JP2021098285A - 熱転写用受像シート、金属光沢部材、及び通信機器 - Google Patents

熱転写用受像シート、金属光沢部材、及び通信機器 Download PDF

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孝洋 中井
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Abstract

【課題】インク密着性に優れた、熱転写用受像シートを提供することを目的とする。【解決手段】基材と、受像層とを備えた熱転写用受像シートであって、前記受像層の軟化点温度が40℃以上140℃以下であり、前記受像層の表面の最大高さRzが10nm以上3000nm以下である熱転写用受像シート、該熱転写用受像シートを備えた金属光沢部材及び通信機器。【選択図】図1

Description

本発明は、熱転写用受像シート、金属光沢部材、及び通信機器に関する。
基材の表面に画像を記録する方法の一つとして、基材の表面にインクなどの色材を受容するインク受像層を形成し、そのインク受像層を画像の記録領域とし、画像を熱転写により記録する方法がある。
熱転写記録は、基材とインクを備えた熱転写シートを熱転写用受像シートに密着させて熱圧処理することで、熱転写シート上のインクを熱転写用受像シートに移行させ、熱転写用受像シート上に画像等を形成する方法である。
そして、熱転写用受像シートについて種々の検討がされている。
例えば、特許文献1には、基材と受像層を有してなる熱転写記録受像体に用いる受像層において、受像層がアクリルポリオール系樹脂とその他の熱可塑性樹脂を含んで成る組成物から形成される技術が記載されている。
特許文献2には、架橋によって製造されたポリウレタンから本質的になる染料受容体層を含んで成る熱昇華式プリントのための染料受容体要素が記載されている。
また、特許文献3には、アクリルコポリマーと、イソシアネート組成物と、水酸基含有樹脂からなるポリマーとを含有するアルミニウム薄膜付プラスチック用アンダーコート剤が記載されている。
国際公開第2000/20224号 特開平5−96867号公報 特開2016−104853号公報
しかしながら、従来技術における熱転写記録受像体(熱転写用受像シート)においては、インク転写時における受像層とインクとの密着性が不十分で、熱転写シートの基材を剥離する際に画像や印字が脱落し、充分な画質が得られないといった問題があった。
本願発明は、上記従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、インクと受像層とが密着性に優れた熱転写用受像シート、及び該熱転写用受像シートを備えた金属光沢部材及び通信機器を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、受像層の軟化点温度を40℃以上140℃以下とし、受像層の表面の最大高さRzを10nm以上3000nm以下とすることにより、インク密着性に優れた熱転写用受像シート、インク密着性及び電磁波透過性に優れた金属光沢部材及び通信機器が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
基材と、受像層とを備えた熱転写用受像シートであって、前記受像層の軟化点温度が40℃以上140℃以下であり、前記受像層の表面の最大高さRzが10nm以上3000nm以下である熱転写用受像シート。
〔2〕
前記Rzが30nm以上1000nm以下である、〔1〕に記載の熱転写用受像シート。
〔3〕
前記受像層が、バインダー樹脂及び硬化剤を含む受像層形成用組成物からなる、〔1〕又は〔2〕に記載の熱転写用受像シート。
〔4〕
前記バインダー樹脂が、アルキル(メタ)アクリレート類(a1)及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類(a2)を含むモノマー群の反応物である水酸基含有(メタ)アクリル系ポリマーを含む〔3〕に記載の熱転写用受像シート。
〔5〕
前記硬化剤が、イソシアネート系架橋剤である〔4〕に記載の熱転写用受像シート。
〔6〕
前記水酸基含有(メタ)アクリル系ポリマーにおける水酸基当量と前記イソシアネート系架橋剤のイソシアネート基当量の比であるNCO/OHが0.02〜0.25である〔5〕に記載の熱転写用受像シート。
〔7〕
前記基材の前記受像層とは反対側の面に金属層を備える〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の熱転写用受像シート。
〔8〕
前記金属層は、少なくとも一部において互いに不連続の状態にある複数の部分を含み、電磁波透過性である、〔7〕に記載の熱転写用受像シート。
〔9〕
前記複数の部分は島状に形成されている、〔8〕に記載の熱転写用受像シート。
〔10〕
前記金属層は、アルミニウム、亜鉛、鉛、銅、銀から選択された少なくとも一種の金属又はその合金を含む〔7〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の熱転写用受像シート。
〔11〕
〔7〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の熱転写用受像シートを備えた金属光沢部材。
〔12〕
〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の熱転写用受像シート又は〔11〕に記載の金属光沢部材を備えた通信機器。
本発明によれば、インク密着性に優れた熱転写用受像シート、インク密着性及び電磁波透過性に優れた金属光沢部材並びに通信機器を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態における熱転写用受像シートの概略断面図である。 図2(a)〜(c)は、本発明の一実施形態における熱転写用受像シートにインクを転写する方法を説明するための概略断面図である。 図3は、本発明の一実施形態における熱転写用受像シートの概略断面図である。 図4は、本発明の一実施形態における熱転写用受像シートの概略断面図である。 図5は、本発明の一実施形態における熱転写用受像シートの概略断面図である。 図6は、本発明の一実施形態における熱転写用受像シートの概略断面図である。 図7は、本発明の一実施形態における熱転写用受像シートの概略断面図である。 図8は、本発明の一実施形態における熱転写用受像シートの表面の電子顕微鏡写真である。 図9は、本発明の一実施形態における熱転写用受像シートの金属層の膜厚の測定方法を説明するための図である。 図10は、本発明の一実施形態における金属層の断面の透過型電子顕微鏡写真(TEM画像)を示す図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一つの好適な実施形態について説明する。以下においては、説明の便宜のために本発明の好適な実施形態のみを示すが、勿論、これによって本発明を限定しようとするものではない。
本発明の実施形態に係る熱転写用受像シートは、基材と、受像層とを備えた熱転写用受像シートであって、前記受像層の軟化点温度が40℃以上140℃以下であり、前記受像層の表面の最大高さRzが10nm以上3000nm以下である。
<1.構成>
