JP2021095328A - セメント混和剤組成物 - Google Patents

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明彦 山下
Akihiko Yamashita
明彦 山下
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Abstract

【課題】流動保持性と材料分離抵抗性とを充分に発揮することができるセメント混和剤組成物を提供する。【解決手段】リン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)、及び、メタクリレート系共重合体(C)を含むセメント混和剤組成物であり、リン酸系重縮合物(A)は、(ポリ)アルキレングリコール鎖と芳香族基及び/又は複素環式芳香族基とを有する単量体(A1)由来の構造単位(a1)と、リン酸(塩)基及び/又はリン酸エステル基と芳香族基とを有する単量体(A2)由来の構造単位(a2)と、アルデヒド化合物(A3)由来の構造単位(a3)とを有する。【選択図】なし

Description

本発明は、セメント混和剤組成物に関する。より詳しくは、セメント組成物等に好適に用いることができるセメント混和剤組成物に関する。
ポリ(メタ)アクリル酸等のポリカルボン酸の側鎖にポリアルキレングリコールを有するポリカルボン酸系共重合体は、その優れたセメント分散性能により、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物から土木・建築構造物等を構築するために欠かすことのできないものとなっている。
このような共重合体を含むセメント混和剤は、減水剤等として用いられ、セメント組成物の流動性を高めてセメント組成物を減水させることにより、硬化物の強度や耐久性等を向上させる作用を有することになる。減水剤としては、従来、ナフタレン系等の減水剤が使用されていたが、これに比べてポリカルボン酸系共重合体等の共重合体を主成分とするセメント添加剤は高い減水性能を発揮できるため、高性能AE減水剤として多くの使用実績を有するに至っている。
このような共重合体を含むセメント混和剤として特許文献1には、所定の構造の構造単位を所定の割合で有する第1〜第3の3種類の異なるポリカルボン酸系共重合体を含むセメント混和剤用共重合体組成物であって、該組成物は、第1〜第3のポリカルボン酸系共重合体をこれらの合計100質量%に対して、第1のポリカルボン酸系共重合体/第2のポリカルボン酸系共重合体/第3のポリカルボン酸系共重合体=15〜70/5〜60/15〜60の質量比で含有することを特徴とするセメント混和剤用共重合体組成物が開示されている。
しかし、上記のようなポリカルボン酸系共重合体を減水剤として用いた場合、水量の低減に伴い、コンクリート粘性が増加し、ポンプ圧送、打ち込み、型枠への充填といった作業性、施工性が低下するという問題もある。このような粘性増大の問題に対しては、リン酸系の重合体を用いる技術が開発されている。(特許文献2〜4参照)。
特開2011−256064号公報 特表2013−503926号公報 特表2017−502140号公報 特開2019−112248号公報
しかし水、セメント、および骨材等からなるコンクリートでは、構成材料の比重がそれぞれ1、3.2、および2.5程度と異なるため、上述のリン酸系の重合体等を用いてコンクリート粘性を低減させた場合、硬化するまでの間に、セメントと骨材が沈降する一方で水が上昇する材料分離(以下、ブリーディングともいう。)が起き易い。このブリーディングが大きいと、セメントペーストと骨材との界面、およびコンクリートと鉄筋との界面等に空隙が形成されて該界面の付着力が低下するため、コンクリートの強度低下や沈降ひび割れが発生し易くなる。
また、リン酸系の重合体を用いた場合、ブリーディングの問題に加えて、経時による流動性の低下が大きいという問題もあった。よって流動保持性と材料分離抵抗性とを充分に発揮することができるセメント混和剤組成物を開発する余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、流動保持性と材料分離抵抗性とを充分に発揮することができるセメント混和剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、セメント混和剤として用いることができる化合物について種々検討したところ、特定の構造のリン酸系重縮合物と2種以上の特定の構造のメタクリレート系共重合体とを特定の割合で含むセメント混和剤組成物が、流動保持性と材料分離抵抗性とを充分に発揮することを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、リン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)、及び、メタクリレート系共重合体(C)を含むセメント混和剤組成物であり、上記リン酸系重縮合物(A)は、(ポリ)アルキレングリコール鎖と芳香族基及び/又は複素環式芳香族基とを有する単量体(A1)由来の構造単位(a1)と、リン酸(塩)基及び/又はリン酸エステル基と芳香族基とを有する単量体(A2)由来の構造単位(a2)と、アルデヒド化合物(A3)由来の構造単位(a3)とを有し、上記メタクリレート系共重合体(B)は、オキシアルキレン基の平均付加モル数が8〜12であり、下記式(1);
Figure 2021095328
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。ROは、同一又は異なって、炭素数2〜3のオキシアルキレン基を表す。mは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜9の数である。)で表される不飽和ポリオキシアルキレングリコール系単量体(I)由来の構造単位(i)と、下記式(2);
Figure 2021095328
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。ROは、同一又は異なって、炭素数2〜3のオキシアルキレン基を表す。nは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、10〜30の数である。n−mは、8〜25である。)で表される不飽和ポリオキシアルキレングリコール系単量体(II)由来の構造単位(ii)と、下記式(3);
Figure 2021095328
(式中、Mは、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。)で表される不飽和カルボン酸系単量体(III)由来の構造単位(iii)とを、構造単位(i)〜(iii)の合計100質量%に対して、構造単位(i)/(ii)/(iii)=1〜78/1〜78/21〜25の質量比で有し、上記メタクリレート系共重合体(C)は、オキシアルキレン基の平均付加モル数が8〜12であり、該構造単位(i)〜(iii)を、構造単位(i)〜(iii)の合計100質量%に対して、構造単位(i)/(ii)/(iii)=1〜86/1〜86/13〜20の質量比で有し、上記リン酸系重縮合物(A)の含有割合がリン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)、及び、メタクリレート系共重合体(C)の合計100質量%に対して10〜80質量%であり、上記メタクリレート系共重合体(B)及び(C)の合計の含有割合がリン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)、及び、メタクリレート系共重合体(C)の合計100質量%に対して20〜90質量%であるセメント混和剤組成物である。
上記セメント混和剤組成物は、更にメタクリレート系共重合体(D)を含んでいてもよく、上記メタクリレート系共重合体(D)は、オキシアルキレン基の平均付加モル数が4〜7であり、前記構造単位(i)〜(iii)を、構造単位(i)〜(iii)の合計100質量%に対して、構造単位(i)/(ii)/(iii)=9〜86/1〜78/13〜20の質量比で有し、該メタクリレート系共重合体(D)の含有割合がリン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)、メタクリレート系共重合体(C)、及び、メタクリレート系共重合体(D)の合計100質量%に対して0〜50質量%であることが好ましい。
上記セメント混和剤組成物は、リン酸系重縮合物(A)及びメタクリレート系共重合体(B)の合計の含有割合がリン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)、メタクリレート系共重合体(C)、及び、メタクリレート系共重合体(D)の合計100質量%に対して40質量%以上であることが好ましい。
上記構造単位(a1)は、下記式(4);
Figure 2021095328
(式中、Qは、直接結合又は2価の連結基を表す。Rは、水素原子、又は、リン酸塩基及びリン酸エステル基以外の置換基を表す。ROは、同一又は異なって、炭素数2〜18のオキシアルキレン基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表す。pは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数である。)で表される構造単位であることが好ましい。
上記構造単位(a2)は、下記式(5);
Figure 2021095328
