JP2021130270A - インクジェット記録方法 - Google Patents

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明子 富永
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幹雄 真田
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【課題】転写体上のワックス残渣が有効に除去され、高品位な画像を安定して繰り返し記録することが可能な転写型のインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】性インクを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法である。ワックスを転写体に塗布するワックス塗布工程、反応液付与工程、中間画像形成工程、転写工程、及びクリーニング部材を転写体に接触させてワックス残渣を除去するクリーニング工程をこの順に有し、クリーニング工程における転写体の表面温度が、ワックスの針入度が50以上となる温度以上であり、クリーニング工程において、転写体に接触させる際のクリーニング部材の温度が、ワックスの融点及び転写体の表面温度のいずれよりも低い。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法では、色材を含有する液体組成物(インク)を紙などの記録媒体に直接又は間接的に付与して画像を記録する。記録媒体にインクを付与した際に、インク中の液体成分が記録媒体に過剰に吸収されてしまうと、記録媒体にカールやコックリングなどに不具合が生ずることがある。カールやコックリングなどの不具合を防止すべく、例えば、温風や赤外線などの乾燥手段を用いて記録媒体を乾燥する方法が提案されている。さらに、転写体上に中間画像を形成した後、中間画像に含まれる液体成分を熱エネルギーの付与などにより除去し、次いで、記録媒体に中間画像を転写する方式(以下、「転写方式」とも記す)を採用した記録方法が考案されている。
転写方式を採用した記録方法では、転写後の転写体上の残留物などが、その後の画像形成を阻害してしまい、得られる画像の品位が劣化しやすくなるといった課題がある。具体的には、転写体上の残留物が、転写体と記録媒体の接触状態に影響を及ぼしてしまい、転写不良が発生して画像に白抜けなどの不具合が生ずることがある。
このような不具合を解消すべく、例えば、第1離型剤、第2離型剤、及びインクを転写体に順次付与して形成した画像を記録媒体に転写した後、クリーニングする転写体の温度を制御する記録方法が提案されている(特許文献1)。また、転写体に液体を付与して清掃する第1クリーニング手段と、転写体よりも粘着力が大きい粘着手段を転写体に接触させて清掃する第2クリーニング手段と、を有する記録装置が提案されている(特許文献2)。
特開2009−051118号公報 特開2009−072928号公報
しかし、特許文献1及び2で提案された方法や装置では、転写後の転写体上に残ったワックスなどの残渣(ワックス残渣)を十分に除去することが困難であった。転写体上に存在するワックス残渣は、その後の画像記録を阻害し、繰り返し記録した際にドット欠けや白抜けなどの不具合が画像に生じやすく、画像品位が低下する原因となっていた。
したがって、本発明の目的は、転写体上のワックス残渣が有効に除去され、高品位な画像を安定して繰り返し記録することが可能な転写型のインクジェット記録方法を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、ワックスを転写体に塗布するワックス塗布工程と、前記水性インクと反応する反応剤を含有する反応液を前記転写体に付与する反応液付与工程と、前記水性インクを前記転写体に付与して中間画像を形成する中間画像形成工程と、前記中間画像を前記記録媒体に接触させて転写する転写工程と、クリーニング部材を前記転写体に接触させて、前記転写体上のワックス残渣を除去するクリーニング工程と、をこの順に有し、前記クリーニング工程における前記転写体の表面温度が、前記ワックスの針入度が50以上となる温度以上であり、前記クリーニング工程において、前記転写体に接触させる際の前記クリーニング部材の温度が、前記ワックスの融点及び前記転写体の表面温度のいずれよりも低いことを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、転写体上のワックス残渣が有効に除去され、高品位な画像を安定して繰り返し記録することが可能な転写型のインクジェット記録方法を提供することができる。
転写型のインクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性の反応液及び水性のインクのことを、単に「反応液」及び「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を意味する。
本発明のインクジェット記録方法は、水性インクを用いて記録媒体に画像を記録する方法であり、ワックス塗布工程、反応液付与工程、中間画像形成工程、転写工程、及びクリーニング工程をこの順に有する。ワックス塗布工程は、ワックスを転写体に塗布する工程である。反応液付与工程は、水性インクと反応する反応剤を含有する反応液を転写体に付与する工程である。中間画像形成工程は、水性インクを転写体に付与して中間画像を形成する工程である。転写工程は、中間画像を記録媒体に接触させて転写する工程である。また、クリーニング工程は、クリーニング部材を転写体に接触させて、転写体上のワックス残渣を除去する工程である。そして、クリーニング工程における転写体の表面温度は、ワックスの針入度が50以上となる温度以上である。さらに、クリーニング工程において、転写体に接触させる際のクリーニング部材の温度は、ワックスの融点及び転写体の表面温度のいずれよりも低い。
融点以上の液体状態のワックスは、通常、転写体との濡れ性を示さない。このため、ワックスを付与するときの転写体の表面温度はワックスの融点未満とすることが好ましい。このように、ワックスの融点未満となるように温度制御した転写体にワックスを付与し、ワックスを液体から固体へと急激に状態変化させて、濡れにくい転写体上にワックスの薄膜(ワックス層)を形成しやすくなる。次いで、反応液及びインクを転写体、より具体的には、転写体上に形成したワックス層上に順次付与し、膜状の中間画像を転写体上に形成する。
転写工程では、転写体上に形成されたワックス層及び中間画像を記録媒体に接触させる。ワックス層は転写体に対する濡れ性を示さないため、通常、中間画像とともに記録媒体へと転写される。さらに、転写時の転写体の表面温度をワックスの融点以上の温度に制御することで、ワックス層は転写体から弾かれるように記録媒体へと容易に転写される。
しかし、転写工程後の転写体上には、記録媒体へと転写されなかったワックス(ワックス残渣)が残ることがあるので、転写体上のワックス残渣を除去するクリーニング工程が必要となる。ここで、ワックス残渣の除去(クリーニング)が不十分な状態で次の画像記録を実施すると、得られる画像の品位が低下しやすくなる。具体的には、転写体上にワックスを均一に塗布することが困難になり、記録媒体への中間画像の転写性が低下する。さらに、ドットの欠けや白抜けなどの不具合が画像に生じやすくなり、画像品位が低下する。
転写体上のワックス残渣には、ワックスが含まれている。ワックスを溶解しやすい疎水性の有機溶剤を用いて転写体をクリーニングすることが有効であるとも考えられる。しかし、疎水性の有機溶剤を繰り返し用いると、転写体の表面や転写体の周囲に配置される部材などにダメージを与えることが懸念されるとともに、廃液の処理が必要となり、工程が複雑化する。また、ブレードやスクレイパーなどの部材でワックス残渣を強引に「掻き取る」動作を繰り返すと、転写体の表面に物理的なダメージを与えることが懸念される。そこで、本発明者らは、転写体の表面や部材などに与えるダメージを低減しながら、ワックス残渣を十分に除去する方法について検討し、本発明の構成を見出すに至った。