図1に、本発明の一実施形態における熱転写用受像シート100の概略断面図を示す。また、図2(a)〜(c)に、本発明の一実施形態による熱転写用受像シートにインクを転写する方法を説明するための概略断面図を示す。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る熱転写用受像シート100は、基材10と、受像層23とを備える。本発明の実施形態に係る熱転写用受像シート100は、受像層の軟化点温度が40℃以上140℃以下であるため、熱転写用受像シート100にインクを熱転写するとインクと受像層とが相溶し、インクと受像層との界面が不明瞭となり、優れたインク密着性が得られる。
例えば、図2(a)〜(c)に示すように、インク基材21とインク22を備えた熱転写シート1を用いて熱転写用受像シート100にインク22を熱転写する場合、熱転写用受像シート100の受像層23と熱転写シート1のインク22とを積層し、これらを転写ヘッド等により所定の圧力及び温度で加圧及び加熱し、インク基材を剥離する。
転写ヘッドにより加熱することにより、この熱を熱転写シート1が受け、さらに熱転写用受像シート100の受像層23にも熱が伝わり、受像層23にインクが転写される際にインク22と受像層23とが相溶して界面24が不明瞭となり、優れたインク密着性が得られる。そのため、図2(c)に示すように熱転写シート1のインク基材21を剥離する際に画像や印字の欠落等が起こりにくく、転写による不具合を抑制することができる。
<受像層>
本発明の実施形態に係る受像層の軟化点温度は、40℃以上140℃以下である。受像層の軟化点温度が40℃未満であるとロールトゥロールで搬送した場合、ガイドロール等との接触時にブロッキングを起こし、良好な搬送性が得られない。搬送性の観点から受像層の軟化点温度は40℃以上である必要があり、60℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。
また、インク22と受像層23との相溶性の観点から140℃以下である必要があり、130℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましい。
受像層の軟化点温度は、乾燥して固形化した受像層形成用組成物を、AFM(原子間力顕微鏡)において、形状観察を行い、室温状態にあるサーマルカンチレバーを試料最表面に接触させた後、昇温し、試料最表面を加熱膨張させ、その時の変位と温度から軟化点温度を測るNano TA法で測定した値である。受像層の軟化点温度の測定は、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の実施形態に係る受像層の軟化点温度は、受像層の形成に用いる材料の種類や配合比を適宜変えることにより調整することができる。
受像層は、受像層形成用組成物により形成することができる。
受像層形成用組成物は、バインダー樹脂及び硬化剤を含んでいてもよい。
バインダー樹脂としては、(メタ)アクリル系ポリマーが好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーの中でも、モノマー単位としてアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類(a1)と、水酸基を含有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類(a2)を含むモノマー群の反応物である水酸基含有(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとして含むことが好ましい。
本明細書で、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートの意味である。
アルキル(メタ)アクリレート類(a1)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)クリエート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどがあげられ、これらは単独または組み合わせて使用できる。
本発明の実施形態において、アルキル(メタ)アクリレート類(a1)は、(メタ)アクリル系ポリマーの全モノマー成分に対して、50質量%以上であり、50〜99質量%であることが好ましく、さらには60〜99質量%、より好ましくは、72〜85質量%である。上記アルキル(メタ)アクリレート類(a1)が少なすぎると好ましくない。
本発明の実施形態に係る(メタ)アクリル系ポリマーには、この他に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類(a2)を含むモノマー群の反応物を含むことが好ましい。
このようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類(a2)として、(メタ)アクリロイル基の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつヒドロキシル基を有するものを特に制限なく用いることができる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等などのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;4−ヒドロキシメチルシクロへキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどがあげられる。これらのうち、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
水酸基含有モノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分の全量に対して、1〜50質量%の割合で用いられることが好ましい。水酸基含有モノマーの割合は、好ましくは、5〜40質量%、より好ましくは、10〜30質量%である。
前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分として、前記モノマーの他にカルボキシル基含有モノマーを用いることも好ましい。
カルボキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつカルボキシル基を有する、不飽和カルボン酸含有モノマーを特に制限なく用いることができる。不飽和カルボン酸含有モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸等があげられる。これらは単独または組み合わせて使用できる。これらのなかで、(メタ)アクリル酸、特にアクリル酸を用いることが好ましい。
前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分として、本発明の目的を損なわない範囲で他の共重合モノマーを単独でまたは組み合わせて用いてもよい。他の共重合モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ芳香族環を有する芳香族環含有モノマーがあげられる。芳香族環含有モノマーの具体例としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2−ナフトエチル(メタ)アクリレート、2−(4−メトキシ−1−ナフトキシ)エチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリスチリル(メタ)アクリレート等があげられる。
また、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐酸基含有モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;などあげられる。
