JP2021090897A - ガス吸着剤及びガス吸着素材の製造方法 - Google Patents

ガス吸着剤及びガス吸着素材の製造方法 Download PDF

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京 堀田
Kyo Hotta
京 堀田
泰士郎 堀口
Taishiro Horiguchi
泰士郎 堀口
好揮 柘植
Yoshiki Tsuge
好揮 柘植
英司 寺西
Eiji Teranishi
英司 寺西
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Abstract

【課題】悪臭ガスの吸着性能に優れるとともに、加熱された場合であってもガス吸着性能が低下しにくいガス吸着剤、及びそれを用いるガス吸着素材の製造方法を提供すること。【解決手段】下記(A)成分と(B−1)成分との反応生成物(AB1)及び下記(A)成分と(B−2)成分との反応生成物(AB2)からなる群より選択される少なくとも1種の反応生成物(AB)と、(C1)成分、(C2)成分、及び(C3)成分からなる群より選択される少なくとも1種のシリコーン化合物(C)と、を含む、ガス吸着剤。(A)成分:中和されていてもよいアミノ基及び/又はイミノ基と、シラノール基又は加水分解によりシラノール基を生じ得る基と、を有する有機ケイ素化合物。(B−1)成分:下記一般式(B−1)で表される化合物。(B−2)成分:ヒドロキシル基を有する金属酸化物。【選択図】なし

Description

本発明は、ガス吸着剤及びガス吸着素材の製造方法に関する。
従来、各種の臭気ガスを吸着し、除去するためのガス吸着剤として安価な活性炭が多用されてきた。また、活性炭の他に、シリカ、アルミナ等の多孔性材料もガス吸着剤として用いられている。しかし、これらの材料は臭気ガスの吸着が、主に多数の微細孔への物理的な吸着作用によるものであることから、ガスの種類によっては十分な吸着量が得られないことがある。また、物理的な吸着は、臭気物質が容易に吸着される一方で、吸着したガスが容易に脱離する傾向にある。そのため、上記の材料にはガス吸着剤としてのさらなる性能の向上が要求されている。
このような課題に対して、活性炭やシリカ等の多孔性材料の表面を化学的に処理することによって改変し、物理的吸着作用に加えて化学的吸着作用を発現させ、吸着性能を向上させる試みがなされている。例えば、下記特許文献1〜4には、多孔性材料にアミノ基を有する有機ケイ素化合物を担持させた吸着剤が提案されている。そして、このようなアミノ基による修飾は、酢酸等の酸性系の悪臭ガスやアルデヒド系の悪臭ガスに対する吸着性能の向上に有効であると考えられている。
特開平8−257346号公報 特開2000−218159号公報 特開2006−312164号公報 特開2011−110513号公報
ガス吸着剤は、そのままの形態でも用いられるが、所定の基材に塗布するなどの方法によってガス吸着素材を作製することができる。ガス吸着剤が塗布される基材はガス吸着素材の用途によって多種多様である。
そのうち、車の内装材などにはポリウレタン樹脂や再生樹脂などが用いられている場合がある。これらの樹脂が含まれる部材にガス吸着剤を塗布した場合には、部材を成型するときの熱加工時に発生する酢酸等の酸性系の悪臭ガスやアルデヒド系の悪臭ガスを吸着させることができる。しかしながら、上記従来の吸着剤は、高温に晒されるとガス吸着性能が低下する傾向にあり、得られるガス吸着素材が十分なガス吸着性能を有していない場合があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、悪臭ガスの吸着性能に優れるとともに、加熱された場合であってもガス吸着性能が低下しにくいガス吸着剤、及びそれを用いるガス吸着素材の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、下記(A)成分と下記(B−1)成分との反応生成物(AB1)及び下記(A)成分と下記(B−2)成分との反応生成物(AB2)からなる群より選択される少なくとも1種の反応生成物(AB)と、下記(C1)成分、下記(C2)成分、及び下記(C3)成分からなる群より選択される少なくとも1種のシリコーン化合物(C)と、を含むガス吸着剤を提供する。
(A)成分:中和されていてもよいアミノ基及び/又はイミノ基と、シラノール基又は加水分解によりシラノール基を生じ得る基と、を有する有機ケイ素化合物
(B−1)成分:下記一般式(B−1)で表される化合物
Figure 2021090897

[式(B−1)中、Mは酸化数が2〜4の金属又は半金属を表し、R11は水素、炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、R12は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数1〜3のメルカプトアルキル基を表し、nは2〜4の整数を表し、mは0又は1の整数を表し、n+m=Mの酸化数である。]
(B−2)成分:ヒドロキシル基を有する金属酸化物
(C1)成分:ジメチルポリシロキサン
(C2)成分:ジメチルポリシロキサンの側鎖及び/又は末端のメチル基の少なくとも一つが、封鎖されていてもよいアミノ基及び/又はイミノ基を含む有機基、ヒドロキシル基、並びに下記一般式(C−1)で表される1価の基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換された構造を有する変性ポリシロキサン
−R21−OH (C−1)
[式(C−1)中、R21は炭素数1〜6のアルキレン基、又は炭素数2〜6のアルケニレン基を表す。]
(C3)成分:中和されていてもよいアミノ基又はイミノ基を有しない、三次元構造を有するシリコーンレジン
本発明のガス吸着剤は、上記構成を有することにより、悪臭ガスの吸着性能に優れるとともに、加熱された場合であってもガス吸着性能が低下しにくい耐熱性を有することができる。
また、本発明のガス吸着剤によれば、基材上に塗布した場合に基材の表面がべたつくことを十分に抑えられることができ、タックが小さいガス吸着素材を得ることができる。
上記反応生成物(AB)と上記シリコーン化合物(C)との配合比(AB)/(C)は、質量比で98/2〜60/40であってもよい。この場合、ガス吸着剤を付与した基材は、表面を触ったときのべたつき感や、触った手や指のべたつき感が少なくなり、タック性が小さくなる傾向にある。
