに備え、プロセッサは、グリッパー搬送機構によるシートの搬送速度と吸着搬送機構によるシートの搬送速度とを同期させて、グリッパー搬送機構及び吸着搬送機構を動作させる制御を行う構成とすることができる。
プロセッサは、グリッパーの開閉動作を制御し、シートの先端が吸着領域におけるV字状の吸着開始形状の途中の第1位置に到達したときにグリッパーを開いて把持状態を解除させ、シートの先端が吸着領域におけるV字状の吸着開始形状を通過してシートの後端が吸着領域に吸着された状態となる第2位置にシートの先端が到達したときにグリッパーを閉じてシートを把持し直すように、グリッパーを動作させる構成とすることができる。
本開示のさらに他の態様に係る搬送装置において、吸着搬送機構は、複数の吸着孔を有する無端状の搬送ベルトと、搬送ベルトの内側に配置され、複数の吸着孔を通じて空気を吸い込むことにより吸着力を発生させる吸着ユニットと、を備える吸着コンベアであってよい。
本開示のさらに他の態様に係る搬送装置において、グリッパー搬送機構は、無端状のチェーンと、チェーンに取り付けられた複数のグリッパーと、を備えるチェーングリッパーであってよい。
本開示の他の態様に係る乾燥装置は、本開示のいずれか一の態様に係る搬送装置と、吸着搬送機構の搬送面に対向して配置され、シートに向けて風を吹き出す送風装置と、を備える乾燥装置である。
本態様による乾燥装置によれば、シートの変形を抑制しつつ乾燥を行うことが可能である。
本開示にさらに他の態様に係る乾燥装置は、シートの搬送経路において、送風装置によりシートに対して送風が開始される送風開始位置は、吸着領域によりシートの吸着を開始する吸着開始位置よりもシートの搬送方向上流側の位置であり、シートに対する送風開始位置での送風開始タイミングと吸着開始位置での吸着開始タイミングとの時間差が0.4秒以下である構成とすることが好ましい。
かかる態様によれば、送風によってシートの変形が進む前に吸着を開始することができ、シートの変形を抑制することができる。
本開示にさらに他の態様に係る乾燥装置は、シートの搬送経路において、送風装置によりシートに対して送風が開始される送風開始位置は、吸着領域によりシートの吸着を開始する吸着開始位置と一致する位置、又は吸着開始位置よりもシートの搬送方向下流側の位置である、構成とすることができる。
かかる態様によれば、吸着と同時、又は吸着後にシートに対して送風が開始されるため、吸着前の送風によってシートの変形を助長することがなく、シートの変形を抑制することができる。
送風装置は、V字状の吸着開始形状と同じ形状のV字状送風を行う送風口を備える構成とすることが好ましい。
本開示のさらに他の態様に係る乾燥装置において、シートは、インクが付与された印刷用紙であり、送風装置から温風を吹き出すことにより、インクを乾燥させる構成とすることができる。
本開示のさらに他の態様に係る印刷装置は、シートに印刷を行う印刷部と、シートを搬送する搬送装置と、を備える印刷装置であって、搬送装置は、シートの搬送方向下流側の先端部を把持するグリッパーを有し、グリッパーによって把持されたシートを搬送するグリッパー搬送機構と、グリッパー搬送機構によるシートの搬送経路に沿って配置され、シートを搬送面の吸着領域に吸着させてシートを搬送する吸着搬送機構と、を備え、吸着搬送機構の吸着領域は、シートの搬送方向上流側がV字の頂点となるV字状の吸着開始形状を有し、グリッパー搬送機構は、吸着領域にてシートが吸着搬送されている期間中にグリッパーによるシートの把持状態を一時的に解除する印刷装置である。
本開示のさらに他の態様に係る印刷装置は、吸着搬送機構の搬送面に対向して配置され、シートに向けて風を吹き出す送風装置をさらに備え、シートの搬送経路において、送風装置によりシートに対して送風が開始される送風開始位置は、吸着領域によりシートの吸着を開始する吸着開始位置よりもシートの搬送方向上流側の位置であり、シートに対する送風開始位置での送風開始タイミングと吸着開始位置での吸着開始タイミングとの時間差が0.4秒以下である構成とすることができる。
印刷部は、インクジェットヘッドを備える構成であってよい。
本発明によれば、グリッパー搬送と吸着搬送とを併用してシートを搬送する構成においてシートの吸着時におけるしわを抑制することができる。これにより、シートの変形を抑制することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る印刷装置の構成を概略的に示す図である。 図2は、吸着コンベアの構成例を示す斜視図である。 図3は、吸着ユニットの構成例を示す分解斜視図である。 図4は、吸着ユニットの吸着領域と用紙の関係を模式的に示す平面図である。 図5は、V字型の吸着領域におけるV字角度の定義を示す説明図である。 図6は、V字角度を変化させてしわの発生状況を調べた実験結果を示すグラフである。 図7は、グリッパー解放区間の例を示す斜視図である。 図8は、グリッパー解放区間を変化させてしわの発生状況を調べた実験の結果をまとめた図表である。 図9は、乾燥開始と吸着開始との時間差を変化させてしわの発生状況を調べた実験結果を示すグラフである。 図10は、図1に示す印刷装置の機能ブロック図である。 図11は、印刷装置に用いられている搬送装置の制御系の構成を示すブロック図である。 図12は、V字状の形状に関する他の例を示す図である。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。本明細書では、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明は適宜省略する。
《印刷装置の構成例》
図1は本発明の実施形態に係る印刷装置10の構成を概略的に示す図である。印刷装置10は、シングルパス方式によって高速印刷を行う枚葉型のインクジェット印刷装置である。用紙Pとして、例えば、長方形の枚葉紙が用いられる。用紙Pは、本開示における「シート」の一例である。
印刷装置10は、印刷部40と、乾燥部50と、集積部60と、を備える。印刷部40は、インクジェットヘッド46C、46M、46Y、46Kと、円筒状の印刷ドラム42と、を備える。印刷部40は、不図示の給紙部から供給された用紙Pにインクを付着させて印刷を実施する。
インクジェットヘッド46C、46M、46Y、46Kは、それぞれシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のインクを吐出するプリントヘッドである。インクは例えば水性インクであってよい。水性インクとは、水と水に可溶な溶媒に染料、顔料等の色材とを溶解又は分散させたインクをいう。本実施形態においては水性顔料インクが用いられる。CMYKの各水性インクの顔料には有機系の顔料が用いられる。インクジェットヘッド46C、46M、46Y、46Kのそれぞれには、不図示のインクタンクから不図示の配管経路を経由して、対応する色のインクが供給される。
インクジェットヘッド46C、46M、46Y、46Kは、用紙Pの幅方向について用紙幅以上の印刷幅を有するライン型のプリントヘッド(ラインヘッド)である。用紙Pの幅方向とは、用紙Pの搬送方向に直交し、かつ用紙Pの紙面と平行な方向を意味する。本明細書では、用紙Pの幅方向を用紙幅方向といい、用紙Pの搬送方向を用紙搬送方向という。用紙幅方向をX方向、用紙搬送方向をY方向、用紙Pの紙面に垂直な方向をZ方向と記載する場合がある。X方向、Y方向及びZ方向は互いに直交する。Z方向は、用紙Pの厚み方向と理解してよい。用紙幅とはX方向における用紙Pのサイズを意味し、用紙長さとはY方向における用紙Pのサイズを意味する。本実施形態に用いる用紙Pは長方形であり、印刷装置10は用紙Pの長辺をX方向、短辺をY方向として用紙Pを搬送する横送りを行う。
