JP2021098313A - インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物 - Google Patents

インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物 Download PDF

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Abstract

【課題】記録媒体への画像の転写性に優れており、かつ、耐ブロッキング性に優れているとともに、ひび割れが生じにくい高品位な画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】水性インクを用いて記録媒体109に画像を記録するインクジェット記録方法である。ワックスを転写体に塗布する工程と、水性の反応液を転写体101に付与する工程と、水性インクを転写体に付与して中間画像を形成する工程と、中間画像を記録媒体に接触させて転写する工程と、をこの順に有し、画像は、その表面側から順に、ワックス層、及びインク層を含み、ワックス層の厚さが画像の水平方向の位置によって異なり、ワックス層の平均厚さが0.4μm以上2.4μm以下であり、ワックス層の厚さの最小値が0.05μm以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物に関する。
インクジェット記録方法に用いられるインクとして、水性インクが広く使用されている。中間画像であるインク像を転写体に形成した後、記録媒体に転写して画像を記録する、いわゆる転写方式の画像記録方法がある。
例えば、温度によってインクの濡れ性が変化するポリエチレングリコールなどの材料を付与した転写ベルトを冷却した後、さらにインクを付与する方式の記録方法が提案されている(特許文献1)。また、ワックス粒子を含有する、インク中の成分を凝集させる成分を含有する液体組成物を記録媒体に付与した後、さらにインクを付与して像を記録する、直接記録方式の記録方法が提案されている(特許文献2)。
特開2009−214439号公報 特開2016−060125号公報
しかし、従来の転写方式の画像記録方法では、記録媒体の種類によっては転写性が劣るなど、転写体に形成した中間画像を記録媒体に転写する効率が不十分となる場合があった。また、記録媒体に画像を記録して作製した複数の記録物を、画像が記録された面(記録面)同士が当接するように重ね合わせた状態でしばらく保持すると、記録面の画像同士が張り付く、いわゆるブロッキング現象が生ずることがあった。そして、ブロッキング現象の発生を抑制すべく画像表面にワックス層を設けると、画像にひび割れが生ずることがあった。このため、画像の転写性が向上しているだけでなく、耐ブロッキング性に優れているとともに、ひび割れが生じにくい画像を記録可能であることが要求されている。
したがって、本発明の目的は、記録媒体への画像の転写性に優れており、かつ、耐ブロッキング性に優れているとともに、ひび割れが生じにくい高品位な画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、このインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することにある。さらに、本発明の別の目的は、耐ブロッキング性に優れているとともに、ひび割れが生じにくい高品位な画像が記録された記録物を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、ワックスを転写体に塗布するワックス塗布工程と、前記水性インクと反応する反応剤を含有する水性の反応液を前記転写体に付与する反応液付与工程と、前記水性インクを前記転写体に付与して中間画像を形成する中間画像形成工程と、前記中間画像を前記記録媒体に接触させて転写し、前記記録媒体上に前記画像を記録する転写工程と、をこの順に有し、前記画像は、その表面側から順に、ワックス層、及びインク層を含み、前記ワックス層の厚さが、前記画像の水平方向の位置によって異なり、前記ワックス層の平均厚さが、0.4μm以上2.4μm以下であり、前記ワックス層の厚さの最小値が、0.05μm以上であることを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、記録媒体への画像の転写性に優れており、かつ、耐ブロッキング性に優れているとともに、ひび割れが生じにくい高品位な画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、このインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することができる。さらに、本発明によれば、耐ブロッキング性に優れているとともに、ひび割れが生じにくい高品位な画像が記録された記録物を提供することができる。
本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を示す模式図である。 本発明の記録物の一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の記録物の一実施形態を模式的に示す平面図である。 本発明の記録物の他の実施形態を模式的に示す平面図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性の反応液、水性のインク、及び水性の転写促進液のことを、単に「反応液」、「インク」、及び「転写促進液」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を意味する。
転写方式の画像記録方法の場合、転写体に形成した画像の大部分又は全部が記録媒体に転写されること、すなわち画像の転写性が高いことが好ましい。記録媒体への画像の転写性を高めるべく、本発明のインクジェット記録方法では、転写体にワックスを塗布し、中間画像を記録媒体に転写する際の離型層として機能するワックス層を転写体に予め形成する。その後、転写工程において、ワックス層上に形成した中間画像を記録媒体に接触させ、中間画像を転写体から剥離させて記録媒体に転写する。
このような方法によって得られる記録物には、その表面にワックス層が配置された画像が形成されることになる。本発明者らは、ワックス層によるブロッキング現象及びひび割れの抑制効果に着目し、さらに検討を行った。その結果、ワックス層の厚さの制御が重要であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、記録媒体上に記録された画像の表面のワックス層の厚さの最小値を0.05μm以上とすることで、耐ブロッキング性を向上させることができる。また、ワックス層の厚さが画像の水平方向の位置によって異なり、ワックス層の平均厚さを、0.4μm以上2.4μm以下とすることで、ワックス層のひび割れを抑制することができる。ワックス層の厚さを制御することでブロッキング現象及びひび割れが抑制される詳細なメカニズムについては必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
ワックス層の厚さの最小値が0.05μm以上であると、ワックス層の下側に存在するインク層に含まれる液体成分の画像表面への染み出しを抑制することができる。これにより、記録物の記録面同士が当接するように重ね合わせた場合であっても、接触箇所に液体成分が存在することが抑制され、耐ブロッキング性が向上すると考えられる。また、ワックス層の厚さが画像の水平位置によって異なるとともに、ワックス層の平均厚さが0.4μm以上2.4μm以下である場合を想定する。この場合、画像に衝撃などが加わってワックス層に微細なひび割れが生じたとしても、ひび割れがワックス層の広範囲に広がることが抑制されると考えられる。
<インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法(以下、単に「記録方法」とも記す)は、水性インクを用いて記録媒体に画像を記録する方法である。本発明の記録方法は、ワックス塗布工程と、反応液付与工程と、中間画像形成工程と、転写工程と、をこの順に有する。ワックス塗布工程はワックスを転写体に塗布する工程であり、反応液付与工程は水性インクと反応する反応剤を含有する水性の反応液を転写体に付与する工程である。中間画像形成工程は水性インクを転写体に付与して中間画像を形成する工程であり、転写工程は中間画像を記録媒体に接触させて転写し、記録媒体上に画像を記録する工程である。すなわち、本発明の記録方法は、転写型のインクジェット記録方法である。中間画像形成工程は、さらに、必要に応じて、水性インクを転写体に付与した後に、水性の転写促進液を転写体に付与する手順を含んでいてもよい。本発明の記録方法は、さらに、必要に応じて、転写体に水性の洗浄液を付与して洗浄する洗浄工程を有してもよい。
