JP2021094782A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents
インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2021094782A JP2021094782A JP2019227466A JP2019227466A JP2021094782A JP 2021094782 A JP2021094782 A JP 2021094782A JP 2019227466 A JP2019227466 A JP 2019227466A JP 2019227466 A JP2019227466 A JP 2019227466A JP 2021094782 A JP2021094782 A JP 2021094782A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- intermediate image
- resin
- ink
- inkjet recording
- image
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
- Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
- Ink Jet (AREA)
Abstract
【課題】耐ブロッキング性に優れた高品位な画像を平滑性の低い上質紙などの記録媒体に対しても良好な転写性で記録することが可能な転写型のインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法である。多価金属塩を含有する反応液を転写体に付与する反応液付与工程と、アニオン性基を有する樹脂及び色材を含有する水性インクを転写体に付与して第1の中間画像を形成する第1の中間画像形成工程と、ヒドロキシ酸を含有する処理液を第1の中間画像に付与して第2の中間画像を形成する第2の中間画像形成工程と、第2の中間画像を記録媒体に接触させて転写する転写工程とを有する。【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方法に用いられるインクとして、水性インクが広く使用されている。インク中の液体成分を速やかに除去すべく、例えば、記録媒体に付与したインクを温風や赤外線などで乾燥させて画像を記録する方法がある。また、転写体に水性インクを付与して形成した中間画像に熱エネルギーなどを作用させて液体成分を除去した後、記録媒体に転写して画像を記録する方法も知られている。
さらに、近年、様々な記録媒体に高品位な画像を高速に記録することが可能な画像記録方法、及びそれに用いる記録装置が求められている。例えば、インクを凝集させる反応液を転写体に付与する工程と、転写体に形成した中間画像の記録媒体への転写を促進するための補助液を中間画像に付与する工程とを有する画像記録方法が提案されている(特許文献1及び2)。また、色材を含有する第1の液体、第1の液体中の成分を凝集させる凝集剤を含有する第2の液体、及び凝集剤とキレート構造を形成しうる化合物を含有する第3の液体を用いるインクジェット記録方法が提案されている(特許文献3)。
転写型のインクジェット記録方法によって大量の画像を高速記録する場合、記録物が積層して隣接する画像同士が相互に貼り付く、いわゆるブロッキング現象が生じやすくなることがある。本発明者らは、特許文献1及び3で提案された記録方法について検討した。その結果、その表面がある程度平滑な記録媒体に対しては、耐ブロッキング性に優れた画像を良好な転写性で記録できることがわかった。しかし、平滑性の低い上質紙などの記録媒体については、転写性が低下することが判明した。
一方、特許文献2で提案された記録方法によれば、平滑性の低い記録媒体に対しても良好な転写性で画像を記録可能であることがわかった。しかし、記録直後の画像の耐ブロッキング性が低下するといった課題が生ずることも同時に判明した。
したがって、本発明の目的は、耐ブロッキング性に優れた高品位な画像を平滑性の低い記録媒体に対しても良好な転写性で記録することが可能な転写型のインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、このインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、多価金属塩を含有する反応液を転写体に付与する反応液付与工程と、アニオン性基を有する樹脂及び色材を含有する前記水性インクを前記転写体に付与して第1の中間画像を形成する第1の中間画像形成工程と、ヒドロキシ酸を含有する処理液を前記第1の中間画像に付与して第2の中間画像を形成する第2の中間画像形成工程と、前記第2の中間画像を前記記録媒体に接触させて転写する転写工程と、を有することを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、耐ブロッキング性に優れた高品位な画像を平滑性の低い記録媒体に対しても良好な転写性で記録することが可能な転写型のインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、このインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することができる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性の反応液、水性のインク、及び水性の処理液のことを、単に「反応液」、「インク」、及び「処理液」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を意味する。
<インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法(以下、単に「記録方法」とも記す)は、水性インクを用いて記録媒体に画像を記録する方法である。本発明の記録方法は、反応液付与工程、第1の中間画像形成工程、第2の中間画像形成工程、及び転写工程を有する。反応液付与工程は、多価金属塩を含有する反応液を転写体に付与する工程であり、第1の中間画像形成工程は、アニオン性基を有する樹脂及び色材を含有する水性インクを転写体に付与して第1の中間画像を形成する工程である。第2の中間画像形成工程は、ヒドロキシ酸を含有する処理液を第1の中間画像に付与して第2の中間画像を形成する工程であり、転写工程は、第2の中間画像を記録媒体に接触させて転写する工程である。すなわち、本発明の記録方法は、転写型のインクジェット記録方法である。本発明の記録方法は、必要に応じて、転写体に形成した第1の中間画像や第2の中間画像から液体成分を吸収する液吸収工程や、転写工程後の転写体を洗浄する洗浄工程などをさらに有してもよい。
本発明のインクジェット記録方法(以下、単に「記録方法」とも記す)は、水性インクを用いて記録媒体に画像を記録する方法である。本発明の記録方法は、反応液付与工程、第1の中間画像形成工程、第2の中間画像形成工程、及び転写工程を有する。反応液付与工程は、多価金属塩を含有する反応液を転写体に付与する工程であり、第1の中間画像形成工程は、アニオン性基を有する樹脂及び色材を含有する水性インクを転写体に付与して第1の中間画像を形成する工程である。第2の中間画像形成工程は、ヒドロキシ酸を含有する処理液を第1の中間画像に付与して第2の中間画像を形成する工程であり、転写工程は、第2の中間画像を記録媒体に接触させて転写する工程である。すなわち、本発明の記録方法は、転写型のインクジェット記録方法である。本発明の記録方法は、必要に応じて、転写体に形成した第1の中間画像や第2の中間画像から液体成分を吸収する液吸収工程や、転写工程後の転写体を洗浄する洗浄工程などをさらに有してもよい。
また、本発明のインクジェット記録装置(以下、単に「記録装置」とも記す)は、水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するために用いる装置である。本発明の記録装置は、反応液付与手段、インク付与手段、処理液付与手段、及び転写手段を備える。反応液付与手段は、多価金属塩を含有する反応液を転写体に付与する手段であり、インク付与手段は、アニオン性基を有する樹脂及び色材を含有する水性インクを転写体に付与して第1の中間画像を形成する手段である。処理液付与手段は、ヒドロキシ酸を含有する処理液を第1の中間画像に付与して第2の中間画像を形成する手段であり、転写手段は、第2の中間画像を記録媒体に接触させて転写する手段である。すなわち、本発明の記録装置は、いわゆる転写型インクジェット記録装置である。本発明の記録装置は、必要に応じて、転写体に形成した第1の中間画像や第2の中間画像から液体成分を吸収する液吸収手段や、転写後の転写体を洗浄する洗浄手段などをさらに備えてもよい。
第1の中間画像形成工程では、例えば、転写体上の反応液を付与した領域と少なくとも一部が重なるように、転写体にインクを付与する。これにより、インクと反応液が接触し、反応液の多価金属塩によってインクの成分が凝集してインクの粘度が上昇する。このため、反応液及びインクのそれぞれよりも、反応液とインクの接触後に形成されるインク像である第1の中間画像は高粘度化する。また、インクと反応液が接触すると、インクに含まれる樹脂のアニオン性基と、反応液の多価金属塩とがキレート構造を形成し、硬い凝集物が生成して、耐ブロッキング性に優れた第1の中間画像が形成される。しかし、平滑性の低い記録媒体、すなわち、表面凹凸が大きい記録媒体に画像を記録しようとする場合、硬い凝集物は記録媒体の表面凹凸への追従性が不足するので、転写性が低下すると考えられる。
そこで、本発明では、第2の中間画像形成工程において、ヒドロキシ酸を含有する処理液を転写体上の第1の中間画像に付与する。処理液を付与することで、樹脂のアニオン性基と未反応の多価金属塩をキレートし、過剰に硬い凝集物が生成されるのを抑制して、適度な硬さを有する第2の中間画像を形成することができる。すなわち、ヒドロキシ酸を含有する処理液を第1の中間画像に付与することで、平滑性の低い上質紙などの記録媒体に対しても、耐ブロッキング性に優れた画像を良好な転写性で記録することができる。以下、第1の中間画像と第2の中間画像を、まとめて「中間画像」とも記す。
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を示す模式図である。図1に示す転写型インクジェット記録装置100は、転写体101を介して記録媒体108に中間画像を転写して記録物を製造するインクジェット記録装置である。X方向、Y方向、及びZ方向が、それぞれ、転写型インクジェット記録装置100の幅方向(全長方向)、奥行き方向、及び高さ方向を示す。記録媒体は、X方向に搬送される。
