以下に添付図面を参照して、識別部材、自律移動装置、連結システムおよび連結方法の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、実施形態の自律移動装置である自走ロボット1と連結対象であるカゴ台車2との説明図である。
本実施形態は、搬送対象物であるカゴ台車2のような被牽引台車に自動で接続して、牽引することで所望の搬送先へ自動搬送する自走ロボット1のような自律移動装置と、この自走ロボット1を用いた連結システムに関する実施形態である。
自走ロボット1は、搬送物を積載するカゴ台車2に自動で連結する機能を持った自律移動装置である。これにより、自走ロボット1には積載が可能な構成を持たせることなく、簡易な移動装置によってカゴ台車2を牽引させることで、カゴ台車2に積載された多数の搬送物を搬送させることができる。
自走ロボット1は、装置本体であるロボット本体部100、磁気センサ3、コントローラ4、カメラ5、電力源(バッテリー)6、動力モータ7、モータドライバ8、測域センサ9、連結装置10、駆動車輪71及び従動車輪72等を備える。
磁気センサ3及び測域センサ9は、自走ロボット1の周辺環境を認識する環境認識手段である。
自走ロボット1は、搬送対象物であるカゴ台車2と連結する連結装置10に、カゴ台車2に引っ掛けて接続するための連結爪10aを備えている。連結爪10aは、所定の間隔で一対のフックを備えている。
本実施形態の搬送システムでは、自走ロボット1の走行可能な経路の床面に磁気テープを設置し、磁気センサ3を用いて磁気テープを検出することにより自走ロボット1が走行可能な経路上に位置していることを認識することができる。床面にテープを設置する誘導方式としては、磁気テープを用いる構成に限らず、光学テープを用いる構成としてもよい。光学テープを用いる場合は、磁気センサ3の代わりに反射センサやイメージセンサなどが利用できる。
また、本実施形態の搬送システムでは、二次元あるいは三次元地図と測域センサ9の検出結果との照合によって自己位置を認識する自律走行を行うことができる。測域センサ9は物体にレーザ光を照射してその反射光から物体までの距離を測定するレーザ測域センサである。検出結果と二次元あるいは三次元地図との照合によって自己位置の認識に用いるセンサとしては、ステレオカメラやデプスカメラなども利用できる。
自走ロボット1は、磁気センサ3や測域センサ9の検出結果に基づいてコントローラ4がモータドライバ8を介して動力モータ7の駆動を制御し、動力モータ7が駆動車輪71を回動駆動することで自走ロボット1が自律走行を行う。
所定の場所に置かれるカゴ台車2は、箱形状のカゴ部20を備える。カゴ部20は、帯状の縦フレーム20aと当該縦フレーム20aに交差する帯状の横フレーム20bとで構成されている。また、カゴ台車2は、カゴ部20を保持する底板22と、四角形状の底板22の四隅に配置されたキャスター23と、を備える。
また、カゴ台車2の下部フレーム24は、自走ロボット1の連結装置10に設けられた連結爪10aとの連結対象となる。
さらに、カゴ台車2は、カゴ部20の正面の略中央部に、自走ロボット1がカゴ台車2と連結する際に用いる識別部材であるIDパネル21を配設する。より詳細には、IDパネル21は、自走ロボット1の測域センサ9に対して対向する位置に配置される(図1参照)。IDパネル21は、カゴ台車2に着脱可能である。
IDパネル21は、認識用のマーカーが表示された識別標識であり、カゴ台車2の識別番号情報、搬送先情報、搬送の優先度情報などの搬送に関する情報もしくはテーブル参照によって認識できるID情報を読み取れるようになっている。認識用のマーカーのIDの表示方法は、一般的なバーコードやQRコード(登録商標)を用いることができる。また、IDとしてカラーコードや、濃淡バーコードによって単位面積当たりの情報量を増やすことで、より遠くから認識できるようになる。
本実施形態のIDパネル21においては、バーコードを、再帰反射テープを用いて形成している。すなわち、本実施形態のIDパネル21においては、再帰反射テープを用いて形成したバーコードが、「搬送に関する情報を示す領域」である。
ここで、図2はIDパネル21の取り付け構造を例示的に示す図である。図2(a)は、クランプを用いた取付例であり、図2(b)は、IDパネル21に設けた開口部または溝をガイドとする取付例である。
まず、クランプを用いた取付例について説明する。図2(a)に示すように、例えば、IDパネル21は、背面(装着面)にクランプ31を4つ設ける。クランプ31は、例えばプラスチック製のスプリングクリップである。4つのクランプ31は、カゴ部20の縦フレーム20aや横フレーム20bにそれぞれ挿し込まれる。これにより、IDパネル21は、カゴ台車2のカゴ部20の所定の位置に作業者によって取り付けられる。
次に、IDパネル21に設けた開口部または溝をガイドとした取付例について説明する。図2(b)に示すように、例えば、IDパネル21は、背面(装着面)に開口部または溝で形成されたガイド32を備える。ガイド32は、カゴ部20の縦フレーム20aや横フレーム20bに挿し込まれる。これにより、IDパネル21は、カゴ台車2のカゴ部20の所定の位置に作業者によって取り付けられる。
自走ロボット1には、マーカー読取装置が設置されている。マーカー読取装置はID認識手段であるカメラ5と復号部とからなる。本実施形態ではコントローラ4が復号部としての機能を有する。カメラ5の撮影画像からマーカーの特徴の画像認識によってマーカーのコードを認識する。復号部では認識したマーカーのコード情報をデコードすることで、カゴ台車2の認識番号情報、搬送先情報、優先度情報などの搬送に関する情報を得る。
本実施形態では、カゴ台車2に設置されたマーカーがバーコードやQRコードの場合は、ID認識手段としてコードリーダが使用できる。なお、マーカーがカラーコードの場合は、カメラ5を用いて読み取ることができる。また、マーカーが濃淡バーコードの場合は、レーザ測域センサの反射強度情報をIDコードに用いることができる。
自走ロボット1は、環境認識手段として、周辺環境との距離を取得するレーザレンジファインダ(LRF)等の測域センサ9を備える。コントローラ4は、測域センサ9によって位置を認識したIDパネル21と測域センサ9との距離情報からIDパネル21の位置座標を算出する。算出したIDパネル21の位置座標を用いて、コントローラ4が動力モータ7の駆動制御を行うことで、自走ロボット1をカゴ台車2におけるIDパネル21正面の所定の位置に位置決めする。
カゴ台車2との連結動作を制御するために、カゴ台車2に設置されたIDパネル21の位置を認識するIDパネル位置認識手段としては、ID認識手段でIDパネル21の位置も読み取れる場合には兼用することが出来る。例えば、IDパネル21のマーカーのIDとして濃淡バーコードをID認識手段としてレーザ測域センサで読み取る場合は、レーザ測域センサによってIDパネル21の位置を検出しながらIDパネル21のIDを読み取ることができる。また、マーカーのIDとしてカラーコードを用いる場合もカメラ5で、IDパネル21の位置を検出しながらIDパネル21のIDを読み取ることができる。
また、濃淡バーコードは、レーザレンジファインダによる検知が可能であり、レーザレンジファインダは、高精度なIDパネル21の位置検出手段及び自律走行のための環境認識センサとしても使用できる。
次に、IDパネル21について詳述する。