また、本発明のインクジェット記録装置(以下、単に「記録装置」とも記す)は、水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するために用いる装置である。本発明の記録装置は、ワックス塗布手段と、反応液付与手段と、インク付与手段と、転写手段と、を備える。ワックス塗布手段はワックスを転写体に塗布する手段であり、反応液付与手段は水性インクと反応する反応剤を含有する水性の反応液を転写体に付与する手段である。インク付与手段は水性インクをインクジェット方式で吐出して転写体に付与して中間画像を形成する手段であり、転写手段は中間画像を記録媒体に接触させて転写し、記録媒体上に画像を記録する手段である。すなわち、本発明の記録装置は、いわゆる転写型インクジェット記録装置である。インク付与手段には、必要に応じて、水性インクを転写体に付与した後に、水性の転写促進液を転写体に付与する手段を含めてもよい。本発明の記録装置は、さらに、必要に応じて、転写体に水性の洗浄液を付与して洗浄する洗浄手段を備えてもよい。
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を示す模式図である。図1に示す転写型インクジェット記録装置100は、転写体101を介して記録媒体109に中間画像を転写して記録物を製造するインクジェット記録装置である。X方向、Y方向、及びZ方向が、それぞれ、転写型インクジェット記録装置100の幅方向(全長方向)、奥行き方向、及び高さ方向を示す。記録媒体は、X方向に搬送される。
転写型インクジェット記録装置100は、転写体101、ワックス塗布装置103、反応液付与装置104、インク付与装置105、液吸収装置106、加熱装置(温度調整装置)107、及び押圧部材108を有する。転写体101は、支持部材102によって支持されている。ワックス塗布装置103は、転写体101から中間画像を剥離しやすくするための離型層として機能するワックスを転写体101に塗布する装置である。反応液付与装置104は、インクと反応する反応剤を含有する反応液をワックスが塗布された転写体101に付与する装置である。インク付与装置105は、反応液が付与された転写体101にインクを付与して中間画像を形成する記録ヘッドを備える。転写促進液を使用する場合は、インクに引き続いて転写促進液が転写体に付与され、中間画像が形成される。液吸収装置106は、中間画像から液体成分を吸収する装置である。押圧部材108は、液体成分を除去した中間画像を紙などのシート状の記録媒体109に転写するための部材である。さらに、転写型インクジェット記録装置100は、転写後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材111を有してもよい。転写体101、ワックス塗布装置103、反応液付与装置104、インク付与装置105の記録ヘッド、液吸収装置106、及び転写体クリーニング部材111は、それぞれ、Y方向において用いられる記録媒体109に対応するだけの長さを有する。
転写体101は、支持部材102の回転軸102aを中心として矢印Aの方向に回転する。回転する転写体101にワックス塗布装置103からワックスが塗布された後、反応液付与装置104から反応液が付与され、さらにインク付与装置105からインクが付与される。このようにして、転写体101のワックス層の上に中間画像が形成される。中間画像は、転写体101の回転により、液吸収装置106の液吸収部材106aと接触する位置まで移動する。
液吸収装置106を構成する液吸収部材106aは、転写体101の回転に同期して矢印Bの方向に移動(回転)する。中間画像は、移動する液吸収部材106aと接触する。その間に、液吸収部材106aは中間画像から液体成分を吸収して除去する。中間画像の液体成分を効率よく吸収する観点から、液吸収部材106aは、所定の押圧力をもって転写体101に押圧されることが好ましい。中間画像は、インク、転写促進液(必要に応じて使用)、及び反応液で形成されている。このため、中間画像の液体成分を吸収することは、インク、転写促進液(必要に応じて使用)、及び反応液中の液体成分を吸収することを意味する。中間画像から液体成分を吸収することは、インクなどを濃縮することであるとも言える。インクなどの濃縮により、色材や樹脂などの固形分の液体成分に対する比率が上昇する。
液体成分が除去され、インクが濃縮された状態となった中間画像は、転写体101の回転により、加熱装置107によって加熱される位置を通過して加熱される。その後、中間画像は、記録媒体搬送装置110によって搬送される記録媒体109と接触する転写部113へと移動する。中間画像と記録媒体109は、転写体101と押圧部材108とに挟まれた状態で、押圧部材108側から押圧されて接触する。弾性材料を含まずに構成された転写体101と円柱状の押圧部材108とを用いる場合、中間画像と記録媒体109はY方向に沿って線状に接触する。弾性材料を含んで構成された転写体101と円柱状の押圧部材108とを用いると、押圧により転写体101が凹むため、中間画像と記録媒体109が面で接触する。このため、中間画像と記録媒体109が接触する線又は面を「領域」とし、この領域を含む部分を転写部113とする。中間画像が記録媒体109と接触している間に、押圧部材108が転写体101を押圧することによって記録媒体109に中間画像が転写され、所望とする画像が記録媒体109に記録される。転写後の画像は、転写前の中間画像の反転画像である。
ローラ状の反応液付与部材104cを用いて転写体に反応液を付与すると、転写体の全体にわたって反応液が付与される。反応液が付与された転写体にインクを付与して中間画像を形成するため、転写体におけるインクが付与されていない領域には、インクと反応していない反応液が残っている。液吸収部材106aは中間画像からだけでなく、未反応の反応液の液体成分も併せて除去することが可能である。インクや反応液に含まれる液体成分は一定の形を持たずに流動性を有するとともに、ほぼ一定の体積で存在する。インクや反応液に含まれる液体成分は、具体的には水性媒体などである。
以下、転写型インクジェット記録装置の主要な部分である[1]転写体、[2]支持部材、[3]ワックス塗布装置、[4]反応液付与装置、[5]インク付与装置、[6]液吸収装置、[7]加熱装置、[8]転写用の押圧部材、[9]記録媒体、[10]記録媒体搬送装置、及び[11]洗浄装置について説明する。
[1]転写体
転写体101は、その上に中間画像が形成される表面層を有する。表面層は、記録媒体への中間画像の転写性を向上させるために、離型層として機能するワックスとの親和性が低い材料で構成されることが好ましい。中間画像の転写の際に、中間画像と記録媒体とが面で接触するように構成すると、ニップした状態を保持することができる。その間に、ワックス層や中間画像が効率よく加熱され、転写性を高めることができる。このため、転写体は弾性を有することが好ましい。弾性を有する転写体としては、弾性材料で形成された表面層を備えたものであってもよく、表面層とは別に弾性材料で形成された弾性層を設けたものであってもよい。
表面層を構成する材料としては、天然ゴム、合成ゴムなどのエラストマー材料;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;ポリイミド樹脂;これらの材料の各種変性物(シロキサン変性など)を挙げることができる。なかでも、シロキサン構造を有する樹脂(シリコーンゴム、シリコーンゴム以外のシロキサン変性樹脂など)が好ましい。後述する加熱装置として赤外線ヒータなどを用いる場合、表面層を構成する材料にカーボンブラックなどの赤外線吸収材料を配合しておけば、照射された赤外線が熱に変換されやすくなるので、加熱効率を高めることができる。
弾性層を構成する材料としては、天然ゴム、合成ゴムなどのエラストマー;その各種変性物を挙げることができる。なかでも、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムなどが好ましい。
転写体は、さらに、支持部材に装着する際に、横伸びを抑制するとともに、コシを保つために、織布などの圧縮弾性率の高い材料で構成される補強層を有していてもよい。転写体を構成する各層(表面層、弾性層、補強層)は、接着剤や両面テープを用いて相互に接着することができる。転写体のサイズは、記録速度や画像のサイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、例えば、シート状、ローラ状、ベルト状、無端ウェブ状などを挙げることができる。
[2]支持部材
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体は、例えば、接着剤や両面テープなどを用いて支持体上に配設することができる。金属、セラミック、樹脂などの材料で構成される設置用部材を用いて転写体101を支持部材102に配設してもよい。支持部材102は、搬送精度や耐久性の観点から、ある程度の構造強度を有することが要求される。支持部材の材質としては、金属、セラミック、樹脂などを挙げることができる。なかでも、アルミニウムなどの金属材料を用いることが好ましい。金属材料を用いることで、転写時の応力に耐えうる剛性及び寸法精度の他、動作時の慣性を軽減して制御の応答性を向上させることができる。
[3]ワックス塗布装置
