JP2021087901A - 水処理用浄化剤の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温焼成を行うことなく、また、少ないバインダー添加量で、従って浄化成分の含有量を十分に確保して、水処理用浄化剤としての使用上、水中における十分な機械的強度を有すると共にアルカリ条件下でも使用可能な水処理用浄化剤を製造する。【解決手段】浄化成分及びアルミノケイ酸塩をコロイダルシリカ溶液と混合することで固化させる水処理用浄化剤の製造方法。浄化成分の粉末とアルミノケイ酸塩の粉末とを混合した後、得られた混合物とコロイダルシリカ溶液とを混合し、200℃以下の温度で乾燥、固化させる。【選択図】図1

Description

本発明は水処理用浄化剤の製造方法に関するものであり、特に水中の汚染物質の浄化成分から、その水質浄化能力を損なうことなく、水中で十分な強度を有する造粒体を作製する方法に関する。
二チタン酸カリウム等のチタン酸塩や、ケイチタン酸塩、含水酸化セリウム、鉄酸化物、マンガン酸塩は、水中の放射性物質を吸着除去する浄化成分として知られている。これらの浄化成分を水処理用浄化剤として用いる場合、その取り扱い性の観点からバインダーで造粒することが行われている。
このバインダーとして有機系バインダーを用いた場合、比較的低温の焼成で造粒、固化することができるが、放射性廃液処理などに適用する場合、有機系バインダーではバインダーの放射線劣化が懸念される。そのためバインダーとしては無機バインダーを用いることが求められる。
特許文献1には、二チタン酸カリウム等のチタン酸塩を、アタパルジャイト等の粘土鉱物をバインダーとして用いて造粒し、造粒物を500〜900℃で焼成する方法が記載されている。
しかし、特許文献1のように、粘土鉱物をバインダーとする方法では、500〜900℃といった高温焼成を必要とするため、結晶シリコチタネート系やマンガン酸系のような耐熱性の低い浄化成分を用いる場合、焼成の過程で浄化成分本来の吸着性能が損なわれるという問題がある。また、高温焼成のために製造コストが高くつくという問題もある。
浄化成分の吸着性能を維持するために焼成温度を下げると、水中で十分な機械的強度を有する浄化剤を製造することはできず、得られた浄化剤は水中に投入して一定時間浸漬すると崩壊してしまい、浄化剤由来の微粉が発生し、処理水の白濁、浄化機器の閉塞といった問題を引き起こす。
特許文献2には、この問題を解決するために、バインダーとしてカオリン等のアルミノケイ酸塩と好ましくは更に水ガラスを用いることで、高温焼成を行うことなく、水中における十分な機械的強度を有する水処理用浄化剤を製造する方法が提案されている。しかし、この方法で十分な強度を得るためには水ガラスの添加量を多くする必要がある。水ガラスの添加量を多くすると、相対的に浄化成分の含有割合が少なくなって吸着性能が低下する不具合がある。
特許文献3には、コロイダルシリカまたは水ガラスといったシリカ系バインダーを用いてチタン酸アルカリ金属塩の結晶性微粒子を造粒する方法が記載されているが、この方法でもバインダーの添加量を多くしないと十分な強度を得ることはできない。また、シリカ系バインダーは、アルカリ条件下で溶出するため、造粒した吸着剤をアルカリ条件下で使用することができないという問題もある。
特開2013−246145号公報 特願2019−38665号 特開2015−229122号公報
本発明は上記従来の問題点を解決し、高温焼成を行うことなく、また、少ないバインダー添加量で、従って浄化成分の含有量を十分に確保して、水処理用浄化剤としての使用上、水中における十分な機械的強度を有すると共にアルカリ条件下でも使用可能な水処理用浄化剤を製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、浄化成分に粉末バインダーとしてアルミノケイ酸塩を混合し、これにコロイダルシリカ溶液を加えて混合することで高温焼成を行うことなく、比較的少ないバインダー量で、十分な強度を有し、アルカリ条件下でも使用可能な水処理用浄化剤を得ることができることを見出した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 浄化成分及びアルミノケイ酸塩をコロイダルシリカ溶液と混合することで固化させることを特徴とする水処理用浄化剤の製造方法。
