JP7145020B2 - 浄化材 - Google Patents
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このような重金属吸着剤において、非晶質チタノシリケート化合物は、かなり高価であるという問題があり、一方、ゼオライト系のものは、細孔が発達しておらず、流水から重金属を捕捉するという点では不十分である。
銀圧入法で測定した細孔半径110000~32Åでの細孔容積が0.7mL/g以上の
範囲にあり、前記ゼオライトを20~95質量%の量で含有している粒状物から成り、水から鉛を吸着除去することを特徴とする浄化材が提供される。
(1)前記ゼオライトと、シリカマグネシアと、スメクタイト系粘土とを下記式:
20≦Zw≦90、
5≦Sw≦55、
5≦Cw≦55
式中、Zw、Sw、Cwはそれぞれ、前記3成分の含有量の合計に対するゼオライト
の割合(質量%)、シリカマグネシアの割合(質量%)、スメクタイト系粘土の割合(質
量%)である、
を全て満たす範囲で含有していること、
(2)前記ゼオライトがNa-X型ゼオライトであること、
(3)前記シリカマグネシアが、シリカ成分とマグネシア成分とを、下記式:
R=Sm/Mm
式中、Smは、SiO2換算でのシリカ成分の含有量(質量%)であり、
Mmは、MgO換算でのマグネシア成分の含有量(質量%)である、
で表される質量比Rが1.3~3.0となる範囲で含有していること、
(4)下記式:
Zw≦Sw+4Cw
式中、Zw、Sw、Cwはそれぞれ、前記ゼオライトと、シリカマグネシア又はスメクタイト系粘土の2乃至3成分の含有量の合計に対する、ゼオライトの割合(質量%)、シリカマグネシアの割合(質量%)、スメクタイト系粘土の割合(質量%)である、
を満たすこと、
(5)前記浄化材と活性炭とからなり、該浄化材を、活性炭100質量部当り1
~30質量部の量で含有している水浄化材であること、
(6)前記水浄化材を組み込んだことを特徴とする浄水器。
が好ましい。
本発明においては、重金属吸着能に優れている主材として、ゼオライトを用いる。本発明で用いるゼオライトは、分子の大きさを識別できる独特な三次元構造の結晶性アルミノシリケートであり、分子ふるい作用やイオン交換性を示すことから、いわゆるモレキュラーシーブと呼ばれる物質群であり、合成品又は天然品のいずれであってもよい。これらのゼオライトとしては、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライトなどがあげられ、通常は結晶形、粒子径等のコントロールの点からみて合成品の方が優れている。
本発明においては特に、重金属吸着能の観点から、X型ゼオライトが好ましく、また、Na+を含むことが好ましく、Na-X型ゼオライトが好適に用いられる。
また、上記範囲でゼオライトを含む場合、ゼオライトと、シリカマグネシア又はスメクタイト系粘土の2乃至3成分の含有量の合計に対する、ゼオライトの割合Zw(質量%)、シリカマグネシアの割合Sw(質量%)、スメクタイト系粘土の割合Cw(質量%)とすると、各成分の関係は下記式:
20≦Zw≦95、
5≦Sw+Cw≦80
で表され、重金属に対する吸着性と粒子強度の観点から、Zwの下限について、好ましくは30≦Zw、特に好ましくは45≦Zw、最も好ましくは55≦Zwであり、また、Zwの上限について、好ましくはZw≦90、特に好ましくはZw≦80である。
本発明においては、粒子強度を確保するためのバインダーとして、シリカマグネシアを用いる。上記のシリカマグネシアは、シリカと酸化マグネシウム(マグネシア)とが一体化したものであり、シリカとマグネシアとが原子の組み換えや交換を伴う化学結合によるものではなく、それぞれの微細な粒子が物理的に分離しないレベルに緊密に接触した形態を取るものである。
R=Sm/Mm
式中、Smは、SiO2換算でのシリカ成分の含有量(質量%)であり、
Mmは、MgO換算でのマグネシア成分の含有量(質量%)である、
で表される質量比Rが0.1~50となる範囲で含有しており、特に、1.3~3.0となる範囲で含有していることが好適である。
