JP2021075493A - Oled素子形成用組成物及びoled素子 - Google Patents

Oled素子形成用組成物及びoled素子 Download PDF

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Abstract

【課題】素子の効率が十分に高く、溶解性が高い発光材料の提供。【解決手段】ピレン骨格を有する芳香族アミン誘導体であって、例えば下記化合物1で表される芳香族アミン誘導体。前記芳香族アミン誘導体を含有する有機電界発光素子用発光材料。【選択図】図1

Description

本発明は、OLED素子形成用組成物及びOLED素子に関する。
近年、薄膜型の電界発光素子としては、無機材料を使用したものに代わり、有機薄膜を
用いた有機電界発光素子の開発が行われるようになっている。有機電界発光素子(OLE
D)は、通常、陽極と陰極の間に、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層な
どを有し、この各層に適した材料が開発されつつあり、発光色も赤、緑、青と、それぞれ
に開発が進んでいる。また、従来の蒸着型と比較して材料利用効率が高く、製造コストを
下げることができる塗布型OLEDの研究が進められている。
特に、中小型の高精細のディスプレイを作成する場合、塗布液量を減少させながら、同
じ膜厚を塗布する為、インク材料により高い溶解性が求められている。
しかしながら、青色発光素子は、低効率、短寿命であることが問題となっており、さら
に溶媒対して高い溶解性を有する化合物が少ないことが、塗布型OLEDの開発の妨げと
なっていた。
特許文献1には、ピレン骨格を有する発行材料が開示されている。
WO2010−122810
特許文献1に開示された発光材料は、素子の効率が十分に高くない。また、塗布型OL
EDの材料としては、溶解性の観点から改善の余地がある。
本発明では、素子の効率が十分に高く、溶解性が高い発光材料の提供を課題とした。
本発明者が鋭意検討した結果、窒素原子上の芳香環の2位にアルキル基を導入すると同
時に、さらに同芳香環に炭素数4以上のアルキル基を導入することで、素子の効率の向上
と高い溶解性を併せ持った化合物が得られることがわかった。この有機化合物を用いる事
により塗布型有機電界発光素子、とりわけ、高効率かつ長寿命なデバイスを得ることがで
きることがわかり、本発明に到達した。すなわち本発明の概要は以下の通りである。
下記式(1)で表される芳香族アミン誘導体。
Figure 2021075493
[式(1)中、R〜Rは、炭素数10以下のアルキル基を表し、Am〜Amは、
各々独立に下記一般式(2)で表される置換基を表す。
Figure 2021075493
式(2)中、アスタリクス(*)は、式(1)との結合を表し、Xは、酸素原子、硫黄
原子、または−C(R)(R)−のいずれかを表し、Rは、炭素数10以下の直鎖
状のアルキル基を表し、Rは炭素数4以上10以下のアルキル基を表し、R〜R
炭素数10以下のアルキル基、または炭素数20以下の芳香環基を表す。nは0から4の
整数を表し、mは0から3の整数を表す。R〜Rは、置換基を有していても良い。]
[2]置換基Rの置換位置が窒素原子に対して、メタ位またはパラ位である[1]に記
載の芳香族アミン誘導体。
[3]前記Xが酸素原子である[1]または[2]に記載の芳香族アミン誘導。
[4][1]から[3]のいずれかに記載の芳香族アミン誘導を含有する有機電界発光素
子用発光材料。
[5][4]に記載の有機電界発光素子用発光材料と、沸点が150度以上の溶媒を2種
以上含むOLED用組成物。
本発明によれば、素子の効率が十分に高く、溶解性が高い発光材料を提供することがで
きる。
本発明の有機電界発光素子の構造例を示す断面の模式図である。
下に、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定され
るものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形して実施することができる。
本発明において、単に「複素環」又は「炭化水素環」と称した場合には、芳香族性を有
する環及び芳香族性を有しない環のいずれをも含むものとする。
本発明において、単に「芳香環」と称した場合には、炭化水素芳香環及び複素芳香環のい
ずれも含むものとする。
本発明において、「置換基を有していてもよい」とは、置換基を1以上有していてもよい
ことを意味するものとする。
<発光材料>
本発明の一形態である発行材料は、下記式(1)で表される芳香族アミン誘導体である
Figure 2021075493
[式(1)中、R〜Rは、炭素数10以下のアルキル基を表し、Am〜Amは、
各々独立に下記一般式(2)で表される置換基を表す。
Figure 2021075493
式(2)中、アスタリクス(*)は、式(1)との結合を表し、Xは、酸素原子、硫黄
原子、または−C(R)(R)−のいずれかを表し、Rは、炭素数10以下の直鎖
状のアルキル基を表し、Rは炭素数4以上10以下のアルキル基を表し、R〜R
炭素数10以下のアルキル基、または炭素数20以下の芳香環基を表す。nは0から4の
整数を表し、mは0から3の整数を表す。R〜Rは、置換基を有していても良い。]
本発明の下記一般式(1)で表される化合物は、ピレン骨格の1,6位にアルキル基を
有している。さらにアミン上のフェニル環の2位および同芳香環に炭素数が4以上のアル
キル基が導入されていることで溶解性を増加されており、また、公知例の点が素子の効率
向上の観点からも重要な役割を果たしていると考えられる。特にアルキル基を炭素数4以
上にすることが、会合を押さえ、高い溶解性与えている。
<R〜R
式(1)中、R〜Rは、炭素数10以下のアルキル基を表す。炭素数10以下のア
ルキル基の例としては、メチル基、エチル基と、分岐、直鎖、環状のプロピル基、ブチル
基、ペンチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基である。化
合物の安定性の観点から、メチル基、エチル基、分岐、直鎖、環状のプロピル基、ブチル
基、が好ましく、特に好ましくは分岐状のプロピル基である。
は、窒素原子(N)に対して2位(オルト位)にあることで、窒素原子と、フェニ
ル環の相互作用を適度に妨げることができ、耐熱性に悪影響を与えることなく素子の効率
を向上させることができると考えられる。
<R
式(1)中、Rは炭素数4以上10以下のアルキル基を表す。炭素数4以上10以下
のアルキル基の例としては、分岐、直鎖、環状のブチル基、ペンチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基である。耐熱性向上の観点から、好ましくは
、分岐、直鎖状のブチル基、分岐、直鎖、環状のペンチル基、ヘキシル基であり、溶解性
の観点から特に好ましくは直鎖状のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基である。
は、窒素原子に対してパラ位およびメタ位に置換することにより、化合物の溶解性
および膜安定性およびを向上させることができる。また、炭素数を4以上にすることによ
り、さらに溶解性および膜安定性を向上させることができる。R4の置換位置は特にメタ
位が好ましい。
を窒素原子に対して、オルト位、Rをパラ位に配置することで、素子の効率が十
分に高く、溶解性が高い発光材料とすることができる。
<X>
式(2)中のXは、酸素原子、硫黄原子、または−C(R)(R)−のいずれかを
表す。化合物の安定性の観点から特に好ましくは、酸素原子である。
<R〜R
式(2)中のR〜Rは炭素数10以下のアルキル基、または炭素数20以下の芳香
環基を表す。炭素数10以下のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基と、分岐、
直鎖、環状のプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基
、ノニル基、デシル基である。化合物の安定性の観点から、メチル基、エチル基、分岐、
直鎖、環状のプロピル基、ブチル基、が好ましく、特に好ましくは分岐状のプロピル基で
ある。
炭素数20以下の芳香環基の例としては、芳香環の1価の置換基であり、芳香環の例と
しては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、クリセン環、