インクジェットヘッド46C、46M、46Y、46KのそれぞれはX方向について用紙Pの用紙幅以上の長さに渡って複数のインク吐出口(ノズル開口)が配列されるノズル列を有する。インクジェットヘッド46C、46M、46Y、46Kのそれぞれのインク吐出面には、インクの吐出口である複数のノズルが二次元配列されている。インク吐出面は、ノズルの開口が形成されているノズル形成面であり、ノズル面と同義である。インクジェットヘッド46C、46M、46Y、46Kの各ノズル面には、撥水膜が形成されている。
インクジェットヘッド46C、46M、46Y、46Kは、それぞれ複数のヘッドモジュールを用紙幅方向に繋ぎ合わせて構成することができる。
インクジェットヘッド46C、46M、46Y、46Kは、印刷ドラム42の上側において、それぞれのノズル面が印刷ドラム42の外周面42Aに対向して配置される。インクジェットヘッド46C、46M、46Y、46Kは、印刷ドラム42によって一定の速度で搬送されている用紙Pに向けてインクを吐出することにより、用紙Pにインクを付着させて画像を記録する。
なお、ここではCMYKの4色のインクを用いる構成を示すが、インク色と色数については本実施形態に限定されない。例えば、ライトマゼンタ、ライトシアン等の淡色インク、グリーン、オレンジ、バイオレット等の特色インク、クリアインク、メタリックインク、ホワイト(白)等を吐出するインクジェットヘッドを追加してもよい。また、同じ色のインクを吐出する複数本のインクジェットヘッドを配置してもよい。各色のインクジェットヘッドの配置順序についても特に限定されないが、ホワイトインクは透明な媒体に白色背景画像を印刷する際に使用し得ることから、ホワイトインクを吐出するインクジェットヘッドは、非白色インクを吐出するインクジェットヘッドよりも用紙搬送方向の下流側の位置に配置されることが好ましい。
印刷ドラム42は、グリッパー43を有する吸引式の吸着ドラムであり、給紙部から供給される用紙Pを外周面42Aに拘束して用紙Pを搬送する。グリッパー43は、用紙Pの先端部を把持する把持機構である。用紙Pの先端部とは、用紙搬送方向下流側における用紙Pの端部である。グリッパー43は、印刷ドラム42の軸方向に沿って並ぶ複数の把持爪を備える。複数の把持爪は、不図示の爪支持部材を用いて開閉可能に支持される。複数の把持爪は、印刷ドラム42の軸方向に間隔をあけて配置され、用紙幅方向の複数箇所で用紙Pを把持する。
印刷ドラム42は、ドラム周方向の2か所の位置に、概ね180度等配の位置に、グリッパー43が配置されている。つまり、印刷ドラム42は1回転で2枚の用紙Pを搬送し得る。印刷ドラム42の直径によっては、1回転で3枚以上の用紙Pを搬送する形態も可能である。
図1には示されていないが、印刷ドラム42の外周面42Aにおいて用紙Pを吸着させる用紙支持領域には、複数の吸着孔が設けられている。複数の吸着孔は不図示の流路を介して不図示の吸引ポンプと接続される。
印刷ドラム42は、グリッパー43によって用紙Pの先端部を把持して回転することにより、用紙Pを外周面42Aに巻き付けて搬送する。印刷ドラム42は、不図示の吸着機構を備え、外周面42Aに巻き付けられた用紙Pを外周面42Aに吸着させて搬送する。吸着には、負圧が利用される。印刷ドラム42は、外周面42Aに多数の吸着孔を備え、この吸着孔を介して内部から吸引することにより、用紙Pを外周面42Aに吸着させる。
印刷ドラム42は、不図示のモータの動力によって回転する。すなわち、印刷ドラム42は、用紙Pの先端部をグリッパー43によって把持した状態で回転することにより、用紙Pを外周面42Aに巻き掛けながら、用紙Pを外周面42Aに吸着する。印刷ドラム42が回転することにより、用紙Pはインクジェットヘッド46C、46M,46Y,46Kと対面するジェッティング位置を通過して、乾燥部50へと搬送される。
印刷ドラム42によって搬送される用紙Pに向けてインクジェットヘッド46C、46M,46Y,46Kの少なくとも1つからインクが吐出されることにより、用紙Pにインクが付着して画像が形成される。こうして、印刷部40によって画像が形成された用紙Pは、印刷ドラム42のグリッパー43から乾燥部50へと受け渡される。
乾燥部50は、印刷部40によって画像が形成された用紙Pに対して乾燥処理を施す。乾燥部50は、チェーングリッパー70と、第1ガイド80と、吸着コンベア100と、第2ガイド84と、加熱乾燥処理装置90と、を備える。
チェーングリッパー70は、一対の無端状のチェーン72と、複数のグリッパー74と、を備える。なお、図1には一対のチェーン72のうち一方のみを図示する。各チェーン72は、不図示の2つのスプロケットに巻き掛けられており、スプロケットが回転することにより、チェーン72は図1における時計回り方向へ周回する。「周回する」とは循環移動することと同義である。
複数のグリッパー74はチェーン72の周回方向に規定の間隔をおいて、チェーン72に取り付けられている。各グリッパー74は、用紙幅方向(図1における紙面奥行き方向)の一方の端部と他方の端部のそれぞれが、一対のチェーン72のそれぞれに取り付けられている。各グリッパー74は、用紙幅方向(図1における紙面奥行き方向)に沿って並ぶ複数の把持爪を備える。複数の把持爪は二本のチェーン72の間に渡された不図示の爪支持部材を用いて開閉可能に取り付けられる。これら複数の把持爪が用紙Pの先端部を把持する。なお、各グリッパー74は、用紙幅方向に用紙Pの幅サイズに対応する長さを有しており、用紙Pの先端部を用紙幅方向の一端部から他端部にわたって把持する機能を有している。
印刷ドラム42から受け渡された用紙Pの先端部をグリッパー74が把持した状態で、チェーン72が周回することにより、用紙Pが搬送される。
チェーングリッパー70は、印刷ドラム42から用紙Pを受け取り、用紙Pの先端部をグリッパー74によって把持して用紙Pを搬送する。
第1ガイド80は、用紙Pの搬送経路における印刷ドラム42の下流側においてチェーン72に対向して配置される。第1ガイド80は、用紙Pの幅方向(図2の紙面の奥行方向)に沿って長さを有している。第1ガイド80は、印刷ドラム42と吸着コンベア100との間の用紙搬送経路において用紙Pをガイドする機構である。
吸着コンベア100は、加熱乾燥処理装置90及びチェーン72に対向して配置される。吸着コンベア100は、搬送ベルト110と、駆動プーリ112と、従動プーリ114と、吸着ユニット116と、ブロア118と、を備える。吸着コンベア100は、無端状の搬送ベルト110に用紙Pを吸着させた状態で搬送ベルト110を走行させて、用紙Pを搬送する装置である。
搬送ベルト110は、無端状(環状)に形成されている。この搬送ベルト110は、例えば、ステンレス等の金属ベルトで構成されている。搬送ベルト110には、用紙Pを搬送ベルト110に吸着するための吸着孔が複数形成されている。
駆動プーリ112は、従動プーリ114に対して、用紙搬送方向下流側に配置される。搬送ベルト110は、従動プーリ114及び駆動プーリ112に対して巻き掛けられている。不図示のモータを含むベルト駆動部が駆動プーリ112を図1における反時計回り方向へ回転駆動することにより、搬送ベルト110が図1における反時計回り方向へ周回する。
