JP2021097732A - 車両用車椅子固定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車椅子のフレームから固縛ベルトを取り外す際の作業性を向上できる車両用車椅子固定装置を得る。【解決手段】車室Sの床面14から露出した係止部20に係止可能に構成された被係止部32が一端部に設けられた固縛ベルト30と、固縛ベルト30の他端部に設けられ、車椅子60のフレーム62に係止可能に構成されたフック40と、弾性体で筒状に形成され、フック40におけるフレーム62に対する係止領域Eに嵌められたフックカバー50と、を備えた車両用車椅子固定装置10とする。【選択図】図1

Description

本発明は、車両用車椅子固定装置に関する。
車室のフロアにおける車椅子載置領域の後方に設けられた車椅子後輪用の押当部(跳ね上げたシートクッション)と、車椅子と車体(アンカー)とを連結する固縛ベルトと、を備えた車椅子固定装置は、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。この車椅子固定装置では、固縛ベルトにより車椅子に後方下側に向けた張力を与え、車椅子後輪における車椅子車軸よりも上方の後輪上部を押当部に圧接させることで車椅子を固定している。
特開2017−148445号公報
ところで、固縛ベルトには、その一端部に設けられたフックを車椅子における金属製のフレームに引っ掛ける(係止する)ことで、その車椅子を車体に固定する仕様のものがある。このようなフックは、通常、塗装された金属製の棒体で形成されており、車椅子のフレームに係止させた後、固縛ベルトを縮めるように締め付けることにより、そのフレームに強固に係止されるようになっている。
したがって、固縛ベルトを取り外す際に、例えば固縛ベルトを緩めずにフレームからフックを取り外そうとしたときには、そのフックがフレームに対して滑り難く、フレームから取り外し難い。また、金属製のフックが金属製のフレームに直接かつ強固に接触していることから、車両に加えられる揺れ(振動)が直接車椅子に伝わるおそれもある。また、車椅子の乗客がいないときには、固縛ベルトを所定の場所に置いておくが、車両に加えられる揺れ(振動)によってフックが動くと、そのフックが周囲の他部品に当たって、その他部品を傷付けたり、異音が発生したりするおそれがある。
そこで、本発明は、車椅子のフレームから固縛ベルトを取り外す際の作業性を向上できる車両用車椅子固定装置を得ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の車両用車椅子固定装置は、車室の床面から露出した係止部に係止可能に構成された被係止部が一端部に設けられた固縛ベルトと、前記固縛ベルトの他端部に設けられ、車椅子のフレームに係止可能に構成されたフックと、弾性体で筒状に形成され、前記フックにおける前記フレームに対する係止領域に嵌められたフックカバーと、を備えている。
請求項1に記載の発明によれば、弾性体で形成された筒状のフックカバーが、フックにおける車椅子のフレームに対する係止領域に嵌められている。したがって、固縛ベルトを取り外す際に、例えば固縛ベルトを緩めずにフレームからフックを取り外そうとしたときには、フレームに対してフックカバーを弾性変形させつつ滑らせることができる。よって、車椅子のフレームから固縛ベルトを取り外す際の作業性が向上される。
また、請求項2に記載の車両用車椅子固定装置は、請求項1に記載の車両用車椅子固定装置であって、前記フックカバーは、ウレタン製である。
請求項2に記載の発明によれば、フックカバーがウレタン製とされている。したがって、フックカバーがウレタン製とされていない場合に比べて、フックカバーの軽量化が図れる。
また、請求項3に記載の車両用車椅子固定装置は、請求項1又は請求項2に記載の車両用車椅子固定装置であって、前記フックにおける前記係止領域には、前記固縛ベルトの他端部が取り付けられる基部から連続する第1湾曲部と該第1湾曲部から連続する直線部と該直線部から連続する第2湾曲部とがあり、前記フックカバーは、前記第1湾曲部及び前記第2湾曲部にそれぞれ対応する引張変形側の外周面及び圧縮変形側の外周面に周方向に沿ったスリット部を有している。