(式中、Mは、同一又は異なって、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、三価金属原子、有機アミン基、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。Qは、直接結合又は2価の連結基を表す。Rは、水素原子、又は、リン酸塩基及びリン酸エステル基以外の置換基を表す。)で表される構造単位であることが好ましい。
上記リン酸系重縮合物(A)は、構造単位(a1)と構造単位(a2)とのモル比((a1)/(a2))が0.3〜4であることが好ましい。
上記構造単位(a1)は、全オキシアルキレン基100モル%に対してオキシエチレン基を80モル%以上の割合で有し、該オキシエチレン基の平均付加モル数が9〜41であることが好ましい。
上記リン酸系重縮合物(A)は、重縮合度が10〜75であることが好ましい。
本発明はまた、上記セメント混和剤組成物とセメントとを含むセメント組成物でもある。
本発明のセメント混和剤組成物は、上述の構成よりなり、流動保持性と材料分離抵抗性とを充分に発揮することができるため、セメント組成物等に好適に用いることができる。
以下に本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態に該当する。
[セメント混和剤組成物]
本発明のセメント混和剤組成物は、リン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)、及び、メタクリレート系共重合体(C)を含むセメント混和剤組成物であり、リン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)、及び、メタクリレート系共重合体(C)の合計100質量%に対して、リン酸系重縮合物(A)の含有割合が10〜80質量%であり、メタクリレート系共重合体(B)及び(C)の合計の含有割合が20〜90質量%である。本発明のセメント混和剤組成物は、更にメタクリレート系共重合体(D)を含んでいてもよい。
本発明のセメント混和剤組成物は、特定の構造のリン酸系重縮合物(A)及び特定の構造のメタクリレート系共重合体(B)及び(C)を特定の割合で含むことにより、セメント組成物における流動保持性と材料分離抵抗性とを充分に発揮することができる。リン酸系重合体を用いた場合に、経時により流動性が低下するという問題に対して、グルコン酸等の硬化遅延剤を併用する従来技術を用いると、硬化開始が遅れるため、早期強度、すなわち24時間後の硬化体の強度は低下するという問題が生じてしまう。これに対して、本発明のセメント混和剤組成物は、上記構成とすることにより、硬化遅延剤を使用せずに優れた流動保持性を発揮できるため、早期強度発現性にも優れることになる。
また、本発明のセメント混和剤組成物は上記構成とすることでセメント組成物の粘性を好適な範囲とすることもできる。
上記リン酸系重縮合物(A)の含有割合として好ましくはリン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)、メタクリレート系共重合体(C)、及び、メタクリレート系共重合体(D)の合計100質量%に対して10〜80質量%であり、より好ましくは15〜80質量%であり、更に好ましくは15〜70質量%であり、特に好ましくは20〜60質量%であり、最も好ましくは25〜55質量%である。
上記メタクリレート系共重合体(B)の含有割合として好ましくはリン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)、メタクリレート系共重合体(C)、及び、メタクリレート系共重合体(D)の合計100質量%に対して10〜80質量%であり、より好ましくは20〜70質量%であり、更に好ましくは30〜60質量%である。
上記メタクリレート系共重合体(C)の含有割合として好ましくはリン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)、メタクリレート系共重合体(C)、及び、メタクリレート系共重合体(D)の合計100質量%に対して10〜80質量%であり、より好ましくは15〜70質量%であり、更に好ましくは20〜60質量%である。
上記セメント混和剤組成物は、更にメタクリレート系共重合体(D)を含んでいてもよく、共重合体(D)の含有割合はリン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)、メタクリレート系共重合体(C)、及び、メタクリレート系共重合体(D)の合計100質量%に対して0〜50質量%であることが好ましい。より好ましくは0〜40質量%であり、更に好ましくは0〜35質量%であり、特に好ましくは0〜30質量%である。
メタクリレート系共重合体(D)を含むことにより、流動保持性がより優れる傾向にあり、メタクリレート系共重合体(D)を10質量%以上含む形態もまた本発明の好適な実施形態の1つである。
上記セメント混和剤組成物は、リン酸系重縮合物(A)及びメタクリレート系共重合体(B)の合計の含有割合がリン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)、メタクリレート系共重合体(C)、及び、メタクリレート系共重合体(D)の合計100質量%に対して40質量%以上であることが好ましい。より好ましくは40〜90質量%であり、更に好ましくは45〜85質量%であり、特に好ましくは50〜80質量%である。
上記セメント混和剤組成物は、リン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)〜(D)以外のその他の成分を含んでいてもよく、その他の成分の合計の含有割合はリン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)、メタクリレート系共重合体(C)、及び、メタクリレート系共重合体(D)の合計100質量%に対して0〜30質量%であることが好ましい。より好ましくは0〜20質量%であり、更に好ましくは0〜10質量%であり、最も好ましくは0〜5質量%である。
上記その他の成分としては特に制限されないが、後述するその他の添加剤等が挙げられる。
<リン酸系重縮合物(A)>
上記リン酸系重縮合物(A)は、(ポリ)アルキレングリコール鎖と芳香族基及び/又は複素環式芳香族基とを有する単量体(A1)(以下、単量体(A1)ともいう。)由来の構造単位(a1)と、リン酸(塩)基及び/又はリン酸エステル基と芳香族基とを有する単量体(A2)(以下、単量体(A2)ともいう。)由来の構造単位(a2)と、アルデヒド化合物(A3)由来の構造単位(a3)とを有する。
上記リン酸系重縮合物(A)は、構造単位(a1)、(a2)及び(a3)以外のその他の構造単位(a4)を有していてもよい。リン酸系重縮合物(A)における各構造単位の割合は特に制限されないが、構造単位(a1)と構造単位(a2)とのモル比((a1)/(a2))が0.3〜4であることが好ましい。より好ましくは0.4〜3.5であり、更に好ましくは0.45〜3であり、最も好ましくは0.45〜2.5である。
上記リン酸系重縮合物(A)は、構造単位(a3)に対する構造単位(a1)及び(a2)の合計のモル比(((a1)及び(a2))/(a3))が、0.8/1〜1/0.8であることが好ましい。より好ましくは0.9/1〜1/0.9であり、最も好ましくは1/1である。
上記リン酸系重縮合物(A)は、構造単位(a4)に対する構造単位(a1)及び(a2)の合計のモル比(((a1)及び(a2))/(a4))が1より大きいことが好ましい。より好ましくは2より大きく、更に好ましくは3より大きく、特に好ましくは5より大きく、最も好ましくは構造単位(a4)を有しない形態である。
上記リン酸系重縮合物(A)は、重縮合度が10〜75であることが好ましい。より好ましくは20〜70であり、更に好ましくは30〜65である。
上記重縮合度(以下、PDともいう。)は、下記の方法で測定されるリン酸系重縮合物(A)の重量平均分子量(Mw)、及び、重縮合物中の構造単位(a1)、(a2)及び(a3)、及び任意で(a4)の比から、下記式(8)により計算される
PD=Mw/[(Σi(ni×Mi))/(Σini)]
=Mw/[重縮合物中における全ての構造単位の重量平均分子量](8)
上記式中niは、前記構造単位(a1)、(a2)及び(a3)、及び任意で(a4)のモル数である。上記指数iは、(a1)〜(a4)の省略である。
Miは、前記構造単位(a1)、(a2)及び(a3)、及び任意で(a4)の質量である。
<重量平均分子量(Mw)の測定方法>
使用カラム:Shodex社製 OH−Pak SB−G+SB 804 HQ+SB 802.5 HQ
溶離液:ギ酸アンモニウム水溶液(0.05mol/l)80体積%+アセトニトリル20体積%
打込み量:0.5%溶離液溶液100μL
溶離液流速:0.5mL/min
カラム温度:40℃
標準物質:ポリエチレングリコール(示差屈折率(RI)検出器)、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(UV/Vis検出器)
検量線次数:三次式
検出器:Waters社製 Waters2414 示差屈折率(RI)検出器、Waters2489 UV/Vis検出器(UV検知:254nm)
解析ソフト:Waters社製 Empowerプロフェッショナル+GPCオプション
上記リン酸系重縮合物(A)は、重量平均分子量(Mw)が3,000〜50,000であることが好ましい。より好ましくは5,000〜25,000であり、更に好ましくは8,000〜22,000であり、最も好ましくは10,000〜19,000である。
