JP2022146410A - 積層体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】環境や製造設備への影響を低減でき、被着体表面に高い撥水性を付与できる積層体、及びその製造方法を提供する。【解決手段】離型フィルムと、フッ素置換基を有する有機無機ハイブリッド材料を含有する撥水層と、粘着フィルムと、をこの順に備え、前記撥水層は、粘着フィルム側表面にフッ素原子が偏在している、積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、積層体及びその製造方法に関する。
耐熱性、耐摩耗性、防汚性、撥水性等の表面特性を付与するために、有機無機ハイブリッド材料を被着体にコーティングすることが検討されている。
例えば、特許文献1では、シリル基を有するフッ素系重合体を含有するオルガノシラン系のコーティング組成物が提案されている。
また、特許文献2では、アルコキシシリル基を有する化合物を含有する硬化性樹脂組成物が提案されている。
特開2000-204319号公報 特開2015-059167号公報
特許文献1及び2に記載の技術では、コーティング組成物を被着体に塗布したあと、乾燥させて溶剤を除去することで塗膜を得ている。
しかし、揮発した溶剤が環境や製造設備に悪影響を及ぼす場合があるため、溶剤を用いない方法で被着体に表面特性を付与できることが求められている。
上記実情に鑑みて、本発明は、環境や製造設備への影響を低減でき、被着体表面に高い撥水性を付与できる積層体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]離型フィルムと、フッ素置換基を有する有機無機ハイブリッド材料を含有する撥水層と、粘着フィルムと、をこの順に備え、前記撥水層は、粘着フィルム側表面にフッ素原子が偏在している、積層体。
[2]XPS(X線光電子分光法)を用いたデプスプロファイリングによって求められる、前記撥水層の厚み方向におけるフッ素原子の濃度分布において、前記撥水層の粘着フィルム側表面を含む計測点におけるフッ素原子濃度Aと、離型フィルム側表面を含む計測点におけるフッ素原子濃度Bとの濃度比A/Bが、1より大きく50以下である、[1]に記載の積層体。
[3]前記撥水層の粘着フィルム側表面の水滴接触角が90度以上である、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4]前記離型フィルムの前記撥水層に対する剥離強度が0.001N/25mm以上0.05N/25mm以下である、[1]~[3]のいずれか1項に記載の積層体。
[5]前記粘着フィルムの前記撥水層に対する剥離強度が0.01N/25mm以上0.2N/25mm以下である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の積層体。
[6]前記撥水層のガラス転移温度(Tg)が160℃以上である、[1]~[5]のいずれか1項に記載の積層体。
[7]離型フィルム上に、フッ素置換基を有する有機無機ハイブリッド材料を含有する撥水層を形成する工程と、
前記撥水層の表面に粘着フィルムを貼り合わせる工程と、を含み、
前記撥水層は、粘着フィルム側表面にフッ素原子が偏在している、積層体の製造方法。
[8][7]に記載の製造方法により得られる積層体から離型フィルムを剥離し、前記撥水層を被着体に接着し、次いで粘着フィルムを剥離する工程を含む、撥水層付き部材の製造方法。
本発明によれば、環境や製造設備への影響を低減でき、被着体表面に高い撥水性を付与できる積層体、及びその製造方法を提供することができる。
本発明は、離型フィルムと、フッ素置換基を有する有機無機ハイブリッド材料を含有する撥水層と、粘着フィルムと、をこの順に備え、前記撥水層は、粘着フィルム側表面にフッ素原子が偏在している、積層体である。
本発明の積層体は、フッ素置換基を有する有機無機ハイブリッド材料を含有する撥水層を被着体に接着して、被着体表面に高い撥水性を付与するための技術として位置付けられる。
本発明者は、離型フィルム上に撥水層を設け、撥水層と被着体とを貼り合わせてから離型フィルムを剥離する「転写」によって、被着体表面に撥水層を設けることを検討した。
しかしながら、離型フィルムに撥水層をコーティングすると、フッ素置換基を有する有機無機ハイブリッド材料を含有する撥水層の塗膜では、空気との界面において表面エネルギーをより小さくしようとする力が働くため、表面エネルギーの小さいフッ素置換基が空気との界面近傍に偏在し、離型フィルムに接していない側の表面にフッ素が偏在していることが判明した。この撥水層を被着体へ転写させると、フッ素が偏在していない面が最表面となるため、高い撥水性を得ることができなかった。