吸着ユニット116は搬送ベルト110の内側に配置されている。吸着ユニット116は空気吸引用のブロア118と接続されており、ブロア118を作動させることにより、搬送ベルト110の吸着孔を通じて用紙Pを吸引する負圧を発生させる。こうして、用紙Pの非印刷面を搬送ベルト110の搬送面110aに吸着させる。
搬送ベルト110は、チェーングリッパー70により搬送されている用紙Pの下面(非印刷面)を吸着した状態で、自らの循環移動により、用紙Pを搬送する。すなわち、用紙Pは、グリッパー74により先端部が把持され、その把持された先端部よりも後端側において非印刷面が搬送ベルト110に吸着された状態で、チェーングリッパー70及び吸着コンベア100によって搬送される。チェーングリッパー70は本開示における「グリッパー搬送機構」の一例である。吸着コンベア100は本開示における「吸着搬送機構」の一例である。
チェーングリッパー70は、乾燥部50において吸着コンベア100と協働して用紙Pを搬送する。搬送ベルト110は、チェーン72の動きと同期しながら移動する。搬送ベルト110の走行速度と、チェーングリッパー70の走行速度とは同じ速度に制御される。
吸着コンベア100のコンベア長は、同一期間に複数枚の用紙Pを吸着し得る長さを有する。図1に示す搬送ベルト110は、同一期間に2枚の用紙Pを吸着し得る長さを有しているが、搬送ベルト110の長さは、適宜設計することができ、同一期間に3枚以上の用紙Pを吸着し得る形態も可能である。
チェーングリッパー70による用紙Pの搬送経路は、吸着コンベア100のコンベア長にわたって用紙Pを搬送ベルト110のベルト面と平行に水平方向に沿って搬送する第1搬送領域と、吸着コンベア100の終端から用紙Pを図1の斜め上方向に搬送する第2搬送領域とを含む。
加熱乾燥処理装置90は、第1搬送領域において吸着コンベア100に対向して配置される。加熱乾燥処理装置90は、印刷部40を用いて印刷がされた用紙Pに熱を加えてインクの溶媒を蒸発させ用紙Pを乾燥させる。加熱乾燥処理装置90は、不図示の送風ユニットを備える。送風ユニットはヒータとファンとを含んで構成され、チェーングリッパー70及び吸着コンベア100を用いて搬送される用紙Pに温風を吹き当てる。加熱乾燥処理装置90は、用紙Pの上側(印刷面側)から温風を送風し、インクの乾燥を促進する。加熱乾燥処理装置90は本開示における「送風装置」の一例である。
加熱乾燥処理装置90は不図示の排気装置を含んでもよい。排気装置は、加熱乾燥処理装置90の処理領域の空気を印刷装置10の外部へ排気する。これにより、熱の滞留に起因する印刷装置10内の温度上昇を抑制する。
チェーングリッパー70は、加熱乾燥処理装置90による乾燥処理を経た用紙Pを集積部60へと搬送する。第2ガイド84は、チェーングリッパー70による用紙Pの搬送経路における吸着コンベア100と集積装置62との間の第2搬送領域に配置され、第2搬送領域において用紙Pの非印刷面をガイドする。
チェーングリッパー70は、用紙Pが集積部60へ到達した際に、グリッパー74を開いて用紙Pをリリースする。集積部60は、チェーングリッパー70を用いて乾燥部50から搬送されてくる用紙を受け取り集積する集積装置62を備える。集積装置62は、チェーングリッパー70からリリースされた用紙Pを受け取り、集積装置62の集積トレイの上に用紙Pを束状に集積する。
《吸着コンベア100の構成例》
図2は、吸着コンベア100の構成例を示す斜視図である。搬送ベルト110は、用紙Pの長辺(X方向幅)より大きいベルト幅を有する。搬送ベルト110は、金属製であることが耐久性の点で好ましい。搬送ベルト110として、例えば、厚みが0.3mmのSUS304(Steel Use Stainless 304)のベルトを用いることができる。このSUS製のベルトに、0.5mm径の丸孔を互いに隣り合う孔同士の中心間距離(孔ピッチ)が2.0mmの60度千鳥格子状(60度ジグザグ状)に配置して、単位面積当たりの開口率を5.7%とした。搬送ベルト110は、丸孔がY方向に2.0mmピッチで配置される。
搬送ベルト110は、駆動プーリ112及び従動プーリ114に張架されている。駆動プーリ112は、動力源としての不図示のモータによって回転駆動される。モータが駆動されると、駆動プーリ112が図2において左回りに回転する。従動プーリ114は、駆動プーリ112と平行に配置される。
従動プーリ114は、内部に不図示のオイルヒータを備えている。オイルヒータは、従動プーリ114を加熱することで、搬送ベルト110をベルト裏面110b側から加熱する。
従動プーリ114は、駆動プーリ112の回転に従動して図2において左回りに回転する。駆動プーリ112及び従動プーリ114の回転により、搬送ベルト110は駆動プーリ112及び従動プーリ114の間を走行経路に沿って走行する。
搬送ベルト110の搬送面110aには、チェーングリッパー70により搬送される用紙Pが載置される。なお、図2においてチェーングリッパー70の図示は省略する。
吸着コンベア100は、印刷面にインクが付与された用紙Pを搬送ベルト110の搬送面110aに拘束してY方向に用紙Pを搬送する。搬送面110aは、少なくとも用紙Pと当接している間は平坦な面を形成する。
チェーングリッパー70のチェーン72及びグリッパー74は、搬送ベルト110の搬送面110aとの距離が5mm以上10mm以下の位置を移動する。グリッパー74と搬送面110aとの距離が離れ過ぎると、グリッパー74に把持された用紙Pの先端部が大きく曲がり、しわの原因となり得る。用紙Pを把持しているグリッパー74と搬送面110aとの距離はなるべく近いことが好ましい。
吸着ユニット116は、搬送ベルト110の複数の吸着孔を通じて空気を吸い込むことにより搬送ベルト110の吸着孔に吸着力を発生させる。吸着ユニット116は、チャンバ132と、多孔質吸着板134と、耐摩耗シート136と、を備えている。
図3は、吸着ユニット116の構成例を示す分解斜視図である。チャンバ132は、搬送ベルト110と対向する面が開放された直方体形状を有する。なお、チャンバ132の形状は直方体形状に限定されず、箱形の形状であればよい。チャンバ132の開放面には、多孔質体を用いて構成された多孔質吸着板134が配置される。多孔質吸着板134は、多孔質体によって構成されることで、厚み方向(図3においてZ方向)に通気可能となっている。すなわち、多孔質吸着板134は、空気を通す不図示の多数の連通孔を有する。多孔質吸着板134は、チャンバ132の外側に露出して配置される外面134aと、チャンバ132の内側に収めて配置される内面134bとが、多数の連通孔により、連通している。多孔質吸着板134の厚み、すなわち、外面134aと内面134bとの面間の距離は、例えば5mmであってよい。多孔質吸着板134の外面134aは、平坦に形成されている。
多孔質吸着板134は、樹脂製、酸化アルミニウム等のセラミック製、又は炭化ケイ素(SiC)系材料製であることが耐久性の点で好ましく、フッ素樹脂製、セラミック製、又は炭化ケイ素系材料製であることが耐熱性の点で好ましい。多孔質吸着板134は、フッ素系樹脂等により、コーティングが施されてもよい。また、多孔質吸着板134として、微細孔を有する金属金網を用いてもよいし、金属金網はコーティング付きであってもよい。なお、多孔質吸着板134と搬送ベルト110との間に耐摩耗シート136が配置されることから、多孔質吸着板134は搬送ベルト110と直接的に接触摺動することがない。このため、多孔質吸着板134には、摩耗しやすい材料を用いることもできる。
