JP2021088150A - 光造形用樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、光造形によって造形したときに、臭気が少なく、造形しやすく、かつ靭性及び耐水性に優れる光造形用樹脂組成物を提供する。【解決手段】(メタ)アクリロイルオキシ基が直接結合した多環芳香族炭化水素化合物(A)、多環芳香族炭化水素を含有しないα,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含有する光造形用樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は光造形用樹脂組成物に関する。より詳細には、本発明は、光造形によって造形したときに、臭気が少なく、造形しやすく、かつ靭性及び耐水性に優れた立体造形物を得ることができる。特に歯科用マウスピース、義歯床材料に好適である。
液状の光硬化性樹脂に必要量の制御された光エネルギーを供給して、薄層状に硬化させ、その上にさらに液状光硬化性樹脂を供給した後、制御下に光照射して薄層状に積層硬化させるという工程を繰り返すことによって立体造形物を製造する方法、いわゆる光学的立体造形法が特許文献1によって開示された。そして、その基本的な実用方法がさらに特許文献2によって提案されて以来、光学的立体造形技術に関する多数の提案がなされている。
立体造形物を光学的に製造する際の代表的な方法としては、容器に入れた液状光硬化性樹脂組成物の液面に、所望のパターンが得られるようにコンピューターで制御された紫外線レーザーを選択的に照射して所定の厚さで硬化させて硬化層を形成し、次にその硬化層の上に1層分の液状光硬化性樹脂組成物を供給して、同様に紫外線レーザーを照射して前記と同じように硬化させて連続した硬化層を形成させるという積層操作を繰り返して最終的な形状の立体造形物を製造する液槽光造形という方法が一般に採用されている。この方法による場合は、造形物の形状がかなり複雑であっても、簡単にかつ比較的短時間で、精度良く目的とする立体造形物を製造することができるために近年大きな注目を集めている。
そして、光造形法によって得られる立体造形物が単なるコンセプトモデルから、テストモデル、試作品等へと用途が展開されるようになっており、それに伴ってその立体造形物は造形精度に優れていることが益々要求されるようになっている。しかも、そのような特性と併せて目的に合わせた特性も優れていることが求められている。とりわけ、歯科材料分野においては、歯科用マウスピース、義歯床は、患者個人ごとに形状が異なり、かつ形状が複雑であることから、光造形法の応用が期待されている。
歯科用マウスピースとしては、歯科用アライナーと言われ、歯並びを矯正するために歯列に装着するもの、オーラルアプライアンス(OA)と言われ、睡眠時無呼吸症候群の治療のために夜間就寝中に歯列に装着するもの、ナイトガードと言われ、歯ぎしりによる歯の摩耗を抑制するために歯列に装着するもの、歯科用スプリントと言われ、顎関節治療のために歯列に装着するものなどが挙げられる。近年、歯科矯正においては審美性の良さや外したいときに外せるため急速に利用が拡大している装置である。また、睡眠時無呼吸症候群も医療において注目されている症例であり、その治療用具として急速に利用が進んでいる。
義歯床材料は、歯の喪失により義歯を装着する際の、歯肉部分に使用される材料のことである。近年、高齢者人口の増加に伴い義歯の需要が急激に増加している。
これら、歯科用マウスピース及び義歯床材料には、靭性及び耐水性が共通して要求されている。靭性が損なわれると装着感が悪いものとなったり、外力や咬合の衝撃が顎骨に直接加わることになる。また、破壊しやすくなると頻繁に作り直すことが必要となってしまうといった問題がある。さらに、耐水性が損なわれると力学的強度が低下し、矯正力や衝撃吸収性を喪失したり、破壊しやすくなり実用に耐えないものとなる問題がある。
また、通常、歯科用マウスピース及び義歯床材料、睡眠時無呼吸症候群用治療具を作製する際には、口腔内の印象を取得することが必要となるが、その不快感から患者負担となることや、技工操作に熟練を要するといった課題が従来から指摘されていた。近年では、デジタル技術の発達から、印象取得については、光学的な口腔内スキャンを応用する試みがなされ、成形においては光学的立体造形を応用する試みがなされている。造形においては光硬化性樹脂組成物を使用するが、一般に柔軟性及び耐水性を発現する樹脂組成物ほど、低極性のモノマーを使用する傾向となるため硬化性が低くなり、硬化物の力学的強度に劣る傾向にあり、特に光学的立体造形においては、光照射時間が極端に短くかつ一層一層の造形毎に酸素に暴露されるため、特に硬化が不十分となりやすく、これまで力学的強度と靭性、耐水性を両立することが困難であった。さらに、樹脂組成物を造形可能な粘度とする必要があるが、粘度を低下させるために分子量が低いモノマーを使用した場合には臭気が発生しやすくなり、一方、力学的強度を発現するモノマーは高粘度のものが多く造形性が低下するといった問題があった。そのため、立体造形用樹脂組成物全体として、硬化物が優れた靭性、耐水性等の特性を備えつつ、低粘度を有するものを取得することは困難であった。
このような背景の中、造形精度、硬化物の力学的強度及び耐膨潤性に優れ、光学的立体造形が可能な技術として、例えば、特許文献3には、少なくとも、α,β−不飽和二重結合基を1個以上有するオリゴマーと、三環以上の環構造を有するα,β−不飽和二重結合基含有化合物とを必須成分とする光学的立体造形用樹脂組成物が提案されている。
特開昭56−144478号公報 特開昭60−247515号公報 特開2015−10169号公報
特許文献3に記載の光学的立体造形用樹脂組成物は、耐水性及び臭気については何ら記載されておらず、実施例には臭気が顕著なモノマーを使用している。
そこで、本発明は、液槽光造形によって造形したときに、臭気が少なく、造形しやすく、かつ硬化物の靭性及び耐水性に優れる光造形用樹脂組成物を提供することを目的とする。また、特に歯科用マウスピース及び義歯床材料に好適な光造形用樹脂組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
[1](メタ)アクリロイルオキシ基が直接結合した多環芳香族炭化水素化合物(A)、多環芳香族炭化水素を含有しないα,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含有する光造形用樹脂組成物。
[2]前記(メタ)アクリロイルオキシ基が直接結合した多環芳香族炭化水素化合物(A)がナフタレンを含む化合物である、[1]に記載の光造形用樹脂組成物。
[3]前記(メタ)アクリロイルオキシ基が直接結合した多環芳香族炭化水素化合物(A)が単官能(メタ)アクリロイル基含有化合物である、[1]又は[2]に記載の光造形用樹脂組成物。
[4]前記多環芳香族炭化水素を有しないα,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)が、ウレタン結合を有しない単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)−1を含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の光造形用樹脂組成物。
[5]前記ウレタン結合を有しない単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)−1が、芳香環を少なくとも1個有する単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物である、[4]に記載の光造形用樹脂組成物。
[6]前記多環芳香族炭化水素を有しないα,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)が、ウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2を含有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の光造形用樹脂組成物。
[7]前記ウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2が、1分子内に、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ共役ジエン、及び水添ポリ共役ジエンからなる群より選ばれる少なくとも1種の構造、並びにウレタン結合、を含有する(メタ)アクリレートである、[6]に記載の光造形用樹脂組成物。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の光造形用樹脂組成物の硬化物からなる、歯科材料。