本発明においては、上述したシリカマグネシアに代えて、あるいはシリカマグネシアとともに、バインダーとしてスメクタイト系粘土が使用される。本発明で用いるスメクタイトは、Si-Oの四面体層状構造を有するケイ酸塩鉱物であり、各種の天然或いは合成の粘土鉱物を使用することができる。例えばモンモリロナイト(酸性白土やベントナイトなど)、バイデライト、ノントロナイトなどのジオクタヘドラル型スメクタイト;サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、フライポンタイトなどのトリオクタヘドラル型スメクタイト;及びスチブンサイト等を例示することができ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用することもできる。本発明においては特に、前述したゼオライトと堅密に一体化した粒子が形成しやすいという観点から、基本層間にナトリウム等のアルカリ原子を含むジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土が好ましい。
20≦Zw≦90、
5≦Sw≦55、
5≦Cw≦55
式中、Zw、Sw、Cwはそれぞれ、前記3成分の含有量の合計に対するゼオライトの割合(質量%)、シリカマグネシアの割合(質量%)、スメクタイト系粘土の割合(質量%)である、
を全て満たす範囲で含有していることが好ましい。
本発明の浄化材は、ゼオライトとともにシリカマグネシアあるいはスメクタイト系粘土をバインダー成分として含んでいるが、係る浄化材は、水銀圧入法で測定した細孔半径110000~32Åの細孔(マクロポア)の容積が0.7mL/g以上、特に0.85mL/g以上の範囲にあるものでなければならない。ゼオライト自体は、このようなマクロポアの細孔容積が極めて低いが、本発明では、後述する方法により、マクロポアの容積が大きくなるように設定されているため、例えば、流水中での鉛等の重金属への高い吸着性が発現している。即ち、マクロポアの容積が大きいため、流水との接触面積が極めて大きく、その結果、ゼオライトの優れた重金属に対する吸着性能が如何なく発揮されているわけである。
上述した本発明の浄化材は、各原料成分を含むスラリーを調製し、このスラリーを用いてスプレー造粒し、次いで焼成することにより製造される。
上述したシリカマグネシアは、シリカとマグネシア(酸化マグネシウム)もしくはその水和物とを、水分の存在下で均質に混合して水性スラリーを調製する。この水性スラリーは、シリカマグネシアの形成成分である。即ち、水分の存在下、例えば水中での均質混合により、原料の一方であるシリカ(二酸化ケイ素)がコロイド粒子乃至微細凝集粒子(1次乃至2次粒子)まで解れる(微細粒子化)。他方のマグネシア(酸化マグネシウム)も、水中に投入されて撹拌もしくは粉砕されると、溶解は殆ど起こらないが、マグネシア粒子表面の部分的な水和により、その結晶(もしくは新たに生成した水和物の結晶)の一部分或いは全部が崩壊もしくは剥離して、マグネシア(酸化マグネシウム)及び/又は酸化マグネシウム水和物からなる微細な粒子となって水中に分散される(微細粒子化)。従って、このような水性スラリーから水分が除去されることにより、シリカとマグネシアが緊密に一体化されたシリカマグネシアが形成される。
Micromeritics社製AutoPore IV 9500を用いて水銀圧入法にて測定を行った。細孔直径が110000~32Åでの細孔容積は10~3500psiaの圧入量より求めた。
(株)島津製作所製微小圧縮試験機MCT-510を用いて各浄化材20点の粒子の圧縮強度を測定し、中央値を吸着剤の圧縮強度とした。
3gの浄化材と50gの活性炭とを混合して水浄化材を作製した。JIS S-3201(浄水器性能試験-溶解性鉛ろ過能力試験)に基づいて、鉛濃度が0.05mg/Lの試料水(硝酸鉛(II)水溶液)を調整し、流量3L/min(空塔速度1000h-1線速度LV=2.5cm/s)で上記水浄化材に通水した。浄化材の鉛吸着が破過し、濾過水の鉛濃度が試料水の20%を超えるまでに要した通水量(L/g)を破過寿命とした。