図1に示す転写型インクジェット記録装置100は、転写体101にワックスを塗布する手段であるワックス塗布装置103を有する。ワックスは、ワックス塗布装置103によって、インクが付与される領域と少なくとも一部が重なるように転写体101に塗布される。これにより、転写体の表面にワックス層を形成することができる。ワックス層は、記録媒体に対応する領域の全体にわたって形成されることが好ましい。ワックス塗布装置103は、ワックスを収容するワックス収容部103aと、転写体101にワックスを塗布するワックス塗布部材103bとを備える。ワックス収容部103aには、その内部に収容するワックスを加熱して溶融させるための加熱機構(不図示)を設けることができる。加熱温度は、ワックスを液体にすることができる温度、すなわち、ワックスの融点以上とすればよい。具体的には、40℃以上150℃以下であることが好ましく、50℃以上120℃以下であることがさらに好ましい。図1に示すワックス塗布装置103は、バーコータを用いた例である。ワックス塗布装置としては、グラビアローラ、オフセットコータ、バーコータ、ダイコータ、ブレードコータ、ナイフコータ、これらの少なくとも2種の組み合わせなどを用いた装置を挙げることができる。なかでも、ローラを使用して転写体にワックスを塗布することが好ましい。ローラを使用してワックスを転写体に塗布する場合は、特段の工夫を行わない限り、記録媒体に対応する領域に一様にワックスが塗布されることになる。
転写体101の表面層は、記録媒体への中間画像の転写性を向上させるために、ワックスとの親和性が低い材料で構成されることが好ましい。但し、転写体の表面層がワックスとの親和性が低い材料で構成されていると、ワックスが弾かれて濡れ広がりにくいため、薄いワックス層を形成することが難しい場合がある。薄いワックス層を効率よく形成するには、ワックスの融点未満の温度の転写体に液体状態のワックスを塗布し、転写体に接触したワックスを液体から固体へと状態変化させることが好ましい。これにより、ワックスが転写体に弾かれにくく、薄いワックス層を転写体の表面に形成することができる。
転写体に形成されるワックス層の厚さ(平均厚さ、最小値、最大値)は、例えば、以下の方法などにより調整することができる。例えば、ワックスを転写体に塗布するワックス塗布部材としてバーコータを用いる場合、線径及び当接圧を調整すれば、形成されるワックス層の厚さ(平均厚さ、最小値、最大値)を調整することができる。
ワックスの融点未満の温度の転写体に液体状態のワックスを塗布し、転写体に接触したワックスを液体から固体へと状態変化させて、薄いワックス層を効率よく形成する手法として、以下の手法を挙げることができる。すなわち、(1)常温(25℃)で液体のワックスを、ワックスの融点未満の温度の転写体に塗布する;(2)常温(25℃)で固体のワックスを加熱溶融して液体とし、ワックスの融点未満の温度の転写体に塗布する;などの手法がある。転写体やワックス塗布部材は、塗布するワックスの特性に応じて、加熱又は冷却すればよい。転写体やワックス塗布部材の温度は、内部又は外部の温度調整手段(加熱装置、冷却装置)を利用して調整することができる。また、反応液、インク、記録媒体などの記録に利用する組成物や、記録装置を構成する他の部材を利用して接触又は非接触で温度を調整してもよいし、自然放熱などによって温度を調整してもよい。
図1に示すワックス塗布装置103では、ワックス収容部103a内に収容されたワックスを不図示の加熱機構により融点以上に加熱して溶融させる。そして、ワックス塗布部材103bに液体状態のワックスを保持させ、ワックスの融点未満の温度の転写体101に塗布する。ワックス収容部103a、及びワックス塗布部材103bは、ワックスが固化しないよう、ワックスの融点以上の温度に保持される。転写体に塗布する前のワックスの温度は、ワックス塗布部材の転写体に接触する位置の温度と実質的に同一である。このため、ワックス塗布部材の温度を管理すれば、転写体に塗布される際のワックスの温度を把握することができる。ワックス塗布部材の表面温度T(℃)(転写体に接触する位置(図1中、「F」で示される位置)の温度)は、ワックスの融点T(℃)以上の温度であることが好ましく、ワックスの融点T(℃)よりも5℃以上高い温度であることがさらに好ましい。また、ワックス塗布部材の表面温度T(℃)は、ワックスの融点T(℃)+40℃以下の温度であることがさらに好ましい。
転写体に付与後のワックスの温度は、転写体のワックス塗布部材に接触する位置の温度と実質的に同一である。このため、転写体の温度を管理すれば、転写体に塗布されたワックスの温度を把握することができる。転写体の表面温度T(℃)(ワックス塗布部材に接触する位置(図1、「F」で示される位置)の温度)と、ワックスの融点T(℃)とが、下記式(1)の関係を満たすことが好ましい。また、転写体の表面温度T(℃)と、ワックスの融点T(℃)とが、下記式(2)の関係を満たすことが好ましい。相互に接触する位置におけるワックス塗布部材と転写体の温度は、非接触式の温度計などで測定することができる。
<T ・・・(1)
(T−40)≦T≦(T−15) ・・・(2)
[4]反応液付与装置
本発明の記録方法は、中間画像形成工程の前に、ワックスが塗布された転写体に水性の反応液を付与する反応液付与工程を有する。反応液は、インクと接触することでインクと反応し、インク中の樹脂や自己分散顔料などのアニオン性基を有する成分を凝集させる反応剤を含有する。インクの付与後、インクを付与した領域と少なくとも一部が重なるように反応液をさらに付与してもよい。また、転写体上において、反応液は、反応液のみによって反応液層を形成してもよいし、インクと混合されることによってインク層を形成してもよい。
図1に示す転写型インクジェット記録装置100は、転写体101に反応液を付与する反応液付与手段である反応液付与装置104を有する。この反応液付与装置104は、反応液を収容する反応液収容部104aと、その内部に収容された反応液を反応液付与部材104cに供給する反応液供給部材104bと、転写体101に反応液を付与する反応液付与部材104cとを有する。すなわち、図1に示す反応液付与装置104は、グラビアオフセットローラである。反応液塗布装置としては、グラビアオフセットローラの他に、インクジェット方式の記録ヘッド、バーコータ、ダイコータ、ブレードコータ、ナイフコータなどを挙げることができる。なかでも、ローラを使用して転写体に反応液を付与することが好ましい。
[5]インク付与装置
図1に示す転写型インクジェット記録装置100は、転写体101にインクを付与するインク付与手段であるインク付与装置105を有する。インク付与装置としてインクジェット方式の記録ヘッドを用い、インクを吐出して付与することが好ましい。記録ヘッドとしては、例えば、電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態;電気−機械変換体によってインクを吐出する形態;静電気を利用してインクを吐出する形態などを挙げることができる。なかでも、電気−熱変換体を利用する形態の記録ヘッドが、より高速で高密度の画像を記録することができるために好ましい。
記録ヘッドは、Y方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲に吐出口が配列されている。記録ヘッドは、その下面(転写体101側)に吐出口が開口した吐出口面を有する。吐出口面は、微小な隙間(数ミリ程度)を空けて転写体101の表面と対向している。
インク付与装置105は、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラック(CMYK)などの各色のインクを転写体101に付与するために、複数の記録ヘッドを有してもよい。例えば、CMYKの4種のインクを用いて中間画像を形成する場合、インク付与装置は、CMYKの4種のインクをそれぞれ吐出する4つの記録ヘッドを有する。これらの記録ヘッドは、X方向に沿って配置される。
シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックなどの色材を含有する各色のインクの他に、記録媒体への中間画像の転写を促進するための液体(転写促進液)を転写体に付与することができる。転写促進液を転写体に付与する手段は特に限定されないが、インクと同様にインクジェット方式の記録ヘッドを用い、転写促進液を吐出して転写体に付与することが好ましい。すなわち、インク付与装置105は、転写促進液を転写体に付与する手段を含んでいてもよい。転写促進液を転写体に付与する領域は、インクを付与する領域を少なくとも含むことが好ましい。すなわち、インクと転写促進液を重ねて転写体に付与することが好ましい。
[6]液吸収装置
液吸収装置106は、液吸収部材106aと、液吸収部材106aを転写体101の中間画像に押し当てる液吸収用の押圧部材106bとを有する。押圧部材106bと、ベルト状の液吸収部材106aで構成する場合、押圧部材106bで液吸収部材106aを転写体101に押し当てることで、中間画像から液体成分を吸収することができる。また、その外周表面に液吸収部材を貼りつけた押圧部材を転写体に押し当てることでも、中間画像から液体成分を吸収することができる。記録装置内でのスペースなどを考慮すると、液吸収部材106aの形状はベルト状であることが好ましい。ベルト状の液吸収部材106aを有する液吸収装置106は、液吸収部材106aを張架する、張架ローラ106cなどの張架部材を有していてもよい。
