JP2021071581A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂層におけるクラック等の発生を防止して、円滑に積層体の切断を行いうる、光学フィルムの製造方法を提供する。【解決手段】積層体に対してレーザー光を照射して当該積層体を切断する工程1を含む、光学フィルムの製造方法であって、前記積層体は、偏光子と、前記偏光子の少なくとも一方の面に設けた樹脂層と、を含み、前記工程1において、前記レーザー光の照射を、前記レーザー光の周期T(μs)に対する前記レーザー光のパルス幅W(μs)の割合の百分率(%)が1〜20%となるように行う、光学フィルムの製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、光学フィルムの製造方法に関する。
液晶表示装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置等の表示装置には、光学フィルムが設けられることがある。このような光学フィルムは、通常、最終的な製品としてのフィルム片の寸法よりも大きい寸法のフィルムとして形成される。そして、このようなフィルムから、表示装置の矩形の表示面に適合した所望の形状のフィルム片が切り出され、この切り出されたフィルム片が表示装置に設けられる。
フィルムを所望の形状に切り出す方法としては、例えば、ナイフを用いた機械的切断方法、及び、レーザー光を用いたレーザー切断方法が挙げられる。これらの中でも、レーザー切断方法は、切断カスが発生し難いことから、好ましい。
このような製造方法は、例えば、偏光板の製造に用いられる。このような偏光板の製造においては、偏光子を含む積層体を調製し、かかる積層体をレーザー光により切断して、例えば表示装置の矩形の表示面に適合した所望の形状とする。このような切断方法としては、例えば特許文献1に記載の方法が知られている。
偏光子を含む積層体をレーザー光の照射により切断する場合、レーザー光の出力が過小であると、積層体の切断が円滑に行われない。その一方で、レーザー光の出力を高くすると、積層体にダメージを与えることがある。特に、積層体が、偏光子とともに樹脂層を備える態様の場合、レーザー光の出力を高くすると、樹脂層に亀裂やクラック等が発生することがある。したがって、樹脂層におけるクラック等の発生を防止して、円滑に積層体の切断を行いうる、光学フィルムの製造方法が求められている。
従って、本発明の目的は、樹脂層におけるクラック等の発生を防止して、円滑に積層体の切断を行いうる、光学フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明者は前記の課題を解決するべく検討した結果、偏光子及び樹脂層を含む積層体にレーザー光を照射して積層体を切断する工程において、レーザー光の照射を、レーザー光の周期Tに対するレーザー光のパルス幅Wの割合が所定範囲となるように行うことにより、樹脂層におけるクラック等の発生を防止して、円滑に積層体の切断を行いうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、下記〔1〕〜〔5〕が提供される。
すなわち、本発明によれば、下記〔1〕〜〔5〕が提供される。
〔1〕 積層体に対してレーザー光を照射して当該積層体を切断する工程1を含む、光学フィルムの製造方法であって、
前記積層体は、偏光子と、前記偏光子の少なくとも一方の面に設けた樹脂層と、を含み、
前記工程1において、前記レーザー光の照射を、
前記レーザー光の周期T(μs)に対する前記レーザー光のパルス幅W(μs)の割合の百分率(%)が1〜20%となるように行う、光学フィルムの製造方法。
〔2〕 前記工程1において、前記レーザー光の照射を、
前記レーザー光のビームのエネルギー分布がガウシアン分布となるように行う、〔1〕に記載の光学フィルムの製造方法。
〔3〕 前記工程1において、前記レーザー光の照射を、
前記レーザー光の波長が、9μm以上9.5μm以下、または10.2μm以上10.6μm以下となるように行う、〔1〕または〔2〕に記載の光学フィルムの製造方法。
〔4〕 前記樹脂層は、1層以上の環状オレフィン樹脂からなる層を含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
〔5〕 前記積層体は、1層または2層以上の樹脂層を含み、
前記樹脂層の1層の厚みが10μm以上100μm以下である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
前記積層体は、偏光子と、前記偏光子の少なくとも一方の面に設けた樹脂層と、を含み、
前記工程1において、前記レーザー光の照射を、
前記レーザー光の周期T(μs)に対する前記レーザー光のパルス幅W(μs)の割合の百分率(%)が1〜20%となるように行う、光学フィルムの製造方法。
〔2〕 前記工程1において、前記レーザー光の照射を、
前記レーザー光のビームのエネルギー分布がガウシアン分布となるように行う、〔1〕に記載の光学フィルムの製造方法。
〔3〕 前記工程1において、前記レーザー光の照射を、
前記レーザー光の波長が、9μm以上9.5μm以下、または10.2μm以上10.6μm以下となるように行う、〔1〕または〔2〕に記載の光学フィルムの製造方法。
〔4〕 前記樹脂層は、1層以上の環状オレフィン樹脂からなる層を含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
〔5〕 前記積層体は、1層または2層以上の樹脂層を含み、
前記樹脂層の1層の厚みが10μm以上100μm以下である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
本発明によれば、樹脂層におけるクラック等の発生を防止して、円滑に積層体の切断を行いうる、光学フィルムの製造方法を提供することができる。
以下、本発明について実施形態および例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態および例示物等に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲およびその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
[1.光学フィルムの製造方法の概要]
本発明の光学フィルムの製造方法は、偏光子及び樹脂層を含む積層体に対してレーザー光を照射して当該積層体を切断する工程1を含む。本発明では、工程1において、レーザー光の照射を、レーザー光の周期T(μs)に対するレーザー光のパルス幅W(μs)の割合の百分率(%)が1〜20%となるように行う。
本発明の光学フィルムの製造方法は、偏光子及び樹脂層を含む積層体に対してレーザー光を照射して当該積層体を切断する工程1を含む。本発明では、工程1において、レーザー光の照射を、レーザー光の周期T(μs)に対するレーザー光のパルス幅W(μs)の割合の百分率(%)が1〜20%となるように行う。
[2.積層体]
本発明の光学フィルムの製造方法に用いる積層体は、偏光子と、偏光子の少なくとも一方の面に設けた樹脂層と、を含む。樹脂層は、偏光子の一方の面のみに設けられていてもよく、偏光子の両方の面(おもて面及び裏面)にそれぞれ、設けられていてもよい。
本発明の光学フィルムの製造方法に用いる積層体は、偏光子と、偏光子の少なくとも一方の面に設けた樹脂層と、を含む。樹脂層は、偏光子の一方の面のみに設けられていてもよく、偏光子の両方の面(おもて面及び裏面)にそれぞれ、設けられていてもよい。
[偏光子]
偏光子の例としては、適切なビニルアルコール系重合体のフィルムに、適切な処理を適切な順序及び方式で施したフィルムが挙げられる。ビニルアルコール系重合体の例としては、ポリビニルアルコール、及び部分ホルマール化ポリビニルアルコールが挙げられる。ビニルアルコール系重合体に対する処理の例としては、ヨウ素及び二色性染料等の二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理、及びこれらの組み合わせが挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール樹脂フィルムからなる偏光子が好ましい。このような偏光子は、自然光を入射させると直線偏光を透過させうるものであり、特に、光透過率及び偏光度に優れるものが好ましい。偏光子の厚さは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、特に好ましくは15μm以上であり、好ましくは80μm以下、より好ましくは65μm以下、特に好ましくは50μm以下である。