そこで、離型フィルム上に撥水層を設け、さらに粘着フィルムを設けた積層体とした。かかる積層体では、撥水層の離型フィルムに接していない側(すなわち、粘着フィルム側)の表面にフッ素が偏在するため、この積層体から離型フィルムを剥離して粘着フィルムに撥水層を転写してから、撥水層に被着体を貼り合わせて粘着フィルムを剥離する「二次転写」を行うことで、被着体表面に高い撥水性を付与できることを見出した。
以下、本発明の構成について詳細に説明する。
<積層体>
1.離型フィルム
本発明の積層体における離型フィルムは、撥水層を粘着フィルムへ転写するときに剥離しやすいことが好ましく、具体的には、後述する実施例に記載の方法に従って測定した、離型フィルムの撥水層に対する剥離強度が0.001N/25mm以上0.05N/25mm以下であることが好ましく、0.005N/25mm以上0.03N/25mm以下であることがより好ましく、0.01N/25mm以上0.025N/25mm以下であることがさらに好ましい。
離型フィルムの撥水層に対する剥離強度を上記範囲とするためには、ポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製、製品名「No.31B」)に対する離型フィルムの剥離強度が、0.05N/25mm以下であることが好ましく、0.025N/25mm以下であることがより好ましい。
離型フィルムの厚さは、フィルムとしての成形性及び取扱性の観点から、10~200μmが好ましく、30~150μmがより好ましく、50~100μmがさらに好ましい。
離型フィルムは、単層であってもよいが、基材及び離型層を含む積層構造であることが好ましい。
[離型フィルム基材]
離型フィルム基材は、耐久性と柔軟性の観点から、ポリエステルフィルム又はポリオレフィンフィルムが好ましい。
(ポリエステルフィルム)
本発明における離型フィルム基材としてのポリエステルフィルムは、単層であっても多層であってもよい。
ポリエステルフィルムの成分は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましく、1種の芳香族ジカルボン酸と1種の脂肪族グリコールとからなるポリエステルであってもよく、1種以上の他の成分を共重合させた共重合ポリエステルであってもよい。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。
一方、共重合ポリエステルの「他の成分」として用いるジカルボン酸としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、セバシン酸が挙げられ、グリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。またp-オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸も用いることができる。
ポリエステルフィルムには、易滑性の付与や、離型フィルム上に撥水層を形成する工程及び前記撥水層の表面に粘着フィルムを貼り合わせる工程等、本発明の積層体を製造する各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合することが好ましい。
粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59-5216号公報、特開昭59-217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
粒子の形状に関しても特に限定されず、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これらの粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒子径は、0.01~3μmが好ましく、0.01~2μmがより好ましい。平均粒子径が0.01μm以上であることで、粒子が凝集しにくく、分散性に優れる。一方、3μm以下であることで、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎないため、撥水層を設ける際に不具合が生じにくい。
ポリエステルフィルムの厚さは、フィルムとして製膜可能であれば特に限定されるものではないが、10~100μmが好ましく、25~75μmが好ましい。
(ポリオレフィンフィルム)
本発明の積層体における、離型フィルム基材としてのポリオレフィンフィルムとしては、ポリプロピレンフィルム等、公知のフィルムを用いることができる。ポリオレフィンフィルムは、予め、フィルム表面にコロナ処理を施してもよい。
ポリオレフィンフィルムの厚さは、フィルムとして製膜可能であれば特に限定されるものではないが、10~100μmが好ましく、25~75μmが好ましい。
[離型層]
本発明の積層体における離型層は、離型フィルム基材の表面に、離型層形成用塗布液を塗布して塗布層を設け、かかる塗布層を乾燥することにより形成することが好ましい。かかる観点から、離型層は、離型成分として、硬化型シリコーン樹脂の硬化物を含有することが好ましい。離型成分は、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等であってもよい。
