JP2019018564A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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貴志 今井
廣瀬 太
Futoshi Hirose
太 廣瀬
進 廣澤
Susumu Hirozawa
進 廣澤
坂本 敦
Atsushi Sakamoto
敦 坂本
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【課題】転写体の洗浄性が良好であり、ドット欠けや白抜けなどが生じにくい高品位な画像を繰り返し記録することが可能な転写型のインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法である。水性インクを転写体に付与して中間画像を形成する中間画像形成工程と、中間画像を記録媒体に接触させて転写する転写工程と、転写体に水性の洗浄液を付与して洗浄する洗浄工程と、をこの順に有し、さらに、必要に応じて、水性インクと反応する反応剤を含有する水性の反応液を転写体に付与する反応液付与工程を有してもよく、水性インク及び反応液の少なくとも一方が、樹脂粒子を含有し(但し、反応液付与工程を有しない場合には、水性インクが樹脂粒子を含有する)、洗浄液が、SP値[単位:(J/cm3)1/2]が17.0以上29.0以下の第1水溶性有機溶剤を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方法に用いられるインクとして、水性インクが広く使用されている。インク中の液体成分を速やかに除去すべく、中間画像を転写体に形成するとともに、中間画像に含まれる液体成分を除去した後、記録媒体に転写して画像を記録する、いわゆる転写方式の画像記録方法がある。
転写方式を採用したインクジェット記録方法においては、転写体上の残留物がその後に記録される画像の品質に影響を及ぼしやすく、画像品位が劣化する場合があるといった課題がある。より具体的には、転写体上の残留物が、その後に画像を記録する際の転写体と記録媒体との接触状態に影響を及ぼして転写不良が発生する。転写不良が発生すると、軽微な場合は画像が白っぽく見える(白抜けが生ずる)程度で済むが、ひどい場合はドットが欠けて画像品位が低下する原因となることがある。
上記のような課題を解決すべく、例えば、インク中の色材成分を凝集させる成分を含有するクリーニング液を塗布して転写体を洗浄する方法が提案されている(特許文献1)。また、非イオン性界面活性剤を含有する反応液を用いる場合に、反応液の温度とその曇点、反応液と転写体の洗浄液との混合物の温度と曇点の関係を特定した記録方法が提案されている(特許文献2)。さらに、転写体に液体を付与して清掃する手段と、転写体よりも粘着力が大きい粘着手段を転写体に接触させて清掃する手段と、を有する画像形成装置が提案されている(特許文献3)。
特開2011−093198号公報 特開2016−215642号公報 特開2009−072928号公報
本発明者らは、特許文献1〜3で提案された装置などを使用して、画像を繰り返し記録することについて検討した。その結果、画像を繰り返し記録することによって転写体の洗浄が不十分となり、ドット欠けや白抜けの発生といった画像品位の低下が生じやすくなる場合があることがわかった。
したがって、本発明の目的は、転写体の洗浄性が良好であり、ドット欠けや白抜けなどが生じにくい高品位な画像を繰り返し記録することが可能な転写型のインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、このインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記水性インクを転写体に付与して中間画像を形成する中間画像形成工程と、前記中間画像を前記記録媒体に接触させて転写する転写工程と、前記転写体に水性の洗浄液を付与して洗浄する洗浄工程と、をこの順に有し、さらに、必要に応じて、前記水性インクと反応する反応剤を含有する水性の反応液を前記転写体に付与する反応液付与工程を有してもよく、前記水性インク及び前記反応液の少なくとも一方が、樹脂粒子を含有し(但し、前記反応液付与工程を有しない場合には、前記水性インクが前記樹脂粒子を含有する)、前記洗浄液が、Fedors法により求められるSP値[単位:(J/cm31/2]が、17.0以上29.0以下である第1水溶性有機溶剤を含有することを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、転写体の洗浄性が良好であり、ドット欠けや白抜けなどが生じにくい高品位な画像を繰り返し記録することが可能な転写型のインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、このインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を示す模式図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性のインク及び反応液のことを、単に「インク」及び「反応液」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を意味する。
インクジェット記録方法で利用される洗浄液としては、記録ヘッドの吐出口が形成された面をワイピングなどにより洗浄する際に用いられる洗浄液(ワイピング液)が知られている。記録ヘッド用の洗浄液は、乾燥したインクを再び溶解させることを主眼に置いた組成である。一方、転写体に用いる洗浄液は、転写体上の残留物が乾燥物ではないため、記録ヘッド用の洗浄液とは異なる考え方で組成などを設計する必要がある。
本発明者らは、繰り返し記録により画像品位が低下する理由について検討した。中間画像を記録媒体に転写した後の転写体上には、記録媒体に転写されなかった成分が残留物として残留している。転写体は繰り返し使用されるものであるので、洗浄による残留物の除去が不十分であると、その後の工程で残留物の上に中間画像を形成することになる。残留物の上に形成された中間画像は記録媒体に転写されにくいため、ドット欠けや白抜けなどが発生しやすく、画像品位が低下すると考えられる。特に、中間画像の形成に、樹脂粒子を含有する液体を用いると、転写体上には、樹脂粒子が接着剤のような働きをして残留しやすい。また、特に、画像を高速記録する場合には、洗浄も高速に行うことになるため、転写体上に残留物が発生しやすい。
このような状況の下、本発明者らは、樹脂粒子を含有する液体(インクや反応液)を用いて、繰り返し記録を行う場合に生ずる画像品位の低下を抑制するには、樹脂粒子と転写体との付着力を弱める必要があると考え、本発明の構成を見出すに至った。具体的には、SP値が17.0以上29.0以下の水溶性有機溶剤を含有する水性の洗浄液を用いることで、残留物中の樹脂成分と転写体の界面に水溶性有機溶剤が侵入しやすくなることを見出した。このような洗浄液を用いて転写体を洗浄することで、転写体上から残留物を容易に除去することができ、画像品位の低下を抑制することができる。SP値が17.0以上29.0以下の水溶性有機溶剤は、水性のインクや水性の反応液を用いる場合に、液体の保存安定性やインクジェット適性などの観点から使用しうる樹脂粒子との親和性に優れるため、上述の作用が生ずると考えられる。したがって、水溶性有機溶剤のSP値が17.0未満であったり、29.0超であったりしても、残留物の除去が困難であり、画像品位の低下を抑制することができない。また、樹脂粒子を含有する液体を用いていない場合、残留物の粘着性がさほど高くないので、残留物に起因したドット欠けや白抜けの課題は顕在化しない。
<インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法(以下、単に「記録方法」とも記す)は、水性インクを用いて記録媒体に画像を記録する方法である。本発明の記録方法は、水性インクを転写体に付与して中間画像を形成する中間画像形成工程と、中間画像を記録媒体に接触させて転写する転写工程と、転写体に水性の洗浄液を付与して洗浄する洗浄工程と、をこの順に有する。すなわち、本発明の記録方法は、転写型のインクジェット記録方法である。さらに、必要に応じて、水性インクと反応する反応剤を含有する水性の反応液を転写体に付与する反応液付与工程を有してもよい。