押圧部材106bを用いて多孔質層を含む液吸収部材106aを中間画像に接触させることで、中間画像に含まれる液体成分を液吸収部材106aに吸収させることができる。中間画像に含まれる液体成分を吸収する方法として、液吸収部材を接触させる方法に加えて、加熱する方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法などを組み合わせてもよい。また、液体成分を吸収させる前後の中間画像にこれらの方法を適用してもよい。
液吸収部材106aは、転写体101の回転と連動して回転する。このため、液吸収部材106aの形状は、繰り返し液吸収できる形状であることが好ましく、具体的には無端ベルト状やドラム状などの形状を挙げることができる。多孔質層を含む液吸収部材106aに吸収された液体成分は、多孔質層の裏面から吸収する方法や、多孔質層を圧縮することにより絞る部材を利用する方法などにより、液吸収部材106aから除去することができる。液体成分を除去した後、液吸収部材106aを回転させて新たな中間画像に接触させることで、中間画像に含まれる液体成分を効率よく吸収することができる。
[7]加熱装置
加熱装置107は、中間画像を加熱する加熱手段である。中間画像を加熱することで、中間画像に含まれる液体成分の少なくとも一部を蒸発させて除去することができるとともに、中間画像に含まれる成分(ワックス、樹脂粒子など)を軟化させることができる。液体成分の少なくとも一部を除去した後に、中間画像を記録媒体109に転写することで、記録媒体109のカールやコックリングなどをより有効に抑制することができる。
加熱方式としては、中間画像の表面方向から加熱する方式;中間画像の裏面方向から加熱する方式;及びこれらの方式を組み合わせた方式;などを挙げることができる。加熱手段は、接触式及び非接触のいずれであってもよい。加熱手段としては、ドライヤーなどによる温風加熱機構、ハロゲンヒータや赤外線ヒータを利用する放射による加熱機構、電磁誘導による加熱機構などの非接触式の加熱機構;アイロンプレスによる熱圧加熱機構などの接触式の加熱機構を挙げることができる。なかでも、加熱効率の観点で、赤外線ヒータなどを利用する放射による加熱機構が好ましい。
加熱装置による中間画像の加熱温度は、中間画像が所望の温度となるように設定すればよい。中間画像の加熱温度は、加熱位置(図1中、「D」で示される位置)における転写体の温度と実質的に同一である。このため、転写体の温度を管理すれば、中間画像の加熱温度を把握することができる。加熱位置における転写体の表面温度(℃)(図1中、「D」で示される位置の温度)は、80℃以上150℃以下であることが好ましく、100℃以上130℃以下であることがさらに好ましい。加熱位置における転写体の表面温度は、非接触式の温度計などで測定することができる。
加熱装置107による加熱は、中間画像を記録媒体に転写する際に、ワックスの少なくとも一部を溶融させるのに適した温度に調整するために利用することができる。また、加熱装置107による加熱は、転写体の表面温度を、塗布するワックスを固体から液体に状態変化させるのに適した温度に調整するために利用することもできる。加熱温度は、放熱による温度低下を考慮して適宜設定すればよい。
[8]転写用の押圧部材
本発明の記録装置は、中間画像を記録媒体に接触させて転写する転写手段を備える。具体的には、図1に示すように、記録媒体搬送装置110によって搬送される記録媒体109に、転写体101上の液除去後の中間画像を転写用の押圧部材108により転写部113において接触させて転写する。転写体101上の中間画像が記録媒体109に対向した状態で、転写体101と押圧部材108とのニップ部を通過することによって、中間画像が記録媒体109に転写される。ワックス層は転写体への親和性が低いため、転写体及び中間画像の剥離を容易にするための離型層としての役割を果たし、中間画像を効率よく記録媒体に転写することができる。ニップ部を通過する際の温度がワックスの融点以上であると、ワックスの少なくとも一部が溶融するため、離型性がさらに高まり、転写性が良好となる。記録媒体に転写された画像の表面の少なくとも一部には、ワックスが存在する。
押圧部材108は、記録媒体109の搬送精度や耐久性の観点から、適度な構造強度を有することが好ましい。押圧部材108の材質としては、金属、セラミック、樹脂などを挙げることができる。なかでも、転写の際の応力に耐えうる剛性や寸法精度を有するだけでなく、動作時の慣性を軽減して制御の応答性を向上させる観点から、アルミニウムなどの金属が好ましい。押圧部材108の形状としては、例えば、ローラ状などの形状を挙げることができる。
中間画像を記録媒体109に転写する際に、押圧部材108が転写体101を押圧する時間(押圧(ニップ)時間)は、5ミリ秒以上100ミリ秒以下とすることが好ましい。上記の押圧時間とすることで、良好に転写できるとともに、転写体101の損傷を抑制することができる。押圧時間は、記録媒体109と転写体101が接触している時間である。押圧時間は、圧力分布測定システムを使用して面圧を測定し、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割ることで算出することができる。具体的には、面圧分布測定システム(商品名「I−SCAN」、ニッタ製)などを使用することができる。
中間画像を記録媒体109に転写する際に、押圧部材108が転写体101を押圧する圧力(押圧力)は、9.8N/cm(1kg/cm)以上294.2N/cm(30kg/cm)以下とすることが好ましい。上記の押圧力とすることで、良好に転写できるとともに、転写体101の損傷を抑制することができる。押圧力は、記録媒体109と転写体101のニップ圧である。押圧力は、圧力分布測定システムを用いて面圧を測定し、加圧領域における加重を面積で割ることで算出することができる。具体的には、面圧分布測定システム(商品名「I−SCAN」、ニッタ製)などを使用することができる。
押圧部材108が転写体101を押圧する位置における中間画像の温度は、中間画像に含まれる樹脂成分のガラス転移点(又は軟化点)以上の温度とすることが好ましい。中間画像の温度は、転写位置(図1中、「E」で示される位置)における転写体の温度と実質的に同一である。このため、転写体の温度を管理すれば、中間画像の温度を把握することができる。転写体の表面温度(図1中、「E」で示される位置の温度)は、60℃以上140℃以下であることが好ましく、70℃以上120℃以下であることがさらに好ましい。転写体の温度は、非接触式の温度計などで測定することができる。
[9]記録媒体
記録媒体109としては、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物;所定の寸法に裁断された枚葉のものなどを挙げることができる。記録媒体の構成材料としては、コート紙や普通紙などの紙;プラスチックや金属などのフィルム;木板;段ボールなどを挙げることができる。
[10]記録媒体搬送装置
記録媒体109を搬送する記録媒体搬送装置110は、記録媒体109を矢印Cの方向に搬送する。記録媒体搬送装置110は、記録媒体繰り出しローラ110a及び記録媒体巻き取りローラ110bによって構成されている。記録媒体109の搬送速度は、各工程において要する速度を考慮して決定することが好ましい。
[11]洗浄装置
本発明の記録装置は、図1に示すように、転写体101に水性の洗浄液を付与して洗浄する洗浄手段である洗浄装置をさらに備えることが好ましい。洗浄装置は、例えば、転写体101に洗浄液を付与して洗浄する転写体クリーニング部材111を備える。転写体クリーニング部材111により転写体101をクリーニングすることで、画像品位の低下を抑制することができる。転写体クリーニング部材111としては、ローラ、ウェブなどの形状を有するものを用いることができる。洗浄装置には、転写体クリーニング部材111に洗浄液を供給する洗浄液供給ユニットを設けることができる。
さらに、洗浄装置は、クリーニング後の転写体101に残った洗浄液を除去する洗浄液除去部材112を備えることが好ましい。洗浄液除去部材112によって転写体101に残った洗浄液などを除去することで、画像品位の低下をより有効に抑制することができる。転写体101に残った洗浄液を除去する方法としては、ブレード除去、ブラシ除去、吸収体による液吸収などを挙げることができる。なかでも、吸収体による液吸収によって転写体101に残った洗浄液を除去することが好ましい。
(ワックス)
本発明の記録方法は、ワックスを転写体に塗布するワックス塗布工程を有する。ワックスを転写体に塗布して形成されるワックス層は、転写体からの中間画像の剥離を容易にするための離型層としての役割を果たす。ワックスは、ワックス以外の成分が配合された組成物であっても、ワックスそのものであってもよい。なかでも、ワックス以外の成分を実質的に含有しない、ワックスそのものを転写体に塗布することが好ましい。
