JP2023086368A - 光学積層体及びミラー部材 - Google Patents

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孝洋 中井
Takahiro Nakai
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Abstract

【課題】可視光域における高い反射率を維持しつつ、赤外光の反射の少ないミラー部材を提供し得る、光学積層体を提供する。【解決手段】基材、金属反射層、光学調整層をこの順に有し、前記光学調整層が低屈折率層及び高屈折率層を備え、前記高屈折率層の少なくとも一つが赤外吸収特性を有する金属酸化物を含有する、光学積層体。【選択図】図1

Description

本発明は、光学積層体及びミラー部材に関する。
車両の運転者は、フロントガラスを通して前方を注視すると共に、インストルメントパネル上の計器類を目視しながら運転を実施する。すなわち、視線が前方と下方の計器類とへ移動する。前方を見たままで、計器類を見ることができれば、視線の移動がなく、運転性(最終的に安全性)の向上が期待できる。この知見からヘッドアップディスプレイ装置が開発され、実用に供されるようになってきている。
ヘッドアップディスプレイ装置においては、ダッシュボード装置内において、光源からの映像をフロントガラスに虚像として像を結ぶことで、運転者に映像として視認されている。光源からの映像情報の輝度を低下させることなく、投影させるためには、可視光域における高い反射率を有した鏡面体が必要となる。
運転の安全性を高める観点より、視点の移動が少なくて済むヘッドアップディスプレイは、日に日に注目を高めており、その反射鏡として利用される鏡面体の需要も高まっている。また車両の衝突等の事故により破損するリスクが低いこと、重量が軽いことなどの理由から、鏡面体を構成する支持基板としては、プラスチック基板、特に耐熱性の高さよりポリカーボネート基板等が用いられている。
従来の鏡面体の製法ではバッチ式の蒸着・スパッタ装置を用いて、ポリカーボネート基板に金属薄膜を形成する手法が一般的であった。しかし、バッチ式製法は生産の効率が低く、日々鏡面体の需要が高まる傾向に対し、供給不足となるという課題があった。
そこで、今後の需要の伸びに対応して、生産性良く製造し得る鏡面体が望まれている。
一方、光を反射し、支持体に貼付し得る光学積層体が検討されている。例えば、特許文献1においては、アルミニウム表面上に、第一低屈折率層、高屈折率層および第二低屈折率層をこの順で積層したアルミニウム表面反射鏡、及びこれを基板上に設置した反射測定用標準試料が開示されている。
特開平5-173005号公報
発明者らは、樹脂で作製した支持基材に貼付することにより、鏡面体として使用可能なミラー部材を提供し得る、光学積層体について検討を行った。しかしながら、従来の光学積層体を支持基材に貼付したミラー部材は、ヘッドアップディスプレイ装置における光源からの像を反射するのみでなく、太陽光、特に赤外光、を光源へ反射するため、これにより高温となった光源が劣化する問題があることが判った。
そこで、可視光域における高い反射率によりフロントガラスのクリアな虚像の維持を可能にしつつ、光源への熱負荷の原因となる赤外光の反射の少ないミラー部材を提供し得る光学積層体が求められている。
本発明は、上記に鑑みて完成されたものであり、その課題は、可視光域における高い反射率を維持しつつ、赤外光の反射の少ないミラー部材を提供し得る、光学積層体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、下記の構成により上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
基材、金属反射層、光学調整層をこの順に有し、
前記光学調整層が低屈折率層及び高屈折率層を備え、
前記高屈折率層の少なくとも一つが赤外吸収特性を有する金属酸化物を含有する、光学積層体。
〔2〕
前記金属酸化物がスズドープ酸化インジウムである、〔1〕に記載の光学積層体。
〔3〕
前記高屈折率層の厚みが5~200nmである、〔1〕又は〔2〕に記載の光学積層体。
〔4〕
フィルム状である、〔1〕~〔3〕のいずれか一つに記載の光学積層体。
〔5〕
〔1〕~〔4〕のいずれか一つに記載の光学積層体を有する、ミラー部材。
本発明の光学積層体は、可視光域における高い反射率を維持しつつ、赤外光の反射の少ないミラー部材を提供し得る。
図1は、本発明の一実施形態による光学積層体の概略断面図である。 図2は、本発明の一実施形態による光学積層体の概略断面図である。 図3は、本発明の一実施形態によるミラー部材の概略断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
[光学積層体]
本発明の光学積層体は、基材、金属反射層、光学調整層をこの順に有し、前記光学調整層が低屈折率層及び高屈折率層を備え、前記高屈折率層の少なくとも一つが赤外吸収特性を有する金属酸化物を含有する。
図1に、本発明の一実施形態による光学積層体1の概略断面図を示す。
本発明の実施形態に係る光学積層体1は、基材11、金属反射層12、光学調整層13をこの順に有し、前記光学調整層が低屈折率層及び高屈折率層を備え、前記高屈折率層の少なくとも一つが赤外吸収特性を有する金属酸化物を含有する。
本発明の実施形態に係る光学積層体1において、光学調整層13は、光の波長による反射スペクトルを調整することにより可視光域における反射率を上げ、また、光学調整層13に備えられる高屈折率層の少なくとも一つが赤外吸収特性を有する金属酸化物を含有することにより、赤外光の反射を抑制することが可能となる。
本発明の光学積層体は、一定以上の厚みを有していてもよく、また、フィルム状であってもよい。
<基材>
