JP2021088440A - 荷積降システム - Google Patents

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Abstract

【課題】荷の積降し作業を行う積降場に停車した様々な大きさや種類の搬送車両に対して、その荷の積降し位置を迅速に検知し、検知した前記位置を、荷役装置を備えた自律移動式無人搬送車に伝達する荷積降システムを提供する。【解決手段】搬送車両Vは、荷台4Aと車台4Bとを含む。積降場Aは、搬送車両Vを停車させる範囲である搬送車両停車域を有する。前記搬送車両停車域に搬送車両Vが停車しているときに、搬送車両Vの荷台4A又は車台4Bが備える矩形状部材Rを測定範囲に含み、前記測定範囲内に存在する対象との距離を測定して距離情報群を取得する距離情報群取得部2と、距離情報群取得部2で取得した前記距離情報群を基に、搬送車両Vに対して荷Wの積降し作業を行う積降実施位置情報を自律移動式無人搬送車1へ送信する地上側制御装置3とを備える。【選択図】図5

Description

本発明は、荷を積載して搬送する搬送車両が前記荷の積降し作業を行う積降場に停車した状態で、前記搬送車両に対して、荷役装置を備えた自律移動式無人搬送車により前記荷の積降し作業を行う荷積降システムに関する。
荷を積載して搬送する搬送車両の一例であるトラック車両を用いた物流において、パレット輸送に適したウィングボディ式のトラック車両が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。荷の積降し作業を行う積降場にウィングボディ式のトラック車両を停車させ、ウィングサイドパネル(特許文献1のウィングルーフ8)を上方に回動させて開くとともに、側あおり(特許文献1のあおり7)を下方へ回動させて開いた状態にすることにより、荷台の側面を大きく開放できる。
ウィングボディ式のトラック車両を用いることにより、大きく開放した荷台の側面側からフォークリフトがアクセス可能になることから、荷の積降し作業を効率的に行うことができる。このようなトラック車両に対する荷の積降し作業は、有人フォークリフトを用いて行うのが一般的である。
搬送車両の荷待ち時間を減らして生産性を向上するために、前記荷の積降し作業は、安全を確保した上で、より迅速に行うことが求められる。したがって、有人フォークリフトの走行及び荷役作業は、熟練した作業者によって行う必要がある。しかしながら、特に人手不足が深刻な物流業界では、熟練した作業者を確保することは極めて困難な状況にある。
そこで、人手不足の解消、労務費等の抑制、安全面の配慮、及び荷の積降し作業のさらなる効率化を企図して、前記積降場に停車しているウィングボディ式のトラック車両の側面に沿って移動可能な自動化設備(特許文献2では、走行レール3を介してトラック車両1の長手方向に移動可能な自動荷物積み込み装置本体2)を用いるものがある(例えば、特許文献2参照)。
一方、有人フォークリフトに替えて、荷役装置を備えた自律移動式無人搬送車(特許文献3では、無人搬送車12)を用いて荷の積降し作業を行う荷積降システムがある(例えば、特許文献3参照)。
特開2010−115937号公報 特開平08−244982号公報 特開2001−088906号公報
特許文献2のような自動化設備を用いた荷積降システムでは、荷の積降し作業を行う積降場に、走行レール3を介してトラックの長手方向に移動可能な自動荷物積み込み装置本体2等の大掛かりな設備を設置する必要がある。そのため、初期コスト及び保守コストが増大すること、小規模な積降場には不適であること、並びに前記積降場のレイアウト変更等にフレキシブルに対応できないこと、等の問題点がある。
特許文献3の無人搬送車12を用いた荷積降システムは、レーザナビゲータ42等の自律走行用の位置認識手段を用いて無人搬送車12を自律走行させるものである。無人搬送車12は、無人搬送車管理CPU8から入力された搬送指令に基づいて無人で作業を行う。したがって、このような荷役装置を備えた自律移動式無人搬送車を用いた荷積降システムは、人手不足の解消、及び労務費等の費用の抑制には繋がるものと考えられる。
しかしながら、特許文献3には、荷の積降し作業を行う積降場に停車した様々な大きさや種類の搬送車両に対して、その荷の積降し位置を検知して搬送指令を与える具体的な方法については何ら開示されていない。より迅速に行うことが求められる前記荷の積降し作業を、荷役装置を備えた自律移動式無人搬送車で行う場合、前記積降場に停車した様々な大きさや種類の搬送車両に対して、その荷の積降し位置を迅速に検知し、検知した前記位置を前記無人搬送車に伝達することが極めて重要である。
本発明は、荷の積降し作業を行う積降場に停車した様々な大きさや種類の搬送車両に対して、その荷の積降し位置を迅速に検知し、検知した前記位置を、荷役装置を備えた自律移動式無人搬送車に伝達する荷積降システムを提供することを目的とする。
本発明の要旨は以下のとおりである。
〔1〕
荷を積載して搬送する搬送車両が前記荷の積降し作業を行う積降場に停車した状態で、前記搬送車両に対して、荷役装置を備えた自律移動式無人搬送車により前記荷の積降し作業を行う荷積降システムであって、
前記搬送車両は、床板上に前記荷を載せる空間を有する荷台と、前記荷台を支持して走行する車台とを含み、
前記積降場は、前記搬送車両を停車させる範囲である搬送車両停車域を有し、
前記搬送車両停車域に前記搬送車両が停車しているときに、前記搬送車両の前記荷台又は前記車台が備える矩形状部材を測定範囲に含み、前記測定範囲内に存在する対象との距離を測定して距離情報群を取得する距離情報群取得部と、
前記距離情報群取得部で取得した前記距離情報群を基に、前記搬送車両に対して前記荷の積降し作業を行う積降実施位置情報を前記無人搬送車へ送信する地上側制御装置とを備え、
前記地上側制御装置は、
記憶部と、制御部と、地上側送受信部とを有し、
前記記憶部は、
少なくとも、前記積降場を含む環境地図と、前記環境地図上の前記距離情報群取得部による位置に関する情報である距離情報群取得部位置情報とを記憶し、
前記制御部は、