硬化型シリコーン樹脂は、付加型、縮合型、紫外線硬化型、電子線硬化型、無溶剤型等、いずれの硬化型であってもよい。
具体的には、例えば信越化学工業株式会社製の「KS-774」、「X-62-1387」、「KNS-3051」、「KNS320A」、「KNS316」、「X-62-7052」、「X-62-7028A/B」等の離型性付与用のシリコーン樹脂;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社の「SilForce(登録商標)」シリーズ、ダウ・東レ株式会社の「DOWSIL(登録商標)」シリーズ等が挙げられる。
一方、エマルションタイプの硬化型シリコーン樹脂の具体例としては、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製「DEHESIVE(登録商標)」シリーズ;荒川化学工業株式会社製「シリコリース(登録商標)902」等が挙げられる。
離型層形成用塗布液は、例えば、硬化型シリコーン樹脂と、硬化剤と、溶媒とを混合することにより調製することができる。硬化剤は公知のものを用いることができ、市販品でもよい。離型層形成用塗布液の溶媒としては、ケトン類(例えば、メチルエチルケトン)、芳香族化合物(例えば、トルエン)等を用いることができ、これらを単独で、又は混合して用いることができる。離型層形成用塗布液は、さらに、剥離調整剤を含有していてもよい。
離型層は塗布延伸法(インラインコーティング)等のフィルム製造工程内において、離型フィルム基材上に設けられてもよく、一旦製造した離型フィルム基材上に、離型層形成用塗布液を系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングで設けられてもよい。
塗布延伸法(インラインコーティング)については、例えば、逐次二軸延伸においては1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。塗布延伸法であれば、延伸と同時に離型層形成用塗布液の塗布が可能になると共に、離型層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができる。
なお、離型フィルム基材には予め、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
離型フィルム基材に離型層形成用塗布液を塗布して、塗布層を設ける方法としては、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」(槇書店 原崎勇次著 1979年発行)に記載例がある。
離型フィルム基材上に離型層を形成する際の、離型層形成用塗布液が好適に含有する、硬化型シリコーン樹脂の硬化条件に関しては特に限定されない。
オフラインコーティングの場合、通常、100~200℃で3~40秒間、好ましくは120~180℃で3~40秒間を目安として離型層形成用塗布液の塗布層を熱処理(加熱)することが好ましい。また、必要に応じて、塗布層に熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
なお、活性エネルギー線照射による硬化型シリコーン樹脂の硬化のためのエネルギー源としては、従来から公知の装置,エネルギー源を用いることができる。離型層形成用塗布液の塗工量は、塗工性の面から、0.005~1g/mが好ましく、0.005~0.5g/mがより好ましく、0.005~0.1g/mがさらに好ましい。塗工量が0.005g/m以上であることで、塗工安定性が良好となり、均一な塗布層が得られる。一方、塗工量が1g/m以下であることで、離型層自体の密着性、硬化性等が良好となる。
2.撥水層
本発明の積層体における撥水層は、フッ素置換基を有する有機無機ハイブリッド材料を含有し、本発明の積層体が有する粘着フィルム層側の表面にフッ素原子が偏在する。ここで、「フッ素原子が偏在する」とは、撥水層の厚み方向(積層体の離型フィルム、撥水層、及び粘着フィルムの積層方向と換言することもできる)において、フッ素原子の濃度分布があり、撥水層の表面のうち、粘着フィルム層側の表面のフッ素原子濃度が最も高いことを意味する。
撥水層は、XPS(X線光電子分光法)にGC-IB(ガスクラスターイオンビーム)を用いて、スパッタ速度一定下において、撥水層内の厚み方向におけるフッ素(F)原子を対象に濃度分布(比率)を測定し、得られたフッ素原子濃度分布(縦軸:フッ素原子濃度(atom%)、横軸:スパッタ時間(min))を、総スパッタ時間で均等に9分割して、粘着フィルムが積層していた側の撥水層表面を含む点から順に第1計測点(スパッタ時間0)、第2計測点、・・として、離型フィルムが積層していた側の撥水層表面を含む第10計測点までを決めた際、第1計測点におけるフッ素原子濃度(atm%)が、第1計測点~第10計測点におけるフッ素原子濃度の合計(atm%)の15%以上であるのが好ましく、20%以上であるのがより好ましく、25%以上であるのがさらに好ましく、30%以上であるのがよりさらに好ましく、35%以上であるのが特に好ましい。