ワックス(蝋)は、狭義には、水に不溶な高級1価又は2価アルコールと、脂肪酸とのエステルであり、動物系ワックス及び植物系ワックスは含まれるが、油脂及び脂肪は含まない。広義には、高融点の脂肪、鉱物系ワックス、石油系ワックス、及び各種ワックスの配合物や変性物が含まれる。本発明の記録方法では、広義のワックスであれば特に制限なく用いることができる。広義のワックスは、天然ワックス、合成ワックス、これらの配合物(配合ワックス)、及びこれらの変性物(変性ワックス)に分類することができる。
天然ワックスとしては、蜜蝋、鯨蝋、羊毛蝋(ラノリン)などの動物系ワックス;木蝋、カルナバワックス、サトウキビワックス、パームワックス、キャンデリラワックス、ライスワックスなどの植物系ワックス;モンタンワックスなどの鉱物系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムなどの石油系ワックス;を挙げることができる。合成ワックスとしては、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリオレフィンワックス(例:ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス)などの炭化水素系ワックスを挙げることができる。配合ワックスは、上記の各種ワックスの混合物である。変性ワックスは、上記の各種ワックスを、酸化、水素添加、アルコール変性、アクリル変性、ウレタン変性などの変性処理をしたものである。ワックスは、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、及びこれらの変性物や配合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでも、複数種のワックスの配合物であることがさらに好ましく、石油系ワックス及び合成ワックスの配合物であることが特に好ましい。なお、上述のワックスは疎水性が高いのに対し、特許文献1に記載されたポリエチレングリコールは親水性が高い。ポリエチレングリコールが塗布された転写体にインクが接触すると、インクの液体成分によってポリエチレングリコールの一部が溶解し、離型層としての機能が損なわれるため、転写性が不十分となる。
ワックスは、常温(25℃)で固体であることが好ましい。ワックスの融点(℃)は、40℃以上120℃以下であることが好ましく、50℃以上100℃以下であることがさらに好ましい。ワックスの融点は、JIS K2235:1991(石油ワックス)の5.3.1(融点試験方法)に記載の試験法に準拠して測定することができる。マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、及び複数種のワックスの混合物の場合は、5.3.2に記載の試験法を利用すると、より精度よく測定することができる。ワックスの融点は、分子量(大きいほど高融点)、分子構造(直鎖だと高融点、分岐があると下がる)、結晶性(高いほど高融点)、密度(高いほど高融点)など特性の影響を受けやすい。このため、これらの特性を制御することで、所望の融点を有するワックスとすることができる。
(反応液)
本発明の記録方法は、水性インクと反応する反応剤を含有する水性の反応液を転写体に付与する反応液付与工程を有する。以下、反応液に用いる各成分などについて詳細に説明する。
[反応剤]
反応液は、インクと接触することでインクと反応し、インク中の成分(樹脂、自己分散顔料などのアニオン性基を有する成分)を凝集させる反応剤を含有する。反応剤としては、例えば、多価金属イオン、カチオン性樹脂などのカチオン性成分;有機酸など挙げることができる。なかでも、反応剤は有機酸であることが好ましく、2価以上の多価カルボン酸(塩や水素塩であってもよい)がさらに好ましい。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、及びZn2+などの2価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+、及びAl3+などの3価の金属イオンを挙げることができる。反応液に多価金属イオンを含有させるためには、多価金属イオンとアニオンとが結合して構成される多価金属塩(水和物であってもよい)を用いることができる。アニオンとしては、例えば、Cl、Br、I、ClO、ClO 、ClO 、ClO 、NO 、NO 、SO 2−、CO 2−、HCO 、PO 3−、HPO 2−、及びHPO などの無機アニオン;HCOO、(COO、COOH(COO)、CHCOO、C(COO、CCOO、C(COO、及びCHSO などの有機アニオンを挙げることができる。反応剤として多価金属イオンを用いる場合、反応液中の多価金属塩換算の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。
有機酸を含有する反応液は、酸性領域(pH7.0未満、好ましくはpH2.0〜5.0)に緩衝能を有することによって、インク中に存在する成分のアニオン性基を効率よく酸型にして凝集させるものである。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、チオフェンカルボン酸、レブリン酸、クマリン酸などのモノカルボン酸及びその塩;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、セバシン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸などのジカルボン酸、及びその塩や水素塩;クエン酸、トリメリット酸などのトリカルボン酸及びその塩や水素塩;ピロメリット酸などのテトラカルボン酸及びその塩や水素塩などを挙げることができる。反応液中の有機酸の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
カチオン性樹脂としては、例えば、1〜3級アミンの構造を有する樹脂、4級アンモニウム塩の構造を有する樹脂などを挙げることができる。具体的には、ビニルアミン、アリルアミン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、エチレンイミン、グアニジンなどの構造を有する樹脂を挙げることができる。反応液中での溶解性を高めるために、カチオン性樹脂と酸性化合物とを併用したり、カチオン性樹脂の4級化処理を施したりすることもできる。反応剤としてカチオン性樹脂を用いる場合、反応液中のカチオン性樹脂の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
[その他の成分]
反応液は、必要に応じて、反応剤以外のその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、インクに含有させることが可能な後述の樹脂、水性媒体、その他添加剤などと同様のものを挙げることができる。
(インク)
本発明の記録方法で用いるインクは、好ましくは色材を含有するインクジェット用の水性インクである。以下、インクに用いる各成分などについて詳細に説明する。
[色材]
インクに含有させる色材としては、顔料や染料を用いることができる。インク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料を挙げることができる。
顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子の表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。なかでも、樹脂結合型顔料やマイクロカプセル顔料ではなく、分散剤としての樹脂を顔料の粒子表面に物理吸着させた樹脂分散顔料を用いることが好ましい。
顔料を水性媒体中に分散させるための樹脂分散剤としては、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体中に分散させうるものを用いることが好ましい。樹脂分散剤としては、後述するような樹脂、なかでも水溶性樹脂を用いることができる。インク中の顔料の含有量(質量%)は、樹脂分散剤の含有量に対する質量比率で、0.3倍以上10.0倍以下であることが好ましい。
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団(−R−)を介して結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合において、カウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウムなどを挙げることができる。他の原子団(−R−)の具体例としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;カルボニル基;イミノ基;アミド基;スルホニル基;エステル基;エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基であってもよい。
染料としては、アニオン性基を有するものを用いることが好ましい。染料の具体例としては、アゾ、トリフェニルメタン、(アザ)フタロシアニン、キサンテン、アントラピリドンなどの染料を挙げることができる。本発明の記録方法で用いるインクに含有させる色材は、顔料であることが好ましく、樹脂分散顔料であることがさらに好ましい。
[樹脂]
