JP2021096069A - 真空加熱炉 - Google Patents

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橋本 彰
Akira Hashimoto
彰 橋本
松岡 茂
Shigeru Matsuoka
茂 松岡
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Abstract

【課題】真空容器内で被処理物を乾燥させるには輻射熱を利用するが、防爆等の観点から、真空容器内および真空容器外に所定温度以上の加熱源を配置できない場合がある。【解決手段】開口を有する真空容器と、前記開口を開閉する扉と、前記真空容器内の雰囲気ガスを排出する真空ポンプと、加熱源に接触して加熱され、前記真空容器内で熱放射する輻射面を有する輻射体とを有し、少なくとも前記輻射体の前記加熱源に接している面と反対の面に形成される輻射面上で、前記加熱源と接触している領域に相当する第1輻射面に高輻射層が形成された真空加熱炉であって、前記加熱源が前記真空容器内に設けられ、前記真空容器の内壁面にも高輻射層が形成されていることを特徴とする真空加熱炉。【選択図】図8

Description

本発明は、真空容器内に収納される被処理物に所定温度以下の加熱源の輻射熱を用いて加熱処理を行う真空加熱炉に関するものである。
真空中で被処理物を加熱する真空加熱処理は、さまざまな分野で利用されている。真空加熱処理においては、加熱する温度は様々であるが、比較的低温で処理する用途もある。例えば、液体を含んだ被処理物を乾燥させる方法として、真空乾燥が知られている。温風乾燥では、表面からの蒸発が主となるため、多孔質状の物質で、内部にまで液が浸透している場合には、乾燥に時間がかかる。このような物質を被処理物として真空乾燥を行うと、短時間で乾燥させることができる。つまり、真空加熱炉は真空乾燥装置としても利用できる。
真空乾燥装置としては、例えば特許文献1がある。特許文献1に係る真空乾燥装置は、真空容器中に垂直回転軸で回転するバスケットが設けられており、被処理物はそのバスケット内に載置される。実際に動作させる際には、被処理物が載置されたバスケットを垂直回転軸周りに回転させ、加熱ランプで輻射加熱を行う。
特許文献1の真空乾燥装置では、蒸発熱による被処理物の温度の低下を防止するために、加熱ランプが設けられている。真空中では、対流による熱の伝導は行えないので、輻射による熱で被処理物を加熱するものである。
一方、特許文献2には、真空装置内で被処理物を載置する試料載置棚に温度調節用流体が流れる流体流路を形成する発明が開示されている。これは試料載置棚と接触する被処理物に、接触による熱伝導で熱を伝えるものである。
特開2007−132550号公報 特開2011−043275号公報
真空加熱炉内で被処理物を乾燥させると、大気雰囲気下の場合より短時間で乾燥させることができるので、有用に利用できる場合が多い。その際に問題となるのは、上記に示したように、蒸発時の蒸発熱による被処理物の温度低下である。この問題を回避するには、
乾燥処理の間中被処理物を加熱する必要がある。
真空加熱炉内では、空気の対流による熱の移動がほとんどできないので、輻射熱を利用するのは、1つの方法であると言える。この場合、輻射熱は、輻射面の温度に比例する。したがって、所望の輻射熱を得るには、輻射面の温度を上昇させる必要がある。
しかし、防爆の観点若しくは被処理物の温度特性の関係で、真空加熱炉内および真空加熱炉外に所定温度以上の加熱源を配置できない場合もある。
本発明は上記の課題に鑑みて想到されたもので、一定の温度以上の加熱源を用いなくても、真空加熱炉内の被処理物に熱を加え、効果的な真空加熱処理(乾燥を含む)ができる真空加熱炉を提供する。
より具体的に本発明に係る真空加熱炉は、
開口を有する真空容器と、
前記開口を開閉する扉と、
前記真空容器内の雰囲気ガスを排出する真空ポンプと、
加熱源に接触して加熱され、前記真空容器内で熱放射する輻射面を有する輻射体とを有し、
少なくとも前記輻射体の前記加熱源に接している面と反対の面に形成される輻射面上で、
前記加熱源と接触している領域に相当する第1輻射面に高輻射層が形成された真空加熱炉であって、
前記加熱源が前記真空容器内に設けられ、前記真空容器の内壁面にも高輻射層が形成されていることを特徴とする。
本発明に係る真空加熱炉は、輻射面に高輻射層を形成したので、輻射の効率が高くなり、より効果的な真空加熱処理を行うことができる。