転写型インクジェット記録装置100は、転写体101、反応液付与装置103、インク及び処理液の付与装置104、液吸収装置105、及び押圧部材106を有する。転写体101は、支持部材102によって支持されている。反応液付与装置103は、インクと反応する反応剤を含有する反応液を転写体101に付与する装置である。インク及び処理液の付与装置104は、反応液が付与された転写体101にインク及び処理液をそれぞれ付与して中間画像を形成する記録ヘッドを備える。液吸収装置105は、中間画像から液体成分を吸収する装置である。押圧部材106は、液体成分を除去した中間画像を紙などのシート状の記録媒体108に転写するための部材である。さらに、転写型インクジェット記録装置100は、転写後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有する。転写体101、反応液付与装置103、インク及び処理液の付与装置104の記録ヘッド、液吸収装置105、及び転写体クリーニング部材109は、それぞれ、Y方向において用いられる記録媒体108に対応するだけの長さを有する。
転写体101は、支持部材102の回転軸102aを中心として矢印Aの方向に回転する。回転する転写体101に反応液付与装置103から反応液が付与された後、インク及び処理液の付与装置104からインクが付与されることで、転写体101に第2の中間画像(中間画像)が形成される。転写体101に形成された中間画像は、転写体101の回転により、液吸収装置105の液吸収部材105aと接触する位置まで移動する。
液吸収装置105を構成する液吸収部材105aは、転写体101の回転に同期して矢印Bの方向に移動(回転)する。転写体101に形成された中間画像は、移動する液吸収部材105aと接触する。その間に、液吸収部材105aは中間画像から液体成分を吸収して除去する。中間画像の液体成分を効率よく吸収する観点から、液吸収部材105aは、所定の押圧力をもって転写体101に押圧されることが好ましい。中間画像は、反応液、インク、及び処理液で形成されている。このため、中間画像の液体成分を吸収することは、反応液、インク、及び処理液の液体成分を吸収することを意味する。中間画像から液体成分を吸収することは、インクなどを濃縮することであるとも言える。インクなどの濃縮により、色材や樹脂などの固形分の液体成分に対する比率が上昇する。
液体成分が除去され、インクが濃縮された状態となった中間画像は、転写体101の回転により、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108と接触する転写部111へと移動する。中間画像と記録媒体108は、転写体101と押圧部材106とに挟まれた状態で、押圧部材106側から押圧されて接触する。ローラ状の転写体101と円柱状の押圧部材106とを用いる場合、中間画像と記録媒体108はY方向に沿って線状に接触する。弾性材料で構成された転写体101を用いると、押圧により転写体101が凹むため、中間画像と記録媒体108が面で接触する。このため、中間画像と記録媒体108が接触する線又は面を「領域」とし、この領域を含む部分を転写部111とする。中間画像が記録媒体108と接触している間に、押圧部材106が転写体101を押圧することによって記録媒体108に中間画像が転写され、所望とする画像が記録媒体108に記録される。転写後の画像は、転写前の中間画像の反転画像である。
ローラ状の反応液付与部材103cを用いて転写体に反応液を付与すると、転写体の全体にわたって反応液が付与される。反応液が付与された転写体にインクを付与して第1の中間画像を形成するため、転写体におけるインクが付与されていない領域には、インクと反応していない反応液が残っている。液吸収部材105aは中間画像からだけでなく、未反応の反応液の液体成分も併せて除去することが可能である。インクや処理液に含まれる液体成分は一定の形を持たずに流動性を有するとともに、ほぼ一定の体積で存在する。インクや処理液に含まれる液体成分は、具体的には水性媒体などである。
以下、転写型インクジェット記録装置の主要な部分について説明する。具体的には、[1]転写体、[2]支持部材、[3]反応液付与装置、[4]インク及び処理液の付与装置、[5]液吸収装置、[6]押圧部材、[7]記録媒体、[8]記録媒体搬送装置、及び[9]洗浄装置について説明する。
[1]転写体
転写体101は、中間画像が形成される面を含む表面層を有する。表面層を構成する材料としては、樹脂、セラミックなどを挙げることができる。耐久性などの観点から、圧縮弾性率の高い材料が好ましい。反応液、インク及び処理液の濡れ性などを向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。
転写体101は、中間画像が形成される面を含む表面層を有する。表面層を構成する材料としては、樹脂、セラミックなどを挙げることができる。耐久性などの観点から、圧縮弾性率の高い材料が好ましい。反応液、インク及び処理液の濡れ性などを向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。
転写体は、表面層と支持部材との間に、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層は、局所的な圧力変動を分散し、表面層の変形を吸収する。このため、圧縮層を設けることで、高速記録する場合であっても良好な転写性を維持することができる。圧縮層を構成する材料としては、ゴム材料などの弾性材料を挙げることができる。なかでも、加硫剤及び加硫促進剤とともに、発泡剤、中空微粒子、及び塩などの充填剤を原料ゴムに配合して成形した多孔質構造を有するゴム材料が好ましい。このような弾性材料は、圧力が変動すると空隙部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さい。このため、転写性及び耐久性を向上させることができる。多孔質構造としては、空隙が相互に連結した連続空隙構造や、空隙が各々独立した独立空隙構造などを挙げることができる。
転写体は、表面層と圧縮層との間に、さらに弾性層を有することが好ましい。弾性層を構成する材料としては、樹脂材料、セラミック材料などを挙げることができる。なかでも、加工しやすいとともに、温度による弾性率の変化が小さく、転写性に優れるため、ゴム材料などの弾性材料が好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)は、接着剤や両面テープを用いて相互に接着することができる。装置に装着する際の横伸びを抑制してコシを保つために、圧縮弾性率の高い補強層を設けてもよい。補強層としては、織布などを用いることができる。転写体を構成する層のうち、表面層以外の層については、弾性層や圧縮層を任意に組み合わせることができる。転写体の大きさは、記録速度や画像のサイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、例えば、シート状、ローラ状、ベルト状、無端ウェブ状などを挙げることができる。
[2]支持部材
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体は、例えば、接着剤や両面テープなどを用いて支持体上に配設することができる。金属、セラミック、樹脂などの材料で構成される設置用部材を用いて転写体101を支持部材102に配設してもよい。支持部材102は、搬送精度や耐久性の観点から、ある程度の構造強度を有することが要求される。支持部材の材質としては、金属、セラミック、樹脂などを挙げることができる。なかでも、アルミニウムなどの金属材料を用いることが好ましい。金属材料を用いることで、転写時の応力に耐えうる剛性及び寸法精度の他、動作時の慣性を軽減して制御の応答性を向上させることができる。
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体は、例えば、接着剤や両面テープなどを用いて支持体上に配設することができる。金属、セラミック、樹脂などの材料で構成される設置用部材を用いて転写体101を支持部材102に配設してもよい。支持部材102は、搬送精度や耐久性の観点から、ある程度の構造強度を有することが要求される。支持部材の材質としては、金属、セラミック、樹脂などを挙げることができる。なかでも、アルミニウムなどの金属材料を用いることが好ましい。金属材料を用いることで、転写時の応力に耐えうる剛性及び寸法精度の他、動作時の慣性を軽減して制御の応答性を向上させることができる。
[3]反応液付与装置
本発明の記録方法は、インク付与工程の前に、反応液を転写体に付与する反応液付与工程を有する。反応液は、インクと接触することでインクと反応し、インクの樹脂や自己分散顔料などのアニオン性基を有する成分を凝集させる反応剤を含有する。インクの付与後、インクを付与した領域と少なくとも一部が重なるように反応液をさらに付与してもよい。
本発明の記録方法は、インク付与工程の前に、反応液を転写体に付与する反応液付与工程を有する。反応液は、インクと接触することでインクと反応し、インクの樹脂や自己分散顔料などのアニオン性基を有する成分を凝集させる反応剤を含有する。インクの付与後、インクを付与した領域と少なくとも一部が重なるように反応液をさらに付与してもよい。
図1に示す転写型インクジェット記録装置100は、転写体101に反応液を付与する反応液付与手段である反応液付与装置103を有する。この反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aの反応液を転写体101に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラである。反応液付与装置としては、グラビアオフセットローラ、インクジェット方式の記録ヘッドなどを挙げることができる。なかでも、ローラを使用して転写体に反応液を付与することが好ましい。
[4]インク及び処理液の付与装置
図1に示す転写型インクジェット記録装置100は、転写体101にインク及び処理液を付与する付与手段であるインク及び処理液の付与装置104を有する。インク付与装置としてインクジェット方式の記録ヘッドを用い、インクを吐出して付与することが好ましい。また、インクと同様にインクジェット方式の記録ヘッドを用い、処理液を吐出して付与する。記録ヘッドとしては、例えば、電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態;電気−機械変換体によってインクを吐出する形態;静電気を利用してインクを吐出する形態などを挙げることができる。なかでも、電気−熱変換体を利用する形態の記録ヘッドが、より高速で高密度の画像を記録することができるために好ましい。
図1に示す転写型インクジェット記録装置100は、転写体101にインク及び処理液を付与する付与手段であるインク及び処理液の付与装置104を有する。インク付与装置としてインクジェット方式の記録ヘッドを用い、インクを吐出して付与することが好ましい。また、インクと同様にインクジェット方式の記録ヘッドを用い、処理液を吐出して付与する。記録ヘッドとしては、例えば、電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態;電気−機械変換体によってインクを吐出する形態;静電気を利用してインクを吐出する形態などを挙げることができる。なかでも、電気−熱変換体を利用する形態の記録ヘッドが、より高速で高密度の画像を記録することができるために好ましい。