請求項3に記載の発明によれば、フックカバーの第1湾曲部及び第2湾曲部にそれぞれ対応する引張変形側の外周面及び圧縮変形側の外周面に周方向に沿ったスリット部が形成されている。したがって、フックカバーは、第1湾曲部及び第2湾曲部に沿って弾性変形することができ、その第1湾曲部及び第2湾曲部に密着される。
また、請求項4に記載の車両用車椅子固定装置は、請求項3に記載の車両用車椅子固定装置であって、前記引張変形側の外周面に形成される前記スリット部は、前記フックに嵌められていない状態の前記フックカバーの軸方向に沿った断面視で直線状に形成されており、前記圧縮変形側の外周面に形成される前記スリット部は、前記フックに嵌められていない状態の前記フックカバーの軸方向に沿った断面視で逆「V」字状に形成されている。
請求項4に記載の発明によれば、フックに嵌められていない状態のフックカバーの軸方向に沿った断面視で、引張変形側の外周面に形成されるスリット部が直線状に形成されており、圧縮変形側の外周面に形成されるスリット部が逆「V」字状に形成されている。したがって、フックカバーは、第1湾曲部及び第2湾曲部に沿ってより効果的に弾性変形することができ、その第1湾曲部及び第2湾曲部により一層密着される。
また、請求項5に記載の車両用車椅子固定装置は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車両用車椅子固定装置であって、前記フックカバーの軸方向端部における内周面は、接着手段によって前記フックの外周面に接着されている。
請求項5に記載の発明によれば、フックカバーの軸方向端部における内周面が、接着手段によってフックの外周面に接着されている。したがって、フックにおける車椅子のフレームに対する係止領域からフックカバーがずれてしまうことが抑制される。
以上のように、本発明によれば、車椅子のフレームから固縛ベルトを取り外す際の作業性を向上させることができる。
本実施形態に係る車両用車椅子固定装置が車椅子を固定している状態を示す平面図である。 本実施形態に係る車両用車椅子固定装置の要部を示す正面図である。 本実施形態に係る車両用車椅子固定装置のフックカバーを示す斜視図である。 本実施形態に係る車両用車椅子固定装置のフックカバーを示す正断面図である。 本実施形態に係る車両用車椅子固定装置のフックカバーを示す図4のX−X線矢視断面図である。 本実施形態に係る車両用車椅子固定装置のフックカバーを示す図4のY−Y線矢視断面図である。 本実施形態に係る車両用車椅子固定装置のフックカバーに形成されたスリット部を示す図4に対応する正断面図である。 本実施形態に係る車両用車椅子固定装置のフックに取り付けられたフックカバーを拡大して示す断面図である。 本実施形態に係る車両用車椅子固定装置のフックカバーが車椅子のフレームに係止されている状態を拡大して示す断面図である。 (A)本実施形態に係る車両用車椅子固定装置の固縛ベルトの一端部に設けられた被係止部をアンカーに取り付ける工程を示す斜視図である。(B)本実施形態に係る車両用車椅子固定装置の固縛ベルトの一端部に設けられた被係止部をアンカーに取り付けた状態を示す斜視図である。
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、本実施形態に係る車両用車椅子固定装置10は、乗合自動車の一例であるバス(自動運転バスに代表されるMaas(Mobility as a Service)車も含む)12に乗車した車椅子60の乗客Pに対して使用される(図1参照)。
したがって、説明の便宜上、各図において適宜示す矢印UPをバス12の車体上方向、矢印FRをバス12の車体前方向、矢印RHをバス12の車体右方向とする。そして、以下の説明で、特記することなく上下、前後、左右の方向を記載した場合は、車体上下方向の上下、車体前後方向の前後、車体左右方向(車幅方向)の左右を示すものとする。
図1に示されるように、バス12の車室Sの床面14には、車椅子スペース16が設定されている。ここで言う車室Sの床面14とは、床としてのフロアパネル上に敷かれたフロアカーペットの上面であり、このフロアカーペットの上面に前後方向が長手方向となる矩形状の枠が左右に並んで表示されている。
なお、車椅子スペース16の略中央部には、そこが車椅子60の乗客Pの乗車位置であることが一目で解るように、車椅子マーク(図示省略)が表示されている。また、車椅子スペース16の後側には、車椅子60の乗客P以外の乗客(図示省略)が半立位姿勢で着座可能な複数の座席18が車幅方向に一体的に並んで設けられている。