前記距離情報群取得部で取得した前記距離情報群から、前記矩形状部材との距離に関する矩形状部材距離情報を特定し、前記矩形状部材距離情報の上端部よりも上方であって、前記荷台の床板の上面から上方の距離情報に関する荷台内距離情報を推定して抽出する距離情報抽出部と、
前記距離情報群取得部位置情報及び前記荷台内距離情報から、前記環境地図における前記床板の上面から上方の位置に関する荷台内位置を算出する位置算出部と、
前記位置算出部により算出した前記荷台内位置を基に、前記搬送車両に対して前記荷の積降し作業を実施するための位置である積降実施位置を決定する積降実施位置決定部とを有し、
前記地上側送受信部は、
前記無人搬送車から送信された情報を受信するとともに、
前記積降実施位置決定部で決定した前記積降実施位置に関する情報である前記積降実施位置情報を前記無人搬送車へ送信する、荷積降システム。
〔2〕
前記荷は、パレット及び前記パレットに積載される積載物であり、
前記荷役装置は、前記パレットの差込口に挿入するフォーク、及び前記フォークを昇降させるマストを備える、〔1〕に記載の荷積降システム。
〔3〕
前記搬送車両毎に前記パレットの形状が略同一である、〔2〕に記載の荷積降システム。
〔4〕
形状が略同一である複数の前記パレットが、前記荷台の前記床板上で水平方向に整列した状態であり、
前記記憶部は、前記搬送車両毎に前記パレットの形状に係る情報であるパレット形状情報をさらに記憶し、
前記制御部の前記位置算出部は、前記パレット形状情報より、前記床板の上面から上方の位置における前記パレットの位置をさらに算出し、
前記制御部の前記積降実施位置決定部は、前記位置算出部により算出した前記パレットの位置と、前記距離情報抽出部により抽出した前記荷台内距離情報とを基に、前記積降実施位置を決定する、〔3〕に記載の荷積降システム。
〔5〕
前記距離情報群取得部は、所定時間毎に前記距離情報群を取得する、〔1〕〜〔4〕の何れかに記載の荷積降システム。
〔6〕
前記記憶部は、前記所定時間毎に取得される前記距離情報群に対応した複数の前記荷台内距離情報をさらに記憶し、
前記制御部は、最新の前記荷台内距離情報である最新荷台内距離情報と、それ以前の所定の時間間隔に取得された前記距離情報群に対応する前記記憶部に記憶される以前の前記荷台内距離情報とを比較し、前記距離情報の変化割合を算出する荷台内距離情報比較部とをさらに備え、
前記制御部の前記位置算出部は、前記荷台内距離情報比較部により算出した前記変化割合が所定の基準値を超えたときに、前記距離情報群取得部位置情報と前記最新荷台内距離情報とより、前記環境地図における前記荷台内位置を算出する、〔5〕に記載の荷積降システム。
〔7〕
荷を積載して搬送する搬送車両が前記荷の積降し作業を行う積降場に停車した状態で、前記搬送車両に対して、荷役装置を備えた自律移動式無人搬送車により前記荷の積降し作業を行う荷積降システムであって、
前記搬送車両は、床板上に前記荷を載せる空間を有する荷台と、前記荷台を支持して走行する車台とを含み、
前記積降場は、前記搬送車両を停車させる範囲である搬送車両停車域を有し、
前記搬送車両停車域に前記搬送車両が停車しているときに、前記搬送車両の前記荷台又は前記車台が備える矩形状部材を測定範囲に含み、前記測定範囲内に存在する対象との距離を測定して距離情報群を取得する距離情報群取得部と、
前記距離情報群取得部で取得した前記距離情報群を基に、前記搬送車両に対して前記荷の積降し作業を行う積降実施位置情報を前記無人搬送車へ送信する地上側制御装置とを備え、
前記地上側制御装置は、
記憶部と、制御部と、地上側送受信部とを有し、
前記記憶部は、
少なくとも、前記積降場を含む環境地図と、前記環境地図上の前記距離情報群取得部による位置に関する情報である距離情報群取得部位置情報とを記憶し、
前記制御部は、
前記距離情報群取得部で取得した前記距離情報群から、前記矩形状部材との距離に関する矩形状部材距離情報を抽出する距離情報抽出部と、
前記距離情報群取得部位置情報及び前記矩形状部材距離情報から、前記環境地図における前記荷台の床板の上面の位置を推定する位置推定部と、
前記位置推定部により推定した前記床板の上面の位置を基に、前記搬送車両に対して前記荷の積降し作業を実施するための位置である積降実施位置を決定する積降実施位置決定部とを有し、
前記地上側送受信部は、
前記無人搬送車から送信された情報を受信するとともに、
前記積降実施位置決定部で決定した前記積降実施位置に関する情報である前記積降実施位置情報を前記無人搬送車へ送信する、荷積降システム。
〔8〕
前記搬送車両は、トラック車両であり、
前記矩形状部材は、前記トラック車両における、下方へ回動させて開いた状態の側あおりである、〔1〕〜〔7〕の何れかに記載の荷積降システム。
〔9〕
前記無人搬送車は、前記荷の位置を検出するための荷位置検出部をさらに備える、〔1〕〜〔8〕の何れかに記載の荷積降システム。
〔10〕
前記積降実施位置情報は、前記環境地図における水平面の座標である、〔1〕〜〔9〕の何れかに記載の荷積降システム。
〔11〕
前記無人搬送車は、
前記環境地図における自己位置を推定する自己位置推定部と、
前記自己位置に関する情報である自己位置情報を送信し、前記積降実施位置情報を受信する無人搬送車側送受信部とを備え、
前記地上側制御装置の前記記憶部は、前記距離情報群取得部による測定範囲であって、前記環境地図上において前記測定範囲に相当する範囲に係る情報である測定範囲情報と、前記無人搬送車側送受信部より送信された前記自己位置情報とをさらに記憶し、
前記距離情報群取得部は、前記無人搬送車の前記自己位置が前記測定範囲内にないときに、前記距離情報群を取得する、〔1〕〜〔10〕の何れかに記載の荷積降システム。
本発明の主な作用効果は、以下のとおりである。
本発明に係る荷積降システムによれば、搬送車両が積降場に停車した状態で、距離情報群取得部により、搬送車両の荷台又は車台が備える矩形状部材を含む測定範囲内に存在する対象との距離を測定して距離情報群を取得する。前記矩形状部材は、様々な大きさや種類の搬送車両が備えているものであり、前記矩形状部材と、床板上に荷を載せる空間を有する荷台の前記床板との位置関係は定まっている。
そして、[1]の荷積降システムでは、