ピレン環、ベンゾアントラセン環、ペリレン環、ピリジン環、キノリン環、ベンゾフラン
環、カルバゾール環等である。化合物の溶解性の観点から、ベンゼン環、ナフタレン環が
好ましい。
<R〜Rが有していても良い置換基>
〜Rが有していても良い置換基としては、例えば後述する置換基群Zの中から選
択することができる。
特に好ましくは、炭素数20以下の芳香環基、炭素数30以下のアラルキル基、炭素数
10以下のアルキル基である。置換基がアルキル基である場合は、R〜Rがアルキル
基の場合に置換される。
炭素数10以下のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基と、分岐、直鎖、環状
のプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基
、デシル基である。化合物の安定性の観点から、メチル基、エチル基、分岐、直鎖、環状
のプロピル基、ブチル基、が好ましく、特に好ましくは分岐状のプロピル基である。
炭素数20以下の芳香環基の例としては、芳香環の1価の置換基であり、芳香環の例と
しては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、クリセン環、
ピレン環、ベンゾアントラセン環、ペリレン環、ピリジン環、キノリン環、ベンゾフラン
環、カルバゾール環等である。化合物の溶解性の観点から、ベンゼン環、ナフタレン環が
好ましい。
炭素数30以下のアラルキル基の例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、2
−フェニルプロピル−2−イル基、2−フェニルブチル−2−イル基、3−フェニルペン
チル−3−イル基、3−フェニル−1−プロピル基、4−フェニル−1−ブチル基、5−
フェニル−1−ペンチル基、6−フェニル−1−ヘキシル基、7−フェニル−1−ヘプチ
ル基、8−フェニル−1−オクチル基等があげられる。
[置換基群Z]
置換基群Zとして、以下の構造が挙げられる。
例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−
ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基
、ドデシル基等の、炭素数が通常1以上であり、好ましくは4以上であり、通常24以下
、好ましくは12以下である、直鎖、分岐、又は環状のアルキル基;
例えば、ビニル基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、好ましくは12以
下であるアルケニル基;
例えば、エチニル基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、好ましくは12
以下であるアルキニル基;
例えば、メトキシ基、エトキシ基等の、炭素数が通常1以上であり、通常24以下、好
ましくは12以下であるアルコキシ基;
例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基等の、炭素数が通常4以上、
好ましくは5以上であり、通常36以下、好ましくは24であるアリールオキシ基若しく
はヘテロアリールオキシ基;
例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の、炭素数が通常2以上であ
り、通常24以下、好ましくは12以下であるアルコキシカルボニル基;
例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の、炭素数が通常2以上であり、通常
24以下、好ましくは12以下であるジアルキルアミノ基;
例えば、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N−カルバゾリル基等の、炭素数が
通常10以上、好ましくは12以上であり、通常36以下、好ましくは24以下のジアリ
ールアミノ基;
例えば、フェニルメチルアミノ基等の、炭素数が通常7以上であり、通常36以下、好
ましくは24以下であるアリールアルキルアミノ基;
例えば、アセチル基、ベンゾイル基等の、炭素数が通常2以上であり、通常24以下、
好ましくは12以下であるアシル基;
例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;
例えば、トリフルオロメチル基等の、炭素数が通常1以上であり、通常12以下、好ま
しくは6以下のハロアルキル基;
例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等の、炭素数が通常1以上であり、通常24以下
、好ましくは12以下のアルキルチオ基;
例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等の、炭素数が通常4以上
、好ましくは5以上であり、通常36以下、好ましくは24以下であるアリールチオ基;
例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の、炭素数が通常2以上、好ま
しくは3以上であり、通常36以下、好ましくは24以下であるシリル基;
例えば、トリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等の、炭素数が通常2以上、
好ましくは3以上であり、通常36以下、好ましくは24以下であるシロキシ基;
シアノ基;
例えば、フェニル基、ナフチル基等の、炭素数が通常6以上であり、通常36以下、好
ましくは24以下である芳香族炭化水素基;
例えば、チエニル基、ピリジル基等の、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上であり
、通常36以下、好ましくは24以下である芳香族複素環基。
上記の置換基群Zの中でも、好ましくは、前記アルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化
水素基、芳香族複素環基である。電荷輸送性の観点からは、置換基を有さないことがさら
に好ましい。
また、上記置換基群Zの各置換基は更に置換基を有していてもよい。それら置換基とし
ては、上記置換基(置換基群Z)と同じのものを用いることができる。
<具体例>
以下に、式(1)で表される芳香族アミン誘導体の具体例を示すが、本発明はこれらに
限定されるものではない。
Figure 2021075493
Figure 2021075493
Figure 2021075493
上記化合物の中で特に好ましい化合物の一つとして下記式(3)(後述の化合物1)、
下記式(4)で表される芳香族アミン誘導体が挙げられる。
Figure 2021075493
式(3)、式(4)で表される芳香族アミン誘導体は、Rが、窒素原子(N)に対し
て2位(オルト位)にあることで、窒素原子と、フェニル環の相互作用を適度に妨げるこ
とができ、耐熱性に悪影響を与えることなく効率を向上させることができる。また、R
が、窒素原子に対してメタ位、パラ位に置換することにより、化合物の溶解性および膜安
定性およびを向上させることができる。また、Rの炭素数が4以上であるため、溶解性
および膜安定性を向上させることができる。
<芳香族アミン誘導体の用途>
本発明の芳香族アミン誘導体は、有機電界発光素子に用いられる材料、すなわち有機電
界発光素子の赤色発光材料として好適に使用可能であり、有機電界発光素子やその他の発
光素子等の発光材料としても好適に使用可能である。
[OLED組成物]
本発明の芳香族アミン誘導体は、溶剤溶解性に優れることから、溶剤とともに使用され
ることが好ましい。以下、本発明の芳香族アミン誘導体と溶剤とを含有する組成物(以下
、「OLED用組成物」又は単に「組成物」と称す場合がある。)について説明する。
本発明のOLED用組成物は、上述の芳香族アミン誘導体および溶剤を含有する。本発
明のOLED用組成物は通常湿式成膜法で層や膜を形成するために用いられ、特に有機電
界発光素子の有機層を形成するために用いられることが好ましい。該有機層は、特に発光
層であることが好ましい
つまり、本発明のOLED用組成物は、有機電界発光素子用組成物であることが好まし
く、更に発光層形成用組成物として用いられることが特に好ましい。
OLED用組成物における本発明の芳香族アミン誘導体の含有量は、通常0.001質
量%以上、好ましくは0.01質量%以上、通常30.0質量%以下、好ましくは20.