[2] 前記浄化成分が、シリコチタネート、ケイチタン酸塩、チタン酸塩、含水酸化セリウム、鉄酸化物、及びマンガン酸塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である[1]に記載の水処理用浄化剤の製造方法。
[3] 前記アルミノケイ酸塩が、カオリン、ムライト、イライト、長石、及びゼオライトよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を含む[1]又は[2]に記載の水処理用浄化剤の製造方法。
[4] 前記アルミノケイ酸塩が、焼成又はメカノケミカル処理を施した焼成アルミノケイ酸塩である[1]ないし[3]のいずれかに記載の水処理用浄化剤の製造方法。
[5] 前記浄化成分に対して前記アルミノケイ酸塩を0.5〜10質量%混合する[1]ないし[4]のいずれかに記載の水処理用浄化剤の製造方法。
[6] 前記コロイダルシリカ溶液を固形分として前記浄化成分に対して5〜30質量%混合する[1]ないし[5]のいずれかに記載の水処理用浄化剤の製造方法。
[7] 前記浄化成分の粉末と前記アルミノケイ酸塩の粉末とを混合した後、得られた粉末混合物と前記コロイダルシリカ溶液とを混合する[1]ないし[6]のいずれかに記載の水処理用浄化剤の製造方法。
[8] 前記浄化成分、アルミノケイ酸塩及びコロイダルシリカ溶液の混合物を200℃以下の温度で乾燥、固化させる[1]ないし[7]のいずれかに記載の水処理用浄化剤の製造方法。
[9] 前記浄化成分、アルミノケイ酸塩及びコロイダルシリカ溶液の混合物を成形した後、乾燥、固化させることにより、平均粒子径100〜3000μmの水処理用浄化剤を製造する[1]ないし[8]のいずれかに記載の水処理用浄化剤の製造方法。
本発明によれば、以下のような優れた効果が奏される。
(1) 高温焼成を行うことなく、水中における十分な機械的強度を有する水処理用浄化剤を製造することができる。
このため、耐熱性の低い浄化成分であっても、本来の吸着性能(分配係数や飽和吸着量等)を損なうことなく、また、水中での使用時に崩壊することなく優れた浄化性能を発揮する水処理用浄化剤を得ることができる。
このように、高温焼成を行う必要がなく、低温での乾燥処理のみで十分な機械的強度を有する水処理用浄化剤を製造することができるため、焼成コストを削減して水処理用浄化剤を安価に提供することができる。
(2) 少ないバインダー添加量で十分な強度を有する水処理用浄化剤を製造することができるため、水処理用浄化剤中の浄化成分含有量を多くすることで、吸着性能に優れた水処理用浄化剤とすることができる。
例えば、特許文献2の方法で水ガラスとアルミノケイ酸塩を用いて固化する場合、得られる水処理用浄化剤中の、水ガラスとアルミノケイ酸塩の含有量として固体質量割合で約30〜40質量%添加することで、十分な強度が得られるが、この場合には、水処理用浄化剤中の浄化成分の割合は60〜70質量%と低くなってしまう。
一方で、本発明により水ガラスの代わりにコロイダルシリカ溶液を用い、コロイダルシリカ溶液とアルミノケイ酸塩で固化する場合、得られる水処理用浄化剤中にこれらの合計で20〜25質量%の割合で添加することで(従って、水処理用浄化剤中の浄化成分含有量は75〜80質量%)、非常に高い強度(水ガラスとアルミノケイ酸塩を50質量%添加したときと同程度の強度)を得ることができる。
(3) 本発明により製造された水処理用浄化剤は、アルカリ条件下でもバインダー成分の溶出が少なく、強度を十分に維持することができるため、アルカリ条件下での使用も可能である。
例えば、後述のシリカ溶出評価に示されるように、特許文献3のように、コロイダルシリカのみで造粒したサンプルと、本発明によりコロイダルシリカ溶液とアルミノケイ酸塩を用いて造粒したサンプルをそれぞれカラムに充填し、pH12程度のアルカリ水溶液を通水した場合、本発明品では溶出するシリカ濃度が約10〜50%低減する。これによりアルカリ条件下での耐久性が向上していることが分かる。