本発明のインクジェット記録方法では、クリーニング工程における転写体の表面温度を、ワックスの針入度が50以上となる温度以上とする。ワックスの針入度が50以上となる温度条件下では、ワックスは完全な固体ではなく「柔らかい」状態となっており、ワックスの融点を超えた温度条件下で「液体」状態となる。クリーニング工程では、上記のような状態のワックスを含むワックス残渣が表面上に存在する転写体に、ワックスの融点及び転写体の表面温度のいずれよりも低い温度のクリーニング部材を接触させて除去する。所定の温度以下に制御した、いわゆる「低温」のクリーニング部材を転写体に当接させることで、転写体上のワックス残渣はより固い「固体」状態へと変化し、転写体からクリーニング部材へと移動する。ワックスの状態変化を利用して転写体をクリーニングするので、クリーニング部材を比較的軽い応力で転写体に接触させればよく、転写体へのダメージを低減することが可能であり、高品位な画像を安定して繰り返し記録することができる。以下、本発明のインクジェット記録方法の詳細につき、好適に使用しうるインクジェット記録装置の構成など参酌しつつ、説明する。
<転写型のインクジェット記録装置>
まず、本発明のインクジェット記録方法に用いる転写型のインクジェット記録装置について説明する。図1は、転写型のインクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。転写方式には、ベルト搬送を用いるベルト型;円筒表面に転写体を張り付けたドラム型;任意のサイズに設定された転写体を個別搬送するタンデム型;などがある。図1に示す転写型のインクジェット記録装置100では、ドラム型の転写方式を採用している。このインクジェット記録装置100は、転写体101を介して記録媒体108に中間画像を転写して記録物を製造する、枚葉式の記録装置である。図1中、X方向、Y方向、及びZ方向が、それぞれ、インクジェット記録装置100の幅方向(全長方向)、奥行き方向、及び高さ方向を示す。記録媒体108はX方向に搬送される。
インクジェット記録装置100は、転写体101、ワックス層形成装置110、反応液付与装置103、インクジェットヘッドを有するインク付与装置104、液除去装置105、押圧部材106、及びローラ形状のクリーニング部材109を備える。転写体101は、支持部材102によって支持されている。ワックス層形成装置110により、ワックスが転写体102に塗布され、転写体101上にワックス層が形成される。反応液付与装置103により、インクと反応する反応剤を含有する反応液が転写体101に付与される。インク付与装置104により、反応液が付与された転写体101にインク及び転写補助液が付与され、転写体101上に中間画像が形成される。液除去装置105により、転写体101上の中間画像から液体成分が除去される。液体成分が除去された転写体101上の中間画像は、紙などの記録媒体108に接触するとともに、押圧部材106により押圧されることで記録媒体108に転写される。クリーニング部材109は、中間画像が記録媒体108に転写された後の転写体101に接触することで、転写体101上のワックス残渣を除去する部材である。転写体101、反応液付与装置103、インク付与装置104のインクジェットヘッド、液除去装置105、及びクリーニング部材109は、それぞれ、記録媒体108の幅に対応するY方向における長さを有している。
転写体101は支持部材102の回転軸102aを中心として図1中の矢印Aの方向に回転する。この支持部材102の回転により、転写体101が移動する。移動する転写体101上に、反応液付与装置103及びインク付与装置104によって反応液及びインクが順次付与され、転写体101上に中間画像が形成される。転写体101上に形成された中間画像は、転写体101の移動によって液除去装置105まで移動する。
液除去装置105によって液体成分が除去された中間画像は、液体成分が除去される前の中間画像と比べて、インクが濃縮された状態となっている。液体成分が除去された中間画像は、転写体101により、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108と接触する転写部へと移動される。中間画像が記録媒体108と接触している間に、押圧部材106が転写体101を押圧し、記録媒体108上に中間画像が転写される。その後、記録媒体108に転写しきれなかった中間画像の残留分をクリーニング部材109によって除去する。転写後の転写体101上には、中間画像の残留分が転写残りとして少なからず存在する。
ワックスは、画像に堅牢性を付与するための成分であるため、転写体101に最初に付与され、ワックス層が形成される。そして、形成されたワックス層上に、反応液付与及びインクが順次付与されて、中間画像が形成される。このため、転写体101に直接的に接触しているワックスが、中間画像の残留分(ワックス残渣)となって転写体101上に残りやすい。
<転写体>
転写体101(図1)は、画像形成面を含む表面層を有する。表面層の部材としては、樹脂、セラミックスなどの各種材料を適宜用いることができる。耐久性などの点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物などを挙げることができる。表面層は、中間画像の転写性、ワックス残渣のクリーニング性などの観点から、ワックスが濡れにくいほうが好ましい。このため、表面自由エネルギーを低下させるための表面処理を表面層に施してもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などを挙げることができる。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
転写体は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を表面層の支持部材側に有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の部材としては、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどを挙げることができる。上記のゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤などを配合し、さらに発泡剤、中空微粒子又は食塩などの充填剤を必要に応じて配合して多孔質構造としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性及び耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものとがあり、いずれの構造であってもよい。
転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の部材としては、樹脂、セラミックスなどの各種材料を適宜用いることができる。加工特性などの点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンの共重合体、ニトリルブタジエンゴムなどを挙げることができる。なかでも、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率の高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体は前述の材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。転写体の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、シート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状などを挙げることができる。
