JP2021126858A - インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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正典 吉田
貴志 今井
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嘉秀 相川
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【課題】転写体の洗浄性が良好であり、ドット欠けや白抜けなどが生じにくい高品位な画像を繰り返し記録することが可能な転写型のインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】水性インクを用いて記録媒体108に画像を記録するインクジェット記録方法である。水性の反応液を転写体101に付与する工程と、水性インクを転写体101に付与して中間画像を形成する工程と、多孔質体105aを中間画像に接触させて液体成分の少なくとも一部を吸収する工程と、中間画像を記録媒体108に接触させて転写する工程とをこの順に有し、反応液が、さらに、ノニオン性乳化剤で乳化された粒子状のポリオレフィンワックス、及びノニオン性界面活性剤を含有し、ノニオン性乳化剤及びノニオン性界面活性剤が、いずれもポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、ノニオン性乳化剤のHLB値が、ノニオン性界面活性剤のHLB値よりも小さい。【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方式では、インクを紙などの記録媒体に直接又は間接的に付与して画像を記録する。このため、記録媒体がインクの液体成分を過剰に吸収して、カールやコックリングなどが記録媒体に生ずることがある。そこで、インクの液体成分を速やかに除去すべく、多孔質体を画像に接触させて液体成分を吸収して除去する方法が提案されている。多孔質体を画像に接触させて液体成分を吸収する方法は、熱エネルギーを利用する方法と比較して、例えばグリセリンのような揮発性の低い液体を簡単に除去しうる点で有利である。
例えば、多孔質体を転写体に形成された画像に接触させて溶媒を吸収して除去した後、溶媒が除去された画像を記録媒体に転写する記録方法が提案されている(特許文献1)。
特開2009−086348号公報
本発明者らは、特許文献1で提案された記録方法によって画像を繰り返し記録することについて検討した。その結果、画像を繰り返し記録することで、多孔質体にワックスの凝集物が付着し、液体成分の吸収性能が低下する傾向にあることがわかった。多孔質体などの液体吸収部材の吸収性能の低下に伴い、転写体上に形成した中間画像を記録媒体に転写する際に、中間画像(色材)の一部が記録媒体に転写されず、ドット欠けや白抜けの発生といった画像品位の低下が生じやすくなる場合があることがわかった。
したがって、本発明の目的は、転写体の洗浄性が良好であり、ドット欠けや白抜けなどが生じにくい高品位な画像を繰り返し記録することが可能な転写型のインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、このインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記水性インクと反応する反応剤を含有する水性の反応液を前記転写体に付与する反応液付与工程と、前記水性インクを転写体に付与して中間画像を形成する中間画像形成工程と、多孔質体を具備する液吸収部材の前記多孔質体を前記中間画像に接触させて、前記中間画像から液体成分の少なくとも一部を吸収する液吸収工程と、前記中間画像を前記記録媒体に接触させて転写する転写工程と、をこの順に有し、前記反応液が、さらに、ノニオン性乳化剤で乳化された粒子状のポリオレフィンワックス、及びノニオン性界面活性剤を含有し、前記ノニオン性乳化剤及び前記ノニオン性界面活性剤が、いずれもポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、前記ノニオン性乳化剤のHLB値が、前記ノニオン性界面活性剤のHLB値よりも小さいことを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、転写体の洗浄性が良好であり、ドット欠けや白抜けなどが生じにくい高品位な画像を繰り返し記録することが可能な転写型のインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、このインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を示す模式図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性のインク、反応液、及び洗浄液のことを、単に「インク」、「反応液」、及び「洗浄液」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を意味する。
本発明者らは、オフセット印刷で記録した画像に匹敵する耐擦過性などの堅牢性に優れた画像を転写型のインクジェット記録方法によって記録すべく、乳化剤によって乳化された粒子状のワックスを添加した水性の反応液について検討した。ワックスを含有する反応液を転写体に付与した後、さらにインクを付与して中間画像を形成する。次いで、形成した中間画像を記録媒体に転写して画像を記録すると、画像の表面近傍にワックスが存在し、画像の堅牢性が向上する。
転写型のインクジェット記録方法は、例えば、以下に示すような3つの工程を有する。1つ目の工程は、色材を含有する水性のインク、及びインクと反応する反応剤を含有する反応液を転写体に付与して、転写体上に中間画像を形成する工程である。2つ目の工程は、多孔質体を具備する液吸収部材を用いて転写体上の中間画像から液体成分を吸収する工程である。3つ目の工程は、液体成分が吸収された中間画像を記録媒体に転写する工程である。本発明者らは、これら3つの工程を有する転写型のインクジェット記録方法によって画像を繰り返し記録する場合に、中間画像の一部が記録媒体に転写されない、いわゆる転写残りが生ずる理由について検討した。
画像を高速記録する場合、転写体上に形成した中間画像に液吸収部材の多孔質体を接触させる時間は非常に短くなる。このため、中間画像に含まれる液体成分を短時間で速やかに吸収することが必要とされる。しかし、中間画像に含まれる液体成分を多孔質体で繰り返し吸収すると、吸収された液体成分が多孔質体の内部で増粘しやすくなる。特に、粒子状のワックス(ワックス粒子)を含有する反応液を用いて中間画像を形成した場合、液体成分の除去によって、ワックスと、ワックスを分散させる乳化剤とが分離し、ワックスの凝集物が生じやすくなることがわかった。このような凝集物が多孔質体に付着すると、多孔質体の内部での流抵抗が増加し、多孔質体が中間画像と接触している短い時間内に液体成分を十分に吸収できなくなり、液吸収部材の吸収性能が低下することになる。これにより、転写体上の中間画像の一部が記録媒体に転写されない、いわゆる転写残りが生じやすくなる。
このような状況の下、本発明者らはさらに検討し、以下に示す本発明の構成を見出すに至った。具体的には、ノニオン性乳化剤で乳化された粒子状のポリオレフィンワックス、及びノニオン性界面活性剤を含有する反応液を用いる。ポリオレフィンワックスを乳化させるノニオン性乳化剤、及びインクに添加するノニオン性界面活性剤は、いずれもポリオキシエチレンアルキルエーテルである。そして、ノニオン性乳化剤のHLB値は、ノニオン性界面活性剤のHLB値よりも小さい。これにより、ワックスの凝集に起因して生ずる転写残りを抑制して転写体の洗浄性を向上させ、ドット欠けや白抜けなどが生じにくい高品位な画像を繰り返し記録することができる。
<インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法(以下、単に「記録方法」とも記す)は、水性インクを用いて記録媒体に画像を記録する方法である。本発明の記録方法は、反応液付与工程、中間画像形成工程、液吸収工程、及び転写工程をこの順に有する。反応液付与工程は、水性インクと反応する反応剤を含有する水性の反応液を転写体に付与する工程である。中間画像形成工程は、水性インクを転写体に付与して中間画像を形成する工程である。液吸収工程は、多孔質体を具備する液吸収部材の多孔質体を中間画像に接触させて、中間画像から液体成分の少なくとも一部を吸収する工程である。転写工程は、中間画像を記録媒体に接触させて転写する工程である。すなわち、本発明の記録方法は、転写型のインクジェット記録方法である。本発明の記録方法は、必要に応じて、転写工程後の転写体を洗浄する洗浄工程などをさらに有してもよい。
また、本発明のインクジェット記録装置(以下、単に「記録装置」とも記す)は、水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するために用いる装置である。本発明の記録装置は、反応液付与手段、インク付与手段、液吸収手段、及び転写手段を備える。反応液付与手段は、水性インクと反応する反応剤を含有する水性の反応液を転写体に付与する手段である。インク付与手段は、水性インクをインクジェット方式で吐出して転写体に付与して中間画像を形成する手段である。液吸収手段は、多孔質体を具備する液吸収部材の多孔質体を中間画像に接触させて、中間画像から液体成分の少なくとも一部を吸収する手段である。転写手段は、中間画像を記録媒体に接触させて転写する手段である。すなわち、本発明の記録装置は、いわゆる転写型インクジェット記録装置である。本発明の記録装置は、必要に応じて、転写後の転写体を洗浄する洗浄手段などをさらに備えてもよい。
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を示す模式図である。図1に示す転写型インクジェット記録装置100は、転写体101を介して記録媒体108に中間画像を転写して記録物を製造する、枚葉式のインクジェット記録装置である。X方向、Y方向、及びZ方向が、それぞれ、転写型インクジェット記録装置100の幅方向(全長方向)、奥行き方向、及び高さ方向を示す。記録媒体は、X方向に搬送される。
転写型インクジェット記録装置100は、転写体101、反応液付与装置103、インク付与装置104、液吸収装置105、及び押圧部材106を有する。転写体101は、支持部材102によって支持されている。反応液付与装置103は、インクと反応する反応剤を含有する反応液を転写体101に付与する装置である。インク付与装置104は、反応液が付与された転写体101にインクを付与して中間画像を形成する記録ヘッドを備える。液吸収装置105は、中間画像から液体成分を吸収する装置である。押圧部材106は、液体成分を除去した中間画像を紙などのシート状の記録媒体108に転写するための部材である。さらに、転写型インクジェット記録装置100は、転写後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有する。転写体101、反応液付与装置103、インク付与装置104の記録ヘッド、液吸収装置105、及び転写体クリーニング部材109は、それぞれ、Y方向において用いられる記録媒体108に対応するだけの長さを有する。
転写体101は、支持部材102の回転軸102aを中心として矢印Aの方向に回転する。回転する転写体101に反応液付与装置103から反応液が付与された後、インク付与装置104からインクが付与されることで、転写体101に中間画像が形成される。転写体101に形成された中間画像は、転写体101の回転により、液吸収装置105の液吸収部材105aと接触する位置まで移動する。
液吸収装置105を構成する液吸収部材105aは、転写体101の回転に同期して矢印Bの方向に移動(回転)する。転写体101に形成された中間画像は、移動する液吸収部材105aと接触する。その間に、液吸収部材105aは中間画像から液体成分を吸収して除去する。中間画像の液体成分を効率よく吸収する観点から、液吸収部材105aは、所定の押圧力をもって転写体101に押圧されることが好ましい。中間画像は、インク及び必要に応じて用いられる反応液で形成されている。このため、中間画像の液体成分を吸収することは、インク及び必要に応じて用いられる反応液中の液体成分を吸収することを意味する。中間画像から液体成分を吸収することは、インクなどを濃縮することであるとも言える。インクなどの濃縮により、色材や樹脂などの固形分の液体成分に対する比率が上昇する。
液体成分が除去され、インクが濃縮された状態となった中間画像は、転写体101の回転により、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108と接触する転写部111へと移動する。中間画像と記録媒体108は、転写体101と押圧部材106とに挟まれた状態で、押圧部材106側から押圧されて接触する。ローラ状の転写体101と円柱状の押圧部材106とを用いる場合、中間画像と記録媒体108はY方向に沿って線状に接触する。弾性材料で構成された転写体101を用いると、押圧により転写体101が凹むため、中間画像と記録媒体108が面で接触する。このため、中間画像と記録媒体108が接触する線又は面を「領域」とし、この領域を含む部分を転写部111とする。中間画像が記録媒体108と接触している間に、押圧部材106が転写体101を押圧することによって記録媒体108に中間画像が転写され、所望とする画像が記録媒体108に記録される。転写後の画像は、転写前の中間画像の反転画像である。
ローラ状の反応液付与部材103cを用いて転写体に反応液を付与すると、転写体の全体にわたって反応液が付与される。反応液が付与された転写体にインクを付与して中間画像を形成するため、転写体におけるインクが付与されていない領域には、インクと反応していない反応液が残っている。液吸収部材105aは中間画像からだけでなく、未反応の反応液の液体成分も併せて除去することが可能である。インクや反応液に含まれる液体成分は一定の形を持たずに流動性を有するとともに、ほぼ一定の体積で存在する。インクや反応液に含まれる液体成分は、具体的には水性媒体などである。
以下、転写型インクジェット記録装置の主要な部分である[1]転写体、[2]支持部材、[3]反応液付与装置、[4]インク付与装置、[5]液吸収装置、[6]押圧部材、[7]記録媒体、[8]記録媒体搬送装置、及び[9]洗浄装置について説明する。
[1]転写体
転写体101は、中間画像が形成される面を含む表面層を有する。表面層を構成する材料としては、樹脂、セラミックなどを挙げることができる。なかでも、シロキサン構造を有する樹脂が好ましく、耐久性などの観点から、圧縮弾性率の高い材料が好ましい。反応液の濡れ性、転写性などを向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。
転写体は、表面層と支持部材との間に、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層は、局所的な圧力変動を分散し、表面層の変形を吸収する。このため、圧縮層を設けることで、高速記録する場合であっても良好な転写性を維持することができる。圧縮層を構成する材料としては、ゴム材料などの弾性材料を挙げることができる。なかでも、加硫剤及び加硫促進剤とともに、発泡剤、中空微粒子、及び塩などの充填剤を原料ゴムに配合して成形した多孔質構造を有するゴム材料が好ましい。このような弾性材料は、圧力が変動すると空隙部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さい。このため、転写性及び耐久性を向上させることができる。多孔質構造としては、空隙が相互に連結した連続空隙構造や、空隙が各々独立した独立空隙構造などを挙げることができる。