[9][1]〜[7]のいずれかに記載の光造形用樹脂組成物の硬化物からなる、歯科用マウスピース。
[10][1]〜[7]のいずれかに記載の光造形用樹脂組成物の硬化物からなる、義歯床材料。
[11][1]〜[7]のいずれかに記載の光造形用樹脂組成物の硬化物からなる、睡眠障害治療材料。
[12][1]〜[7]のいずれかに記載の光造形用樹脂組成物を用いて、光学的立体造形法によって立体造形物を製造する方法。
本発明の光造形用樹脂組成物は、光造形(特に吊り上げ式液槽光造形)によって造形したときに、臭気が少なく、造形しやすく、かつ硬化物の靭性及び耐水性に優れるため、各種歯科材料(特に歯科用マウスピース及び義歯床材料)又は各種睡眠障害治療材料(特に睡眠時無呼吸症候群用治療具)等の口腔内用途に好適に用いることができる。
本発明の光造形用樹脂組成物は、(メタ)アクリロイルオキシ基が直接結合した多環芳香族炭化水素化合物(A)、多環芳香族炭化水素を含有しないα,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含有する。なお、本明細書において、数値範囲(各成分の含有量、各成分から算出される値及び各物性等)の上限値及び下限値は適宜組み合わせ可能である。
[(メタ)アクリロイルオキシ基が直接結合した多環芳香族炭化水素化合物(A)]
(メタ)アクリロイルオキシ基が直接結合した多環芳香族炭化水素化合物(A)(以下、単に「多環芳香族炭化水素化合物(A)」と称することがある)を光造形用樹脂組成物が含むことにより、光照射後の立体造形物の融点(Tm)又はガラス転移温度(Tg)が向上することで、内部凝集力の向上がさらに図られ、強度を含む靭性の良好な立体造形物を形成することが可能となる。
多環芳香族炭化水素化合物(A)は(メタ)アクリロイルオキシ基が多環芳香族炭化水素に直接結合していることが必要である。アクリロイルオキシ基がアルキレン鎖等を介さず、多環芳香族炭化水素に直接結合している場合、分子構造上、剛直性が増大するため、得られる光造形用樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)が上昇し、靭性が良好なものとなる。また、多環芳香族炭化水素化合物(A)を用いることで、光造形用樹脂組成物の臭気を抑えることができる。さらに、多環芳香族炭化水素化合物(A)の剛直な構造によって、重合後のポリマーの凝集力が高められるため、分子の運動性が小さくなり水分子の侵入を抑制する効果を発現でき、また多環芳香族炭化水素化合物(A)は疎水性であるため、耐水性に対するその効果はより強いものである。
本発明における多環芳香族炭化水素化合物(A)は多環芳香族炭化水素を含む化合物であり、前記多環芳香族炭化水素は2個以上の芳香環が縮合した縮合環の構造を有する芳香族化合物を意味する。2個以上の芳香環が縮合した縮合環の構造を有することによって、分子構造上、剛直性が増大するため、得られる光造形用樹脂組成物のガラス転移温度が上昇し、靭性が良好なものとなる。
本発明における多環芳香族炭化水素化合物(A)は、得られる硬化物の靭性に優れる観点から、単官能(メタ)アクリロイル基含有化合物であることが好ましい。本明細書において、「単官能」とは、前記重合性基を1つ有することを意味する。なお、本明細書において「(メタ)アクリロイル」との表記は、メタクリロイルとアクリロイルの両者を包含する意味で用いられ、これと類似する「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」等の表記についても同様である。
前記多環芳香族炭化水素としては、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、ピレン、トリフェニレン、ペンタセン、ベンゾピレン、クリセン、コランニュレン、コロネン等が挙げられる。これらの中でも、溶解性に優れ、かつ光造形用樹脂組成物が低粘度で、硬化物の靭性及び耐水性が優れる観点から、ナフタレンを含む化合物が好ましい。
多環芳香族炭化水素化合物(A)の多環芳香族炭化水素は、(メタ)アクリロイルオキシ基以外に、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アシル基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基、シリル基、ニトロ基、ニトロソ基などの置換基を有することができる。置換基の数は、特に限定されないが、1〜6個が好ましく、1〜4個がより好ましく、1〜3個がさらに好ましく、1〜2個が特に好ましい。アルキル基としては、例えば、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、2−メチルプロピル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。アルキル基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。ある実施形態では、多環芳香族炭化水素化合物(A)の多環芳香族炭化水素は無置換である。
多環芳香族炭化水素化合物(A)としては、例えば1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、1−アンスラニル(メタ)アクリレート、2−アンスラニル(メタ)アクリレート、9−アンスラニル(メタ)アクリレート、1−フェナンスリル(メタ)アクリレート、4−フェナンスリル(メタ)アクリレート、9−フェナンスリル(メタ)アクリレート、ナフタセニル(メタ)アクリレート、ピレニル(メタ)アクリレート、トリフェニレニル(メタ)アクリレート、ペンタセニル(メタ)アクリレート、ベンゾピレニル(メタ)アクリレート、クリセニル(メタ)アクリレート、コランニュレニル(メタ)アクリレート、コロネニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。多環芳香族炭化水素化合物(A)は、1種を単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらの中でも、光造形用樹脂組成物が低粘度で、硬化物の靭性に優れる観点から、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、9−アンスラニル(メタ)アクリレート、9−フェナンスリル(メタ)アクリレートが好ましく、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
本発明の光造形用樹脂組成物における多環芳香族炭化水素化合物(A)の含有量は、多環芳香族炭化水素化合物(A)、多環芳香族炭化水素を含有しないα,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)及びその他の重合性化合物の総量において、1.0〜80質量%が好ましく、造形性、硬化物の靭性及び耐水性により優れる点から、2.5〜60質量%がより好ましく、5〜40質量%がさらに好ましい。
[多環芳香族炭化水素を含有しないα,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)]
本発明の光造形用樹脂組成物は、多環芳香族炭化水素を含有しないα,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)(以下、単にα,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)と称することがある)を含有する。α,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)は、本発明の光造形用樹脂組成物において、光造形用樹脂組成物の硬化物に靭性を付与するために用いられる。また、α,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)を用いることで、光造形用樹脂組成物の臭気を抑えることができる。
本明細書において、α,β−不飽和二重結合基は、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチレン基等の重合性基を意味する。本発明におけるα,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)は、得られる硬化物の靭性に優れる観点から、ウレタン結合を有しない単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)−1及び/又はウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2を含有することが好ましい。