また、車室Sの床面14から、後述する固縛ベルト30の一端部に設けられた被係止部32を着脱可能に係止する係止部としてのアンカー20が露出されている。すなわち、フロアカーペットには、アンカー20を露出させるための孔部(図示省略)が形成されている。
車椅子スペース16に乗車した車椅子60には、固縛ベルト30が取り付けられるようになっている。固縛ベルト30の一端部には、金属製のアンカー20に係止可能に構成された金属製の被係止部32が設けられており、固縛ベルト30の他端部には、車椅子60の円筒状とされている金属製のフレーム62に係止可能に構成された金属製のフック40が設けられている。
図10(A)に示されるように、アンカー20は、円板状の本体部22と、本体部22の前側周縁部から、車幅方向中央部が車幅方向両端部よりも上方後側へ張り出すように延在された前側張出部24と、本体部22の後側周縁部から、車幅方向中央部が車幅方向両端部よりも上方前側へ張り出すように延在された後側張出部26と、を有している。
被係止部32は、本体部34と、本体部34の中央部に上下方向に移動可能に設けられた円柱状のロッド部36と、ロッド部36の下端部に同軸的かつ一体的に設けられた円板状の押圧部38と、本体部34とロッド部36との間に設けられ、押圧部38を上方へ向けて付勢するコイルバネ(図示省略)と、を有している。
また、本体部34の下面には、平板状とされた左右一対の係合部35が厚み方向を車幅方向として一体に垂設されており、押圧部38は、その係合部35の間に収容可能になっている。つまり、左右一対の係合部35の間隔は、押圧部38の外径よりも大とされている。また、ロッド部36の上部にはリング28が設けられており、そのリング28に固縛ベルト30の一端部が通されて取り付けられている。
図2に示されるように、固縛ベルト30の他端部に設けられたフック40は、円柱状のロッドが略「S」字状に屈曲形成されることで構成されており、固縛ベルト30の他端部が通されて取り付けられる略環状の基部42と、基部42から連続する第1湾曲部44と、第1湾曲部44から連続する直線部45と、直線部45から連続する第2湾曲部46と、第2湾曲部46から連続する直線状の先端部48と、を有している。
そして、そのフック40にはフックカバー50が取り付けられている。図3〜図6に示されるように、フックカバー50は、エネルギー吸収機能を有するウレタン等(例えばイノアック社製のP・Eライト(登録商標)等)の弾性体で円筒状に形成されており、ウレタン製とされるのが最も好ましい態様となっている。
なお、ウレタン製のフックカバー50の硬度Tは、例えば0.01kN<T<0.5kNとなっている。また、フック40の形状及び外径等にもよるが、一例として、フックカバー50の軸方向の長さL(図4参照)は、L=75mm〜100mmとされ、外径Ro(図6参照)は、Ro=20mm〜25mmとされ、内径Ri(図6参照)は、Ri=8mm〜10mmとされている。
図2に示されるように、フックカバー50は、フック40におけるフレーム62に対する係止領域E内に全体が配置されるように嵌められて固定されている。係止領域Eは、基部42と第1湾曲部44との境界部(第1湾曲部44の曲率の始まり部分)43から先端部48側(先端部48の端面48Aまで)の領域であり、フックカバー50は、少なくとも第1湾曲部44における直線部45側の一部と直線部45と第2湾曲部46とを含む位置に嵌められている。
なお、以下においては、フックカバー50の基部42側の軸方向一端部を「一端部51」とし、フックカバー50の先端部48側の軸方向他端部を「他端部52」とする。また、図8に示されるように、フックカバー50の他端部52における後述する圧縮変形側の端面52Aは、第2湾曲部46と先端部48との境界部(第2湾曲部46の曲率の終わり部分)47に位置するようになっている。
図4〜図6に示されるように、フックカバー50の一端部51及び他端部52における内周面は、それぞれ接着手段としての両面テープ58によって、フック40の第1湾曲部44における外周面及び第2湾曲部46における外周面に接着されて固定される構成になっている。
なお、図4〜図6では、両面テープ58の一方の接着面がフックカバー50の一端部51及び他端部52における内周面にそれぞれ貼付された状態が示されており、両面テープ58の他方の接着面には剥離紙59が残っている状態が示されている。つまり、フック40にフックカバー50を両面テープ58によって接着して固定するときには、フック40の係止領域E内にフックカバー50を嵌めた後、剥離紙59を剥がして接着するようになっている。