実施例1及び比較例4の水処理用浄化剤サンプルの吸着性能評価における液中Sr濃度の経時変化を示すグラフである。 実施例1及び比較例4の水処理用浄化剤サンプルのシリカ溶出評価におけるカラム出口水のシリカ濃度の経時変化を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであって、何ら本発明を限定するものではなく、本発明はその要旨を超えない範囲において、以下の実施形態に開示される各要素を種々変更して実施することができる。
本発明の水処理用浄化剤の製造方法は、浄化成分及びアルミノケイ酸塩をコロイダルシリカ溶液と混合することで固化させることを特徴とする。
<メカニズム>
本発明により、コロイダルシリカに加えてアルミノケイ酸塩を併用することで、少ないバインダー成分で固化させることができ、また、アルカリ条件下でのシリカの溶出を抑制できるメカニズムについては以下の通り考えられる。
即ち、メカノケミカル処理を施したアルミノケイ酸塩は、アルカリ性雰囲気下においてその表面がガラス化し、焼成を行うことなく、浄化成分を結着することができる。
また、アルカリ性雰囲気下においてアルミノケイ酸塩からAlイオンが溶出し、溶出したAlイオンがコロイダルシリカに含まれるモノケイ酸と反応し、アルミニウムを介したケイ酸の脱水縮合反応により、3次元構造のジオポリマーを形成し、結着力がより高められ、アルカリ条件下でのシリカの溶出も抑制される。
特に、アルミノケイ酸塩として焼成アルミノケイ酸塩やメカノケミカル処理を施した焼成アルミノケイ酸塩を用いることで、ガラス化やジオポリマー化を促進し、より強固に決着することが可能となる。
<浄化成分>
本発明で用いる浄化成分には特に制限はないが、例えば、シリコチタネート、ケイチタン酸塩、チタン酸塩、含水酸化セリウム、鉄酸化物、マンガン酸塩、その他金属酸化物や金属含水酸化物などが挙げられる。
これらのうち、放射性ストロンチウム、放射性セシウム等の放射性物質の吸着能を有し、放射性物質を含む水の浄化に有用であることから、シリコチタネート、ケイチタン酸塩、チタン酸塩、含水酸化セリウム、鉄酸化物、マンガン酸塩が好ましい。
シリコチタネート、特に、結晶性シリコチタネートは、一般式RTiSiO・2HOで表されるものであり、RはK及びNaの一方又は双方である。なお、Tiの一部がNbで置換されていてもよい。Nb/Tiモル比は1.5以下であることが好ましい。結晶性シリコチタネートは、Al,Zr,Fe及びCeの少なくとも1種を含んでいてもよい。
結晶性シリコチタネートは結晶水を有していてもよい。
ここで、結晶性とは、X線回折チャートにおいて、シリコチタネートのメインピークが観察されることをいう。
ケイチタン酸塩としては、結晶性ケイチタン酸塩、V(バナジウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、W(タングステン)またはMo(モリブデン)をドープしたケイチタン酸塩を用いることができる。
チタン酸塩としては、チタン酸アルカリ金属塩、特に層状の結晶構造を持つチタン酸アルカリ金属塩が好ましく、例えば二チタン酸カリウム(KTi)、三チタン酸ナトリウム(NaTi)、四チタン酸カリウム(KTi)などが挙げられる。
含水酸化セリウムとしては、酸化セリウム、焼成水酸化セリウム、塩化セリウムから生成した水酸化物などが挙げられる。
鉄酸化物としては、鉄塩から生成した水酸化鉄、赤鉄鉱、磁鉄鉱、針鉄鉱、褐鉄鉱などが挙げられる。
マンガン酸塩としては、層状の結晶構造もしくはトンネル状の結晶構造を有しているマンガン酸金属塩が望ましい。例えばマンガン酸ナトリウム(NaMn)などが挙げられる。
これらの浄化成分は平均粒子径が1〜150μmの範囲にある粉末状であることが好ましい。ここで、平均粒子径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置により測定することができる。アルミノケイ酸塩の平均粒子径はより微細な0.1〜15μmの範囲にある粉末状であることが好ましい。
浄化成分の平均粒子径が1〜150μmの範囲であれば、吸着容量も高く、また、造粒工程におけるハンドリング性にも優れる。即ち、平均粒子径が1μm以上であれば、飛散や静電気による容器付着など製造上の難点が生じることがなく、また、平均粒子径が150μm以下であれば、比表面積の低下で吸着容量が低下することもない。