0質量%以下である。組成物中の芳香族アミン誘導体をこの範囲とすることにより、隣接
する層(例えば、正孔輸送層や正孔阻止層)から発光層へ効率よく、正孔や電子の注入が
行われ、駆動電圧を低減することができる。なお、本発明の芳香族アミン誘導体は組成物
中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
本発明のOLED用組成物を例えば有機電界発光素子用に用いる場合には、上述の芳香
族アミン誘導体や溶剤の他、有機電界発光素子、特に発光層に用いられる電荷輸送性化合
物を含有することができる。
本発明のOLED用組成物を用いて、有機電界発光素子の発光層を形成する場合には、
本発明の芳香族アミン誘導体を発光材料とし、他の電荷輸送性化合物を電荷輸送ホスト材
料として含むことが好ましい。
本発明のOLED用組成物に含有される溶剤は、湿式成膜により芳香族アミン誘導体を
含む層を形成するために用いる、揮発性を有する液体成分である。
該溶剤は、溶質である本発明のイリジウム錯体化合物が高い溶剤溶解性を有するために
、むしろ後述の電荷輸送性化合物が良好に溶解する有機溶剤であれば特に限定されない。
好ましい溶剤としては、例えば、n−デカン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、
デカリン、ビシクロヘキサン等のアルカン類;トルエン、キシレン、メシチレン、フェニ
ルシクロヘキサン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼ
ン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;1,2−ジメトキシベンゼン
、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3
−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジ
メチルアニソール、ジフェニルエーテル等の芳香族エーテル類;酢酸フェニル、プロピオ
ン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチ
ル等の芳香族エステル類、シクロヘキサノン、シクロオクタノン、フェンコン等の脂環族
ケトン類;シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環族アルコール類;メチルエ
チルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン類;ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族
アルコール類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエー
テル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂
肪族エーテル類;等が挙げられる。
中でも好ましくは、アルカン類や芳香族炭化水素類、芳香族エステル類であり、特に、
フェニルシクロヘキサンおよび、芳香族エステル類は、好ましい粘度と沸点を有している

これらの溶剤は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、お
よび比率で用いてもよい。
用いる溶剤の沸点は通常80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは120
℃以上、また、通常350℃以下、好ましくは330℃以下、より好ましくは沸点300
℃以下である。この範囲を下回ると、湿式成膜時において、組成物からの溶剤蒸発により
、成膜安定性が低下する可能性がある。この範囲を上回ると、湿式成膜時において、成膜
後の溶剤残留により、成膜安定性が低下する可能性がある。
特に、上記溶媒のうち、沸点が150度以上の溶媒を2種以上と組み合わせることによ
り、均一な塗布膜を作成することができる。沸点150度以上の溶媒が1つ以下であると
、塗布時に均一な膜が形成されない場合があると考えられる。
溶剤の含有量は、OLED用組成物において好ましくは1質量%以上、より好ましくは
10質量%以上、特に好ましくは50質量%以上、また、好ましくは99.99質量%以
下、より好ましくは99.9質量%以下、特に好ましくは99質量%以下である。通常発
光層の厚みは3〜200nm程度であるが、溶剤の含有量がこの下限を下回ると、組成物
の粘性が高くなりすぎ、成膜作業性が低下する可能性がある。一方、この上限を上回ると
、成膜後、溶剤を除去して得られる膜の厚みが稼げなくなるため、成膜が困難となる傾向
がある。
本発明のOLED用組成物が含有し得る他の電荷輸送性化合物としては、従来有機電界
発光素子用材料として用いられているものを使用することができる。例えば、ピリジン、
カルバゾール、ナフタレン、ペリレン、ピレン、アントラセン、クリセン、ナフタセン、
フェナントレン、コロネン、フルオランテン、ベンゾフェナントレン、フルオレン、アセ
トナフトフルオランテン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼンおよび
それらの誘導体、キナクリドン誘導体、DCM(4−(dicyanomethylen
e)−2−methyl−6−(p−dimethylaminostyryl)−4H
−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテ
ン誘導体、アザベンゾチオキサンテン、アリールアミノ基が置換された縮合芳香族環化合
物、アリールアミノ基が置換されたスチリル誘導体等が挙げられる。
これらは1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、および比
率で用いてもよい。
また、OLED用組成物中の他の電荷輸送性化合物の含有量は、OLED用組成物中の
本発明の芳香族アミン誘導体1質量部に対して、通常1000質量部以下、好ましくは1
00質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下であり、また、通常0.01質量部以
上、好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上である。
本発明のOLED用組成物には、必要に応じて、上記の化合物等の他に、更に他の化合
物を含有していてもよい。好ましくは、酸化防止剤として知られているジブチルヒドロキ
シトルエンや、ジブチルフェノール等のフェノール類があげられる。
[有機電界発光素子]
本発明の芳香族アミン誘導体を用いて有機電界発光素子(以下、「本発明の有機電界発
光素子」と称す場合がある。)を製造することができる。以下に本発明の芳香族アミン誘
導体を含む本発明の有機電界発光素子について説明する。
本発明の有機電界発光素子は、好ましくは、基板上に少なくとも陽極、陰極及び前記陽
極と前記陰極の間に少なくとも1層の有機層を有するものであって、前記有機層のうち少
なくとも1層が本発明の芳香族アミン誘導体を含む。前記有機層は発光層を含む。
本発明の芳香族アミン誘導体を含む有機層は、本発明の組成物を用いて形成された層で
あることがより好ましく、湿式成膜法により形成された層であることがさらに好ましい。
前記湿式成膜法により形成された層は、該発光層であることが好ましい。
本発明において湿式成膜法とは、成膜方法、即ち、塗布方法として、例えば、スピンコ
ート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコ
ート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、ノズルプリンテ
ィング法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等、湿式で成膜される方
法を採用し、これらの方法で成膜された膜を乾燥して膜形成を行う方法をいう。
図1は本発明の有機電界発光素子10に好適な構造例を示す断面の模式図であり、図1
において、符号1は基板、符号2は陽極、符号3は正孔注入層、符号4は正孔輸送層、符
号5は発光層、符号6は正孔阻止層、符号7は電子輸送層、符号8は電子注入層、符号9
は陰極を各々表す。
これらの構造に適用する材料は、公知の材料を適用することができ、特に制限はないが
、各層に関しての代表的な材料や製法を一例として以下に記載する。また、公報や論文等
を引用している場合、該当内容を当業者の常識の範囲で適宜、適用、応用することができ
るものとする。
<基板1>
基板1は、有機電界発光素子の支持体となるものであり、通常、石英やガラスの板、金
属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。これらのうち、ガラス板
や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合
成樹脂の板が好ましい。基板1は、外気による有機電界発光素子の劣化が起こり難いこと
からガスバリア性の高い材質とするのが好ましい。このため、特に合成樹脂製の基板等の
ようにガスバリア性の低い材質を用いる場合は、基板1の少なくとも片面に緻密なシリコ
ン酸化膜等を設けてガスバリア性を上げるのが好ましい。
<陽極2>
陽極2は、発光層側の層に正孔を注入する機能を担う。陽極2は、通常、アルミニウム
、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属;インジウム及び/又はスズの酸化物等
の金属酸化物;ヨウ化銅等のハロゲン化金属;カーボンブラック或いはポリ(3−メチル
チオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。
陽極2の形成は、通常、スパッタリング法、真空蒸着法等の乾式法により行われること
が多い。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金
属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いて陽極2を形成する場合には、適当なバイ
ンダー樹脂溶液に分散させて、基板上に塗布することにより形成することもできる。また
、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板上に薄膜を形成したり、基板上に導電
性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,
60巻,2711頁,1992年)。
陽極2は、通常、単層構造であるが、適宜、積層構造としてもよい。陽極2が積層構造
である場合、1層目の陽極上に異なる導電材料を積層してもよい。
陽極2の厚みは、必要とされる透明性と材質等に応じて、決めればよい。特に高い透明
性が必要とされる場合は、可視光の透過率が60%以上となる厚みが好ましく、80%以
上となる厚みが更に好ましい。陽極2の厚みは、通常5nm以上、好ましくは10nm以
上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下とするのが好ましい
。一方、透明性が不要な場合は、陽極2の厚みは必要な強度等に応じて任意に厚みとすれ
ばよく、この場合、陽極2は基板1と同一の厚みでもよい。
陽極2の表面に成膜を行う場合は、成膜前に、紫外線+オゾン、酸素プラズマ、アルゴ
ンプラズマ等の処理を施すことにより、陽極上の不純物を除去すると共に、そのイオン化
ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させておくのが好ましい。
<正孔注入層3>
陽極2側から発光層5側に正孔を輸送する機能を担う層は、通常、正孔注入輸送層又は
正孔輸送層と呼ばれる。そして、陽極2側から発光層5側に正孔を輸送する機能を担う層