本発明に係る真空加熱炉の外観を示す図である。 図1のA−A断面を示す図である。 加熱源の配置が変った場合の例で、第1輻射面以外の部分にも高輻射層を形成した場合の真空容器の断面図である。 加熱源として熱媒流路と熱媒を使用する場合の真空加熱炉の構成を示す図である。 熱媒流路の具体例を例示する図である。 図4のB−B断面を示す図である。 棚を加熱源とした場合の構成を示す真空容器の断面図である。 図7に真空容器の内壁面にも高輻射層を形成した場合の真空容器の断面図である。 被処理物を、トレイを介して若しくは直接輻射体である棚に載置する場合に載置する面には高輻射層を配置しない場合があることを示す真空容器の断面図である。 棚を支持腕にした場合の構成を示す真空容器の断面図である。 実施例に用いた場合の真空容器内の構成を示す図である。 他の実施例に用いた場合の真空容器内の構成を示す図である。
以下に本発明に係る真空加熱炉について図面および実施例を示し説明を行う。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態および一実施例を例示するものであり、本発明が以下の説明に限定されるものではない。以下の説明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変することができる。
図1には本発明に係る真空加熱炉1の構成を斜視図で示す。また、図2(a)には、図1のA−A断面図、図2(b)には図2(a)の一部拡大図を示す。なお、図2(a)には、トレイ50上に載置された被処理物52も示してある。トレイ50の支持方法は特に限定されるものではない。図1を参照して、真空加熱炉1は、真空容器10と扉12と、真空ポンプ14と、加熱源16を含む。図1では扉12は開いた状態を示している。
真空容器10は、ステンレス等の硬度の高い材料で構成される。図2で示すように、真空容器10の壁10aは、1枚の板材として示したが、複数層を有する構成であってもよい。また、壁10aの外側にさらに空間を有して第2の壁が存在するような複数壁構造であってもよい。
真空ポンプ14は、真空容器10内の雰囲気ガスを排出し、真空容器10内の圧力を0.1気圧以下にまで低下させることができるものが望ましい。油回転ポンプは好適に利用できる。また必要に応じてクライオポンプ等を併用してもよい。なお、必要に応じて空気以外のガスで真空容器10内をパージできるガスタンクが真空容器10に併設されていてもよい。また、真空容器10内には、必要に応じて熱電対等の温度センサを配置してもよい。
真空容器10には、開口10oが形成されており、扉12がこの開口10oを閉じて、真空容器10の内部10iを密閉する。また、真空容器10の壁10aの外壁面10aaに、加熱源16が配置されている。
加熱源16に特に限定はなく、電流を流してジュール熱で発熱するもの、配管中を熱媒体(後述する「熱媒16b」)が流れることで発熱するもの等が好適に利用することができる。図1では、電源15から電流が流れ、発熱するような加熱源16を示している。また、図1では、真空容器10の外壁面10aaの側面にだけ加熱源16を配置しているように示しているが、設置個所は特に限定されるものではない。
ただし、図2(a)に示すように、加熱源16を真空容器10の対向する壁(ここでは側壁10Lおよび側壁10R)に配置すれば、真空容器10内の被処理物52は両側から輻射を受けるので、より好適である。また、加熱源16を配置する壁10aは、側面だけでなく、裏面(奥壁10T:図1参照)や真空容器10の上壁10Uおよび下壁10Fおよび扉12(図1参照)であってもよい。
図2(b)を参照する。図2(b)は、真空容器10の壁10a(図2(a)の側壁10R)の一部拡大図である。本発明の真空加熱炉1では、加熱源16に接触して、熱伝導で温度が上昇し、真空容器10の内部10iで輻射面22を有する輻射体20が設けられる。図1、図2に示すように、真空容器10の壁10aの外壁面10aaに加熱源16を配置した場合、輻射体20は、壁10a自体となり、輻射面22は、内壁面10abとなる。なお、輻射体20と加熱源16とが接触している面を熱接触面18と呼ぶ。