上記単量体(A1)は、(ポリ)アルキレングリコール鎖と芳香族基及び/又は複素環式芳香族基とを有するものであれば特に制限されない。
上記芳香族基は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族化合物由来の芳香環を有する基(芳香族化合物から水素原子を引き抜いて得られる基)であればよく、置換基を有していてもよい。
上記複素環式芳香族基は、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の複素環式芳香族化合物由来の複素環式芳香環を有する基(複素環式芳香族化合物から水素原子を引き抜いて得られる基)であればよく、置換基を有していてもよい。
上記置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基等の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、水酸基、アシル基、エーテル基、アミド基、エステル基、ケトン基、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン酸基、スルホン酸基の塩、(ポリ)アルキレングリコール鎖含有基等が挙げられる。
上記単量体(A1)は、芳香族化合物由来の芳香族基を有するものが好ましく、より好ましくはアリール基を有するものである。
上記単量体(A1)における(ポリ)アルキレングリコール鎖は特に制限されないが、後述する式(4)における(RO)で表される構造であることが好ましい。
上記単量体(A1)として具体的には上述の芳香族アルコール;アニリン等の芳香族アミンにアルキレンオキシドを付加させた化合物が挙げられる。好ましくは、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ナフトール、及び、フルフリルアルコール等の芳香族アルコール類にアルキレンオキシドを付加させた化合物である。
上記単量体(A1)由来の構造単位(a1)は、下記式(4);
Figure 2021095328
(式中、Qは、直接結合又は2価の連結基を表す。Rは、水素原子、又は、リン酸塩基及びリン酸エステル基以外の置換基を表す。ROは、同一又は異なって、炭素数2〜18のオキシアルキレン基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表す。pは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数である。)で表される構造単位であることが好ましい。
上記Qにおける2価の連結基としては、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、−NH−、ヘテロ原子を有していてもよい2価の炭化水素基等が挙げられる。Qとして好ましくは酸素原子、−NH−であり、より好ましくは酸素原子である。
上記Rは、水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表す。Rは、炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であることが好ましい。より好ましくは、水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基、更に好ましくは、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基、一層好ましくは、水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基、特に好ましくは、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基であり、最も好ましくは水素原子である。
上記炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イソオクチル基、2,3,5−トリメチルヘキシル基、4−エチル−5−メチルオクチル基及び2−エチルヘキシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の直鎖または分岐鎖のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチル等の環状のアルキル基;フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、o−,m−若しくはp−トリル基、2,3−若しくは2,4−キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基などが挙げられる。これらの中でも、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が好ましい。
上記ROは、同一又は異なって、炭素数2〜18のオキシアルキレン基を表し、好ましくは炭素数2〜8のオキシアルキレン基であり、より好ましくは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。
これらのオキシアルキレン基は、アルキレンオキシド付加物であり、このようなアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられる。より好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドであり、更に好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドである。
また、上記オキシアルキレン基が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等の中から選ばれる任意の2種類以上のアルキレンオキシド付加物である場合、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの形態であってもよい。なお、親水性と疎水性とのバランス確保のため、ポリアルキレングリコール中のオキシアルキレン基として、オキシエチレン基を必須成分として有することが好ましく、50モル%以上がオキシエチレン基であることがより好ましく、80モル%以上がオキシエチレン基であることが更に好ましく、90モル%以上がオキシエチレン基であることが特に好ましい。
上記pは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数である。pが大きくなるとコンクリート粘性が増加傾向になり、一方、pが小さくなると分散性能が低下傾向になってセメント混和剤の必要添加量が増加するが、pが1〜300であればコンクリート粘性とセメント混和剤の必要添加量とを充分に抑制することができる。好ましくは3〜200であり、より好ましくは5〜150であり、更に好ましくは6〜100であり、一層好ましくは7〜80であり、より一層好ましくは8〜50であり、更に一層好ましくは9〜41であり、特に好ましくは9〜35である。
上記単量体(A1)としては、2−フェノキシエタノール、フェノキシポリエチレングリコール等が好ましい。
上記単量体(A2)は、リン酸(塩)基及び/又はリン酸エステル基と芳香族基とを有するものであれば特に制限されないが、上記リン酸(塩)基又はリン酸エステル基は、下記式(6);
−OPO (6)
(式中、Mは、同一又は異なって、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、三価金属原子、有機アミン基、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。)で表される基であることが好ましい。
上記式(6)における一価金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。二価金属原子としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
上記有機アミン基としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン及びフェニルアミン等の第一級アミン由来の基;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−tert−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン及びジフェニルアミン等の第二級アミン由来の基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン及びトリフェニルアミン等の第三級アミン由来の基;及びエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来の基が挙げられる。これらの中でも、エタノールアミン基、ジエタノールアミン基、トリエタノールアミン基等のアルカノールアミン基や、トリエチルアミン基が好ましい。
置換基を有していてもよい炭化水素基としては特に制限されないが、例えば後述する芳香族アルコール類及びキノン類由来の基が挙げられる。後述するリン酸系重縮合物(A)の製造方法により、芳香族アルコール類及びキノン類を含む単量体成分、リン酸(塩)やポリリン酸(塩)等のリン酸化合物を用いて重縮合反応及びリン酸化反応を行い、リン酸系重縮合物(A)を製造した場合であって、芳香族アルコール類及び/又はキノン類2当量又は3当量に対してリン酸化合物1当量が反応し、ジエステル又はトリエステルが形成した場合、上記Mは芳香族アルコール類及びキノン類由来の基となる。