従って、本発明においては、このような粒子径の浄化成分を用いることが好ましい。浄化成分の平均粒子径は、より好ましくは4〜50μmである。
これらの浄化成分は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<アルミノケイ酸塩>
本発明では、バインダーとしてコロイダルシリカ溶液と共にアルミノケイ酸塩を用いることを特徴とする。
アルミノケイ酸塩としては、カオリン、ムライト、イライト、長石、ゼオライト、フライアッシュ、その他Alを含む鉱物、好ましくはカオリン、ムライト、イライト、長石、ゼオライトから選ばれる1種又は2種以上の成分を含むもの、特にカオリンを含むものが好ましく用いられるが、特に浄化成分の結着力に優れることから、焼成アルミノケイ酸塩、メカノケミカル処理を施した焼成アルミノケイ酸塩、とりわけ焼成カオリン(メタカオリン)、メカノケミカル処理を施したカオリン、或いはメカノケミカル処理を施した焼成カオリンを用いることが好ましい。
これらのアルミノケイ酸塩の平均粒子径は通常4〜50μm程度である。
バインダーとしてのカオリン等のアルミノケイ酸塩は、浄化成分に対して0.5〜10質量%、特に2〜7質量%の割合で用いることが好ましい。アルミノケイ酸塩の添加量が少ないと得られる水処理用浄化剤の強度が十分でない傾向があり、多過ぎると相対的に浄化成分の含有量が少なくなって、浄化性能が低下する傾向がある。
<コロイダルシリカ溶液>
コロイダルシリカ溶液としては、市販のコロイダルシリカの水分散体を用いることができる。このコロイダルシリカ溶液のシリカ濃度(固形分濃度)は特に制限はないが、通常30〜50質量%程度であり、通常コロイダルシリカ溶液はpH9〜11程度のアルカリ性である。
また、コロイダルシリカ溶液中のシリカ粒子の平均粒子径は通常10〜20nm程度である。
コロイダルシリカ溶液は、固形分として、浄化成分に対して5〜30質量%、特に18〜26質量%の割合で用いることが好ましい。コロイダルシリカ溶液の添加量が少ないと得られる水処理用浄化剤の強度が十分でない傾向があり、多過ぎると相対的に浄化成分の含有量が少なくなって、浄化性能が低下する傾向がある。
また、コロイダルシリカ溶液は、固形分として、アルミノケイ酸塩に対して3〜8質量倍用いることが好ましく、本発明では、アルミノケイ酸塩とコロイダルシリカとの併用による固化強度向上効果で、水処理用浄化剤中のバインダー成分含有量を少なくして浄化成分含有量を65質量%以上、例えば75〜85質量%程度に高めることが好ましい。
<アルカリ剤>
浄化成分にアルミノケイ酸塩の結着力を作用させるために、浄化成分とバインダー成分との混合系内はアルカリ性であることが好ましく、コロイダルシリカ溶液のみではアルカリ性が不足する場合には、必要に応じてNaOHやKOH等のアルカリ剤を添加してもよい。
アルカリ剤は水溶液として添加しても固体状(粉末状)で添加してもよい。
必要に応じてアルカリ剤を添加することにより、本発明における混合系内のアルカリ水モル比(R/HO)を0.06〜0.2程度、より好ましくは0.1〜0.15程度とすることが好ましい。
<可塑剤>
本発明においては、浄化成分に必要に応じて可塑剤を混合してもよい。
可塑剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)等の水溶性高分子の1種又は2種を用いることができる。これらのうち、水を多く含ませることができる観点からカルボキシメチルセルロースを用いることが好ましい。
可塑剤を用いる場合、可塑剤は、浄化成分に対して0.5〜5質量%、特に1〜3質量%用いることが好ましい。可塑剤の混合量が上記範囲内であれば、優れた造粒成形性を得ることができる。
<混合手順>
本発明の水処理用浄化剤の製造方法では、浄化成分とアルミノケイ酸塩とは粉末の状態で混合し、この粉末混合物にコロイダルシリカ溶液を混合することが好ましい。また、アルカリ剤を用いる場合は、浄化成分とアルミノケイ酸塩との粉末混合物にアルカリ剤水溶液を添加して混合し、更にコロイダルシリカ溶液を混合することが好ましい。
このような混合手順とすることで、各成分を均一に混合して十分な結着力を有する水処理用浄化剤を得ることができる。
