JP2019014234A - インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 多くの画像を記録しても、転写して得られる画像の汚れを抑制できるインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】 反応剤を含有する水性の反応液、並びに、色材を含有する水性インクである第1インク及び第2インク、を利用して、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、反応液付与工程、前記反応液を付与した領域と少なくとも一部が重なるように、前記第1インク及び前記第2インクをこの順に前記転写体に付与して、第1画像を形成する像形成工程、液吸収部材の具備する多孔質層を、前記第1画像に接触させることで、前記第1画像から液体成分を吸収する液吸収工程、並びに前記液吸収工程を行った後に、前記転写体の前記第1画像を前記記録媒体に転写する転写工程を有し、前記第1インクの明度が、前記第2インクの明度より大きいことを特徴とするインクジェット記録方法。【選択図】 なし
Description
本発明は、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方法に使用するインクとして、水性インクが広く使用されている。インク中の液体成分を速やかに除去するため、記録媒体を温風や赤外線などで乾燥させて画像を記録する方法がある。さらに、水性インクを用いて、転写体に中間画像として第1画像を形成し、熱エネルギーなどにより第1画像に含まれる液体成分を除去した後、記録媒体に転写して画像を記録する方法などもある。反応剤を含有する反応液に次いで、インクを記録媒体に付与して第1画像を形成する工程、及び多孔質体を前記第1画像に接触させ、前記第1画像から液体成分を除去する工程を有するインクジェット記録方法が検討されている(特許文献1参照)。さらに、反応剤を含有する反応液に次いで、インクを転写体に付与して第1画像を形成する工程、及び多孔質体を前記第1画像に接触させ、前記第1画像から液体成分を除去する工程を有するインクジェット記録方法が検討されている(特許文献2参照)。
本発明者らは、2種の水性インクを用いること、及び多孔質体が第1画像から液体成分を除去した後に第1画像を記録媒体に転写すること以外は特許文献1及び2に記載のインクジェット記録方法で多くの画像を記録した。その結果、複数のインクを使った場合の画像の汚れに改善の余地があることがわかった。
したがって、本発明の目的は、多くの画像を記録しても、転写して得られる画像の汚れを抑制できるインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクジェット記録方法を使用したインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明により達成される。すなわち、本発明のインクジェット記録方法は、反応剤を含有する水性の反応液、並びに、色材を含有する水性インクである第1インク及び第2インク、を利用して、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記反応液を転写体に付与する反応液付与工程、前記反応液を付与した領域と少なくとも一部が重なるように、前記第1インク及び前記第2インクをこの順に前記転写体に付与して、第1画像を形成する像形成工程、液吸収部材の具備する多孔質層を、前記第1画像に接触させることで、前記第1画像から液体成分を吸収する液吸収工程、並びに前記液吸収工程を行った後に、前記転写体の前記第1画像を前記記録媒体に転写する転写工程を有し、前記第1インクの明度が、前記第2インクの明度より大きいことを特徴とするインクジェット記録方法に関する。
また、本発明は、転写体に、反応液を付与した後、第1インク及び第2インクを順に付与する手段、液吸収部材の具備する多孔質層を前記反応液、前記第1インク、及び前記第2インクで形成される第1画像に接触させる手段、並びに前記転写体の前記第1画像を記録媒体に転写する手段を備えたインクジェット記録装置であって、前記反応液が、反応剤を含有する水性の反応液であり、前記第1インク、及び前記第2インクが、色材を含有する水性インクであり、前記第1インクの明度が、前記第2インクの明度より大きいことを特徴とするインクジェット記録装置に関する。
本発明によれば、多くの画像を記録しても、転写して得られる画像の汚れを抑制できるインクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置を提供することにある。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に述べる。本発明においては、以下、水性インク、第1インク、及び第2インクは、「インク」と記載することがある。水性の反応液は、「反応液」と記載することがある。各種の物性値は、特に断りのない限り、温度25℃における値である。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を表すものとする。また、C.I.とは、カラーインデックスの略である。
本発明のインクジェット記録方法では、水性の反応液、並びに第1インク及び第2インクを含む水性インクを利用する。反応剤を含有する反応液を付与した領域と少なくとも一部が重なるように、色材を含有する第1インク及び第2インクを転写体に付与すると、インクが反応液と接触することで、反応剤によりインク中の成分(色材など)が凝集する。多孔質層が反応液、及びインクで形成される第1画像から液体成分を吸収し、インク中の成分の凝集を促進させた後、第1画像を記録媒体に転写すると、転写体にインク中の成分が残りにくい。これにより、画像をさらに記録しても、インク中の成分が残っていない転写体に第1画像を形成できるため、転写して得られる画像の汚れを抑制できる。
しかし、多くの画像を記録して、液吸収部材が繰り返し使用されるような条件では、多孔質層が、液体成分だけでなく、反応液中の反応剤やインク中の成分を吸収してしまう。そのため、多孔質層内で、反応剤によりインク中の成分が凝集し、多孔質層内の液体成分の粘度が上昇することで、第1画像から液体成分を吸収しにくくなる。1種のインクを用いる場合と比べて、複数のインクを用いる場合は、第1画像に含まれる液体成分も多くなるため、繰り返し使用した液吸収部材を用いると、第1画像から液体成分を十分に吸収できず、第1画像に多くの液体成分が残ってしまう。そのため、インク中の成分の凝集が促進されにくく、第1画像を記録媒体に転写しても、転写体にインク中の成分が残りやすくなる。画像をさらに記録すると、インク中の成分が残っている転写体に第1画像を形成することになるため、転写して得られる画像にインク中の成分が付着してしまう。
特に、明度の異なる2種の水性インクを用いて、明度の小さいインクを転写体に付与した後に、明度の大きいインクを付与する場合、転写して得られる画像の汚れを抑制しづらいことがわかった。本発明者らは、得られる画像の汚れを抑制しづらい要因について、検討を行った。2種のインクのなかでも、転写体側に存在しているインクが、明度の小さいインクであると、転写体に明度の小さいインク中の成分が残りやすい。明度の小さいインク中の成分は目立ちやすいため、目立ちやすい成分が残っている転写体に第1画像を形成すると、転写して得られる画像にも目立ちやすい成分が付着してしまい、画像の汚れが生ずる。
そこで、繰り返し使用した液吸収部材を用いる場合でも、転写して得られる画像の汚れを抑制するためには、転写体側に明度の大きいインクが存在する必要があると考え、本発明に至った。本発明のインクジェット記録方法は、明度の大きい第1インクを転写体に付与した後に、明度の小さい第2インクを付与する。転写体側に存在しているインクが、明度の大きいインクであると、転写体に明度の大きいインク中の成分が残りやすい。明度の大きいインク中の成分は目立ちにくいため、目立ちにくい成分が残っている転写体に第1画像を形成すると、転写して得られる画像にも目立ちにくい成分が付着する。これにより、画像の汚れを抑制できる。
本発明のインクジェット記録方法は、インクを転写体に付与して形成された第1画像を記録媒体に転写して画像を記録する方法であり、この方法で使用可能なインクジェット記録装置を説明する。以下、このインクジェット記録装置を、転写型インクジェット記録装置と称する。
<転写型インクジェット記録装置>
図1は、本発明のインクジェット記録方法に用いられる転写型インクジェット記録装置の一例を示す模式図である。
図1は、本発明のインクジェット記録方法に用いられる転写型インクジェット記録装置の一例を示す模式図である。
転写型インクジェット記録装置100は、転写体101を介してシート状の記録媒体108に第1画像を転写することで記録物を製造する、枚葉式のインクジェット記録装置である。X方向、Y方向、Z方向が、それぞれ、転写型インクジェット記録装置100の幅方向(全長方向)、奥行き方向、高さ方向を示す。記録媒体はX方向に搬送される。
転写型インクジェット記録装置100は、図1に示すように、支持部材102によって支持された転写体101、及び転写体101に反応液を付与する反応液付与装置103を有する。さらに、反応液が付与された転写体101にインクを付与して第1画像を形成する記録ヘッドを備えたインク付与装置104、第1画像から液体成分を吸収する液吸収装置105、及び第1画像を記録媒体108に転写する押圧部材106を有する。記録ヘッドは、インクジェット方式によりインクを吐出する。転写型インクジェット記録装置100は、転写後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有してもよい。転写体101、反応液付与装置103、インク付与装置104の具備する記録ヘッド、液吸収装置105、及び転写体クリーニング部材109は、それぞれ、Y方向において、用いられる記録媒体108に対応する長さを有する。
転写体101は支持部材102の回転軸102aを中心として矢印Aの方向に回転する。この支持部材102の回転に伴い、転写体101が回転する。回転する転写体101には、反応液付与装置103から反応液が付与される。その後、転写体101の反応液が付与された領域に、インク付与装置104からインクが付与される。このようにして、転写体101に第1画像が形成される。転写体101に形成された第1画像は、転写体101の回転により、液吸収装置105が有する液吸収部材105aと接触する位置まで移動する。
液吸収部材105aは、転写体101の回転に同期して回転する。転写体101に形成された第1画像は、回転する液吸収部材105aと接触する。この接触状態の間に、液吸収部材105aは第1画像から液体成分を吸収する。この際、液体成分を効率よく吸収する観点から、液吸収部材105aは、所定の押圧力をもって転写体101に押圧されることが好ましい。
第1画像は反応液、第1インク、及び第2インクで形成されるため、インク中の液体成分を吸収することとは、反応液、第1インク、及び第2インク中の液体成分を吸収することを意味する。液体成分の吸収により、第1画像から液体成分が除去されるため、液体成分を吸収することはインクを濃縮することであるとも言える。インクの濃縮により、インク中の液体成分が減少することによって、インク中の色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する比率が上昇する。
液体成分が吸収され、インクが濃縮された状態になっている第1画像は、転写体101の回転により、記録媒体108と接触する領域に移動する。第1画像と記録媒体108とは、転写体101と押圧部材106とに挟まれた状態で、押圧部材106側から押圧されることによって接触する。ローラ状の転写体101と円柱状の押圧部材106とを用いる場合、第1画像と記録媒体108とはY方向に沿って線状に接触する。この際、弾性を有する材料で構成された転写体101を用いると、押圧により転写体101が凹むため、第1画像と記録媒体108とが面で接触する。そのため、第1画像と記録媒体108が接触する点又は面を「領域」とし、この領域を含む部分を転写部111とする。液体成分が吸収された第1画像が記録媒体108と接触している間に、押圧部材106が転写体101を押圧することによって、記録媒体108に第1画像が転写される。記録媒体108に転写された第2画像は、転写体101に形成された第1画像の反転像である。ここで、第2画像は、最終画像のことであり、第1画像は、最終画像以外の画像のことである。最終画像を形成後、加熱による定着やラミネート加工などを行ってもよい。