ガス吸着剤の耐熱性を一層向上させる観点から、上記反応生成物(AB)が有するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部が、炭酸、蟻酸及び酢酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸で中和されていることが好ましい。
本発明はまた、基材に、上記本発明に係るガス吸着剤を付与する工程を備えるガス吸着素材の製造方法を提供する。
本発明のガス吸着素材の製造方法によれば、悪臭ガスの吸着性能に優れ、ガス吸着性能の耐熱性にも優れたガス吸着素材を得ることができる。また、得られるガス吸着素材は、表面のべたつきが抑えられ、タックが小さいものになり得る。
本発明のガス吸着素材の製造方法においては、上記基材がポリウレタン樹脂又は再生樹脂を含み、ガス吸着剤が付与された基材を加熱加工する工程を更に備えることができる。この場合、加熱加工時に発生する悪臭ガスを低減しつつ、加熱加工を経て、悪臭ガスの吸着性能に優れ、ガス吸着性能の耐熱性にも優れたガス吸着素材を得ることができる。
本発明によれば、悪臭ガスの吸着性能に優れるとともに、加熱された場合であってもガス吸着性能が低下しにくいガス吸着剤、及びそれを用いるガス吸着素材の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[ガス吸着剤]
本実施形態のガス吸着剤は、下記(A)成分と下記(B−1)成分との反応生成物(AB1)(以下、「反応生成物(AB1)」ともいう)及び下記(A)成分と下記(B−2)成分との反応生成物(AB2)(以下、「反応生成物(AB2)」ともいう)からなる群より選択される少なくとも1種の反応生成物(AB)(以下、「反応生成物(AB)」ともいう)と、下記(C1)成分、下記(C2)成分、及び下記(C3)成分からなる群より選択される少なくとも1種のシリコーン化合物(C)(以下、「シリコーン化合物(C)」ともいう)と、を含む。
(A)成分:中和されていてもよいアミノ基及び/又はイミノ基と、シラノール基又は加水分解によりシラノール基を生じ得る基と、を有する有機ケイ素化合物
(B−1)成分:下記一般式(B−1)で表される化合物
Figure 2021090897

[式(B−1)中、Mは酸化数が2〜4の金属又は半金属を表し、R11は水素、炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、R12は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数1〜3のメルカプトアルキル基を表し、nは2〜4の整数を表し、mは0又は1の整数を表し、n+m=Mの酸化数である。]
(B−2)成分:ヒドロキシル基を有する金属酸化物
(C1)成分:ジメチルポリシロキサン
(C2)成分:ジメチルポリシロキサンの側鎖及び/又は末端のメチル基の少なくとも一つが、封鎖されていてもよいアミノ基及び/又はイミノ基を含む有機基、ヒドロキシル基、並びに下記一般式(C−1)で表される1価の基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換された構造を有する変性ポリシロキサン
−R21−OH (C−1)
[式(C−1)中、R21は炭素数1〜6のアルキレン基、又は炭素数2〜6のアルケニレン基を表す。]
(C3)成分:中和されていてもよいアミノ基又はイミノ基を有しない、三次元構造を有するシリコーンレジン
((A)成分)
(A)成分としては、例えば、下記一般式(A−1)で表される有機ケイ素化合物が挙げられる。
Figure 2021090897

(式(A−1)中、Rは炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、Rは、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、メチル基、ヒドロキシル基、又は炭素数1〜3のアルコキシ基を表す。ただし、R、R及びRのうち少なくとも1つは、ヒドロキシル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基である。lは0〜2の整数を表す。)
上記式(A−1)中、Rは、ガス吸着性の観点から、エチレン基であることが好ましい。
上記式(A−1)中、Rは、ガス吸着性の観点から、プロピレン基であることが好ましい。
上記式(A−1)中、R、R及びRは、ガス吸着性の観点から、R、R及びRのうち少なくとも1つが炭素数1〜3のアルコキシ基であることが好ましい。また、ガス吸着剤の基材への密着性の観点から、R、R及びRのうち少なくとも2つが炭素数1〜3のアルコキシ基及び/又はヒドロキシル基であることが好ましい。
上記式(A−1)中、lは、ガス吸着性の観点から、0又は1が好ましく、1がより好ましい。
上記式(A−1)で表される有機ケイ素化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメチルエトキシシラン等の一官能性の有機ケイ素化合物;γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン等の二官能性の有機ケイ素化合物;3−アミノプロピルトリヒドロキシシラン、メトキシ(3−アミノプロピル)ジヒドロキシシラン、エトキシ(3−アミノプロピル)ジヒドロキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピル(イソプロポキシ)ジメトキシシラン、2−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等の三官能性の有機ケイ素化合物が挙げられる。
(A)成分は、アミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部が、炭酸、蟻酸及び酢酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸で中和されていてもよい。
(A)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
((B1)成分)
上記式(B−1)中、Mとしては、例えば、Mg、Al、Si、Ti、Ge、Zr、Sn、Sr、Y、La、Hf及びTaが挙げられ、取り扱い易さの観点から、Mg、Al、Si及びTiが好ましく、Al及びSiがより好ましい。