(1)距離情報群取得部で取得した距離情報群から特定した矩形状部材距離情報の上端部よりも上方であって、前記床板の上面から上方の距離情報に関する荷台内距離情報を推定して抽出する。
(2)環境地図上の前記距離情報群取得部による位置に関する情報である距離情報群取得部位置情報、及び前記荷台内距離情報から、前記環境地図における前記床板の上面から上方の位置に関する荷台内位置を算出する。
(3)前記荷台内位置を基に、搬送車両に対して荷の積降し作業を実施するための位置である積降実施位置を決定する。
(4)前記積降実施位置に関する情報である積降実施位置情報を自律移動式無人搬送車へ送信する。
また、[7]の荷積降システムでは、
(1)環境地図上の距離情報群取得部による位置に関する情報である距離情報群取得部位置情報、及び距離情報群取得部で取得した距離情報群から抽出した矩形状部材距離情報から、前記環境地図における前記床板の上面の位置を推定する。
(2)前記床板の上面の位置を基に、搬送車両に対して荷の積降し作業を実施するための位置である積降実施位置を決定する。
(3)前記積降実施位置に関する情報である積降実施位置情報を自律移動式無人搬送車へ送信する。
すなわち、荷の積降し作業を行う積降場に停車した様々な大きさや種類の搬送車両に対して、それらが荷台又は車台に備える矩形状部材を含む測定範囲内に存在する対象との距離を距離情報群取得部により取得し、前記矩形状部材との距離に関する矩形状部材距離情報を得た上で、前記矩形状部材距離情報を用いて、前記矩形状部材との位置関係が定まっている積降実施位置を決定する。よって、荷の積降し作業を行う積降場に停車した様々な大きさや種類の搬送車両に対して、その荷の積降し位置を迅速に検知し、検知した前記位置を、荷役装置を備えた自律移動式無人搬送車に伝達できる。
そして、荷役装置を備えた自律移動式無人搬送車が荷の積降し作業を行うので、人手不足を解消できるとともに、労務費等の費用を抑制できる。
その上、前記矩形状部材を含む測定範囲内に存在する対象との距離を測定して距離情報群を取得する距離情報群取得部を、積降場の適宜位置に、例えば天井等から吊下げ状に支持した状態とし、自律移動式無人搬送車の走行の邪魔にならないように設置すればよい。それにより、大掛かりな設備を設置しないことから初期コストや保守コストが増大することなく、積降場の規模の大小やレイアウト変更にもフレキシブルに対応できる。
その上さらに、搬送車両停車域内に搬送車両が停車していれば、搬送車両の停車位置が搬送車両停車域内で前後左右へずれていても、あるいは搬送車両が搬送車両停車域に対して斜めであったとしても、前記距離情報群取得部で所要の距離情報群を取得することができる。
本発明の実施の形態に係る荷積降システムにおける、積降場に位置する、荷役装置を備えた自律移動式無人搬送車、及び前記無人搬送車に積降実施位置情報を送信する地上側制御装置、並びに荷を積載して搬送する搬送車両の例を示す、右後方斜め上方から見た概略斜視図である。 前記自律移動式無人搬送車の斜視図である。 前記搬送車両の左側面図である。 前記搬送車両の背面図である。 前記搬送車両の右後方斜め上方から見た斜視図であり、右側のウィングサイドパネルを上方に回動させて開くとともに、側あおりを下方へ回動させて開いた状態を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係る荷積降システムにおける、積降場に設置した、測定範囲内に存在する対象との距離を測定して距離情報群を取得する距離情報群取得部の例を示す概略背面図である。 前記自律移動式無人搬送車、及び前記地上側制御装置の構成を示すブロック図である。 地上側制御装置の制御部の動作を示すフロー図である。 前記制御部の「距離情報抽出部による荷台内距離情報の抽出」の動作を示すフロー図である。 距離画像における矩形状部材を特定して2値化した画像の一部を示す図である。 前記制御部の「位置算出部による荷台内位置の算出」の動作を示すフロー図である。 前記制御部の「積降実施位置決定部による積降実施位置の決定」の動作を示すフロー図である。 前記制御部の「位置算出部による荷台内位置の算出」に加え、位置算出部がパレット位置を算出する例を示すフロー図である。 前記位置算出部がパレット位置を算出する例に基づく、前記制御部の「積降実施位置決定部による積降実施位置の決定」の動作の変形例を示すフロー図である。 距離情報群取得部が所定時間毎に前記距離情報群を取得する場合における動作を示すフロー図である。 地上側制御装置の制御部の動作の変形例を示すフロー図である。 前記制御部の「距離情報抽出部による矩形状部材距離情報の抽出」の動作を示すフロー図である。 前記制御部の「位置推定部による荷台内位置の推定」の動作を示すフロー図である。 前記制御部の「積降実施位置決定部による積降実施位置の決定」の動作を示すフロー図である。
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の実施形態において、搬送車両Vの前進方向を前、搬送車両Vの後進方向を後とし、前方に向かって左右を定義し、前方から見た図を正面図、後方から見た図を背面図とする。よって、右方から見た図が左側面図である。
<積降場>
図1の斜視図に示すように、荷Wの積降し作業を行う積降場Aは、平場であり、荷Wを積載して搬送する搬送車両Vを停車させる範囲である搬送車両停車域Bを有する。搬送車両停車域Bの広さは、積降場Aを使用する様々な大きさの搬送車両Vの平面視外形よりも大きく、前記平面視外形の最大のものに対しても余裕がある。搬送車両停車域B内に搬送車両Vが停車していれば、搬送車両Vの停車位置が搬送車両停車域B内で前後左右へずれていても、あるいは搬送車両Vが搬送車両停車域Bに対して斜めであったとしても、後述する距離情報群取得部で所要の距離情報群を取得することができる。
<自律移動式無人搬送車>
図1及び図2の斜視図に示す荷役装置Cを備えた自律移動式無人搬送車1は、例えば、JIS D 6801:2019の「無人搬送車システムに関する用語」で定義される「フォークリフト形」で「自律移動式」の無人搬送車である。
荷Wは、パレットP、及びパレットPに積載される積載物Qである。荷役装置Cは、パレットPの差込口10に挿入するフォークF、及びフォークFを昇降させるマストMを備える。