反応液をローラなどで転写体に付与する場合、転写体の全体にわたって反応液が付与される。反応液が付与された領域のうち、インクが付与されていない領域には、反応液がインクと反応することなく存在する。つまり、液吸収部材105aは、第1画像からのみならず、インクと反応していない反応液とも接触し、反応液の液体成分も併せて吸収する。したがって、第1画像から液体成分を吸収する際には、転写体に付与されたもののインクと反応していない反応液からも液体成分が除去される。インクや反応液に含有される液体成分は、一定の形を持たず、流動性及びほぼ一定の体積を有する。具体的には、インクや反応液に含有させる成分である水性媒体などが液体成分に当たる。
以下、転写型インクジェット記録装置を構成する主要な装置である[1]転写体、[2]支持部材、[3]反応液付与装置、[4]インク付与装置、[5]液吸収装置、[6]転写用の押圧部材、[7]記録媒体、及び[8]記録媒体搬送装置について説明する。
[1]転写体101
転写体101は、第1画像形成面としての表面層を有する。表面層を構成する材料としては、樹脂、セラミックなどが挙げられ、耐久性などの観点から圧縮弾性率の高い材料が好ましい。反応液の濡れ性、転写性などを向上させるために、表面処理を施してもよい。また、表面層に任意の形状を持たせてもよい。
転写体101は、第1画像形成面としての表面層を有する。表面層を構成する材料としては、樹脂、セラミックなどが挙げられ、耐久性などの観点から圧縮弾性率の高い材料が好ましい。反応液の濡れ性、転写性などを向上させるために、表面処理を施してもよい。また、表面層に任意の形状を持たせてもよい。
転写体は、表面層と支持部材との間に、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が転写体の表面層の変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速で記録する際においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層を構成する材料としては、ゴム材料などの弾性を有する材料が挙げられる。なかでも、成形の際に、加硫剤、加硫促進剤などとともに、発泡剤、中空微粒子、塩などの充填剤を配合し、多孔質体となるように成形したゴム材料が好ましい。このような材料は、圧力変動に対して空隙部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、転写性、耐久性を向上することができる。多孔質体のゴム材料としては、各空隙が互いに連続した連続空隙構造のものと、各空隙がそれぞれ独立した独立空隙構造のものが挙げられる。
転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層を構成する材料としては、樹脂材料、セラミック材料などが挙げられる。なかでも、加工しやすいとともに、温度による弾性率の変化が小さく、転写性に優れるため、ゴム材料などの弾性を有する材料を用いることが好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)は、接着剤や両面テープを用いて、接着することができる。装置に装着する際の横伸びを抑制し、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。補強層としては、織布などを用いることができる。転写体は、表面層以外は、弾性層や圧縮層を任意に組み合わせて作製することができる。
転写体の大きさは、記録速度や画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、例えば、シート状、ローラ状、ベルト状、無端ウェブ状などが挙げられる。なかでも、転写体の形状は、シート状、ローラ状、又は無端ウェブ状であることが好ましい。
[2]支持部材102
転写体101は、支持部材102に支持されている。転写体の支持には、接着剤や両面テープを用いることができる。転写体に、金属、セラミック、樹脂などの材料で構成される設置用部材を取り付け、設置用部材を用いて転写体を支持部材102に設置してもよい。
転写体101は、支持部材102に支持されている。転写体の支持には、接着剤や両面テープを用いることができる。転写体に、金属、セラミック、樹脂などの材料で構成される設置用部材を取り付け、設置用部材を用いて転写体を支持部材102に設置してもよい。
支持部材102は、搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材を構成する材料としては、金属材料、セラミック材料、樹脂材料などが挙げられる。なかでも、転写の際の応力に耐えうる剛性や寸法精度のほか、動作時の慣性を軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウムなどの金属材料を用いることが好ましい。
[3]反応液付与装置103
本発明のインクジェット記録方法は、像形成工程を行う前に、反応液を転写体に付与する反応液付与工程を有する。反応液は、インクと接触すると、反応剤によりインク中のアニオン性基を有する成分(樹脂、自己分散顔料など)を凝集させることが可能である。第1インク、及び第2インクを付与した後に、第1インク、及び第2インクを付与した領域と少なくとも一部が重なるように反応液をさらに付与してもよい。
本発明のインクジェット記録方法は、像形成工程を行う前に、反応液を転写体に付与する反応液付与工程を有する。反応液は、インクと接触すると、反応剤によりインク中のアニオン性基を有する成分(樹脂、自己分散顔料など)を凝集させることが可能である。第1インク、及び第2インクを付与した後に、第1インク、及び第2インクを付与した領域と少なくとも一部が重なるように反応液をさらに付与してもよい。
転写型インクジェット記録装置は、転写体101に反応液を付与する反応液付与装置103を有する。図1の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラの場合を示す。
反応液付与装置は、反応液を転写体に付与できればよく、例えば、グラビアオフセットローラ、インクジェット方式の記録ヘッドなどが挙げられる。なかでも、反応液は、転写体にローラで付与されることが好ましい。反応液をローラで転写体に付与する場合、転写体の全体にわたって反応液が塗布されるため、インクが付与されずに反応液のみが付与されている領域が存在する。多孔質層が、反応液、及びインクが付与されている領域だけでなく反応液のみが付与されている領域にも接触すると、多孔質層の表面に反応液中の反応剤が付着しやすい。付着した反応剤がインク中の成分を凝集させると、多孔質層の表面に凝集したインク中の成分が付着することになり、多孔質層が第1画像から液体成分をより吸収しにくくなる場合がある。そのため、第1画像を記録媒体に転写しても、転写体にインク中の成分が残りやすくなる。このような場合でも、明度の大きい第1インクを転写体に付与した後に、明度の小さい第2インクを付与することで、明度の大きいインク中の成分が残っている転写体に第1画像が形成されても、転写して得られる画像にも目立ちにくい成分が付着する。そのため、転写して得られる画像の汚れを抑制できる。
[4]インク付与装置104
転写型インクジェット記録装置は、転写体101にインクを付与するインク付与装置104を有する。
転写型インクジェット記録装置は、転写体101にインクを付与するインク付与装置104を有する。
インク付与装置としては、インクジェット方式の記録ヘッドを用い、インクを吐出して記録媒体に付与することが好ましい。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。なかでも、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが好ましい。
記録ヘッドは、Y方向に沿って配置されたライン型の記録ヘッドであり、インクを吐出する吐出口が記録媒体の幅方向の全域にわたって配置されている。記録ヘッドは、吐出口列が形成された吐出口面を有しており、吐出口面と、吐出口面と対向する転写体101との隙間は、数mm程度とすることができる。
インク付与装置104は、転写体に、明度の大きい第1インク、及び明度の小さい第2インクを順に付与しなければならない。そのため、記録ヘッドの吐出口と、Y軸方向において当該吐出口に対応する位置の回転軸102aとの間に位置する転写体101の表面の回転方向において、インク付与装置の上流側に第1インクを吐出する記録ヘッド(第1記録ヘッド)を配置する必要がある。さらに、インク付与装置の下流側に第2インクを吐出する記録ヘッド(第2記録ヘッド)を配置する必要がある。また、第1インク、及び第2インク以外の他のインクを付与するために、記録ヘッドを複数有してもよい。本発明のインクジェット記録方法は、転写体側に明度の大きい第1インクが存在していることが重要である。そのため、他のインクを吐出する記録ヘッドは、第1記録ヘッド、及び第2記録ヘッドの間、又は第2記録ヘッドよりも下流側に配置することが好ましい。反応液を付与した領域と少なくとも一部が重なるように、第1インク及び第2インクをこの順に重ねて転写体に付与することが好ましい。第1記録媒体の単位領域に、反応液、第1インク、及び第2インクを重ねて付与した領域が含まれることが好ましい。
[5]液吸収装置105
液吸収装置105は、液吸収部材105a、及び液吸収部材105aを、転写体101の第1画像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bを有する。液吸収部材105a、及び押圧部材105bの形状は、以下のようにすることができる。例えば、図1に示すように、押圧部材105bが円柱状であり、液吸収部材105aがベルト状であって、円柱状の押圧部材105bでベルト状の液吸収部材105aを転写体101に押し当てる構成が挙げられる。また、押圧部材105bが円柱状であり、液吸収部材105aを円柱状の押圧部材105bの周りの表面に貼りつけ、押圧部材105bの有する液吸収部材105aを転写体に押し当てる構成が挙げられる。インクジェット記録装置内でのスペースなどを考慮すると、液吸収部材105aはベルト状であることが好ましい。ベルト状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する張架部材を有してもよい。105cは張架部材としての張架ローラである。図1では、張架ローラと同様に、押圧部材105bもローラ部材として示したが、これに限定されるものではない。
液吸収装置105は、液吸収部材105a、及び液吸収部材105aを、転写体101の第1画像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bを有する。液吸収部材105a、及び押圧部材105bの形状は、以下のようにすることができる。例えば、図1に示すように、押圧部材105bが円柱状であり、液吸収部材105aがベルト状であって、円柱状の押圧部材105bでベルト状の液吸収部材105aを転写体101に押し当てる構成が挙げられる。また、押圧部材105bが円柱状であり、液吸収部材105aを円柱状の押圧部材105bの周りの表面に貼りつけ、押圧部材105bの有する液吸収部材105aを転写体に押し当てる構成が挙げられる。インクジェット記録装置内でのスペースなどを考慮すると、液吸収部材105aはベルト状であることが好ましい。ベルト状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する張架部材を有してもよい。105cは張架部材としての張架ローラである。図1では、張架ローラと同様に、押圧部材105bもローラ部材として示したが、これに限定されるものではない。
液吸収装置105は、押圧部材105bによって、多孔質層を有する液吸収部材105aを第1画像に接触させることで、第1画像に含まれる液体成分を液吸収部材105aに吸収させる。第1画像に含まれる液体成分を吸収させる方法として、液吸収部材を接触させる本方式に加え、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法などを組み合わせて利用してもよい。また、液体成分を吸収させる前後の第1画像に、これらの方法を適用してさらに液体成分を吸収させてもよい。
