JP2019059187A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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吉敬 鳥阪
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【課題】記録媒体の風合いを損なうことなく、耐ブロッキング性に優れた画像を記録することが可能な転写型のインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】水性の反応液及び顔料を含有する水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法である。有機酸、ワックス粒子、及びシリコーンオイルを含有する反応液を転写体に付与する反応液付与工程と、転写体の反応液が付与された領域の少なくとも一部に水性インクを付与して中間画像を形成する中間画像形成工程と、中間画像をワックス粒子の融点以上の温度に加熱して記録媒体に接触させて転写する転写工程と、をこの順に有し、転写体へのワックス粒子の付与量(g/m2)が、0.04g/m2以上0.10g/m2以下であり、転写体へのシリコーンオイルの付与量(g/m2)が、0.01g/m2以上0.05g/m2以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方法に用いられるインクとして、水性インクが広く使用されている。中間画像であるインク像を転写体に形成するとともに、記録媒体に転写して画像を記録する、いわゆる転写方式の画像記録方法がある。
転写型のインクジェット記録方法を使用して画像を記録した記録媒体を重ねると、記録面同士が貼り付いて画像や記録媒体が破損する現象(ブロッキング)が生ずる場合がある。この現象は、積層する記録媒体の数が多いほど顕著に生ずる。ブロッキングを抑制する技術としては、例えば、記録面同士が接触しないように記録面にビーズを付与する方法や、記録面同士が接着しないようにインクにワックス粒子を含有させる方法などを挙げることができる。
さらに、類似の技術として、ブロッキングを防止すべく、最低造膜温度が制御されたポリマー粒子を含有するインクと、反応液とを用いるインクジェット記録方法が提案されている(特許文献1)。また、ポリエチレンワックス及びシリコーンオイルを含有し、インク凝集成分を含有しない後処理液を用いることで、ブロッキングが防止された画像を形成することが可能な画像形成方法が提案されている(特許文献2)。
特開2010−065170号公報 特開2014−176997号公報
しかし、特許文献1で提案されたインクジェット記録方法で画像を記録した記録媒体を、例えば、25℃、相対湿度50%の環境下、800kg/m2相当の荷重をかけて24時間程度放置すると、ブロッキングが発生する場合があることがわかった。さらに、記録部以外の領域(非記録部)であって、インクが付与されず、反応液のみが付与された領域においてもブロッキングが発生する場合があった。一方、特許文献2で提案された後処理液を用いると、記録部と非記録部のいずれにおいてもブロッキングが生じにくくなることがわかった。しかし、後処理液が付与された記録媒体の非記録部の風合いが変化する場合があった。
したがって、本発明の目的は、記録媒体の風合いを損なうことなく、耐ブロッキング性に優れた画像を記録することが可能な転写型のインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、このインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、水性の反応液及び顔料を含有する水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、有機酸、ワックス粒子、及びシリコーンオイルを含有する前記反応液を転写体に付与する反応液付与工程と、前記転写体の前記反応液が付与された領域の少なくとも一部に前記水性インクを付与して中間画像を形成する中間画像形成工程と、前記中間画像を前記ワックス粒子の融点以上の温度に加熱して前記記録媒体に接触させて転写する転写工程と、をこの順に有し、前記転写体への前記ワックス粒子の付与量(g/m2)が、0.04g/m2以上0.10g/m2以下であり、前記転写体への前記シリコーンオイルの付与量(g/m2)が、0.01g/m2以上0.05g/m2以下であることを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、記録媒体の風合いを損なうことなく、耐ブロッキング性に優れた画像を記録することが可能な転写型のインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、このインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を示す模式図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)、常圧(1気圧)における値である。
本発明者らは、まず、特許文献1で提案された記録方法によって画像を記録した、坪量128g/m2の記録媒体を7,000枚積層した場合を想定し、このような場合に生ずるブロッキングについて評価した(評価方法の詳細については後述する)。その結果、中間画像が転写されることで得られた画像の最表面に存在する、反応液中のインク凝集成分である有機酸が、ブロッキングの主原因であることが判明した。そして、本発明者らは、反応液の組成についてさらに検討した。その結果、以下に示す(i)〜(iii)の要件を採用することで、記録媒体の風合いの変化を抑制しつつ、ブロッキングを抑制することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
(i)有機酸、ワックス粒子、及びシリコーンオイルを含有する反応液を転写体に付与する。
(ii)反応液が付与された転写体に水性インクを付与して形成した中間画像を、ワックス粒子の融点以上の温度に加熱して記録媒体に接触させて転写する。
(iii)転写体へのワックス粒子の付与量(g/m2)が、0.04g/m2以上0.10g/m2以下であり、転写体へのシリコーンオイルの付与量(g/m2)が、0.01g/m2以上0.05g/m2以下である。