また、本発明のインクジェット記録装置(以下、単に「記録装置」とも記す)は、水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するために用いる装置である。本発明の記録装置は、水性インクをインクジェット方式で吐出して転写体に付与して中間画像を形成するインク付与手段と、中間画像を記録媒体に接触させて転写する転写手段と、転写体に水性の洗浄液を付与して洗浄する洗浄手段とを備える。すなわち、本発明の記録装置は、いわゆる転写型インクジェット記録装置である。本発明の記録装置は、さらに、必要に応じて、水性インクと反応する反応剤を含有する水性の反応液を転写体に付与する反応液付与手段を備えてもよい。
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を示す模式図である。図1に示す転写型インクジェット記録装置100は、転写体101を介して記録媒体108に中間画像を転写して記録物を製造する、枚葉式のインクジェット記録装置である。X方向、Y方向、及びZ方向が、それぞれ、転写型インクジェット記録装置100の幅方向(全長方向)、奥行き方向、及び高さ方向を示す。記録媒体は、X方向に搬送される。
転写型インクジェット記録装置100は、転写体101、反応液付与装置103、インク付与装置104、液吸収装置105、及び押圧部材106を有する。転写体101は、支持部材102によって支持されている。反応液付与装置103は、インクと反応する反応剤を含有する反応液を転写体101に付与する装置である。インク付与装置104は、反応液が付与された転写体101にインクを付与して中間画像を形成する記録ヘッドを備える。液吸収装置105は、中間画像から液体成分を吸収する装置である。押圧部材106は、液体成分を除去した中間画像を紙などのシート状の記録媒体108に転写するための部材である。さらに、転写型インクジェット記録装置100は、転写後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有する。転写体101、反応液付与装置103、インク付与装置104の記録ヘッド、液吸収装置105、及び転写体クリーニング部材109は、それぞれ、Y方向において用いられる記録媒体108に対応するだけの長さを有する。
転写体101は、支持部材102の回転軸102aを中心として矢印Aの方向に回転する。回転する転写体101に反応液付与装置103から反応液が付与された後、インク付与装置104からインクが付与されることで、転写体101に中間画像が形成される。転写体101に形成された中間画像は、転写体101の回転により、液吸収装置105の液吸収部材105aと接触する位置まで移動する。
液吸収装置105を構成する液吸収部材105aは、転写体101の回転に同期して矢印Bの方向に移動(回転)する。転写体101に形成された中間画像は、移動する液吸収部材105aと接触する。その間に、液吸収部材105aは中間画像から液体成分を吸収して除去する。中間画像の液体成分を効率よく吸収する観点から、液吸収部材105aは、所定の押圧力をもって転写体101に押圧されることが好ましい。中間画像は、インク及び必要に応じて用いられる反応液で形成されている。このため、中間画像の液体成分を吸収することは、インク及び必要に応じて用いられる反応液中の液体成分を吸収することを意味する。中間画像から液体成分を吸収することは、インクなどを濃縮することであるとも言える。インクなどの濃縮により、色材や樹脂などの固形分の液体成分に対する比率が上昇する。
液体成分が除去され、インクが濃縮された状態となった中間画像は、転写体101の回転により、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108と接触する転写部111へと移動する。中間画像と記録媒体108は、転写体101と押圧部材106とに挟まれた状態で、押圧部材106側から押圧されて接触する。ローラ状の転写体101と円柱状の押圧部材106とを用いる場合、中間画像と記録媒体108はY方向に沿って線状に接触する。弾性材料で構成された転写体101を用いると、押圧により転写体101が凹むため、中間画像と記録媒体108が面で接触する。このため、中間画像と記録媒体108が接触する線又は面を「領域」とし、この領域を含む部分を転写部111とする。中間画像が記録媒体108と接触している間に、押圧部材106が転写体101を押圧することによって記録媒体108に中間画像が転写され、所望とする画像が記録媒体108に記録される。転写後の画像は、転写前の中間画像の反転画像である。
ローラ状の反応液付与部材103cを用いて転写体に反応液を付与すると、転写体の全体にわたって反応液が付与される。反応液が付与された転写体にインクを付与して中間画像を形成するため、転写体におけるインクが付与されていない領域には、インクと反応していない反応液が残っている。液吸収部材105aは中間画像からだけでなく、未反応の反応液の液体成分も併せて除去することが可能である。インクや反応液に含まれる液体成分は一定の形を持たずに流動性を有するとともに、ほぼ一定の体積で存在する。インクや反応液に含まれる液体成分は、具体的には水性媒体などである。
以下、転写型インクジェット記録装置の主要な部分である[1]転写体、[2]支持部材、[3]反応液付与装置、[4]インク付与装置、[5]液吸収装置、[6]押圧部材、[7]記録媒体、[8]記録媒体搬送装置、及び[9]洗浄装置について説明する。
[1]転写体
転写体101は、中間画像が形成される面を含む表面層を有する。表面層を構成する材料としては、樹脂、セラミックなどを挙げることができる。なかでも、シロキサン構造を有する樹脂が好ましく、耐久性などの観点から、圧縮弾性率の高い材料が好ましい。反応液の濡れ性、転写性などを向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。
転写体は、表面層と支持部材との間に、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層は、局所的な圧力変動を分散し、表面層の変形を吸収する。このため、圧縮層を設けることで、高速記録する場合であっても良好な転写性を維持することができる。圧縮層を構成する材料としては、ゴム材料などの弾性材料を挙げることができる。なかでも、加硫剤及び加硫促進剤とともに、発泡剤、中空微粒子、及び塩などの充填剤を原料ゴムに配合して成形した多孔質構造を有するゴム材料が好ましい。このような弾性材料は、圧力が変動すると空隙部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さい。このため、転写性及び耐久性を向上させることができる。多孔質構造としては、空隙が相互に連結した連続空隙構造や、空隙が各々独立した独立空隙構造などを挙げることができる。
転写体は、表面層と圧縮層との間に、さらに弾性層を有することが好ましい。弾性層を構成する材料としては、樹脂材料、セラミック材料などを挙げることができる。なかでも、加工しやすいとともに、温度による弾性率の変化が小さく、転写性に優れるため、ゴム材料などの弾性材料が好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)は、接着剤や両面テープを用いて相互に接着することができる。装置に装着する際の横伸びを抑制してコシを保つために、圧縮弾性率の高い補強層を設けてもよい。補強層としては、織布などを用いることができる。転写体を構成する層のうち、表面層以外の層については、弾性層や圧縮層を任意に組み合わせることができる。転写体の大きさは、記録速度や画像のサイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、例えば、シート状、ローラ状、ベルト状、無端ウェブ状などを挙げることができる。
[2]支持部材
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体は、例えば、接着剤や両面テープなどを用いて支持体上に配設することができる。金属、セラミック、樹脂などの材料で構成される設置用部材を用いて転写体101を支持部材102に配設してもよい。支持部材102は、搬送精度や耐久性の観点から、ある程度の構造強度を有することが要求される。支持部材の材質としては、金属、セラミック、樹脂などを挙げることができる。なかでも、アルミニウムなどの金属材料を用いることが好ましい。金属材料を用いることで、転写時の応力に耐えうる剛性及び寸法精度の他、動作時の慣性を軽減して制御の応答性を向上させることができる。