[液吸収部材]
液吸収部材105aの具備する多孔質層が第1画像と接触することで、第1画像から液体成分の少なくとも一部を吸収する。このような多孔質層を有する液吸収部材は、転写体101の回転に連動して回転する。そのため、液吸収部材は、繰り返し液吸収を行うことができる形状であることが好ましく、具体的には、無端ベルト状やドラム状などの形状が挙げられる。このような形状を持つ液吸収部材のある領域が第1画像に接触し、液体成分を吸収した後、液吸収部材が矢印Bの方向に回転することで、この領域は第1画像の位置から移動する。その後も液吸収部材が回転し、この領域が新たな第1画像に接触するまでの間に、先の第1画像から吸収し、多孔質層に含まれることとなった液体成分を、多孔質部材から除去することが好ましい。多孔質部材に含まれることとなった液体成分は、多孔質部材の裏面から吸収する方法、多孔質部材を扱く部材を利用する方法などにより除去することができる。このようにして液体成分が除去されることによって、多孔質部材のある領域が新たな第1画像に接触する際には、第1画像に含まれる液体成分を再び効率よく吸収することが可能となる。
液吸収部材105aの具備する多孔質層が第1画像と接触することで、第1画像から液体成分の少なくとも一部を吸収する。このような多孔質層を有する液吸収部材は、転写体101の回転に連動して回転する。そのため、液吸収部材は、繰り返し液吸収を行うことができる形状であることが好ましく、具体的には、無端ベルト状やドラム状などの形状が挙げられる。このような形状を持つ液吸収部材のある領域が第1画像に接触し、液体成分を吸収した後、液吸収部材が矢印Bの方向に回転することで、この領域は第1画像の位置から移動する。その後も液吸収部材が回転し、この領域が新たな第1画像に接触するまでの間に、先の第1画像から吸収し、多孔質層に含まれることとなった液体成分を、多孔質部材から除去することが好ましい。多孔質部材に含まれることとなった液体成分は、多孔質部材の裏面から吸収する方法、多孔質部材を扱く部材を利用する方法などにより除去することができる。このようにして液体成分が除去されることによって、多孔質部材のある領域が新たな第1画像に接触する際には、第1画像に含まれる液体成分を再び効率よく吸収することが可能となる。
〔多孔質層〕
均一に高い通気性とするため、多孔質層の厚みは薄くすることが好ましい。通気性は、JIS P8117で規定されるガーレ値で示すことができ、ガーレ値は10秒以下であることが好ましい。ガーレ値は1秒以上であることが好ましい。しかし、多孔質層を薄くすると、多孔質層の有する合計の空隙体積が小さくなるため、最大で吸収できる液体成分の量も少なくなり、第1画像に含まれる液体成分を十分に吸収できない場合がある。そのため、多孔質層に加えて、多孔質層よりも大きな空隙を有するいくつかの層で構成される多孔質体を用いることで、第1画像に含まれる液体成分を十分に吸収することが可能である。液吸収部材は、第1画像と接触する層が多孔質層であればよく、第1画像と接触しない層は多孔質層でなくてもよい。
均一に高い通気性とするため、多孔質層の厚みは薄くすることが好ましい。通気性は、JIS P8117で規定されるガーレ値で示すことができ、ガーレ値は10秒以下であることが好ましい。ガーレ値は1秒以上であることが好ましい。しかし、多孔質層を薄くすると、多孔質層の有する合計の空隙体積が小さくなるため、最大で吸収できる液体成分の量も少なくなり、第1画像に含まれる液体成分を十分に吸収できない場合がある。そのため、多孔質層に加えて、多孔質層よりも大きな空隙を有するいくつかの層で構成される多孔質体を用いることで、第1画像に含まれる液体成分を十分に吸収することが可能である。液吸収部材は、第1画像と接触する層が多孔質層であればよく、第1画像と接触しない層は多孔質層でなくてもよい。
多孔質体のうち、第1画像と接触する多孔質層を第1の層、第1の層の第1画像とは反対の面に積層される層を第2の層として説明する。さらに多層の構成についても順次第1の層からの積層順で表記する。本明細書において、第1の層を「吸収層」、第2の層以降を「支持層」と記載する場合がある。
《第1の層》
第1の層を構成する材料としては、水に対する接触角が90°未満の親水性材料と、接触角が90°以上の撥水性材料のいずれも使用することができる。親水性材料としては、セルロースなどの繊維材料、ポリアクリルアミド樹脂などの樹脂材料が挙げられ、単一材料、又は複合材料などを用いることができる。また、後述するような撥水性材料の表面を親水化処理して用いることもできる。親水化処理としては、スパッタエッチング法、放射線やH2Oイオン照射、エキシマ(紫外線)レーザー光照射などの方法が挙げられる。
第1の層を構成する材料としては、水に対する接触角が90°未満の親水性材料と、接触角が90°以上の撥水性材料のいずれも使用することができる。親水性材料としては、セルロースなどの繊維材料、ポリアクリルアミド樹脂などの樹脂材料が挙げられ、単一材料、又は複合材料などを用いることができる。また、後述するような撥水性材料の表面を親水化処理して用いることもできる。親水化処理としては、スパッタエッチング法、放射線やH2Oイオン照射、エキシマ(紫外線)レーザー光照射などの方法が挙げられる。
親水性材料を用いる場合、水に対する接触角が60°以下の親水性材料であることが好ましい。親水性材料の場合、毛管力により液体成分、特に水を吸い上げる作用を生ずる。一方、第1の層への色材の付着を抑制する、また、クリーニング性を高くする、などの観点から、第1の層の材料としては、表面自由エネルギーの低い、撥水性樹脂などを用いることが好ましい。なかでも、第1の層は、フッ素系樹脂を含むことが好ましい。フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレンなどが挙げられる。なかでも、フッ素系樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、又はポリフッ化ビニリデンであることが好ましい。ポリプロピレンなどのオレフィン樹脂やポリエチレンテレフタラートなどのポリエステル系樹脂と比べてフッ素系樹脂は、表面自由エネルギーが低く、撥水性がより高いため、第1の層への色材の付着をより効果的に抑制できる。
撥水性材料を用いる場合、親水性材料のように毛管力により液体成分を吸い上げる作用がほとんど生じず、液体成分を吸い上げるのに時間を要することがある。そのため、第1の層中に第1の層との接触角が90°未満である処理液をしみ込ませておくことが好ましい。この処理液は、液吸収部材の具備する多孔質層を第1画像に接触させる前に、液吸収部材のインクと接触する面から付与することで、第1の層中に液体をしみ込ませておくことができる。処理液は、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水は、脱イオン水であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類を用いることができる。処理液は、さらに界面活性剤などの成分を混合して調製してもよい。処理液の付与方法としては、浸漬や滴下などが挙げられる。
第1の層の厚さは、400μm以下であることが好ましい。厚さは、1μm以上350μm以下であることがさらに好ましい。第1の層の厚さは、マイクロメータなどで任意の10点の厚さを測定し、その平均値を算出することで得られる。具体的には、デジマチック直進式外側マイクロメータ(OMV−25MX、ミツトヨ製)などを用いることができる。
第1の層は、公知の薄膜多孔質膜の製造方法により製造することができる。例えば、樹脂材料を押出成形などの方法でシート状物を得た後、所定の厚みに延伸して製造することができる。また、押出成形時の材料にパラフィンなどの可塑剤を添加し、延伸時に加熱などにより可塑剤を除去することで多孔質膜として製造することができる。孔径は添加する可塑剤の添加量、延伸倍率などを適宜調整することで調節することができる。
《第2の層》
第2の層は通気性を有する層であることが好ましい。具体的には、不織布、織布などが挙げられる。第2の層を構成する材料としては、第1の層の吸収した液体が逆流しないように、第1の層に対して第2インクとの接触角が同等かそれよりも低い材料、例えば、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂材料が挙げられる。第2の層の孔径は、第1の層よりも大きいことが好ましい。
第2の層は通気性を有する層であることが好ましい。具体的には、不織布、織布などが挙げられる。第2の層を構成する材料としては、第1の層の吸収した液体が逆流しないように、第1の層に対して第2インクとの接触角が同等かそれよりも低い材料、例えば、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂材料が挙げられる。第2の層の孔径は、第1の層よりも大きいことが好ましい。
《第3の層》
多孔質体は3層以上の構成であってもよい。第3の層以降の層としては、剛性の観点から不織布を用いることが好ましい。第3の層を構成する材料としては、第2の層のそれと同様のものが挙げられる。
多孔質体は3層以上の構成であってもよい。第3の層以降の層としては、剛性の観点から不織布を用いることが好ましい。第3の層を構成する材料としては、第2の層のそれと同様のものが挙げられる。
《その他の部材》
液吸収部材は、上記の積層構造を有する多孔質体の他にも、液吸収部材の側面を補強する補強部材を有してもよい。また、シート状の多孔質体の長手方向端部を繋いでベルト状とする場合、非多孔質材料で構成されるテープなどの接合部材を利用してもよい。接合部材は、第1画像と接触しない位置、又は周期に配置することが好ましい。
液吸収部材は、上記の積層構造を有する多孔質体の他にも、液吸収部材の側面を補強する補強部材を有してもよい。また、シート状の多孔質体の長手方向端部を繋いでベルト状とする場合、非多孔質材料で構成されるテープなどの接合部材を利用してもよい。接合部材は、第1画像と接触しない位置、又は周期に配置することが好ましい。
《多孔質体の製造方法》
積層構造を有する多孔質体を製造する方法としては、複数の層を重ね合わせるだけでもよいし、接着剤や熱で接着させてもよい。通気性の観点から、接着剤を用いるのではなく、複数の層を熱で接着させることが好ましい。また、加熱により、層の一部を溶融させて接着させてもよい。さらに、ホットメルトパウダーのような融着材を層の間に介在させて、加熱することにより互いに接着させてもよい。第3の層以上を積層する場合は、一度に積層させてもよいし、順次積層させてもよく、その場合に積層順は適宜決定することができる。複数の層を接着させるために加熱を必要とする場合は、加熱されたローラで多孔質体を加圧しながら、接着することが好ましい。以下、液吸収装置105における、各種条件と構成について詳細に述べる。
積層構造を有する多孔質体を製造する方法としては、複数の層を重ね合わせるだけでもよいし、接着剤や熱で接着させてもよい。通気性の観点から、接着剤を用いるのではなく、複数の層を熱で接着させることが好ましい。また、加熱により、層の一部を溶融させて接着させてもよい。さらに、ホットメルトパウダーのような融着材を層の間に介在させて、加熱することにより互いに接着させてもよい。第3の層以上を積層する場合は、一度に積層させてもよいし、順次積層させてもよく、その場合に積層順は適宜決定することができる。複数の層を接着させるために加熱を必要とする場合は、加熱されたローラで多孔質体を加圧しながら、接着することが好ましい。以下、液吸収装置105における、各種条件と構成について詳細に述べる。
《加圧条件》
転写体の第1画像に接触する際の液吸収部材の圧力は、2.9N/cm2(0.3kg/cm2)以上であれば、第1画像に含まれる液体成分をより短時間に固液分離でき、第1画像に含まれる液体成分を効率よく除去できる。液吸収部材の圧力とは、転写体と液吸収部材との間のニップ圧のことであり、例えば、圧力分布測定システムを用いて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、算出することができる。具体的には、面圧分布測定システム(I−SCAN、ニッタ製)などを用いることができる。