基材11の材料は、特に限定はされず、樹脂、ガラス、金属等が挙げられ、樹脂を用いることが好ましい。樹脂を用いる場合、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、例えば、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリスチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、ポリウレタン、アクリル(PMMA)、ABSなどの単独重合体や共重合体からなる部材を用いることができる。但し、後に基材11上に種々の層を形成するため、蒸着やスパッタ等の高温に耐え得るものであることが好ましく、従って、上記材料の中でも、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ABS、ポリプロピレン、ポリウレタンが好ましい。なかでも、耐熱性とコストとのバランスがよいことからポリエチレンテレフタレートやシクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、アクリルが好ましい。基材11は、単層でもよいし積層体でもよく、これらの材料は、単独使用または2種以上併用することができる。また、2種以上併用する場合において、併用する手法は特に限定されないが、混合体を用いてもよいし、粘着剤や接着剤を用いて積層させることができる。支持基材を用いない場合には、黒色にすることが可能であり遮光性の観点からポリカーボネート樹脂が好ましい。他方、のちに支持基材を利用する場合においてはこの限りでなく、視覚効果への影響を考慮し、透明で光学吸収が少ない材料を用いることが好ましい。
基材11の形状には特に制限がない。基材11の形状としては、例えば、平面を有する板状、曲面を有する板状、シート状、フィルム状などが挙げられる。
基材11の厚さには特に制限が無い。光学積層体1をフィルム状にする場合には、加工のし易さ等から、基材11の厚さは、例えば、6μm~250μmが好ましい。より好ましくは20μm以上であり、更に好ましくは40μm以上である。また、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは75μm以下である。また、基材上に形成される層との付着力を強くするために、プラズマ処理やコロナ処理、さらには易接着処理などが施されてもよい。
基材11には、必要に応じて平滑性、或いは防眩性ハードコート層等のハードコート層が形成されていてもよい。ハードコート層が設けられることにより、耐傷性を向上させることができる。
ハードコート層は、ハードコート組成物から形成することができる。より具体的には、硬化性樹脂を含有する溶液をハードコート組成物として基材11に塗布することにより形成できる。
ハードコート組成物が含有する硬化性樹脂としては、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等が挙げられる。硬化性樹脂の種類としてはポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、アミド系、シリコーン系、シリケート系、エポキシ系、メラミン系、オキセタン系、アクリルウレタン系等の各種の樹脂が挙げられる。これら硬化性樹脂は、一種又は二種以上を、適宜選択して使用できる。これらの中でも、硬度が高く、紫外線硬化が可能で生産性に優れることから、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、及びエポキシ系樹脂が好ましい。
ハードコート層の厚みには特に制限が無い。基材がフィルム状である場合のハードコート層の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、また、好ましくは10μm以下、より好ましくは7.0μm以下、更に好ましくは5.0μm以下である。ハードコート層の厚みは、例えば、膜厚計(デジタルダイアルゲージ)を用いて測定することができる。
<金属反射層>
本実施形態における金属反射層12は、基材11の上に形成される。金属反射層12は、金属光沢を有する層であることが好ましい。金属反射層12を形成する材料に特に限定はなく、金属及び樹脂を含んでいてもよい。金属反射層12は金属層であってもよい。
金属反射層12が金属層である場合について説明する。
金属反射層12は、十分な光輝性を発揮し得ることは勿論、融点が比較的低い金属により形成したものであることが望ましい。金属反射層12は、スパッタリングを用いた薄膜成長によって形成するのが好ましいためである。このような理由から、金属反射層12としては、融点が約1000℃以下の金属が適しており、例えば、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、銅(Cu)、銀(Ag)から選択された少なくとも一種の金属、および該金属を主成分とする合金のいずれかを含むことが好ましい。
特に、物質の光輝性や安定性、価格等の理由からAlおよびそれらの合金が好ましい。また、アルミニウム合金を用いる場合には、アルミニウム含有量を50質量%以上とすることが好ましい。
金属反射層12の厚さは、十分な光輝性を発揮するように、通常20nm以上が好ましく、一方、生産性の観点から、通常100nm以下が好ましい。例えば、20nm~100nmが好ましく、30nm~70nmがより好ましい。この厚さは、均一な膜を生産性良く形成するのにも適しており、また、光学積層体1を支持基材に貼付して作製したミラー部材を鏡面体として用いた場合の見栄えも良い。
<光学調整層>
本発明の実施形態に係る光学積層体1は、金属反射層12の基材11とは反対側の面上に光学調整層13を有し、光学調整層が低屈折率層及び高屈折率層を備え、高屈折率層が赤外吸収特性を有する金属酸化物を含有する。
従来の技術においては、光学積層体を支持基材に貼付したミラー部材は、ヘッドアップディスプレイ装置の光源からの像を反射するのみでなく、太陽光を光源へ反射するため、これにより光源への熱負荷が生じる問題があった。本発明者らは、光学積層体が太陽光の中でも特に赤外光を反射することが、光源への熱負荷の問題を引き起こすと考えた。そして、本発明者らの検討の結果、金属反射層12の基材11とは反対側の面上に光学調整層13を設け、光学調整層が低屈折率層及び高屈折率層を備え、高屈折率層が赤外吸収特性を有する金属酸化物を含有することで、可視光域における高い反射率を維持しつつ、赤外光の反射の少ない光学積層体が得られることを見出した。