が2層以上ある場合に、より陽極2側に近い方の層を正孔注入層3と呼ぶことがある。正
孔注入層3は、陽極2から発光層5側に正孔を輸送する機能を強化する点で、用いること
が好ましい。正孔注入層3を用いる場合、通常、正孔注入層3は、陽極2上に形成される
正孔注入層3の膜厚は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常1000
nm以下、好ましくは500nm以下である。
正孔注入層3の形成方法は、真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよい。成膜性が優れる点
では、湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔注入層3は、正孔輸送性化合物を含むことが好ましく、正孔輸送性化合物と電子受
容性化合物とを含むことがより好ましい。更には、正孔注入層3中にカチオンラジカル化
合物を含むことが好ましく、カチオンラジカル化合物と正孔輸送性化合物とを含むことが
特に好ましい。
(正孔輸送性化合物)
正孔注入層形成用組成物は、通常、正孔注入層3となる正孔輸送性化合物を含有する。
また、湿式成膜法の場合は、通常、更に溶剤も含有する。正孔注入層形成用組成物は、正
孔輸送性が高く、注入された正孔を効率よく輸送できるのが好ましい。このため、正孔移
動度が大きく、トラップとなる不純物が製造時や使用時等に発生し難いのが好ましい。ま
た、安定性に優れ、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光に対する透明性が高いことが
好ましい。特に、正孔注入層3が発光層5と接する場合は、発光層5からの発光を消光し
ないものや発光層5とエキサイプレックスを形成して、発光効率を低下させないものが好
ましい。
正孔輸送性化合物としては、陽極2から正孔注入層3への電荷注入障壁の観点から、4
.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送性化
合物の例としては、芳香族アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化
合物、オリゴチオフェン系化合物、ポリチオフェン系化合物、ベンジルフェニル系化合物
、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン系化合物、シラザン系化合物
、キナクリドン系化合物等が挙げられる。
上述の例示化合物のうち、非晶質性及び可視光透過性の点から、芳香族アミン化合物が
好ましく、芳香族三級アミン化合物が特に好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物と
は、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する
化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は、特に制限されないが、表面平滑化効果により均一な
発光を得やすい点から、重量平均分子量が1000以上1000000以下の高分子化合
物(繰り返し単位が連なる重合型化合物)を用いるのが好ましい。芳香族三級アミン高分
子化合物の好ましい例としては、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化
合物等が挙げられる。
Figure 2021075493
(式(I)中、Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香
族基又は置換基を有していてもよい複素芳香族基を表す。Ar〜Arは、それぞれ独
立して、置換基を有していてもよい芳香族基又は置換基を有していてもよい複素芳香族基
を表す。Qは、下記の連結基群の中から選ばれる連結基を表す。また、Ar〜Ar
うち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。
下記に連結基を示す。
Figure 2021075493
(上記各式中、Ar〜Ar16は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香
族基又は置換基を有していてもよい複素芳香族基を表す。R〜Rは、それぞれ独立し
て、水素原子又は任意の置換基を表す。)
Ar〜Ar16の芳香族基及び複素芳香族基としては、高分子化合物の溶解性、耐熱
性、正孔注入輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェ
ン環、ピリジン環由来の基が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環由来の基がさらに好ま
しい。
式(I)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例とし
ては、国際公開第2005/089024号パンフレットに記載のもの等が挙げられる。
(電子受容性化合物)
正孔注入層3には、正孔輸送性化合物の酸化により、正孔注入層3の導電率を向上させ
ることができるため、電子受容性化合物を含有していることが好ましい。
電子受容性化合物としては、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容す
る能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が
好ましく、電子親和力が5eV以上である化合物が更に好ましい。
このような電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン
化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリ
ールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物等が挙げ
られる。具体的には、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキ
ス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラ
ート等の有機基の置換したオニウム塩(国際公開第2005/089024号);塩化鉄
(III)(特開平11−251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高
原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物;トリス(ペンタフルオロ
フェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラー
レン誘導体及びヨウ素等が挙げられる。
(カチオンラジカル化合物)
カチオンラジカル化合物としては、正孔輸送性化合物から一電子取り除いた化学種であ
るカチオンラジカルと、対アニオンとからなるイオン化合物が好ましい。但し、カチオン
ラジカルが正孔輸送性の高分子化合物由来である場合、カチオンラジカルは高分子化合物
の繰り返し単位から一電子取り除いた構造となる。
カチオンラジカルとしては、正孔輸送性化合物として前述した化合物から一電子取り除
いた化学種であることが好ましい。正孔輸送性化合物として好ましい化合物から一電子取
り除いた化学種であることが、非晶質性、可視光の透過率、耐熱性、及び溶解性などの点
から好適である。
ここで、カチオンラジカル化合物は、前述の正孔輸送性化合物と電子受容性化合物を混
合することにより生成させることができる。即ち、前述の正孔輸送性化合物と電子受容性
化合物とを混合することにより、正孔輸送性化合物から電子受容性化合物へと電子移動が
起こり、正孔輸送性化合物のカチオンラジカルと対アニオンとからなるカチオンイオン化
合物が生成する。
PEDOT/PSS(Adv.Mater.,2000年,12巻,481頁)やエメ
ラルジン塩酸塩(J.Phys.Chem.,1990年,94巻,7716頁)等の高
分子化合物由来のカチオンラジカル化合物は、酸化重合(脱水素重合)することによって
も生成する。
ここでいう酸化重合は、モノマーを酸性溶液中で、ペルオキソ二硫酸塩等を用いて化学
的に、又は、電気化学的に酸化するものである。この酸化重合(脱水素重合)の場合、モ
ノマーが酸化されることにより高分子化されるとともに、酸性溶液由来のアニオンを対ア
ニオンとする、高分子の繰り返し単位から一電子取り除かれたカチオンラジカルが生成す
る。
(湿式成膜法による正孔注入層3の形成)
湿式成膜法により正孔注入層3を形成する場合、通常、正孔注入層3となる材料を可溶
な溶剤(正孔注入層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)を調
製し、この正孔注入層形成用組成物を正孔注入層3の下層に該当する層(通常は、陽極2
)上に湿式成膜法により成膜し、乾燥させることにより形成させる。成膜した膜の乾燥は
、湿式成膜法による発光層5の形成における乾燥方法と同様に行うことができる。
正孔注入層形成用組成物中における正孔輸送性化合物の濃度は、本発明の効果を著しく
損なわない限り任意であるが、膜厚の均一性の点では、低い方が好ましく、一方、正孔注
入層3に欠陥が生じ難い点では、高い方が好ましい。具体的には、0.01質量%以上で
あるのが好ましく、0.1質量%以上であるのが更に好ましく、0.5質量%以上である
のが特に好ましく、また、一方、70質量%以下であるのが好ましく、60質量%以下で
あるのが更に好ましく、50質量%以下であるのが特に好ましい。
溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、ア
ミド系溶剤などが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレング
リコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート
(PGMEA)等の脂肪族エーテル及び1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキ
シベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン
、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等
の芳香族エーテル等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メ
チル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル等が
挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼ
ン、3−イソプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジ
イソプロピルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルア
セトアミド等が挙げられる。
これらの他、ジメチルスルホキシド等も用いることができる。好ましくは、芳香族炭化
水素系溶剤と、芳香族エステル系溶剤である。
正孔注入層3の湿式成膜法による形成は、通常、正孔注入層形成用組成物を調製後に、
これを、正孔注入層3の下層に該当する層(通常は、陽極2)上に塗布成膜し、乾燥する
ことにより行われる。正孔注入層3は、通常、成膜後に、加熱や減圧乾燥等により塗布膜
を乾燥させる。
(真空蒸着法による正孔注入層3の形成)
真空蒸着法により正孔注入層3を形成する場合には、通常、正孔注入層3の構成材料(
前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種類又は2種類以上を真空容器内に