転写体に処理液を付与する領域は、インクを付与する領域を少なくとも含むことが好ましい。すなわち、インクと処理液とを重ねて付与することが好ましい。勿論、転写体のインクが付与されていない領域にも処理液を付与しても構わない。インクと処理液とを付与する領域における、単位面積当たりの付与量比は、インクの付与量が、処理液の付与量に対する質量比率で、0.1倍以上10.0倍以下であることが好ましい。
記録ヘッドは、Y方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲に吐出口が配列されている。記録ヘッドは、その下面(転写体101側)に吐出口が開口した吐出口面を有する。吐出口面は、微小な隙間(数ミリ程度)を空けて転写体101の表面と対向している。
インク及び処理液の付与装置104は、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラック(CMYK)などの各色のインク、並びに処理液を転写体101に付与するために、複数の記録ヘッドを有してもよい。例えば、CMYKの4種のインク、及び処理液を用いて中間画像を形成する場合、インク付与装置は、CMYKの4種のインク、及び処理液をそれぞれ吐出する5つの記録ヘッドを有する。これらの記録ヘッドは、X方向に沿って配置される。
[5]液吸収装置
液吸収装置105は、液吸収部材105aと、液吸収部材105aを転写体101の中間画像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bとを有する。液吸収部材105aは、転写体101上の中間画像に当接しうる多孔質層を具備している。円柱状の押圧部材105bと、ベルト状の液吸収部材105aで構成する場合、押圧部材105bで液吸収部材105aを転写体101に押し当てることで、中間画像から液体成分を吸収することができる。また、その外周表面に液吸収部材を貼りつけた円柱状の押圧部材を転写体に押し当てることでも、中間画像から液体成分を吸収することができる。記録装置内でのスペースなどを考慮すると、液吸収部材105aの形状はベルト状であることが好ましい。ベルト状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する、張架ローラ105cなどの張架部材を有していてもよい。
液吸収装置105は、液吸収部材105aと、液吸収部材105aを転写体101の中間画像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bとを有する。液吸収部材105aは、転写体101上の中間画像に当接しうる多孔質層を具備している。円柱状の押圧部材105bと、ベルト状の液吸収部材105aで構成する場合、押圧部材105bで液吸収部材105aを転写体101に押し当てることで、中間画像から液体成分を吸収することができる。また、その外周表面に液吸収部材を貼りつけた円柱状の押圧部材を転写体に押し当てることでも、中間画像から液体成分を吸収することができる。記録装置内でのスペースなどを考慮すると、液吸収部材105aの形状はベルト状であることが好ましい。ベルト状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する、張架ローラ105cなどの張架部材を有していてもよい。
押圧部材105bを用いて液吸収部材105aの多孔質層を中間画像に接触させることで、中間画像に含まれる液体成分を液吸収部材105a(多孔質層)に吸収させることができる。中間画像に含まれる液体成分を吸収する方法として、液吸収部材の多孔質層を接触させる方法に加えて、加熱する方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法などを組み合わせてもよい。また、液体成分を吸収させる前後の中間画像にこれらの方法を適用してもよい。
液吸収部材105aは、転写体101の回転と連動して回転する。このため、液吸収部材105aの形状は、繰り返し液吸収できる形状であることが好ましく、具体的には無端ベルト状やドラム状などの形状を挙げることができる。多孔質層を具備する液吸収部材105aに吸収された液体成分は、多孔質層の裏面から吸収する方法や、多孔質層を圧縮することにより絞る部材を利用する方法などにより、液吸収部材105aから除去することができる。液体成分を除去した後、液吸収部材105aを回転させて新たな中間画像に接触させることで、中間画像に含まれる液体成分を効率よく吸収することができる。
[6]押圧部材
本発明の記録装置は、中間画像を記録媒体に接触させて転写する転写手段を備える。具体的には、図1に示すように、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108に、転写体101上の液除去後の中間画像を押圧部材106により転写部111において接触させて転写する。液体成分を除去後の中間画像を記録媒体108に転写することで、記録媒体108のカールやコックリングなどを抑制することができる。
本発明の記録装置は、中間画像を記録媒体に接触させて転写する転写手段を備える。具体的には、図1に示すように、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108に、転写体101上の液除去後の中間画像を押圧部材106により転写部111において接触させて転写する。液体成分を除去後の中間画像を記録媒体108に転写することで、記録媒体108のカールやコックリングなどを抑制することができる。
押圧部材106は、記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点から、適度な構造強度を有することが好ましい。押圧部材106の材質としては、金属、セラミック、樹脂などを挙げることができる。なかでも、転写の際の応力に耐えうる剛性や寸法精度を有するだけでなく、動作時の慣性を軽減して制御の応答性を向上させる観点から、アルミニウムなどの金属が好ましい。
中間画像を記録媒体108に転写する際に、押圧部材106が転写体101を押圧する時間(押圧時間)は、5ミリ秒以上100ミリ秒以下とすることが好ましい。上記の押圧時間とすることで、良好に転写できるとともに、転写体101の損傷を抑制することができる。押圧時間は、記録媒体108と転写体101が接触している時間である。押圧時間は、圧力分布測定システムを使用して面圧を測定し、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割ることで算出することができる。具体的には、面圧分布測定システム(商品名「I−SCAN」、ニッタ製)などを使用することができる。
中間画像を記録媒体108に転写する際に、押圧部材106が転写体101を押圧する圧力(押圧力)は、9.8N/cm2(1kg/cm2)以上294.2N/cm2(30kg/cm2)以下とすることが好ましい。上記の押圧力とすることで、良好に転写できるとともに、転写体101の損傷を抑制することができる。押圧力は、記録媒体108と転写体101のニップ圧である。押圧力は、圧力分布測定システムを用いて面圧を測定し、加圧領域における加重を面積で割ることで算出することができる。具体的には、面圧分布測定システム(商品名「I−SCAN」、ニッタ製)などを使用することができる。
押圧部材106が転写体101を押圧する位置における中間画像の温度は、中間画像に含まれる樹脂成分のガラス転移点(又は軟化点)以上の温度とすることが好ましい。なかでも、押圧して転写するときの温度は、25℃以上140℃以下であることが好ましく、40℃以上140℃以下であることがさらに好ましい。温度を制御するために、記録装置は、転写体101上の中間画像、転写体101、及び記録媒体108を加熱する加熱手段を備えることが好ましい。押圧部材106の形状としては、例えば、ローラ状などの形状を挙げることができる。
[7]記録媒体
記録媒体108としては、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物;所定の寸法に裁断された枚葉のものなどを挙げることができる。記録媒体の構成材料としては、コート紙や普通紙などの紙;プラスチックや金属などのフィルム;木板;段ボールなどを挙げることができる。
記録媒体108としては、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物;所定の寸法に裁断された枚葉のものなどを挙げることができる。記録媒体の構成材料としては、コート紙や普通紙などの紙;プラスチックや金属などのフィルム;木板;段ボールなどを挙げることができる。
[8]記録媒体搬送装置
記録媒体108を搬送する記録媒体搬送装置107は、記録媒体108を矢印Cの方向に搬送する。記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107a及び記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されている。記録媒体108の搬送速度は、各工程において要する速度を考慮して決定することが好ましい。
記録媒体108を搬送する記録媒体搬送装置107は、記録媒体108を矢印Cの方向に搬送する。記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107a及び記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されている。記録媒体108の搬送速度は、各工程において要する速度を考慮して決定することが好ましい。
[9]洗浄装置
本発明の記録装置は、図1に示すように、転写体101に水性の洗浄液を付与して洗浄する洗浄手段である洗浄装置を有することが好ましい。洗浄装置は、例えば、転写体101に洗浄液を付与して洗浄する転写体クリーニング部材109を備える。転写体クリーニング部材109により転写体101をクリーニングすることで、画像品位の低下を抑制することができる。転写体クリーニング部材109としては、ローラ、ウェブなどの形状を有するものを用いることができる。洗浄装置には、転写体クリーニング部材109に洗浄液を供給する洗浄液供給ユニットを設けることができる。
本発明の記録装置は、図1に示すように、転写体101に水性の洗浄液を付与して洗浄する洗浄手段である洗浄装置を有することが好ましい。洗浄装置は、例えば、転写体101に洗浄液を付与して洗浄する転写体クリーニング部材109を備える。転写体クリーニング部材109により転写体101をクリーニングすることで、画像品位の低下を抑制することができる。転写体クリーニング部材109としては、ローラ、ウェブなどの形状を有するものを用いることができる。洗浄装置には、転写体クリーニング部材109に洗浄液を供給する洗浄液供給ユニットを設けることができる。
さらに、洗浄装置は、クリーニング後の転写体101に残った洗浄液や残留物を除去する洗浄液除去部材110を備えることが好ましい。洗浄液除去部材110によって転写体101に残った洗浄液などを除去することで、画像品位の低下をより有効に抑制することができる。転写体101に残った洗浄液を除去する方法としては、ブレード除去、ブラシ除去、吸収体による液吸収などを挙げることができる。なかでも、吸収体による液吸収によって転写体101に残った洗浄液を除去することが好ましい。洗浄液除去部材110としては、液吸収部材として用いられる多孔質層などを用いることができる。