<支持部材>
転写体101は、支持部材102上に支持されている(図1)。転写体の支持には、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、転写体に取り付けた金属、セラミックス、樹脂などの材質で構成された設置用部材を用いて、支持部材上に転写体を支持してもよい。
支持部材は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には、金属、セラミックス、樹脂などが好ましく用いられる。なかでも、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上しうる材質が好ましい。このような材質としては、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミックス、アルミナセラミックスなどを挙げることができる。
<ワックス層形成装置>
ワックス層形成装置110は、ワックスを収容するワックス収容部110a、及びワックス収容部110aに収容されたワックスを転写体101上に付与するワックス付与部材110b、110cを備える(図1)。ワックス層形成装置110によって転写体101上にワックスが塗布され、薄膜状のワックス層が転写体101上に形成される。形成されたワックス層上には、反応液及びインクが順次付与されて中間画像が形成される。
ワックスは、流動性を示す液体状態でワックス収容部110a内に収容されており、ワックス付与部材110b、110cを経由して液体状態のままで転写体101に塗布される。ワックス付与部材110cと接触する位置(図1中、「F」で示される位置)における転写体101の表面温度がワックスの融点未満の温度に制御されることが好ましい。これにより、転写体101に塗布されたワックスは冷却固化し、薄膜状のワックス層が形成しやすくなる。ワックス層の厚さは、均一であることが好ましい。ワックス塗布工程では、ワックスを転写体に塗布して厚さ2μm以下のワックス層を形成することが好ましい。ワックスが厚すぎると、クリーニング部材の接触によって転写体上のワックス残渣を十分に冷却することが困難になる場合があり、ワックス残渣の除去がやや不十分になることがある
転写体にワックスを塗布するには、従来公知の各種装置を適宜用いることができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などを挙げることができる。図1に示すワックス層形成装置110においては、ワックス付与部材110bがグラビアオフセットローラに対応し、ワックス付与部材110cがオフセットローラに対応する。
<ワックス>
ワックスとしては、蜜蝋、ラノリン、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックスなどの天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油ワックス;フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ワックスなどの合成ワックス;ウレタン変性ワックス、アルコール変性ワックスなどの変性ワックス;の他、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体ワックスなどを挙げることができる。なかでも、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、及びこれらの変性物からなる群より選択される少なくとも1種のワックスを用いることが好ましい。
ワックスの表面自由エネルギーγ(mN/m)は、転写体上の表面自由エネルギーγ(mN/m)よりも高いことが好ましい。このようなワックスを用いることで、画像の転写性をさらに向上させることができる。
ワックスの融点は、ASTM D3418の温度測定パターンに準じて測定することができる。具体的には、熱分析装置(例えば、商品名「DSC−7」(パーキンエルマー製))を使用し、昇温速度10℃/min、ASTM D3418の温度測定パターンに準じて測定した最高融解温度のピークトップの値をワックスの融点(℃)とすることができる。
ワックスの針入度は、石油アスファルトや石油ワックスの硬さの指標となる物性値であり、一定温度に保持した試料(ワックス)に規定の針が垂直に進入した長さ(mm)の10倍の値で表される。針入度の測定方法は、JIS K 2207:2006(石油アスファルト)に規定されている。
<反応液付与装置>
反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103a、反応液収容部103aに収容された反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cを備える(図1)。反応液付与装置としては、反応液を転写体に付与しうる従来公知の各種装置を適宜用いることができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などを挙げることができる。図1及び2に示す反応液付与装置103においては、反応液付与部材103bがグラビアオフセットローラに対応し、反応液付与部材103cがオフセットローラに対応する。
反応液は、インクを付与する前に転写体に付与する。インクを付与する前に反応液を転写体に付与することで、インクジェット方式により吐出されたインクの液滴同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクの液滴が後に着弾したインクの液滴に引き寄せられるビーディングを抑制することができる。
<反応液>
反応液は、インクと反応する反応剤を含有する。この反応剤は、インクと接触することによりインク中のアニオン性基を有する成分(樹脂、自己分散顔料など)を凝集させる成分である。反応剤としては、多価金属イオン、カチオン性樹脂などのカチオン性成分や、有機酸など挙げることができる。
多価金属イオンとしては、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+などの二価の金属イオン;Fe3+、Cr3+、Y3+及びAl3+などの三価の金属イオン;を挙げることができる。反応液に多価金属イオンを含有させるために、多価金属イオンとアニオンとが結合して構成される多価金属塩(水和物であってもよい)を用いることができる。アニオンとしては、Cl、Br、I、ClO、ClO 、ClO 、ClO 、NO 、NO 、SO 2−、CO 2−、HCO 、PO 3−、HPO 2−、及びHPO などの無機アニオン;HCOO、(COO、COOH(COO)、CHCOO、C(COO、CCOO、C(COO及びCHSO などの有機アニオンを挙げることができる。反応剤として多価金属イオンを用いる場合、反応液中の多価金属塩換算の反応剤の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上10.00質量%以下であることが好ましい。
有機酸を含有する反応液は、酸性領域(pH7.0未満、好ましくはpH2.0〜5.0)に緩衝能を有することによって、インク中に存在する成分のアニオン性基を酸型にして凝集させる。有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、チオフェンカルボン酸、レブリン酸、クマリン酸などのモノカルボン酸及びその塩;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、セバシン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸などのジカルボン酸、及びその塩や水素塩;クエン酸、トリメリット酸などのトリカルボン酸、及びその塩や水素塩;ピロメリット酸などのテトラカルボン酸、及びその塩や水素塩;などを挙げることができる。