[3]反応液付与装置
本発明の記録方法は、中間画像形成工程の前に、反応液を転写体に付与する反応液付与工程を有することが好ましい。反応液は、インクと接触することでインクと反応し、インク中の樹脂や自己分散顔料などのアニオン性基を有する成分を凝集させる反応剤を含有する。インクの付与後、インクを付与した領域と少なくとも一部が重なるように反応液をさらに付与してもよい。
図1に示す転写型インクジェット記録装置100は、転写体101に反応液を付与する反応液付与手段である反応液付与装置103を有する。この反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103a中の反応液を転写体101に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラである。反応液付与装置としては、グラビアオフセットローラ、インクジェット方式の記録ヘッドなどを挙げることができる。なかでも、ローラを使用して転写体に反応液を付与することが好ましい。但し、ローラを使用して反応液を転写体に付与する場合は、特段の工夫を行わない限り、インクが付与されるか否かに関わらずに、記録媒体に対応する領域に一様に反応液が付与されることになる。この場合、インクが付与されない領域には未反応の反応液が存在し、この領域の残留物の除去が不十分であると、残留物が存在しない領域との間で反応性が異なるため、画像品位が特に低下しやすい。このような場合であっても、第1水溶性有機溶剤を含有する洗浄液を用いれば、残留物を有効に除去することができる。
[4]インク付与装置
図1に示す転写型インクジェット記録装置100は、転写体101にインクを付与するインク付与手段であるインク付与装置104を有する。インク付与装置としてインクジェット方式の記録ヘッドを用い、インクを吐出して付与することが好ましい。記録ヘッドとしては、例えば、電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態;電気−機械変換体によってインクを吐出する形態;静電気を利用してインクを吐出する形態などを挙げることができる。なかでも、電気−熱変換体を利用する形態の記録ヘッドが、より高速で高密度の画像を記録することができるために好ましい。
記録ヘッドは、Y方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲に吐出口が配列されている。記録ヘッドは、その下面(転写体101側)に吐出口が開口した吐出口面を有する。吐出口面は、微小な隙間(数ミリ程度)を空けて転写体101の表面と対向している。
インク付与装置104は、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラック(CMYK)などの各色のインクを転写体101に付与するために、複数の記録ヘッドを有してもよい。例えば、CMYKの4種のインクを用いて中間画像を形成する場合、インク付与装置は、CMYKの4種のインクをそれぞれ吐出する4つの記録ヘッドを有する。これらの記録ヘッドは、X方向に沿って配置される。
[5]液吸収装置
液吸収装置105は、液吸収部材105aと、液吸収部材105aを転写体101の中間画像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bとを有する。円柱状の押圧部材105bと、ベルト状の液吸収部材105aで構成する場合、押圧部材105bで液吸収部材105aを転写体101に押し当てることで、中間画像から液体成分を吸収することができる。また、その外周表面に液吸収部材を貼りつけた円柱状の押圧部材を転写体に押し当てることでも、中間画像から液体成分を吸収することができる。記録装置内でのスペースなどを考慮すると、液吸収部材105aの形状はベルト状であることが好ましい。ベルト状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する、張架ローラ105cなどの張架部材を有していてもよい。
押圧部材105bを用いて多孔質層を含む液吸収部材105aを中間画像に接触させることで、中間画像に含まれる液体成分を液吸収部材105aに吸収させることができる。中間画像に含まれる液体成分を吸収する方法として、液吸収部材を接触させる方法に加えて、加熱する方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法などを組み合わせてもよい。また、液体成分を吸収させる前後の中間画像にこれらの方法を適用してもよい。
液吸収部材105aは、転写体101の回転と連動して回転する。このため、液吸収部材105aの形状は、繰り返し液吸収できる形状であることが好ましく、具体的には無端ベルト状やドラム状などの形状を挙げることができる。多孔質層を含む液吸収部材105aに吸収された液体成分は、多孔質層の裏面から吸収する方法や、多孔質部材を扱く部材を利用する方法などにより、液吸収部材105aから除去することができる。液体成分を除去した後、液吸収部材105aを回転させて新たな中間画像に接触させることで、中間画像に含まれる液体成分を効率よく吸収することができる。
[6]押圧部材
本発明の記録装置は、中間画像を記録媒体に接触させて転写する転写手段を備える。具体的には、図1に示すように、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108に、転写体101上の液除去後の中間画像を押圧部材106により転写部111において接触させて転写する。液体成分を除去後の中間画像を記録媒体108に転写することで、記録媒体108のカールやコックリングなどを抑制することができる。
押圧部材106は、記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点から、適度な構造強度を有することが好ましい。押圧部材106の材質としては、金属、セラミック、樹脂などを挙げることができる。なかでも、転写の際の応力に耐えうる剛性や寸法精度を有するだけでなく、動作時の慣性を軽減して制御の応答性を向上させる観点から、アルミニウムなどの金属が好ましい。
中間画像を記録媒体108に転写する際に、押圧部材106が転写体101を押圧する時間(押圧時間)は、5ミリ秒以上100ミリ秒以下とすることが好ましい。上記の押圧時間とすることで、良好に転写できるとともに、転写体101の損傷を抑制することができる。押圧時間は、記録媒体108と転写体101が接触している時間である。押圧時間は、圧力分布測定システムを使用して面圧を測定し、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割ることで算出することができる。具体的には、面圧分布測定システム(商品名「I−SCAN」、ニッタ製)などを使用することができる。
中間画像を記録媒体108に転写する際に、押圧部材106が転写体101を押圧する圧力(押圧力)は、9.8N/cm2(1kg/cm2)以上294.2N/cm2(30kg/cm2)以下とすることが好ましい。上記の押圧力とすることで、良好に転写できるとともに、転写体101の損傷を抑制することができる。押圧力は、記録媒体108と転写体101のニップ圧である。押圧力は、圧力分布測定システムを用いて面圧を測定し、加圧領域における加重を面積で割ることで算出することができる。具体的には、面圧分布測定システム(商品名「I−SCAN」、ニッタ製)などを使用することができる。
押圧部材106が転写体101を押圧するときの温度は、中間画像に含まれる樹脂成分のガラス転移点(又は軟化点)以上の温度とすることが好ましい。樹脂成分の特性にもよるが、温度を制御するために、記録装置は、転写体101上の中間画像、転写体101、及び記録媒体108を加熱する加熱手段を備えることが好ましい。押圧部材106の形状としては、例えば、ローラ状などの形状を挙げることができる。
[7]記録媒体
記録媒体108としては、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物;所定の寸法に裁断された枚葉のものなどを挙げることができる。記録媒体の構成材料としては、コート紙や普通紙などの紙;プラスチックや金属などのフィルム;木板;段ボールなどを挙げることができる。
[8]記録媒体搬送装置