(低屈折率層)
低屈折率層は、高屈折率層よりも低い屈折率を有する層であり、その屈折率は、例えば1.35~1.55であり、好ましくは1.40~1.50である。低屈折率層は1つまたは複数設けられていてよく、複数設けられている場合の低屈折率層の屈折率は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
本明細書において、「屈折率」は、特に言及しない限り、温度25℃で波長λ=550nmの光を用いて、JIS K0062:1992の規定に準拠して測定された値を意味する。
低屈折率層の材料としては、例えば、金属酸化物及び金属フッ化物が挙げられる。
なお、ここでいう金属酸化物、金属フッ化物に含有される金属元素には、Si等の半金属元素が包含される。また、金属酸化物及び/又は金属フッ化物には、金属酸フッ化物が包含される。また、金属酸化物は、単独の金属元素の酸化物(単独酸化物)であってもよく、複数の金属元素の酸化物(複合酸化物)であってもよい。同様に、金属フッ化物は、単独の金属元素のフッ化物(単独フッ化物)であってもよく、複数の金属元素のフッ化物(複合フッ化物)であってもよい。
金属元素としては、例えば、Si、Mgなどが挙げられる。
金属酸化物の具体例としては、酸化珪素(SiO:屈折率1.46)が挙げられる。金属フッ化物の具体例としては、フッ化マグネシウム、フッ化珪素酸が挙げられる。低屈折率層の材料は、屈折率の観点からフッ化マグネシウム及びフッ化珪素酸が好ましく、製造容易性、機械的強度、耐湿性などの観点から酸化珪素、が好ましく、各種特性を総合的に考慮すると酸化珪素が好ましい。低屈折率層を複数備える場合は、低屈折率層の材料は、同じであってもよく、異なっていてもよいが、低屈折率層のいずれもが酸化珪素を含有することが好ましい。
低屈折率層の厚みには特に制限が無い。可視光反射スペクトルを所望の範囲に調整する観点から10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましい。また、200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。低屈折率層を複数備える場合は、低屈折率層の厚みは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
(高屈折率層)
高屈折率層は、低屈折率層よりも高い屈折率を有する層であり、その屈折率は、例えば1.60~3.20であり、好ましくは1.80~2.40の範囲である。高屈折率層は1つまたは複数設けられていてよく、高屈折率層を複数備える場合は、高屈折率層の屈折率は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
高屈折率層の少なくとも一つは、赤外吸収特性を有する金属酸化物を含有する。なお、ここでいう赤外吸収特性とは、金属酸化物の薄膜において、近赤外域、すなわち波長780nm~2500nmにおける吸収率の平均値が1%以上であることをいう。吸収率の平均値は高いほど良いが、一般的に上限は100%である。高屈折率層を複数備える場合は、赤外吸収特性を有する金属酸化物を含有する高屈折率層に加えて、赤外吸収特性を有する金属酸化物を含有しない高屈折率層を備えることもできる。赤外光の反射を抑制する観点から、高屈折率層を複数備える場合は、高屈折率層のいずれもが赤外吸収特性を有する金属酸化物を含有することが好ましい。
赤外吸収特性を有する金属酸化物としては、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、LaB(六ホウ化ランタン)、CsWO(セシウム酸化タングステン)等が挙げられ、これらのうち、スズドープ酸化インジウムが好ましい。
赤外吸収特性を有する金属酸化物を含有する高屈折率層は、赤外吸収特性を有する金属酸化物に加えて、赤外吸収特性を有する金属酸化物を含有しない高屈折率層を構成する後述の材料をさらに含有してもよい。
赤外吸収特性を有する金属酸化物を含有しない高屈折率層は、金属酸化物及び/又は金属窒化物からなる層であることが好ましい。なお、ここでいう金属酸化物、金属窒化物に含有される金属元素には、Si等の半金属元素が包含される。また、金属酸化物及び/又は金属窒化物には、金属酸窒化物が包含される。また、金属酸化物は、単独の金属元素の酸化物(単独酸化物)であってもよく、複数の金属元素の酸化物(複合酸化物)であってもよい。同様に、金属窒化物は、単独の金属元素の窒化物(単独窒化物)であってもよく、複数の金属元素の窒化物(複合窒化物)であってもよい。
金属元素としては、例えば、Ce、Nb、Si、Sb、Ti、Ta、Zr、Znなどが挙げられる。
赤外吸収特性を有する金属酸化物を含有しない高屈折率層の材料として、より具体的には、例えば、CeO(2.30)、NbO(2.33)、Nb(2.15)、Nb(2.32)、SiN(2.03)、Sb(2.10)、TiO(2.35)、Ta(2.10)、ZrO(2.05)、ZnO(2.10)、ZnS(2.30)等が挙げられる(上記各材料の括弧内の数値は屈折率である)。
特に、赤外吸収特性を有する金属酸化物を含有しない高屈折率層の材料は、Nb、Si、Tiより選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、例えばNbO、SiN、TiOより選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、NbO(酸化ニオブ)を含むことがより好ましい。
高屈折率層の厚みには特に制限が無い。光学積層体1をフィルム状にする場合には、高屈折率層の厚みは、可視光反射スペクトルを所望の範囲に調整する観点から5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましい。また、生産性の観点から200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましい。高屈折率層を複数備える場合は、高屈折率層の厚みは、それぞれ同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