設置された坩堝に入れ(2種類以上の材料を用いる場合は、通常各々を別々の坩堝に入れ
)、真空容器内を真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、坩堝を加熱して(2種
類以上の材料を用いる場合は、通常各々の坩堝を加熱して)、坩堝内の材料の蒸発量を制
御しながら蒸発させ(2種類以上の材料を用いる場合は、通常各々独立に蒸発量を制御し
ながら蒸発させ)、坩堝に向き合って置かれた基板上の陽極2上に正孔注入層3を形成さ
せる。なお、2種類以上の材料を用いる場合は、それらの混合物を坩堝に入れ、加熱、蒸
発させて正孔注入層3を形成することもできる。
蒸着時の真空度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1
×10−6Torr(0.13×10−4Pa)以上、9.0×10−6Torr(12
.0×10−4Pa)以下である。蒸着速度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限
定されないが、通常0.1Å/秒以上、5.0Å/秒以下である。蒸着時の成膜温度は、
本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは10℃以上、50℃以
下で行われる。
<正孔輸送層4>
正孔輸送層4は、陽極2側から発光層5側に正孔を輸送する機能を担う層である。正孔
輸送層4は、本発明の有機電界発光素子では、必須の層では無いが、陽極2から発光層5
に正孔を輸送する機能を強化する点では、この層を設けることが好ましい。正孔輸送層4
を設ける場合、通常、正孔輸送層4は、陽極2と発光層5の間に形成される。また、上述
の正孔注入層3がある場合は、正孔注入層3と発光層5の間に形成される。
正孔輸送層4の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、一方
、通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
正孔輸送層4の形成方法は、真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよい。成膜性が優れる点
では、湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔輸送層4は、通常、正孔輸送層4となる正孔輸送性化合物を含有する。正孔輸送層
4に含まれる正孔輸送性化合物としては、特に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)
−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上
の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)
、4,4’,4’’−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のス
ターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(J.Lumin.,72−74巻、98
5頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Che
m.Commun.,2175頁、1996年)、2,2’,7,7’−テトラキス−(
ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synth.M
etals,91巻、209頁、1997年)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビ
フェニルなどのカルバゾール誘導体などが挙げられる。また、例えばポリビニルカルバゾ
ール、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953号公報)、テトラフェニル
ベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン(Polym.Adv.Tech
.,7巻、33頁、1996年)等も好ましく使用できる。
(湿式成膜法による正孔輸送層4の形成)
湿式成膜法で正孔輸送層4を形成する場合は、通常、上述の正孔注入層3を湿式成膜法
で形成する場合と同様にして、正孔注入層形成用組成物の代わりに正孔輸送層形成用組成
物を用いて形成させる。
湿式成膜法で正孔輸送層4を形成する場合は、通常、正孔輸送層形成用組成物は、更に
溶剤を含有する。正孔輸送層形成用組成物に用いる溶剤は、上述の正孔注入層形成用組成
物で用いる溶剤と同様の溶剤を使用することができる。
正孔輸送層形成用組成物中における正孔輸送性化合物の濃度は、正孔注入層形成用組成
物中における正孔輸送性化合物の濃度と同様の範囲とすることができる。
正孔輸送層4の湿式成膜法による形成は、前述の正孔注入層3の成膜法と同様に行うこ
とができる。
(真空蒸着法による正孔輸送層4の形成)
真空蒸着法で正孔輸送層4を形成する場合についても、通常、上述の正孔注入層3を真
空蒸着法で形成する場合と同様にして、正孔注入層3の構成材料の代わりに正孔輸送層4
の構成材料を用いて形成させることができる。蒸着時の真空度、蒸着速度及び温度などの
成膜条件などは、前記正孔注入層3の真空蒸着時と同様の条件で成膜することができる。
<発光層5>
発光層5は、一対の電極間に電界が与えられた時に、陽極2から注入される正孔と陰極
9から注入される電子が再結合することにより励起され、発光する機能を担う層である。
発光層5は、陽極2と陰極9の間に形成される層であり、発光層5は、陽極2の上に正孔
注入層3がある場合は、正孔注入層3と陰極9の間に形成され、陽極2の上に正孔輸送層
4がある場合は、正孔輸送層4と陰極9との間に形成される。
発光層5の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜に欠陥が生
じ難い点では厚い方が好ましく、また、一方、薄い方が低駆動電圧としやすい点で好まし
い。このため、発光層5の膜厚は、3nm以上であるのが好ましく、5nm以上であるの
が更に好ましく、また、一方、通常200nm以下であるのが好ましく、100nm以下
であるのが更に好ましい。
発光層5は、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、
好ましくは、電荷輸送性を有する材料(電荷輸送性材料)とを含有する。発光材料として
は、いずれかの発光層に、本発明の芳香族アミン誘導体が含まれていればよく、適宜他の
発光材料を用いてもよい。以下、本発明の芳香族アミン誘導体以外の他の発光材料につい
て詳述する。
(発光材料)
発光材料は、所望の発光波長で発光し、本発明の効果を損なわない限り、式(1)で表
される芳香族アミン誘導体以外にも他の発行材料を併用することができる。発光材料は、
蛍光発光材料でも、燐光発光材料でもよいが、発光効率が良好である材料が好ましく、素
子の効率の観点から燐光発光材料が好ましい。
蛍光発光材料としては、例えば、以下の材料が挙げられる。
青色発光を与える蛍光発光材料(青色蛍光発光材料)としては、例えば、ナフタレン、
ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、クリセン、p−ビス(2−フェニルエテニ
ル)ベンゼン及びそれらの誘導体等が挙げられる。
緑色発光を与える蛍光発光材料(緑色蛍光発光材料)としては、例えば、キナクリドン
誘導体、クマリン誘導体、Al(CNO)などのアルミニウム錯体等が挙げられ
る。
黄色発光を与える蛍光発光材料(黄色蛍光発光材料)としては、例えば、ルブレン、ペ
リミドン誘導体等が挙げられる。
赤色発光を与える蛍光発光材料(赤色蛍光発光材料)としては、例えば、DCM(4−
(dicyanomethylene)−2−methyl−6−(p−dimethy
laminostyryl)−4H−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ロー
ダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる
また、燐光発光材料としては、例えば、長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限
り「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)の第7〜11族から
選ばれる金属を含む有機金属錯体等が挙げられる。周期表の第7〜11族から選ばれる金
属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム
、イリジウム、白金、金等が挙げられる。
有機金属錯体の配位子としては、(ヘテロ)アリールピリジン配位子、(ヘテロ)アリ
ールピラゾール配位子などの(ヘテロ)アリール基とピリジン、ピラゾール、フェナント
ロリンなどが連結した配位子が好ましく、特にフェニルピリジン配位子、フェニルピラゾ
ール配位子が好ましい。ここで、(ヘテロ)アリールとは、アリール基又はヘテロアリー
ル基を表す。
好ましい燐光発光材料として、具体的には、例えば、トリス(2−フェニルピリジン)
イリジウム、トリス(2−フェニルピリジン)ルテニウム、トリス(2−フェニルピリジ
ン)パラジウム、ビス(2−フェニルピリジン)白金、トリス(2−フェニルピリジン)
オスミウム、トリス(2−フェニルピリジン)レニウム等のフェニルピリジン錯体及びオ
クタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウ
ムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポルフィリン等のポルフィリン錯体等が挙げ
られる。
高分子系の発光材料としては、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル
)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(4,4’−(
N−(4−sec−ブチルフェニル))ジフェニルアミン)]、ポリ[(9,9−ジオク
チルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(1,4−ベンゾ−2{2,1’−3}−ト
リアゾール)]などのポリフルオレン系材料、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘ
キシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]などのポリフェニレンビニレン系材料が
挙げられる。
(電荷輸送性材料)
電荷輸送性材料は、正電荷(正孔)又は負電荷(電子)輸送性を有する材料であり、本
発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、公知の材料を適用可能である。
電荷輸送性材料は、従来、有機電界発光素子の発光層5に用いられている化合物等を用
いることができ、特に、発光層5のホスト材料として使用されている化合物が好ましい。
電荷輸送性材料としては、具体的には、芳香族アミン系化合物、フタロシアニン系化合
物、ポルフィリン系化合物、オリゴチオフェン系化合物、ポリチオフェン系化合物、ベン
ジルフェニル系化合物、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン系化合
物、シラザン系化合物、シラナミン系化合物、ホスファミン系化合物、キナクリドン系化
合物等の正孔注入層3の正孔輸送性化合物として例示した化合物等が挙げられる他、アン
トラセン系化合物、ピレン系化合物、カルバゾール系化合物、ピリジン系化合物、フェナ