上記のような効果が得られるメカニズムについては、以下のように推測される。中間画像を加熱する温度以下の温度で溶融するようなワックス粒子は、加熱することで被膜化し、反応液層の表面側に被膜を形成する。そして、ワックス粒子により形成された被膜が、シリコーンオイルの流出を抑制し、反応液層中に留めることで、シリコーンオイルによる離形性が効果的に発現することになる。これらの二つの働きにより、ブロッキングが有効に抑制されると考えられる。さらに、効果的にブロッキングが抑制されるので、ブロッキングを抑制するのに要するワックス粒子やシリコーンオイルの付与量を低減することが可能となる。このため、記録媒体に付与されるワックス粒子やシリコーンオイルの量を低減することが可能となり、記録媒体の風合いの変化を抑制することができると考えられる。
<インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法(以下、単に「記録方法」とも記す)は、水性の反応液及び顔料を含有する水性インクを用いて記録媒体に画像を記録する方法である。本発明の記録方法は、転写体に反応液を付与する反応液付与工程と、転写体に水性インクを付与して中間画像を形成する中間画像形成工程と、中間画像を所定の温度に加熱して記録媒体に接触させて転写する転写工程と、をこの順に有する。中間画像形成工程では、転写体の反応液が付与された領域の少なくとも一部に水性インクを付与して中間画像を形成する。すなわち、本発明の記録方法は、転写型のインクジェット記録方法である。さらに、必要に応じて、転写体に形成した中間画像から液体成分を吸収する液吸収工程、及び転写工程後の転写体を洗浄する洗浄工程、などを有してもよい。
また、本発明のインクジェット記録装置(以下、単に「記録装置」とも記す)は、水性の反応液及び顔料を含有する水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するために用いる装置である。本発明の記録装置は、転写体に反応液を付与する反応液付与手段と、転写体に水性インクをインクジェット方式で吐出して付与し、中間画像を形成するインク付与手段と、中間画像記録媒体に接触させて転写する転写手段と、を備える。インク付与手段は、転写体の反応液が付与された領域の少なくとも一部に水性インクを吐出して付与する手段である。すなわち、本発明の記録装置は、いわゆる転写型インクジェット記録装置である。本発明の記録装置は、さらに、必要に応じて、転写体に形成した中間画像から液体成分を吸収する液吸収手段、及び転写後の転写体を洗浄する洗浄手段、などを備えてもよい。
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を示す模式図である。図1に示す転写型インクジェット記録装置100は、転写体101を介して記録媒体108に中間画像を転写して記録物を製造する、枚葉式のインクジェット記録装置である。X方向、Y方向、及びZ方向が、それぞれ、転写型インクジェット記録装置100の幅方向(全長方向)、奥行き方向、及び高さ方向を示す。記録媒体は、X方向に搬送される。
転写型インクジェット記録装置100は、転写体101、反応液付与装置103、インク付与装置104、液吸収装置105、及び押圧部材106を有する。転写体101は、支持部材102によって支持されている。反応液付与装置103は、インクと反応する反応剤を含有する反応液を転写体101に付与する装置である。インク付与装置104は、反応液が付与された転写体101にインクを付与して中間画像を形成する記録ヘッドを備える。液吸収装置105は、中間画像から液体成分を吸収する装置である。押圧部材106は、液体成分を除去した中間画像を紙などのシート状の記録媒体108に転写するための部材である。さらに、転写型インクジェット記録装置100は、転写後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有する。転写体101、反応液付与装置103、インク付与装置104の記録ヘッド、液吸収装置105、及び転写体クリーニング部材109は、それぞれ、Y方向において用いられる記録媒体108に対応するだけの長さを有する。
転写体101は、支持部材102の回転軸102aを中心として矢印Aの方向に回転する。回転する転写体101に反応液付与装置103から反応液が付与された後、インク付与装置104からインクが付与されることで、転写体101に中間画像が形成される。転写体101に形成された中間画像は、転写体101の回転により、液吸収装置105の液吸収部材105aと接触する位置まで移動する。
液吸収装置105を構成する液吸収部材105aは、転写体101の回転に同期して矢印Bの方向に移動(回転)する。転写体101に形成された中間画像は、移動する液吸収部材105aと接触する。その間に、液吸収部材105aは中間画像から液体成分を吸収して除去する。中間画像の液体成分を効率よく吸収する観点から、液吸収部材105aは、所定の押圧力をもって転写体101に押圧されることが好ましい。中間画像は、インク及び反応液で形成されている。このため、中間画像の液体成分を吸収することは、インク及び反応液中の液体成分を吸収することを意味する。中間画像から液体成分を吸収することは、インクなどを濃縮することであるとも言える。インクなどの濃縮により、色材や樹脂などの固形分の液体成分に対する比率が上昇する。
液体成分が除去され、インクが濃縮された状態となった中間画像は、転写体101の回転により、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108と接触する転写部111へと移動する。この間に、転写体101の支持部材102に内蔵された加熱ヒータ(不図示)などの加熱手段を用いて、転写体上の中間画像を、反応液に含有されるワックス粒子の融点以上の温度に加熱する。中間画像は、支持部材とは別の位置に設けた赤外線ヒータなどにより加熱してもよい。中間画像と記録媒体108は、転写体101と押圧部材106とに挟まれた状態で、押圧部材106側から押圧されて接触する。ローラ状の転写体101と円柱状の押圧部材106とを用いる場合、中間画像と記録媒体108はY方向に沿って線状に接触する。弾性材料で構成された転写体101を用いると、押圧により転写体101が凹むため、中間画像と記録媒体108が面で接触する。このため、中間画像と記録媒体108が接触する線又は面を「領域」とし、この領域を含む部分を転写部111とする。中間画像が記録媒体108と接触している間に、押圧部材106が転写体101を押圧することによって記録媒体108に中間画像が転写され、所望とする画像が記録媒体108に記録される。転写後の画像は、転写前の中間画像の反転画像である。