光学調整層13は、また、屈折率1.50~1.85程度の中屈折率層として、例えば、酸化チタンや、上記低屈折率材料と高屈折率材料の混合物(酸化チタンと酸化珪素との混合物等)からなる層をさらに備えていてもよい。
光学調整層の積層構成としては、低屈折率層及び高屈折率層を備え、高屈折率層の少なくとも一つが赤外吸収特性を有する金属酸化物を含有するものであれば特に制限は無い。光学調整層が低屈折率層及び/又は高屈折率層を複数備える場合は、低屈折率層と高屈折率層とが交互に位置する。また、光学調整層が中屈折率層をさらに備える場合は、中屈折率層は、低屈折率層と高屈折率層とに挟まれて位置する。
光学調整層は、例えば、金属反射層側から、低屈折率層と、高屈折率層との2層構成であることができる。また、図2に示されるように、金属反射層12側から、第一の低屈折率層13aと、高屈折率層13bと、第二の低屈折率層13cとの3層構成であることができる。さらに、金属反射層側から、第一の高屈折率層と、第一の低屈折率層と、第二の高屈折率層と、第二の低屈折率層との4層構成であることもできる。そしてさらに、金属反射層側から、第一の低屈折率層と、第一の高屈折率層と、第二の低屈折率層と、第二の高屈折率層と、第三の低屈折率層との5層構成であることもできる。さらにまた、光学調整層は、6層以上の積層体でもよい。
<その他の層>
本発明の実施形態に係る光学積層体は、基材11、金属反射層12、光学調整層13の他に、用途に応じてその他の層を備えていてもよい。
その他の層としては、例えば、粘着剤層、保護層、ハードコート層、バリア層、易接着層、反射防止層、光取出し層、アンチグレア層等が挙げられる。
例えば、酸化物によっては、酸化ニオブのように、粘着剤と積層された状態で紫外光を受けると還元される物質もあり、還元作用を防ぐために、更に保護層として酸化珪素からなる層を積層していてもよい。
<粘着剤層>
粘着剤層10は、粘着剤から形成することができる。
粘着剤層10を形成する粘着剤は透明粘着剤であることが好ましく、例えばアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、及びポリエーテル系粘着剤のいずれかを単独で、或いは、2種類以上を組み合わせて使用することができる。透明性、加工性及び耐久性などの観点から、アクリル系粘着剤を用いることが好ましい。
粘着剤層10は、被着部材に貼付される際まではく離ライナーにより保護されていることが好ましい。
粘着剤層10を形成する粘着剤は、ベースポリマーを含有する粘着剤組成物(以下、単に「粘着剤組成物」と称する場合がある)により形成されることが好ましい。ベースポリマーとしては、粘着剤に用いられる公知のポリマーを用いることが可能である。ここで、ベースポリマーとは、粘着剤組成物に含まれるポリマーの主成分をいう。また、この明細書において「主成分」とは、特記しない場合、50質量%を超えて含まれる成分を指す。
(粘着剤組成物)
粘着剤組成物は、ベースポリマーとして(メタ)アクリル系ポリマーを含むことが好ましい。なお、(メタ)アクリレートはアクリレート及び/又はメタクリレートをいう。(メタ)アクリル系ポリマーを構成する一部のモノマーは粘着剤組成物中に未反応モノマーとして含まれていてもよい。
本発明の実施形態における(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキル及び水酸基含有モノマーをモノマー単位として含有する水酸基含有(メタ)アクリル系ポリマーであることが好ましい。水酸基を導入する手法は特に制限されないが、例えば、水酸基含有モノマーを共重合する手法が容易に行うことができる。
なお、本発明の実施形態における(メタ)アクリル系ポリマーとは、アクリル系ポリマー及び/又はメタクリル系ポリマーをいい、また(メタ)アクリレートはアクリレート及び/又はメタクリレートをいい、また(メタ)アクリル酸アルキルはアクリル酸アルキル及び/又はメタクリル酸アルキルをいう。
(メタ)アクリル酸アルキルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどが挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
前記水酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4-ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどが挙げられる。これらのモノマーは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
前記水酸基含有モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、1~40質量部であることが好ましく、2~30質量部であることがより好ましい。水酸基含有モノマーを共重合することにより、架橋などによる反応点が付与された水酸基含有(メタ)アクリル系ポリマーとすることとなる。
本発明の実施形態に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が30万~250万程度であることが望ましい。重量平均分子量が30万より小さい場合は、粘着剤組成物の凝集力が小さくなることにより糊残りを生じる傾向がある。重量平均分子量はGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定して得られたものをいう。
また、粘着性能のバランスが取りやすい理由から、前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以下(通常-100℃以上)、好ましくは-10℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が0℃より高い場合、ポリマーが流動しにくくなる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより前記範囲内に調整することができる。