上記Mとしては、水素原子、一価金属原子又は二価金属原子が好ましく、より好ましくは一価金属原子であり、更に好ましくはナトリウムである。
上記単量体(A2)は、構造中に芳香族化合物由来の芳香族基を有することが好ましい。
上記単量体(A2)における芳香族基の具体例及び好ましい例は、上記単量体(A1)における芳香族基と同様である。
上記単量体(A2)由来の構造単位(a2)は、下記式(5);
Figure 2021095328
(式中、Mは、同一又は異なって、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、三価金属原子、有機アミン基、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。Qは、直接結合又は2価の連結基を表す。Rは、水素原子、又は、リン酸塩基及びリン酸エステル基以外の置換基を表す。)で表される構造単位を有するものであることがより好ましい。
上記Q−O−PO 、Rの結合位置及び結合数は特に制限されず、これらを複数有していてもよい。
上記Qは、2価の連結基であれば特に制限されないが、ヘテロ原子を有していてもよい2価の炭化水素基であることが好ましい。より好ましくは(ポリ)オキシアルキレン基である。オキシアルキレン基の具体例及び好ましい例としては、上記式(4)における炭素数2〜18のオキシアルキレン基と同様のものが挙げられ、最も好ましくはオキシエチレン基である。(ポリ)オキシアルキレン基の平均付加モル数は、1〜10が好ましく、より好ましくは1〜5であり、更に好ましくは1〜2であり、最も好ましくは1である。
上記Rの置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基等の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、水酸基、アシル基、エーテル基、アミド基、エステル基、ケトン基、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン酸基、スルホン酸基の塩、(ポリ)アルキレングリコール鎖含有基等が挙げられる。
上記単量体(A2)として具体的には、例えば、フェノキシエタノール、フェノキシジグリコール、(メトキシフェノキシ)エタノール、メチルフェノキシエタノール、ビス(β−ヒドロキシエチル)ヒドロキノンエーテル、ノニルフェノール、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ナフトール、及び、フルフリルアルコール等の芳香族アルコール類及びキノン類のリン酸化物が挙げられる。
上記リン酸化物として具体的にはフェノキシエタノールホスフェート、フェノキシジグリコールホスフェート、(メトキシフェノキシ)エタノールホスフェート、メチルフェノキシエタノールホスフェート、ビス(β−ヒドロキシエチル)ヒドロキノンエーテルホスフェート、ビス(β−ヒドロキシエチル)ヒドロキノンエーテルジホスフェート、及び、ノニルフェノールホスフェート等が挙げられる。
中でも好ましくは、フェノキシエタノールホスフェート、フェノキシジグリコールホスフェート、ビス(β−ヒドロキシエチル)ヒドロキノンエーテルジホスフェートであり、より好ましくは、フェノキシエタノールホスフェートである。
上記芳香族アルコール類及びキノン類のリン酸化には、リン酸(塩)やポリリン酸(塩)等のリン酸化合物を用いることが好ましい。
上記アルデヒド化合物(A3)としては、ホルムアルデヒド;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブタナール等の炭素数1〜5のアルキル基とアルデヒド基とを有する化合物:グリオキシル酸、ベンズアルデヒド、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。好ましくはホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、パラホルムアルデヒドであり、最も好ましくはホルムアルデヒドである。
上記リン酸系重縮合物(A)がメチレン基を有する形態は、本発明の好ましい実施形態の1つである。より好ましくは、上記メチレン基が構造単位(a1)、(a2)及び後述する構造単位(a4)からなる群より選択される2個の構造単位における芳香族基又は複素環式芳香族基に結合している形態である。
上記リン酸系重縮合物(A)は、構造単位(a1)及び(a2)がメチレン基により結合した構造を有することが更に好ましく、このような構造は、例えば
下記式(7);
Figure 2021095328
(式中、R、Rは、同一又は異なって、水素原子、又は、リン酸塩基及びリン酸エステル基以外の置換基を表す。ROは、同一又は異なって、炭素数2〜18のオキシアルキレン基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表す。pは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数である。Mは、同一又は異なって、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、三価金属原子、有機アミン基、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。Q、Qは、同一又は異なって、直接結合又は2価の連結基を表す。)で示される。
上記リン酸系重縮合物(A)は、構造単位(a1)、(a2)及び(a3)以外のその他の構造単位(a4)を有していてもよい。上記その他の構造単位(a4)は、構造単位(a1)、(a2)及び(a3)以外の、重縮合反応においてホルムアルデヒドと反応可能な単量体から誘導される構造単位(各単量体から2個の水素原子が引き抜かれた構造)であれば特に制限されないが、芳香族基を有するものであることが好ましい。構造単位(a4)を形成する単量体(A4)としては例えばフェノール、ナフトール、アニリン、ベンゼン−1,2−ジオール、ベンゼン−1,2,3−トリオール、2−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、フタル酸、3−ヒドロキシフタル酸、1,2−ジヒドロキシナフタレン、及び2,3−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
上記リン酸系重縮合物(A)の製造方法は特に制限されないが、例えば、上記単量体成分を上記アルデヒド化合物の存在下で重縮合させる工程を含む方法や、上述の芳香族アルコール類及びキノン類を含む単量体成分、リン酸(塩)やポリリン酸(塩)等のリン酸化合物、及び、上記アルデヒド化合物を原料として用い、重縮合反応及びリン酸化反応を行う工程を含む方法が好ましい。
上記重縮合反応では、酸触媒が用いられることが好ましい。酸触媒として好ましくは硫酸;メタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸;パラトルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸又はこれらの混合物である。
上記重縮合反応及びリン酸化反応における反応温度は、特に制限されないが、20〜140℃であることが好ましい。より好ましくは100〜120℃である。
上記重縮合反応及びリン酸化反応における反応系内の圧力は、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下のいずれであってもよい。反応系内の雰囲気としては、空気雰囲気でも不活性雰囲気でもどちらでもよい。
上記リン酸系重縮合物(A)の製造方法において、重縮合反応及びリン酸化反応の後に中和工程を行うことが好ましい。上記中和には一価金属及び二価金属の水酸化物、塩化物及び炭素塩等の無機物;アンモニア;有機アミン等(好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の一価金属の水酸化物)のアルカリ性物質を用いることが好ましい。
<メタクリレート系共重合体(B)〜(D)>
本発明のセメント混和剤組成物は、メタクリレート系共重合体(B)及びメタクリレート系共重合体(C)を含み、更に、メタクリレート系共重合体(D)を含んでいてもよい。
従来、セメント組成物の流動保持性を向上させるために加水分解性の単量体由来の構造単位を有する重合体を用いる技術が開発されているが、このような重合体は貯蔵安定性に問題があったり、使用条件によって加水分解速度が変化したりして、性能を効果的に発現させるために配合割合を調整することが難しい。これに対して、本発明におけるメタクリレート系共重合体(B)〜(D)における単量体(I)〜(III)は加水分解性が低いため、加水分解性の単量体を用いる従来技術よりも配合割合の調整が容易である。
セメント混和剤組成物がメタクリレート系共重合体(D)を含む場合、流動保持性がより優れることになる。上記セメント混和剤組成物がメタクリレート系共重合体(D)を含む形態は本発明の好ましい実施形態の1つである。
上記メタクリレート系共重合体(B)は、オキシアルキレン基の平均付加モル数が8〜12であり、下記式(1);
Figure 2021095328
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。ROは、同一又は異なって、炭素数2〜3のオキシアルキレン基を表す。mは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜9の数である。)で表される不飽和ポリオキシアルキレングリコール系単量体(I)由来の構造単位(i)と、下記式(2);