転写体は、表面層と圧縮層との間に、さらに弾性層を有することが好ましい。弾性層を構成する材料としては、樹脂材料、セラミック材料などを挙げることができる。なかでも、加工しやすいとともに、温度による弾性率の変化が小さく、転写性に優れるため、ゴム材料などの弾性材料が好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)は、接着剤や両面テープを用いて相互に接着することができる。装置に装着する際の横伸びを抑制してコシを保つために、圧縮弾性率の高い補強層を設けてもよい。補強層としては、織布などを用いることができる。転写体を構成する層のうち、表面層以外の層については、弾性層や圧縮層を任意に組み合わせることができる。転写体の大きさは、記録速度や画像のサイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、例えば、シート状、ローラ状、ベルト状、無端ウェブ状などを挙げることができる。
[2]支持部材
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体は、例えば、接着剤や両面テープなどを用いて支持体上に配設することができる。金属、セラミック、樹脂などの材料で構成される設置用部材を用いて転写体101を支持部材102に配設してもよい。支持部材102は、搬送精度や耐久性の観点から、ある程度の構造強度を有することが要求される。支持部材の材質としては、金属、セラミック、樹脂などを挙げることができる。なかでも、アルミニウムなどの金属材料を用いることが好ましい。金属材料を用いることで、転写時の応力に耐えうる剛性及び寸法精度の他、動作時の慣性を軽減して制御の応答性を向上させることができる。
[3]反応液付与装置
本発明の記録方法は、中間画像形成工程の前に、反応液を転写体に付与する反応液付与工程を有する。反応液は、インクと接触することでインクと反応し、インク中の樹脂や自己分散顔料などのアニオン性基を有する成分を凝集させる反応剤を含有する。インクの付与後、インクを付与した領域と少なくとも一部が重なるように反応液をさらに付与してもよい。
図1に示す転写型インクジェット記録装置100は、転写体101に反応液を付与する反応液付与手段である反応液付与装置103を有する。この反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103a中の反応液を転写体101に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラである。反応液付与装置としては、グラビアオフセットローラ、インクジェット方式の記録ヘッドなどを挙げることができる。なかでも、ローラを使用して転写体に反応液を付与することが好ましい。
[4]インク付与装置
図1に示す転写型インクジェット記録装置100は、転写体101にインクを付与するインク付与手段であるインク付与装置104を有する。インク付与装置としてインクジェット方式の記録ヘッドを用い、インクを吐出して付与することが好ましい。記録ヘッドとしては、例えば、電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態;電気−機械変換体によってインクを吐出する形態;静電気を利用してインクを吐出する形態などを挙げることができる。なかでも、電気−熱変換体を利用する形態の記録ヘッドが、より高速で高密度の画像を記録することができるために好ましい。
記録ヘッドは、Y方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲に吐出口が配列されている。記録ヘッドは、その下面(転写体101側)に吐出口が開口した吐出口面を有する。吐出口面は、微小な隙間(数ミリ程度)を空けて転写体101の表面と対向している。
インク付与装置104は、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラック(CMYK)などの各色のインクを転写体101に付与するために、複数の記録ヘッドを有してもよい。例えば、CMYKの4種のインクを用いて中間画像を形成する場合、インク付与装置は、CMYKの4種のインクをそれぞれ吐出する4つの記録ヘッドを有する。これらの記録ヘッドは、X方向に沿って配置される。
[5]液吸収装置
液吸収装置105は、液吸収部材105aと、液吸収部材105aを転写体101の中間画像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bとを有する。液吸収部材105aは、転写体101上の中間画像に当接しうる多孔質体を具備している。円柱状の押圧部材105bと、ベルト状の液吸収部材105aで構成する場合、押圧部材105bで液吸収部材105aの多孔質体を転写体101に押し当てることで、中間画像から液体成分を吸収することができる。また、その外周表面に液吸収部材を貼りつけた円柱状の押圧部材を転写体に押し当てることでも、中間画像から液体成分を吸収することができる。記録装置内でのスペースなどを考慮すると、液吸収部材105aの形状はベルト状であることが好ましい。ベルト状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する、張架ローラ105cなどの張架部材を有していてもよい。
押圧部材105bを用いて液吸収部材105aの多孔質体を中間画像に接触させることで、中間画像に含まれる液体成分を液吸収部材105a(多孔質体)に吸収させることができる。中間画像に含まれる液体成分を吸収する方法として、液吸収部材の多孔質体を接触させる方法に加えて、加熱する方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法などを組み合わせてもよい。また、液体成分を吸収させる前後の中間画像にこれらの方法を適用してもよい。
液吸収部材105aは、転写体101の回転と連動して回転する。このため、液吸収部材105aの形状は、繰り返し液吸収できる形状であることが好ましく、具体的には無端ベルト状やドラム状などの形状を挙げることができる。多孔質体を具備する液吸収部材105aに吸収された液体成分は、多孔質体の裏面から吸収する方法や、多孔質体を圧縮することにより絞る部材を利用する方法などにより、液吸収部材105aから除去することができる。液体成分を除去した後、液吸収部材105aを回転させて新たな中間画像に接触させることで、中間画像に含まれる液体成分を効率よく吸収することができる。
均一に高い通気性とするため、多孔質体は薄くすることが好ましい。多孔質体の通気性は、JIS P8117:2009で規定されるガーレ値で示すことができる。多孔質体のガーレ値は、1秒以上10秒以下であることが好ましい。但し、多孔質体を薄くしすぎると、液体成分を吸収するために必要な空隙の量を十分に確保できなくなる場合がある。多孔質体は、多孔質層を含む複数の層が積層された積層構造であってもよい。液吸収部材は、中間画像と接触する箇所が多孔質であればよく、中間画像と接触しない箇所は多孔質でなくてもよい。
多孔質体を積層構造とする場合、中間画像と接触する多孔質層を第1の層とし、第1の層の中間画像とは反対の面側に積層される層を第2の層として説明する。3層以上の多層構造とする場合、第1の層からの積層順で、第1の層、第2の層、第3の層、…とする。なお、第1の層を「吸収層」、第2の層以降を「支持層」とも記す。
第1の層を構成する材料としては、水に対する接触角が90°未満の親水性材料と、接触角が90°以上の撥水性材料のいずれも使用することができる。親水性材料としては、セルロースやポリアクリルアミドなどの単一材料、及びこれらの複合材料などを挙げることができる。また、撥水性材料の表面を親水化処理して用いることもできる。親水化処理としては、スパッタエッチング法、放射線照射、HOイオン照射、エキシマ(紫外線)レーザー光照射などの方法を挙げることができる。