また、前記モノマー以外にも、その他の重合性モノマーとして、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移点や剥離性を調整するための重合性モノマーなどを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
(メタ)アクリル系ポリマーにおいて用いられるその他の重合性モノマーとしては、例えば、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマーなどの凝集力・耐熱性向上成分や、酸無水物基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、N-アクリロイルモルホリン、ビニルエーテルモノマーなどの接着力向上や架橋化基点として働く官能基を有す成分を適宜用いることができる。これらのモノマー化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
前記シアノ基含有モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
前記ビニルエステルモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどが挙げられる。
前記芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α-メチルスチレンなどが挙げられる。
前記アミド基含有モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N-ビニル-2-ピロリドンなどが挙げられる。
前記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルエステルなどが挙げられる。
前記エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
前記ビニルエーテルモノマーとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
本発明の実施形態において、その他の重合性モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、0~40質量部であることが好ましく、0~30質量部であることがより好ましい。
なお、(メタ)アクリル系ポリマーの重合法は特に制限されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、UV重合などの公知の重合法を採用できる。また、得られる共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体など何れでもよい。
本発明の実施形態において、粘着剤組成物は上記ベースポリマー以外のポリマー成分を含んでいてもよい。
本発明の実施形態において、粘着剤組成物は架橋剤を含むことが好ましく、架橋剤としてはイソシアネート系架橋剤を用いることが好ましい。イソシアネート系架橋剤は密着性及び凝集性を付与するため用いられる。
イソシアネート系架橋剤としては、多官能イソシアネート化合物が用いられ、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する種々の化合物が含まれる。
イソシアネート化合物としては、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(商品名コロネートL、日本ポリウレタン工業社製)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(商品名コロネートHL、日本ポリウレタン工業社製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名コロネートHX、日本ポリウレタン工業社製)などのイソシアネート付加物などが挙げられる。なかでも、イソシアヌレート環を有するものが特に好ましく、例えば、長鎖アルキレンジオール変性のイソシアヌレート環を有するポリイソシアネート(大日本インキ化学工業社製、バーノックDN-995)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名コロネートHX、日本ポリウレタン工業社製)などが挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
本発明の実施形態に用いられる架橋剤の含有量は、粘着特性に影響を及ぼさない程度で配合すればよいが、通常(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対し、0.2~10質量部含有され、0.5~8質量部含有されていることが好ましく、1~6質量部含有されていることがより好ましい。
また、本発明の実施形態において、粘着剤組成物は架橋成分として、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等の多官能(メタ)アクリル系モノマーを含むことも好ましい。なお、本発明の実施形態における(メタ)アクリル系モノマーとは、アクリル系モノマー及び/又はメタクリル系モノマーをいう。
多官能(メタ)アクリル系モノマーは、通常(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対し、0.2~10質量部含有され、0.5~8質量部含有されていることが好ましく、1~6質量部含有されていることがより好ましい。
なお、アクリル系粘着剤には、前記例示した以外の架橋剤(ポリアミン化合物、メラミン樹脂、アジリジン誘導体、尿素樹脂)、重合開始剤、粘着付与剤、可塑剤、シランカップリング剤、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機又は有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物など等を適宜に使用することもできる。これらの成分は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
(粘着剤層の形成方法)