また、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマー;アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテルモノマーなども使用することができる。
さらに、ケイ素原子を含有するシラン系モノマーなどがあげられる。シラン系モノマーとしては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリエトキシシランなどがあげられる。
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は通常3000〜300000程度、好ましくは5000〜200000、より好ましくは10000〜100000程度である。重量平均分子量が小さいと受像層の湿熱耐久性が乏しくなったり、重量平均分子量が大きすぎると、受像層を構成するアクリル系ポリマー以外の材料との相溶性が悪くなる場合がある。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
このような(メタ)アクリル系ポリマーの製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、各種ラジカル重合などの公知の製造方法を適宜選択できる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
なお、溶液重合においては、重合溶媒として、例えば、酢酸エチル、トルエンなどが用いられる。具体的な溶液重合例としては、反応は窒素などの不活性ガス気流下で、重合開始剤を加え、通常、50〜70℃程度で、5〜30時間程度の反応条件で行われる。
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などは特に限定されず適宜選択して使用することができる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜のその使用量が調整される。
重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬社製、VA−057)などのアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などをあげることができるが、これらに限定されるものではない。
前記重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー100質量部に対して、0.005〜2質量部程度であることが好ましく、0.005〜1質量部程度であることがより好ましく、0.02〜0.5質量部程度であることが更に好ましい。
なお、重合開始剤として、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを用いて、前記重量平均分子量の(メタ)アクリル系ポリマーを製造するには、重合開始剤の使用量は、モノマー成分の全量100質量部に対して、0.1〜2質量部程度とするのが好ましく、さらには0.2〜1.5質量部程度とするのが好ましい。
連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノールなどがあげられる。連鎖移動剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー成分の全量100質量部に対して、0.1質量部程度以下である。
また、乳化重合する場合に用いる乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などがあげられる。これらの乳化剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
さらに、反応性乳化剤として、プロペニル基、アリルエーテル基などのラジカル重合性官能基が導入された乳化剤として、具体的には、例えば、アクアロンHS−10、HS−20、KH−10、BC−05、BC−10、BC−20(以上、いずれも第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE10N(ADEKA社製)などがある。反応性乳化剤は、重合後にポリマー鎖に取り込まれるため、耐水性がよくなり好ましい。乳化剤の使用量は、モノマー成分の全量100質量部に対して、0.3〜5質量部、重合安定性や機械的安定性から0.5〜1質量部がより好ましい。
また、(メタ)アクリル系ポリマーは、市販のものを用いてもよく、単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
ここで(メタ)アクリル系ポリマーの水酸基当量は、耐湿熱白化性の観点から0.2〜5.0meq/gが好ましく、0.4〜3.0meq/gがより好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、0〜100℃が好ましく、10〜90°Cがより好ましく、20〜80°Cが更に好ましい。
このような(メタ)アクリル系ポリマーと硬化剤とを反応させることにより、本発明の熱転写用受像シートの受像層に架橋構造が導入される結果、該受像層のインクとの密着性が良好になると考えられる。
硬化剤としては、特に制限はなく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系硬化剤が挙げられ、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
イソシアネート系架橋剤とは、イソシアネート基(イソシアネート基をブロック剤または数量体化などにより一時的に保護したイソシアネート再生型官能基を含む)を1分子中に2つ以上有する化合物をいう。
イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートなどが挙げられる。
より具体的には、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートL)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHX)などのイソシアネート付加物、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート、ならびにこれらと各種のポリオールとの付加物、イソシアヌレート結合、ビューレット結合、アロファネート結合などで多官能化したポリイソシアネートなどをあげることができる。
上記イソシアネート系架橋剤は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
バインダー樹脂及び硬化剤の使用比率は特に制限されないが、硬化剤としてイソシアネート系架橋剤を用いる場合は、通常、バインダー樹脂の水酸基当量と硬化剤としてのイソシアネート基当量の比(NCO/OH)は、耐湿性及び耐熱性の観点から0.02以上であることが好ましく、0.03以上であることがより好ましく、0.04以上であることがさらに好ましい。また、軟化点温度を所望の範囲とするには0.25以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましく、0.15以下であることがさらに好ましい。
受像層23は、更に離型剤を含んでいてもよい。