多孔質吸着板134は、気孔率が35%以上75%以下、平均気孔径が3μm以上40μm以下であることが、吸引性能の点で好ましい。より好ましくは、気孔率が35%以上50%以下であり、さらに好ましくは、気孔率が30%以上40%以下である。本実施形態に係る印刷装置10では多孔質吸着板134として、気孔率が30%以上40%以下であり、平均気孔径が10μmであるポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene:PTFE)を用いている。
多孔質吸着板134の外面134aには、耐摩耗シート136が配置される。耐摩耗シート136は、例えば、フッ素樹脂の被覆層を有するガラスクロス製の部材である。耐摩耗シート136は、吸着ユニット116の最上部に位置し、搬送ベルト110と摺動する。
耐摩耗シート136は、例えば、フッ素樹脂を溶融させた溶液にガラスクロスを浸漬させることでガラスクロスに溶液を付着させ、その後に乾燥して製造される。これにより、耐摩耗シート136は、ガラスクロスにフッ素樹脂が含浸され、ガラスクロスの両面にフッ素樹脂層が形成される。ここで、含浸とは、ガラスクロスの縦糸及び横糸の隙間に溶融したフッ素樹脂が入り込み、ガラスクロス全体にフッ素樹脂が浸透した状態である。
耐摩耗シート136は、平坦部142a及び一対の折り曲げ部142bからなるU字状に形成されている。耐摩耗シート136は、多孔質吸着板134を一対の折り曲げ部142bでY方向の両側から挟み込んで、多孔質吸着板134の外面134aを平坦部142aによって覆う。耐摩耗シート136は、平坦部142aの表面136aが、搬送ベルト110のベルト裏面110bと摺動し、平坦部142aの裏面136bが多孔質吸着板134に支持される。
耐摩耗シート136の平坦部142aは、吸着領域137と非吸着領域138とを有する。吸着領域137には、搬送ベルト110を介して用紙Pを吸着するための不図示の複数の吸着孔が設けられている。非吸着領域138は吸着孔を有しておらず、非吸着領域138は耐摩耗シート136の厚み方向について通気不能な領域となっている。耐摩耗シート136の平坦部142aのうち非吸着領域138に相当する領域を不図示の非通気部材によって覆うことによって非吸着領域138を形成してもいし、耐摩耗シート136に設ける吸着孔の配置パターンによって吸着領域137と非吸着領域138とを形成してもよい。
吸着領域137は、用紙搬送方向において吸着が開始される上流側の位置をV字の頂点として用紙搬送方向に向かってV字状に広がる吸着開始形状を有する。
吸着ユニット116は、耐摩耗シート136の吸着領域137の形状が反映されたV字型の吸着領域を形成することができ、吸着コンベア100の搬送ベルト110の搬送面110aには、吸着ユニット116によって実現されるV字型の吸着領域と同等の吸着領域が形成される。
図4は、吸着ユニット116の吸着領域137と用紙Pの関係を模式的に示す平面図である。図4の下から上に向かって用紙Pが搬送される。図4においては、搬送ベルト110の記載を省略するが、吸着ユニット116における吸着領域137は搬送ベルト110の搬送面110aにおける吸着領域に対応するものと理解してよい。
用紙Pの長辺をWp、短辺をHp、吸着ユニット116の用紙搬送方向の長さをLとする。一例として、Wp=750mm,Hp=585mm,L=1000mmである。吸着ユニット116の用紙幅方向のサイズは、Wpよりも大きいサイズであればよい。
《V字型吸着領域の条件》
用紙Pの下面(非印刷面)を吸着することによって、用紙Pが座屈し、しわが発生してしまうという課題の原因は、用紙Pの歪が局所に集中することで、用紙Pが歪を吸収しきれず座屈することにあると推定される。このため、本実施形態では用紙Pを吸着する際に歪を局所に集めない構造として、用紙Pの幅方向の中央から外側に向かって徐々に吸着を進めるV字型吸着の構成が採用される。
図5に示すように、V字型の吸着領域におけるV字角度をθとする。V字角度とはV字の頂角を意味する。実験に基づく知見によれば、V字型の形状は、V字角度θが60度以下であること、すなわち、0°<θ≦60°を満たすことが好ましい。
図6は、V字角度を変化させてしわの発生状況を調べた実験結果を示すグラフである。横軸はV字角度を表し、縦軸はしわの発生率を表す。図6に示すとおり、V字角度θが大きいほどしわの発生率が大きく、V字角度θが小さいほど、しわの発生率が低下する傾向がある。θ=60°のときにしわが解消することが確認された。V字角度θが60度以下であれば、しわの発生を大幅に抑制することができる。0°<θ≦60°を満たすV字角度を持つV字型吸着搬送を採用することにより、ある紙種においてはしわ発生率が100%から0%にまで軽減することが確認された。
《グリッパーの一時的な拘束解除とV字型吸着搬送との組み合わせ》
用紙の種類によっては、チェーングリッパー70による搬送と吸着コンベア100によるV字型吸着とを併用した場合に、グリッパー74による用紙Pの拘束と、吸着コンベア100の吸着による用紙Pの拘束との2重拘束によって、特有のしわが発生することが確認された。この2重拘束に起因する特有のしわは、具体的には、グリッパー74による咥えしわと用紙Pの歪とが合体して用紙搬送方向に沿って延在する縦しわである。
このような縦しわを低減する対策として、印刷装置10では吸着コンベア100にて用紙Pを吸着している期間中に、その用紙Pを把持するグリッパー74の拘束状態を一時的に解除する。すなわち、一時的にグリッパー74の爪を開いて把持状態を解除する。これにより、2重拘束状態を回避し、しわの発生を抑制することができた。結果として、ある紙種についてしわ発生率を70%から0%にまで軽減することができた。
グリッパー74による把持状態(拘束状態)を解除することを、グリッパー74を解放すると表現する。用紙Pの搬送中にグリッパー74を一時的に解放する用紙搬送区間を「グリッパー解放区間」という。
図7は、グリッパー解放区間RSの例を示す斜視図である。図7においては搬送ベルト110と用紙Pの図示を省略している。図7において用紙搬送経路に沿ったY方向の位置を特定するために用紙搬送方向にY軸をとり、吸着ユニット116による吸着開始位置をy0、グリッパー解放開始位置をy1、グリッパー解放終了位置をy2、吸着ユニット116による吸着終了位置をy3、として示す。y0の位置を基準位置として、Y方向の各位置を基準位置からの距離によって表すことができる。
グリッパー解放開始位置y1とグリッパー解放終了位置y2との間の区間がグリッパー解放区間RSとなる。グリッパー解放終了位置は、グリッパー74を閉じて用紙Pを掴み直す(把持を再開する)位置である。
例えば、用紙Pの用紙サイズが750mm×532mmであるとし、y0=0mm、y3=1000mmとする場合に、y1=300mm、y2=700mmとすることが好ましい。図7に示すy1の位置は本開示における「第1位置」の一例であり、y2の位置は本開示における「第2位置」の一例である。
図8は、グリッパー解放区間RSを変化させてしわの発生状況を調べた実験の結果をまとめた図表である。実験で使用した用紙の用紙サイズは750mm×532mmであり、吸着区間のY方向長さは1000mm(1メートル)、V字角度は60°である。吸着区間のY方向長さとは、吸着領域137の用紙搬送方向長さLを意味する。図8に示す表中の「開始」の位置は図7におけるy1の位置を示し、「終了」の位置は図7におけるy2の位置を示す。単位は「ミリメートル」である。
図8に示す実験結果によれば、吸着区間のY方向長さL=1000mmのうち、吸着が開始される最上流位置であるV字の頂点の位置から用紙搬送方向に距離を計測して、少なくとも300mmの位置から700mmの位置までの区間をグリッパー解放区間とすることが好ましい。