粘着剤層は、例えば、前記粘着剤組成物を基材上に塗布し、溶剤等を乾燥除去することにより形成することもできる。粘着剤組成物の塗布にあたっては、適宜に一種以上の溶剤を加えてもよい。
また、粘着剤層は、例えば、前記粘着剤組成物によりはく離ライナー上に形成した粘着剤層とはく離ライナーとの積層体の粘着剤層側の面と、基材を貼り合せることにより形成することもできる。
粘着剤層の厚みは、光学積層体と支持基材との貼り合わせ時の外観の観点から5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、25μm以上であることがさらに好ましい。また、高温加熱により発生する発泡を抑制する観点から100μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。
粘着剤層の厚さは、ダイヤルゲージにより測定することができる。
粘着剤組成物の塗布方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーター等による押出しコート法等の方法が挙げられる。
前記加熱乾燥温度は、30℃~200℃が好ましく、40℃~180℃がより好ましく、80℃~160℃がさらに好ましい。加熱温度を上記の範囲とすることによって、優れた粘着特性を有する粘着剤層を得ることができる。乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、5秒~20分が好ましく、30秒~10分がより好ましく、1分~8分がさらに好ましい。
前記粘着剤組成物が、活性エネルギー線硬化型粘着剤の場合には、紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより粘着剤層を形成することができる。紫外線照射には、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルライトランプ等を用いることができる。
光学積層体における粘着剤層は、はく離ライナー(セパレータ)により保護することができる。
例えば、光学積層体の出荷時には粘着剤層をはく離ライナーにより保護した状態であり、その後、はく離ライナーを剥離し支持基材に貼り合わせてミラー部材を製造することができる。
はく離ライナーとしては、粘着剤層を保護することができるものであれば特に制限はなく、例えば、プラスチックフィルム、紙、布、不織布等の多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、及びこれらのラミネート体等の適宜な薄葉体等を挙げることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
前記プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム等が挙げられる。
前記はく離ライナーの厚みは、通常5~200μm、好ましくは5~100μmである。前記はく離ライナーには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型及び防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型等の帯電防止処理もすることもできる。特に、前記はく離ライナーの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理を適宜行うことにより、粘着剤層からの剥離性をより高めることができる。
[光学積層体の製造]
本発明の実施形態に係る光学積層体の製造方法は特に限定されない。例えば、基材11の一方の面に金属反射層12を形成し、金属反射層12上に光学調整層13を形成することができる。
光学積層体は更に粘着剤層を備えていてもよく、粘着剤層10は、基材11の他方の面に、粘着剤層10を形成し得る組成物を塗布等により直接形成してもよく、別途形成した粘着剤層10を貼り合せることにより形成してもよい。
本発明の実施形態に係る光学積層体の金属反射層12、第一の低屈折率層13a、高屈折率層13b、及び第二の低屈折率層13cを形成する場合の形成方法は特に限定されないが、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が挙げられる。大面積でも厚さを厳密に制御できる点から、スパッタリング法が好ましい。
本発明の実施形態に係る光学積層体は、ミラー部材に用いることができる。
また、本発明の実施形態に係る光学積層体は、部材の加飾に用いることもできる。例えば、被着部材に貼付して用いてもよく、被着部材としては、例えば、ガラスやプラスチックからなる部材を使用することができるが、これに限定されるものではない。
[ミラー部材]
本発明は、上記光学積層体を有するミラー部材にも関する。
本発明の実施形態に係るミラー部材は、上記光学積層体から成る。もしくは本発明の実施形態に係る光学積層体を、例えば、粘着剤層10を介して支持基材に貼付して成すことができる。
図3は、本発明の一実施形態によるミラー部材の概略断面図である。図3に示すミラー部材100は、基材11、金属反射層12、光学調整層13をこの順に有する光学積層体である。
本発明の実施形態に係るミラー部材の製造方法は、前記支持基材の表面の少なくとも一部をコロナ処理する工程、及び該支持基材のコロナ処理面に、前記光学積層体を粘着剤層を介して前記支持基材に貼付する工程を含んでいてもよい。
<支持基材>
支持基材の材料としては、特に限定はなく、樹脂、ガラス、金属等が挙げられ、樹脂を用いることが好ましい。樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、例えば、ポリメタクリレートなどの(メタ)アクリル樹脂(アクリル樹脂および/またはメタクリル樹脂)、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー(例えば、ノルボルネン系、シクロペンタジエン系)などのオレフィン樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの材料は、単独使用または2種以上併用することができる。中でも、黒色にすることが可能であり遮光性の観点からポリカーボネート樹脂が好ましい。