偏光子の例としては、適切なビニルアルコール系重合体のフィルムに、適切な処理を適切な順序及び方式で施したフィルムが挙げられる。ビニルアルコール系重合体の例としては、ポリビニルアルコール、及び部分ホルマール化ポリビニルアルコールが挙げられる。ビニルアルコール系重合体に対する処理の例としては、ヨウ素及び二色性染料等の二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理、及びこれらの組み合わせが挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール樹脂フィルムからなる偏光子が好ましい。このような偏光子は、自然光を入射させると直線偏光を透過させうるものであり、特に、光透過率及び偏光度に優れるものが好ましい。偏光子の厚さは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、特に好ましくは15μm以上であり、好ましくは80μm以下、より好ましくは65μm以下、特に好ましくは50μm以下である。
[樹脂層]
樹脂層は、樹脂からなる層である。積層体に含まれる樹脂層は、1層であってもよいし2層以上であってもよい。
樹脂層は、樹脂からなる層である。積層体に含まれる樹脂層は、1層であってもよいし2層以上であってもよい。
[樹脂層を構成する樹脂]
樹脂層を構成する樹脂としては、偏光板において偏光子を保護するための層として用いうる任意の樹脂を用いうる。かかる樹脂としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性等の性能に優れる樹脂を適宜選択しうる。そのような樹脂の例としては、トリアセチルセルロース等のアセテート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。中でも、複屈折が小さい点でアセテート樹脂、環状オレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂が好ましく、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、環状オレフィン樹脂が特に好ましい。
樹脂層を構成する樹脂としては、偏光板において偏光子を保護するための層として用いうる任意の樹脂を用いうる。かかる樹脂としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性等の性能に優れる樹脂を適宜選択しうる。そのような樹脂の例としては、トリアセチルセルロース等のアセテート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。中でも、複屈折が小さい点でアセテート樹脂、環状オレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂が好ましく、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、環状オレフィン樹脂が特に好ましい。
本発明において、樹脂層は、好ましくは、1層以上の環状オレフィン樹脂からなる層を含む。環状オレフィン樹脂からなる層は、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性等の種々の観点から、偏光子保護層として有用である。環状オレフィン樹脂からなる樹脂層を含む積層体を、従来のレーザー光照射方法により切断すると、当該樹脂層においてクラック等が生じることがある。しかしながら、このような環状オレフィン樹脂からなる層を含む積層体を本発明の製造方法に供することにより、環状オレフィン樹脂からなる層の有用な性能を享受しながら、レーザー光により切断する際に、樹脂層におけるクラック等の発生を防止することができる。
[環状オレフィン重合体]
環状オレフィン樹脂は、環状オレフィン重合体を含む。環状オレフィン重合体は、その重合体の構造単位が脂環式構造を有する重合体である。このような環状オレフィン重合体を含む樹脂は、通常、透明性、寸法安定性、位相差発現性、及び低温での成形の容易性等の性能に優れる。
環状オレフィン樹脂は、環状オレフィン重合体を含む。環状オレフィン重合体は、その重合体の構造単位が脂環式構造を有する重合体である。このような環状オレフィン重合体を含む樹脂は、通常、透明性、寸法安定性、位相差発現性、及び低温での成形の容易性等の性能に優れる。
環状オレフィン重合体は、主鎖に脂環式構造を有する重合体、側鎖に脂環式構造を有する重合体、主鎖及び側鎖に脂環式構造を有する重合体、並びに、これらの2以上の任意の比率の混合物としうる。中でも、機械的強度及び耐熱性の観点から、主鎖に脂環式構造を有する重合体が好ましい。
脂環式構造の例としては、飽和脂環式炭化水素(シクロアルカン)構造、及び不飽和脂環式炭化水素(シクロアルケン、シクロアルキン)構造が挙げられる。中でも、機械強度及び耐熱性の観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が特に好ましい。
脂環式構造を構成する炭素原子数は、一つの脂環式構造あたり、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下である。脂環式構造を構成する炭素原子数がこの範囲であると、環状オレフィン樹脂の機械強度、耐熱性及び成形性が高度にバランスされる。
環状オレフィン重合体において、脂環式構造を有する構造単位の割合は、得られる製品の使用目的に応じて選択しうる。環状オレフィン重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合は、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。環状オレフィン重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合がこの範囲にあると、環状オレフィン樹脂の透明性及び耐熱性が良好となる。
環状オレフィン重合体の中でも、シクロオレフィン重合体が好ましい。シクロオレフィン重合体とは、シクロオレフィン単量体を重合して得られる構造を有する重合体である。また、シクロオレフィン単量体は、炭素原子で形成される環構造を有し、かつ該環構造中に重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物である。重合性の炭素−炭素二重結合の例としては、開環重合等の重合が可能な炭素−炭素二重結合が挙げられる。また、シクロオレフィン単量体の環構造の例としては、単環、多環、縮合多環、橋かけ環及びこれらを組み合わせた多環等が挙げられる。中でも、得られる重合体の誘電特性及び耐熱性等の特性を高度にバランスさせる観点から、多環のシクロオレフィン単量体が好ましい。
上記のシクロオレフィン重合体の中でも好ましいものとしては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、及び、これらの水素化物等が挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体は、成形性が良好なため、特に好適である。
ノルボルネン系重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びその水素化物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びその水素化物が挙げられる。また、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の開環単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の開環共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる他の単量体との開環共重合体が挙げられる。さらに、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の付加単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の付加共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる他の単量体との付加共重合体が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素化物は、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適である。