カチオン性樹脂としては、1〜3級アミンの構造を有する樹脂、4級アンモニウム塩の構造を有する樹脂などを挙げることができる。カチオン性樹脂としては、ビニルアミン、アリルアミン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、エチレンイミン、グアニジンなどの構造を有する樹脂などを挙げることができる。反応液への溶解性を高めるために、カチオン性樹脂と酸性化合物とを併用したり、カチオン性樹脂に4級化処理を施したりすることもできる。反応剤としてカチオン性樹脂を用いる場合、反応液中のカチオン性樹脂の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上10.00質量%以下であることが好ましい。
反応液には、反応剤以外の成分として、後述するインクに含有させることができる水、水溶性有機溶剤、その他の添加剤などと同様のものを含有させることができる。
<インク付与装置>
転写型のインクジェット記録装置100は、転写体101にインクを付与するインク付与装置104を備える(図1)。転写体上では反応液とインクが接触及び混合し、中間画像が形成される。そして、液除去装置によって中間画像像から液体成分が除去される。
インクを付与するインク付与装置として、インクジェット法によりインクを吐出するインクジェットヘッドを用いる。インクジェットヘッドとしては、電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態;電気−機械変換体によってインクを吐出する形態;静電気を利用してインクを吐出する形態;などを挙げることができる。インクジェットヘッドとしては、公知のインクジェットヘッドを用いることができる。なかでも、高速で高密度の印刷を実施する観点から、電気−熱変換体を利用するインクジェットヘッドが好ましい。画像信号を受け、各位置に必要なインク量を付与することで描画される。
図1に示すインク付与装置104のインクジェットヘッドは、Y方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体108の画像記録領域の幅分をカバーする範囲にノズルが配列されている。インクジェットヘッドは、その下面(転写体101側)にノズルが開口したインク吐出面を有する。インク吐出面は、微小な隙間(数ミリ程度)を空けて転写体101の表面と対向している。
インク付与量は、画像濃度(duty)やインク厚みで表現することができる。また、各インクドットの質量に付与個数を掛け、印字面積で割った平均値をインク付与量(g/m)としてもよい。画像領域における最大インク付与量は、インク中の液体成分を除去する観点から、転写体の情報として用いられる領域内において、少なくとも5mm以上の面積において付与されているインク付与量を示す。
インク付与装置は、転写体上に各色のカラーインクを付与するために、複数のインクジェットヘッドを有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、及びブラックインクを用いて各色の画像を形成する場合、インク付与装置は4種類のインクを転写体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有する。4つのインクジェットヘッドは、X方向に並ぶように配置される。
また、インク付与装置は、色材を含有しない又は極少量含有する、実質的に透明なクリアインクを吐出するインクジェットヘッドを有していてもよい。クリアインクを、反応液及びカラーインクとともに中間画像を形成するために利用することができる。例えば、画像の光沢性を向上させるためにクリアインクを用いることができる。転写後の画像に光沢感が付与されるように、クリアインクに配合する樹脂成分の含有量を適宜調整すればよい。また、クリアインクの吐出位置を制御してもよい。クリアインクは、最終的に得られる画像において、カラーインクよりも表層側に存在していることが好ましい。このため、転写体型のインクジェット記録装置では、カラーインクよりも前にクリアインクを転写体に付与することが好ましい。すなわち、インク付与装置と対面する転写体の移動方向において、クリアインク用のインクジェットヘッドを、カラーインク用のインクジェットヘッドよりも上流側に配置することが好ましい。
また、転写体から記録媒体への中間画像の転写性を向上させるために、クリアインクを利用することもできる。例えば、粘着性を発現する成分をクリアインクに多く配合することで、クリアインクを転写性向上液として利用することができる。例えば、インク付与装置と対面する転写体の移動方向において、クリアインク用のインクジェットヘッドを、カラーインク用のインクジェットヘッドよりも下流側に配置する。そして、転写体にカラーインクを付与した後、クリアインクをさらに付与して、中間画像の最表面にクリアインクを存在させる。記録媒体に中間画像を転写する際、最表面のクリアインクが適度な粘着力で記録媒体に粘着するので、転写性が向上する。
<インク>
インクは、通常、色材、樹脂粒子、及び水性媒体などを含有する。以下、インクの各成分について説明する。
(色材)
色材として、顔料や染料を用いることができる。インク中の色材の含有量は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン、イソインドリノン系、イミダゾロン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系などの有機顔料;を挙げることができる。顔料を分散方式で分類すると、樹脂分散剤により分散させた樹脂分散顔料;顔料の粒子表面にアニオン性基などの親水性基を直接又は他の原子団を介して結合させた自己分散顔料などを挙げることができる。分散方式の異なる顔料を組み合わせて用いてもよい。
樹脂分散剤としては、インクジェット用の水性インクに用いられる公知の樹脂分散剤を使用することができる。なかでも、親水性ユニット及び疎水性ユニットを分子鎖中に併せ持つアクリル系の水溶性の樹脂分散剤を用いることが好ましい。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどを挙げることができる。
インク中の樹脂分散剤は、液媒体に溶解した状態であってもよく、液媒体中に樹脂粒子として分散した状態であってもよい。水溶性樹脂とは、酸価と当量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法により粒子径を測定しうる粒子を形成しない樹脂を意味する。
アニオン性基などの親水性基を有する親水性ユニットは、親水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸などのアニオン性基を有する酸性モノマー、これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマーなどを挙げることができる。酸性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。
アニオン性基などの親水性基を実質的に有しない疎水性ユニットは、疎水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。疎水性基を有するモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有するモノマー;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの脂肪族基を有するモノマー((メタ)アクリルエステル系モノマー);などを挙げることができる。