離型剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、リン酸エステル系等の各種オイルや、エマルジョン、界面活性剤、金属酸化物、シリカ等の各種フィラー、ワックス類等が挙げられる。これらの離型剤の中でもシリコンオイルを用いることが好ましい。
これらの離型剤は、単独で用いてもよく、二種類以上を混合して用いてもよい。
さらに、受像層23には、必要に応じて、コロイダルシリカ、無機高分子、樹脂、レベリング剤、界面活性剤等の添加剤を添加してもよい。
受像層23の厚さは、0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.2μm以上8μm以下であることがより好ましい。
受像層23の厚さが0.1μm以上であれば、受像層23に十分な機械的強度が得られるため、画質不良が生じ難くなる。一方、受像層23の厚さが10μm以下であれば、コストメリットが大きい。
受像層23の表面の最大高さRzは、10nm以上3000nm以下である必要がある。搬送性の観点から30nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、80nm以上であることがさらに好ましい。また、ヘイズの観点から2000nm以下であることが好ましく、1000nm以下であることがより好ましい。
受像層23の表面の最大高さRzは、受像層を構成する材料に含まれるフィラーサイズ、フィラー含有量、受像層の厚みにより適宜調整することができる。
本発明の実施形態において、受像層23の表面の最大高さRzは、JIS B 0601:1994に準じて測定した最大高さである。
受像層23の表面の最大高さRzは、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の実施形態に係る熱転写用受像シートは、基材の受像層とは反対側の面に金属層を備えていてもよい。金属層を備えることにより、金属調を呈した熱転写用受像シートとすることができる。
図3〜7に、本発明の一実施形態による熱転写用受像シート100の概略断面図を示す。また、図8に、金属層の不連続構造について説明するため、熱転写用受像シートの金属層の表面の電子顕微鏡写真(SEM画像)を示す。
本発明の実施形態に係る熱転写用受像シート100は、図3に示すように、基材10と、受像層23とを備えており、基材10の受像層23側とは反対側の面上に形成された金属層12を備えていてもよく、更に、金属層12の基材10側とは反対側の面上に形成された保護層13を備えていてもよい。
また、熱転写用受像シート100は、図4に示すように、基材10と、受像層23とを備えており、更に、金属層12と、保護層13として粘着剤層13b及び保護フィルム13aとを備えていてもよい。
更に、熱転写用受像シート100は、図5及び6に示すように、金属層12の基材10側とは反対側の面上にバリア層14を備えていてもよい。
熱転写用受像シート100は、図7に示すように、基材10と金属層12の間に、酸化インジウム含有層15をさらに備えていてもよい。
金属層12は基材10の上に形成される。金属層12は複数の部分12aを含む。金属層12におけるこれらの複数の部分12aは、少なくとも一部において互いに不連続の状態、言い換えれば、少なくとも一部において隙間12bによって隔てられる。複数の部分12aは、隙間12bによって隔てられるため、これらの複数の部分12aのシート抵抗は大きくなり、電波との相互作用が低下するため、電波を透過させることができる。これらの各部分12aは金属を蒸着、スパッタ等することによって形成されたスパッタ粒子の集合体であってもよい。
尚、本明細書でいう「不連続の状態」とは、隙間12bによって互いに隔てられており、この結果、互いに電気的に絶縁されている状態を意味する。電気的に絶縁されることにより、シート抵抗が大きくなり、所望とする電磁波透過性が得られることになる。すなわち、不連続の状態で形成された金属層12によれば、十分な光輝性が得られやすく、電磁波透過性を確保することもできる。不連続の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、島状構造、クラック構造等が含まれる。ここで「島状構造」とは、図8に示されているように、金属粒子同士が各々独立しており、それらの粒子が、互いに僅かに離間し又は一部接触した状態で敷き詰められてなる構造を意味する。
クラック構造とは、金属薄膜がクラックにより分断された構造である。
クラック構造の金属層12は、例えば基材フィルム上に金属薄膜層を設け、屈曲延伸して金属薄膜層にクラックを生じさせることにより形成することができる。この際、基材フィルムと金属薄膜層の間に伸縮性に乏しい、即ち延伸によりクラックを生成しやすい素材からなる脆性層を設けることにより、容易にクラック構造の金属層12を形成することができる。
上述のとおり金属層12が不連続となる態様は特に限定されないが、生産性の観点からは島状構造とすることが好ましい。
本実施形態に係る熱転写用受像シート100は、波長380nm〜780nmの範囲における反射光の、SCI測定における反射率Yが20%以上であることが好ましい。
反射率Yは40%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましい。
反射率Yは、標準光源としてD65を使用して、コニカミノルタ社製分光測色計CM−2600dにより測定することができ、実施例に記載の方法により測定することができる。
熱転写用受像シート100の電磁波透過性は、例えば電波透過減衰量により評価することができる。
マイクロ波帯域(5GHz)における電波透過減衰量は、10[−dB]以下であることが好ましく、5[−dB]以下であるのがより好ましく、2[−dB]以下であることが更に好ましい。10[−dB]を超えると、90%以上の電波が遮断されるという問題がある。
熱転写用受像シート100のシート抵抗も電磁波透過性と相関を有する。
熱転写用受像シート100のシート抵抗は100Ω/□以上であるのが好ましく、この場合、マイクロ波帯域(5GHz)における電波透過減衰量は、10〜0.01[−dB]程度となる。
熱転写用受像シート100のシート抵抗は200Ω/□以上であることが更に好ましく、600Ω/□以上であることがより更に好ましく、1000Ω/□以上であることが特に好ましい。
熱転写用受像シート100のシート抵抗は、JIS−Z2316−1:2014に従って渦電流測定法により測定することができる。
熱転写用受像シート100の電波透過減衰量及びシート抵抗は、金属層12及びの材質や厚さ等により影響を受ける。
また、熱転写用受像シート100が後述の酸化インジウム含有層15を備える場合には酸化インジウム含有層15の材質や厚さ等によっても影響を受ける。
<2.基材>
基材10としては、電磁波透過性の観点から、樹脂、ガラス、セラミックス等が挙げられる。
基材10は、基材フィルム、樹脂成型物基材、ガラス基材、又は金属光沢を付与すべき物品のいずれかであってもよい。
より具体的には、基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリスチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、ポリウレタン、アクリル(PMMA)、ABSなどの単独重合体や共重合体からなる透明フィルムを用いることができる。