自走ロボット1がカゴ台車2を連結するために、自走ロボット1は、カゴ台車2と自走ロボット1との距離と角度を検出して、カゴ台車2に向かって走行を行う必要がある。しかしながら、測域センサ9でカゴ台車2の形状を認識する場合、カゴ台車2の積載状況により認識すべき形状が変化することから、カゴ台車2との距離と角度を正確に検出することは難しい。そこで、本実施形態においては、カゴ台車2にIDパネル21を装着して、自走ロボット1に搭載した測域センサ9でIDパネル21を検出する。
ここで、識別部材であるIDパネル21を技術的に説明する。IDパネル21はレーザレンジファインダ(LRF)等の電磁波等を用いた検出装置により、検出対象の検出や識別を行うための識別部材である。電磁波等で検出するために、電磁波等が検出する検出面(例えば、IDパネル21の表面)を幾何学的に第一の方向において少なくとも3つの領域に分割し、分割された複数の領域において、少なくとも隣り合う領域の電磁波等に対する反射率が異なるように設定されている。
この第一の方向は、検出装置による走査方向と平行する方向である。図3に示すIDパネル21の例では、紙面横方向(水平方向)において領域が分割されており、検出装置の走査方向は紙面横方向(水平方向)となる。
そして、検出装置は、電磁波等を照射した際の反射信号の強度の違いを利用して特定のパターン(信号)を検出することで、検出対象の検出や識別を行う。
図3は、IDパネル21の例を示す図である。図3に示すように、本実施の形態においては、例えばA4サイズの厚紙のような板状部材を識別部材であるIDパネル21とする。該板状部材の表面21Aに対して、該板状部材の表面21Aの両端やその間に、再帰反射テープ21Bを貼ることにより、IDを表示するマーカーを形成する。また、板状部材の表面21Aと再帰反射テープ21Bにより、検出面21Cを構成する。
板状部材の表面21Aと再帰反射テープ21Bとは電磁波等に対する反射率が異なるので、このように構成することで、上記した電磁波等が検出する検出面を幾何学的に第一の方向において少なくとも3つの領域a,b,cに分割し、分割された複数の領域a,b,cにおいて、少なくとも隣り合う領域の電磁波等に対する反射率が異なるように設定することを実現する。
図3(a)に示すように、分割された少なくとも3つの領域は、第一の方向における検出面21Cの一端側から他端側に向かって、第一領域aである再帰反射テープ21B、「搬送に関する情報を示す領域」となる第二領域bである板状部材の表面21A、第三領域cである再帰反射テープ21Bであり、第一領域aの反射率と第二領域bの反射率は異なり、第三領域cの反射率と第二領域bの反射率は異なるように構成される。
ここで、第一領域aと第三領域cとに異なる反射率の再帰反射テープ21Bを貼ることで、第一領域aの反射率と、第二領域bの反射率と、第三領域cの反射率と、を異ならせることを実現できる。また、第一領域aと第三領域cとに同じ反射率の再帰反射テープ21Bを貼ることで、第一領域aの反射率と第三領域cの反射率とが等しくなるように構成してもよい。
また、第一領域aの反射率と第三領域cとは、第二領域bの反射率よりも高い必要はなく、第一領域aの反射率と第三領域cとの少なくとも一方が、第二領域bの反射率より低くてもよい。
また、識別部材であるIDパネル21は、一つの板状部材で構成されなくてもよく、例えば2つの板状部材を並べることで検出面21Cを構成してもよい。
第1のセンサである測域センサ9により、第一領域aで反射された第一受光量と、第二領域bで反射された第二受光量と、及び第三領域cで反射された第三受光量と、測域センサ9から第一領域aまでの第一距離と、測域センサ9から第二領域bまでの第二距離と、測域センサ9から第三領域cまでの第三距離と、が検出される。
詳細は後述するが、IDパネル21は、第一受光量と、第二受光量と、第三受光量と、第一距離と、第二距離と、第三距離と、に基づいて識別される。
IDパネル21の両端の再帰反射テープ21Bは、スタートビットおよびストップビットを表すものであり、認識領域を規定する。このスタートビットおよびストップビットを表す両端の再帰反射テープ21Bの間に貼られたパターンを構成する再帰反射テープ21Bの位置に応じて、IDパネル21が保有する情報(カゴ台車2の認識番号情報、搬送先情報、優先度情報)が表される。なお、パターンを構成する再帰反射テープ21Bは、検出面21Cの基板部材21Aの両端に配置された2つの再帰反射テープ21Bに比べて、水平方向の長さが短く(すなわち、細く)なっていてもよい。すなわち、第二領域bに配置される再帰反射テープ21Bは、情報を有するパターンである。
図3に示したIDパネル21の例では、板状部材の表面21Aに対して再帰反射テープ21Bを貼ることで、IDパネル21の表面である検出面を矩形形状の領域に分割しているが、分割される領域の形状は矩形に限定されるものではなく、幾何学的な形状であればよい。なお、この図3に示したIDパネル21の例は、再帰反射テープ21Bを貼っているので、簡単で安価に識別部材を製造することが可能となる。
測域センサ9から照射されたレーザは、検出面21Cを構成するIDパネル21の再帰反射テープ21Bおよび板状部材の表面21Aに当たった後、(反射率や入射角などに応じた強度で)反射し、測域センサ9内部のディテクタで検出される。測域センサ9の内部では、レーザの往復にかかった時間から距離を算出し、検出したレーザ光の強度値から反射強度を算出し、結果をコントローラ4に送信する。
図3(a)に示すIDパネル21の例によれば、Amm、Bmmのそれぞれの距離(幅)に応じて、IDパネル21が保有する情報(カゴ台車2の認識番号情報、搬送先情報、優先度情報)が識別される。また、図3(b)に示すIDパネル21の例によれば、Cmm、Dmm、Emmのそれぞれの距離(幅)に応じて、IDパネル21が保有する情報(カゴ台車2の認識番号情報、搬送先情報、優先度情報)が識別される。
なお、IDパネル21に貼り付ける再帰反射テープ21Bは、IDパネル21の板状部材の表面21Aに対して反射(輝度差の絶対値)に差があればよい。したがって、IDパネル21に貼り付ける部材は、光の再帰反射に限るものではなく、光を吸収するものであってもよい。
マーカーが再帰反射テープ21Bとすることで、レーザレンジファインダ(LRF)である測域センサ9を用いた読み取りに好適となる。再帰反射テープ21Bを用いる構成では、コントローラ4は、測域センサ9から得たIDパネル21の両端の再帰反射テープ21Bまでの距離、反射強度を得て、距離および反射強度からカゴ台車2と自走ロボット1との距離と角度を計算する。
ここで、反射強度とは、測域センサ9の内部の受光素子で受光した光の強さに応じた電圧を数値化したものである。IDパネル21に貼り付ける再帰反射テープ21Bは反射強度の値が高くでるので、位置を正確に識別し、連結時の自走ロボット1の位置決めに用いるフィードバック情報として用いることができる。
ここで、IDパネル21における「搬送に関する情報を示す領域」である第二領域bにおいて再帰反射テープを用いて形成したバーコードのデータの読み方について説明する。
一般的に、コンピュータの内部処理では、整数値をコンピュータで扱える形式の0と1を用いた2進数のデジタルデータで表現する。2つの状態の0と1しか使えないので、マイナス(−)記号を使うことはできない。つまり、負値も0と1の2つの状態を使って表現する。そして、正の整数値のみでなく負値を含めた整数値を表現する場合は、コンピュータ上で最も多く用いられている「2の補数」で表現する。
本実施形態においては、IDパネル21のバーコードについても、数値を0と1の数字の組み合わせで構成したデジタル情報で表現する。IDパネル21のバーコードでは、再帰反射テープのある箇所を数値1、再帰反射テープのない箇所を数値0で表現する。また、IDパネル21の左端をデジタルデータの最上位ビット、IDパネル21の右端を最下位ビットとする。