Figure 2021095328
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。ROは、同一又は異なって、炭素数2〜3のオキシアルキレン基を表す。nは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、10〜30の数である。n−mは、8〜25である。)で表される不飽和ポリオキシアルキレングリコール系単量体(II)由来の構造単位(ii)と、下記式(3);
Figure 2021095328
(式中、Mは、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。)で表される不飽和カルボン酸系単量体(III)由来の構造単位(iii)とを、構造単位(i)〜(iii)の合計100質量%に対して、構造単位(i)/(ii)/(iii)=1〜78/1〜78/21〜25の質量比で有する。なお、本発明において、上記構造単位(iii)の質量比(質量%)を計算する場合は、対応するナトリウム塩換算で計算するものとする。例えば、メタクリル酸に由来する構造単位の質量割合は、対応するナトリウム塩であるメタクリル酸ナトリウムに由来する構造単位の質量割合(質量%)として計算する。
上記不飽和ポリオキシアルキレングリコール系単量体(I)は、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数mが1〜9であって、側鎖の短い単量体であり、上記不飽和ポリオキシアルキレングリコール系単量体(II)は、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数nが10〜30であって、側鎖の長い単量体である。そして、n−mは、8〜25であって、単量体(I)の側鎖と単量体(II)の側鎖の長さの差が一定の範囲にある。このように、不飽和ポリオキシアルキレングリコール系単量体であって、側鎖の長いものと短いものとを組み合わせて用いることで低空気連行性に優れたセメント混和剤とすることができる。n−mが8より小さいと、充分な低空気連行性を得られないおそれがあり、25より大きいと、減水性や保持性が低下する恐れがある。n−mは、9〜24であることが好ましい。n−mがこのような範囲にあると、セメント混和剤をより低空気連行性に優れたものとすることができる。より好ましくは、9〜21である。
なお、平均付加モル数とは、単量体1モル中において付加している当該オキシアルキレン基のモル数の平均値を意味する。
上記式(1)における平均付加モル数mは、1〜8であることが好ましい。より好ましくは、1〜7であり、更に好ましくは、1〜6である。
上記式(1)で表される不飽和ポリオキシアルキレングリコール系単量体は、側鎖のポリエチレングリコールに疎水性を有することが好ましく、上記式(1)におけるRは、メチル基であることが好ましい。
上記式(2)における平均付加モル数nは、10〜29であることが好ましい。nがこのような範囲にあると、ポリアルキレングリコール鎖による親水性、立体反発がより充分に得られ、セメント粒子の分散性により優れたものとなる。より好ましくは、10〜27であり、更に好ましくは、10〜25である。
上記メタクリレート系共重合体(B)、(C)は、いずれもオキシアルキレン基の平均付加モル数が8〜12であるが、メタクリレート系共重合体(B)、(C)の少なくとも一方について、オキシアルキレン基の平均付加モル数が8〜11であることが好ましい。より好ましくは、8〜10である。また、メタクリレート系共重合体(B)、(C)の両方について、オキシアルキレン基の平均付加モル数がこのような好ましい範囲であることがより好ましい。
また、上記メタクリレート系共重合体(D)は、オキシアルキレン基の平均付加モル数が4〜7であるが、好ましくは、オキシアルキレン基の平均付加モル数は4〜6である。より好ましくは、5〜6である。
上記式(1)において、ROは、同一又は異なって炭素数2〜3のオキシアルキレン基、すなわち、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基を表す。上記式(1)で表される不飽和ポリオキシアルキレングリコール系単量体がオキシエチレン基とオキシプロピレン基との両方を構造中に有する場合、オキシアルキレン基の付加形態としては、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。
上記式(1)におけるROにおいては、オキシアルキレン基全体の50%以上がオキシエチレン基であることが好ましい。より好ましくは、70%以上である。
これらについては、上記式(2)におけるROについても同様である。
上記式(1)及び(2)で表される不飽和ポリオキシアルキレングリコール系単量体(I)、(II)として具体的には、ポリアルキレングリコールメタクリレート及びメトキシポリアルキレングリコールメタクリレートが挙げられる。
上記式(3)における一価金属原子、二価金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の一価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等の二価の金属原子;アルミニウムが好適である。また、有機アミン基としては、エタノールアミン基、ジエタノールアミン基、トリエタノールアミン基等のアルカノールアミン基や、トリエチルアミン基が好適である。更に、アンモニウム基であってもよい。
上記不飽和カルボン酸系単量体(III)として具体的にはメタクリル酸及びその塩であり、好ましくはメタクリル酸である。
上記メタクリレート系共重合体(B)は、構造単位(i)〜(iii)を、構造単位(i)〜(iii)の合計100質量%に対して、構造単位(i)/(ii)/(iii)=1〜78/1〜78/21〜25の質量比で有する。上記質量比は、9〜70/9〜70/21〜24であることが好ましい。より好ましくは、19〜60/19〜60/21〜23である。
上記メタクリレート系共重合体(C)、(D)においては、酸量、すなわち、構造単位(iii)の含有量が構造単位(i)〜(iii)の合計100質量%に対して、13〜20質量%である。酸量が低いと、セメント混和剤として用いた場合に、減水性が充分に高いものとはならないおそれがあり、酸量が高いと、流動保持性が充分なものとはならないおそれがある。より好ましくは14〜20質量%であり、更に好ましくは15〜20質量%である。
上記メタクリレート系共重合体(C)は、構造単位(i)〜(iii)を、構造単位(i)〜(iii)の合計100質量%に対して、構造単位(i)/(ii)/(iii)==1〜86/1〜86/13〜20の質量比で有する。上記質量比として好ましくは3〜70/10〜83/14〜20であり、より好ましくは5〜60/20〜80/15〜20である。
上記メタクリレート系共重合体(D)は、構造単位(i)〜(iii)を、構造単位(i)〜(iii)の合計100質量%に対して、構造単位(i)/(ii)/(iii)==9〜86/1〜78/13〜20の質量比で有する。上記質量比として好ましくは10〜50/30〜76/14〜20であり、より好ましくは15〜40/40〜70/15〜20である。
上記メタクリレート系共重合体(B)〜(D)は、構造単位(i)〜(iii)を所定の割合で有するものである限り単量体(I)〜(III)以外のその他の単量体(IV)由来の構造単位(iv)を有していてもよい。その他の単量体(IV)としては、以下のものが好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
スチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、メチルスチレン等のスチレン類;1,3−ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等のジエン類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸エステル類;ヘキセン、ヘプテン、デセン等のα−オレフィン類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類。
不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数1〜22個のアルコールとのジエステル、不飽和ジカルボン酸類と炭素数1〜22のアミンとのジアミド、不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数2〜4のグリコールとのジエステル。
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレート類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2−(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホフェニルエーテル、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシスルホベンゾエート、4−(メタ)アクリロキシブチルスルホネート、(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、並びに、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩。