記録媒体108を搬送する記録媒体搬送装置107は、記録媒体108を矢印Cの方向に搬送する。記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107a及び記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されている。記録媒体108の搬送速度は、各工程において要する速度を考慮して決定することが好ましい。
[9]洗浄装置
本発明の記録装置は、図1に示すように、転写体101に水性の洗浄液を付与して洗浄する洗浄手段である洗浄装置を有する。洗浄装置は、例えば、転写体101に洗浄液を付与して洗浄する転写体クリーニング部材109を備える。転写体クリーニング部材109により転写体101をクリーニングすることで、画像品位の低下を抑制することができる。転写体クリーニング部材109としては、ローラ、ウェブなどの形状を有するものを用いることができる。洗浄装置には、転写体クリーニング部材109に洗浄液を供給する洗浄液供給ユニットを設けることができる。
さらに、洗浄装置は、クリーニング後の転写体101に残った洗浄液を除去する洗浄液除去部材110を備えることが好ましい。洗浄液除去部材110によって転写体101に残った洗浄液などを除去することで、画像品位の低下をより有効に抑制することができる。転写体101に残った洗浄液を除去する方法としては、ブレード除去、ブラシ除去、吸収体による液吸収などを挙げることができる。なかでも、吸収体による液吸収によって転写体101に残った洗浄液を除去することが好ましい。洗浄液除去部材110としては、液吸収部材として用いられる多孔質体などを用いることができる。
(反応液)
本発明の記録方法は、水性インクと反応する反応剤を含有する水性の反応液を転写体に付与する反応液付与工程を有することが好ましい。以下、反応液に用いる各成分などについて詳細に説明する。
[反応剤]
反応液は、インクと接触することでインクと反応し、インク中の成分(樹脂、自己分散顔料などのアニオン性基を有する成分)を凝集させるものであり、反応剤を含有する。反応剤としては、例えば、多価金属イオン、カチオン性樹脂などのカチオン性成分や、有機酸など挙げることができる。なかでも、反応剤は有機酸であることが好ましく、2価以上の多価カルボン酸(塩や水素塩であってもよい)がさらに好ましい。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、及びZn2+などの2価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+、及びAl3+などの3価の金属イオンを挙げることができる。反応液に多価金属イオンを含有させるためには、多価金属イオンとアニオンとが結合して構成される多価金属塩(水和物であってもよい)を用いることができる。アニオンとしては、例えば、Cl-、Br-、I-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、NO2 -、NO3 -、SO4 2-、CO3 2-、HCO3 -、PO4 3-、HPO4 2-、及びH2PO4 -などの無機アニオン;HCOO-、(COO-2、COOH(COO-)、CH3COO-、C24(COO-2、C65COO-、C64(COO-2、及びCH3SO3 -などの有機アニオンを挙げることができる。反応剤として多価金属イオンを用いる場合、反応液中の多価金属塩換算の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。
有機酸を含有する反応液は、酸性領域(pH7.0未満、好ましくはpH2.0〜5.0)に緩衝能を有することによって、インク中に存在する成分のアニオン性基を効率よく酸型にして凝集させるものである。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、チオフェンカルボン酸、レブリン酸、クマリン酸などのモノカルボン酸及びその塩;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、セバシン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸などのジカルボン酸、及びその塩や水素塩;クエン酸、トリメリット酸などのトリカルボン酸及びその塩や水素塩;ピロメリット酸などのテトラカルボン酸及びその塩や水素塩などを挙げることができる。反応液中の有機酸の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
カチオン性樹脂としては、例えば、1〜3級アミンの構造を有する樹脂、4級アンモニウム塩の構造を有する樹脂などを挙げることができる。具体的には、ビニルアミン、アリルアミン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、エチレンイミン、グアニジンなどの構造を有する樹脂を挙げることができる。反応液中での溶解性を高めるために、カチオン性樹脂と酸性化合物とを併用したり、カチオン性樹脂の4級化処理を施したりすることもできる。反応剤としてカチオン性樹脂を用いる場合、反応液中のカチオン性樹脂の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
[樹脂粒子]
本発明の記録方法で用いる水性インク及び反応液の少なくとも一方は、樹脂粒子を含有する。但し、反応液付与工程を有しない場合(反応液を使用しない場合)には、水性インクが樹脂粒子を含有する。樹脂粒子を含有するインクや反応液を用いることで、転写不良が抑制され、高品位の画像を記録することができる。反応液に含有させる樹脂粒子としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックスなどを挙げることができる。なかでも、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリレートに由来するユニットで構成される、アクリル系樹脂が好ましい。反応液中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、3.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上20.0質量%以下であることがさらに好ましい。なお、樹脂粒子は色材を内包するものである必要はない。
[その他の成分]
反応液は、必要に応じて、各種その他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、インクに含有させることが可能な後述の水性媒体やその他添加剤などと同様のものを挙げることができる。
(インク)
本発明の記録方法で用いるインクは、好ましくは色材を含有するインクジェット用の水性インクである。以下、インクに用いる各成分などについて詳細に説明する。
[色材]
インクに含有させる色材としては、顔料や染料を用いることができる。インク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料を挙げることができる。
顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子の表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。なかでも、樹脂結合型顔料やマイクロカプセル顔料ではなく、分散剤としての樹脂を顔料の粒子表面に物理吸着させた樹脂分散顔料を用いることが好ましい。
顔料を水性媒体中に分散させるための樹脂分散剤としては、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体中に分散させうるものを用いることが好ましい。樹脂分散剤としては、後述するような樹脂、なかでも水溶性樹脂を用いることができる。インク中の顔料の含有量(質量%)は、樹脂分散剤の含有量に対する質量比率で、0.3倍以上10.0倍以下であることが好ましい。
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団(−R−)を介して結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合において、カウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウムなどを挙げることができる。他の原子団(−R−)の具体例としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;カルボニル基;イミノ基;アミド基;スルホニル基;エステル基;エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基であってもよい。