熱接触面18から真空容器10の内部10i側に向かう法線18aが輻射面22上に作る領域を第1輻射面24と呼ぶ。すなわち、第1輻射面24は、輻射体20が加熱源16に接触している面と反対側の面に形成され、熱接触面18に相当する領域である。よく知られているように、熱伝導によって運ばれる熱量は距離に反比例して小さくなる。第1輻射面24は、輻射面22の中で、加熱源16から最も近い領域であり、加熱源16によって、最も熱く加熱され、輻射量が多い領域である。
次に本発明の真空加熱炉1では、少なくとも第1輻射面24に高輻射層30が形成される。高輻射層30とは、熱放射率が高い層である。熱放射率が高い材料としては、シリカ、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、アルミナ、アルミニウム、酸化亜鉛といった材料が挙げられる。
高輻射層30は、これらの材料による層を第1輻射面24に蒸着若しくはスパッタ法といった真空成膜法で形成したもの若しくは、これらの微粉末を樹脂などと共に塗料化し、塗膜として形成したものを用いることができる。
高輻射層30は、輻射面22からの輻射の効率を高める。結果、加熱源16の温度が高くなくても、真空加熱炉1中の被処理物52を輻射加熱することができる。より具体的には、防爆安全若しくは被処理物52の材料特性の関係から加熱源16を150℃以下、より好ましくは120℃以下で使用する場合であっても、被処理物52を乾燥させるだけの十分な熱量を付与することができる。
図3には、高輻射層30の他の配置例を示す。なお、図3は図2(a)と同様に、図1のA−A断面に相当する図である。加熱源16は上壁10Uおよび下壁10Fにも配置されている。高輻射層30は第1輻射面24だけでなく、それ以外の輻射面22に形成してもよい。
輻射面22は、加熱源16によって加熱された輻射体20の真空容器10の内部10i側の内壁面10abである。したがって、第1輻射面24以外の部分からも輻射が生じる。そのような部分にも高輻射層30を配置しておけば、輻射熱を効率的に真空容器10内の被処理物52に伝えることができる。例えば図3では、第1輻射面24に隣接する領域25にも高輻射層30が形成されている。
図4には、加熱源16が熱媒流路16aと熱媒16bで構成されている場合を示す。熱媒流路16aに熱媒16bを供給するポンプ17pと、熱媒16bを貯留し、温度を調節する貯留タンク17tが備えられる。熱媒16bは、温度を調節された後、貯留タンク17tからポンプ17pで熱媒流路16aに送り出される。熱媒流路16aを通過した熱媒16bは、再び貯留タンク17tに戻り、再び温度調節され送り出される。すなわち、熱媒16bは、熱媒流路16aを循環する。
熱媒流路16aは、真空容器10の側壁10R(および10L)だけでなく、上壁10Uおよび下壁10Fに取り付けてもよい。なお、図4では、下壁10Fおよび側壁10Lの熱媒流路16aは見えない。
図5には、熱媒流路16aの具体例を示す。図5(a)を参照する。熱媒流路16aは、金属製の箱体16aa中に仕切り16abを設け、熱媒16bの流路を形成したものが例示できる。熱媒16bは、入口16aiから熱媒流路16aに流れ込み、出口16aoから抜ける。所定の温度の熱媒16bがこの熱媒流路16a内を流れることで、熱媒流路16a自体が均一に発熱し、加熱源16となる。
また、図5(b)に示すように、箱体16aaの中にパイプ16apを通し、形成することもできる。箱体16aaのパイプ16ap以外の部分には、熱伝導性の高い物質(熱伝導体16c)を充填してもよい。すなわち、熱媒流路16aと輻射面22とが直接接触していなくても、熱伝導体16cを介することで熱伝導されて、加熱源16と輻射面22は熱伝導によって熱が伝わると解してよい。
また、図5(b)のパイプ16apだけを真空容器10の外壁面10aaに直接接着(若しくは溶着)してもよい。
図6には、図4のB−B断面を示す。熱媒流路16a自体が加熱源16となるので、輻射体20は、真空容器10の壁10aである。輻射面22は、壁10aの内壁面10abである。なお、高輻射層30は、第1輻射面24以外の部分にも形成しているが、少なくとも第1輻射面24に形成する必要がある。
図7には、真空容器10内の棚55内に加熱源16が配置されている場合の例を示す。加熱源16の具体的な方法としては、通電によるジュール熱による加熱や、図5で示した加熱源16のように、熱媒流路16aと熱媒16bの組み合わせによるものであってもよい。熱媒16bの供給は図4で示したようにポンプ17pと貯留タンク17tで構成することができる。