ここに示すグリッパー解放区間の数値の条件は一例にすぎない。グリッパー解放区間の好ましい数値条件はV字角度に依存する。グリッパー解放区間は、V字型の吸着領域におけるV字の途中の位置(V字のラインと交差する位置)から始まり、V字の広がりが終了するV字終了位置又はそれよりも用紙搬送方向の下流の位置、すなわち、V字のラインと非交差の位置にて終了するような区間に設定されることが好ましい。
つまり、用紙Pの先端がV字状の吸着開始形状の途中の位置にあるときにグリッパー74を開いて把持状態を解除し、その後、用紙Pの先端がV字の区間を通過した後にグリッパー74を閉じて用紙Pを掴み直す(把持し直す)ことが好ましい。
グリッパー74によって用紙Pの把持を再開するタイミング(解放終了タイミング)は、用紙Pの後端が吸着領域137に吸着された後のタイミングであることが好ましい。
すなわち、V字型吸着領域のうち、用紙Pの先端がV字状の吸着開始形状の途中の位置にあるときにグリッパー74を開いて把持状態を解除し、その後、少なくとも用紙Pの後端が吸着されるまでは解放(非拘束)状態を維持し、用紙Pの後端が吸着された後にグリッパー74による把持を再開する(用紙Pを掴み直す)動作となることが好ましい。
《吸着開始位置と乾燥開始位置との関係》
吸着時のしわを抑制するためには、吸着開始位置と乾燥開始位置の位置関係も重要なファクターの1つである。用紙Pに対して吸着を開始するよりも前に、乾燥処理を開始する構成である場合、乾燥によって用紙Pの変形が促進されるため、乾燥開始後の短時間内に用紙Pの吸着を開始することが好ましい。実験に基づく知見によれば、乾燥開始から吸着開始までの時間差tdが0.4秒以下であることが好ましい。
図7には、加熱乾燥処理装置90が用紙Pに対して乾燥処理を開始する位置が吸着開始位置よりも用紙搬送方向上流側にある例が示されており、吸着開始タイミングと乾燥開始タイミングとの時間差がtdであることが示されている。乾燥開始位置は、用紙搬送経路において加熱乾燥処理装置90による温風(乾燥風)の吹き出しが始まる位置、すなわち送風開始位置と理解してよい。乾燥開始タイミングは送風開始タイミングであると理解してよい。なお、図7において加熱乾燥処理装置90の下方に示す複数の下向き矢印は、加熱乾燥処理装置90から面状に吹き出される温風のイメージを表現している。
図9は、乾燥開始と吸着開始との時間差tdを変化させてしわの発生状況を調べた実験結果を示すグラフである。横軸は時間差tdを表し、縦軸はしわ発生率を示す。なお、時間差tdは、用紙Pの先端が乾燥開始位置に到達した時刻taと、用紙Pの先端が吸着開始位置に到達した時刻tbとの時間差td=tb−taによって表される。なお、吸着開始後に乾燥を開始する構成は、tdが負の値となる。
図9から明らかように、td≦0.4[sec]の条件を満たすことにより、しわの発生を抑制することが可能である。乾燥開始位置は本開示における「送風開始位置」の一例である。
用紙Pの搬送経路において、乾燥開始位置が吸着開始位置よりも用紙搬送方向上流側の位置である場合には、用紙Pに対する乾燥開始位置での乾燥開始タイミングと吸着開始位置での吸着開始タイミングとの時間差を0.4秒以下とすることが好ましい。
なお、図9から把握されるとおり、用紙Pの搬送経路において、乾燥開始位置と吸着開始位置とを一致させる形態(td=0)、又は、乾燥開始位置を吸着開始位置よりも用紙搬送方向下流側の位置とする形態(td<0)も可能である。
チェーングリッパー70と吸着コンベア100と加熱乾燥処理装置90とを含む乾燥部50は本開示における「乾燥装置」の一例である。
《加熱乾燥処理装置90の送風形状について》
加熱乾燥処理装置90から用紙Pに向けて吹き出す乾燥風の送風形状は、吸着領域137の吸着形状と同じ形状となっていることが好ましい。すなわち、加熱乾燥処理装置90は、吸着領域137におけるV字状の吸着開始形状と同じ形状のV字状送風を行う送風口を備える形態であることが好ましい。かかる形態によれば、用紙Pの幅方向の各位置において乾燥開始タイミングと吸着開始タイミングとの時間差を一定にすることができる。
《印刷装置10の制御系の説明》
図10は、印刷装置10の機能ブロック図である。印刷装置10は、システムコントローラ500と、通信部502と、画像メモリ504と、パラメータ記憶部506と、プログラム記憶部508と、を備える。システムコントローラ500は、CPU(Central Processing Unit)500A、ROM(Read Only Memory)500B、及びRAM(Random Access Memory)500Cを備える。ROM500B、及びRAM500Cは、システムコントローラ500の外部に設けられていてもよい。
システムコントローラ500は、印刷装置10の各部を統括的に制御する全体制御部として機能する。また、システムコントローラ500は、各種演算処理を行う演算部として機能する。システムコントローラ500は、プログラムを実行して、印刷装置10の各部を制御してもよい。
システムコントローラ500は、ROM500B、及びRAM500Cなどのメモリにおけるデータの読み出し及びデータの書き込みを制御するメモリーコントローラとして機能する。
通信部502は、不図示の通信インターフェースを備える。通信部502は通信インターフェースを介して接続されたホストコンピュータ550との間でデータの送受信を行うことができる。
画像メモリ504は、画像データを含む各種データの一時記憶部として機能する。画像メモリ504は、システムコントローラ500を通じてデータの読み書きが行われる。通信部502を介してホストコンピュータ550から取り込まれた画像データは、一旦画像メモリ504に格納される。
パラメータ記憶部506には、印刷装置10に使用される各種パラメータが記憶される。パラメータ記憶部506に記憶されている各種パラメータは、システムコントローラ500を介して読み出され、装置各部に設定される。
プログラム記憶部508には、印刷装置10の各部に使用されるプログラムが記憶される。プログラム記憶部508に記憶されている各種プログラムは、システムコントローラ500を介して読み出され、装置各部において実行される。なお、パラメータ記憶部506及びプログラム記憶部508などの記憶部は、例えば、ハードディスク装置、光ディスク、光磁気ディスク、若しくは半導体メモリ、又はこれらの適宜の組み合わせを用いて構成される。
印刷装置10は、搬送制御部510、印刷制御部512、乾燥制御部514及び集積制御部516を備える。
搬送制御部510は、システムコントローラ500からの指令に応じて、印刷装置10における用紙Pの搬送部511の動作を制御する。搬送部511には、図1に示す印刷ドラム42、チェーングリッパー70及び吸着コンベア100が含まれる。
印刷制御部512は、システムコントローラ500からの指令に応じて、印刷部40の動作を制御する。すなわち、印刷制御部512は、図1に示すインクジェットヘッド46C、46M、46Y、46Kのインク吐出を制御する。
印刷制御部512は、不図示の画像処理部を備える。画像処理部は入力画像データからドットデータを生成する。画像処理部は、色変換処理部、色分解処理部、補正処理部、及びハーフトーン処理部を備える。色変換処理部は、例えば、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の色成分を含むRGB画像データを、インク色に対応するシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(K)のCMYK画像データに変換する色変換処理を行う。