染料としては、アニオン性基を有するものを用いることが好ましい。染料の具体例としては、アゾ、トリフェニルメタン、(アザ)フタロシアニン、キサンテン、アントラピリドンなどの染料を挙げることができる。本発明の記録方法で用いるインクに含有させる色材は、顔料であることが好ましく、樹脂分散顔料であることがさらに好ましい。
[樹脂]
インクには、樹脂を含有させることができる。インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。
樹脂は、(i)顔料の分散状態を安定化させるため、すなわち、樹脂分散剤やその補助としてインクに添加することができる。また、(ii)記録される画像の各種特性を向上させるためにインクに添加することができる。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどを挙げることができる。また、樹脂は、水性媒体に溶解しうる水溶性樹脂であってもよく、水性媒体中に分散する樹脂粒子であってもよい。樹脂粒子は、色材を内包する必要はない。
本明細書において「樹脂が水溶性である」とは、その樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法により粒子径を測定しうる粒子を形成しない状態で水性媒体中に存在することを意味する。樹脂が水溶性であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、酸価相当のアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)により中和された樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製する。そして、試料溶液中の樹脂の粒子径を動的光散乱法により測定した場合に、粒子径を有する粒子が測定されない場合に、その樹脂は水溶性であると判断することができる。この際の測定条件は、例えば、以下のようにすることができる。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計(例えば、商品名「UPA−EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
水溶性樹脂の酸価は、100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましい。樹脂粒子を構成する樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましい。水溶性樹脂の重量平均分子量は、3,000以上15,000以下であることが好ましい。樹脂粒子を構成する樹脂の重量平均分子量は、1,000以上2,000,000以下であることが好ましい。動的光散乱法により測定される樹脂粒子の体積平均粒子径は、50nm以上500nm以下であることが好ましい。
樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂などを挙げることができる。なかでも、アクリル系樹脂やウレタン樹脂が好ましく、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリレートに由来するユニットで構成されるアクリル系樹脂がさらに好ましい。
アクリル系樹脂としては、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有するものが好ましい。なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、芳香環を有するモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの少なくとも一方に由来する疎水性ユニットと、を有する樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、スチレン及びα−メチルスチレンの少なくとも一方のモノマーに由来する疎水性ユニットとを有する樹脂が好ましい。これらの樹脂は、顔料との相互作用が生じやすいため、顔料を分散させるための樹脂分散剤として好適に利用することができる。
親水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有するユニットである。親水性ユニットは、例えば、親水性基を有する親水性モノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有する親水性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボン酸基を有する酸性モノマー、これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマーなどを挙げることができる。酸性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。疎水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有しないユニットである。疎水性ユニットは、例えば、アニオン性基などの親水性基を有しない、疎水性モノマーを重合することで形成することができる。疎水性モノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香環を有するモノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーなどを挙げることができる。
ウレタン系樹脂は、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得ることができる。また、鎖延長剤をさらに反応させたものであってもよい。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。
[樹脂粒子]
本発明の記録方法で用いる水性インク及び反応液の少なくとも一方は、樹脂粒子を含有する。但し、反応液付与工程を有しない場合(反応液を使用しない場合)には、水性インクが樹脂粒子を含有する。樹脂粒子を含有するインクや反応液を用いることで、転写不良が抑制され、高品位の画像を記録することができる。なお、水性インク及び反応液のいずれも樹脂粒子を含有することが好ましい。インクに含有させる樹脂粒子としては、前述のアクリル系樹脂やウレタン系樹脂などを挙げることができる。なかでも、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリレートに由来するユニットで構成されるアクリル系樹脂が好ましい。インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として1.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。なお、樹脂粒子は色材を内包するものである必要はない。
[水性媒体]
本発明の記録方法で用いるインクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性のインクである。インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。
[その他添加剤]
インクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤など種々の添加剤を含有させてもよい。但し、インクには、上記したような反応液に用いる反応剤は含有させないことが好ましい。反応剤をインクに含有させる場合、インク中の反応剤の含有量はごく少量(例えば、0.05質量%以下程度)とすることが好ましい。
(洗浄液)
本発明の記録方法で用いる洗浄液は、Fedors法により求められるSP値[単位:(J/cm31/2]が、17.0以上29.0以下である第1水溶性有機溶剤を含有する水性の洗浄液である。以下、洗浄液に用いる各成分などについて詳細に説明する。
[第1水溶性有機溶剤]