ノルボルネン構造を有する単量体の例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)を挙げることができる。ここで、置換基の例としては、アルキル基、アルキレン基、及び極性基を挙げることができる。また、これらの置換基は、同一または相異なって、複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
極性基の例としては、ヘテロ原子、及びヘテロ原子を有する原子団が挙げられる。ヘテロ原子の例としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子が挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトリル基、及びスルホン酸基が挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な単量体の例としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのモノ環状オレフィン類およびその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエンなどの環状共役ジエンおよびその誘導体が挙げられる。ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体は、例えば、単量体を開環重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な単量体の例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの炭素原子数2〜20のα−オレフィンおよびこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどのシクロオレフィンおよびこれらの誘導体;並びに1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエンが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。また、ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体は、例えば、単量体を付加重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
上述した開環重合体及び付加重合体の水素添加物は、例えば、これらの開環重合体及び付加重合体の溶液において、炭素−炭素不飽和結合を、好ましくは90%以上水素添加することによって製造しうる。水素添加は、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む水素添加触媒の存在下で行いうる。
ノルボルネン系重合体の中でも、構造単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの構造単位の量が、ノルボルネン系重合体の構造単位全体に対して90重量%以上であり、かつ、Xの割合とYの割合との比が、X:Yの重量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このような重合体を用いることにより、当該ノルボルネン系重合体を含むオレフィン樹脂層を、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れるものにできる。
単環の環状オレフィン系重合体の例としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の単環を有する環状オレフィン系モノマーの付加重合体を挙げることができる。
環状共役ジエン系重合体の例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン系モノマーの付加重合体を環化反応して得られる重合体;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン系モノマーの1,2−または1,4−付加重合体;およびこれらの水素化物を挙げることができる。
さらに、上述した環状オレフィン重合体は、当該環状オレフィン重合体の分子が極性基を含まないことが好ましい。分子中に極性基を含まない環状オレフィン重合体は、一般に、炭酸ガスレーザー光を特に吸収し難い傾向がある。しかし、本発明の製造方法によれば、このような分子中に極性基を含まない環状オレフィン重合体を含む樹脂の層をも、レーザー光により容易に切断できる。また、分子中に極性基を含まない環状オレフィン重合体を用いることにより、得られる光学フィルムにおける樹脂層の吸水性を低減できる。
環状オレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)は、得られる製品の使用目的に応じて適宜選定でき、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下、特に好ましくは50,000以下である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、得られる製品中の樹脂層の機械的強度および成型加工性が高度にバランスされる。ここで、前記の重量平均分子量は、溶媒としてシクロヘキサンを用いて(但し、試料がシクロヘキサンに溶解しない場合にはトルエンを用いてもよい)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量である。
環状オレフィン重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、特に好ましくは1.8以上であり、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.7以下である。分子量分布を前記下限値以上にすることにより、重合体の生産性を高め、製造コストを抑制できる。また、上限値以下にすることにより、低分子成分の量が小さくなるので、高温曝露時の緩和を抑制して、樹脂層の安定性を高めることができる。
環状オレフィン樹脂中の環状オレフィン重合体の割合は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは92重量%以上、特に好ましくは95重量%以上であり、好ましくは99.9重量%以下、より好ましくは99重量%以下、特に好ましくは98重量%以下である。環状オレフィン重合体の割合を前記範囲の下限値以上にすることにより、樹脂層の吸水性を低減できる。また、上限値以下にすることにより、9μm〜11μmの波長の光の吸収率を高め、炭酸ガスレーザー光で切断しやすくすることができる。
環状オレフィン樹脂は、環状オレフィン重合体に加えて、更に任意の成分を含みうる。任意の成分としては、例えば、レーザー光に対する感受性を高めるためのエステル化合物、顔料、染料等の着色剤;蛍光増白剤;分散剤;熱安定剤;光安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;酸化防止剤;微粒子;界面活性剤等の添加剤が挙げられる。これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
環状オレフィン樹脂のガラス転移温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上であり、好ましくは190℃以下、より好ましくは180℃以下、特に好ましくは170℃以下である。ガラス転移温度が前記範囲内であることにより、耐久性に優れる樹脂層を容易に製造することができる。また、上限値以下にすることにより、成形を容易に行える。
[樹脂層の厚み、性質等]
積層体は、1層または2層以上の樹脂層を含む。樹脂層の1層の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、特に好ましくは20μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下、特に好ましくは50μm以下である。樹脂層の厚みを前記範囲の下限値以上にすることにより、樹脂層に、炭酸ガスレーザー光を効率良く吸収できる性質を付与することができる。樹脂層の厚みが、大きい場合、樹脂層に、熱がこもりやすくなり、クラック等が発生しやすくなるが、樹脂層の厚みを前記範囲の上限値以下にすることにより、樹脂層に熱をこもりにくくしてクラック等の発生を抑制することができる。積層体が2層以上の樹脂層を含む場合、樹脂層の厚みは同一であっても、相違していてもよい。積層体が2層以上の樹脂層を含む場合、それぞれの樹脂層の厚みが上記範囲であるのが好ましい。このような場合、樹脂層の厚みは同一であっても、相違していてもよい。