親水性材料の水に対する接触角は、60°以下であることが好ましい。親水性材料の場合、毛管力により水などの液体成分吸い上げる作用を生ずる。一方、第1の層への色材の付着を抑制するため、及びクリーニング性を高くするため、第1の層の材料は、表面自由エネルギーの低いフッ素系樹脂などの撥水性材料であることが好ましい。撥水性材料を用いる場合、毛管力により液体成分を吸い上げる作用がほとんど生じないので、液体成分の吸収に時間を要することがある。このため、第1の層との接触角が90°未満となる処理液を第1の層に染み込ませておくことが好ましい。処理液は、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水溶性有機溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコールなどを用いることができる。処理液は、界面活性剤や第1の層との接触角が小さい液体をさらに含有してもよい。
第1の層の厚さは、50μm以下であることが好ましく、1μm以上30μm以下であることがさらに好ましい。第1の層の厚さは、デジマチック直進式外側マイクロメータ(商品名「OMV−25MX」、ミツトヨ製)などの装置を使用して任意の10点の厚さを測定し、その平均値を算出することで得ることができる。
第1の層は、公知の薄膜多孔質膜の製造方法によって製造することができる。例えば、押出成形などの方法で樹脂材料を成形して得たシート状物を、所定の厚さとなるように延伸して得ることができる。成形前の樹脂材料にパラフィンなどの可塑剤を添加し、延伸時に加熱などして可塑剤を除去することで、多孔質構造とすることができる。孔径は、可塑剤の添加量や延伸倍率などを適宜調整することで制御することができる。
第2の層は、通気性を有することが好ましい。例えば、樹脂繊維の不織布や織布で第2の層を構成することができる。第2の層の材料としては、第1の層で吸収した液体成分が逆流しないように、インクとの接触角が第1の層と同等以下の材料が好ましい。例えば、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂などを挙げることができる。第2の層の孔径は、第1の層の孔径よりも大きいことが好ましい。
第3の層以降の層は、剛性などの観点から不織布で構成することが好ましい。不織布の材料としては、第2の層を構成する不織布と同様に、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂などを用いることができる。
液吸収部材は、多孔質体以外の構成部材として、液吸収部材の側面を補強する補強部材を有してもよい。また、長尺のシート状の多孔質体の長手方向端部を繋いでベルト状の部材とする際の接合部材を有してもよい。補強部材や接合部材としては、非孔質のテープ材などを用いることができる。
積層構造を有する多孔質体を製造するには、複数の層を重ね合わせるだけでもよいし、接着剤や熱で接着させてもよい。通気性の観点から、複数の層を熱で接着させることが好ましい。また、加熱により、層の一部を溶融させて接着させてもよい。さらに、ホットメルトパウダーなどの融着材を層の間に介在させた状態で加熱して接着させてもよい。第3の層以降の層を積層する場合は、一度に積層してもよいし、順次積層してもよい。複数の層を接着させるために加熱する場合は、加熱したローラで加圧しながら加熱することが好ましい。
[6]押圧部材
本発明の記録装置は、中間画像を記録媒体に接触させて転写する転写手段を備える。具体的には、図1に示すように、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108に、転写体101上の液除去後の中間画像を押圧部材106により転写部111において接触させて転写する。液体成分を除去後の中間画像を記録媒体108に転写することで、記録媒体108のカールやコックリングなどを抑制することができる。
押圧部材106は、記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点から、適度な構造強度を有することが好ましい。押圧部材106の材質としては、金属、セラミック、樹脂などを挙げることができる。なかでも、転写の際の応力に耐えうる剛性や寸法精度を有するだけでなく、動作時の慣性を軽減して制御の応答性を向上させる観点から、アルミニウムなどの金属が好ましい。
中間画像を記録媒体108に転写する際に、押圧部材106が転写体101を押圧する時間(押圧時間)は、5ミリ秒以上100ミリ秒以下とすることが好ましい。上記の押圧時間とすることで、良好に転写できるとともに、転写体101の損傷を抑制することができる。押圧時間は、記録媒体108と転写体101が接触している時間である。押圧時間は、圧力分布測定システムを使用して面圧を測定し、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割ることで算出することができる。具体的には、面圧分布測定システム(商品名「I−SCAN」、ニッタ製)などを使用することができる。
中間画像を記録媒体108に転写する際に、押圧部材106が転写体101を押圧する圧力(押圧力)は、9.8N/cm(1kg/cm)以上294.2N/cm(30kg/cm)以下とすることが好ましい。上記の押圧力とすることで、良好に転写できるとともに、転写体101の損傷を抑制することができる。押圧力は、記録媒体108と転写体101のニップ圧である。押圧力は、圧力分布測定システムを用いて面圧を測定し、加圧領域における加重を面積で割ることで算出することができる。具体的には、面圧分布測定システム(商品名「I−SCAN」、ニッタ製)などを使用することができる。
押圧部材106が転写体101を押圧するときの温度は、中間画像に含まれる樹脂成分のガラス転移点(又は軟化点)以上の温度とすることが好ましい。樹脂成分の特性にもよるが、温度を制御するために、記録装置は、転写体101上の中間画像、転写体101、及び記録媒体108を加熱する加熱手段を備えることが好ましい。押圧部材106の形状としては、例えば、ローラ状などの形状を挙げることができる。
[7]記録媒体
記録媒体108としては、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物;所定の寸法に裁断された枚葉のものなどを挙げることができる。記録媒体の構成材料としては、コート紙や普通紙などの紙;プラスチックや金属などのフィルム;木板;段ボールなどを挙げることができる。
[8]記録媒体搬送装置
記録媒体108を搬送する記録媒体搬送装置107は、記録媒体108を矢印Cの方向に搬送する。記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107a及び記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されている。記録媒体108の搬送速度は、各工程において要する速度を考慮して決定することが好ましい。
[9]洗浄装置
本発明の記録装置は、図1に示すように、転写体101に水性の洗浄液を付与して洗浄する洗浄手段である洗浄装置を有してもよい。洗浄装置は、例えば、転写体101に洗浄液を付与して洗浄する転写体クリーニング部材109を備える。転写体クリーニング部材109により転写体101をクリーニングすることで、画像品位の低下を抑制することができる。転写体クリーニング部材109としては、ローラ、ウェブなどの形状を有するものを用いることができる。洗浄装置には、転写体クリーニング部材109に洗浄液を供給する洗浄液供給ユニットを設けることができる。