コロイダルシリカ溶液やアルカリ剤水溶液として混合系に持ち込まれる水の量は、本発明における混合を乾式で行うか、湿式で行うかによっても異なるが、乾式の場合は、粉末材料である浄化成分及びアルミノケイ酸塩が湿る程度(浄化成分に対して水が3〜10質量%程度)でよい。湿式の場合は、ペースト状の混合物となる程度(浄化成分に対して水が10〜20質量%程度)が好ましい。
<成形>
上記の通り、浄化成分にアルミノケイ酸塩とコロイダルシリカ溶液、必要に応じてアルカリ剤を混合することで、焼成を行うことなく、低温での乾燥のみでアルミノケイ酸塩とコロイダルシリカの結着作用で浄化成分を固化させることができる。
この固化に先立ち、混合物を成形してもよい。また、造粒による成形を行ってもよく、成形、固化後に粉砕、整粒してもよい。
成形方法としては、湿式混合で得られた混合物であれば、型に流し込んで成形する方法が挙げられる。また、乾式混合で得られた混合物であれば、圧縮成形等により適当な大きさに成形したり、造粒したりする方法が挙げられる。
造粒法としては、特に制限はなく、転動造粒法、又は押出造粒機を用いて柱状造粒物とした後、マルメライザーなどの成形機を用いて球状に成形する押出造粒法が挙げられる。特に、造粒物の密度を上げる観点から押出造粒法が好ましい。押出造粒機であれば、混練と造粒を同時に行うことができ、好ましい。
造粒等により得られる成形物の形状としては、球状が好ましいが、柱状、盤状、その他の形状であってもよい。
成形物の平均粒子径は好ましくは100〜3000μm、より好ましくは300〜2000μmである。この成形物の大きさが上記範囲よりも大きいと、表面積が小さくなってしまうため、浄化性能が低下し、小さいと吸着塔等のストレーナーからリークしたり、吸着塔の差圧が上昇したりするおそれがある。
なお、ここで、成形物の粒子径とは、成形物が球状であればその直径に該当し、その他の形状の場合、当該成形物と同等の体積を有する球の直径をさす。
また、造粒物等の成形物は、粒子径のバラツキが少なく粒子径が揃ったものであることが好ましく、均等係数(試料の粒度加積曲線において、全試料の60%が通過する試料の粒子径と10%が通過する試料の粒子径の比)が2以下、特に1〜1.5であることが好ましい。このように均等係数の小さい成形物を得るために、例えば、造粒により得られた造粒物を、乾燥前に又は乾燥後に、常法に従って分級・整粒する分級・整粒工程を行うことが好ましい。
<乾燥固化>
浄化成分及びアルミノケイ酸塩とコロイダルシリカ溶液、必要に応じてアルカリ剤の混合物の固化は、この混合物を必要に応じて成形ないし造粒した後、乾燥させることで行うことができる。
この乾燥は、乾燥器等を用いて室温(20℃程度)〜200℃の温度で30min〜24h、養生、乾燥させることで行うことができ、これにより、水処理用浄化剤としての使用に十分な機械的強度を有する水処理用浄化剤を得ることができる。
なお、一般的に、乾燥温度を高くするよりも乾燥時間を長くする方が、機械的強度の高い水処理用浄化剤を得ることができる傾向があり、この観点から、乾燥条件としては80〜150℃で3〜24hとすることが好ましい。
<水処理用浄化剤>
本発明の水処理用浄化剤の製造方法により製造された水処理用浄化剤は、結晶性シリコチタネート等の浄化成分本来の浄化性能が損なわれることなく、アルミノケイ酸塩とコロイダルシリカによる結着力で十分な機械的強度を示すものであり、吸着塔等に充填して高い浄化性能を発揮することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
以下の実施例及び比較例で用いた原材料は以下の表1に示す通りである。
Figure 2021087901
なお、以下において、「インド産焼成メタカオリン」を単に「インド品」と記載し、「中国産焼成メタカオリン」を単に「中国品」と記載し、「中国産焼成メタカオリンのメカノケミカル処理品」を「中国(摩砕)品」と記載する。
[実施例1〜5、比較例2〜5]
以下の手順でそれぞれ水処理用浄化剤サンプルを製造した。
(1) 浄化成分(結晶性シリコチタネート)20gを測り取り、表2に示す所定量の粉末バインダーと混合し、ムラのないよう良く攪拌混合した(ただし、比較例4では粉末バインダー使用せず)。