[光学積層体及びミラー部材の可視光反射率]
本実施形態に係る光学積層体及びミラー部材の可視光域における反射率は、波長380nm~780nmの範囲における反射光の測定における可視光反射率Yが、85%以上であることが好ましい。
可視光反射率Yは視感を表し、ディスプレイ映像の反射の観点から可視光反射率Yは、86%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
可視光反射率Yは、標準光源としてD65を使用して、(株)日立ハイテクサイエンス製の日立分光光度計 U-4100測定機器により測定することができる。可視光反射率Yは、具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
[光学積層体及びミラー部材の日射反射率]
本実施形態に係る光学積層体及びミラー部材の日射反射率は、JIS K 5602に準じて、波長300nm~2500nmの範囲における反射光の測定における日射反射率が、82%以下であることが好ましい。
光源への熱負荷を抑える観点から日射反射率は、80%以下であることがより好ましく、78%以下であることが更に好ましい。
日射反射率は、標準光源としてD65を使用して、(株)日立ハイテクサイエンス製の日立分光光度計 U-4100測定機器により測定した反射率より、JIS K 5602「塗膜の日射反射率の求め方」に準じて導出することができる。日射反射率は、具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
[光学積層体及びミラー部材の用途]
本発明の実施形態に係る光学積層体及びミラー部材の用途としては例えば、車両用構造部品、ヘッドアップディスプレイ等の車両搭載用品、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品、種々の自動車用部品、電子機器用部品、家具、台所用品等の家財向け用途、医療機器、建築資材の部品、その他の構造用部品や外装用部品等が挙げられる。より具体的には、車両関係では、インスツルメントパネル、コンソールボックス、ドアノブ、ドアトリム、シフトレバー、ペダル類、グローブボックス、バンパー、ボンネット、フェンダー、トランク、ドア、ルーフ、ピラー、座席シート、ステアリングホイール、ECUボックス、電装部品、エンジン周辺部品、駆動系・ギア周辺部品、吸気・排気系部品、冷却系部品等が挙げられる。電子機器及び家電機器としてより具体的には、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電子レンジ、エアコン、照明機器、電気湯沸かし器、テレビ、時計、換気扇、プロジェクター、スピーカー等の家電製品類、パソコン、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、タブレット型PC、携帯音楽プレーヤー、携帯ゲーム機、充電器、電池等電子情報機器等が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
[基材]
基材にフィルムを選定し、東レ株式会社製のPETフィルムルミラー(品番:QTQ2、厚み50μm、ハードコート層付き)を準備した。
[金属反射層の作製]
Alターゲット、及び基材フィルムを、マグネトロンスパッタリング装置にセットし、基材フィルムのハードコート層上に、金属反射層として、厚み44nmのアルミニウム層(Al層)を形成した。
[光学調整層の作製]
マグネトロンスパッタリング装置を用いてAl層を形成した基材フィルムを、マグネトロンスパッタリング装置にセットし、Al層の上に、低屈折率層として酸化珪素70nm(屈折率1.46)、高屈折率層としてスズドープ酸化インジウム(ITO)40nm(屈折率2.10)の順で、透明酸化物の薄膜を形成し光学調整層とした。酸化珪素とスズドープ酸化インジウムの薄膜の形成にあたっては、ターゲットとしては純珪素ターゲット、スズドープ酸化インジウムターゲットを用い、アルゴンガスに加え、酸素ガスを導入し、反応性スパッタリングを実施することで、それぞれ透明酸化物の薄膜を得た。アルゴンガスと酸素ガスの比率は、珪素及びスズドープ酸化インジウムについて、それぞれO/(Ar+O)が0.4、0.2となるように調整した。
以上により、50μmのPET基材(基材フィルム)の片面上に、アルミニウム44nm、酸化珪素70nm、スズドープ酸化インジウム40nmの順で薄層が形成された光学積層体1を作製した。
[粘着剤層の作製]
〔粘着剤組成物1の調製〕
(オリゴマー組成物1の調製)
モノマー成分としてメタクリル酸ジシクロペンタニル(DCPMA)60質量部及びメタクリル酸メチル(MMA)40質量部、連鎖移動剤としてα-チオグリセロール3.5質量部、および重合溶媒としてトルエン100質量部を混合し、窒素雰囲気下にて70℃で1時間攪拌した。次に、熱重合開始剤として、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2質量部を投入し、70℃で2時間反応させたのち、80℃に昇温して2時間反応させた。その後、反応液を130℃に加熱して、トルエン、連鎖移動剤及び未反応モノマーを乾燥除去して、固形状のアクリルオリゴマー(オリゴマー組成物)を得た。オリゴマー組成物1の重量平均分子量は5100、ガラス転移温度(Tg)は130℃であった。
(プレポリマー組成物1の重合)
モノマー成分としての2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)67質量部、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)15質量部、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)3質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-HBA)15質量部、光重合開始剤としての商品名「イルガキュア651」(BASF社製)0.05質量部および商品名「イルガキュア184」(BASF社製)0.05質量部を配合した後、このモノマー混合物を窒素雰囲気下で紫外線に曝露して部分的に光重合させることにより、プレポリマー組成物1(重合率約10%)を得た。