これらの部材によれば、光輝性や電磁波透過性に影響を与えることもない。但し、酸化インジウム含有層15や金属層12を後に形成する観点から、蒸着やスパッタ等の高温に耐え得るものであることが好ましく、従って、上記材料の中でも、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ABS、ポリプロピレン、ポリウレタンが好ましい。なかでも、耐熱性とコストとのバランスがよいことからポリエチレンテレフタレートやシクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、アクリルが好ましい。
基材フィルムは、単層フィルムでもよいし積層フィルムでもよい。加工のし易さ等から、厚さは、例えば、6μm〜250μm程度が好ましい。酸化インジウム含有層15や金属層12との付着力を強くするために、プラズマ処理や易接着処理などが施されてもよい。また、粒子を含有しないものであることが好ましい。
基材10が基材フィルムの場合、金属層12は基材フィルム上の少なくとも一部に設ければよく、基材フィルムの片面のみに設けてもよく、両面に設けてもよい。
基材10は、更にハードコート層、アンチブロッキング層を備えていてもよい。
ハードコート層は、例えば、ハードコート組成物から形成される。ハードコート組成物は、樹脂成分を含有し、好ましくは、樹脂成分からなる。
樹脂成分としては、例えば、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂(例えば、ポリオレフィン樹脂)などが挙げられ、好ましくは、硬化性樹脂が挙げられる。
ハードコート層の厚みは、例えば、0.5μm以上、好ましくは、1.0μm以上であり、また、例えば、10μm以下、好ましくは、3.0μm以下である。ハードコート層の厚みは、例えば、膜厚計(ダイヤルゲージ)を用いて測定することができる。
基材フィルムは、その表面上に金属層12を形成することができる対象(基材10)の一例にすぎない。基材10には、上記のとおり基材フィルムの他、樹脂成型物基材、ガラス基材、金属光沢を付与すべき物品それ自体も含まれる。樹脂成型物基材、及び金属光沢を付与すべき物品としては、例えば、車両用構造部品、車両搭載用品、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品、種々の自動車用部品、電子機器用部品、家具、台所用品等の家財向け用途、医療機器、建築資材の部品、その他の構造用部品や外装用部品等が挙げられる。
金属層12は、これら全ての基材上に形成することができ、基材の表面の一部に形成してもよく、基材の表面の全てに形成してもよい。この場合、金属層12を付与すべき基材10は、上記の基材フィルムと同様の材質、条件を満たしていることが好ましい。
<3.金属層>
金属層12は基材上に形成され、少なくとも一部において互いに不連続の状態にある複数の部分を含む。
金属層12が基材上で連続状態である場合、十分な金属光沢が得られるものの、電波透過減衰量が非常に大きくなり、従って、電磁波透過性を確保することはできない。
金属層12が基材上で不連続状態となるメカニズムの詳細は必ずしも明らかではないが、おおよそ、次のようなものであると推測される。即ち、金属層12の薄膜形成プロセスにおいて、不連続構造の形成しやすさは、金属層12が付与される基材上での表面拡散と関連性があり、基材の温度が高く、基材に対する金属層の濡れ性が小さく、金属層の材料の融点が低い方が不連続構造を形成しやすい、というものである。従って、以下の実施例で特に使用したアルミニウム(Al)以外の金属についても、スズ(Sn)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、銅(Cu)、銀(Ag)などの比較的融点の低い金属については、同様の手法で不連続構造を形成しうると考えられる。
金属層12は、十分な光輝性を発揮し得ることは勿論、融点が比較的低いものであることが望ましい。金属層12は、スパッタリングを用いた薄膜成長によって形成するのが好ましいためである。このような理由から、金属層12としては、融点が約1000℃以下の金属が適しており、例えば、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、銅(Cu)、銀(Ag)から選択された少なくとも一種の金属、および該金属を主成分とする合金のいずれかを含むことが好ましい。特に、物質の光輝性や安定性、価格等の理由からアルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、銅(Cu)、銀(Ag)から選択された少なくとも一種の金属又はその合金を含むことが好ましく、Alおよびその合金がより好ましい。また、アルミニウム合金を用いる場合には、アルミニウム含有量を50質量%以上とすることが好ましい。
金属層12の部分12aの円相当径は特に限定されないが、通常10〜1000nm程度である。複数の部分12aの平均粒径とは、複数の部分12aの円相当径の平均値を意味する。
部分12aの円相当径とは、部分12aの面積に相当する真円の直径のことである。
また、各部分12a同士の距離は特に限定されないが、通常は10〜1000nm程度である。
金属層12の厚さは、十分な光輝性を発揮するように、通常10nm以上が好ましく、一方、生産性の観点から、通常100nm以下が好ましい。例えば、15nm〜100nmが好ましく、15nm〜80nmがより好ましく、15nm〜70nmがさらに好ましく、15nm〜60nmがよりさらに好ましく、15nm〜50nmが特に好ましく、15nm〜40nmが最も好ましい。なお、金属層12の厚さは実施例の欄に記載の方法で測定できる。
また、酸化インジウム含有層を設ける場合は、同様の理由から、金属層の厚さと酸化インジウム含有層の厚さとの比(金属層の厚さ/酸化インジウム含有層の厚さ)は、0.1〜100の範囲が好ましく、0.3〜35の範囲がより好ましい。
金属層のシート抵抗は、100Ω/□以上であるのが好ましい。この場合、電磁波透過性は、5GHzの波長において、10〜0.01[−dB]程度となる。更に好ましくは、1000Ω/□以上である。
酸化インジウム含有層を更に設ける場合、金属層と酸化インジウム含有層の積層体としてのシート抵抗は、100Ω/□以上であるのが好ましい。この場合、電磁波透過性は、5GHzの波長において、10〜0.01[−dB]程度となる。更に好ましくは、1000Ω/□以上である。このシート抵抗の値は、金属層の材質や厚さは勿論のこと、下地層である酸化インジウム含有層の材質や厚さからも大きな影響を受ける。よって、酸化インジウム含有層を設ける場合は、酸化インジウム含有層との関係も考慮したうえで設定する必要がある。
<4.保護層>
本実施形態の熱転写用受像シート100は金属層12を備えていてもよく、更に保護層13を備えていてもよい。保護層13は、図3〜7に示すように、金属層上に形成することができる。
例えば、図3及び4に示すように、金属層12の基材10側とは反対側の面上に形成することができる。
また、熱転写用受像シート100がバリア層14を備える場合、保護層13は、図5〜7に示すように、バリア層14の金属層12側とは反対側の面上に形成してもよい。
保護層13は樹脂を含む樹脂層であることが好ましい。
保護層13は、色味等の外観を調整するための高屈折材料等の光学調整層(色味調整層)、耐湿性や耐擦傷性等の耐久性を向上させるための保護フィルム(耐擦傷性層)、易接着層、粘着剤層、ハードコート層、反射防止層、光取出し層、アンチグレア層等であってもよく、これらを組み合わせたものであっても良い。図3、及び図5に示すように、保護層13は、粘着剤層であってもよい。また、保護層13は、図4、6及び図7に示すように、粘着剤層13b及び保護フィルム13aを含んでいてもよい。