したがって、図5に示されるように、この剥離紙59は、手指で把持できるように、フックカバー50の一端部51及び他端部52の端面から軸方向外側へ所定の長さH(例えばH=10mm)だけ突出されるようになっている。また、図5に示される平断面視で、両面テープ58の接着面の幅Wは、例えばW=5mm〜10mmとされており、両面テープ58の接着面の軸方向に沿った長さDは、例えば5mm〜20mmとされている。
また、図7に示されるように、フックカバー50の一端部51及び他端部52よりも軸方向内側の所定の領域Gには、それぞれ周方向に沿ったスリット部54、56が複数形成されている。具体的に説明すると、この領域Gは、第1湾曲部44及び第2湾曲部46によって引張変形させられる領域と圧縮変形させられる領域とを含んでいる。そして、引張変形側の領域における外周面に例えば6本のスリット部54が形成され、圧縮変形側の領域における外周面に例えば4本のスリット部56が形成されている。
引張変形側の外周面に形成されるスリット部54は、フック40に嵌められていない状態のフックカバー50の軸方向に沿った正断面視で、軸方向と垂直に直線状に切られることで形成されている。そして、圧縮変形側の外周面に形成されるスリット部56は、フック40に嵌められていない状態のフックカバー50の軸方向に沿った正断面視で、逆「V」字状に切り欠かれることで形成されている。なお、一例として、スリット部54は、軸方向に7mm〜10mmの間隔で形成され、スリット部56は、外周面における最大切込幅Kを2mm〜3mmとした場合に、軸方向に10mm〜12mmの間隔で形成されている。
また、フックカバー50におけるスリット部54、56(領域G)よりも軸方向外側の長さJは、例えばJ=8mm〜12mmとされている。なお、フックカバー50の一端部51及び他端部52における内周面に両面テープ58を貼付することを考慮すると、スリット部54、56は、フックカバー50の内周面まで達していない方が好ましいが、達していてもよい。また、図7以外では、スリット部54、56の図示を省略している。
また、本実施形態におけるバス12は、特別な区間を時速20km以下で走行することを想定している。そのため、バス12が急ブレーキをかけたときなど、車椅子60に対して前方側へ向かう荷重が加えられたとしても、車椅子60をバス12に固定するための固縛ベルト30は、車椅子60毎に1本あれば充分となっている。
以上のような構成とされた本実施形態に係る車両用車椅子固定装置10において、次にその作用について説明する。
図2、図8に示されるように、まずフック40にフックカバー50を取り付ける。すなわち、フック40における係止領域E内にフックカバー50を嵌める。具体的には、第1湾曲部44の直線部45側における一部と直線部45と第2湾曲部46とを含むようにフックカバー50を配置する。
そして、フックカバー50の一端部51及び他端部52における内周面に貼付されている両面テープ58の剥離紙59を剥離し、そのフックカバー50の一端部51及び他端部52における内周面を、それぞれ第1湾曲部44の外周面及び第2湾曲部46の外周面に接着して、フックカバー50をフック40に固定する。
これにより、フック40における係止領域Eからフックカバー50がずれてしまうのを効果的に抑制又は防止することができる。より具体的に言えば、フックカバー50の一端部51が基部42と第1湾曲部44との境界部43を越える位置までずれたり、フックカバー50の他端部52が先端部48を越える位置までずれたりするのを効果的に抑制又は防止することができる。
また、フックカバー50をフック40に固定したとき、フックカバー50の一端部51及び他端部52よりも軸方向内側の領域Gは、それぞれ第1湾曲部44及び第2湾曲部46に沿って湾曲される。しかしながら、その領域Gには、スリット部54、56が複数形成されているため(図7参照)、フックカバー50の一端部51及び他端部52における内周面を第1湾曲部44の外周面及び第2湾曲部46の外周面にそれぞれ密着させる(外周面から浮き上がらせないようにする)ことができる。