転写体の第1画像に接触する際の液吸収部材の圧力は、2.9N/cm2(0.3kg/cm2)以上であれば、第1画像に含まれる液体成分をより短時間に固液分離でき、第1画像に含まれる液体成分を効率よく除去できる。液吸収部材の圧力とは、転写体と液吸収部材との間のニップ圧のことであり、例えば、圧力分布測定システムを用いて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、算出することができる。具体的には、面圧分布測定システム(I−SCAN、ニッタ製)などを用いることができる。
《作用時間》
液吸収部材105aの具備する多孔質層を第1画像に接触させる作用時間は、多孔質層への色材の付着をより抑制するために、50ミリ秒以下であることが好ましい。作用時間とは、上述した面圧測定における、転写体の移動方向における圧力感知幅を、転写体の移動速度で割って算出することができる。
液吸収部材105aの具備する多孔質層を第1画像に接触させる作用時間は、多孔質層への色材の付着をより抑制するために、50ミリ秒以下であることが好ましい。作用時間とは、上述した面圧測定における、転写体の移動方向における圧力感知幅を、転写体の移動速度で割って算出することができる。
[6]転写用の押圧部材106
第1画像から液体成分が吸収された後、この第1画像は、転写部111において記録媒体108に転写される。転写する際の装置構成、及び条件について説明する。
第1画像から液体成分が吸収された後、この第1画像は、転写部111において記録媒体108に転写される。転写する際の装置構成、及び条件について説明する。
転写用の押圧部材106を用いることで、記録媒体108に第1画像を接触させ、記録媒体に第1画像を転写して、最終的に第2画像を記録する。記録媒体には、液体成分が吸収された後の第1画像が転写されるため、カールやコックリングなどを有効に抑制しうる。
押圧部材106は、記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点から、ある程度の構造強度が求められる。押圧部材106を構成する材料としては、金属材料、セラミック材料、樹脂材料などが挙げられる。なかでも、転写の際の圧力に耐えうる剛性や寸法精度のほか、動作時の慣性を軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウムなどの金属材料を用いることが好ましい。これらを組み合わせて用いてもよい。
第1画像を記録媒体108に転写する際に、押圧部材106が転写体を押圧する時間(押圧時間)は、転写が良好に行われるとともに、転写体の損傷を抑制する観点から、5ミリ秒以上100ミリ秒以下であることが好ましい。押圧時間とは、記録媒体108と転写体101が接触している時間を意味する。押圧時間は、圧力分布測定システムを用いて面圧測定を行い、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割り、算出することができる。具体的には、面圧分布測定システム(I−SCAN、ニッタ製)などを用いることができる。
第1画像を記録媒体108に転写する際の、押圧部材106が転写体101を押圧する圧力(押圧力)は、転写が良好に行われるとともに、転写体の損傷を抑制することが好ましい。このため、圧力が9.8N/cm2(1kg/cm2)以上294.2N/cm2(30kg/cm2)以下であることが好ましい。押圧力とは、記録媒体108と転写体101のニップ圧を意味する。押圧力は、圧力分布測定システムを用いて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、算出することができる。具体的には、面圧分布測定システム(I−SCAN、ニッタ製)などを用いることができる。
第1画像を記録媒体108に転写する際の、押圧部材106が転写体101を押圧するときの温度は、第1画像に含まれる樹脂成分のガラス転移点以上、又は軟化点以上であることが好ましい。樹脂成分の特性にもよるが、温度を調整するために、転写体101の第1画像、転写体101、及び記録媒体108を加熱する加熱手段を備えることが好ましい。押圧部材106の形状としては、例えば、ローラ状などの形状が挙げられる。
[7]記録媒体108
記録媒体108としては、ロール状に巻かれていてもよいシート、所定の寸法に裁断された枚葉のものなどが挙げられる。記録媒体108の構成材料としては、紙、プラスチックや金属などのフィルム、木板、段ボールなどが挙げられる。
記録媒体108としては、ロール状に巻かれていてもよいシート、所定の寸法に裁断された枚葉のものなどが挙げられる。記録媒体108の構成材料としては、紙、プラスチックや金属などのフィルム、木板、段ボールなどが挙げられる。
[8]記録媒体搬送装置107
記録媒体108を矢印Cの方向に搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体を搬送できればよく、図1で示すように、記録媒体繰り出しローラ107a、及び記録媒体巻き取りローラ107bで構成することができる。記録媒体108の搬送速度は、各工程において要する速度を考慮して決定することが好ましい。
記録媒体108を矢印Cの方向に搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体を搬送できればよく、図1で示すように、記録媒体繰り出しローラ107a、及び記録媒体巻き取りローラ107bで構成することができる。記録媒体108の搬送速度は、各工程において要する速度を考慮して決定することが好ましい。
<反応液>
以下、本発明で用いる反応液を構成する各成分について詳細に説明する。反応液中の色材の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、0.1質量%以下であることが好ましく、0.0質量%であることがさらに好ましい。反応液は、色材を含有しないことが好ましい。
以下、本発明で用いる反応液を構成する各成分について詳細に説明する。反応液中の色材の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、0.1質量%以下であることが好ましく、0.0質量%であることがさらに好ましい。反応液は、色材を含有しないことが好ましい。
(反応剤)
反応液は、インクと接触することによりインク中のアニオン性基を有する成分(樹脂、自己分散顔料など)を凝集させるものであり、反応剤を含有する。反応剤としては、例えば、多価金属イオン、カチオン性樹脂などのカチオン性成分や、有機酸などが挙げられる。
反応液は、インクと接触することによりインク中のアニオン性基を有する成分(樹脂、自己分散顔料など)を凝集させるものであり、反応剤を含有する。反応剤としては、例えば、多価金属イオン、カチオン性樹脂などのカチオン性成分や、有機酸などが挙げられる。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+などの2価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+及びAl3+などの3価の金属イオンが挙げられる。反応液に多価金属イオンを含有させるためには、多価金属イオンとアニオンとが結合して構成される多価金属塩(水和物であってもよい)を用いることができる。アニオンとしては、例えば、Cl−、Br−、I−、ClO−、ClO2 −、ClO3 −、ClO4 −、NO2 −、NO3 −、SO4 2−、CO3 2−、HCO3 −、PO4 3−、HPO4 2−、及びH2PO4 −などの無機アニオン;HCOO−、(COO−)2、COOH(COO−)、CH3COO−、C2H4(COO−)2、C6H5COO−、C6H4(COO−)2及びCH3SO3 −などの有機アニオンが挙げられる。反応剤として多価金属イオンを用いる場合、反応液中の多価金属塩換算の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。
有機酸を含有する反応液は、酸性領域(pH7.0未満、好ましくはpH2.0〜5.0)に緩衝能を有することによって、インク中に存在する成分のアニオン性基を酸型にして凝集させるものである。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、チオフェンカルボン酸、レブリン酸、クマリン酸などのモノカルボン酸及びその塩;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、セバシン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、などのジカルボン酸及びその塩や水素塩;クエン酸、トリメリット酸などのトリカルボン酸及びその塩や水素塩;ピロメリット酸などのテトラカルボン酸及びその塩や水素塩、などが挙げられる。なかでも、有機酸は、ジカルボン酸及びその塩や水素塩、並びにトリカルボン酸及びその塩や水素塩の少なくとも一方であることが好ましい。反応液中の有機酸の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、15.0質量%以上45.0質量%以下であることがさらに好ましい。
カチオン性樹脂としては、例えば、1〜3級アミンの構造を有する樹脂、4級アンモニウム塩の構造を有する樹脂などが挙げられる。具体的には、ビニルアミン、アリルアミン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、エチレンイミン、グアニジンなどの構造を有する樹脂などが挙げられる。反応液における溶解性を高めるために、カチオン性樹脂と酸性化合物とを併用したり、カチオン性樹脂の4級化処理を施したりすることもできる。反応剤としてカチオン性樹脂を用いる場合、反応液中のカチオン性樹脂の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
なかでも、反応剤は、有機酸であることが好ましい。多価金属イオンの半径と比べて、水素イオンの半径は小さいため、有機酸から放出された水素イオンは、第1画像に含まれる液体成分中で動きやすい。反応液が転写体に付与された後、インクが付与されると、有機酸から放出された水素イオンが、インク中のアニオン性基を有する成分に近づき、インク中の成分を速やかに凝集させることができる。これにより、第1画像の粘度を速やかに上げることができ、多孔質層へのインクの付着を抑制でき、得られる画像の汚れをより効果的に抑制できる。さらに、高分子であるカチオン性樹脂と比べても、水素イオンは、第1画像に含まれる液体成分中で動きやすい。上記と同様の理由で、多孔質層へのインクの付着を抑制でき、得られる画像の汚れをより効果的に抑制できる。
(界面活性剤)
反応液は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤は、フッ素系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤の少なくとも一方であることが好ましい。反応液中の反応剤が有機酸である場合、フッ素系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、2.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であることが好ましい。
反応液は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤は、フッ素系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤の少なくとも一方であることが好ましい。反応液中の反応剤が有機酸である場合、フッ素系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、2.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であることが好ましい。