インクには、樹脂を含有させることができる。インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。
樹脂は、(i)顔料の分散状態を安定化させるため、すなわち、樹脂分散剤やその補助としてインクに添加することができる。また、(ii)記録される画像の各種特性を向上させるためにインクに添加することができる。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどを挙げることができる。また、樹脂は、水性媒体に溶解しうる水溶性樹脂であってもよく、水性媒体中に分散する樹脂粒子であってもよい。樹脂粒子は、色材を内包する必要はない。
本明細書において「樹脂が水溶性である」とは、その樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法により粒子径を測定しうる粒子を形成しない状態で水性媒体中に存在することを意味する。樹脂が水溶性であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、酸価相当のアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)により中和された樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製する。そして、試料溶液中の樹脂の粒子径を動的光散乱法により測定した場合に、粒子径を有する粒子が測定されない場合に、その樹脂は水溶性であると判断することができる。この際の測定条件は、例えば、以下のようにすることができる。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計(例えば、商品名「UPA−EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
水溶性樹脂の酸価は、100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましい。樹脂粒子を構成する樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましい。水溶性樹脂の重量平均分子量は、3,000以上15,000以下であることが好ましい。樹脂粒子を構成する樹脂の重量平均分子量は、1,000以上2,000,000以下であることが好ましい。動的光散乱法により測定される樹脂粒子の体積平均粒子径は、50nm以上500nm以下であることが好ましい。
樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂などを挙げることができる。なかでも、アクリル系樹脂やウレタン樹脂が好ましく、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリレートに由来するユニットで構成されるアクリル系樹脂がさらに好ましい。
アクリル系樹脂としては、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有するものが好ましい。なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、芳香環を有するモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの少なくとも一方に由来する疎水性ユニットと、を有する樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、スチレン及びα−メチルスチレンの少なくとも一方のモノマーに由来する疎水性ユニットとを有する樹脂が好ましい。これらの樹脂は、顔料との相互作用が生じやすいため、顔料を分散させるための樹脂分散剤として好適に利用することができる。
親水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有するユニットである。親水性ユニットは、例えば、親水性基を有する親水性モノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有する親水性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボン酸基を有する酸性モノマー、これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマーなどを挙げることができる。酸性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。疎水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有しないユニットである。疎水性ユニットは、例えば、アニオン性基などの親水性基を有しない、疎水性モノマーを重合することで形成することができる。疎水性モノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香環を有するモノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーなどを挙げることができる。
ウレタン系樹脂は、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得ることができる。また、鎖延長剤をさらに反応させたものであってもよい。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。
[水性媒体]
本発明の記録方法で用いるインクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性のインクである。インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。
[その他添加剤]
インクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤など種々の添加剤を含有させてもよい。但し、インクには、上記したような反応液に用いる反応剤は含有させないことが好ましい。反応剤をインクに含有させる場合、インク中の反応剤の含有量はごく少量(例えば、0.05質量%以下程度)とする。
(転写促進液)
中間画像形成工程では、水性インクを転写体に付与した後、さらに水性の転写促進液を転写体に付与して中間画像を形成してもよい。転写促進液は、インクジェット方式の記録ヘッドから吐出することが好ましい。転写促進液を転写体に付与すると、形成される中間画像は、転写体側から表面に向かって、インク層、及び転写促進液層がこの順に積層した層構成を有する。中間画像の最表面に転写促進液層を形成することで、記録媒体に対する中間画像の接着性を高め、転写性をより向上させることができる。転写促進液には、反応液に含有させる「反応剤」や、インクに含有させる「色材」を含有させる必要はない。以下、転写促進液に用いる各成分などについて詳細に説明する。
[ロジン粒子]
転写促進液には、ロジンエステル樹脂で形成されるロジン粒子を含有させることが好ましい。ロジン粒子はタック性を有するため、ロジン粒子を含有する転写促進液を用いることで、記録媒体に対する中間画像の接着性をさらに高めることができる。インク中のロジン粒子の含有量(質量%)は、転写促進液の全質量を基準として、1.0質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
ロジンエステル樹脂は、ロジン類をアルコール類やグリコール類でエステル化した化合物である。ロジン類としては、ガムロジン、ウッドロジン、トールロジンなどの原料ロジン;これらの原料ロジンの不均化物;これらの原料ロジンの水素化物;重合ロジンなどを挙げることができる。アルコール類としては、アルキル(ポリ)オールなどを挙げることができる。なかでも、2価以上の多価アルコールが好ましい。グリコール類としては、(ポリ)アルキレングリコールが好ましい。ロジンエステル樹脂は、界面活性剤やアクリル系樹脂などの乳化剤によって乳化され、ロジン粒子の形態でインク中に存在する。
[その他の成分]
転写促進液には、必要に応じて、ロジン粒子以外のその他の成分を含有させることができる。その他の成分としては、インクに含有させることが可能な前述の樹脂、水性媒体、その他添加剤などと同様のものを挙げることができる。
(洗浄液)
本発明の記録方法は、さらに、中間画像を記録媒体に転写した後、水性の洗浄液を転写体に付与して洗浄する洗浄工程を有してもよい。以下、洗浄液に用いる各成分などについて詳細に説明する。
[水性媒体]
洗浄液は、水性媒体として少なくとも水を含有する水性の液体である。洗浄液には、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。洗浄液中の水の含有量(質量%)は、洗浄液全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