積層体は、1層または2層以上の樹脂層を含む。樹脂層の1層の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、特に好ましくは20μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下、特に好ましくは50μm以下である。樹脂層の厚みを前記範囲の下限値以上にすることにより、樹脂層に、炭酸ガスレーザー光を効率良く吸収できる性質を付与することができる。樹脂層の厚みが、大きい場合、樹脂層に、熱がこもりやすくなり、クラック等が発生しやすくなるが、樹脂層の厚みを前記範囲の上限値以下にすることにより、樹脂層に熱をこもりにくくしてクラック等の発生を抑制することができる。積層体が2層以上の樹脂層を含む場合、樹脂層の厚みは同一であっても、相違していてもよい。積層体が2層以上の樹脂層を含む場合、それぞれの樹脂層の厚みが上記範囲であるのが好ましい。このような場合、樹脂層の厚みは同一であっても、相違していてもよい。
樹脂層は、全光線透過率が90%以上であるのが好ましく、91%以上であるのがより好ましい。このような全光線透過率を有する樹脂層は、透明性に優れており、積層体を偏光板の用途で用いるのに適している。
[積層体の層構成及び形成方法]
積層体において、樹脂層は、偏光子の一方の面のみに設けられていてもよく、偏光子の両方の面(おもて面及び裏面)にそれぞれ、設けられていてもよい。樹脂層が、偏光子のおもて面及び裏面に設けられている場合、おもて面及び裏面の樹脂層の材質は同じであってもよく、異なっていてもよい。また、おもて面及び裏面の樹脂層の厚みは同じであってもよく、異なっていてもよい。
積層体において、樹脂層は、偏光子の一方の面のみに設けられていてもよく、偏光子の両方の面(おもて面及び裏面)にそれぞれ、設けられていてもよい。樹脂層が、偏光子のおもて面及び裏面に設けられている場合、おもて面及び裏面の樹脂層の材質は同じであってもよく、異なっていてもよい。また、おもて面及び裏面の樹脂層の厚みは同じであってもよく、異なっていてもよい。
積層体が2層以上の樹脂層を含む場合、偏光子の一方の面のみに2層以上の樹脂層が設けられていてもよく、偏光子のおもて面および裏面にそれぞれ、樹脂層が設けられていてもよい。また、偏光子のおもて面及び裏面において、樹脂層の数が相違していてもよい。
積層体は、上に述べた偏光子及び樹脂層の他に、任意の層を有しうる。例えば、偏光子及び樹脂層等の層を貼合するための接着剤層、樹脂層を保護する保護層等を含みうる。
[積層体の製造方法]
積層体を製造する方法は、特に限定されず、任意の方法を採用しうる。好ましい態様において、偏光子を構成するフィルム及び樹脂層を構成するフィルムをそれぞれ調製し、それらを、接着剤を介して貼合することにより、積層体を製造しうる。このような場合、樹脂層を構成するフィルムの面のうち、偏光子を構成するフィルムと貼合される面は、コロナ処理、ケン化処理、プライマー処理、アンカーコーティング処理などの易接着処理が施されていてもよい。
積層体を製造する方法は、特に限定されず、任意の方法を採用しうる。好ましい態様において、偏光子を構成するフィルム及び樹脂層を構成するフィルムをそれぞれ調製し、それらを、接着剤を介して貼合することにより、積層体を製造しうる。このような場合、樹脂層を構成するフィルムの面のうち、偏光子を構成するフィルムと貼合される面は、コロナ処理、ケン化処理、プライマー処理、アンカーコーティング処理などの易接着処理が施されていてもよい。
偏光子を構成するフィルム及び樹脂層を構成するフィルムとを貼合する際に用いる接着剤は、特に限定されず、貼合対象に適した接着剤を適宜選択しうる。好ましい接着剤を構成する材料の例としては、アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、合成ゴム、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂等のポリマー製材料が挙げられる。接着剤は、石油系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、アルキド系樹脂等の粘着付与剤、フタル酸エステル、リン酸エステル、塩化パラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン等の軟化剤、またはその他の各種充填剤や老化防止剤等、既知の添加剤を含有しうる。
接着剤の特に好ましい例として、ポリビニルアルコール及び水溶性エポキシ樹脂を含む水溶液の接着剤が挙げられる。この接着剤は、環状オレフィン樹脂からなる樹脂層と偏光子との貼合に、特に好ましく用いうる。接着剤の別の特に好ましい例として、上記の材料のいずれかと、必要に応じて光重合開始剤とを含み、紫外線の照射により硬化させうるUV接着剤が挙げられる。
接着剤の特に好ましい例として、ポリビニルアルコール及び水溶性エポキシ樹脂を含む水溶液の接着剤が挙げられる。この接着剤は、環状オレフィン樹脂からなる樹脂層と偏光子との貼合に、特に好ましく用いうる。接着剤の別の特に好ましい例として、上記の材料のいずれかと、必要に応じて光重合開始剤とを含み、紫外線の照射により硬化させうるUV接着剤が挙げられる。
[3.工程1:切断工程]
工程1は、偏光子及び樹脂層を含む積層体に対してレーザー光を照射して当該積層体を切断する工程である。本発明では、工程1において、レーザー光の照射を、レーザー光の周期T(μs)に対するレーザー光のパルス幅W(μs)の割合の百分率(%)が1〜20%となるように行う。
工程1は、偏光子及び樹脂層を含む積層体に対してレーザー光を照射して当該積層体を切断する工程である。本発明では、工程1において、レーザー光の照射を、レーザー光の周期T(μs)に対するレーザー光のパルス幅W(μs)の割合の百分率(%)が1〜20%となるように行う。
工程1においては、レーザー光の照射を、レーザー光のビームのエネルギー分布が、ガウシアン分布となるように行うのが好ましい。
レーザー光のビームのエネルギー分布は、ビームの光軸からの距離を横軸に取り、当該距離の位置におけるエネルギー強度を縦軸に取ったグラフにより表現しうる。本願において、レーザー光のビームのエネルギー分布についてのガウシアン分布とは、広義に解し、かかるエネルギー分布が厳密にガウシアン分布に従う場合、及び近似的にガウシアン分布とみなせる場合に加えて、光軸に垂直な断面における中央部でエネルギー強度が高く、中央部から外側に向けて強度が低下する分布であるもの全般をも包含する。ガウシアンモードのエネルギー分布の例を、図1を参照して説明する。図1は、本発明で好適に用いられるガウシアンモードのレーザー光のビームについてのエネルギー分布の一例を示すグラフである。図1の横軸は、レーザー光のビームの光軸からの距離を示し、図1の縦軸は、当該距離の位置におけるレーザー光のエネルギー強度を示している。図1に示すように、ガウシアン分布では、光軸に垂直な断面における中心(図1において、点Oを通る上下方向の一点鎖線で示す)においてエネルギー強度が最も高く、光軸に垂直な断面における中心から外側に向けて強度が緩やかに低下する。
レーザー光のビームのエネルギー分布は、ビームの光軸からの距離を横軸に取り、当該距離の位置におけるエネルギー強度を縦軸に取ったグラフにより表現しうる。本願において、レーザー光のビームのエネルギー分布についてのガウシアン分布とは、広義に解し、かかるエネルギー分布が厳密にガウシアン分布に従う場合、及び近似的にガウシアン分布とみなせる場合に加えて、光軸に垂直な断面における中央部でエネルギー強度が高く、中央部から外側に向けて強度が低下する分布であるもの全般をも包含する。ガウシアンモードのエネルギー分布の例を、図1を参照して説明する。図1は、本発明で好適に用いられるガウシアンモードのレーザー光のビームについてのエネルギー分布の一例を示すグラフである。図1の横軸は、レーザー光のビームの光軸からの距離を示し、図1の縦軸は、当該距離の位置におけるレーザー光のエネルギー強度を示している。図1に示すように、ガウシアン分布では、光軸に垂直な断面における中心(図1において、点Oを通る上下方向の一点鎖線で示す)においてエネルギー強度が最も高く、光軸に垂直な断面における中心から外側に向けて強度が緩やかに低下する。
積層体が偏光子の一方の面のみに樹脂層を有する場合、レーザー光の照射は、積層体の、偏光子側の面から行いうる。この場合、積層体の、偏光子側の表面が、レーザー光を受容する表面となる。