上記式(B−1)中、R11としては、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることが更に好ましい。R11がアルキル基である場合、アルキル基は直鎖状であっても、分岐状であってもよい。R11がアルキル基である場合、このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基及び2−プロピル基が挙げられ、(A)成分との反応性の観点から、メチル基及びエチル基が好ましい。
上記式(B−1)中、R12としては、(A)成分との反応性の観点から、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、又は炭素数6〜12のアリール基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましい。
上記式(B−1)中、mは、ガス吸着剤の基材への密着性の観点から、0が好ましい。
上記一般式(B−1)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン化合物、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン化合物、チタンテトライソプロポキシド等のチタンアルコキシド化合物、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリエトキシド等のアルミニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド等のジルコニウムアルコキシド化合物、マグネシウムジエトキシド等のマグネシウムアルコキシド化合物、メチルトリフェノキシシラン等のシラン化合物が挙げられる。
(B1)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
((B2)成分)
(B2)成分は、ケイ素、アルミ、チタン、ジルコニウム及び亜鉛の酸化物(それぞれ、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア及び亜鉛酸化物)、並びにこれらの複合酸化物であってよい。(B2)成分は、表面のヒドロキシル基に富み、(A)成分の担持量を多くできる観点から、シリカが好ましい。
(B2)成分は、その表面の一部が、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、カルボン酸塩、アンモニア、脂肪族若しくは芳香族アミン、アミノ基含有高分子等のアルカリに浸漬する等の方法によりアルカリ処理されているものであってもよい。
(B2)成分は粒子であることが好ましく、その平均粒径は、1nm〜5μmであることが好ましく、1nm〜1μmであることがより好ましく、1nm〜500nmであることが更に好ましく、1nm〜200nmであることが特に好ましい。(B2)成分の平均粒径が1nm以上であると、(A)成分を担持する能力が向上し、優れたガス吸着性が得られやすくなる傾向がある。また、平均粒径が5μm以下であると、(B2)成分の表面積が大きくなるため、十分なガス吸着性が得られやすくなる傾向がある。更に、(B2)成分の平均粒径が上記の範囲内であれば、基材の色相への影響を十分小さく(特に、白化現象を抑制)しながらガス吸着素材を製造することが可能となる。また、ガス吸着剤を基材に付着させる際にスプレー法により加工することがあるが、平均粒径が上記範囲内であると、スプレーの目詰まりが発生しにくくなり、ガス吸着剤のスプレー加工適性を向上させることができる。なお、本発明において平均粒径とは、個数基準の粒度分布における累積率が50%となるメジアン径(D50)の値を示す。
(B2)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(A)成分と、(B1)成分とを反応させて反応生成物(AB1)を得る場合、当該反応系における(B1)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、1〜200質量部であることが好ましく、3〜100質量部であることが好ましく、5〜60質量部であることが更に好ましい。(B1)成分の配合量が(A)成分100質量部に対して1質量部以上であると、反応生成物の分子量や架橋が十分となり、その結果、ガス吸着剤による皮膜が基材上に形成されやすくなる。また、ガス吸着素材の表面のタックが小さくなり、製造や加工の際の作業性や、風合いが良好となる。また、摩耗によってガス吸着剤が脱落することを抑制しやすくなる傾向にある。一方、(B1)成分の配合量が、(A)成分100質量部に対して200質量部以下であると、少ないガス吸着剤の使用量で十分なガス吸着性能が得られやすくなる。
(A)成分と、(B2)成分とを反応させて反応生成物(AB2)を得る場合、当該反応系における(A)成分の配合量は、(B2)成分100質量部に対して、10〜500質量部であることが好ましく、50〜200質量部であることがより好ましい。(A)成分の配合量が(B2)成分100質量部に対して10質量部以上であると、ガス吸着性能が良好になる傾向にあり、(A)成分の配合量が(B2)成分100質量部に対して200質量部以下であると、少ないガス吸着剤の使用量で十分なガス吸着性能が得られやすくなる。
本実施形態に係る反応生成物(AB1)及び反応生成物(AB2)は、(A)成分と、(B1)成分又は(B2)成分との混合物を水の存在下で反応させることにより調整してもよい。例えば、両者の混合物に水を加えて、室温(25℃程度)又は適宜加熱(好ましくは90℃以下で加熱)して10分〜5時間程度攪拌する方法により、反応生成物を含有する水溶液もしくは水分散液として得ることができる。この場合、溶媒である水を除去して、固体状の反応生成物を得ることができる。本実施形態に係る反応生成物(AB1)及び反応生成物(AB2)は、(A)成分と、(B1)成分又は(B2)成分との混合物を室温(25℃程度)又は適宜加熱下で空気中に放置することにより調整してもよい。この場合、空気中の水分により両者が反応する。
本実施形態に係る反応生成物(AB)は、耐熱性が一層向上することから、アミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部が、炭酸、蟻酸及び酢酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸で中和されていることが好ましい。