ここで、スパッタ時間は、撥水層表面からの深さに相関するから、前記スパッタ時間は撥水層表面からの深さの指標として読み替えることができる。
詳細には、撥水層は、XPS(X線光電子分光法)を用いたデプスプロファイリングによって求められる、前記撥水層の厚み方向におけるフッ素原子の濃度分布において、前記撥水層の粘着フィルム側表面を含む計測点におけるフッ素原子濃度Aと、離型フィルム側表面を含む計測点におけるフッ素原子濃度Bとの濃度比A/Bが、1より大きく50以下となることが好ましい。かかる濃度比A/Bは、3以上40以下がより好ましく、5以上35以下がさらに好ましく、30以下がよりさらに好ましい。
撥水層の、本発明の積層体における粘着フィルム側表面の水滴接触角は90度以上が好ましく、95度以上がより好ましく、100度以上がさらに好ましい。上限は特に限定されず、例えば150度以下であってよい。
かかる水滴接触角が90度以上であれば、後述するように、本発明の積層体から離型フィルムを剥離して被着体に接着し、次いで粘着フィルムを剥離することで、被着体に高い撥水性を付与できる。
撥水層の厚さは、0.1~30μmが好ましく、0.5~20μmがより好ましく、1~10μmがさらに好ましく、5μm以下がよりさらに好ましい。
撥水層が0.1μm以上あることで、耐擦傷性が良好となる。一方、撥水層が30μm以下であることで、製膜性が良好となる。
撥水層のガラス転移温度(Tg)は、160℃以上が好ましく、170℃以上がより好ましい。上限は特に限定されず、例えば300℃以下であってよい。撥水層のガラス転移温度が160℃以上であることで、耐熱性が良好となる。なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量分析(DSC)により測定することができる。
[有機無機ハイブリッド材料]
本明細書において「有機無機ハイブリッド材料」とは、無機成分と有機成分とをナノレベルあるいは分子レベルで複合させた材料であり、無機成分の持つ硬度、耐熱性、耐候性と、有機成分の持つ柔軟性、軽量性、加工性という両者の優れた特性を併せ持つ機能材料である。
有機無機ハイブリッド材料は、無機成分としてケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム等の半金属又は金属原子を含むことが好ましい。中でも、得られる撥水層の硬度の観点から、ケイ素を含むことがより好ましい。
また、有機無機ハイブリッド材料は、シロキサン結合を含むことが好ましく、耐熱性及び耐候性の観点から、シロキサン骨格を主鎖とする高分子を含むことがより好ましい。
有機無機ハイブリッド材料は、有機成分として炭素数1~20のアルキル基、ビニル基、アリル基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を含むことが好ましい。有機成分は、有機無機ハイブリッド材料を構成する高分子の主鎖にあってもよく、側鎖にあってもよいが、有機無機ハイブリッド材料を構成する高分子がシロキサン骨格を主鎖とする場合は、有機成分として炭素数1~20のアクリロイル基又はメタクリロイル基が側鎖に結合していることが好ましい。
本発明においては、有機無機ハイブリッド材料は、撥水性を高める目的で、フッ素置換基を有する。このフッ素置換基は、有機無機ハイブリッド材料の主鎖にあってもよく、側鎖にあってもよいが、有機無機ハイブリッド材料がシロキサン骨格を主鎖とする高分子を含む場合は、フッ素置換基が側鎖に結合していることが好ましい。
なお、「フッ素置換基」とは、フッ素原子を含有する置換基をいい、例えば、フッ素基、フルオロアルキル基、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルキレン基等が挙げられる。より具体的には、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2-トリフルオロエチル基、1H,1H-ヘプタフルオロブチル基、2H-ヘキサフルオロイソプロピル基、パーフルオロ-t-ブチル基、パーフルオロヘキシル基、1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチル基等が挙げられる。
上記した有機無機ハイブリッド材料としては、市販品を用いることもでき、例えば信越化学工業株式会社製の製品名「X-12-2430C」、東亜合成株式会社製の「SQシリーズ」(MAC-SQ SI-20等)、荒川化学工業株式会社製の「コンポセラン(登録商標)」(コンポセランE103A等)、DIC株式会社製の「ルクシディア(登録商標)」(ルクシディアV-6000等)等が挙げられる。