自律移動式無人搬送車1は、図6のブロック図のように、記憶部1A、制御部1B、及び無人搬送車側送受信部1Cを有する。また、無人搬送車1は、走行機能を有する走行部1D、環境地図における自己位置を推定する自己位置推定機能を有する自己位置推定部1E、荷役装置Cの駆動部1F、及び荷Wの位置を検出するための荷位置検出部1Gを備える。
自己位置推定部1Eが有する前記自己位置推定機能は、例えば、JIS D 6801:2019の「無人搬送車システムに関する用語」で定義される「レーザSLAM式」又は「画像SLAM式」である(「SLAM」は、Simultaneously Localization And Mappingの略)。すなわち、壁、柱などの表面までの距離を無人搬送車1上のレーザレンジファインダ又は距離計測可能なカメラで計測し、周囲の環境地図を作製するとともに環境地図上の自己位置を推定する。
無人搬送車側送受信部1Cは、前記自己位置に関する情報である自己位置情報を地上側制御装置3へ送信し、地上側制御装置3から後述する積降実施位置情報を受信する。
無人搬送車1は、自身の持つ前記走行機能及び前記自己位置推定機能などによって、ガイドレス環境の平場の積降場A内において、地上側制御装置3から受信した後述する積降実施位置情報に従って積降実施位置の近くまで自律走行する。そして、無人搬送車1が備える荷役装置Cにより、荷Wを積載して搬送する搬送車両Vに対する荷Wの積降し作業を行う。
無人搬送車1の荷役装置Cが備える荷位置検出部1Gは、荷Wに対して、近距離でより正確な位置検出を行うものである。無人搬送車1は、前記自律走行を行い、積降実施位置の近くまで迅速に移動する。その後、無人搬送車1は、荷Wの積降し作業を行う際に、荷位置検出部1Gにより検出したより正確な近距離位置情報に基づいて荷Wの積降し位置を修正しながら、荷Wの積降し作業を確実に行う。
<搬送車両>
図1の斜視図、図3Aの左側面図、図3Bの背面図及び図4の斜視図に示す搬送車両Vは、ウィングボディ式のトラック車両4である。トラック車両4は、床板5上に荷Wを載せる空間を有する荷台4A、荷台4Aを支持して走行する車台4B、及び運転席を含むキャブ4Cを備える。
図4の斜視図のようにトラック車両4のウィングサイドパネル6を上方に回動させて開くとともに、側あおり7を下方へ回動させて開くことにより、荷台4Aの側面が大きく開放した状態になる。荷台4Aは、リヤドア8を開くことにより背面も開放できる。
トラック車両4が搬送車両停車域B(図1)に停車し、無人搬送車1が荷Wの積降し作業を行う際には、前記のようにウィングサイドパネル6及び側あおり7を開き、荷台4Aの側面を大きく開放した状態にする。
<パレット>
図4の斜視図に示すように、搬送車両Vであるトラック車両4の荷台4A内のパレットPの形状を略同一にする(例えば、1100mm×1100mmの平パレットに統一する)のが好ましい実施態様である。それにより、搬送車両V毎でパレットPが共通しているため、対応する荷役装置Cを備えた自律移動式無人搬送車1で、当該搬送車両Vの全ての荷Wの積降しができる。
また、形状が略同一である複数のパレットPは、図4の斜視図に示すように、荷台4Aの床板5上で水平方向に整列した状態であるのが好ましい実施態様である。
<距離情報群取得部>
図5の背面図、及び図6のブロック図に示す距離情報群取得部2は、図7のフロー図における「距離情報群取得部による距離情報群の取得」(S1)を行う。
距離情報群取得部2は、図5に示すように、例えば、支持部材9により吊下げ状に支持された状態で積降場Aの適宜位置に設置される。距離情報群取得部2は、トラック車両4に対し、側面を大きく開放した状態の荷台4Aの側面に向かってレーザ光Lを照射し、測定範囲内に存在する対象との距離を測定して距離情報群を取得する。
距離情報群取得部2の測定範囲は、矩形状部材R(図1及び図4も参照)を含む。ここで、矩形状部材Rは、トラック車両4における、下方へ回動させて開いた状態の側あおり7である。距離情報群取得部2の測定範囲には、その中央下部に矩形状部材Rである側あおり7が位置する。
矩形状部材Rは側あおり7に限定されない。搬送車両Vが後あおりを備え、搬送車両Vの後方から無人搬送車1がアクセスする場合は、後あおりを矩形状部材Rとしてもよいし、車台4Bが備えるリヤバンパ等を矩形状部材Rとしてもよい。
距離情報群取得部2は、例えばLiDAR(Light Detection And Ranging)であり、レーザ光Lを、方向を変えながらパルス状に照射し、物体に反射されて返ってくるまでの時間から対象物までの距離、方向などを測定する。電波に比べて光束密度が高く、短い波長のレーザ光Lを利用することにより、高い精度で位置や形状などを検出できる。
距離情報群取得部2として、深度カメラ(RGB-depthカメラ)を用いることもできる。深度カメラにより、カラー画像(RGB画像)と深度画像(Depth画像)が得られる。
距離情報群取得部2で矩形状部材Rを検出し、外形が直線でありシンプルな形状の矩形状部材Rを面として認識することにより、矩形状部材Rを全体としてとらえて精度良く抽出できる。特に、矩形状部材Rを側あおり7とすることにより、側あおり7は面積が大きく、下方へ回動させて開いた状態の側あおり7の上端縁が荷台4Aの床板5の上面と面一になるので、床板5上に載置されている荷W群が認識しやすくなる。
<地上側制御装置>
図1の斜視図及び図5の背面図に示す地上側制御装置3は、図6のブロック図のように、記憶部3A、制御部3B、及び地上側送受信部3Cを有する。地上側制御装置3は、距離情報群取得部2で取得した距離情報群を基に、搬送車両Vであるトラック車両4に対して荷Wの積降し作業を行う積降実施位置に関する情報である積降実施位置情報を無人搬送車1へ送信する。
(記憶部)
地上側制御装置3の記憶部3A(図6)は、少なくとも、積降場A(図1、図5)を含む環境地図と、前記環境地図上の距離情報群取得部2による位置に関する情報である距離情報群取得部位置情報とを記憶する。
(制御部)
地上側制御装置3の制御部3B(図6)は、距離情報抽出部、位置算出部、及び積降実施位置決定部を有する。