(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;アリルアルコール等のアリル類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の不飽和アミノ化合物類;メトキシポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等のビニルエーテル又はアリルエーテル類。
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物類。
上記メタクリレート系共重合体(B)〜(D)が、その他の単量体(IV)由来の構造単位(iv)を有するものである場合、その含有量は、全構造単位100質量%に対して、30質量%以下であることが好ましい。構造単位(iv)の含有量が30質量%以下であれば、本発明のセメント混和剤組成物が、上述したセメント混和剤としての各種特性をより充分に発揮することができる。構造単位(iv)の含有量としてより好ましくは0〜20質量%であり、更に好ましくは0〜10質量%である。
上記メタクリレート系共重合体(B)〜(D)は、重量平均分子量が5,000〜100,000であることが好ましい。重量平均分子量が5,000以上であると、より充分な減水性能を得ることができる。また、重量平均分子量が100,000以下であると、減水性能、流動保持性がより充分なものとなる。より好ましくは、10,000〜50,000である。
上記メタクリレート系共重合体の重量平均分子量は、下記GPC測定条件によりポリエチレングリコール換算値として測定することができる。
GPC分子量測定条件
使用カラム:東ソー社製 TSKgel ガードカラム SWXL+TSKgel G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶かし、更に酢酸でpH6.0に調整した溶離液溶液を用いる。
打込み量:0.5%溶離液溶液100μL
溶離液流速:0.8mL/min
カラム温度:40℃
標準物質:ポリエチレングリコール
検量線次数:三次式
検出器:Waters社製 Waters2414 示差屈折率(RI)検出器
解析ソフト:Waters社製 Empowerプロフェッショナル+GPCオプション
本発明のメタクリレート系共重合体(B)〜(D)の製造方法は特に制限されないが、単量体成分を重合することにより公知の方法で製造することができ、単量体成分の具体例及び好ましい例は、上述のとおりである。また、全単量体成分100質量%に対する各単量体成分の含有割合は、上述の全構造単位100質量%に対する構造単位(i)〜(iv)の割合と同様である。上記共重合方法としては、例えば、特開平9−86990号公報等に記載された溶液重合法が挙げられる。重合開始剤としては、公知のものを使用することができ、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;アゾビス−2メチルプロピオンアミジン塩酸塩、アゾイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のパーオキシドが好適である。また、促進剤として、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、モール塩、ピロ重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、アスコルビン酸等の還元剤;エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、グリシン等のアミン化合物を併用することもできる。これらの重合開始剤や促進剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記共重合方法においては、連鎖移動剤も必要に応じて使用することができる。このような連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤;2−アミノプロパン−1−オール等の1級アルコール;イソプロパノール等の2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸及びその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)の低級酸化物及びその塩が好適である。これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記連鎖移動剤の反応容器への添加方法としては、滴下、分割投入等の連続投入方法を適用することができる。また、連鎖移動剤を単独で反応容器へ導入してもよく、単量体成分、溶媒等とあらかじめ混合しておいてもよい。
溶液重合法において使用される溶媒としては、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の芳香族又は脂肪族炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類が好適である。これらの中でも、単量体成分及び得られる共重合体の溶解性の点から、水及び炭素数1〜4の低級アルコールからなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒を用いることが好ましい。
上記共重合方法において、単量体成分や重合開始剤等の反応容器への添加方法としては、反応容器に単量体成分の全てを仕込み、重合開始剤を反応容器内に添加することによって共重合を行う方法;反応容器に単量体成分の一部を仕込み、重合開始剤と残りの単量体成分を反応容器内に添加することによって共重合を行う方法、反応容器に重合溶媒を仕込み、単量体と重合開始剤の全量を添加する方法等が好適である。このような方法の中でも、得られる共重合体の分子量分布を狭く(シャープに)することができ、セメント組成物等の流動性を高める作用であるセメント分散性を向上することができることから、重合開始剤と単量体を反応容器に逐次滴下する方法で共重合を行うことが好ましい。
上記共重合方法において、共重合温度等の共重合条件としては、用いられる共重合方法、溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤により適宜定められるが、共重合温度としては、通常0℃以上であることが好ましく、また、150℃以下であることが好ましい。より好ましくは、40℃以上であり、更に好ましくは、50℃以上であり、特に好ましくは、60℃以上である。また、より好ましくは、120℃以下であり、更に好ましくは、100℃以下であり、特に好ましくは、85℃以下である。
上記共重合方法により得られる重合体は、そのままでもセメント混和剤の成分として用いられるが、必要に応じて、更にアルカリ性物質で中和して用いてもよい。アルカリ性物質としては、一価金属及び二価金属の水酸化物、塩化物及び炭酸塩等の無機塩;アンモニア;有機アミンを用いることが好ましい。
なお、本明細書中、「セメント混和剤」とは、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物へ添加される混和剤のことをいい、上記リン酸系重縮合物及びメタクリレート系共重合体のみからなる剤であってもよいし、また、必要に応じて更に他の成分や添加剤等を含む剤であってもよい。
上記セメント混和剤組成物はまた、通常使用される他のセメント分散剤や減水剤を更に含有していてもよく、複数の併用も可能である。他のセメント分散剤(減水剤)としては特に限定されないが、例えば以下のものが好適である。
リグニンスルホン酸塩;ポリオール誘導体;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物;ポリスチレンスルホン酸塩;特開平9−86990号公報に記載の如く(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体(a)、(メタ)アクリル酸系単量体(b)95〜2重量%、及び、これらの単量体と共重合可能な他の単量体(c)からなる共重合体;特開2001−220417号公報に記載の如く炭素数5のアルケニル基を有する不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来の構成単位(I)と、不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構成単位(II)とを必須の構成単位として含む共重合体;特開2002−121055号公報に記載の如く炭素数4のアルケニル基を有する不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来の構成単位(I)と、不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構成単位(II)とを必須の構成単位として含む共重合体;特開2002−121056号公報に記載の如く炭素数2または3のアルケニル基を有する不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来の構成単位(I)と、不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構成単位(II)とを必須の構成単位として含む共重合体;特開平10−236858号公報に記載の如く炭素数5のアルケニル基を有する不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(I)、不飽和マレイン酸系単量体(II)、及び、これらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体;特開2004−307590号公報に記載の如くポリエチレングリコールモノビニルエーテル類由来の構成単位(A)と、不飽和カルボン酸系単量体由来の構成単位(B)、及び、(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリレート類等由来の構成単位(C)とを必須の構成単位として含む共重合体。これらセメント分散剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の他のセメント分散剤を併用する場合には、使用するセメント分散剤の種類、配合及び試験条件等の違いにより一義的に決められないが、上記の他の分散剤と上記セメント混和剤組成物との配合質量の割合は、5〜95:95〜5であることが好ましい。より好ましくは、10〜90:90〜10である。