このような反応生成物を得る方法としては、例えば、予め(A)成分に含まれるアミノ基及び/又はイミノ基を上記酸で中和し、その後、アミノ基及び/又はイミノ基が中和された(A)成分と、(B1)成分又は(B2)成分とを反応させる方法、アミノ基及び/又はイミノ基が中和されていない(A)成分と、(B1)成分又は(B2)成分とを反応させた後に上記酸で中和する方法が挙げられる。
より具体的には、(A)成分と、(B1)成分又は(B2)成分との混合物に水を加え、室温で10分〜5時間程度攪拌した後、この水溶液もしくは水分散液のpHが当初の11〜12から4〜10になるまで、好ましくは5〜10になるまで、炭酸ガス、ドライアイス、蟻酸及び酢酸のうち少なくとも1種を加えて中和することによって、アミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部が、炭酸、蟻酸及び酢酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸で中和された反応生成物を含有する水溶液若しくは水分散液を得ることができる。
本実施形態に係る反応生成物(AB)は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
((C1)成分)
ジメチルポリシロキサンの25℃における動粘度は、好ましくは1〜1,000,000mm/s、より好ましくは10〜500,000mm/s、更に好ましくは30〜100,000mm/sである。動粘度が1mm/s以上である場合、耐熱性が良好であり、動粘度が1,000,000mm/s以下であると風合いに優れる。本明細書における動粘度は、JIS K 2283:2000(ウベローデ粘度計)に記載の方法で測定した値を意味する。
ジメチルポリシロキサンは、市販品としても用意に入手することが可能である。市販品としては例えば、IE−7045、IE−7036EX、IE−7046T、SM490EX、BY−22−744EX、(いずれもダウ東レ株式会社製:商品名)、KF−96L−1cs、KF−96−10cs、KF−96−50cs、KM−740T、KM−860A、KM−862T、KM−752T(いずれも信越シリコーン株式会社製:商品名)等が挙げられる。
((C2)成分)
(C2)成分は、ジメチルポリシロキサンの側鎖及び/又は末端のメチル基の少なくとも一つが、上述した特定の基で置換された構造、すなわち、上述した特定の基がケイ素原子に直接結合している構造を有する。
(C2)成分は、ジメチルポリシロキサンの側鎖及び/又は末端のメチル基の少なくとも一つが、封鎖されていてもよいアミノ基及び/又はイミノ基を含む有機基で置換された構造を有する変性ポリシロキサン(以下、「アミノ変性シリコーン」ともいう。)を含むことができる。この場合、アミノ基及び/又はイミノ基を含む有機基としては、例えば、−R22−NHで表される有機基、及び−R23−NH−R24−NHで表される有機基が挙げられる。R22、R23及びR24としては、例えば、炭素数2〜6のアルキレン基が挙げられる。そのようなアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基等の2価の基が挙げられる。アミノ変性シリコーンは、アミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部が、封鎖されたアミノ基及び/又はイミノ基であってもよい。封鎖されたアミノ基及び/又はイミノ基は、例えば、アミノ基及び/又はイミノ基を封鎖剤で処理することにより得られる。封鎖剤としては、例えば、炭素数2〜22の脂肪酸、炭素数2〜22の脂肪酸の酸無水物、炭素数2〜22の脂肪酸の酸ハライド、炭素数1〜22の脂肪族モノイソシアネート等が挙げられる。
アミノ変性シリコーンの官能基当量は、得られるガス吸着素材の表面のタックが小さくなる観点から、100〜20000g/molが好ましく、150〜12000g/molがより好ましく、200〜4000g/molがより好ましい。
アミノ変性シリコーンは、25℃で液状であることが好ましい。アミノ変性シリコーンの25℃における動粘度は、10〜100,000mm/sであることが好ましく、10〜30,000mm/sであることがより好ましく、10〜5,000mm/sであることが更に好ましい。25℃における動粘度が100,000mm/s以下である場合、作業性が向上する傾向にある。
アミノ変性シリコーンは、市販品としても容易に入手することが可能である。市販品としては、例えば、KF8005、KF−868、KF−864、KF−393、KF−8021(いずれも、信越化学工業(株)製、商品名)、TSF−4709、XF42−B1989(いずれも、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(合)製、商品名)、BY16−872、SF−8417、BY16−853U(いずれも、東レ・ダウコーニング(株)製、商品名)等が挙げられる。
(C2)成分は、ジメチルポリシロキサンの側鎖及び/又は末端のメチル基の少なくとも一つが、ヒドロキシル基及び上記一般式(C−1)で表される1価の基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換された構造を有する変性ポリシロキサン(以下、「ヒドロキシ変性シリコーン」ともいう。)を含むことができる。ヒドロキシ変性シリコーンが、一般式(C−1)で表される1価の基を有する場合、R21がエチレン基又はプロピレン基であることが好ましい。
ヒドロキシ変性シリコーンの25℃における動粘度は、好ましくは1〜1,000,000mm/s、より好ましくは10〜500,000mm/s、更に好ましくは30〜100,000mm/sである。粘度が1mm/s以上である場合、耐熱性が良好であり、粘度が1,000,000mm/s以下であると風合いに優れる。
ヒドロキシ変性シリコーンは、市販品としても容易に入手することが可能である。市販品としては、例えば、KF−9701及びX−21−5841(いずれも信越シリコーン株式会社製:商品名)が挙げられる。
(C2)成分は、ジメチルポリシロキサンの側鎖及び/又は末端のメチル基の少なくとも一つが、封鎖されていてもよいアミノ基及び/又はイミノ基を含む有機基と、ヒドロキシル基及び上記一般式(C−1)で表される1価の基からなる群より選択される少なくとも1種の基と、置換された構造を有する変性ポリシロキサン(以下、「アミノヒドロキシ変性シリコーン」ともいう。)を含むことができる。そのような市販品としては、例えば、BY16−892(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名)が挙げられる。