ローラ状の反応液付与部材103cを用いて転写体に反応液を付与すると、転写体の全体にわたって反応液が付与される。反応液が付与された転写体にインクを付与して中間画像を形成するため、転写体におけるインクが付与されていない領域には、インクと反応していない反応液が残っている。液吸収部材105aは中間画像からだけでなく、未反応の反応液の液体成分も併せて除去することが可能である。インクや反応液に含まれる液体成分は一定の形を持たずに流動性を有するとともに、ほぼ一定の体積で存在する。インクや反応液に含まれる液体成分は、具体的には水性媒体などである。
以下、転写型インクジェット記録装置の主要な部分について説明する。具体的には、[1]転写体、[2]支持部材、[3]反応液付与装置、[4]インク付与装置、[5]液吸収装置、[6]押圧部材、[7]記録媒体、[8]記録媒体搬送装置、及び[9]洗浄装置について説明する。
[1]転写体
転写体101は、中間画像が形成される面を含む表面層を有する。表面層を構成する材料は、例えば、シロキシフルオロカーボンを含む。シロキシフルオロカーボンを含む材料で構成された表面層は疎水性及び疎油性に優れる。このため、シロキシフルオロカーボンを含む材料で構成された表面層を有する転写体を用いると、中間画像の転写性を向上させることができる。シロキシフルオロカーボンとしては、シロキサン構造(Si−O)、及びフルオロカーボン(フッ素原子が置換した炭素原子)を持つものであれば特に限定されない。シロキシフルオロカーボンを含む材料としては、具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素系樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を含む材料を縮合して得られる縮合物などを挙げることができる。反応液の濡れ性や中間画像の転写性などを向上させるために、表面処理を施してもよい。
転写体は、表面層と支持部材との間に、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層は、局所的な圧力変動を分散し、表面層の変形を吸収する。このため、圧縮層を設けることで、高速記録する場合であっても良好な転写性を維持することができる。圧縮層を構成する材料としては、ゴム材料などの弾性材料を挙げることができる。なかでも、加硫剤及び加硫促進剤とともに、発泡剤、中空微粒子、及び塩などの充填剤を原料ゴムに配合して成形した多孔質構造を有するゴム材料が好ましい。このような弾性材料は、圧力が変動すると空隙部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さい。このため、転写性及び耐久性を向上させることができる。多孔質構造としては、空隙が相互に連結した連続空隙構造や、空隙が各々独立した独立空隙構造などを挙げることができる。
転写体は、表面層と圧縮層との間に、さらに弾性層を有することが好ましい。弾性層を構成する材料としては、樹脂材料、セラミック材料などを挙げることができる。なかでも、加工しやすいとともに、温度による弾性率の変化が小さく、転写性に優れるため、ゴム材料などの弾性材料が好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)は、接着剤や両面テープを用いて相互に接着することができる。装置に装着する際の横伸びを抑制してコシを保つために、圧縮弾性率の高い補強層を設けてもよい。補強層としては、織布などを用いることができる。転写体を構成する層のうち、表面層以外の層については、弾性層や圧縮層を任意に組み合わせることができる。転写体の大きさは、記録速度や画像のサイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、例えば、シート状、ローラ状、ベルト状、無端ウェブ状などを挙げることができる。
[2]支持部材
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体は、例えば、接着剤や両面テープなどを用いて支持体上に配設することができる。金属、セラミック、樹脂などの材料で構成される設置用部材を用いて転写体101を支持部材102に配設してもよい。支持部材102は、搬送精度や耐久性の観点から、ある程度の構造強度を有することが要求される。支持部材の材質としては、金属、セラミック、樹脂などを挙げることができる。なかでも、アルミニウムなどの金属材料を用いることが好ましい。金属材料を用いることで、転写時の応力に耐えうる剛性及び寸法精度の他、動作時の慣性を軽減して制御の応答性を向上させることができる。
[3]反応液付与装置
本発明の記録方法は、中間画像形成工程の前に、反応液を転写体に付与する反応液付与工程を有する。反応液は、インクと接触することでインクと反応し、インク中の樹脂や自己分散顔料などのアニオン性基を有する成分を凝集させる反応剤を含有する。インクの付与後、インクを付与した領域と少なくとも一部が重なるように反応液をさらに付与してもよい。
図1に示す転写型インクジェット記録装置100は、転写体101に反応液を付与する反応液付与手段である反応液付与装置103を有する。この反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103a中の反応液を転写体101に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラである。反応液付与装置としては、グラビアオフセットローラ、インクジェット方式の記録ヘッドなどを挙げることができる。なかでも、ローラを使用して転写体に反応液を付与することが好ましい。
転写体への反応液の付与量は、0.3g/m2以上10.0g/m2以下であることが好ましく、0.6g/m2以上5.0g/m2以下であることがさらに好ましい。転写体の一部分のみに反応液を付与する場合であっても、転写体の全面に付与したと仮定して反応液の付与量の値(g/m2)を求め、求めた付与量の値が上記の範囲内であることが好ましい。
[4]インク付与装置
図1に示す転写型インクジェット記録装置100は、転写体101にインクを付与するインク付与手段であるインク付与装置104を有する。インク付与装置としてインクジェット方式の記録ヘッドを用い、インクを吐出して付与することが好ましい。記録ヘッドとしては、例えば、電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態;電気−機械変換体によってインクを吐出する形態;静電気を利用してインクを吐出する形態などを挙げることができる。なかでも、電気−熱変換体を利用する形態の記録ヘッドが、より高速で高密度の画像を記録することができるために好ましい。