本実施形態の熱転写用受像シート100は、保護層13が粘着剤層13b及び保護フィルム13aを含む場合、保護フィルム13aのみを剥離することもできる。
本実施形態の熱転写用受像シート100は、粘着剤層13bを介して被着部材に貼付されて用いられてもよい。例えば、熱転写用受像シート100を、粘着剤層13bを介して透明な被着部材に貼付することで被着部材を内側から装飾することができる。
熱転写用受像シート100が透明な被着部材の視認される側(以下、外側ともいう)の面とは反対側(以下、内側ともいう)の面に対して粘着剤層13bを介して貼付された場合、被着部材を通して粘着剤層13bと、金属層12が視認される。粘着剤層13bにより空気中の水分による金属層12の劣化を抑制ないし防止するため、金属光沢を長期間保持でき、耐傷性にも優れた熱転写用受像シートが得られる。透明な被着部材としては、例えば、ガラスやプラスチックからなる部材を使用することができるが、これに限定されるものではない。
本実施形態の熱転写用受像シート100は、保護層13が粘着剤層13b及び保護フィルム13aを含む場合、粘着剤層13bを保護フィルム13aと共に金属層12から剥離し、基材10と金属層12とを少なくとも含む積層体とすることもできる。すなわち、熱転写用受像シート100は、用途に応じて、金属層12上に更に装飾等を施すまで、保護層13により金属層12を保護することで、金属層12の劣化を抑制ないし防止し金属光沢を長期間保持し得る。また、製造過程や輸送等により生じる傷を防ぐことができる。保護層13を剥離した後の積層体は、金属層12上に装飾等を施すことができる。
積層体と保護層13との剥離力は、例えば、5.00N/mm以下、好ましくは、2.00N/mm以下であり、また、例えば、0.001N/mm以上、好ましくは、0.01N/mm以上である。図5〜7に示すように熱転写用受像シート100がバリア層14を備える場合、剥離力が上記上限以下であると、保護層13をバリア層14から容易に剥離することができ、熱転写用受像シート100の破損を抑制することができる。また、剥離力が上記下限以上であると、保護層貼合時の貼合気泡を抑制することができる。
剥離力は実施例に記載の方法により測定することができる。
保護層の厚みは、5〜300μmであることが好ましく、5〜250μmであることがより好ましく、50〜250μmであることがさらに好ましく、100〜200μmであることがよりさらに好ましい。保護層の厚みが5μm以上であることで、擦傷性確保の点で好ましい。また、保護層の厚みが300μm以下であることで、搬送性の点で好ましい。
保護層の厚さは、ダイヤルゲージなどにより測定することができる。
保護層13は水分を透過、又は吸収し難い層であることが好ましい。
例えば、保護層13が水分を透過、又は吸収し難い層とすることにより、空気中の水分による金属層12の劣化を抑制ないし防止でき、金属光沢を長期間保持し得る。
また、保護層13は透明性を有する層であることが好ましい。保護層が透明性を有することにより、金属光沢に優れた熱転写用受像シートとすることができる。
<5.バリア層>
熱転写用受像シート100は、図5及び6に示すように、金属層12の基材10側とは反対側の面上にバリア層14を備えていてもよい。なお、バリア層14は金属層12上に積層されていればよく、必ずしも隙間12bを完全に埋めていなくてもよい。
バリア層は、金属層12の酸化(腐食)を抑制するための層である。バリア層は、金属および半金属の少なくとも1種の酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化炭化物、窒化炭化物および酸化窒化炭化物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。金属としては、例えば、アルミニウム、チタン、インジウム、マグネシウムなどを用いることができ、半金属としては、例えば、ケイ素、ビスマス、ゲルマニウムなどを用いることができる。
具体的には、例えばZnO+Al(AZO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウム錫(ITO)、酸化炭化窒化ケイ素膜(SiOCN)、酸化窒化ケイ素膜(SiON)、窒化ケイ素膜(SiN)、SiO、AlO、AlON、TiO等を用いることができる。
また、バリア性の向上のためには、バリア層は水蒸気を透過しにくいことが好ましい。バリア層の水蒸気の透過の度合いは種々の方法により評価できるが、例えば、水蒸気透過量を用いて評価することができる。バリア性の向上のためには、当該水蒸気透過量が3g/m・day以下であることが好ましく、1g/m・day以下であることがより好ましく、0.5g/m・day以下であることが更に好ましい。
バリア層の水蒸気透過量は、例えば、MOCON社製水蒸気透過度測定装置PERMATRAN−W Model3/33を用いて測定することができる。
バリア層14の厚みは特に限定はされないが、バリア性を向上させるためには5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、20nm以上が更に好ましい。また、電磁波透過性や外観の金属光沢感を向上させるためには100nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましく、50nm以下が更に好ましい。
バリア層の厚みは実施例に記載の方法により測定することができる。
また、金属層12の酸化(腐食)をより一層抑制するために、バリア層は金属層と基材との間にさらに設けられてもよい。
熱転写用受像シート100が酸化インジウム含有層を備える場合は、酸化インジウム含有層と金属層の間にバリア層を設けてもよく、酸化インジウム含有層の金属層とは反対側にバリア層を設けてもよい。
また、熱転写用受像シートは、上述の金属層、保護層、酸化インジウム含有層、及びバリア層の他に、用途に応じてその他の層を備えてもよい。
その他の層としては色味等の外観を調整するための高屈折材料等の光学調整層(色味調整層)、易接着層、ハードコート層、反射防止層、光取出し層、アンチグレア層等が挙げられる。
<6.酸化インジウム含有層>
また、一実施形態に係る熱転写用受像シート100においては、図7に示されるように、基材10と金属層12の間に、酸化インジウム含有層15をさらに設けてもよい。酸化インジウム含有層15は、基材10の面に直接設けられていてもよいし、基材10の面に設けた保護層等を介して間接的に設けられてもよい。酸化インジウム含有層15は、金属光沢を付与すべき基材10の面に連続状態で、言い換えれば、隙間なく、設けるのが好ましい。連続状態で設けることにより、酸化インジウム含有層15、ひいては、金属層12や熱転写用受像シート100の平滑性や耐食性を向上させることができ、また、酸化インジウム含有層15を面内ばらつきなく成膜することも容易となる。
このように、基材10と金属層12の間に、酸化インジウム含有層15をさらに設けること、すなわち、基材10の上に酸化インジウム含有層15を形成し、その上に金属層12を形成することによれば、金属層12を不連続の状態で形成しやすくなるため好ましい。そのメカニズムの詳細は必ずしも明らかではないが、金属の蒸着やスパッタによるスパッタ粒子が基材上で薄膜を形成する際には、基材上での粒子の表面拡散性が薄膜の形状に影響を及ぼし、基材の温度が高く、基材に対する金属層の濡れ性が小さく、金属層の材料の融点が低い方が不連続構造を形成しやすいと考えられる。そして、基材上に酸化インジウム含有層を設けることにより、その表面上の金属粒子の表面拡散性が促進されて、金属層を不連続の状態で成長させやすくなると考えられる。