アミノヒドロキシ変性シリコーンの25℃における動粘度は、好ましくは10〜100,000mm/s、より好ましくは10〜30,000mm/s、更に好ましくは10〜5,000mm/sである。
((C3)成分)
(C3)成分は、構成成分としてMQ、MDQ、MT、MTQ、MDT又はMDTQを含み、25℃にて固形状であることが好ましい。また、シリコーンレジンは、JIS K 6249:2003 13.硬さ試験に従ってタイプAデュロメータにより測定した硬さが20以上であることが好ましく、60以上であることがより好ましい。ここで、M、D、T及びQは、それぞれ(R’’)SiO0.5単位、(R’’)SiO単位、R’’SiO1.5単位及びSiO単位を表す。R’’は、炭素数1〜10の1価の脂肪族炭化水素基、又は、炭素数6〜15の1価の芳香族炭化水素基を表す。
(C3)成分は、一般に、MQレジン、MTレジン又はMDTレジンとして知られており、MDQ、MTQ又はMDTQと示される部分を有することもある。
(C3)成分は、これを適当な溶媒に溶解させた溶液としても入手することができる。溶媒としては、例えば、比較的低分子量のデカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、n−ヘキサン、イソプロピルアルコール、塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタン及びこれらの溶媒の混合物等が挙げられる。
(C3)成分を溶媒に溶解させた市販品としては、例えば、信越化学工業(株)より市販されているKF7312J(トリメチルシリル基含有ポリシロキサン:デカメチルシクロペンタシロキサン=50:50混合物)、KF7312F(トリメチルシリル基含有ポリシロキサン:オクタメチルシクロテトラシロキサン)、KF9021L(トリメチルシリル基含有ポリシロキサン:低粘度メチルポリシロキサン=50:50混合物)、KF7312L(トリメチルシリル基含有ポリシロキサン:低粘度メチルポリシロキサン=50:50混合物)等が挙げられる。
(C3)成分が溶媒に溶解していない市販品としては、例えば、東レダウコーニング(株)より市販されているMQ−1600 solid Resin(トリメチルシリル基含有ポリシロキサン)、MQ−1640 Flake Resin(トリメチルシリル基含有ポリシロキサン、ポリプロピルシルセスキオキサン)等が挙げられる。上記市販品は、トリメチルシリル基含有ポリシロキサンを含み、MQ、MDQ、MT、MTQ、MDT又はMDTQを含むものである。
シリコーン化合物(C)は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いてもよい。シリコーン化合物(C)は、本実施形態の反応生成物(AB)との相溶性、及び得られるガス吸着素材のタック性の観点から、ジメチルポリシロキサン及びアミノ変性シリコーンであることが好ましい。
本実施形態に係るガス吸着剤は、例えば、(A)成分と(B1)成分又は(B2)成分との反応生成物を、そのまま、又は酸により中和した後に、シリコーン化合物(C)と均一になるまで混合することにより得られる。混合の方法は、特に制限されない。
本実施形態に係るガス吸着剤において、反応生成物(AB)とシリコーン化合物(C)との配合比(AB)/(C)は、質量比で98/2〜60/40であることが好ましく、95:5〜75:25であることがより好ましい。配合比(AB)/(C)が上記範囲内にあることで、得られるガス吸着素材の表面のべたつき感や、触った時の手や指のべたつき感が少なくなり、タック性が小さくなる傾向にある。なお、シリコーン化合物(C)を溶媒に溶解して配合する場合、その溶液の配合量は、シリコーン化合物(C)の配合量に換算して設定することができる。また、反応生成物(AB)を溶媒に溶解又は分散して配合する場合、その溶液又は分散液の配合量は、反応生成物(AB)の配合量に換算して設定することができる。
本実施形態に係るガス吸着剤における、反応生成物(AB)及びシリコーン化合物(C)の含有量の合計は、ガス吸着剤の全量に対して、取り扱い易さの観点から、1〜60質量%であることが好ましく、5〜45質量%であることがより好ましい。
本実施形態に係るガス吸着剤は、有機溶剤、分散剤(好ましくは非イオン界面活性剤)、増粘剤、防腐剤、尿素、ヒドラジン化合物、アミノグアニジン化合物等従来公知のアルデヒド吸着性能をもった成分と併用してもよい。
本実施形態に係るガス吸着剤は、後述するようにガス吸着素材を作製するための材料として用いてもよく、そのまま用いてもよい。
[ガス吸着素材の製造方法]
本実施形態に係るガス吸着素材の製造方法は、基材に、上記実施形態に係るガス吸着剤を付与する工程(以下、「付与工程」ともいう。)を含む。なお、付与工程には、基材と、実施形態に係るガス吸着剤を構成する成分の少なくとも一部とを反応させることも含まれる。
基材としては、例えば、繊維、プラスチック、ウレタン樹脂(ウレタンフォーム)、再生樹脂、天然皮革、紙、ガラス、木材、活性炭、セラミック等が挙げられる。繊維の素材としては、例えば、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリオレフィン等の合成繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン等の再生繊維、炭素繊維及びこれらの複合繊維、不織布、フェルト等が挙げられる。基材の形状は特に制限されず、使用形態に合わせて適宜選択することができる。
実施形態に係る付与工程は、
(i)反応生成物(AB)及びシリコーン化合物(C)を含む処理剤1と、基材とを接触させる工程、又は、
(ii)反応生成物(AB)を含む処理剤2及びシリコーン化合物(C)を含む処理剤3をそれぞれ別々に基材と接触させる工程、
であってもよい。ガス吸着性能と耐熱性の観点から、(i)の工程が好ましい。
処理剤1〜3は、水やアルコール等の溶媒で適宜希釈若しくは濃縮した溶液又は分散液であってもよい。溶媒は、環境や安全性の点から、メタノールやエタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールや水が好ましい。
処理剤1〜3には、適宜バインダーを添加してもよい。バインダーとしては、従来公知のものを特に制限なく用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール、アクリルエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、メチルセルロース、アクリル−スチレン共重合体エマルジョン、ウレタン系エマルジョン、シリコーンエマルジョン等が挙げられる。