棚55の内部に加熱源16が配置されており、棚55自体が輻射体20となるので、棚55の上面55a、下面55b、側面55cが輻射面22となる。よって、高輻射層30は、これらの面に施される。なお、棚55は複数設けられることで、棚55と棚55の間に被処理物52を載置した場合、上下方向からの輻射を受けて、均一に加熱されることができる。
また、真空容器10内において、輻射面22とならない部分に高輻射層30を形成してもよい。図8には、棚55だけでなく真空容器10の内壁面10abにも高輻射層30が形成されている場合を示す。
本発明に係る真空加熱炉1においては、加熱源16が真空容器10内に配置されている場合、真空加熱炉1の内壁面10abに高輻射層30を形成してもよい。加熱源16からの輻射は輻射面22(棚55の上面55a、下面55b、側面55c)から内壁面10abに伝わり、輻射によって加熱された内壁面10abが輻射面になって真空容器10内の被処理物52に輻射熱を放射するからである。
このように加熱源16が配置されておらず、また加熱源16からも遠く熱伝導の影響をほとんど受けない部分であって、真空容器10内からの輻射によって加熱され、輻射熱を放出する部分を第2輻射面26と呼ぶ。ここでは、内壁面10abが第2輻射面26である。
図9には、棚55に、被処理物52を直接若しくはトレイ50に入れて載置する場合に棚55の上面55aに高輻射層30を形成しない場合について示す。なお、トレイ50は熱伝導性の高い材料で形成されているのが望ましい。
棚55に被処理物52を直接若しくはトレイ50に入れて載置する場合は、被処理物52と棚55若しくはトレイ50と棚55との接触面(上面55a)には、高輻射層30を設けない場合があってもよい。被処理物52と棚55が直接接触している場合は、接触面(上面55a)からの熱伝導による加熱が効果的になる。
熱放射率が高い材料は熱伝導率は逆に小さくなる傾向にある。したがって、被処理物52と高輻射層30で被覆された輻射面22(棚55の上面55a)が直接接している場合の、接触面(上面55a)からの伝導熱(熱伝導量)は、高輻射層30がない場合(直接接触している場合)と比べて、少なくなるからである。
棚55内に加熱源16が配置されているので、棚55自体が輻射体20となる。つまり、棚55の上面55aは輻射面22であり、さらに第1輻射面24でもある。図9で示す実施形態は、第1輻射面24の全てに高輻射層30を形成しない形態も本発明の真空加熱炉1は含む点を示している。特に、トレイ50を介して若しくは直接被処理物52を載置する面が第1輻射面24になっている場合は、高輻射層30が形成されていなくてもよい。なお、図9の場合は、真空容器10の内壁面10abには、高輻射層30が形成されている。
図10(a)には、図9の棚55が支持腕56に変わった場合を示す。図10(b)には支持腕56の構成を示す。支持腕56内には、根元56rが真空容器10の奥面に接続されている。また、外部からの熱媒16bの供給は図4のように構成することができる。
支持腕56中には、熱媒16bが流れる熱媒流路16aが根元56rから先端部56tまでループ状に形成されている。また、熱媒流路16aの周囲を熱伝導体16cで充填している。したがって、支持腕56自体が輻射体20であり、支持腕56の周囲の外面56aが輻射面22となる。また、外面56aは第1輻射面24でもある。
なお、支持腕56の外面56aには高輻射層30が設けられている。また、真空容器10の内壁面10abにも高輻射層30が設けられている。
また、支持腕56にはトレイ50を載せて、その上に被処理物52を載せることもできる。図10(c)には、トレイ50と支持腕56が接する部分の拡大図を示す。図10(c)に示すように、トレイ50と支持腕56の接触する部分56eでは、支持腕56の外面56aには、高輻射層30が設けられていない。
図9で説明したように、トレイ50を介して若しくは直接被処理物52が載置される第1輻射面24では、高輻射層30がなくてもよい。トレイ50に効率的に熱を伝えるためである。
以上のように、本発明に係る真空加熱炉1では、加熱源16によって加熱され真空容器10内で輻射面22となる部分に高輻射層30を形成することで、低い温度でも真空容器10内の被処理物52に輻射熱を与えることができる。
以下に本発明に係る真空加熱炉1の実施例を示す。なお、以下の実施例は加熱源16の温度が比較的低い場合(真空乾燥処理)の例であるが、加熱源16の温度が高くなっても本発明に係る高輻射層30を有する真空加熱炉1の輻射の効率が、高輻射層30を有しない場合と比較して高い点は同じである。