洗浄液に使用可能な水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などを挙げることができる。なかでも、多価アルコール類やグリコールエーテル類などに代表される低極性溶剤を用いることが好ましい。洗浄液中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、洗浄液全質量を基準として、5.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、20.0質量%以上40.0質量%以下であることがさらに好ましい。
[界面活性剤]
洗浄液には、界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性、ノニオン性などの各種の界面活性剤を挙げることができる。洗浄液中の界面活性剤の含有量(質量%)は、洗浄液全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
[その他の成分]
洗浄液は、必要に応じて、上記したもの以外のその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、インクに含有させることが可能な前述のその他添加剤などと同様のものを挙げることができる。
<記録物>
本発明の記録物は、記録媒体と、この記録媒体上に記録された画像とを備える。記録媒体上に記録(形成)された画像は、その表面側から順に、ワックス層、及びインク層を含んでおり、ワックス層の厚さは、画像の水平方向の位置によって異なっている。そして、ワックス層の平均厚さは、0.4μm以上2.4μm以下であり、ワックス層の厚さの最小値は、0.05μm以上である。本発明の記録物を構成する画像は、その最表面に上記のワックス層を有するため、耐ブロッキング性に優れているとともに、ひび割れが生じにくく、高品位である。なお、ワックス層の厚さの最大値は1.0μm以上であることが、画像の耐ブロッキング性がより向上するために好ましい。本発明の記録物は、例えば、上述の本発明の記録方法によって作製することができる。
画像を構成するワックス層の厚さの最小値は、0.05μm以上0.5μm以下であることが好ましく、0.2μm以上0.5μm以下であることがさらに好ましい。画像を構成するワックス層の厚さの最大値は、1.0μm以上であることが好ましく、1.0μm以上3.0μm以下であることがさらに好ましい。画像を構成するワックス層の厚さ(平均厚さ、最小値、最大値)及び画像の表面粗さRaは、転写体に形成されるワックス層の厚さ及び表面粗さを調整することによって制御することができる。
図2は、本発明の記録物の一実施形態を模式的に示す断面図である。本実施形態の記録物200は、記録媒体203と、記録媒体203上に記録された画像204とを備える。画像204は、画像204の表面側から順に、ワックス層201、及びインク層202を含んでおり、これらの層が積層された積層構造を有する。ワックス層201の厚さは、画像204の水平方向の位置によって異なっている。画像204の表面粗さRaは、0.2μm以上0.5μm以下であることが好ましい。画像の表面粗さRaは、非接触表面・層断面形状計測システム「VertScan4.0」(株式会社菱化システム製)によって測定することができる。後述の実施例においても、VertScan4.0を用いて画像の表面粗さRaを測定した。なお、インク層の有無は、記録媒体上に形成された画像の厚み方向の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)などの装置を使用して確認することができる。
記録媒体上に形成される画像は、厚さ1.0μm以上の部分が連続する1,000μm以上の厚膜部を有することが好ましい。図3は、本発明の記録物の一実施形態を模式的に示す平面図である。図3に示す画像305は、その平面形状が島状の厚膜部301と、厚膜部301以外の薄膜部302とを有する。図4は、本発明の記録物の他の実施形態を模式的に示す平面図である。図4に示す画像405は、その平面形状が線状の厚膜部401と、厚膜部401以外の薄膜部402とを有する。厚膜部の平面形状は、図3に示すような島状であっても、図4に示すような線状であっても、これらの形状の組み合わせであってもよい。なかでも、厚膜部の平面形状は図4に示すような線状であることが、画像の耐ブロッキング性がより安定して発現するとともに、画像の光沢の均一性を高めることができるために好ましい。
ワックス層は、複数の厚膜部を有することが好ましい。また、ワックス層の300μm×300μmの平面領域内に1つ以上の厚膜部を有することがさらに好ましい。画像を構成するワックス層の厚さは、走査型電子顕微鏡などの装置を使用して測定することができる。後述の実施例では、日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡を使用して測定した。具体的には、記録媒体上の画像の任意の4箇所を切り出し、画像のワックス層の厚み方向の断面をそれぞれ走査型電子顕微鏡によって観察した。そして、各断面におけるワックス層の最大厚さを測定し、測定された4つの最大厚さの平均値を、本明細書における「ワックス層の厚さの最大値」とする。また、同様に、各断面におけるワックス層の最小厚さを測定し、測定された4つの最小厚の平均値を本明細書における「ワックス層の厚さの最小値」とする。さらに、「ワックス層の厚さの最大値」と「ワックス層の厚さの最小値」の平均値を本明細書における「ワックス層の平均厚さ」とする。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<ワックスの準備>
表1に示す種類のワックスを準備した。
Figure 2021098313
<反応液の調製>
表2に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、反応液を調製した。表2中、「メガファックF444」は、DIC製の界面活性剤の商品名である。
Figure 2021098313
<顔料分散液の調製>
酸価150mgKOH/g、重量平均分子量8,000のスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(樹脂1)を用意した。樹脂1 20.0部を、その酸価と等モルの水酸化カリウムで中和した後、適量の純水を加え、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である樹脂1の水溶液を調製した。顔料(カーボンブラック)10.0部、樹脂1の水溶液15.0部、及び純水75.0部を混合して混合物を得た。得られた混合物及び0.3mm径のジルコニアビーズ200部をバッチ式の縦型サンドミル(アイメックス製)に入れ、水冷しながら5時間分散させた。遠心分離して粗大粒子を除去した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤(樹脂1)の含有量が3.0%の顔料分散液を調製した。
<樹脂粒子の調製>
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ブチルメタクリレート18.0部、重合開始剤2.0部、及びn−ヘキサデカン2.0部を入れ、窒素ガスを導入しながら0.5時間撹拌した。重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を用いた。次いで、乳化剤(商品名「NIKKOL BC15」、日光ケミカルズ製)の6.0%水溶液78.0部を滴下し、0.5時間撹拌して混合物を得た。超音波照射機を使用して超音波を3時間照射して混合物を乳化させた後、窒素雰囲気下、80℃で4時間重合反応を行った。25℃まで冷却してろ過した後、適量の純水を添加して、樹脂粒子(固形分)の含有量が40.0%である樹脂粒子の水分散液を調製した。
<インクの調製>
表3に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、インクを調製した。表3中、「アセチレノールE100」は川研ファインケミカル製の界面活性剤の商品名である。
Figure 2021098313
<転写体用の表面層の準備>
(表面層1)
シリコーンゴム(商品名「KE−12」、信越シリコーン製)98.0部、及びカーボンブラック2.0部を混合して混合物を得た。得られた混合物をポリエチレンテレフタレート製の厚さ0.05mmのフィルム上にスピンコートし、厚さ0.3mmのシート状のシリコーンゴムを得た。得られたシート状のシリコーンゴムを表面層1とした。
<液吸収部材の準備>
結晶化したフッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)の乳化重合粒子を圧縮成形した後、融点以下の温度で延伸して、フィブリル化した多孔質層(第1の層)を作製した。さらに、ポリエチレン及びポリプロピレンを混合した後、湿式法により延伸して、フィブリル化した多孔質層(第2の層)を作製した。また、ポリオレフィン系の不織布(商品名「HOP60」、廣瀬製紙製)を第3の層として用意した。第2の層は、第1層よりも厚い。また、第2の層の平均孔径は、第1層の平均孔径よりも小さい。第1の層、第2の層、及び第3の層を熱圧ラミネート処理して接着し、多孔質層を得た。エタノール95.0部及び水5.0部を混合して含浸液を調製した。調製した含浸液に多孔質層を浸漬し、空隙内部を含浸液で濡らした。次いで、多孔質層を水に浸漬し、空隙内を水で置換して、液体除去に用いる液吸収部材を得た。