記録ヘッドは、Y方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲に吐出口が配列されている。記録ヘッドは、その下面(転写体101側)に吐出口が開口した吐出口面を有する。吐出口面は、微小な隙間(数ミリ程度)を空けて転写体101の表面と対向している。インク付与装置104は、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラック(CMYK)などの各色のインクを転写体101に付与するために、複数の記録ヘッドを有してもよい。例えば、CMYKの4種のインクを用いて中間画像を形成する場合、インク付与装置は、CMYKの4種のインクをそれぞれ吐出する4つの記録ヘッドを有する。これらの記録ヘッドは、X方向に沿って配置される。
[5]液吸収装置
液吸収装置105は、液吸収部材105aと、液吸収部材105aを転写体101の中間画像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bとを有する。円柱状の押圧部材105bと、ベルト状の液吸収部材105aで構成する場合、押圧部材105bで液吸収部材105aを転写体101に押し当てることで、中間画像から液体成分を吸収することができる。また、その外周表面に液吸収部材を貼りつけた円柱状の押圧部材を転写体に押し当てることでも、中間画像から液体成分を吸収することができる。記録装置内でのスペースなどを考慮すると、液吸収部材105aの形状はベルト状であることが好ましい。ベルト状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する、張架ローラ105cなどの張架部材を有していてもよい。
押圧部材105bを用いて多孔質層を含む液吸収部材105aを中間画像に接触させることで、中間画像に含まれる液体成分を液吸収部材105aに吸収させることができる。中間画像に含まれる液体成分を吸収する方法として、液吸収部材を接触させる方法に加えて、加熱する方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法などを組み合わせてもよい。また、液体成分を吸収させる前後の中間画像にこれらの方法を適用してもよい。
液吸収部材105aは、転写体101の回転と連動して回転する。このため、液吸収部材105aの形状は、繰り返し液吸収できる形状であることが好ましく、具体的には無端ベルト状やドラム状などの形状を挙げることができる。多孔質層を含む液吸収部材105aに吸収された液体成分は、多孔質層の裏面から吸収する方法や、多孔質部材を扱く部材を利用する方法などにより、液吸収部材105aから除去することができる。液体成分を除去した後、液吸収部材105aを回転させて新たな中間画像に接触させることで、中間画像に含まれる液体成分を効率よく吸収することができる。
[6]押圧部材
本発明の記録装置は、中間画像を記録媒体に接触させて転写する転写手段を備える。具体的には、図1に示すように、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108に、転写体101上の液除去後の中間画像を押圧部材106により転写部111において接触させて転写する。液体成分を除去後の中間画像を記録媒体108に転写することで、記録媒体108のカールやコックリングなどを抑制することができる。
押圧部材106は、記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点から、適度な構造強度を有することが好ましい。押圧部材106の材質としては、金属、セラミック、樹脂などを挙げることができる。なかでも、転写の際の応力に耐えうる剛性や寸法精度を有するだけでなく、動作時の慣性を軽減して制御の応答性を向上させる観点から、アルミニウムなどの金属が好ましい。
中間画像を記録媒体108に転写する際に、押圧部材106が転写体101を押圧する時間(押圧時間)は、5ミリ秒以上100ミリ秒以下とすることが好ましい。上記の押圧時間とすることで、良好に転写できるとともに、転写体101の損傷を抑制することができる。押圧時間は、記録媒体108と転写体101が接触している時間である。押圧時間は、圧力分布測定システムを使用して面圧を測定し、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割ることで算出することができる。具体的には、面圧分布測定システム(商品名「I−SCAN」、ニッタ製)などを使用することができる。
中間画像を記録媒体108に転写する際に、押圧部材106が転写体101を押圧する圧力(押圧力)は、9.8N/cm2(1kg/cm2)以上294.2N/cm2(30kg/cm2)以下とすることが好ましい。上記の押圧力とすることで、良好に転写できるとともに、転写体101の損傷を抑制することができる。押圧力は、記録媒体108と転写体101のニップ圧である。押圧力は、圧力分布測定システムを用いて面圧を測定し、加圧領域における加重を面積で割ることで算出することができる。具体的には、面圧分布測定システム(商品名「I−SCAN」、ニッタ製)などを使用することができる。
押圧部材106が転写体101を押圧して転写するときの中間画像の温度は、中間画像に含まれるワックス粒子の融点以上の温度とする。なかでも、押圧して転写するときの中間画像の温度は、60℃以上140℃以下であることが好ましい。ワックス粒子の特性にもよるが、温度を制御するために、記録装置は、転写体101上の中間画像、転写体101、及び記録媒体108を加熱する加熱手段を備えることが好ましい。押圧部材106の形状としては、例えば、ローラ状などの形状を挙げることができる。
[7]記録媒体
記録媒体108としては、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物;所定の寸法に裁断された枚葉のものなどを挙げることができる。記録媒体の構成材料としては、コート紙や普通紙などの紙;プラスチックや金属などのフィルム;木板;段ボールなどを挙げることができる。
[8]記録媒体搬送装置
記録媒体108を搬送する記録媒体搬送装置107は、記録媒体108を矢印Cの方向に搬送する。記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107a及び記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されている。記録媒体108の搬送速度は、各工程において要する速度を考慮して決定することが好ましい。