(反応液)
本発明の記録方法は、水性インクと反応する反応剤を含有する反応液を転写体に付与する反応液付与工程を有する。記録媒体に転写される画像に影響を及ぼさないことが好ましいため、反応液は色材を含有しなくてもよい。また、反応液は水性であることが好ましい。以下、反応液に用いる各成分などについて詳細に説明する。
本発明の記録方法は、水性インクと反応する反応剤を含有する反応液を転写体に付与する反応液付与工程を有する。記録媒体に転写される画像に影響を及ぼさないことが好ましいため、反応液は色材を含有しなくてもよい。また、反応液は水性であることが好ましい。以下、反応液に用いる各成分などについて詳細に説明する。
[反応剤]
反応液は、インクと接触することでインクと反応し、インクの成分(樹脂、自己分散顔料などのアニオン性基を有する成分)を凝集させるものであり、反応剤を含有する。反応剤としては、例えば、多価金属イオン、カチオン性樹脂などのカチオン性成分や、有機酸など挙げることができる。但し、本発明の記録方法で用いる反応液に含有させる反応剤は、多価金属塩である。多価金属塩を反応剤として含有する反応液を用いることで、インクに含まれる樹脂のアニオン性基と多価金属イオンがキレートし、3次元ネットワーク構造が形成される。その結果、凝集物の粘度が上昇して高強度の膜が形成されるので、耐ブロッキング性に優れた画像を記録することができる。
反応液は、インクと接触することでインクと反応し、インクの成分(樹脂、自己分散顔料などのアニオン性基を有する成分)を凝集させるものであり、反応剤を含有する。反応剤としては、例えば、多価金属イオン、カチオン性樹脂などのカチオン性成分や、有機酸など挙げることができる。但し、本発明の記録方法で用いる反応液に含有させる反応剤は、多価金属塩である。多価金属塩を反応剤として含有する反応液を用いることで、インクに含まれる樹脂のアニオン性基と多価金属イオンがキレートし、3次元ネットワーク構造が形成される。その結果、凝集物の粘度が上昇して高強度の膜が形成されるので、耐ブロッキング性に優れた画像を記録することができる。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、及びZn2+などの2価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+、及びAl3+などの3価の金属イオンを挙げることができる。反応液に多価金属イオンを含有させるためには、多価金属イオンとアニオンとが結合して構成される多価金属塩(水和物であってもよい)を用いる。アニオンとしては、例えば、Cl−、Br−、I−、ClO−、ClO2 −、ClO3 −、ClO4 −、NO2 −、NO3 −、SO4 2−、CO3 2−、HCO3 −、PO4 3−、HPO4 2−、及びH2PO4 −などの無機アニオン;HCOO−、(COO−)2、COOH(COO−)、CH3COO−、C2H4(COO−)2、C6H5COO−、C6H4(COO−)2、及びCH3SO3 −などの有機アニオンを挙げることができる。反応液中の多価金属塩の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。さらに、記録する画像に乱れを生じさせずに、耐ブロッキング性をより向上させるには、反応液中の多価金属塩の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、20.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。
[その他の成分]
反応液は、必要に応じて、各種その他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、インクに含有させることが可能な後述の水性媒体やその他添加剤などと同様のものを挙げることができる。
反応液は、必要に応じて、各種その他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、インクに含有させることが可能な後述の水性媒体やその他添加剤などと同様のものを挙げることができる。
(インク)
本発明の記録方法で用いるインクは、インクジェット用の水性インクである。以下、インクに用いる各成分などについて詳細に説明する。
本発明の記録方法で用いるインクは、インクジェット用の水性インクである。以下、インクに用いる各成分などについて詳細に説明する。
[色材]
インクは色材を含有する。色材としては、顔料や染料を用いることができる。インク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
インクは色材を含有する。色材としては、顔料や染料を用いることができる。インク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料を挙げることができる。
顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子の表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。なかでも、樹脂結合型顔料やマイクロカプセル顔料ではなく、分散剤としての樹脂を顔料の粒子表面に物理吸着させた樹脂分散顔料を用いることが好ましい。
顔料を水性媒体中に分散させるための樹脂分散剤としては、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体中に分散させうるものを用いることが好ましい。樹脂分散剤としては、後述するような樹脂、なかでも水溶性樹脂を用いることができる。インク中の顔料の含有量(質量%)は、樹脂分散剤の含有量に対する質量比率で、0.3倍以上10.0倍以下であることが好ましい。
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団(−R−)を介して結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合において、カウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウムなどを挙げることができる。他の原子団(−R−)の具体例としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;カルボニル基;イミノ基;アミド基;スルホニル基;エステル基;エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基であってもよい。
染料としては、アニオン性基を有するものを用いることが好ましい。染料の具体例としては、アゾ、トリフェニルメタン、(アザ)フタロシアニン、キサンテン、アントラピリドンなどの染料を挙げることができる。インクに含有させる色材は、顔料であることが好ましく、樹脂分散顔料であることがさらに好ましい。
[樹脂]
インクは、アニオン性基を有する樹脂(以下、単に「樹脂」とも記す)を含有する。インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。
インクは、アニオン性基を有する樹脂(以下、単に「樹脂」とも記す)を含有する。インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。
樹脂は、(i)顔料の分散状態を安定化させるため、すなわち、樹脂分散剤やその補助としてインクに添加することができる。また、(ii)記録される画像の各種特性を向上させるためにインクに添加することができる。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどを挙げることができる。樹脂は、水性媒体に溶解しうる水溶性樹脂であってもよく、水性媒体中に分散する樹脂粒子であってもよい。樹脂粒子は、色材を内包する必要はない。
本明細書において「樹脂が水溶性である」とは、その樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法により粒子径を測定しうる粒子を形成しない状態で水性媒体中に存在することを意味する。樹脂が水溶性であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、酸価相当のアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)により中和された樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製する。そして、試料溶液中の樹脂の粒子径を動的光散乱法により測定した場合に、粒子径を有する粒子が測定されない場合に、その樹脂は水溶性であると判断することができる。この際の測定条件は、例えば、以下のようにすることができる。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計(例えば、商品名「UPA−EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
水溶性樹脂の酸価は、100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましい。樹脂粒子を構成する樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましい。水溶性樹脂の重量平均分子量は、3,000以上15,000以下であることが好ましい。樹脂粒子を構成する樹脂の重量平均分子量は、1,000以上2,000,000以下であることが好ましい。動的光散乱法により測定される樹脂粒子の体積分布基準の累積50%粒子径(D50)は、50nm以上500nm以下であることが好ましい。
樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂などを挙げることができる。なかでも、アクリル系樹脂やウレタン樹脂が好ましく、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリレートに由来するユニットで構成されるアクリル系樹脂がさらに好ましい。
アクリル系樹脂としては、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有するものが好ましい。なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、芳香環を有するモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの少なくとも一方に由来する疎水性ユニットと、を有する樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、スチレン及びα−メチルスチレンの少なくとも一方のモノマーに由来する疎水性ユニットとを有する樹脂が好ましい。これらの樹脂は、顔料との相互作用が生じやすいため、顔料を分散させるための樹脂分散剤として好適に利用することができる。