前記ウレタン結合を有しない単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)−1としては、ウレタン結合を含まない単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましく、光造形用樹脂組成物の硬化性及び硬化物の靭性が優れる点から、ウレタン結合を含まず、芳香環を少なくとも1個有する単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物がより好ましく、疎水性が高く、より耐水性に優れる点から、ウレタン結合を含まず、芳香環を2個有する単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物がさらに好ましい。
前記ウレタン結合を有しない単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)−1としては、例えばo−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、m−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、p−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシ化−o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシ化−m−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシ化−p−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化−o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化−m−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化−p−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化−o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化−m−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化−p−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、ブトキシ化−o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、ブトキシ化−m−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、ブトキシ化−p−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、o−フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、m−フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、p−フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、2−(o−フェノキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(m−フェノキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(p−フェノキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、3−(o−フェノキシフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(m−フェノキシフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(p−フェノキシフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、4−(o−フェノキシフェニル)ブチル(メタ)アクリレート、4−(m−フェノキシフェニル)ブチル(メタ)アクリレート、4−(p−フェノキシフェニル)ブチル(メタ)アクリレート、5−(o−フェノキシフェニル)ペンチル(メタ)アクリレート、5−(m−フェノキシフェニル)ペンチル(メタ)アクリレート、5−(p−フェノキシフェニル)ペンチル(メタ)アクリレート、6−(o−フェノキシフェニル)ヘキシル(メタ)アクリレート、6−(m−フェノキシフェニル)ヘキシル(メタ)アクリレート、6−(p−フェノキシフェニル)ヘキシル(メタ)アクリレート等の芳香環を少なくとも1個有する単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物;ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、パルミトレイル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレート等の脂肪族系単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらの中でも、光造形用樹脂組成物の硬化性及び硬化物の靭性が優れる点から、芳香環を少なくとも1個有する単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましく、疎水性が高く、より耐水性に優れる点から、o−フェノキシベンジルアクリレート、m−フェノキシベンジルアクリレート、p−フェノキシベンジルアクリレート、2−(o−フェノキシフェニル)エチルアクリレート、2−(m−フェノキシフェニル)エチルアクリレート、2−(p−フェノキシフェニル)エチルアクリレート、エトキシ化−o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化−m−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化−p−フェニルフェノール(メタ)アクリレート等の芳香環を2個有する単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物がより好ましく、o−フェノキシベンジルアクリレート、m−フェノキシベンジルアクリレート、p−フェノキシベンジルアクリレート、エトキシ化−o−フェニルフェノール(メタ)アクリレートがさらに好ましく、o−フェノキシベンジルアクリレート、m−フェノキシベンジルアクリレート、エトキシ化−o−フェニルフェノール(メタ)アクリレートが特に好ましく、m−フェノキシベンジルアクリレート及びエトキシ化−o−フェニルフェノール(メタ)アクリレートが最も好ましい。
本発明の光造形用樹脂組成物におけるウレタン結合を有しない単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)−1の含有量は、多環芳香族炭化水素化合物(A)、α,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)及びその他の重合性化合物の総量において、造形性、硬化物の靭性及び耐水性により優れる点から、1〜95質量%が好ましく、5〜90質量%がより好ましく、10〜80質量%がさらに好ましい。
ウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2は、例えば、後述するポリマー骨格を含有するポリオールと、イソシアネート基(−NCO)を有する化合物と、水酸基(−OH)を有する(メタ)アクリル化合物とを付加反応させることにより、容易に合成することができる。また、ウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2は、水酸基を有する(メタ)アクリル化合物に、ラクトン又はアルキレンオキシドに開環付加反応させた後、得られた片末端に水酸基を有する化合物を、イソシアネート基を有する化合物に付加反応させることにより、容易に合成することができる。ウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2は、1分子内に、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ共役ジエン、及び水添ポリ共役ジエンからなる群より選ばれる少なくとも1種の構造(ポリマー骨格)、並びにウレタン結合、を含有する(メタ)アクリレートであることが好ましい。前記構造において、例えば、ポリエステルとしては、フタル酸(例えば、イソフタル酸、テレフタル酸)と炭素数2〜18のアルキレンジオールの重合体、アジピン酸と炭素数2〜18のアルキレングリコールの重合体、セバシン酸と炭素数2〜18のアルキレングリコールの重合体、マレイン酸と炭素数2〜18のアルキレンジオールの重合体、β−プロピオラクトンの重合体、γ−ブチロラクトンの重合体、δ−バレロラクトン重合体、ε−カプロラクトン重合体及びこれらの共重合体などが挙げられる。ポリエステルに関して、前記炭素数2〜12のアルキレンジオール及び炭素数2〜12のアルキレングリコールは、分岐構造を有していてもよい。分岐構造としては、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。ポリカーボネートとしては、炭素数2〜12の脂肪族ジオールから誘導されるポリカーボネート、ビスフェノールAから誘導されるポリカーボネート、及び炭素数2〜12の脂肪族ジオールとビスフェノールAから誘導されるポリカーボネートなどが挙げられる。ポリカーボネートに関して、前記炭素数2〜12の脂肪族ジオールは、分岐構造を有していてもよい。分岐構造としては、ポリエステルのアルキレンジオール及びアルキレングリコールと同様のものが挙げられる。ポリウレタンとしては、炭素数2〜12の脂肪族ジオールと炭素数1〜12のジイソシアネートの重合体などが挙げられる。ポリウレタンに関して、前記炭素数2〜12の脂肪族ジオールは、分岐構造を有していてもよい。分岐構造としては、ポリカーボネートの脂肪族ジオールと同様のものが挙げられる。ポリエーテルとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリ(1−メチルブチレングリコール)などが挙げられる。ポリ共役ジエン及び水添ポリ共役ジエンとしては、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(ブタジエン−イソプレン)、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(イソプレン−スチレン)、ポリファルネセン及びこれらの水添物が挙げられる。これらの中でも、靭性に優れる点で、ポリエステルの構造が好ましい。さらに、ポリエステルの構造が、耐水性と靭性に優れる点からは、分岐構造を有する炭素数4〜18のアルキレンジオールに由来する構造を有するポリオール部分とフタル酸エステル(例えば、イソフタル酸エステル、テレフタル酸エステル)を含有することが好ましく、耐水性と造形性に優れる点からは、分岐構造を有する炭素数4〜12のアルキレンジオールに由来する構造を有するポリオール部分とセバシン酸エステルを含有することが好ましい。ウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2の製造には、前記したポリマー骨格を有するポリオールを用いることができる。
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHMDI)、トリシクロデカンジイソシアネート(TCDDI)、及びアダマンタンジイソシアネート(ADI)等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン、1,2−ビス〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕エタン、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
前記分岐構造を有する炭素数4〜18のアルキレンジオールとしては、例えば、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,7−ジメチル−1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、2,8−ジメチル−1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,10−デカンジオール、2,9−ジメチル−1,10−デカンジオール、2−メチル−1,11−ウンデカンジオール、2,10−ジメチル−1,11−ウンデカンジオール、2−メチル−1,12−ドデカンジオール、2,11−ジメチル−1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,13−トリデカンジオール、2,12−ジメチル−1,13−トリデカンジオール、2−メチル−1,14−テトラデカンジオール、2,13−ジメチル−1,14−テトラデカンジオール、2−メチル−1,15−ペンタデカンジオール、2,14−ジメチル−1,15−ペンタデカンジオール、2−メチル−1,16−ヘキサデカンジオール、2,15−ジメチル−1,16−ヘキサデカンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、光造形用樹脂組成物が硬化性に優れ、低粘度である観点から、2−メチル−1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,7−ジメチル−1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、2,8−ジメチル−1,9−ノナンジオールなどのメチル基を側鎖として有する炭素数5〜12の脂肪族ジオールをポリオール成分として使用することが好ましく、2−メチル−1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,7−ジメチル−1,8−オクタンジオールがより好ましく、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールがさらに好ましい。
イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する(メタ)アクリル化合物との付加反応は、公知の方法に従って行うことができ、特に限定はない。
得られるウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2としては、前記の、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、及びポリエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を有するポリオールと、イソシアネート基を有する化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリル化合物との任意の組み合わせの反応物が挙げられる。
ウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2の重量平均分子量(Mw)は、粘度及び強度の観点から、1000〜30000が好ましく、1500〜15000がより好ましく、2000〜5000がさらに好ましい。なお、本発明における重量平均分子量(Mw)とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で求めたポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
本発明の光造形用樹脂組成物におけるウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2の含有量は、多環芳香族炭化水素化合物(A)、α,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)及びその他の重合性化合物の総量において、10〜90質量%が好ましく、造形性、硬化物の靭性により優れる点から、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%がさらに好ましい。
本発明の光造形用樹脂組成物におけるα,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)の含有量は、多環芳香族炭化水素化合物(A)、α,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)及びその他の重合性化合物の総量において、1〜99質量%が好ましく、造形性、硬化物の靭性及び耐水性により優れる点から、2.5〜95質量%がより好ましく、5〜90質量%がさらに好ましい。
[光重合開始剤(C)]