第1水溶性有機溶剤のSP値[単位:(J/cm31/2]は、17.0以上29.0以下である。このSP値(δ)は、Fedors法により求められる値である。SP値は「溶解性パラメーター」とも呼ばれる値であり、溶質のSP値と、溶媒のSP値との差が小さいほど、溶媒への溶質の親和性が大きくなる傾向にある。このため、SP値は、2つの物質の相互作用の大きさを図る指標として利用することができる。本発明においては、インクや反応液に含有させる、汎用の組成を有する樹脂粒子との親和性を考慮し、特定の範囲内のSP値を有する第1水溶性有機溶剤を用いる。
具体的には、下記式(1)によって水溶性有機溶剤のSP値(δ)を算出することができる。下記式(1)中、△Evapは水溶性有機溶剤のモル蒸発熱(J/mol)を示し、Vは25℃における水溶性有機溶剤のモル体積(cm3/mol)を示す。なお、水溶性有機溶剤のモル蒸発熱(△Evap)と、25℃における水溶性有機溶剤のモル体積(V)は、いずれも分子中の原子や基に帰属する一定値の足し合わせで求められる。以下の記載においては、SP値の単位を省略することがあるが、SP値は(J/cm31/2の単位で表される値である。なお、SP値の単位はcalを利用するのが一般的であるが、SI単位系に換算する際には、(cal/cm31/2=2.046×103(J/m31/2の関係を利用すればよい。
Figure 2019018564
SP値が17.0以上29.0以下である第1水溶性有機溶剤の具体例としては、1,5−ペンタンジオール(29.0)、メタノール(28.2)、トリエチレングリコール(27.8)、1,6−ヘキサンジオール(27.7)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(27.4)、2−メチルペンタン−2,4−ジオール(26.8)、テトラエチレングリコール(26.1)、1,2−ブタンジオール(26.1)、2−ピロリドン(25.9)、エタノール(25.7)、1,2−ペンタンジオール(25.0)、エチレングリコールモノメチルエーテル(24.5)、n−プロパルノール(24.2)、1,2−ヘキサンジオール(24.1)、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン(23.9)、イソプロパノール(23.7)、N−メチル−2−ピロリドン(23.6)、エチレングリコールモノエチルエーテル(23.5)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(23.4)、n−ブタノール(23.2)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(23.0)、2−ブタノール(22.7)、イソブタノール(22.7)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(22.4)、tert−ブタノール(22.3)、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(21.7)、数平均分子量600のポリエチレングリコール(21.5)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(21.5)、3−メトキシ−3−メチルブタノール(21.5)、ジエチレングリコールイソブチルエーテル(21.2)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(21.1)、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(20.8)、数平均分子量1,000のポリエチレングリコール(20.7)、アセトン(18.6)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(17.5)、N−メチルモルホリン(17.4)、ジメチルスルホキシド(17.3)、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(17.2)などを挙げることができる(括弧内の数値はSP値を表す)。第1水溶性有機溶剤として、温度25℃における蒸気圧が水よりも低いものを用いることが好ましい。
第1水溶性有機溶剤は、1価アルコール、2価アルコール、及びグリコールエーテルからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでも、1価アルコール及び2価アルコールの少なくとも一方であることがさらに好ましい。これらのなかでも、温度25℃における蒸気圧が水よりも低いものが好ましい。
第1水溶性有機溶剤として好適な1価アルコール及び2価アルコールを構成するアルキル基は直鎖及び分岐鎖のいずれであってもよく、炭素数1乃至3のアルコキシ基が置換していてもよい。好適な1価アルコールとしては、メタノール(28.2)、エタノール(25.7)、n−プロパノール(24.2)、イソプロパノール(23.7)、n−ブタノール(23.2)、2−ブタノール(22.7)、イソブタノール(22.7)、tert−ブタノール(22.3)、3−メトキシ−3−メチルブタノール(21.5)などを挙げることができる。好適な2価アルコールとしては、1,5−ペンタンジオール(29.0)、1,6−ヘキサンジオール(27.7)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(27.4)、2−メチルペンタン−2,4−ジオール(26.8)、1,2−ブタンジオール(26.1)、1,2−ペンタンジオール(25.0)、1,2−ヘキサンジオール(24.1)などを挙げることができる。
なかでも、第1水溶性有機溶剤としては、1,2−ブタンジオール(26.1)、1,2−ペンタンジオール(25.0)、1,2−ヘキサンジオール(24.1)が好ましく、1,2−ヘキサンジオールが特に好ましい。これらの第1水溶性有機溶剤を用いることで、洗浄液の濡れ性を高めやすく、洗浄性をさらに向上させることができる。
第1水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、洗浄液全質量を基準として、5.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、20.0質量%以上40.0質量%以下であることがさらに好ましい。第1水溶性有機溶剤の含有量が少なすぎると、残留物と転写体との界面への侵入効果が若干弱くなることがある。一方、第1水溶性有機溶剤の含有量が多すぎると、洗浄液の粘度が上がるため、洗浄性がやや低くなることがある。
[水性媒体]
本発明の記録方法で用いる洗浄液は、水性媒体として少なくとも水を含有する水性の洗浄液である。洗浄液には、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。洗浄液中の水の含有量(質量%)は、洗浄液全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。なかでも、60.0質量%以上であることが好ましく、80.0質量%以下であることが好ましい。水の含有量が少なすぎると、残留物と転写体との界面への侵入効果が弱くなる場合があり、洗浄性がやや低くなることがある。
洗浄液中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、洗浄液全質量を基準として、5.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、20.0質量%以上40.0質量%以下であることがさらに好ましい。この含有量は、第1水溶性有機溶剤を含む値である。第1水溶性有機溶剤以外の水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などを用いることができる。第1水溶性有機溶剤以外の水溶性有機溶剤の具体例としては、グリセリン(33.5)、1,3−プロパンジオール(33.0)、トリメチロールプロパン(32.6)、1,4−ブタンジオール(30.7)、ジエチレングリコール(30.6)、エチレングリコール(30.3)、1,3−ブタンジオール(30.3)、2−メチル−1,3−プロパンジオール(30.3)、1,2,6−ヘキサントリオール(29.7)、尿素(29.4)、エチレン尿素(29.1)、テトラヒドロフラン(16.9)、エチレングリコールジメチルエーテル(15.6)などを挙げることができる(括弧内の数値はSP値を表す)。第1水溶性有機溶剤以外の水溶性有機溶剤としては、温度25℃での蒸気圧が水よりも低いものを用いることが好ましい。