[9]洗浄装置
本発明の記録装置は、図1に示すように、転写体101に水性の洗浄液を付与して洗浄する洗浄手段である洗浄装置をさらに備えることが好ましい。洗浄装置は、例えば、転写体101に洗浄液を付与して洗浄する転写体クリーニング部材109を備える。転写体クリーニング部材109により転写体101をクリーニングすることで、画像品位の低下を抑制することができる。クリーニング部材109としては、ローラ、ウェブなどの形状を有するものを用いることができる。洗浄装置には、転写体クリーニング部材109に洗浄液を供給する洗浄液供給ユニットを設けることができる。
さらに、洗浄装置は、クリーニング後の転写体101に残った洗浄液や残留物を除去する洗浄液除去部材110を備えることが好ましい。洗浄液除去部材110によって転写体101に残った洗浄液などを除去することで、画像品位の低下をより有効に抑制することができる。転写体101に残った洗浄液を除去する方法としては、ブレード除去、ブラシ除去、吸収体による液吸収などを挙げることができる。なかでも、吸収体による液吸収によって転写体101に残った洗浄液を除去することが好ましい。洗浄液吸収部材110としては、液吸収部材として用いられる多孔質体などを用いることができる。
(反応液)
本発明の記録方法で用いる反応液は、水性インクと接触することでインクと反応し、インク中の成分(樹脂、自己分散顔料などのアニオン性基を有する成分)を凝集させるものである。反応液は、反応剤としての有機酸、所定の温度で溶融するワックス粒子、及びシリコーンオイルを含有する水性の液体である。
[有機酸]
有機酸を含有する反応液は、酸性領域(pH7.0未満、好ましくはpH2.0〜5.0)に緩衝能を有することによって、インク中に存在する成分のアニオン性基を効率よく酸型にして凝集させるものである。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、チオフェンカルボン酸、レブリン酸、クマリン酸などのモノカルボン酸及びその塩;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、セバシン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸などのジカルボン酸、及びその塩や水素塩;クエン酸、トリメリット酸などのトリカルボン酸及びその塩や水素塩;ピロメリット酸などのテトラカルボン酸及びその塩や水素塩などを挙げることができる。なかでも、リンゴ酸、グルタル酸が好ましい。反応液中の有機酸の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
[ワックス粒子]
転写体へのワックス粒子の付与量(g/m2)は、0.04g/m2以上0.10g/m2以下であることを要する。ワックス粒子の付与量が0.04g/m2未満であると、耐ブロッキング性が不十分となる。一方、ワックス粒子の付与量が0.10g/m2超であると、画像が記録された記録媒体の風合いが損なわれる。ワックス粒子の付与量は、反応液中のワックス粒子の含有量や、転写体への反応液の付与量などによって調整することができる。
ワックス粒子としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンの重合体などのポリオレフィンワックス粒子;パラフィンワックス粒子;カルナバワックス粒子などを挙げることができる。なかでも、パラフィンワックス粒子が好ましい。
反応液中のワックス粒子の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、5.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましい。ワックス粒子の融点は70℃以上であることが好ましい。ワックス粒子の体積分布基準の50%粒子径(D50)は、20nm以上200nm以下であることが好ましい。ワックス粒子のD50は、例えば、動的光散乱法による粒度分析計などを使用して測定することができる。
[シリコーンオイル]
転写体へのシリコーンオイルの付与量(g/m2)は、0.01g/m2以上0.05g/m2以下であることを要する。シリコーンオイルの付与量が0.01g/m2未満であると、耐ブロッキング性が不十分となる。一方、シリコーンオイルの付与量が0.05g/m2超であると、画像が記録された記録媒体の風合いが損なわれる。シリコーンオイルの付与量は、反応液中のシリコーンオイルの含有量や、転写体への反応液の付与量などによって調整することができる。
シリコーンオイルは、複数のシロキサン結合を有する化合物である。シリコーンオイルの具体例としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイルなどを挙げることができる。また、これらのシリコーンオイルが、ポリエーテル、アルキル、フェニル、ハロゲンなどにより変性された、いわゆる変性シリコーンオイルを用いることもできる。
反応液中のシリコーンオイルの含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。シリコーンオイルの重量平均分子量は、5,000以上であることが好ましく、50,000以下であることが好ましい。なかでも、8,000以上20,000以下であることがさらに好ましい。
転写体へのシリコーンオイルの付与量(g/m2)は、転写体へのワックス粒子の付与量(g/m2)に対する比率で、0.2倍以上1.0倍以下であることが好ましい。上記の比率が0.2倍未満であると、シリコーンオイルがワックス粒子に埋もれやすくなる。このため、シリコーンオイルの離型効果が発揮されにくくなるとともに、耐ブロッキング性がやや不足する場合がある。一方、上記の比率が1.0倍超であると、シリコーンオイルが記録媒体に浸透しやすくなる。このため、シリコーンオイルの離型効果が発揮されにくくなるとともに、耐ブロッキング性がやや不足する場合がある。
[水性媒体]
本発明の記録方法で用いる反応液は、水性媒体として少なくとも水を含有する水性の反応液である。反応液には、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。反応液中の水の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、30.0質量%以上70.0質量%以下であることが好ましい。また、反応液中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、3.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。