親水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有するユニットである。親水性ユニットは、例えば、親水性基を有する親水性モノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有する親水性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボン酸基を有する酸性モノマー、これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマーなどを挙げることができる。酸性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。疎水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有しないユニットである。疎水性ユニットは、例えば、アニオン性基などの親水性基を有しない、疎水性モノマーを重合することで形成することができる。疎水性モノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香環を有するモノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーなどを挙げることができる。
ウレタン系樹脂は、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得ることができる。また、鎖延長剤をさらに反応させたものであってもよい。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。
インクは、樹脂粒子を含有することが好ましい。樹脂粒子を含有するインクを用いると、中間画像に含まれる液体成分の吸収に伴って樹脂粒子が凝集し、中間画像の粘度を速やかに上昇させることができる。なかでも、アニオン性基を有する樹脂が、アニオン性基を有する樹脂粒子であることが好ましい。アニオン性基を有する樹脂粒子を含有するインクを用いると、アニオン性基と多価金属塩が反応することで樹脂粒子の凝集が促進され、画像の乱れが生ずるのをさらに抑制しながら中間画像の転写性をより高めることができる。さらに、アニオン性基と多価金属がキレート構造を形成しやすいので、より硬い凝集物を形成することができる。
アニオン性基を有する樹脂粒子のアニオン性基の量(μmol/g)は、120μmol/g以上であることが好ましい。アニオン性基の量が120μmol/g未満であると、多価金属塩との反応点が減少するので、色材及び樹脂粒子の凝集を促進させる効果がやや低下する場合がある。このため、中間画像の粘度がさほど上昇しなくなることがあり、記録される画像にやや乱れが生じやすくなる場合がある。一方、アニオン性基を有する樹脂粒子のアニオン性基の量(μmol/g)は、400μmol/g以下であることが好ましい。アニオン性基の量が400μmol/g超であると、樹脂粒子が凝集することで、反応液とインクの界面で局所的に多くの多価金属塩が消費される。このため、インク全体として色材が凝集しにくくなり、記録される画像にやや乱れが生じやすくなる場合がある。樹脂粒子のアニオン性基の量は、JIS K 0070:1992に準拠して測定した樹脂粒子の酸価から求めることができる。
インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。
インクは、水溶性樹脂を含有することが好ましい。水溶性樹脂を含有するインクを用いると、樹脂粒子の凝集がさらに促進されるため、中間画像の粘度をより速やかに上昇させることができる。なかでも、インクは、アニオン性基を有する水溶性樹脂を含有することが好ましい。アニオン性基を有する水溶性樹脂を含有するインクを用いると、アニオン性基と多価金属塩が反応することで色材の凝集が促進され、画像の乱れが生ずるのをさらに抑制しながら中間画像の転写性をより高めることができる。さらに、アニオン性基と多価金属がキレート構造を形成しやすいので、より硬い凝集物を形成することができる。
インク中の水溶性樹脂の含有量(質量%)は、樹脂粒子の含有量(質量%)に対する質量比率(倍)で、0.05倍以上0.50倍以下であることが好ましい。上記の比率が0.05倍未満であると、樹脂粒子に対する水溶性樹脂の量が少なすぎるため、樹脂粒子により形成される樹脂層の強度が高まりにくくなり、転写後の画像に乱れが生じやすくなる場合がある。一方、上記の比率が0.50倍超であると、樹脂粒子に対する水溶性樹脂の量が多すぎるため、形成される樹脂層の強度は高くなりやすいが、水溶性樹脂が色材を巻き込んで凝集しやすくなる。このため、インクの成分の凝集に伴う体積収縮によって中間画像が移動し、転写後の画像に乱れが生じやすくなる場合がある。
[水性媒体]
本発明の記録方法で用いるインクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性のインクである。インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。
本発明の記録方法で用いるインクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性のインクである。インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。
[その他添加剤]
インクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤など種々の添加剤を含有させてもよい。但し、インクには、上記したような反応液に用いる反応剤は含有させないことが好ましい。反応剤をインクに含有させる場合、インク中の反応剤の含有量はごく少量(例えば、0.05質量%以下程度)とすることが好ましい。
インクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤など種々の添加剤を含有させてもよい。但し、インクには、上記したような反応液に用いる反応剤は含有させないことが好ましい。反応剤をインクに含有させる場合、インク中の反応剤の含有量はごく少量(例えば、0.05質量%以下程度)とすることが好ましい。
(処理液)
本発明の記録方法で用いる処理液は、ヒドロキシ酸を含有する液体である。以下、処理液に用いる各成分などについて詳細に説明する。
本発明の記録方法で用いる処理液は、ヒドロキシ酸を含有する液体である。以下、処理液に用いる各成分などについて詳細に説明する。
[ヒドロキシ酸]
ヒドロキシ酸は、ヒドロキシ基を有するカルボン酸である。ヒドロキシ酸を含有する処理液を転写体上の第1の中間画像に付与することで、樹脂のアニオン性基と未反応の多価金属塩をキレートし、過剰に硬い凝集物が生成されるのを抑制して、適度な硬さを有する第2の中間画像を形成することができる。ヒドロキシ酸は、他の有機酸と比較して水溶性が高いため、付与された第1の中間画像に速やかに浸透し、多価金属塩と反応することができると考えられる。
ヒドロキシ酸は、ヒドロキシ基を有するカルボン酸である。ヒドロキシ酸を含有する処理液を転写体上の第1の中間画像に付与することで、樹脂のアニオン性基と未反応の多価金属塩をキレートし、過剰に硬い凝集物が生成されるのを抑制して、適度な硬さを有する第2の中間画像を形成することができる。ヒドロキシ酸は、他の有機酸と比較して水溶性が高いため、付与された第1の中間画像に速やかに浸透し、多価金属塩と反応することができると考えられる。
ヒドロキシ酸としては、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、クエン酸、グルコン酸、サリチル酸などを挙げることができる。ヒドロキシ酸は、ヒドロキシ酸塩の形態で処理液に含有させることができる。処理液中のヒドロキシ酸の含有量(質量%)は、処理液全質量を基準として、0.1質量%以上40.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の記録方法では、反応液付与工程において反応液を転写体に付与するとともに、第2の中間画像形成工程において処理液を第1の中間画像に付与する。そして、転写体に付与された反応液中の多価金属の、転写体の単位面積当たりの量x(mol/m2)と、第1の中間画像に付与された処理液中のヒドロキシ酸の、転写体の単位面積当たりの量y(mol/m2)とが、x>yの関係を満たすことが好ましい。x>yの関係を満たすように、反応液と処理液をそれぞれ付与することで、耐ブロッキング性にさらに優れているとともに、より高品位な画像を記録することができる。
[樹脂粒子]
処理液は、樹脂粒子を含有することが好ましい。樹脂粒子を含有する処理液を第1の中間画像に付与すると、第1の中間画像上に樹脂層が配置された第2の中間画像を形成することができるので、表面凹凸の大きい記録媒体に対する中間画像の転写性を向上させることができる。樹脂粒子としては、処理液に含まれるヒドロキシ酸と反応して凝集するものでなければ、アニオン性基、ノニオン性基、及びカチオン性基などの極性基を有する樹脂で形成された樹脂粒子を用いることができる。
処理液は、樹脂粒子を含有することが好ましい。樹脂粒子を含有する処理液を第1の中間画像に付与すると、第1の中間画像上に樹脂層が配置された第2の中間画像を形成することができるので、表面凹凸の大きい記録媒体に対する中間画像の転写性を向上させることができる。樹脂粒子としては、処理液に含まれるヒドロキシ酸と反応して凝集するものでなければ、アニオン性基、ノニオン性基、及びカチオン性基などの極性基を有する樹脂で形成された樹脂粒子を用いることができる。
処理液中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、処理液全質量を基準として、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子の含有量が1.0質量%未満であると、第1の中間画像上に形成される樹脂層の膜厚が薄すぎるため、記録媒体の表面凹凸への追従性が不足し、転写性の向上効果がやや低下する場合がある。一方、樹脂粒子の含有量が20.0質量%超であると、第1の中間画像上に形成される樹脂層の膜厚が厚すぎるため、記録媒体の表面凹凸への追従性は向上するが、記録される画像に乱れが生じやすくなる場合がある。動的光散乱法により測定される処理液中の樹脂粒子の体積分布基準の累積50%粒子径(D50)は、50nm以上500nm以下であることが好ましい。
[水溶性樹脂]
処理液は、水溶性樹脂を含有することが好ましい。水溶性樹脂を含有する処理液を転写体上の第1の中間画像に付与すると、第1の中間画像内で隣接する樹脂粒子同士の間に水溶性樹脂が入り込むので、形成される樹脂層の粘度が上昇し、転写性をさらに向上させることができる。水溶性樹脂としては、処理液に含まれるヒドロキシ酸と反応して凝集するものでなければ、アニオン性基、ノニオン性基、及びカチオン性基などの極性基を有する水溶性樹脂を用いることができる。