まずは、フッ素系界面活性剤について、詳細に説明する。フッ素系界面活性剤としては、CxF2x+1−(CH2)y−(OCH2CH2)Z−OHで表されるものを好適に用いることができる。CxF2x+1はパーフルオロアルキル基である。パーフルオロアルキル基の炭素数、及びフッ素原子数を規定するxは、4以上6以下であることが好ましい。yはアルキレン基の数を示しており、1以上6以下であることが好ましい。zは、エチレンオキサイド基の数を示しており、1以上50以下であることが好ましく、1以上20以下であることがより好ましく、1以上10以下であることがさらに好ましく、4以上6以下であることが特に好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、サーフロンS−242、S−243、S−420(いずれも、AGCセイミケミカル製);メガファックF−444(DIC製);ゾニールFS−300、FSN、FSO−100、FS−3100(いずれも、デュポン製)などが挙げられる。なかでも、フッ素系界面活性剤は、xが6であるもの、具体的にはメガファックF−444、及びゾニールFS−3100からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
次に、シリコーン系界面活性剤について、詳細に説明する。シリコーン系界面活性剤としては、ポリエーテル鎖を有する親水性のシロキサン(−Si−O−)ユニットと、ポリエーテル鎖を有しない疎水性のシロキサンユニットを有するものを好適に用いることができる。シリコーン系界面活性剤としては、主鎖にポリエーテル鎖が結合しているものもあれば、側鎖にポリエーテル鎖が結合しているものもある。ポリエーテル鎖の構造は、−O−(C2H4O)a−(C3H6O)b−Rで表される。ここで、aは1以上の整数、bは0以上の整数、Rは水素原子又は炭素数1以上20以下のアルキル基である。C2H4Oはエチレンオキサイド基であり、C3H6Oはプロピレンオキサイド基である。ポリエーテル変性シロキサン化合物においては、エチレンオキサイドユニットとプロピレンオキサイドユニットとがその構造中に存在する状態は、ランダムの形態やブロックの形態など、どのような状態で存在していてもよい。ここで、各ユニットがランダムの状態で存在することとは、エチレンオキサイドユニットとプロピレンオキサイドユニットとが不規則に配列していることを意味している。また、各ユニットがブロックの状態で存在することとは、各ブロックがそれぞれいくつかの上記ユニットを単位として構成され、このように構成されたブロックが規則的に配列していることを意味している。シリコーン系界面活性剤としては、BYK−349、BYK−333、BYK−3455(いずれも、ビックケミー製)などが挙げられる。なかでも、シリコーン系界面活性剤は、側鎖にポリエーテル鎖が結合しているもの、具体的にはBYK−349であることが好ましい。
(上記以外の成分)
上記以外の成分としては、インクに用いることができるものとして後に挙げる、水溶性有機溶剤、水性媒体、その他添加剤などと同様のものを用いることができる。
上記以外の成分としては、インクに用いることができるものとして後に挙げる、水溶性有機溶剤、水性媒体、その他添加剤などと同様のものを用いることができる。
<インク>
以下、本発明で用いるインク(第1インク、及び第2インク)を構成する各成分について詳細に説明する。第1インク、及び第2インクと区別していない構成のものは、同様の構成とすることができる。
以下、本発明で用いるインク(第1インク、及び第2インク)を構成する各成分について詳細に説明する。第1インク、及び第2インクと区別していない構成のものは、同様の構成とすることができる。
第1インク、及び第2インクの色相は、異なる色相であっても、同一の色相であってもよく、第1インク、及び第2インクの明度の関係を満たせば、どの色相の組み合わせであってもよい。第1インク、及び第2インクの色相は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、オレンジ、グリーン、及びブルーなどから選択できる。色相が異なる場合、明度は、小さい方から大きい方に向かって順に、ブラックインク、ブルーインク、オレンジインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクとなる。色相が同一である場合、第1インク及び第2インクは、濃インク及び淡インクの関係となる。明度は、小さい方から大きい方に向かって順に、ブラックの色相を有する濃インク(ブラックインク)、シアンの色相を有する濃インク(シアンインク)、マゼンタの色相を有する濃インク(マゼンタインク)、ブラックの色相を有する淡インク(グレーインク)、シアンの色相を有する淡インク(ライトシアンインク)、マゼンタの色相を有する淡インク(ライトマゼンタインク)となる。イエローインクは、一般的にグレーインクよりも明度が大きい。第1インク、及び第2インクは、同一の色相を有することが好ましい。これにより、画像の淡い部分から濃い部分にかけて、濃度が緩やかに変化していくことで、階調性に優れる画像が得られる。
(色材)
色材としては、顔料や染料を用いることができる。なかでも、色材は、顔料を用いることが好ましい。インク中の色材の含有量は、インク全質量を基準として、0.2質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。
色材としては、顔料や染料を用いることができる。なかでも、色材は、顔料を用いることが好ましい。インク中の色材の含有量は、インク全質量を基準として、0.2質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。
第1インク、及び第2インクが同一の色相を有する場合、第2インク中の色材の含有量(質量%)は、第1インク中の色材の含有量(質量%)に対する比率(倍)で、1.5倍以上8.0倍以下であることが好ましい。さらに、第1インク、及び第2インクが同一の色相を有する場合、第1インク中の色材の含有量(質量%)は、1.5質量%以下であることが好ましい。前記含有量が1.5質量%を超えると、転写体側に存在している第1インク中の色材が多いため、転写体に色材が残りやすい。これにより、画像をさらに記録すると、色材が付着した転写体に第1画像が形成されるため、転写して得られる画像の汚れを十分に抑制できない場合がある。
顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子の表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。
顔料を水性媒体中に分散させるための樹脂分散剤としては、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体中に分散させうるものを用いることが好ましい。樹脂分散剤としては、好適には、後述するような樹脂、さらに好適には水溶性樹脂を用いることができる。顔料の含有量(質量%)は、樹脂分散剤の含有量に対する質量比率で(顔料/樹脂分散剤)、0.3倍以上10.0倍以下であることが好ましい。
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、直接又は他の原子団(−R−)を介して顔料の粒子表面に結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合のカウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン;アンモニウム;有機アンモニウム;などが挙げられる。また、他の原子団(−R−)の具体例としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;カルボニル基;イミノ基;アミド基;スルホニル基;エステル基;エーテル基などが挙げられる。また、これらの基を組み合わせた基としてもよい。なかでも、顔料は、樹脂分散顔料を用いることが好ましい。
ブラックの色相を有するインクの顔料としては、カーボンブラックなどが挙げられる。
シアンの色相を有するインクの顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:6などが挙げられる。
マゼンタの色相を有するインクの顔料としては、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202及びC.I.ピグメントバイオレット23など、複数のキナクリドン顔料の固溶体などが挙げられる。
イエローの色相を有するインクの顔料としては、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー74、155、180、213などが挙げられる。
オレンジ〜レッドの色相を有するインクの顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ43、64、C.I.ピグメントレッド255、264、272などが挙げられる。
グリーンの色相を有するインクの顔料としては、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントグリーン58などが挙げられる。
ブルーの色相を有するインクの顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23などが挙げられる。
なかでも、顔料は、カーボンブラック、C.I.ピグメントブルー15:3、複数のキナクリドン顔料の固溶体、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントバイオレット23から選択することが好ましい。なお、水性インクを用いるインクジェット記録方法で安定に使用しうる顔料の範囲であり、それら顔料を上記7種の色相に分類できれば、インクの明度の関係は変わらない。しかし、同一の色相を有するインクの明度の関係は、顔料の種類によって、異なる。インクの明度の関係は、特定の希釈倍率で希釈したインクの明度を測定することで分かるが、インク中の色材の含有量によりインクの明度が変わる場合もある。
(樹脂)
樹脂は、(i)顔料の分散状態を安定にする、すなわち上述の樹脂分散剤やその補助として、(ii)記録される画像の各種特性を向上させる、などの理由でインクに添加することができる。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。また、樹脂は、水性媒体に水溶性樹脂として溶解した状態であってもよく、水性媒体中に樹脂粒子として分散した状態であってもよい。樹脂粒子は色材を内包するものである必要はない。
樹脂は、(i)顔料の分散状態を安定にする、すなわち上述の樹脂分散剤やその補助として、(ii)記録される画像の各種特性を向上させる、などの理由でインクに添加することができる。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。また、樹脂は、水性媒体に水溶性樹脂として溶解した状態であってもよく、水性媒体中に樹脂粒子として分散した状態であってもよい。樹脂粒子は色材を内包するものである必要はない。
本発明において樹脂が水溶性であることとは、その樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法により粒径を測定しうる粒子を形成しないものであることとする。樹脂が水溶性であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、酸価相当のアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)により中和された樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製する。そして、試料溶液中の樹脂の粒径を動的光散乱法により測定した場合に、粒径を有する粒子が測定されない場合に、その樹脂は水溶性であると判断することができる。この際の測定条件は、例えば、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒、のように設定することができる。粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計(例えば、商品名「UPA−EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
樹脂の重量平均分子量は、水溶性樹脂の場合3,000以上15,000以下であることが好ましく、樹脂粒子の場合1,000以上2,000,000以下であることが好ましい。樹脂粒子の動的光散乱法(測定条件は上記と同様)により測定される体積基準の累積50%粒径は、100nm以上500nm以下であることが好ましい。
樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂などが挙げられる。なかでも、樹脂は、アクリル樹脂やウレタン樹脂が好ましい。
アクリル樹脂としては、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有するものが好ましい。なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、芳香環を有するモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの少なくとも一方に由来する疎水性ユニットと、を有する樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、スチレン及びα−メチルスチレンの少なくとも一方のモノマーに由来する疎水性ユニットとを有する樹脂が好ましい。これらの樹脂は、顔料との相互作用が生じやすいため、顔料を分散させるための樹脂分散剤として好適に利用することができる。
親水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有するユニットである。親水性ユニットは、例えば、親水性基を有する親水性モノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有する親水性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボン酸基を有する酸性モノマー、これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマーなどが挙げられる。酸性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンが挙げられる。疎水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有しないユニットである。疎水性ユニットは、例えば、アニオン性基などの親水性基を有しない、疎水性モノマーを重合することで形成することができる。疎水性モノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香環を有するモノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーなどが挙げられる。
ウレタン樹脂としては、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得ることができる。また、鎖延長剤をさらに反応させたものであってもよい。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
[樹脂粒子]
第1インクは、樹脂粒子を含有することが好ましい。第1インクが樹脂粒子を含有することで、多孔質層が第1画像に接触して、第1画像に含まれる液体成分を吸収すると、インク中の他の成分とともに樹脂粒子も凝集する。インク中の成分がより強く凝集するため、転写体にインク中の成分が残りにくい。画像をさらに記録する場合でも、インク中の成分が残りにくい転写体に第1画像を形成するため、転写して得られる画像の汚れもより効果的に抑制できる。なかでも、樹脂粒子は、アニオン性基を有することが好ましい。反応剤の種類にもよるが、樹脂粒子がアニオン性基を有することで、反応剤と反応して、樹脂粒子の凝集が促進されやすい。そのため、インク中の成分がさらに強く凝集するため、転写体にインク中の成分が残りにくい。画像をさらに記録する場合でも、インク中の成分が残りにくい転写体に第1画像を形成するため、転写して得られる画像の汚れもさらに効果的に抑制できる。
第1インクは、樹脂粒子を含有することが好ましい。第1インクが樹脂粒子を含有することで、多孔質層が第1画像に接触して、第1画像に含まれる液体成分を吸収すると、インク中の他の成分とともに樹脂粒子も凝集する。インク中の成分がより強く凝集するため、転写体にインク中の成分が残りにくい。画像をさらに記録する場合でも、インク中の成分が残りにくい転写体に第1画像を形成するため、転写して得られる画像の汚れもより効果的に抑制できる。なかでも、樹脂粒子は、アニオン性基を有することが好ましい。反応剤の種類にもよるが、樹脂粒子がアニオン性基を有することで、反応剤と反応して、樹脂粒子の凝集が促進されやすい。そのため、インク中の成分がさらに強く凝集するため、転写体にインク中の成分が残りにくい。画像をさらに記録する場合でも、インク中の成分が残りにくい転写体に第1画像を形成するため、転写して得られる画像の汚れもさらに効果的に抑制できる。
第1インク中の色材の含有量(質量%)は、第1インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)に対する比率(倍)で、0.20倍以下であることが好ましく、0.03倍以上であることが好ましい。また、第2インクも、アニオン性基を有する樹脂粒子を含有することが好ましい。
インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子の含有量が1.0質量%未満であると、形成される樹脂層が薄いため、多孔質層が第1画像に繰り返し接触すると、樹脂層が変形しやすい。第1画像中の樹脂層が変形することで色材層が露出し、その露出した色材層と多孔質層が接触することで、多孔質層への色材付着を十分に抑制できない場合がある。樹脂粒子の含有量が20.0質量%を超えると、形成される樹脂層が厚くなるため、第1画像からの液体成分の吸収が十分に進まず、記録媒体に液体成分が吸収されることによるカールや、コックリングを十分に抑制できない場合がある。
樹脂粒子は、上記のアクリル樹脂、及びウレタン樹脂を構成するものとして挙げたものから選択できる。
(水溶性樹脂)
第1インクは、アニオン性基を有する水溶性樹脂を含有することが好ましい。第1インクがアニオン性基を有する水溶性樹脂を含有することで、水溶性樹脂を介して樹脂粒子の凝集が促進される。インク中の成分がより強く凝集するため、転写体にインク中の成分が残りにくい。画像をさらに記録する場合でも、インク中の成分が残りにくい転写体に第1画像を形成するため、転写して得られる画像の汚れもより効果的に抑制できる。また、第2インクも、アニオン性基を有する水溶性樹脂を含有することが好ましい。
第1インクは、アニオン性基を有する水溶性樹脂を含有することが好ましい。第1インクがアニオン性基を有する水溶性樹脂を含有することで、水溶性樹脂を介して樹脂粒子の凝集が促進される。インク中の成分がより強く凝集するため、転写体にインク中の成分が残りにくい。画像をさらに記録する場合でも、インク中の成分が残りにくい転写体に第1画像を形成するため、転写して得られる画像の汚れもより効果的に抑制できる。また、第2インクも、アニオン性基を有する水溶性樹脂を含有することが好ましい。
インク中の水溶性樹脂の含有量(質量%)は、樹脂粒子の含有量(質量%)に対する質量比率(倍)で、0.05倍以上0.50倍以下であることが好ましい。前記比率が0.05倍未満であると、樹脂粒子に対して水溶性樹脂が少ないため、樹脂粒子で形成される樹脂層の強度が高まりにくく、樹脂層に接触する多孔質層への色材の付着を十分に抑制できない場合がある。前記比率が0.50倍を超えると、樹脂粒子に対して水溶性樹脂が多いため、樹脂層が強度の高い層となりやすい。そのため、第1画像に繰り返し多孔質層が接触しても、樹脂層がそもそも剥がれにくいので、多孔質層へのインクの付着をより効果的に抑制できる。しかし、多孔質層が第1画像に接触して第1画像に含まれる液体成分が少なくなると、インク中の色材を巻き込んで水溶性樹脂が凝集するため、インク中の成分の凝集に伴う体積収縮により、画像の移動を十分に抑制できない場合がある。
水溶性樹脂は、上記のアクリル樹脂、及びウレタン樹脂を構成するものとして挙げたものから選択できる。
第1インク、及び第2インクが同一の色相を有する場合、第2インク中の固形分量(質量%)は、第1インク中の固形分量(質量%)に対する比率で、0.75倍以上1.35倍以下であることが好ましい。ここで、固形分量とは、色材、樹脂粒子、及び水溶性樹脂の含有量の合計のことである。水溶性樹脂には、色材を分散させる分散剤である水溶性樹脂も含む。前記固形分量が上記範囲内となることで、第1インク、及び第2インクの反応性が同等となりやすく、画像の色ムラをより効果的に抑制できる。
(水性媒体)
インクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。
インクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。
(その他添加剤)
インクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤など種々の添加剤を含有してもよい。
インクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤など種々の添加剤を含有してもよい。
(物性)
インクの温度25℃における表面張力は、25.0mN/m以上35.0mN/m以下であることが好ましい。第1インク、及び第2インクの温度25℃における表面張力の差は、3.5mN/m以下であることが好ましく、0.0mN/m以上1.0mN/m以下であることがさらに好ましい。また、インクの温度25℃における粘度は、2.5mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましく、3.0mPa・s以上8.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。第1インク、及び第2インクの温度25℃における粘度の差は、2.5mPa・s以下であることが好ましく、0.0mPa・s以上1.5mPa・s以下であることがさらに好ましい。
インクの温度25℃における表面張力は、25.0mN/m以上35.0mN/m以下であることが好ましい。第1インク、及び第2インクの温度25℃における表面張力の差は、3.5mN/m以下であることが好ましく、0.0mN/m以上1.0mN/m以下であることがさらに好ましい。また、インクの温度25℃における粘度は、2.5mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましく、3.0mPa・s以上8.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。第1インク、及び第2インクの温度25℃における粘度の差は、2.5mPa・s以下であることが好ましく、0.0mPa・s以上1.5mPa・s以下であることがさらに好ましい。
以下、実施例、比較例、及び参考例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<反応液の調製>
表1に記載の各成分を混合し、十分撹拌した。その後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過し、反応液を調製した。ゾニールFS−3100は、デュポン製のノニオン性のフッ素系界面活性剤である。メガファックF−444は、DIC製のノニオン性のフッ素系界面活性剤である。BYK−349は、ビックケミー製のノニオン性のシリコーン系界面活性剤である。
表1に記載の各成分を混合し、十分撹拌した。その後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過し、反応液を調製した。ゾニールFS−3100は、デュポン製のノニオン性のフッ素系界面活性剤である。メガファックF−444は、DIC製のノニオン性のフッ素系界面活性剤である。BYK−349は、ビックケミー製のノニオン性のシリコーン系界面活性剤である。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