積層体にレーザー光を照射する際の照射角度(レーザー光の光軸と、積層体の表面とが交わる角度)は、垂直方向とすることが、樹脂層の変形が少ない良好な切断面を得る観点から好ましい。しかしながら照射角度はこれに限られず、垂直方向に対して好ましくは0°〜5°の範囲、より好ましくは0°〜2°の範囲、さらに好ましくは0°〜1°の範囲の角度を有していてもよい。
工程1に用いるレーザー装置としては、フィルムの加工に用いうる各種の形式のものを用いることができる。用いうるレーザー装置の例としては、ArFエキシマレーザー装置、KrFエキシマレーザー装置、XeClエキシマレーザー装置、YAGレーザー装置(特に、第3高調波若しくは第4高調波)、YLF若しくはYVO4の固体レーザー装置(特に、第3高調波若しくは第4高調波)、Ti:Sレーザー装置、半導体レーザー装置、ファイバーレーザー装置、及び炭酸ガスレーザー装置が挙げられる。これらのレーザー装置の中でも、比較的安価であり、且つ積層体の加工に適した出力が効率的に得られる観点から、炭酸ガスレーザー装置が好ましい。
工程1においてレーザー装置から出射するレーザー光の波長は、特に限定されず、フィルムの加工に用いうる任意の波長としうる。レーザー光の波長は、好ましくは、9μm以上9.5μm以下、または10.2μm以上10.6μm以下の範囲内である。前記波長範囲のレーザー光は、レーザー装置として炭酸ガスレーザー装置を用いる場合に安定して出力することができるため、本発明の製造方法を特に良好に行うことができる。
レーザー光の出力Pは、好ましくは1W以上、より好ましくは5W以上、さらに好ましくは15W以上であり、好ましくは400W以下、より好ましくは350W以下、さらに好ましくは300W以下、さらにより好ましくは250W以下、特に好ましくは120W以下である。レーザー光の出力Pを前記範囲の下限値以上にすることにより、レーザー光の照射量が不足するのを防止して、工程1を安定して行うことができる。また、レーザー光の出力Pを前記範囲の上限値以下とすることにより、積層体の不所望な変形や、樹脂層におけるクラック等の発生を防止できる。
工程1において、レーザー光としては、パルスレーザー光を用いうる。パルスレーザー光を用いることにより、熱の発生を抑えて積層体の切断を行うことができる。パルスレーザーとは、出力のオン及びオフにより構成されるパルスで出光するレーザーである。
レーザー光のパルス幅Wの範囲は、好ましくは100ns(ナノ秒)以上、より好ましくは1000ns以上、特に好ましくは2000ns以上であり、好ましくは100μs以下、より好ましくは50μs以下、特に好ましくは25μs以下である。レーザー光のパルス幅Wを前記範囲の下限値以上にすることにより、加工速度を速めることができる。また、上限値以下にすることにより、熱の影響をより抑えた積層体の切断加工ができる。
レーザー光のパルス幅Wについて、図2を参照して説明する。図2は、パルスレーザー光のパルスの波形の一例を示すグラフである。図2の横軸は、時間を示し、図2の縦軸は、信号電圧を示す。図2において、Stはトップ振幅、Shは50%振幅、Hは半値を示す。図2に示すように、t1はパルス信号の立ち上がり部であり、t1hはパルス信号の立ち上がり部の半値点であり(50%振幅に対応)、t2はパルス信号の立ち下がり部であり、t2hはパルス信号の立ち下がり部の半値点(50%振幅に対応)である。BLはベースラインを示す。図2に示すように、パルス幅Wは、パルス信号の立ち上がり部の半値点t1hから、パルス信号の立ち下がり部の半値点t2hまでの時間間隔をいう。
レーザー光の周波数とは、1秒間における、オン及びオフにより構成される周期の数であり、1つの周期は、オンからオフまでの時間と、オフから次のオンまでの時間の組み合わせにより構成される。
レーザー光の周波数は、好ましくは10kHz以上、より好ましくは13kHz以上、特に好ましくは15kHz以上であり、好ましくは100kHz以下、より好ましくは75kHz以下、特に好ましくは50kHz以下である。パルスレーザー光の周波数を前記範囲の下限値以上にすることにより、加工速度を速めることができる。また、上限値以下にすることにより、より熱の影響を抑えた加工ができる。
レーザー光の周期Fは、好ましくは10μs以上、より好ましくは13μs以上、特に好ましくは20μs以上であり、好ましくは100μs以下、より好ましくは77μs以下、特に好ましくは67μs以下である。パルスレーザー光の周期を前記範囲の下限値以上にすることにより、より熱の影響を抑えた加工ができる。また、上限値以下にすることにより、加工速度を速めることができる。
本発明では、工程1におけるレーザー光の照射を、レーザー光の周期T(μs)に対するレーザー光のパルス幅W(μs)の割合(W/T)の百分率(%)が1〜20%となるように行う。レーザー光の照射をこのような条件で行うのは、以下の知見に基づく。
偏光子とともに樹脂層を備える積層体を切断する際に、従来の方法によりレーザー照射を行うと、樹脂層においてクラックが発生することがあった。このことに関しては、レーザー照射のレーザー熱により、積層体は膨張および収縮するが、偏光子の層と樹脂層との、膨張および収縮の差が一因となって、樹脂層におけるクラックが発生すると推測される。そこで、本願発明者が検討を行ったところ、レーザー光の照射を、レーザー光の周期T(μs)に対するレーザー光のパルス幅W(μs)の割合(W/T)の百分率(%)が1〜20%となるように行うことにより、積層体に適度に熱が付与されて、円滑に切断を行うことができ、かつ、レーザー光照射後に積層体が冷却される際の膨張収縮等に起因する亀裂やクラックの発生を防止できるという知見が得られた。本発明はこのような知見に基づくものである。
偏光子とともに樹脂層を備える積層体を切断する際に、従来の方法によりレーザー照射を行うと、樹脂層においてクラックが発生することがあった。このことに関しては、レーザー照射のレーザー熱により、積層体は膨張および収縮するが、偏光子の層と樹脂層との、膨張および収縮の差が一因となって、樹脂層におけるクラックが発生すると推測される。そこで、本願発明者が検討を行ったところ、レーザー光の照射を、レーザー光の周期T(μs)に対するレーザー光のパルス幅W(μs)の割合(W/T)の百分率(%)が1〜20%となるように行うことにより、積層体に適度に熱が付与されて、円滑に切断を行うことができ、かつ、レーザー光照射後に積層体が冷却される際の膨張収縮等に起因する亀裂やクラックの発生を防止できるという知見が得られた。本発明はこのような知見に基づくものである。
本発明において、レーザー光の周期T(μs)に対するレーザー光のパルス幅W(μs)の割合(W/T)の百分率(%)は、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上であり、好ましくは17%以下、より好ましくは15%以下である。W/Tの百分率を前記下限値以上とすることにより、積層体に適度に熱が付与されて、より円滑に切断を行うことができる。W/Tの百分率を前記上限値以下とすることにより、レーザー光照射後に積層体が冷却される際の膨張収縮等に起因する亀裂やクラックの発生防止効果を、より良好なものとすることができる。
工程1においては、通常は、レーザー光が積層体の表面を所望の線に沿って走査するように、レーザー光を積層体に照射する。これにより、積層体にレーザー光が当たる点が、積層体の表面を所望の線に沿って移動するので、切断したい形状に積層体を切断できる。この際、レーザー光に積層体の表面を走査させるために、レーザー光の照射装置を移動させてもよく、積層体を移動させてもよく、レーザー光と積層体の両方を移動させてもよい。
走査速度、即ち積層体にレーザー光が当たる点が積層体の表面を移動する際の移動速度は、レーザー光の出力P、積層体の厚み等の条件に応じて、適切に設定しうる。走査速度Vの具体的な範囲は、好ましくは5mm/s以上、より好ましくは10mm/s以上、特に好ましくは20mm/s以上であり、好ましくは4000mm/s以下、より好ましくは3000mm/s以下、さらにより好ましくは2000mm/s以下、特に好ましくは1500mm/s以下である。走査速度Vを前記範囲の下限値以上にすることにより、生じる熱を抑え良好な切断面を得ることができる。また、上限値以下にすることにより、レーザー光の走査回数を減らし効率的な切断ができる。
積層体をある線に沿って切断するためにレーザー光を照射する際、その線に沿ったレーザー光の走査回数は、1回でもよく、2回以上でもよい。1回の走査で切断することにより、工程1に要する時間を短くできる。また、2回以上にすることにより、1回当たりのレーザー光の照射で積層体に生じる熱を小さくできる。