処理液は、水溶性樹脂を含有することが好ましい。水溶性樹脂を含有する処理液を転写体上の第1の中間画像に付与すると、第1の中間画像内で隣接する樹脂粒子同士の間に水溶性樹脂が入り込むので、形成される樹脂層の粘度が上昇し、転写性をさらに向上させることができる。水溶性樹脂としては、処理液に含まれるヒドロキシ酸と反応して凝集するものでなければ、アニオン性基、ノニオン性基、及びカチオン性基などの極性基を有する水溶性樹脂を用いることができる。
処理液中の水溶性樹脂の含有量(質量%)は、樹脂粒子の含有量(質量%)に対する質量比率(倍)で、0.05倍以上0.50倍以下であることが好ましい。上記の比率が0.05倍未満であると、樹脂粒子に対する水溶性樹脂の量が少なすぎるため、樹脂粒子により形成される樹脂層の強度が高まりにくくなり、転写後の画像に乱れが生じやすくなる場合がある。一方、上記の比率が0.50倍超であると、樹脂粒子に対する水溶性樹脂の量が多すぎるため、樹脂粒子同士の間に入り込むことなく自由に動く水溶性樹脂の比率が高まり、転写後の画像に乱れが生じやすくなる場合がある。
[その他の成分]
処理液には、上記成分以外にも必要に応じて、インクに含有させることができる水性媒体や種々の添加剤などと同様の成分をさらに含有させることができる。
処理液には、上記成分以外にも必要に応じて、インクに含有させることができる水性媒体や種々の添加剤などと同様の成分をさらに含有させることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<反応液の調製>
表1に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過し、反応液を調製した。表1中、「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物)の商品名である。「ポリアリルアミン」として、ニットーボーメディカル製の商品名「PAA−HCL−01」を用いた。
表1に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過し、反応液を調製した。表1中、「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物)の商品名である。「ポリアリルアミン」として、ニットーボーメディカル製の商品名「PAA−HCL−01」を用いた。
<顔料分散液の調製>
酸価150mgKOH/g、重量平均分子量8,000のスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(樹脂分散剤)を用意した。樹脂分散剤20.0部を、その酸価と等モルの水酸化カリウムで中和した後、適量の純水を加え、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である樹脂分散剤の水溶液を調製した。顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)10.0部、樹脂分散剤の水溶液15.0部、及び純水75.0部を混合して混合物を得た。得られた混合物及び0.3mm径のジルコニアビーズ200部をバッチ式の縦型サンドミル(アイメックス製)に入れ、水冷しながら5時間分散させた。遠心分離して粗大粒子を除去した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤の含有量が3.0%の顔料分散液を調製した。
酸価150mgKOH/g、重量平均分子量8,000のスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(樹脂分散剤)を用意した。樹脂分散剤20.0部を、その酸価と等モルの水酸化カリウムで中和した後、適量の純水を加え、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である樹脂分散剤の水溶液を調製した。顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)10.0部、樹脂分散剤の水溶液15.0部、及び純水75.0部を混合して混合物を得た。得られた混合物及び0.3mm径のジルコニアビーズ200部をバッチ式の縦型サンドミル(アイメックス製)に入れ、水冷しながら5時間分散させた。遠心分離して粗大粒子を除去した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤の含有量が3.0%の顔料分散液を調製した。
<樹脂粒子を含む液体の調製>
(樹脂粒子1を含む液体)
撹拌装置、窒素導入管、還流冷却装置、及び温度計を備えたフラスコに、ブチルメタクリレート18.0部、メタクリル酸0.35部、重合開始剤2.0部、及びn−ヘキサデカン2.0部を入れ、窒素ガスを導入しながら30分間撹拌した。重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(2−メチルブチルニトリル)を用いた。次いで、ポリオキシエチレンセチルエーテル(商品名「NIKKOL BC−20」、日光ケミカルズ製)の6.0%水溶液78.0部を滴下し、30分間撹拌して混合物を得た。超音波照射機を使用して超音波を3時間照射して混合物を乳化させた後、窒素雰囲気下、80℃で4時間重合反応を行った。25℃まで冷却してろ過した後、適量の純水を添加して、樹脂粒子の含有量が40.0%である樹脂粒子1を含む液体を得た。樹脂粒子1のアニオン性基の量は、180μmol/gであった。
(樹脂粒子1を含む液体)
撹拌装置、窒素導入管、還流冷却装置、及び温度計を備えたフラスコに、ブチルメタクリレート18.0部、メタクリル酸0.35部、重合開始剤2.0部、及びn−ヘキサデカン2.0部を入れ、窒素ガスを導入しながら30分間撹拌した。重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(2−メチルブチルニトリル)を用いた。次いで、ポリオキシエチレンセチルエーテル(商品名「NIKKOL BC−20」、日光ケミカルズ製)の6.0%水溶液78.0部を滴下し、30分間撹拌して混合物を得た。超音波照射機を使用して超音波を3時間照射して混合物を乳化させた後、窒素雰囲気下、80℃で4時間重合反応を行った。25℃まで冷却してろ過した後、適量の純水を添加して、樹脂粒子の含有量が40.0%である樹脂粒子1を含む液体を得た。樹脂粒子1のアニオン性基の量は、180μmol/gであった。
(樹脂粒子2を含む液体)
ブチルメタクリレート及びメタクリル酸に代えて、エチルメタクリレート18.0部及びアクリル酸0.35部を用いたこと以外は、前述の樹脂粒子1を含む液体の場合と同様にして、樹脂粒子の含有量が40.0%である樹脂粒子2を含む液体を得た。樹脂粒子2のアニオン性基の量は、180μmol/gであった。
ブチルメタクリレート及びメタクリル酸に代えて、エチルメタクリレート18.0部及びアクリル酸0.35部を用いたこと以外は、前述の樹脂粒子1を含む液体の場合と同様にして、樹脂粒子の含有量が40.0%である樹脂粒子2を含む液体を得た。樹脂粒子2のアニオン性基の量は、180μmol/gであった。
(樹脂粒子3を含む液体)
メタクリル酸の量を0.22部に変更したこと以外は、前述の樹脂粒子1を含む液体の場合と同様にして、樹脂粒子の含有量が40.0%である樹脂粒子3を含む液体を得た。樹脂粒子3のアニオン性基の量は、100μmol/gであった。
メタクリル酸の量を0.22部に変更したこと以外は、前述の樹脂粒子1を含む液体の場合と同様にして、樹脂粒子の含有量が40.0%である樹脂粒子3を含む液体を得た。樹脂粒子3のアニオン性基の量は、100μmol/gであった。
(樹脂粒子4を含む液体)
メタクリル酸の量を0.27部に変更したこと以外は、前述の樹脂粒子1を含む液体の場合と同様にして、樹脂粒子の含有量が40.0%である樹脂粒子4を含む液体を得た。樹脂粒子4のアニオン性基の量は、120μmol/gであった。
メタクリル酸の量を0.27部に変更したこと以外は、前述の樹脂粒子1を含む液体の場合と同様にして、樹脂粒子の含有量が40.0%である樹脂粒子4を含む液体を得た。樹脂粒子4のアニオン性基の量は、120μmol/gであった。
(樹脂粒子5を含む液体)
メタクリル酸の量を1.0部に変更したこと以外は、前述の樹脂粒子1を含む液体の場合と同様にして、樹脂粒子の含有量が40.0%である樹脂粒子5を含む液体を得た。樹脂粒子5のアニオン性基の量は、500μmol/gであった。
メタクリル酸の量を1.0部に変更したこと以外は、前述の樹脂粒子1を含む液体の場合と同様にして、樹脂粒子の含有量が40.0%である樹脂粒子5を含む液体を得た。樹脂粒子5のアニオン性基の量は、500μmol/gであった。
(樹脂粒子6を含む液体)
過硫酸カリウム0.2部をイオン交換水81.8部に溶解させて過硫酸カリウム水溶液を調製した。また、エチルメタクリレート16.1部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(商品名「ブレンマーPME1000」、日油製)1.6部、及び界面活性剤0.3部を混合して乳化物を調製した。界面活性剤としては、商品名「NIKKOL BC−20」(日光ケミカルズ製)を用いた。窒素雰囲気下、過硫酸カリウム水溶液に乳化物を1時間かけて滴下するとともに、80℃で撹拌しながら重合反応を行い、さらに2時間撹拌した。25℃まで冷却した後、イオン交換水及び水酸化カリウム水溶液を添加して、ノニオン性の樹脂粒子6を含む液体を得た。樹脂粒子の含有量は、40.0%であった。
過硫酸カリウム0.2部をイオン交換水81.8部に溶解させて過硫酸カリウム水溶液を調製した。また、エチルメタクリレート16.1部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(商品名「ブレンマーPME1000」、日油製)1.6部、及び界面活性剤0.3部を混合して乳化物を調製した。界面活性剤としては、商品名「NIKKOL BC−20」(日光ケミカルズ製)を用いた。窒素雰囲気下、過硫酸カリウム水溶液に乳化物を1時間かけて滴下するとともに、80℃で撹拌しながら重合反応を行い、さらに2時間撹拌した。25℃まで冷却した後、イオン交換水及び水酸化カリウム水溶液を添加して、ノニオン性の樹脂粒子6を含む液体を得た。樹脂粒子の含有量は、40.0%であった。
(樹脂粒子のアニオン性基の量(μmol/g)の測定)
樹脂粒子を含む液体に塩酸を滴下してpH2以下とした後、析出物をろ過し、水で洗浄してから40℃で減圧乾燥して乾燥物を得る。得られた乾燥物を測定試料とし、JIS K 0070:1992に準拠して樹脂の酸価(mgKOH/g)を測定する。水酸化カリウムの分子量が56.1(mg/mmol)であるため、下記式(1)より、樹脂粒子のアニオン性基の量(μmol/g)を算出することができる。
樹脂粒子のアニオン性基の量(μmol/g)
=酸価(mgKOH/g)×1,000/56.1 ・・・(1)
樹脂粒子を含む液体に塩酸を滴下してpH2以下とした後、析出物をろ過し、水で洗浄してから40℃で減圧乾燥して乾燥物を得る。得られた乾燥物を測定試料とし、JIS K 0070:1992に準拠して樹脂の酸価(mgKOH/g)を測定する。水酸化カリウムの分子量が56.1(mg/mmol)であるため、下記式(1)より、樹脂粒子のアニオン性基の量(μmol/g)を算出することができる。