ントロリン系化合物、オキサジアゾール系化合物、シロール系化合物等の電子輸送性化合
物等が挙げられる。
また、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェ
ニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換
した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4’’−トリス(1
−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族
アミン系化合物(J.Lumin.,72−74巻、985頁、1997年)、トリフェ
ニルアミンの四量体から成る芳香族アミン系化合物(Chem.Commun.,217
5頁、1996年)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9
’−スピロビフルオレン等のフルオレン系化合物(Synth.Metals,91巻、
209頁、1997年)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバ
ゾール系化合物等の正孔輸送層4の正孔輸送性化合物として例示した化合物等も好ましく
用いることができる。また、この他、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャル
ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)、2,5−ビス(
1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)などのオキサジアゾール系化
合物、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4
−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)等のシロール系化合物、バソフェナントロ
リン(BPhen)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロ
リン(BCP、バソクプロイン)などのフェナントロリン系化合物等も挙げられる。
(湿式成膜法による発光層5の形成)
発光層5の形成方法は、真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよいが、成膜性に優れること
から、湿式成膜法が好ましい。
湿式成膜法により発光層5を形成する場合は、通常、上述の正孔注入層3を湿式成膜法
で形成する場合と同様にして、正孔注入層形成用組成物の代わりに、発光層5となる材料
を可溶な溶剤(発光層用溶剤)と混合して調製した発光層形成用組成物を用いて形成させ
る。本発明においては、この発光層形成用組成物として、前述の本発明のOLED用組成
物を用いることが好ましい。
溶剤としては、例えば、正孔注入層3の形成について挙げたエーテル系溶剤、エステル
系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド系溶剤の他、アルカン系溶剤、ハロゲン化芳香族
炭化水系溶剤、脂肪族アルコール系溶剤、脂環族アルコール系溶剤、脂肪族ケトン系溶剤
及び脂環族ケトン系溶剤などが挙げられる。用いる溶剤は、本発明のOLED用組成物の
溶剤としても例示した通りであり、以下に溶剤の具体例を挙げるが、本発明の効果を損な
わない限り、これらに限定されるものではない。
例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル
、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族
エーテル系溶剤;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソー
ル、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエ
ン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ジフェニルエーテル等
の芳香族エーテル系溶剤;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息
香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル系溶剤;トルエ
ン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン、3−イソプロピルビ
フェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、
メチルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−
ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;n−デカン、シクロヘキサン、エチルシクロヘ
キサン、デカリン、ビシクロヘキサン等のアルカン系溶剤;クロロベンゼン、ジクロロベ
ンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶剤;ブタノール、ヘキサ
ノール等の脂肪族アルコール系溶剤;シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環
族アルコール系溶剤;メチルエチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン系溶剤;シ
クロヘキサノン、シクロオクタノン、フェンコン等の脂環族ケトン系溶剤等が挙げられる
。これらのうち、アルカン系溶剤及び芳香族炭化水素系溶剤、芳香族エステル系溶剤が特
に好ましい。
また、より均一な膜を得るためには、成膜直後の液膜から溶剤が適当な速度で蒸発する
ことが好ましい。このため、用いる溶剤の沸点は、前述の通り、通常80℃以上、好まし
くは100℃以上、より好ましくは120℃以上、また、通常270℃以下、好ましくは
250℃以下、より好ましくは沸点230℃以下である。
溶剤の使用量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、発光層形成用組
成物、即ちOLED用組成物中の合計含有量は、低粘性なために成膜作業が行いやすい点
で多い方が好ましく、また、一方、厚膜で成膜しやすい点で低い方が好ましい。前述の通
り、溶剤の含有量は、OLED用組成物において好ましくは1質量%以上、より好ましく
は10質量%以上、特に好ましくは50質量%以上、また、好ましくは99.99質量%
以下、より好ましくは99.9質量%以下、特に好ましくは99質量%以下である。
湿式成膜後の溶剤除去方法としては、加熱又は減圧を用いることができる。加熱方法に
おいて使用する加熱手段としては、膜全体に均等に熱を与えることから、クリーンオーブ
ン、ホットプレートが好ましい。
加熱工程における加熱温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、乾
燥時間を短くする点では温度が高いほうが好ましく、材料へのダメージが少ない点では低
い方が好ましい。加温温度の上限は通常250℃以下であり、好ましくは200℃以下、
さらに好ましくは150℃以下である。加温温度の下限は通常30℃以上であり、好まし
くは50℃以上であり、さらに好ましくは80℃以上である。上記上限を超える温度は、
通常用いられる電荷輸送材料又は燐光発光材料の耐熱性より高く、分解や結晶化する可能
性があり好ましくない。上記下限未満では溶剤の除去に長時間を要するため、好ましくな
い。加熱工程における加熱時間は、発光層形成用組成物中の溶剤の沸点や蒸気圧、材料の
耐熱性、および加熱条件によって適切に決定される。
(真空蒸着法による発光層5の形成)
真空蒸着法により発光層5を形成する場合には、通常、発光層5の構成材料(前述の発
光材料、電荷輸送性化合物等)の1種類又は2種類以上を真空容器内に設置された坩堝に
入れ(2種類以上の材料を用いる場合は、通常各々を別々の坩堝に入れ)、真空容器内を
真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、坩堝を加熱して(2種類以上の材料を用
いる場合は、通常各々の坩堝を加熱して)、坩堝内の材料の蒸発量を制御しながら蒸発さ
せ(2種類以上の材料を用いる場合は、通常各々独立に蒸発量を制御しながら蒸発させ)
、坩堝に向き合って置かれた正孔注入層3又は正孔輸送層4の上に発光層5を形成させる
。なお、2種類以上の材料を用いる場合は、それらの混合物を坩堝に入れ、加熱、蒸発さ
せて発光層5を形成することもできる。
蒸着時の真空度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1
×10−6Torr(0.13×10−4Pa)以上、9.0×10−6Torr(12
.0×10−4Pa)以下である。蒸着速度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限
定されないが、通常0.1Å/秒以上、5.0Å/秒以下である。蒸着時の成膜温度は、
本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは10℃以上、50℃以
下で行われる。
<正孔阻止層6>
発光層5と後述の電子注入層8との間に、正孔阻止層6を設けてもよい。正孔阻止層6
は、発光層5の上に、発光層5の陰極9側の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層6は、陽極2から移動してくる正孔を陰極9に到達するのを阻止する役
割と、陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送する役割とを有する。
正孔阻止層6を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が
低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準
位(T1)が高いことが挙げられる。
このような条件を満たす正孔阻止層6の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8
−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)
(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−
キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリノラト)アルミ
ニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特
開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4
−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特
開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10
−79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005/022962号に
記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止
層6の材料として好ましい。
正孔阻止層6の形成方法に制限はなく、前述の発光層5の形成方法と同様にして形成す
ることができる。
正孔阻止層6の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.