また、本発明のセメント混和剤組成物は、必要に応じて、他の添加剤等とともに併用してもよい。他の添加剤等としては、水溶性高分子物質、高分子エマルション、遅延剤、早強剤・促進剤、消泡剤、AE剤、その他界面活性剤、防水剤、防錆剤、膨張材、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、着色剤、防カビ剤等を挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記セメント混和剤組成物は、各種水硬性材料、すなわちセメントや石膏等のセメント組成物やそれ以外の水硬性材料に用いることができる。このような水硬性材料と水と上記セメント混和剤組成物とを含有し、更に必要に応じて細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)を含む水硬性組成物の具体例としては、セメントペースト、モルタル、コンクリート、プラスター等が挙げられる。これらの水硬性組成物の中でも、水硬性材料としてセメントを使用するセメント組成物が最も好ましく、上記セメント混和剤組成物と、セメントとを含むセメント組成物もまた、本発明の1つである。
<セメント組成物>
本発明のセメント組成物において、セメントとしては、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形);各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント);白色ポルトランドセメント;アルミナセメント;超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント);グラウト用セメント;油井セメント;低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント);超高強度セメント;セメント系固化材;エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の1種以上を原料として製造されたセメント)等の他、これらに高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏を添加したもの等が挙げられる。本発明のセメント組成物に含まれるセメントは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
上記骨材としては、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材等が挙げられる。
上記セメント組成物においては、その1mあたりの単位水量、セメント使用量及び水/セメント比は特に限定されず、例えば、単位水量100〜185kg/m、使用セメント量250〜800kg/m、水/セメント比(重量比)=0.12〜0.74であることが好ましい。より好ましくは、単位水量120〜175kg/m、使用セメント量270〜800kg/m、水/セメント比(重量比)=0.15〜0.65である。このように本発明のセメント組成物は、貧配合〜富配合まで幅広く使用可能であり、単位セメント量の多い高強度コンクリート、単位セメント量が300kg/m以下の貧配合コンクリートのいずれにも有効である。また、本発明のセメント組成物は、比較的高減水率の領域、すなわち、水/セメント比(重量比)=0.15〜0.5(好ましくは0.15〜0.4)といった水/セメント比の低い領域においても、良好に使用することができる。
また本発明のセメント混和剤組成物を使用することにより、得られるセメント組成物は幅広い配合において長時間の優れた作業性を有することから、特にレディーミクストコンクリート、吹付けコンクリート等に有効に適用できる。その一方で、コンクリート2次製品用のコンクリート(プレキャストコンクリート)、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート等にも適用可能である。また、中流動コンクリート(スランプ値が22〜25cmの範囲のコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が500〜700mmの範囲のコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも本発明のセメント混和剤組成物は有効である。
上記セメント組成物において、本発明のセメント混和剤組成物の配合割合としては、例えば、上記リン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)〜(D)の合計量が、固形分換算で、セメント質量の全量100質量%に対して、0.01〜10質量%となるように設定することが好ましい。0.01質量%未満では性能的に充分とはならないおそれがあり、逆に10質量%を超えると、その効果は実質上頭打ちとなり経済性の面からも不利となるおそれがある。より好ましくは0.05〜5質量%であり、更に好ましくは0.1〜3質量%である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<モルタル試験方法>
JIS−R5201−1997に準拠した機械練り用練混ぜ機、さじ、フローテーブル、フローコーンおよび突き棒を使用した。この際、特記しない限りは、JIS−R5201−1997に準拠してモルタル試験を行なった。
モルタル(セメント組成物)の配合は、太平洋セメント社製普通ポルトランドセメント587g、JIS−R5201−1997に準拠したセメント強さ試験用標準砂1350g、各成分を配合した水溶液(セメント混和剤)と消泡剤とを含むイオン交換水264.1gである。消泡剤は、気泡がモルタル組成物の分散性に及ぼす影響を避けることを目的に添加し、空気量が4.0%以下になるようにした。具体的にはオキシアルキレン系消泡剤を、共重合体に対して0.1%になるような量で使用した。なお、モルタルの空気量が4.0%より大きい場合には、空気量が4.0%以下になるように消泡剤の添加量を調節した。
モルタルは、室温(20±2℃)にてホバート型モルタルミキサー(型番N−50、ホバート社製)を用いて、4分30秒間で調製した。具体的には、練り鉢に規定量のセメントを入れ、練混ぜ機に取り付けて低速で始動させた。パドルを始動させて15秒後に規定量のセメント分散剤および消泡剤を含んだ水を15秒間で入れた。その後、砂を入れ、低速で30秒間練混ぜた後、高速にして、引き続き30秒間練混ぜを続けた。練り鉢を練混ぜ機から取り外し、120秒間練混ぜを休止した後、再度練り鉢を練混ぜ機へ取り付け、高速で60秒間練混ぜた後(1番始めに低速で始動させてから4分30秒後)、さじで左右各10回かき混ぜた。練混ぜたモルタルをフローテーブル上に置いたフローコーンに2層に分けて詰める。各層は、突き棒の先端がその層の約1/2の深さまで入るように、全面にわたって各々15回突き、最後に不足分を補い、表面をならし、1番始めに低速で始動させてから6分後に、フローコーンを垂直に持ち上げた後、テーブルに広がったモルタルの直径を2方向について測定し、この平均値をフロー値とした。
モルタル空気量の測定は、500mlのメスシリンダーにモルタルを投入し、重量と体積を測定し、測定した体積と、投入した重量のモルタルの空気量が0%の際の体積との差分を空気量として算出した。
流動保持性は、モルタルミキサーを1番始めに低速で始動させてから30分後および60分後に上記方法にてモルタルフロー値を測定して評価した。
モルタルの粘性・状態は、作業者のハンドリングにより、粘性が低く取扱いが良好であったものを○とし、粘性が高く取扱いが困難であったものを×とした。
<圧縮強度試験方法>
上記の方法で調製した圧縮強度試験用モルタルのフロー値と空気量を測定した後、圧縮強度試験用試料を作成し、以下の条件にて、24時間後の圧縮強度を測定した。
供試体作成:50mm×100mmの円柱型型枠
供試体養生(24時間):温度約20℃、湿度60%、恒温恒湿空気養生を24時間実施した。
供試体研磨:供試体面研磨(供試体研磨仕上げ機使用)
圧縮強度測定:自動圧縮強度測定器(前川製作所)
<ブリーディング試験方法>
上記の方法で調製したブリーディング試験用モルタル1800gをポリプロピレン製600cc容器2つに充填し、フタをして密閉状態で静置した。静置を開始した時点から1、3、5時間後に、モルタル上面に浸み出した水をピペットで吸い取り、吸い取った水の重量(ブリーディング水量)を測定した。水を吸い取るのを容易にするため、その1分前に厚さ約1cmのブロックを容器の底部片側に挟んで容器を傾け、水を吸い取った後、静かに水平の位置に戻した。
表1に記載の重縮合物および共重合体を用いてセメント混和剤組成物を調製した。