樹脂分散剤の酸価は、50mgKOH/g以上550mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。樹脂分散剤の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上50,000以下であることが好ましい。インク中の顔料の含有量(質量%)は、樹脂分散剤の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.3倍以上10.0倍以下であることが好ましい。
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、直接又は他の原子団(−R−)を介して顔料の粒子表面に結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合のカウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン;アンモニウム;有機アンモニウム;などを挙げることができる。また、他の原子団(−R−)としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基、フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基、アミド基、スルホニル基、アミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基としてもよい。
染料としては、アニオン性基を有する染料を用いることが好ましい。染料としては、アゾ系、トリフェニルメタン系、(アザ)フタロシアニン系、キサンテン系、アントラピリドン系などの染料を挙げることができる。
(樹脂粒子)
樹脂粒子は、色材を含むものである必要はない。樹脂粒子を含有するインクを用いることで、得られる画像の品位や定着性を向上させることができる。
樹脂粒子としては、オレフィン系、ポリスチレン系、ウレタン系、アクリル系などの各種の樹脂で構成される樹脂粒子を挙げることができる。樹脂粒子を構成する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上2,000,000以下であることが好ましい。動的光散乱法により測定される樹脂粒子の体積平均粒子径は、10nm以上1,000nm以下であることが好ましく、100nm以上500nm以下であることがさらに好ましい。インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上40.0質量%以下であることがさらに好ましい。
(水性媒体)
インクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する水性インクである。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものを用いることができる。
(その他添加剤)
インクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂など種々の添加剤を含有させることができる。
<液除去装置>
液除去装置105は、転写体101上に形成された中間画像から液体成分を除去する装置である(図1)。液除去装置によれば、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法などによって中間画像から液体成分を除去することができる。加熱による方法としては、短時間で効率的に加熱できることから、赤外線ヒータを用いる方法が好ましい。さらに、多孔質体を含む液吸収部材を中間画像に押し当てることで、中間画像から液体成分を吸収して除去する手段を採用した液吸収装置としてもよい。
中間画像に含まれる、除去対象となる液体成分は、通常、一定形状を有さず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有する。液体成分は、例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒などである。
多孔質体を含む液吸収部材は、ローラの外周面に配設されてもよいし、液吸収部材自体が無端のシート状に形成されており、循環的に走行されるものであってもよい。中間画像を保護する観点から、液吸収部材の移動速度と、転写体の周速度とを同期させることが好ましい。
インク中の固形分が付着するのを抑制すべく、液吸収部材に用いる多孔質体の孔径は、10μm以下であることが好ましい。多孔質体の孔径は、多数の孔の平均直径を意味する。多孔質体の孔径(平均直径)は、水銀圧入法、窒素吸着法、SEM画像観察などの方法によって測定することができる。
<転写用の押圧部材>
転写体101上の液除去後の中間画像を、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108に接触させるとともに、転写用の押圧部材106により押圧することで、記録媒体108に中間画像が転写される(図1)。液体成分を除去後の中間画像を記録媒体に転写することで、カールやコックリングなどの不具合の発生を抑制しつつ、画像を記録することができる。
押圧部材は、記録媒体の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。押圧部材の材質としては、金属、セラミック、樹脂などが好ましい。なかでも、転写時の加圧に耐えうる剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上しうる材質が好ましい。このような材質としては、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミックス、アルミナセラミックスなどを挙げることができる。
転写体上の中間画像を記録媒体に転写する際に、押圧部材が転写体を押圧する時間(押圧時間)は、転写が良好に行われ、かつ、転写体の耐久性が損なわれない範囲とすることが好ましく、5ms以上100ms以下とすることがさらに好ましい。押圧時間は、記録媒体と転写体が接触している時間である。押圧時間は、面圧分布測定器(商品名「I−SCAN」、新田製)を使用して面圧を測定し、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で除して得ることができる。
押圧部材が転写体を押圧する圧力は、転写が良好に行われ、かつ、転写体の耐久性が損なわれない範囲とすることが好ましい。押圧部材が転写体を押圧する圧力は、9.8N/cm(1kg/cm)以上294.2N/cm(30kg/cm)以下とすることが好ましい。押圧部材が転写体を押圧する圧力は、記録媒体と転写体の間のニップ圧である。押圧部材が転写体を押圧する圧力は、面圧分布測定器(商品名「I−SCAN」、新田製)を使用して面圧を測定し、加圧領域における加重を面積で除して得ることができる。
押圧部材が転写体を押圧する際の温度は、インクに含まれる樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移点以上又は軟化点以上の温度とすることが好ましい。転写体上の中間画像、転写体、及び記録媒体を加熱する加熱手段を使用して、押圧部材が転写体を押圧する際の温度を制御することが好ましい。転写手段の形状としては、例えば、ローラ形状などを挙げることができる。
<記録媒体及び記録媒体搬送装置>