3.粘着フィルム
本発明の積層体における粘着フィルムは、離型フィルムから撥水層を転写しやすく(転写容易性)、かつ、撥水層を被着体と貼合するときに撥水層から剥離しやすい(剥離容易性)ことが求められる。本発明の積層体における、粘着フィルムの撥水層に対する剥離強度は、離型フィルムの撥水層に対する剥離強度よりも大きく、かつ、容易に剥離できる程度の大きさであることが好ましい。
転写容易性の観点からは、後述する実施例に記載の方法に従って測定した、粘着フィルムの撥水層に対する剥離強度が0.01N/25mm以上であることが好ましく、0.02N/25mm以上であることがより好ましく、0.03N/25mm以上であることがさらに好ましく、0.04N/25mm以上であることがよりさらに好ましい。
また、剥離容易性の観点からは、粘着フィルムの撥水層に対する剥離強度が0.2N/25mm以下であることが好ましく、0.1N/25mm以下であることがより好ましい。中でも、糊残りを抑制し、撥水層の粘着フィルム側表面の撥水性を高くする観点からは、0.08N/25mm以下がより好ましく、0.06N/25mm以下がさらに好ましく、0.05N/25mm以下がよりさらに好ましい。
撥水層に対する剥離強度を上記範囲とするためには、メタクリル樹脂板(PMMA板;三菱ケミカル株式会社製「アクリライト(登録商標)」)に対する粘着フィルムの剥離強度が、0.12N/25mm以下であることが好ましく、0.08N/mm以下であることがより好ましい。
粘着フィルムの厚さは、フィルムとしての成形性及び取扱性の観点から、10~100μmが好ましく、15~75μmがより好ましい。
粘着フィルムは、単層であってもよいが、基材及び粘着層を含む積層構造であることが好ましい。
[粘着フィルム基材]
粘着フィルム基材は、耐久性と柔軟性の観点から、ポリエステルフィルム又はポリオレフィンフィルムが好ましい。ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いることがより好ましい。ポリオレフィンフィルムとしては、ポリプロピレンフィルムを用いることがより好ましい。
粘着フィルム基材としてポリプロピレンフィルムを用いる場合、当該ポリプロピレンフィルムは二軸延伸法により延伸されることが好ましい。延伸法に関しては、テンター法、チューブラー法、ロール延伸法等、従来公知の手法を用いることができる。
また、ポリプロピレンフィルムには、製膜性、加工性、作業性向上等を目的として、酸化防止剤、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤等を本発明の主旨を損なわない範囲で使用することができる。また、帯電防止層等を必要に応じて、設けることもできる。
[粘着層]
粘着層を構成する粘着成分としては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられる。
((メタ)アクリル樹脂)
粘着層を構成する粘着成分としての(メタ)アクリル樹脂は、アクリル系、メタアクリル系のモノマーを含む重合性モノマーからなる重合体である(以下、アクリルおよびメタアクリルを合わせて(メタ)アクリルと略記する場合がある)。これらは、単独重合体あるいは共重合体、さらには(メタ)アクリル系モノマー以外の重合性モノマーとの共重合体、いずれを用いてもよい。
また、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体(例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体等)であってもよい。あるいは、ポリエステルもしくはポリウレタンの溶液、または分散液中で、(メタ)アクリル系モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)であってもよい。
上記(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸等の各種カルボキシル基含有モノマー類、及びこれらの塩;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネート等の各種水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド又は(メタ)アクリロニトリル等の種々の窒素含有化合物;γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系モノマー以外の重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン等の各種スチレン誘導体;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等の各種ビニルエステル類;ビニルトリメトキシシラン等の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエン等の各種共役ジエン類が挙げられる。