次に、図4ないし図6を参照して符号なしと符号付きの8ビットの10進数表記と、2進数のビット表記の対応について説明する。図4ないし図6においては、2進数表記のビット表記の1と0が、識別標識の再帰反射テープの有と無に対応する。
図4は、符号なしの8ビットの10進数と2進数の対応を示す図である。図4に示すように、符号なし8ビットでは、0から255の値を表現できる。
図5は、符号付きの8ビットの10進数と2進数の対応を示す図、図6は符号付きの8ビットの10進数と2進数の対応(正負の比較対応関係)を示す図である。図5および図6に示すように、符号付き8ビットでは、−128から+127の値を表現できる。符号付きの値は、2の補数表現を用いる。
次に、IDパネル21における識別情報領域と搬送情報領域について説明する。
ここで、図7はIDパネル21における識別情報領域と搬送情報領域について説明する図である。
図7(a)は、IDパネル21の左右の両端部に識別情報領域、両端部を除いた中央部の左右に2個の搬送情報領域を持つ例である。図7(a)に示すように、IDパネル21の搬送情報領域21aと搬送情報領域21bは、図3の第二領域bに対応する。IDパネル21の搬送情報領域21aと搬送情報領域21bは、それぞれB7からB0に示す箇所に再帰反射テープが貼られた8ビットの情報を持つ。IDパネル21上の位置関係を説明するために、搬送情報領域21a,21bのバーコード部のすべてのビットに再帰反射テープを貼った例である。図7(a)に示すIDパネル21は、黒塗潰し箇所に再帰反射テープが貼られている。白色の箇所は反射強度が低い材質のベース板である。
図7(a)に示すIDパネル21は、具体的には、全幅は420mm、図3の第一領域aおよび第三領域cに対応する両端部の識別情報領域21c,21dの幅は45mm、搬送情報領域21a,21bのバーコードの幅は9mm、バーコードの間隔は9mm、識別情報領域21c,21dと搬送情報領域21a,21bの幅は20mm、2個の搬送情報領域21a,21b間の幅は20mmである。
図7(b)は、2個の搬送情報領域(搬送情報領域21a、搬送情報領域21b)を持ち、搬送情報領域の8ビットの情報で再帰反射テープが貼られている箇所と、再帰反射テープが貼られていない箇所からなる具体的な情報値を示した例である。図7(b)に示すように、左側の搬送情報領域21aは、黒塗潰しで示したビットB4、B3、B0に再帰反射テープが貼られており、それ以外の斜線で示したビットには再帰反射テープは貼られていない。再帰反射テープが貼られているビットを1、貼られていないビットを0で表現すると、B7からB0は「0001 1001」となる。搬送情報領域21aは、接続する位置の移動量を示しており、基準位置に対して左側に移動する場合を+(プラス)、右側に移動する場合を−(マイナス)で規定している。したがって、8ビットの符号付きデータとして扱われ、図5を参照すると、+25の値を示すことがわかる。
一方、右側の搬送情報領域21bは、黒塗潰しで示したビットB7、B5、B3、B1に再帰反射テープが貼られており、それ以外の斜線で示したビットには再帰反射テープは貼られていない。再帰反射テープが貼られているビットを1、貼られていないビットを0で表現すると、B7からB0は「1010 1010」となる。搬送情報領域21bは、カゴ台車2の搬送先を示しており、8ビットの正の値0から255で規定している。したがって、8ビットの符号なしデータとして扱われ、図4を参照すると、170の値を示すことがわかる。
自走ロボット1を用いた本実施形態の搬送システムは、物流倉庫などにおける、カゴ台車2などのキャスター付き搬送対象を搬送する作業を自動化するものである。自走ロボット1による搬送動作は、次の(1)〜(3)の三つの作業に分割される。
(1)仮置きエリアでの搬送対象の探索および連結
(2)走行エリアの走行
(3)保管エリアでの保管場所探索と荷卸し
図8は、搬送システムを適用することが想定される物流倉庫1000の一例を示す説明図である。図8は、物流倉庫1000を天井側から見た床面を平面図として示している。図8に示されたXY平面が床面と並行な面であり、Z軸が高さ方向を示している。図8に示す物流倉庫1000において、上記(1)の仮置きエリアA1は、荷卸しされた荷物を整列しておく場所が想定される。上記(3)の保管エリアA2は、エレベータなどで他階へ移送する場合のエレベータ前エリアが想定される。また、上記(2)の走行エリアA3は図8中の矢印によって仮置きエリアA1と保管エリアA2との往復経路を示す場所が想定される。
自走ロボット1は、本線動作は床面に設置された磁気テープのラインをセンサで認識するライン認識による誘導方式で移動する。また、ラインの横にあるエリアマーク52を検出してエリアを判断する。また、IDパネル21には、搬送先となる保管エリアA2の情報と優先順位の情報が含まれている。
図8に示すように、走行エリアA3には自走ロボット1の誘導用の磁気テープがライン状に設けられ、自走ロボット1が走行する走行ライン51が設けられている。また、走行エリアA3における仮置きエリアA1、保管エリアA2の入り口には、走行ライン51の近傍にエリアマーク52が配置されており、どのエリアに来たかを認識できるようになっている。
後述する自走ロボット1が実行するプログラムでは、エリアごとに動作を指定できるようになっている。自走ロボット1は、仮置きエリアA1では接続動作、保管エリアA2では車庫入れ動作を行う。
本実施形態においては、仮置きエリアA1と保管エリアA2とが走行ライン51のすぐ横にある構成である。自走ロボット1は、走行ライン51を走行したまま、仮置きエリアA1や保管エリアA2のエリア内の探索を行う。仮置きエリアA1内に搬送対象となるカゴ台車2を見つけたら、走行ライン51上からカゴ台車2への連結動作に移行する。また、保管エリアA2に対しても、走行ライン51上から空き番地を探索して、車庫入れ動作を行う。
加えて、図8に示す物流倉庫1000において、保管エリアA2に対して走行ライン51を挟んだ向かい側には、複数の再帰反射テープ53が設置されている。複数の再帰反射テープ53は、自走ロボット1の測域センサ9が検出できる位置に設置されている。自走ロボット1は、複数の再帰反射テープ53の設置情報をもとに、自己位置推定を行う。
次に、自走ロボット1のコントローラ4について説明する。
ここで、図9は自走ロボット1のコントローラ4のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。コントローラ4は、図9に示すように、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などの制御装置11と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの主記憶装置12と、SSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置13と、ディスプレイなどの表示装置14と、キーボードなどの入力装置15と、無線通信インタフェイスなどの通信装置16と、を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
制御装置11は、主記憶装置12や補助記憶装置13に記憶されている各種プログラムを実行することで、コントローラ4(自走ロボット1)全体の動作を制御し、後述する各種機能部を実現する。
自走ロボット1のコントローラ4で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、自走ロボット1のコントローラ4で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、自走ロボット1のコントローラ4で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