記録媒体108を搬送する記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107a及び記録媒体巻き取りローラ107bにより構成されている(図1)。そして、記録媒体搬送装置107は、記録媒体108を矢印Cの方向に搬送する。記録媒体としては、従来公知の記録媒体を用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物や、所定の寸法に裁断された枚葉物などを挙げることができる。記録媒体の材質としては、紙(段ボール紙などのボール紙を含む)、樹脂、木、金属などを挙げることができる。
<クリーニング部材>
クリーニング部材109は、中間画像が記録媒体108に転写された後の転写体101に接触し、転写体101上のワックス残渣を除去する部材である(図1)。また、クリーニング工程における転写体の表面温度は、クリーニング位置(図1中、「E」で示される位置)における転写体101の表面温度のことである。クリーニング部材を構成する材料としては、SUS、アルミニウム、スチール等の金属の他、ポリウレタン、シリコン、有機シロキサン化合物などを挙げることができる。なかでも、クリーニング部材を構成する材料は、金属材料であることが好ましい。熱伝導率の高い金属材料で構成されたクリーニング部材を用いることで、ワックス残渣をより速やかに固化させて除去することができる。
クリーニング部材の形状としては、ローラ形状、ブレード形状、ワイパー形状などを挙げることができる。なかでも、クリーニング部材の形状は、ローラ形状であることが好ましい。クリーニング工程では、転写体の表面温度よりも低い温度のクリーニング部材を転写体に接触させ、転写体上のワックス残渣を固化した状態へと変化させて、クリーニング部材へと移動させる。このため、転写体から除去されたワックス残渣は、クリーニング部材上に張り付いている。ブレード形状のクリーニング部材の場合、常に同じ部分が転写体に接触し、接触した部分にワックス残渣が堆積するため、堆積したワックス残渣を頻繁に除去する必要がある。一方、ローラ形状のクリーニング部材の場合、転写体と同期して回転させながらクリーニングするとともに、張り付いたワックス残渣を転写体と干渉しない箇所で除去することで、ワックス残渣が存在しない状態で転写体と接触させることができる。すなわち、ローラ形状のクリーニング部材を用いることで、転写体を連続してクリーニングすることが可能であり、繰り返し記録する場合であっても画像品位をより高く保つことができる。
図1に示すように、ローラ形状のクリーニング部材109の回転方向は、転写体101の回転方向(時計回り)と逆方向(反時計回り)であることが好ましい。これにより、転写体101とクリーニング部材109との摩擦を低減することができ、転写体101の表面への物理的なダメージを減らすことができる。また、転写体101とクリーニング部材109との間の相対速度差は小さいことが好ましい。これにより、転写体101の表面への物理的なダメージをさらに減らすことができる。
<転写体の温度制御>
本発明のインクジェット記録方法で使用するインクジェット記録装置は、クリーニング工程時の転写体の温度を制御するための温度制御機構を備えることが好ましい。転写体の温度を制御することで、クリーニングによるワックス残渣の除去効率を高めることができる。また、クリーニング工程だけでなく、他の工程においても転写体の温度制御をすることで、繰り返し記録する場合であっても画像品位をより高く保つことができるために好ましい。
図1に示すインクジェット記録装置100は、ワックス層形成装置110、反応液付与装置103、インク付与装置104、液除去装置105、押圧部材106、及びクリーニング装置109などを備える。転写体の温度を制御するための温度制御機構は、これらの装置同士の間に適宜設けることが好ましい。また、転写体101の内部や支持部材102に温度制御機構を内蔵させることも好ましい。
温度制御機構は、例えば、転写体の温度を検知する手段、加熱手段、及び冷却手段などを備える。転写体の温度を検知する手段としては、熱電対を用いた温度センサ、赤外線を感知する放射温度計などを挙げることができる。転写体の温度を検知する手段は、支持部材102(図1)に内蔵させてもよく、転写体の表面温度を検知するものであってもよい。具体的には、図1に示すように、転写工程直前における転写体101の表面温度を測定しうる位置に温度計111を設置することで、「転写工程における転写体の表面温度」を測定することができる。また、クリーニング工程直前における転写体101の表面温度を測定しうる位置に温度計112を設置することで、「クリーニング工程における転写体の表面温度」及び「クリーニング工程におけるクリーニング部材の温度」を測定することができる。
転写体の加熱手段としては、加熱ヒータ、赤外線ヒータ、温風ヒータなどを挙げることができる。転写体に加熱した部材(例えばローラ)を接触させる機構であってもよい。このような加熱手段は、転写体の内部や支持部材に内蔵させてもよい。また、転写体の表面を加熱しうる位置に加熱手段を設置してもよい。
転写体の冷却手段としては、放熱による冷却、送風機構などを挙げることができる。転写体に冷却した部材(例えばローラ)を接触させる機構であってもよい。このような冷却手段は、転写体の内部や支持部材に内蔵させてもよい。また、転写体の表面を冷却しうる位置に冷却手段を設置してもよい。
<クリーニング部材の温度制御>
クリーニング工程において、転写体に接触させる際のクリーニング部材の温度は、転写体の表面温度よりも低い。さらに、転写体に接触させる際のクリーニング部材の温度は、転写体の表面温度よりも20℃以上低いことが好ましい。転写体の表面温度よりも20℃以上低いクリーニング部材を転写体に当接させることで、転写体上のワックス残渣をより速やかに「固体」状態へと変化させることができる。これにより、ワックス残渣が転写体からクリーニング部材へとより有効に移動しやすくなるので、クリーニング性をより向上させることができる。
本発明のインクジェット記録方法で使用するインクジェット記録装置は、クリーニング工程時のクリーニング部材の温度を制御するための温度制御機構を備えることが好ましい。クリーニング部材の温度を制御することで、クリーニング工程でのクリーニング効率をより高めることができる。
温度制御機構は、例えば、クリーニング部材の温度を検知する手段、加熱手段、及び冷却手段などを備える。クリーニング部材の温度を検知する手段としては、熱電対を用いた温度センサ、赤外線を感知する放射温度計などを挙げることができる。クリーニング部材の温度を検知する手段は、クリーニング部材に内蔵させてもよく、クリーニング部材の表面温度を検知するものであってもよい。転写体を連続してクリーニングすると、転写体の熱を受けたクリーニング部材の温度が上昇してクリーニング効率が低下しやすくなることがある。このため、クリーニング部材を冷却する冷却装置を有するインクジェット記録装置を用いることが好ましい。
クリーニング部材の加熱手段としては、加熱ヒータ、赤外線ヒータ、温風ヒータなどを挙げることができる。このような加熱手段は、クリーニング部材に内蔵させてもよい。また、クリーニング部材の表面を加熱しうる位置に加熱手段を設置してもよい。クリーニング部材の冷却手段としては、放熱による冷却、送風機構などを挙げることができる。クリーニング部材に冷却した部材(例えばローラ)を接触させる機構であってもよい。
<クリーニング部材のクリーニング>
クリーニング部材へと転移するワックス残渣の量は、画像の記録を繰り返すにしたがって増加する。クリーニング部材へと転移したワックス残渣は、クリーニング部材と、転写体上のワックス残渣との間の熱の伝達を阻害する要因となるので、可能な限り除去することが好ましい。このため、クリーニング部材に付着及び蓄積したワックス残渣をクリーニングして除去する機構を有するインクジェット記録装置を用いることが好ましい。クリーニング部材上のワックス残渣の融点は、通常、ワックス自体の融点よりも低い。このため、クリーニング部材上のワックス残渣の状態は、固体状又は半固体状である。クリーニング装置としては、ブラシで擦る方式や、ブレードで掻き取る方式のものを適宜採用することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<転写体>