[その他の成分]
反応液は、必要に応じて、各種その他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、インクに含有させることが可能な後述のその他添加剤などと同様のものを挙げることができる。特に、アルカリ金属の水酸化物などのpH調整剤を含有させることが好ましい。
[反応液の物性]
反応液は、ローラを使用して転写体に付与することが好ましい。このため、反応液の物性は、ローラを使用して転写体に付与する観点で物性値が適切に制御されていることが好ましい。具体的には、25℃における反応液の表面張力は、10mN/m以上30mN/m以下であることが好ましい。また、25℃における反応液の粘度は、1.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましい。
(インク)
本発明の記録方法で用いるインクは、顔料を含有するインクジェット用の水性インクである。以下、インクに用いる各成分などについて詳細に説明する。
[顔料]
インクに含有させる色材は顔料である。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料を挙げることができる。
顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子の表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。
顔料を水性媒体中に分散させるための樹脂分散剤としては、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体中に分散させうるものを用いることが好ましい。樹脂分散剤としては、後述するような樹脂、なかでも水溶性樹脂を用いることができる。インク中の顔料の含有量(質量%)は、樹脂分散剤の含有量に対する質量比率で、0.3倍以上10.0倍以下であることが好ましい。
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団(−R−)を介して結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合において、カウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウムなどを挙げることができる。他の原子団(−R−)の具体例としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;カルボニル基;イミノ基;アミド基;スルホニル基;エステル基;エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基であってもよい。
[樹脂]
インクには、樹脂を含有させることができる。インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。
樹脂は、(i)顔料の分散状態を安定化させるため、すなわち、樹脂分散剤やその補助としてインクに添加することができる。また、(ii)記録される画像の各種特性を向上させるためにインクに添加することができる。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどを挙げることができる。また、樹脂は、水性媒体に溶解しうる水溶性樹脂であってもよく、水性媒体中に分散する樹脂粒子であってもよい。樹脂粒子は、色材を内包する必要はない。
本明細書において「樹脂が水溶性である」とは、その樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法により粒子径を測定しうる粒子を形成しない状態で水性媒体中に存在することを意味する。樹脂が水溶性であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、酸価相当のアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)により中和された樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製する。そして、試料溶液中の樹脂の粒子径を動的光散乱法により測定した場合に、粒子径を有する粒子が測定されない場合に、その樹脂は水溶性であると判断することができる。この際の測定条件は、例えば、以下のようにすることができる。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計(例えば、商品名「UPA−EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
水溶性樹脂の酸価は、100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましい。樹脂粒子を構成する樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましい。水溶性樹脂の重量平均分子量は、3,000以上15,000以下であることが好ましい。樹脂粒子を構成する樹脂の重量平均分子量は、1,000以上2,000,000以下であることが好ましい。動的光散乱法により測定される樹脂粒子の平均粒子径(体積基準の累積50%粒子径(D50))は、100nm以上500nm以下であることが好ましい。
樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂などを挙げることができる。なかでも、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂が好ましい。
アクリル系樹脂としては、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有するものが好ましい。なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、芳香環を有するモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの少なくとも一方に由来する疎水性ユニットと、を有する樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、スチレン及びα−メチルスチレンの少なくとも一方のモノマーに由来する疎水性ユニットとを有する樹脂が好ましい。これらの樹脂は、顔料との相互作用が生じやすいため、顔料を分散させるための樹脂分散剤として好適に利用することができる。