次に、自走ロボット1のコントローラ4の制御装置11が主記憶装置12や補助記憶装置13に記憶されたプログラムを実行することによって、自走ロボット1のコントローラ4が発揮する機能について説明する。なお、ここでは従来から知られている機能については説明を省略し、本実施の形態の自走ロボット1のコントローラ4が発揮する特徴的な機能について詳述する。
なお、自走ロボット1のコントローラ4が発揮する機能の一部または全部をIC(Integrated Circuit)などの専用の処理回路を用いて構成してもよい。
図10は、自走ロボット1のコントローラ4が発揮する機能的構成例を示すブロック図である。図10に示すように、自走ロボット1のコントローラ4は、検出手段111と、算出手段112と、移動制御手段113と、を備える。
検出手段111は、測域センサ9を介して、IDパネル21における再帰反射テープ21B間の距離と再帰反射テープ21Bのそれぞれの位置とに基づいてIDパネル21を検出する。
算出手段112は、検出手段111により検出されたIDパネル21までの距離および角度を算出する。
移動制御手段113は、算出手段112により算出したIDパネル21までの距離および角度に従った目標位置への自走ロボット1の自律移動を制御する制御手段である。
次に、自走ロボット1におけるカゴ台車2に設けられたIDパネル21の検出処理について詳述する。
ここで、図11はIDパネル21の検出処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図11に示すように、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、測域センサ9の反射強度値からピークを検出する(ステップS1)。
図12は、IDパネル21の検出におけるピーク値検出状態を示す図である。図12に示すように、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、測域センサ9の値を確認しながら、走行エリアA3における走行ライン51上を走行する。なお、図12(a)に示している測域センサ9の検出範囲は、本実施の形態においては約270度である。
そして、図12(b)に示すように、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、測域センサ9からの反射強度のピーク値を検出する。
図13は、ピーク値を検出する手法について説明する図である。図13(a)に示すように、反射する部材までの距離が長い場合、測域センサ9が出力する反射強度値は低くなる。なお、一定の材質に対して、距離に応じた反射強度値の対応式を事前に算出しておく。そして、図13(b)に示すように、対応式を用いて正規化した後の値について、比率が一定値以上(この場合は80%)の値をピークとみなす。
図11に戻り、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、測域センサ9の反射強度値からピークを検出すると(ステップS1)、検出したピーク間距離(幅)がIDパネル21の再帰反射テープ21B間の距離(幅)と該当するかを判断する(ステップS2)。
具体的には、図12(b)に示すように、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、検出したピーク間の距離(幅)を計算し、IDパネル21の再帰反射テープ21B間距離と比較する。
自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、検出したピーク間距離がIDパネル21の再帰反射テープ21B間の距離(幅)と該当すると判断した場合(ステップS2のYes)、IDパネル21の候補とし、ステップS3に進む。
一方、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、検出したピーク間距離がIDパネル21の再帰反射テープ21B間の距離(幅)と該当しないと判断した場合(ステップS2のNo)、IDパネル21の候補とせず、ステップS1に戻る。
次いで、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、ピークを含めたピーク間における測域センサ9の距離情報値を、後述するように判断する(ステップS3)。
ここで、図14はIDパネル21の検出における距離情報値検出状態を示す図である。図14において、カゴ台車2は天井側から見た平面図として示している。図14に示すように、ステップS2で候補とされたIDパネル21のエリアについて、測域センサ9からIDパネル21までの距離を求める。なお、測域センサ9からの距離は、レーザが戻ってくる時間によって求めることが可能である。そして、測域センサ9により距離情報値に基づき、検出範囲内にある物体の測域センサ9から見た形状を検出することが可能となる。検出範囲内にIDパネル21が存在する場合は、測域センサ9から見たIDパネル21の検出面21Cの形状(面形状)を検出することが可能となる。
例えば、測域センサ9の走査方向におけるIDパネル21の検出面21Cの中心に対して正面からIDパネル21の検出面21Cに正対して測域センサ9で検出動作を行った場合(測域センサ9とIDパネル21の検出面21Cとの位置関係が図14(a)の場合)、測域センサ9が検出するIDパネル21までの距離情報値はほぼ同じ値となる(厳密にいえば、両端部が遠距離となるが、簡潔に説明するために、ここでは距離情報値はほぼ同じ値として説明する)ので、検出範囲内に測域センサ9から見た形状が平面の物体が存在する、と判断することができる。
このように、距離情報により連続体と判断することで、カゴ台車2におけるカゴ部20の縦フレーム20aとIDパネル21のバーコードとを誤認識しない、という効果を奏する。
また、IDパネル21の検出面21Cが測距センサ9に対して斜めになっている場合は、測域センサ9が検出するIDパネル21までの距離情報値は、測域センサ9の走査方向における一方から他方に向かって一定の割合で変化するので、検出範囲内に測域センサ9から見た形状平面の物体が存在する、と判断することができる。
また、IDパネル21の検出面21Cが曲面の場合は、測域センサ9が検出するIDパネル21までの距離情報値が、測距センサ9とIDパネル21の検出面21Cとの位置関係、及び検出面21Cの曲率とに応じて変化しているか否かを判断することで、検出範囲内に測域センサ9から見た形状が曲面の物体が存在する、と判断することができる。
図14(a)のグラフに示すように、測域センサ9の走査方向におけるIDパネル21の検出面21Cの中心に対して正面からIDパネル21の検出面21Cに正対して測域センサ9で検出動作を行った場合、反射強度のピークを含めたピーク間における測域センサ9が検出する距離情報値は、ほぼ同じ値となる。この場合、IDパネル21の候補とする。
このように、ピークを含めたピーク間の距離情報値、換言すると、第一領域a、第二領域b、第三領域cまでの距離情報値に基づき、IDパネル21の候補を検出する。
図14(b)に示すように、カゴ台車2のフレームも反射強度の値が高くでることが分かっている。そのため、反射強度比率のピーク値を見るだけでは、カゴ台車2のフレームをIDパネル21と勘違いする可能性がある。そこで、測域センサ9が検出した反射強度のピークを含めたピーク間の距離情報値に基づいて判断することで、IDパネル21の候補を検出する。カゴ台車2のフレームを検出している場合は、IDパネル21とフレームとで距離が異なるので、測域センサ9が検出した反射強度のピークを含めたピーク間の距離情報値に基づいて、IDパネル21の候補から除外されるようにしたものである。