表1に示すように、単量体(I)〜(III)の3種、又は、単量体(II)及び(III)の2種を含む単量体成分を原料として、重合反応容器に水を仕込み、昇温後に各単量体成分、開始剤、連鎖移動剤の各水溶液を反応容器中に連続滴下し、熟成終了後に冷却して水酸化ナトリウム水溶液で中和するという公知の溶液重合法にて共重合体(1)〜(6)を製造した。本発明のメタクリレート系共重合体に該当するものは、いずれに該当するかを示した。各共重合体の原料となった単量体由来の構造単位の質量比、各共重合体の平均鎖長、単量体(I)のオキシアルキレン基の平均付加モル数と単量体(II)のオキシアルキレン基の平均付加モル数との差n−m、重量平均分子量を表1に示す。重量平均分子量は、上述した方法により測定した。
Figure 2021095328
表1における略称はそれぞれ以下のものを表す。
M6E:メトキシポリエチレングリコール(平均付加モル数6モル)モノメタクリレート
M25E:メトキシポリエチレングリコール(平均付加モル数25モル)モノメタクリレート
M10E:メトキシポリエチレングリコール(平均付加モル数10モル)モノメタクリレート
H1E:ヒドロキシエチルメタクリレート
SMAA:メタクリル酸ナトリウム(注:重合時はメタクリル酸を使用、反応後に中和)
<実施例1〜7及び比較例1>
下記表2の配合のとおり、各成分を混合し、実施例1〜7のセメント混和剤組成物及び比較例1の比較セメント混和剤組成物を得た。
これらのセメント混和剤組成物を用いて圧縮強度試験、ブリーディング試験、モルタル試験を行った。これらの結果をそれぞれ表3〜5に示す。
なお、表3〜5におけるセメント混和剤組成物の固形分換算添加量(対セメント質量)は、フロー値が同等になるように調整した。
Figure 2021095328
Figure 2021095328
Figure 2021095328
Figure 2021095328
表3から、比較セメント混和剤組成物を用いた場合に比べて本発明のセメント混和剤組成物は24時間後の圧縮強度が高く、早期強度発現性に優れることが明らかである。
表4から、比較セメント混和剤組成物を用いた場合に比べて本発明のセメント混和剤組成物は5時間後のブリーディング水量が少なく、材料分離抵抗性に優れることが明らかである。
表5から、比較セメント混和剤組成物を用いた場合に比べて本発明のセメント混和剤組成物は6分−60分におけるモルタルフロー値の保持率が同等以上で、流動保持性に優れ、さらにモルタルの粘性・状態も良好であることが明らかである。

Claims (9)

  1. リン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)、及び、メタクリレート系共重合体(C)を含むセメント混和剤組成物であり、
    該リン酸系重縮合物(A)は、(ポリ)アルキレングリコール鎖と芳香族基及び/又は複素環式芳香族基とを有する単量体(A1)由来の構造単位(a1)と、リン酸(塩)基及び/又はリン酸エステル基と芳香族基とを有する単量体(A2)由来の構造単位(a2)と、アルデヒド化合物(A3)由来の構造単位(a3)とを有し、
    該メタクリレート系共重合体(B)は、オキシアルキレン基の平均付加モル数が8〜12であり、下記式(1);
    Figure 2021095328
    (式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。ROは、同一又は異なって、炭素数2〜3のオキシアルキレン基を表す。mは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜9の数である。)で表される不飽和ポリオキシアルキレングリコール系単量体(I)由来の構造単位(i)と、下記式(2);
    Figure 2021095328
    (式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。ROは、同一又は異なって、炭素数2〜3のオキシアルキレン基を表す。nは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、10〜30の数である。n−mは、8〜25である。)で表される不飽和ポリオキシアルキレングリコール系単量体(II)由来の構造単位(ii)と、下記式(3);
    Figure 2021095328
    (式中、Mは、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。)で表される不飽和カルボン酸系単量体(III)由来の構造単位(iii)とを、構造単位(i)〜(iii)の合計100質量%に対して、構造単位(i)/(ii)/(iii)=1〜78/1〜78/21〜25の質量比で有し、
    該メタクリレート系共重合体(C)は、オキシアルキレン基の平均付加モル数が8〜12であり、該構造単位(i)〜(iii)を、構造単位(i)〜(iii)の合計100質量%に対して、構造単位(i)/(ii)/(iii)=1〜86/1〜86/13〜20の質量比で有し、
    該リン酸系重縮合物(A)の含有割合がリン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)、及び、メタクリレート系共重合体(C)の合計100質量%に対して10〜80質量%であり、
    該メタクリレート系共重合体(B)及び(C)の合計の含有割合がリン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)、及び、メタクリレート系共重合体(C)の合計100質量%に対して20〜90質量%であることを特徴とするセメント混和剤組成物。
  2. 前記セメント混和剤組成物は、更にメタクリレート系共重合体(D)を含んでいてもよく、
    該メタクリレート系共重合体(D)は、オキシアルキレン基の平均付加モル数が4〜7であり、前記構造単位(i)〜(iii)を、構造単位(i)〜(iii)の合計100質量%に対して、構造単位(i)/(ii)/(iii)=9〜86/1〜78/13〜20の質量比で有し、
    該メタクリレート系共重合体(D)の含有割合がリン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)、メタクリレート系共重合体(C)、及び、メタクリレート系共重合体(D)の合計100質量%に対して0〜50質量%であることを特徴とする請求項1に記載のセメント混和剤組成物。
  3. 前記セメント混和剤組成物は、リン酸系重縮合物(A)及びメタクリレート系共重合体(B)の合計の含有割合がリン酸系重縮合物(A)、メタクリレート系共重合体(B)、メタクリレート系共重合体(C)、及び、メタクリレート系共重合体(D)の合計100質量%に対して40質量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセメント混和剤組成物。
  4. 前記構造単位(a1)は、下記式(4);
    Figure 2021095328
    (式中、Qは、直接結合又は2価の連結基を表す。Rは、水素原子、又は、リン酸塩基及びリン酸エステル基以外の置換基を表す。ROは、同一又は異なって、炭素数2〜18のオキシアルキレン基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表す。pは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数である。)で表される構造単位であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセメント混和剤組成物。
  5. 前記構造単位(a2)は、下記式(5);
    Figure 2021095328
    (式中、Mは、同一又は異なって、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、三価金属原子、有機アミン基、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。Qは、直接結合又は2価の連結基を表す。Rは、水素原子、又は、リン酸塩基及びリン酸エステル基以外の置換基を表す。)で表される構造単位であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセメント混和剤組成物。
  6. 前記リン酸系重縮合物(A)は、構造単位(a1)と構造単位(a2)とのモル比((a1)/(a2))が0.3〜4であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のセメント混和剤組成物。
  7. 前記構造単位(a1)は、全オキシアルキレン基100モル%に対してオキシエチレン基を80モル%以上の割合で有し、該オキシエチレン基の平均付加モル数が9〜41であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のセメント混和剤組成物。
  8. 前記リン酸系重縮合物(A)は、重縮合度が10〜75であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のセメント混和剤組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のセメント混和剤組成物とセメントとを含むことを特徴とするセメント組成物。
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