[4.工程1の後の工程]
本発明の光学フィルムの製造方法では、工程1の後に、任意の工程を行いうる。例えば、工程1を行うことにより、所定形状に切断された積層体は、そのまま、又は必要に応じて他の任意の層との貼合等の任意の工程を経て、製品たる、偏光板等の光学フィルムとしうる。偏光板の層構成は特に限定されず、例えば、1層の偏光子と、そのおもて面側及び裏面側に設けられた1対の樹脂層と、これらの層の間に介在する接着剤層とを含む層構成としうる。また、切断された積層体に支持体を貼合して、製品たる偏光板と支持体を組み合わせた積層体として、表示装置に組み込んでもよい。
本発明の光学フィルムの製造方法では、工程1の後に、任意の工程を行いうる。例えば、工程1を行うことにより、所定形状に切断された積層体は、そのまま、又は必要に応じて他の任意の層との貼合等の任意の工程を経て、製品たる、偏光板等の光学フィルムとしうる。偏光板の層構成は特に限定されず、例えば、1層の偏光子と、そのおもて面側及び裏面側に設けられた1対の樹脂層と、これらの層の間に介在する接着剤層とを含む層構成としうる。また、切断された積層体に支持体を貼合して、製品たる偏光板と支持体を組み合わせた積層体として、表示装置に組み込んでもよい。
本発明の製造方法により得られた光学フィルムの用途に制限は無く、偏光板としての用途の他に任意の光学用途に適用しうる。また、この光学フィルムは、それ単独で用いてもよく、他の任意の部材と組み合わせて用いてもよい。例えば、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置、FED(電界放出)表示装置、SED(表面電界)表示装置等の表示装置に組み込んで用いてもよい。
また、例えば、本発明の光学フィルムの製造方法により得られた積層体を、偏光子の保護フィルムとして用い、さらに他の偏光子層と貼合して偏光板を構成してもよい。
さらに、例えば、得られた積層体を位相差フィルムとして円偏光フィルムとを組み合わせて、輝度向上フィルムを得てもよい。
また、例えば、本発明の光学フィルムの製造方法により得られた積層体を、偏光子の保護フィルムとして用い、さらに他の偏光子層と貼合して偏光板を構成してもよい。
さらに、例えば、得られた積層体を位相差フィルムとして円偏光フィルムとを組み合わせて、輝度向上フィルムを得てもよい。
[5.本発明の作用・効果]
本発明においては、偏光子と、偏光子の少なくとも一方の面に設けた樹脂層と、を含む積層体を切断する工程1において、レーザー光の照射を、レーザー光の周期T(μs)に対するレーザー光のパルス幅W(μs)の割合の百分率(%)が1〜20%となるように行うので、積層体に適度に熱が付与されて、円滑に切断を行うことができ、かつ、レーザー光照射後に積層体が冷却される際の膨張収縮等に起因する亀裂やクラックの発生を防止できる。その結果、本発明によれば、工程1を行った後の樹脂層におけるクラック等の発生を防止して、円滑に積層体の切断を行いうる、光学フィルムの製造方法を提供することができる。
本発明においては、偏光子と、偏光子の少なくとも一方の面に設けた樹脂層と、を含む積層体を切断する工程1において、レーザー光の照射を、レーザー光の周期T(μs)に対するレーザー光のパルス幅W(μs)の割合の百分率(%)が1〜20%となるように行うので、積層体に適度に熱が付与されて、円滑に切断を行うことができ、かつ、レーザー光照射後に積層体が冷却される際の膨張収縮等に起因する亀裂やクラックの発生を防止できる。その結果、本発明によれば、工程1を行った後の樹脂層におけるクラック等の発生を防止して、円滑に積層体の切断を行いうる、光学フィルムの製造方法を提供することができる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものでは無く、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
[クラックの有無の評価]
実施例および比較例で製造した積層体の断面を、光学顕微鏡(オリンパス製、BX51)を用いて倍率100倍〜400倍で観察し、以下の評価基準により評価を行った。
(評価基準)
G:樹脂層にクラックが認められない。
NG:樹脂層にクラックが認められる。
実施例および比較例で製造した積層体の断面を、光学顕微鏡(オリンパス製、BX51)を用いて倍率100倍〜400倍で観察し、以下の評価基準により評価を行った。
(評価基準)
G:樹脂層にクラックが認められない。
NG:樹脂層にクラックが認められる。
[製造例1(環状オレフィン樹脂の製造)]
(開環重合工程)
ジシクロペンタジエンと、テトラシクロドデセンと、メタノテトラヒドロフルオレンとを、重量比60/35/5で含むモノマー混合物を用意した。
(開環重合工程)
ジシクロペンタジエンと、テトラシクロドデセンと、メタノテトラヒドロフルオレンとを、重量比60/35/5で含むモノマー混合物を用意した。
窒素で置換した反応器に、前記のモノマー混合物7部(重合に使用するモノマー全量に対して1重量%)、及び、シクロヘキサン1600部を加え、更にトリ−i−ブチルアルミニウム0.55部、イソブチルアルコール0.21部、反応調整剤としてジイソプロピルエーテル0.84部、及び分子量調節剤として1−ヘキセン3.24部を添加した。
ここに、シクロヘキサンに溶解させた濃度0.65%の六塩化タングステン溶液24.1部を添加して、55℃で10分間攪拌した。
次いで、反応系を55℃に保持しながら、前記のモノマー混合物693部と、シクロヘキサンに溶解させた濃度0.65%の六塩化タングステン溶液48.9部とをそれぞれ系内に150分かけて連続的に滴下した。
その後、30分間反応を継続し、重合を終了して、開環重合体を含む開環重合反応液を得た。重合終了後、ガスクロマトグラフィーにより測定したモノマーの重合転化率は、重合終了時で100%であった。
次いで、反応系を55℃に保持しながら、前記のモノマー混合物693部と、シクロヘキサンに溶解させた濃度0.65%の六塩化タングステン溶液48.9部とをそれぞれ系内に150分かけて連続的に滴下した。
その後、30分間反応を継続し、重合を終了して、開環重合体を含む開環重合反応液を得た。重合終了後、ガスクロマトグラフィーにより測定したモノマーの重合転化率は、重合終了時で100%であった。
(水素添加工程)
得られた開環重合反応液を耐圧性の水素添加反応器に移送し、ケイソウ土担持ニッケル触媒(日揮化学社製「T8400RL」、ニッケル担持率57%)1.4部及びシクロヘキサン167部を加え、180℃、水素圧4.6MPaで6時間反応させて反応溶液を得た。この反応溶液を、ラジオライト#500を濾過床として、圧力0.25MPaで加圧濾過(石川島播磨重工社製、製品名「フンダフィルター」)して水素添加触媒を除去し、開環重合体の水素添加物を含む無色透明な水素添加物溶液を得た。
得られた開環重合反応液を耐圧性の水素添加反応器に移送し、ケイソウ土担持ニッケル触媒(日揮化学社製「T8400RL」、ニッケル担持率57%)1.4部及びシクロヘキサン167部を加え、180℃、水素圧4.6MPaで6時間反応させて反応溶液を得た。この反応溶液を、ラジオライト#500を濾過床として、圧力0.25MPaで加圧濾過(石川島播磨重工社製、製品名「フンダフィルター」)して水素添加触媒を除去し、開環重合体の水素添加物を含む無色透明な水素添加物溶液を得た。
(濾過工程)
次いで、この水素添加物溶液を、フィルター(キュノー社製「ゼータープラスフィルター30H」、孔径0.5μm〜1μm)にて順次濾過し、さらに別の金属ファイバー製フィルター(ニチダイ社製、孔径0.4μm)にて更に濾過して、水素添加物溶液から微小な固形分を除去した。
次いで、この水素添加物溶液を、フィルター(キュノー社製「ゼータープラスフィルター30H」、孔径0.5μm〜1μm)にて順次濾過し、さらに別の金属ファイバー製フィルター(ニチダイ社製、孔径0.4μm)にて更に濾過して、水素添加物溶液から微小な固形分を除去した。
(乾燥工程及び成形工程)
次いで、この水素添加物溶液を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所社製)を用いて、温度270℃、圧力1kPa以下で乾燥した。これにより、水素添加物溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去して、樹脂固形分を得た。この樹脂固形分を、前記の濃縮乾燥機に直結したダイから溶融状態でストランド状に押し出した。押し出された樹脂固形分を、冷却後、ペレタイザーでカットして、開環重合体の水素添加物を含むペレット状の環状オレフィン樹脂を得た。