樹脂粒子のアニオン性基の量(μmol/g)
=酸価(mgKOH/g)×1,000/56.1 ・・・(1)
<水溶性樹脂1を含む液体の調製>
常法にしたがって製造されたスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体を酸価と等モルの水酸化カリウム水溶液で中和し、樹脂の含有量が20.0%である水溶性樹脂1を含む液体を調製した。スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体の酸価は150mgKOH/gであり、重量平均分子量は8,000であった。このスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体は、アニオン性基を有する水溶性樹脂である。
常法にしたがって製造されたスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体を酸価と等モルの水酸化カリウム水溶液で中和し、樹脂の含有量が20.0%である水溶性樹脂1を含む液体を調製した。スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体の酸価は150mgKOH/gであり、重量平均分子量は8,000であった。このスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体は、アニオン性基を有する水溶性樹脂である。
<インクの調製>
表2に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表2中、「ポリビニルピロリドンK−15」は、東京化成工業製のノニオン性の水溶性樹脂の商品名である。染料としては、C.I.アシッドブルー−9(東京化成工業製)を用いた。
表2に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表2中、「ポリビニルピロリドンK−15」は、東京化成工業製のノニオン性の水溶性樹脂の商品名である。染料としては、C.I.アシッドブルー−9(東京化成工業製)を用いた。
<処理液の調製>
表3に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各処理液を調製した。表3中、「ポリアリルアミン」として、ニットーボーメディカル製の商品名「PAA−HCL−01」を用いた。
表3に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各処理液を調製した。表3中、「ポリアリルアミン」として、ニットーボーメディカル製の商品名「PAA−HCL−01」を用いた。
<評価>
(転写性)
インク、反応液、及び処理液を表4の左側に示す組み合わせとした。そして、図1に示す構成を有する転写型インクジェット記録装置100を用いて画像を記録した。転写型インクジェット記録装置100の構成を以下に示す。支持部材102として、アルミニウム合金からなる円筒形のドラムを用いた。転写体101の表層部材としては、厚さ0.5mmのポリエチレンテレフタレートのフィルムに、ゴム硬度(デュロメータ・タイプA)40°のシリコーンゴム(商品名「KE12」、信越化学工業製)を0.2mmの厚さにコーティングしたものを用いた。この表層部材に、常圧プラズマ処理装置(商品名「ST−7000」、キーエンス製)を使用して、処理距離:5mm、プラズマモード:High、処理速度:100mm/secの条件でプラズマ表面処理を施した。さらに、表層部材の表面を、市販の中性洗剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の濃度が3%となるように純水で希釈して調製した界面活性剤水溶液に10秒間浸漬した後、乾燥させて転写体101の表層部材とした。両面粘着テープを用いて転写体101を支持部材102に固定した。
(転写性)
インク、反応液、及び処理液を表4の左側に示す組み合わせとした。そして、図1に示す構成を有する転写型インクジェット記録装置100を用いて画像を記録した。転写型インクジェット記録装置100の構成を以下に示す。支持部材102として、アルミニウム合金からなる円筒形のドラムを用いた。転写体101の表層部材としては、厚さ0.5mmのポリエチレンテレフタレートのフィルムに、ゴム硬度(デュロメータ・タイプA)40°のシリコーンゴム(商品名「KE12」、信越化学工業製)を0.2mmの厚さにコーティングしたものを用いた。この表層部材に、常圧プラズマ処理装置(商品名「ST−7000」、キーエンス製)を使用して、処理距離:5mm、プラズマモード:High、処理速度:100mm/secの条件でプラズマ表面処理を施した。さらに、表層部材の表面を、市販の中性洗剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の濃度が3%となるように純水で希釈して調製した界面活性剤水溶液に10秒間浸漬した後、乾燥させて転写体101の表層部材とした。両面粘着テープを用いて転写体101を支持部材102に固定した。
反応液付与装置103を使用して、転写体101上に反応液を1.0g/m2となるように付与した。電気−熱変換素子を備えたオンデマンド方式にてインク及び処理液を吐出するタイプの記録ヘッドをインク及び処理液の付与装置104として使用し、転写体101のインクが付与された領域(第1の中間画像)に処理液を付与できるようにした。転写体へのインクの吐出量は20g/m2とした。また、第1の中間画像への処理液の吐出量は5g/m2とした。
<多孔質層の準備>
結晶化したフッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)の乳化重合粒子を圧縮成形した後、融点以下の温度で延伸して、フィブリル化した多孔質層(第1の層)を作製した。さらに、ポリエチレン及びポリプロピレンを混合した後、湿式法により延伸して、フィブリル化した多孔質層(第2の層)を作製した。また、ポリオレフィン系の不織布(商品名「HOP60」、廣瀬製紙製)を第3の層として用意した。第2の層は、第1層よりも厚い。また、第2の層の平均孔径は、第1層の平均孔径よりも小さい。第1の層、第2の層、及び第3の層を熱圧ラミネート処理して接着し、多孔質層を得た。
結晶化したフッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)の乳化重合粒子を圧縮成形した後、融点以下の温度で延伸して、フィブリル化した多孔質層(第1の層)を作製した。さらに、ポリエチレン及びポリプロピレンを混合した後、湿式法により延伸して、フィブリル化した多孔質層(第2の層)を作製した。また、ポリオレフィン系の不織布(商品名「HOP60」、廣瀬製紙製)を第3の層として用意した。第2の層は、第1層よりも厚い。また、第2の層の平均孔径は、第1層の平均孔径よりも小さい。第1の層、第2の層、及び第3の層を熱圧ラミネート処理して接着し、多孔質層を得た。
液吸収部材105aには、上記で作製した多孔質層を用いた。液吸収部材105aの搬送速度は、液吸収部材105aを張架しつつ搬送する搬送ローラ105cによって、転写体101の移動速度と同等の速度(0.4m/sec)となるよう調節した。液吸収部材105aは、エタノール95.0部及び水5.0部を含有する処理液に浸漬し、多孔質層の空隙に処理液を浸透させた後、水に置換して使用した。転写体101と液吸収部材105aの間のニップ圧が4kg/cm2となるように、押圧部材105bに圧力を印加した。
転写体101の移動速度と同等の速度となるように、記録媒体繰り出しローラ107a及び記録媒体巻き取りローラ107bを駆動させて記録媒体108を搬送した。転写体101と押圧部材106の間で記録媒体108と中間画像を接触させ、中間画像を転写体101から記録媒体108へと転写してベタ画像を記録した。記録媒体108としては、コート紙(商品名「ヴァンヌーボV」、ダイオーペーパープロダクツ製、坪量157g/m2、算術表面粗さRa4μm)を用いた。転写体101と押圧部材106の間のニップ圧は、3kg/cm2に調整した。
上記の構成を有する転写型インクジェット記録装置100を使用して、インク及び処理液の記録デューティがそれぞれ20%である5cm×5cmの中間画像(第2の中間画像)を転写体101に形成した。この転写型インクジェット記録装置100では、1/1,200インチ×1/1,200インチの単位領域に3.0ngの液滴を1滴付与する条件で記録した画像を、記録デューティが100%であると定義する。転写体に形成された第2の中間画像の面積、及び転写後の転写体に残った第2の中間画像の面積を、光学顕微鏡を利用しながらそれぞれ測定した。そして、転写率=[1−(転写後の転写体に残った第2の中間画像の面積)/(転写体に形成された第2の中間画像の面積)}]×100(%)の式から転写率を算出し、以下に示す評価基準にしたがって転写性を評価した。
本発明においては、「AA」、「A」、及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。結果を表4に示す。
AA:転写率が95%以上であった。
A:転写率が80%以上95%未満であった。
B:転写率が50%以上80%未満であった。
C:転写率が50%未満であった。
本発明においては、「AA」、「A」、及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。結果を表4に示す。
AA:転写率が95%以上であった。
A:転写率が80%以上95%未満であった。
B:転写率が50%以上80%未満であった。
C:転写率が50%未満であった。
(画像の乱れ)
記録した画像を光学顕微鏡で観察して色抜けの発生の有無を確認し、以下に示す評価基準にしたがって画像の乱れを評価した。画像移動が生ずると、ベタ画像に色抜けが発生する。色抜けは、画像の一部又は全部の移動により生ずる色ムラや記録媒体の露出などの総称である。転写性が不良であり、記録媒体に記録した画像の画質を判断できない場合には、転写体上の第2の中間画像を観察して評価した。本発明においては、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。結果を表4に示す。
A:色抜けが発生しておらず、良好なベタ画像であった。
B:一部に色抜けが発生していたが許容範囲であった。
C:色抜けが発生しており、ベタ画像が形成できていなかった。
記録した画像を光学顕微鏡で観察して色抜けの発生の有無を確認し、以下に示す評価基準にしたがって画像の乱れを評価した。画像移動が生ずると、ベタ画像に色抜けが発生する。色抜けは、画像の一部又は全部の移動により生ずる色ムラや記録媒体の露出などの総称である。転写性が不良であり、記録媒体に記録した画像の画質を判断できない場合には、転写体上の第2の中間画像を観察して評価した。本発明においては、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。結果を表4に示す。
A:色抜けが発生しておらず、良好なベタ画像であった。
B:一部に色抜けが発生していたが許容範囲であった。