3nm以上、好ましくは0.5nm以上であり、また、通常100nm以下、好ましくは
50nm以下である。
<電子輸送層7>
電子輸送層7は素子の電流効率をさらに向上させることを目的として、発光層5又は正
孔素子層6と電子注入層8との間に設けられる。
電子輸送層7は、電界を与えられた電極間において陰極9から注入された電子を効率よ
く発光層5の方向に輸送することができる化合物より形成される。電子輸送層7に用いら
れる電子輸送性化合物としては、陰極9又は電子注入層8からの電子注入効率が高く、か
つ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物である
ことが必要である。
このような条件を満たす電子輸送性化合物としては、具体的には、例えば、8−ヒドロ
キシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、
10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリ
ルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−ヒドロキシフラボン金属錯体、5−ヒドロキ
シフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリス
ベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノキサリン化合
物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−33145
9号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、
n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層7の膜厚は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上であり、また、一方、
通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子輸送層7は、発光層5と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により発光層5
又は正孔阻止層6上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる
<電子注入層8>
電子注入層8は、陰極9から注入された電子を効率よく、電子輸送層7又は発光層5へ
注入する役割を果たす。
電子注入を効率よく行うには、電子注入層8を形成する材料は、仕事関数の低い金属が
好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウム
などのアルカリ土類金属等が用いられる。
電子注入層8の膜厚は、0.1〜5nmが好ましい。
また、陰極9と電子輸送層7との界面に電子注入層8として、LiF、MgF、Li
O、CsCO等の極薄絶縁膜(膜厚0.1〜5nm程度)を挿入することも、素子
の効率を向上させる有効な方法である(Appl.Phys.Lett.,70巻,15
2頁,1997年;特開平10−74586号公報;IEEETrans.Electr
on.Devices,44巻,1245頁,1997年;SID 04 Digest
,154頁)。
さらに、バソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのア
ルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送材料に、ナトリウム、カリウム
、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270
171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報
などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能
となるため好ましい。この場合の膜厚は通常5nm以上、好ましくは10nm以上で、通
常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子注入層8は、発光層5と同様にして湿式成膜法或いは真空蒸着法により、発光層5
或いはその上の正孔阻止層6又は電子輸送層7上に積層することにより形成される。
湿式成膜法の場合の詳細は、前述の発光層5の場合と同様である。
<陰極9>
陰極9は、発光層5側の層(電子注入層8又は発光層5など)に電子を注入する役割を
果たす。陰極9の材料としては、前記の陽極2に使用される材料を用いることが可能であ
るが、効率よく電子注入を行なう上では、仕事関数の低い金属を用いることが好ましく、
例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の金属又は
それらの合金などが用いられる。具体例としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグ
ネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数の合金電極など
が挙げられる。
素子の安定性の点では、陰極9の上に、仕事関数が高く、大気に対して安定な金属層を
積層して、低仕事関数の金属からなる陰極9を保護するのが好ましい。積層する金属とし
ては、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が挙げられ
る。
陰極の膜厚は通常、陽極2と同様である。
<その他の構成層>
以上、図1に示す層構成の素子を中心に説明してきたが、本発明の有機電界発光素子に
おける陽極2及び陰極9と発光層5との間には、その性能を損なわない限り、上記説明に
ある層の他にも、任意の層を有していてもよく、また発光層5以外の任意の層を省略して
もよい。
例えば、正孔阻止層8と同様の目的で、正孔輸送層4と発光層5の間に電子阻止層を設
けることも効果的である。電子阻止層は、発光層5から移動してくる電子が正孔輸送層4
に到達することを阻止することで、発光層5内で正孔との再結合確率を増やし、生成した
励起子を発光層5内に閉じこめる役割と、正孔輸送層4から注入された正孔を効率よく発
光層5の方向に輸送する役割がある。
電子阻止層に求められる特性としては、正孔輸送性が高く、エネルギーギャップ(HO
MO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。
また、発光層5を湿式成膜法で形成する場合、電子阻止層も湿式成膜法で形成することが
、素子製造が容易となるため、好ましい。
このため、電子阻止層も湿式成膜適合性を有することが好ましく、このような電子阻止
層に用いられる材料としては、F8−TFBに代表されるジオクチルフルオレンとトリフ
ェニルアミンの共重合体(国際公開第2004/084260号)等が挙げられる。
なお、図1とは逆の構造、即ち、基板1上に陰極9、電子注入層8、電子輸送層7、正
孔阻止層6、発光層5、正孔輸送層4、正孔注入層3、陽極2の順に積層することも可能
であり、少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設
けることも可能である。
さらには、図1に示す層構成を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造
)とすることも可能である。その際には段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO
、陰極がAlの場合はその2層)の代わりに、例えばV2O5等を電荷発生層として用い
ると段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
本発明は、有機電界発光素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子
、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用すること
ができる。
[表示装置及び照明装置]
本発明の有機電界発光素子を用いて表示装置及び照明装置を製造することができる。本
発明の有機電界発光素子を用いた表示装置及び照明装置の形式や構造については特に制限
はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発刊、時任静士
、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機電界発光素子
を用いて表示装置および照明装置を形成することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り
以下の実施例に限定されるものではない。なお、下記の実施例における各種の条件や評価
結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつ
ものであり、好ましい範囲は前記した上限または下限の値と下記実施例の値または実施例
同士の値との組合せで規定される範囲であってもよい。
<化合物1の合成例>
(中間体1の合成)
Figure 2021075493
1,4−ジブチルベンゼン19.2gをドライアイス−アセトン浴にて冷却し−約10
℃で10分間撹拌した。内温が−5℃を超えないように、濃硝酸7mLと濃硫酸15mL
の混酸を少しずつ添加し、内温が−10℃〜−5℃になるように冷却したまま20分間撹
拌した。反応溶液を室温に戻し、1時間攪拌した。反応溶液を氷水約100mLに少しず
つ添加した後、ジクロロメタンを加えて分液後、有機層を炭酸ナトリウム水溶液で洗浄後
、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をジクロロメタンに溶かし
、シリカゲルにて濾過して溶媒を留去することで、中間体1の黄色油状体18.0gを得
た。
(中間体2の合成)
Figure 2021075493
中間体1 18.0gと塩化アンモニウム11.1gをエタノール150mLとH
50mLに加えた後、鉄粉11.6gを加えてオイルバス100℃で1時間還流した。
反応溶液を室温に冷却後、セライトでろ過し、ろ液の溶媒を留去した。残渣にジクロロメ
タンと水を加え、分液洗浄した。その後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで
精製することで、中間体2のオレンジ色油状物11.8g得た。
(中間体3の合成)
Figure 2021075493
窒素雰囲気下、Pd(dba)CHCl 0.27gとdppf 0.57gを
トルエン(脱酸素)5mLに溶解し、60℃で撹拌することで触媒溶液を調製した。別途
、窒素雰囲気下、中間体2 4.28g、4−ブロモジベンゾフラン5.15g、ナトリ
ウム−t−ブトキシド5.40gをトルエン(脱酸素)60mLに溶解して60℃で撹拌
し、上記の触媒溶液をシリンジで加え、100℃にて1時間撹拌した。反応溶液を室温に
冷却後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製す
ることで、中間体3の淡黄色油状物6.70gを得た。
(化合物1の合成)
Figure 2021075493
窒素雰囲気下、Pd(dba)CHCl 86mgとamphos 177mg
をトルエン(脱酸素)5mLに溶解し、60℃で撹拌することで触媒溶液を調製した。別