次いで、この水素添加物溶液を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所社製)を用いて、温度270℃、圧力1kPa以下で乾燥した。これにより、水素添加物溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去して、樹脂固形分を得た。この樹脂固形分を、前記の濃縮乾燥機に直結したダイから溶融状態でストランド状に押し出した。押し出された樹脂固形分を、冷却後、ペレタイザーでカットして、開環重合体の水素添加物を含むペレット状の環状オレフィン樹脂を得た。
[実施例1]
(1−1.環状オレフィン樹脂フィルム:樹脂層)
スクリュー径20mmφ、圧縮比3.1、L/D=30のスクリューを備えたハンガーマニュホールドタイプのTダイ式のフィルム溶融押出成形機(据置型、GSIクレオス社製)を用意した。
製造例1で製造した環状オレフィン樹脂を、前記のフィルム溶融押出成形機を使用してフィルム状に成形し、厚み0.05mm(50μm)の環状オレフィン樹脂フィルムを得た。成形時の条件は、ダイリップ0.8mm、Tダイの幅300mm、溶融樹脂温度260℃、冷却ロール温度110℃であった。
(1−1.環状オレフィン樹脂フィルム:樹脂層)
スクリュー径20mmφ、圧縮比3.1、L/D=30のスクリューを備えたハンガーマニュホールドタイプのTダイ式のフィルム溶融押出成形機(据置型、GSIクレオス社製)を用意した。
製造例1で製造した環状オレフィン樹脂を、前記のフィルム溶融押出成形機を使用してフィルム状に成形し、厚み0.05mm(50μm)の環状オレフィン樹脂フィルムを得た。成形時の条件は、ダイリップ0.8mm、Tダイの幅300mm、溶融樹脂温度260℃、冷却ロール温度110℃であった。
(1−2.積層体)
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している厚さ25μmのフィルムからなる偏光子を用意した。この偏光子の一方の面に、(1−1)で得た環状オレフィン樹脂フィルムを、接着剤を用いて貼合した。接着剤としては、ポリビニルアルコール及び水溶性エポキシ樹脂を含む水溶液を使用した。
これにより、(偏光子)/(接着剤層)/(環状オレフィン樹脂層)の層構成を有する、厚さ約80μmの積層体を得た。
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している厚さ25μmのフィルムからなる偏光子を用意した。この偏光子の一方の面に、(1−1)で得た環状オレフィン樹脂フィルムを、接着剤を用いて貼合した。接着剤としては、ポリビニルアルコール及び水溶性エポキシ樹脂を含む水溶液を使用した。
これにより、(偏光子)/(接着剤層)/(環状オレフィン樹脂層)の層構成を有する、厚さ約80μmの積層体を得た。
(1−3.工程1(切断工程))
(1−2)で得た積層体の偏光子側の面に、レーザー光照射装置(Coherent社製、「DIAMOND E−250i」)により、波長10.6μmの炭酸ガスレーザー光を垂直に照射し、積層体を切断した。
照射に際し、レーザー光は、照射と停止とを周波数30kHzの周期で繰り返すパルスレーザー光とした。パルスレーザー光の周期は33μs、パルス幅は2μsであった。照射装置から照射されたガウシアン分布を有する平行光線であるレーザー光を集光した。また、積層体の面上において、レーザー光の照射位置を移動させることにより、走査的な積層体の切断を行なった。走査速度Vは600mm/s、走査回数は1回とした。
(1−2)で得た積層体の偏光子側の面に、レーザー光照射装置(Coherent社製、「DIAMOND E−250i」)により、波長10.6μmの炭酸ガスレーザー光を垂直に照射し、積層体を切断した。
照射に際し、レーザー光は、照射と停止とを周波数30kHzの周期で繰り返すパルスレーザー光とした。パルスレーザー光の周期は33μs、パルス幅は2μsであった。照射装置から照射されたガウシアン分布を有する平行光線であるレーザー光を集光した。また、積層体の面上において、レーザー光の照射位置を移動させることにより、走査的な積層体の切断を行なった。走査速度Vは600mm/s、走査回数は1回とした。
(1−4.評価)
切断した積層体の断面を、光学顕微鏡を用いて観察し、評価を行ったところ、樹脂層にクラックの発生は認められなかった。
切断した積層体の断面を、光学顕微鏡を用いて観察し、評価を行ったところ、樹脂層にクラックの発生は認められなかった。
[実施例2]
(2−1.環状オレフィン樹脂フィルム)
得られる環状オレフィン樹脂フィルムの厚みが20μmとなるように、成形時の条件を変更したこと以外は実施例1の(1−1)と同じ操作を行い、厚み20μmの環状オレフィン樹脂フィルムを得た。
(2−1.環状オレフィン樹脂フィルム)
得られる環状オレフィン樹脂フィルムの厚みが20μmとなるように、成形時の条件を変更したこと以外は実施例1の(1−1)と同じ操作を行い、厚み20μmの環状オレフィン樹脂フィルムを得た。
(2−2.積層体)
実施例1の(1−2)において、(1−1)で得た環状オレフィン樹脂フィルムに代えて、(2−1)で得た環状オレフィンフィルムを用いたこと以外は、実施例1の(1−2)と同じ操作を行い、(偏光子)/(接着剤層)/(環状オレフィン樹脂層)の層構成を有する、厚さ約100μmの積層体を得た。
実施例1の(1−2)において、(1−1)で得た環状オレフィン樹脂フィルムに代えて、(2−1)で得た環状オレフィンフィルムを用いたこと以外は、実施例1の(1−2)と同じ操作を行い、(偏光子)/(接着剤層)/(環状オレフィン樹脂層)の層構成を有する、厚さ約100μmの積層体を得た。
(2−3.工程1及び評価)
実施例1の(1−3)において、(1−2)で得た積層体に代えて(2−2)で得た積層体を用いたこと、レーザー光照射に際し、レーザー光は、照射と停止とを周波数15kHzの周期で繰り返すパルスレーザー光とし、パルスレーザー光の周期を67μs、パルス幅を10μsとしたこと以外は、実施例1の(1−3)と同じ操作を行い、積層体を切断した。
切断した積層体の断面を、光学顕微鏡を用いて観察し、評価を行ったところ、樹脂層にクラックの発生は認められなかった。
実施例1の(1−3)において、(1−2)で得た積層体に代えて(2−2)で得た積層体を用いたこと、レーザー光照射に際し、レーザー光は、照射と停止とを周波数15kHzの周期で繰り返すパルスレーザー光とし、パルスレーザー光の周期を67μs、パルス幅を10μsとしたこと以外は、実施例1の(1−3)と同じ操作を行い、積層体を切断した。
切断した積層体の断面を、光学顕微鏡を用いて観察し、評価を行ったところ、樹脂層にクラックの発生は認められなかった。
[実施例3]
実施例1の(1−2)で得られた積層体の偏光子側の面に、レーザー光照射装置(DIAMOND J−3(Coherent社製))により、波長9.4μmの炭酸ガスレーザー光を垂直に照射し、積層体を切断した。照射に際し、レーザー光は、照射と停止とを周波数25kHzの周期で繰り返すパルスレーザー光とし、パルスレーザー光の周期を40μs、パルス幅を5μsとした。照射装置から照射されたガウシアン分布を有する平行光線であるレーザー光を集光した。また、積層体の面上において、レーザー光の照射位置を移動させることにより、走査的な積層体の切断を行なった。走査速度Vは600mm/s、走査回数は1回とした。
切断した積層体の断面を、光学顕微鏡を用いて観察し、評価を行ったところ、樹脂層にクラックの発生は認められなかった。
実施例1の(1−2)で得られた積層体の偏光子側の面に、レーザー光照射装置(DIAMOND J−3(Coherent社製))により、波長9.4μmの炭酸ガスレーザー光を垂直に照射し、積層体を切断した。照射に際し、レーザー光は、照射と停止とを周波数25kHzの周期で繰り返すパルスレーザー光とし、パルスレーザー光の周期を40μs、パルス幅を5μsとした。照射装置から照射されたガウシアン分布を有する平行光線であるレーザー光を集光した。また、積層体の面上において、レーザー光の照射位置を移動させることにより、走査的な積層体の切断を行なった。走査速度Vは600mm/s、走査回数は1回とした。
切断した積層体の断面を、光学顕微鏡を用いて観察し、評価を行ったところ、樹脂層にクラックの発生は認められなかった。
[実施例4]
(4−1.環状オレフィン樹脂フィルム)
得られる環状オレフィン樹脂フィルムの厚みが40μmとなるように、成形時の条件を変更したこと以外は実施例1の(1−1)と同じ操作を行い、厚み40μmの環状オレフィン樹脂フィルムを得た。
(4−1.環状オレフィン樹脂フィルム)