(粘着剤組成物1の調製)
得られたプレポリマー組成物1 100質量部に、オリゴマー組成物1 5質量部、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(商品名「A-HD-N」、新中村化学工業株式会社製)0.3質量部、シランカップリング剤(商品名「KBM-403」、信越化学工業社製)0.3質量部を添加して均一に混合し、粘着剤組成物1を得た。ゲル分率は82%であった。
[粘着シートの作製]
(粘着シート1)
表面にシリコーン系離型層が設けられた厚み75μmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(三菱ケミカル株式会社製「ダイアホイルMRF75」)を粘着シート基材(重はく離ライナー)として、粘着シート基材上に上記の粘着剤組成物1を厚み25μmになるように塗布して塗布層を形成した。この塗布層上に、カバーシート(軽はく離ライナー)として片面がシリコーン剥離処理された厚み75μmのPETフィルム(三菱ケミカル株式会社製「ダイアホイルMRE75」)を貼り合わせた。
この積層体に、カバーシート側から、ランプ直下の照射面における照射強度が5mW/cmになるように位置調節したブラックライトにより、紫外線を照射して光硬化を行い、厚み25μmの粘着剤層からなる粘着シートを得た。
[ミラー部材の作製]
上記で作製した厚み25μmの粘着シートの軽はく離ライナーを剥離し、積層体1の基材フィルムのスパッタ成膜のされていない面に貼り合わせ積層体を得た。
得られた積層体の粘着剤層側の重はく離ライナーを剥離し、支持基材としての3.0mm厚みのポリカーボネート基材(旭硝子株式会社製カーボグラス 黒色)に貼り合わせをし、ミラー部材を作製した。得られたミラー部材のサイズは50mm×150mmである。
〔実施例2〕
50μmのPET基材(基材フィルム)の片面上に、アルミニウム44nm、酸化珪素70nm、スズドープ酸化インジウム40nm、酸化珪素20nmの順で薄層を形成した以外は実施例1と同様にして光学積層体及びミラー部材を作製した。
〔実施例3〕
50μmのPET基材(基材フィルム)の片面上に、アルミニウム44nm、スズドープ酸化インジウム10nm、酸化珪素50nm、スズドープ酸化インジウム40nm、酸化珪素70nmの順で薄層を形成した以外は実施例1と同様にして光学積層体及びミラー部材を作製した。
〔実施例4〕
50μmのPET基材(基材フィルム)の片面上に、アルミニウム44nm、酸化珪素50nm、スズドープ酸化インジウム60nm、酸化珪素45nmの順で薄層を形成した以外は実施例1と同様にして光学積層体及びミラー部材を作製した。
〔比較例1〕
50μmのPET基材(基材フィルム)の片面上に、アルミニウム44nm、酸化珪素70nm、酸化ニオブ(NbO)50nm(屈折率2.32)、酸化珪素20nmの順で薄層を形成した以外は実施例1と同様にして光学積層体及びミラー部材を作製した。酸化ニオブの薄膜の形成にあたっては、アルゴンガスと酸素ガスの比率は、O/(Ar+O)が0.2となるように調整した。
<可視光反射率測定>
作製した各実施例及び比較例の光学積層体について、基材の金属反射層および光学調整層とは逆側に粘着剤を介してガラスに貼合せ、さらにガラスの光学積層体と逆の面に遮蔽用の黒色の保護フィルムを貼合せ、光学測定用のサンプルを準備した。粘着剤は問わないが、本検討には日東電工株式会社製の粘着剤CS986UASを使用した。
標準光源としてD65を使用して、(株)日立ハイテクサイエンス製の日立分光光度計 U-4100測定機器を用いて、波長380nm~780nmの範囲の可視光反射率およびY値(%)を測定した。
なお、測定する際は、得られたミラー部材の表面のスパッタ成膜面(実施例1における高屈折率層側の面、実施例2~4及び比較例1における第二の低屈折率層側の面)に上記可視光線を30°の入射角にて入射させるようにした。結果を表1に示す。
<日射反射率測定>
作製した各実施例及び比較例のミラー部材について、上記反射率測定と同様の測定を300nm~2500nmの波長範囲において行った結果を用い、JIS K 5602 「塗膜の日射反射率の求め方」に準じて日射反射率(%)導出した。結果を表1に示す。
Figure 2023086368000002
上記のとおり、実施例1~4の光学積層体により作成したミラー部材は、可視光域における高い反射率を維持しつつ赤外光の反射が少ないため、鏡面体に適用することができる。
一方、高屈折率層が赤外吸収特性を有する金属酸化物を含有しない比較例1のミラー部材は、可視光反射率は十分であったが日射反射率が高く、鏡面体に適用するには赤外光の反射の抑制が不十分であった。
本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1 光学積層体
10 粘着剤層
11 基材
12 金属反射層
13 光学調整層
13a 第一の低屈折率層
13b 高屈折率層
13c 第二の低屈折率層
21 支持基材
100 ミラー部材

Claims (5)

  1. 基材、金属反射層、光学調整層をこの順に有し、
    前記光学調整層が低屈折率層及び高屈折率層を備え、
    前記高屈折率層の少なくとも一つが赤外吸収特性を有する金属酸化物を含有する、光学積層体。
  2. 前記金属酸化物がスズドープ酸化インジウムである、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 前記高屈折率層の厚みが5~200nmである、請求項1又は2に記載の光学積層体。
  4. フィルム状である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学積層体。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の光学積層体を有する、ミラー部材。
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