(オレフィン系樹脂)
粘着層を構成する粘着成分としてのオレフィン系樹脂は、プロピレン、α-オレフィン等の単独重合体を用いてもよいし、共重合体を用いてもよいが、プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体と水添スチレン系エラストマーの混合物により構成されることが好ましい。
プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体としては、プロピレン-エチレン-1-ブテンランダム共重合体、プロピレン-エチレンランダム共重合体等が挙げられる。また、水添スチレン系エラストマーとしては、水添スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-エチレン・ブチレン-エチレン共重合体、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレン共重合体等が挙げられる。
本発明の積層体において、粘着フィルムの粘着層は、粘着フィルムを撥水層から剥離した際に、撥水層表面に粘着成分が残存せず、撥水層表面を汚染しないように配慮した自己粘着層であることが好ましい。
自己粘着層は、粘着強度、加工性、経時での粘着力変動が極力小さいことが好ましく、粘着成分として、プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体と水添スチレン系エラストマーの混合物を用いることで、自己粘着層である粘着層を得ることができる。
粘着フィルム全体のガラス転移温度(Tg)は、耐熱性の観点から、60~100℃が好ましく、70~90℃がより好ましい。なお、ガラス転移温度は、撥水層における測定法と同様にして測定することができる。
また、粘着フィルム全体の弾性率は、製造工程での破断を起こりにくくする観点から、1~10GPaが好ましく、2~7GPaがより好ましい。
粘着フィルム基材と粘着層とからなる積層構造の粘着フィルムは、粘着フィルム基材上に、粘着層形成用塗布液を塗布し、乾燥することにより製造できる。粘着層形成用塗布液は、既述の粘着成分と溶媒とを混合することにより調製できる。
粘着層形成用塗布液の粘着フィルム基材への塗布方法は、上記離型層形成用塗布液を離型フィルム基材に塗布する方法として説明した方法を用いることができる。
また、粘着フィルムとして市販品(例えば、フタムラ化学株式会社製の自己粘着OPPフィルム「FSA」(登録商標)シリーズ等)を用いてもよい。
[被着体]
本発明の積層体が有する撥水層の接着対象となる被着体は特に制限されない。例えば、ポリエステル、ポリカーボネート等の樹脂;ガラス、セラミックス等の無機酸化物;鉄、ステンレス鋼、銅等の金属が挙げられる。
<積層体の製造方法>
本発明の積層体の製造方法は、離型フィルム上に、フッ素置換基を有する有機無機ハイブリッド材料を含有する撥水層を形成する工程と、前記撥水層の表面に粘着フィルムを貼り合わせる工程と、を含む。
[撥水層形成工程]
撥水層形成工程では、離型フィルム上に、フッ素置換基を有する有機無機ハイブリッド材料を含有する撥水層を形成する。
撥水層形成用塗布液は、上記有機無機ハイブリッド材料を公知の溶媒と混合することにより調製できる。
離型フィルム上に撥水層形成用塗布液を塗布する方法としては、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
次いで、通常、100~200℃で3~40秒間、好ましくは120~180℃で3~40秒間を目安として、塗布した撥水層形成用塗布液を熱処理(加熱)することが好ましい。また、必要に応じて、熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
[粘着フィルム貼合工程]
粘着フィルム貼合工程では、離型フィルム上に形成された撥水層の表面に粘着フィルムを貼り合わせる。
撥水層と粘着フィルムとを貼り合わせる方法としては、公知のラミネート方法を用いることができる。また、必要に応じて、撥水層と粘着フィルムとを加熱しながらラミネートする方法も使用できる。
<撥水層付き部材の製造方法>
本発明の撥水層付き部材の製造方法は、上記<積層体の製造方法>で得られる積層体から離型フィルムを剥離し、撥水層を被着体に接着し、次いで粘着フィルムを剥離する工程を含む。
本発明の積層体は、離型フィルムと、フッ素置換基を有する有機無機ハイブリッド材料を含有する撥水層と、粘着フィルムと、をこの順に備え、当該撥水層は、粘着フィルム側表面にフッ素原子が偏在している。当該製造方法によって得られる撥水層付き部材は、粘着フィルムを剥離すると、撥水層のフッ素原子が偏在している表面が露出する。そのため、当該撥水層付き部材は、表面の撥水性が良好となる。