さらに、洗浄装置は、クリーニング後の転写体101に残った洗浄液を除去する洗浄液除去部材110を備えることが好ましい。洗浄液除去部材110によって転写体101に残った洗浄液などを除去することで、画像品位の低下をより有効に抑制することができる。転写体101に残った洗浄液を除去する方法としては、ブレード除去、ブラシ除去、吸収体による液吸収などを挙げることができる。なかでも、吸収体による液吸収によって転写体101に残った洗浄液を除去することが好ましい。洗浄液除去部材110としては、液吸収部材として用いられる多孔質体などを用いることができる。
(反応液)
本発明の記録方法は、水性インクと反応する反応剤を含有する水性の反応液を転写体に付与する反応液付与工程を有する。以下、反応液に用いる各成分などについて詳細に説明する。
[反応剤]
反応液は、インクと接触することでインクと反応し、インク中の成分(樹脂、自己分散顔料などのアニオン性基を有する成分)を凝集させるものであり、反応剤を含有する。反応剤としては、例えば、多価金属イオン、カチオン性樹脂などのカチオン性成分や、有機酸など挙げることができる。なかでも、反応剤は有機酸であることが好ましく、2価以上の多価カルボン酸(塩や水素塩であってもよい)がさらに好ましい。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、及びZn2+などの2価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+、及びAl3+などの3価の金属イオンを挙げることができる。反応液に多価金属イオンを含有させるためには、多価金属イオンとアニオンとが結合して構成される多価金属塩(水和物であってもよい)を用いることができる。アニオンとしては、例えば、Cl、Br、I、ClO、ClO 、ClO 、ClO 、NO 、NO 、SO 2−、CO 2−、HCO 、PO 3−、HPO 2−、及びHPO などの無機アニオン;HCOO、(COO、COOH(COO)、CHCOO、C(COO、CCOO、C(COO、及びCHSO などの有機アニオンを挙げることができる。反応剤として多価金属イオンを用いる場合、反応液中の多価金属塩換算の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。
有機酸を含有する反応液は、酸性領域(pH7.0未満、好ましくはpH2.0〜5.0)に緩衝能を有することによって、インク中に存在する成分のアニオン性基を効率よく酸型にして凝集させるものである。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、チオフェンカルボン酸、レブリン酸、クマリン酸などのモノカルボン酸及びその塩;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、セバシン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸などのジカルボン酸、及びその塩や水素塩;クエン酸、トリメリット酸などのトリカルボン酸及びその塩や水素塩;ピロメリット酸などのテトラカルボン酸及びその塩や水素塩などを挙げることができる。反応液中の有機酸の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
カチオン性樹脂としては、例えば、1〜3級アミンの構造を有する樹脂、4級アンモニウム塩の構造を有する樹脂などを挙げることができる。具体的には、ビニルアミン、アリルアミン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、エチレンイミン、グアニジンなどの構造を有する樹脂を挙げることができる。反応液中での溶解性を高めるために、カチオン性樹脂と酸性化合物とを併用したり、カチオン性樹脂の4級化処理を施したりすることもできる。反応剤としてカチオン性樹脂を用いる場合、反応液中のカチオン性樹脂の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
[ワックス]
反応液は、さらに、粒子状のポリオレフィンワックス(以下、「ワックス粒子」又は単に「ワックス」とも記す)を含有する。ワックスを含有する反応液を用いることで、転写方式によって記録した画像の表面にワックスを存在させることができ、画像の堅牢性を向上させることができる。ワックス自体は非水溶性であるため、ワックスに乳化剤を吸着させたワックス粒子を含有する水性の液体を調製し、この液体を添加することで反応液を調製することができる。
〔ポリオレフィンワックス〕
ポリオレフィンワックスとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンの重合体を用いる。ポリオレフィンワックス樹脂の具体例としては、酸化ポリオレフィンワックス、高密度ポリオレフィンワックス、酸化ポリオレフィンワックスとパラフィンワックスとの混合物、ポリオレフィンとアクリルの共重合体などを挙げることができる。なかでも、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックスを用いることが好ましい。反応液中のポリオレフィンワックスの含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、5.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましい。ポリオレフィンワックスの含有量が5.0質量%未満であると、画像の耐擦過性の向上効果がやや低下することがある。
反応液中における粒子状のワックス(ワックス粒子)の体積分布基準の50%粒子径(D50)は、20nm以上200nm以下であることが好ましい。ワックス粒子の粒子径(D50)が20nm未満であると、粒子径が小さすぎるため、画像の耐擦過性の向上効果がやや低下することがある。一方、ワックス粒子の粒子径(D50)が200nm超であると、粒子径が大きすぎるため、画像の品位がやや劣化する場合がある。ワックス粒子の粒子径(D50)は、例えば、動的光散乱法による粒度分析計などを使用して測定することができる。
〔ノニオン性乳化剤〕
ワックスを水性の反応液中に分散させるために用いる乳化剤は、ノニオン性乳化剤である。ノニオン性乳化剤を用いることで、反応剤との共存下であってもワックスの分散安定性を維持することができる。なかでも、極性部位と非極性部位を併せ持ったポリオキシエチレンアルキルエーテルをノニオン性乳化剤として用いることで、低極性のポリオレフィンワックスを水性の反応液中に安定して分散させることができる。
ノニオン性乳化剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)のHLB値は、14.0以上16.0以下であることが好ましい。HLB値が上記範囲内にあるノニオン性乳化剤を用いることで、ポリオレフィンワックスを水性の反応液中に十分小さい粒径で分散させることができる。また、反応剤との共存下であっても粒径が増大しにくく、長期間保存可能な反応液とすることができる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルのHLB値は、グリフィン法により求められる、下記式(1)により算出される値である。グリフィン法により求められるHLB値は、ノニオン性界面活性剤の親水性や親油性の程度を表す物性値であり、0.0乃至20.0の値をとる。HLB値が小さいほど親油性が高く、HLB値が大きいほど親水性が高い。
HLB値
=20×界面活性剤の親水性基の式量/界面活性剤の分子量 ・・・(1)
ノニオン性乳化剤の分子量は、460以上1,200以下であることが好ましい。また、反応液中、ノニオン性乳化剤の含有量(質量%)は、ポリオレフィンワックスの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上0.5倍以下であることが好ましい。
〔ノニオン性界面活性剤〕