色分解処理部は、複数色の色成分を含む画像データに対して色分解処理を施す。例えば、色分解処理部は、CMYK画像データを色ごとのデータに分解(分版)する。
補正処理部は、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの色ごとの画像データに対して補正処理を施す。補正処理の例として、ガンマ補正処理、濃度むら補正処理、及び不吐出補正処理などが挙げられる。
ハーフトーン処理部は、例えば、0から255といった多階調数で表された連続調の画像データを、二値又は入力画像データの階調数未満の三値以上の多値で表されるドットデータに変換する。ハーフトーン処理部に適用されるハーフトーン処理規則の例として、ディザ法又は誤差拡散法などが挙げられる。ハーフトーン処理規則は、印刷条件及び/又は画像データの内容等に応じて変更されてもよい。
印刷制御部512は、不図示の波形記憶部、波形生成部、及び駆動回路を備える。波形記憶部には、インクジェットヘッド46C、46M、46Y、46Kの吐出エネルギー発生素子に印加する駆動電圧の波形データが記憶される。波形記憶部は半導体メモリなどのコンピュータ可読媒体を用いて構成される。波形生成部は、波形記憶部に記憶されている波形データに基づき駆動電圧の波形を生成する。駆動回路はドットデータに応じた駆動波形を有する駆動電圧を生成する。駆動回路は駆動電圧を、図1に示すインクジェットヘッド46C、46M、46Y、46Kへ供給する。
すなわち、画像処理部の処理を経て生成されたドットデータに基づいて、各画素位置の吐出タイミング及びインク吐出量が決められる。各画素位置の吐出タイミング及びインク吐出量に応じた駆動電圧、並びに各画素の吐出タイミングを決める制御信号が生成される。駆動電圧がインクジェットヘッド46C、46M、46Y、46Kへ供給され、インクジェットヘッド46C、46M、46Y、46Kからインクを吐出させる。インクジェットヘッド46C、46M、46Y、46Kから吐出させたインクは用紙Pに付着してドットを形成する。
乾燥制御部514は、システムコントローラ500からの指令に応じて乾燥部50を動作させる。乾燥制御部514は、乾燥気体温度、乾燥気体の流量、及び乾燥気体の噴射タイミングなどを制御する。乾燥気体は、例えば空気である。また、乾燥制御部514は、乾燥部50が備える吸着ベルト搬送装置の動作を制御する。
集積制御部516は、システムコントローラ500からの指令に応じて集積部60を動作させる。集積制御部516は、図1に示す集積装置62が昇降機構を含む場合に、用紙Pの増減に応じて昇降機構の動作を制御する。
印刷装置10は、操作部530と表示部532とを備える。操作部530は、操作ボタン、キーボード、及びタッチパネル等の操作部材を備える。操作部530は複数の種類の操作部材の組み合わせによって構成されてもよい。
操作部530を介して入力された情報は、システムコントローラ500に送られる。システムコントローラ500は、操作部530から送出された情報に応じて各種処理を実行させる。
表示部532は、例えば、液晶パネル等のディスプレイを含む。表示部532は、ディスプレイドライバーを含んでもよい。表示部532はシステムコントローラ500からの指令に応じて、装置の各種設定情報及び異常情報などの各種情報を表示装置に表示させる。
さらに、印刷装置10は、画像読取部548を備える。画像読取部548は印刷部40を用いて用紙Pに印刷された画像を読み取り、読取データを生成する。読取データは、印刷部40の補正、及び/又は印刷物の検品等に用いられる。
印刷装置10は、用紙Pに印刷されたテストパターンの読取データを用いて、印刷部40の補正を実施し得る。印刷部40の補正には、色補正、濃度補正、及び不吐補正等が含まれる。印刷装置10は、印刷物の読取データを用いて印刷物の検品を実施し得る。
《搬送装置の構成例》
図11は、印刷装置10に用いられている搬送装置560の制御系の構成を示すブロック図である。搬送装置560は、チェーングリッパー70と、吸着コンベア100と、グリッパー搬送制御部520と、吸着搬送制御部524と、を備える。チェーングリッパー70はチェーン駆動部77とグリッパー開閉駆動部78とを備える。
チェーン駆動部77は図1で説明したチェーン72を駆動するための動力源であり、チェーン72が巻き掛けられているスプロケットを回転駆動するモータを含む。チェーン駆動部77にはモータの動力をスプロケットに伝える動力伝達機構が含まれてよい。
グリッパー開閉駆動部78は図1で説明した各グリッパー74を開閉させるアクチュエータを含む。
グリッパー搬送制御部520は、チェーン駆動制御部521とグリッパー制御部522とを備える。チェーン駆動制御部521はチェーン駆動部77を制御する。チェーン駆動制御部521がチェーン駆動部77を制御することにより、チェーン72は一定の速度で周回する。
グリッパー制御部522はグリッパー開閉駆動部78を制御する。グリッパー制御部522が各グリッパー74のグリッパー開閉駆動部78を制御することにより、各グリッパー74の開閉が行われる。
搬送装置560は、不図示の用紙位置センサを備えていてもよい。用紙位置センサは、搬送される用紙Pの位置を検知するセンサである。用紙位置センサは、例えば、反射型又は透過型のフォトセンサであってよい。用紙位置センサは、例えば、用紙搬送経路における吸着ユニット116の吸着開始位置よりも上流側の位置に配置される。用紙位置センサは、用紙搬送経路における複数の位置に配置されてよい。
グリッパー制御部522は、用紙位置センサから得られる信号に基づいてグリッパーの開閉タイミングを制御してもよい。また、グリッパー制御部522は、吸着コンベア100の搬送ベルト110の位置を検知する不図示のベルト位置センサから得られる信号に基づいてグリッパーの開閉タイミングを制御してもよい。ベルト位置センサは、反射型又は透過型のフォトセンサであってよく、例えば、フォトインタラプタを用いることができる。
吸着コンベア100は、ベルト駆動部151と吸引部152とを備える。ベルト駆動部151は、駆動プーリ112を回転駆動させる動力源としてのモータを含む。ベルト駆動部151は、モータの動力を駆動プーリ112に伝達する動力伝達機構(伝動機構)を含んでよい。吸引部152は、図1で説明したブロア118を含む。吸引部152は、吸着ユニット116のチャンバ132内の空気を吸引して吸着ユニット116に吸着圧を発生させる。
吸着搬送制御部524は、ベルト駆動制御部525と、吸引制御部526とを備える。ベルト駆動制御部525はベルト駆動部151を制御する。ベルト駆動制御部525がベルト駆動部151を制御することにより、搬送ベルト110は一定の速度で周回する。
吸引制御部526は吸引部152を制御する。吸引制御部526が吸引部152を制御することにより、吸着ユニット116の吸着力を保って各グリッパー74の開閉が行われる。
グリッパー搬送制御部520及び吸着搬送制御部524は互いに連携し、チェーングリッパー70による搬送速度と、吸着コンベア100による搬送速度と同期させて、両者を同じ速度で動作させる制御を行う。
グリッパー制御部522は、用紙Pの先端が吸着領域137におけるV字状の吸着開始形状の途中のグリッパー解放開始位置(図7に示すy1の位置)に到達したときにグリッパー74を開いて把持状態を解除させる。その後、グリッパー制御部522は、一定時間その解放状態を維持し、用紙Pの先端が吸着領域137におけるV字状区間を通過して用紙Pの先端がグリッパー解放終了位置(図7に示すy2の位置)に到達したときにグリッパー74を閉じて用紙Pを把持し直すように、グリッパー74の開閉動作を制御する。