酸化インジウム含有層15として、酸化インジウム(In)そのものを使用することもできるし、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)や、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属含有物を使用することもできる。但し、第二の金属を含有したITOやIZOの方が、スパッタリング工程での放電安定性が高い点で、より好ましい。これらの酸化インジウム含有層15を用いることにより、基材の面に沿って連続状態の膜を形成することもでき、また、この場合には、酸化インジウム含有層の上に積層される金属層を、例えば、島状の不連続構造としやすくなるため、好ましい。更に、後述するように、この場合には、金属層に、クロム(Cr)又はインジウム(In)だけでなく、通常は不連続構造になり難く、本用途には適用が難しかった、アルミニウム等の様々な金属を含めやすくなる。
ITOに含まれる酸化錫(SnО)の質量比率である含有率(含有率=(SnO/(In+SnO))×100)は特に限定されるものではないが、例えば、2.5質量%〜30質量%、より好ましくは、3質量%〜10質量%である。また、IZOに含まれる酸化亜鉛(ZnO)の質量比率である含有率(含有率=(ZnO/(In+ZnO))×100)は、例えば、2質量%〜20質量%である。
酸化インジウム含有層15の厚さは、シート抵抗や電磁波透過性、生産性の観点から、通常1000nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、20nm以下が更に好ましい。一方、積層される金属層12を不連続状態としやすくするためには、1nm以上であることが好ましく、確実に不連続状態にしやすくするためには、2nm以上であることがより好ましく、5nm以上であることが更に好ましい。
<7.熱転写用受像シートの製造>
熱転写用受像シート100の製造方法の一例について、説明する。特に説明しないが、基材フィルム以外の基材を用いた場合についても同様の方法で製造することができる。
基材上に受像層を形成する方法に特に限定はなく、当該分野における通常の方法を適用できる。具体的には、バインダー樹脂、硬化剤、適当な溶媒、ならびに必要であれば他の添加剤を混合して受像層形成用組成物を調製し、受像層形成用組成物を基材面上に塗布する方法が挙げられる。
この際、適当な溶媒としては、特に制限されず、使用されるバインダー樹脂や硬化剤の種類に応じて適宜選択できる。具体的には、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エーテル類などが挙げられる。上記溶媒は、単独で使用されても、あるいは2種以上の混合液の状態で使用されてもよい。また、溶媒の添加量は、特に制限されない。具体的には、受像層形成用組成物中の固形分濃度が、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%である。
また、上記受像層形成用組成物の塗布方法は、特に制限されず、当該分野における通常の塗布方法が適用できる。具体的には、ドクターブレードコーティング、マイヤーバーコーティング、ロールコーティング、スクリーンコーティング、スピナーコーティング、インクジェットコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティングなどが挙げられる。これらのうち、塗布操作のしやすさ、塗布量の調節のしやすさ、塗布面の表面粗さ等を考慮すると、グラビアコーティング、マイヤーバーコーティングが好ましい。また、基材への受像層形成用組成物の塗布量は、特に制限されず、受像層の厚みによって適宜調整される。好ましくは、乾燥後の受像層の厚みが好ましい範囲になるような量の受像層形成用組成物を、基材の処理面に塗布することが好ましい。
基材10の受像層23とは反対側の面に金属層12、酸化インジウム含有層等受像層23以外の層を備える場合、基材10上に受像層23を形成した後に受像層23以外の層を形成してもよく、基材10上に受像層23以外の層を形成した後に受像層23を形成してもよい。
基材10の受像層23とは反対側の面に金属層12を形成するにあたっては、例えば、真空蒸着、スパッタリング等の方法を用いることができる。
また、基材10と金属層12の間に酸化インジウム含有層15を形成する場合には、金属層12の形成に先立ち、酸化インジウム含有層15を、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等によって形成する。但し、大面積でも厚さを厳密に制御できる点から、スパッタリングが好ましい。
尚、基材10と金属層12の間に酸化インジウム含有層15を設ける場合、酸化インジウム含有層15と金属層12の間には、他の層を介在させずに直接接触させるのが好ましい。
<9.熱転写用受像シート及び金属光沢部材の用途>
本発明の実施形態に係る熱転写用受像シートは、熱転写シート等の熱転写記録媒体から熱転写により画像や文字を受像層に形成することができる。
また、本発明の実施形態に係る熱転写用受像シートを備えた金属光沢部材は、電磁波を送受信する装置や物品及びその部品等に使用することができる。
熱転写用受像シート及び金属光沢部材の用途としては、例えば、通信機器、車両用構造部品、車両搭載用品、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品、種々の自動車用部品、電子機器用部品、家具、台所用品等の家財向け用途、医療機器、建築資材の部品、その他の構造用部品や外装用部品等が挙げられる。
より具体的には、車両関係では、インスツルメントパネル、コンソールボックス、ドアノブ、ドアトリム、シフトレバー、ペダル類、グローブボックス、バンパー、ボンネット、フェンダー、トランク、ドア、ルーフ、ピラー、座席シート、ステアリングホイール、ECUボックス、電装部品、エンジン周辺部品、駆動系・ギア周辺部品、吸気・排気系部品、冷却系部品等が挙げられる。
電子機器および家電機器としてより具体的には、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電子レンジ、エアコン、照明機器、電気湯沸かし器、テレビ、時計、換気扇、プロジェクター、スピーカー等の家電製品類、パソコン、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、タブレット型PC、携帯音楽プレーヤー、携帯ゲーム機、充電器、電池等電子情報機器等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記において、特記しない限り、「部」は「質量部」を意味する。
各実施例および各比較例の評価を下記の方法により行った。
<軟化点温度の測定>
受像層の軟化点温度(℃)は、乾燥して固形化した受像層形成用組成物を、原子間力顕微鏡AFM5300E((株)日立ハイテクノロジーズ製)において、形状観察を行い、室温状態にあるサーマルカンチレバーを試料最表面に接触させた後、5℃/秒で昇温し、試料最表面を加熱膨張させ、押し込み深さを2nmとし、その時の変位と温度から軟化点温度を測るNano TA法で測定した値である。
<インク密着性試験>