反応液は、ノニオン性界面活性剤を含有する。そして、ノンイオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有させることで、反応液中でのワックスの凝集を抑制し、分散安定性を高めることができる。また、そのHLB値が、ノニオン性乳化剤のHLB値よりも大きいノニオン性界面活性剤を用いる。これにより、中間画像の液体成分を除去しても、ワックスの凝集を抑制することができるとともに、たとえワックスが析出したとしても、液体成分に再び接触させることで速やかに再分散させることができる。このため、液吸収部材の多孔質体に吸収された液体成分の増粘を抑制することができ、液吸収部材の吸収性能が低下しにくく、転写残りを有効に防止することができる。
ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)のHLB値は、18.0以下であることが好ましい。18.0を超えると親水性が強くなりすぎて、ポリオレフィンワックスの凝集を抑制する働きが低下する場合がある。ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)のHLB値は、14.0以上であることが好ましい。ノニオン性界面活性剤の分子量は1,200を超えて2,500以下であることが好ましい。ノニオン性界面活性剤の分子量が1,200以下であると、ポリオレフィンワックスに吸着しているノニオン性乳化剤と置換することがあり、ワックスの分散安定性が低下しやすくなる場合がある。一方、ノニオン性界面活性剤の分子量が2,500超であると、反応液の粘度が上昇しやすく、ワックスの分散安定性が低下する場合がある。反応液中、ノニオン性界面活性剤の含有量(質量%)は、ポリオレフィンワックスの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.35倍以上であることが好ましい。
[その他の成分]
反応液は、必要に応じて、各種その他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、インクに含有させることが可能な後述の水性媒体やその他添加剤などと同様のものを挙げることができる。
(インク)
本発明の記録方法で用いるインクは、好ましくは色材を含有するインクジェット用の水性インクである。以下、インクに用いる各成分などについて詳細に説明する。
[色材]
インクに含有させる色材としては、顔料や染料を用いることができる。インク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料を挙げることができる。
顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子の表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。なかでも、樹脂結合型顔料やマイクロカプセル顔料ではなく、分散剤としての樹脂を顔料の粒子表面に物理吸着させた樹脂分散顔料を用いることが好ましい。
顔料を水性媒体中に分散させるための樹脂分散剤としては、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体中に分散させうるものを用いることが好ましい。樹脂分散剤としては、後述するような樹脂、なかでも水溶性樹脂を用いることができる。インク中の顔料の含有量(質量%)は、樹脂分散剤の含有量に対する質量比率で、0.3倍以上10.0倍以下であることが好ましい。
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団(−R−)を介して結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合において、カウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウムなどを挙げることができる。他の原子団(−R−)の具体例としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;カルボニル基;イミノ基;アミド基;スルホニル基;エステル基;エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基であってもよい。
染料としては、アニオン性基を有するものを用いることが好ましい。染料の具体例としては、アゾ、トリフェニルメタン、(アザ)フタロシアニン、キサンテン、アントラピリドンなどの染料を挙げることができる。本発明の記録方法で用いるインクに含有させる色材は、顔料であることが好ましく、樹脂分散顔料であることがさらに好ましい。
[樹脂]
インクには、樹脂を含有させることができる。インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。
樹脂は、(i)顔料の分散状態を安定化させるため、すなわち、樹脂分散剤やその補助としてインクに添加することができる。また、(ii)記録される画像の各種特性を向上させるためにインクに添加することができる。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどを挙げることができる。また、樹脂は、水性媒体に溶解しうる水溶性樹脂であってもよく、水性媒体中に分散する樹脂粒子であってもよい。樹脂粒子は、色材を内包する必要はない。
本明細書において「樹脂が水溶性である」とは、その樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法により粒子径を測定しうる粒子を形成しない状態で水性媒体中に存在することを意味する。樹脂が水溶性であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、酸価相当のアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)により中和された樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製する。そして、試料溶液中の樹脂の粒子径を動的光散乱法により測定した場合に、粒子径を有する粒子が測定されない場合に、その樹脂は水溶性であると判断することができる。この際の測定条件は、例えば、以下のようにすることができる。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計(例えば、商品名「UPA−EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
水溶性樹脂の酸価は、100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましい。樹脂粒子を構成する樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましい。水溶性樹脂の重量平均分子量は、3,000以上15,000以下であることが好ましい。樹脂粒子を構成する樹脂の重量平均分子量は、1,000以上2,000,000以下であることが好ましい。動的光散乱法により測定される樹脂粒子の体積平均粒子径は、50nm以上500nm以下であることが好ましい。
樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂などを挙げることができる。なかでも、アクリル系樹脂やウレタン樹脂が好ましく、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリレートに由来するユニットで構成されるアクリル系樹脂がさらに好ましい。