特に、引張変形側に形成されるスリット部54は、フック40に嵌められていない状態のフックカバー50の軸方向に沿った正断面視で直線状に形成されているため、引張変形側の領域Gは、第1湾曲部44及び第2湾曲部46に沿ってスリット部54間が広がるように効果的に弾性変形することができる。したがって、フックカバー50の一端部51及び他端部52における引張変形側の内周面を第1湾曲部44の外周面及び第2湾曲部46の外周面により一層密着させることができる。
そして、圧縮変形側に形成されるスリット部56は、フック40に嵌められていない状態のフックカバー50の軸方向に沿った正断面視で逆「V」字状に形成されているため、圧縮変形側の領域Gは、第1湾曲部44及び第2湾曲部46に沿ってスリット部56間が狭まるように効果的に弾性変形することができる。したがって、フックカバー50の一端部51及び他端部52における圧縮変形側の内周面を第1湾曲部44の外周面及び第2湾曲部46の外周面により一層密着させることができる。
こうして、フックカバー50をフック40における係止領域E内に固定したら、車椅子60のフレーム62にフック40を引っ掛ける(図1参照)。すなわち、フック40の係止領域Eに配置されているフックカバー50をフレーム62に引っ掛ける(係止する)。すると、図9に示されるように、フックカバー50の一部が弾性変形し、フレーム62に対して噛み込む。したがって、例えばバス12が急ブレーキをかけたときなどの緊急時においても、フレーム62に対するフック40の位置を安定化させることができる。
また、フック40は、エネルギー吸収機能を有するウレタン製のフックカバー50を介してフレーム62に係止されているため、フレーム62に対して直接的に接触していない(フック40とフレーム62との間にフックカバー50が厚みMを残して介在している)。したがって、バス12に加えられる揺れ(振動)が、固縛ベルト30を介して車椅子60に直接伝わるのを、そのフックカバー50によって抑制することができる。
また、固縛ベルト30を取り外す際に、例えば固縛ベルト30を緩めずにフレーム62からフック40を取り外そうとしたときでも、フック40はフレーム62に対して直接的に接触していないため、フレーム62に対してフックカバー50を弾性変形させつつ滑らせることができる。具体的には、例えば0.01kNの力でフックカバー50を弾性変形させつつ滑らせることができる。したがって、フック40をフレーム62から容易に取り外すことができる(フレーム62から固縛ベルト30を取り外す際の作業性を向上させることができる)。
しかも、本実施形態に係るフックカバー50は、その他端部52における圧縮変形側の端面52Aが、フック40における第2湾曲部46の曲率の終わり部分である、第2湾曲部46と先端部48との境界部47に達する位置までしか延在されていないため、フック40をフレーム62からより一層容易に取り外すことができる(フレーム62から固縛ベルト30を取り外す際の作業性をより一層向上させることができる)。
具体的に説明すると、フックカバー50の他端部52における圧縮変形側の端面52Aが、例えばフック40の先端部48の端面48Aに達する位置まで延在されていると、フレーム62からフック40の先端部48を取り外すときには、その先端部48を覆うフックカバー50の他端部52とフレーム62との間の接触面積(摺動抵抗)が、フックカバー50の他端部52が弾性変形していることにより大きくなるため、少し取り外し難くなる。
これに対し、本実施形態に係るフックカバー50は、上記の通り、その他端部52における圧縮変形側の端面52Aが、フック40における境界部47に達する位置までしか延在されておらず、フック40の先端部48は、フックカバー50に覆われずに露出されている。したがって、フレーム62からフック40の先端部48を取り外すときには、その先端部48とフレーム62との間の接触面積が、互いに交差して接触する円弧面同士の僅かな点となって小さくなるため、取り外し易くなる。
また、車椅子60の乗客Pが乗車していないときには、固縛ベルト30を所定の場所に置いておく。そのため、バス12に加えられる揺れ(振動)によって固縛ベルト30及びフック40が動くことがある。ここで、そのフック40には、上記の通り、ウレタン製のフックカバー50が設けられている。