C:色抜けが発生しており、ベタ画像が形成できていなかった。
(耐ブロッキング性)
上記の転写性の評価の場合と同様の条件で、コート紙(商品名「オーロラコート紙」、日本製紙製)に画像(5cm×5cmのベタ画像)を記録して記録物を得た。そして、JIS K 5701:2000に準拠した以下に示す手順にしたがって、画像の耐ブロッキング性を評価した。まず、温度40℃、湿度90%に調節した恒温恒湿装置に6枚の記録物を入れて1時間放置した。次いで、恒温恒湿装置から取り出した記録物を画像同士が接触するように2枚ずつ向かい合わせて重ねた積層体3組をゴムブランケットの上に積み重ねるとともに、その上にガラス板を載置した。このガラス板の上に、157g/m2の紙5,000枚を積載する条件を想定したおもりを載せて加圧し、温度40℃、湿度90%に調節した恒温恒湿装置に入れて24時間放置した。恒温恒湿装置から取り出した積層体を1組ずつ手で引き離し、以下に示す評価基準にしたがって耐ブロッキング性を評価した。本発明においては、「0」、「−1」、「−2」、及び「−3」を許容できるレベル、「−4」及び「−5」を許容できないレベルとした。結果を表4に示す。
0:画像同士が接着していなかった。
−1:触るだけで分離した。
−2:逆さにしても分離しないが、一方の記録物を固定して振ると簡単に分離した。
−3:振っても分離しないが、静かに剥がすことができた。
−4:分離しにくく、剥がす際に音がした。
−5:処理液やインクが裏移りしたり、記録媒体の基材(紙や塗工層)が剥がれたりした。
上記の転写性の評価の場合と同様の条件で、コート紙(商品名「オーロラコート紙」、日本製紙製)に画像(5cm×5cmのベタ画像)を記録して記録物を得た。そして、JIS K 5701:2000に準拠した以下に示す手順にしたがって、画像の耐ブロッキング性を評価した。まず、温度40℃、湿度90%に調節した恒温恒湿装置に6枚の記録物を入れて1時間放置した。次いで、恒温恒湿装置から取り出した記録物を画像同士が接触するように2枚ずつ向かい合わせて重ねた積層体3組をゴムブランケットの上に積み重ねるとともに、その上にガラス板を載置した。このガラス板の上に、157g/m2の紙5,000枚を積載する条件を想定したおもりを載せて加圧し、温度40℃、湿度90%に調節した恒温恒湿装置に入れて24時間放置した。恒温恒湿装置から取り出した積層体を1組ずつ手で引き離し、以下に示す評価基準にしたがって耐ブロッキング性を評価した。本発明においては、「0」、「−1」、「−2」、及び「−3」を許容できるレベル、「−4」及び「−5」を許容できないレベルとした。結果を表4に示す。
0:画像同士が接着していなかった。
−1:触るだけで分離した。
−2:逆さにしても分離しないが、一方の記録物を固定して振ると簡単に分離した。
−3:振っても分離しないが、静かに剥がすことができた。
−4:分離しにくく、剥がす際に音がした。
−5:処理液やインクが裏移りしたり、記録媒体の基材(紙や塗工層)が剥がれたりした。
Claims (8)
- 水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
多価金属塩を含有する反応液を転写体に付与する反応液付与工程と、
アニオン性基を有する樹脂及び色材を含有する前記水性インクを前記転写体に付与して第1の中間画像を形成する第1の中間画像形成工程と、
ヒドロキシ酸を含有する処理液を前記第1の中間画像に付与して第2の中間画像を形成する第2の中間画像形成工程と、
前記第2の中間画像を前記記録媒体に接触させて転写する転写工程と、を有することを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記アニオン性基を有する樹脂が、アニオン性基を有する樹脂粒子である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記アニオン性基を有する樹脂粒子のアニオン性基の量(μmol/g)が、120μmol/g以上である請求項2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記アニオン性基を有する樹脂が、アニオン性基を有する水溶性樹脂である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記転写体に付与された前記反応液の前記多価金属の、前記転写体の単位面積当たりの量x(mol/m2)と、前記第1の中間画像に付与された前記処理液の前記ヒドロキシ酸の、前記転写体の単位面積当たりの量y(mol/m2)とが、x>yの関係を満たす請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記処理液が、さらに、樹脂粒子を含有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記処理液が、さらに、水溶性樹脂を含有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するために用いるインクジェット記録装置であって、
多価金属塩を含有する反応液を転写体に付与する反応液付与手段と、
アニオン性基を有する樹脂及び色材を含有する前記水性インクを前記転写体に付与して第1の中間画像を形成するインク付与手段と、
ヒドロキシ酸を含有する処理液を前記第1の中間画像に付与して第2の中間画像を形成する処理液付与手段と、
前記第2の中間画像を前記記録媒体に接触させて転写する転写手段と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019227466A JP2021094782A (ja) | 2019-12-17 | 2019-12-17 | インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019227466A JP2021094782A (ja) | 2019-12-17 | 2019-12-17 | インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021094782A true JP2021094782A (ja) | 2021-06-24 |
Family
ID=76430137
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019227466A Pending JP2021094782A (ja) | 2019-12-17 | 2019-12-17 | インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021094782A (ja) |
-
2019
- 2019-12-17 JP JP2019227466A patent/JP2021094782A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6682331B2 (ja) | インクジェット記録方法 | |
US20190001710A1 (en) | Inkjet recording method and inkjet recording apparatus | |
US9067449B2 (en) | Image recording method by serially transferring intermediate images | |
JP6904816B2 (ja) | 印刷装置および印刷方法 | |
US20170368818A1 (en) | Intermediate transfer body, image recording method, and image forming apparatus | |
JP2021126859A (ja) | インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 | |
JP2021094782A (ja) | インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 | |
JP2019014234A (ja) | インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 | |
US10668728B2 (en) | Ink jet recording method and ink jet recording apparatus | |
JP2021094730A (ja) | インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 | |
JP2021130270A (ja) | インクジェット記録方法 | |
JP7076982B2 (ja) | 印刷装置および印刷方法 | |
JP2019059187A (ja) | インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 | |
JP6980434B2 (ja) | 転写体、転写型インクジェット記録装置及び転写型インクジェット記録方法 | |
US10603898B2 (en) | Ink jet recording method and ink jet recording apparatus | |
JP2019059186A (ja) | インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 | |
JP2021074927A (ja) | インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 | |
JP2021126858A (ja) | インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 | |
JP2019014235A (ja) | インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 | |
JP2019018576A (ja) | インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 | |
JP6679790B2 (ja) | 画像記録装置 | |
JP2019018561A (ja) | インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 | |
US20210187938A1 (en) | Inkjet recording method and inkjet recording apparatus | |
JP2019059188A (ja) | インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 | |
US10525754B2 (en) | Ink jet recording method and ink jet recording apparatus |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20200221 |