途、窒素雰囲気下、中間体3 2.10g、1,6−ジブロモ−3,8−ジイソプロピル
ピレン 1.23g、ナトリウム−t−ブトキシド1.2gをトルエン(脱酸素)50m
Lに溶解して60℃で撹拌し、上記の触媒溶液をシリンジで加え、100℃にて1.5時
間撹拌した。反応溶液を室温に冷却して活性白土とトルエンを加えて室温で10分間撹拌
した。吸引濾過後、ろ液の溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーで精製し、酢酸エチルで再結晶することで、化合物1を1.72g得た。
<化合物2の合成例>
(中間体4の合成)
Figure 2021075493
窒素雰囲気下、2−ブロモ−5−ヨードベンゼン13.0gをTHF(脱酸素)80m
Lに溶解して、ドライアイス−アセトン浴にて冷却し−78℃で10分間撹拌した。内温
が−65℃を超えないように1.55Mのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液28.5m
Lを滴下し、ドライアイス−アセトン浴で冷却したまま20分間撹拌した。ドライアイス
−アセトン浴を外して、反応溶液を室温に戻し、蒸留水約30mLを滴下した後、ジクロ
ロメタンと水を加えて分液洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。シリカゲルに
て濾過して溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精
製することで、中間体4の無色透明油状体2.71gを得た。
(中間体5の合成)
Figure 2021075493
窒素雰囲気下、Pd(dba)CHCl 168mgとdppf 360mgを
トルエン(脱酸素)10mLに溶解し、60℃で撹拌することで触媒溶液を調製した。別
途、窒素雰囲気下、中間体4 2.71g、4−アミノジベンゾフラン2.39g、ナト
リウム−t−ブトキシド2.50gをトルエン(脱酸素)40mLに溶解して60℃で撹
拌し、上記の触媒溶液をシリンジで加え、100℃にて3時間撹拌した。反応溶液を室温
に冷却後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製
することで、中間体5 3.77gを得た。
(化合物2の合成)
Figure 2021075493
窒素雰囲気下、Pd(dba)CHCl 153mgとamphos 355m
gをトルエン(脱酸素)10mLに溶解し、60℃で撹拌することで触媒溶液を調製した
。別途、窒素雰囲気下、中間体5 3.77g、1,6−ジブロモ−3,8−ジイソプロ
ピルピレン 2.47g、ナトリウム−t−ブトキシド2.14gをトルエン(脱酸素)
40mLに溶解して60℃で撹拌し、上記の触媒溶液をシリンジで加え、100℃にて1
.5時間撹拌した。反応溶液を室温に冷却して活性白土とトルエンを加えて室温で10分
間撹拌した。吸引濾過後、ろ液の溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィーおよびトルエンと酢酸エチルから再結晶したあと、酢酸エチルで懸濁洗浄すること
で、化合物2を2.42g得た。
<比較化合物1の合成例>
(中間体6の合成)
Figure 2021075493
4−クミルフェノール4.68gとエリエチルアミン5.5mLをジクロロメタン80
mLに溶解させ、氷浴にて冷却し10分間撹拌した。トリフルオロメタンスルホン酸無水
物4.5mLをゆっくりと滴下し、氷浴で冷却したまま1時間撹拌した。反応溶液を室温
に戻し、水約20mLをゆっくり加えた後、ジクロロメタンを加えて分液後、有機層を硫
酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーにて精製することで、中間体6の無色透明油状物7.47gを得た。
(中間体7の合成)
Figure 2021075493
窒素雰囲気下、Pd(dba)CHCl 183mgとdppf 392mgを
トルエン(脱酸素)5mLに溶解し、60℃で撹拌することで触媒溶液を調製した。別途
、窒素雰囲気下、中間体6 5.10g、4−アミノジベンゾフラン2.58g、ナトリ
ウム−t−ブトキシド2.72gをトルエン(脱酸素)50mLに溶解して60℃で撹拌
し、上記の触媒溶液をシリンジで加え、100℃にて3時間撹拌した。反応溶液を室温に
冷却後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製す
ることで、中間体7 1.74gを得た。
(比較化合物1の合成)
Figure 2021075493
窒素雰囲気下、Pd(dba)CHCl 38mgとamphos 82mgを
トルエン(脱酸素)3mLに溶解し、60℃で撹拌することで触媒溶液を調製した。別途
、窒素雰囲気下、中間体7 1.6g、1,6−ジブロモ−3,8−ジイソプロピルピレ
ン 0.85g、ナトリウム−t−ブトキシド0.74gをトルエン(脱酸素)40mL
に溶解して60℃で撹拌し、上記の触媒溶液をシリンジで加え、100℃にて1.5時間
撹拌した。反応溶液を室温に冷却して活性白土とトルエンを加えて室温で10分間撹拌し
た。吸引濾過後、ろ液の溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルで懸濁洗浄することで、比較
化合物1を0.97g得た。
<素子の作成と評価>
以下、上記化合物を用いて素子を作成し、性能を評価した結果を示す。
[実施例1]
有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
ガラス基板上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を50nmの厚さに堆積
したもの(三容真空社製、スパッタ成膜品)を通常のフォトリソグラフィー技術と塩酸エ
ッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。このように
ITOをパターン形成した基板を、界面活性剤水溶液による超音波洗浄、超純水による水
洗、超純水による超音波洗浄、超純水による水洗の順で洗浄後、圧縮空気で乾燥させ、最
後に紫外線オゾン洗浄を行った。
正孔注入層形成用組成物として、下記式(P1)の繰り返し構造を有する正孔輸送性高
分子化合物3.0重量%と、酸化剤(HI1)0.6重量%とを、安息香酸エチルに溶解
させた組成物を調製した。
Figure 2021075493
この溶液を、大気中で上記基板上にスピンコートし、大気中ホットプレート240℃、
30分で乾燥させ、膜厚40nmの均一な薄膜を形成し、正孔注入層とした。
次に、下記の構造式(HT−1)を有する電荷輸送性高分子化合物100質量部を、シ
クロヘキシルベンゼンに溶解させ、2.0wt%の溶液を調製した。
この溶液を、上記正孔注入層を塗布成膜した基板上に窒素グローブボックス中でスピン
コートし、窒素グローブボックス中のホットプレートで230℃、30分間乾燥させ、膜
厚25nmの均一な薄膜を形成し、正孔輸送層とした。
Figure 2021075493
引続き、発光層の材料として、下記の構造式(H−1)を95質量部、(D−1)を5
質量部秤量し、シクロヘキシルベンゼンに溶解させ4.0wt%の溶液を調製した。ここ
で、D−1は、前述の化合物1である。
Figure 2021075493
この溶液を、上記正孔輸送層を塗布成膜した基板上に窒素グローブボックス中でスピン
コートし、窒素グローブボックス中のホットプレートで120℃、20分間乾燥させ、膜
厚40nmの均一な薄膜を形成し、発光層とした。
発光層までを成膜した基板を真空蒸着装置に設置し、装置内を2×10−4Pa以下に
なるまで排気した。
次に、下記の構造式(HB−1)および8−ヒドロキシキノリノラトリチウムを2:3
の膜厚比で、発光層上に真空蒸着法にて1Å/秒の速度で共蒸着し、膜厚30nmの正孔
阻止層を形成した。
Figure 2021075493
続いて、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極の
ITOストライプとは直交するように基板に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置した
。そしで陰極として、アルミニウムをモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度1〜8
.6Å/秒で膜厚80nmのアルミニウム層を形成して陰極を形成した。以上の様にして
、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。
[比較例1]
発光層組成を、(H−1):(D−2)=95:5としたこと以外は、実施例1と同様
にして素子を作製した。ここで、D−2は、比較化合物1である。
Figure 2021075493
[素子の評価]
得られた実施例1、および比較例1の有機電界発光素子を、輝度1000cd/m
発光させたときの電流効率(cd/A)を測定し、比較例を100としたときの相対値を
下記の表1に記した。表1の結果に表すが如く、本発明の有機電界素子は比較例の有機電
界素子より、効率が向上することが分かった。
Figure 2021075493
[溶解性試験]
化合物1,2、比較化合物1の溶解性を評価した。
シクロヘキシルベンゼンに2.0重量%となるように化合物1,2、比較化合物1をそ
れぞれ混合し、70℃で加熱した。固形分が残存した場合は、完全に溶解するまでシクロ
ヘキシルベンゼンを徐々に追加した。その結果、化合物1は、2重量%で、化合物2は、
1重量%で、比較化合物1は、0.4重量%で完全に溶解した。この結果を表1にまとめ
た。
これらの結果から、化合物1は比較化合物1よりも素子の効率が高いことがわかる。
Figure 2021075493
これらの結果から、化合物1,2は比較化合物1よりも有機溶媒への溶解性が高いこと
がわかる。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極
10 有機電界発光素子

Claims (5)

  1. 下記式(1)で表される芳香族アミン誘導体。
    Figure 2021075493
    [式(1)中、R〜Rは、炭素数10以下のアルキル基を表し、Am〜Amは、
    各々独立に下記一般式(2)で表される置換基を表す。
    Figure 2021075493
    式(2)中、アスタリクス(*)は、式(1)との結合を表し、Xは、酸素原子、硫黄
    原子、または−C(R)(R)−のいずれかを表し、Rは、炭素数10以下の直鎖
    状のアルキル基を表し、Rは炭素数4以上10以下のアルキル基を表し、R〜R
    炭素数10以下のアルキル基、または炭素数20以下の芳香環基を表す。nは0から4の
    整数を表し、mは0から3の整数を表す。R〜Rは、置換基を有していても良い。]
  2. 置換基Rの置換位置が窒素原子に対して、メタ位またはパラ位である請求項1に記載
    の芳香族アミン誘導体。
  3. 前記Xが酸素原子である請求項1または請求項2に記載の芳香族アミン誘導。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の芳香族アミン誘導を含有する有機電界発光素
    子用発光材料。
  5. 請求項4に記載の有機電界発光素子用発光材料と、沸点が150度以上の溶媒を2種以
    上含むOLED用組成物。
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