本発明に用いられる光重合開始剤(C)は、一般工業界で使用されている光重合開始剤から選択して使用でき、中でも歯科用途に使用されている光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤(C)としては、(ビス)アシルホスフィンオキシド類、チオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩、ケタール類、α−ジケトン類、クマリン類、アントラキノン類、ベンゾインアルキルエーテル化合物、α−アミノケトン系化合物等が挙げられる。光重合開始剤(C)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの光重合開始剤(C)の中でも、(ビス)アシルホスフィンオキシド類と、α−ジケトン類とからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これにより、紫外領域及び可視光域での光硬化性に優れ、レーザー、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、及びキセノンランプのいずれの光源を用いても十分な光硬化性を示す光造形用樹脂組成物が得られる。
(ビス)アシルホスフィンオキシド類のうち、アシルホスフィンオキシド類としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシドナトリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシドカリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドのアンモニウム塩が挙げられる。ビスアシルホスフィンオキシド類としては、例えば、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等が挙げられる。さらに、特開2000−159621号公報に記載されている化合物が挙げられる。
これらの(ビス)アシルホスフィンオキシド類の中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシドナトリウム塩を光重合開始剤(C)として用いることが特に好ましい。
α−ジケトン類としては、例えば、ジアセチル、ベンジル、カンファーキノン、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、9,10−フェナントレンキノン、4,4’−オキシベンジル、アセナフテンキノンが挙げられる。この中でも、可視光域の光源を使用する場合には、カンファーキノンが特に好ましい。
本発明の光造形用樹脂組成物における光重合開始剤(C)の含有量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、得られる光造形用樹脂組成物の硬化性等の観点から、多環芳香族炭化水素化合物(A)、α,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)及びその他の重合性化合物の総量100質量部に対し、0.01〜20質量部が好ましい。光重合開始剤(C)の含有量が前記総量100質量部に対して0.01質量部未満の場合、重合が十分に進行せず、成形品又は立体造形物が得られないおそれがある。光重合開始剤(C)の含有量は、前記総量100質量部に対し、0.05質量部以上がより好ましく、0.1質量部以上がさらに好ましい。一方、光重合開始剤(C)の含有量が前記総量100質量部に対して20質量部を超える場合、光重合開始剤自体の溶解性が低いと光造形用樹脂組成物からの析出を招くおそれがある。光重合開始剤(C)の含有量は、前記総量100質量部に対し、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましく、5.0質量部以下が特に好ましい。
本発明の光造形用樹脂組成物において、多環芳香族炭化水素化合物(A)、α,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)以外の重合性化合物が含まれていてもよいが、実質的に多環芳香族炭化水素化合物(A)、α,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)のみから構成されていてもよい。重合性化合物が、実質的に多環芳香族炭化水素化合物(A)、α,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)のみから構成されるとは、多環芳香族炭化水素化合物(A)、α,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)以外の他の重合性化合物の含有量が、光造形用樹脂組成物に含まれる重合性化合物の総量に対して10.0質量%未満であり、好ましくは5.0質量%未満であり、より好ましくは1.0質量%未満であり、さらに好ましくは0.1質量%未満であり、特に好ましくは0.01質量%未満であることを意味する。
本発明の光造形用樹脂組成物は、上記の多環芳香族炭化水素化合物(A)、α,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含有していれば特に限定はなく、公知の方法に準じて製造できる。
本発明の光造形用樹脂組成物は、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、光硬化性の向上を目的として、重合促進剤を含むことができる。重合促進剤としては、例えば、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸メチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸n−ブトキシエチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸ブチルが挙げられる。重合促進剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、光造形用樹脂組成物に優れた硬化性を付与する観点から、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸n−ブトキシエチル、及び4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノンからなる群より選択される少なくとも1つが好ましく用いられる。
本発明の光造形用樹脂組成物には、ペースト性状を調整するために、又は、光造形用樹脂組成物の硬化物の表面性状又は強度を改質するために、フィラーがさらに配合されていてもよい。フィラーとして、例えば、有機フィラー、無機フィラー、有機−無機複合フィラー等が挙げられる。フィラーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機フィラーの材料としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、架橋型ポリメタクリル酸メチル、架橋型ポリメタクリル酸エチル、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。有機フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用できる。得られる光造形用樹脂組成物のハンドリング性及び機械的強度などの観点から、前記有機フィラーの平均粒子径は、0.001〜50μmが好ましく、0.001〜10μmがより好ましく、0.001〜1.0μmがさらに好ましい。
無機フィラーの材料としては、例えば、石英、シリカ、アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−チタニア−酸化バリウム、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナ、ランタンガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ガラスセラミック、アルミノシリケートガラス、バリウムボロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムボロアルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラスが挙げられる。これらもまた、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機フィラーの形状は特に限定されず、不定形フィラー又は球状フィラー等を適宜選択して使用できる。得られる光造形用樹脂組成物のハンドリング性及び機械的強度などの観点から、前記無機フィラーの平均粒子径は0.001〜50μmが好ましく、0.001〜10μmがより好ましく、0.001〜1.0μmがさらに好ましい。