水5.5gに濃塩酸2.5gを溶かした溶液に、温度5℃で、p−アミノ安息香酸0.8gを加えた。温度10℃以下を維持するために、アイスバスで撹拌しながら、上記で得られた溶液に、水9.0gに亜硝酸ナトリウム0.9gを溶かした溶液を加えた。15分撹拌後、比表面積が220m2/gであり、DBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック9.0gを加え、混合した。さらに、15分撹拌後、得られたスラリーをろ紙(標準用ろ紙No.2、アドバンテック製)でろ過し、カーボンブラックを十分に水洗し、温度110℃のオーブンで乾燥させた。得られたカーボンブラックに水を添加して、自己分散カーボンブラックの含有量が20.0%である顔料分散液1を得た。
(顔料分散液1)
水5.5gに濃塩酸2.5gを溶かした溶液に、温度5℃で、p−アミノ安息香酸0.8gを加えた。温度10℃以下を維持するために、アイスバスで撹拌しながら、上記で得られた溶液に、水9.0gに亜硝酸ナトリウム0.9gを溶かした溶液を加えた。15分撹拌後、比表面積が220m2/gであり、DBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック9.0gを加え、混合した。さらに、15分撹拌後、得られたスラリーをろ紙(標準用ろ紙No.2、アドバンテック製)でろ過し、カーボンブラックを十分に水洗し、温度110℃のオーブンで乾燥させた。得られたカーボンブラックに水を添加して、自己分散カーボンブラックの含有量が20.0%である顔料分散液1を得た。
(顔料分散液2)
酸価が120mgKOH/gで重量平均分子量が8,000のスチレン−アクリル酸共重合体(樹脂A)6.4部を、共重合体の酸価と等モル量の水酸化ナトリウム水溶液で中和し、イオン交換水13.6部に溶解させた。この溶液(樹脂Aを含む液体)に、比表面積が220m2/gであり、DBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック15.0部、及びイオン交換水65.0部を混合した。この混合物を、粒径0.3mmのジルコニアビーズ200.0部を充填したバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)を用いて、3時間分散した。その後、この分散液を遠心分離処理して粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行った。前記の方法により、カーボンブラックが樹脂によって水中に分散された状態の顔料分散液2(顔料の含有量が15.0%、樹脂分散剤(樹脂A)の含有量が6.4%)を得た。
酸価が120mgKOH/gで重量平均分子量が8,000のスチレン−アクリル酸共重合体(樹脂A)6.4部を、共重合体の酸価と等モル量の水酸化ナトリウム水溶液で中和し、イオン交換水13.6部に溶解させた。この溶液(樹脂Aを含む液体)に、比表面積が220m2/gであり、DBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック15.0部、及びイオン交換水65.0部を混合した。この混合物を、粒径0.3mmのジルコニアビーズ200.0部を充填したバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)を用いて、3時間分散した。その後、この分散液を遠心分離処理して粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行った。前記の方法により、カーボンブラックが樹脂によって水中に分散された状態の顔料分散液2(顔料の含有量が15.0%、樹脂分散剤(樹脂A)の含有量が6.4%)を得た。
(顔料分散液3〜16)
顔料(C.I.ピグメントレッド122)10.0部、樹脂Aを含む液体9.4部、及び純水80.6部を混合した。この混合物と、0.3mm径のジルコニアビーズ200部を、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に入れて、水冷しながら5時間分散させた。その後、遠心分離して粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤(樹脂A)の含有量が3.0%の顔料分散液3を調製した。
顔料(C.I.ピグメントレッド122)10.0部、樹脂Aを含む液体9.4部、及び純水80.6部を混合した。この混合物と、0.3mm径のジルコニアビーズ200部を、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に入れて、水冷しながら5時間分散させた。その後、遠心分離して粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤(樹脂A)の含有量が3.0%の顔料分散液3を調製した。
また、顔料を表2に記載の顔料に変更したこと以外は顔料分散液3と同様の手順で、それぞれ、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤(樹脂A)の含有量が3.0%の、顔料分散液4〜16を調製した。表2中、複数のキナクリドン顔料の固溶体は、C.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントバイオレット19の固溶体である。
<樹脂粒子を含む液体の調製>
(樹脂粒子1を含む液体)
過硫酸カリウム0.2部、及びイオン交換水74.0部を混合して、溶液を調製した。さらに、エチルメタクリレート24.0部、メタクリル酸1.5部、反応性界面活性剤(アクアロンKH−05、第一工業製薬製)0.3部を混合して乳化物を調製した。窒素雰囲気下、前記乳化物を前記溶液に1時間かけて滴下し、温度80℃で撹拌しながら重合反応を行い、さらに2時間撹拌した。室温まで冷却した後、イオン交換水、及び水酸化カリウム水溶液を添加して、アニオン性の樹脂粒子1を含む液体(樹脂の含有量が25.0%)を得た。樹脂粒子1の体積基準の累積50%平均粒径(nm)は、210nmであった。
(樹脂粒子1を含む液体)
過硫酸カリウム0.2部、及びイオン交換水74.0部を混合して、溶液を調製した。さらに、エチルメタクリレート24.0部、メタクリル酸1.5部、反応性界面活性剤(アクアロンKH−05、第一工業製薬製)0.3部を混合して乳化物を調製した。窒素雰囲気下、前記乳化物を前記溶液に1時間かけて滴下し、温度80℃で撹拌しながら重合反応を行い、さらに2時間撹拌した。室温まで冷却した後、イオン交換水、及び水酸化カリウム水溶液を添加して、アニオン性の樹脂粒子1を含む液体(樹脂の含有量が25.0%)を得た。樹脂粒子1の体積基準の累積50%平均粒径(nm)は、210nmであった。
(樹脂粒子2を含む液体)
ウレタン樹脂粒子を含む市販の水分散液(タケラックWS−5000、三井化学製)の濃度を調整して、アニオン性の樹脂粒子2を含む液体(樹脂の含有量が25.0%)を得た。樹脂粒子2の体積基準の累積50%平均粒径(nm)は、70nmであった。
ウレタン樹脂粒子を含む市販の水分散液(タケラックWS−5000、三井化学製)の濃度を調整して、アニオン性の樹脂粒子2を含む液体(樹脂の含有量が25.0%)を得た。樹脂粒子2の体積基準の累積50%平均粒径(nm)は、70nmであった。
(樹脂粒子3を含む液体)
過硫酸カリウム0.3部、及びイオン交換水74.0部を混合して、溶液を調製した。さらに、エチルメタクリレート23.0部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ブレンマーPME1000、日油製)2.3部、及び反応性界面活性剤(アクアロンKH−05、第一工業製薬製)0.4部を混合して乳化物を調製した。窒素雰囲気下、前記乳化物を前記溶液に1時間かけて滴下し、温度80℃で撹拌しながら重合反応を行い、さらに2時間撹拌した。室温まで冷却した後、イオン交換水、及び水酸化カリウム水溶液を添加して、ノニオン性の樹脂粒子3を含む液体(樹脂の含有量が25.0%)を得た。樹脂粒子3の体積基準の累積50%平均粒径(nm)は、70nmであった。
過硫酸カリウム0.3部、及びイオン交換水74.0部を混合して、溶液を調製した。さらに、エチルメタクリレート23.0部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ブレンマーPME1000、日油製)2.3部、及び反応性界面活性剤(アクアロンKH−05、第一工業製薬製)0.4部を混合して乳化物を調製した。窒素雰囲気下、前記乳化物を前記溶液に1時間かけて滴下し、温度80℃で撹拌しながら重合反応を行い、さらに2時間撹拌した。室温まで冷却した後、イオン交換水、及び水酸化カリウム水溶液を添加して、ノニオン性の樹脂粒子3を含む液体(樹脂の含有量が25.0%)を得た。樹脂粒子3の体積基準の累積50%平均粒径(nm)は、70nmであった。
[樹脂粒子の体積基準の累積50%平均粒径の測定]
樹脂粒子の体積基準の累積50%平均粒径は、樹脂粒子を含む液体を純水で希釈し、樹脂粒子の含有量が1.0%の樹脂粒子を含む液体を測定サンプルとし、動的光散乱法による粒度分布計(ナノトラックUPA−EX150、日機装製)を使用して、測定した。測定条件は、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒、形状:真球形、屈折率:1.6である。
樹脂粒子の体積基準の累積50%平均粒径は、樹脂粒子を含む液体を純水で希釈し、樹脂粒子の含有量が1.0%の樹脂粒子を含む液体を測定サンプルとし、動的光散乱法による粒度分布計(ナノトラックUPA−EX150、日機装製)を使用して、測定した。測定条件は、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒、形状:真球形、屈折率:1.6である。
<水溶性樹脂1を含む液体の調製>
常法で製造されたスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体を、共重合体の酸価と等モル量の水酸化カリウム水溶液で中和し、樹脂の含有量が20.0%である水溶性樹脂1を含む液体を調製した。スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体は、酸価が150mgKOH/gであり、重量平均分子量が8,000である。水溶性樹脂1は、アニオン性である。
常法で製造されたスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体を、共重合体の酸価と等モル量の水酸化カリウム水溶液で中和し、樹脂の含有量が20.0%である水溶性樹脂1を含む液体を調製した。スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体は、酸価が150mgKOH/gであり、重量平均分子量が8,000である。水溶性樹脂1は、アニオン性である。
<第1インク及び第2インクの調製>
表3〜5に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。ポリビニルピロリドン K−90は、東京化成工業製のノニオン性の水溶性樹脂である。アセチレノールE100は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤であり、プルロニックL−31は、アデカ製のポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体である。ポリエチレングリコールに付した数値は、数平均分子量である。
表3〜5に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。ポリビニルピロリドン K−90は、東京化成工業製のノニオン性の水溶性樹脂である。アセチレノールE100は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤であり、プルロニックL−31は、アデカ製のポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体である。ポリエチレングリコールに付した数値は、数平均分子量である。
<液吸収部材の多孔質体の作製>
(液吸収部材1)
第1の層として、結晶化したフッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)の乳化重合粒子を圧縮成形し、融点以下の温度で延伸することによりフィブリル化した多孔質層を作製した。作製した第1の層の厚さは25.0μm、平均孔径は0.4μmであった。