アクリル系樹脂としては、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有するものが好ましい。なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、芳香環を有するモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの少なくとも一方に由来する疎水性ユニットと、を有する樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、スチレン及びα−メチルスチレンの少なくとも一方のモノマーに由来する疎水性ユニットとを有する樹脂が好ましい。これらの樹脂は、顔料との相互作用が生じやすいため、顔料を分散させるための樹脂分散剤として好適に利用することができる。
親水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有するユニットである。親水性ユニットは、例えば、親水性基を有する親水性モノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有する親水性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボン酸基を有する酸性モノマー、これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマーなどを挙げることができる。酸性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。疎水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有しないユニットである。疎水性ユニットは、例えば、アニオン性基などの親水性基を有しない、疎水性モノマーを重合することで形成することができる。疎水性モノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香環を有するモノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーなどを挙げることができる。
ウレタン系樹脂は、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得ることができる。また、鎖延長剤をさらに反応させたものであってもよい。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。
[樹脂粒子]
水性インクは樹脂粒子を含有することが好ましい。樹脂粒子を含有するインクを用いることで、転写不良がさらに抑制され、より高品位な画像を記録することができる。インクに含有させる樹脂粒子としては、前述のアクリル系樹脂やウレタン系樹脂などを挙げることができる。インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として1.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。
[水性媒体]
本発明の記録方法で用いるインクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性のインクである。インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。
[その他添加剤]
インクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤など種々の添加剤を含有させてもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
酸価150mgKOH/g、重量平均分子量8,000のスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(樹脂1)を用意した。樹脂1 20.0部を、その酸価と等モルの水酸化カリウムで中和した後、適量の純水を加え、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である樹脂1の水溶液を調製した。顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)10.0部、樹脂1の水溶液15.0部、及び純水75.0部を混合して混合物を得た。得られた混合物及び0.3mm径のジルコニアビーズ200部をバッチ式の縦型サンドミル(アイメックス製)に入れ、水冷しながら5時間分散させた。遠心分離して粗大粒子を除去した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤(樹脂1)の含有量が3.0%の顔料分散液を調製した。
<樹脂粒子の調製>
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水74.0部、及び過硫酸カリウム0.2部を入れて混合した。また、エチルメタクリレート24.0部、メタクリル酸1.5部、及び反応性界面活性剤(商品名「アクアロンKH−05」、第一工業製薬製)0.3部を混合して乳化物を調製した。窒素雰囲気下、調製した乳化物を上記の四つ口フラスコ内に1時間かけて滴下し、80℃で撹拌しながら2時間重合反応を行った。25℃まで冷却した後、イオン交換水、及び樹脂粒子の酸価と等モルの水酸化カリウムを含む水溶液を添加して、樹脂粒子(固形分)の含有量が25.0%である樹脂粒子の水分散液を調製した。
<インクの調製>
以下に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。以下に示す各成分中、「樹脂1の水溶液」は、顔料分散液の調製に用いた「樹脂1の水溶液」と同じものである。「アセチレノールE100」は川研ファインケミカル製の界面活性剤の商品名である。
・顔料分散液:30.0%
・樹脂粒子の水分散液:32.0%
・グリセリン:7.0%
・ポリエチレングリコール(数平均分子量:1,000):3.0%
・樹脂1の水溶液:2.0%
・アセチレノールE100:0.5%
・イオン交換水:25.5%
<ワックス粒子の調製>
(ノニオン性乳化剤の用意)
表1に示す種類のノニオン性乳化剤(直鎖のポリオキシエチレンアルキルエーテル)を用意した。
Figure 2021126858
(ワックス粒子の調製)
[ワックス粒子1〜11]
表2に示す各成分(単位:%)を混合し、温度及び圧力を適宜調整してワックスを乳化させて、所定の粒子径を有するワックス粒子を調製した。適量の純水を添加して、ワックス粒子1〜11をそれぞれ含む液体を調製した。
Figure 2021126858
<反応液の調製>
(ノニオン性界面活性剤の用意)
表3に示す種類のノニオン性界面活性剤(直鎖のポリオキシエチレンアルキルエーテル)を用意した。
Figure 2021126858
(反応液の調製)
以下に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各反応液を調製した。「メガファックF444」は、DIC製の界面活性剤の商品名である。ワックスの含有量W(%)、ノニオン性乳化剤の含有量E(%)、ノニオン性界面活性剤の含有量S(%)、E/Wの値(倍)、及びS/Wの値(倍)を表4に示す。
・表4に示す種類のワックス粒子を含む液体:表4に示す量(%)
・表4に示す種類のノニオン性界面活性剤:表4に示す量(%)
・リンゴ酸:30.00%
・グリセリン:7.00%
・メガファックF444:5.00%
・イオン交換水:成分の合計が100.00%となる残量(%)
Figure 2021126858
<多孔質体の作製>
結晶化したフッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)の乳化重合粒子を圧縮成形した後、融点以下の温度で延伸して、フィブリル化した多孔質層(第1の層)を作製した。さらに、ポリエチレン及びポリプロピレンを混合した後、湿式法により延伸して、フィブリル化した多孔質層(第2の層)を作製した。また、ポリオレフィン系の不織布(商品名「HOP60」、廣瀬製紙製)を第3の層として用いた。層の厚さは、第1の層よりも第2の層のほうが厚い。また、平均孔径は、第1の層よりも第2の層のほうが小さい。第1の層、第2の層、及び第3の層を熱圧ラミネート処理して接着し、多孔質体を得た。