したがって、フック40が動いてフックカバー50が周囲の他部品(例えば車椅子60、床面14又は車室Sの側壁等の壁面)に当たっても、その他部品を傷付けたり、異音が発生したりするおそれがない。また、フックカバー50は、ウレタン製とされているため、フックカバー50がウレタン製とされていない場合に比べて、フックカバー50の軽量化を図ることができる。また、フックカバー50は、劣化した際には交換すれば済む。
一方、固縛ベルト30の被係止部32は、次のようにしてアンカー20に着脱可能に係止される。すなわち、図10(A)に示されるように、ロッド部36をコイルバネの付勢力に抗して下方へ向けて押圧した状態で、押圧部38を、アンカー20の本体部22と前側張出部24及び後側張出部26との間の隙間(挿入口)に車幅方向内側又は外側から挿入する。そして、アンカー20の中央部にてロッド部36の下方への押圧を解除する。
すると、図10(B)に示されるように、前側張出部24及び後側張出部26の左右両側に係合部35が係合し(入り込み)、かつ前側張出部24及び後側張出部26の上端部がコイルバネの付勢力により押圧部38の上面と本体部34の下面とで挟持される。これにより、固縛ベルト30の被係止部32を、アンカー20に対して上下、前後、左右の移動が制限された状態に係止することができる。
なお、アンカー20から固縛ベルト30の被係止部32を取り外すときには、コイルバネの付勢力に抗してロッド部36を下方へ向けて押圧する。そして、その状態で、アンカー20の本体部22と前側張出部24及び後側張出部26との間の隙間から押圧部38を抜き出せばよい。
以上、本実施形態に係る車両用車椅子固定装置10について図面を基に説明したが、本実施形態に係る車両用車椅子固定装置10は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。例えば、フックカバー50はウレタン製に限定されるものではなく、接着手段も両面テープ58に限定されるものではない。
また、接着手段としての両面テープ58は、フックカバー50の一端部51及び他端部52ではなく、一端部51又は他端部52のみに設けられる構成とされていてもよい。また、フックカバー50における各部の寸法及びスリット部54、56の数量は一例であり、上記のものに限定されるものではない。フックカバー50における各部の寸法及びスリット部54、56の数量は、フック40の形状及び外径等に応じて適宜設計変更される。
10 車両用車椅子固定装置
14 床面
20 アンカー(係止部)
30 固縛ベルト
40 フック
42 基部
44 第1湾曲部
45 直線部
46 第2湾曲部
50 フックカバー
52 端部
54 スリット部
56 スリット部
58 両面テープ(接着手段)
60 車椅子
62 フレーム
E 係止領域
P 車椅子の乗客
S 車室

Claims (5)

  1. 車室の床面から露出した係止部に係止可能に構成された被係止部が一端部に設けられた固縛ベルトと、
    前記固縛ベルトの他端部に設けられ、車椅子のフレームに係止可能に構成されたフックと、
    弾性体で筒状に形成され、前記フックにおける前記フレームに対する係止領域に嵌められたフックカバーと、
    を備えた車両用車椅子固定装置。
  2. 前記フックカバーは、ウレタン製である請求項1に記載の車両用車椅子固定装置。
  3. 前記フックにおける前記係止領域には、前記固縛ベルトの他端部が取り付けられる基部から連続する第1湾曲部と該第1湾曲部から連続する直線部と該直線部から連続する第2湾曲部とがあり、
    前記フックカバーは、前記第1湾曲部及び前記第2湾曲部にそれぞれ対応する引張変形側の外周面及び圧縮変形側の外周面に周方向に沿ったスリット部を有する請求項1又は請求項2に記載の車両用車椅子固定装置。
  4. 前記引張変形側の外周面に形成される前記スリット部は、前記フックに嵌められていない状態の前記フックカバーの軸方向に沿った断面視で直線状に形成されており、前記圧縮変形側の外周面に形成される前記スリット部は、前記フックに嵌められていない状態の前記フックカバーの軸方向に沿った断面視で逆「V」字状に形成されている請求項3に記載の車両用車椅子固定装置。
  5. 前記フックカバーの軸方向端部における内周面は、接着手段によって前記フックの外周面に接着されている請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車両用車椅子固定装置。
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