洗浄液の粘度は、15.0mPa・s以下であることが好ましく、5.0mPa・s以下であることがさらに好ましく、1.5mPa・s以下であることが特に好ましく、1.0mPa・s以上であることが最も好ましい。粘度が上記範囲の洗浄液は、残留物と転写体との界面に侵入しやすいため、洗浄性をより向上させることができる。洗浄液の表面張力は、65mN/m以下であることが好ましく、40mN/m以下であることがさらに好ましい。表面張力が高すぎると、残留物と転写体との界面への侵入効果が弱くなる場合があり、洗浄性がやや低くなることがある。洗浄液の表面張力は、25mN/m以上であることが好ましい。
[界面活性剤]
洗浄液には、界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性、ノニオン性などの各種の界面活性剤を挙げることができる。洗浄液中の界面活性剤の含有量(質量%)は、洗浄液全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
[その他の成分]
洗浄液は、必要に応じて、各種その他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、インクに含有させることが可能な前述のその他添加剤などと同様のものを挙げることができる。但し、洗浄液には、上記したような反応液に用いる反応剤は含有させないことが好ましい。反応剤を洗浄液に含有させる場合、洗浄液中の反応剤の含有量はごく少量(例えば、0.05質量%以下程度)とすることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
酸価150mgKOH/g、重量平均分子量8,000のスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(樹脂1)を用意した。樹脂1 20.0部を、その酸価と等モルの水酸化カリウムで中和した後、適量の純水を加え、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である樹脂1の水溶液を調製した。顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)10.0部、樹脂1の水溶液15.0部、及び純水75.0部を混合して混合物を得た。得られた混合物及び0.3mm径のジルコニアビーズ200部をバッチ式の縦型サンドミル(アイメックス製)に入れ、水冷しながら5時間分散させた。遠心分離して粗大粒子を除去した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤(樹脂1)の含有量が3.0%の顔料分散液1を調製した。
(顔料分散液2)
顔料をC.I.ピグメントレッド122に変更したこと以外は、前述の顔料分散液1と同様の手順で、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤(樹脂1)の含有量が3.0%の顔料分散液2を調製した。
(顔料分散液3)
顔料をC.I.ピグメントイエロー74に変更したこと以外は、前述の顔料分散液1と同様の手順で、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤(樹脂1)の含有量が3.0%の顔料分散液3を調製した。
(顔料分散液4)
顔料をカーボンブラックに変更したこと以外は、前述の顔料分散液1と同様の手順で、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤(樹脂1)の含有量が3.0%の顔料分散液4を調製した。
<樹脂粒子の調製>
(樹脂粒子1)
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水74.0部、及び過硫酸カリウム0.2部を入れて混合した。また、エチルメタクリレート24.0部、メタクリル酸1.5部、及び反応性界面活性剤(商品名「アクアロンKH−05」、第一工業製薬製)0.3部を混合して乳化物を調製した。窒素雰囲気下、調製した乳化物を上記の四つ口フラスコ内に1時間かけて滴下し、80℃で撹拌しながら2時間重合反応を行った。25℃まで冷却した後、イオン交換水、及び樹脂粒子の酸価と等モルの水酸化カリウムを含む水溶液を添加して、樹脂粒子(固形分)の含有量が25.0%である樹脂粒子1の水分散液を調製した。
(樹脂粒子2)
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水81.8部、及び過硫酸カリウム0.2部を入れて混合した。また、エチルメタクリレート16.1部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート1.6部、及び反応性界面活性剤(商品名「アクアロンKH−05」、第一工業製薬製)0.3部を混合して乳化物を調製した。メトキシポリエチレングリコールメタクリレートとしては、商品名「ブレンマーPME1000」(日油製、エチレンオキサイド基の付加モル数約23)を使用した。窒素雰囲気下、調製した乳化物を上記の四つ口フラスコ内に1時間かけて滴下し、80℃で撹拌しながら2時間重合反応を行った。25℃まで冷却した後、イオン交換水、及び樹脂粒子の酸価と等モルの水酸化カリウムを含む水溶液を添加して、樹脂粒子(固形分)の含有量が25.0%である樹脂粒子2の水分散液を調製した。
<インクの調製>
表1に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表1中、「樹脂1の水溶液」は、顔料分散液の調製に用いた「樹脂1の水溶液」と同じものである。ポリエチレングリコールに付した数値は、ポリエチレングリコールの数平均分子量である。「アセチレノールE100」は川研ファインケミカル製の界面活性剤の商品名である。
Figure 2019018564
<反応液の調製>
表2に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各反応液を調製した。表2中、「メガファックF444」は、DIC製の界面活性剤の商品名である。「AQUACER531」は、樹脂粒子として用いた、ビックケミージャパン製のポリエチレン系ワックスの水分散液(樹脂(固形分)の含有量:35.0%)の商品名である。
Figure 2019018564
<洗浄液の調製>
表3−1〜3−4に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各洗浄液を調製した。表3−1〜3−4中、水溶性有機溶剤に付した括弧内の数値は、Fedors法により求められるSP値[単位:(J/cm31/2]である。ポリエチレングリコールに付した数値は、ポリエチレングリコールの数平均分子量である。「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製の界面活性剤の商品名である。
Figure 2019018564
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<多孔質体の作製>
結晶化したフッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)の乳化重合粒子を圧縮成形した後、融点以下の温度で延伸して、フィブリル化した多孔質層(第1の層)を作製した。さらに、ポリエチレン及びポリプロピレンを混合した後、湿式法により延伸して、フィブリル化した多孔質層(第2の層)を作製した。また、ポリオレフィン系の不織布(商品名「HOP60」、廣瀬製紙製)を第3の層として用いた。層の厚さは、第1の層よりも第2の層のほうが厚い。また、平均孔径は、第1の層よりも第2の層のほうが小さい。第1の層、第2の層、及び第3の層を熱圧ラミネート処理して接着し、多孔質体を得た。
<評価>
洗浄液、インク、及び反応液を表4の「評価条件」に示す組み合わせとした。そして、図1に示す構成を有する転写型インクジェット記録装置100のクリーニング部材109、インク付与装置104、及び反応液付与装置103にそれぞれ充填した。使用した転写型インクジェット記録装置100の構成を以下に示す。支持部材102として、アルミニウム合金からなる円筒形のドラムを用いた。転写体101の表層部材(シロキサン化合物を含む表面層)を以下の手順で作製した。