反応生成物(AB)を水等の溶媒が含まれる分散液等として得た場合、分散液等から溶媒を留去して得られる反応生成物と、上記バインダーとを混合し、この混合物を基材に塗布してもよい。
なお、必要に応じて、各処理剤に、尿素、ヒドラジン化合物、アミノグアニジン化合物等従来公知のアルデヒド吸着性能を有する成分、有機溶剤、分散剤(好ましくは非イオン界面活性剤)、増粘剤、防腐剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、柔軟剤、防皺剤等の添加剤を適宜含有させることができる。
処理剤1〜3と基材とを接触させる方法としては、例えば、スプレーやコーティング、キスロール、スタンプ等の公知の方法により塗布する方法や、浸漬する方法等が挙げられる。
処理剤1〜3と基材とを接触させた後は、基材の種類や付与量に応じて適当な条件により風乾あるいは熱処理を施すことができる。
具体的には、例えば、基材が繊維製品である場合、特に、織物、編物や不織布等の布帛である場合、(i)の工程においては処理剤1として上記実施形態に係るガス吸着剤を含む処理液を用意し、この処理液を基材に塗布する、又は処理液に基材を浸漬する方法により、基材にガス吸着剤を付着させることができる。この後、基材を加熱乾燥することでガス吸着素材が得られる。
(ii)の工程においては処理剤2として反応生成物(AB)を含む処理液と、処理剤3としてシリコーン化合物(C)を含む処理液を用意し、これらの処理液を基材に塗布する、又は処理液に基材を浸漬する方法により、基材にガス吸着剤を付着させることができる。この後、基材を加熱乾燥することでガス吸着素材が得られる。処理剤2及び処理剤3を基材と接触させる順序は特に限定されず、基材に処理剤2を接触させた後、処理剤3を接触させてもよく、逆の順でもよい。
上記の処理液には、繊維加工に用いられる従来公知の成分、例えば、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、柔軟剤、防皺剤等を適宜含有させることができる。
加熱乾燥の条件は特に限定しないが、通常の繊維製品における熱処理条件を適用できる。
また、基材がウレタンフォームである場合、例えば、上述した処理液をスプレー等の方法により基材に塗布することにより、基材にガス吸着剤を付着させることができ、繊維製品の場合と同様にしてガス吸着素材を得ることができる。
本実施形態において、処理剤1又は2が、アミノ基及び/又はイミノ基が中和されていない反応生成物(AB)を含む場合、反応生成物(AB)が有するアミノ基及び/又はイミノ基を酸によって中和する中和工程を更に備えていてもよい。そのような酸としては、例えば、炭酸、蟻酸及び酢酸が挙げられる。
実施形態に係る付与工程は、(iii)基材上で反応生成物(AB)を生成する工程(以下、「反応工程」ともいう。)を含んでいてもよい。この場合、シリコーン化合物(C)の存在下で反応生成物(AB)を生成してもよく、反応生成物(AB)を生成した後にシリコーン化合物(C)を含む処理剤3と基材とを接触させてもよい。
反応生成物(AB)は、例えば、基材に、(A)成分を含む処理剤4、及び(B−1)成分又は(B−2)成分を含む処理剤5を別々に、又は、(A)成分及び(B−1)成分又は(B−2)成分を含む処理剤6を接触させて、(A)成分と(B−1)成分又は(B−2)成分とを反応させることにより、生成することができる。シリコーン化合物(C)の存在下で反応生成物(AB)を生成する場合、処理剤4〜6のいずれかにシリコーン化合物(C)を含有させてもよい。
処理剤4〜6には、上述した溶媒、バインダー、添加剤を適宜配合してもよい。
(A)成分と、(B−1)成分又は(B−2)成分とは、基材に付着後、空気中の水分によって反応し、反応生成物は皮膜化することができる。或いは、基材に両者を付着させた後に、スプレー等で水を付与することにより両者を反応させたり、水蒸気中に放置することにより両者を反応させたりすることができる。予め、(A)成分のアミノ基及びイミノ基の一部又は全部が酸で中和されている場合も、空気中の水分又は付与された水分によって反応し皮膜化することができる。
処理剤4〜6と基材とを接触させる方法としては、上述した処理剤1〜3と同様にすることができる。
基材に、処理剤4〜6を接触させた後は、基材の種類や付与量に応じて適当な条件により風乾あるいは熱処理を施すことができる。例えば、湿度65%及び温度25℃の条件下で一日放置したり、60℃で二時間加熱放置したりする等の方法が挙げられる。
本実施形態において、処理剤4又は6が、アミノ基及び/又はイミノ基が中和されていない(A)成分を含む場合、(A)成分が有するアミノ基及び/又はイミノ基を酸によって中和する中和工程を更に備えていてもよい。そのような酸としては、例えば、炭酸、蟻酸及び酢酸が挙げられる。
実施形態に係る付与工程は、基材に対するガス吸着剤の付与量が反応生成物(AB)及びシリコーン化合物(C)の合計付着量換算で、0.01〜20g/mとなるように設定することが好ましく、0.1〜10g/mとなるように設定することがより好ましく、0.5〜5g/mとなるように設定することが更に好ましい。基材へのガス吸着剤の付着量が0.01g/m以上であると、十分なガス吸着性が得られる傾向があり、付着量が20g/m以下であると少ない量で十分なガス吸着性能が得られる。
本実施形態に係るガス吸着素材の製造方法は、付与工程の後に、ガス吸着剤が付与された基材を加熱加工する工程を更に備えることができる。本実施形態に係るガス吸着剤は、ガス吸着性能の耐熱性に優れるため、加熱によって悪臭ガスを発生するような基材にガス吸着性を付与する場合には、加熱加工時に発生する悪臭ガスを低減しつつ、十分な吸着性能を有するガス吸着素材を得ることができる。また、得られるガス吸着素材は、ガス吸着性能の耐熱性にも優れる。
また、上記基材は、ポリウレタン樹脂又は再生樹脂を含むものであってもよい。再生樹脂とは、使用済みの製品から回収された樹脂を含む樹脂である。再生樹脂は、加熱によって悪臭ガスを発生する樹脂を含んでいてもよい。このような樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、ビニルエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂及びポリスルホン樹脂等が挙げられる。この場合、ポリウレタン樹脂又は再生樹脂を含む基材を、悪臭ガスの発生を抑制しつつ加熱成型することができ、ガス吸着性能の耐熱性にも優れるガス吸着素材を得ることができる。得られるガス吸着素材は、高温に晒された場合であっても十分なガス吸着性能を発揮することができることから、自動車用内装材として好適である。