図7のフロー図に示す「距離情報抽出部による荷台内距離情報の抽出」(S2)は、「距離情報群取得部による距離情報群の取得」(S1)で取得した前記距離情報群から、矩形状部材Rとの距離に関する矩形状部材距離情報を特定し、前記矩形状部材距離情報の上端部よりも上方であって、荷台4Aの床板5の上面から上方の距離情報に関する荷台内距離情報を推定して抽出する。
「距離情報抽出部による荷台内距離情報の抽出」(S2)の動作の詳細について、図8のフロー図により説明する。
前記距離情報群は3次元的な情報であり、画像化(2次元化)処理をして距離情報を取得する「距離情報群を距離画像化処理」(S21)を行う。
次に、取得した距離画像は、画素それぞれに距離情報を有しており、距離情報に係る遠近をグレースケールの濃淡に置き換えて表示させる「濃淡距離画像の取得」(S22)を行う。
次に、矩形状部材Rが存在する範囲を予め指定して、その指定された範囲から矩形状部材Rの距離情報を特定する。すなわち、矩形状部材Rが存在する範囲(前記濃淡距離画像における中央下部)から、設定した閾値(定数)を境界として、矩形状部材Rに係る部分を2値化する「濃淡距離画像を2値化処理」(S23)を行い、図9に示すような白黒画像を得る。
なお、矩形状部材Rの境界を閾値(定数)から割り出す方法ではなく、距離画像における隣接する画素同士を比較し、その変化量から矩形状部材Rの境界を推定する方法を用いてもよい。すなわち、距離画像において矩形状部材Rを表す画素同士は、隣接する画素間で距離情報の変化は小さい。一方、矩形状部材Rの端部では大きく変化する。このため、予め指定した範囲の距離画像において、横方向の隣接する画素を比較し、その変化量を見ることで、矩形状部材Rの境界を推定できる。
さらに、その変化量が、平面と予想される程度の閾値内にある隣接する画素において、所定の距離に亘って連続していることを、矩形状部材Rの距離情報を特定するための条件としてもよい。こうすることで、例えば、タイヤ等のように短い距離であってもある程度平らな面が続くような物を、誤って矩形状部材Rと特定することを抑制できる。このため、より高い精度で矩形状部材Rの距離情報の特定が可能となる。
次に、前記2値化により特定した範囲を参照して、前記濃淡距離画像における矩形状部材Rとの距離に関する矩形状部材距離情報を特定する「矩形状部材距離情報の特定」(S24)を行う。
距離情報群取得部2として深度カメラ(RGB-depthカメラ)を用いた場合は、深度画像(Depth画像)に対応するカラー画像(RGB画像)より、矩形状部材Rの色である例えばシルバーのRGB情報のみを抜き出すことにより、前記矩形状部材距離情報を特定することができる。
次に、前記矩形状部材距離情報の上端部よりも上方であって、荷台4Aの床板5の上面から上方の距離情報に関する荷台内距離情報を推定して抽出する「荷台内距離情報の抽出」(S25)を行う。
図7のフロー図に示す「位置算出部による荷台内位置の算出」(S3)は、図10のフロー図に示すように、記憶部3Aが記憶している環境地図上の距離情報群取得部2による位置に関する情報である「距離情報群取得部位置情報」(S31)、及び「荷台内距離情報の抽出」(S25)で抽出した「荷台内距離情報」(S32)から、前記環境地図における床板5の上面から上方の位置に関する荷台内位置を算出する(S33)。
図7のフロー図に示す「積降実施位置決定部による積降実施位置の決定」(S4)は、図11のフロー図に示すように、「位置算出部による荷台内位置の算出」(S3)により算出した「荷台内位置」(S41)を基に、搬送車両Vに対して荷Wの積降し作業を実施するための位置である積降実施位置を決定する「積降実施位置の決定」(S42)を行う。
(パレット位置の算出に基づく積降実施位置の決定)
本実施の形態のように、荷WがパレットP及び積載物Qである場合、パレットPの位置を算出して、前記積降実施位置を決定する。
その場合、地上側制御装置3の記憶部3A(図6)は、搬送車両V毎にパレットPの形状に係る情報であるパレット形状情報をさらに記憶する。
図7のフロー図に示す「位置算出部による荷台内位置の算出」(S3)は、図12のフロー図に示すように、記憶部3Aが記憶している環境地図上の距離情報群取得部2による位置に関する情報である「距離情報群取得部位置情報」(S31)、及び「荷台内距離情報の抽出」(S25)で抽出した「荷台内距離情報」(S32)から、前記環境地図における床板5の上面から上方の位置に関する荷台内位置を算出する。その上、記憶部3Aが記憶している「パレット形状情報」(S34)より、床板5の上面から上方の位置におけるパレットPの位置をさらに算出する「パレット位置の算出」(S35)を行う。
図7のフロー図に示す「積降実施位置決定部による積降実施位置の決定」(S4)は、図13のフロー図に示すように、「位置算出部による荷台内位置の算出」(S3)により算出した「パレット位置」(S43)と、「距離情報抽出部による荷台内距離情報の抽出」(S2)により抽出した「荷台内距離情報」(S44)とを基に、搬送車両Vに対して荷Wの積降し作業を実施するための位置である積降実施位置を決定する「積降実施位置の決定」(S45)を行う。
例えば、パレット位置の算出に基づく積降実施位置の決定は、以下のように行われる。
(1)「荷台内距離情報の抽出」(S25)で抽出した荷台内距離情報から、荷台4A内の荷W群の左右端を検出する。
(2)パレットPが1100mm×1100mmの平パレットである場合、荷W群の前端又は後端から前後方向内方へ550mm進んだ点Gを取得する。
(3)距離情報群取得部2から点Gまでの距離及び点Gの角度を取得する。
(4)取得した前記距離および前記角度より、距離情報群取得部2の位置からの環境地図における点Gの座標(x,y)を算出し、積降実施位置とする。
(地上側送受信部)
地上側制御装置3の地上側送受信部3C(図6)は、無人搬送車1から送信された情報を受信するとともに、「積降実施位置の決定」(S42又はS45)で決定した前記積降実施位置に関する情報である前記積降実施位置情報を無人搬送車1へ送信する。