被着体が樹脂からなる場合、被着体と撥水層との接着は熱プレスであってもよいし、接着剤が用いられてもよい。
被着体と撥水層との接着を熱プレスで行う場合、加工条件は特に限定されない。プレス温度は、被着体と撥水層のガラス転移温度よりも高く、かつ、被着体と撥水層がいずれも流動しない温度であることが好ましい。
接着剤を用いて被着体と撥水層とを接着する場合、当該接着剤としては、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤等の公知の接着剤を用いることができる。これらの接着剤は、粘着性を有していてもよい。
なお、被着体と撥水層との接着性を上げるために、被着体の接着面を洗浄処理してもよいし、被着体及び/又は撥水層の接着面をコロナ放電処理してもよい。
上記製造方法によって得られる撥水層付き被着体は、表面の撥水性に優れるため、各種外装材及び内装材に使用できる。具体的には、壁、屋根等の建材;車、列車、船舶、飛行機等の乗り物の内外装用部品;家電製品用部材;看板、標識等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されない。
<各層の材料>
[離型フィルム]
A-1:表面にフッ素系シリコーンをコーティングしたPETフィルム(三菱ケミカル株式会社製、製品名「MRS75」、ポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製、製品名「No.31B」)に対する剥離強度:0.023N/25mm)
[撥水層]
B-1:主鎖がシロキサン骨格であり、側鎖にアクリル基とフッ素置換基を有する有機無機ハイブリッド材料(信越化学工業株式会社製、製品名「X-12-2430C」)
[粘着フィルム]
C-1:基材がPETであり、粘着層がアクリル系粘着剤からなる粘着フィルム1(サンエー化研株式会社製、製品名「NSB13T」)、PMMA板(三菱ケミカル株式会社製、製品名「アクリライト(登録商標)」)に対する剥離強度:0.08N/25mm
C-2:基材がPETであり、粘着層がアクリル系粘着剤からなる粘着フィルム2(サンエー化研株式会社製、製品名「NSB23TL2」)、PMMA板(三菱ケミカル株式会社製、製品名「アクリライト(登録商標)」)に対する剥離強度:0.12N/25mm
C-3:基材がPETであり、粘着層がアクリル系粘着剤からなる粘着フィルム3(サンエー化研株式会社製、製品名「NSB23TL」)、PMMA板(三菱ケミカル株式会社製、製品名「アクリライト(登録商標)」)に対する剥離強度:0.15N/25mm
<実施例及び比較例>
[実施例1]
撥水層の材料B-1 100質量部に対して、開始剤(BASF社製、製品名「イルガキュア184」)を5質量部添加し、酢酸エチルに溶解することで、25質量%の撥水層用塗布液1を調製した。
離型フィルムA-1に上記撥水層用塗布液1をバーコーターで塗布し、80℃で2分間乾燥を行い、積算光量800mW/cmで紫外線照射を行うことで撥水層を形成した。
撥水層の上に、粘着フィルムC-1を貼り合わせて、実施例1の積層体を得た。
[実施例2]
粘着フィルムとしてC-2を用いたこと以外は実施例1と同じ方法で、実施例2の積層体を得た。
[実施例3]
粘着フィルムとしてC-3を用いたこと以外は実施例1と同じ方法で、実施例3の積層体を得た。
[比較例1]
粘着フィルムとの貼り合わせを行わないこと以外は実施例1と同じ方法で、比較例1の積層体を得た。
<評価方法>
[剥離強度]
以下の(a)~(d)の剥離強度について、いずれも、粘着テープの180°剥離試験ISO 29862:2007(JIS Z 0237:2009)に基づき、万能試験機(株式会社インテスコ製、製品名「200X型万能試験機」)を用いて測定した。
(a)離型フィルムA-1の、ポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製、製品名「No.31B」)に対する剥離強度
(b)粘着フィルムC-1~C-3の、PMMA板(三菱ケミカル株式会社製、製品名「アクリライト(登録商標)」)に対する剥離強度
(c)実施例1~3及び比較例1の積層体における、離型層と撥水層との剥離強度
(d)実施例1~3及び比較例1の積層体における、撥水層と粘着層との剥離強度
[フッ素原子濃度]
実施例1の積層体から離型フィルム及び粘着フィルムを剥離して撥水層のみとし、撥水層内の厚み方向におけるフッ素原子の濃度分布(比率)を、XPS(X線光電子分光法)を用いたデプスプロファイルによって測定し、得られたフッ素原子濃度分布(縦軸:フッ素原子濃度(atm%)、横軸:スパッタ時間(min))を、総スパッタ時間で均等に9分割して、粘着フィルムが積層していた側の撥水層表面から順に第1計測点(スパッタ時間0)、第2計測点、と番号付けて、離型フィルムが積層していた側の撥水層表面を含む第10計測点までの各計測点におけるフッ素原子濃度を求めた。測定条件は以下の通りである。