Malvern社製レーザ回折散乱式粒度分布測定機マスターサイザー3000を用いて、平均粒子径を測定した。
シリカ原料として市販の二酸化ケイ素(水澤化学工業(株)製)、マグネシア原料として市販の酸化マグネシウム(神島化学工業(株)製スターマグU)を用い、前記請求項4で定義した重量比(R)がR=2.0となるよう原料を量り取り、固形分濃度10%となるよう水に加え分散した。攪拌下、加熱により95℃まで昇温し、10時間かけて均質混合及び熟成を行った後室温まで放冷し、シリカマグネシアスラリーを得た。
Na-X型ゼオライト粉末(水澤化学工業(株)製、SiO2/Al2O3=2.6)を固形分濃度10%となるよう水に加え分散した。このスラリーをボールミルで平均粒子径0.9μmとなるまで粉砕し、ゼオライトスラリーを得た。
Na型ベントナイト(水澤化学工業(株)製ベンクレイMK-101)を固形分濃度10%となるよう水に少しずつ加え、ベントナイトスラリーを得た。
上記シリカマグネシアスラリー、ゼオライトスラリー、ベントナイトスラリーを、固形物換算でゼオライト重量:シリカマグネシア重量:ベントナイト重量=70:15:15となるよう混合し、大河原化工機(株)製スプレードライヤFOC-20を用いてスプレー造粒した後750℃で2時間焼成し、得られた造粒物を浄化材として評価した。
ゼオライト、シリカマグネシア、ベントナイト重量比と焼成温度を変化させた以外は、実施例1と同様にして造粒物を調製し、浄化材として評価した。その結果を表1に示す。
Ca-X型ゼオライト粉末(水澤化学工業(株)製、SiO2/Al2O3=2.6)とセピオライト(水澤化学工業(株)製エードプラスFF)を、ゼオライト:セピオライト=70:30(質量割合)となるよう混合し、水を噴霧しながら転動造粒機を用いて直径1mm程度の造粒物を得た。得られた造粒物を110℃で8時間乾燥した後、550℃で2時間焼成した。焼成品をサンプルミル(ハンマーミル型粉砕機)で粉砕した後、篩による分級を行い、75~250μmの粒子径のものを浄化材として評価した。その結果を表1に示す。
Claims (7)
- ゼオライトと、シリカマグネシア又はスメクタイト系粘土とを含み、この細孔容積は水銀圧入法で測定した細孔半径110000~32Åでの細孔容積が0.7mL/g以上の範囲にあり、前記ゼオライトを20~95質量%の量で含有している粒状物から成り、水から鉛を吸着除去することを特徴とする浄化材。
- 前記ゼオライトと、シリカマグネシアと、スメクタイト系粘土とを下記式:
20≦Zw≦90、
5≦Sw≦55、
5≦Cw≦55
式中、Zw、Sw、Cwはそれぞれ、前記3成分の含有量の合計に対するゼオライトの割合(質量%)、シリカマグネシアの割合(質量%)、スメクタイト系粘土の割合(質量%)である、
を全て満たす範囲で含有している請求項1に記載の浄化材。 - 前記ゼオライトがNa-X型ゼオライトである請求項1又は2に記載の浄化材。
- 前記シリカマグネシアが、シリカ成分とマグネシア成分とを、下記式:
R=Sm/Mm
式中、Smは、SiO2換算でのシリカ成分の含有量(質量%)であり、
Mmは、MgO換算でのマグネシア成分の含有量(質量%)である、
で表される質量比Rが1.3~3.0となる範囲で含有している請求項1~3のいずれかに記載の浄化材。 - 下記式:
Zw≦Sw+4Cw
式中、Zw、Sw、Cwはそれぞれ、前記ゼオライトと、シリカマグネシア又はスメクタイト系粘土の2乃至3成分の含有量の合計に対する、ゼオライトの割合(質量%)、シリカマグネシアの割合(質量%)、スメクタイト系粘土の割合(質量%)である、
を満たす請求項1~4に記載の浄化材。 - 請求項1~5の何れかに記載の浄化材と活性炭とからなり、該浄化材を、活性炭100質量部当り1~30質量部の量で含有している水浄化材。
- 請求項6に記載の水浄化材を組み込んだことを特徴とする浄水器。
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