前記積降実施位置情報を、前記環境地図における水平面の座標(例えば、前記点Gの座標(x、y))とすることにより、前記積降実施位置を決定する処理を簡素化できるので、処理時間を短縮できる。
前記積降実施位置情報と併せて、荷Wの高さ情報(Z座標の値)も無人搬送車1へ送信してもよい。そして、無人搬送車1は、前記高さ情報を参考にして、積載物Qを保持するパレットPのフォークFの差込口10を検出するために、例えばフォークFの先端部に設けた検出センサ(図6のブロック図における荷役装置Cが備える荷位置検出部1Gに相当)による走査開始位置を定めてもよい。
これは、パレットP及び積載物Qからなる荷Wが、荷台4Aに多段に積まれているような場合に特に有効である。
すなわち、より上段にある荷Wを無人搬送車1のフォークFで掬うことを考える場合、まずは多段に積まれた荷Wの最上端の高さを、無人搬送車1のフォークFの前記検出センサで検出する必要がある。予め、多段に積まれた荷Wの最上端の高さが分からない状態であると、前記最上端の高さを検出するため、ある程度低い位置、すなわち、多段に積まれた荷Wの下方より上方に向けて、前記検出センサを走査させることになる。そして、荷Wの最上端まで走査させた後、改めて、前記最上端から、最上段の荷WのパレットPの差込口10までフォークFを移動させることになる。
これに対し、予め、多段に積まれた荷Wの最上端の高さが分かっている状態であれば、前記最上端の高さの近傍より前記検出センサを走査させることで、一番最初に検出できたパレットPの差込口10が、最上段の荷WのパレットPの差込口10であることが分かる。それにより、すぐさま最上段の荷WをフォークFで掬うことができる。このように、フォークFの先端部に設けた検出センサによる走査を簡略化できるので、荷Wの積降し作業の効率をより向上できる。
(距離情報群取得部が所定時間毎に距離情報群を取得する例)
距離情報群取得部2(図5、図6)が所定時間毎に距離情報群を取得する場合における動作を図14のフロー図に示す。S1ないしS5の動作は、図7と同様である。
タイマtの計時を開始し(T1)、所定時間Tを超えたか否かを判定する(T2)。
タイマtが所定時間Tを超えたと判定された場合、「距離情報群取得部による距離情報群の取得」(S1)を行った後、タイマtをリセットする(T3)。
次に、「距離情報抽出部による荷台内距離情報の抽出」(S2)を行い、抽出した荷台内距離情報と、記憶部3Aが記憶している以前の荷台内距離情報とを比較する「荷台内距離情報比較部による荷台内距離情報の変化割合の算出」(T4)を行う。
次に、「荷台内距離情報比較部による荷台内距離情報の変化割合の算出」(T4)により算出された変化割合が基準値を超えたか否かを判定する(T5)。
前記変化割合が基準値を超えたと判定された場合、最新の荷台内距離情報を基に荷台内位置を算出し(S3)、「積降実施位置決定部による積降実施位置の決定」(S4)、「積降実施位置情報の送信」(S5)を行う。
このような動作を行う場合、地上側制御装置3の記憶部3A(図6)は、前記所定時間毎に取得される前記距離情報群に対応した複数の前記荷台内距離情報を記憶する。
地上側制御装置3の制御部3B(図6)は、前記荷台内距離情報比較部を備え、前記荷台内距離情報比較部は、最新の前記荷台内距離情報である最新荷台内距離情報と、それ以前の所定の時間間隔に取得された前記距離情報群に対応する記憶部3Aに記憶される以前の前記荷台内距離情報とを比較し、前記距離情報の変化割合を算出する。
地上側制御装置3の制御部3Bが備える前記位置算出部は、前記荷台内距離情報比較部により算出した前記変化割合が所定の基準値を超えたときに、前記距離情報群取得部位置情報と前記最新荷台内距離情報とより、前記環境地図における前記荷台内位置を算出する。
このような構成によれば、距離情報群取得手段2が、所定時間毎に距離情報群を取得して荷台内距離情報を抽出するので、荷台内距離情報の所定時間毎の変化を認識できる。そうすると、荷役装置Cを備えた自律移動式無人搬送車1に対して、荷台4A内の荷W群の状況に応じた積降実施位置情報を送信することが可能となる。このため、荷台4A内の荷Wの状況に応じた積降し作業ができるようになり、積降し作業の効率が向上する。
その上、所定時間毎に得られた荷台内距離情報から、荷台内距離情報の変化割合を得ることにより、例えば、測定誤差のような軽微な変化を無視することができる。そうすると、より正確な荷台4A内の荷W群の状況を把握できるため、無人搬送車1のよる積降し作業の効率を向上できる。
<地上側制御装置の制御部の動作の変形例>
地上側制御装置3の制御部3B(図6)は、距離情報抽出部、位置推定部、及び積降実施位置決定部を有する。
図15のフロー図に示す「距離情報群取得部による距離情報群の取得」(S6)の動作は、図7のフロー図の「距離情報群取得部による距離情報群の取得」(S1)と同様である。
図15のフロー図に示す「距離情報抽出部による矩形状部材距離情報の抽出」(S7)は、「距離情報群取得部による距離情報群の取得」(S6)で取得した前記距離情報群から、矩形状部材Rとの距離に関する矩形状部材距離情報を抽出する。
「距離情報抽出部による矩形状部材距離情報の抽出」(S7)の動作の詳細について、図16のフロー図により説明する。
前記距離情報群は3次元的な情報であり、画像化(2次元化)処理をして距離情報を取得する「距離情報群を距離画像化処理」(S71)を行う。
次に、取得した距離画像は、画素それぞれに距離情報を有しており、距離情報に係る遠近をグレースケールの濃淡に置き換えて表示させる「濃淡距離画像の取得」(S72)を行う。
次に、矩形状部材Rが存在する範囲を予め指定して、その指定された範囲から矩形状部材Rの距離情報を特定する。すなわち、矩形状部材Rが存在する範囲(前記濃淡距離画像における中央下部)から、設定した閾値(定数)を境界として、矩形状部材Rに係る部分を2値化する「濃淡距離画像を2値化処理」(S73)を行い、図9に示すような白黒画像を得る。
なお、矩形状部材Rの境界を閾値(定数)から割り出す方法ではなく、距離画像における隣接する画素同士を比較し、その変化量から矩形状部材Rの境界を推定する方法を用いてもよい。すなわち、距離画像において矩形状部材Rを表す画素同士は、隣接する画素間で距離情報の変化は小さい。一方、矩形状部材Rの端部では大きく変化する。このため、予め指定した範囲の距離画像において、横方向の隣接する画素を比較し、その変化量を見ることで、矩形状部材Rの境界を推定できる。