親水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有するユニットである。親水性ユニットは、例えば、親水性基を有する親水性モノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有する親水性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボン酸基を有する酸性モノマー、これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマーなどを挙げることができる。酸性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。疎水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有しないユニットである。疎水性ユニットは、例えば、アニオン性基などの親水性基を有しない、疎水性モノマーを重合することで形成することができる。疎水性モノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香環を有するモノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーなどを挙げることができる。
ウレタン系樹脂は、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得ることができる。また、鎖延長剤をさらに反応させたものであってもよい。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。
[水性媒体]
本発明の記録方法で用いるインクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性のインクである。インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。
[その他添加剤]
インクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤など種々の添加剤を含有させてもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<反応液の調製>
表1−1及び1−2に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、反応液を調製した。表1−1及び1−2中の各成分の詳細を以下に示す。
・AQUACER497:パラフィンワックス粒子、融点60℃(ビックケミー製)
・AQUACER515:ポリエチレンワックス粒子、融点135℃(ビックケミー製)
・AQUACER539:パラフィンワックス粒子とポリオレフィンワックス粒子の混合粒子、融点90℃(ビックケミー製)
・BYK333:ポリエーテル変性シリコーンオイル、重量平均分子量8,000(ビックケミー製)
・BYK349:ポリエーテル変性シリコーンオイル、重量平均分子量2,800(ビックケミー製)
・FZ2104:ポリエーテル変性シリコーンオイル、重量平均分子量20,000(東レ・ダウコー二ング製)
・FS3100:フッ素系界面活性剤(Capstone FS3100:ケマーズ製)
Figure 2019059187
Figure 2019059187
<インクの調製>
酸価120mgKOH/g、重量平均分子量8,000のスチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(水溶性樹脂1)を用意した。水溶性樹脂1 20.0部を、その酸価と等モルの水酸化カリウムで中和した後、適量の純水を加え、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である水溶性樹脂1の水溶液を調製した。
顔料(カーボンブラック)10.0部、水溶性樹脂1の水溶液15.0部、及び純水75.0部を混合して混合物を得た。得られた混合物及び0.3mm径のジルコニアビーズ200部をバッチ式の縦型サンドミル(アイメックス製)に入れ、水冷しながら5時間分散させた。遠心分離して粗大粒子を除去した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤(水溶性樹脂1)の含有量が3.0%の顔料分散液を調製した。
エチルメタクリレート18.0部、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)2.0部、及びn−ヘキサデカン2.0部を入れ、0.5時間撹拌し、混合物を得た。得られた混合物を、スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(酸価:130mgKOH/g、重量平均分子量:7,000)の6.0%水溶液78.0部に滴下して、0.5時間撹拌した。さらに、超音波照射機で超音波を3時間照射した。次いで、窒素雰囲気下で80℃、4時間重合反応を行い、室温冷却後にろ過して、樹脂の含有量が40.0%である樹脂粒子1の水分散液を調製した。樹脂粒子1の重量平均分子量は250,000、D50は200nmであった。
以下に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、インクを調製した。「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製の界面活性剤の商品名である。
・顔料分散液:20.0%
・樹脂粒子1の水分散液:10.0%
・グリセリン:7.0%
・アセチレノールE100:0.5%
・イオン交換水:62.5%
<評価>
調製したインクと、表2に示す番号の反応液とを組み合わせたセットを用意した。そして、図1に示す転写型インクジェット記録装置100を使用して画像を記録した。支持部材102として、アルミニウム合金からなる円筒形のドラムを用いた。転写体101の表層部材としては、厚さ0.5mmのポリエチレンテレフタレートのフィルムに、ゴム硬度(デュロメータ・タイプA)40°のシリコーンゴム(商品名「KE12」、信越化学工業製)を0.2mmの厚さにコーティングしたものを用いた。