表1に示す種類の転写体を用意した。用意した転写体は、それぞれ、両面粘着テープを用いて支持部材に固定した。
(転写体1)
厚さ0.5mmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートを基材として用意した。この基材の表面に厚さ0.3mmのシリコーンゴム(商品名「KE12」、信越化学工業製)を配設して、転写体1を得た。
(転写体2)
グリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランを、1:1のモル比で混合し、加熱還流して縮合物を得た。得られた縮合物と、光カチオン重合開始剤(商品名「SP150」、ADEKA製)とを混合して混合物を得た。水の接触角が10°以下となるように、上記の基材表面を大気圧プラズマ処理した。得られた混合物を基材表面に付与した後、高圧水銀ランプを使用し、積算露光量:5,000mJ/cmとなるようにUV照射した。その後、150℃で2時間熱硬化させて、基材の表面に厚さ0.5μmの表面層が形成された転写体2を得た。
(転写体3〜5)
市販のポリプロピレンを転写体3とした。PETフィルム(商品名「テトロン(登録商標)」、帝人製)を転写体4とした。また、商品名「カプトンシート」(DuPont製)を転写体5とした。
Figure 2021130270
<ワックス>
表2に示す種類のワックスを用意した。ワックスの融点は、ASTM D3418の温度測定パターンに準じて測定した。具体的には、熱分析装置(例えば、商品名「DSC−7」(パーキンエルマー製))を使用し、昇温速度10℃/min、ASTM D3418の温度測定パターンに準じて測定した最高融解温度のピークトップの値をワックスの融点(℃)とした。
ワックスの針入度は、針入度試験機器(商品名「KA−1」、関西機器製作所製)を使用して測定した。針としては、直径1mmφ、質量2.5gのステンレス製(SUS440−c)の針を用いた。また、45gの針保持具、及び50gの黄銅製の錘を用いた。内径55mm×深さ35mmの試料容器に、深さ10mm以上となるようにワックスを入れた。この試料容器をガラス容器(恒温槽、内径110mm×深さ60mm)内に設置し、ガラス容器と試料容器の隙間を純水で満たし、外部ヒータによって純水の温度を可変にした。ワックス及び純水の温度を、放射温度計(商品名「IT−545」、堀場製作所製)を使用して測定した。針に荷重(全量100g)を付加し、ワックスに垂直に5秒間進入させた距離を測定し、針入度を算出した。
Figure 2021130270
<反応液の調製>
(反応液1)
以下に示す成分を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、反応液1を調製した。以下に示す成分のうち、「メガファックF444」は、フッ素系のノニオン性界面活性剤(DIC製)の商品名である。
・リンゴ酸:30.0質量%
・グリセリン:7.0質量%
・水酸化カリウム(中和剤):5.0質量%
・メガファックF444:5.0質量%
・イオン交換水:53.0質量%
(反応液2)
以下に示す成分を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、反応液2を調製した
・硝酸カルシウム・4水和物:30.0質量%
・グリセリン:7.0質量%
・メガファックF444:5.0質量%
・イオン交換水:58.0質量%
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
酸価150mgKOH/g、重量平均分子量8,000のスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(樹脂1)を用意した。樹脂1 20.0部を、その酸価と等モルの水酸化カリウムで中和した後、適量の純水を加え、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である樹脂1の水溶液を調製した。顔料(カーボンブラック)10.0部、樹脂1の水溶液15.0部、及び純水75.0部を混合して混合物を得た。得られた混合物及び0.3mm径のジルコニアビーズ200部をバッチ式の縦型サンドミル(アイメックス製)に入れ、水冷しながら5時間分散させた。遠心分離して粗大粒子を除去した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤(樹脂1)の含有量が3.0%の顔料分散液1を調製した。
(顔料分散液2)
顔料をC.I.ピグメントブルー15:3に変更したこと以外は、前述の顔料分散液1と同様の手順で、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤(樹脂1)の含有量が3.0%の顔料分散液2を調製した。
(顔料分散液3)
顔料をC.I.ピグメントレッド122に変更したこと以外は、前述の顔料分散液1と同様の手順で、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤(樹脂1)の含有量が3.0%の顔料分散液3を調製した。
(顔料分散液4)
顔料をC.I.ピグメントイエロー74に変更したこと以外は、前述の顔料分散液1と同様の手順で、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤(樹脂1)の含有量が3.0%の顔料分散液4を調製した。
<樹脂粒子の調製>
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水74部及び過硫酸カリウム0.2部を混合して得た溶液を入れた。ブチルメタクリレート34部、メタクリル酸1.5部、及び商品名「アクアロン(登録商標)KH−05」(第一工業製薬製)0.3部を混合及び乳化して得た混合物を1時間かけて滴下し、窒素雰囲気下、80℃で撹拌しながら重合反応を行った。さらに2時間撹拌した後、室温まで冷却した。イオン交換水及び水酸化カリウム水溶液を添加して、アニオン性の樹脂の含有量が40%、pH8.5の樹脂粒子分散体を得た。得られた樹脂粒子分散体中の樹脂粒子の体積平均粒子径(D50)は、220nmであった。
<インクの調製>
表3に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表3中、「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製の界面活性剤の商品名である。
Figure 2021130270
<クリーニング部材>
表4に示す種類のクリーニング部材を用意した。
Figure 2021130270
<画像の記録>
表5−1〜5−3に示す種類の反応液、インク、ワックス、転写体、及びクリーニング部材を組み合わせたインクジェット記録装置100(図1)を用意した。転写体101の各位置(図1中、「E」及び「F」で示される位置)の表面温度は、放射温度計(商品名「IT−545」、堀場製作所製)を用いて測定した。