次に、前記2値化により特定した範囲を参照して、前記濃淡距離画像における矩形状部材Rとの距離に関する矩形状部材距離情報を抽出する「矩形状部材距離情報の抽出」(S74)を行う。
図15のフロー図に示す「位置推定部による床板の上面の位置推定」(S8)は、図17のフロー図に示すように、記憶部3Aが記憶している環境地図上の距離情報群取得部2による位置に関する情報である「距離情報群取得部位置情報」(S81)、及び「矩形状部材距離情報の抽出」(S74)で抽出した「矩形状部材距離情報」(S82)から、前記環境地図における床板5の上面の位置を推定する(S83)。
図15のフロー図に示す「積降実施位置決定部による積降実施位置の決定」(S9)は、図18のフロー図に示すように、「位置推定部による床板の上面の位置推定」(S8)により算出した「床板上面の位置」(S91)を基に、搬送車両Vに対して荷Wの積降し作業を実施するための位置である積降実施位置を決定する「積降実施位置の決定」(S92)を行う。
地上側制御装置3の地上側送受信部3C(図6)は、「積降実施位置の決定」(S92)で決定した前記積降実施位置に関する情報である前記積降実施位置情報を無人搬送車1へ送信する。
<距離情報群取得部による距離情報群の取得の変形例>
図6のブロック図における地上側制御装置3の記憶部3Aは、距離情報群取得部2による測定範囲であって、前記環境地図上において前記測定範囲に相当する範囲に係る情報である測定範囲情報と、無人搬送車側送受信部1Cより送信された前記自己位置情報とをさらに記憶する。そして、距離情報群取得部2は、無人搬送車1の前記自己位置が前記測定範囲内にないときに、前記距離情報群を取得する。それにより、距離情報群取得部2の測定範囲内に無人搬送車1がいないタイミングで、距離情報群を取得できるので、正確な距離情報群を取得できるようになる。
以上のような本発明の実施の形態に係る荷積降システムによれば、搬送車両Vが積降場Aに停車した状態で、距離情報群取得部2により、搬送車両Vの荷台4A又は車台4Bが備える矩形状部材Rを含む測定範囲内に存在する対象との距離を測定して距離情報群を取得する。矩形状部材Rは、様々な大きさや種類の搬送車両が備えているものであり、矩形状部材Rと、床板5上に荷Wを載せる空間を有する荷台4Aの床板5との位置関係は定まっている。
積降場Aに停車した様々な大きさや種類の搬送車両Vに対して、それらが荷台4A又は車台4Bに備える矩形状部材Rを含む測定範囲内に存在する対象との距離を距離情報群取得部2により取得し、矩形状部材Rとの距離に関する矩形状部材距離情報を得た上で、前記矩形状部材距離情報を用いて、矩形状部材Rとの位置関係が定まっている積降実施位置を決定する。よって、荷Wの積降し作業を行う積降場Aに停車した様々な大きさや種類の搬送車両Vに対して、その荷Wの積降し位置を迅速に検知し、検知した前記位置を、荷役装置Cを備えた自律移動式無人搬送車1に伝達できる。
そして、荷役装置Cを備えた自律移動式無人搬送車1が荷Wの積降し作業を行うので、人手不足を解消できるとともに、労務費等の費用を抑制できる。
その上、矩形状部材Rを含む測定範囲内に存在する対象との距離を測定して距離情報群を取得する距離情報群取得部2を、積降場Aの適宜位置に、例えば天井等から吊下げ状に支持した状態とし、自律移動式無人搬送車1の走行の邪魔にならないように設置すればよい。それにより、大掛かりな設備を設置しないことから初期コストや保守コストが増大することなく、積降場Aの規模の大小やレイアウト変更にもフレキシブルに対応できる。
その上さらに、搬送車両停車域B内に搬送車両Vが停車していれば、搬送車両Vの停車位置が搬送車両停車域B内で前後左右へずれていても、あるいは搬送車両Vが搬送車両停車域Bに対して斜めであったとしても、距離情報群取得部2で所要の距離情報群を取得することができる。
以上の実施の形態の記載はすべて例示であり、これに制限されるものではない。本発明の範囲から逸脱することなく種々の改良及び変更を施すことができる。
1 自律式無人搬送車
1A 記憶部
1B 制御部
1C 無人搬送車側送受信部
1D 走行部
1E 自己位置検出部
1F 駆動部
1G 荷位置検出部
2 距離情報群取得部
3 地上側制御装置
3A 記憶部
3B 制御部
3C 地上側送受信部
4 ウィングボディ式のトラック車両
4A 荷台
4B 車台
4C キャブ
5 床板
6 ウィングサイドパネル
7 側あおり
8 リヤドア
9 支持部材
10 差込口
A 積降場
B 搬送車両停車域
C 荷役装置
F フォーク
L レーザ光
M マスト
P パレット
Q 積載物
R 矩形状部材
V 搬送車両
W 荷

Claims (11)

  1. 荷を積載して搬送する搬送車両が前記荷の積降し作業を行う積降場に停車した状態で、前記搬送車両に対して、荷役装置を備えた自律移動式無人搬送車により前記荷の積降し作業を行う荷積降システムであって、
    前記搬送車両は、床板上に前記荷を載せる空間を有する荷台と、前記荷台を支持して走行する車台とを含み、
    前記積降場は、前記搬送車両を停車させる範囲である搬送車両停車域を有し、
    前記搬送車両停車域に前記搬送車両が停車しているときに、前記搬送車両の前記荷台又は前記車台が備える矩形状部材を測定範囲に含み、前記測定範囲内に存在する対象との距離を測定して距離情報群を取得する距離情報群取得部と、
    前記距離情報群取得部で取得した前記距離情報群を基に、前記搬送車両に対して前記荷の積降し作業を行う積降実施位置情報を前記無人搬送車へ送信する地上側制御装置とを備え、
    前記地上側制御装置は、
    記憶部と、制御部と、地上側送受信部とを有し、
    前記記憶部は、
    少なくとも、前記積降場を含む環境地図と、前記環境地図上の前記距離情報群取得部による位置に関する情報である距離情報群取得部位置情報とを記憶し、
    前記制御部は、