このように測域センサ9で測定した距離情報により、カゴ台車2のフレームのような高反射を生じる小さな細いものをIDパネル21の再帰反射テープ21Bとして誤認識しないようにすることができる。これは、カゴ台車2に荷物が載っていても同様である。
自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、IDパネルの検出面21Cに該当すると判断した場合(ステップS3のYes)、IDパネル21の候補とし、ステップS4に進む。
一方、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、IDパネルの検出面21Cに該当しないと判断した場合(ステップS3のNo)、IDパネル21の候補とせず、ステップS1に戻る。
以上により、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、現在の測域センサ9の測定値をIDパネル21の候補とする(ステップS4)。
次に、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、IDパネル21の候補について、測域センサ9の走査角度におけるピーク間位置の角度(IDパネル21の候補を検出した際の走査角度)が、自走ロボット1とカゴ台車2とが接続可能な範囲に入っているか、を判断することで、自走ロボット1とカゴ台車2とが接続可能な位置関係にあるか否か、を判断する(ステップS5)。
ここで、図15は自走ロボット1とカゴ台車2とが接続可能な範囲を示す図である。図15に示すように、自走ロボット1とカゴ台車2とが接続可能な範囲(角度)が決められている。
図15(a)は、自走ロボット1の接続可能な範囲にカゴ台車2が存在しない場合を示す図である。図15(a)に示すように、測域センサ9の走査角度におけるピーク間位置の角度(IDパネル21の候補を検出した際の走査角度)が接続可能な範囲(角度)内にない場合には、自走ロボット1とカゴ台車2とが接続可能な位置関係でないと判断する。
一方、図15(b)は、自走ロボット1の接続可能な範囲にカゴ台車2が存在する場合を示す図である。図15(b)に示すように、測域センサ9の走査角度におけるピーク間位置の角度(IDパネル21の候補を検出した際の走査角度)が接続可能な範囲(角度)内にある場合には、自走ロボット1とカゴ台車2とが接続可能な位置関係にあると判断する。
自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、IDパネル21の候補について、測域センサ9の走査角度におけるピーク間位置の角度(IDパネル21の候補を検出した際の走査角度)が、自走ロボット1とカゴ台車2とが接続可能な位置関係にあると判断した場合(ステップS5のYes)、ステップS6に進む。
一方、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、IDパネル21の候補について、測域センサ9の走査角度におけるピーク間位置の角度(IDパネル21の候補を検出した際の走査角度)が、自走ロボット1とカゴ台車2とが接続可能な位置関係でないと判断した場合(ステップS5のNo)、ステップS1に戻る。
次に、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、IDパネル21の候補について、測域センサ9の距離情報から、IDパネル21の傾きを算出する(ステップS6)。
ここで、図16はIDパネル21の傾きの算出例を示す図である。図16に示すように、IDパネル21の傾きは、測域センサ9が検出したピーク値の距離情報(IDパネル21の検出面21Cにおける第一領域aの距離情報と第三領域cの距離情報)から検出可能である。
続いて、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、IDパネル21の傾きが接続可能な範囲であるかを判断する(ステップS7)。自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、傾きが所定範囲内(図16に示す角度θが所定の角度以下)の場合、接続にいける許容範囲の傾きで置かれているカゴ台車2であると判断し(ステップS7のYes)、ステップS8に進む。
一方、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、傾きが所定範囲外(図16に示す角度θが所定の角度より大きい)の場合、接続にいける許容範囲の傾きで置かれているカゴ台車2ではないと判断し(ステップS7のNo)、ステップS1に戻る。
そして、自走ロボット1のコントローラ4(検出手段111)は、IDパネル21の検出処理を完了する(ステップS8)。
続いて、検出したIDパネル21の表面の角度と自走ロボット1との角度を検出する動作について説明する。
概略的には、搬送対象物(カゴ台車2)に装着されたIDパネル21の検出面21Cが平面であることを利用して、検出したIDパネル21の検出面21Cの角度と自走ロボット1との角度を搬送対象物(カゴ台車2)と自走ロボット1との角度として、自走ロボット1と搬送対象物(カゴ台車2)との自動連結に用いるようにしたものである。
続いて、IDパネル21の検出処理の完了後における自走ロボット1の目標位置への移動について説明する。
ここで、図17はIDパネル21の検出処理の完了後における目標位置への移動処理の流れを示すフローチャートである。図17に示すように、自走ロボット1のコントローラ4(算出手段112)は、IDパネル21に向けて走行を開始し(ステップS31)、IDパネル21までの距離、反射強度情報を測域センサ9から取得する(ステップS32)。
次いで、自走ロボット1のコントローラ4(算出手段112)は、IDパネル21の設計情報(大きさ、再帰反射テープ21Bの間隔など)を参考にして、距離・反射強度情報からIDパネル21の自走ロボット1に対する相対位置および傾きを検出する(ステップS33)。
次に説明する図18から図21は、自走ロボット1、IDパネル21を天井側から見た平面図として示している。なお、既述しているように、IDパネル21はカゴ台車2に装着されているが図が煩雑になることを避けるために、カゴ台車2は省略しIDパネル21のみを表示している。
図18は、IDパネル21の傾きの検出手法を示す図である。図18に示すように、自走ロボット1の中心は、後輪である従動車輪72の車軸中心である。IDパネル21の位置は、IDパネル21の中心である。IDパネル21の傾きは、自走ロボット1の後輪である従動車輪72の車軸方向に平行な直線と、IDパネル21のパネル面に平行な直線とのなす角(図18のθ1)である。
図19は、IDパネル21の方向の検出手法を示す図である。図19に示すように、IDパネル21の方向は、自走ロボット1の後輪である従動車輪72の車軸方向に対して垂直で自走ロボット1の中心を通る直線と、自走ロボット1の中心とIDパネル21の中心をつなぐ直線とのなす角(図19のθ2)である。
IDパネル21の自走ロボット1に対する相対位置および傾きが検出されなかった場合(ステップS34のNo)、自走ロボット1のコントローラ4(算出手段112)は、一時停止して(ステップS35)、再度IDパネル21までの距離、反射強度情報を測域センサ9から取得する(ステップS32)。