得られる環状オレフィン樹脂フィルムの厚みが40μmとなるように、成形時の条件を変更したこと以外は実施例1の(1−1)と同じ操作を行い、厚み40μmの環状オレフィン樹脂フィルムを得た。
(4−2.積層体)
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している厚さ25μmのフィルムからなる偏光子を用意した。偏光子の一方の面に、(4−1)で得た環状オレフィン樹脂フィルムを、接着剤を用いて貼合した。接着剤としては、ポリビニルアルコール及び水溶性エポキシ樹脂を含む水溶液を使用した。
また、偏光子のもう一方の面に、ポリエステルフィルム(ルミラー、東レ(株)製、厚さ50μm)を、接着剤を用いて貼合した。接着剤としては、ポリビニルアルコール及び水溶性エポキシ樹脂を含む水溶液を使用した。これにより、(ポリエステル樹脂層)/(接着剤層)/(偏光子)/(接着剤層)/(環状オレフィン樹脂層)の層構成を有する、厚さ約130μmの積層体を得た。
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している厚さ25μmのフィルムからなる偏光子を用意した。偏光子の一方の面に、(4−1)で得た環状オレフィン樹脂フィルムを、接着剤を用いて貼合した。接着剤としては、ポリビニルアルコール及び水溶性エポキシ樹脂を含む水溶液を使用した。
また、偏光子のもう一方の面に、ポリエステルフィルム(ルミラー、東レ(株)製、厚さ50μm)を、接着剤を用いて貼合した。接着剤としては、ポリビニルアルコール及び水溶性エポキシ樹脂を含む水溶液を使用した。これにより、(ポリエステル樹脂層)/(接着剤層)/(偏光子)/(接着剤層)/(環状オレフィン樹脂層)の層構成を有する、厚さ約130μmの積層体を得た。
(4−3.工程1)
実施例1の(1−2)で得た積層体に代えて(4−2)で得た積層体を用いたこと、照射に際し、レーザー光は、照射と停止とを周波数45kHzの周期で繰り返すパルスレーザー光とし、パルスレーザー光の周期を22μs、パルス幅を3μsとしたこと以外は、実施例1の(1−3)と同じ操作を行い、積層体の切断を行なった。切断した積層体の断面を、光学顕微鏡を用いて観察し、評価を行ったところ、樹脂層にクラックの発生は認められなかった。
実施例1の(1−2)で得た積層体に代えて(4−2)で得た積層体を用いたこと、照射に際し、レーザー光は、照射と停止とを周波数45kHzの周期で繰り返すパルスレーザー光とし、パルスレーザー光の周期を22μs、パルス幅を3μsとしたこと以外は、実施例1の(1−3)と同じ操作を行い、積層体の切断を行なった。切断した積層体の断面を、光学顕微鏡を用いて観察し、評価を行ったところ、樹脂層にクラックの発生は認められなかった。
[比較例1]
実施例1の(1−3)において、(1−2)で得た積層体の偏光子側の面に、レーザー光照射装置(DIAMOND E−250i(Coherent社製))により、波長9.4μmの炭酸ガスレーザー光を垂直に照射したこと、照射に際し、レーザー光は、照射と停止とを周波数5kHzの周期で繰り返すパルスレーザー光とし、パルスレーザー光の周期を200μs、パルス幅を0.02μs(20ns)としたこと以外は、実施例1と同様にして、積層体の切断を行った。切断した積層体の断面を、光学顕微鏡を用いて観察し、評価を行ったところ、樹脂層にクラックの発生が認められた。
実施例1の(1−3)において、(1−2)で得た積層体の偏光子側の面に、レーザー光照射装置(DIAMOND E−250i(Coherent社製))により、波長9.4μmの炭酸ガスレーザー光を垂直に照射したこと、照射に際し、レーザー光は、照射と停止とを周波数5kHzの周期で繰り返すパルスレーザー光とし、パルスレーザー光の周期を200μs、パルス幅を0.02μs(20ns)としたこと以外は、実施例1と同様にして、積層体の切断を行った。切断した積層体の断面を、光学顕微鏡を用いて観察し、評価を行ったところ、樹脂層にクラックの発生が認められた。
[比較例2]
実施例1の(1−3)において、レーザー光の照射に際し、レーザー光は、照射と停止とを周波数120kHzの周期で繰り返すパルスレーザー光とし、パルスレーザー光の周期を8μs、パルス幅を2μsとしたこと以外は、実施例1と同様にして、積層体の切断を行った。切断した積層体の断面を、光学顕微鏡を用いて観察し、評価を行ったところ、樹脂層にクラックの発生が認められた。
実施例1の(1−3)において、レーザー光の照射に際し、レーザー光は、照射と停止とを周波数120kHzの周期で繰り返すパルスレーザー光とし、パルスレーザー光の周期を8μs、パルス幅を2μsとしたこと以外は、実施例1と同様にして、積層体の切断を行った。切断した積層体の断面を、光学顕微鏡を用いて観察し、評価を行ったところ、樹脂層にクラックの発生が認められた。
実施例及び比較例の概要を、下記表1及び表2にまとめて示す。
表中、各例の積層体の構成を、接着剤層を省略して示す。表1及び表2中、COPは環状オレフィン樹脂層、PVAは偏光子、PETはポリエステル樹脂層を示す。
表中、「(W/T)×100」とは、レーザー光の周期T(μs)に対するレーザー光のパルス幅W(μs)の割合(W/T)の百分率を示す。
表中、各例の積層体の構成を、接着剤層を省略して示す。表1及び表2中、COPは環状オレフィン樹脂層、PVAは偏光子、PETはポリエステル樹脂層を示す。
表中、「(W/T)×100」とは、レーザー光の周期T(μs)に対するレーザー光のパルス幅W(μs)の割合(W/T)の百分率を示す。
表1及び表2の結果から、積層体を切断する工程における、レーザー光の照射を、レーザー光の周期T(μs)に対するレーザー光のパルス幅W(μs)の割合の百分率が1〜20%となるように行った例(実施例1〜4)では、樹脂層にクラックの発生が認められなかった。これに対して、積層体を切断する工程における、レーザー光の照射を、レーザー光の周期T(μs)に対するレーザー光のパルス幅W(μs)の割合が1〜20%の範囲外となるように切断工程を行った比較例1及び比較例2では、いずれも樹脂層にクラックの発生が認められた。これらの結果から、本発明によれば、樹脂層におけるクラック等の発生を防止して、円滑に積層体の切断を行いうる、光学フィルムの製造方法を提供できることがわかった。
St…トップ振幅
Sh…50%振幅
H…半値
W…パルス幅
t1…パルス信号の立ち上がり部
t1h…パルス信号の立ち上がり部の半値点
t2…パルス信号の立ち下がり部
t2h…パルス信号の立ち下がり部の半値点
Sh…50%振幅
H…半値
W…パルス幅
t1…パルス信号の立ち上がり部
t1h…パルス信号の立ち上がり部の半値点
t2…パルス信号の立ち下がり部
t2h…パルス信号の立ち下がり部の半値点
Claims (5)
- 積層体に対してレーザー光を照射して当該積層体を切断する工程1を含む、光学フィルムの製造方法であって、
前記積層体は、偏光子と、前記偏光子の少なくとも一方の面に設けた樹脂層と、を含み、
前記工程1において、前記レーザー光の照射を、
前記レーザー光の周期T(μs)に対する前記レーザー光のパルス幅W(μs)の割合の百分率(%)が1〜20%となるように行う、光学フィルムの製造方法。 - 前記工程1において、前記レーザー光の照射を、
前記レーザー光のビームのエネルギー分布がガウシアン分布となるように行う、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。 - 前記工程1において、前記レーザー光の照射を、
前記レーザー光の波長が、9μm以上9.5μm以下、または10.2μm以上10.6μm以下となるように行う、請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。 - 前記樹脂層は、1層以上の環状オレフィン樹脂からなる層を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記積層体は、1層または2層以上の樹脂層を含み、
前記樹脂層の1層の厚みが10μm以上100μm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019197880A JP2021071581A (ja) | 2019-10-30 | 2019-10-30 | 光学フィルムの製造方法 |
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- 2019-10-30 JP JP2019197880A patent/JP2021071581A/ja active Pending
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