<評価>
反応液及びインクを、図1に示す構成を有する転写型インクジェット記録装置100の反応液付与装置103及びインク付与装置104にそれぞれ充填した。使用した転写型インクジェット記録装置100の構成を以下に示す。支持部材102として、アルミニウム合金からなる円筒形のドラムを用いた。転写体101の表層部材(シロキサン化合物を含む表面層)を以下の手順で作製した。
加水分解性の有機シラン化合物(ジエチルジエトキシシラン、信越化学工業製)50モル%、及び有機シラン化合物(ジエチルジエトキシシラン、信越化学工業製)50モル%を混合して混合物を得た。得られた混合物に、水及び酢酸(触媒)を加えた。酢酸は、全質量を基準として500ppmとなるように加えた。その後、24時間以上加熱還流を行い、有機シラン化合物が脱水縮合して形成された縮合化合物を含有する溶液を得た。エタノール及びメチルイソブチルケトンの混合溶媒(質量比4:1)を添加して27%に希釈した。さらに、光カチオン重合開始剤(商品名「CPI−410S」、サンアプロ製)を、固形分を基準として3モル%添加して、コーティング液を調製した。
転写体の基材として、厚さ0.05mmのポリエチレンテレフタレートのフィルムに、ゴム硬度40度のシリコーンゴムを0.2mmの厚さでコーティングしたものを用意した。調製したコーティング液を用意した基材にスピンコートにより塗布し、基材の表面に薄膜状の表面層を設けた。UVランプを使用して露光した後、120℃で2時間加熱して、表面層を硬化させた。これにより、シロキサン構造を有する樹脂で形成される層を有する転写体101を得た。両面粘着テープを用いて得られた転写体101を支持部材102に固定した。
反応液付与装置103を使用して、転写体101上に反応液を1.0g/mとなるように付与した。電気−熱変換素子を備えたオンデマンド方式にてインクを吐出するタイプの記録ヘッドをインク付与装置104として使用し、転写体101の反応液が付与された領域にインクを付与した。
前述の多孔質体を液吸収部材105aとして用いた。液吸収部材105aの移動速度は、転写体101の回転速度と同等の速度になるように、張架ローラ105cの回転速度を制御することで調整した。液吸収部材105aの移動速度は0.4m/秒とした。エタノール95.0部及び水5.0部を含有する液体に液吸収部材105aを浸漬して多孔質体の空隙に液体を浸透させた後、空隙内を水で置換したものを液体除去に使用した。転写体101及び液吸収部材105aの間のニップ圧(平均圧力)が2kg/cmとなるように、押圧部材105bに圧力を印加した。
転写体101の回転速度と同等の速度となるように、記録媒体繰り出しローラ107a及び記録媒体巻き取りローラ107bを駆動させて記録媒体108を搬送した。転写体101と押圧部材106の間で記録媒体108と中間画像を接触させ、中間画像を転写体101から記録媒体108へと転写してベタ画像を記録した。記録媒体108としては、コート紙(商品名「オーロラコート」、日本製紙製、坪量104g/m)を用いた。転写体101及び押圧部材106の間のニップ圧は、3kg/cmに調整した。
上記の構成を有する転写型インクジェット記録装置100を使用して、記録デューティ10%及び100%である、5cm×5cmのベタ画像を100枚の記録媒体に記録した。転写型インクジェット記録装置100では、1/1,200インチ×1/1,200インチの単位領域に3.0ngのインク滴を1滴付与する条件で記録した画像を、記録デューティが100%であると定義する。100枚目の記録媒体に記録した画像におけるドット欠け及び白抜けの状態を目視及び顕微鏡で観察し、以下に示す評価基準にしたがって画像のドット欠け及び白抜けの抑制を評価し、転写体の洗浄性の指標とした。本発明においては、下記の評価基準で、「AA」、「A」、及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表5に示す。
AA:ベタ画像の白抜け及びドット欠けのいずれも生じていなかった。
A:ベタ画像の白抜けは生じていなかったが、わずかなドット欠けが生じていた。
B:ベタ画像の白抜け及びドット欠けのいずれも生じていたが、目視では認識できなかった。
C:ベタ画像の白抜け及びドット欠けのいずれもが生じており、目視でも認識できた。
Figure 2021126858

Claims (5)

  1. 水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記水性インクと反応する反応剤を含有する水性の反応液を前記転写体に付与する反応液付与工程と、
    前記水性インクを転写体に付与して中間画像を形成する中間画像形成工程と、
    多孔質体を具備する液吸収部材の前記多孔質体を前記中間画像に接触させて、前記中間画像から液体成分の少なくとも一部を吸収する液吸収工程と、
    前記中間画像を前記記録媒体に接触させて転写する転写工程と、をこの順に有し、
    前記反応液が、さらに、ノニオン性乳化剤で乳化された粒子状のポリオレフィンワックス、及びノニオン性界面活性剤を含有し、
    前記ノニオン性乳化剤及び前記ノニオン性界面活性剤が、いずれもポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、
    前記ノニオン性乳化剤のHLB値が、前記ノニオン性界面活性剤のHLB値よりも小さいことを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記ノニオン性界面活性剤のHLB値が、18.0以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記ノニオン性乳化剤の分子量が、460以上1,200以下であり、
    前記ノニオン性界面活性剤の分子量が、1,200を超えて2,500以下である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記反応液中、前記ノニオン性乳化剤の含有量(質量%)が、前記ポリオレフィンワックスの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上0.5倍以下であり、
    前記反応液中、前記ノニオン性界面活性剤の含有量(質量%)が、前記ポリオレフィンワックスの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.35倍以上である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するために用いるインクジェット記録装置であって、
    前記水性インクと反応する反応剤を含有する水性の反応液を前記転写体に付与する反応液付与手段と、
    前記水性インクをインクジェット方式で吐出して転写体に付与して中間画像を形成するインク付与手段と、
    多孔質体を具備する液吸収部材の前記多孔質体を前記中間画像に接触させて、前記中間画像から液体成分の少なくとも一部を吸収する液吸収手段と、
    前記中間画像を前記記録媒体に接触させて転写する転写手段と、を備え、
    前記反応液が、さらに、ノニオン性乳化剤で乳化された粒子状のポリオレフィンワックス、及びノニオン性界面活性剤を含有し、
    前記ノニオン性乳化剤及び前記ノニオン性界面活性剤が、いずれもポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、
    前記ノニオン性乳化剤のHLB値が、前記ノニオン性界面活性剤のHLB値よりも小さいことを特徴とするインクジェット記録装置。

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