    前記距離情報群取得部で取得した前記距離情報群から、前記矩形状部材との距離に関する矩形状部材距離情報を特定し、前記矩形状部材距離情報の上端部よりも上方であって、前記荷台の床板の上面から上方の距離情報に関する荷台内距離情報を推定して抽出する距離情報抽出部と、
    前記距離情報群取得部位置情報及び前記荷台内距離情報から、前記環境地図における前記床板の上面から上方の位置に関する荷台内位置を算出する位置算出部と、
    前記位置算出部により算出した前記荷台内位置を基に、前記搬送車両に対して前記荷の積降し作業を実施するための位置である積降実施位置を決定する積降実施位置決定部とを有し、
    前記地上側送受信部は、
    前記無人搬送車から送信された情報を受信するとともに、
    前記積降実施位置決定部で決定した前記積降実施位置に関する情報である前記積降実施位置情報を前記無人搬送車へ送信する、
    荷積降システム。
  2. 前記荷は、パレット及び前記パレットに積載される積載物であり、
    前記荷役装置は、前記パレットの差込口に挿入するフォーク、及び前記フォークを昇降させるマストを備える、
    請求項1に記載の荷積降システム。
  3. 前記搬送車両毎に前記パレットの形状が略同一である、
    請求項2に記載の荷積降システム。
  4. 形状が略同一である複数の前記パレットが、前記荷台の前記床板上で水平方向に整列した状態であり、
    前記記憶部は、前記搬送車両毎に前記パレットの形状に係る情報であるパレット形状情報をさらに記憶し、
    前記制御部の前記位置算出部は、前記パレット形状情報より、前記床板の上面から上方の位置における前記パレットの位置をさらに算出し、
    前記制御部の前記積降実施位置決定部は、前記位置算出部により算出した前記パレットの位置と、前記距離情報抽出部により抽出した前記荷台内距離情報とを基に、前記積降実施位置を決定する、
    請求項3に記載の荷積降システム。
  5. 前記距離情報群取得部は、所定時間毎に前記距離情報群を取得する、
    請求項1〜4の何れか1項に記載の荷積降システム。
  6. 前記記憶部は、前記所定時間毎に取得される前記距離情報群に対応した複数の前記荷台内距離情報をさらに記憶し、
    前記制御部は、最新の前記荷台内距離情報である最新荷台内距離情報と、それ以前の所定の時間間隔に取得された前記距離情報群に対応する前記記憶部に記憶される以前の前記荷台内距離情報とを比較し、前記距離情報の変化割合を算出する荷台内距離情報比較部とをさらに備え、
    前記制御部の前記位置算出部は、前記荷台内距離情報比較部により算出した前記変化割合が所定の基準値を超えたときに、前記距離情報群取得部位置情報と前記最新荷台内距離情報とより、前記環境地図における前記荷台内位置を算出する、
    請求項5に記載の荷積降システム。
  7. 荷を積載して搬送する搬送車両が前記荷の積降し作業を行う積降場に停車した状態で、前記搬送車両に対して、荷役装置を備えた自律移動式無人搬送車により前記荷の積降し作業を行う荷積降システムであって、
    前記搬送車両は、床板上に前記荷を載せる空間を有する荷台と、前記荷台を支持して走行する車台とを含み、
    前記積降場は、前記搬送車両を停車させる範囲である搬送車両停車域を有し、
    前記搬送車両停車域に前記搬送車両が停車しているときに、前記搬送車両の前記荷台又は前記車台が備える矩形状部材を測定範囲に含み、前記測定範囲内に存在する対象との距離を測定して距離情報群を取得する距離情報群取得部と、
    前記距離情報群取得部で取得した前記距離情報群を基に、前記搬送車両に対して前記荷の積降し作業を行う積降実施位置情報を前記無人搬送車へ送信する地上側制御装置とを備え、
    前記地上側制御装置は、
    記憶部と、制御部と、地上側送受信部とを有し、
    前記記憶部は、
    少なくとも、前記積降場を含む環境地図と、前記環境地図上の前記距離情報群取得部による位置に関する情報である距離情報群取得部位置情報とを記憶し、
    前記制御部は、
    前記距離情報群取得部で取得した前記距離情報群から、前記矩形状部材との距離に関する矩形状部材距離情報を抽出する距離情報抽出部と、
    前記距離情報群取得部位置情報及び前記矩形状部材距離情報から、前記環境地図における前記荷台の床板の上面の位置を推定する位置推定部と、
    前記位置推定部により推定した前記床板の上面の位置を基に、前記搬送車両に対して前記荷の積降し作業を実施するための位置である積降実施位置を決定する積降実施位置決定部とを有し、
    前記地上側送受信部は、
    前記無人搬送車から送信された情報を受信するとともに、
    前記積降実施位置決定部で決定した前記積降実施位置に関する情報である前記積降実施位置情報を前記無人搬送車へ送信する、
    荷積降システム。
  8. 前記搬送車両は、トラック車両であり、
    前記矩形状部材は、前記トラック車両における、下方へ回動させて開いた状態の側あおりである、
    請求項1〜7の何れか1項に記載の荷積降システム。
  9. 前記無人搬送車は、前記荷の位置を検出するための荷位置検出部をさらに備える、
    請求項1〜8の何れか1項に記載の荷積降システム。
  10. 前記積降実施位置情報は、前記環境地図における水平面の座標である、
    請求項1〜9の何れか1項に記載の荷積降システム。
  11. 前記無人搬送車は、
    前記環境地図における自己位置を推定する自己位置推定部と、
    前記自己位置に関する情報である自己位置情報を送信し、前記積降実施位置情報を受信する無人搬送車側送受信部とを備え、
    前記地上側制御装置の前記記憶部は、前記距離情報群取得部による測定範囲であって、前記環境地図上において前記測定範囲に相当する範囲に係る情報である測定範囲情報と、前記無人搬送車側送受信部より送信された前記自己位置情報とをさらに記憶し、
    前記距離情報群取得部は、前記無人搬送車の前記自己位置が前記測定範囲内にないときに、前記距離情報群を取得する、
    請求項1〜10の何れか1項に記載の荷積降システム。
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