前記無機フィラーは、光造形用樹脂組成物の流動性を調整するため、必要に応じて、シランカップリング剤などの公知の表面処理剤で予め表面処理してから用いてもよい。前記表面処理剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、8−メタクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
本発明で用いられる有機−無機複合フィラーとは、上述の無機フィラーにモノマー成分を予め添加し、ペースト状にした後に重合させ、粉砕することにより得られるものである。前記有機−無機複合フィラーとしては、例えば、TMPTフィラー(トリメチロールプロパントリメタクリレートとシリカフィラーを混和、重合させた後に粉砕したもの)などを用いることができる。前記有機−無機複合フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用することができる。得られる光造形用樹脂組成物のハンドリング性及び機械的強度などの観点から、前記有機−無機複合フィラーの平均粒子径は、0.001〜50μmが好ましく、0.001〜10μmがより好ましく、0.001〜1.0μmがさらに好ましい。
なお、本明細書において、フィラーの平均粒子径とは平均一次粒子径であり、レーザー回折散乱法や粒子の電子顕微鏡観察により求めることができる。具体的には、0.1μm以上の粒子の粒子径測定にはレーザー回折散乱法が、0.1μm未満の超微粒子の粒子径測定には電子顕微鏡観察が簡便である。0.1μmはレーザー回折散乱法により測定した値である。
レーザー回折散乱法は、具体的に例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2300:株式会社島津製作所製)により、0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒に用いて測定することができる。
電子顕微鏡観察は、具体的に例えば、粒子の電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S−4000型)写真を撮り、その写真の単位視野内に観察される粒子(200個以上)の粒子径を、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(Mac−View(株式会社マウンテック製))を用いて測定することにより求めることができる。このとき、粒子径は、粒子の最長の長さと最短の長さの算術平均値として求められ、粒子の数とその粒子径より、平均一次粒子径が算出される。
本発明の光造形用樹脂組成物には、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、柔軟性、流動性等の改質を目的として重合体を添加することができる。例えば、天然ゴム、合成ポリイソプレンゴム、液状ポリイソプレンゴム及びその水素添加物、ポリブタジエンゴム、液状ポリブタジエンゴム及びその水素添加物、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、イソプレン−イソブチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、又はスチレン系エラストマーを添加することができる。添加可能な他の重合体の具体例としては、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)ブロック共重合体、ポリ(p−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(p−メチルスチレン)ブロック共重合体、又はこれらの水素添加物等が挙げられる。これらの重合体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の光造形用樹脂組成物は、必要に応じて、軟化剤を含有していてもよい。軟化剤としては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等のプロセスオイル等の石油系軟化剤、及び、パラフィン、落花生油、ロジン等の植物油系軟化剤が挙げられる。これらの軟化剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。軟化剤の含有量は、本発明の趣旨を損なわない限り特に制限はないが、通常、多環芳香族炭化水素化合物(A)、α,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)の総量100質量部に対して200質量部以下であり、好ましくは100質量部以下である。
本発明の光造形用樹脂組成物は、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、硬化性の向上を目的として、化学重合開始剤を含有することができる。有機過酸化物及びアゾ系化合物が好ましく用いられる。化学重合開始剤として使用される有機過酸化物及びアゾ系化合物は特に限定されず、公知のものを使用することができる。代表的な有機過酸化物としては、ケトンペルオキシド、ハイドロペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、ペルオキシケタール、ペルオキシエステル、及びペルオキシジカーボネート等が挙げられる。化学重合開始剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の光造形用樹脂組成物には、劣化の抑制、又は光硬化性の調整を目的として、公知の安定剤を配合することができる。前記安定剤としては、例えば、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤が挙げられる。安定剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ジブチルヒドロキノン、ジブチルヒドロキノンモノメチルエーテル、4−t−ブチルカテコール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンが挙げられる。重合禁止剤の含有量は、多環芳香族炭化水素化合物(A)、α,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)の総量100質量部に対し、0.001〜5.0質量部が好ましい。
また、本発明の光造形用樹脂組成物には、色調の調整又はペースト性状の調整を目的として、公知の添加剤を配合することができる。前記添加剤としては、例えば、顔料、染料等の着色剤;有機溶媒;増粘剤が挙げられる。添加剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の光造形用樹脂組成物は、光造形(特に吊り上げ式液槽光造形)によって造形したときに、低粘度で造形しやすく、かつ靭性及び耐水性に優れた造形物を得ることができる。また、インクジェット方式の光造形にも応用することができる。従って、本発明の光造形用樹脂組成物及びその硬化物は、このような利点が生かされる用途(例えば、口腔内用途)に適用でき、特に、歯科用マウスピース(歯科用アライナー、オーラルアプライアンス(OA)、ナイトガード、歯科用スプリント)及び義歯床材料等の歯科材料や医療材料に最適である。医療材料としては、特に、睡眠時無呼吸症候群用治療具に最適である。さらに、本発明の光造形用樹脂組成物は、歯科用マウスピース及び義歯床材料等の歯科治療用途以外に、スポーツ用の外力に対する保護具として、マウスガードとしても好適に使用できる。また、本発明の光造形用樹脂組成物は、優れた靭性、耐水性、造形性等の効果がより得られやすいことから、吊り上げ式液槽光造形用樹脂組成物として用いるのが好ましい。本発明の光造形用樹脂組成物を用いる硬化物の形状は、各用途に応じて変更することができる。また、本発明の光造形用樹脂組成物は、必要に応じて、歯科用マウスピース及び義歯床材料等の用途毎に、各成分(多環芳香族炭化水素化合物(A)、α,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)、光重合開始剤(C)及び各種その他の成分(重合促進剤、フィラー、重合体、軟化剤、安定剤、添加剤等))の種類及び含有量を調整することができる。
本発明の光造形用樹脂組成物は、その特性、特に光で硬化した際に、体積収縮率が小さくて造形精度に優れ、しかも硬化物の靭性及び耐水性に優れる成形品あるいは立体造形物、さらにはその他の硬化物が得られるという特性を活かして種々の用途に使用することができ、例えば、光学的立体造形法による立体造形物の製造、流延成形法や注型等による膜状物あるいは型物等の各種成形品の製造、被覆用、真空成形用金型等に用いることができる。