(液吸収部材1)
第1の層として、結晶化したフッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)の乳化重合粒子を圧縮成形し、融点以下の温度で延伸することによりフィブリル化した多孔質層を作製した。作製した第1の層の厚さは25.0μm、平均孔径は0.4μmであった。
第2の層として、オレフィン樹脂(ポリエチレンとポリプロピレンの単一繊維からなる材料)を混合しつつ、湿式法により層を作製した。作製した第2の層の厚さは50.0μm、平均孔径は6.0μmであった。
第3の層としてはポリオレフィン系の不織布であるHOP60(廣瀬製紙製)を用いた。第1の層、第2の層、及び第3の層を熱で接着して、多孔質体を得た。
(液吸収部材2)
第1の層として、結晶化したフッ素系樹脂(ポリフッ化ビニリデン)の乳化重合粒子を圧縮成形し、融点以下の温度で延伸することによりフィブリル化した多孔質層を作製した。
第1の層として、結晶化したフッ素系樹脂(ポリフッ化ビニリデン)の乳化重合粒子を圧縮成形し、融点以下の温度で延伸することによりフィブリル化した多孔質層を作製した。
第2の層として、オレフィン樹脂(ポリエチレンとポリプロピレンの単一繊維からなる材料)を混合しつつ、湿式法により層を作製した。
第3の層としてはポリオレフィン系の不織布であるHOP60(廣瀬製紙製)を用いた。第1の層、第2の層、及び第3の層を熱で接着して、多孔質体を得た。第1の層、及び第2の層の厚さと平均孔径は、液吸収部材1と同じであった。
(液吸収部材3)
第1の層として、結晶化したオレフィン樹脂(ポリプロピレン)の乳化重合粒子を圧縮成形し、融点以下の温度で延伸することによりフィブリル化した多孔質層を作製した。作製した第1の層の厚さは25.0μm、平均孔径は0.4μmであった。
第1の層として、結晶化したオレフィン樹脂(ポリプロピレン)の乳化重合粒子を圧縮成形し、融点以下の温度で延伸することによりフィブリル化した多孔質層を作製した。作製した第1の層の厚さは25.0μm、平均孔径は0.4μmであった。
第2の層として、オレフィン樹脂(ポリエチレンとポリプロピレンの単一繊維からなる材料)を混合しつつ、湿式法により層を作製した。作製した第2の層の厚さは50.0μm、平均孔径は6.0μmであった。
第3の層としてはポリオレフィン系の不織布であるHOP60(廣瀬製紙製)を用いた。第1の層、第2の層、及び第3の層を熱で接着して、多孔質体を得た。
[層の厚さ、及び平均孔径の測定方法]
層の厚さ(μm)、及び平均孔径(μm)は、多孔質層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して求めた値である。
層の厚さ(μm)、及び平均孔径(μm)は、多孔質層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して求めた値である。
<評価>
本発明においては、下記の評価の評価基準で、AA、A、又はBを許容できるレベルとし、Cを許容できないレベルとした。実施例、比較例、及び参考例で使用する「反応液、第1インク、及び第2インクの組み合わせ」は、表6及び7に記載する。さらに、評価結果も、表6及び7に記載する。表6及び表7では、第2インクの明度が、第1インクの明度より大きいという第1インクと第2インクの関係を満たす場合は、Yと記載し、第1インクと第2インクの関係を満たさない場合は、Nと記載する。
本発明においては、下記の評価の評価基準で、AA、A、又はBを許容できるレベルとし、Cを許容できないレベルとした。実施例、比較例、及び参考例で使用する「反応液、第1インク、及び第2インクの組み合わせ」は、表6及び7に記載する。さらに、評価結果も、表6及び7に記載する。表6及び表7では、第2インクの明度が、第1インクの明度より大きいという第1インクと第2インクの関係を満たす場合は、Yと記載し、第1インクと第2インクの関係を満たさない場合は、Nと記載する。
図1に示す転写型インクジェット記録装置を用いて画像を記録した。支持部材102として、アルミニウムからなる円筒のドラムを用いた。転写体101の表面層の部材としては、厚さ0.5mmのポリエチレンテレフタラート(PET)シートにゴム硬度(デュロメータ・タイプA)40°のシリコーンゴム(KE12、信越化学製)を0.2mmの厚さにコーティングしたものを用いた。そして、この表面に、常圧プラズマ処理装置(ST−7000、キーエンス製)を用いて、処理距離:5mm、プラズマモード:High、処理速度:100mm/secの条件でプラズマ表面処理を施した。さらに、この表面を、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む市販の中性洗剤の濃度が3%となるように純水で希釈した溶液に10秒間浸漬させた。この後、この表面を乾燥させることにより、転写体101の表面層の部材とした。得られた転写体101を、両面粘着テープを用いて支持部材102に固定した。
反応液は、反応液付与装置103に搭載し、反応液付与装置から転写体101に反応液を1.0g/m2付与した。比較例1は、転写体に反応液を付与しなかった。
第1インク、及び第2インクは、インク付与装置104に搭載し、インクに熱エネルギーを付与して、オンデマンド方式で転写体101に吐出した。
液吸収部材105aに用いられる多孔質体は上記で作製したものを用いた。液吸収部材を搬送する搬送ローラ105cの速度は、転写体101の移動速度と同等の速度になるよう調節した。搬送ローラ105cの搬送速度は0.4m/sであった。さらに、液吸収部材105aは、エタノール95.0部、及び水5.0部を含有する処理液に浸漬させ、多孔質体の空隙に液体を浸透させた後、水に置換して使用した。また、転写体101と液吸収部材105aとの間のニップ圧は、平均圧力が4kg/cm2となるよう押圧部材105bに圧力を印加した。
次いで、転写体101の移動速度と同等の速度となるように、記録媒体108を記録媒体繰り出しローラ107a、及び記録媒体巻き取りローラ107bにより搬送させ、転写体101と押圧部材106の間で記録媒体108と第1画像を接触させた。これにより、第1画像を転写体101から記録媒体108へ転写させた。記録媒体108としてコート紙(オーロラコート紙、日本製紙製)を用いた。本実施例では転写体101と押圧部材106との間のニップ圧は、3kg/cm2に調整した。
[画像の汚れの抑制]
転写体に第1インク、及び第2インクの記録デューティが25%である第1画像を形成し、オーロラコート紙に転写して画像(5cm×5cmのベタ画像)を記録した。所定の枚数の画像を記録した後、さらに第1インク、及び第2インクの記録デューティが100%である第1画像を形成し、オーロラコート紙に転写して画像を記録した。その際、所定の枚数の画像を記録した時点で、転写体にインク中の成分が残っている場合、さらにもう1枚記録した画像にインク中の成分が混ざってしまい、画像の汚れと認識される。本実施例では、解像度1,200dpi×1,200dpiで1/1,200インチ×1/1,200インチの単位領域に3.0ngのインク滴を付与する条件で記録した画像を、記録デューティが100%であると定義する。
転写体に第1インク、及び第2インクの記録デューティが25%である第1画像を形成し、オーロラコート紙に転写して画像(5cm×5cmのベタ画像)を記録した。所定の枚数の画像を記録した後、さらに第1インク、及び第2インクの記録デューティが100%である第1画像を形成し、オーロラコート紙に転写して画像を記録した。その際、所定の枚数の画像を記録した時点で、転写体にインク中の成分が残っている場合、さらにもう1枚記録した画像にインク中の成分が混ざってしまい、画像の汚れと認識される。本実施例では、解像度1,200dpi×1,200dpiで1/1,200インチ×1/1,200インチの単位領域に3.0ngのインク滴を付与する条件で記録した画像を、記録デューティが100%であると定義する。
以下に示す評価基準にしたがって、目視で画像を観察して、画像の汚れを評価した。
AA:100枚画像を記録しても、画像の汚れがみられなかった
A:50枚画像を記録しても、画像の汚れがみられなかった
B:50枚画像を記録すると、画像の汚れがみられた
C:30枚画像を記録すると、画像の汚れがみられた。
AA:100枚画像を記録しても、画像の汚れがみられなかった
A:50枚画像を記録しても、画像の汚れがみられなかった
B:50枚画像を記録すると、画像の汚れがみられた
C:30枚画像を記録すると、画像の汚れがみられた。
Claims (7)
- 反応剤を含有する水性の反応液、並びに、色材を含有する水性インクである第1インク及び第2インク、を利用して、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記反応液を転写体に付与する反応液付与工程、
前記反応液を付与した領域と少なくとも一部が重なるように、前記第1インク及び前記第2インクをこの順に前記転写体に付与して、第1画像を形成する像形成工程、
液吸収部材の具備する多孔質層を、前記第1画像に接触させることで、前記第1画像から液体成分を吸収する液吸収工程、並びに
前記液吸収工程を行った後に、前記転写体の前記第1画像を前記記録媒体に転写する転写工程を有し、
前記第1インクの明度が、前記第2インクの明度より大きいことを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記第1インク、及び前記第2インクが、同一の色相を有する請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記第1インクが、樹脂粒子を含有する請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記樹脂粒子が、アニオン性基を有する請求項3に記載のインクジェット記録方法。
- 前記第1インクが、アニオン性基を有する水溶性樹脂を含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記多孔質層が、フッ素系樹脂を含む請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 転写体に、反応液を付与した後、第1インク及び第2インクを順に付与する手段、液吸収部材の具備する多孔質層を前記反応液、前記第1インク、及び前記第2インクで形成される第1画像に接触させる手段、並びに前記転写体の前記第1画像を記録媒体に転写する手段を備えたインクジェット記録装置であって、
前記反応液が、反応剤を含有する水性の反応液であり、
前記第1インク、及び前記第2インクが、色材を含有する水性インクであり、
前記第1インクの明度が、前記第2インクの明度より大きいことを特徴とするインクジェット記録装置。
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---|---|---|---|
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019157064A (ja) * | 2018-03-16 | 2019-09-19 | セイコーエプソン株式会社 | 水系インクジェットインク組成物、記録方法および記録装置 |
WO2020022118A1 (ja) * | 2018-07-25 | 2020-01-30 | キヤノン株式会社 | 記録装置および記録方法 |
-
2018
- 2018-06-11 JP JP2018111476A patent/JP2019014234A/ja active Pending
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JP7172077B2 (ja) | 2018-03-16 | 2022-11-16 | セイコーエプソン株式会社 | 記録方法および記録装置 |
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US11840074B2 (en) | 2018-07-25 | 2023-12-12 | Canon Kabushiki Kaisha | Printing apparatus and printing method |
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