なお、IDパネル21を検出した後に、自走ロボット1がIDパネル21を検出できなくなることは自走ロボット1とIDパネル21(カゴ台車2)との位置関係の観点からは考え辛いが、自走ロボット1の駆動エラーや測域センサ9のエラーなどでIDパネル21が検出できなくなったときの対処として、一時停止処理(ステップS35)を設けている。なお、一時停止期間が所定の時間を超えると、異常発生として、自走ロボット1を停止し、カゴ台車2の接続失敗の表示を出すなどの処理をする。
IDパネル21の自走ロボット1に対する相対位置および傾きが検出された場合(ステップS34のYes)、自走ロボット1のコントローラ4(算出手段112)は、IDパネル21の位置と傾きに基づく相対目標位置を算出する(ステップS36)。
ここで、図20は相対目標位置の算出方法を示す図である。図20に示すように、IDパネル21の中心から垂直方向に一定距離、かつ、IDパネル21に対して正対する角度が相対目標位置(x´,y´,θ´)である。
続いて、自走ロボット1のコントローラ4(移動制御手段113)は、現在位置を(x,y,θ)=(0,0,0)として、相対目標位置(x´,y´,θ´)との差分を基に、目標位置への方向角度θ3を決定し、走行する(ステップS37)。
自走ロボット1のコントローラ4は、ステップS32〜S37の処理を、IDパネル21のパネル面に対して垂直な位置に設定された相対目標位置(x´,y´,θ´)へ到着するまで(ステップS38のYes)、繰り返す。
ここで、図21は相対目標位置への走行経路を模式的に示す図である。図21に示すように、自走ロボット1のコントローラ4は、自走ロボット1が相対目標位置に近づくにつれて速度を減速させるようにしてもよい。例えば自走ロボット1のコントローラ4は、下記式に従って制御すればよい。
v[m/S]=α*(x2+Y2)1/2
α:パラメータ
また、自走ロボット1のコントローラ4は、回転速度をIDパネル21の方向(図19)に基づいて設定する。
ω[rad/S]=β*θ
*βはパラメータ
このように本実施の形態によれば、IDパネル21を検出する際に、IDパネル21の検出面21Cに生成されたコードとIDパネル21の検出面21Cまでの距離情報(換言すると、IDパネル21の検出面21Cの第一領域a、第二領域b、第三領域cまでの距離情報)とを用いて、IDパネル21を検出する。これにより、IDパネル21を検出するためのコードは情報量が少ない簡易なものでよいので、IDパネル21を検出するためのセンサは簡単な構成でよく、遠距離からでも安定して搬送対象物(IDパネル21)を検出することができる。
ところで、ステップS36で算出した相対目標位置は、IDパネル21の幅方向の中央の位置である。自走ロボット1は、基本的には、IDパネル21の幅方向の中央の位置を目標として、自走ロボット1の連結装置10の連結爪10aの中央がこの目標位置になるように接続を行う。
しかしながら、カゴ台車2の骨組みの位置関係などによっては、自走ロボット1における連結装置10の接続位置を変更したい場合が考えられる。例えば、IDパネル21をカゴ台車2に装着する際に、IDパネル21をカゴ台車2の中央部付近にある縦フレームに装着することが考えられる。しかしながら、カゴ台車の中央部付近にある縦フレームは、必ずしもカゴ台車2の幅方向の中心にあるとは限らず、カゴ台車2の幅方向の中心からずれている(オフセットされている)ことがあり得る。一方で、自律走行装置が搬送対象物であるカゴ台車を安定して搬送するたけには、カゴ台車2の幅方向の中心とAGVの幅方向の中心とが出来るだけ一致していることが望ましく、両者が大きくずれていると搬送中にふらついて走行する、等の不具合が生じることが懸念される。そこで、本実施の形態においては、カゴ台車2の接続したい位置を考慮してカゴ台車2の種類ごとにIDパネル21のパネルID(識別番号)を用意する。自走ロボット1は、パネルIDを検出して、パネルIDごとに相対目標位置を変え、各カゴ台車2にとって最適な位置で接続を行う。
すなわち、ステップS36において、自走ロボット1のコントローラ4(算出手段112)は、IDパネル21の位置と傾きに基づく相対目標位置を算出するとともに、所定の移動量分だけIDパネル21のパネル面と平行な方向へ相対目標位置をシフトさせる。
以下において、所定の移動量分だけIDパネル21のパネル面と平行な方向へ相対目標位置をシフトさせる処理について詳述する。
まず、IDパネル21の搬送情報領域21a,21bのバーコード情報の読み方について具体的に説明する。
図22は、搬送するカゴ台車2に備えたIDパネル21の一例について説明する図である。図22に示すIDパネル21は、IDパネル21の基準位置に対して自走ロボット1の接続する位置をカゴ台車2の幅方向に移動する量と、自走ロボット1で接続したカゴ台車2の搬送先の識別情報を記録する。
詳細は後述するが、カゴ台車2の幅方向に移動する量は、自走ロボット1がカゴ台車2と連結する際に、自走ロボット1が備えている連結装置10における連結爪を、「カゴ台車2の下部フレーム24におけるカゴ台車2の縦フレーム20aと干渉しない位置」であり、かつ、「カゴ台車2の幅方向の中心位置と自走ロボット1の幅方向の中心位置とのずれ量が所定範囲内となる位置」に掛けるための情報である。
なお、以下に記載するIDパネル21の図では、バーコードの黒線がない箇所について、バーコードの有無がわかるように明示的に白抜きの枠で記載する。
搬送元エリアに図22に示すIDパネル21が備えられたカゴ台車2を置き、自走ロボット1は、IDパネル21を検出してIDパネル21の基準位置を目標にして接続する。IDパネル21の基準位置は、IDパネル21の両端の再帰反射テープを検知し、それぞれの位置の中央とする(標識の幅方向の中央の位置)。IDパネル21の基準位置は、自走ロボット1の接続するフックとの位置関係がわかればよいので、IDパネル21の左端または右端のように任意に決めてもよい。
自走ロボット1は、IDパネル21の幅方向の中央の位置を目標として、自走ロボット1の連結装置10の連結爪10aの中央がこの目標位置になるように接続を行う。
なお、カゴ台車2の種類によっては連結爪10aの位置がカゴ台車2の縦フレーム20aと干渉することがある。そこで、本実施形態の自走ロボット1は、カゴ台車2の種類毎に連結爪10aの位置がカゴ台車2の縦フレーム20aと干渉しないように、目標位置に対して接続する位置をカゴ台車2の幅方向にずらして接続動作を行う。そのため、IDパネル21は、幅方向にずらす移動量を識別情報として有している。更に、IDパネル21は、カゴ台車2の搬送先を識別情報として有している。
図22に示すように、IDパネル21は、識別情報が2つのエリアに分かれており、移動量(搬送情報領域21a)と搬送先(搬送情報領域21b)の情報からなる。図22に示すIDパネル21では、移動量(搬送情報領域21a)は、8ビットの符号付き情報からなり、−128から+127の値の情報を持つ。符号は、自走ロボット1側からカゴ台車2の接続する位置を見て、左側に移動する場合を+、右側に移動する場合を−で表している。図22に示す例では、移動量のバーコードデータは、再帰反射テープがある位置を1、再帰反射テープがない位置を0で表記すると、左側から、「0001 1001」となり、図5から移動量は+25[mm]である。したがって、自走ロボット1は、標識の幅方向の中央位置に対して、自走ロボット1の連結爪10aの中央位置を左側に25[mm]移動させて接続動作を行う。
なお、反対方向の右側に25[mm]移動させたい場合は、移動量の値を−25とするので、左側から、「1110 0111」となる。