本実施形態の製造方法によって得られるガス吸着素材は、例えば、空気清浄機フィルター、ガス吸着シート、壁紙、カーテン、カーペット等の内装材、カーシート、天井材、フロアマット等の自動車用内装材などのガス吸着用装飾剤等の各種部材として、ガス吸着が必要とされる空間で利用することができる。また、本実施形態の製造方法によって得られるガス吸着素材は、ガス吸着剤によって基材の表面がべたつくことが十分に抑制され、タックが小さいため、自動車用内装材及び鉄道車両用内装材等の車両用内装材として好適である。
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されものではない。
<反応生成物(AB)の合成>
(合成例1)
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン50gにテトラエトキシシラン15gを添加して混合物を得た。次に、混合物を一部取り、水で10質量%に希釈し、希釈液を得た。その後、得られた希釈液のpHが9になるまで炭酸ガスを吹きこむことで、中和処理を施した。中和前の希釈液のpHは11.5であった。こうして、アミノ基が中和された反応生成物(以下、「反応生成物A」ともいう。)を含む水分散液Aを得た。なお、水分散液Aに含まれる反応生成物Aの濃度は10質量%である。
(合成例2)
コロイダルシリカ(日産化学(株)製、商品名「スノーテックス30」、平均粒子径10〜20nm、シリカ含有量30質量%、)437gに、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン67gを添加した反応液を、室温で約2時間攪拌した。次に、この反応液に、反応液のpHが9になるまで炭酸ガスを吹き込んで中和処理を施し、更に水496gを加えた。中和処理前の反応液のpHは11.6であった。こうして、アミノ基が中和された反応生成物(以下、「反応生成物B」ともいう。)を含む水分散液Bを得た。なお、水分散液Bに含まれる反応生成物Bの濃度は20質量%であった。
(合成例3)
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン50gにアルミニウムイソプロポキシド15gを添加して混合物を得た。次に、混合物を一部取り、水で10質量%に希釈し、希釈液を得た。その後、得られた希釈液のpHが9になるまで炭酸ガスを吹き込むことで、中和処理を施した。中和前の希釈液のpHは11.5であった。こうして、アミノ基が中和された反応生成物(以下、「反応生成物C」ともいう。)を含む水分散液Cを得た。なお、水分散液Cに含まれる反応生成物Cの濃度は10質量%である。
(合成例4)
シュークレンズKD−211G(ラサ工業(株)製、二酸化ケイ素と酸化亜鉛の混合物、平均粒子径3.65μm)437gに、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン67gを添加した反応液を、室温で約2時間攪拌した。次に、この反応液に、反応液のpHが9になるまで炭酸ガスを吹き込んで中和処理を施した後、更に水496gを加えた。中和処理前の反応液のpHは11.6であった。こうして、アミノ基が中和された反応生成物(以下、「反応生成物D」ともいう。)を含む水分散液Dを得た。なお、水分散液Dに含まれる反応生成物Dの濃度は20質量%であった。
(合成例5)
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン50gにテトラエトキシシラン15gを添加し、混合物を得た。次に、混合物を一部取り、水で10質量%に希釈した。こうして、アミノ基が中和されていない反応生成物(以下、「反応生成物E」ともいう。)を含む水分散液Eを得た。なお、水分散液Eに含まれる反応生成物Eの濃度は10質量%である。
(合成例6)
コロイダルシリカ(日産化学(株)製、商品名「スノーテックス30」、平均粒子径10〜20nm、シリカ含有量30質量%、)437gに、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン67gを添加した反応液を、室温で約2時間攪拌した後、更に水496gを加えた。こうして、アミノ基が中和されていない反応生成物(以下、「反応生成物F」ともいう。)を含む水分散液Fを得た。水分散液Fに含まれる反応生成物Fの濃度は20質量%であった。
<アミノ変性シリコーンの合成>
(合成例7)
下記式(C−2)で表されるアミノ変性シリコーン(粘度:1200mm/s)150質量部及び無水酢酸4部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で加熱昇温し、100〜110℃の温度で約1時間反応させた。その後、無水コハク酸4質量部を仕込み、更に加熱昇温し、120〜130℃の温度で約2時間反応させた。反応終了後冷却し、非イオン界面活性剤のソフタノール50((株)日本触媒製、HLB=10.5)17質量部、ソフタノール90((株)日本触媒製、HLB=13.3)28質量部、ソフタノール120((株)日本触媒製、HLB=14.5)40質量部、水757質量部を加えて乳化させ、アミノ変性シリコーンを得た。
Figure 2021090897
<ガス吸着剤分散液の調製>
(実施例1〜19)
反応生成物とシリコーン化合物(C)とが表1〜3に示す質量比となるように、上記で作製した水分散液、シリコーン化合物(C)、及び水を均一になるまで混合し、ガス吸着剤分散液を得た。分散液における反応生成物及びシリコーン化合物(C)の含有量の合計は、ガス吸着剤分散液の全量に対して5質量%であった。
(比較例2)
反応生成物Aの濃度が5質量%となるように水分散液Aと水とを均一になるまで混合し、ガス吸着剤分散液を得た。
(比較例3)
反応生成物Bの濃度が5質量%となるように水分散液Bと水とを均一になるまで混合し、ガス吸着剤分散液を得た。
(比較例4及び5)
反応生成物と、その他樹脂とが表3に示す質量比となるように、水分散液A、その他樹脂、及び水を均一になるまで混合し、ガス吸着剤分散液を得た。分散液における反応生成物及びその他樹脂の含有量の合計は、ガス吸着剤分散液の全量に対して5質量%であった。
表1〜3に示す材料の詳細を下記に示す。