<記録条件>
表4に示すワックス、並びに上記の反応液1及びインク1を、図1に示す構成の転写型インクジェット記録装置100のワックス塗布装置103、反応液付与装置104、及びインク付与装置105にそれぞれ充填した。転写体101の各位置(図1中、「E」及び「F」で示される位置)の温度は、放射温度計(商品名「IT−545」、堀場製作所製)を用いて測定した。
アルミニウム合金で形成された円柱状の支持部材102の表面に、両面粘着テープを用いて各種の材料からなる転写体用の表面層をそれぞれ固定して転写体101を製造した。製造した転写体101は、表面の移動速度が0.4m/秒となるように回転させて用いた。
ワックス収容部103a内に収容したワックスを、不図示の加熱機構を用いて融点以上の温度に加熱し、溶融させた。ワックス塗布部材103bとしてのバーコータに溶融したワックスを供給した。また、転写体101のワックス塗布部材103bが接触する位置(F)の温度を80℃に調整した。この転写体101に、後述の記録物において、表4に記載のワックス層の厚さ及び表面粗さRaの画像が形成されるように、ワックスを塗布してワックス層を形成した。形成されるワックス層の厚さ及び表面粗さは、ワックス塗布部材103bの線径及び当接圧を調整することで制御した。ワックス収容部103aに収容されたワックスを転写体101に塗布するまでの間、ワックス収容部103a及びワックス塗布部材103bをワックスの融点以上の温度に保持し、ワックスの溶融状態を保った。ワックス層は、転写体101上の記録媒体に対応する領域の全体にわたって形成した。なお、比較例3では、ワックスを塗布しなかった。
反応液付与装置104を使用して、転写体101のワックスが付与された領域に反応液を1.0g/mとなるように付与した。そして、電気−熱変換素子を備えたオンデマンド方式にてインクを吐出するタイプの記録ヘッドをインク付与装置105として使用し、転写体101の反応液が付与された領域にインクを付与した。
前述の多孔質層を液吸収部材106aとして用いた。液吸収部材106aの移動速度は、転写体101の回転速度と同等の速度になるように、張架ローラ106cの回転速度を制御して調整した。液吸収部材106aの移動速度は0.4m/秒とした。転写体101及び液吸収部材106aの間のニップ圧が2kg/cmとなるように、押圧部材106bを利用して液吸収部材106aを転写体101に向かって押し当てることで、中間画像から液体成分の少なくとも一部を除去した。
赤外線ヒータを加熱装置107として使用し、転写体101の加熱位置(D)に赤外線を照射した。これにより、中間画像を加熱して液体成分をさらに除去するとともに、転写位置(E)における転写体101及び中間画像の温度が80℃程度となるように転写体を加熱した。
転写体101の回転速度(0.4m/秒)と同等の速度となるように、記録媒体繰り出しローラ110a及び記録媒体巻き取りローラ110bを駆動させて記録媒体109を搬送した。転写体101と押圧部材108の間で記録媒体109と中間画像を接触させ、中間画像を転写体101から記録媒体109へと転写して画像を記録して記録物を得た。転写体101及び押圧部材108の間のニップ圧は3kg/cmに調整した。なお、記録したすべての画像がインク層を含むことを、走査型電子顕微鏡(SEM)によって確認した。また、前述の方法によって、得られた記録物におけるワックス層の厚さ(最小値、最大値、平均厚さ)及び画像の表面粗さRaを測定した。得られた測定結果を表4に示す。
Figure 2021098313
<評価>
上記の構成を有する転写型インクジェット記録装置100(図1)を使用して、以下の各項目の評価を行った。この転写型インクジェット記録装置100では、1/1,200インチ×1/1,200インチの単位領域に3.0ngのインク滴を1滴付与する条件で記録した画像を、記録デューティが100%であると定義する。本発明においては、下記の各項目の評価基準で、「A」、及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表4に示す。
(転写性)
転写型インクジェット記録装置100(図1)を使用して、記録デューティが100%である5cm×5cmのベタ画像を記録媒体(商品名「タント」、特種東海製紙製)に記録した。転写工程後の転写体、及び記録媒体に転写された画像を目視及び光学顕微鏡で観察し、以下に示す評価基準にしたがって転写性を評価した。
A:記録媒体に転写された画像に転写不良による乱れがなく、転写体にもワックスやインクが残存していなかった。
C:記録媒体に転写された画像に転写不良による乱れがあり、転写体にもワックスやインクが残存していた。
(耐ブロッキング性)
上記の「転写性」の評価で得た、画像が記録された2枚の記録物を使用し、JIS 5701−1:2000の「6.2.2」に準拠した以下の方法にしたがって画像の耐ブロッキング性を評価した。まず、記録物を温度40℃、相対湿度90%の環境下で1時間放置した。次いで、記録面同士を重ね合わせ、1,000kg/mの荷重をかけた状態で、温度40℃、相対湿度90%の環境下で24時間放置した。その後、2枚の記録物を剥離し、以下に示す評価基準にしたがって画像の耐ブロッキング性を評価した。なお、上記の「転写性」の評価が「C」であったものについては耐ブロッキング性を評価しなかった。
A:2枚の記録物同士が張り付きあわなかった。
B:2枚の記録物同士が若干張り付きあっていたが、上側の記録物を固定して揺することで剥離した。
C:2枚の記録物同士が剥離しにくく、剥離の際には音がした。
(ひび割れ)
上記の「転写性」の評価で記録媒体に記録した画像を目視及び光学顕微鏡(商品名「AxioVision」、CarlZeiss製、倍率:5倍)で観察し、以下に示す評価基準にしたがって画像のひび割れを評価した。上記の「転写性」の評価が「C」であったものについてはひび割れを評価しなかった。
A:目視及び光学顕微鏡のいずれでも、ひび割れを確認できなかった。
B:光学顕微鏡でひび割れを確認できたが、目視では確認できなかった。
C:目視でひび割れを確認できた。
Figure 2021098313

Claims (6)

  1. 水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    ワックスを転写体に塗布するワックス塗布工程と、
    前記水性インクと反応する反応剤を含有する水性の反応液を前記転写体に付与する反応液付与工程と、
    前記水性インクを前記転写体に付与して中間画像を形成する中間画像形成工程と、
    前記中間画像を前記記録媒体に接触させて転写し、前記記録媒体上に前記画像を記録する転写工程と、をこの順に有し、
    前記画像は、その表面側から順に、ワックス層、及びインク層を含み、
    前記ワックス層の厚さが、前記画像の水平方向の位置によって異なり、
    前記ワックス層の平均厚さが、0.4μm以上2.4μm以下であり、
    前記ワックス層の厚さの最小値が、0.05μm以上であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記ワックス層の厚さの最小値が、0.2μm以上0.5μm以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記ワックス層の厚さの最大値が、1.0μm以上である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記画像の表面粗さRaが、0.2μm以上0.5μm以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するために用いるインクジェット記録装置であって、
    ワックスを転写体に塗布するワックス塗布手段と、
    前記水性インクと反応する反応剤を含有する水性の反応液を前記転写体に付与する反応液付与手段と、
    前記水性インクをインクジェット方式で吐出して前記転写体に付与して中間画像を形成するインク付与手段と、
    前記中間画像を前記記録媒体に接触させて転写し、前記記録媒体上に前記画像を記録する転写手段と、を備え、
    前記画像は、その表面側から順に、ワックス層、及びインク層を含み、
    前記ワックス層の厚さが、前記画像の水平方向の位置によって異なり、
    前記ワックス層の平均厚さが、0.4μm以上2.4μm以下であり、
    前記ワックス層の厚さの最小値が、0.05μm以上である
    ことを特徴とするインクジェット記録装置。
  6. 記録媒体と、前記記録媒体上に記録された画像とを備える記録物であって、
    前記画像は、その表面側から順に、ワックス層、及びインク層を含み、
    前記ワックス層の厚さが、前記画像の水平方向の位置によって異なり、
    前記ワックス層の平均厚さが、0.4μm以上2.4μm以下であり、
    前記ワックス層の厚さの最小値が、0.05μm以上であることを特徴とする記録物。

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