一方、搬送先(搬送情報領域21b)は、8ビットの符号なし情報からなり、1から255の値の情報を持つ。図22に示す例では、搬送先のバーコードデータは、左側から、「1010 1010」となり、図4から搬送先はエリア170である。
本実施形態の自走ロボット1は、バーコードを読み取ったデジタルデータ値をそのまま数値として使用している。
なお、識別情報を1つのID情報として、テーブルを参照して、移動量と搬送先を読み取る方式では、作業者がIDパネルを見たときに、それぞれの情報がわからない。しかしながら、図22に示すIDパネル21は、識別情報をそれぞれのエリア(移動量(搬送情報領域21a)と搬送先(搬送情報領域21b))に分けて表記することにより、作業者が目視で値を確認することができるという利点もある。
次に、図23は搬送するカゴ台車2に備えたIDパネル21の別の一例について説明する図である。図23(a)に示すIDパネル21は、IDパネル21の基準位置に対して自走ロボット1の接続する位置をカゴ台車2の幅方向に移動する量と、自走ロボット1で接続したカゴ台車2の搬送先の識別情報を記録する。また、図23(b)はテーブルNo.に対応する移動量と搬送先の対応を示す図である。
図22に示すIDパネル21は、識別情報がそれぞれの識別情報の数値を直接表記しているのに対して、図23に示すIDパネル21においては、それぞれのテーブルNo.を表記して、テーブルNo.に対応したテーブル値を参照して識別情報を取得する形式である点が異なっている。
図23(a)に示すIDパネル21は、図22と同様に、識別情報が2つのエリアに分かれており、移動量(搬送情報領域21a)と搬送先(搬送情報領域21b)の情報からなる。図23の例では、移動量(搬送情報領域21a)は、8ビットの符号なし情報からなり、1から255の値の情報を持つ。図23に示す例では、移動量のバーコードデータは、左側から、「0000 1001」となり、図4から移動量のテーブルNo.は9であり、図23(b)の対応表を参照すると、テーブルNo.9の移動量は+10[mm]である。したがって、自走ロボット1は、IDパネル21の幅方向の中央位置に対して、自走ロボット1の連結爪10aの中央位置を左側に10[mm]移動させて接続動作を行う。
一方、搬送先(搬送情報領域21b)は、8ビットの符号なし情報からなり、1から255の値の情報を持つ。図23に示す例では、搬送先のバーコードデータは、左側から、「0000 0110」となり、図4から搬送先のテーブルNo.は6であり、図23(b)の対応表を参照すると、搬送先はエリア60である。
本実施形態では、バーコードで表記できる値は0から255であるが、IDパネル21のバーコード値は参照するテーブルNo.として使用している1から13しか使用していない。
図23に示す例によれば、IDパネル21を変えずに移動量および搬送先を変更したい場合は、テーブルを修正することで対応することができる一方で、作業者が目視でIDパネル21を確認してもその場で移動量や搬送先を確認することはできない。
次に、図24は搬送するカゴ台車2に備えたIDパネル21の別の一例について説明する図である。図24(a)に示すIDパネル21は、IDパネル21の基準位置に対して自走ロボット1の接続する位置をカゴ台車2の幅方向に移動する量、自走ロボット1で接続したカゴ台車2の搬送先、牽引車の重量の識別情報を記録する。また、図24(b)は重量区分No.に対応する牽引重量の対応を示す図である。
図24(a)に示すIDパネル21は、識別情報が3つのエリアに分かれており、図22に対して識別情報として牽引重量を追加し、移動量(搬送情報領域21a)、搬送先(搬送情報領域21b)、牽引重量(搬送情報領域21e)の3つの識別情報からなる。
図24に示す例では、移動量は8ビットの符号付き情報からなり、−128から+127の値の情報を持つ。符号は左側に移動する場合を+、右側に移動する場合を−で表している。この例では、移動量(搬送情報領域21a)のバーコードデータは、左側から、「0001 1001」となり、図5から移動量は+25[mm]である。したがって、IDパネル21の幅方向の中央位置に対して、自走ロボット1の連結爪10aの中央位置を左側に25[mm]移動させて接続動作を行う。
一方、搬送先(搬送情報領域21b)は、5ビットの符号なし情報からなり、1から31の値の情報を持つ。図24に示す例では、搬送先のバーコードデータは、左側から、「0 0011」となり、図4から搬送先はエリア3である。
加えて、牽引重量(搬送情報領域21e)は、3ビットの符号なし情報からなり、1から7の重量区分No.を表している。図24に示す例では、牽引重量のバーコードデータは、左側から、「101」となり、図4から重量区分No.は5であり、図24(b)に示す対応表を参照すると、牽引重量は121〜150Kgである。
このようにして牽引重量の情報がわかると、自走ロボット1は、安全性を考慮して、重い荷物を搬送する場合は速度を落として走行したり、荷崩れ防止のために速度を落として走行したりする等の現場の状況に応じた制御を行うことができる。
次に、図25は搬送するカゴ台車2に備えたIDパネル21の別の一例について説明する図である。図25(a)に示すIDパネル21は、IDパネル21の基準位置に対して自走ロボット1の接続する位置をカゴ台車2の幅方向に移動する量、自走ロボット1で接続したカゴ台車2の搬送先、牽引車の重量の識別情報を記録する。また、図25(b)は重量区分No.に対応する移動量、搬送先、牽引重量の対応を示す図である。
図25(a)に示すIDパネル21は、識別情報が3つのエリアに分かれており、図22に対して識別情報として牽引重量を追加し、移動量(搬送情報領域21a)、搬送先(搬送情報領域21b)、牽引重量(搬送情報領域21e)の3つの識別情報からなる。
前述した図24においては、移動量と搬送先の識別情報の数値を直接表記しているのに対して、図25においては、それぞれのテーブルNo.を表記して識別情報はテーブルNo.に対応したテーブル値を参照して取得する形式である。
図25に示す例では、移動量は8ビットの符号付き情報からなり、1から255の値の情報を持つ。この例では、移動量(搬送情報領域21a)のバーコードデータは、左側から、「0001 1010」となり、図4から移動量のテーブルNo.は10であり、対応表を参照すると、テーブルNo.10の移動量は+15[mm]である。したがって、IDパネル21の幅方向の中央位置に対して、自走ロボット1の連結爪10aの中央位置を左側に15[mm]移動させて接続動作を行う。
一方、搬送先(搬送情報領域21b)は、5ビットの符号なし情報からなり、1から31の値の情報を持つ。図25に示す例では、搬送先のバーコードデータは、左側から、「0 0111」となり、図4から搬送先のテーブルNo.は7であり、対応表を参照すると、搬送先はエリア70である。
加えて、牽引重量(搬送情報領域21e)は、3ビットの符号なし情報からなり、1から7の重量区分No.を表している。図25に示す例では、牽引重量のバーコードデータは、左側から、「100」となり、図4から重量区分No.は4であり、図25(b)に示す対応表を参照すると、牽引重量は91〜120Kgである。
図25に示す例によれば、識別標識を変えずに移動量、搬送先、牽引重量を変更したい場合は、テーブルを修正することで対応することができる。一方で、作業者が目視で識別標識を確認してもその場で移動量、搬送先、牽引重量を確認することはできない。
このようにして牽引重量の情報がわかると、自走ロボット1は、安全性を考慮して、重い荷物を搬送する場合は速度を落として走行したり、荷崩れ防止のために速度を落として走行したりする等の現場の状況に応じた制御を行うことができる。