(2) 攪拌混合しながら表2に示す所定量のシリカバインダーを徐々に添加し、混練して、スラリー状とした。
(3) 上記スラリーを乾燥器の中で110℃で24時間保持し、乾燥固化した。
(4) 得られた固化体を粉砕機により粉砕し、ふるい分けにより分級し、粒径300〜1000μmのものを水処理用浄化剤サンプルとした。
なお、後掲の表2には、各々の水処理用浄化剤サンプル中のバインダー成分の固体重量割合と、浄化成分とバインダー成分との混合系内のpHを示す。
[比較例1]
二チタン酸カリウム粉末400gに対して、バインダーとしてアタパルジャイトを20質量%、可塑剤として7質量%ポリビニルアルコール溶液200gを添加して混錬した。得られた混錬物を押出造粒し、造粒物を800℃で2時間焼成して水処理用浄化剤サンプルとした。
[強度評価]
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られた水処理用浄化剤サンプルに対して、水中での振盪による崩壊度合いを測定し、強度評価を行った。
強度評価試験の手順を以下に示す。
(1) サンプル5g(乾燥質量)を純水45mLと混合した。
(2) これを18時間振盪した。
(3) 振盪後、孔径100μmの篩で濾し、篩上に残留した浄化剤サンプルに付着した微粉を純水で洗い流した。
(4) (3)を乾燥させ、篩上に残留した浄化剤サンプルの質量を測定した。
(5) 試験に供したサンプルに対する篩上に残留したサンプルの質量割合を百分率で算出し、強度の指標とした。
表2に各サンプルの強度評価試験結果を示す。
粘土バインダーを用いた高温焼成による造粒(比較例1)では、強度86.5%を示したのに対し、実施例1〜5では90%以上の値を示しており、より高い強度が得られた。
また、水ガラスを用いた無焼成造粒(比較例2、3)では、比較例1よりも高い強度を得るためにはバインダーの添加量を30質量%程度以上とする必要があった。この結果から、実施例1〜5は、比較例2、3に比べ、水処理用浄化剤中の浄化成分の割合を高めることが可能であり、より吸着性能を向上させることが可能であることが分かる。
コロイダルシリカのみを用いた無焼成造粒である比較例4の強度は、実施例1〜5よりもやや低い値を示したものの、比較例1を上回る結果となった。しかし、コロイダルシリカのみで造粒した場合、後述の通り、アルカリ条件下でのシリカの溶出が問題となる。
比較例5では“コロイダルシリカ”ではない“非晶質シリカ”を用いており、非晶質シリカでは脱水縮合反応が起こらず十分な結着力が得られなかった。
Figure 2021087901
[吸着性能評価]
シリカバインダーのみを用いた比較例4の水処理用浄化剤サンプルと、シリカバインダーとメタカオリンとを用いた実施例1の水処理用浄化剤サンプルについて、以下の手順で分配係数を測定し、Srの吸着性能を評価した。
(1) Sr濃度(初期Sr濃度)が100mg/Lとなるように、SrCl・6HOを用いて回分試験原水を調製した。
(2) 上記回分試験原水に、各水処理用浄化剤サンプルを10g/Lの固液比で添加し、10min、30min、1h、2h、4h、1日、2日間、5日間それぞれ振盪した。
(3) 振盪後、上澄み水を孔径0.45μmのメンブレンフィルタで濾過し、濾液についてICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析計)によりSr濃度(平衡Sr濃度)を測定し、液中Sr濃度の経時変化から、吸着速度を評価した。
また、以下の式により、平衡時(日間経過後)のSrの分配係数を算出した。
分配係数[mL/g]=吸着量[mg/g]/平衡Sr濃度[mg/L] ×1000
液中Sr濃度の経時変化を図1に示す。
図1の通り、液中Sr濃度は約240min(4h)の振盪で平衡に達し、実施例1では0.1mg/L未満まで処理可能であった。また、240minまでの液中Sr濃度の低下速度を比較すると、比較例4に比べて実施例1のほうが速かった。
また得られた試験データより、平衡到達時(5日振盪時)の分配係数を計算した。結果を表3に示す。
表3に示す通り、比較例4に対して実施例1のほうが、約3倍大きい分配係数を示しており、高い吸着性能が得られた。