熱転写用受像シートの受像層上にインクリボンBR−6004A7S(東芝テック(株)製)のインク面を重ねて、インクリボンのインクと反対側の面から、温度を“中”に設定したアイロンIt’s A−R13(サンヨー(株)製)で60秒間加熱した後、インクリボンの基材を剥がし、熱転写用受像シートにインクを熱転写した。
インクを熱転写した熱転写用受像シートのインク面を、粘着剤CS9861US(日東電工(株)製)を介してガラスと貼り合せた後、0.5MPaで15分間加圧脱泡を行った。
試料が常温に戻った後、ガラスから熱転写用受像シートを高速で剥離し、粘着剤面に残ったインクの面積でインク密着性を評価した。
〇:受像層とインクの密着性良好(残ったインクの面積の割合:0〜20%)
△:受像層とインクの密着性やや良好(残ったインクの面積の割合:20%超〜80%)
×:受像層とインクの密着性不良(残ったインクの面積の割合:80%超〜100%)
<最大高さRz(nm)の測定>
基体としての基材フィルムを平滑な台の上にたわみの無いように固定し、光学式表面性状測定機 ZYGO New View 7300(Zygo社製)を用い、JISB0633に準拠し、実施例及び比較例の成膜前平滑性として、下記の条件にて基体の最大高さRzを測定した。
測定倍率:対物レンズ×10倍 ズーム×1倍
測定範囲:520μm×700μm
<滑り性>
熱転写用受像シートの受像層側の面を水縁磨ガラスS200200(松浪硝子工業(株)製に指で押しつけながら、熱転写用受像シートを動かしたときの動きやすさを滑り性として評価した。
〇:引っ掛かりなく動く
△:やや動きにくい(引っ掛かる)
×:動かない
〔実施例1〕
PETフィルム50−U403(東レ(株)製)上に、受像層として、アクリレートDA105(荒川化学工業(株)製)100質量部とイソシアネートCL102H(荒川化学工業(株)製)2質量部とアクリル粒子SSX−101(積水化成工業(株)製)0.00765質量部を配合し、乾燥後の膜厚が1.5μmとなるように酢酸ブチルで希釈した受像層形成用組成物をワイヤーバーで塗工し、加熱オーブンを用いて90℃で1分間加熱乾燥し、熱転写用受像シートを作製した。
〔実施例2〕
イソシアネートCL102Hを5質量部とした以外は、実施例1と同様に熱転写用受像シートを作製した。
〔実施例3〕
実施例2で作製した熱転写用受像シートの受像層とは反対側の面の上に、交流スパッタリング(AC:40kHz)を用いて、4nmの厚さのITO層と30nmの厚さの島状アルミニウム層と20nmの厚さの酸化アルミニウム層をこの順に直接形成した。ITO層と島状アルミニウム層と酸化アルミニウム層を形成する際の基材フィルムの温度は70℃に設定した。ITOに含まれる酸化錫(SnО)の含有率(含有率=(SnO/(In+SnO))×100)は10質量%である。
上記スパッタ品のアルミニウム層の厚さは以下のように測定した。
図9に示すように一辺5cmの正方形領域3を適当に抽出し、該正方形領域3の縦辺及び横辺それぞれの中心線A、Bをそれぞれ4等分することによって得られる計5箇所の点「a」〜「e」を測定箇所として選択した。
次いで、選択した測定箇所それぞれにおける、図10に示すような断面画像(透過型電子顕微鏡写真(TEM画像))を測定し、得られたTEM画像から、5個以上の金属部分12aが含まれる視野角領域を抽出した。
5箇所の測定箇所それぞれにおいて抽出された視野角領域における金属層の総断面積を視野角領域の横幅で割ったものを各視野角領域の金属層の厚さとし、5箇所の測定箇所それぞれにおける、各視野角領域の金属層の厚さの平均値を金属層の厚さとした。
〔実施例4〕
イソシアネートCL102Hを8質量部とした以外は、実施例1と同様に熱転写用受像シートを作製した。
〔比較例1〕
イソシアネートCL102Hを20質量部とした以外は、実施例1と同様に熱転写用受像シートを作製した。
〔比較例2〕
アクリル粒子SSX−101を0質量部とした以外は、実施例1と同様に熱転写用受像シートを作製した。
上記実施例1〜4及び比較例1、2で得られた熱転写用受像シートについて評価し、その結果を下記表1に示す。
Figure 2021098285
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
本発明の実施形態に係る熱転写用受像シートは、熱転写シート等の熱転写記録媒体から熱転写により、画像や文字を受像層に形成することができる。
また、本発明の実施形態に係る熱転写用受像シート及び熱転写用受像シートを備えた金属光沢部材は、電磁波を送受信する装置や物品及びその部品等に使用することができる。例えば、車両用構造部品、車両搭載用品、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品、種々の自動車用部品、電子機器用部品、家具、台所用品等の家財向け用途、医療機器、建築資材の部品、その他の構造用部品や外装用部品等、意匠性と電磁波透過性の双方が要求される様々な用途にも利用できる。
1 熱転写シート
10 基材
12 金属層
12a 部分
12b 隙間
13 保護層
13a 保護フィルム
13b 粘着剤層
14 バリア層
15 酸化インジウム含有層
21 インク基材
22 インク
23 受像層
24 界面
100 熱転写用受像シート

Claims (12)

  1. 基材と、受像層とを備えた熱転写用受像シートであって、前記受像層の軟化点温度が40℃以上140℃以下であり、前記受像層の表面の最大高さRzが10nm以上3000nm以下である熱転写用受像シート。
  2. 前記Rzが30nm以上1000nm以下である、請求項1に記載の熱転写用受像シート。
  3. 前記受像層が、バインダー樹脂及び硬化剤を含む受像層形成用組成物からなる、請求項1又は2に記載の熱転写用受像シート。
  4. 前記バインダー樹脂が、アルキル(メタ)アクリレート類(a1)及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類(a2)を含むモノマー群の反応物である水酸基含有(メタ)アクリル系ポリマーを含む請求項3に記載の熱転写用受像シート。
  5. 前記硬化剤が、イソシアネート系架橋剤である請求項4に記載の熱転写用受像シート。
  6. 前記水酸基含有(メタ)アクリル系ポリマーにおける水酸基当量と前記イソシアネート系架橋剤のイソシアネート基当量の比であるNCO/OHが0.02〜0.25である請求項5に記載の熱転写用受像シート。
  7. 前記基材の前記受像層とは反対側の面に金属層を備える請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱転写用受像シート。
  8. 前記金属層は、少なくとも一部において互いに不連続の状態にある複数の部分を含み、電磁波透過性である、請求項7に記載の熱転写用受像シート。
  9. 前記複数の部分は島状に形成されている、請求項8に記載の熱転写用受像シート。
  10. 前記金属層は、アルミニウム、亜鉛、鉛、銅、銀から選択された少なくとも一種の金属又はその合金を含む請求項7〜9のいずれか一項に記載の熱転写用受像シート。
  11. 請求項7〜10のいずれか一項に記載の熱転写用受像シートを備えた金属光沢部材。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の熱転写用受像シート又は請求項11に記載の金属光沢部材を備えた通信機器。
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