そのうちでも、本発明の光造形用樹脂組成物は、上記した光学的立体造形法で用いるのに適しており、その場合には、光硬化時の体積収縮率を小さく保ちながら、造形精度に優れ、且つ靭性及び耐水性に優れる立体造形物を円滑に製造することができる。
本発明の他の実施形態としては、前記したいずれかの光造形用樹脂組成物を用いて、光学的立体造形法によって立体造形物を製造する方法が挙げられる。
本発明の光造形用樹脂組成物を用いて光学的立体造形(特に吊り上げ式液槽光造形)を行うに当たっては、従来公知の吊り上げ式光学的立体造形法及び装置(例えば、DWS社製 DIGITALWAX(登録商標) 020D等の光造形機)のいずれもが使用できる。光学的立体造形法及び装置は特に限定されるものではないが、光造形用樹脂組成物の粘度の観点から、本発明の光造形用樹脂組成物は、特に吊り上げ式光学的立体造形装置(吊り上げ式液槽光造形装置)に好適である。そのうちでも、本発明では、樹脂を硬化させるための光エネルギーとして、活性エネルギー光線を用いるのが好ましい。「活性エネルギー光線」は、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波などの光造形用樹脂組成物を硬化させ得るエネルギー線を意味する。例えば、活性エネルギー光線は、300〜420nmの波長を有する紫外線であってもよい。活性エネルギー光線の光源としては、Arレーザー、He−Cdレーザーなどのレーザー;ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LED、水銀灯、蛍光灯などの照明などが挙げられ、レーザーが特に好ましい。光源としてレーザーを用いた場合には、エネルギーレベルを高めて造形時間を短縮することが可能であり、しかもレーザー光線の良好な集光性を利用して、造形精度の高い立体造形物を得ることができる。
上記したように、本発明の光造形用樹脂組成物を用いて光学的立体造形を行うに当たっては、従来公知の方法及び従来公知の光造形システム装置のいずれもが採用でき特に制限されないが、本発明で好ましく用いられる光学的立体造形法の代表例としては、光造形用樹脂組成物に所望のパターンを有する硬化層が得られるように活性エネルギー光線を選択的に照射して硬化層を形成する工程と、さらに未硬化液状の光造形用樹脂組成物を供給し、同様に活性エネルギー光線を照射して前記の硬化層と連続した硬化層を新たに形成して積層する工程とを繰り返すことによって最終的に目的とする立体造形物を得る方法が挙げられる。また、それによって得られる立体造形物はそのまま用いても、また場合によってはさらに光照射によるポストキュアあるいは熱によるポストキュア等を行って、その力学的強度あるいは形状安定性等を一層高いものとしてから使用するようにしてもよい。
本発明の光造形用樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率としては、0.3〜3.0GPaの範囲が好ましく、0.5〜2.5GPaの範囲がより好ましく、0.8〜2.0GPaの範囲がさらに好ましい。硬化物の曲げ弾性率が2.0GPa以下である場合、しなやかな性状となり、スプリントにした場合に歯への追従性が良いため装着感に優れ、また、夜間の睡眠時ブラキシズムなどによって脱落しにくいという効果が得られる。また、本発明の光造形用樹脂組成物の硬化物の曲げ強さとしては、30MPa以上が好ましく、40MPa以上がより好ましく、50MPa以上がさらに好ましい。
光学的立体造形法によって得られる立体造形物の構造、形状、サイズ等は特に制限されず、各々の用途に応じて決めることができる。本発明の光学的立体造形法の代表的な応用分野としては、設計の途中で外観デザインを検証するためのモデル;部品の機能性をチェックするためのモデル;鋳型を制作するための樹脂型;金型を制作するためのベースモデル;試作金型用の直接型等の作製等が挙げられる。より具体的には、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物、金型、母型等のためのモデルあるいは加工用モデル等の製作が挙げられる。
本発明は、本発明の効果を奏する限り、本発明の技術的思想の範囲内において、上記の構成を種々組み合わせた実施形態を含む。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変更が本発明の技術的思想の範囲内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。実施例又は比較例に係る光造形用樹脂組成物に用いた各成分を略号とともに以下に説明する。
[多環芳香族炭化水素化合物(A)]
NPA:2−ナフチルアクリレート(共栄社化学株式会社製)
NPMA:2−ナフチルメタクリレート(共栄社化学株式会社製)
[α,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)]
[単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)−1]
EPPA:エトキシ化−o−フェニルフェノールアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
POBA:m−フェノキシベンジルメタクリレート(共栄社化学株式会社製)
[ウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2]
後述の合成例1及び2により製造したウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2−1及び(B)−2−2を用いた。
[光重合開始剤(C)]
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド
BAPO:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド
[重合禁止剤]
BHT:3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン
<合成例1>[ウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2−1の製造]
(1)撹拌機、温度調節器、温度計及び凝縮器を備えた内容積5Lの四つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート250g、及びジラウリル酸ジ−n−ブチルスズ0.15gを添加して、撹拌下に70℃に加熱した。
(2)一方、ポリエステルポリオール(株式会社クラレ製「クラレポリオール(登録商標) P−2030」;イソフタル酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールからなるポリオール、重量平均分子量Mw2000)2500gを側管付きの滴下漏斗に添加し、この滴下漏斗の液を、上記(1)のフラスコ中に滴下した。なお、上記(1)のフラスコ中の溶液を撹拌しつつ、フラスコの内温を65〜75℃に保持しながら4時間かけて等速で滴下した。さらに、滴下終了後、同温度で2時間撹拌して反応させた。
(3)次いで、別の滴下漏斗に添加した2−ヒドロキシエチルアクリレート150gとヒドロキノンモノメチルエーテル0.4gとを均一に溶解させた液をフラスコの内温を55〜65℃に保持しながら2時間かけて等速で滴下した後、フラスコ内の溶液の温度を70〜80℃に保持しながら4時間反応させることにより、ウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2−1を得た。GPC分析によるウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2−1の重量平均分子量Mwは2700であった。
<合成例2>[ウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2−2の製造]
(1)撹拌機、温度調節器、温度計及び凝縮器を備えた内容積5Lの四つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート250g、及びジラウリル酸ジ−n−ブチルスズ0.15gを添加して、撹拌下に70℃に加熱した。
(2)一方、ポリエステルポリオール(株式会社クラレ製「クラレポリオール(登録商標) P−2050」;セバシン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールからなるポリオール、重量平均分子量Mw2000)2500gを側管付きの滴下漏斗に添加し、この滴下漏斗の液を、上記(1)のフラスコ中に滴下した。なお、上記(1)のフラスコ中の溶液を撹拌しつつ、フラスコの内温を65〜75℃に保持しながら4時間かけて等速で滴下した。さらに、滴下終了後、同温度で2時間撹拌して反応させた。