Figure 2021087901
[シリカ溶出評価]
シリカバインダーのみを用いた比較例4の水処理用浄化剤サンプルと、シリカバインダーとメタカオリンとを用いた実施例1の水処理用浄化剤サンプルについて、以下の手順でアルカリ条件下でのシリカの溶出試験を行い、その挙動を調べた。
(1) 各水処理用浄化剤サンプル約3mLをカラムに充填した。
(2) 空塔速度が約10/hとなるように、NaOHでpH約12とした水を通水した。
(3) カラム出口の水を定期的にサンプリングし、シリカ濃度の経時変化を測定した。
(4) 約200BV(600mL)通水した時点で試験を終了した。なお試験終了時の処理水をサンプリングし、目視にて白濁度合いを確認した。
通水量に対するカラム出口水のシリカ濃度変化を図2に示す。尚図2の横軸の単位“BV”はBed Volumeを意味し、浄化剤充填体積に対して何倍の水量を通水したかを意味する。
図2より、実施例1の水処理用浄化剤サンプルでは比較例4の水処理用浄化剤サンプルに対し、シリカの溶出濃度が約100mg/L程度低い値で推移した。これより、シリカバインダーに加えてメタカオリンを添加することで、シリカの溶出が抑制されることが明らかとなった。
また、試験終了時の処理水を目視観察したところ、約200BV通水後、実施例1の水処理用浄化剤サンプルを用いた処理水には白濁は確認されず清澄性を保っていたが、比較例4の水処理用浄化剤サンプルを用いた処理水では白濁が確認された。
この結果からも、アルカリ条件に対して、シリカバインダーのみの比較例4の水処理用浄化剤サンプルは不適当であり、実施例1の水処理用浄化剤サンプルのようにシリカバインダーに加えてメタカオリンを添加することで、耐アルカリ性が向上することが分かる。

Claims (9)

  1. 浄化成分及びアルミノケイ酸塩をコロイダルシリカ溶液と混合することで固化させることを特徴とする水処理用浄化剤の製造方法。
  2. 前記浄化成分が、シリコチタネート、ケイチタン酸塩、チタン酸塩、含水酸化セリウム、鉄酸化物、及びマンガン酸塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の水処理用浄化剤の製造方法。
  3. 前記アルミノケイ酸塩が、カオリン、ムライト、イライト、長石、及びゼオライトよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を含む請求項1又は2に記載の水処理用浄化剤の製造方法。
  4. 前記アルミノケイ酸塩が、焼成又はメカノケミカル処理を施した焼成アルミノケイ酸塩である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水処理用浄化剤の製造方法。
  5. 前記浄化成分に対して前記アルミノケイ酸塩を0.5〜10質量%混合する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水処理用浄化剤の製造方法。
  6. 前記コロイダルシリカ溶液を固形分として前記浄化成分に対して5〜30質量%混合する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の水処理用浄化剤の製造方法。
  7. 前記浄化成分の粉末と前記アルミノケイ酸塩の粉末とを混合した後、得られた粉末混合物と前記コロイダルシリカ溶液とを混合する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の水処理用浄化剤の製造方法。
  8. 前記浄化成分、アルミノケイ酸塩及びコロイダルシリカ溶液の混合物を200℃以下の温度で乾燥、固化させる請求項1ないし7のいずれか1項に記載の水処理用浄化剤の製造方法。
  9. 前記浄化成分、アルミノケイ酸塩及びコロイダルシリカ溶液の混合物を成形した後、乾燥、固化させることにより、平均粒子径100〜3000μmの水処理用浄化剤を製造する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の水処理用浄化剤の製造方法。
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