加水分解性の有機シラン化合物(ジエチルジエトキシシラン、信越化学工業製)50モル%、及び有機シラン化合物(ジエチルジエトキシシラン、信越化学工業製)50モル%を混合して混合物を得た。得られた混合物に、水及び酢酸(触媒)を加えた。酢酸は、全質量を基準として500ppmとなるように加えた。その後、24時間以上加熱還流を行い、有機シラン化合物が脱水縮合して形成された縮合化合物を含有する溶液を得た。エタノール及びメチルイソブチルケトンの混合溶媒(質量比4:1)を添加して27%に希釈した。さらに、光カチオン重合開始剤(商品名「CPI−410S」、サンアプロ製)を、固形分を基準として3モル%添加して、コーティング液を調製した。
転写体の基材として、厚さ0.05mmのポリエチレンテレフタレートのフィルムに、ゴム硬度40度のシリコーンゴムを0.2mmの厚さでコーティングしたものを用意した。調製したコーティング液を用意した基材にスピンコートにより塗布し、基材の表面に薄膜状の表面層を設けた。UVランプを使用して露光した後、120℃で2時間加熱して、表面層を硬化させた。これにより、シロキサン構造を有する樹脂で形成される層を有する転写体101を得た。両面粘着テープを用いて得られた転写体101を支持部材102に固定した。
反応液付与装置103を使用して、転写体101上に反応液を1.0g/m2となるように付与した。電気−熱変換素子を備えたオンデマンド方式にてインクを吐出するタイプの記録ヘッドをインク付与装置104として使用し、転写体101の反応液が付与された領域にインクを付与した。
前述の多孔質体を液吸収部材105aとして用いた。液吸収部材105aの移動速度は、転写体101の回転速度と同等の速度になるように、張架ローラ105cの回転速度を制御することで調整した。液吸収部材105aの移動速度は0.4m/秒とした。エタノール95.0部及び水5.0部を含有する液体に液吸収部材105aを浸漬して多孔質体の空隙に液体を浸透させた後、空隙内を水で置換したものを液体除去に使用した。転写体101及び液吸収部材105aの間のニップ圧(平均圧力)が2kg/cm2となるように、押圧部材105bに圧力を印加した。
転写体101の回転速度と同等の速度となるように、記録媒体繰り出しローラ107a及び記録媒体巻き取りローラ107bを駆動させて記録媒体108を搬送した。転写体101と押圧部材106の間で記録媒体108と中間画像を接触させ、中間画像を転写体101から記録媒体108へと転写してベタ画像を記録した。記録媒体108としては、コート紙(商品名「オーロラコート」、日本製紙製、坪量104g/m2)を用いた。転写体101及び押圧部材106の間のニップ圧は、3kg/cm2に調整した。
洗浄液収容部(不図示)から供給される洗浄液を供給したクリーニング部材109を使用し、転写体101に洗浄液を付与した。その後、洗浄液除去部材110を使用して転写体101から洗浄液を除去した。洗浄液除去部材110としては、作製した多孔質体と同じ材質のものを用いた。
上記の構成を有する転写型インクジェット記録装置100を使用して、記録デューティが10%である、5cm×5cmのベタ画像を合計1,000枚の記録媒体に記録した。転写型インクジェット記録装置100では、1/1200インチ×1/1200インチの単位領域に3.0ngのインク滴を1滴付与する条件で記録した画像を、記録デューティが100%であると定義する。10枚目、500枚目、及び1,000枚目の記録媒体にそれぞれ記録した画像におけるドット欠け及び白抜けの状態を顕微鏡で観察し、以下に示す評価基準にしたがって画像のドット欠け及び白抜けの抑制を評価した。画像のドット欠け及び白抜けがいずれも抑制されていれば、洗浄性が良好であると言える。なお、実施例30、40、及び41では、反応液付与工程を実施しなかった。また、実施例37では、転写体上の洗浄液を除去する除去工程を洗浄工程の後に実施した。本発明においては、下記の各項目の評価基準で、「AA」、「A」、及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表4に示す。
〔画像のドット欠け抑制の評価基準〕
AA:1,000枚目の画像にドット欠けが生じていなかった。
A:500枚目の画像にはドット欠けが生じていなかったが、1,000枚目の画像にドット欠けが生じていた。
B:10枚目の画像にはドット欠けが生じていなかったが、500枚目の画像にドット欠けが生じていた。
C:10枚目の画像にドット欠けが生じていた。
〔画像の白抜け抑制の評価基準〕
AA:1,000枚目の画像に白抜けが生じていなかった。
A:500枚目の画像には白抜けが生じていなかったが、1,000枚目の画像に白抜けが生じていた。
B:10枚目の画像には白抜けが生じていなかったが、500枚目の画像に白抜けが生じていた。
C:10枚目の画像に白抜けが生じていた。
Figure 2019018564
洗浄液の除去工程を実施した実施例37では、液残りが少なかった。

Claims (8)

  1. 水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記水性インクを転写体に付与して中間画像を形成する中間画像形成工程と、
    前記中間画像を前記記録媒体に接触させて転写する転写工程と、
    前記転写体に水性の洗浄液を付与して洗浄する洗浄工程と、をこの順に有し、
    さらに、必要に応じて、前記水性インクと反応する反応剤を含有する水性の反応液を前記転写体に付与する反応液付与工程を有してもよく、
    前記水性インク及び前記反応液の少なくとも一方が、樹脂粒子を含有し(但し、前記反応液付与工程を有しない場合には、前記水性インクが前記樹脂粒子を含有する)、
    前記洗浄液が、Fedors法により求められるSP値[単位:(J/cm31/2]が、17.0以上29.0以下である第1水溶性有機溶剤を含有することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記中間画像形成工程の前に、前記反応液付与工程を有する請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記洗浄液中の前記第1水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記洗浄液全質量を基準として、20.0質量%以上40.0質量%以下であり、
    前記洗浄液中の水の含有量(質量%)が、前記洗浄液全質量を基準として、60.0質量%以上である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記第1水溶性有機溶剤が、1価アルコール、2価アルコール、及びグリコールエーテルの少なくともいずれかである請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記第1水溶性有機溶剤が、1価アルコール及び2価アルコールの少なくとも一方である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記第1水溶性有機溶剤が、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、及び1,2−ヘキサンジオールからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. さらに、前記洗浄工程の後に、前記転写体上の前記洗浄液を除去する除去工程を有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するために用いるインクジェット記録装置であって、
    前記水性インクをインクジェット方式で吐出して転写体に付与して中間画像を形成するインク付与手段と、
    前記中間画像を前記記録媒体に接触させて転写する転写手段と、
    前記転写体に水性の洗浄液を付与して洗浄する洗浄手段と、を備え、
    さらに、必要に応じて、前記水性インクと反応する反応剤を含有する水性の反応液を前記転写体に付与する反応液付与手段を備えてもよく、
    前記水性インク及び前記反応液の少なくとも一方が、樹脂粒子を含有し(但し、前記反応液付与手段を備えない場合には、前記水性インクが前記樹脂粒子を含有する)、
    前記洗浄液が、Fedors法により求められるSP値[単位:(J/cm31/2]が、17.0以上29.0以下である第1水溶性有機溶剤を含有することを特徴とするインクジェット記録装置。
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