なお、用紙Pの先端がグリッパー解放終了位置(図7に示すy2の位置)に到達したときには、用紙Pの後端は吸着領域137に吸着されている。
《各処理部及び制御部のハードウェア構成について》
図10で説明した通信部502、搬送制御部510、印刷制御部512、乾燥制御部514、及び集積制御部516、並びに、図11で説明したグリッパー搬送制御部520、チェーン駆動制御部521、グリッパー制御部522、吸着搬送制御部524、ベルト駆動制御部525及び吸引制御部526などの各種の制御及び処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。
各種のプロセッサには、プログラムを実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサで構成されてもよい。例えば、1つの処理部は、複数のFPGA、或いは、CPUとFPGAの組み合わせによって構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
《V字状の形状について》
「V字状」という記載が示す形状の概念は、図4及び図5に示すような直線の傾斜ラインが頂点で交わる標準的なV字の形状に限らず、傾斜ラインの部分が曲線である概ねV字と理解される形状の概念を含む。例えば、図12に示すように、標準的なV字の直線の傾斜ラインよりも内側に狭まる曲線によって描かれるV字状の形状であってもよい。
あるいはまた、図12の例とは逆に、標準的なV字の直線の傾斜ラインよりも外側に張り出す曲線(例えば、U字形状のようなもの)も「V字状」の概念に含まれる。なお、実験に基づく知見によれば、吸着領域の吸着開始形状は、図4に示すような標準的なV字の形状、もしくは、図12に示すように、直線の傾斜ラインよりも内側に狭まる曲線のV字の形状であることがしわの抑制効果が高い。
また、V字状の形状は、V字の頂点を通るY方向の直線に対して左右対称の形状に限定されない。
《実施形態の利点》
(1)本実施形態によれば、グリッパー74と吸着コンベア100とを用いた2重拘束によって用紙Pを搬送する構成において、用紙Pの吸着時のしわ(座屈)が抑制される。
(2)本実施形態に係る印刷装置10は、乾燥部50において用紙Pの変形を抑制しつつインク乾燥を行うことができ、良好な印刷物を生産することが可能である。
《変形例1》
吸着領域137のV字状の形状におけるV字の頂点の位置は、必ずしも用紙Pの幅方向の中央位置でなくてもよい。用紙Pの幅方向の中央からずれた位置にV字の頂点が位置していてもその頂点部分から吸着が始まり、次第に用紙Pの外側に向かって吸着が進むという点において相応のしわ抑制効果が得られる。
《変形例2》
加熱乾燥処理装置90に代えて、用紙Pに対して非加熱の空気を吹き出す送風装置を用いる形態も可能である。温風を吹き出す場合と比較して、非加熱の空気を吹き出す場合は、乾燥能力は劣るものの、相応の乾燥効果は得られる。
《変形例3》
上述の実施形態では、インクジェット方式の印刷部40を備える印刷装置10を説明したが、印刷方式はインクジェット方式などのデジタル印刷の方式に限らず、オフセット印刷など、有版を用いる印刷方式の印刷装置についても本発明を適用することができる。
《変形例4》
上述の実施形態では、シングルパス方式のインクジェット印刷装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、シリアル型(シャトルスキャン型)ヘッドなど、短尺のプリントヘッドを移動させながら、複数回のヘッド走査により画像記録を行う印刷装置についても本発明を適用可能である。この場合、基材搬送機構は基材を間欠搬送する構成を採用してよい。
なお、インクジェット方式のプリントヘッドを用いてカラー画像を形成する場合は、複数色のインクの色別にヘッドを配置してもよいし、1つのプリントヘッドから複数色のインクを吐出可能な構成としてもよい。
《インクジェットヘッドの吐出方式について》
インクジェットヘッド46C、46M、46Y、46Kのイジェクタは、液体を吐出するノズルと、ノズルに通じる圧力室と、圧力室内の液体に吐出エネルギーを与える吐出エネルギー発生素子と、を含んで構成される。イジェクタのノズルから液滴を吐出させる吐出方式に関して、吐出エネルギーを発生させる手段は、圧電素子に限らず、発熱素子や静電アクチュエータなど、様々な吐出エネルギー発生素子を適用し得る。例えば、発熱素子による液体の加熱による膜沸騰の圧力を利用して液滴を吐出させる方式を採用することができる。インクジェットヘッドの吐出方式に応じて、相応の吐出エネルギー発生素子が流路構造体に設けられる。
《被搬送材としてのシートについて》
用紙Pは紙媒体に限らず、布帛、樹脂シート及び金属シート等のシート状の各種媒体であってよい。用紙Pは、印刷装置10を用いて印刷が可能な媒体であり、印刷ドラム42等を用いた搬送が可能な各種の媒体を適用し得る。「用紙」という用語は、印刷紙、印刷用紙、記録紙、記録用紙、又は記録媒体などの用語に置き換えてもよい。
用紙Pは、特定の用紙サイズに裁断されているカット紙に限らず、ロール状に巻かれた連続紙から所望のサイズに裁断されて1枚1枚が分離された用紙であってもよい。
《搬送装置としての利用》
搬送装置560として説明した装置構成は、用紙Pを搬送する用途に限らず、様々なシートを搬送する搬送装置として、印刷装置10の構成から分離した独立の装置として利用し得る。
《乾燥装置としての利用》
乾燥部50として示した装置の構成は、用紙Pを乾燥させる用途に限らず、様々なシートを乾燥させる乾燥装置として、印刷装置10の構成から分離した独立の装置として利用し得る。
《他の応用例》
本開示による搬送装置は、印刷装置に適用する以外にも、シート状の基材に接着剤を塗布する塗布装置など、平面搬送を行う各種の装置に適用できる。本開示による搬送装置はシートに液体を付与する液体付与装置その他、シートに対して処理を施す装置のシート搬送機構として適用し得る。
《用語について》
「印刷装置」という用語は、印刷機、プリンタ、印字装置、画像記録装置、画像形成装置、画像出力装置、或いは、描画装置などの用語と同義である。「画像」は広義に解釈するものとし、カラー画像、白黒画像、単一色画像、グラデーション画像、均一濃度(ベタ)画像なども含まれる。「画像」は、写真画像に限らず、図柄、文字、記号、線画、モザイクパターン、色の塗り分け模様、その他の各種パターン、若しくはこれらの適宜の組み合わせを含む包括的な用語として用いる。
「印刷」という用語は、画像の記録、画像の形成、印字、描画、及びプリントなどの用語の概念を含む。「装置」という用語は「システム」用語の概念を含む。
《その他》
上述の実施形態で説明した構成や変形例で説明した事項は、適宜組み合わせて用いることができ、また、一部の事項を置き換えることもできる。本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
10 印刷装置
40 印刷部
42 印刷ドラム
42A 外周面
43 グリッパー
46C、46M、46Y、46K インクジェットヘッド
50 乾燥部
60 集積部
62 集積装置
70 チェーングリッパー
72 チェーン
74 グリッパー
77 チェーン駆動部
78 グリッパー開閉駆動部
80 第1ガイド
84 第2ガイド