なお、移動量はカゴ台車2の種類で決まり、搬送先および重量区分は積載する荷物によって決まる。したがって、図25(b)に示す対応表に示す通りの組み合わせが存在することになる。すなわち、図25(b)に示す対応表以外の組み合わせがあった場合、3つの識別情報(移動量、搬送先、牽引重量)のいずれかを読み間違いしている可能性がある。3つの識別情報(移動量、搬送先、牽引重量)は、それぞれ独立して読み取っているので、予めありえる組み合わせの照合表を作成しておき、読み取った識別情報の組み合わせが存在するか照合することにより、読み取り間違いによる、誤動作および誤搬送を防止することができる。
次に、図22ないし図25で説明したIDパネル21の識別情報である移動量の情報を基に、カゴ台車2の種類や自走ロボット1の連結装置10である連結爪10aの仕様から、カゴ台車2の縦フレーム20aと連結爪10aが干渉しないように接続する動作について説明する。
ここで、図26はカゴ台車2の種類、連結爪10a、接続位置の移動量の関係の一例を示す図である。図26に示す例は、後述する図27ないし図31のカゴ台車2と連結爪10aの位置関係を示したものである。
図27は、カゴ台車2および連結爪10aの幅の関係の一例を示す図である。図27に示す例は、カゴ台車2(縦フレーム20aの間隔150[mm])を連結爪10aの幅260[mm]で接続するときの位置関係(基準)を示したものである。
IDパネル21は、IDパネル21の幅方向の中央位置がカゴ台車2の中央付近の縦フレーム20aの位置になるように、カゴ台車2に掛けられる。自走ロボット1は、カゴ台車2の中央付近の縦フレーム20aの位置を、接続する目標位置として接続動作を行う。
図27に示す例では、自走ロボット1が、連結爪10aの中央が目標位置になるように、カゴ台車2に向けて移動する。これにより、自走ロボット1は、カゴ台車2の縦フレーム20aに干渉せずに、連結爪10aをカゴ台車2に接続することができる。したがって、図27に示す例では、カゴ台車2に対する自走ロボット1の接続位置の移動量は0であり、補正を行う必要がない。
図28は、カゴ台車2および連結爪10aの幅の関係の一例を示す図である。図28に示す例は、カゴ台車2(縦フレーム20aの間隔130[mm])を自走ロボット1の連結装置10の連結爪10aの幅260[mm]で接続するときの位置関係を示したものである。
IDパネル21は、IDパネル21の幅方向の中央位置がカゴ台車2の中央付近の縦フレーム20aの位置になるように、カゴ台車2に掛けられる。自走ロボット1は、カゴ台車2の中央付近の縦フレーム20aの位置を、接続する目標位置として接続動作を行う。
図28に示す例では、自走ロボット1が連結爪10aの中央が目標位置になるようにカゴ台車2に向けて移動した場合、連結爪10aがカゴ台車2の縦フレーム20aに対して干渉して接続できない、という問題がある。このように一般の倉庫では、仕様の異なるカゴ台車2が混在して使用されていることがある。
すなわち、自走ロボット1は、連結装置10の連結爪10aがカゴ台車2の縦フレーム20aに干渉しないように、左右いずれかに位置を移動して接続する必要がある。そこで、自走ロボット1は、図22ないし図25に示すIDパネル21の識別情報に記載された移動量の情報を読み取って、接続位置をカゴ台車2の幅方向に移動(補正)して接続動作を行う。
図29は、補正後のカゴ台車2および連結爪10aの幅の関係の一例を示す図である。図29に示す例は、カゴ台車2(縦フレーム20aの間隔130[mm])を連結爪10aの幅260[mm]で接続する際に、IDパネル21の識別情報に記載された移動量(左に25[mm])を基に、接続位置を移動させて接続動作を行った例である。
図28に示した例と同様に、IDパネル21は、IDパネル21の幅方向の中央位置がカゴ台車2の中央付近の縦フレーム20aの位置になるように、カゴ台車2に掛けられる。ただし、自走ロボット1は、カゴ台車2の中央付近の縦フレーム20aの位置に対して左側に25[mm]移動させた位置を目標位置として接続動作を行う。
この移動により、自走ロボット1は、連結装置10の連結爪10aがカゴ台車2の縦フレーム20aに干渉せずに、カゴ台車2に接続することができる。このとき、IDパネル21の幅方向の移動方向は、連結爪10aの位置がカゴ台車2の中央に近い方に接続することが望ましい。
図30は、カゴ台車2および連結爪10aの幅の関係の一例を示す図である。図30に示す例は、カゴ台車2(縦フレーム20aの間隔150[mm])を連結爪10aの幅300[mm]で接続するときの位置関係を示したものである。
図30に示す例では、自走ロボット1が連結爪10aの中央が目標位置になるようにカゴ台車2に向けて移動した場合、連結爪10aがカゴ台車2の縦フレーム20aに対して干渉して接続できない、という問題がある。このように一般の倉庫では、仕様の異なるカゴ台車2が混在して使用されていることがある。
すなわち、自走ロボット1は、連結装置10の連結爪10aがカゴ台車2の縦フレーム20aに干渉しないように、左右いずれかに位置を移動して接続する必要がある。そこで、自走ロボット1は、図22ないし図25に示すIDパネル21の識別情報に記載された移動量の情報を読み取って、接続位置をカゴ台車2の幅方向に移動(補正)して接続動作を行う。
図31は、補正後のカゴ台車および連結爪10aの幅の関係の一例を示す図である。図31に示す例は、カゴ台車2(縦フレーム20aの間隔150[mm])を連結爪10aの幅300[mm]で接続する際に、IDパネル21の識別情報に記載された移動量(左に30[mm])を基に、接続位置を移動させて接続動作を行った例である。
図30に示した例と同様に、IDパネル21は、IDパネル21の幅方向の中央位置がカゴ台車2の中央付近の縦フレーム20aの位置になるように、カゴ台車2に掛けられる。ただし、自走ロボット1は、カゴ台車2の中央付近の縦フレーム20aの位置に対して左側に30[mm]移動させた位置を目標位置として接続動作を行う。
この移動により、自走ロボット1は、連結装置10の連結爪10aがカゴ台車2の縦フレーム20aに干渉せずに、カゴ台車2に接続することができる。このとき、IDパネル21の幅方向の移動方向は、連結爪10aの位置がカゴ台車2の中央に近い方に接続することが望ましい。
このように本実施形態によれば、簡単な構成のセンサを用いて遠距離からでも安定して搬送対象物を検出することができる。
また、自走ロボット1がカゴ台車2と連結する際に確実な連結でき、自走ロボット1がカゴ台車2を搬送している際にふらつかずに走行できる適切な位置に連結することができる。
より詳細には、カゴ台車2の幅方向の中心位置と自走ロボット1の幅方向の中心位置とができるだけ一致させるための情報をIDパネル21の表面に表示し、カゴ台車2と自走ロボット1との連結時にIDパネル21の情報に基づき連結装置10の連結爪10aの位置をシフトする。これにより、カゴ台車2の種類毎にパネルIDを用意することで、自走ロボット1はIDパネル21ごとに相対目標位置を変え、連結爪10aの位置がカゴ台車2のカゴ部20の縦フレーム20aと干渉しないように接続することができ、各カゴ台車2にとって最適な位置で接続を行うことができる。
また、離れた距離から接続するカゴ台車2を選択できることと、近接した位置で搬送情報を検知することにより、多くの情報を持つことの両立した機能を標識から判断することができる。
なお、各実施形態においては、連結対象であるカゴ台車2のような被牽引台車に自動で接続して牽引することで、カゴ台車2を所望の搬送先へ自動搬送する無人搬送車(AGV)としての自走ロボット1を、自律移動装置に適用した例について説明したが、これに限るものではなく、各種の自律移動装置に適用可能であることはいうまでもない。