(3)次いで、別の滴下漏斗に添加した2−ヒドロキシエチルアクリレート150gとヒドロキノンモノメチルエーテル0.4gとを均一に溶解させた液をフラスコの内温を55〜65℃に保持しながら2時間かけて等速で滴下した後、フラスコ内の溶液の温度を70〜80℃に保持しながら4時間反応させることにより、ウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2−1を得た。GPC分析によるウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2−2の重量平均分子量Mwは2600であった。
[実施例1〜6及び比較例1〜5]
表1及び表2に示す分量で各成分を常温(20℃±15℃、JIS(日本工業規格) Z 8703:1983)下で混合して、実施例1〜6及び比較例1〜5に係る光造形用樹脂組成物としてのペーストを調製した。
<造形性>
各実施例及び各比較例に係る光造形用樹脂組成物について、光造形機(DWS社製 DIGITALWAX(登録商標) 020D)を用いて硬化させ、厚さ3.3mm×幅10.0mm×長さ64.0mmの試験片の造形を行った(n=5)。試験片として寸法通りのシートが造形可能であった場合を造形可能「○」とし、1回でも立体造形物が得られなかった場合を造形不可「×」とした。なお、造形された試験片を用いて後述の評価を行った。
<靭性(曲げ弾性率、曲げ強さ、破断点変位)>
各実施例及び各比較例に係る光造形用樹脂組成物の硬化物として、JIS T 6501:2012(義歯床用アクリル系レジン)に記載の、造形性の評価で使用した試験片(長さ64.0mm、幅10.0mm、厚さ3.3mm)を作製し、該試験片を空気中で1日保管後、曲げ強さ試験を行って評価し、これを初期値とした。すなわち、万能試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフAG−I 100kN)を用いて、クロスヘッドスピード5mm/minで曲げ試験を実施した(n=5)。測定値の平均値を表に示す。試験片の曲げ弾性率としては、0.3〜3.0GPaの範囲が好ましく、0.5〜2.5GPaの範囲がより好ましく、0.8〜2.0GPaの範囲がさらに好ましい。曲げ強さとしては、30MPa以上が好ましく、40MPa以上がより好ましく、50MPa以上がさらに好ましい。破断点変位としては、破断しないことが好ましい。最後まで破断しない、又は変位20mm以上で破断した場合を柔軟性が良好「○」とし、変位10mm超20mm未満で破断した場合を柔軟性が中程度「△」とし、変位10mm以下で破断した場合を柔軟性が悪い「×」とした。靭性としては、破断点変位の評価が「○」であり、曲げ弾性率が0.3〜3.0GPaの範囲であり、かつ曲げ強さが30MPa以上であるものを合格とした。
<耐水性>
靭性の測定で作製した硬化物と同様にして作製した、各実施例及び各比較例に係る光造形用樹脂組成物の硬化物について、37℃水中浸漬168時間後、上記曲げ試験と同様に、曲げ強さを測定した(n=5)。上記靭性における曲げ強さの測定結果を初期の曲げ強さとし、初期の曲げ強さに対する、37℃水中浸漬168時間後の曲げ強さの変化率(低下率)を算出した。曲げ強さの変化率(低下率)が10%以下であれば耐水性に優れ、7%以下であればより耐水性に優れる。算出した値の平均値を表に示した。
曲げ強さの変化率(低下率)(%)=〔{初期の曲げ強さ(MPa)−37℃水中浸漬168時間後の曲げ強さ(MPa)}/初期の曲げ強さ(MPa)〕×100
<臭気>
各実施例及び各比較例に係る光造形用樹脂組成物について、10人のパネラーで臭気を評価した(n=1)。10人のパネラーのうち、不快な臭気を感じた人が2人未満であったものを「○」、不快な臭気を感じた人が2人以上5人未満であったものを「△」、不快な臭気を感じた人が5人以上であったものを「×」とした。不快な臭気を感じなければ特に問題はない。
Figure 2021088150
Figure 2021088150
DCPA:ジシクロペンテニルアクリレート(日立化成株式会社製)
ACMO:N−アクリロイルモルホリン(KJケミカルズ株式会社製)
表1及び表2に示す通り、実施例1〜6における光造形用樹脂組成物は不快な臭気を発生せず、造形性に優れ、その硬化物は靭性及び耐水性に優れていた。特に、実施例1〜6に係る光造形用樹脂組成物の硬化物の靭性及び耐水性は、本発明の多環芳香族炭化水素化合物(A)を含有しない比較例1、及び3〜5に係る光造形用樹脂組成物の硬化物のものに比べて優れていた。比較例4、5に係る樹脂組成物の硬化物は、曲げ強さに優れるものの、適切な柔軟性を有しておらず、耐水性が顕著に劣っていた。多環芳香族炭化水素化合物(A)、及び単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)−1を含有しない比較例2に係る光造形用樹脂組成物は、造形性に劣り試験片を造形できずに各特性を測定できなかった。また、比較例3〜5に係る光造形用樹脂組成物では不快な臭気が発生していた。
本発明の光造形用樹脂組成物は、光造形によって造形したときに、造形しやすく、低臭気で、かつ靭性及び耐水性に優れた立体造形物を得ることができるため、その硬化物は、歯科材料(特に、歯科用マウスピース及び義歯床材料)等の口腔内用途に適している。

Claims (12)

  1. (メタ)アクリロイルオキシ基が直接結合した多環芳香族炭化水素化合物(A)、多環芳香族炭化水素を含有しないα,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含有する光造形用樹脂組成物。
  2. 前記(メタ)アクリロイルオキシ基が直接結合した多環芳香族炭化水素化合物(A)がナフタレンを含む化合物である、請求項1に記載の光造形用樹脂組成物。
  3. 前記(メタ)アクリロイルオキシ基が直接結合した多環芳香族炭化水素化合物(A)が単官能(メタ)アクリロイル基含有化合物である、請求項1又は2に記載の光造形用樹脂組成物。
  4. 前記多環芳香族炭化水素を有しないα,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)が、ウレタン結合を有しない単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)−1を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光造形用樹脂組成物。
  5. 前記ウレタン結合を有しない単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)−1が、芳香環を少なくとも1個有する単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物である、請求項4に記載の光造形用樹脂組成物。
  6. 前記多環芳香族炭化水素を有しないα,β−不飽和二重結合基含有化合物(B)が、ウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光造形用樹脂組成物。
  7. 前記ウレタン化(メタ)アクリル化合物(B)−2が、1分子内に、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ共役ジエン、及び水添ポリ共役ジエンからなる群より選ばれる少なくとも1種の構造、並びにウレタン結合、を含有する(メタ)アクリレートである、請求項6に記載の光造形用樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光造形用樹脂組成物の硬化物からなる、歯科材料。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光造形用樹脂組成物の硬化物からなる、歯科用マウスピース。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光造形用樹脂組成物の硬化物からなる、義歯床材料。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光造形用樹脂組成物の硬化物からなる、睡眠障害治療材料。
  12. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光造形用樹脂組成物を用いて、光学的立体造形法によって立体造形物を製造する方法。
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