アルミニウム合金で形成された円柱状の支持部材102の表面に、両面粘着テープを用いて転写体101をそれぞれ固定した。ワックス収容部110a内に収容したワックス1(融点:101℃)を、不図示の加熱機構により113℃に加熱して溶融させ、ワックス付与部材110b、110cにワックスを供給した。そして、ワックス付与部材110cが接触する位置(F)の表面温度を63℃に調整した転写体101にワックスを塗布し、所定の厚さのワックス層を形成した。上記と同様に、ワックス2〜8を用いる場合には、それぞれの融点より10℃高い温度でワックスを溶融させ、それぞれの融点より40℃低い温度に調整した転写体にワックスを塗布してワックス層を形成した。形成されるワックスの層の厚さは、ワックス収容部110aからワックス付与部材110bとワックス付与部材110cの回転速度に差をつけることで調整した。転写体101上に形成されたワックス層の厚さは、50倍の対物レンズを搭載したレーザーマイクロスコープ(商品名「OPTELICS HYBRID」、レーザーテック製)を用いて測定した。具体的には、転写体101の表面からワックス層の表面までの高さをランダムに4点測定した平均値を算出し、ワックス層の厚さとした。
反応液及びインクを、インクジェット記録装置100の反応液付与装置103及びインク付与装置104にそれぞれ充填した。反応液付与装置103を使用して、転写体101上に反応液を0.6g/mとなるように付与した。電気−熱変換素子を備えたオンデマンド方式にてインクを吐出するタイプの記録ヘッドをインク付与装置104として使用し、転写体101の反応液が付与された領域にインクを付与して中間画像を形成した。
次いで、液除去装置105(赤外線加熱及び送風)によって中間転写体101上の中間画像から液体分を除去した。転写体101の回転速度と同等の速度となるように、記録媒体繰り出しローラ107a及び記録媒体巻き取りローラ107bを駆動させて記録媒体108を搬送した。記録媒体108としては、コート紙(商品名「オーロラコート」、日本製紙製、坪量157g/m)を用いた。転写体101と押圧部材106の間で記録媒体108と転写体101上の中間画像を接触させ、転写体101から記録媒体108へと中間画像を転写して画像を記録した。転写体101及び押圧部材106の間のニップ圧は、3kgf/cmに調整した。
クリーニング部材1〜6の回転速度については、転写体101の回転速度と同等の速度となるように調整した。転写体101に対するクリーニング部材1〜8の当接圧は、いずれも1kgf/cmとなるように調整した。
実施例1〜31、参考例1及び2、並びに比較例2及び3については、クリーニング部材109を冷却可能な装置(冷却装置)を稼働させるとともに、クリーニング部材109をクリーニングする機構を稼働させながら画像を記録した。実施例32については、クリーニング部材109の冷却装置を稼働させずに画像を記録した。実施例33については、クリーニング部材109をクリーニングする機構を稼働させずに画像を記録した。また、比較例1については、クリーニング工程を実施せずに画像を記録した。転写体101の表面温度と、クリーニング部材109の表面温度は、それぞれに内蔵させた温度制御機構により制御した。
Figure 2021130270
Figure 2021130270
Figure 2021130270
<評価>
図1に示す構成のインクジェット記録装置100を使用して、記録媒体108に画像を記録した。このインクジェット記録装置100では、1/1,200インチ×1/1,200インチの単位領域に3.0ngのインク滴を1滴付与する条件で記録した画像を、記録デューティが100%であると定義する。本発明においては、以下に示す各項目の評価基準で、「AA」、「A」、及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表6に示す。
(画像品位)
記録デューティ10%及び100%の中間画像(5cm×5cmのベタ画像)を転写体101上に形成するとともに、形成した中間画像を記録媒体に転写して画像を記録した。1回目、3回目、及び30回目の記録媒体に記録した各画像を顕微鏡で観察し、以下に示す評価基準にしたがって画像品位を評価した。
AA:記録デューティ100%の部分では白抜けが認められず、記録デューティ10%の部分では白抜け及びドット欠けのいずれも認められない。
A:記録デューティ100%の部分では白抜けが認められず、記録デューティ10%の部分では全ドットに対して5%未満のドット欠けが認められた。
B:記録デューティ100%の部分では全面積の5%未満の大きさの白抜けが認められた。記録デューティ10%の部分では全ドットに対して5%以上のドット欠けが認められた。
C:記録デューティ100%の部分では全面積の5%以上の大きさの白抜けが認められた。記録デューティ10%の部分では白抜け及びドット欠けのいずれもが顕著に認められた。
(クリーニング性)
記録デューティ100%の中間画像(5cm×5cmのベタ画像)を転写体101上に形成するとともに、形成した中間画像を記録媒体に転写して画像を記録した。1回記録後、3回記録後、及び30回記録後に、ワックス塗布、反応液付与、及びインク付与のいずれも実施することなく、転写工程を実施した。そして、転写工程後の記録媒体の表面を顕微鏡で観察し、以下に示す評価基準にしたがってクリーニング性を評価した。
AA:汚れが認められなかった。
A:画像の面積に対して、合計で1%未満の大きさの汚れが認められた。
B:画像の面積に対して、合計で1〜5%の大きさの汚れが認められた。
C:画像の面積に対して、合計で5%を超える大きさの汚れが認められた。
Figure 2021130270
100 インクジェット記録装置
101 転写体
102 支持部材
103 反応液付与装置
104 インク付与装置
105 液除去装置
106 押圧部材
107 記録媒体搬送装置
108 記録媒体
109 クリーニング部材
110 ワックス層形成装置

Claims (7)

  1. 水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    ワックスを転写体に塗布するワックス塗布工程と、
    前記水性インクと反応する反応剤を含有する反応液を前記転写体に付与する反応液付与工程と、
    前記水性インクを前記転写体に付与して中間画像を形成する中間画像形成工程と、
    前記中間画像を前記記録媒体に接触させて転写する転写工程と、
    クリーニング部材を前記転写体に接触させて、前記転写体上のワックス残渣を除去するクリーニング工程と、をこの順に有し、
    前記クリーニング工程における前記転写体の表面温度が、前記ワックスの針入度が50以上となる温度以上であり、
    前記クリーニング工程において、前記転写体に接触させる際の前記クリーニング部材の温度が、前記ワックスの融点及び前記転写体の表面温度のいずれよりも低いことを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記クリーニング部材を構成する材料が、金属材料である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記クリーニング部材の形状が、ローラ形状である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記クリーニング工程において、前記転写体に接触させる際の前記クリーニング部材の温度が、前記転写体の表面温度よりも20℃以上低い請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記ワックス塗布工程において、前記ワックスを前記転写体に塗布して厚さ2μm以下のワックス層を形成する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記クリーニング部材を冷却する冷却装置を有するインクジェット記録装置を用いる請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記クリーニング部材をクリーニングする機構を有するインクジェット記録装置を用いる請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。

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