90 加熱乾燥処理装置
100 吸着コンベア
110 搬送ベルト
110a 搬送面
110b ベルト裏面
112 駆動プーリ
114 従動プーリ
116 吸着ユニット
118 ブロア
132 チャンバ
134 多孔質吸着板
134a 外面
134b 内面
136 耐摩耗シート
136a 表面
136b 裏面
137 吸着領域
138 非吸着領域
142a 平坦部
142b 曲げ部
151 ベルト駆動部
152 吸引部
500 システムコントローラ
500A CPU
500B ROM
500C RAM
502 通信部
504 画像メモリ
506 パラメータ記憶部
508 プログラム記憶部
510 搬送制御部
511 搬送部
512 印刷制御部
514 乾燥制御部
516 集積制御部
520 グリッパー搬送制御部
521 チェーン駆動制御部
522 グリッパー制御部
524 吸着搬送制御部
525 ベルト駆動制御部
526 吸引制御部
530 操作部
532 表示部
548 画像読取部
550 ホストコンピュータ
560 搬送装置
P 用紙
RS グリッパー解放区間

Claims (16)

  1. シートを搬送する搬送装置であって、
    前記シートの先端部を把持するグリッパーを有し、前記グリッパーによって把持された前記シートを搬送するグリッパー搬送機構と、
    前記グリッパー搬送機構による前記シートの搬送経路に沿って配置され、前記シートを搬送面の吸着領域に吸着させて前記シートを搬送する吸着搬送機構と、
    を備え、
    前記吸着搬送機構の前記吸着領域は、前記シートの搬送方向上流側がV字の頂点となるV字状の吸着開始形状を有し、
    前記グリッパー搬送機構は、前記吸着領域にて前記シートが吸着搬送されている期間中に前記グリッパーによる前記シートの把持状態を一時的に解除する、
    搬送装置。
  2. 前記V字状の吸着開始形状におけるV字角度は60度以下である、請求項1に記載の搬送装置。
  3. 前記グリッパー搬送機構は、前記シートの先端が前記V字状の吸着開始形状の途中の位置にあるときに前記グリッパーを開いて把持状態を解除し、前記シートの先端が前記V字状の吸着開始形状の区間を通過した後に前記グリッパーを閉じて前記シートを把持し直す、
    請求項1又は2に記載の搬送装置。
  4. 前記グリッパー搬送機構は、前記シートの先端が前記V字状の吸着開始形状の途中の位置にあるときに前記グリッパーを開いて把持状態を解除し、前記シートの後端が前記吸着領域に吸着された後に前記グリッパーを閉じて前記シートを把持し直す、
    請求項1又は2に記載の搬送装置。
  5. 1つ又は複数のプロセッサをさらに備え、
    前記プロセッサは、前記グリッパー搬送機構による前記シートの搬送速度と前記吸着搬送機構による前記シートの搬送速度とを同期させて、前記グリッパー搬送機構及び前記吸着搬送機構を動作させる制御を行う、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送装置。
  6. 前記プロセッサは、
    前記グリッパーの開閉動作を制御し、
    前記シートの先端が前記吸着領域における前記V字状の吸着開始形状の途中の第1位置に到達したときに前記グリッパーを開いて把持状態を解除させ、
    前記シートの先端が前記吸着領域における前記V字状の吸着開始形状を通過して前記シートの後端が前記吸着領域に吸着された状態となる第2位置に前記シートの先端が到達したときに前記グリッパーを閉じて前記シートを把持し直すように、前記グリッパーを動作させる、
    請求項5に記載の搬送装置。
  7. 前記吸着搬送機構は、
    複数の吸着孔を有する無端状の搬送ベルトと、
    前記搬送ベルトの内側に配置され、前記複数の吸着孔を通じて空気を吸い込むことにより吸着力を発生させる吸着ユニットと、
    を備える吸着コンベアである、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の搬送装置。
  8. 前記グリッパー搬送機構は、
    無端状のチェーンと、
    前記チェーンに取り付けられた複数の前記グリッパーと、
    を備えるチェーングリッパーである、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の搬送装置。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の搬送装置と、
    前記吸着搬送機構の搬送面に対向して配置され、前記シートに向けて風を吹き出す送風装置と、
    を備える乾燥装置。
  10. 前記シートの搬送経路において、
    前記送風装置により前記シートに対して送風が開始される送風開始位置は、
    前記吸着領域により前記シートの吸着を開始する吸着開始位置よりも前記シートの搬送方向上流側の位置であり、
    前記シートに対する前記送風開始位置での送風開始タイミングと前記吸着開始位置での吸着開始タイミングとの時間差が0.4秒以下である、
    請求項9に記載の乾燥装置。
  11. 前記シートの搬送経路において、
    前記送風装置により前記シートに対して送風が開始される送風開始位置は、
    前記吸着領域により前記シートの吸着を開始する吸着開始位置と一致する位置、又は前記吸着開始位置よりも前記シートの搬送方向下流側の位置である、
    請求項9に記載の乾燥装置。
  12. 前記送風装置は、前記V字状の吸着開始形状と同じ形状のV字状送風を行う送風口を備える、請求項9から11のいずれか一項に記載の乾燥装置。
  13. 前記シートは、インクが付与された印刷用紙であり、
    前記送風装置から温風を吹き出すことにより、前記インクを乾燥させる、
    請求項9から12のいずれか一項に記載の乾燥装置。
  14. シートに印刷を行う印刷部と、
    前記シートを搬送する搬送装置と、
    を備える印刷装置であって、
    前記搬送装置は、
    前記シートの搬送方向下流側の先端部を把持するグリッパーを有し、前記グリッパーによって把持された前記シートを搬送するグリッパー搬送機構と、
    前記グリッパー搬送機構による前記シートの搬送経路に沿って配置され、前記シートを搬送面の吸着領域に吸着させて前記シートを搬送する吸着搬送機構と、
    を備え、
    前記吸着搬送機構の前記吸着領域は、前記シートの搬送方向上流側がV字の頂点となるV字状の吸着開始形状を有し、
    前記グリッパー搬送機構は、前記吸着領域にて前記シートが吸着搬送されている期間中に前記グリッパーによる前記シートの把持状態を一時的に解除する、
    印刷装置。
  15. 前記吸着搬送機構の搬送面に対向して配置され、前記シートに向けて風を吹き出す送風装置をさらに備え、
    前記シートの搬送経路において、
    前記送風装置により前記シートに対して送風が開始される送風開始位置は、
    前記吸着領域により前記シートの吸着を開始する吸着開始位置よりも前記シートの搬送方向上流側の位置であり、
    前記シートに対する前記送風開始位置での送風開始タイミングと前記吸着開始位置での吸着開始タイミングとの時間差が0.4秒以下である、
    請求項14に記載の印刷装置。
  16. 前記印刷部は、
    インクジェットヘッドを備える、請求項14又は15に記載の印刷装置。
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