<乾燥テスト1>
図11に乾燥テスト1で使用した真空加熱炉1の真空容器10を示す。図11(a)は正面図(扉12を開いた状態)であり、図11(b)は側面断面図である。真空容器10は断面がほぼ正方形をしている。なお、図示していない真空ポンプ14はロータリーポンプ(油回転真空ポンプ)を接続し、被処理物52が入っていない状態で、到達圧力が約20Paである。
真空容器10内には、干し竿60が配置されている。また、上壁10Uと左右の側壁10L、10Rおよび下壁10Fに加熱源16を配置した。これらはそれぞれ長方形をした電熱シートである。加熱源16を真空容器10の壁10aの外面に配置したので、輻射体20は、各壁10aとなり、輻射面22は、各壁10aの内面となる。真空容器10の各壁10aの内面には、高輻射層30を形成した。
なお、高輻射層30は、オキモツ株式会社の放熱塗料(CT−200)を約5μmの厚さ(乾燥厚み)に塗布して形成した。したがって、第1輻射面24以外の輻射面22にも高輻射層30が配置されている。なお、比較例として、高輻射層30を形成していない真空容器も用意した。
なお、被処理物が入っていない状態で、加熱源16に通電して真空容器10を加熱すると、真空容器10の断面における略中心点10cの位置で、扉12から奥壁10Tに至るまで略同じ温度を示した。つまり、真空容器10の奥行方向においては、温度勾配は無いとしてよい。また、真空容器10の中心付近の第1輻射面24の表面を100℃に設定した時の略中心点10cでの温度は、高輻射層30がある場合は85℃、無い場合は74℃とおよそ11℃の違いがあった。また、輻射体20の表面を70℃に設定した場合は、高輻射層30がある場合は59℃であり、無い場合は48℃であった。
被処理物52としてはバスタオル(60cm×120cm)に水を含ませ、総重量400gとなるように調製したものを4枚使用した。
バスタオルは、所定量の水を含ませた後、真空加熱炉1中の干し竿60に掛止させた。常温から設定温度まで第1輻射面24を昇温させ、設定温度で維持させた。加熱源16の通電と同時に真空ポンプ14を運転させた。第1輻射面24は6℃/分で昇温させ、真空容器10内の圧力は約10分で定常状態に達した。
表1には、第1輻射面24の設定温度を100℃とし、保持時間を60分とした場合の実施例(輻射面22(真空容器10の内壁面10ab)に高輻射層30を形成した場合)および比較例(輻射面22(真空容器10の内壁面10ab)に高輻射層30が形成されていない場合)の結果を示す。
また、表2には第1輻射面24の設定温度を70℃とし、保持時間を90分とした場合の実施例および比較例の結果を示す。
Figure 2021096069
表1を参照する。4枚のバスタオルは上述したように、テスト前に400gであった。実施例では4枚のバスタオルの平均はテスト後210gであったが、比較例では311gであった。すなわち、高輻射層30を形成した真空乾燥炉では、高輻射層30を形成していない場合と比較して多くの水分を蒸発させることができた。
Figure 2021096069
次に表2を参照する。表2は第1輻射面24の設定温度を70℃とし、90分間乾燥させた場合の結果である。実施例及び比較例ともに実験前のバスタオルの重量は400gであった。実験後に実施例は4枚のバスタオルの平均が210gであり、比較例は311gであった。第1輻射面24の設定温度は表1の場合よりも低かったが、表1の場合と同様に、高輻射層30を輻射面22に形成した実施例の方が形成していない比較例よりも多量の水分を蒸発させることができた。
また、表1の場合よりも設定温度は低かったが、乾燥時間を長くすることで、表1と同様の水分蒸発量を得た。この結果は設定温度を下げても乾燥時間を長くすることで設定温度が高い場合と同じ効果を得ることができるので、真空容器10内の温度をあまり上げたくない場合に有効な乾燥方法を提供できることを示している。
<乾燥テスト2>
図12には、乾燥テスト2で用いた真空容器10の図を示す。この真空容器10には、扉12から見て、手前と奥にそれぞれ3段のトレイ50を配置した。手前のトレイ50の上から順にトレイa、トレイb、トレイcとし、奥のトレイ50を上からトレイd、トレイe、トレイfとする。それぞれのトレイ50に乾燥テスト1で用いたものと同じ濡らしたバスタオルを載置して、乾燥テストを行った。なお、乾燥テスト2では、トレイ50の裏面に高輻射層30を配置した場合のテストも行った。