この表層部材に、常圧プラズマ処理装置(商品名「ST−7000」、キーエンス製)を使用して、処理距離:5mm、プラズマモード:High、処理速度:100mm/secの条件でプラズマ表面処理を施した。さらに、表層部材の表面を、市販の中性洗剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の濃度が3%となるように純水で希釈して調製した界面活性剤水溶液に10秒間浸漬した後、乾燥させて転写体101の表層部材とした。両面粘着テープを用いて転写体101を支持部材102に固定した。
インクの付与装置104としては、電気−熱変換素子を備えたオンデマンド方式にてインクを吐出するタイプの記録ヘッドを使用した。反応液の付与方法及び付与量は、表2に示す通りとした。表2中の「反応液の付与方法」のうちの「ローラ」は、図1に示すような反応液付与装置103(ローラ)を使用したことを意味する。また、表2中の「反応液の付与方法」のうちの「吐出」は、インクを吐出する記録ヘッドと同様の記録ヘッドを使用したことを意味する。
転写体101の移動速度と同等の速度となるように、記録媒体繰り出しローラ107a及び記録媒体巻き取りローラ107bを駆動させて記録媒体108を搬送した。転写体101に内蔵された加熱ヒータにより転写体101を加熱し、中間画像が表2に示す温度となるまで加熱した。そして、転写体101と押圧部材106の間で記録媒体108と中間画像を接触させ、中間画像を転写体101から記録媒体108へと転写してベタ画像を記録した。記録媒体108としては、コート紙(商品名「ミラーコート」、王子製紙製)を用いた。転写体101と押圧部材106の間のニップ圧は、3kg/cm2に調整した。
上記の構成を有する転写型インクジェット記録装置100を使用して、反応液のみが付与された5cm×5cmの領域、及び記録デューティが100%である5cm×5cmのベタ画像を含む中間画像を記録した。転写型インクジェット記録装置100では、1/1200インチ×1/1200インチの単位領域に3.0ngのインク滴を1滴付与する条件で記録した画像を、記録デューティが100%であると定義する。本発明においては、下記の各項目の評価基準で、「AA」、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表2に示す。
(耐ブロッキング性)
上記の条件でベタ画像を記録して得た2枚の記録物を、温度25℃、相対湿度50%の環境で30分間放置した。その後、記録物の記録面同士が接触するように重ね合わせるとともに、坪量128g/m2の記録媒体を7,000枚積層する条件を想定して、これらの記録物の上に約800kg/m2の荷重をかけた。この状態で、(i)温度25℃、相対湿度50%で24時間、及び(ii)温度60℃のオーブン内で24時間、記録物を放置した。その後、2枚の記録物を剥離し、以下に示す評価基準にしたがって耐ブロッキング性を評価した。
AA:2枚の記録物同士が貼り付き合わなかった。
A:2枚の記録物同士が若干貼り付きあっていたが、触っただけで剥離した。
B:逆さにしても2枚の記録物同士は剥離しないが、上側の記録物を固定して揺することで剥離した。
C:2枚の記録物同士が剥離しにくく、剥離の際には音がした。
D:反応液やインクの付与面が裏移りしたり、記録媒体の基材が剥がれたりした。
(風合い)
得られた記録物における、反応液のみを付与した部分と、何も付与していない部分との風合いを目視で観察して比較し、以下に示す評価基準にしたがって風合いを評価した。
A:反応液のみを付与した部分と、何も付与していない部分と、の風合いが同等であった。
C:反応液のみを付与した部分と、何も付与していない部分と、の風合いが異なっていた。
Figure 2019059187

Claims (6)

  1. 水性の反応液及び顔料を含有する水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    有機酸、ワックス粒子、及びシリコーンオイルを含有する前記反応液を転写体に付与する反応液付与工程と、
    前記転写体の前記反応液が付与された領域の少なくとも一部に前記水性インクを付与して中間画像を形成する中間画像形成工程と、
    前記中間画像を前記ワックス粒子の融点以上の温度に加熱して前記記録媒体に接触させて転写する転写工程と、をこの順に有し、
    前記転写体への前記ワックス粒子の付与量(g/m2)が、0.04g/m2以上0.10g/m2以下であり、
    前記転写体への前記シリコーンオイルの付与量(g/m2)が、0.01g/m2以上0.05g/m2以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記転写体への前記シリコーンオイルの付与量(g/m2)が、前記転写体への前記ワックス粒子の付与量(g/m2)に対する比率で、0.2倍以上1.0倍以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記シリコーンオイルの重量平均分子量が、5,000以上である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記ワックス粒子が、パラフィンワックス粒子である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記ワックス粒子の融点が、70℃以上である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 水性の反応液及び顔料を含有する水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するために用いるインクジェット記録装置であって、
    有機酸、ワックス粒子、及びシリコーンオイルを含有する水性の反応液を、前記ワックス粒子の付与量(g/m2)が0.04g/m2以上0.10g/m2以下、かつ、前記シリコーンオイルの付与量(g/m2)が0.01g/m2以上0.05g/m2以下となるように転写体に付与する反応液付与手段と、
    前記転写体の前記反応液が付与された領域の少なくとも一部に顔料を含有する水性インクをインクジェット方式で吐出して転写体に付与して中間画像を形成するインク付与手段と、
    前記中間画像を前記ワックス粒子の融点以上の温度に加熱することが可能な加熱手段と、
    前記中間画像を前記記録媒体に接触させて転写する転写手段と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
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