測定装置:K-Alpha
(Thermo Fisher Scientific, Inc)
測定範囲:400μm×200μm
エッチング条件:3000eV×100s pitch
[水滴接触角]
実施例1~3及び比較例1の積層体から離型フィルム及び粘着フィルムを剥離して撥水層のみとし、幅50mm×長さ50mm×厚み2mmに切り出したサンプルについて、粘着フィルムが積層していた側の撥水層表面の水滴接触角を接触角計(協和界面科学株式会社製、製品名「Drop Master500」)を用いて測定した。
[ガラス転移温度]
実施例1~3及び比較例1の積層体から離型フィルム及び粘着フィルムを剥離して撥水層のみとし、示差走査熱量分析(DSC)により、ガラス転移温度を測定した。測定装置は示差走査熱量計(NETZSCH GmbH社製、製品名「DSC 204F1」)を用い、昇温速度は10℃/minとして測定した。
<結果>
実施例1の積層体における撥水層の、撥水層内の厚み方向におけるフッ素原子濃度分布の測定値、第1計測点におけるフッ素原子濃度の、第1計測点~第10計測点におけるフッ素原子濃度の合計に占める割合、及び撥水層の粘着フィルム側表面を含む第1計測点におけるフッ素原子濃度Aと、離型フィルム側表面を含む第10計測点におけるフッ素原子濃度Bとの濃度比A/B、を表1に示す。
実施例1~3及び比較例1の積層体について、その構成材料、離型層と撥水層との剥離強度、撥水層と粘着層との剥離強度、撥水層のガラス転移温度、及び粘着フィルムが積層していた側の撥水層表面の水滴接触角の測定結果を表2に示す。
Figure 2022146410000001
Figure 2022146410000002
実施例1の積層体は、離型フィルム上に撥水層を設け、さらに粘着フィルムを設けた積層体であり、撥水層の離型フィルムに接していない側(すなわち、粘着フィルム側)の表面にフッ素が偏在していることが確認できた。かかる積層体から離型フィルムを剥離して粘着フィルムに撥水層を転写してから、撥水層に被着体を貼り合わせて粘着フィルムを剥離する「二次転写」を行えば、被着体の最表面を、水滴接触角の大きい撥水層表面とすることができる。
また、実施例2及び3についても、離型フィルムに接していない側(すなわち、粘着フィルム側)の表面の水滴接触角が大きいので、上記「二次転写」によって被着体表面に高い撥水性を付与できる。
一方、比較例1の積層体は粘着フィルムを用いないため、離型フィルムに接していない側(すなわち、水滴接触角が高い側)が被着体と貼り合わされることになり、フッ素置換基を有する有機無機ハイブリッド材料による撥水性の向上が達成できない。

Claims (8)

  1. 離型フィルムと、フッ素置換基を有する有機無機ハイブリッド材料を含有する撥水層と、粘着フィルムと、をこの順に備え、前記撥水層は、粘着フィルム側表面にフッ素原子が偏在している、積層体。
  2. XPS(X線光電子分光法)を用いたデプスプロファイリングによって求められる、前記撥水層の厚み方向におけるフッ素原子の濃度分布において、前記撥水層の粘着フィルム側表面を含む計測点におけるフッ素原子濃度Aと、離型フィルム側表面を含む計測点におけるフッ素原子濃度Bとの濃度比A/Bが、1より大きく50以下である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記撥水層の粘着フィルム側表面の水滴接触角が90度以上である、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記離型フィルムの前記撥水層に対する剥離強度が0.001N/25mm以上0.05N/25mm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記粘着フィルムの前記撥水層に対する剥離強度が0.01N/25mm以上0.2N/25mm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記撥水層のガラス転移温度(Tg)が160℃以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 離型フィルム上に、フッ素置換基を有する有機無機ハイブリッド材料を含有する撥水層を形成する工程と、
    前記撥水層の表面に粘着フィルムを貼り合わせる工程と、を含み、
    前記撥水層は、粘着フィルム側表面にフッ素原子が偏在している、積層体の製造方法。
  8. 請求項7に記載の製造方法により得られる積層体から離型フィルムを剥離し、前記撥水層を被着体に接着し、次いで粘着フィルムを剥離する工程を含む、撥水層付き部材の製造方法。
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