表3に輻射面22に高輻射層30を形成しなかった場合の結果を示す。また、表4には、輻射面22に高輻射層30を形成した場合の結果を示す。さらに、表5には、輻射面22に高輻射層30を形成した上に、さらにトレイ50の裏面にも高輻射層30を形成した場合の結果を示す。なお、第1輻射面24の設定温度は100℃であり、加熱時間は90分であった。
表3を参照すると、トレイ50にバスタオルを載置して、単に100℃90分の加熱処理を行うと、400gのバスタオルは、6つのトレイ50の平均で339gとなった。一方表4を参照し、輻射面22に高輻射層30を形成すると、6枚のバスタオルの平均は268gとなり、高輻射層30がない場合(表3)と比較して、2倍以上の水分を蒸発させることができた。
また、表5を参照すると、6枚のトレイ50のバスタオルの平均重量は、223gとなり、トレイの裏面に高輻射層30を塗布しなかった場合(表4)と比較し、1.3倍以上の水分量を蒸発させることができた。表5の結果は、高輻射層30を形成しなかった表3の場合と比較して、およそ3倍近い量の水分を蒸発させることができたことを示している。
Figure 2021096069
Figure 2021096069
Figure 2021096069
次に第1輻射面24の温度を70℃に設定し、乾燥時間を120分とした場合の結果を表6、表7、表8に示す。高輻射層30を設けなかった場合(表6)では、6枚のバスタオルの重量の平均は345gであるの対して、輻射面22に高輻射層30を形成した場合(表7)は、284gとなった。この場合も表3および表4の場合同様、高輻射層30を形成した場合(表7)は、2倍以上の水分を蒸発させることができた。
また、トレイの裏面にも高輻射層30を形成した場合(表8)は、6枚のバスタオルの平均重量は255gとなった。トレイ50の裏面に高輻射層30を形成しなかった場合(表7)と比較すると、1.2倍以上(表6と比較すると2.5倍以上)の水分を蒸発させた。
Figure 2021096069
Figure 2021096069
Figure 2021096069
以上のように、真空加熱炉1は、輻射面22に高輻射層30を配置することで、輻射熱を増大させることができ、著しい性能向上を見込むことができる。
本発明は真空加熱炉に好適に利用することができ、特に真空内で被処理物を乾燥させる場合であって、加熱源として高い温度を用いることができない場合に有用に利用することができる。
1 真空加熱炉
10 真空容器
10a 壁
10ab 内壁面
10aa 外壁面
10o 開口
10i 内部
10L 側壁
10R 側壁
10U 上壁
10F 下壁
10T 奥壁
10c 略中心点
12 扉
14 真空ポンプ
15 電源
16 加熱源
16a 熱媒流路
16b 熱媒
16aa 箱体
16ab 仕切り
16ai 入口
16ao 出口
16ap パイプ
16c 熱伝導体
17p ポンプ
17t 貯留タンク
18 熱接触面
18a 法線
20 輻射体
22 輻射面
24 第1輻射面
25 第1輻射面24に隣接する領域
26 第2輻射面
30 高輻射層
50 トレイ
52 被処理物
55 棚
55a 上面
55b 下面
55c 側面
56 支持腕
56r 根元
56t 先端部
56a 外面
56e トレイ50と支持腕56の接触する部分
60 干し竿

Claims (2)

  1. 開口を有する真空容器と、
    前記開口を開閉する扉と、
    前記真空容器内の雰囲気ガスを排出する真空ポンプと、
    加熱源に接触して加熱され、前記真空容器内で熱放射する輻射面を有する輻射体とを有し、
    少なくとも前記輻射体の前記加熱源に接している面と反対の面に形成される輻射面上で、
    前記加熱源と接触している領域に相当する第1輻射面に高輻射層が形成された真空加熱炉であって、
    前記加熱源が前記真空容器内に設けられ、前記真空容器の内壁面にも高輻射層が形成されていることを特徴とする真空加熱炉。
  2. 前記真空容器内の前記加熱源に接するトレイを有し、前記加熱源と前記トレイの接触部
    には前記第1輻射面に形成される前記高輻射層が形成されていないことを特徴とする請求項1に記載された真空加熱炉。
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