・KF−9701:信越化学工業(株)製、商品名、ヒドロキシ変性シリコーン、動粘度60mm/s
・IE−7046T:ダウ東レ(株)製、商品名、ジメチルシリコーン、動粘度10,000mm/s
・SM490EX:ダウ東レ(株)製、商品名、ジメチルシリコーン、動粘度100,000mm/s
・MQ−1600:ダウ東レ(株)製、商品名、solid Resin:トリメチルシリル基含有ポリシロキサン
・KF−6123:信越化学工業(株)製、商品名、ポリエーテル変性シリコーン、動粘度420mm/s
・カセゾールUM−70:日華化学(株)製、商品名、ウレタン樹脂
<ガス吸着素材の作製>
(実施例1〜19及び比較例2〜5)
ガス吸着剤分散液を、厚さ1cmのポリウレタンフォームに、ガス吸着剤分散液に含まれるガス吸着剤の付着量が表1〜3に示す値となるように、スプレーで塗布した。ガス吸着剤分散液が塗布されたポリウレタンフォームを室温条件下で風乾して、熱処理前のガス吸着素材を得た。
更に、上記の熱処理前のガス吸着素材の一部を採取し、ホットプレッサー((株)東洋精機製作所製「Mini Test Press MP−SCH」)で200℃×2分熱処理を行い、熱処理後のガス吸着素材を得た。
(比較例1)
ポリウレタンフォームに対してガス吸着剤分散液を塗布しなかったこと以外は、上記と同様にして熱処理前及び熱処理後のガス吸着素材を得た。
<ガス吸着素材の評価>
ガス吸着素材のガス吸着性及びその耐熱性について、以下の手順で評価を行った。結果を表1〜3に示す。
(1)5L用テトラーバックの中に実施例及び比較例で得られたガス吸着素材(8cm×10cm=80cm)を入れ、窒素ガス3.5Lを封入した。
(2)テトラーバックごと65℃で2時間加熱した。
(3)加熱処理後、テトラーバック内のガス3Lをアルデヒド吸着カラムに通して、アルデヒド類をカラムに吸着させた。
(4)カラムに吸着させたアルデヒド類を溶剤で溶出させた。次いで、液体クロマトグラフィー(LC−10AS、(株)島津製作所製)で溶剤に含まれるアセトアルデヒドを定量分析した。液体クロマトグラフィーの分析条件は、測定波長:360nm、溶媒:アセトニトリル/水=55/45vol、注入量:25μL、ODSカラムとした。
(5)溶剤に含まれるアセトアルデヒドの量から、テトラーバック内のガス3.5Lあたりに含まれるアセトアルデヒドの量を下記式により算出した。
アセトアルデヒドの量(μg)=(溶剤に含まれるアセトアルデヒドの量)×3.5/3
なお、溶剤には、上記(2)でポリウレタンフォームから発生したアルデヒド類のうち、ガス吸着剤に吸着されなかったものが溶出するため、上記式で算出されるアセトアルデヒドの量が小さいほど、ガス吸着素材のガス吸着性が高いことを意味する。
<ガス吸着材の表面の触感評価>
実施例及び比較例で得られた熱処理前のガス吸着素材の表面の触感を、下記A〜Dの基準に基づき評価した。結果を表1〜3に示す。なお、表面の触感がAとBの間、BとCの間、又はCとDの間である場合は、それぞれ、A−B、B−C、C−Dとして示した。
A:未加工のポリウレタンフォームとほとんど同等の触感である。
B:表面にべたつき感は感じられないが、触った手や指にべたつきをやや感じる。
C:表面にややべたつき感が感じられ、触った手や指にべたつきをやや感じる。
D:表面にべたつき感が感じられ、触った手や指にべたつきを感じられる
Figure 2021090897
Figure 2021090897
Figure 2021090897

Claims (5)

  1. 下記(A)成分と下記(B−1)成分との反応生成物(AB1)及び下記(A)成分と下記(B−2)成分との反応生成物(AB2)からなる群より選択される少なくとも1種の反応生成物(AB)と、
    下記(C1)成分、下記(C2)成分、及び下記(C3)成分からなる群より選択される少なくとも1種のシリコーン化合物(C)と、
    を含む、ガス吸着剤。
    (A)成分:中和されていてもよいアミノ基及び/又はイミノ基と、シラノール基又は加水分解によりシラノール基を生じ得る基と、を有する有機ケイ素化合物
    (B−1)成分:下記一般式(B−1)で表される化合物
    Figure 2021090897

    [式(B−1)中、Mは酸化数が2〜4の金属又は半金属を表し、R11は水素、炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、R12は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数1〜3のメルカプトアルキル基を表し、nは2〜4の整数を表し、mは0又は1の整数を表し、n+m=Mの酸化数である。]
    (B−2)成分:ヒドロキシル基を有する金属酸化物
    (C1)成分:ジメチルポリシロキサン
    (C2)成分:ジメチルポリシロキサンの側鎖及び/又は末端のメチル基の少なくとも一つが、封鎖されていてもよいアミノ基及び/又はイミノ基を含む有機基、ヒドロキシル基、並びに下記一般式(C−1)で表される1価の基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換された構造を有する変性ポリシロキサン
    −R21−OH (C−1)
    [式(C−1)中、R21は炭素数1〜6のアルキレン基、又は炭素数2〜6のアルケニレン基を表す。]
    (C3)成分:中和されていてもよいアミノ基又はイミノ基を有しない、三次元構造を有するシリコーンレジン
  2. 前記反応生成物(AB)と前記シリコーン化合物(C)との配合比(AB)/(C)が、質量比で98/2〜60/40である、請求項1に記載のガス吸着剤。
  3. 前記反応生成物(AB)が有するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部が、炭酸、蟻酸及び酢酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸で中和されている、請求項1又は2に記載のガス吸着剤。
  4. 基材に、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガス吸着剤を付与する工程を備える、ガス吸着素材の製造方法。
  5. 前記基材がポリウレタン樹脂又は再生樹脂を含み、
    前記ガス吸着剤が付与された前記基材を加熱加工する工程、を更に備える、請求項4に記載のガス吸着素材の製造方法。
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